JP6625941B2 - 炭素繊維シートの製造方法 - Google Patents

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本発明は、未硬化樹脂が含浸された炭素繊維を含むプリプレグ(「炭素繊維プリプレグ」と記載する場合がある)から炭素繊維シートを製造する方法に関する。
炭素繊維は鉄よりも軽量であり、強度が強いという優れた力学特性を有している。そのため、炭素繊維複合材料は航空機、自動車、テニスラケット、釣竿、風力発電の羽根などの幅広い分野で使用されており、今後も用途が拡大すると予想される。
炭素繊維としては、現在主に、ポリアクリロニトリルを炭素化、黒鉛化することで得られるPAN系炭素繊維と、タールピッチ液化石炭を溶融紡糸してから炭素化、黒鉛化することで得られるピッチ系炭素繊維とが使用されている。どちらの炭素繊維でも、製造する際に1000℃〜3000℃という高温での焼成処理が長時間必要であるため、炭素繊維の価格は高価であるのが現状である。こうして生産された炭素繊維は、織物として加工するか、あるいは一方向に並べた後に、未硬化樹脂を含浸させた炭素繊維プリプレグと呼ばれる材料を、目標とする成形物の型に合うように裁断した後に樹脂を硬化することで得られる、炭素繊維強化樹脂(以下「CFRP」と略記する)として使用されることが多い。
このCFRPの製造過程において、様々な形態で炭素繊維廃棄物が発生するが、炭素繊維プリプレグを成形物の型に合うように裁断した際に発生する炭素繊維プリプレグ廃材は量が多く、未硬化樹脂を含むためリサイクル処理が難しく、産業廃棄物として埋立処理されているのが現状である。炭素繊維は不燃性であり、腐食性もないことから自然に還ることもなく、環境に負荷をかけることとなる。これらの廃棄物の問題は、今後炭素繊維の使用が拡大するにあたり、大きな社会問題となることが予測される。
上記問題に対し、炭素繊維の織物、炭素繊維プリプレグ、使用済みCFRP廃材をリサイクル処理して、炭素繊維を再利用する研究がなされている。例えば、炭素繊維プリプレグの樹脂を完全硬化させた後に破砕し、メッシュで分級した後に400℃の熱によって樹脂を分解する方法が記載されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、特許文献1の方法では、炭素繊維表面が400℃の熱で処理する際に酸化分解され、炭素繊維にダメージが与えられるため、得られる炭素繊維の性能が悪くなる場合があった。また、完全硬化された樹脂の強度は非常に高く、力学的に強い条件で破砕しなければ十分に開繊しない場合がある。リサイクル処理によって得られる炭素繊維の利用方法の一つとして、炭素繊維を抄紙機でシート化する方法があるが、完全硬化された炭素繊維プリプレグを破砕することによって得られる炭素繊維の繊維長は非常に短くなることから、抄紙に適した炭素繊維を十分に得ることができなかった。
特開平11−290822号公報
本発明の課題は、CFRP製造時に排出される炭素繊維プリプレグ廃材から製造された、抄紙に適した炭素繊維を使用して炭素繊維シートを製造する方法を提供するものである。
本発明者らは、この課題を解決するため研究を行った結果、下記手段を見出した。
(1)未硬化樹脂が含浸された炭素繊維を含むプリプレグの樹脂を、完全に硬化すること無く、未硬化状態で炭素繊維に残留付着している状態にまで硬化させる工程、及び、樹脂を分解除去することなく、炭素繊維を含むプリプレグを破砕することによって炭素繊維を開繊する工程を含み、破砕後の炭素繊維に対する樹脂の付着率が5質量%以上50質量%以下であり、破砕後の炭素繊維を抄紙機でシート化する工程を含むことを特徴とする炭素繊維シートの製造方法。
(2)破砕後の炭素繊維の平均繊維長が0.1mm以上である上記(1)記載の炭素繊維シートの製造方法。
