JP2003028219A - 制動装置及びその製造方法 - Google Patents
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- F16D2250/0038—Surface treatment
- F16D2250/0046—Coating
Abstract
(57)【要約】
【課題】 摩擦力を利用した制動装置において、一般に
フェード現象が発生するような高温下の過酷な条件での
制動力の低下を抑える。 【解決手段】 自転車用ディスクブレーキ装置は、摩擦
力を利用して回転している車輪を制動する装置であっ
て、ディスクロータ、ブレーキパッドと、ニッケルタン
グステン合金めっき層９１とを備えている。ディスクロ
ータは、車輪と連動して回転する。ブレーキパッドは、
ディスクロータと摩擦してディスクロータを制動する。
ニッケルタングステン合金めっき層９１は、ディスクロ
ータの摩擦面に形成されためっき層である。
フェード現象が発生するような高温下の過酷な条件での
制動力の低下を抑える。 【解決手段】 自転車用ディスクブレーキ装置は、摩擦
力を利用して回転している車輪を制動する装置であっ
て、ディスクロータ、ブレーキパッドと、ニッケルタン
グステン合金めっき層９１とを備えている。ディスクロ
ータは、車輪と連動して回転する。ブレーキパッドは、
ディスクロータと摩擦してディスクロータを制動する。
ニッケルタングステン合金めっき層９１は、ディスクロ
ータの摩擦面に形成されためっき層である。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、摩擦力を利用して
運動している物体を制動する制動装置及びその製造方法
に関する。
運動している物体を制動する制動装置及びその製造方法
に関する。
【０００２】
【従来の技術】車両などの運動する物体を摩擦力により
制動する制動装置は、一般に、物体と連動して運動する
運動部材と、運動部材に圧接して制動する摩擦部材とを
備えている。たとえば車両用のディスクブレーキ装置で
は、車輪と一体で回転する金属製のディスクロータと、
ディスクロータに圧接可能なブレーキパッドとを備えて
いる。また車両用のドラムブレーキ装置では、車輪と一
体で回転する金属製のブレーキドラムと、ブレーキドラ
ムに圧接可能なブレーキシューとを備えている。
制動する制動装置は、一般に、物体と連動して運動する
運動部材と、運動部材に圧接して制動する摩擦部材とを
備えている。たとえば車両用のディスクブレーキ装置で
は、車輪と一体で回転する金属製のディスクロータと、
ディスクロータに圧接可能なブレーキパッドとを備えて
いる。また車両用のドラムブレーキ装置では、車輪と一
体で回転する金属製のブレーキドラムと、ブレーキドラ
ムに圧接可能なブレーキシューとを備えている。
【０００３】一般に、摩擦力を利用した制動装置では、
摩擦発熱によって制動力が低下する、いわゆるフェード
現象を抑えることが重要である。そこで、フェード現象
をおさえるために、従来、ブレーキパッドやブレーキシ
ュー等の摩擦部材のライニング材の材質や形状を改良し
て放熱特性をあげたり、ディスクロータをカーボン製や
ベンチレートタイプにして放熱特性を上げたりして、フ
ェード現象が生じる温度まで金属製の運動部材の温度が
上昇しないようにする対策がとられている。
摩擦発熱によって制動力が低下する、いわゆるフェード
現象を抑えることが重要である。そこで、フェード現象
をおさえるために、従来、ブレーキパッドやブレーキシ
ュー等の摩擦部材のライニング材の材質や形状を改良し
て放熱特性をあげたり、ディスクロータをカーボン製や
ベンチレートタイプにして放熱特性を上げたりして、フ
ェード現象が生じる温度まで金属製の運動部材の温度が
上昇しないようにする対策がとられている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】しかし、自転車のダウ
ンヒルレースのような過酷な条件では、前記従来の放熱
特性をあげてフェード現象を抑えようとする対策では運
動部材の温度上昇を防ぐことができない。このため、上
記のような温度上昇が生じる過酷な条件では十分にフェ
ード現象を抑えることができない。
ンヒルレースのような過酷な条件では、前記従来の放熱
特性をあげてフェード現象を抑えようとする対策では運
動部材の温度上昇を防ぐことができない。このため、上
記のような温度上昇が生じる過酷な条件では十分にフェ
ード現象を抑えることができない。
【０００５】また、前記従来の制動装置では、ディスク
ロータやブレーキドラムの水濡れにより制動力が低下す
るという問題がある。水濡れが生じそれが摩擦部材や運
動部材に付着したままになると、摩擦力が低下して制動
力の低下を招く。本発明の課題は、摩擦力を利用した制
動装置及びその製造方法において、一般にフェード現象
が発生するような高温下の過酷な条件での制動力の低下
を抑えることにある。
ロータやブレーキドラムの水濡れにより制動力が低下す
るという問題がある。水濡れが生じそれが摩擦部材や運
動部材に付着したままになると、摩擦力が低下して制動
力の低下を招く。本発明の課題は、摩擦力を利用した制
動装置及びその製造方法において、一般にフェード現象
が発生するような高温下の過酷な条件での制動力の低下
を抑えることにある。
【０００６】本発明の別の課題は、摩擦力を利用した制
動装置及びその製造方法において、水濡れによる制動力
の低下を抑えることにある。
動装置及びその製造方法において、水濡れによる制動力
の低下を抑えることにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】発明１に係る制動装置
は、摩擦力を利用して運動している物体を制動する装置
であって、第１部材と、第２部材と、ニッケルタングス
テン合金めっき層とを備えている。第１部材は、物体と
連動して運動する部材である。第２部材は、第１部材を
摩擦して制動する部材である。ニッケルタングステン合
金めっき層は、第１部材及び第２部材の摩擦面の少なく
ともいずれかに形成されためっき層である。
は、摩擦力を利用して運動している物体を制動する装置
であって、第１部材と、第２部材と、ニッケルタングス
テン合金めっき層とを備えている。第１部材は、物体と
連動して運動する部材である。第２部材は、第１部材を
摩擦して制動する部材である。ニッケルタングステン合
金めっき層は、第１部材及び第２部材の摩擦面の少なく
ともいずれかに形成されためっき層である。
【０００８】この制動装置では、第１部材及び第２部材
の摩擦面の少なくともいずれかにニッケルタングステン
合金めっき層を形成したので、４００℃から７００℃の
通常ではフェード現象が生じるような、過酷な条件下で
あっても制動力が低下しにくく優れた制動力を示すこと
ができる。制動力が低下しにくい理由はまだ明らかでは
ないが、本発明者らは以下のように考えている。一般に
制動力を支配する物性値として、摩擦係数μが挙げられ
る。この摩擦係数μはせん断強度に比例し、硬度に反比
例すると言われている。ここで、硬度は母材の硬度を意
味し、剪断強度は界面を与る表層のせん断強度を意味す
る。一般に、金属などの固体物質では、温度が高くなる
につれて硬度又はせん断強度は低下する傾向にあり、摩
擦係数μは一定又は低下する傾向にあることが多い。本
発明で開示したニッケルタングステン合金めっき層で
は、高温において、母材の硬度の低下とせん断強度の増
大又は維持とによる相乗効果により、摩擦係数μが上昇
するのではないかと推察される。
の摩擦面の少なくともいずれかにニッケルタングステン
合金めっき層を形成したので、４００℃から７００℃の
通常ではフェード現象が生じるような、過酷な条件下で
あっても制動力が低下しにくく優れた制動力を示すこと
ができる。制動力が低下しにくい理由はまだ明らかでは
ないが、本発明者らは以下のように考えている。一般に
制動力を支配する物性値として、摩擦係数μが挙げられ
る。この摩擦係数μはせん断強度に比例し、硬度に反比
例すると言われている。ここで、硬度は母材の硬度を意
味し、剪断強度は界面を与る表層のせん断強度を意味す
る。一般に、金属などの固体物質では、温度が高くなる
につれて硬度又はせん断強度は低下する傾向にあり、摩
擦係数μは一定又は低下する傾向にあることが多い。本
発明で開示したニッケルタングステン合金めっき層で
は、高温において、母材の硬度の低下とせん断強度の増
大又は維持とによる相乗効果により、摩擦係数μが上昇
するのではないかと推察される。
【０００９】一般に、ニッケルタングステン合金めっき
の性質として、温度が上昇すると硬度が上昇することが
よく知られている。しかし、本発明で着目しているのは
硬度よりむしろニッケルタングステン合金めっき自身の
せん断強度、及び／又はその高温摩擦摩耗時の酸化反応
で生成される生成物のせん断強度である。ニッケルタン
グステン合金めっき層が高温時又は高温にひとたび曝さ
れることで、さらにせん断強度が高くなる何らかの機構
があるのではないかと推察している。
の性質として、温度が上昇すると硬度が上昇することが
よく知られている。しかし、本発明で着目しているのは
硬度よりむしろニッケルタングステン合金めっき自身の
せん断強度、及び／又はその高温摩擦摩耗時の酸化反応
で生成される生成物のせん断強度である。ニッケルタン
グステン合金めっき層が高温時又は高温にひとたび曝さ
れることで、さらにせん断強度が高くなる何らかの機構
があるのではないかと推察している。
【００１０】ここで、ニッケルタングステン合金めっき
の組成は、特に限定しないが、めっき中におけるタング
ステンの比率が２０重量％以上８０重量％以下であるこ
とさらなる効果が期待できるので好ましい。発明２に係
る制動装置は、摩擦力を利用して運動している物体を制
動する装置であって、第１部材と、第２部材と、ニッケ
ル系めっき層と、ニッケルタングステン合金めっき層と
を備えている。第１部材は、物体と連動して運動する部
材である。第２部材は、第１部材を摩擦して制動する部
材である。ニッケル系めっき層は、第１部材及び第２部
材の摩擦面の少なくともいずれかに形成されためっき層
である。ニッケルタングステン合金めっき層は、ニッケ
ル系めっき層の表面に形成されためっき層である。
の組成は、特に限定しないが、めっき中におけるタング
ステンの比率が２０重量％以上８０重量％以下であるこ
とさらなる効果が期待できるので好ましい。発明２に係
る制動装置は、摩擦力を利用して運動している物体を制
動する装置であって、第１部材と、第２部材と、ニッケ
ル系めっき層と、ニッケルタングステン合金めっき層と
を備えている。第１部材は、物体と連動して運動する部
材である。第２部材は、第１部材を摩擦して制動する部
材である。ニッケル系めっき層は、第１部材及び第２部
材の摩擦面の少なくともいずれかに形成されためっき層
