JP2000346108A - ディスクブレーキ用ロータ - Google Patents

ディスクブレーキ用ロータ

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JP2000346108A JP15466099A JP15466099A JP2000346108A JP 2000346108 A JP2000346108 A JP 2000346108A JP 15466099 A JP15466099 A JP 15466099A JP 15466099 A JP15466099 A JP 15466099A JP 2000346108 A JP2000346108 A JP 2000346108A
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brake rotor
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誠一 遠藤
Junichi Takahashi
純一 高橋
Shinji Horigome
信司 堀込
Hideaki Nagayoshi
英昭 永吉
Toshiki Yoshida
敏樹 吉田
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Tokyo Buhin Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱亀裂性、耐摩耗性に優れ、機
械的性質が(JIS)FC150以上で、特に大型トラ
ックに適用できるディスクブレーキ用ロータを得る。 【解決手段】 ノンアスベスト系のパッドで制動
面が600℃となるよう制動後150℃までの放冷を6
00回繰り返す制動試験の後において、制動面の平均亀
裂深さが50μm以下、最大亀裂深さが100μm以
下、またはさらに摩耗量が10g/cm2 以下とする。
そして、このディスクブレーキ用ロータは、質量比で、
C:3.5〜4.2%、Si:1.5〜3.0%、M
n:0.5%未満、P:0.04%以下、S:0.12
%以下、Cu:2%以下、Ni:0.5%を超え3.0
%以下、Cr:0.5%を超え1.5%以下、Sn:
0.01〜0.05%を含み、残部Feと不可避的不純
物からなり、黒鉛との基地境界で幅10〜20ÅにSn
が濃化している片状黒鉛鋳鉄からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動車のディスクブ
レーキ用ロータに関し、特に大型トラック用に最適な片
状黒鉛鋳鉄からなるディスクブレーキ用ロータに関す
る。
【0002】
【従来の技術】ディスクブレーキは、車輪と一体となっ
て回転するディスクブレーキ用ロータの両面に摩擦材を
押し付けて制動力を発生させる要素であり、押し付ける
圧力に対して直線的に制動力が増加するため安定した制
動が得られる。一般に、乗用車用のディスクブレーキ用
ロータとしては、(JIS)FC150以上の片状黒鉛
鋳鉄からなる普通鋳鉄が用いられている。一方、この片
状黒鉛からなる普通鋳鉄、すなわち片状黒鉛鋳鉄にC
u、Ni、Crなどを添加含有させ、ディスクブレーキ
用ロータの耐食性、減衰能、疲労強度、耐熱亀裂性を改
善することも行われてきている。
【0003】例えば、特公昭61−17900号公報に
は、重量%で、炭素当量:3.8〜4.5%の範囲で、
C:2.8〜4.0およびSi:1.5〜3.0を含有
し、さらにMn:0.3〜1.2、P:0.20以下、
S:0.06〜0.25、Cu:0.15〜3.5、C
r:0.05〜0.5、Ni:0.05〜0.5、およ
び残部Feと不純物を含有する耐食性鋳鉄の記載があ
る。そしてこの特公昭61−17900号公報によれ
ば、キュポラ溶解などで得られる比較的低コストな鋳鉄
に所定量のCu、CrおよびNiを添加することによ
り、各種腐食環境下における錆層の生長を大幅に遅ら
せ、また錆層の酸化増量を抑制し、さらに錆層の層状剥
離抵抗性を向上させて、例えばディスクブレーキなどの
構成材料として有効な耐食性鋳鉄となる記載がある。
【0004】また、特開平3−232943号公報に
は、重量%で、炭素当量:4.3〜4.9、Cr:0.
25〜0.5、Sn:0.05〜0.12、Mn:0.
4〜1.2、P:0.1以下、S:0.15以下、およ
び残部Fe、またはさらに、晶出黒鉛の平均周囲長さが
160〜260μmとした高減衰能鋳鉄部品の記載があ
る。そしてこの特開平3−232943号公報によれ
ば、減衰能に優れたものになるとともに、強度、硬度も
十分に確保されることとなり、高減衰性能を有しかつ耐
摩耗性に優れた例えばディスクブレーキ用ロータが得ら
れる記載がある。
【0005】また、特開平10−212545号公報に
は、重量%にしてC:3.10〜3.45、Si:1.
10〜1.50、Mn:0.60〜1.00、Ni:
1.00〜2.00、Cr:0.30〜0.60、M
o:0.30〜0.50、P:0.16以下、S:0.
