JP2003029838A - 自走式電動車椅子の貸し出しシステム - Google Patents

自走式電動車椅子の貸し出しシステム

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JP2003029838A
JP2003029838A JP2001218105A JP2001218105A JP2003029838A JP 2003029838 A JP2003029838 A JP 2003029838A JP 2001218105 A JP2001218105 A JP 2001218105A JP 2001218105 A JP2001218105 A JP 2001218105A JP 2003029838 A JP2003029838 A JP 2003029838A
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propelled electric
electric wheelchair
vehicle
propelled
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JP2001218105A
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Kyoichi Taniguchi
恭一 谷口
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Suzuki Motor Corp
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Suzuki Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 何処にいても短時間のうちに利用することが
可能であり、しかも、年少者であっても十分に使いこな
すことのできる自走式電動車椅子の貸し出しシステムを
提供すること。 【解決手段】 予め設定されたコースに沿って複数の自
走式電動車椅子Cr(1)〜Cr(amax)を定常的
かつ循環的に走行させることで自走式電動車椅子Cr
(1)〜Cr(amax)の局所的な集中を防止する。
また、走行エリア内の適宜箇所に呼び出しステーション
3を配備し、端末37の呼び出しスイッチ34が操作さ
れた呼び出しステーション3に直近する自走式電動車椅
子Cr(a)を呼び出しステーション3の所在位置に派
遣することで、短時間のうちに自走式電動車椅子Cr
(a)を呼び寄せられるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自走式電動車椅子
の貸し出しシステムの改良、特に、自走式電動車椅子の
乗り捨て等による車両の局所的な集中を避け、何処にい
ても短時間のうちに利用することが可能な自走式電動車
椅子の貸し出しシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】この種の車両貸し出しシステムとして
は、自転車や小型の電気自動車あるいは自走式電動車椅
子等に関連したものが既に何種類か提案されている。
【0003】そのうち最も一般的なのが、特定の一箇所
に貸し出しステーションを設けて車両を準備し、人手を
介して車両を貸し出すシステムである。しかし、貸し出
しステーションを1ヶ所に限定すると利用者の利便性の
点で問題があり、また、車両の乗り捨てが多発して車両
の回収が困難となる欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、このような問
題を解消する方法として、遊園地やテーマパーク等の複
数箇所に貸し出しステーションを設置し、目的地近傍の
別の貸し出しステーションに車両を返却するといった方
法が提案されている。しかし、実際には、遊園地やテー
マパーク等の特定のイベント会場に人気が集中する場合
が多く、これに倣って車両の返却も特定の貸し出しステ
ーションに集中するため、管理者側の手で車両を別の貸
し出しステーションに再配置しなければならなくなると
いった煩わしさがある。
【0005】また、車両の貸し出しや返却を自動化する
ための技術としては、例えば、特開平10−25497
8号や特開2000−113261号に示されるよう
に、端末装置を利用した車両共用システムが既に提案さ
れている。しかし、その自動化の範囲は、飽くまでも貸
し出しや返却の手続に限定されているため、車両自体の
操縦が困難な年少者に自由に利用させるといったわけに
はいかず、遊園地やテーマパーク等で利用するシステム
としては十分でなかった。
【0006】
【発明の目的】そこで、本発明の目的は、前記従来技術
の欠点を解消し、短時間のうちに利用することが可能で
あって、しかも、年少者であっても十分に使いこなすこ
とのできる自走式電動車椅子の貸し出しシステムを提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、無線信号によ
って駆動制御される複数の自走式電動車椅子と、複数の
自走式電動車椅子の運転状態を無線信号によって集中管
理する集中管理コンピュータと、自走式電動車椅子を無
線信号によって呼び寄せるための端末を固設した複数の
呼び出しステーションとを備えた自走式電動車椅子の貸
し出しシステムであり、前記目的を達成するため、特
に、集中管理コンピュータに、前記自走式電動車椅子を
予め設定されたコースに沿って定常的かつ循環的に走行
させるための定常走行制御手段と、前記呼び出しステー
ションからの呼び出し信号を検出して複数の自走式電動
車椅子のうちから一台を選択し、前記呼び出しステーシ
ョンに派遣する車両派遣制御手段と、利用者の乗車確認
後に前記自走式電動車椅子を予め設定されたコース上に
復帰させる車両復帰制御手段とが配備されていることを
特徴とした構成を有する。
【0008】集中管理コンピュータの定常走行制御手段
は、複数の自走式電動車椅子を無線信号によって駆動制
御し、予め設定されたコースに沿って定常的かつ循環的
に走行させる。利用者が呼び出しステーションの端末を
操作して無線信号を出力すると、この無線信号を検出し
た車両派遣制御手段が定常走行制御手段から処理を引き
継ぎ、設定コース上を循環的に走行している複数の自走
式電動車椅子のうちから一台の自走式電動車椅子を選択
し、呼び出し操作の行われた呼び出しステーション、つ
まり、前記利用者の乗車位置に派遣する。更に、利用者
の乗車が確認されると、車両復帰制御手段が車両派遣制
御手段から処理を引き継いで、利用者の乗車した自走式
電動車椅子を前記乗車位置から予め設定されたコース上
に誘導して復帰させる。その後、この自走式電動車椅子
の駆動制御に関する処理が再び定常走行制御手段に引き
渡され、利用者の乗車した自走式電動車椅子が、予め設
定されたコースに沿って走行する。このように、予め設
定されたコースに沿って複数の自走式電動車椅子を定常
的かつ循環的に走行させるようにしているので、特定の
場所に自走式電動車椅子が集中するといった問題が解消
され、利用者が何処にいても比較的短時間のうちに自走
式電動車椅子を呼び寄せて利用することができる。ま
た、自走式電動車椅子は、集中管理コンピュータの駆動
制御のもとで予め設定されたコースに沿ってのみ走行す
るため、利用者による格別な運転操作は必要なく、年少
者等をはじめ、誰でもが安全かつ容易に利用することが
可能である。自走式電動車椅子が走行するコースは任意
に設定することが可能であり、特に、遊園地やテーマパ
ーク等に当該貸し出しシステムを適用する場合には、複
数のイベント会場を連絡するようにしてコースを設定す
ることが望ましい。また、呼び出しステーションの設置
数は任意であり、必要に応じて何ヶ所にでも設置するこ
とができる。
【0009】更に、これらの構成に加え、複数の自走式
電動車椅子の現在位置を検出する車両現在位置検出手段
を併設し、定常走行制御手段には、予め設定されたコー
スと車両現在位置検出手段によって検出される自走式電
動車椅子の現在位置との偏差に基いて自走式電動車椅子
の移動軌跡が前記予め設定されたコースと一致するよう
に自走式電動車椅子の舵角を補正する舵角補正機能を配
備することが可能である。
【0010】より具体的に言えば、この舵角補正機能
は、車両現在位置がコースを基準として進行方向左側に
ずれていれば位置偏差の大小に略比例して舵角を右側に
加算し、車両現在位置がコースを基準として進行方向右
側にずれていれば位置偏差の大小に略比例して舵角を左
側に加算する構造のものである。このような構成によれ
ば、自走式電動車椅子をコースに沿って極めて正確に走
行させることが可能となり、また、同じコースに沿って
自走式電動車椅子を何回循環させても位置ズレの誤差が
累積する心配がない。
【0011】この車両現在位置検出手段は、例えば、自
走式電動車椅子の走行エリア内に配備された複数の発信
アンテナと、これらの発信アンテナから出力される電波
の電界強度に基いて現在位置を求める各自走式電動車椅
子上のマイクロプロセッサと、このマイクロプロセッサ
により求められた現在位置を集中管理コンピュータに送
信する各自走式電動車椅子上の送信手段とによって構成
することができる。
【0012】電波の電界強度は発信アンテナからの離間
距離の増大に応じて減衰するので、複数の発信アンテ
ナ、例えば、適当な距離をおいて設置された3本の発信
アンテナからの電波の電界強度、要するに、各発信アン
テナからの距離を測定することにより、自走式電動車椅
子の現在位置を正確に求めることが可能である。
【0013】また、車両派遣制御手段には、呼び出し信
号を出力した呼び出しステーションに直近する自走式電
動車椅子を選択して呼び出しステーションに派遣する最
適車両選択機能を配備することができる。
【0014】このような構成によれば、利用者の直近に
位置する自走式電動車椅子が当該利用者のもとに派遣さ
れるので、呼び出し所要時間の一層の短縮化が達成され
る。
【0015】更に、定常走行制御手段には、自走式電動
車椅子を循環的に走行させるための複数のコースを記憶
する記憶手段と、前記各自走式電動車椅子ごとに選択的
にコースを設定する車両別コース設定機能とを配備する
ことが可能である。
【0016】複数のコースを設定することにより自走式
電動車椅子の移動経路が多様化し、利用者側の利便性が
一層向上する。
【0017】定常走行制御手段には、自走式電動車椅子
からの停止信号を検出し、この停止信号を出力した自走
式電動車椅子と同じコースを設定された自走式電動車椅
子の全てを停止させる接近防止機能を設けることが望ま
しい。
【0018】このような構成を適用することにより、同