である。ニッケルタングステン合金めっき層は、ニッケ
ル系めっき層の表面に形成されためっき層である。
【００１１】この制動装置では、発明１の作用効果加え
て、第１部材や第２部材などの母材として軟質の金属を
使用する場合、比較的軟質のニッケル系めっき層を母材
とニッケルタングステン合金めっき層との間に挿入する
ことにより、硬度が徐々に高くなる傾斜効果を得ること
ができる。このため、ニッケルタングステン合金めっき
自身が持つ応力を分散させて剥離耐久性を向上させるこ
とができる。
て、第１部材や第２部材などの母材として軟質の金属を
使用する場合、比較的軟質のニッケル系めっき層を母材
とニッケルタングステン合金めっき層との間に挿入する
ことにより、硬度が徐々に高くなる傾斜効果を得ること
ができる。このため、ニッケルタングステン合金めっき
自身が持つ応力を分散させて剥離耐久性を向上させるこ
とができる。
【００１２】ここで、ニッケル系めっきの種類について
は、Ｎｉ単体でもよく、たとえばＰ，Ｓｎなどとの合金
などでもよいが、ここでは限定しない。発明３に係る制
動装置は摩擦力を利用して運動している物体を制動する
装置であって、第１部材と、第２部材と、銅系めっき層
と、ニッケルタングステン合金めっき層とを備えてい
る。第１部材は、物体と連動して運動する部材である。
第２部材は、第１部材を摩擦して制動する部材である。
銅系めっき層は、第１部材及び第２部材の摩擦面の少な
くともいずれかに形成されためっき層である。ニッケル
タングステン合金めっき層は、銅系めっき層の表面に形
成されためっき層である。
は、Ｎｉ単体でもよく、たとえばＰ，Ｓｎなどとの合金
などでもよいが、ここでは限定しない。発明３に係る制
動装置は摩擦力を利用して運動している物体を制動する
装置であって、第１部材と、第２部材と、銅系めっき層
と、ニッケルタングステン合金めっき層とを備えてい
る。第１部材は、物体と連動して運動する部材である。
第２部材は、第１部材を摩擦して制動する部材である。
銅系めっき層は、第１部材及び第２部材の摩擦面の少な
くともいずれかに形成されためっき層である。ニッケル
タングステン合金めっき層は、銅系めっき層の表面に形
成されためっき層である。
【００１３】この制動装置では、発明１の作用効果に加
えて軟質の銅系めっき層を母材と硬質のニッケルタング
ステン合金めっき層との間に挿入したので、制動装置に
おいて優れたコントロール性が得られる。ここで、コン
トロール性とは、減速・停止時における制動装置のコン
トロールのしやすさを意味し、とくに、制動装置を人間
が操る場合の制御のしやすさを意味する。
えて軟質の銅系めっき層を母材と硬質のニッケルタング
ステン合金めっき層との間に挿入したので、制動装置に
おいて優れたコントロール性が得られる。ここで、コン
トロール性とは、減速・停止時における制動装置のコン
トロールのしやすさを意味し、とくに、制動装置を人間
が操る場合の制御のしやすさを意味する。
【００１４】この理由としては、本発明者らは、柔らか
い銅系めっきを下地として母材とニッケルタングステン
合金めっき層との間に挿入することで、クッション性が
生じ、制動面（摩擦面）からの僅かな振動などの微小な
伝達情報が増幅され、人間の感覚に対して、より強くフ
ィードバックされやすいと思わせる効果があるではない
かと推定している。
い銅系めっきを下地として母材とニッケルタングステン
合金めっき層との間に挿入することで、クッション性が
生じ、制動面（摩擦面）からの僅かな振動などの微小な
伝達情報が増幅され、人間の感覚に対して、より強くフ
ィードバックされやすいと思わせる効果があるではない
かと推定している。
【００１５】ここで、銅系めっきとしては、Ｃｕ単体の
めっきでもよく、ＣｕとＺｎ，Ｓｎ，Ｎｉの内のいずれ
か１種又は２種以上の合金から構成される合金めっきで
あってもよいが、ここでは限定しない。発明４に係る制
動装置は、摩擦力を利用して運動している物体を制動す
る装置であって、第１部材と、第２部材と、銅系めっき
層と、ニッケル系めっき層、ニッケルタングステン合金
めっき層とを備えている。第１部材は、物体と連動して
運動する部材である。第２部材は、第１部材を摩擦して
制動する部材である。銅系めっき層は、第１部材及び第
２部材の摩擦面の少なくともいずれかに形成されためっ
き層である。ニッケル系めっき層は、銅系めっき層の表
面に形成されためっき層である。ニッケルタングステン
合金めっき層は、ニッケル系めっき層の表面に形成され
ためっき層である。
めっきでもよく、ＣｕとＺｎ，Ｓｎ，Ｎｉの内のいずれ
か１種又は２種以上の合金から構成される合金めっきで
あってもよいが、ここでは限定しない。発明４に係る制
動装置は、摩擦力を利用して運動している物体を制動す
る装置であって、第１部材と、第２部材と、銅系めっき
層と、ニッケル系めっき層、ニッケルタングステン合金
めっき層とを備えている。第１部材は、物体と連動して
運動する部材である。第２部材は、第１部材を摩擦して
制動する部材である。銅系めっき層は、第１部材及び第
２部材の摩擦面の少なくともいずれかに形成されためっ
き層である。ニッケル系めっき層は、銅系めっき層の表
面に形成されためっき層である。ニッケルタングステン
合金めっき層は、ニッケル系めっき層の表面に形成され
ためっき層である。
【００１６】この制動装置では、発明１及び発明３の作
用効果が得られるとともに、徐々にめっき層が硬質にな
るので、傾斜効果がさらに得られさらに剥離耐久性が高
くなる。発明５に係る制動装置は、発明１から４のいず
れかに記載の装置において、ニッケルタングステン合金
めっき層の表面に形成された合金系めっき層をさらに備
える。この場合には、ニッケルタングステン合金めっき
層の表面に合金系めっき層を形成しているので、水濡れ
時においても優れた制動力を示し制動力の低下を抑える
ことができる。
用効果が得られるとともに、徐々にめっき層が硬質にな
るので、傾斜効果がさらに得られさらに剥離耐久性が高
くなる。発明５に係る制動装置は、発明１から４のいず
れかに記載の装置において、ニッケルタングステン合金
めっき層の表面に形成された合金系めっき層をさらに備
える。この場合には、ニッケルタングステン合金めっき
層の表面に合金系めっき層を形成しているので、水濡れ
時においても優れた制動力を示し制動力の低下を抑える
ことができる。
【００１７】ここで、合金系めっきとは、Ｓｎ，Ｃｕ，
Ｚｎ，Ｎｉ，Ａｇ，Ｆｅ，Ａｌ，Ｐ，Ｍｎ，Ｂｉ，Ｃｒ
の１種又は２種以上の合金から構成される合金めっきを
意味するが、合金めっきの選択は摩擦の相手材によって
異なるため、ここでは特に限定しない。また、摩擦摩耗
特性を向上させるためには、この合金めっき中に、炭化
物、酸化物、窒化物などの微粒子を介在させてもよい。
Ｚｎ，Ｎｉ，Ａｇ，Ｆｅ，Ａｌ，Ｐ，Ｍｎ，Ｂｉ，Ｃｒ
の１種又は２種以上の合金から構成される合金めっきを
意味するが、合金めっきの選択は摩擦の相手材によって
異なるため、ここでは特に限定しない。また、摩擦摩耗
特性を向上させるためには、この合金めっき中に、炭化
物、酸化物、窒化物などの微粒子を介在させてもよい。
【００１８】たとえば、Ｓｎ系混合物が添加された摩擦
ライニング材として金属板を使用し、摩擦力を得るため
に、ニッケルタングステン合金めっきが施され、かつそ
の上にＳｎ系の合金めっきを施した金属板を使用するこ
とで、高温時における制動特性と水濡れ時の制動力が向
上することがわかった。この理由については定かではな
いが、本発明者は以下のように推察している。
ライニング材として金属板を使用し、摩擦力を得るため
に、ニッケルタングステン合金めっきが施され、かつそ
の上にＳｎ系の合金めっきを施した金属板を使用するこ
とで、高温時における制動特性と水濡れ時の制動力が向
上することがわかった。この理由については定かではな
いが、本発明者は以下のように推察している。
【００１９】ニッケルタングステン合金めっきは、引張
応力が強いめっきであるため、表層部のめっき表面に
は、母材との応力差のために無数のクラックが入ってい
る。この上からカバーリング効果が高い合金系めっきを
被覆することにより、このクラックが修復されて微視的
なレベルにおける水切り性、水はけ性をよくする効果が
あるのではないか。
応力が強いめっきであるため、表層部のめっき表面に
は、母材との応力差のために無数のクラックが入ってい
る。この上からカバーリング効果が高い合金系めっきを
被覆することにより、このクラックが修復されて微視的
なレベルにおける水切り性、水はけ性をよくする効果が
あるのではないか。
【００２０】または、ニッケルタングステン合金めっき
には、何らかの親水効果があって水膜を形成する機構が
働いて水膜で滑走して制動力が弱まるおそれがあるが、
合金系めっきによって水膜形成機構を阻害することがで
きたのではないか。または、合金系めっきを界面に使用
することで、相手材との摩擦促進効果があり、水濡れ時
に相手材との摩擦現象に速く馴染む効果が生まれるので
はないか。
には、何らかの親水効果があって水膜を形成する機構が
働いて水膜で滑走して制動力が弱まるおそれがあるが、
合金系めっきによって水膜形成機構を阻害することがで
きたのではないか。または、合金系めっきを界面に使用
することで、相手材との摩擦促進効果があり、水濡れ時
に相手材との摩擦現象に速く馴染む効果が生まれるので
はないか。
【００２１】または、水濡れ時における摩擦により、水
と反応して生成された腐食摩耗生成物が制動力向上によ
い作用を与えのではないか。等の理由が考えられる。ま
た、ニッケルタングステン合金めっき単体では屋外や海
岸沿いなどの腐食雰囲気に放置して使用すると、変色や
腐食しやすいが、その上を合金系めっきで被覆すると、
変色や腐食の進行を抑制できるようになる。
と反応して生成された腐食摩耗生成物が制動力向上によ
い作用を与えのではないか。等の理由が考えられる。ま
た、ニッケルタングステン合金めっき単体では屋外や海
岸沿いなどの腐食雰囲気に放置して使用すると、変色や
腐食しやすいが、その上を合金系めっきで被覆すると、
変色や腐食の進行を抑制できるようになる。
【００２２】発明６に係る制動装置は、発明１から５の
いずれかに記載の装置において、ニッケルタングステン
合金めっき層の厚みは、０．５μｍ以上１００μｍ以下
である。ニッケルタングステン合金めっき層の厚みが．
０５μｍ未満であると、制動時の摩耗により削れやすく
なり、１００μｍを超えると、めっきコストが上昇し、
経済的に採算が合いにくくなる。
いずれかに記載の装置において、ニッケルタングステン
合金めっき層の厚みは、０．５μｍ以上１００μｍ以下
である。ニッケルタングステン合金めっき層の厚みが．
０５μｍ未満であると、制動時の摩耗により削れやすく
なり、１００μｍを超えると、めっきコストが上昇し、
経済的に採算が合いにくくなる。
【００２３】発明７に係る制動装置は、発明１から６の