12以下のほか、Sn+Sb+Cuの合計を0.01〜
0.50、Al:0.01〜0.10を含んで残部がF
eからなり、かつ炭素飽和度(Sc値)=C重量%+
[4.23−(Si重量%/3.2)]で算出される炭
素飽和度が0.82〜0.91の範囲に限られる疲労強
度に優れたディスクブレーキ材料の記載がある。そして
この特開平10−212545号公報によれば、耐熱亀
裂性、引張強さ、引張・圧縮疲労限の各要素間の理想的
な平衡関係を確立できるとの記載がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来、最大積載量が4
000kgを超える大型トラックなどは、大きな制動力
を要するので、車輪と一体となって回転するブレーキ用
ドラムにブレーキシューに貼り付けた摩擦材を押し付け
てブレーキ用ドラムの回転を摩擦力で止めるドラムブレ
ーキ方式が採用されている。近年、大型トラックにおい
ては、高速性能や、制動の繰り返しあるいは高速からの
制動により、摩擦材の温度が上昇してブレーキの効きが
低下するのを抑制する、いわゆる耐フェードなどの安全
性、耐久性、整備性などの観点から、前述のドラムブレ
ーキ方式に代わりディスクブレーキ方式の採用が検討さ
れている。しかし、大型トラックにディスクブレーキ方
式を採用する場合には、乗用車に比較してディスクブレ
ーキ用ロータの表面温度が高くなる等の苛酷な条件で使
用されるため、ディスクブレーキ用ロータには厳しい耐
熱亀裂性、耐摩耗性、そして機械的強度が必要とされ
る。
【0007】前記特公昭61−17900号公報は、各
種腐食環境下におけるディスクブレーキなどの構成材料
であり、耐熱亀裂性、耐摩耗性についての具体的な開示
や示唆はない。
【0008】また、前記特開平3−232943号公報
は、減衰能を向上させるディスクブレーキ用ロータであ
り、耐熱亀裂性、耐摩耗性についての具体的な開示や示
唆はない。
【0009】また、特開平10−212545号公報
は、耐熱亀裂性を熱亀裂長さで評価する記載、引張強
さ、引張・圧縮疲労限の記載はあるが、ディスクブレー
キ用ロータの耐久性を決定する重要因子である熱亀裂深
さ、亀裂数、および摩耗量の開示や示唆はない。
【0010】大型トラックのディスクブレーキ用ロータ
において、基地組織中の片状黒鉛は、制動時の熱衝撃を
吸収しまた摩耗を減少させる働きをするので、その存在
が不可欠である。一方、基地組織を強化しようとする
と、高硬度となって耐熱衝撃性が低下して亀裂の進行を
早め、また制動を与える側のブレーキパッドを損傷させ
る。また、大型トラックのディスクブレーキ用ロータに
おいては、(JIS)FC150以上の機械的性質が要
求される。前記特公昭61−17900号公報、特開平
3−232943号公報、特開平10−212545号
公報を単に組み合わせた組成のディスクブレーキ用ロー
タとしても、機械的性質確保しつつ、耐熱亀裂性、耐摩
耗性を向上させることは難しい。
【0011】本発明は上記課題に鑑みてなされたもので
あって、耐熱亀裂性、耐摩耗性に優れ、機械的性質が
(JIS)FC150以上で、特に大型トラックに適用
できるディスクブレーキ用ロータを得ることを目的とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、耐熱亀裂
性、耐摩耗性に優れ、機械的強度が(JIS)FC15
0以上で、特に大型トラックに適用できるディスクブレ
ーキ用ロータについて鋭意研究した。そして、耐熱亀裂
性の向上のため炭素含有量を多くし、一方、炭素含有量
を多くしたことに伴う機械的性質の低下を抑えるため、
Cu、Crなどの合金元素を添加してみた。またさらに
Snを添加してみた。Snを添加すると、黒鉛との基地
境界の極狭い範囲にSnが濃化し、この黒鉛との基地境
界へのSnの濃化により、制動による摩擦熱の繰り返し
サイクルによる黒鉛の成長現象が抑制され、また黒鉛に
沿った内部酸化が抑制されることがわかった。その結
果、機械的性質を確保しつつ、熱亀裂深さを減少して耐
熱亀裂性に優れ、摩耗量を大きく改善して耐摩耗性に優
れ、大型トラックなどで過酷に使用しても耐久性が向上
できるディスクブレーキ用ロータが得られるとの知見を
得て本発明に想到した。
【0013】すなわち、第1発明のディスクブレーキ用
ロータは、片状黒鉛鋳鉄からなるディスクブレーキ用ロ
ータであって、ノンアスベスト系パッドで制動面が60
0℃となるよう制動後150℃までの放冷を600回繰
り返す制動試験の後において、前記制動面の平均亀裂深
さが50μm以下であることを特徴とする。
【0014】第2発明のディスクブレーキ用ロータは、
第1発明が、制動試験の後において、制動面の最大亀裂
深さが100μm以下であることを特徴とする。
【0015】第3発明は、第1発明または第2発明のデ
ィスクブレーキ用ロータが、制動試験の後において、制
動面の摩耗量が10mg/cm2 以下であることを特徴
とする。
【0016】第4発明のディスクブレーキ用ロータは、
片状黒鉛鋳鉄からなるディスクブレーキ用ロータであっ
て、前記片状黒鉛鋳鉄が、質量比で、C:3.5〜4.
