JPH07320907A - フローセンサの製造方法 - Google Patents

フローセンサの製造方法

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JPH07320907A
JPH07320907A JP6109231A JP10923194A JPH07320907A JP H07320907 A JPH07320907 A JP H07320907A JP 6109231 A JP6109231 A JP 6109231A JP 10923194 A JP10923194 A JP 10923194A JP H07320907 A JPH07320907 A JP H07320907A
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film
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泰治 鶴岡
Tsutomu Tajima
勉 多嶋
Takashi Hosoi
隆志 細居
Toyohei Nakajima
豊平 中島
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 クロムの薄膜及び金の薄膜を用いた薄膜抵抗
素子を有するフローセンサであって、薄膜抵抗素子の抵
抗値の温度係数が大きなフローセンサを製造できる方法
を提供する。 【構成】 下地19上にクロムの薄膜31及び該クロム
の薄膜より厚い膜厚の金の薄膜33を形成する。これら
クロムの薄膜31及び金の薄膜33で構成される積層膜
を薄膜抵抗素子の形状にパターニングする。パターニン
グの済んだ試料を大気雰囲気で、クロムの薄膜31から
金の薄膜33へのクロムの拡散を促しかつ金の薄膜33
表面に拡散してきたクロムを酸化させるための熱処理、
例えば450℃の温度で2時間の熱処理をする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ガスの流量測定に用
いるフローセンサの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば特公平3−52028号公報の例
えば第6欄第15行〜第8欄第22行には、電流を流す
ことで発熱する薄膜抵抗素子であって温度により抵抗値
が変化する薄膜抵抗素子を、これを補強するための絶縁
性の下地と共にガス流路にさらした構成の、フローセン
サが開示されている。具体的には、シリコン基板に設け
られた凹部上に、薄膜抵抗素子とその下地としての絶縁
膜(窒化シリコン膜)との積層物がブリッジ状に配置さ
れた構造のフローセンサが、開示されている。ここで、
上記凹部はガス流路の一部となる。このフローセンサで
は、ガスの通過量に応じ薄膜抵抗素子の冷却具合が変化
するので、ガスの通過量に応じ薄膜抵抗素子の温度が変
化する。また、これに伴い薄膜抵抗素子の抵抗値が変化
する。したがって、この抵抗値の変化を検出することに
より、ガスの流量を測定することができる。
【0003】また、この特公平3−52028号公報の
例えば第24欄の第27〜43行には、薄膜抵抗素子を
形成するための好適な材料例が開示されている。具体的
には、パーマロイ(鉄−ニッケル合金)、酸化亜鉛の単
結晶フィルム、焦電材料などが挙げられている。さらに
は、具体的な材料名の記載はないが好適な抵抗値の温度
係数(TCR:thermal coefficient of resistance )
を持つパーマロイ以外の金属フィルムも、抵抗素子の構
成材料として用い得ると記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、フローセン
サに備わる薄膜抵抗素子は、温度変化を検出する都合
上、比較的高温度に熱せられた状態で測定対象のガス雰
囲気中にさらされる。また、測定対象のガスは腐食性や
酸化性を有するものの場合もある。したがって、薄膜抵
抗素子を構成する材料いかんでは、腐食や酸化によって
薄膜抵抗素子の抵抗値が変化したり最悪の場合は薄膜抵
抗素子の断線が生じてしまう。これらを防止する1つの
対策として、薄膜抵抗素子を金(Au)で構成すること
が考えられる。金は化学的に安定な物質であり、また、