一コースを走行する自走式電動車椅子の異常接近等の問
題を未然に解消することができる。
【0019】更に、自走式電動車椅子の各々には、前方
の障害物を検出する接近検出センサと、この接近検出セ
ンサが障害物を検出した状態で集中管理コンピュータか
らの指令を無視して当該自走式電動車椅子の停止状態を
保持する非常停止制御手段とを設けることが可能であ
る。
【0020】このような構成によれば、障害物の発見等
に関わる自走式電動車椅子側の判定処理によって強制的
に自走式電動車椅子を停止させることができる。従っ
て、例えば、自走式電動車椅子の駆動輪のスリップ等に
よって同一コース上を走行する自走式電動車椅子の車間
距離に異常が生じたような場合であっても、この問題を
自動的に解消することが可能である。また、集中管理コ
ンピュータの処理によって車間距離等を確保する場合と
比べ、集中管理コンピュータ側の処理を簡略化すること
が可能である。しかも、集中管理コンピュータとの通信
を必要としないので、自走式電動車椅子の前に歩行者等
の移動物体が急に現れた場合であっても即時的に対処す
ることができ、より一層の安全性が確保される。
【0021】車両復帰制御手段には、一定時間以上利用
者の乗車が確認されない場合に自走式電動車椅子を強制
的にコース上に復帰させる車両回収機能を配備すること
が望ましい。
【0022】呼び出しステーションへの自走式電動車椅
子の到着を待たずに利用者が他の場所に移動してしまっ
たような場合であっても、一定時間経過後に自走式電動
車椅子を強制的にコース上に復帰させることが可能とな
るので、自走式電動車椅子の回収もれを確実に防止する
ことができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態について詳細に説明する。図1は本発明を適用し
た一実施形態の自走式電動車椅子の貸し出しシステムの
概略について示した概念図である。
【0024】本実施形態における自走式電動車椅子の貸
し出しシステム1は、図1に示されるとおり、無線信号
によって駆動制御される複数の自走式電動車椅子Cr
(1)〜Cr(amax)と、自走式電動車椅子Cr
(1)〜Cr(amax)の運転状態を無線信号によっ
て集中管理する集中管理コンピュータ2、および、自走
式電動車椅子Cr(1)〜Cr(amax)を無線信号
によって呼び寄せるための端末37を固設した複数の呼
び出しステーション3と、自走式電動車椅子Cr(1)
〜Cr(amax)の走行エリア内に配備された複数の
発信アンテナ20a,20b,20cとによって構成さ
れる。
【0025】このうち、集中管理コンピュータ2は遊園
地やテーマパーク等に設けられた受付用オフィス4の内
部に設置されており、また、端末37を固設した呼び出
しステーション3は走行エリア内の適宜位置に散在して
設置されている。次に、システムの構成要素の各々につ
いて個別に説明する。
【0026】図2は自走式電動車椅子Cr(1)〜Cr
(amax)の外観について示した斜視図、また、図3
は自走式電動車椅子Cr(1)〜Cr(amax)に内
蔵された制御ユニット13の構成の概略を示した機能ブ
ロック図である。
【0027】この実施形態で使用される自走式電動車椅
子Cr(1)〜Cr(amax)の各々は、図2に示さ
れるような4輪式の自走式電動車椅子であり、後方の2
輪が駆動輪、また、前方の2輪が操舵輪として機能す
る。そして、シートの後方には利用者の体を保持するた
めの揺動式安全バー5が装着され、また、車両の先端部
分には、所定範囲内の障害物を検知する接近検出センサ
6が取り付けられている。接近検出センサ6としては公
知の音響センサ等を流用することが可能である。図2で
は揺動式安全バー5を開放して利用者の乗降を許容する
際の揺動式安全バー5の姿勢について示しているが、揺
動式安全バー5を図2の状態から略90°ほど手前に揺
動させて閉鎖位置に保持することにより、自走式電動車
椅子Cr(1)〜Cr(amax)の走行中における不
用意な乗降動作を禁止することが可能となる。ハンドル
7は専らアームレストとして利用するためのものであ
る。また、符号8は送受信用アンテナ、符号9は、表示
パネル10と停車キー11およびスタートキー12を含
むコンソールユニットである。
【0028】自走式電動車椅子Cr(1)〜Cr(a
max)に内蔵される制御ユニット13は、図3に示さ
れるように、マイクロプロセッサ14とプログラム格納
用のROM15、および、演算処理用のRAM16と入
出力回路17,18を主要部として構成される。マイク
ロプロセッサ14は、プログラム記憶用のROM15に
格納された駆動制御プログラムに基いて、駆動輪回転用
の走行モータM1と操舵用のステアリングモータM2、
ならびに、揺動式安全バー5の開鎖用アクチュエータA
1を駆動制御する。走行モータM1と駆動輪との間の動
力伝達機構およびステアリングモータM2と操舵輪との
間のステアリング機構の構造については既に公知である
ので説明を省略する。また、接近検出センサ6からの障
害物検出信号は、入出力回路17を介してマイクロプロ
セッサ14に読み込まれる。更に、入出力回路17に接
続された送受信回路19と送受信用アンテナ8を介し
て、この制御ユニット13のマイクロプロセッサ14と
集中管理コンピュータ2との間で無線信号を利用したデ
ータの遣り取りが行われるようになっている。そして、
送受信用アンテナ8は発信アンテナ20a,20b,2
0cからの電波を受信し、送受信回路19内の検波回路
が、各発信アンテナ20a,20b,20cからの電波
の電界強度を個別に測定し、入出力回路17を介してマ
イクロプロセッサ14に測定値を入力する。このマイク
ロプロセッサ14は本実施形態における車両現在位置検
出手段の主要な構成要素の一部であり、このマイクロプ
ロセッサ14と、発信アンテナ20a,20b,20
c、および、自走式電動車椅子上の送信手段としての送
受信回路19と、送受信用アンテナ8を合わせたものが
車両現在位置検出手段の全体を構成する。電界強度の測
定値に基いて現在位置を求めるROM15内の演算プロ
グラムも車両現在位置検出手段の一部である。ハンドル
7の中央部に位置するコンソールユニット9に組み込ま
れた表示パネル10には、マイクロプロセッサ14から
の指令に基いて文字またはグラフィックの表示が行わ
れ、また、利用者による停車キー11およびスタートキ
ー12の操作は、入出力回路18を介してマイクロプロ
セッサ14に認識される。
【0029】図4は集中管理コンピュータ2の構成の概
略を示した機能ブロック図である。この集中管理コンピ
ュータ2はマイクロプロセッサ21,ROM22,RA
M23,ハードディスク24,入出力回路25,モニタ
26,キーボード27等によって構成される通常のパー
ソナルコンピュータあるいはワークステーション等であ
り、自走式電動車椅子Cr(1)〜Cr(amax)を
駆動制御する集中管理コンピュータ2としての機能は、
専ら、ハードディスク24内に格納された運転制御プロ
グラムによって実現されている。つまり、この運転制御
プログラムに従って作動するマイクロプロセッサ21
は、実質的な定常走行制御手段であり、また、車両派遣
制御手段および車両復帰制御手段でもある。送受信アン
テナ28および送受信回路29は、このマイクロプロセ
ッサ21と前述の制御ユニット13との間、および、マ
イクロプロセッサ21と呼び出しステーション3の端末
37との間で無線信号を利用したデータの遣り取りを行
うための送受信手段である。
【0030】また、集中管理コンピュータ2のハードデ
ィスク24は、自走式電動車椅子Cr(1)〜Cr(a
max)を循環的に走行させるための複数のコースを記
憶した記憶手段でもある。なお、ハードディスク24に
代えてコース記憶専用のコンピュータをサーバマシンと
して設置し、このサーバマシンを集中管理コンピュータ
2に接続する構成としてもよい。
【0031】ここで、図6を参照して、自走式電動車椅
子Cr(1)〜Cr(amax)のコースを設定するた
めのデータの一例について簡単に説明する。自走式電動
車椅子Cr(1)〜Cr(amax)を駆動制御するた
めのデータは、図6に示されるように、補完形式,舵
角,速度,目標位置を1セットとして記憶した複数のデ
ータブロックを組み合わせて構成される。この実施形態
で利用している補完形式は直線補完と円弧補完の2種で
あり、これらの補完形式を組み合わせることにより、図
1に示されるようなコース1,コース2,・・・等を自
由に設計することが可能である。
【0032】例えば、図1に示されるコース1において
自走式電動車椅子Cr(1)の初期位置を点P1として
コース1の走行を実現するのであれば、このコース1に
対応する図6のデータファイル1の第1行目のデータブ
ロックに点P1から点P2への移動を示す直線補完を指
定し、その目標位置を点P2として指定する。自走式電
動車椅子Cr(1)の先端が点P2を向くようにして点
P1上に設置すれば、指定すべき舵角は0°である。ま
た、速度の指定は任意であり、この指定速度によって点
P1から点P2までの区間を走行する自走式電動車椅子
Cr(1)の速度が定義される。
【0033】これと同様に、図6に示されるデータファ
イル1の第2行目のデータブロックでは、点P2から点
P3への移動を示す円弧補完を指定し、その目標位置を
点P3として指定する。点P2から点P3へ至る曲線の
曲率は一定であるから、この円弧補完を実現するための
舵角は一定の値である。つまり、円弧補完に対応する舵
角は円弧の曲率に対応した一定の値であり、この値を指
定舵角として第2行目のデータブロックに設定すること
になる。また、点P2から点P3までの区間を走行する
自走式電動車椅子Cr(1)の速度を定義するための指
定速度を第2行目のデータブロックに設定する。
【0034】以下、前記と同様にして各行のデータブロ
ックを自由に作成してコースを設計すればよいが、最終
行のデータブロックの目標位置は第1行目のデータブロ
ックの始点、つまり、この例では点P1に合致させるも
のとする。
【0035】走行制御に必要とされる基本的な処理手順
は、第1行目のデータブロックで指定された指定舵角と
指定速度で自走式電動車椅子Cr(1)を走行させ、自
走式電動車椅子Cr(1)が第1行目のデータブロック
の目標位置P2のインポジションに入った段階で、次の
行、つまり、第2行目のデータブロックの補完形式と指
定舵角および指定速度と目標位置P3とを読み込んで、
第2行目のデータブロックの処理を開始するといった操
作の繰り返しである。
【0036】但し、実際には操舵輪の滑り等の影響があ
るため、自走式電動車椅子Cr(a)が設定されたコー
スに沿って必ずしも正確に走行するといった保証はな
い。そこで、本実施形態では、予め設定されたコースと
