JPH0625795A - 摺動部材 - Google Patents

摺動部材

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JPH0625795A
JPH0625795A JP18238192A JP18238192A JPH0625795A JP H0625795 A JPH0625795 A JP H0625795A JP 18238192 A JP18238192 A JP 18238192A JP 18238192 A JP18238192 A JP 18238192A JP H0625795 A JPH0625795 A JP H0625795A
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JP
Japan
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thermal conductivity
present
sliding
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JP18238192A
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English (en)
Inventor
Masami Suzuki
正実 鈴木
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】材料費及び鋳造性に有利な低合金の鋳鉄よりな
り、所定の強度を確保しつつ、熱伝導率を向上させた摺
動部材を提供する。 【構成】重量比で、C:3.5〜3.8%、Si:1.
6〜2.1%、Mn:0.4〜1.0%、P:0.1%
以下、S:0.15%以下、及びCu、Sn、Sbのう
ちCu:0.30〜0.45%、Sn:0.01〜0.
08%、Sb:0.01〜0.05%の範囲でいずれか
一種を含有し、残部Feからなる。摺動部材として十分
な引張り強度をもつとともに熱放射性に優れるので、熱
変形に起因する制動振動を効果的に抑えることができ、
かつ耐久性にも優れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は車両のブレーキドラムや
ブレーキディスクなどに利用される摺動部材に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車の制動装置として、例えば、車輪
と一体で回る円板型のブレーキディスクを、ライニング
材を張りつけたブレーキパッドで締めつけ、両者の摩擦
により制動力を得るディスクブレーキが知られている。
このようなブレーキディスクなどに利用される摺動部材
には、従来より150〜250MPa程度の引張り強さ
をもつねずみ鋳鉄製のものが使用されている。
【0003】しかし、近年の自動車の高出力化により、
高速からの制動時に、ブレーキディスクの熱変形に起因
する振動が問題になっている。この現象は、制動時にブ
レーキパッドのライニング材との摩擦によりブレーキデ
ィスク表面に発生する熱が、ブレーキディスク全体に均
一に拡散されずに不均一な温度分布を形成し、これに伴
いブレーキディスクの熱変形が不均一化して、相手材と
の摺動面で振動が生じることによる。
【0004】この問題を解決するために、近年、部材の
熱伝導率を向上させて上記振動の起因となる熱変形を抑
えるために、鋳鉄を高炭素化することが行われている。
この高炭素化した鋳鉄として、例えば文献「鋳鍛造と熱
処理、vol.10(1991)」には、重量比で、
C:3.7〜3.9%、Si:1.8〜2.2%、M
n:0.6〜0.9%、P:0.10%以下、S:0.
12%以下、Cr:0.4〜0.6%、Cu:0.25
以下、Mo:0.4〜0.6%、Ni:1.2〜1.4
%、残部Feからなる高炭素鋳鉄が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、一般に熱伝
導率を高めるために炭素の含有量を多くした高炭素鋳鉄
においては、炭素含有量を高めるほど強度が低下するこ
とが知られている。このため、高炭素化による強度低下
を補うため、上記従来の高炭素鋳鉄のように、Cr、C
u、Mo、Ni等を合金化して基地組織(パーライト)
の強化を図っている。
【0006】しかし、このような従来の高炭素鋳鉄は、
高価な金属を合金化するために材料費が高騰するという
欠点がある。また、これらの金属を合金化する鋳鉄で
は、溶湯の流動性が低下して引け巣欠陥が発生しやすく
なり、鋳造性も低下するという問題もある。本発明は上
記実情に鑑みてなされたものであり、材料費及び鋳造性
に有利な低合金の鋳鉄よりなり、所定の強度を確保しつ
つ、熱伝導率を向上させた摺動部材を提供することを目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本第
1発明の摺動部材は、重量比で、C:3.5〜3.8
%、Si:1.6〜2.1%、Mn:0.4〜1.0
%、P:0.1%以下、S:0.15%以下、及びC
u、Sn、SbのうちCu:0.30〜0.45%、S
n:0.01〜0.08%、Sb:0.01〜0.05
%の範囲でいずれか一種を含有し、残部Feからなるこ
とを特徴とする。
【0008】また上記課題を解決する本第2発明の摺動
部材は、重量比で、C:3.5〜3.9%、Si:1.
