JP2003011590A - 転写印刷用ベースフィルム - Google Patents
転写印刷用ベースフィルムInfo
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Abstract
フィルムのベースフィルムを提供すること。 【解決手段】 平均ケン化度70〜98モル%のポリビ
ニルアルコール系樹脂(A)と平均ケン化度70モル%
以上のカルボキシル基及び/又はスルホン酸基変性ポリ
ビニルアルコール系樹脂(B)及びホウ素化合物(C)
を含有してなり、該ポリビニルアルコール系樹脂(A)
と該変性ポリビニルアルコール系樹脂(B)の含有割合
が98:2〜55:45(重量比)であり、ホウ素化合
物(C)の含有量がポリビニルアルコール系樹脂(A)
と変性ポリビニルアルコール系樹脂(B)の合計に対し
て0.02〜5重量%である転写印刷用ベースフィル
ム。
Description
体的表面を有する被転写体に対して、高精細な意匠を円
滑に付することのできる転写印刷用ベースフィルムに関
するものである。
印刷する方法の一つとして、水溶性ベースフィルムの片
面に印刷層を有した複層フィルムを、その印刷層が溶剤
等の活性化液の塗布により活性化された状態で印刷層を
上にして、水面に浮かべて、その上方から被転写体を押
し入れることにより印刷層の意匠を立体構造体に転写す
る方法が知られている。
に浮かべたときにゲル膜状の層となり、被転写体にシワ
やラップを生ずることなくつきまわることが要求され、
そのようなベースフィルムの素材として、ポリビニルア
ルコール系樹脂フィルムが用いられており、かかるポリ
ビニルアルコール系樹脂をベースフィルムとした転写印
刷用薄膜が提案されている。
て、特開平7−117327号公報では、平均重合度
3200以上、平均ケン化度65〜95モル%の超高重
合度ポリビニルアルコール系樹脂と平均重合度3200
未満、平均ケン化度65〜95モル%のポリビニルアル
コール系樹脂とを重量比で30:70〜70:30混合
した組成物からなり、その厚さが35μm以下の膜を提
案し、又、特開平7−117328号公報では、ポリ
ビニルアルコール系樹脂100重量部にマンナン、キサ
ンタンガムグァーガム等の天然ガム系粘質物を2〜15
重量部混合した組成物からなり、その厚さが1〜50μ
mで、水面上での膨潤伸張率が1.35倍以下の膜を提
案した。
は、平均重合度300〜3000、平均ケン化度65〜
97モル%のポリビニルアルコール系樹脂より製膜さ
れ、かつ該樹脂に対して0.02〜10重量%のホウ酸
又はその塩を含み厚みが0.01〜0.1mmの転写印
刷用薄質膜を提案した。
平7−117327号公報に開示の薄膜では、高速での
転写は可能であるが、重合度の異なるポリビニルアルコ
ールをブレンドしているため、膨潤斑を生じ易く、又、
最近の意匠の高精細化に伴ってベースフィルム上に印刷
された意匠と被着体に転写印刷された意匠が異なったイ
メージになることがあり、特開平7−117328号
公報に開示の薄膜は、天然ガムを使用しているため、印
刷面内において、部分的に精度が低下したり、あるいは
再現性が低い等の問題を抱えている。
示の薄膜においても、最近の意匠の高精細化に伴ってベ
ースフィルム上に印刷された意匠と被着体に転写印刷さ
れた意匠が異なったイメージになることがあり、高精細
意匠を確実に転写できる印刷用ベースフィルムが望まれ
るところである。そこで、本発明ではこのような背景下
において、高精細な意匠を円滑に付することのできる転
写印刷用ベースフィルムを提供することを目的とするも
のである。
かる現況に鑑みて鋭意研究をした結果、平均ケン化度7
0〜98モル%のポリビニルアルコール系樹脂(A)と
平均ケン化度70モル%以上のカルボキシル基及び/又
はスルホン酸基変性ポリビニルアルコール系樹脂(B)
及びホウ素化合物(C)を含有してなり、該ポリビニル
アルコール系樹脂(A)と該変性ポリビニルアルコール
系樹脂(B)の含有割合が98:2〜55:45(重量
比)であり、ホウ素化合物(C)の含有量がポリビニル
アルコール系樹脂(A)と変性ポリビニルアルコール系
樹脂(B)の合計に対して0.02〜5重量%である転
写印刷用ベースフィルムが上記目的に合致することを見
出し、本発明を完成した。
色を用いた複雑な図柄(例えば、豹柄、木目柄、等)の
ことであり、転写前の意匠を精度良く被転写体に印刷す
ることが必要であり、従来のベースフィルムでは、転写
はできるものの、転写後のイメージが元の意匠よりもボ
ケたイメージになり、クッキリ感がでなかったもので、
本発明においては、かかる高精細意匠の転写が可能とな
ったのである。
本発明の転写印刷用ベースフィルム(以下、単にベース
フィルムと称することがある)は、ポリビニルアルコー
ル系樹脂(A)と変性ポリビニルアルコール系樹脂
(B)及びホウ素化合物(C)を含有してなるものであ
る。
系樹脂(A)は、特に限定されることなく、ビニルエス
テル系化合物を重合して得られたビニルエステル系重合
体をケン化して得られるものである。
ギ酸ビニル、酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル、プ
ロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラ
ウリル酸ビニル、バーサティック酸ビニル、パルミチン
酸ビニル、ステアリン酸ビニル等が単独又は併用で用い
られるが、実用上は酢酸ビニルが好適である。
害しない範囲において、他の単量体を共重合させること
も可能で、かかる単量体としては、例えばエチレン、プ
ロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセ
ン、α−オクタデセン等のオレフィン類、アクリロニト
リル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、アクリル
アミド、メタクリルアミド等のアミド類、アルキルビニ
ルエーテル類、N−アクリルアミドメチルトリメチルア
ンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウム
クロライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、
ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、
塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエチレン(メ
タ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)ア
リルエーテル等のポリオキシアルキレン(メタ)アリル
エーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、
ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオ
キシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチ
レン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン
(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メ
タ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(1−(メ
タ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エス
テル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシ
プロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリル
アミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキ
シエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニル
アミン等を挙げることができる。
は、特に制限はなく公知の重合方法が任意に用いられる
が、通常は、メタノール、エタノールあるいはイソプロ
ピルアルコール等のアルコールを溶媒とする溶液重合が
実施される。勿論、乳化重合、懸濁重合も可能である。
リル、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウ
ロイル等の公知のラジカル重合触媒を用いて行われ、反
応温度は35℃〜沸点(更には50〜80℃)程度の範
囲から選択される。
するにあたっては、該重合体をアルコールに溶解してア
ルカリ触媒の存在下に行なわれる。アルコールとして
は、メタノール、エタノール、ブタノール等が挙げられ
る。アルコール中の共重合体の濃度は、20〜50重量
%の範囲から選ばれる。
水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエ
チラート、カリウムメチラート等のアルカリ金属の水酸
化物やアルコラートの如きアルカリ触媒を用いることが
できる。かかる触媒の使用量はビニルエステルに対して
1〜100ミリモル当量にすればよい。尚、場合によっ
ては、酸触媒によりケン化することも可能である。
ルコール系樹脂(A)が得られるのであるが、本発明で
はその平均ケン化度が70〜98モル%であることが必
要で、該平均ケン化度が70モル%未満では転写後のベ
ースフィルムの溶解に長時間を要することとなり、98
モル%を越えると転写開始時間の遅延や膜の溶け残りが
生じることとなる。より好ましい平均ケン化度は75〜
98モル%で、特に好ましい平均ケン化度は80〜98
モル%である。尚、平均ケン化度の測定方法について
は、JIS K 6726 3.5に準じて行われる。
コール系樹脂(A)の4重量%水溶液の平均粘度が10
〜60mPa・s(20℃)であることが好ましく、特
には15〜55mPa・s(20℃)、更には20〜5
0mPa・s(20℃)が好ましい。かかる4重量%水
溶液の平均粘度が10mPa・s(20℃)未満では、
ベースフィルムに意匠(パターン)を印刷するときのフ
ィルム強度が不足して印刷斑が発生する恐れがあった
り、溶解が促進され転写時間が短くなるほかに水に浮か
べた時の柄が安定しないことがあり、逆に60mPa・
s(20℃)を越えると被転写体への転写時に被転写体
と転写印刷用フィルム(意匠が印刷されたベースフィル
ム)との密着性が低下して皺や剥離が発生する恐れがあ
ったり、水面での膜の伸展は抑制できるが転写時間が遅