車両現在位置検出手段によって検出される自走式電動車
椅子Cr(a)の現在位置との偏差に基いて自走式電動
車椅子Cr(a)の移動軌跡が予め設定されたコースと
一致するように自走式電動車椅子Cr(a)の舵角を補
正する舵角補正処理を実行する。偏差の検出に必要とさ
れるコースの軌跡、つまり、絶対的なコース形状は、直
線または円弧を表す関数faPt(a)として各行のデ
ータブロックに前述の補完形式,舵角,速度,目標位置
と共に記憶されている。なお、Pt(a)は車両番号a
の自走式電動車椅子に対して設定されたデータファイル
におけるアドレス値を示す変数、つまり、何行目のデー
タブロックかを示す値であり、また、関数faPt
(a)は当該データブロックに固有の直線または円弧を
表す関数である。
【0037】更に、本実施形態では、前述のようにして
構成されたデータファイル1,データファイル2,デー
タファイル3,・・・がハードディスク24内に複数記
憶されており、自走式電動車椅子Cr(1)〜Cr(a
max)のうち、どの自走式電動車椅子をどのデータフ
ァイルに基いて駆動制御するかを図7に示されるような
ハードディスク24内の定義ファイルによって自由に設
定できるようにしている。これが本実施形態における車
両別コース設定機能である。図7に示される車両番号は
自走式電動車椅子を特定するための値であり、データフ
ァイルの欄は、その車両番号に対して適用すべきデータ
ファイルの番号である。この例では、例えば、自走式電
動車椅子Cr(1)に対してPr(1)のデータファイ
ルを適用するように定義している。但し、自走式電動車
椅子に対してデータファイルを一対一に対応させる必要
はなく、例えば、図1に示されるようにして同一のコー
ス上で複数の自走式電動車椅子を同時に走行させる一対
多の設定も可能である。
【0038】この一対多の設定を可能とするための手段
が図7に示されるポインタ初期値である。ポインタ初期
値はシステム起動時におけるデータブロックの読み込み
開始位置を特定するための値であり、同一番号のデータ
ファイルを使用している自走式電動車椅子が複数存在す
る場合、つまり、同一のコース上で複数の自走式電動車
椅子を同時に走行させる場合には、必ず、ポインタ初期
値をずらせて設定操作を行う必要がある。例えば、前述
した図1のコース1の例において、自走式電動車椅子C
r(1)の初期位置を点P1、また、自走式電動車椅子
Cr(2)の初期位置を点P2としてシステムを起動す
る場合では、Cr(1)およびCr(2)に対応するデ
ータファイル番号の値を共にPr(1)とし、Cr
(1)に対応するポインタ初期値を1、また、Cr
(2)に対応するポインタ初期値を2に設定すればよい
ことになる。
【0039】また、図7におけるポインタ現在値の欄は
車両番号に対応して実行中のデータブロックのアドレス
を示す値、また、目標位置の欄は実行中のデータブロッ
クの目標位置を示す値である。但し、自走式電動車椅子
が呼び出しを受けた場合には、この目標位置の欄に、呼
び出し操作の行われた呼び出しステーション3の所在位
置の座標が一時的に設定される。
【0040】次に、図5を参照して、呼び出しステーシ
ョン3に固設された端末37の構成の概略について説明
する。この端末37は、制御手段としてのマイクロプロ
セッサ30とROM31,RAM32,入出力回路3
3、および、呼び出しスイッチ34によって主要部を構
成され、更に、集中管理コンピュータ2に無線信号を送
信するための送受信回路35と送受信用アンテナ36を
備える。このうち、ROM31には、呼び出しステーシ
ョン3毎に個別に設定されたステーション番号が記憶さ
れており、利用者による呼び出しスイッチ34の操作に
応じ、呼び出し信号と共にステーション番号が集中管理
コンピュータ2に送信されるようになっている。
【0041】この実施形態では、集中管理コンピュータ
2のハードディスク24内にステーション番号と呼び出
しステーションの所在位置(X,Y)とを対応させて記
憶した所在位置特定ファイルを格納し、呼び出しステー
ション3から送信されたステーション番号に基いて呼び
出し操作の行われた呼び出しステーション3の所在位置
を特定するようにしているが、呼び出しステーション3
のROM31にその所在位置を記憶させ、この所在位置
を集中管理コンピュータ2に送信する構成としても構わ
ない。
【0042】図8〜図11は集中管理コンピュータ2の
マイクロプロセッサ21によって実行される車両駆動制
御処理の概略を示したフローチャート、また、図12〜
図13は同マイクロプロセッサ21によって実行される
信号受信処理の概略を示したフローチャートであり、こ
れらの処理は集中管理コンピュータ2のマイクロプロセ
ッサ21によって所定周期毎のタスクとして繰り返し実
行されるようになっている。更に、図14〜図15は自
走式電動車椅子Cr(1)〜Cr(amax)の各々に
内蔵された制御ユニット13のマイクロプロセッサ14
によって所定周期毎に繰り返し実行される走行制御処理
の概略を示したフローチャート、また、図16は呼び出
しステーション3の端末37に配備されたマイクロプロ
セッサ30によって繰り返し実行される車両呼び出し処
理の概略を示したフローチャートである。
【0043】次に、これらのフローチャートを参照し
て、前述した各手段および各機能の機能実現手段として
作動するマイクロプロセッサ21,14,30の処理動
作について詳細に説明する。
【0044】図8の車両駆動制御処理を開始したマイク
ロプロセッサ21は、まず、システム起動フラグF2が
既にセットされているか否か、つまり、この処理周期が
システム起動後の第1回目のものであるか否かを判定す
る(ステップa1)。
【0045】システム起動フラグF2がセットされてい
なければ、この処理周期がシステム起動後の第1回目の
ものであることを意味するので、定常走行制御手段とし
てのマイクロプロセッサ21は、システム起動フラグF
2に1をセットしてシステムの起動を記憶した後(ステ
ップa2)、図7に示されるような定義ファイルを参照
して、自走式電動車椅子Cr(1)〜Cr(amax
毎のデータファイルにおけるデータブロックの実行アド
レスを記憶する実行アドレス記憶レジスタPt(1)〜
Pt(amax)の各々にデータブロックの読み出し開
始位置を示す初期値を記憶し、更に、目標位置記憶レジ
スタRd(1)〜Rd(amax)の各々に各データブ
ロックで定義されている目標位置を記憶して、受信待機
フラグF1をリセットする(ステップa3)。
【0046】先ほどの例で言えば、例えば、自走式電動
車椅子Cr(1)に対応する実行アドレス記憶レジスタ
Pt(1)に1が設定されると共に目標位置記憶レジス
タRd(1)に点P2の位置が記憶され、また、自走式
電動車椅子Cr(2)に対応する実行アドレス記憶レジ
スタPt(2)に2が設定されると共に目標位置記憶レ
ジスタRd(2)に点P3の位置が記憶されることにな
る。
【0047】次いで、マイクロプロセッサ21は、受信
待機フラグF1がセットされているか否か、つまり、何
れかの自走式電動車椅子からの応答を待機する必要があ
るか否かを判定するが(ステップa4)、この段階では
受信待機フラグF1がリセット状態に保持されているの
で、マイクロプロセッサ21は、まず、車両検索指標a
の値を1インクリメントし(ステップa5)、該指標a
の値が車両番号の最大値amaxを越えているか否かを
判定する(ステップa6)。
【0048】そして、車両検索指標aの値が車両番号の
最大値amaxを越えていなければ、マイクロプロセッ
サ21は、指標aの現在値をそのまま保持し、また、指
標aの値が車両番号の最大値amaxを越えている場合
には、車両検索指標aに改めて初期値1を再設定する
(ステップa7)。
【0049】次いで、定常走行制御手段としてのマイク
ロプロセッサ21は、車両検索指標aの現在値に基いて
自走式電動車椅子Cr(a)の制御ユニット13を選択
してデータ要求信号を送信すると共に(ステップa
8)、受信待機フラグF1をセットすることにより、自
走式電動車椅子Cr(a)との間でのデータの送受信が
開始されたことを記憶する(ステップa9)。
【0050】次いで、定常走行制御手段としてのマイク
ロプロセッサ21は、自走式電動車椅子Cr(a)の制
御ユニット13からの位置データが受信されているか否
かを判定するが(ステップa10)、データが受信され
ていなければ、当該処理周期の車両駆動制御処理をこの
まま終了し、次周期以降の車両駆動制御処理でステップ
a1,ステップa4,ステップa10の処理を繰り返し
実行しなら自走式電動車椅子Cr(a)の制御ユニット
13からの位置データの受信を待機する。
【0051】一方、自走式電動車椅子Cr(a)の制御
ユニット13に設置されたマイクロプロセッサ14は、
図14および図15に示されるような走行制御処理を所
定周期毎に繰り返し実行しており、各処理周期毎に、送
受信回路19内の検波回路から入力される電界強度の測
定値に基いて(ステップc1)、車両現在位置検出手段
としてのマイクロプロセッサ14が、自走式電動車椅子
Cr(a)の現在位置を逐次更新して求めている(ステ
ップc2)。発信アンテナ20a,20b,20cから
送信される電波の電界強度の大小は発信アンテナ20
a,20b,20cからの半径によって一義的に定ま
り、また、各発信アンテナ20a,20b,20cの設
置位置に関する位置情報は既知であるから、これらの位
置情報と半径との関係に基いて3つの円の重合点を求め
ることによって自走式電動車椅子Cr(a)の現在位置
を正確に割り出すことができる。
【0052】集中管理コンピュータ2のマイクロプロセ
ッサ21から送信されたデータ要求信号をステップc3
の判定処理で検出したマイクロプロセッサ14は、現時
点で求められている自走式電動車椅子Cr(a)の現在
位置を集中管理コンピュータ2に送信する(ステップc
4)。
【0053】すると、集中管理コンピュータ2のマイク
ロプロセッサ21は、図8における車両駆動制御処理の
ステップa10の判定処理で自走式電動車椅子Cr
(a)の制御ユニット13からの位置データの送信を検
出し、自走式電動車椅子Cr(a)の現在位置を一時記
憶する(ステップa11)。
【0054】次いで、定常走行制御手段としてのマイク
ロプロセッサ21は、この現在位置が目標位置記憶レジ
スタRd(a)に記憶されている目標位置のインポジシ
ョンに入っているか否か、つまり、現段階で自走式電動
車椅子Cr(a)に与えられている1データブロック分
の移動指令が完了しているか否かを判定し(ステップa
12)、自走式電動車椅子Cr(a)の現在位置がイン
ポジションに入っていなければ、更に、接近防止機能実
