JP2003034787A - 蛍光体及びその製造方法 - Google Patents

蛍光体及びその製造方法

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JP2003034787A
JP2003034787A JP2001256999A JP2001256999A JP2003034787A JP 2003034787 A JP2003034787 A JP 2003034787A JP 2001256999 A JP2001256999 A JP 2001256999A JP 2001256999 A JP2001256999 A JP 2001256999A JP 2003034787 A JP2003034787 A JP 2003034787A
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Tetsuharu Umehara
徹治 梅原
Yasuo Shimomura
康夫 下村
Naoto Kijima
直人 木島
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Kasei Optonix Ltd
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Kasei Optonix Ltd
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】粒度分布が狭く、凝集粒子が少なく、高純度で
化学組成が均一均質であつて、緻密な高輝度蛍光膜を形
成することが可能な、優れた発光強度を示す蛍光体並び
にその製造する方法を提供する。 【構成】蛍光体の構成金属元素を含有する溶液を同伴気
体中に噴霧して微液滴を得た後、これを乾燥して金属塩
粒子または金属錯体粒子とし、この金属塩粒子または金
属錯体粒子を加熱することにより熱分解合成を行って所
望の結晶相を主相とする蛍光体を得る方法において、該
金属塩粒子または金属錯体粒子を気体状態のハロゲン化
水素を含有する雰囲気で加熱して熱分解合成を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブラウン管、蛍光
ランプ、プラズマディスプレーパネル(PDP)などの
蛍光膜として用いることが可能な蛍光体及びその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】ブラウン管、蛍光ランプ、PDPなどに
用いられる蛍光体は、従来、原料粉末を混合したものを
坩堝などの焼成容器に入れた後、高温で長時間加熱する
ことにより固相反応を起こさせ、それをボールミルなど
で微粉砕することにより製造されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この方法で製
造された蛍光体は不規則形状粒子が凝集した粉末からな
っており、この蛍光体を上記用途に使用した場合には、
塗布して得られる蛍光膜が不均質で充填密度の低いもの
となるために発光強度が低かった。また、固相反応後の
ボールミルなどによる微粉砕処理中に蛍光体に物理的及
び化学的な衝撃が加えられるために、粒子内や表面に欠
陥が発生して発光強度が低下するという不都合があっ
た。さらには、坩堝などの焼成容器に入れて高温で長時
間加熱するために、坩堝からの不純物の混入による発光
強度の低下が起こることや、原料粉末の粒度によっては
固相反応が十分に進行せずに不純物相が混在して発光強
度の低下を招くことがあった。また、高温で長時間加熱
する際の消費エネルギーが大きいために、蛍光体の製造
コストを高くしていた。
【0004】この問題点を解消するために、蛍光体の構
成金属元素を含有する溶液を超音波ネブライザーを用い
て同伴気体中に噴霧して微液滴を得た後、これを乾燥し
て金属塩粒子や金属錯体粒子とし、この金属塩粒子や金
属錯体粒子を同伴気体により熱分解合成炉に導入して加
熱することにより、熱分解合成を行って蛍光体を得る方
法が開発されている。しかしながら、この方法では、熱
分解合成炉内での滞留時間を十分に長く取れないため
に、蛍光体の結晶性が低い上に付活剤イオンを結晶内に
均一に付活することができず、結果として発光強度の良
好な蛍光体を得られないという問題点があった。
【0005】本発明は、上記の問題点を解決するために
なされたものであり、粒度分布が狭く、凝集粒子が少な
く、球状であるために、ブラウン管、蛍光ランプ、PD
Pなどの蛍光膜として用いる際に均質で緻密な高輝度蛍
光膜を形成することが可能であり、しかも、高純度で化
学組成が均一であるために発光強度の優れた蛍光体及び
これを安価に製造する方法を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記の目的を
達成するためになされたものであり、以下の各手段から
構成される。 (1) 蛍光体の構成金属元素を含有する溶液を同伴気
体中に噴霧して微液滴を得た後、この微液滴を乾燥して
金属塩粒子または金属錯体粒子とし、該金属塩粒子また
は金属錯体粒子を加熱することにより熱分解合成を行っ
て所望の結晶相を主相とする蛍光体を得る方法におい
て、前記金属塩粒子または金属錯体粒子を気体状態のハ
ロゲン化水素を含有する雰囲気で前記加熱をして前記熱
分解合成を行うことを特徴とする蛍光体の製造方法。 (2) 前記気体状態のハロゲン化水素がフッ化水素、
塩化水素または臭化水素であることを特徴とする前記
(1)記載の蛍光体の製造方法。
【0007】(3) 600℃〜1900℃の範囲内の
温度で、0.5秒間〜10分間の範囲内の滞留時間だけ
前記加熱することにより前記熱分解合成を行うことを特
徴とする前記(1)または(2)記載の蛍光体の製造方
法。 (4) 600℃〜1900℃の範囲内の温度で、0.
