JP2003014086A - 繊維強化樹脂製歯車及びその製造方法 - Google Patents
繊維強化樹脂製歯車及びその製造方法Info
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Abstract
用される繊維強化樹脂製歯車に用いられるのに好適で、
取り扱い性及び樹脂含浸性に優れた、繊維補強材を提供
し、その繊維補強材を用いた繊維強化樹脂製歯車及びそ
の製造方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 繊維補強材に樹脂を含浸成形してなる繊
維強化樹脂製歯車において、前記繊維補強材は、嵩密度
が0.01g/cm3以上、1.0g/cm3以下の不織
布であり、前記繊維補強材を構成する繊維の少なくとも
一部の繊維が前記繊維強化樹脂製歯車の中心から外周に
向かって放射状に配列していることを特徴とする繊維強
化樹脂製歯車である。
Description
車及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、高負
荷、高温条件下で使用されるのに最適な、繊維補強材を
含んだ繊維強化樹脂複合材料からなる繊維強化樹脂製歯
車及びその製造方法に関する。
材料が用いられる。高負荷用途の歯車等では、歯車の噛
み合い時に生ずる騒音の解消や軽量化等を目的として、
歯車の歯部等に繊維強化樹脂複合材料を用いたものが検
討されている。
は、フェノール樹脂歯車において、歯車の樹脂の含浸性
を向上させるため、メタ系アラミド繊維とパラ系アラミ
ド繊維からなる平板状の不織布を使用し、不織布を棒状
に巻き、その棒状の両端を合わせてリング状として歯車
の樹脂補強材として用いる技術が開示されている。しか
しながら、棒状不織布の両端を合わせることにより、補
強材に繋ぎ目が存在するので、充分な補強効果が得られ
なかった。また、歯車(ギア)にかかる負荷に対して、
補強材の繊維が効果的に配列していないので、ギアに要
求される機械的強度、特に、歯車の歯元の押し込み強度
が不充分なものであった。
は、合成樹脂製歯車において、補強材に繋ぎ目のあるこ
とによる問題点を解消するため、筒状に織られた織布又
は編布を巻き返してドーナツ状にし、繋ぎ目が存在しな
い補強材を形成する技術が開示されている。しかし、補
強材を巻き返す作業が非常に手間取り、生産コストがか
かるばかりでなく、織布や編布では樹脂の含浸性が悪
く、該織編布を構成する繊維の単繊維間にまで樹脂が均
一に含浸されにくいという樹脂含浸不良問題があった。
さらに、この補強材の繊維軸方向はランダム配列である
ので、歯車の押し込み強度を効果的に増大させることが
できなかった。
扱い性に優れ、補強材への樹脂含浸状態が良好で、高負
荷及び/又は高温条件下での使用に耐え、特に、歯車の
押し込み強度が改善された、繊維強化樹脂製歯車及びそ
の製造方法を提供することである。
よって強化されている繊維強化樹脂製歯車において、前
記繊維補強材は、嵩密度が0.01g/cm3以上、
1.0g/cm3以下のシート状繊維構造体であり、前
記シート状繊維構造体の構成繊維の少なくとも一部の繊
維が前記繊維強化樹脂製歯車の中心から外周に向かって
放射状に配列していることを特徴とする繊維強化樹脂製
歯車である。
て平行に配列されている繊維の総本数を(B)とし、前
記シート状繊維構造体の厚さ方向に対して垂直に配列さ
れている繊維の総本数を(A)とするとき、B/Aが
0.15以上であることが好ましい。前記シート状繊維
構造体は、不織布であることが好ましい。前記繊維補強
材が、パラ型アラミド繊維及び/又はメタ型アラミド繊
維を含むこと、及び/又は、前記繊維補強材が、全芳香
族ポリエステル繊維を含むことが好ましい。前記繊維補
強材を構成する繊維の繊度は、0.4dtex以上、
5.0dtex以下であることが好ましい。前記繊維強
化樹脂製歯車の中心から外周に向かって放射状に配列し
た繊維の少なくとも一部が、前記歯車の歯と前記歯車の