本発明によれば、廃棄される炭素繊維プリプレグから、抄紙に適した炭素繊維を得ることができ、この炭素繊維から製造された炭素繊維シートは、高強度低質量の強化材として使用することができる。
以下本発明を詳細に説明する。本発明の炭素繊維の製造方法では、未硬化樹脂が含浸された炭素繊維を含むプリプレグ(炭素繊維プリプレグ)を材料として炭素繊維を製造する。炭素繊維プリプレグは、CFRP製造時に廃材として排出される。
未硬化樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を挙げることができる。炭素繊維プリプレグには、その他に、触媒、架橋剤、架橋促進剤、充填剤等が含まれていても良い。本発明においては、未硬化樹脂が含浸されたシート状炭素繊維プリプレグ、様々な大きさに裁断された炭素繊維プリプレグを用いることができる。炭素繊維プリプレグ中の炭素繊維はどのような配向状態であっても良い。また、炭素繊維プリプレグ廃材は1枚(単層)でも良いし、複数枚積層したものでも良い。さらに、炭素繊維は、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等を挙げることができ、特に限定されるものではない。
炭素繊維プリプレグは柔軟性を持ち、また、未硬化樹脂が粘着性を持っているため、何も処理しない状態では破砕することは難しい。そのため、熱処理を行い、樹脂を硬化させる工程がある方が好ましい。ただし、特開平11−290822号公報のように、全ての未硬化樹脂を完全に又はほぼ完全に硬化させると、力学的に強い破砕条件でなければ開繊できず、開繊の際に多くの繊維が極短繊維となるため、抄紙機でシート化することが難しくなる。そのため、炭素繊維プリプレグを熱処理した後において、樹脂の硬化が不完全であり、未硬化樹脂が多く残留して付着している状態であることが好ましい。
熱処理に使用される装置としては、熱風乾燥機、真空乾燥機、遠赤外線乾燥機等を挙げることができ、これらはバッチ式でも良いし、コンベア式でも良い。また、熱湯による熱処理でも良い。また、熱処理時の温度は80℃〜350℃が好ましく、100℃〜300℃がより好ましく、110℃〜250℃が更に好ましく、120℃〜150℃が特に好ましい。熱処理時の温度が80℃よりも低い場合は、熱硬化に時間がかかり、熱処理の効率が悪くなることがある。熱処理の温度が350℃よりも高い場合には、炭素繊維表面が酸化分解によりダメージを受け、繊維の品質が下がることがあり、且つ、炭素繊維プリプレグを均一に熱処理することが難しくなる。また、炭素繊維プリプレグの廃材に付着している樹脂は結晶化により固くなっている場合があるため、熱硬化処理の前に樹脂の硬化温度よりも低い温度で樹脂を軟化する工程を入れても良い。熱処理の時間は2分〜180分が好ましく、5分〜150分が特に好ましい。熱処理時間が2分よりも短い場合は、炭素繊維プリプレグの内部にまで熱が伝わらず、熱処理が不十分となる場合がある。熱処理の時間が180分より長い場合は、樹脂が完全に硬化するため、力学的に強い破砕条件でなければ開繊できない場合がある。また、熱処理温度を上げるほど、あるいは熱処理時間を長くするほど、炭素繊維プリプレグに与えられる熱量は大きくなり、付着する樹脂は完全硬化に近づくこととなる。炭素繊維プリプレグにもっとも多く使用されているエポキシ樹脂では、130℃、2時間の熱処理条件で完全硬化となることが一般的に良く知られている。よって、130℃、2時間の熱処理条件で付与される熱量よりも少ない熱量になるように、低温及び/又は短時間で熱処理するのであれば、未硬化樹脂が多く残留している状態になるため、特に好ましい。
破砕には、例えばカッターミル(堅型)粉砕機、ロータリーミル粉砕機、ハンマーミル粉砕機等の乾式粉砕機を用いることができる。また、ビーズミルやミキサーミルなどの湿式粉砕機も用いることができる。
