JP2008248907A - 繊維強化樹脂製歯車用繊維補強材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】円筒状に継ぎ目なく形成されている不織布からなる繊維強化樹脂製歯車用繊維補強材の、目付や嵩密度を安定させ且つ材料ロスが発生しない、生産性の向上した製造方法を提供する。
【解決手段】金属メッシュ上に、互いに径の異なる大小の円筒を同心円状に配置し、その大径の円筒の内周と小径の円筒の外周との中間部に、特定の繊維とフィブリッドを含む繊維状物を主成分とするスラリーを投入し、金属メッシュ下部の大径の円筒内の圧力を700mmHg以下の減圧下抄造した円筒状湿式不織布とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属製歯車の噛み合い時に生ずる騒音の低減や軽量化を目的とした繊維強化
樹脂製歯車用繊維補強材として、基材全体に亘って目付、嵩密度の均一な円筒状湿式不織
布を効率よく得る製造方法に関する。
従来より、歯車の材料として、特に高負荷が必要な用途においては鋼等の金属材料が一
般的であったが、歯車の噛み合い時に生ずる騒音の低減や軽量化などを目的として、歯部
に繊維強化樹脂複合体を用いたものが検討されている。
例えば、特公平7−47298号公報には、織布基材プリプレグを棒状に巻いた後、こ
の棒状物を輪にして両端を重ねて輪状体とした後に成形するフェノール樹脂製歯車が開示
されているが、織物基材を用いる場合、織物を構成する糸の単繊維間にまで樹脂が浸透さ
せるのが困難であり、それにより歯車中に均一に繊維と樹脂が存在せず、結果機械的強度
が低下する。またプリプレグを巻いて棒状にするため、丸めて輪状体にする際に樹脂の白
化が起こり、また折り目のない均一な輪状体を形成することが出来ない。さらに繋ぎ目が
あるため機械的強度が基材全体で均一でないという問題があった。
また、特許第3334382号公報には、筒状に織られた織布または編布を巻き返して
ドーナツ状にして成形する合成樹脂製歯車が開示されている。しかし、この織布及び編布
にはメタ型芳香族ポリアミド繊維とパラ型芳香族ポリアミド繊維との混紡糸を用いている
ため、混紡糸の中心部、すなわち単糸レベルで樹脂を含浸することが出来ず、やはり結果
として歯車の機械的強度が低下するという問題や、更には巻き返す作業は人手を要するた
め非常に生産性が悪いという問題があった。
また、特開2002−144332号公報には繊維強化樹脂製歯車用基材として特定の
繊維からなる不織布を用いることが提案されている。確かに提案にある不織布を用いるこ
とにより、繋ぎ目の存在による強度低下とか織編地の混紡糸の繊維中心部に樹脂が含浸し
にくいという樹脂含浸の不均一性による強度低下の問題をある程度は解消することはでき
る。しかしながら歯車は厚さとして通常10mm〜50mmの厚さを有しているため、そ
れに相当する厚みのある円筒状不織布を必要とするが、そのような厚手の不織布を作るこ
とは設備上又取り扱い性の点から限界があり、通常薄手の不織布を作ってそれを積層して
厚さを取るのが現状である。そのためには一定の厚さのシート状不織布を作成し、それか
ら刃型で円筒状に打ち抜く必要がある。その場合刃で打ち抜いた部分近辺の密度が上がっ
たり、繊維が融着を起こしたりすることは避けられず、その後の樹脂含浸において樹脂の
浸透が不均一になったり、含浸されない部分が生じる問題があった。
更にシート状不織布の目付けはロット毎、また長さ、幅方向で変動するため、それが歯車強度に影響しないように厳密な目付け管理をする必要があるが、それを回避するためかなり薄手の不織布を作り円筒形に打ち抜いた後、数枚以上積層して目付け、重量管理するという煩雑な問題があった。また更には不織布シートから打ち抜くためにロスが発生する、又工程数が長くなるためコストアップするという問題もあった。
特公平7−47298号公報 特許第3334382号公報 特開2002−144332号公報
本発明の目的は、繊維強化樹脂製歯車用繊維補強材として、円筒状不織布を使用する場合、不織布では避けられない目付や嵩密度のロット変動や長さ幅方向での変動する問題を少なくし、又厚手のシート状不織布から円筒状に打ち抜く際に、打ち抜いた円筒状不織布の外周内周の切り口端が密度が高くなり、その後の樹脂を含浸する工程で樹脂含浸の不均一性が生じるといった問題のない、又材料ロスが発生しない、生産性の向上した製造方法を提供することにある。