5秒間〜1分間の範囲内の滞留時間だけ前記加熱するこ
とにより前記熱分解合成を行うことを特徴とする前記
(3)記載の蛍光体の製造方法。 (5) 前記熱分解合成炉において1450℃〜180
0℃の範囲内の温度で、0.5秒間〜1分間の範囲内の
滞留時間だけ前記加熱することにより熱分解合成を行う
ことを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載
の蛍光体の製造方法。
【0008】(6)前記溶液中に予め気体状態のハロゲ
ン化水素の前駆体を含有させることを特徴とする前記
(1)〜(5)のいずれかに記載の蛍光体の製造方法。 (7)前記前駆体が非金属ハロゲン化物であることを特
徴とする前記(6)記載の蛍光体の製造方法。 (8)前記前駆体がフッ酸、塩酸、臭酸、フッ化アンモ
ニウム、フッ化水素アンモニウム、塩化アンモニウムま
たは臭化アンモニウムであることを特徴とする前記
(7)記載の蛍光体の製造方法。
【0009】(9)組成式が(R 1−x,R
(ただし、RはY、Gd、La、Lu及びScか
ら選ばれる少なくとも一つの元素、RはCe、Pr、
Nd、Eu、Tb、Dy及びTmから選ばれる少なくと
も一つの元素であり、xは0<x≦0.2なる条件を満
足する数である)で表される結晶相を主成分とし、前記
(1)〜(8)のいずれかに記載の製造方法により製造
されることを特徴とする蛍光体。 (10)組成式がMAl1017(ただし、M
はBa、Sr、Ca及びEuから選ばれる少なくとも
一つの元素、MはMg及びMnから選ばれる少なくと
も一つの元素である)で表される結晶相を主成分とし、
前記(1)〜(8)のいずれかに記載の製造方法により
製造されることを特徴とする蛍光体。
【0010】(11)蛍光体の粒子の最大直径(D
に対する最小直径(D)の比(D/D)が0.8
≦(D/D)≦1.0なる関係を満足する粒子の個
数が全体の粒子群の90%以上であり、メディアン径
(D50)が0.1〜30μmの範囲にあり、前記
(1)〜(8)のいずれかに記載の製造方法により製造
されることを特徴とする蛍光体。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に詳細に説明す
る。本発明の蛍光体の製造方法において、蛍光体の構成
金属元素を含有する金属塩水溶液は、これらの金属元素
を含有する塩や有機金属化合物など、水に可溶であり、
しかも、高温に加熱した際に酸化物に分解反応する原料
ならば、いずれのものでも使用することができる。ま
た、蛍光体の構成金属元素の酸化物を酸に溶解して得ら
れる金属塩水溶液を使用することも可能である。しか
し、蛍光体の合成を容易にするためには、蛍光体の構成
金属元素の硝酸塩水溶液またはハロゲン化物水溶液を使
用することが好ましい。硝酸塩水溶液またはハロゲン化
物水溶液を微液滴状に噴射して乾燥することにより得ら
れる硝酸塩粒子またはハロゲン化物粒子は、加熱により
容易に分解して蛍光体を生成する。この金属塩水溶液に
は、熱分解合成温度で気体状態のハロゲン化水素となり
得る前駆体物質を含有することが好ましい。この前駆体
物質としては、加熱により容易に気化する非金属ハロゲ
ン化物がより好ましい。熱分解合成温度で気体状態のハ
ロゲン化水素を蛍光体粒子と反応させると、数秒〜数分
程度の短時間で特性の良好な蛍光体が合成できる。気体
状態のハロゲン化水素になり得る前駆体物質としては、
熱分解合成温度で気体状態のハロゲン化水素を形成する
ものならば、どのようなものでも良い。しかし、前駆体
物質としてフッ酸、塩酸、臭酸、フッ化アンモニウム、