いずれかに記載の装置において、第１部材は自転車の車
輪に回転不能に装着されるディスクロータであり、第２
部材は、自転車のフレームに固定されるキャリパに装着
されディスクロータに圧接するブレーキパッドである。
この場合には、自転車のダウンヒルレースのように制動
状態が長く持続する過酷な条件で使用しても制動力が低
下しにくくなる。
いずれかに記載の装置において、第１部材は自転車の車
輪に回転不能に装着されるディスクロータであり、第２
部材は、自転車のフレームに固定されるキャリパに装着
されディスクロータに圧接するブレーキパッドである。
この場合には、自転車のダウンヒルレースのように制動
状態が長く持続する過酷な条件で使用しても制動力が低
下しにくくなる。
【００２４】発明８に係る制動装置は、発明７に記載の
装置において、各めっき層は、ディスクロータに形成さ
れている。この場合には、金属製のディスクロータにめ
っき層を形成することで、安価な素材をディスクロータ
に用いることができる。発明９に係る制動装置は、発明
８に係る装置において、ステンレス合金、鉄、アルミニ
ウム合金、マグネシウム合金、チタン合金のいずれかを
含む金属製である。この場合には、鉄の場合には、比較
的安価なディスクロータを提供できる。チタン合金やス
テンレス合金の場合には、耐食性を向上させることがで
きる。アルミニウム合金やマグネシウム合金やチタン合
金の場合、軽量化を図ることができる。しかも、マグネ
シウム合金は腐食されやすいがめっき層を形成すること
で腐食しにくくなる。
装置において、各めっき層は、ディスクロータに形成さ
れている。この場合には、金属製のディスクロータにめ
っき層を形成することで、安価な素材をディスクロータ
に用いることができる。発明９に係る制動装置は、発明
８に係る装置において、ステンレス合金、鉄、アルミニ
ウム合金、マグネシウム合金、チタン合金のいずれかを
含む金属製である。この場合には、鉄の場合には、比較
的安価なディスクロータを提供できる。チタン合金やス
テンレス合金の場合には、耐食性を向上させることがで
きる。アルミニウム合金やマグネシウム合金やチタン合
金の場合、軽量化を図ることができる。しかも、マグネ
シウム合金は腐食されやすいがめっき層を形成すること
で腐食しにくくなる。
【００２５】発明１０に係る制動装置の製造方法は、摩
擦力を利用して運動する物体を制動する制動装置を製造
する方法であって、物体と連動する第１部材及び第１部
材を摩擦して制動する第２部材とを用意する準備工程
と、用意された第１部材及び第２部材の摩擦面の少なく
ともいずれかにニッケルタングステン合金めっき層を形
成するニッケルタングステン合金めっき工程とを含んで
いる。
擦力を利用して運動する物体を制動する制動装置を製造
する方法であって、物体と連動する第１部材及び第１部
材を摩擦して制動する第２部材とを用意する準備工程
と、用意された第１部材及び第２部材の摩擦面の少なく
ともいずれかにニッケルタングステン合金めっき層を形
成するニッケルタングステン合金めっき工程とを含んで
いる。
【００２６】この製造方法では、用意された第１部材及
び第２部材の摩擦面の少なくともいずれかにニッケルタ
ングステン合金めっき層を形成するので、４００℃から
７００℃の通常ではフェード現象が生じるような、過酷
な条件下であっても制動力が低下しにくく優れた制動力
を示すことができる。発明１１に係る制動装置の製造方
法は、摩擦力を利用して運動する物体を制動する制動装
置を製造する方法であって、物体と連動する第１部材及
び第１部材を摩擦して制動する第２部材とを用意する準
備工程と、用意された第１部材及び第２部材の摩擦面の
少なくともいずれかにニッケル系めっき層を形成するニ
ッケル系めっき工程とニッケル系めっき層の表面にニッ
ケルタングステン合金めっき層を形成するニッケルタン
グステン合金めっき工程とを含んでいる。
び第２部材の摩擦面の少なくともいずれかにニッケルタ
ングステン合金めっき層を形成するので、４００℃から
７００℃の通常ではフェード現象が生じるような、過酷
な条件下であっても制動力が低下しにくく優れた制動力
を示すことができる。発明１１に係る制動装置の製造方
法は、摩擦力を利用して運動する物体を制動する制動装
置を製造する方法であって、物体と連動する第１部材及
び第１部材を摩擦して制動する第２部材とを用意する準
備工程と、用意された第１部材及び第２部材の摩擦面の
少なくともいずれかにニッケル系めっき層を形成するニ
ッケル系めっき工程とニッケル系めっき層の表面にニッ
ケルタングステン合金めっき層を形成するニッケルタン
グステン合金めっき工程とを含んでいる。
【００２７】この製造方法では、発明１０の作用効果加
えて、第１部材や第２部材などの母材として軟質の金属
を使用する場合、比較的軟質のニッケル系めっき層を母
材とニッケルタングステン合金めっき層との間に挿入す
ることにより、硬度が徐々に高くなる傾斜効果を得るこ
とができる。このため、ニッケルタングステン合金めっ
き自身が持つ応力を分散させて剥離耐久性を向上させる
ことができる。
えて、第１部材や第２部材などの母材として軟質の金属
を使用する場合、比較的軟質のニッケル系めっき層を母
材とニッケルタングステン合金めっき層との間に挿入す
ることにより、硬度が徐々に高くなる傾斜効果を得るこ
とができる。このため、ニッケルタングステン合金めっ
き自身が持つ応力を分散させて剥離耐久性を向上させる
ことができる。
【００２８】発明１２に係る制動装置の製造方法は、摩
擦力を利用して運動している物体を制動する制動装置を
製造する方法であって、物体と連動する第１部材第１部
材を摩擦して制動する第２部材とを用意する準備工程
と、用意された第１部材及び第２部材の摩擦面の少なく
ともいずれかに銅系めっき層を形成する銅系めっき工程
と、銅系めっき層の表面にニッケルタングステン合金め
っき層を形成するニッケルタングステン合金めっき工程
とを含んでいる。
擦力を利用して運動している物体を制動する制動装置を
製造する方法であって、物体と連動する第１部材第１部
材を摩擦して制動する第２部材とを用意する準備工程
と、用意された第１部材及び第２部材の摩擦面の少なく
ともいずれかに銅系めっき層を形成する銅系めっき工程
と、銅系めっき層の表面にニッケルタングステン合金め
っき層を形成するニッケルタングステン合金めっき工程
とを含んでいる。
【００２９】この製造方法では、発明１の作用効果に加
えて軟質の銅系めっき層を母材とニッケルタングステン
合金めっき層との間に挿入したので、制動装置において
優れたコントロール性が得られる。発明１３に係る制動
装置の製造方法は、摩擦力を利用して運動している物体
を制動する制動装置を製造する方法であって、物体と連
動する第１部材及び第１部材を摩擦して制動する第２部
材とを用意する準備工程と、用意された第１部材及び第
２部材の摩擦面の少なくともいずれかに銅系めっき層を
形成する銅系めっき工程と、銅系めっき層の表面にニッ
ケル系めっき層を形成するニッケル系めっき工程と、ニ
ッケル系めっき層の表面にニッケルタングステン合金め
っき層を形成するニッケルタングステン合金めっき工程
とを含んでいる。
えて軟質の銅系めっき層を母材とニッケルタングステン
合金めっき層との間に挿入したので、制動装置において
優れたコントロール性が得られる。発明１３に係る制動
装置の製造方法は、摩擦力を利用して運動している物体
を制動する制動装置を製造する方法であって、物体と連
動する第１部材及び第１部材を摩擦して制動する第２部
材とを用意する準備工程と、用意された第１部材及び第
２部材の摩擦面の少なくともいずれかに銅系めっき層を
形成する銅系めっき工程と、銅系めっき層の表面にニッ
ケル系めっき層を形成するニッケル系めっき工程と、ニ
ッケル系めっき層の表面にニッケルタングステン合金め
っき層を形成するニッケルタングステン合金めっき工程
とを含んでいる。
【００３０】この製造方法では、発明１１及び発明１２
の作用効果が得られるとともに、徐々にめっき層が硬質
になるので、傾斜効果がさらに得られさらに剥離耐久性
が高くなる。発明１４に係る制動装置の製造方法は、発
明１０から１３のいずれかに記載の方法において、ニッ
ケルタングステン合金めっき層の表面に合金系めっき層
を形成する合金系めっき工程をさらに含む。この場合に
は、ニッケルタングステン合金めっき層の表面に合金系
めっき層を形成しているので、水濡れ時においても優れ
た制動力を示し制動力の低下を抑えることができる。
の作用効果が得られるとともに、徐々にめっき層が硬質
になるので、傾斜効果がさらに得られさらに剥離耐久性
が高くなる。発明１４に係る制動装置の製造方法は、発
明１０から１３のいずれかに記載の方法において、ニッ
ケルタングステン合金めっき層の表面に合金系めっき層
を形成する合金系めっき工程をさらに含む。この場合に
は、ニッケルタングステン合金めっき層の表面に合金系
めっき層を形成しているので、水濡れ時においても優れ
た制動力を示し制動力の低下を抑えることができる。
【００３１】発明１５に係る制動装置の製造方法は、発
明１０から１４のいずれかに記載の方法において、ニッ
ケルタングステン合金めっき層に、４００℃以上７００
℃以下で熱処理を施す熱処理工程をさらに含む。この場
合には、過酷な制動条件下と同じ条件の熱処理を予め施
しておくことにより、高温時において摩擦力を向上させ
る効果がさらに発揮される。この理由は、ニッケルタン
グステン合金めっきの持つ高温での摩擦力の増大効果が
さらに促進されるためではないかと推察される。望まし
くは４５０℃以上６５０℃以下、さらに望ましくは５０
０℃以上６００度以下の温度域で熱処理することで、高
温時における制動力に対してさらなる優れた効果を示す
ことができる。
明１０から１４のいずれかに記載の方法において、ニッ
ケルタングステン合金めっき層に、４００℃以上７００
℃以下で熱処理を施す熱処理工程をさらに含む。この場
合には、過酷な制動条件下と同じ条件の熱処理を予め施
しておくことにより、高温時において摩擦力を向上させ
る効果がさらに発揮される。この理由は、ニッケルタン
グステン合金めっきの持つ高温での摩擦力の増大効果が
さらに促進されるためではないかと推察される。望まし
くは４５０℃以上６５０℃以下、さらに望ましくは５０
０℃以上６００度以下の温度域で熱処理することで、高
温時における制動力に対してさらなる優れた効果を示す
ことができる。
【００３２】熱処理工程は、制動装置の圧接面（摩擦
面）にニッケルタングステン合金めっき層の形成時でも
形成後でもよい。熱処理方法は、真空炉、大気炉、ガス
炉、塩浴炉、高周波加熱装置で加熱する方法のいずれで
もその組み合わせでもよく、加熱速度、均一温度保持時
間、冷却速度についてもここでは限定しない。
面）にニッケルタングステン合金めっき層の形成時でも
形成後でもよい。熱処理方法は、真空炉、大気炉、ガス