温度に対する金の抵抗値の温度係数(TCR)が402
0ppm/℃と大きいので、金で構成した薄膜抵抗素子
ではガスの流量により薄膜抵抗素子の温度が変化したと
きの抵抗値変化が生じ易く、したがって抵抗値の変化の
検出がし易いからである。ただし、金で抵抗素子を構成
する場合は、金が一般に、その薄膜を蒸着法などで下地
上に直接形成しようとした場合下地との密着強度が充分
に得られないものであるため、下地と金の薄膜との間に
接着層を形成することになる。接着層としては、チタン
(Ti)膜と白金(Pt)膜との積層膜あるいは、クロ
ム(Cr)の薄膜が挙げられる。そして主に次の〜
の理由から、接着層としてクロムの薄膜を用いるのが好
ましい。
【0005】:Ti膜とPt膜とを積層する場合では
2種類の蒸着が必要であるがクロムを用いる場合は1種
類の蒸着で済むので成膜工程が簡単である。
【0006】:材料費が安価である。
【0007】:例えば、シリコン基板に設けた凹部上
に薄膜抵抗素子を渡した構成のフローセンサを考えた場
合、薄膜抵抗素子を形成した状態でこの薄膜抵抗素子の
下側のシリコン基板部分を選択的にウエットエッチング
法で除去して当該凹部を形成することとなるが、この際
のエッチャントによりチタンはエッチングされてしま
う。
【0008】しかしながら、クロムの薄膜を接着層とし
て用いた場合、何らの工夫もしないと、以下に説明する
ような問題点が生じることがこの出願に係る発明者の実
験により明らかになった。
【0009】すなわち、クロムの薄膜及び金の薄膜の積
層膜を用いること自体でまずTCRは金のみの場合より
500〜1000ppm/℃程度小さくなるのであるが
(後述の実施例の項参照)、特にこの積層膜を真空雰囲
気または不活性ガス雰囲気中で高温でアニールしたもの
のTCRは1000ppm/℃以下になり金のみの場合
より3000ppm以上もTCRが小さくなってしまう
のである。安定な薄膜抵抗素子を得るためには薄膜抵抗
素子形成用の薄膜若しくはこれをパターニングして得た
薄膜抵抗素子に対し不活性雰囲気や真空雰囲気で高温度
でアニールを行なうのが常識であったが、このようなア
ニール処理は、上記のTCRの低下結果からみると、ク
ロムの薄膜及び金の薄膜の積層膜を用いて薄膜抵抗素子
を形成する場合は必ずしも良いとはいえないと考えられ
る。
【0010】また、従来技術の他の問題として次のよう
なものもあった。フローセンサの実際の構成では薄膜抵
抗素子を外部電源と接続するために薄膜抵抗素子にはリ
ード電極を介しボンディングパッドが接続されることが
多い。その場合は、リード電極およびボンディングパッ
ドはワイヤーボンディングできる材料例えば金の薄膜や
アルミニウムの薄膜で構成される。したがって、薄膜抵
抗素子をパーマロイで構成した場合は、リード電極およ
びボンディングパッドを形成するための専用の薄膜を成
膜する必要があるため、その成膜工程と、これをリード
電極やボンデイィグパッドの形状となるようにパターニ
ングする工程とが、薄膜抵抗素子の形成工程とは別に必
要となる。このため、フローセンサを製造するための工
程数が多くなるという問題点が生じる。
【0011】
【課題を解決するための手段】そこで、この発明によれ
ば、下地上に通電により発熱する薄膜抵抗素子であって
温度により抵抗値が変化する薄膜抵抗素子を具えるフロ
ーセンサを製造するに当たり、薄膜抵抗素子の形成は、
(a)下地上にクロムの薄膜及び該クロムの薄膜より厚
い膜厚の金の薄膜を形成する工程と、(b)酸素を含む
雰囲気で、クロムの薄膜から金の薄膜へのクロムの拡散
を促しかつ金の薄膜表面に拡散してきたクロムを酸化さ
せるための熱処理をする工程と、(c)前記熱処理の前
または後に、下地上の薄膜を当該薄膜抵抗素子の形状に
パターニングする工程とを含む工程により行なう。
【0012】なお、この発明の実施に当たり、フローセ
ンサが薄膜抵抗素子に接続されるリード電極及びこのリ
ード電極に接続されるボンディングパッドをさらに具え
るものの場合、下地上の薄膜を当該薄膜抵抗素子、リー
ド電極およびボンディングパッドの一連の形状にパター
ニングする。
【0013】
【作用】この発明の構成によれば、クロムの薄膜と金の
薄膜との積層膜(ここで積層膜とは、薄膜抵抗素子の形
状にパターニングされる前の積層膜全体の場合、積層膜