現手段としてのマイクロプロセッサ21が、自走式電動
車椅子Cr(a)と同じデータファイルを使用している
他の自走式電動車椅子のうち利用者の指示に基いて停車
している車両の存在が記憶されているか否かを判定する
(ステップa13)。しかし、システム起動直後の現段
階では、自走式電動車椅子に対する利用者の乗車は許容
されていないので、ステップa13の判定結果は必然的
に偽となる。
【0055】従って、マイクロプロセッサ21は、車両
現在位置記憶レジスタPn(a)(x,y)に記憶され
ている現在位置、より具体的には、前周期あるいは前周
期以前の車両駆動制御処理で検出された自走式電動車椅
子Cr(a)の位置Pn(a)(x,y)と今回の車両
駆動制御処理のステップa11の処理で改めて検出され
た自走式電動車椅子Cr(a)の現在位置との一致不一
致を判定し(ステップa14)、両者が一致しない場合
に限り、車両現在位置記憶レジスタPn(a)(x,
y)の値を車両直前位置記憶レジスタPp(a)(x,
y)に更新して設定し(ステップa15)、同時に、今
回の車両駆動制御処理のステップa11の処理で改めて
検出された自走式電動車椅子Cr(a)の現在位置を車
両現在位置記憶レジスタPn(a)(x,y)に更新設
定する(ステップa16)。
【0056】次いで、マイクロプロセッサ21は、車両
直前位置記憶レジスタPp(a)(x,y)のx,yの
値と車両現在位置記憶レジスタPn(a)(x,y)の
x,yの値とに基いて自走式電動車椅子Cr(a)の進
行方向Vpn(a)を算出する(ステップa17)。
【0057】図17は進行方向Vpn(a)の算出方法
について示した作用原理図である。図17においてPp
(a)(x,y)の位置が一処理周期前の自走式電動車
椅子Cr(a)の位置、また、Pn(a)(x,y)の
位置が現在の自走式電動車椅子Cr(a)の位置であ
る。従って、進行方向Vpn(a)は、x,y各軸の値
の簡単な減算処理によってベクトルとして求めることが
可能である。図17では一処理周期前から今周期までの
間に自走式電動車椅子Cr(a)が移動した場合につい
て示しているが、自走式電動車椅子Cr(a)には、接
近検出センサ6を利用した非常停止制御手段による自立
的な停止機能が設けられているため、定常走行制御手段
としてのマイクロプロセッサ21から自走式電動車椅子
Cr(a)の制御ユニット13に移動指令を出力して
も、自走式電動車椅子Cr(a)が動かない場合があ
る。このような場合にはステップa14の判定結果が真
となってステップa15およびステップa16の処理が
スキップされるため、車両直前位置記憶レジスタPp
(a)(x,y)と車両現在位置記憶レジスタPn
(a)(x,y)には非常停止以前の最後の移動に関す
る位置データがそのまま保持される。従って、自走式電
動車椅子Cr(a)が停止している場合であっても移動
ベクトルの始点と終点とが重合してステップa17の処
理で進行方向Vpn(a)が求められなくなるといった
問題は発生しない。
【0058】次いで、マイクロプロセッサ21は、自走
式電動車椅子Cr(a)が呼び出し車両または復帰車両
として記憶されているか否かを判定するが(ステップa
19)、システム起動直後の現段階では端末37の操作
は行われていないので、ステップa19の判定結果は必
然的に偽となる。
【0059】従って、舵角補正機能実現手段としてのマ
イクロプロセッサ21は、車両検索指標aの現在値に対
応する実行アドレス記憶レジスタPt(a)の値を参照
し、自走式電動車椅子Cr(a)がデータファイルPr
(a)において現在実行しているデータブロックPt
(a)に記憶されているコース形状の一部を表す直線ま
たは円弧の関数faPt(a)を図6のようなデータフ
ァイルから読み込み、この関数faPt(a)上で車両
現在位置Pn(a)(x,y)に直近する点Q(x,
y)を求める(ステップa20)。
【0060】そして、舵角補正機能実現手段としてのマ
イクロプロセッサ21は、自走式電動車椅子Cr(a)
の進行方向Vpn(a)に対する点Q(x,y)の方向
性と、自走式電動車椅子Cr(a)の現在位置Pn
(a)(x,y)と目標位置Rd(a)との間の離間距
離、および、点Q(x,y)に対する現在位置Pn
(a)(x,y)の偏差を求め、これらのデータに基い
て補正舵角を算出する(ステップa21)。
【0061】図18は舵角の補正について示した作用原
理図である。この図からも明らかなように、進行方向V
pn(a)に対して点Q(x,y)が右方向に位置する
場合、つまり、車両現在位置がコースを基準として進行
方向左側にずれている場合には補正の方向は右、これと
は逆に、進行方向Vpn(a)に対して点Q(x,y)
が左方向に位置する場合、つまり、車両現在位置がコー
スを基準として進行方向右側にずれている場合には補正
の方向は左である。また、自走式電動車椅子Cr(a)
の現在位置Pn(a)(x,y)と目標位置Rd(a)
との間の離間距離が大きい場合には残された走行距離が
長いので補正量は少なめでよく、これとは逆に、自走式
電動車椅子Cr(a)の現在位置Pn(a)(x,y)
と目標位置Rd(a)との間の離間距離が小さい場合に
は残された走行距離が短いので、偏差を早めに解消する
必要があり、補正量は大きめとなる。同時に、点Q
(x,y)に対する現在位置Pn(a)(x,y)の偏
差が大きければ補正量は大きめとなり、これとは逆に、
点Q(x,y)に対する現在位置Pn(a)(x,y)
の偏差が小さければ補正量は少なめとなる。従って、点
Q(x,y)に対する現在位置Pn(a)(x,y)の
偏差の大小に対応して補正量を記憶したテーブルと、自
走式電動車椅子Cr(a)の現在位置Pn(a)(x,
y)と目標位置Rd(a)との間の離間距離の大小に対
応して係数を記憶したテーブルとを予めハードディスク
24に格納しておき、検出された偏差と離間距離の値に
基いてこれらのテーブルから補正量と係数を選択して両
者の積を算出すれば、偏差と離間距離に適した補正舵角
を求めることができる。これがステップa21で行われ
る実質的な処理の内容である。
【0062】次いで、舵角補正機能実現手段としてのマ
イクロプロセッサ21は、自走式電動車椅子Cr(a)
のデータファイルPr(a)のアドレスPt(a)に記
憶されている指定舵角、つまり、現時点で実行中のデー
タブロックに記憶されている指定舵角を読み込み、更
に、ステップa21の処理で求められた補正方向と補正
舵角とに基いて指定舵角に補正を加え(ステップa2
2)、この補正された舵角とデータファイルPr(a)
のアドレスPt(a)に記憶されている指定速度の値を
自走式電動車椅子Cr(a)の制御ユニット13に送信
し(ステップa23)、受信待機フラグF1をリセット
した後(ステップa24)、この周期の車両駆動制御処
理を終了する。
【0063】すると、自走式電動車椅子Cr(a)の制
御ユニット13に設置されたマイクロプロセッサ14
は、図14および図15に示されるような走行制御処理
におけるステップc5の判定処理で集中管理コンピュー
タ2からの指定舵角および指定速度の送信を検出し、接
近検出センサ6から障害物検出信号が入力されているか
否かを判定する(ステップc6)。そして、障害物検出
信号が入力されていなければ、マイクロプロセッサ14
は、指定舵角および指定速度を実行対象データとしてR
AM16に更新設定し、これらの実行対象データに従っ
て、ステアリングモータM2および走行モータM1を駆
動制御して自走式電動車椅子Cr(a)を走行させる
(ステップc7)。
【0064】また、接近検出センサ6からの障害物検出
信号が検出された場合、つまり、ステップc6の判定結
果が真となった場合には、自走式電動車椅子Cr(a)
の前方の近接位置に障害物が存在していることを意味す
るので、非常停止制御手段としてのマイクロプロセッサ
14は、集中管理コンピュータ2からの指令を無視し、
RAM16に一時記憶されている実行対象データのうち
指定速度の値を強制的に0に更新設定する(ステップc
8)。従って、この場合は自走式電動車椅子Cr(a)
の走行が強制的に停止されるか、あるいは、停止状態が
そのまま保持されることになる。但し、この処理によっ
て走行が停止されるのは接近検出センサ6が障害物を検
出している自走式電動車椅子Cr(a)のみであり、こ
の自走式電動車椅子Cr(a)と同じデータファイルを
使用している別の自走式電動車椅子、つまり、自走式電
動車椅子Cr(a)と同じコースを走行している別の自
走式電動車椅子が存在したとしても、その自走式電動車
椅子が同時に走行停止することはない。
【0065】前述の車両駆動制御処理におけるステップ
a24の処理で受信待機フラグF1がリセットされる結
果、次周期の車両駆動制御処理ではステップa14の判
定結果は偽となる。従って、定常走行制御手段としての
マイクロプロセッサ21は車両検索指標aの値を1イン
クリメントし、該指標aに対応する車両番号を有する別
の自走式電動車椅子Cr(a)を呼び出して前記と同様
の処理操作を実行する。車両駆動制御処理における車両
検索指標aの値は1からamaxの範囲で1刻みで循環
的に変化するから、a=1〜amaxの全ての自走式電
動車椅子Cr(a)が、1つの集中管理コンピュータ2
によって実質的に同時に駆動制御されることになる。
【0066】このようにして、集中管理コンピュータ2
から送信される指定舵角および指定速度に基いて各自走
式電動車椅子Cr(a)が走行する間に、自走式電動車
椅子Cr(a)が、実行中のデータブロックに記憶され
た目標位置Rd(a)のインポジションに到達すると、
繰り返し実行される車両駆動制御処理においてステップ
a12の判定結果が真となる。
【0067】こうして自走式電動車椅子Cr(a)が実
行中のデータブロックの目標位置Rd(a)のインポジ
ションに到達したことが確認されると、定常走行制御手
段としてのマイクロプロセッサ21は、この自走式電動
車椅子Cr(a)が呼び出し車両として記憶されている
か否か(ステップa26)、あるいは、復帰車両として
記憶されているか否かを判定するが(ステップa2
7)、システム起動直後の現段階では利用者による端末
37の操作は行われていないので、ステップa26およ
びステップa27の判定結果は必然的に共に偽となる。
【0068】よって、定常走行制御手段としてのマイク
ロプロセッサ21は、実行アドレス記憶レジスタPt
(a)の現在値が自走式電動車椅子Cr(a)のデータ
ファイルPr(a)の最終データブロックのアドレス値
に達しているか否かを判定する(ステップa29)。こ
こで、実行アドレス記憶レジスタPt(a)の現在値が
最終データブロックのアドレス値に達していなければ、
マイクロプロセッサ21は、実行アドレス記憶レジスタ
