JP5519267B2 - 繊維強化樹脂製歯車 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維強化樹脂製歯車に関する。更に詳しくは、歯車全体に均一に繊維が存在し、機械的強度及び耐久性に優れた繊維強化樹脂製歯車に関する。
従来、歯車の材料として特に高負荷が必要な用途においては鋼等の金属材料が一般的であったが、歯車の噛み合い時に生ずる騒音の解消や軽量化などを目的として、最近、歯部に繊維強化樹脂複合体を用いたものが検討されている。
このような歯部成形用繊維強化樹脂複合体の補強補強材として必要とされる物性は、樹脂成形する際の成形温度、或いは自動車エンジンに用いられるタイミングギアのように100〜130℃の潤滑油への浸漬に長時間耐え得る耐熱性であり、さらに、近年では車両用歯車の歯部にかかる負荷が一層高くなっているので、高強度で高靭性であることも要求されている。
また、歯車の噛み合い時に発生する騒音を低減させるためには適切な弾性率と適切な伸度とを有する材料を補強材として用いる必要がある。このような補強材として、従来より、メタ型芳香族ポリアミド繊維を用いることが知られている(特許文献1)が、メタ型芳香族ポリアミド繊維は成形加工性には優れているものの強度が劣るため、高負荷が掛かる用途では信頼性の点で不安があった。このような問題を解決するため、特許文献2には、メタ型芳香族ポリアミド繊維とカーボン繊維とを複合した補強材が開示されているが、カーボン繊維は耐衝撃強度が低いため、歯車の切削加工時、或いは使用時に破損するなどの問題があるばかりでなく、弾性率が非常に高いため、歯車の噛み合い時に生ずる騒音の減少効果も少ないという問題がある。さらに、特許文献3には、成型加工性に優れたメタ型芳香族ポリアミド繊維と高強度のパラ型芳香族ポリアミド繊維とを複合した補強材が開示されているが、最近の、ギアの高速回転化に伴う負荷の増加や、より高温の雰囲気下での長時間使用を考慮すると、必ずしも充分な補強効果が発揮されているとは言えない。
特開平2−241729号公報 特開平5−240325号公報 特開平7−113458号公報
本発明の目的は、機械的強度及び耐久性に優れた繊維強化樹脂製歯車を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討した結果、かかる目的は、繊維補強材と樹脂からなる繊維強化樹脂製歯車であって、該繊維補強材が、単繊維繊度が10〜45dtex、結晶化度が55〜70%のパラ型芳香族ポリアミド繊維を、該繊維補強材の全重量に対して3〜60重量%含むことを特徴とする繊維強化樹脂製歯車により達成できることを見出し、本発明に到達した。
本発明の繊維強化樹脂製歯車は、特定の単繊維繊度及び結晶化度を有するパラ型全芳香族ポリアミド繊維を含むことによって、機械的性能が改善され、かつ耐久性をも兼ね備えることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明の繊維強化樹脂製歯車(以下、単に歯車と称することがある)は、繊維補強材と樹脂からなる繊維強化樹脂製歯車であって、該繊維補強材が、単繊維繊度が10〜45dtex、結晶化度が55〜70%のパラ型芳香族ポリアミド繊維を、該繊維補強材の全重量に対して3〜60重量%含むことを特徴とする。
本発明に使用されるパラ型芳香族ポリアミドは、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジアミン、芳香族アミノカルボン酸などを、カルボキシル基とアミノ基とが略等モルとなる割合で重縮合して得られるもので、かつ延鎖結合が共軸又は平行であり且つ反対方向に向いているポリアミドである。具体的なパラ型全芳香族ポリアミド繊維としては、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維等を例示することができ、特に共重合型である後者は、歯車とした時の機械的強度や、耐久性が高くなり好ましい。
