JP2019060046A - アラミド短繊維及びそれを含む樹脂複合材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂と繊維を複合化する際に用いられる、樹脂の含浸性が高いアラミド短繊維、及びそれを用いて優れた成形品位と機械特性を有する樹脂複合材料を提供すること。【解決手段】アラミド長繊維を切断して得られる短繊維であって、D=W/V(ただし、かさ密度をDg/cm3、短繊維の見掛け体積をVcm3、その重量をWgとする。)で表わされるかさ密度(D)が0.18g/cm3以下であり、好ましくは捲縮数が1〜12山/25mm、平均繊維長が1〜10mmのアラミドの短繊維、及びそれと熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を含む樹脂複合材料である。【選択図】なし

Description

本発明は、アラミド短繊維及びそれを含む樹脂複合材料に関するものである。
従来から、樹脂の機械的強度を向上させる手段として、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の高強力繊維を用いることが知られている。一般には、長繊維を切断して得られる短繊維と熱可塑性樹脂とを混合し、押出機で溶融混練した後ペレット化し、これを射出成形することにより熱可塑性樹脂複合材料を得る方法、あるいは、短繊維を湿式法または乾式法でシート状に成形した後、未硬化の熱硬化性樹脂を含浸させ、プレス成形により樹脂複合材料を得る方法が提案されている(例えば、特許文献1〜2参照)。
しかし、何れの方法においても短繊維を単糸まで均一に分散することが難しく、熱可塑性樹脂複合体においては樹脂中に単糸が均一に分散せず、また熱硬化性樹脂においては単糸間に樹脂が均一に含浸せず、いずれの場合も所望の性能が得られ難い。
特に単糸間への樹脂の含浸性を上げる方法として、糸間の空隙を大きくする方法が考えられる。例えば、特許文献3には、通気性を高めるために、捲縮を有するビスコースレーヨン短繊維を用いてかさ高不織布を作製し、油捕集効率の良好な不織布を得る方法が提案されているが、不織布フィルター用の短繊維であるため繊維長が長く、複合材料用には不適である。
繊維と樹脂との複合材料に関して、特許文献4には、アラミド短繊維が本来有している耐熱性、耐摩耗性及び耐久性を活かすために、油剤が付着した捲縮短繊維でウェブを作製し、このウェブ間にスクリムを積層したフェルトにフェノール樹脂を含浸させ摩擦材とすることが提案されているが、接着性を十分満足するには至っていない。
特開2007−16101号公報 特開2003−14086号公報 特開2007−39835号公報 特開2012−82551号公報
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、樹脂と複合化する際に用いられる、樹脂の含浸性が高いアラミド短繊維、及びそれを用いた優れた成形品位と機械特性を有する樹脂複合材料を提供せんとするものである。
本発明者等は、かかる課題を解決するために、樹脂の含浸性を向上させるためには短繊維のかさ密度を下げることが重要であり、またそのためには捲縮することが重要との予測の下、鋭意検討を行った。その結果、かさ密度を0.18g/cm以下に調整した捲縮アラミド短繊維を用いることで、樹脂の含浸性が良好で高い物性の樹脂複合材料を提供できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)捲縮アラミド長繊維を切断して得られる短繊維であって、
樹脂と複合化する際に用いられ、
下記式(A)で定義されるかさ密度(D)が0.18g/cm以下であることを特徴とするアラミド短繊維。
D=W/V ・・・(A)
(ただし、かさ密度をD(g/cm)、短繊維の見掛け体積をV(cm)、その重量をW(g)とする。)
(2)捲縮数が1〜12山/25mmである上記(1)に記載のアラミド短繊維。
(3)平均繊維長が1〜10mmである上記(1)または(2)に記載のアラミド短繊維。
(4)アラミドが、ポリパラフェニレンテレフタルアミドである上記(1)〜(3)のいずれかに記載のアラミド短繊維。
(5)アラミド長繊維が、繊維骨格内に硬化性エポキシ化合物を0.1〜10質量%浸透させた長繊維である上記(1)〜(4)のいずれかに記載のアラミド短繊維。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載のアラミド短繊維と、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂とを含む樹脂複合材料。
本発明によれば、捲縮アラミド短繊維のように、かさ密度の低いアラミド短繊維を用いることにより、繊維シートにおける糸間の空隙が大きくなり、樹脂が含浸するスペースができることで、成形品位の良い、また高強度の樹脂複合材料を提供できる。それにより、高強度を必要とする成形品の使用量を減らすことが可能になり、部材の軽量化が期待できる。