Pt(a)の値を1インクリメントする一方(ステップ
a31)、実行アドレス記憶レジスタPt(a)の現在
値が最終データブロックのアドレス値に達している場合
には、マイクロプロセッサ21は、実行アドレス記憶レ
ジスタPt(a)に改めて初期値1を再設定して(ステ
ップa30)、実行対象となるデータブロックのアドレ
スを更新する。13個のデータブロックで構成されてい
る図1のコース1の例で言えば、Pt(a)の現在値が
1〜12のときにはPt(a)の値が1インクリメント
され、また、Pt(a)の現在値が13の場合にだけP
t(a)の値が1に初期化されることになる。
【0069】次いで、定常走行制御手段としてのマイク
ロプロセッサ21は、更新された実行アドレス記憶レジ
スタPt(a)の現在値に基いて、目標位置記憶レジス
タRd(a)にデータファイルPr(a)のアドレスP
t(a)の目標位置を更新設定して(ステップa3
2)、ステップa13の判定処理に復帰する。
【0070】ステップa13以降の処理に関しては前記
と同様であるが、実行アドレス記憶レジスタPt(a)
の値と目標位置記憶レジスタRd(a)の値が次のデー
タブロックの内容に更新されているので、補完形式と指
定舵角および指定速度も次のデータブロックの内容が出
力されるようになり、図14に示される走行制御処理で
これらの指令を検出した自走式電動車椅子Cr(a)
は、次のデータブロックで定義されたコースの部分形状
に沿って走行を開始することになる。
【0071】このようなデータブロックの更新処理は、
車両駆動制御処理において順次更新される車両検索指標
aの値に基いて繰り返し実行されるので、a=1〜a
maxの全ての自走式電動車椅子Cr(a)に対するデ
ータブロックの更新処理が漏れなく確実に実行されるこ
とになる。
【0072】この結果、a=1〜amaxの全ての自走
式電動車椅子Cr(a)が、その各々に対して設定され
たコース、つまり、データファイルPr(a)で定義さ
れたコース1,コース2,・・・等に沿って休むことな
く循環的に走行することになる。以上が集中管理コンピ
ュータ2のマイクロプロセッサ21によって実現される
定常走行の概要である。
【0073】次に、呼び出しステーション3の端末37
を使用した自走式電動車椅子の呼び出し処理について説
明する。
【0074】呼び出しステーション3にいる利用者が端
末37の呼び出しスイッチ34を操作すると、図16に
示される車両呼び出し処理のステップd1の判定処理で
マイクロプロセッサ30がスイッチ34の操作を検出
し、マイクロプロセッサ30が、ROM31に格納され
ているステーション番号を読み込んで、呼び出し信号と
共に集中管理コンピュータ2に送信する(ステップd
2)。
【0075】一方、前述した車両駆動制御処理と略並列
的に図12〜図13の信号受信処理を繰り返し実行して
いるマイクロプロセッサ21は、ステップb1の判定処
理で呼び出しステーション3の端末37からの信号の送
信を検出し、送信されたステーション番号に対応する呼
び出しステーション3の所在位置(X,Y)を所在位置
特定ファイルから読み込んで一時記憶する(ステップb
2)。
【0076】次いで、最適車両選択機能実現手段として
のマイクロプロセッサ21は、車両検索指標bの値を1
に初期化し(ステップb3)、車両検索指標bの値に基
いて、自走式電動車椅子Cr(b)の現在位置を記憶し
た車両現在位置記憶レジスタPn(b)(x,y)の値
を読み込み(ステップb4)、呼び出し信号を送信した
呼び出しステーション3の所在位置(X,Y)と自走式
電動車椅子Cr(b)の現在位置との間の離間距離に相
当する値(X−x)+(Y−y)を求め、この値を
最小離間距離記憶レジスタDに仮の最小値として一時記
憶する(ステップb5)。実質的な離間距離はDの平方
根であるが、ここでは、呼び出し信号を送信した呼び出
しステーション3と各自走式電動車椅子との間の離間距
離の大小関係のみを見極めればよいので、わざわざ平方
根を求める処理は不要である。
【0077】次いで、最適車両選択機能実現手段として
のマイクロプロセッサ21は、車両検索指標bの現在値
を最適車両番号記憶レジスタSTに仮の最適車両番号と
して一時記憶し(ステップb6)、更に、車両検索指標
bの値を1インクリメントして(ステップb7)、該車
両検索指標bの現在値が自走式電動車椅子の総数a
axを越えているか否かを判定する(ステップb8)。
【0078】そして、車両検索指標bの現在値が自走式
電動車椅子の総数amaxを越えていなければ、マイク
ロプロセッサ21は、更新された指標bの現在値に基い
て、改めて別の自走式電動車椅子Cr(b)の現在位置
Pn(b)(x,y)の値を読み込み(ステップb
9)、前記と同様にして、呼び出し信号を送信した呼び
出しステーション3の所在位置(X,Y)と自走式電動
車椅子Cr(b)の現在位置との間の離間距離に相当す
る値(X−x)+(Y−y)を求め、この値と最小
離間距離記憶レジスタDに記憶された値との大小関係を
比較する(ステップb10)。
【0079】ここで、(X−x)+(Y−y)の値
が最小離間距離記憶レジスタDの値よりも小さければ、
今回改めて読み込まれた車両番号の自走式電動車椅子の
方が前回の処理で読み込まれた車両番号の自走式電動車
椅子よりも呼び出し信号を送信した呼び出しステーショ
ン3に接近していることを意味するので、マイクロプロ
セッサ21は、今回算出された(X−x)+(Y−
y)の値を新たな最小値として最小離間距離記憶レジ
スタDに更新記憶し(ステップb11)、同時に、車両
検索指標bの現在値を最適車両番号記憶レジスタSTに
最適車両の番号として更新記憶する(ステップb6)。
【0080】一方、ステップb10の判定結果が偽とな
った場合、つまり、今回算出した(X−x)+(Y−
y)の値が最小離間距離記憶レジスタDの値と同等以
上であった場合には、今回改めて読み込まれた車両番号
bの自走式電動車椅子Cr(b)と呼び出しステーショ
ン3との間の離間距離が、それ以前に検出された最小離
間距離よりも大きいこと、つまり、更新された車両検索
指標bの値で示される自走式電動車椅子Cr(b)が呼
び出しステーション3に最も近いものではないことを意
味するので、マイクロプロセッサ21は、ステップb1
1およびステップb6の処理をスキップして、最小離間
距離記憶レジスタDおよび最適車両番号記憶レジスタS
Tに、それ以前に検出された最小離間距離と当該最小離
間距離に対応する車両番号の値をそのまま保持する。
【0081】最適車両選択機能実現手段としてのマイク
ロプロセッサ21は、ステップb8の判定処理で車両検
索指標bの現在値が自走式電動車椅子の総数amax
越えたことが確認されるまでの間、前記と同様の処理を
繰り返し実行し、呼び出し信号を送信した呼び出しステ
ーション3に最も近い自走式電動車椅子の車両番号ST
を求め、この自走式電動車椅子Cr(ST)を呼び出し
ステーション3の所在位置に送り付けるべき呼び出し車
両として一時記憶すると共に(ステップb12)、この
車両番号に対応する目標位置記憶レジスタRd(ST)
に、ステップb2で読み込まれた(X,Y)の値、つま
り、呼び出し信号を送信した呼び出しステーション3の
所在位置を更新設定する(ステップb13)。つまり、
定常走行制御手段から車両派遣制御手段への制御の引き
渡しは、実質的にはステップb13の処理で達成されて
いることになる。
【0082】このようにして呼び出し車両が記憶される
と、呼び出し車両として記憶された自走式電動車椅子C
r(a)に対して、図8〜図11の車両駆動制御処理に
おけるステップa19の判定結果が真となる。従って、
実行中のデータブロックの終点である目標位置Rd
(a)に代え、呼び出し信号を送信した呼び出しステー
ション3の所在位置Rd(a)=(X,Y)を目標位置
とした舵角制御がステップa25の処理で実施されるこ
とになる。
【0083】この場合、目標位置は予め設定されたコー
ス上には存在しないので、自走式電動車椅子の現在位置
とコース形状の一部を表す関数faPt(a)との比較
には意味がない。よって、ステップa25の処理では、
単に、自走式電動車椅子Cr(a)の進行方向Vpn
(a)および現在位置Pn(a)(x,y)と呼び出し
ステーション3の所在位置Rd(a)=(X,Y)との
関係に基く舵角制御を行うことになる。
【0084】図19は移動コースが自明でない場合の舵
角制御について示した作用原理図である。この図からも
明らかなように、現在位置Pn(a)(x,y)を通る
進行方向Vpn(a)に対して呼び出し信号を送信した
呼び出しステーション3の所在位置Rd(a)=(X,
Y)が右方向に位置する場合には舵角の方向は右、これ
とは逆に、現在位置Pn(a)(x,y)を通る進行方
向Vpn(a)に対して呼び出し信号を送信した呼び出
しステーション3の所在位置Rd(a)=(X,Y)が
左方向に位置する場合には舵角の方向は左である。ま
た、自走式電動車椅子Cr(a)の現在位置Pn(a)
(x,y)と呼び出し信号を送信した呼び出しステーシ
ョン3の所在位置Rd(a)=(X,Y)との間の離間
距離が大きい場合には残された走行距離が長いので舵角
は少なめでよく、これとは逆に、自走式電動車椅子Cr
(a)の現在位置Pn(a)(x,y)と呼び出し信号
を送信した呼び出しステーション3の所在位置Rd
(a)=(X,Y)との間の離間距離が小さい場合には
残された走行距離が短いので舵角は大きめとなる。同時
に、現在位置Pn(a)(x,y)を通る直線Vpn
(a)に対する呼び出しステーション3の所在位置Rd
(a)=(X,Y)の垂直離間距離が大きければ舵角は
大きめとなり、これとは逆に、現在位置Pn(a)
(x,y)を通る直線Vpn(a)に対する呼び出しス
テーション3の所在位置Rd(a)=(X,Y)の垂直
離間距離が小さければ舵角は少なめとなる。従って、現
在位置Pn(a)(x,y)を通る直線Vpn(a)に
対する呼び出しステーション3の所在位置Rd(a)=
(X,Y)の垂直離間距離の大小に対応して舵角を記憶
したテーブルと、自走式電動車椅子Cr(a)の現在位
置Pn(a)(x,y)と呼び出しステーション3の所
在位置Rd(a)=(X,Y)との間の離間距離の大小
に対応して係数を記憶したテーブルとを予めハードディ
スク24に格納しておき、演算によって求められた直線
Vpn(a)に対する所在位置Rd(a)=(X,Y)
の垂直離間距離と、演算によって求められた自走式電動
車椅子Cr(a)の現在位置と呼び出しステーション3
の所在位置Rd(a)=(X,Y)との間の離間距離と
に基いて、これらのテーブルから舵角と係数を選択して
両者の積を算出すれば、自走式電動車椅子Cr(a)を
呼び出しステーション3の所在位置Rd(a)=(X,