を抵抗素子の形状にパターニングした後のもの場合いず
れでも良い。)に対し、酸素雰囲気での熱処理がなされ
る。この熱処理においてクロム膜中のクロムは金の薄膜
中に拡散するので積層膜はAu−Cr拡散層となると考
えられる。しかし、金の薄膜中を拡散し金の薄膜表面に
達したクロムは、熱処理雰囲気中の酸素の作用を受ける
ので酸化物(酸化クロム)を形成しこの表面にトラップ
されるようになると考えられる。このため、金の薄膜中
でのクロムの量は、クロムの薄膜と金の薄膜との積層膜
を真空雰囲気や不活性ガス雰囲気でアニールする場合に
比べ少なくなるので金の薄膜の金の純度の低下が少なく
なると考えられる。なお、酸素雰囲気のアニールにおい
て拡散層が生じるという点については、例えば文献I
((シン ソリッド フィルムズ(Thin Solid Film
s),37(1976)pp.171−179)の特に
第177頁に記載の事項からも伺える。また、金の薄膜
中を拡散し金の薄膜表面に達したクロムが、酸素の作用
を受けて酸化物(酸化クロム)を形成しこの表面にトラ
ップされるようになるという点は例えば上記文献Iの例
えばFig.1に記載の事項からも伺える。
【0014】この発明の方法で製造された薄膜抵抗素子
(リード電極およびボンデイングパッドをさらに具える
構成の場合は薄膜抵抗素子、リード電極およびボンデイ
ングパッド)は、クロム及び金を含みかつ金を主とする
薄膜のパターンであって、下地側の部分はクロムを主と
する層となっており、表層部はクロムの酸化物を主とす
る層となっており、これら両層の間はこれら両層に比べ
厚さが厚くかつ金を主とする層となっている薄膜のパタ
ーンで構成されると、考えられる。
【0015】
【実施例】以下、図面を参照してこの発明のフローセン
サの製造方法の実施例について説明する。しかしなが
ら、説明に用いる各図はこの発明を理解出来る程度に各
構成成分の寸法、形状および配置関係を概略的に示して
ある。また、各図において同様な構成成分については同
一の番号を付して示しその重複する説明を省略すること
もある。また、この実施例では、以下に図1及び図2を
参照して説明する構造のフローセンサ10(以下、「製
造対象のフローセンサ10」ともいう。)をこの発明の
方法により製造する例を説明する。ここで、図1は、製
造対象のフローセンサ10の全体形状を示した平面図、
また図2(A)は図1のI−I線での断面図、図2
(B)は同II−II線での断面図である。
【0016】先ず、製造対象のフローセンサ10とは、
シリコン基板11(図2にのみ図示)と、ストライプ状
の凹部13と、長方形状の凹部15と、下地としてのシ
リコン窒化膜17と、第1〜第4の4つの薄膜抵抗素子
19a〜19dと、リード電極21と、ボンディングパ
ッド23a〜23dとを具えたものである。なお、図1
は平面図であるが、シリコン窒化膜部分を明確にするた
めにその部分には左上から右下に至るハッチングを付し
てある。同様に、薄膜抵抗素子19a〜19dと、リー
ド電極21と、ボンディングパッド23a〜23dとで
構成される部分には右上から左下に至るハッチングを付
してある。
【0017】ここで、ストライプ状の凹部13はシリコ
ン基板10の所定部に設けてある。このストライプ状の
凹部はガス流路の一部となる。また、長方形状の凹部1
5はストライプ状の凹部13の近傍に設けてある。この
長方形状の凹部15は、薄膜抵抗素子19aがストライ
プ状の凹部19a上に浮いた状態で設置されているのに
合わせて薄膜抵抗素子19bも基板11から浮いた状態
になるようにするためのものである。こうすることで、
薄膜抵抗素子19a〜19bで構成されるホイートスト
ーンブリッジの精度を高めることができる。またシリコ
ン窒化膜17はシリコン基板11上全面に設けてある。
ただし、凹部13、15各々の上ではシリコン窒化膜1
7は凹部の一部を橋状に渡るように設けてある。また、
第1〜第4の4つの薄膜抵抗素子19a〜19dはシリ
コン窒化膜17上に配置してある。ただし、ここでは第
1の薄膜抵抗素子19aはストライプ状の凹部13上に
橋わたしされているシリコ窒化膜部分上に設けてあり、
第2の薄膜抵抗素子19bは長方形状の凹部15上に橋
わたしされているシリコ窒化膜部分上に設けてある。な
お、第1の薄膜抵抗素子19aと第2の薄膜抵抗素子1