金属メッシュ上に、大小の異なる径の円筒を同心円状に配置し、その大径の円筒の内周と小径の円筒の外周との中間部に、特定の繊維とフィブリッドを含む繊維状物を主成分とするスラリーを投入し、金属メッシュ下部の大径の円筒内の圧力を減圧下で抄造した円筒状湿式不織布とすることにより解決する。
本発明で得られる円筒状湿式不織布からなる繊維補強材は、基材全体に目付け、密度が均一となるため、樹脂を基材全体に均一に存在させることができ、従来のものに比べて、機械的強度、耐熱性に優れたものが得られる。また一工程で不織布化することが出来るため、ロスの発生が無く又減圧下で抄造するため生産性が大幅に向上する。
本発明の繊維強化樹脂製歯車用繊維補強材に使用される繊維状素材には特に限定はないが、成形する際の温度、及び歯車としたときの噛み合わせ時の静粛性を考慮すれば、熱分解温度が350℃以上の有機繊維を使用することが好ましい。
具体的には全芳香族ポリエステル繊維、ポリアリレート繊維、全芳香族ポリアミド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリイミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスチアゾール繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維などが例示される。また、特に機械的強度が重要とされる場合であれば、炭素繊維、ガラス繊維なども使用できる。これら繊維素材は単独、もしくは2種以上の繊維を混合して使用することも可能であり、また本発明の効果を損なわない範囲で、熱分解温度が350℃以下の範囲、例えばポリオレフィン系繊維などを少量混合してもよい。
中でも、歯車にしたときの耐熱性、機械的強度、切削加工性の点から、高い引張強度を持つパラ型芳香族ポリアミド繊維と、柔軟性のあるメタ型芳香族ポリアミド繊維とを複合して使用することが最も好ましく、その混合比率は重量比率で80/20〜20/80(メタ型/パラ型)の範囲が好ましい。メタ型芳香族ポリアミド繊維の割合が80重量%を超えると、歯車に必要とされる機械的強度が小さくなり、またパラ型芳香族ポリアミド繊維の割合が80重量%を超えると、基材への樹脂含浸性が著しく悪くなり、更に歯部を形成するための切削加工時に毛羽が発生するなどの問題を生じる。
上記繊維の表面には、湿式抄造の際の繊維分散性、あるいは樹脂含浸性を向上させるために種々の界面活性剤を少量付着させたり、また、繊維製造工程で付与する処理剤(油剤など)を除去せずそのまま使用してもよい。
上記繊維の単繊維繊度は、0.1〜5.5dtex、好ましくは0.3dtex〜2.5dtexの範囲である。0.1dtex未満の場合は製糸技術上困難な点が多く、断糸や毛羽が発生して良好な品質の繊維を安定して生産することが困難になるだけでなく、コストも高くなるため好ましくない。一方、5.5dtexを超えると繊維の機械的物性、特に強度低下が大きくなり、かつ湿式抄造の際の均一な地合形成が困難となるため好ましくない。
上記繊維の単繊維の長さは、1〜12mm、好ましくは2〜9mmである。繊維長が1mm未満の場合、湿式抄造工程で紙形成に必要な引張強力を維持することが出来ず好ましくない。一方12mmを超える場合には、繊維の絡み合いが大きすぎて均一な地合形成が困難になり、結果として歯車の機械的強度が低下するため好ましくない。
本発明の製造方法においては、繊維状物として有機高分子重合体からなるフィブリッドを含むことが好ましい。ここで言うフィブリッドとは、微小のフィブリルを有する薄葉状、鱗片状の小片、又は、ランダムにフィブリル化した微小短繊維の総称である。この微小のフィブリルを有する微小短繊維部分は、非常に微細であるため、湿式抄造時において主たる構成繊維に絡みつき、繊維同士をあたかも繋ぎ止めるような役割を果たし、ウェット時の不織布基材強度を高める働きがあり、湿式抄造工程での金網等のメッシュからシート不織布の剥離が容易となるとか、その後の特にウェット時の基材の取り扱いに効果をもたらす。
フィブリッドの具体例としては、特公昭35−11851号公報、特公昭37−573
2号公報等に記載された方法により、有機系高分子重合体溶液を該高分子重合体溶液の沈
澱剤と剪断力の存在する系において混合することにより製造されるフィブリッドや、ある
いは、特公昭59−603号公報に記載された方法により、光学的異方性を示す高分子重