本発明においては、上記のパラ型芳香族ポリアミド繊維が、単繊維繊度が10〜45dtex、結晶化度が55〜70%のであることが肝要である。これにより、機械的強度と耐久性を同時に兼ね備えた歯車とするができる。以下、さらに詳細に述べる。本発明においては、芳香族ポリアミド繊維の単繊維繊度は10〜45dtexであり、好ましくは15〜45dtex、より好ましくは20〜45dtexである。一般に、歯車の機械的強度を高くしようとすれば、これを補強する繊維に、高倍率で延伸した単繊維繊度が5dtex以下の高強度、高弾性率繊維を採用することが考えられる。しかし、われわれが検討を行った結果、単繊維繊度を10dtexよりも細くすると、歯車としたときの機械的強度や耐久性が低下するだけでなく、例えば、樹脂含浸性を良くするため扁平化した糸条で織物を成形する場合、わずかな負荷でも繊維が毛羽立ちや単糸切れが発生したり、開繊性が低下したりするため、著しく成形性を阻害することがわかった。一方、単糸繊度45dtexよりも太くなると、同じ総重量の繊維を用いた場合、歯車内の繊維構成本数が少なくなるため繊維補強部分が不均一になり、部分的に十分な補強効果を得られなくなる。また、従来、このように太い単繊維繊度を有する芳香族ポリアミド繊維は一般的でなく、ましてや歯車用途に応用することは提案されていないのが実情である。
さらに本発明においては、芳香族ポリアミド繊維の結晶化度を55〜70%とする必要があり、好ましくは57〜63%とする。結晶化度が55%よりも小さいと、繊維が軟らかすぎて十分な補強効果を得ることができない。一方、結晶化度が70%より大きいと、繊維が硬く脆くなり割れてしまい、機械的強度や耐久性に劣る。
本発明においては、パラ型芳香族ポリアミド繊維の引張強度が2000MPa以上、引張弾性率が51〜150GPaであることが望ましい。上記パラ型芳香族ポリアミド繊維の引張強度が2000MPa未満の場合は、高速回転中の高負荷に耐えられず、歯車が破損したり、充分な耐久性が得られなくなったりする傾向にある。さらに、上記パラ型芳香族ポリアミド繊維の弾性率が51GPa未満の場合は瞬間的な負荷がかかった際に変形しやすいため好ましくなく、一方、弾性率が150GPaを越えると騒音が生じやすくなる傾向にある。
本発明において、上記単繊維繊度と結晶化度を同時に満足するパラ型芳香族ポリアミド繊維は、パラ型芳香族ポリアミドポリマーを溶媒に溶解したドープを、紡糸口金から吐出し、エアーギャップを介して溶媒水溶液中に紡出し、その後、さらに複数槽の濃度勾配を設けた脱溶媒槽で脱溶媒した後、1.2〜1.4倍に延伸させながら乾燥し、次いで、450〜550℃で8〜15倍に延伸した後、巻き取ることにより製造することができる。また、上記の引張強度、弾性率を有するパラ型芳香族ポリアミド繊維も上記方法で容易に製造することができる。
また、本発明においては、上記パラ型芳香族ポリアミド繊維の、繊維補強材の全重量に対する含有量が3〜60重量%である必要がある。該含有量が3重量%未満では十分な耐久性を発揮できず、一方、60重量%を超えて含有した場合、該繊維補強材の強度バランスが不均一になり耐久性が低下する。
本発明の繊維補強材に使用される繊維としては、歯車の成形温度、歯車として使用する際の発熱などや、樹脂の含浸性などの観点から単繊維繊度が0.1dtex以上10dtex未満、好ましくは0.5dtex以上5dtex以下であり、かつ熱分解開始温度が350℃以上の繊維であることが好ましい。本発明においては、前述した剛性の高い単繊維繊度が10〜45dtex、結晶化度が55〜70%のパラ型芳香族ポリアミド繊維と、上記の繊度が小さく柔軟な耐熱性繊維とを組み合わせることで、歯車にしたときの耐熱性、機械的強度、切削加工性を著しく改善することができる。
この際、単繊維繊度が10〜45dtex、結晶化度が55〜70%のパラ型芳香族ポリアミド繊維:単繊維繊度が0.1dtex以上10dtex未満、熱分解開始温度が350℃以上の繊維の重量比率は、3:97〜60:30が好ましい。前者が少な過ぎると、歯車としたとき十分な強度や耐久性が得られず、前者が多すぎても樹脂含浸性や切削加工性が悪くなる傾向にある。