本体にわたって内在していることが好ましい。前記繊維
強化樹脂製歯車の中心部に、金属製又は合成樹脂製のブ
ッシュを有していることが好ましい。
厚み方向に配向した、嵩密度が0.01g/cm3以
上、1.0g/cm3以下のシート状繊維構造体で、歯
車成形用金型の中心に位置するブッシュの周りを取り巻
き、かつ前記金型内の前記シート状繊維構造体の少なく
とも一部の繊維が前記ブッシュを中心に、前記金型の外
周方向へ放射状に配列するように前記金型内に配置さ
せ、前記金型内で、成形、固化させることを特徴とする
繊維強化樹脂製歯車の製造方法である。
周囲に複数回巻きつけた後、前記シート状繊維構造体を
巻きつけた前記ブッシュを前記金型内に配置し、次い
で、前記金型内に樹脂を注入し、成形、固化させてもよ
い。また、予め樹脂を前記シート状繊維構造体に含浸、
乾燥させて、半硬化状態とした後、前記金型内に配置し
て、成形、固化させてもよい。前記金型で前記シート状
繊維構造体を含有する繊維強化樹脂複合体を成形した
後、前記繊維強化樹脂複合体の周縁部を機械切削するこ
とにより歯部を作製してもよい。前記シート状繊維構造
体は、構成繊維の一部が厚み方向に配向している不織布
であること、及び/又は、前記不織布は、ニードルパン
チ法及び/又はエアーレイ法によって製造されたもので
あることが好ましい。
用金型に配置されたブッシュを中心として、繊維軸方向
が、歯車の外周方向へ放射状に配列していることを特徴
とする。歯車同士の噛み合い時にかかる負荷を考慮する
と、補強材の繊維方向を歯車の外周方向に放射状に配列
させることにより、ギアの押し込み強度が格段に上昇す
るので、歯車の歯が欠けたり、折れたりすることを未然
に防ぐことができる。
ないが、熱安定性を考慮すると、全芳香族ポリエステル
繊維(高強力ポリアリレート繊維)、全芳香族ポリアミ
ド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリイミド
繊維、超高分子量ポリエチレン繊維等の耐熱性繊維が好
ましい。また、加熱成形する際の成形温度を考慮する
と、熱分解温度が350℃以上の繊維を使用することが
より好ましい。さらに、特に機械的強度が重要視される
場合は、カーボン繊維、ガラス繊維等を用いることが好
ましい。これら本発明に使用される素材は、1種に限定
されるものではなく、2種以上を複合して併用すること
も可能である。また、加工性を向上させるために、本発
明に使用される繊維の他に、ポリエステル繊維を少量分
散させてもよい。
特に制限されないが、好ましくは0.4dtex以上、
5.0dtex以下である。単繊維繊度が5.0dtex
より大きいと、繊維の剛直性が高くなり、補強材を作製
する工程で均一な目付けとすることが困難になるばかり
でなく、同一重量当たりの単繊維本数が減少するので、
繊維表面積の減少により樹脂との接着面積も減少し、補
強材の樹脂補強効果が低下し、歯車の耐久性が低下する
場合がある。一方、単繊維繊度が0.4dtex未満の
場合は、単繊維強力が低くなることから補強材自体の強
力が低下して、樹脂製歯車の耐久性が低下する場合があ
り、また、補強材の製造工程で繊維の切断や交絡等が発
生しやすくなって、生産性も低下するので好ましくな
い。
め、種々の界面活性剤等の処理剤を繊維に付着させた
り、元来繊維に付着している油剤や精練加工剤(いずれ
も界面活性剤を含んでいるもの)等をあまり洗浄せずに
微量残存させたりして、樹脂との含浸性を向上させるこ
とも可能である。
扱い性等から、シート状繊維構造体であることが必要
で、特に不織布が好ましい。不織布は、特に限定されな
いが、例えば、高強度の耐熱性繊維を均一分散させてウ
ェブを作製した後、そのまま単層として補強材に使用す
るか、そのウェブ中の繊維同士を交絡させて2層以上の
多層構造として使用する。繊維同士を交絡させる方法
は、特に限定されないが、ニードルパンチング、ウォー
タージェットパンチ、ケミカルボンド、サーマルボンド