フッ化水素アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アン
モニウムなどが蛍光特性の良好な蛍光体を合成できるの
で好ましい。また、良好な発光輝度の蛍光体を得るため
には、キラーセンターとなる鉄やニッケルなどの不純物
元素の含有量の少ない原料溶液を使用することが好まし
い。
【0012】上記原料を水や酸に投入して攪拌して十分
に溶解する。溶液内の上記各元素濃度は、所望の蛍光体
粒子の直径に対する水溶液噴霧により形成される微液滴
の直径に従って調整される。すなわち、蛍光体粒子直径
に対する液滴直径の比が大きければ、溶液内の溶質濃度
を低くし、その比が小さければ溶質濃度を高く調整す
る。良好な蛍光体を合成するためには、水溶液内の金属
元素の溶質濃度Cが、0.01≦C≦5の範囲内である
ことが好ましい。ここで、Cは、水溶液1リットルに含
有される全ての金属元素の合計のモル数である。
【0013】金属塩水溶液から微液滴を形成する方法と
しては、以下の様々な方法を採用できる。例えば、加圧
空気で液体を吸い上げながら噴霧して1μm〜50μm
の液滴を形成する方法、圧電結晶からの2MHz程度の
超音波を利用して4μm〜10μmの液滴を形成する方
法、穴径が10μm〜20μmのオリフィスが振動子に
より振動し、そこへ一定の速度で供給されている液体が
振動数に応じて一定量ずつ穴から放出され5μm〜50
μmの液滴を形成する方法、回転している円板上に液を
一定速度で落下させて遠心力によってその液から20μ
m〜100μmの液滴を形成する方法、液体表面に高い
電圧を引加して0.5μm〜10μmの液滴を発生する
方法などが挙げられる。
【0014】形成した液滴は、同伴気体流により乾燥器
内に導入されて加熱されることにより金属塩粒子や金属
錯体粒子となる。溶液の種類、気体の種類、気体流量、
熱分解合成炉内の温度などの加熱速度に影響を与える因
子により、中空の球、ポーラス、中の詰まった粒子、破
砕された粒子などと、生成する粒子の形態及び表面状態
が変化する。
【0015】同伴気体としては、空気、酸素、窒素、水
素、少量の一酸化炭素や水素を含む窒素やアルゴンなど
が使用できるが、良好な発光輝度の蛍光体を得るために
は、蛍光体の化学組成と発光に関与する付活剤イオンの
種類により気体を選択することが重要である。例えば、
酸化雰囲気で原子価を保ちやすいEu3+等を付活イオ
ンとする酸化物を主相とする蛍光体を合成する場合に
は、空気や酸素などの酸化性ガスが好ましく、還元雰囲
気で原子価を保ちやすいEu2+等を付活イオンとする
酸化物を主相とする蛍光体を合成する場合には、水素、
少量の水素を含む窒素やアルゴンなどの還元性ガスが好
ましい。
【0016】熱分解合成は、気体状態のハロゲン化水素
を含有する雰囲気とすることが発光強度の高い蛍光体を
得る上で必要である。気体状態のハロゲン化水素を含有
する雰囲気を得るためには、該前駆体物質を予め加熱す
ることにより気体状態にしたハロゲン化水素を熱分解合
成炉内に導入する方法、ハロゲン化水素の水溶液を熱分
解合成炉内に直接導入する方法、蛍光体の構成金属元素
を含有する溶液中に予め気体状態のハロゲン化水素の前
駆体物質を含有させる方法などで達成される。
【0017】形成される微液滴を乾燥して金属塩粒子と
する前に、金属塩水溶液の微液滴を分級して、微液滴の
重量平均粒子径を0.5μm〜50μmとすると共に、
90重量%の微液滴が重量平均粒子径の2倍以下の粒径
の微液滴とすることにより、粒径分布が狭いために蛍光
膜形成のための塗布特性の優れた蛍光体を製造すること
ができる。乾燥前に除去した微液滴は、回収することに
より原料の金属塩水溶液として再使用可能となる。結果