上記繊維としては、具体的には芳香族ポリエステル繊維、ポリアリレート繊維、全芳香族ポリアミド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリイミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスチアゾール繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維などが例示される。また、特に機械的強度が重要とされる場合であれば、炭素繊維、ガラス繊維なども使用できる。これら繊維素材は単独、もしくは2種以上の繊維を混合して使用することも可能であり、また本発明の効果を損なわない範囲で、熱分解温度が350℃以下の範囲の繊維、例えばポリオレフィン系繊維などを少量混合してもよい。
中でも、上記の耐熱性、機械的強度、切削加工性の観点から、芳香族ポリアミド繊維、特に、より柔軟なメタ型ポリアミド繊維を用いるのが好ましいが、パラ型芳香族ポリアミド繊維とメタ型芳香族ポリアミド繊維を混合したものを用いてもよく、その際は、混合比率は重量比率で80/20〜20/80(メタ型/パラ型)が好ましい。
メタ型芳香族ポリアミド繊維の割合が80重量%を超えると、歯車に必要とされる機械的強度が小さくなり、またパラ型芳香族ポリアミド繊維の割合が80重量%を超えると、基材への樹脂含浸性が著しく悪くなり、更に歯部を形成するための切削加工時に毛羽が発生するなどの問題を生じる。
また、用途によっては、上記のパラ型芳香族ポリアミド繊維を全芳香族ポリエステルに代えて、メタ型芳香族ポリアミド繊維と複合させても良く、その混合比率は重量比率で80/20〜20/80(メタ型/全芳香族ポリエステル)の範囲が好ましい。
本発明に使用される繊維補強材は、織布、編布、乾式不織布、湿式不織布のいずれかの形態で形成されていることが望ましい。特に不織布が好ましく、中でも基材全体に繊維を均一に存在させられる、湿式抄造により形成した湿式不織布であることが好ましい。
本発明に使用される繊維補強材が不織布、特に湿式不織布の場合は、本発明においては、前述した剛性の高い単繊維繊度が10〜45dtex、結晶化度が55〜70%のパラ型芳香族ポリアミド繊維の繊維長は、1〜12mmが好ましく、2〜10mmがより好ましい。繊維長が1mm未満では、繊維補強材および歯車としたとき十分な強度が得られない傾向にあり、繊維長が12mmを超えると繊維の繊維補強材の地合いが悪くなる傾向にある。
繊維補強材の目付は特に限定はないが、50〜2000g/mの範囲内であることが好ましい。目付が50g/m未満の場合には、歯車成形時に基材の積層枚数が多くなるため生産性が低下し、また多くの界面が存在するため歯車としての均一性が低下するため好ましくない。一方、目付が2000g/mを超える場合には、製造が困難となるため好ましくない。
本発明に使用される繊維補強材として湿式不織布を用いる場合には、有機高分子重合体からなるフィブリッドを、該繊維補強材の全重量中に1〜30重量%含むことが好ましい。ここで言うフィブリッドとは、バインダー性能を有する微小のフィブリルを有する薄葉状、鱗片状の小片、又は、ランダムにフィブリル化した微小短繊維の総称であり、例えば、特公昭35−11851号公報、特公昭37−5732号公報等に記載された方法により、有機系高分子重合体溶液を該高分子重合体溶液の沈澱剤と剪断力の存在する系において混合することにより製造されるフィブリッドや、あるいは、特公昭59−603号公報に記載された方法により、光学的異方性を示す高分子重合体溶液から成形した分子配向性を有する成形物に叩解等の機械的剪断力を与えてランダムにフィブリル化させたフィブリッド(なお、この様なフィブリッドは「パルプ」と称されることがある。)を用いるものが好ましく、なかでも後者の方法によるものが、基材への樹脂含浸性を促進しやすく最適である。