2%、Si:1.5〜3.0%、Mn:0.5%未満、
P:0.04%以下、S:0.12%以下、Cu:2%
以下、Ni:0.5%を超え3.0%以下、Cr:0.
5%を超え1.5%以下、Sn:0.01〜0.05%
を含み、残部Feと不可避的不純物からなり、黒鉛との
基地境界で幅10〜20ÅにSnが濃化していることを
特徴とする。
【0017】第5発明は、第4発明のディスクブレーキ
用ロータでのSn濃化度が10〜1000であることを
特徴とする。
【0018】第6発明は、第1発明乃至第3発明のディ
スクブレーキ用ロータが、第4発明または第5発明から
なることを特徴とする。
【0019】以下、本発明のディスクブレーキ用ロータ
での限定理由につき説明する。
【0020】(1)制動試験の後において、制動面の平
均亀裂深さが50μm以下 片状黒鉛鋳鉄からなるディスクブレーキ用ロータの耐熱
亀裂性は、ノンアスベスト系パッドで制動面が600℃
となるよう制動後150℃までの放冷を600回繰り返
す制動試験により評価できる。亀裂深さは、制動面の内
部酸化の深さと定義し、この内部酸化の深さを測定す
る。また平均亀裂深さとは、亀裂の制動面に垂直方向の
平均的な深さである。そして、制動試験の後において、
制動面の平均亀裂深さが50μm以下であれば、外径が
400mm以上の大型トラック用のディスクブレーキ用
ロータに適用できる。
【0021】(2)制動試験の後において、制動面の最
大亀裂深さが100μm以下 最大亀裂深さとは、発生した亀裂のうち最大の深さであ
り、この最大亀裂深さが進展して片状黒鉛鋳鉄からなる
ディスクブレーキ用ロータの耐久性に影響を与える。上
述の制動試験の後において、制動面の最大亀裂深さが1
00μm以下であれば、大型トラック用で外径が約40
0mm以上のディスクブレーキ用ロータに適用できる。
【0022】(3)制動試験の後において、制動面の摩
耗量が10mg/cm2 以下 ディスクブレーキ用ロータの耐摩耗性は、制動を受ける
ディスクブレーキ用ロータの単位面積当たりの摩耗量
(例えばmg/cm2 )を測定することで評価できる。
そして、上述の制動試験の後において、制動面の摩耗量
が10mg/cm 2 以下であれば、大型トラック用で例
えば外径が400mm以上のディスクブレーキ用ロータ
に適用できる。
【0023】(4)C(炭素):3.5〜4.2% Cは、鋳鉄の熱伝導率、減衰率を向上させ、耐熱亀裂性
を向上するため、少なくとも3.5%以上の含有が必要
である。一方、Cは、4.2%を超えて含有すると、溶
湯の流動性が低下して鋳造性を悪くするとともに、さら
に粗大な黒鉛が晶出して強度が低下し、耐熱亀裂性を損
うおそれがある。したがって、C:3.5〜4.2%と
する。好ましくは、C:3.7〜4.1%である。
【0024】(5)Si(珪素):1.5〜3.0% Siは、良好な片状黒鉛を析出させ、良好な耐摩耗性を
得るため、少なくとも1.5%以上の含有が必要であ
る。一方、Siは、3.0%を超えて含有させると、引
張強度を低下させ、また基地組織中に固溶して熱伝導率
を低下させる。したがって、Si:1.5〜3.0%と
する。好ましくは、C:2.0〜2.5%である。
【0025】(6)Mn(マンガン):0.5%未満 Mnは、0.5%以上含有させるとチルが発生しやす
く、ディスクブレーキ用ロータとして必要な耐熱亀裂性
を損なう。したがって、Mn:0.5%未満とする。
【0026】(7)P(リン):0.04%以下 Pは、0.04%を超えて含有させるとリンの共晶物を
生成して脆化する。したがって、P:0.04%以下と
する。
【0027】(8)S(硫黄):0.12%以下 Sは、パーライト促進元素であり、0.12%を超えて
含有させるとチルが発生して脆化する。したがって、
S:0.12%以下とする。一方、Sは、共晶セル増加
および黒鉛の湾曲効果により引張強さを上昇させる作用
を有するので、0.06%以上の含有が必要であり、好
ましくは、S:0.06〜0.12%とする。
【0028】(9)Cu(銅):2.0%以下 Cuは、パーライト促進元素であり、引張強さを上昇さ
せる。一方、Cuは、2.0%を超えて含有させるとコ
ストの面から不利となる。したがって、Cu:2.0%
以下とする。好ましくは、Cu:0.5〜1.5%であ
る。