等により積層一体化させることが好ましい。また、織物
等の基布を、積層一体化されるウェブ中に介在させて、
歯車の補強効果をさらに向上させてもよい。
部の繊維が歯車成形用金型に配置されたブッシュを中心
として、補強材の繊維軸方向を歯車の外周に向かって放
射状に配列させることにより、特に高負荷用途では優れ
た耐久性を有する樹脂製歯車となりうる。また、繊維強
化樹脂製歯車の中心から外周に向かって放射状に配列し
た繊維の少なくとも一部が、歯車の歯と歯車の本体にわ
たって内在していると、より耐久性が増す。
維構造体の構成繊維の少なくとも一部がシートの厚み方
向と平行に並んでいるものを、ブッシュを中心として、
歯車の外周方向にらせん状に巻きつければ、補強材であ
るシート状繊維構造体内で厚さ方向に配列している繊維
は、歯車の中心から外周に向かって放射状に配列するこ
とになる。なお、ブッシュは、例えば、金属製又は合成
樹脂製のものが使用されるが、特にこれに限定されな
い。
維を並ばせる方法としては、例えば、シート状繊維構造
体として不織布を使用する場合は、エアーレイ法によっ
てウェブを作製して不織布を製造する方法、ニードルパ
ンチングでパンチ回数を通常より増やして不織布を製造
する方法、ニードルパンチのバーブの形状を工夫して製
造する方法、ウォータージェット法の水圧等を調整して
製造する方法等がある。エアーレイ法とは、繊維を空気
中に飛散させた後、金網上に集めてシート状にしてウェ
ブを形成する方法である。特に、エアーレイ法による
と、繊維を金網上に集めたときに繊維が立っている状態
になりやすいので、繊維軸方向を高い割合で一方向に配
列させたものを得ることが可能である。
み方向に繊維が並んでいるとは、繊維構造体の厚さ方向
に対して平行に配列されている繊維(厚さ方向と繊維の
なす角θが、0°≦θ≦45°)の総本数を(B)と
し、繊維構造体の厚さ方向に対して垂直に配列されてい
る繊維(45°<θ≦90°)の総本数を(A)とする
とき、B/Aが0.15以上であるものをいう。また、
B/Aは、0.5以上が好ましく、さらに1以上が、よ
り好ましい。ここで、繊維構造体の厚さ方向に対して平
行に配列されている繊維は、必ずしも直線の状態で配列
されている必要はなく、曲線の状態であっても、厚さ方
向と繊維のなす角θが、0°≦θ≦45°の範囲内にあ
る繊維であればよい。同様に、繊維構造体の厚さ方向に
対して垂直に配列されている繊維も、必ずしも直線の状
態で配列されている必要はなく、曲線の状態であって
も、厚さ方向と繊維のなす角θが、45°<θ≦90°
の範囲内にある繊維であればよい。
0.01g/cm3以上、1.0g/cm3以下の範囲で
あることが必要である。嵩密度が0.01g/cm3未
満であると、不織布の強力が極端に低下するため、ブッ
シュに補強材を巻きつける際に破断する恐れがあって好
ましくない。一方、嵩密度が1.0g/cm3より大き
いと、巻きつけた時にシワになり、樹脂が補強材に均一
に含浸しなくなるため、好ましくない。また、不織布
は、嵩密度が前記の範囲内であれば一定の嵩密度のもの
に限らず、嵩密度の異なるものを併用してもよい。嵩密
度の異なるものを併用する場合、例えば、ブッシュの周
りに目付けの低い不織布から多層構造として巻きつける
ことで、ブッシュに巻きつける際に生じるシワを防止す
ることが可能である。
トした後、ブッシュを中心軸としてらせん状、若しくは
同心円状に巻きつけて、樹脂成形用金型に配置し、金型
に液状樹脂を注入して、樹脂を繊維補強材である不織布
に含浸させ、成形する。このとき、ブッシュと不織布が
直接結合しない樹脂製歯車を製造する場合は、滑り止め
やウェブ等を、ブッシュと不織布の間に配置させること
ができる。また、ブッシュと不織布が直接結合する樹脂
製歯車を製造する場合は、少量の接着剤をブッシュ又は
不織布に塗布しておくと、巻きつけ工程を簡易に行うこ
とができる。
脂成形用金型に配置してあるブッシュに不織布を巻きつ