このような耐熱性の有機高分子重合体としては、繊維、もしくはフィルム形性能を有する有機高分子重合体であって熱分解温度が350℃以上のものであればどれでも使用できる。上記有機高分子重合体としては、例えば、全芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエステル、ポリアリレート、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレンなどを用いることができるが、中でも特に、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維に機械的剪断力を与えて微細なフィブリルを持たせたフィブリッド(テイジントワロン(株)製「トワロンパルプ」)が好適である。
このような湿式不織布は、従来から公知の方法により製造することができる。例えば、繊維及びフィブリッドを所定の比率になるように秤量し、繊維濃度が0.15〜0.40重量%の範囲になるように水中に投入して均一分散させ、調整した水性スラリー中に、必要に応じて、分散剤や粘度調整剤を加えた後、長網式や丸網式等の抄紙機による湿式抄造法で湿紙を形成し、この湿紙にもし必要ならば、有機系のバインダー樹脂をスプレー方式等により所定の固形分比率の重量になるよう付与した後、乾燥して得た乾燥紙を所定の嵩密度の範囲となるように加熱加圧加工して湿式不織布を得ることができる。
本発明に使用される繊維補強材の嵩密度は特に限定されないが、シート状の補強材を積層して歯車とする際にはその嵩密度は0.1〜1.0g/cmの範囲にあることが好ましい。嵩密度が0.1g/cm未満の場合、ドーナツ状に形成する際、きれいな端面を形成することが困難である。また、嵩密度が1.0g/cmを超える場合には、樹脂を均一に含浸することが困難となるため好ましくない。また、嵩密度が前記の範囲内であれば一定の嵩密度のものに限らず、嵩密度の異なるものを併用しても良い。嵩密度の異なるものを併用する場合、例えば、ブッシュの近傍に目付けの低い不織布を巻きつけ、外側に進むにしたがって徐々に嵩密度を上げて巻きつけることで、ブッシュに巻き付ける際に生じる皺を防止することができる。
製造された繊維補強材は、中央に円形のスペースを空けたドーナツ型に形成し、それを所定の樹脂率となるように積層して筒状に形成する。
このとき繊維補強材は、筒状に形成する前、又は筒状に形成した後に樹脂を含浸してプリプレグとしてもよいし、上記筒状繊維補強材を金型に配置し、所定の樹脂率となるよう圧縮した後に樹脂を注入してもよいが、樹脂を含浸してプリプレグとする場合は、歯車としたときの樹脂率を所定の比率にするために、あらかじめ繊維補強材の嵩密度を高くしておくことがより好ましい。但し、前記の嵩密度範囲を外れる場合は成形が困難となり、歯車にしたときの機械的強度が低下するため好ましくない。
成形を行う際は、事前に金型を減圧状態にしたり、温度を上げておいたりすることによって、樹脂の補強材への含浸性を向上させることが好ましい。また、補強材を樹脂に含浸させる前に加圧して形態を安定させてもよいし、樹脂含浸後に軸方向に加圧し、樹脂の含浸性を高めても良い。また、歯車を成形する場合は、一般に樹脂成形後に、歯車の歯部を機械切削により作製するが、歯車型の金型で成形し、作製しても良い。歯車型の金型で成形する場合は、例えば、金型の歯車の本体部分に不織布をブッシュに巻き付けるなどして配置させ、歯の部分には歯の形状とした繊維補強材を積層するなどして、金型内に配置させる。
繊維補強材に含浸させる樹脂は特に限定されないが、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シアネートエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、架橋ポリアミノアミド樹脂、架橋ポリエステルアミド樹脂などの熱硬化性樹脂、あるいは、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂などの熱可塑性樹脂が好ましい。これらは共重合体、変性体、あるいは2種以上の樹脂を混合した樹脂であってもよい。また、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を複合してもよい。あるいは樹脂中に、難燃剤、耐光剤、紫外線吸収剤、平滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、離型剤、可塑剤、着色剤、抗菌剤、顔料、導電剤、シランカップリング剤、無機系コーティング剤などの機能剤を包含してもよい。