本発明のアラミド短繊維は、アラミド長繊維を切断して得られる短繊維であって、樹脂と複合化する際に用いられる複合材料用の短繊維である。下記式(A)で定義されるかさ密度(D)が0.18g/cm以下であることを特徴とするものである。かさ密度が小さいことにより、繊維シートにおける糸間の空隙が大きくなることで、樹脂が含浸するスペースが拡がることで、複合材料の機械特性を向上させることができる。かさ密度(D)が0.18g/cmを超える場合は、一般的に捲縮していないアラミド短繊維のかさ密度に近づくこととなり、所望の効果が得られ難くなる。
D=W/V ・・・(A)
(ただし、かさ密度をD(g/cm)、短繊維の見掛け体積をV(cm)、その重量をW(g)とする。)
また、アラミド短繊維の平均繊維長は、1〜10mmであることが好ましく、より好ましくは2〜4mmである。平均繊維長が1mm以上であると、繊維の補強効果が発現し、また、10mm以下であると、後述する抄紙工程における繊維の分散性が著しく悪化することがない。なお、「平均繊維長」は、JIS L 1015に基づいて測定した繊維長である。
上記かさ密度(D)を達成するためには、捲縮したアラミド長繊維を用いることが好ましく、この長繊維をカットして得られる捲縮アラミド短繊維の捲縮数は、1〜12山/25mmとすることが好ましい。より好ましくは1.2〜6山/25mmである。捲縮数が1山/25mm以上であると、複合材料の引張強さ、衝撃強さ、圧縮応力等の機械特性の向上効果が顕著になる。また、捲縮数が12山/25mm以下であると、捲縮したアラミド長繊維の座屈、擦過等による強度低下を抑えることができる。なお、「捲縮数」は、JIS L 1015に基づいて測定した捲縮数である。
上記のかさ密度(D)は、アラミド短繊維の繊維長、捲縮数により変動するが、補強効果を発現させるためには、0.18g/cm以下であることが好ましい。より好ましくは0.08〜0.17g/cmの範囲であり、さらに好ましくは0.09〜0.11g/cmの範囲である。
アラミド長繊維及びアラミド短繊維において、単糸繊度は1.0〜5.0dtexが好ましく、より好ましくは1.0〜3.8dtex、特に好ましくは1.5〜3.6dtexである。単糸繊度が1.0dtex未満の場合は、アラミド短繊維の引張強度が低くなることで補強材としての効果が得られ難くなる。
本発明において用いられるアラミド長繊維は、特に限定されず、公知のものであってよい。例えば、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(PPTA)繊維(米国デュポン社、東レ・デュポン社製の製品名ケブラー(R)(KEVLAR(R))または帝人社製の製品名トワロン(R)(Twaron(R))等の市販品を用いることができる。また、上記のアラミド繊維を、公知の方法またはそれに準ずる方法で製造して用いてもよい。
捲縮したアラミド長繊維は、好ましくは、紡出後水分率が15重量%未満に乾燥された履歴を持たないポリパラフェニレンテレフタルアミド(以下、PPTA)繊維フィラメントを、複数本集めて連続長繊維束(トウ)とし、このトウを浴槽中を通過させて、原糸油剤を0.5重量%以下になるまで洗い流し、引き続いて約80℃のスチーム槽を通過させる。これらのトウを押し込みクリンパーで押込み法による捲縮をかけ、紡績油剤を付与し、その後水分率6重量%以下に乾燥することにより、好ましく得ることができる。
PPTA繊維フィラメントは、処理剤が付与されたものであってもよい。処理剤としては、エポキシ基含有化合物、フィルムフォーマ、イソシアネート系化合物、シランカップリング剤及び界面活性剤(カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤等)等が挙げられ、これらの処理剤から選ばれる1種または2種以上の化合物を用いることができる。また、エポキシ基含有化合物は、水性のエポキシ基含有化合物が好ましい。
ここで、紡出後水分率が15重量%未満に乾燥された履歴を持たないPPTA繊維フィラメントは、繊維を紡糸して以降、けん縮をかける直前まで繊維中の水分率が15重量%未満になった経緯の無いことを意味する。また、PPTA繊維中の水分率(R)は、下記式によって求められる値である。
R={(m−m)/m}×100
R :水分率[%]
:試料の採取時の質量[g]
:試料の絶乾質量[g]