Y)に移動させるのに適した舵角を求めることができ
る。この場合、定常走行時とは違って自走式電動車椅子
Cr(a)の移動方向を大きく変更する必要が生じる可
能性が高いので、自走式電動車椅子Cr(a)を目標位
置Rd(a)=(X,Y)のインポジションに確実に到
達させるためには、自走式電動車椅子Cr(a)に極端
な蛇行動作が生じない範囲で各テーブルの舵角や係数の
値を大きめに設定することが望ましい。これがステップ
a25で行われる実質的な処理の内容である。
【0085】このようにして求められた舵角は、車両派
遣制御手段としてのマイクロプロセッサ21により、定
常走行の場合と同様にして車両検索指標aに対応する自
走式電動車椅子Cr(a)の制御ユニット13に送信さ
れ、指定速度はそのまま継続して維持される(ステップ
a23)。一方、自走式電動車椅子Cr(a)の制御ユ
ニット13の側では、定常走行の場合と同様にしてこれ
らの信号を受信し、自走式電動車椅子Cr(a)のステ
アリングモータM2および走行モータM1を駆動制御す
る。
【0086】このようにして集中管理コンピュータ2か
ら送信される舵角に基いて自走式電動車椅子Cr(a)
が走行する間に、この自走式電動車椅子Cr(a)が呼
び出しステーション3の所在位置Rd(a)=(X,
Y)のインポジションに到達すると、マイクロプロセッ
サ21によって繰り返し実行される車両駆動制御処理に
おいてステップa12の判定結果が真となる。
【0087】そこで、マイクロプロセッサ21は、この
自走式電動車椅子Cr(a)が呼び出し車両として記憶
されているか否かを判定することになるが(ステップa
26)、この場合、自走式電動車椅子Cr(a)は呼び
出し車両として記憶されているので、ステップa26の
判定結果は真となる。従って、マイクロプロセッサ21
は、自走式電動車椅子Cr(a)の制御ユニット13に
対して待機信号を送信し(ステップa33)、更に、自
走式電動車椅子Cr(a)の制御ユニット13に対して
速度を0とする指令を送信した後(ステップa34)、
受信待機フラグF1をリセットして当該周期の車両駆動
制御処理を終了する(ステップa35)。
【0088】一方、自走式電動車椅子Cr(a)の制御
ユニット13の側では、図14および図15に示される
ような走行制御処理におけるステップc5の判定処理で
速度を0とする指令を確認し、ステップc7の処理で走
行モータM1を停止させ、自走式電動車椅子Cr(a)
の運転を停止させる。
【0089】その後もマイクロプロセッサ21による車
両駆動制御処理は繰り返し実行されるが、この自走式電
動車椅子Cr(a)は既にインポジションに入っている
のでステップa12の判定結果は定常的に真となり、自
走式電動車椅子Cr(a)に0以外の速度指令が送信さ
れることはない。これにより、呼び出し信号を送信した
呼び出しステーション3の所在位置に到達した自走式電
動車椅子Cr(a)の停止状態が保持される。
【0090】また、図14および図15に示されるよう
な走行制御処理を所定周期毎に繰り返し実行している制
御ユニット13のマイクロプロセッサ14は、ステップ
c12の判定処理によって集中管理コンピュータ2から
の待機信号の送信を検出し、乗車待機を示す値1を運転
状態記憶フラグF3にセットする(ステップc13)。
【0091】次いで、マイクロプロセッサ14は、アク
チュエータA1を駆動制御して揺動式安全バー5を開放
すると共に(ステップc18)、放置時間計測タイマT
をリスタートさせ(ステップc19)、コンソールユニ
ット9のスタートキー12が利用者によって操作されて
いるか否かを判定する(ステップc20)。
【0092】そして、スタートキー12が操作されてい
なければ、更に、放置時間計測タイマTの計測時間が予
め設定された設定値に達しているか否かを判定するが
(ステップc21)、この計測時間が予め設定された設
定値に達していなければ、このまま当該処理周期の走行
制御処理を終了する。
【0093】このようにして運転状態記憶フラグF3に
1がセットされる結果、次周期以降の走行制御処理では
ステップc11の判定結果が真となり、ステップc20
およびステップc21の判定処理が所定周期毎に繰り返
し実行されることになる。
【0094】通常は、このような処理が繰り返される間
に、呼び出しステーション3の端末37を操作した利用
者が、自走式電動車椅子Cr(a)に乗車してコンソー
ルユニット9のスタートキー12を操作するので、ステ
ップc20の判定結果が真となる。また、端末37を操
作して自走式電動車椅子Cr(a)を呼び出した利用者
が諸般の事情で自走式電動車椅子Cr(a)の到着を待
たずに呼び出しステーション3を離れた場合、あるい
は、自走式電動車椅子Cr(a)の到着を無視してその
場を離れた場合には、車両回収機能実現手段の一部を構
成する放置時間計測タイマTがタイムアップすることに
よってステップc21の判定結果が真となる。
【0095】ステップc20あるいはステップc21の
判定結果が真となったことを確認したマイクロプロセッ
サ14は、再びアクチュエータA1を駆動制御して揺動
式安全バー5を閉鎖し(ステップc22)、運転状態記
憶フラグF3の値が1であるか否か、つまり、今回行わ
れた揺動式安全バー5の開閉処理が利用者を乗車させる
ための処理であったのか、あるいは、利用者を降車させ
るための処理であったのかを判定することになる(ステ
ップc23)。この場合、運転状態記憶フラグF3の値
は1であるから利用者を乗車させるための開閉処理が行
われたことを意味する。よって、マイクロプロセッサ1
4は、この自走式電動車椅子Cr(a)の車両番号aと
出迎乗車信号を集中管理コンピュータ2に送信し(ステ
ップc24)、運転状態記憶フラグF3の値をリセット
して(ステップc26)、当該処理周期の走行制御処理
を終了する。
【0096】このようにして送信された車両番号aと出
迎乗車信号は、図12〜図13の信号受信処理における
ステップb14の判定処理でマイクロプロセッサ21に
よって検出される。この信号を受信したマイクロプロセ
ッサ21は、受信した車両番号をレジスタeに一時記憶
し(ステップb15)、この車両番号に対応する自走式
電動車椅子Cr(e)を呼び出し車両の一時記憶から消
去し(ステップb16)、改めて、自走式電動車椅子C
r(e)を復帰車両として一時記憶することになる(ス
テップb17)。
【0097】次いで、車両復帰制御手段としてのマイク
ロプロセッサ21(ステップc20の判定結果が真とな
った場合)、あるいは、車両回収機能実現手段としての
マイクロプロセッサ21(ステップc21の判定結果が
真となった場合)は、データファイルPr(e)のアド
レスPt(e)のデータブロックに記憶された目標位置
を目標位置記憶レジスタRd(e)に再設定して(ステ
ップb18)、当該処理周期の走行制御処理を終了す
る。
【0098】ステップa26とステップa30およびス
テップa31の関係から明らかなように、呼び出しステ
ーション3からの呼び出しに対処するための処理の最中
は実行アドレス記憶レジスタPt(a)の値は更新され
ないので、このステップb18の処理によって目標位置
記憶レジスタRd(e)に再設定される目標位置は、こ
の自走式電動車椅子Cr(e)がコースを離れる直前に
記憶していた目標位置、要するに、途中で離脱したコー
スのデータブロックの終点座標(目標位置)と同一であ
る。従って、車両派遣制御手段から車両復帰制御手段、
あるいは、車両派遣制御手段から車両回収機能実現手段
への制御の引き渡しは、実質的にはステップb18の処
理で達成されていることになる。
【0099】このようにして目標位置記憶レジスタの値
が書き替えられる結果、次周期以降の走行制御処理では
再びステップa12の判定結果は偽となり、前述した呼
び出しの際の駆動制御の場合と同様にしてステップa1
3〜ステップa17およびステップa19とステップa
25およびステップa23〜ステップa24の処理が繰
り返し実行されることになる。但し、この場合は、自走
式電動車椅子Cr(e)がコースを離れる直前に記憶し
ていた目標位置、つまり、途中で離脱したコースのデー
タブロックの終点座標を目標位置として設定されている
ので、自走式電動車椅子Cr(e)は、途中で離脱した
コースのデータブロックの終点座標を目指して移動する
ことになる。この場合も、自走式電動車椅子Cr(e)
の移動すべきコースは自明ではないので、前述した呼び
出しの際の駆動制御の場合と同様、舵角の調整はステッ
プa25の処理を適用して行われる。
【0100】このようにして集中管理コンピュータ2か
ら送信される舵角に基いて自走式電動車椅子Cr(e)
が走行する間に、自走式電動車椅子Cr(e)が目標位
置Rd(e)のインポジションに到達すると、マイクロ
プロセッサ21によって繰り返し実行される車両駆動制
御処理において、再び、ステップa12の判定結果が真
となる。
【0101】次いで、マイクロプロセッサ21は、この
自走式電動車椅子Cr(e)が呼び出し車両として記憶
されているか否かを判定するが(ステップa26)、こ
の場合、自走式電動車椅子Cr(e)は復帰車両として
記憶されているので、ステップa26の判定結果が偽、
また、ステップa27の判定結果は真となって、マイク
ロプロセッサ21は、この自走式電動車椅子Cr(e)
を復帰車両の一時記憶から消去し(ステップa28)、
前述した定常走行の場合と同様に、実行アドレス記憶レ
ジスタの値をインクリメントして(ステップa29〜ス
テップa31)、実行対象となるデータブロックのアド
レスを更新して目標位置記憶レジスタRd(e)の値を
更新設定する(ステップa32)。つまり、車両復帰制
御手段から定常走行制御手段への制御の引き渡しは、実
質的にはステップa29〜ステップa32の処理で達成
されていることになる。
【0102】自走式電動車椅子Cr(e)がコース上に
復帰してからの処理に関しては、最初に述べた定常走行
の際の制御と全く同様である。
【0103】ここで、自走式電動車椅子の呼び出しとそ
の復帰動作について一例を挙げて簡単に纏めると、例え
ば、図1に示される例で位置(X,Y)の呼び出し
ステーション3にいる利用者が端末37の呼び出しスイ
ッチ34を操作したとするなら、コース1上をデータフ
ァイルPr(1)のアドレス1のデータブロックの定義
に従って走行している自走式電動車椅子Cr(1)と呼
び出しステーション3との離間距離が最小となる。従っ
て、自走式電動車椅子Cr(1)が呼び出し車両として
一時記憶され、同時に、それまで点P2の位置を目標位
置として記憶していた目標位置記憶レジスタRd(1)
の目標位置が点(X,Y)に置き換えられる。この
際、実行中のデータブロックを示す実行アドレス記憶レ