として、歩留まり良く粒度分布の狭い蛍光体の製造が可
能となる。0.5μmより小さい液滴が増えると、生成
する蛍光体が0.1μm未満と極度に小さくなって、デ
ィスプレー用などとして蛍光膜を形成する際に作成する
蛍光体スラリーの粘度が高くなって塗布特性が低下す
る。一方、50μmより大きい液滴が増えると、生成す
る蛍光体が極度に大きくなって、緻密で高精細の蛍光膜
を形成しにくくなる。この理由により、金属塩水溶液の
微液滴を分級して、微液滴の重量平均粒子径を1μm〜
20μmとすると共に、90重量%の微液滴が重量平均
粒子径の2倍以下の粒径の微液滴とすることがより好ま
しい。
【0018】熱分解合成炉での蛍光体の生産効率を上げ
るために、金属塩水溶液の微液滴の分級時に、液滴同伴
気体の単位体積当たりの液滴体積を濃縮することが好ま
しい。分級器としては、重力分級器、遠心分級器、慣性
分級器などが使用し得る。しかし、微液滴を同伴した気
体から、気体の一部と共に上記の液滴径の下限未満の微
液滴を除去して、液滴同伴気体の単位体積当たりの液滴
体積を濃縮するためには、慣性分級器が好ましい。
【0019】微液滴の乾燥方法としては、凍結乾燥、減
圧乾燥、拡散乾燥、加熱乾燥などが採用できる。しか
し、凍結乾燥や減圧乾燥などと比較して加熱乾燥が工業
的生産においては安価で好ましい。加熱乾燥時の加熱速
度は毎秒400℃以下であることが好ましい。加熱速度
を毎秒400℃より大きくすると、乾燥時に液滴中央部
の水分が蒸発する前に液滴表面に金属塩または金属錯体
の膜が析出するために、球形で中実の蛍光体粒子が生成
せずに、中空となったり爆裂を起こして微細粒子となっ
てしまう。乾燥時の加熱速度を毎秒200℃以下とする
と安定して球形で中実の蛍光体を製造できるので、より
好ましい。
【0020】乾燥して得られる金属塩粒子または金属錯
体粒子の温度は、熱分解前に100℃以上に保持するこ
とが好ましい。この温度が熱分解前に100℃未満にな
ると乾燥時に発生した水蒸気が凝縮して金属塩粒子また
は金属錯体粒子が部分的に再溶解してしまい、所望の形
状や粒径の蛍光体粒子が得られない。
【0021】熱分解合成は、熱分解合成炉内において6
00℃〜1900℃の範囲内の温度で、0.5秒間〜1
0分間の範囲内の滞留時間だけ加熱して熱分解合成を実
施するのが好ましい。熱分解合成温度が低すぎたり炉内
での滞留時間が短すぎると、金属塩が熱分解せずに蛍光
体が生成しない。また、結晶性が低い上に付活剤イオン
が結晶内に付活されないために、得られた蛍光体の発光
強度が低くなる。一方、熱分解合成温度が高すぎたり熱
分解合成炉内での滞留時間が長すぎると、不要なエネル
ギーを消費する。
【0022】結晶性が高く発光輝度の高い酸化物を主相
とする蛍光体が生成すると共に、熱分解合成時の炉内で
の滞留時間を短縮して生産性を上げるためには、熱分解
合成を600℃〜1900℃の範囲内の温度で、0.5
秒間〜1分間の範囲内の滞留時間だけ実施するのがより
好ましい。また、1450℃〜1800℃の範囲内の温
度で、0.5秒間〜1分間の範囲内の滞留時間だけ加熱
することにより熱分解合成するのが更に好ましい。
【0023】熱分解合成に際しては、先ず、熱分解合成
炉内において熱分解合成を行って所望の結晶相を含有す
る蛍光体粒子を得た後に、更にこれを再加熱処理しても
良く、このように2段階に分けて焼成を行い、その粒子
の結晶性を高めると同時に付活剤イオンの原子価を制御
し結晶内に均一に付活することで発光強度の高い球状蛍
光体を得ることができる。
【0024】このようにして得られる本発明の蛍光体
は、個々の蛍光体粒子における最大直径(D)に対す