【0029】(10)Ni(ニッケル):0.5%を超
え3.0%以下 Niは、Cuと同じくパーライト促進元素であり、引張
強さを上昇させるので、0.5%を超える含有が必要で
ある。一方、Niは、3.0%を超え含有させるとコス
トの面で不利となる。したがって、Ni:0.5%を超
え3.0%以下である。好ましくは、Ni:0.7〜
1.3%である。
【0030】(11)Cr(クロム):0.5%を超え
1.5%以下 Crは、パーライト促進元素であり、引張強さを上昇さ
せる。また、パーライトのセメンタイト中に濃化し、パ
ーライトを安定化する。すなわち、成長現象を抑制し、
加熱、冷却による体積の変化率が小さくする効果を得る
ため、Crは0.5%を超える含有が有効である。一
方、Crは、1.5%を超えて含有させると、チルが多
量に発生して好ましくない。したがって、Cr:0.5
%を超え1.5%以下である。
【0031】(12)黒鉛との基地境界で幅10〜20
ÅにSn(すず)が濃化し、Sn濃化度:10〜100
0 黒鉛との基地境界の幅10〜20Å(オングストロー
ム)と極狭い範囲にSnを濃化させることで、制動によ
る摩擦熱の繰り返しサイクルによる黒鉛の成長現象を抑
制し、また、黒鉛に沿った内部酸化を抑制できて、熱亀
裂の進展を防止する。また、黒鉛と基地組織とを密着さ
せて熱伝導率を向上する。このような効果を得るため、
黒鉛との基地境界で幅10〜20ÅのSn濃化度は10
以上とする必要がある。一方、黒鉛との基地境界で幅1
0〜20ÅのSn濃化度が1000を超えても、効果が
飽和する。したがって、黒鉛との基地境界で幅10〜2
0ÅのSn濃化度:10〜1000である。ここで、S
nの濃化度とは、黒鉛との基地境界の幅10〜20Åで
のSn含有量(質量%)を、ディスクブレーキ用ロータ
としての材料全体のSn含有量(質量%)で除した値で
ある。
【0032】一方、黒鉛との基地境界で幅10〜20Å
のSn濃化度を10〜1000とするために、Sn:
0.01〜0.05%、好ましくは、Sn:0.01〜
0.03%含有させる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、発明の実施の形態を説明す
る。表1に示す組成となる片状黒鉛鋳鉄を、100kg
用高周波炉を用いて大気溶解し、1500℃以上で出湯
した後、直ちに1450℃以上で注湯して鋳造し、その
後、機械加工を施して制動試験用の供試材を作製した。
【0034】 (表1) 化学組成(質量%) Sn C Si Mn P S Cu Ni Cr Sn 濃化 発明材(上限) 4.2 3.0 <0.5 0.04 0.12 2 3.0 1.5 0.05 1000 (下限) 3.5 1.5 0.06 >0.5 >0.5 0.01 10 発明材1 3.78 2.10 0.36 0.013 0.08 0.95 1.26 0.78 0.026 350 発明材2 3.99 2.33 0.25 0.017 0.08 1.06 1.04 0.55 0.018 300 発明材3 4.03 2.35 0.26 0.016 0.09 1.02 1.00 0.73 0.024 320 発明材4 4.03 2.40 0.26 0.016 0.09 1.02 1.02 0.96 0.022 400 発明材5 4.07 2.41 0.26 0.016 0.09 1.04 1.04 1.35 0.022 150 従来材1 3.72 2.30 0.35 0.020 0.10 1.05 0.30 0.25 0.001 5 従来材2 3.75 2.21 0.78 0.041 0.09 0.06 0.04 0.38 0.07 500 従来材3 3.26 1.30 0.82 0.014 0.08 0.05 1.41 0.43 0.021 300 (注) (1)発明材(上限)および(下限)の記号のうち、<は未満、>は超えるを 示す。 (2)残部は記載しないが、不可避的不純物およびFeである。
【0035】なお、表1において、従来材1は特公平6
1−17900号公報に記載される鋳鉄であり、従来材
2は特開平3−232943号公報に記載される鋳鉄で
あり、従来材3は特開平10−212545号公報に記
載される鋳鉄である。
【0036】発明材1〜5と従来材1〜3について液体
窒素下の低温にて強制破面を出し、表面元素分析法であ