また、紡出後水分率が15重量%未満に乾燥された履歴を持たないPPTA繊維フィラメントを得る最良の形態としては、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(PPTA)を濃硫酸に溶解して、18〜20重量%の粘調な溶液とし、これを紡糸口金から吐出して、わずかの間空気中に紡出後、水中へ紡糸する。この時、口金吐出時のせん断速度を25,000〜50,000sec−1にするのが好ましい。その後、紡糸浴中で凝固した繊維を水酸化ナトリウム水溶液で中和処理した後、100〜160℃で、好ましくは5〜20秒間乾燥することにより、水分率を15〜100質量%の状態のPPTA繊維フィラメントを調製する方法が挙げられる。
その後、PPTA繊維フィラメントを複数本集めてトウにするまでの間、PPTA繊維フィラメントを室温雰囲気下に保管する。ただし、PPTA繊維表面上の水分が蒸発して水分率が15質量%未満にならないよう、処置を施す必要がある。より好ましいのは、水分率が15〜100質量%の状態のPPTA繊維フィラメントを調製し、その水分率を保つよう保管したPPTA繊維である。押し込みクリンパーで押込み法による捲縮をかける際の水分率が、15質量%未満であると繊維内のボイドを含む構造がクリンパーで物理ダメージを受け易くなり、また、100質量%を超えるとクリンパーでの物理ダメージは受けにくいが、繊維を巻き取る工程での取扱性が悪くなる。捲縮加工後の乾燥効率も低下する。更に好ましい水分率は15〜50質量%、特に好ましくは20〜45質量%である。
PPTA繊維フィラメントの捲縮糸を、常法にて切断(カット)することで、本発明の捲縮アラミド短繊維が得られる。押し込みクリンパーで押込み法による捲縮をかける際の水分率が15〜100質量%のPPTA繊維フィラメントを切断して得られる捲縮アラミド短繊維は、捲縮していないフィラメント単糸の引張強度に対する強度保持率が非常に高い。単糸繊度、捲縮数、捲縮加工条件を適宜選択することにより、より高い強度保持率を達成可能である。こうして得られた捲縮アラミド短繊維は、単糸の引張強度が非常に高い高強度の捲縮アラミド短繊維となる。
また、水分率が15〜100重量%の状態のPPTA繊維フィラメントに捲縮を付与する前に、硬化性エポキシ化合物をPPTA繊維骨格内に含浸・浸透させ、アラミド繊維複合体となした後、その水分率を保持するようにし、上記と同様、押し込みクリンパーで押込み法による捲縮をかけた後、常法にて切断することで、捲縮アラミド短繊維を得ることもできる。
PPTA繊維骨格内に浸透させる硬化性エポキシ化合物の含浸・浸透量は、アラミド繊維の水分量を0%に換算した繊維質量に対して、0.1〜10質量%が好ましく、さらに好ましくは0.2〜5.0質量%である。
硬化性エポキシ化合物としては、グリセロール、ソルビトール、ポリグリセロール等の多価アルコールのグリシジルエーテルから選ばれる1種または2種以上の混合物が好ましい。例えば、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
硬化性エポキシ化合物の他に、硬化剤が含浸・浸透されていてもよい。硬化剤としては、例えば、ジメチルオクチルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルラウリルアミンや、脂肪族一級アミンにエチレンオキサイドを付加した長鎖アルキルポリオキシエチレン型三級アミンなどが挙げられる。硬化剤は、硬化性エポキシ化合物と同時にあるいは別々に含浸・浸透させることができる。
前記の処理剤(硬化性エポキシ化合物等)は、油剤に添加して含浸・浸透させてもよい。油剤としては、アラミド繊維に用いられる一般的な油剤、例えば、炭素数18以下の低分子量脂肪酸エステル、ポリエーテル、鉱物油などが挙げられる。この場合、硬化性エポキシ化合物は、上記油剤中に約20〜60質量%、好ましくは30〜50質量%の量で用いられることが望ましい。また、硬化剤は、上記油剤中に約3〜20質量%、好ましくは5〜10質量%の量で用いられることが望ましい。
処理剤、油剤は、例えば、浸漬給油法、スプレー給油法、ローラー給油法、計量ポンプを用いたガイド給油法等、公知の方法で付与される。
本発明の樹脂複合材料は、アラミド短繊維と、マトリックス樹脂である熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂とを含む。本発明のアラミド短繊維を複合材料用とするためには、アラミド短繊維をシート状(繊維シート)に成形することが好ましく、得られた繊維シートをさらに所望の形状に加工してもよい。
繊維シートもしくは繊維シート加工品に、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を含浸させた後、必要に応じてプレス成形等することにより形成される。樹脂としては、耐熱性が高い点より、熱硬化性樹脂が好ましく用いられる。
繊維シートの製造法としては、水中で抄造する湿式法と、気中で散布して集積する乾式法のいずれの手段も採用できるが、樹脂が含浸するスペースを確保しやすい点で湿式法が好ましい。また、繊維骨格内に硬化性エポキシ化合物を浸透させておくことにより、樹脂との親和性を向上させ、廃液への処理剤の流出を抑制できる。繊維シートは、1枚または複数枚を積層して用いることができる。繊維シートの厚さも特に限定されず、用途に応じて選択することができる。