粉砕後に得られた炭素繊維の平均繊維長は0.1mm以上であることが好ましく、1.0mm以上であることがより好ましい。繊維長が0.1mmよりも小さい場合は、炭素繊維を混合しても、その強度を十分に発揮できず、また、繊維が短いために、抄紙機でシート化することが困難となる場合がある。粉砕後に得られた炭素繊維の平均繊維長における上限値には制限は無いが、抄紙機でシート化することを考慮すると、100mm以下であることが好ましく、50mm以下であることがより好ましい。
また、本発明では、破砕後の炭素繊維に対する樹脂の付着率が5質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上45質量%以下である。炭素繊維プリプレグに含まれている樹脂が、完全に硬化すること無く、不完全硬化樹脂として、未硬化状態で炭素繊維に残留付着することによって、上述したように、炭素繊維が破砕によって極短繊維になることを抑制することができる。また、炭素繊維プリプレグに含まれている樹脂を分解除去すること無く、炭素繊維を再利用することができるため、環境負荷を軽減できるばかりでなく、破砕後の炭素繊維に未硬化樹脂が付着していることによって微細な炭素繊維が折れにくくなるため、炭素繊維が安定化し、抄紙機でシート化することが容易になるという効果も達成できる。また、乾燥工程で軟化した樹脂同士が結合することで、炭素繊維同士が強固なネットワークを形成するため、高密度且つ高強度のシートを製造することができる。樹脂の付着率が5質量%よりも少ないときは、熱処理の際に与えられる熱量が過剰であり、樹脂が分解されているか、又は、破砕を過剰にしており、炭素繊維の繊維長が非常に短い場合がある。樹脂の付着率が50質量%よりも多いときは、破砕後の再生炭素繊維を再利用する際に、残留樹脂が再生炭素繊維シートを使用した製品の性能を阻害する場合や抄紙機でのシート化における生産効率が低下する場合がある。
本発明の炭素繊維シートの製造方法では、炭素繊維以外にも性能を阻害しない範囲で合成繊維、天然パルプ繊維などの繊維を炭素繊維シートに配合することができる。合成繊維としては、例えば、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリアクリル系、ビニロン系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリ塩化ビニル系、ポリエステル系、ベンゾエート系、ポリクラール系、フェノール系などの合成繊維が挙げられる。また、半合成繊維のアセテート、トリアセテート、プロミックスや、再生繊維のレーヨン、キュプラ、リヨセル等も使用することができる。
合成繊維として、炭素繊維同士や炭素繊維とその他の主体繊維を結合することで、シートの強度を上げることができるバインダー合成繊維を使用することもできる。バインダー合成繊維としては、芯鞘繊維(コアシェルタイプ)、並列繊維(サイドバイサイドタイプ)、放射状分割繊維などの複合繊維、未延伸繊維、熱水可溶性繊維等が挙げられる。バインダー合成繊維は、繊維全体又は繊維の一部のガラス転移温度又は溶融温度(融点)が低く、抄紙機の乾燥工程において、バインダー能力を発現する。複合繊維は、皮膜を形成しにくいので、炭素繊維シートの空間を保持したまま、機械的強度を向上させることができる。より具体的には、ポリプロピレン(芯)とポリエチレン(鞘)の組み合わせ、ポリプロピレン(芯)とエチレンビニルアルコール(鞘)の組み合わせ、高融点ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の組み合わせ、ポリエステル等の未延伸繊維が挙げられる。また、ポリエチレンやポリプロピレン等の低融点樹脂のみで構成される単繊維(全融タイプ)や、ポリビニルアルコール系のような熱水可溶性バインダーは、乾燥工程で皮膜を形成しやすいが、特性を阻害しない範囲で使用することができる。本発明においては、熱水可溶性バインダーであるポリビニルアルコール系のバインダー合成繊維が、炭素繊維表面の官能基と水素結合を形成して強度を発揮しやすいため、好ましい。