合体溶液から成形した分子配向性を有する成形物に叩解等の機械的剪断力を与えてランダ
ムにフィブリル化させたフィブリッド(なお、この様なフィブリッドは「パルプ」と称さ
れることがある。)を用いるものが好ましく、なかでも後者の方法によるものが、基材へ
の樹脂含浸性を促進しやすく最適である。
このような耐熱性の有機高分子重合体としては、繊維もしくはフィルム形成能を有する有機高分子重合体であって熱分解温度が350℃以上のものであればどれでも使用できる。
例えば、全芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエステル、ポリアリレート、ポリイミド、
ポリフェニレンサルファイド、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリエーテ
ルエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレンなどを用いることができるが、中でも特
に、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維に機械的剪断力を与えて微細なフィブリル
を持たせたフィブリッド(テイジントワロン(株)製「トワロンパルプ」)が好適である。
また、該耐熱性の有機高分子重合体からなるフィブリッドの本発明の繊維補強材に占め
る比率は特に限定はないが、1〜30重量%が好ましく、更に好ましくは3〜25重量%
である。
該フィブリッドの混合比率を比較的低めに設定する場合には、例えば、特公昭35−1
1851号公報や特公昭37−5732号公報等に記載された製造方法から得られるフィ
ブリッドを用いるのが好ましく、また、混合比率を比較的高めに設定する場合には、特公
昭59−603号公報に記載された方法により製造されたフィブリッドを用いるのが好ま
しく、さらにこれら両方の製造方法からなるフィブリッドを混合使用しても良い。
該フィブリッドの混合比率が1%未満では、湿式抄造工程で不織布形成に必要なウェット時の基材強力を維持出来ず、また、30重量%を超えると、得られる歯車の機械的強度が低下し、また特公昭35−11851号公報や特公昭37−5732号公報等に記載された製造方法から得られるフィブリッドの場合には、基材全体への均一な樹脂含浸を阻害する恐れがあるため好ましくない。
目的とする円筒状湿式不織布は、図1に示されるような、金属メッシュ上に、互いに径
の異なる大小の円筒を同心円状に配置し、大径の円筒の内周と小径の円筒の外周との中間
部に、繊維あるいは繊維とフィブリッドの混合物を、所定の比率になるように秤量し、繊維状物濃度が0.15〜0.40重量%の範囲になるように水中に投入して均一分散させ、必要に応じて、分散剤や粘度調整剤を加えた水性スラリーを投入し、抄造することにより得られる。その際、所定の目付となるように湿式抄造時にスラリー投入量、スラリー濃度を調節することで目付調整して形成することができ、それゆえ常に一定の範囲の目付とすることができる。湿式抄造シートを金網から剥離し、軽く加圧脱水後、熱風乾燥機等で乾燥し、ホットプレス等で厚さを規定し、一定の密度の不織布とすることが好ましい。得られた円筒状不織布は基材シート全体で密度斑が少なく、厚さ方向の密度も均一で繊維強化樹脂製歯車の繊維補強材としてふさわしいものである。
本発明で得られる円筒状湿式不織布の嵩密度は、0.1g/cm〜1.0g/cmの範囲とすることが好ましい。嵩密度が0.1g/cm未満の場合、樹脂含浸の際に紙中の繊維が移動する可能性があり、それにより歯車の均一性が低下(局部的に機械的強度が低下)する可能性がある。また、1.0g/cmを超える場合には、単繊維1本1本に樹脂を均一に含浸することが困難となるため好ましくない。