湿式法による繊維シートは、抄紙性を向上させるために、本発明のアラミド短繊維とパルプ、フィブリッド等のフィブリル化繊維を混合して湿式抄造し、所望の厚さを有する繊維シートとすることが好ましい。フィブリル化繊維は、公知のものを用いることができるが、耐熱性に優れる点でアラミド繊維(メタ系アラミド繊維、パラ系アラミド繊維)を短繊維化したものを水に分散させ、公知のリファイナーあるいはビーター、ミル、ホモジナイザー等の摩砕装置で処理した、繊維表面に微細な毛羽を多数有するパルプが好ましく用いられる。
フィブリル化繊維と混合する際のアラミド短繊維の比率は、これらの合計量に対して、1〜97質量%とすることが好ましく、より好ましくは10〜92質量%、さらに好ましくは30〜60質量%である。アラミド短繊維の比率が1質量%以上であると、樹脂が含浸するスペースを確保し易くなり、またアラミド短繊維の比率が97質量%以下であると湿式抄造性を悪化させることがない。
含浸させる熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン、シリコーン樹脂等を単独または組み合わせて使用することができる。また、含浸させる熱可性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリメチルメタクリレート樹脂等のメタクリル系樹脂;ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂等のポリスチレン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリ1,4−シクロヘキシルジメチレンテレフタレート(PCT)樹脂等のポリエステル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂;ポリオキシメチレン(POM)樹脂;ポリカーボネート(PC)樹脂;ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂;変性ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂;ポリエーテルイミド(PEI)樹脂;ポリスルホン(PSF)樹脂;ポリエーテルスルホン(PES)樹脂;ポリケトン樹脂;ポリエーテルニトリル(PEN)樹脂;ポリエーテルケトン(PEK)樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂;ポリエーテルケトンケトン(PEKK)樹脂;ポリイミド(PI)樹脂;ポリアミドイミド(PAI)樹脂;またはこれらの樹脂の変性樹脂を挙げることができる。これらの熱可塑性樹脂は、単独または2種以上混合して用いることができる。未変性樹脂と変性樹脂を混合して用いることもできる。
繊維シートもしくは繊維シート加工品に、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を含浸するには、抄造時に樹脂粉体を水に分散させた状態で添加(即ち、湿式抄紙の際に添加して繊維シートに内部添加)する方法、抄造後得られた繊維シートに原体もしくは有機溶剤に溶解させた樹脂を含浸して乾燥する方法(有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、酢酸エステル類等)、あるいはあらかじめ作成した樹脂フィルムまたは樹脂シートを繊維シートと積層する方法を用いることができる。
上記の繊維シートもしくは繊維シート加工品に樹脂を含浸させてなる樹脂複合材料は、そのままの状態で、あるいは、所望の形状に加工して、各種用途に用いることができる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例における各物性値の測定方法は次の通りである。また、以下の実施例等において、特に言及する場合を除き、「質量%」は「%」と略記する。
[捲縮数]
JIS L 1015:2010「化学繊維ステープル試験方法」8.12(捲縮)に準拠し、25mm間当たりの捲縮数を求め、20回の平均値をJIS Z 8401の規則B(四捨五入法)によって小数点以下1桁に丸めた。
[かさ密度]
短繊維束を100cmメスシリンダーに採取し、そのメスシリンダーの短繊維の見掛け体積V(cm)とその重量W(g)から下記式により求めた。
かさ密度(g/cm)=W/V
[樹脂複合材料の引張強さ]
JIS K 6911「熱硬化性プラスチック一般試験方法」5.18(引張強さ)に準拠し、寸法20×150×3t mm短冊状試験片を用いて、試験速度5±1mm/min、つかみ具間距離80mmにて3回の平均値により、引張強さを得た。