る最小直径(D)の比(D/D)が0.8≦(D
/D)≦1.0なる関係を満足する粒子の個数が全
体の粒子群の90%以上であって、大部分の粒子が球形
もしくはほぼ球形の形状を有し、メディアン径
(D50)がほぼ0.1〜30μmの範囲にある粒子群
からなり、しかも、個々の粒子間での凝集がほとんどみ
られない。
【0025】本発明の蛍光体の製造方法は、例えば、組
成式が(R 1−x,R (ただし、R
Y、Gd、La、Lu及びScから選ばれる少なくとも
一つの元素、RはCe、Pr、Nd、Eu、Tb、D
y及びTmから選ばれる少なくとも一つの元素であり、
xは0<x≦0.2なる条件を満足する数である)で表
される結晶相を主成分とする蛍光体や、組成式がM
Al1017(ただし、MはBa、Sr、Ca及
びEuから選ばれる少なくとも一つの元素、MはMg
及びMnから選ばれる少なくとも一つの元素である)で
表される結晶相を主成分とする蛍光体等、特に酸化物を
主相とする蛍光体を製造する場合に適用するのが好まし
く、発光強度の良好な酸化物を主相とする蛍光体を得る
ためには、上述のように、同伴気体により金属塩粒子を
熱分解合成炉内に導入して600℃〜1900℃の範囲
内の温度で0.5秒間〜10分間の範囲内の滞留時間だ
け熱分解合成炉で加熱する工程の後、更に適切な雰囲気
制御をしつつ1000℃〜1700℃の範囲内の温度で
1秒間〜24時間の範囲内の時間だけ再加熱処理すると
良い。この時、再加熱の温度が低すぎるかまたは時間が
短すぎると、結晶性が低い上に付活剤イオンの原子価制
御ができず結晶内に均一に付活されないために、発光強
度が低くなる。一方、温度が高すぎるか時間が長すぎる
と、不要なエネルギーを消費するだけでなく、凝集粒子
が多数生成するために、蛍光膜を形成する際に緻密な蛍
光膜にならず、所望の発光強度が得られない。また、熱
分解合成温度が600℃に達しないか、熱分解反応時間
が0.5秒に達しない場合には、結晶性が十分に良好と
ならず、これを上記の1000℃〜1700℃の範囲内
の温度で1秒間〜24時間の範囲内の時間だけ再加熱処
理すると、結晶性は良好となるが、極めて多数の凝集粒
子が生成するために、蛍光膜を形成する際に緻密になら
ず、所望の発光強度が得られない。
【0026】再加熱処理時の凝集粒子生成防止のために
は、再加熱処理温度は、熱分解合成温度より100℃以
上低いことが好ましい。また、再加熱処理温度は、熱分
解合成温度より200℃以上低いことが更に好ましい。
【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
する。 〔実施例1〕蛍光体の化学組成が(Y0.94,Eu
0.06となるように硝酸イットリウムと硝酸
ユーロピウムをそれぞれ水に溶解し、(Y0.94,E
0. 06の1モルに対して3モルとなるよう
に臭化アンモニウムを添加し、少量の硝酸を添加して硝
酸イットリウムユーロピウムとして溶質濃度Cが0.3
の均質な金属塩水溶液を作成した。得られた水溶液のp
Hは、1.4であり、固形分の混在はなかった。
【0028】同伴気体として空気を使用し、この金属塩
水溶液を1.7MHzの振動子を有する超音波噴霧器に
入れて微液滴を形成した。次に、この微液滴を慣性分級
器を使用して分級して、微液滴の重量平均粒子径が5μ
mで90重量%の微液滴が10μm以下の粒径の微液滴
とした。
【0029】この分級された微液滴を加熱速度が毎秒5
0℃となるように昇温して200℃で加熱乾燥して金属
塩粒子を得た。この金属塩粒子を200℃に保持して熱
分解合成炉に搬送して、臭化アンモニウムを気化させて