けてもよいし、不織布をブッシュに巻きつけてから金型
に配置してもよい。不織布をブッシュに巻きつける回数
は、一回でもよいし、複数回の重ね巻きにしてもよい。
また、不織布の長さは、巻きつけたときに、連続したも
のでも、断続したものでも使用可能である。例えば、ブ
ッシュの径に合わせた円状の不織布を1つ、あるいは複
数個重ねた同心円状又はらせん状のものを作製した後、
ブッシュに取り付けることも可能である。このとき、不
織布を所定幅、長さにカットしてから円状、又は同心円
状若しくはらせん状にしてもよいし、円状、又は同心円
状若しくはらせん状にしてからカットしてもよい。
材を構成している繊維の一部がブッシュを中心に、歯車
の外周に向かって、実質的に放射状に配列するように巻
きつける。このとき、補強材を構成している33%以上
の繊維の軸方向が、放射状に配列していることが好まし
いが、用途によっては13%程度の繊維でも満足しうる
補強効果を得ることが可能である。また、補強材の構成
繊維は実質的に放射状に配列していればよく、本発明の
放射状に配列するとは、歯車の中心から歯車の外周にわ
たって歯車の中心を中心とする同心円を複数想定した場
合、その複数の円周と交差することをいう。放射状に配
列している繊維は、必ずしも歯車の中心から外周方向に
伸びる直線である必要はなく、曲線であってもよい。
たり、温度を上げておいたりすることによって、樹脂の
補強材への含浸性を向上させることが好ましい。また、
補強材を樹脂に含浸させる前に、補強材を加圧して形態
を安定させてもよいし、樹脂含浸後に軸方向に加圧し、
樹脂の含浸性を高めてもよい。あるいは、補強材に熱硬
化性樹脂を含浸させ、乾燥させて半硬化状態とした後、
これをブッシュに巻きつけてから金型に配置して成形し
てもよいし、金型に配置してあるブッシュに不織布を巻
きつけて成形してもよい。また、歯車を成形する場合
は、一般に樹脂成形後に、歯車の歯部を機械切削により
作製するが、歯車型の金型で成形することによって作製
してもよい。歯車型の金型で成形する場合は、例えば、
金型の歯車の本体部分に不織布をブッシュに巻きつける
等して配置させ、金型の歯の部分にも、不織布の構成繊
維の一部の繊維軸が放射状に配列するように、本体の不
織布とは別の不織布を折りたたむ等して、金型内に配置
させる。
ないが、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル
樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、PES(ポリ
エーテルサルフォン)、PEEK(ポリエーテルエーテ
ルケトン)、CPレジン(架橋ポリエステルアミド、架
橋ポリアミノアミド)若しくは、耐熱ナイロン等の熱硬
化性樹脂や熱可塑性樹脂が好ましい。また、これらは1
種、または1種以上の混合物として利用することが可能
である。
明するが、本発明はこれらによって限定されるものでは
ない。なお、実施例中で用いた試験条件、測定法などは
次の通りである。
さ方向に対して平行に配列されている繊維(厚さ方向と
繊維のなす角θが、0°≦θ≦45°)の総本数を
(B)とし、繊維構造体の厚さ方向に対して垂直に配列
されている繊維(45°<θ≦90°)の総本数を
(A)として、B/Aを算出した。尚、本数の測定は、
任意の10ヶ所について、各々40本の繊維を透過型光
学顕微鏡で観察し、その数を数えた。
に吊るし、下端を樹脂中に浸し、3分間放置した後、上
昇した液体の高さ(mm)を測定した。その他は、JI
S L 1907に準じた。 沈降法:重さ3gにサンプリングした不織布若しくは
編布を樹脂に浮かべ、サンプルが湿潤して樹脂中に沈降
し始めるまでの時間(秒)を測定した。その他は、JI
S L 1907に準じた。
歯部頂点までの幅が5mmのテストピースを作製し、
3.5mm径のピンゲージを2.5mm/minの速さ
で歯と歯の間に押し込み、歯が破壊されるときの押し込
み強度(kgf)を測定した。歯の破壊は歯元に亀裂が