炉、塩浴炉、高周波加熱装置で加熱する方法のいずれで
もその組み合わせでもよく、加熱速度、均一温度保持時
間、冷却速度についてもここでは限定しない。
【００３３】
【発明の実施の形態】〔実施形態１〕図１は、本発明の
実施形態１によるディスクブレーキ装置１２を搭載した
自転車１０のフロント部分を示している。このような自
転者１０は、当該技術ではと公知であり、自転車の構成
部品についての詳細な説明は省略する。
実施形態１によるディスクブレーキ装置１２を搭載した
自転車１０のフロント部分を示している。このような自
転者１０は、当該技術ではと公知であり、自転車の構成
部品についての詳細な説明は省略する。
【００３４】自転車１０は、従来知られたものであり、
ハンドルバー１５を有する自転車フレーム１４と、フロ
ント及びリアフォーク１６（フロントフォークのみ図
示）と、前後輪１７（前輪のみ図示）と、スプロケット
やチェーンを含む駆動装置とを含んでいる。ディスクブ
レーキ装置１２は、ダブルクラウン型のサスペンション
付きのフロントフォーク１６に装着されたブレーキキャ
リパ２１と、ディスクロータ２２と、ブレーキ作動機構
２３とを備えている。
ハンドルバー１５を有する自転車フレーム１４と、フロ
ント及びリアフォーク１６（フロントフォークのみ図
示）と、前後輪１７（前輪のみ図示）と、スプロケット
やチェーンを含む駆動装置とを含んでいる。ディスクブ
レーキ装置１２は、ダブルクラウン型のサスペンション
付きのフロントフォーク１６に装着されたブレーキキャ
リパ２１と、ディスクロータ２２と、ブレーキ作動機構
２３とを備えている。
【００３５】ブレーキキャリパ２１は、ディスクロータ
２２に近接した位置で自転車１０のフロントフォーク１
６に取り付けられており、ディスクロータ２２にその回
転を停止させる締め付け力を加えることができる。図２
及び図３に示すように、ブレーキキャリパ２１は、ハウ
ジング５０と、ピストンユニット５１とを備えている。
ハウジング５０は、たとえばアルミニウム合金などの熱
伝導性材料で構成されており、ボルトで結合された第１
ハウジング部材５２ａと、第２ハウジング部材５２ｂと
を有している。両ハウジング部材５２ａ，５２ｂは実質
的に同じ形状であり、第２ハウジング部材５２ｂには、
ブレーキ作動機構２３の油圧配管８６が連結され、両ハ
ウジング部材５２ａ，５２ｂにブレーキオイルが供給さ
れるようになっている。
２２に近接した位置で自転車１０のフロントフォーク１
６に取り付けられており、ディスクロータ２２にその回
転を停止させる締め付け力を加えることができる。図２
及び図３に示すように、ブレーキキャリパ２１は、ハウ
ジング５０と、ピストンユニット５１とを備えている。
ハウジング５０は、たとえばアルミニウム合金などの熱
伝導性材料で構成されており、ボルトで結合された第１
ハウジング部材５２ａと、第２ハウジング部材５２ｂと
を有している。両ハウジング部材５２ａ，５２ｂは実質
的に同じ形状であり、第２ハウジング部材５２ｂには、
ブレーキ作動機構２３の油圧配管８６が連結され、両ハ
ウジング部材５２ａ，５２ｂにブレーキオイルが供給さ
れるようになっている。
【００３６】また、第２ハウジング部材５２ｂは、ブレ
ーキキャリパ２１をフロントフォーク１６にボルト止め
するための取付部材５４を形成する外向きに延出したフ
ランジを有している。両ハウジング部材５２ａ，５２ｂ
をボルト締めすると、ブレーキスロットがその間に形成
され、その間にディスクロータ２２を収納することがで
きる。また両ハウジング部材５２ａ，５２ｂには、図３
及び図５に示すように、それぞれ２つのピストン７４が
収納される円形のシリンダ部５７ａ，５７ｂと、それぞ
れのシリンダ部５７ａ，５７ｂにブレーキオイルを供給
するための油路５８ａ，５８ｂが形成されている。これ
により、ブレーキ作動機構２３から供給されたブレーキ
オイルは、第２ハウジング部材５２ｂに流入して油路５
８ａ，５８ｂに流入することによってピストンユニット
５１を作動させる。
ーキキャリパ２１をフロントフォーク１６にボルト止め
するための取付部材５４を形成する外向きに延出したフ
ランジを有している。両ハウジング部材５２ａ，５２ｂ
をボルト締めすると、ブレーキスロットがその間に形成
され、その間にディスクロータ２２を収納することがで
きる。また両ハウジング部材５２ａ，５２ｂには、図３
及び図５に示すように、それぞれ２つのピストン７４が
収納される円形のシリンダ部５７ａ，５７ｂと、それぞ
れのシリンダ部５７ａ，５７ｂにブレーキオイルを供給
するための油路５８ａ，５８ｂが形成されている。これ
により、ブレーキ作動機構２３から供給されたブレーキ
オイルは、第２ハウジング部材５２ｂに流入して油路５
８ａ，５８ｂに流入することによってピストンユニット
５１を作動させる。
【００３７】図３に示すように、ピストンユニット５１
は、４つのピストン７４と、１対のブレーキパッド７６
とを有している。ピストン７４は、１対のシリンダ部５
７ａ，５７ｂに摺動自在にはめ込まれており、制動解除
位置と制動位置との間で移動する。ブレーキパッド７６
は、ピストン７４の先端に配置され一体で移動する。し
たがって、ピストン７４が制動解除位置から制動位置に
移動するとブレーキパッド７６も制動解除位置から制動
位置に移動する。制動位置にあるとき、ブレーキパッド
７６はディスクロータ２２を挟持して摩擦係合し、ディ
スクロータ２２を介して前輪１７を制動する。制動解除
位置にあるとき、ブレーキパッド７６はディスクロータ
２２から離れてディスクロータ２２は自由回転可能にな
る。
は、４つのピストン７４と、１対のブレーキパッド７６
とを有している。ピストン７４は、１対のシリンダ部５
７ａ，５７ｂに摺動自在にはめ込まれており、制動解除
位置と制動位置との間で移動する。ブレーキパッド７６
は、ピストン７４の先端に配置され一体で移動する。し
たがって、ピストン７４が制動解除位置から制動位置に
移動するとブレーキパッド７６も制動解除位置から制動
位置に移動する。制動位置にあるとき、ブレーキパッド
７６はディスクロータ２２を挟持して摩擦係合し、ディ
スクロータ２２を介して前輪１７を制動する。制動解除
位置にあるとき、ブレーキパッド７６はディスクロータ
２２から離れてディスクロータ２２は自由回転可能にな
る。
【００３８】ディスクロータ２２は、前輪１７のハブに
固定されており、前輪１７に連動して回転する。ディス
クロータ２２は、図２に示すように、たとえばステンレ
ス合金製の円板部材であり、中心に位置するハブ取付部
２２ａと外周側の摩擦面となるリング状のロータ部２２
ｂとを一体形成したものである。ディスクロータ２２の
ステンレス製の母材９０の表面には、図６に示すよう
に、ニッケルタングステン合金めっき層９１が形成され
ている。このニッケルタングステン合金めっき層９１の
厚みは０．５μｍから１００μｍの範囲が好ましい。こ
のような範囲にあると、めっきコストの極端な上昇を抑
えることができるとともに、使用しても摩擦によりめっ
き層９１が削れ落ちることがなくなる。ニッケルタング
ステン合金めっきの組成は、特に限定しないが、めっき
中におけるタングステンの比率が２０重量％以上８０重
量％以下であることでさらなる効果が期待できるので好
ましい。
固定されており、前輪１７に連動して回転する。ディス
クロータ２２は、図２に示すように、たとえばステンレ
ス合金製の円板部材であり、中心に位置するハブ取付部
２２ａと外周側の摩擦面となるリング状のロータ部２２
ｂとを一体形成したものである。ディスクロータ２２の
ステンレス製の母材９０の表面には、図６に示すよう
に、ニッケルタングステン合金めっき層９１が形成され
ている。このニッケルタングステン合金めっき層９１の
厚みは０．５μｍから１００μｍの範囲が好ましい。こ
のような範囲にあると、めっきコストの極端な上昇を抑
えることができるとともに、使用しても摩擦によりめっ
き層９１が削れ落ちることがなくなる。ニッケルタング
ステン合金めっきの組成は、特に限定しないが、めっき
中におけるタングステンの比率が２０重量％以上８０重
量％以下であることでさらなる効果が期待できるので好
ましい。
【００３９】最表面のニッケルタングステン合金めっき
層９１には、４００℃以上７００℃以下で熱処理が施さ
れている。この場合には、過酷な制動条件下と同じ条件
の熱処理を予め施しておくことにより、高温時において
摩擦力を向上させる効果がさらに発揮される。この理由
は、ニッケルタングステン合金めっきの持つ高温での摩
擦力の増大効果がさらに促進されるためではないかと推
察される。望ましくは４５０℃以上６５０℃以下、さら
に望ましくは５００℃以上６００度以下の温度域で熱処
理することで、高温時における制動力に対してさらなる
優れた効果を示すことができる。
層９１には、４００℃以上７００℃以下で熱処理が施さ
れている。この場合には、過酷な制動条件下と同じ条件
の熱処理を予め施しておくことにより、高温時において
摩擦力を向上させる効果がさらに発揮される。この理由
は、ニッケルタングステン合金めっきの持つ高温での摩
擦力の増大効果がさらに促進されるためではないかと推
察される。望ましくは４５０℃以上６５０℃以下、さら
に望ましくは５００℃以上６００度以下の温度域で熱処
理することで、高温時における制動力に対してさらなる
優れた効果を示すことができる。
【００４０】ブレーキ作動機構２３は、図４及び図５に
示すように、ブレーキキャリパ２１を作動させてディス
クロータ２２を強力に挟持することにより前輪１７に制
動をかけるための機構である。ブレーキ作動機構２３
は、ハンドルバー１５の右端部に一体で取り付けられて
いる。ブレーキ作動機構２３は、ブレーキレバー８０
と、マスターシリンダ８１と、マスターピストン８２
と、オイルタンク８３とを有している。
示すように、ブレーキキャリパ２１を作動させてディス
クロータ２２を強力に挟持することにより前輪１７に制
動をかけるための機構である。ブレーキ作動機構２３
は、ハンドルバー１５の右端部に一体で取り付けられて
いる。ブレーキ作動機構２３は、ブレーキレバー８０
と、マスターシリンダ８１と、マスターピストン８２
と、オイルタンク８３とを有している。
【００４１】ブレーキレバー８０は、図４及び図５に示
すように、ハンドルバー１５に装着されたブラケット８
４と、ブラケット８４に制動位置と制動解除位置とに揺
動自在に装着されたレバー部８５とを有している。ブラ
ケット８４は、マスターシリンダ８１と一体形成されて
おり、マスターピストン８２及びオイルタンク８３はブ
ラケット８４に支持されている。マスターピストン８２
は、マスターシリンダ８１内に移動可能に取り付けられ
ている。さらに具体的に言うと、オイルタンク８３はマ
スターシリンダ８１に取り付けられており、マスターシ
リンダ８１の内孔と連通してそれに作動流体を供給す