延するほかに粘度が高く製膜が困難となり好ましくな
い。尚、粘度の測定方法については、JIS K 67
26 3.11.2に準じて行われる。
ール系樹脂(B)としては、カルボキシル基及び/又は
スルホン酸基変性ポリビニルアルコール系樹脂であれば
よく、上記のビニルエステル系化合物と、カルボキシル
基含有不飽和単量体やスルホン酸基含有不飽和単量体を
共重合する以外は、上記ポリビニルアルコール系樹脂
(A)の製造と同様に行うことができる。
は、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マ
レイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類
あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル等
が挙げられ、スルホン酸基含有不飽和単量体としては、
例えばエチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタア
リルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその
塩等が挙げられる。
ルコール系樹脂(B)の平均ケン化度は70モル%以上
であることが必要で、該平均ケン化度が70モル%未満
では溶解時間が遅延し該樹脂を導入する効果が得られな
くなる。より好ましい平均ケン化度は75モル%以上
で、特に好ましい平均ケン化度は80モル%以上であ
る。
アルコール系樹脂(B)の4重量%水溶液の平均粘度が
2〜50mPa・s(20℃)であることが好ましく、
特には5〜45mPa・s(20℃)、更には10〜4
0mPa・s(20℃)が好ましい。かかる4重量%水
溶液の平均粘度が2mPa・s(20℃)未満では、溶
解が促進され転写可能時間が短くなるほか、水に浮かべ
た時の柄が安定しないことがあり、逆に50mPa・s
(20℃)を越えると水面での膜の伸展は抑制できる
が、転写開始時間が遅延するほか、製膜が困難となり好
ましくない。尚、平均ケン化度及び平均粘度の測定は、
上記と同様の方法で行われる。
脂(B)の変性度については、特に限定されないが、
0.1〜5モル%であることが好ましく、より好ましく
は0.3〜4.5モル%、特に好ましくは0.5〜4モ
ル%である。該変性度が0.1モル%未満では転写開始
時間が遅延し、変性種の効果が得難く、5モル%を越え
ると転写後の膜の残分が多くなり好ましくない。尚、変
性基として、カルボキシル基及びスルホン酸基の2種を
有する場合にはこれら2種の合計の変性度が上記範囲で
あればよい。
ル系樹脂(A)と上記変性ポリビニルアルコール系樹脂
(B)の含有割合については、98:2〜55:45
(重量比)であり、より好ましくは95:5〜60:4
0(重量比)、特に好ましくは93:7〜65:35
(重量比)である。かかる含有割合が98/2を越える
と転写可能時間が短くなり、水面上での伸展が大きくな
り、55/45未満では転写開始は早まるが、初期の伸
展が大きくなり、柄がボケてしまうこととなり、本発明
の効果を発揮しない。
しては、ホウ酸、ホウ酸カルシウム、ホウ酸コバルト、
ホウ酸亜鉛(四ホウ酸亜鉛,メタホウ酸亜鉛等)、ホウ
酸アルミニウム・カリウム、ホウ酸アンモニウム(メタ
ホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸
アンモニウム、八ホウ酸アンモニウム等)、ホウ酸カド
ミウム(オルトホウ酸カドミウム、四ホウ酸カドミウム
等)、ホウ酸カリウム(メタホウ酸カリウム、四ホウ酸
カリウム、五ホウ酸カリウム、六ホウ酸カリウム、八ホ
ウ酸カリウム等)、ホウ酸銀(メタホウ酸銀、四ホウ酸
銀等)、ホウ酸銅(ホウ酸第2銅、メタホウ酸銅、四ホ
ウ酸銅等)、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウ
ム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ
酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウ
ム等)、ホウ酸鉛(メタホウ酸鉛、六ホウ酸鉛等)、ホ
ウ酸ニッケル(オルトホウ酸ニッケル、二ホウ酸ニッケ
ル、四ホウ酸ニッケル、八ホウ酸ニッケル等)、ホウ酸
バリウム(オルトホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウ
ム、二ホウ酸バリウム、四ホウ酸バリウム等)、ホウ酸
ビスマス、ホウ酸マグネシウム(オルトホウ酸マグネシ
ウム、二ホウ酸マグネシウム、メタホウ酸マグネシウ
ム、四ホウ酸三マグネシウム、四ホウ酸五マグネシウム
等)、ホウ酸マンガン(ホウ酸第1マンガン、メタホウ
酸マンガン、四ホウ酸マンガン等)、ホウ酸リチウム
(メタホウ酸リチウム、四ホウ酸リチウム、五ホウ酸リ
チウム等)等の他、ホウ砂、カーナイト、インヨーアイ
ト、コトウ石、スイアン石、ザイベリ石等のホウ酸塩鉱
物等が挙げられ、中でもホウ酸、ホウ砂が特に好まし
い。
ては、ポリビニルアルコール系樹脂(A)と変性ポリビ
ニルアルコール系樹脂(B)の合計量に対して0.02
〜5重量%であり、より好ましくは0.1〜3重量%、
特に好ましくは0.3〜2重量%である。かかる含有量