6〜2.1%、Mn:0.4〜1.0%、P:0.1%
以下、S:0.15%以下、Mo:0.15〜0.30
%、及びCu、Sn、SbのうちCu:0.30〜0.
45%、Sn:0.01〜0.08%、Sb:0.01
〜0.05%の範囲でいずれか一種を含有し、残部Fe
からなることを特徴とする。
【0009】
【作用】上記組成を有する本第1発明の摺動部材は、C
u、Sn及びSbのうちのいずれか一種が所定量添加さ
れており、基地組織(パーライト)の安定化のために添
加される金属の含有量が少ない低合金であるにもかかわ
らず、摺動部材として十分な引張り強度を有するととも
に、摺動部材として十分な熱放散性を発揮し得るような
高い熱伝導率を有する。
【0010】また、上記組成を有する本第2発明の摺動
部材は、MoがCu、Sn又はSbと複合添加されてお
り、本第1発明の摺動部材と比べてさらに熱間強度が向
上する。なお、本第1発明及び第2発明の摺動部材にお
ける組成範囲限定理由を以下説明する。
【0011】Cは熱伝導率の向上に寄与するので、摺動
部材として十分な熱放散性を確保するためには、Cの含
有量を3.5重量%(以下、%は全て重量%を示す)以
上とすることを必要とする。一方、Cの含有量が3.8
%を越えると、目標とする摺動部材としての強度を確保
できない。このため、Cの含有量は3.5〜3.8%と
した。ただし、本第2発明の摺動部材では、所定量添加
されたMoの働きにより熱間強度が向上するので、Cの
含有量の上限を3.9%とすることができる。
【0012】Siは熱伝導率を低下させるので、摺動部
材としての十分な熱放散性を確保するためには、Siの
含有量を2.1%以下とすることを必要とする。一方、
Siの含有量を1.6%未満にすると、炭素の黒鉛化を
抑制して炭化物を発生させ、かえって熱伝導率を低下さ
せるとともに著しく脆化する。このため、Siの含有量
は1.6〜2.1%とした。
【0013】Mnは基地組織(パーライト)の安定化に
寄与するので、摺動部材として十分な機械的性質及び耐
摩耗性を確保するためには、Mnの含有量を0.4%以
上とすることを必要とする。一方、Mnの含有量が1.
0%を越えると、著しく脆化する。このため、Mnの含
有量は0.4〜1.0%とした。Pは不可避の不純物で
あり、機械的性質を著しく害する。このため、その影響
が無視できるように、Pの含有量は0.1%以下とし
た。
【0014】Sは不可避の不純物であり、機械的性質を
著しく害する。このため、その影響が無視できるよう
に、Sの含有量は0.15%以下とした。Cuは基地組
織(パーライト)の安定化に寄与するので、摺動部材と
して十分な機械的性質及び耐摩耗性を確保するために
は、Cuの含有量を0.30%以上とすることを必要と
する。一方、Cuの含有量が0.45%を越えると、熱
伝導率が低下する。このため、Cuの含有量は0.30
〜0.45%とした。
【0015】Snは基地組織(パーライト)の安定化に
寄与するので、摺動部材として十分な機械的性質及び耐
摩耗性を確保するためには、Snの含有量を0.01%
以上とすることを必要とする。一方、Snの含有量が
0.08%を越えると、熱伝導率が低下する。このた
め、Snの含有量は0.01〜0.08%とした。Sb
は基地組織(パーライト)の安定化に寄与するので、摺
動部材として十分な機械的性質及び耐摩耗性を確保する
ためには、Sbの含有量を0.01%以上とすることを
必要とする。一方、Sbの含有量が0.05%を越える
と、熱伝導率が低下する。このため、Sbの含有量は
0.01〜0.05%とした。
【0016】Moは、Cu、Sn、又はSbとの複合添
加において、高温(773K程度)での基地組織(パー
ライト)の安定化に寄与するので、熱間強度を向上させ
るためにMoの含有量を0.15%とすることを必要と
する。一方、Moの含有量が0.30%を越えると、熱
伝導率が低下する。このため、Moの含有量は0.15
〜0.30%とした。
【0017】
【実施例】以下、本発明の摺動部材を自動車のブレーキ
ディスクに適用した実施例により本発明を具体的に説明
する。 (実施例)高周波溶解炉を用いて溶解した所定の組成の
溶湯に、Fe−Si(75%Si)合金を接種した後、
1673Kで砂型に注湯して、表1にも示すように、
C:3.51%、Si:2.08%、Mn:0.97
%、P:0.062%、S:0.110%、Cu:0.