円筒状湿式不織布からなる繊維補強材に含浸させる樹脂は特に限定されないが、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シアネートエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、架橋ポリアミノアミド樹脂、架橋ポリエステルアミド樹脂などの熱硬化性樹脂、あるいは、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂などの熱可塑性樹脂が好ましい。これらは共重合体、変性体、あるいは2種以上の樹脂を混合した樹脂であってもよい。また、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を複合してもよい。あるいは樹脂中に、難燃剤、耐光剤、紫外線吸収剤、平滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、離型剤、可塑剤、着色剤、抗菌剤、顔料、導電剤、シランカップリング剤、無機系コーティング剤などの機能剤を包含してもよい。このとき繊維補強材は、金型に配置する前に樹脂を含浸してプリプレグとしてもよいし、金型に配置し、所定の樹脂率となるよう圧縮した後に樹脂を注入してもよいが、樹脂を含浸してプリプレグとする場合は、歯車としたときの樹脂率を所定の比率にするために、あらかじめ繊維補強材の嵩密度を高くしておくことがより好ましい。但し、前記の嵩密度範囲を外れる場合は成形が困難となり、歯車にしたときの機械的強度が低下するため好ましくない。
成形を行う際は、事前に金型を減圧状態にしたり、温度を上げておいたりすることによ
って、樹脂の繊維補強材への含浸性を向上させることが好ましい。また、繊維補強材を樹脂に含浸させる前に加圧して形態を安定させてもよいし、樹脂含浸後に軸方向に加圧し、樹脂の含浸性を高めても良い。また、歯車を成形する場合は、一般に樹脂成形後に、歯車の歯部を機械切削により作製するが、円筒状で歯車を形成し、歯車型の金型で成形してもよい。
このようにして得られた繊維強化樹脂製歯車は、繊維補強材を構成する単繊維1本1本
の周囲に均一に樹脂が存在し、その結果機械的強度に優れ、従来よりも高い耐久性を持つ
歯車を提供できる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。なお、実施例で用いた試験片の作成
方法、及びその評価方法は下記のとおりである。
(1)繊維補強材(円筒状湿式不織布)の目付、厚さ、及び嵩密度
JIS L 1096に準拠して測定した。
(2)濾水時間
繊維状物と水を主成分とするスラリーを投入して濾水を開始してから円筒型不織布を作成して取り出すまでにかかる時間を測定した。
(3)繊維強化樹脂成形体の体積樹脂含有率
繊維強化樹脂成形体の体積V、成形体中に導入した樹脂の体積Vrを計測し、下記式を
用いて計算した。
体積樹脂含有率=Vr/V×100(%)
(4)歯車の押し込み強度
樹脂製歯車から、歯部根元の幅が5mm、歯部根元から歯部頂点までの幅が5mmのテ
ストピースを作製し、3.5mm径のピンゲージを2.5mm/minの速さで歯と歯の
間に押し込み、歯が破壊されるときの押し込み強度(N)を測定した。歯の破壊は歯
元に亀裂が入ることにより生じた。
[実施例1]
コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドからなる、単繊維繊度:1.7dtex、カット長:3mmの短繊維(帝人テクノプロダクツ(株)製「テクノーラ」)、ポリメタフェニレン・イソフタルアミドからなる、単繊維繊度2.0dtex、カット長:3mmの短繊維(帝人テクノプロダクツ(株)製「コーネックス」)、及びポリパラフェニレン・テレフタルアミドからなるフィブリッド(テイジントワロン(株)製「トワロンパルプ1094」)を、重量比で45/50/5となるようにパルパーに投入して水中に離解分散させ、繊維濃度5重量%の抄紙用スラリーを作成した。
次に、外径53mm、及び内径79mm(肉厚はいずれも5mm)の2ヶの塩ビ管を準備し、更に上部に金属メッシュ、その下に鉄板の蓋を配した治具(図1参照)を用いて塩ビ管と連結し、円筒型抄紙機を作成した。この抄紙機の円筒下部にアスピレーターを配したものを用いて該抄紙用スラリーを吸引抄造した。
方法は下記のとおり実施した。まず抄紙機下部を鉄板でシールし、金属メッシュ上約30cmの高さまでスラリーを投入して維持した後、鉄板を取り除き、直後にアスピレーターを抄紙機下部にセットして抄紙を開始した。その後スラリーの高さがほぼ金属メッシュ上約30cmの高さを維持するように残りのスラリーを逐次投入し、それをスラリーがなくなるまで行った。このときアスピレーターによって抄紙機下部の圧力を600mmHgとした。
前記抄紙装置にて得られた円筒状紙(円筒状湿式不織布)を軽く加圧脱水後、温度120℃の熱風乾燥機中で約30分間乾燥して、坪量7000g/mの円筒状湿式不織布からなる繊維補強材を得た。