天然パルプ繊維としては、植物繊維として、針葉樹パルプ、広葉樹パルプなどの木材パルプ;藁パルプ、竹パルプ、リンターパルプ、ケナフパルプなどの木本類、草本類のパルプが挙げられる。これらの天然パルプ繊維は、本発明の効果が得られる範囲であれば、フィブリル化されていてもなんら差し支えない。さらに、古紙、損紙などから得られる天然パルプ繊維を使用しても良い。
本発明では、炭素繊維は抄紙機でシート化される。すなわち、抄紙法で炭素繊維シートを製造する。
抄紙法では、例えば、長網式、円網式、傾斜ワイヤー式を用いることができる。これらの抄紙方式を単独で有する抄紙機を使用しても良いし、同種又は異種の2機以上の抄紙方式がオンラインで設置されているコンビネーション抄紙機を使用しても良い。均一性に優れた炭素繊維シートを製造するには、長網式、傾斜ワイヤー式のように、緩やかに、ワイヤー上のスラリーから脱水することができる抄紙方式を使用することが好ましい。本発明の炭素繊維シートは、単層であっても良いし、複層であっても良い。
抄紙法において、繊維を均一に水中に分散させる目的や各種機能を付与する目的で、繊維を水中に分散する際に、各種アニオン性、ノニオン性、カチオン性、あるいは両性の分散剤、消泡剤、親水剤、濾水剤、紙力向上剤、粘剤、帯電防止剤、高分子粘剤、離型剤、抗菌剤、殺菌剤、pH調整剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の薬品を添加する場合もある。
本発明の炭素繊維シートには、必要に応じてサイズ剤を配合することができる。サイズ剤としては、本発明の所望の効果を損なわないものであれば、強化ロジンサイズ剤、ロジンエマルジョンサイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、合成サイズ剤、中性ロジンサイズ剤、アルキルケテンダイマー(AKD)などのサイズ剤の中からいずれをも用いることができる。
抄紙機で製造された湿紙を、ヤンキードライヤー、エアードライヤー、シリンダードライヤー、サクションドラム式ドライヤー、赤外方式ドライヤー等で乾燥することにより、炭素繊維シートを得る。湿紙の乾燥の際に、ヤンキードライヤー等の熱ロールに密着させて熱圧乾燥させることによって、密着させた面の平滑性が向上する。熱圧乾燥とは、タッチロール等で熱ロールに湿紙を押しつけて乾燥させることをいう。熱ロールの表面温度は、100〜180℃が好ましく、100〜160℃がより好ましく、110〜160℃がさらに好ましい。圧力は、好ましくは50〜1000N/cm、より好ましくは100〜800N/cmである。
本発明の炭素繊維シートの坪量は、特に限定しないが、10g/m以上が好ましく、30g/m以上がより好ましい。10g/m未満では、炭素繊維同士の接着面が少なく、シートの強度が弱いため、紙切れが起こる恐れがある。
以下、実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部数や百分率は質量基準である。
実施例1
未硬化エポキシ樹脂が含浸された平織り炭素繊維プリプレグ廃材を、130℃で10分間処理した後、ミキサーミルに水と共に投入し、10分間破砕処理を実施し、エポキシ樹脂が付着した炭素繊維を得た。この炭素繊維とビニロンバインダー繊維(クラレ製、製品名:VPB107−1)とを、表1記載の配合比率(質量基準)で水に投入して、10分間混合分散した後、湿紙を傾斜ワイヤー方式で、一層抄きで湿式抄造し、表面温度130℃のヤンキードライヤーで乾燥し、抄造速度20m/minで、坪量50g/mの炭素繊維シートを得た。なお、表1記載の炭素繊維の配合比率は、付着している樹脂を含む状態の炭素繊維における配合比率である。