る。マスターピストン８２は一端部でレバー部８５に連
結されているため、マスターピストン８２をマスターシ
リンダ８１内で軸方向に移動させることができる。従っ
て、レバー部８５を作動させると、マスターピストン８
２はマスターシリンダ８１内を軸方向に移動する。この
ようにマスターピストン８２がマスターシリンダ８１内
を移動することによって、圧油がブレーキキャリパ２１
に連結された油圧配管８６へ送られる。このため、圧油
がピストン７４およびブレーキパッド７６を移動させて
ディスクロータ２２を挟持し、前輪１７を制動する。
すように、ハンドルバー１５に装着されたブラケット８
４と、ブラケット８４に制動位置と制動解除位置とに揺
動自在に装着されたレバー部８５とを有している。ブラ
ケット８４は、マスターシリンダ８１と一体形成されて
おり、マスターピストン８２及びオイルタンク８３はブ
ラケット８４に支持されている。マスターピストン８２
は、マスターシリンダ８１内に移動可能に取り付けられ
ている。さらに具体的に言うと、オイルタンク８３はマ
スターシリンダ８１に取り付けられており、マスターシ
リンダ８１の内孔と連通してそれに作動流体を供給す
る。マスターピストン８２は一端部でレバー部８５に連
結されているため、マスターピストン８２をマスターシ
リンダ８１内で軸方向に移動させることができる。従っ
て、レバー部８５を作動させると、マスターピストン８
２はマスターシリンダ８１内を軸方向に移動する。この
ようにマスターピストン８２がマスターシリンダ８１内
を移動することによって、圧油がブレーキキャリパ２１
に連結された油圧配管８６へ送られる。このため、圧油
がピストン７４およびブレーキパッド７６を移動させて
ディスクロータ２２を挟持し、前輪１７を制動する。
【００４２】このディスクブレーキ装置１２では、ブレ
ーキ作動機構２３の作動によって、ブレーキキャリパ２
１は、ディスクロータ２２が回転可能な制動解除位置と
ディスクロータ２２に制動力を作用させる制動位置との
間で動作する。ここでは、ディスクロータ２２の表面に
ニッケルタングステン合金めっき層９１を形成している
ので、４００℃から７００℃の通常ではフェード現象が
生じるような、過酷な条件下であっても制動力が低下し
にくく優れた制動力を示すことができる。また、ブレー
キパッド７６側での摩耗も従来より減少し、ブレーキパ
ッド７６の寿命も長くなる。
ーキ作動機構２３の作動によって、ブレーキキャリパ２
１は、ディスクロータ２２が回転可能な制動解除位置と
ディスクロータ２２に制動力を作用させる制動位置との
間で動作する。ここでは、ディスクロータ２２の表面に
ニッケルタングステン合金めっき層９１を形成している
ので、４００℃から７００℃の通常ではフェード現象が
生じるような、過酷な条件下であっても制動力が低下し
にくく優れた制動力を示すことができる。また、ブレー
キパッド７６側での摩耗も従来より減少し、ブレーキパ
ッド７６の寿命も長くなる。
【００４３】このような構成のディスクブレーキ装置１
２のディスクロータ２２は、図７に示すように、以下の
ような工程で製作される。予め、ステンレス合金製の板
材をたとえば打ち抜き加工によりディスクロータ２２の
形状に形成された母材９０を用意する（ステップＳ
１）。次に用意された母材９０にニッケルタングステン
合金めっきを施し、ニッケルタングステン合金めっき層
９１を形成する（ステップＳ２）。そして、適宜の加熱
装置によりニッケルタングステン合金めっき層９１の表
面に４００℃以上７００℃以下で熱処理を施す（ステッ
プＳ３）。
２のディスクロータ２２は、図７に示すように、以下の
ような工程で製作される。予め、ステンレス合金製の板
材をたとえば打ち抜き加工によりディスクロータ２２の
形状に形成された母材９０を用意する（ステップＳ
１）。次に用意された母材９０にニッケルタングステン
合金めっきを施し、ニッケルタングステン合金めっき層
９１を形成する（ステップＳ２）。そして、適宜の加熱
装置によりニッケルタングステン合金めっき層９１の表
面に４００℃以上７００℃以下で熱処理を施す（ステッ
プＳ３）。
【００４４】〔実施形態２〕前記実施形態１では、ディ
スクロータ２２の母材９０の表面にニッケルタングステ
ン合金めっき層９１のみを形成したが、図８に示すよう
に、母材９０の表面にニッケル系めっき層９２を形成
し、さらにその上にニッケルタングステン合金めっき層
９１を形成してもよい。この場合、比較的軟質のニッケ
ル系めっき層９２を母材９０とニッケルタングステン合
金めっき層９１との間に挿入することにより、硬度が徐
々に高くなる傾斜効果を得ることができる。このため、
ニッケルタングステン合金めっき自身が持つ応力を分散
させて剥離耐久性を向上させることができる。ここで、
ニッケル系めっきの種類については、Ｎｉ単体でもよ
く、たとえばＰ，Ｓｎなどとの合金などでもよい。この
場合の製造工程は図９に示すようになる。ここでは、図
７に示した実施形態１の製造工程に対してステップＳ１
の準備工程の後にステップＳ１２でニッケル系めっき処
理を付け加えている。
スクロータ２２の母材９０の表面にニッケルタングステ
ン合金めっき層９１のみを形成したが、図８に示すよう
に、母材９０の表面にニッケル系めっき層９２を形成
し、さらにその上にニッケルタングステン合金めっき層
９１を形成してもよい。この場合、比較的軟質のニッケ
ル系めっき層９２を母材９０とニッケルタングステン合
金めっき層９１との間に挿入することにより、硬度が徐
々に高くなる傾斜効果を得ることができる。このため、
ニッケルタングステン合金めっき自身が持つ応力を分散
させて剥離耐久性を向上させることができる。ここで、
ニッケル系めっきの種類については、Ｎｉ単体でもよ
く、たとえばＰ，Ｓｎなどとの合金などでもよい。この
場合の製造工程は図９に示すようになる。ここでは、図
７に示した実施形態１の製造工程に対してステップＳ１
の準備工程の後にステップＳ１２でニッケル系めっき処
理を付け加えている。
【００４５】〔実施形態３〕図１０に示すように、母材
９０の表面に銅系めっき層９３を形成し、さらにその上
にニッケルタングステン合金めっき層９１を形成しても
よい。この場合、軟質の銅系めっき層９３を母材９０と
ニッケルタングステン合金めっき層９１との間に挿入し
たので、制動装置において優れたコントロール性が得ら
れる。ここで、コントロール性とは、減速・停止時にお
ける制動装置のコントロールのしやすさを意味し、とく
に、ディスクブレーキ装置１２を人間が操る場合の制御
のしやすさを意味する。
９０の表面に銅系めっき層９３を形成し、さらにその上
にニッケルタングステン合金めっき層９１を形成しても
よい。この場合、軟質の銅系めっき層９３を母材９０と
ニッケルタングステン合金めっき層９１との間に挿入し
たので、制動装置において優れたコントロール性が得ら
れる。ここで、コントロール性とは、減速・停止時にお
ける制動装置のコントロールのしやすさを意味し、とく
に、ディスクブレーキ装置１２を人間が操る場合の制御
のしやすさを意味する。
【００４６】この理由としては、柔らかい銅系めっきを
下地として母材９０とニッケルタングステン合金めっき
層９１との間に挿入することで、クッション性が生じ、
制動面（摩擦面）からの僅かな振動などの微小な伝達情
報が増幅され、人間の感覚に対して、より強くフィード
バックされやすいと思わせる効果があるではないかと推
定できる。この場合の製造工程を図１１に示す。ここで
は、図７に示した実施形態１の製造工程に対してステッ
プＳ１の準備工程の後にステップＳ２２で銅系めっき処
理を付け加えている。
下地として母材９０とニッケルタングステン合金めっき
層９１との間に挿入することで、クッション性が生じ、
制動面（摩擦面）からの僅かな振動などの微小な伝達情
報が増幅され、人間の感覚に対して、より強くフィード
バックされやすいと思わせる効果があるではないかと推
定できる。この場合の製造工程を図１１に示す。ここで
は、図７に示した実施形態１の製造工程に対してステッ
プＳ１の準備工程の後にステップＳ２２で銅系めっき処
理を付け加えている。
【００４７】ここで、銅系めっきとしては、Ｃｕ単体の
めっきでもよく、ＣｕとＺｎ，Ｓｎ，Ｎｉの内のいずれ
か１種又は２種以上の合金から構成される合金めっきで
あってもよい。なお、図１２に示すように、銅系めっき
層９３の表面にニッケル系めっき層９２を形成し、さら
にニッケルタングステン合金めっき層９１を形成しても
よい。この場合の製造工程を図１３に示す。この場合に
は、図１１で示した製造工程のステップＳ２２の銅系め
っき処理工程の後にステップＳ３２でニッケル系めっき
処理を付け加えている。
めっきでもよく、ＣｕとＺｎ，Ｓｎ，Ｎｉの内のいずれ
か１種又は２種以上の合金から構成される合金めっきで
あってもよい。なお、図１２に示すように、銅系めっき
層９３の表面にニッケル系めっき層９２を形成し、さら
にニッケルタングステン合金めっき層９１を形成しても
よい。この場合の製造工程を図１３に示す。この場合に
は、図１１で示した製造工程のステップＳ２２の銅系め
っき処理工程の後にステップＳ３２でニッケル系めっき
処理を付け加えている。
【００４８】〔実施形態５〕図１４に示すように、ニッ
ケルタングステン合金めっき層９１の表面に合金めっき
層９４を形成してもよい。この場合には、ニッケルタン
グステン合金めっき層９１の表面に合金系めっき層９４
を形成しているので、水濡れ時においても優れた制動力
を示し制動力の低下を抑えることができる。
ケルタングステン合金めっき層９１の表面に合金めっき
層９４を形成してもよい。この場合には、ニッケルタン
グステン合金めっき層９１の表面に合金系めっき層９４
を形成しているので、水濡れ時においても優れた制動力
を示し制動力の低下を抑えることができる。
【００４９】ここで、合金系めっきとは、Ｓｎ，Ｃｕ，
Ｚｎ，Ｎｉ，Ａｇ，Ｆｅ，Ａｌ，Ｐ，Ｍｎ，Ｂｉ，Ｃｒ
の１種又は２種以上の合金から構成される合金めっきを
意味するが、合金めっきの選択は摩擦の相手材によって
異なるため、ここでは特に限定しない。また、摩擦摩耗
特性を向上させるためには、最表面となるニッケルタン
グステン合金めっき及び／又は合金めっき中に、炭化
物、酸化物、窒化物などの微粒子を介在させてもよい。
この場合の製造工程を図１５に示す。ここでは、図７に
示した製造工程に対してステップＳ３の熱処理工程の後
にステップＳ４２の合金めっき処理を付け加えている。
Ｚｎ，Ｎｉ，Ａｇ，Ｆｅ，Ａｌ，Ｐ，Ｍｎ，Ｂｉ，Ｃｒ
の１種又は２種以上の合金から構成される合金めっきを
意味するが、合金めっきの選択は摩擦の相手材によって
異なるため、ここでは特に限定しない。また、摩擦摩耗
特性を向上させるためには、最表面となるニッケルタン
グステン合金めっき及び／又は合金めっき中に、炭化
物、酸化物、窒化物などの微粒子を介在させてもよい。
この場合の製造工程を図１５に示す。ここでは、図７に