9bとは抵抗値が一致若しくはほぼ一致するようにして
ある。また第3の薄膜抵抗素子19cと第4の薄膜抵抗
素子19dとは抵抗値が一致若しくはほぼ一致するよう
にしてある。また、これに限られないが、この実施例で
は、第1〜第4の薄膜抵抗素子19a〜19dを、図3
に示したように、薄膜(後に説明する)を所定幅Wを有
したミアンダ形状にパターニングしたもので、構成して
いる。また、リード電極21は配線抵抗が問題とならな
いような線幅を有しており、かつ、第1〜第4の薄膜抵
抗素子19a〜19dがホイートストーンブリッジを構
成する各抵抗となるようにこれら薄膜抵抗素子19a〜
19dを接続するよう配置してある。またボンディング
パッド21a〜21dはホイートストーンブリッジにお
ける各辺に当たるリード電極部分と接続されるよう設け
てある。
【0018】次に、上述の製造対象のフローセンサ10
をこの発明の方法で製造する例を説明する。ただし、以
下の説明中で述べる温度、時間、膜厚、蒸着速度などの
数値的な条件はこの発明の範囲内の一例にすぎない。ま
たこの説明を図1〜図3及び図4(A)〜(D)を参照
して行なう。ここで、図4(A)〜(D)はこの発明の
製造方法の要部を説明する為の工程図である。
【0019】先ず、図4(A)に示したように、シリコ
ン基板11の(100)面上に下地としてこの場合シリ
コン窒化膜(SiNX 膜)17を2μmの厚さに形成す
る。SiNX 膜17はここではスパッタ法により形成し
ている。このスパッタは、ターゲットとしてSiターゲ
ットを用い、ガスとしてArを20sccm及びN2
10sccmの流量で供給し、スパッタ時の圧力を0.
6Paとし、かつ、RFパワーを1KWとした条件で行
なった。シリコン基板11の裏面にも上記と同様なスパ
ッタ条件でSiNX 膜17aを3μmの厚さに形成する
(図4(A))。シリコン窒化膜17、17aは、後に
シリコン基板11にストライプ状の凹部13、長方形状
の凹部15を形成する際のエッチングマスクとして使用
されるものである。また、基板表面のシリコン窒化膜1
7の一部は薄膜抵抗素子を凹部13、15上に浮かす際
の補強膜としても機能するものである。なお、シリコン
基板表裏に形成したSiNX 膜17,17aの応力は引
っ張りで5×109 dyn/cm2 を示していた。
【0020】次に、電子ビーム蒸着装置を用い、基板温
度を100℃とし、真空度を10-6Torrオーダとし
た条件で、上記SiNX 膜17上にクロム(Cr)の薄
膜31及び金(Au)の薄膜33をこの順に蒸着する
(図4(B))。このときCrの薄膜の厚さ、Auの薄
膜の厚さ及びAuの薄膜の蒸着速度をパラメータとして
種々の実験試料を作製した。各実験試料の作製条件を、
これら実験試料から測定されたTCRの値と共に、後記
の表1および表2に示してある。ただし表2にあっては
この発明に係る熱処理条件も併せて示してある。なお、
各実験試料を作製する際のクロムの薄膜の蒸着速度は、
ほぼ5Å/秒に統一している。
【0021】表1に示した結果から明らかなように、A
uの薄膜の蒸着速度が、クロムの薄膜と金の薄膜との積
層膜のas depoの時のTCRに影響していること
が分かる。より詳細にいえば、この実施例の成膜条件に
おいては、Auの薄膜の蒸着速度が6Åまでの範囲で成
膜したクロムの薄膜と金の薄膜との積層膜のas de
poの時のTCRは、3400ppm/℃以上となる。
これに対しAuの薄膜の蒸着速度が10Å以上の範囲で
成膜したクロムの薄膜と金の薄膜との積層膜のas d
epoの時のTCRは、2800ppm/℃以下とな
る。したがって、TCRを例えば3000ppm/℃以
上としたい場合は、Auの薄膜の蒸着速度を最大でも1
0Åより遅くするのがよく、より好ましくは6Å以下と
するのが良いことが分かる。
【0022】また、クロムの薄膜と金の薄膜との積層膜
(Cr/Au膜ともいう。)のasdepoの時のシー
ト抵抗を、Au膜の膜厚が2000ÅでCr膜の膜厚が
15Åである試料について測定したところ、130mΩ
/□であった。
【0023】次に、表2に示した各実験試料のCr/A
u膜上に有機レジスト層(ここでは東京応化工業(株)
製、OFPR8300-30 の層)を1.3μmの厚さで形成し、
このレジスト層を通常のフォトリソグラフィ技術によ