ジスタPt(1)=1の値は更新されない。この結果、
自走式電動車椅子Cr(1)は目標位置(X,Y
に移動し、目標位置(X,Y)のインポジションに
入る。なお、インポジションは設定値であり、指定され
た座標を中心として例えば半径数メートル程度とする。
そして、自走式電動車椅子Cr(1)の揺動式安全バー
5が開放されて放置時間計測タイマTが起動し、この自
走式電動車椅子Cr(1)を呼び出した利用者が乗車し
てスタートキー12を操作するか、あるいは、放置時間
計測タイマTがタイムアップすることで、車両走行中の
利用者の乗降を禁止する揺動式安全バー5が閉鎖され、
目標位置記憶レジスタRd(1)に、この自走式電動車
椅子Cr(1)が途中で離脱したPt(1)=1のデー
タブロックの目標位置P2が再設定される。自走式電動
車椅子Cr(1)は目標位置P2に向かって移動し、目
標位置P2のインポジションに到達した段階で実行アド
レス記憶レジスタPt(1)の値が2に更新され、デー
タファイルのアドレス2のデータブロックの制御が開始
され、自走式電動車椅子Cr(1)が目標位置P3に向
かう定常走行に復帰する。
【0104】次に、自走式電動車椅子Cr(a)に乗車
している利用者が降車する場合の処理と接近防止機能に
ついて説明する。
【0105】自走式電動車椅子Cr(a)に乗車してい
る利用者は、まず、自走式電動車椅子Cr(a)が目的
位置または目的位置の近傍に到達した時点でコンソール
ユニット9の停車キー11を操作する。この操作は自走
式電動車椅子Cr(a)の制御ユニット13に設けられ
たマイクロプロセッサ14が繰り返し実行する図14〜
図15の走行制御処理のステップc14の判定処理によ
って検出される。
【0106】停車キー11の操作を検出したマイクロプ
ロセッサ14は、運転状態記憶フラグF3に、降車待機
を示す値2をセットして(ステップc15)、集中管理
コンピュータ2に車両番号と停止信号を送信する(ステ
ップc16)。
【0107】すると、図12〜図13の信号受信処理を
繰り返し実行している集中管理コンピュータ2のマイク
ロプロセッサ21は、自走式電動車椅子Cr(a)から
送信された車両番号と停止信号をステップb19の判定
処理で検出し、受信した車両番号をレジスタgに一時記
憶し(ステップb20)、この車両番号に対応する自走
式電動車椅子Cr(g)を停車中の車両として一時記憶
する(ステップb21)。
【0108】この結果、マイクロプロセッサ21が繰り
返し実行する図8〜図11の車両駆動制御処理におい
て、この自走式電動車椅子Cr(g)を含め、自走式電
動車椅子Cr(g)と同じデータファイルを利用して走
行している全ての自走式電動車椅子、つまり、自走式電
動車椅子Cr(g)と同じコース上を走行している全て
の自走式電動車椅子に対してステップa13の判定結果
が真となる。前述した通り、この実施形態では図7のよ
うな定義ファイルを参照して処理が行われるようになっ
ているので、ステップa13の判定処理では、その時点
で制御対象となってる車両検索指標aに対応するデータ
ファイルPr(a)の値を求め、これと同じデータファ
イルを使用している自走式電動車椅子が停車中の車両と
して一時記憶されているか否かを判定すればよい。
【0109】ステップa13の判定結果が真となった場
合、マイクロプロセッサ21は、車両検索指標aの現在
値に基いて、その時点で制御対象となっている自走式電
動車椅子Cr(a)に対して停車表示指令(ステップa
18)と、速度を0とする移動指令とを送信する(ステ
ップa34)。
【0110】一方、自走式電動車椅子Cr(a)の制御
ユニット13に設けられたマイクロプロセッサ14は、
繰り返し実行される走行制御処理のステップc9の判定
処理で停車表示指令を検出し、コンソールユニット9の
表示パネル10に車両が停止する旨を表示すると共に
(ステップc10)、ステップc5の判定処理で速度を
0とする移動指令を検出し、ステップc7の処理で走行
モータM1を停止させて自走式電動車椅子Cr(a)を
停止させる。
【0111】既に述べた通り、図8〜図11の車両駆動
制御処理は車両検索指標aの値を逐次更新しながら繰り
返し実行されているので、停車中として一時記憶されて
いる自走式電動車椅子Cr(g)と同じデータファイル
を利用して走行している全ての自走式電動車椅子、つま
り、自走式電動車椅子Cr(g)と同じコース上を走行
している全ての自走式電動車椅子が次々と強制的に停止
されることになる。従って、コース上を走行している自
走式電動車椅子が利用者の要求によって停止された場合
であっても、同一コース上を走行する自走式電動車椅子
の間合いが不用意に変化するといった問題は未然に防止
される。これが、本実施形態における接近防止機能であ
る。
【0112】また、停車キー11の操作を検出した自走
式電動車椅子Cr(a)のマイクロプロセッサ14は、
ステップc16の送信処理の後、アクチュエータA1を
駆動制御して揺動式安全バー5を開放すると共に(ステ
ップc18)、放置時間計測タイマTをリスタートさせ
(ステップc19)、コンソールユニット9のスタート
キー12が利用者によって操作されているか否かを判定
する(ステップc20)。そして、スタートキー12が
操作されていなければ、更に、放置時間計測タイマTの
計測時間が予め設定された設定値に達しているか否かを
判定するが(ステップc21)、この計測時間が予め設
定された設定値に達していなければ、このまま当該処理
周期の走行制御処理を終了する。
【0113】この段階では運転状態記憶フラグF3に既
に2の値がセットされているので、次周期以降の走行制
御処理ではステップc17の判定結果が真となり、ステ
ップc20およびステップc21の判定処理が所定周期
毎に繰り返し実行されることになる。
【0114】通常は、このような処理が繰り返される間
に、揺動式安全バー5を開放された自走式電動車椅子C
r(a)から利用者が自主的に降車し、その後で放置時
間計測タイマTがタイムアップしてステップc21の判
定結果が真となる。但し、利用者が誤って降車キー11
を操作したような場合、つまり、利用者が降車せずに継
続して乗車していたいような場合には、放置時間計測タ
イマTのタイムアップを待たずに改めて利用者がコンソ
ールユニット9のスタートキー12を操作して自走式電
動車椅子Cr(a)の走行を再開させることも可能であ
る。この場合は、ステップc20の判定結果が真とな
る。
【0115】ステップc21またはステップc20の判
定結果が真となったことを確認したマイクロプロセッサ
14は、再びアクチュエータA1を駆動制御して揺動式
安全バー5を閉鎖し(ステップc22)、運転状態記憶
フラグF3の値が2であるか否か、つまり、今回行われ
た揺動式安全バー5の開閉処理が利用者を降車させるた
めの処理であったのか、あるいは、利用者を乗車させる
ための処理であったのかを判定することになる(ステッ
プc23)。この場合、運転状態記憶フラグF3の値は
2であるから利用者を降車させるための開閉処理が行わ
れたことを意味する。よって、マイクロプロセッサ14
は、表示パネル10の停車表示を解除し、この自走式電
動車椅子Cr(a)の車両番号aと発車信号を集中管理
コンピュータ2に送信し(ステップc25)、運転状態
記憶フラグF3の値をリセットして(ステップc2
6)、当該処理周期の走行制御処理を終了する。
【0116】このようにして送信された車両番号aと発
車信号は、図12〜図13の信号受信処理におけるステ
ップb22の判定処理でマイクロプロセッサ21によっ
て検出される。この信号を受信したマイクロプロセッサ
21は、受信した車両番号をレジスタjに一時記憶し
(ステップb23)、この車両番号に対応する自走式電
動車椅子Cr(j)を停車中の車両の一時記憶から消去
する(ステップb24)。
【0117】停車中の車両の一時記憶が消去される結
果、これと同じデータファイルを使用して走行している
自走式電動車椅子に対し、図8〜図11の車両駆動制御
処理におけるステップa13の判定結果が再び偽とな
り、停車していた自走式電動車椅子と同じデータファイ
ルを利用している全ての自走式電動車椅子の走行が再び
許容され、前記と同様の定常走行が開始されることにな
る。
【0118】なお、特定の自走式電動車椅子に呼び出し
が掛かってコースを離脱したり、この自走式電動車椅子
が再びコースに復帰したりしたような場合には、コース
を離脱しなかった別の自走式電動車椅子との間に車間距
離の変化が生じる場合があるが、各自走式電動車椅子は
各々に独立した非常停止制御手段を備えているので、車
間距離が過剰に接近するといった心配は一切ない。
【0119】また、呼び出しの掛かった自走式電動車椅
子がコースを離脱して長い時間を掛けて利用者を迎えに
行くような場合には、コース上を走行する自走式電動車
椅子の走行順序に変動が生じる可能性もあるが、各々の
自走式電動車椅子は夫々のデータファイルに記憶された
データブロックに従ってシーケンシャルに制御されてい
るので、走行順序に変動が生じたような場合であって
も、支障なく各々のコースに沿って走行することが可能
である。
【0120】
【発明の効果】本発明による自走式電動車椅子の貸し出
しシステムは、予め設定されたコースに沿って複数の自
走式電動車椅子を定常的かつ循環的に走行させることで
自走式電動車椅子の局所的な集中を防止し、その中の一
台を利用者の要求に応じて呼び出しステーションにいる
利用者の下に派遣するようにしているので、利用者が何
処にいても、比較的短時間のうちに自走式電動車椅子を
呼び寄せて利用することができ、また、複数の呼び出し
ステーションの間で自走式電動車椅子の再配送をしたり
自走式電動車椅子の補給を行ったりする煩わしさも解消
される。また、自走式電動車椅子は、集中管理コンピュ
ータの駆動制御のもとで予め設定されたコースに沿って
のみ走行するため、利用者による格別な運転操作は必要
なく、年少者等をはじめ、誰でもが安全かつ容易に利用
することが可能である。自走式電動車椅子が走行するコ
ースは任意に設定することができ、また、呼び出しステ
ーションの設置数も任意であるため、遊園地やテーマパ
ーク等の構成に応じて貸し出しシステムを自由に設計す
ることが可能である。
【0121】更に、複数の自走式電動車椅子の現在位置
を検出する車両現在位置検出手段を併設し、定常走行制
御手段には、予め設定されたコースと車両現在位置検出
手段によって検出される自走式電動車椅子の現在位置と
の偏差に基いて自走式電動車椅子の舵角を補正する舵角
補正機能を配備しているので、自走式電動車椅子をコー
スに沿って極めて正確に走行させることが可能となり、
また、同じコースに沿って自走式電動車椅子を何回循環