示した製造工程に対してステップＳ３の熱処理工程の後
にステップＳ４２の合金めっき処理を付け加えている。
【００５０】なお、この実施形態５において、実施形態
２〜４のステップＳ３の熱処理工程の後に合金めっき処
理を付け加えてもよい。
２〜４のステップＳ３の熱処理工程の後に合金めっき処
理を付け加えてもよい。
【００５１】
【実施例】本発明の作用効果を実証するために、本発明
者らは以下に示す種々の試験番号のディスクロータを製
作し、それを用いて、急坂制動試験、水濡れ試験、耐食
性試験、及びコントロール性試験の４種の試験を行っ
た。試験には市販のディスクブレーキ装置を装着した自
転車を用いた。ディスクロータには、直径２００ｍｍ×
板厚２ｍｍで材質ＳＵＳ４１０のステンレス合金製の円
板形状のものを用意した。そして、ニッケルタングステ
ン合金めっき層を含むめっき層を形成した本発明の実施
例である試験番号１〜１４のものと、めっき層なし又は
ニッケルタングステン合金めっき層を含まない比較例で
ある試験番号１５〜１９のものとを下記に示す各試験毎
の評価により比較した。また、ブレーキパッドには市販
の銅系焼結体製のものを使用した。さらに、熱処理は、
ニッケルタングステン合金めっき層を形成後、Ｓｎ−Ｎ
ｉ合金めっき層を形成前に、真空炉を用いて５００℃で
３０分間行った。
者らは以下に示す種々の試験番号のディスクロータを製
作し、それを用いて、急坂制動試験、水濡れ試験、耐食
性試験、及びコントロール性試験の４種の試験を行っ
た。試験には市販のディスクブレーキ装置を装着した自
転車を用いた。ディスクロータには、直径２００ｍｍ×
板厚２ｍｍで材質ＳＵＳ４１０のステンレス合金製の円
板形状のものを用意した。そして、ニッケルタングステ
ン合金めっき層を含むめっき層を形成した本発明の実施
例である試験番号１〜１４のものと、めっき層なし又は
ニッケルタングステン合金めっき層を含まない比較例で
ある試験番号１５〜１９のものとを下記に示す各試験毎
の評価により比較した。また、ブレーキパッドには市販
の銅系焼結体製のものを使用した。さらに、熱処理は、
ニッケルタングステン合金めっき層を形成後、Ｓｎ−Ｎ
ｉ合金めっき層を形成前に、真空炉を用いて５００℃で
３０分間行った。
【００５２】ここで、図１６に示す表において、第１層
とは母材直上のめっき層を意味し、第２層、第３層、第
４層の順に表面（摩擦面）に近くなることを意味する。
実施例である試験番号１から１４のディスクロータに
は、いずれも重量％でＮｉが約４５％、Ｗが約５５％で
あり、厚みが１０μｍのＮｉ−Ｗ（ニッケルタングステ
ン）めっき層を第１層から第３層のいずれかの層に形成
した。また、ニッケル系めっき層であるＮｉめっき層
は、電気メッキ法で厚み１０μｍに形成した。さらに、
合金系めっき層であるＳｎ−Ｎｉめっき層は、ピロリン
酸塩浴法で厚み１μｍに形成した。また、銅系めっき層
であるＣｕめっき装置は、硫酸浴法で厚み約５μｍに形
成した。
とは母材直上のめっき層を意味し、第２層、第３層、第
４層の順に表面（摩擦面）に近くなることを意味する。
実施例である試験番号１から１４のディスクロータに
は、いずれも重量％でＮｉが約４５％、Ｗが約５５％で
あり、厚みが１０μｍのＮｉ−Ｗ（ニッケルタングステ
ン）めっき層を第１層から第３層のいずれかの層に形成
した。また、ニッケル系めっき層であるＮｉめっき層
は、電気メッキ法で厚み１０μｍに形成した。さらに、
合金系めっき層であるＳｎ−Ｎｉめっき層は、ピロリン
酸塩浴法で厚み１μｍに形成した。また、銅系めっき層
であるＣｕめっき装置は、硫酸浴法で厚み約５μｍに形
成した。
【００５３】急坂制動試験では、試験走路の走行方向の
勾配を約１０％に設定した。乾燥した試験走路につい
て、手動ブレーキによって制動させながら１０００ｍの
距離を下った。また、その直後にＪＩＳ Ｄ ９２０１
に記載の乾燥時の試験方法で制動距離を計測した。急制
動試験の評価については以下の通りである。
勾配を約１０％に設定した。乾燥した試験走路につい
て、手動ブレーキによって制動させながら１０００ｍの
距離を下った。また、その直後にＪＩＳ Ｄ ９２０１
に記載の乾燥時の試験方法で制動距離を計測した。急制
動試験の評価については以下の通りである。
【００５４】ＡＡ：急制動中の全試験走路で制動可能で
あり、直後の乾燥時の制動力が４ｍ未満のもの、 Ａ：急制動中の全試験走路で制動可能であり、直後の乾
燥時の制動力が４ｍ以上６ｍ未満のもの、 Ｂ：急制動中の試験走路後半で制動しづらくなり、直後
の乾燥時の制動力が６ｍ未満のもの、 Ｃ：急制動中の試験走路後半で制動しづらくなり、直後
の乾燥時の制動力が６ｍ以上のもの、 水濡れ試験では、ＪＩＳ Ｄ ９２０１に記載の方法で
制動距離を計測した。
あり、直後の乾燥時の制動力が４ｍ未満のもの、 Ａ：急制動中の全試験走路で制動可能であり、直後の乾
燥時の制動力が４ｍ以上６ｍ未満のもの、 Ｂ：急制動中の試験走路後半で制動しづらくなり、直後
の乾燥時の制動力が６ｍ未満のもの、 Ｃ：急制動中の試験走路後半で制動しづらくなり、直後
の乾燥時の制動力が６ｍ以上のもの、 水濡れ試験では、ＪＩＳ Ｄ ９２０１に記載の方法で
制動距離を計測した。
【００５５】水濡れ試験の評価については以下の通りで
ある。 Ａ：水濡れ時の制動距離が６ｍ未満のもの、 Ｂ：水濡れ時の制動距離が６ｍ以上８ｍ未満のもの、 Ｃ：水濡れ時の制動距離が８ｍ以上のもの、 耐食性試験では、ＪＩＳ Ｈ ８５０２（めっき耐食性
試験方法）に記載のキャス試験方法で試験時間は２４時
間で実施し、腐食発生状態を目視で評価した。
ある。 Ａ：水濡れ時の制動距離が６ｍ未満のもの、 Ｂ：水濡れ時の制動距離が６ｍ以上８ｍ未満のもの、 Ｃ：水濡れ時の制動距離が８ｍ以上のもの、 耐食性試験では、ＪＩＳ Ｈ ８５０２（めっき耐食性
試験方法）に記載のキャス試験方法で試験時間は２４時
間で実施し、腐食発生状態を目視で評価した。
【００５６】耐食性試験の評価については以下の通りで
ある Ａ：腐食・変色部なし、 Ｂ：腐食・変色部がほとんどない、 Ｃ：腐食・変色部が見受けられる、 Ｄ：腐食・変色部が全面に見受けられる、 ブレーキにおけるコントロール性の評価試験は、無作為
に抽出された自転車試乗員１２０人による官能評価試験
を実施し、従来技術であるめっき無しのディスクロータ
を装着した試験番号１５を基準値とする自転車実便覧
（第４版）１０４４頁に記載の４段階評価を行った。ま
た、他の試験においても、従来技術である試験番号１５
の比較例を基準値として採用した。
ある Ａ：腐食・変色部なし、 Ｂ：腐食・変色部がほとんどない、 Ｃ：腐食・変色部が見受けられる、 Ｄ：腐食・変色部が全面に見受けられる、 ブレーキにおけるコントロール性の評価試験は、無作為
に抽出された自転車試乗員１２０人による官能評価試験
を実施し、従来技術であるめっき無しのディスクロータ
を装着した試験番号１５を基準値とする自転車実便覧
（第４版）１０４４頁に記載の４段階評価を行った。ま
た、他の試験においても、従来技術である試験番号１５
の比較例を基準値として採用した。
【００５７】コントロール試験の評価は以下の通りであ
る。 ＡＡ：非常に優れている（試乗員の８０％以上が優れて
いると評価） Ａ：優れている（試乗員の６０％以上８０％未満が優れ
ていると評価） Ｂ：普通（試乗員の４０％以上６０％未満が優れている
と評価） Ｃ：悪い（試乗員の４０％未満が優れていると評価） 図１６から明らかなように、熱処理を行っていない本発
明の実施例である試験番号１〜７のものでは、急坂制動
試験において、急制動中の全試験走路において優れた制
動力を維持することがわかった。その直後の制動試験に
おいても、制動距離が６ｍ未満であることからフェード
現象は認められず、制動面も制動による変色も見られな
いことから外観上も好ましく、優れた制動特性を示すこ
とがわかった。
る。 ＡＡ：非常に優れている（試乗員の８０％以上が優れて
いると評価） Ａ：優れている（試乗員の６０％以上８０％未満が優れ
ていると評価） Ｂ：普通（試乗員の４０％以上６０％未満が優れている
と評価） Ｃ：悪い（試乗員の４０％未満が優れていると評価） 図１６から明らかなように、熱処理を行っていない本発
明の実施例である試験番号１〜７のものでは、急坂制動
試験において、急制動中の全試験走路において優れた制
動力を維持することがわかった。その直後の制動試験に
おいても、制動距離が６ｍ未満であることからフェード
現象は認められず、制動面も制動による変色も見られな
いことから外観上も好ましく、優れた制動特性を示すこ
とがわかった。
【００５８】熱処理を行った実施例である試験番号８〜
１４のものでは、急坂制動試験において、急制動中の全
試験走路において優れた制動力を維持し、その直後の制
動試験においても、制動距離が４ｍ未満であることから
フェード現象は認められず、制動面も制動による変色も
見られないことから外観上も好ましく、さらに優れた制
動特性を示すことがわかった。
１４のものでは、急坂制動試験において、急制動中の全
試験走路において優れた制動力を維持し、その直後の制
動試験においても、制動距離が４ｍ未満であることから
フェード現象は認められず、制動面も制動による変色も
見られないことから外観上も好ましく、さらに優れた制
動特性を示すことがわかった。
【００５９】これに対して、比較例である試験番号１
５，１６のものでは、急坂制動試験において、急坂制動
中の試験走路後半において、制動しづらくなることがあ
った。また、その直後の制動試験においては制動距離が
６ｍ未満であることから顕著なフェード現象はみられな
いが、制動面は制動により酸化されたような茶褐色の変
色が認められ、外観面で劣ることがわかった。比較例で
ある試験番号１７〜１９のものでは、急坂制動試験にお
いて、急坂制動中の試験走路後半において、制動しづら
くなることがあった。また、その直後の制動試験におい
ては制動距離が６ｍ以上であることからフェード現象が
みられ、制動面は制動により酸化されたような茶褐色の
変色が認められ、外観面で劣ることがわかった。
５，１６のものでは、急坂制動試験において、急坂制動
中の試験走路後半において、制動しづらくなることがあ
った。また、その直後の制動試験においては制動距離が
６ｍ未満であることから顕著なフェード現象はみられな
いが、制動面は制動により酸化されたような茶褐色の変
色が認められ、外観面で劣ることがわかった。比較例で
ある試験番号１７〜１９のものでは、急坂制動試験にお
いて、急坂制動中の試験走路後半において、制動しづら
くなることがあった。また、その直後の制動試験におい
ては制動距離が６ｍ以上であることからフェード現象が
みられ、制動面は制動により酸化されたような茶褐色の
変色が認められ、外観面で劣ることがわかった。
【００６０】これらのことから、ニッケルタングステン
合金めっき層を形成することにより、通常ではフェード