気体状態の臭化水素を含有する雰囲気を形成し、最高温
度が1600℃の電気炉内で13秒間の滞留時間だけ熱
分解して酸化物粒子を合成しバッグフィルターで捕集し
た。
【0030】得られた蛍光体の粉末X線回折パターンを
調べたところ、不純物相の存在しない単相の蛍光体が生
成していることが分かった。また、この粒子の形状は、
表面が滑らかで粒径の揃った球状であり、その平均粒径
は1μmだった。この蛍光体について波長254nm紫
外線照射下での発光スペクトルを測定したところ、良好
な赤色発光を示した。
【0031】〔比較例1〕蛍光体の化学組成が(Y
0.94,Eu0.06となるように硝酸イッ
トリウムと硝酸ユーロピウムをそれぞれ水に溶解し、少
量の硝酸を添加して硝酸イツトリウムユーロピウムとし
て溶質濃度Cが0.3の均質な金属塩水溶液を作成し
た。得られた水溶液のpHは、1.4であり、固形分の
混在はなかった。
【0032】同伴気体として空気を使用し、この金属塩
水溶液を1.7MHzの振動子を有する超音波噴霧器に
入れて微液滴を形成した。次に、この微液滴を慣性分級
器を使用して分級して、微液滴の重量平均粒子径が5μ
mで90重量%の微液滴が10μm以下の粒径の微液滴
とした。
【0033】この分級された微液滴を加熱速度が毎秒5
0℃となるように昇温して200℃で加熱乾燥して金属
塩粒子を得た。この金属塩粒子を200℃に保持して熱
分解合成炉に搬送して、最高温度が1600℃の電気炉
内で13秒間の滞留時間だけ熱分解して酸化物粒子を合
成しバッグフィルターで捕集した。
【0034】得られた蛍光体の粉末X線回折パターンを
調べたところ、不純物相の存在しない単相の蛍光体が生
成していることが分かった。また、この粒子の形状は、
表面が滑らかで粒径の揃った球状であり、その平均粒径
は1μmだった。この蛍光体について波長254nm紫
外線照射下での発光スペクトルを測定したところ、良好
な赤色発光を示したが、その発光強度は実施例1の蛍光
体より低く、実施例1の蛍光体の発光輝度のおよそ80
%であった。
【0035】〔実施例2〕蛍光体の化学組成が(Ba
0.9,Eu0.1)MgAl1017となるように
炭酸バリウム、酸化ユーロピウム、炭酸マグネシウム、
金属アルミニウムをそれぞれ塩酸に溶解し、(Ba
0.9,Eu0.1)MgAl1017の1モルに対
して10モルとなるように塩化アンモニウムを添加し、
溶質濃度Cが0.03の均質な金属塩水溶液を作成し
た。得られた水溶液のpHは、0.8であり、固形分の
混在はなかった。
【0036】同伴気体として水素を4体積%含有する窒
素を使用し、この金属塩水溶液を1.7MHzの振動子
を有する超音波噴霧器に入れて微液滴を形成した。次
に、この微液滴を慣性分級器を使用して分級して、微液
滴の重量平均粒子径が5μmで90重量%の微液滴が1
0μm以下の粒径の微液滴とすると共に、液滴同伴気体
の単位体積当たりの液滴体積を5倍に濃縮した。
【0037】この分級された微液滴を加熱速度が毎秒5
0℃となるように昇温して200℃で加熱乾燥して金属
塩粒子を得た。この金属塩粒子を200℃に保持して熱
分解合成炉に搬送して、塩化アンモニウムを気化させて
気体状態の塩化水素を含有する雰囲気を形成し、最高温
度が1600℃の電気炉内で10秒間の滞留時間だけ熱
分解して酸化物粒子を合成しバッグフィルターで捕集し
た。 得られた蛍光体の粉末X線回折パターンを調べた
ところ、不純物相の存在しない単相の蛍光体が生成して
いることが分かった。また、この粒子の形状は、表面が
滑らかで粒径の揃った球状であり、その平均粒径は1μ
mだった。この蛍光体について波長254nm紫外線照