本発明の歯車においては、歯車の体積をV、樹脂の体積をVrとしたときの下記式で算出される体積樹脂含有率は、歯車の機械的強度や成形性の点から、30〜70%が好ましく、40〜60%がより好ましい。
体積樹脂含有率=Vr/V×100(%)
本発明によれば、強化繊維として、太繊度でありながら結晶化度を向上させたパラ型芳香族ポリアミド繊維を含むことにより、該繊維強化樹脂製歯車の目的用途で使用する際に受ける外力によっても単繊維が変形しにくく、強化繊維とマトリックス樹脂との密着が維持され、機械的強度が高く、優れた耐久性を発揮する繊維強化樹脂製歯車を提供することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例で用いた評価方法は下記の通りである。
(1)繊維の結晶化度
広角X線回折法にて、Bruker AXS製X線回折装置(D8 DISCOVER with RAD−3a RU−300 GADDS Super Speed)を用い、Cu−Kα線での散乱強度を測定し、次式で結晶化度を計算した。
結晶化度=結晶部の散乱強度/全散乱強度×100(%)
(2)繊維の引張強度、引張弾性率
ASTM D 885に準拠して測定した。
(3)湿式不織布補強材の目付
JIS P 8124に準拠して測定した。
(4)歯車の体積樹脂含有率(維強化樹脂成形体の体積樹脂含有率)
繊維強化樹脂成形体の体積V、成形体中に導入した樹脂の体積Vrを計測し、下記式を用いて計算した。なお、本実施例においては、上記繊維強化樹脂成形体に機械切削を施して歯部を成形し歯車とするため、維強化樹脂成形体の体積樹脂含有率と、歯車の体積樹脂含有率は同じである。
体積樹脂含有率=Vr/V×100(%)
(5)歯車の押し込み強度
繊維強化樹脂成形体から、歯部根元の幅が5mm、歯部根元から歯部頂点までの幅が5mmのテストピースを作製し、3.5mm径のピンゲージを2.5mm/分の速さで歯と歯の間に押し込み、歯が破壊されるときの押し込み強度(kgf)を測定した。歯の破壊は歯元に亀裂が入ることにより生じた。
(6)歯車のモータリング耐久寿命
表1に示す試験条件により樹脂製歯車を連続回転させ、樹脂製歯車が破壊するまでの時間を測定した。
Figure 0005519267
[実施例1]
紡糸用のドープは、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド(共重合モル比が1:1の全芳香族ポリアミド)の濃度6重量%のNMP溶液を用いた。得られたドープを用い、孔数200ホールの紡糸口金から吐出し、エアーギャップ約10mmを介してNMP濃度30重量%の水溶液中に紡出し、その後、15槽かつ濃度勾配が10重量%〜0.001重量%の脱溶媒槽で脱溶媒した後、1.3倍に延伸させながら乾燥し、次いで、温度500℃下で10倍に延伸した後、巻き取ることにより、結晶化度が70%、単繊維繊度が10dtexのコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維を得た。
上記製糸により得られたコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドからなる単繊維繊度10dtex、カット長3mmの短繊維(繊維A)、ポリメタフェニレンイソフタルアミドからなる単繊維繊度2.2dtex、カット長3mmの短繊維(繊維B)(帝人テクノプロダクツ(株)製「コーネックス」)、ポリパラフェニレンテレフタルアミドからなるフィブリッド(テイジントワロン(株)製「トワロンパルプ1094」)を、重量比がそれぞれ、繊維Aが24重量、繊維Bが71重量%、フィブリットが5重量%となるようにパルパーに投入して水中に離解分散させ、繊維濃度0.2重量%の抄紙用スラリーを作成した。