45%、残部Feの組成を有する本発明材No.1の摺
動部材を得た。
【0018】同様の方法により、表1に示す組成を有す
る本発明材No.2〜12の摺動部材を得た。 (比較例)また、比較のため表2に示す組成を有する比
較材No.1〜8の摺動部材を上記と同様の方法により
得た。
【0019】(熱伝導率及び引張り強さの評価)上記本
発明材No.1〜12の摺動部材、及び比較材No.1
〜8の摺動部材からそれぞれ切り出した試験片につい
て、773Kにおける熱伝導率及び引張り強さを測定し
た。その結果を表1及び表2に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】 表1からも明らかなように、本発明材No.1〜12の
摺動部材は、いずれも773Kにおける熱伝導率が40
W/(m・K)以上あり、また773Kにおける引張り
強度が150MPa以上あり、熱放射性及び強度の面で
優れていることが確認された。
【0022】一方、表2からも明らかなように、Cの含
有量が少な過ぎ、かつSiの含有量が多過ぎる比較材N
o.1の摺動部材は、熱伝導率が40W/(m・K)未
満であり、本発明材と比べて熱放射性に劣っていた。ま
た、Cu、Sn、Sb及びMoのいずれの金属を含まな
い比較材No.2の摺動部材は、引張り強さが150M
Pa未満であり、本発明材と比べて引張り強さに劣って
いた。
【0023】さらに、Cuの含有量が多すぎる比較材N
o.3の摺動部材、Snの含有量が多すぎる比較材N
o.4の摺動部材、及びSbの含有量が多すぎる比較材
No.5の摺動部材は、本発明材と比べて熱放射性に劣
っていた。さらにまた、Moの含有量が多すぎる比較材
No.6〜8の摺動部材は、本発明材と比べて熱放射性
に劣っていた。
【0024】(制動評価)上記本発明材No.1〜12
の摺動部材、及び比較材No.1〜8の摺動部材につい
て、実車において250km/hからの制動評価を行っ
た。この結果、773Kにおける熱伝導率が40W/
(m・K)以上ある本発明材No.1〜12の摺動部材
については、制動振動が無視できるレベルにあることが
確認された。
【0025】また、773Kにおける引張り強度が15
0MPa以上ある本発明材No.1〜12の摺動部材に
ついては、十分な耐久性があることが確認された。
【0026】
【発明の効果】以上詳述したように本第1発明及び第2
発明の摺動部材は、低合金であっても摺動部材として十
分な引張り強度をもつとともに、熱放射性に優れたもの
である。このため、本第1発明及び第2発明によれば、
熱変形に起因する制動振動を効果的に抑えることがで
き、かつ耐久性にも優れたブレーキディスクなどを安価
に提供することが可能となる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比で、C:3.5〜3.8%、S
    i:1.6〜2.1%、Mn:0.4〜1.0%、P:
    0.1%以下、S:0.15%以下、及びCu、Sn、
    SbのうちCu:0.30〜0.45%、Sn:0.0
    1〜0.08%、Sb:0.01〜0.05%の範囲で
    いずれか一種を含有し、残部Feからなることを特徴と
    する摺動部材。
  2. 【請求項2】 重量比で、C:3.5〜3.9%、S
    i:1.6〜2.1%、Mn:0.4〜1.0%、P:
    0.1%以下、S:0.15%以下、Mo:0.15〜
    0.30%、及びCu、Sn、SbのうちCu:0.3
    0〜0.45%、Sn:0.01〜0.08%、Sb:
    0.01〜0.05%の範囲でいずれか一種を含有し、
    残部Feからなることを特徴とする摺動部材。
JP18238192A 1992-07-09 1992-07-09 摺動部材 Pending JPH0625795A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014119501A1 (ja) * 2013-02-01 2014-08-07 株式会社リケン 鋳鉄及びブレーキ部品
CN104164613A (zh) * 2014-08-05 2014-11-26 全椒瑞禾动力机械有限公司 一种齿轮室盖及其制备方法
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