射下での発光スペクトルを測定したところ、良好な青色
発光を示した。
【0038】〔比較例2〕蛍光体の化学組成が(Ba
0.9,Eu0.1)MgAl1017となるように
硝酸バリウム、硝酸ユーロピウム、硝酸マグネシウム、
硝酸アルミニウムをそれぞれ水に溶解し、少量の硝酸を
添加して溶質濃度Cが0.03の均質な金属塩水溶液を
作成した。得られた水溶液のpHは、0.8であり、固
形分の混在はなかった。
【0039】同伴気体として水素を4体積%含有する窒
素を使用し、この金属塩水溶液を1.7MHzの振動子
を有する超音波噴霧器に入れて微液滴を形成した。次
に、この微液滴を慣性分級器を使用して分級して、微液
滴の重量平均粒子径が5μmで90重量%の微液滴が1
0μm以下の粒径の微液滴とすると共に、液滴同伴気体
の単位体積当たりの液滴体積を5倍に濃縮した。
【0040】この分級された微液滴を加熱速度が毎秒5
0℃となるように昇温して200℃で加熱乾燥して金属
塩粒子を得た。この金属塩粒子を200℃に保持して熱
分解合成炉に搬送して、最高温度が1600℃の電気炉
内で10秒間の滞留時間だけ熱分解して酸化物粒子を合
成しバッグフィルターで捕集した。この酸化物粒子を焼
成容器に充填した後、水素を4体積%含有する窒素中で
1400℃で2時間再加熱処理を行い発光強度を調整し
た蛍光体を得た。
【0041】得られた蛍光体の粉末X線回折パターンを
調べたところ、不純物相の存在しない単相の蛍光体が生
成していることが分かった。また、この粒子の形状は、
表面が滑らかで粒径の揃った球状であり、その平均粒径
は1μmだった。この蛍光体について波長254nm紫
外線照射下での発光スペクトルを測定したところ、良好
な青色発光を示したが、その発光強度は低く、実施例2
の蛍光体のおよそ70%であった。
【0042】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
凝集粒子が少なく、球状であり、また、粒度分布が狭い
ため、ブラウン管、蛍光ランプやPDPなどに用いる際
に、均質で緻密な高輝度蛍光膜を形成することが可能で
あり、しかも、高純度で化学組成が均一であるために発
光強度の優れた蛍光体を安価に製造する方法を提供する
ことができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09K 11/80 C09K 11/80 (72)発明者 木島 直人 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社内 Fターム(参考) 4H001 CA01 CA06 CF01 XA00 XA20 XA38 XA39 XA56 XA57 XA59 XA60 XA63 XA64 XA66

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蛍光体の構成金属元素を含有する溶液を
    同伴気体中に噴霧して微液滴を得た後、この微液滴を乾
    燥して金属塩粒子または金属錯体粒子とし、該金属塩粒
    子または金属錯体粒子を加熱することにより熱分解合成
    を行って所望の結晶相を主相とする蛍光体を得る方法に
    おいて、前記金属塩粒子または金属錯体粒子を気体状態
    のハロゲン化水素を含有する雰囲気で加熱して熱分解合
    成を行うことを特徴とする蛍光体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記気体状態のハロゲン化水素がフッ化
    水素、塩化水素または臭化水素であることを特徴とする
    請求項1記載の蛍光体の製造方法。