次にタッピー式角型手抄機を用いて該抄紙用スラリーを抄紙し、軽く加圧脱水後、温度120℃の熱風乾燥機中で約30分間乾燥して、坪量200g/mの湿式不織布からなる繊維補強材を得た。
この湿式不織布を、温度200℃、線圧50kg/cmのカレンダーに通し、湿式不織布基材の嵩密度を0.5g/cmとした後、打抜きによりドーナツ型に形成し、積層して中空部に金属製ブッシュを通し(このとき、ブッシュ径が、ドーナツ型に打抜いた基材の中空部よりも若干太くなるように湿式不織布の打抜きを行った)、これを歯車成形用金型に入れ、金型を約200℃にして、真空減圧下、特公昭63−241029号公報に記載の方法に従い製造された架橋ポリアミノアミド樹脂を注入して、補強材である湿式不織布に樹脂を含浸させた後、樹脂を硬化させ、体積繊維含有率が50%の繊維強化樹脂成形体を作製した。この繊維強化樹脂成形体に機械切削を施すことにより、歯車の歯部を作製して、繊維強化樹脂製歯車を得た。結果を表2に示す。
[実施例2〜9、比較例1〜4]
繊維Aの物性、繊維補強材中の各繊維およびフィブリッドの含有量を表1に記載するように調整した。比較例1、2では、延伸倍率を10倍から5倍に変更し、比較例3では、脱溶媒した後に延伸せず乾燥を行った。それぞれの実施例、比較例において、単繊維繊度は、口金からのポリマー吐出量を増減することによって、表2に示す単繊維繊度に調整した。また、実施例8、9では、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドからなる単繊維繊度1.6dtex、カット長:3mmの短繊維(繊維C)(帝人テクノプロダクツ(株)製「テクノーラ」)を、繊維A、繊維B、フィブリットと同時に、パルパーに投入し、繊維補強材を得た。これ以外は、実施例1と同様に実施して、繊維強化樹脂製歯車を得た。結果を表2に示す。
Figure 0005519267
本発明の繊維強化樹脂製歯車は、機械的性能かつ耐久性を兼ね備えているため、事務用機器、コンピュータ周辺機器類、さらに高負荷が必要な用途に適用する歯車として有用である。

Claims (8)

  1. 繊維補強材と樹脂からなる繊維強化樹脂製歯車であって、該繊維補強材が、単繊維繊度が10〜45dtex、結晶化度が55〜70%のパラ型芳香族ポリアミド繊維を、該繊維補強材の全重量に対して3〜60重量%含むことを特徴とする繊維強化樹脂製歯車。
  2. パラ型芳香族ポリアミド繊維の引張強度が2000MPa以上、引張弾性率が51〜150GPaである請求項1に記載の繊維強化樹脂製歯車。
  3. パラ型芳香族ポリアミド繊維が、ポリパラフェニレンテレフタルアミドからなる繊維、または、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドからなる繊維である請求項1または2に記載の繊維強化樹脂製歯車。
  4. 繊維補強材が、不織布である請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化樹脂製歯車。
  5. 繊維補強材が、単繊維繊度が0.1dtex以上10dtex未満、熱分解開始温度が350℃以上の繊維を含む請求項1〜4のいずれかに記載の繊維強化樹脂製歯車。
  6. 単繊維繊度が0.1dtex以上10dtex未満、熱分解開始温度が350℃以上の繊維が、芳香族ポリアミド繊維である請求項5記載の繊維強化樹脂製歯車。
  7. 繊維補強材が、有機高分子のフィブリッドを、該繊維補強材の全重量に対して1〜30重量%含む請求項1〜6のいずれかに記載の繊維強化樹脂歯車。
  8. パラ型全芳香族ポリアミド繊維の繊維長が1〜12mmである請求項1〜7のいずれかに記載の繊維強化樹脂歯車。
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