[樹脂複合材料の衝撃強さ]
JIS K 7111「プラスチック−シャルピー衝撃特性の求め方」に準拠し、試験片(JIS K 7111−1/1eV)を用いて、公称振り子エネルギー1.00Jにて5回の平均値により、衝撃強さを得た。
[樹脂複合材料の圧縮応力]
JIS K 7018「プラスチック−積層板の面内圧縮特性の求め方」に準拠し、A形試験片、方法1用圧縮ジグを用いて、3mmの圧縮変位を与えたときの荷重から平行部分の圧縮応力を3回の平均値により、得た。
(実施例1)
ポリパラフェニレンテレフタルアミド(PPTA)(固有粘度=6.5)を99.9%の濃硫酸に溶かし、ポリマー濃度19.5%、温度80℃の紡糸ドープとし、口金からわずかの間空気中へ紡出したのち4℃の水中に導いて凝固させ、ネルソンローラーに導き、8%の水酸化ナトリウム水溶液で中和処理し、水洗後繊維の温度を90℃以下に保持しながら乾燥し、硬化性エポキシ化合物としてトリグリセロールトリグリシジルエーテルと浸透助剤を水分率0質量%換算としたときのPPTA繊維質量に対して2質量%浸透させて、繊維用紙管に巻き取り、総繊度1,594dtex(絶乾換算)のPPTA長繊維を得た。
得られたPPTA長繊維(単糸繊度1.67dtex、水分率35%、単糸引張強度27.08cN/dtex)を複数本集めて連続長繊維束(トウ)とし、このトウを浴槽中に通過させて、原糸油剤を洗い流し、引き続いて約80℃のスチーム槽を通過させた。これらのトウを押し込みクリンパーにより捲縮をかけ、その後水分率6%以下に乾燥し、アラミド長繊維の捲縮糸を得た。
得られた捲縮糸をカッターでカットし、平均繊維長3mm、捲縮数5.9山/25mm、かさ密度0.10g/cmの捲縮アラミド短繊維を得た。
得られた捲縮アラミド短繊維90%、アラミド(PPTA)繊維パルプ10%の比率で水中に分散させ、タッピー式角型手抄機を用いて抄紙し、軽く加圧脱水後、120℃の熱風乾燥機中で約30分間乾燥して、繊維シート(坪量200g/m)を得た。
ハンドレイアップ法により、得られた繊維シートに未硬化不飽和ポリエステル樹脂を、総重量に対して85質量%含浸させた後、120℃、2時間の条件で硬化させ、樹脂複合材料を得た。得られた樹脂複合材料の引張特性、衝撃特性、圧縮特性を表1にまとめた。
(実施例2)
アラミド長繊維の捲縮数を1.3山/25mmに変更した以外は、実施例1と同様の方法で得たかさ密度が0.16g/cmの捲縮アラミド短繊維を用い、実施例1と同様の方法で樹脂複合材料を得た。得られた樹脂複合材料の引張特性、衝撃特性、圧縮特性を表1にまとめた。
(比較例1)
アラミド長繊維を捲縮しない以外は、実施例1と同様の方法で得たかさ密度が0.19g/cmの捲縮アラミド短繊維を用い、実施例1と同様の方法で樹脂複合材料を得た。得られた樹脂複合材料の引張特性、衝撃特性、圧縮特性を表1にまとめた。
Figure 2019060046
表1の結果より、捲縮したアラミド短繊維を用いることにより、引張強さ、衝撃強さ、圧縮応力が向上した樹脂複合材料を得ることができた。
かさ密度を低くすることで、糸間の空隙が大きくなり、熱硬化性樹脂が含浸するスペースができ、クラックが少なくなることで、樹脂複合材料の引張強さ、衝撃強さ、圧縮応力が向上した。
本発明のアラミド短繊維及びそれを用いた樹脂複合材料は、かさ密度が低いことにより、優れた成形品位及び機械特性が要求される分野、例えば、樹脂ギヤ、自動車構造部材、電子機器筐体及び精密機械部品等様々な用途に用いることができる。

Claims (6)

  1. 捲縮アラミド長繊維を切断して得られる短繊維であって、
    樹脂と複合化する際に用いられ、
    下記式(A)で定義されるかさ密度(D)が0.18g/cm以下であることを特徴とするアラミド短繊維。
    D=W/V ・・・(A)
    (ただし、かさ密度をD(g/cm)、短繊維の見掛け体積をV(cm)、その重量をW(g)とする。)
  2. 捲縮数が1〜12山/25mmである請求項1に記載のアラミド短繊維。
  3. 平均繊維長が1〜10mmである請求項1または2に記載のアラミド短繊維。
  4. アラミドが、ポリパラフェニレンテレフタルアミドである請求項1〜3のいずれかに記載のアラミド短繊維。
  5. アラミド長繊維が、繊維骨格内に硬化性エポキシ化合物を0.1〜10質量%浸透させた長繊維である請求項1〜4のいずれかに記載のアラミド短繊維。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のアラミド短繊維と、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂とを含む樹脂複合材料。
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