  3. 【請求項3】 600℃〜1900℃の範囲内の温度
    で、0.5秒間〜10分間の範囲内の滞留時間だけ前記
    加熱することにより熱分解合成を行うことを特徴とする
    請求項1〜2のいずれか一項に記載の蛍光体の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 600℃〜1900℃の範囲内の温度
    で、0.5秒間〜1分間の範囲内の滞留時間だけ前記加
    熱することにより熱分解合成を行うことを特徴とする請
    求項3記載の蛍光体の製造方法。
  5. 【請求項5】 1450℃〜1800℃の範囲内の温度
    で、0.5秒間〜1分間の範囲内の滞留時間だけ前記加
    熱することにより熱分解合成を行うことを特徴とする請
    求項1〜4のいずれか一項に記載の蛍光体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記溶液中に予め気体状態のハロゲン化
    水素の前駆体を含有させることを特徴とする請求項1〜
    5のいずれか一項に記載の蛍光体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記前駆体が非金属ハロゲン化物である
    ことを特徴とする請求項6記載の蛍光体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記前駆体がフッ酸、塩酸、臭酸、フッ
    化アンモニウム、フッ化水素アンモニウム、塩化アンモ
    ニウムまたは臭化アンモニウムであることを特徴とする
    請求項7に記載の蛍光体の製造方法。
  9. 【請求項9】 組成式が(R 1−x,R
    (ただし、RはY、Gd、La、Lu及びScから選
    ばれる少なくとも一つの元素、RはCe、Pr、N
    d、Eu、Tb、Dy及びTmから選ばれる少なくとも
    一つの元素であり、xは0<x≦0.2なる条件を満足
    する数である)で表される結晶相を主成分とし、請求項
    1〜8のいずれか一項に記載の製造方法により製造され
    ることを特徴とする蛍光体。
  10. 【請求項10】 組成式がMAl1017(た
    だし、MはBa、Sr、Ca及びEuから選ばれる少
    なくとも一つの元素、MはMg及びMnから選ばれる
    少なくとも一つの元素である)で表される結晶相を主成
    分とし、請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法
    により製造されることを特徴とする蛍光体。
  11. 【請求項11】 蛍光体の粒子の最大直径(D)に対
    する最小直径(D)の比(D/D)が0.8≦
    (D/D)≦1.0なる関係を満足する粒子の個数
    が全体の90%以上であり、メディアン径(D50)が
    0.1〜30μmの範囲にあり、請求項1〜8のいずれ
    か一項に記載の製造方法により製造されることを特徴と
    する蛍光体。
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JP2012251082A (ja) * 2011-06-03 2012-12-20 National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology 蛍光体微粒子、該蛍光体微粒子の製造方法、蛍光体薄膜及びelデバイス

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