るオージェ電子分光法(AES)により、黒鉛との基地
境界で幅10〜20ÅのSn濃化度を測定した。表1に
黒鉛との基地境界で幅10〜20Åの3点におけるSn
濃化度の平均値を示す。
【0037】次に、各供試材を用いて、以下に述べる評
価試験を行った。 (1)耐熱亀裂性 特に大型トラックに適用されるディスクブレーキ用ロー
タは、ブレーキパッドによる制動で600〜700℃近
くの高温となり、制動が解放されて常温に戻るので、こ
の繰り返し熱サイクルでの耐熱亀裂性が要求される。図
2は、制動試験の模式図である。図2で、5は、表1に
示す組成で外径102mm、内径58mm、厚さ10m
mで制動面5aを形成した供試材、6は、幅50mm×
50mm×厚さ11mm、裏板が6mmで、円周方向に
3等分に配置したノンアスベスト系のパッド、7は、制
動する面から約1mm離れた位置のパッド6内に挿入し
た熱電対である。図2で、熱電対7で検出しつつ、パッ
ド6により制動面5aが600℃となるよう制動後、1
50℃までの放冷を600回繰り返す制動試験を行い、
制動試験前後に制動面5a発生した亀裂のうち3個所に
ついて、その垂直方向の平均亀裂深さ(単位:μm)と
最大亀裂深さ(単位:μm)を測定した。その結果を表
2に示す。
【0038】表2から、発明材1〜5は、制動面5aの
平均亀裂深さが50μm以下、最大亀裂深さが100μ
m以下である。これは、黒鉛との基地境界の極狭い範囲
にSnを偏析させ濃化させることで、制動による摩擦熱
の繰り返しサイクルによる片状黒鉛鋳鉄の成長現象を抑
制し、また黒鉛片に沿った内部酸化を抑制しているから
である。一方、従来材1〜3は、平均亀裂深さ、最大亀
裂深さとも大きい。以上のことから、パッドによる制動
で制動面が600〜700℃近くの高温となり、制動が
解放されて常温に戻るディスクブレーキ用ロータには、
発明材1〜5のものが優れていることがわかる。
【0039】(2)耐摩耗性 特に大型トラックに適用されるディスクブレーキ用ロー
タは、ブレーキパッドによる制動の繰り返しでの耐摩耗
性が要求される。耐摩耗性は、前述の図2に示す制動試
験により、制動試験前後の供試材5の、制動面5aの単
位面積当たりの摩耗量(単位:mg/cm2 )、および
3個のパッド6合計の摩耗量(単位:g)を測定した。
その結果を表2に示す。
【0040】表2から、発明材1〜5は、制動面5aの
摩耗量が10mg/cm2 以下であり、摩耗量が少ない
と評価できる。また制動を与えるパッド6の摩耗量も少
なく、制動面5aがパッド6を攻撃することが少ないこ
とがわかる。一方、従来材1〜3は、制動面5a、パッ
ド7とも摩耗量が多い。以上のことから、ブレーキパッ
ドにより繰り返し制動を受けるディスクブレーキ用ロー
タには、発明材1〜5のものが優れていることがわか
る。
【0041】また、発明材1〜5は、引張強さが200
〜270N/mm2 あり、機械的性質は(JIS)FC
150以上有し、従来材と同等またはそれ以上であっ
た。
【0042】 (表2) 亀裂深さ(μm) 摩耗量 平均 最大 制動面 ハ゜ット 発明材(上限) 50以下 100以下 10mg/cm2 以下 (g) 発明材1 42 86 1.6 1.0 発明材2 40 82 2.4 1.1 発明材3 38 77 1.6 1.1 発明材4 41 80 3.2 1.2 発明材5 45 93 4.9 1.2 従来材1 92 320 11.4 1.7 従来材2 115 455 14.7 1.4 従来材3 160 380 13.9 1.4
【0043】
【実施例】図1は、大型トラック用のディスクブレーキ
用ロータ1を示す横断面図である。ディスクブレーキ用
ロータ1は、外径1aが437mm、内径1bが200
mm、ロータ部1cの幅が38mmであり、ボルト(図
示せず)を挿通する多数の孔1d、トラックのホイール
ハブ(図示せず)に取り付ける取付部1e、ノンアスベ
スト系のパッド2,3で制動を受けるディスク部1f、
1gを有する。図1のディスクブレーキ用ロータ1を表
1の発明材3の組成で作製し、大型トラックに適用し
た。その結果、ディスク部1f、1gは、平均亀裂深さ
が35μm、最大亀裂深さが75μmと、共に小さく、
また摩耗も1.7mg/cm2 と少なく、耐熱亀裂性、
耐摩耗性に優れていた。また、機械的性質は、(JI