この円筒状湿式不織布からなる繊維補強材をホットプレスにて、温度:250℃、圧力:40kg/cmの条件で10分圧縮し、嵩密度を0.5g/cmとした後、中空部に外径55mmの金属製ブッシュを通し、これを歯車成形用金型に入れ、金型を約200℃、真空減圧下で架橋ポリアミノアミド樹脂を注入して樹脂を含浸させた。その後、樹脂を硬化させて、厚さ10mm、体積繊維含有率が50%の繊維強化樹脂成形体を作成した。この繊維強化樹脂成形体に機械切削を施すことにより、歯車の歯部を作成して、繊維強化樹脂製歯車を得た。
この繊維補強材、繊維強化樹脂成形体、及び繊維強化樹脂製歯車について前記(1)〜(4)の項目について評価した諸特性は、表1に示すとおりであった。
[比較例1]
実施例と同様のスラリーを用いて実施例1に示した円筒型抄紙機にて、アスピレーターを使用せず抄紙を行った。抄紙の際には金属メッシュ上の円筒内にスラリー中の水がなくならないように逐次スラリーを投入して実施した。
次にタッピー式角型手抄機を用いて該抄紙用スラリーを抄紙し、軽く加圧脱水後、温度120℃の熱風乾燥機中で約30分間乾燥して、坪量7000g/mの円筒状湿式不織布からなる繊維補強材を得た。
この繊維補強材を実施例1と同様の方法にて繊維強化樹脂成形体、及び繊維強化樹脂製歯車を作成した。
この湿式不織布、繊維強化樹脂成形体、及び繊維強化樹脂製歯車について前記(1)〜(4)の項目について評価した諸特性は、表1に示すとおりであった。この結果濾水時間が長く生産性が劣るのもであった。
[比較例2]
コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドからなる、単繊維繊度:1.7dtex、カット長:51mmの短繊維(帝人テクノプロダクツ(株)製「テクノーラ」)、ポリメタフェニレン・イソフタルアミドからなる、単繊維繊度2.0dtex、カット長:51mmの短繊維(帝人テクノプロダクツ(株)製「コーネックス」)を重量比45/55で混紡し、撚り数16ターン/インチ、20番手(約295dtex)となるように紡績した後、目付117g/m2、網目長約0.2インチ、かつウェール25ヶ/インチ、コース30ヶ/インチの編地密度で筒状編布を作成した。この筒状編布を、端から巻き返すことでドーナツ状として、中空部にブッシュを配置した後金型に配置し、その後は実施例1と同様にして、体積繊維含有率が50%の繊維強化樹脂成形体を作成した。この繊維強化樹脂成形体に機械切削を施すことにより、歯車の歯部を作成して、繊維強化樹脂製歯車を得た。
この編布基材、繊維強化樹脂成形体、及び繊維強化樹脂製歯車について前記(1)〜(4)の項目について評価した諸特性は、表1に示すとおりであった。編地の密度が高いため、また混紡糸を使っているため、見かけ上樹脂は含浸しているように見えるものの繊維内に十分浸透しておらず、そのため歯車の強度が低下したものと推測される。
Figure 2008248907
本発明の方法により、短時間で均一な樹脂製歯車用繊維補強材を生産性良く製造することが出来、又それを用いて強度等の機械的性能の高い樹脂製歯車とすることが出来るので、金属製歯車の噛み合い時に生ずる騒音の低減や軽量化が可能となり機械、電気電子製品等の分野に有用である。
本発明で使用する円筒状湿式不織布の製造に使用する円筒型抄紙機装置の簡 略図。

Claims (3)

  1. 円筒状に継ぎ目なく形成されている繊維強化樹脂製歯車用繊維補強材の製造方法であって、金属メッシュ上に、互いに径の異なる大小の円筒を同心円状に配置し、その大径の円筒の内周と小径の円筒の外周との中間部に、繊維状物と水を主成分とするスラリーを投入し、金属メッシュ下部の大径の円筒内の圧力を700mmHg以下に減圧して湿式抄造することを特徴とする繊維強化樹脂製歯車用繊維補強材の製造方法。
  2. 繊維状物が、熱分解開始温度が350℃以上である有機高分子重合体からなる繊維、及
    び熱分解開始温度が350℃以上である有機高分子重合体からなるフィブリッドを含む請
    求項1記載の繊維強化樹脂製歯車用繊維補強材の製造方法。
  3. 熱分解開始温度が350℃以上である有機高分子重合体が、パラ型全芳香族ポリアミド及び/又はメタ型全芳香族ポリアミドを含む有機高分子重合体である請求項1又は2記載の繊維強化樹脂製歯車用繊維補強材の製造方法。
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