入ることにより生じた。
「コーネックス」(登録商標)、単繊維径:1.9dt
ex、繊維長:51mm)とパラ型アラミド繊維(帝人
製「テクノーラ」(登録商標)、単繊維径:1.3dt
ex、繊維長:51mm)を、重量比50/50になる
ように均一分散させ、エアーレイ法により繊維を空気で
吹き付けて、繊維を不織布の厚み方向に配列させ、嵩密
度0.1g/cm3になるように不織布を作製した。こ
の不織布を、歯車の厚みより少し大きい幅でカットし、
これを不織布の繊維の配列が歯車の外周方向に向かって
放射状に配置されるように、金属製ブッシュに10回巻
回した後、これを歯車成形用金型に入れ、金型を約20
0℃にして、真空減圧下、ポリアミノアミド樹脂を注入
して、補強材である不織布に樹脂を含浸させた後、樹脂
を硬化させて、繊維強化樹脂複合体を作製した。この繊
維強化樹脂複合体を、機械切削して、歯車の歯部を作製
して、目的とする樹脂製歯車を得た。結果を表1に示
す。
「コーネックス」、単繊維径:1.9dtex、繊維
長:51mm)とパラ型アラミド繊維(帝人製「テクノ
ーラ」、単繊維径:1.3dtex、繊維長:51m
m)を、重量比50/50になるように均一に分散させ
てウェブを作製し、ニードルパンチによって、複数のウ
ェブの繊維同士を交絡させて、嵩密度0.1g/cm3
になるように不織布を作製した。このとき、補強材であ
る不織布の繊維方向が、不織布の長さ方向に対して垂
直、つまり厚み方向に並ぶように、パンチ回数を通常よ
り多くした。その他は、実施例1と同様に行い、目的と
する樹脂製歯車を成形した。結果を表1に示す。
タ型アラミド繊維100%にした以外は、実施例2と同
様にして樹脂製歯車を成形した。結果を表1に示す。
ラ型アラミド繊維100%にした以外は、実施例2と同
様にして樹脂製歯車を成形した。結果を表1に示す。
(クラレ(株)製「ベクトラン」(登録商標)、単繊維
径:5.5dtex、繊維長:51mm)とメタ型アラ
ミド繊維(帝人製「コーネックス」、単繊維径:1.9
dtex、繊維長:51mm)を、重量比70:30の
比率で均一混合させた不織布を補強材として用いた以外
は、実施例2と同様にして樹脂製歯車を成形した。結果
を表1に示す。
作製する際に、補強材である不織布の繊維方向が、不織
布の長さ方向に対して垂直、つまり厚み方向に通常より
多く並ばせるような工夫をせずに作製した以外は、実施
例2と同様にして樹脂製歯車を成形した。結果を表1に
示す。
状物を得、その不織布の一端をつなぎ合わせてリング状
とした以外は、実施例1と同様にして樹脂製歯車を成形
した。結果を表1に示す。
「コーネックス」、単繊維径:1.9dtex、繊維
長:51mm)とパラ型アラミド繊維(帝人製「テクノ
ーラ」、単繊維径:1.3dtex 、繊維長:51m
m )を重量比55/45で混紡し、撚り数16ターン
/インチ(40ターン/cm)、番手20(295dt
ex)になるように紡績した後、編目長約0.2インチ
(5mm)、かつコース約30/インチ(76コース/
cm)、ウエール約25/インチ(64ウエール/c
m)の編地密度で筒編した。この筒状編布を、端から巻
き返すことでドーナツ状として、中央の空間部分にブッ
シュが配置されるように、金型に配置し、その他は、実
施例1と同様に樹脂製歯車を成形した。結果を表1に示
す。
1.2g/cm3である不織布を繊維補強材として用い
た以外は、実施例2と同様にして樹脂製歯車を成形した
が、ブッシュに巻きつけたときに、巻きじわが生じ、外
観試験により樹脂の含浸ムラと判断し、製品としては不
合格であった。
0.008g/cm3である不織布を繊維補強材として
用いた以外は、実施例2と同様にして樹脂製歯車を成形
したが、不織布の破断強度が極端に落ちたため、ブッシ
ュに巻きつける際のテンションにより破断してしまい、
該不織布をブッシュに巻きつけることができなかった。
強材を構成する繊維の少なくとも一部の繊維が、繊維強
化樹脂製歯車の中心から外周に向かって放射状に配列し