実施例2〜11
熱処理の条件を表1の値に変えた以外は、実施例1と同様に実施例2〜9の炭素繊維シートを得た。
比較例1〜4
熱処理の条件を表1の値に変えた以外は、実施例1と同様に比較例1〜4の炭素繊維シートを得た。
実施例12〜24
繊維の配合を表1の値に変えた以外は、実施例1と同様に実施例10〜22の炭素繊維シートを得た。
表1に記載されている繊維の詳細は、以下のとおりである。
PET繊維:繊度1.7デシテックス、繊維長 5mm
アラミド繊維:繊度0.9デシテックス、繊維長 5mm
天然針葉樹パルプ:ろ水度500mlCSF
叩解リヨセル
PETバインダー:ポリエチレンテレフタレート未延伸バインダー繊維、繊度1.7デシテックス、繊維長5mm
PP/PEバインダー:ポリプロピレン/ポリエチレン芯鞘型バインダー繊維、繊度0.8デシテックス、繊維長5mm、芯鞘面積比:1/1
叩解リヨセルは、リヨセル繊維(繊度1.4dtex、繊維長3mm)を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理し、平均繊維径14.0μmの幹部から平均繊維径1μm以下の枝部を発生させるように調製したものである。
実施例及び比較例において、破砕後の炭素繊維における開繊状態と樹脂の付着率及び平均繊維長を以下の方法で確認し、結果を表2に示した。
<炭素繊維の開繊状態>
炭素繊維プリプレグ廃材をミキサーミルで10分間破砕処理した際に、炭素繊維の開繊可否の評価を行った。
○:ミキサーミルによる破砕処理で開繊した炭素繊維は90%以上であった。
×:ミキサーミルによる破砕処理で開繊した炭素繊維は90%未満であった。
<樹脂の付着率>
破砕後の炭素繊維を脱水した後、100℃で1時間乾燥した後に質量W1を測定した。その後、1000℃で樹脂を分解して改めて質量W2を測定し、その質量変化から、炭素繊維に対する樹脂の付着率を算出した。
樹脂の付着率(質量%)=(W1−W2)/W2 × 100
<炭素繊維の平均繊維長>
破砕後の炭素繊維を脱水した後、開繊した繊維を無作為に20本採取して、繊維長(L1〜L20)を測定した。その後、繊維長(L1〜L20)の平均値を算出し、炭素繊維の平均繊維長とした。
炭素繊維の平均繊維長(mm)=(L1+L2+L3・・・+L20)/20
実施例及び比較例において、以下の評価を行い、結果を表2に示した。
<抄紙適性評価>
炭素繊維を抄紙機でシート化する際に、問題なく抄紙することができたか評価を行った。
○:炭素繊維は開繊しており、炭素繊維シートを作製できた。
△:炭素繊維は開繊していない繊維がやや多いものの、炭素繊維シートを作製できた。
×:炭素繊維は開繊していない繊維が多く、炭素繊維シートを作製することができなかった。
未硬化樹脂が含浸された炭素繊維を含むプリプレグを破砕することによって炭素繊維を開繊する工程を含み、破砕後の炭素繊維に対する樹脂の付着率が5質量%以上50質量%以下であり、破砕後の炭素繊維を抄紙機でシート化する工程を含むことを特徴とする炭素繊維シートの製造方法である実施例1〜11においては、破砕後の炭素繊維が開繊されていて、優れた抄紙適性を持つことが分かる。実施例10では、熱処理における乾燥時間がやや短いことから、繊維に付着している樹脂がほとんど硬化しておらず、柔軟性を持った状態であり、破砕によって開繊しづらかったため、抄紙がやや難しかった。実施例11では、熱処理における乾燥時間がやや長いことから、繊維に付着した多くの樹脂が硬化しており、破砕工程で開繊しづらく、開繊していない炭素繊維が多かったため、抄紙がやや難しかった。