現象が生じるような、過酷な条件下であっても制動力が
低下しにくく優れた制動力を示すことができることがわ
かった。また、とくに熱処理を施したものでは、制動距
離がさらに短くなり、その効果がさらに顕著になること
がわかった。
合金めっき層を形成することにより、通常ではフェード
現象が生じるような、過酷な条件下であっても制動力が
低下しにくく優れた制動力を示すことができることがわ
かった。また、とくに熱処理を施したものでは、制動距
離がさらに短くなり、その効果がさらに顕著になること
がわかった。
【００６１】水濡れ試験では、合金系めっき層を形成し
ていない実施例である試験番号１，３，５，８，１０，
１２のものでは、制動距離が６ｍ以上８ｍ未満であり、
基準値である試験番号１５の比較例とほぼ同じレベルで
あることがわかった。それに対して、合金系めっき層を
表面に形成した実施例である試験番号２，４，６，７，
９，１１，１３，１４のものでは、制動距離が６ｍ未満
であり、基準値である試験番号１５の比較例のものを超
えた優れた水濡れ制動性能が得られることがわかった。
なお、比較例である試験番号１７、１８のものでは、制
動距離が８ｍ以上であり本実施例より大きく劣ることが
わかった。また、試験番号１６，１９のものでは制動距
離が６ｍ以上８ｍ未満であり、合金系めっき層を形成し
た実施例に比べて劣ることがわかった。
ていない実施例である試験番号１，３，５，８，１０，
１２のものでは、制動距離が６ｍ以上８ｍ未満であり、
基準値である試験番号１５の比較例とほぼ同じレベルで
あることがわかった。それに対して、合金系めっき層を
表面に形成した実施例である試験番号２，４，６，７，
９，１１，１３，１４のものでは、制動距離が６ｍ未満
であり、基準値である試験番号１５の比較例のものを超
えた優れた水濡れ制動性能が得られることがわかった。
なお、比較例である試験番号１７、１８のものでは、制
動距離が８ｍ以上であり本実施例より大きく劣ることが
わかった。また、試験番号１６，１９のものでは制動距
離が６ｍ以上８ｍ未満であり、合金系めっき層を形成し
た実施例に比べて劣ることがわかった。
【００６２】耐食性試験では、合金系めっき層を形成し
た実施例である試験番号２，４，６，７，９，１１，１
３，１４のものでは、腐食・変色部が認められず、優れ
た耐食性を示し、外観上も好ましいことがわかった。合
金系めっき層を形成していない実施例である試験番号
１，３，５，８，１０，１２のものでも、基準値である
試験番号１５とほぼ同じレベルであり、腐食・変色部の
面積率は、０．０２％以下（ＪＩＳ Ｈ８５０２に記載
されているレイティングナンバで９．８）であり、腐食
・変色部はほとんど認められないことがわかった。
た実施例である試験番号２，４，６，７，９，１１，１
３，１４のものでは、腐食・変色部が認められず、優れ
た耐食性を示し、外観上も好ましいことがわかった。合
金系めっき層を形成していない実施例である試験番号
１，３，５，８，１０，１２のものでも、基準値である
試験番号１５とほぼ同じレベルであり、腐食・変色部の
面積率は、０．０２％以下（ＪＩＳ Ｈ８５０２に記載
されているレイティングナンバで９．８）であり、腐食
・変色部はほとんど認められないことがわかった。
【００６３】これらのデータから耐食性及び水濡れ制動
性を向上させるには合金系めっき層を表面に形成すると
よいことがわかった。コントロール性評価試験では、銅
系めっき層を形成した実施例である試験番号５〜７及び
１２〜１４のものでは、コントロール性能が優れている
と評価した試乗員は、全回答数の８０％以上であること
から、非常に優れたコントロール性能を有することがわ
かった。また、銅系めっき層を形成していない実施例で
ある試験番号１〜４及び８〜１１のものでも、コントロ
ール性能が優れていると評価した試乗員が、全回答数の
６０％以上８０％未満であることから、優れたコントロ
ール性能を有することがわかった。全体として実施例で
は、優れたコントロール性能が得られることがわかっ
た。
性を向上させるには合金系めっき層を表面に形成すると
よいことがわかった。コントロール性評価試験では、銅
系めっき層を形成した実施例である試験番号５〜７及び
１２〜１４のものでは、コントロール性能が優れている
と評価した試乗員は、全回答数の８０％以上であること
から、非常に優れたコントロール性能を有することがわ
かった。また、銅系めっき層を形成していない実施例で
ある試験番号１〜４及び８〜１１のものでも、コントロ
ール性能が優れていると評価した試乗員が、全回答数の
６０％以上８０％未満であることから、優れたコントロ
ール性能を有することがわかった。全体として実施例で
は、優れたコントロール性能が得られることがわかっ
た。
【００６４】一方、比較例では、試験番号１６のもの
は、優れていると評価した試乗員は４０％以上６０％未
満だったことから、基準値である試験番号１５と同等レ
ベルであることから普通のレベルのコントロール性を有
することがわかった。比較例である試験番号１７〜１９
のものは、優れていると評価した試乗員は４０％未満で
あったこと、また、タッチ感がない、応答性がよくない
等のコメントも多かったことから、コントロール性が悪
いと判断した。
は、優れていると評価した試乗員は４０％以上６０％未
満だったことから、基準値である試験番号１５と同等レ
ベルであることから普通のレベルのコントロール性を有
することがわかった。比較例である試験番号１７〜１９
のものは、優れていると評価した試乗員は４０％未満で
あったこと、また、タッチ感がない、応答性がよくない
等のコメントも多かったことから、コントロール性が悪
いと判断した。
【００６５】これらのことから、銅系めっき層を母材表
面に形成することによりコントロール性が向上すること
がわかった。また、母材表面に直接ニッケルタングステ
ン合金めっき層を形成した試験番号１のものと、母材表
面にニッケル系めっき層を形成した後ニッケルタングス
テン合金めっき層を形成した試験番号３のものと、従来
例としての試験番号１５のものとを装着し、それぞれ２
００ｋｍの走行距離で制動実験を行い、そのめっき層の
剥離強度についてデータをとった。その結果、試験番号
３のものでは表面のあらさがほとんど変化していなかっ
た。一方、試験番号１のものでは表面のあらさが僅かに
変化し、一部にめっきの剥離と思われる僅かな凹みが確
認された。さらに試験番号１５のものでは、表面に円周
状の摩耗傷が確認された。これらのことから、ニッケル
系めっき層を形成することにより耐久性が向上するとい
う効果が確認された。また、このときのブレーキパッド
の摩耗量は、実施例である試験番号１及び３を装着した
ものが、試験番号１５を装着したものに比べて少なかっ
た。
面に形成することによりコントロール性が向上すること
がわかった。また、母材表面に直接ニッケルタングステ
ン合金めっき層を形成した試験番号１のものと、母材表
面にニッケル系めっき層を形成した後ニッケルタングス
テン合金めっき層を形成した試験番号３のものと、従来
例としての試験番号１５のものとを装着し、それぞれ２
００ｋｍの走行距離で制動実験を行い、そのめっき層の
剥離強度についてデータをとった。その結果、試験番号
３のものでは表面のあらさがほとんど変化していなかっ
た。一方、試験番号１のものでは表面のあらさが僅かに
変化し、一部にめっきの剥離と思われる僅かな凹みが確
認された。さらに試験番号１５のものでは、表面に円周
状の摩耗傷が確認された。これらのことから、ニッケル
系めっき層を形成することにより耐久性が向上するとい
う効果が確認された。また、このときのブレーキパッド
の摩耗量は、実施例である試験番号１及び３を装着した
ものが、試験番号１５を装着したものに比べて少なかっ
た。
【００６６】〔他の実施形態〕
（ａ） 前記実施形態では、制動装置として自転車用の
ディスクブレーキ装置を例示したが、本発明に係る制動
装置はこれに限定されず、摩擦力を利用した全てのタイ
プの制動装置に適用できる。たとえば、自転車の制動装
置の場合、ドラムブレーキ装置、ローラブレーキ装置、
コースタブレーキ装置、キャリパブレーキ装置、カンチ
レバーブレーキ装置、バンドブレーキ装置などに適用で
きる。キャリパブレーキ装置やカンチレバーブレーキ装
置などの車輪のリムを制動する制動装置の場合には、リ
ム及びシューのいずれかの摩擦面又は両者の摩擦面にニ
ッケルタングステン合金めっき層を形成すればよい。ド
ラムブレーキ装置やローラブレーキなどの内拡式制動装
置及びバンドブレーキ装置の場合、ブレーキドラム及び
それと摩擦するブレーキバンドやブレーキシューのいず
れかの摩擦面又は両者の摩擦面にニッケルタングステン
合金めっき層を形成すればよい。コースタブレーキの場
合、ハブシェル及びブレーキシューのいずれかの摩擦面
又は両者の摩擦面にニッケルタングステン合金めっき層
を形成すればよい。
ディスクブレーキ装置を例示したが、本発明に係る制動
装置はこれに限定されず、摩擦力を利用した全てのタイ
プの制動装置に適用できる。たとえば、自転車の制動装
置の場合、ドラムブレーキ装置、ローラブレーキ装置、
コースタブレーキ装置、キャリパブレーキ装置、カンチ
レバーブレーキ装置、バンドブレーキ装置などに適用で
きる。キャリパブレーキ装置やカンチレバーブレーキ装
置などの車輪のリムを制動する制動装置の場合には、リ
ム及びシューのいずれかの摩擦面又は両者の摩擦面にニ
ッケルタングステン合金めっき層を形成すればよい。ド
ラムブレーキ装置やローラブレーキなどの内拡式制動装
置及びバンドブレーキ装置の場合、ブレーキドラム及び
それと摩擦するブレーキバンドやブレーキシューのいず
れかの摩擦面又は両者の摩擦面にニッケルタングステン
合金めっき層を形成すればよい。コースタブレーキの場
合、ハブシェル及びブレーキシューのいずれかの摩擦面
又は両者の摩擦面にニッケルタングステン合金めっき層
を形成すればよい。
【００６７】（ｂ） 前記実施形態では、運動体（前
輪）に連動する第１部材（ディスクロータ）の摩擦面に
ニッケルタングステン合金めっき層を形成したが、第２
部材（ブレーキパッド）又は両方の摩擦面にニッケルタ
ングステン合金めっき層を形成してもよい。 （ｃ） 本願発明が適用される制動装置としては、自転
車以外の二輪車や自動車や鉄道車両などの車両、各種機
械などに使用されるものであってもよい。
輪）に連動する第１部材（ディスクロータ）の摩擦面に
ニッケルタングステン合金めっき層を形成したが、第２
部材（ブレーキパッド）又は両方の摩擦面にニッケルタ
ングステン合金めっき層を形成してもよい。 （ｃ） 本願発明が適用される制動装置としては、自転
車以外の二輪車や自動車や鉄道車両などの車両、各種機
械などに使用されるものであってもよい。
【００６８】（ｄ） 前記実施形態では、ディスクロー
タの材質をステンレス合金製にしたが、ディスクロータ