ているので、歯車の強度が高められ、高負荷及び/又は
高温条件下で使用されるのに好適である。また、本発明
は、繊維の一部を厚み方向に並ばせた繊維補強材を、金
型の中心に配置されるブッシュを中心に、巻きつける等
して成形するので、取り扱い性に優れ、及び繊維補強材
が不織布であるので、樹脂含浸性に優れる。
Claims (14)
- 【請求項1】 繊維補強材によって強化されている繊維
強化樹脂製歯車において、前記繊維補強材は、嵩密度が
0.01g/cm3以上、1.0g/cm3以下のシート
状繊維構造体であり、前記シート状繊維構造体の構成繊
維の少なくとも一部の繊維が前記繊維強化樹脂製歯車の
中心から外周に向かって放射状に配列していることを特
徴とする繊維強化樹脂製歯車。 - 【請求項2】 前記シート状繊維構造体の厚さ方向に対
して平行に配列されている繊維の総本数を(B)とし、
前記シート状繊維構造体の厚さ方向に対して垂直に配列
されている繊維の総本数を(A)とするとき、B/Aが
0.15以上である請求項1に記載の繊維強化樹脂製歯
車。 - 【請求項3】 前記シート状繊維構造体は、不織布であ
る請求項1又は2に記載の繊維強化樹脂製歯車。 - 【請求項4】 前記繊維補強材が、パラ型アラミド繊維
及び/又はメタ型アラミド繊維を含む請求項1〜3のい
ずれか1項に記載の繊維強化樹脂製歯車。 - 【請求項5】 前記繊維補強材が、全芳香族ポリエステ
ル繊維を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維
強化樹脂製歯車。 - 【請求項6】 前記繊維補強材を構成する繊維の繊度
は、0.4dtex以上、5.0dtex以下である請
求項1〜5のいずれか1項に記載の繊維強化樹脂製歯
車。 - 【請求項7】 前記繊維強化樹脂製歯車の中心から外周
に向かって放射状に配列した繊維の少なくとも一部が、
前記歯車の歯と前記歯車の本体にわたって内在している
請求項1〜6のいずれか1項に記載の繊維強化樹脂製歯
車。 - 【請求項8】 前記繊維強化樹脂製歯車の中心部に、金
属製又は合成樹脂製のブッシュを有している請求項1〜
7のいずれか1項に記載の繊維強化樹脂製歯車。 - 【請求項9】 少なくとも一部の繊維が厚み方向に配向
した、嵩密度が0.01g/cm3以上、1.0g/c
m3以下のシート状繊維構造体で、歯車成形用金型の中
心に位置するブッシュの周りを取り巻き、かつ前記金型
内の前記シート状繊維構造体の少なくとも一部の繊維が
前記ブッシュを中心に、前記金型の外周方向へ放射状に
配列するように前記金型内に配置させ、前記金型内で、
成形、固化させることを特徴とする繊維強化樹脂製歯車
の製造方法。 - 【請求項10】 前記シート状繊維構造体を前記ブッシ
ュの周囲に複数回巻きつけた後、前記シート状繊維構造
体を巻きつけた前記ブッシュを前記金型内に配置し、次
いで、前記金型内に樹脂を注入し、成形、固化させる請
求項9に記載の繊維強化樹脂製歯車の製造方法。 - 【請求項11】 予め樹脂を前記シート状繊維構造体に
含浸、乾燥させて、半硬化状態とした後、前記金型内に
配置して、成形、固化させることからなる請求項9又は
請求項10に記載の繊維強化樹脂製歯車の製造方法。 - 【請求項12】 前記金型で前記シート状繊維構造体を
含有する繊維強化樹脂複合体を成形した後、前記繊維強
化樹脂複合体の周縁部を機械切削することにより歯部を
作製する請求項9〜11のいずれか1項に記載の繊維強
化樹脂製歯車の製造方法。 - 【請求項13】 前記シート状繊維構造体は、構成繊維
の一部が厚み方向に配向している不織布である請求項9
〜12のいずれか1項に記載の繊維強化樹脂製歯車の製
造方法。 - 【請求項14】 前記不織布は、ニードルパンチ法及び
/又はエアーレイ法によって製造されたものである請求
項13に記載の繊維強化樹脂製歯車の製造方法。
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