これに対し、炭素繊維プリプレグの熱処理時間が長いため、全ての樹脂が完全に硬化している比較例1では、炭素繊維が硬化によって強固に結合しており、ミキサーミルによる破砕処理を実施しても、開繊していない炭素繊維が多く、平均繊維長が0.1mm未満となり、極短繊維も多かったことから、抄紙することができなかった。また、熱処理温度が高いため、全ての樹脂が完全に硬化している比較例2でも、炭素繊維が硬化によって強固に結合しており、ミキサーミルによる破砕処理を実施しても、開繊していない炭素繊維が多く、平均繊維長が0.1mm未満となり、極短繊維も多かったことから、抄紙することができなかった。
そして、熱処理時間が短いため、樹脂がほぼ硬化していない比較例3では、炭素繊維プリプレグの柔軟性が高いため、破砕することができず、炭素繊維を開繊することができなかった。また、熱処理温度が低いため、樹脂がほぼ硬化していない比較例4でも、炭素繊維プリプレグの柔軟性が高いため、破砕することができず、炭素繊維を開繊することができなかった。
未硬化樹脂が含浸された炭素繊維を含むプリプレグを破砕することによって炭素繊維を開繊する工程を含み、破砕後の炭素繊維に対する樹脂の付着率が5質量%以上50質量%以下であり、破砕後の炭素繊維を抄紙機でシート化する工程を含むことを特徴とする炭素繊維シートの製造方法である実施例12〜24においては、破砕後の炭素繊維が開繊されていて、優れた抄紙適性を持つことが分かる。
実施例12〜16の結果から、未硬化樹脂が含浸された炭素繊維を含むプリプレグを破砕することによって炭素繊維を開繊する工程を含み、破砕後の炭素繊維に対する樹脂の付着率が5質量%以上50質量%以下であり、破砕後の炭素繊維を抄紙機でシート化する工程を含むことを特徴とする炭素繊維シートの製造方法において、破砕後の炭素繊維は単体でも問題なく抄紙することができ、また、合成繊維や天然パルプ繊維を配合しても問題なく抄紙をすることができることが分かる。
実施例17及び18の結果から、未硬化樹脂が含浸された炭素繊維を含むプリプレグを破砕することによって炭素繊維を開繊する工程を含み、破砕後の炭素繊維に対する樹脂の付着率が5質量%以上50質量%以下であり、破砕後の炭素繊維を抄紙機でシート化する工程を含むことを特徴とする炭素繊維シートの製造方法において、炭素繊維にビニロンバインダー繊維以外のバインダー合成繊維を配合しても、問題なく抄紙をすることができることが分かる。
実施例19〜24の結果から、未硬化樹脂が含浸された炭素繊維を含むプリプレグを破砕することによって炭素繊維を開繊する工程を含み、破砕後の炭素繊維に対する樹脂の付着率が5質量%以上50質量%以下であり、破砕後の炭素繊維を抄紙機でシート化する工程を含むことを特徴とする炭素繊維シートの製造方法において、バインダー合成繊維、バインダー合成繊維以外の合成繊維、天然パルプ繊維を組み合わせて、破砕後の炭素繊維に配合しても、問題なく抄紙をすることができることが分かる。
本発明の炭素繊維シートの製造方法では、廃棄される炭素繊維プリプレグを再利用することができ、本発明で製造された炭素繊維シートは高強度低質量の強化材として使用することができる。

Claims (2)

  1. 未硬化樹脂が含浸された炭素繊維を含むプリプレグの樹脂を、完全に硬化すること無く、未硬化状態で炭素繊維に残留付着している状態にまで硬化させる工程、及び、樹脂を分解除去することなく、炭素繊維を含むプリプレグを破砕することによって炭素繊維を開繊する工程を含み、破砕後の炭素繊維に対する樹脂の付着率が5質量%以上50質量%以下であり、破砕後の炭素繊維を抄紙機でシート化する工程を含むことを特徴とする炭素繊維シートの製造方法。
  2. 破砕後の炭素繊維の平均繊維長が0.1mm以上であることを特徴とする請求項1記載の炭素繊維シートの製造方法。
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