させても位置ズレの誤差が累積する心配がない。
【0122】この車両現在位置検出手段は、自走式電動
車椅子の走行エリア内に配備された複数の発信アンテナ
から出力される電波の電界強度、つまり、設置位置が明
らかな発信アンテナからの離間距離に基いて現在位置を
求めるように構成されているので、自走式電動車椅子の
現在位置を正確に測定することができる。
【0123】また、車両派遣制御手段には、呼び出しを
行った呼び出しステーションの所在位置に直近する自走
式電動車椅子を選択して呼び出しステーションに派遣す
る最適車両選択機能を配備したので、直近に位置する自
走式電動車椅子が利用者のもとに派遣されることにな
り、呼び出し所要時間の一層の短縮化が達成される。
【0124】そして、定常走行制御手段には、自走式電
動車椅子を循環的に走行させるための複数のコースを記
憶する記憶手段と、各自走式電動車椅子ごとに選択的に
コースを設定するための車両別コース設定機能とが設け
られているので、遊園地やテーマパーク等に複数のコー
スを設定して自走式電動車椅子の移動経路を多様化させ
ることができる。
【0125】しかも、定常走行制御手段には、自走式電
動車椅子からの停止信号を検出し、この停止信号を出力
した自走式電動車椅子と同じコースを走行する自走式電
動車椅子の全てを停止させる接近防止機能を設けたの
で、利用者の乗降のための一時停止等によって同一のコ
ースを走行する自走式電動車椅子の間合いが変化する等
の問題を未然に解消することができる。
【0126】更に、自走式電動車椅子の各々には、前方
の障害物を検出する接近検出センサと、この接近検出セ
ンサが障害物を検出した状態で集中管理コンピュータか
らの指令を無視して自走式電動車椅子の停止状態を保持
する非常停止制御手段とを設けているので、自走式電動
車椅子の駆動輪のスリップ等によって同一コース上を走
行する自走式電動車椅子の車間距離に異常が生じたよう
な場合であっても、異常接近等の問題を自動的に解消す
ることができる。
【0127】また、車両復帰制御手段には、一定時間以
上利用者の乗車が確認されない場合に自走式電動車椅子
を強制的にコース上に復帰させる車両回収機能を配備し
ているので、呼び出しステーションの端末を操作した利
用者が自走式電動車椅子の利用を放棄したような場合で
あっても、呼び出された自走式電動車椅子を自動的にコ
ースに復帰させることができ、自走式電動車椅子の回収
もれを確実に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した一実施形態の自走式電動車椅
子の貸し出しシステムの概略について示した概念図であ
る。
【図2】同実施形態で使用される自走式電動車椅子の外
観について示した斜視図である。
【図3】同実施形態で使用される自走式電動車椅子の構
成の概略を示した機能ブロック図である。
【図4】同実施形態で使用される集中管理コンピュータ
の構成の概略を示した機能ブロック図である。
【図5】同実施形態で使用される呼び出しステーション
の端末の構成の概略を示した機能ブロック図である。
【図6】自走式電動車椅子のコースを設定するためのデ
ータの一例について簡単に示した概念図である。
【図7】自走式電動車椅子の駆動制御に用いられる定義
ファイルについて示した概念図である。
【図8】集中管理コンピュータのマイクロプロセッサに
よって実行される車両駆動制御処理の概略を示したフロ
ーチャートである。
【図9】集中管理コンピュータのマイクロプロセッサに
よって実行される車両駆動制御処理の概略を示したフロ
ーチャートの続きである。
【図10】集中管理コンピュータのマイクロプロセッサ
によって実行される車両駆動制御処理の概略を示したフ
ローチャートの続きである。
【図11】集中管理コンピュータのマイクロプロセッサ
によって実行される車両駆動制御処理の概略を示したフ
ローチャートの続きである。
【図12】集中管理コンピュータのマイクロプロセッサ
によって実行される信号受信処理の概略を示したフロー
チャートである。
【図13】集中管理コンピュータのマイクロプロセッサ
によって実行される信号受信処理の概略を示したフロー
チャートの続きである。
【図14】自走式電動車椅子に内蔵された制御ユニット
のマイクロプロセッサによって実行される走行制御処理
の概略を示したフローチャートである。
【図15】自走式電動車椅子に内蔵された制御ユニット
のマイクロプロセッサによって実行される走行制御処理
の概略を示したフローチャートの続きである。
【図16】呼び出しステーションの端末に設けられたマ
イクロプロセッサによって実行される車両呼び出し処理
の概略を示したフローチャートである。
【図17】進行方向の算出方法について示した作用原理
図である。
【図18】定常走行時の舵角補正について示した作用原
理図である。
【図19】呼び出し時および復帰時の舵角制御について
示した作用原理図である。
【符号の説明】
1 自走式電動車椅子の貸し出しシステム 2 集中管理コンピュータ 3 呼び出しステーション 4 受付用オフィス 5 揺動式安全バー 6 接近検出センサ 7 ハンドル 8 送受信用アンテナ(車両現在位置検出手段の一部) 9 コンソールユニット 10 表示パネル 11 停車キー 12 スタートキー 13 制御ユニット 14 マイクロプロセッサ(車両現在位置検出手段の一
部,非常停止制御手段) 15 ROM 16 RAM 17,18 入出力回路 19 送受信回路(車両現在位置検出手段の一部) 20a,20b,20c 発信アンテナ(車両現在位置
検出手段の一部,所在位置検出手段の一部) 21 マイクロプロセッサ(定常走行制御手段,車両派
遣制御手段,車両復帰制御手段) 22 ROM 23 RAM 24 ハードディスク(記憶手段) 25 入出力回路 26 モニタ 27 キーボード 28 送受信アンテナ 29 送受信回路 30 マイクロプロセッサ(所在位置検出手段の一部) 31 ROM 32 RAM 33 入出力回路 34 呼び出しスイッチ 35 送受信回路(所在位置検出手段の一部) 36 送受信用アンテナ(所在位置検出手段の一部) 37 端末 Cr(1)〜Cr(amax) 自走式電動車椅子 M1 走行モータ M2 ステアリングモータ A1 アクチュエータ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無線信号によって駆動制御される複数の
    自走式電動車椅子と、前記複数の自走式電動車椅子の運
    転状態を無線信号によって集中管理する集中管理コンピ
    ュータと、前記自走式電動車椅子を無線信号によって呼
    び寄せるための端末を固設した複数の呼び出しステーシ
    ョンとを備えた自走式電動車椅子の貸し出しシステムで
    あって、 前記集中管理コンピュータに、前記自走式電動車椅子を
    予め設定されたコースに沿って定常的かつ循環的に走行
    させるための定常走行制御手段と、前記呼び出しステー
    ションからの呼び出し信号を検出して前記複数の自走式
    電動車椅子のうちから一台を選択し、前記呼び出しステ
    ーションに派遣する車両派遣制御手段と、利用者の乗車
    確認後に前記自走式電動車椅子を予め設定されたコース
    上に復帰させる車両復帰制御手段とが配備されているこ
    とを特徴とした自走式電動車椅子の貸し出しシステム。
  2. 【請求項2】 前記複数の自走式電動車椅子の現在位置
    を検出する車両現在位置検出手段を併設し、前記定常走
    行制御手段には、前記予め設定されたコースと前記車両
    現在位置検出手段によって検出される自走式電動車椅子
    の現在位置との偏差に基いて自走式電動車椅子の移動軌
    跡が前記予め設定されたコースと一致するように前記自
    走式電動車椅子の舵角を補正する舵角補正機能が配備さ
    れていることを特徴とした請求項1記載の自走式電動車
    椅子の貸し出しシステム。
  3. 【請求項3】 前記車両現在位置検出手段は、前記自走
    式電動車椅子の走行エリア内に配備された複数の発信ア
    ンテナと、前記複数の発信アンテナから出力される電波
    の電界強度に基いて現在位置を求める各自走式電動車椅
    子上のマイクロプロセッサと、該マイクロプロセッサに
    より求められた現在位置を前記集中管理コンピュータに
    送信する各自走式電動車椅子上の送信手段とによって構
    成されていることを特徴とした請求項2記載の自走式電
    動車椅子の貸し出しシステム。
  4. 【請求項4】 前記車両派遣制御手段には、呼び出し信
    号を出力した前記呼び出しステーションに直近する自走
    式電動車椅子を選択して前記呼び出しステーションに派
    遣する最適車両選択機能が配備されていることを特徴と
    した請求項2または請求項3記載の自走式電動車椅子の
    貸し出しシステム。
  5. 【請求項5】 前記定常走行制御手段は、前記自走式電
    動車椅子を循環的に走行させるための複数のコースを記
    憶する記憶手段と、前記各自走式電動車椅子ごとに選択
    的にコースを設定する車両別コース設定機能とを備えて
    いることを特徴とした請求項1,請求項2,請求項3ま
    たは請求項4記載の自走式電動車椅子の貸し出しシステ
    ム。
  6. 【請求項6】 前記定常走行制御手段は、前記自走式電
    動車椅子からの停止信号を検出し、この停止信号を出力
    した自走式電動車椅子と同じコースを設定された自走式
    電動車椅子の全てを停止させる接近防止機能を備えてい
    ることを特徴とした請求項5記載の自走式電動車椅子の
    貸し出しシステム。
  7. 【請求項7】 前記自走式電動車椅子の各々は、前方の
    障害物を検出する接近検出センサと、この接近検出セン
    サが障害物を検出した状態で前記集中管理コンピュータ
    からの指令を無視して当該自走式電動車椅子の停止状態
    を保持する非常停止制御手段を備えていることを特徴と
    した請求項1,請求項2,請求項3,請求項4,請求項
    5または請求項6記載の自走式電動車椅子の貸し出しシ
    ステム。
  8. 【請求項8】 前記車両復帰制御手段には、一定時間以
    上利用者の乗車が確認されない場合に自走式電動車椅子
    を強制的にコース上に復帰させる車両回収機能が配備さ
    れていることを特徴とした請求項1,請求項2,請求項
    3,請求項4,請求項5,請求項6または請求項7記載
    自走式電動車椅子の貸し出しシステム。
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