S)FC150以上であり、本発明のディスクブレーキ
用ロータが優れた耐久性を有することが確認できた。
【0044】
【発明の効果】本発明のディスクブレーキ用ロータは、
耐熱亀裂性、耐摩耗性に優れ、また機械的性質は従来材
と同等以上であり、乗用車と比較して使用条件の過酷な
大型トラックに適用でき、それのみでなく、中、小トラ
ックや乗用車等に適用しても優れた耐久性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】大型トラック用のディスクブレーキ用ロータを
示す横断面図である。
【図2】制動試験の模式図である。
【符号の説明】
1:ディスクブレーキ用ロータ、2,3:パッド、5:
供試材、5a:制動面、6:パッド、7:熱電対。
フロントページの続き (72)発明者 堀込 信司 神奈川県大和市つきみ野一丁目6番地の1 東京部品工業株式会社内 (72)発明者 永吉 英昭 栃木県真岡市鬼怒ケ丘11番地 日立金属株 式会社素材研究所内 (72)発明者 吉田 敏樹 栃木県真岡市鬼怒ケ丘11番地 日立金属株 式会社素材研究所内 Fターム(参考) 3J058 AA43 AA48 AA53 AA62 AA69 BA31 BA41 CB22 EA05 EA17

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 片状黒鉛鋳鉄からなるディスクブレーキ
    用ロータであって、ノンアスベスト系パッドで制動面が
    600℃となるよう制動後150℃までの放冷を600
    回繰り返す制動試験の後において、前記制動面の平均亀
    裂深さが50μm以下であることを特徴とするディスク
    ブレーキ用ロータ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のディスクブレーキ用ロ
    ータは、前記制動試験の後において、前記制動面の最大
    亀裂深さが100μm以下であることを特徴とするディ
    スクブレーキ用ロータ。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載のディス
    クブレーキ用ロータは、前記制動試験の後において、前
    記制動面の摩耗量が10mg/cm2 以下であることを
    特徴とするディスクブレーキ用ロータ。
  4. 【請求項4】 片状黒鉛鋳鉄からなるディスクブレーキ
    用ロータであって、前記片状黒鉛鋳鉄が、質量比で、
    C:3.5〜4.2%、Si:1.5〜3.0%、M
    n:0.5%未満、P:0.04%以下、S:0.12
    %以下、Cu:2%以下、Ni:0.5%を超え3.0
    %以下、Cr:0.5%を超え1.5%以下、Sn:
    0.01〜0.05%を含み、残部Feと不可避的不純
    物からなり、黒鉛との基地境界で幅10〜20ÅにSn
    が濃化していることを特徴とするディスクブレーキ用ロ
    ータ。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載のディスクブレーキ用ロ
    ータは、前記Sn濃化度が10〜1000であることを
    特徴とするディスクブレーキ用ロータ。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項3何れか1項に記載
    のディスクブレーキ用ロータは、請求項4または請求項
    5記載からなることを特徴とするディスクブレーキ用ロ
    ータ。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20020044867A (ko) * 2000-12-07 2002-06-19 이계안 대형 실린더 헤드용 주철 재료
KR101240970B1 (ko) * 2010-07-27 2013-03-11 현대자동차주식회사 자동차용 브레이크 디스크 및 이의 제조방법
CN111218610A (zh) * 2019-11-29 2020-06-02 西安理工大学 一种铝、镁合金压铸模具专用材料及其制备方法

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