り、所定形状にパターニングする(図示せず)。ここで
所定形状とは、Cr/Au膜を、図1に示した第1〜第
4の薄膜抵抗素子19a〜19d、リード電極21及び
ボンデイングパッド23a〜23dの一連の形状にパタ
ーニングできるマスク形状である。
【0024】次に、この図示しないレジストパターンを
マスクとして、Cr/Au膜をここではArによるイオ
ンミーリングで選択的に除去する。これにより、第1〜
第4の薄膜抵抗素子19a〜19d、リード電極21及
びボンディングパッド23a〜23dを構成する薄膜パ
ターン(ただし、この発明に係る熱処理前のもの)がが
得られる(図1参照)。なお、ここでは第1及び第2の
薄膜抵抗素子19a,19dは、図3におけるミアンダ
形状の部分の全長が360μmで幅Wが5μmのものと
している。また、リード電極21の線幅は配線抵抗の問
題が生じないような幅ここでは100μm以上の好適な
幅(薄膜抵抗素子部分での線幅5μmの20倍以上の好
適な寸法)としている。
【0025】次に、図示しないレジストパターンを硫酸
5部と過酸化水素1部の混合液により除去する。
【0026】レジストパターンの除去が済んだ各実験試
料を表2に示した各熱処理条件すなわち、:熱処理な
し、:350℃の温度で2時間、:350℃の温度
で2時間、:600℃の温度で2時間という各種熱処
理条件でそれぞれ処理する。なお、この実施例では、こ
の発明でいう酸素を含む雰囲気は、大気雰囲気としてい
る。ただし酸素を含む雰囲気は大気雰囲気に限られな
い。たとえば、大気雰囲気に比べ酸素含有量の多い雰囲
気(ほぼ酸素雰囲気も含む)としても良いと考える。
【0027】各実験試料に対する熱処理においては、C
rの薄膜31のクロムはAuの薄膜33中に拡散しAu
−Crによる拡散層35が生じるもののこれにとどまら
ずAuの薄膜33の表面まで拡散するものもある。Au
の薄膜表面まで至ったクロムは熱処理雰囲気中(大気
中)の酸素の作用で酸化され、最終的にAuの薄膜の表
面にCr酸化物37として析出する(Auの薄膜表面に
一部のクロムがトラップされる)。したがって、Auの
薄膜にはCrは微小量しか存在しなくなるので、Au膜
のAu純度の低下は抑制される。このような現象が生じ
ることは、文献I(シン ソリッド フィルムズ(Thin
Solid Films),37(1976)pp.171−17
9)の特に第177頁のディスカスションの項やFi
g.5に記載されている事実からも正当化できると考え
る。
【0028】このように熱処理を行なった各実験試料の
TCRをそれぞれ測定したところ表2の右欄に示したよ
うな値となった。この表2の結果から、この発明を実施
する場合、Auの薄膜の膜厚、Crの薄膜の膜厚、Cr
/Au膜の熱処理条件を次のようにするのが好ましいと
考えられる。すなわち、先ず、Crの薄膜の膜厚は下地
とCr/Au膜との密着強度が確保される範囲であれば
薄い方がよい。また、Auの薄膜の膜厚はTCR以外の
特性を損ねない範囲であれば厚い方がよい。もちろん、
Auの薄膜の膜厚があまり厚いと薄膜抵抗素子の抵抗値
が所望値より小さくなるのでその点は考慮する。また、
熱処理温度は少なくとも、フローセンサが使用される温
度より高い範囲で好適な範囲とするのが良い。あまり高
いと無用にTCRを悪化させることになり、一方、低す
ぎては安定な薄膜抵抗素子を得るためのエージング処理
若しくはスクリーニング処理の目的が達成できないので
この点を考慮して好適な範囲とすれば良い。TCRを少
なくとも3000ppm/℃程度とする場合で、上記膜
厚などの条件の好適な範囲をこの実施例の場合で考える
と、Crの薄膜の膜厚は最大でも50Åがよく、より好
ましくは25Å以下がよいといえる。また、この実施例
で試した350〜600℃という熱処理温度及び2時間
という条理時間は、この発明の熱処理条件の好適な範囲
と考える。ただし、上述の膜厚、熱処理温度、熱処理時
間に関する条件は、フローセンサの仕様、特にTCRを
どの程度にするかを考慮して決定されるので、上記条件
に限られるものではない。
【0029】Cr/Au膜を真空雰囲気や不活性雰囲気
で熱処理した後にはそのTCRが1000ppm/℃以
下になってしまったのに対し、この発明の方法である
と、依然3000ppm/℃という高いTCRを維持出