の材質は、ステンレス合金、鉄、アルミニウム合金、マ
グネシウム合金、チタン合金のいずれかを含む金属製で
あってもよく、また、カーボングラファイトなどの耐熱
性を有し硬質な非金属製でもよい。
タの材質をステンレス合金製にしたが、ディスクロータ
の材質は、ステンレス合金、鉄、アルミニウム合金、マ
グネシウム合金、チタン合金のいずれかを含む金属製で
あってもよく、また、カーボングラファイトなどの耐熱
性を有し硬質な非金属製でもよい。
【００６９】
【発明の効果】本発明によれば、第１部材及び第２部材
の摩擦面の少なくともいずれかにニッケルタングステン
合金めっき層を形成したので、４００℃から７００℃の
通常ではフェード現象が生じるような、過酷な条件下で
あっても制動力が低下しにくく優れた制動力を示すこと
ができる。
の摩擦面の少なくともいずれかにニッケルタングステン
合金めっき層を形成したので、４００℃から７００℃の
通常ではフェード現象が生じるような、過酷な条件下で
あっても制動力が低下しにくく優れた制動力を示すこと
ができる。
【００７０】別の発明によれば、ニッケルタングステン
合金めっき層の表面に合金系めっき層を形成しているの
で、水濡れ時においても優れた制動力を示し制動力の低
下を抑えることができる。
合金めっき層の表面に合金系めっき層を形成しているの
で、水濡れ時においても優れた制動力を示し制動力の低
下を抑えることができる。
【図１】本発明の実施形態１を採用した自転車の前部側
面図。
面図。
【図２】そのディスクロータ部分の側面図。
【図３】ブレーキキャリパの分解模式図。
【図４】ブレーキ作動機構の上面図。
【図５】ディスクブレーキ装置の概略構成図。
【図６】実施形態１のディスクロータの断面模式図。
【図７】実施形態１の製造工程を示すフローチャート。
【図８】実施形態２の図６に相当する図。
【図９】実施形態２の図７に相当する図。
【図１０】実施形態３の図６に相当する図。
【図１１】実施形態３の図７に相当する図。
【図１２】実施形態４の図６に相当する図。
【図１３】実施形態４の図７に相当する図。
【図１４】実施形態５の図６に相当する図。
【図１５】実施形態５の図７に相当する図。
【図１６】各種の試験結果を示す表
１０ 自転車
１２ ディスクブレーキ装置
２１ ブレーキキャリパ
２２ ディスクロータ
７４ ブレーキパッド
９０ 母材
９１ ニッケルタングステン合金めっき層
９２ ニッケル系めっき層
９３ 銅系めっき層
９４ 合金系めっき層
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 ＦＩ テーマコート゛(参考）
Ｃ２５Ｄ 7/00 Ｃ２５Ｄ 7/00 Ｃ
Ｆ１６Ｄ 65/12 Ｆ１６Ｄ 65/12 Ａ
Ｅ
Ｕ
Ｚ
Ｆターム(参考） 3J058 AA43 AA48 AA53 AA62 AA73
AA77 AA84 AA87 BA34 BA44
BA70 BA76 CB28 CC02 CC22
CC32 CC82 EA02 EA09 EA34
FA02 FA09
4K024 AA09 AA14 AB02 AB03 BA02
BB04 BC10 GA03
Claims (15)
- 【請求項１】摩擦力を利用して運動している物体を制動
する制動装置であって、 前記物体と連動して運動する第１部材と、 前記第１部材を摩擦して制動する第２部材と、 前記第１部材及び第２部材の摩擦面の少なくともいずれ
かに形成されたニッケルタングステン合金めっき層と、
を備えた制動装置。 - 【請求項２】摩擦力を利用して運動している物体を制動
する制動装置であって、 前記物体と連動して運動する第１部材と、 前記第１部材を摩擦して制動する第２部材と、 前記第１部材及び第２部材の摩擦面の少なくともいずれ
かに形成されたニッケル系めっき層と、 前記ニッケル系めっき層の表面に形成されたニッケルタ
ングステン合金めっき層と、を備えた制動装置。 - 【請求項３】摩擦力を利用して運動している物体を制動
する制動装置であって、 前記物体と連動して運動する第１部材と、 前記第１部材を摩擦して制動する第２部材と、 前記第１部材及び第２部材の摩擦面の少なくともいずれ
かに形成された銅系めっき層と、 前記銅系めっき層の表面に形成されたニッケルタングス
テン合金めっき層と、を備えた制動装置。 - 【請求項４】摩擦力を利用して運動している物体を制動
する制動装置であって、 前記物体と連動して運動する第１部材と、 前記第１部材を摩擦して制動する第２部材と、 前記第１部材及び第２部材の摩擦面の少なくともいずれ
かに形成された銅系めっき層と、 前記銅系めっき層の表面に形成されたニッケル系めっき
層と、 前記ニッケル系めっき層の表面に形成されたニッケルタ
ングステン合金めっき層と、を備えた制動装置。 - 【請求項５】前記ニッケルタングステン合金めっき層の
表面に形成された合金系めっき層をさらに備える、請求
項１から４のいずれかに記載の制動装置。 - 【請求項６】前記ニッケルタングステン合金めっき層の
厚みは、０．５μｍ以上１００μｍ以下である、請求項
１から５のいずれかに記載の制動装置。 - 【請求項７】前記第１部材は自転車の車輪に回転不能に
装着されるディスクロータであり、 前記第２部材は、前記自転車のフレームに固定されるキ
ャリパに装着され前記ディスクロータに圧接するブレー
キパッドである、請求項１から６のいずれかに記載の制
動装置。 - 【請求項８】前記各めっき層は、前記ディスクロータの
少なくとも前記摩擦面に形成されている、請求項７に記
載の制動装置。 - 【請求項９】前記ディスクロータはステンレス合金、
鉄、アルミニウム合金、マグネシウム合金、チタン合金
のいずれかを含む金属製である、請求項８に記載の制動
装置。 - 【請求項１０】摩擦力を利用して運動する物体を制動す
る制動装置の製造方法であって、 前記物体と連動する第１部材及び前記第１部材を摩擦し
て制動する第２部材とを用意する準備工程と、 前記用意された第１部材及び第２部材の摩擦面の少なく
ともいずれかにニッケルタングステン合金めっき層を形
成するニッケルタングステン合金めっき工程と、を含む
制動装置の製造方法。 - 【請求項１１】摩擦力を利用して運動する物体を制動す
る制動装置の製造方法であって、 前記物体と連動する第１部材及び前記第１部材を摩擦し
て制動する第２部材とを用意する準備工程と、 前記用意された第１部材及び第２部材の摩擦面の少なく
ともいずれかにニッケル系めっき層を形成するニッケル
系めっき工程と、 前記ニッケル系めっき層の表面にニッケルタングステン
合金めっき層を形成するニッケルタングステン合金めっ
き工程と、を含む制動装置の製造方法。 - 【請求項１２】摩擦力を利用して運動している物体を制
動する制動装置の製造方法であって、 前記物体と連動する第１部材及び前記第１部材を摩擦し
て制動する第２部材とを用意する準備工程と、 前記用意された第１部材及び第２部材の摩擦面の少なく
ともいずれかに銅系めっき層を形成する銅系めっき工程
と、 前記銅系めっき層の表面にニッケルタングステン合金め
っき層を形成するニッケルタングステン合金めっき工程
と、を含む制動装置の製造方法。 - 【請求項１３】摩擦力を利用して運動している物体を制
動する制動装置の製造方法であって、 前記物体と連動する第１部材及び前記第１部材を摩擦し
て制動する第２部材とを用意する準備工程と、 前記用意された第１部材及び第２部材の摩擦面の少なく
ともいずれかに銅系めっき層を形成する銅系めっき工程
と、 前記銅系めっき層の表面にニッケル系めっき層を形成す
るニッケル系めっき工程と、 前記ニッケル系めっき層の表面にニッケルタングステン
合金めっき層を形成するニッケルタングステン合金めっ
き工程と、を含む制動装置の製造方法。 - 【請求項１４】前記ニッケルタングステン合金めっき層
の表面に合金系めっき層を形成する合金系めっき工程を
さらに含む、請求項１０から１３のいずれかに記載の制
動装置の製造方法。 - 【請求項１５】前記ニッケルタングステン合金めっき層
に、４００℃以上７００℃以下で熱処理を施す熱処理工
程をさらに含む、請求項１０から１４のいずれかに記載
の制動装置の製造方法。
Priority Applications (7)
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|---|---|---|---|
| JP2001215295A JP3654854B2 (ja) | 2001-07-16 | 2001-07-16 | 自転車用ディスクブレーキ装置及びそのディスクロータの製造方法 |
| CN02126205.5A CN1279294C (zh) | 2001-07-16 | 2002-07-15 | 制动装置及其制造方法 |
| US10/196,084 US20030010585A1 (en) | 2001-07-16 | 2002-07-15 | Braking member and method of manufacturing same |
| TW091115715A TW590942B (en) | 2001-07-16 | 2002-07-15 | Brake device, and method for manufacturing the same |
| DE60207937T DE60207937T2 (de) | 2001-07-16 | 2002-07-16 | Bremsvorrichtung und Methode die Ni-W Legierungsplattierung verwenden |
| AT02015644T ATE313028T1 (de) | 2001-07-16 | 2002-07-16 | Bremsvorrichtung und methode die ni-w legierungsplattierung verwenden |
| EP02015644A EP1277983B1 (en) | 2001-07-16 | 2002-07-16 | Brake device & method using Ni-W alloy plating |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001215295A JP3654854B2 (ja) | 2001-07-16 | 2001-07-16 | 自転車用ディスクブレーキ装置及びそのディスクロータの製造方法 |
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| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2003028219A true JP2003028219A (ja) | 2003-01-29 |
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