来るので、この発明の有用性が理解出来る。
【0030】次に、この試料上に再び有機レジストの層
(ここではOFPR8300-30 の層)を形成する(図示せ
ず)。そしてこのレジスト層を、シリコン基板11に凹
部13、15(図1参照)を形成する為のエッチングマ
スクの形状に相当する形状にパターニングする。次い
で、この図示しないレジストパターンをマスクとしてS
iNX 膜をエッチングする。ここでは、CF4 とO2
の混合ガス(O2 を5%含有させたもの)でSiNX
をエッチングしている。次に、レジストパターンをO2
アッシングにより除去する。
【0031】次に、この試料を500g/l(リット
ル)のKOH水溶液中に所定時間浸漬する。シリコン基
板のSiNX 膜で覆われていない部分はKOHによりエ
ッチングされる。このエッチングにおいて深さ200μ
mで、幅が800μmで、長さ3mmのストライプ状の
凹部13と、所定の大きさ(第2の薄膜抵抗素子19b
を浮かすことが出来る程度の大きさ)の長方形状の凹部
15をそれぞれ形成した。
【0032】次に、この試料に、これの所定領域、この
場合は薄膜抵抗素子19a〜19d及びストライプ状の
凹部13子を含む領域を覆う蓋41(図1参照)を、例
えばエポキシ系接着材により接着固定する。ボンディン
グパッド23a〜23dが蓋41より外側となるように
蓋41は構成している。蓋41を固定し終えた試料を図
示しないアルミナ基板上に例えばAgペーストにてダイ
ボンディングする。そして、アルミナ基板上の電気回路
パターン(例えば電源ラインのパターンなど)と、フロ
ーセンサのボンディングパッドとをワイヤボンディング
する。
【0033】この発明の方法では、クロム及び金を用い
て薄膜抵抗素子を構成した場合でも、Cr/Au膜のa
s depo時のTCRをほぼ維持する薄膜低抵抗素子
が得られる。また、実施例のように薄膜抵抗素子、ボン
ディグパッド、これらの間のリード電極を共通なCr/
Au膜で構成することもできるので、薄膜抵抗素子、ボ
ンディグパッド、これらの間のリード電極のパターニン
グを1枚のホトマスクでおこなえる。それ以外にはSi
X 膜のパターニング用のレジストパターンを得るため
にホトマスクを使用するのみであるので、都合、2枚の
ホトマスクでフローセンサの製造が行なえる。
【0034】なお、この実施例のフローセンサであって
図1の第1の薄膜抵抗素子19aでのミアンダ形状の部
分の全長が360μmで幅Wが5μmでAuの膜厚が2
000Åのものは、その抵抗値がほぼ100Ωとなる。
この薄膜抵抗素子19aに6mAの電流を流すとこの薄
膜抵抗素子19aの温度はおおよそ190℃に上昇す
る。また、この薄膜抵抗素子19aにガスが触れるとガ
スの流量に応じこの薄膜抵抗素子の温度は変化するの
で、これに応じ抵抗値が変化する。この薄膜抵抗素子1
9aは他の薄膜抵抗素子19a〜19cとホイートスト
ーンブリッジを構成しているから、ガスの流量による薄
膜抵抗素子19aの温度変化に伴う抵抗値の変化に応じ
高感度に変化するホイートストーンブリッジ中央の電圧
出力VX を測定することにより、ガス流量を高感度に感
知できる。なお、ホイートストーンブリッジ中央の電圧
出力VX とは、図1の例でいえばボンディングパッド2
3aと23dとの間に生じる電圧である。また、ホイー
トストーンブリッジを構成する4つの薄膜抵抗素子19
a〜19dはその製造途中で酸素を含む雰囲気で熱処理
してあるのでセンサとして使用した場合の経時変化は、
ガスが流れていない場合の上記VX の値の変化量でいっ
て5μV/Hour以下と少ないものであった。この値
はガスの流量を測定するうえで問題のない値であるの
で、この発明の方法はこの点でも特性の良いフローセン
サを提供出来る方法であることが分かる。
【0035】上述においては、この発明のフローセンサ
の製造方法の実施例について説明したが、この発明は上
述の実施例に限られない。たとえば、この発明の製造方
法を適用出来るフローセンサは図1及び図2を用いて説
明した構造のものに限られずCr及びAuを用いて薄膜
抵抗素子を作製しようとするフローセンサ全てに適用出
来ることは明らかである。
【0036】また、上述の実施例ではCrの薄膜及びA
uの薄膜を電子ビーム蒸着法により形成する例を示した
が、これら薄膜の成膜方法はこれに限られない。たとえ
ば、スパッタ法を用いても良い。この場合は、シリコン
窒化膜の形成とCrの薄膜及びAuの薄膜の形成とを連
続的に行なえるので工程の簡略化、成膜装置の削減など
の点で好適である。
【0037】また、上述の実施例では、Cr/Au膜を
薄膜抵抗素子、リード電極及びボンデイングパッドの形
状にパターニングした後にこの発明に係る熱処理をする
例を説明しているが、Cr/Au膜に対し先ずこの発明
に係る熱処理をし、その後にこの薄膜を薄膜抵抗素子等
の形状にパターニングしてもこの発明の効果は得られ
る。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【発明の効果】上述した説明からも明らかなように、こ
の発明のフローセンサの製造方法によれば、薄膜抵抗素
子を作製するためのCr/Au膜に対し酸素雰囲気で所
定の熱処理を行なうので、クロム(Cr)を用いるにも
かかわらず実用的なTCRを示す薄膜抵抗素子が得られ
る。このため、所望の感度を有するフローセンサであっ
て金を用いることによる種々の特徴を有したフローセン
サ、たとえば、(1).耐腐食性、耐酸化性にすぐれるフロ
ーセンサ、(2).測定可能なガスの種類が多いフローセン
サ、(3).薄膜抵抗素子、リード電極及びボンディングパ
ッドを一括形成できるので製造が簡単なフローセンサが
得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の方法により製造することとしたフロ
ーセンサ(製造対象のフロセンサ)の構造説明に供する
平面図である。
【図2】(A)及び(B)は、この発明の方法により製
造することとしたフローセンサ(製造対象のフローセン
サ)の構造説明に供する要部断面図である。
【図3】薄膜抵抗素子の形状例を示した図である。
【図4】(A)〜(D)は、実施例の製造方法の説明に
供する工程図である。
【符号の説明】
10:フローセンサ 11:シリコン基板 13:ストライプ状の凹部(ガス流路の一部) 15:長方形状の凹部 17:下地(シリコン窒化膜) 19a〜19d:薄膜抵抗素子 21:リード電極 23a〜23d:ボンディングパッド 31:クロムの薄膜 33:金の薄膜 35:Au−Crによる拡散層 37:Cr酸化物 41:蓋
フロントページの続き (72)発明者 細居 隆志 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 中島 豊平 栃木県芳賀郡芳賀町大字下高根沢4630番地 株式会社本田技術研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下地上に通電により発熱する薄膜抵抗素
    子であって温度により抵抗値が変化する薄膜抵抗素子を
    具えるフローセンサを製造するに当たり、 薄膜抵抗素子の形成は、 下地上にクロムの薄膜及び該クロムの薄膜より厚い膜厚
    の金の薄膜を形成する工程と、 酸素を含む雰囲気で、前記クロムの薄膜から前記金の薄
    膜へのクロムの拡散を促しかつ該金の薄膜表面に拡散し
    てきたクロムを酸化させるための熱処理をする工程と、 前記熱処理の前または後に、前記下地上の薄膜を当該薄
    膜抵抗素子の形状にパターニングする工程とを含む工程
    により行なうことを特徴とするフローセンサの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のフローセンサの製造方
    法において、 フローセンサが前記薄膜抵抗素子に接続されるリード電
    極及び該リード電極に接続されるボンディングパッドを
    さらに具えるものの場合、 前記薄膜のパターニング工程において前記下地上の薄膜
    を当該薄膜抵抗素子、リード電極およびボンディングパ
    ッドの一連の形状にパターニングすることを特徴とする
    フローセンサの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003035579A (ja) * 2001-07-19 2003-02-07 Denso Corp フローセンサの製造方法
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