が0.02重量%未満では伸展抑制効果が少なく、転写
可能時間が短くなり、5重量%を越えると粘性が強くな
って流延製膜が困難となるばかりでなく、得られるベー
スフィルムは硬くかつ脆くなり多色印刷に適さなくな
り、又、つきまわり性も悪くなり、本発明の効果を発揮
しない。尚、ホウ素化合物の添加量が少ない場合は系に
アルカリを添加し、逆に多い場合は系に酸を添加するな
どしてpHを調整することが必要となることがある。
キング性及びハンドリング性の点から澱粉類を、ポリビ
ニルアルコール系樹脂(A)と変性ポリビニルアルコー
ル系樹脂(B)の合計100重量部に対して25重量部
以下、特には20重量部以下、更には15重量部以下含
有させることも好ましい。かかる澱粉類としては、澱
粉、化工澱粉、デキストリン等が挙げられ、中でも澱粉
が好適に用いられる。
る樹脂組成物を製膜して、ベースフィルムとするのであ
るが、かかる製膜にあたっては、特に制限されることな
く、該樹脂を水溶液とした後、ロール、ドラム、エンド
レスベルト等の平滑な金属面上に流延する方法や該樹脂
に適宜水や後述の可塑剤を加えて押出法等の手段によっ
て溶融成形する方法等により、ベースフィルムとなるポ
リビニルアルコール系フィルムを得ることができる。
て、該樹脂組成物や水溶液に可塑剤(グリセリン、ジグ
リセリン、トリエチレングリコール、ポリエチレングリ
コール、ポリプロピレングリコール等)、界面活性剤
(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオ
キシエチレンオクチルノニルエーテル、ポリエキシエチ
レンドデシルフィニルエーテル、ポリオキシエチレンア
ルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン
モノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパ
ルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステア
レート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエー
ト、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エス
テルモノエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンラウ
リルアミノエーテル、ポリオキシエチレンステアリルア
ミノエーテル)、抗酸化剤(フェノール系、アミン系
等)、安定剤(リン酸エステル類等)、着色料、香料、
増量剤、消包剤、防錆剤、紫外線吸収剤、無機粉体、界
面活性剤、更には他の水溶性高分子(ポリアクリル酸ソ
ーダ、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリド
ン、デキストリン、キトサン、キチン、メチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース、等)等を添加しても
差し支えない。
膜厚については、特に限定されないが、10〜50μ
m、更には15〜50μm、特には15〜45μmであ
ることが好ましく、かかる膜厚が10μm未満ではベー
スフィルムに意匠を印刷するときのフィルム強度が不足
して印刷斑が発生する恐れがあり、逆に50μmを越え
ると被転写体への転写時に被転写体と転写印刷用フィル
ムとの密着性が低下して皺や剥離が発生する恐れがあり
好ましくない。
て、最後に熱処理が施される。かかる熱処理は、80〜
160℃(更には105〜140℃)で加熱処理が行わ
れるもので、かかる温度が80℃未満では、結晶化度が
上がらず伸展抑制効果を向上させるまではいかず、逆に
160℃を越えるとベースフィルムの結晶化度が上がり
すぎて転写後の水溶性が低下し、更につきまわり性の低
下も招き好ましくない。
く、例えば、熱ロール(カレンダーロール含む)、熱
風、遠赤外線、誘電加熱等の方法により、熱処理を行う
ことが可能である。
スフィルムは、その表面に転写用の意匠が印刷されて、
転写印刷用フィルムとして実用に供されるのである。か
かる意匠としては、豹柄、木目模様、大理石模様、幾何
学模様、象形模様、抽象模様、文字等、任意のパターン
が挙げられる。これら意匠は、好ましくは、非水溶性の
樹脂のバインダーに染料、顔料等の着色剤を添加してな
るインクを印刷して形成される。非水溶性の樹脂の例と
しては、硝化綿とアルキッド樹脂との混合物等が挙げら
れる。
しく説明する。尚、例中に断りのない限り、「%」、
「部」とあるのは、重量基準を示す。
ポリビニルアルコール系樹脂(B)、ホウ素化合物
(C)として以下のものを用意した。
の平均粘度45mPa・s(20℃)のポリビニルアル
コール系樹脂 (A−2):平均ケン化度88.5モル%、4%水溶液
の平均粘度22.5mPa・s(20℃)のポリビニル
アルコール系樹脂 (A−3):平均ケン化度96モル%、4%水溶液の平
均粘度21mPa・s(20℃)のポリビニルアルコー
ル系樹脂 (A−4):平均ケン化度60モル%、4%水溶液の平
均粘度20mPa・s(20℃)のポリビニルアルコー
ル系樹脂
(B)] (B−1):平均ケン化度96.5モル%、4%水溶液
の平均粘度25mPa・s(20℃)、変性度2モル%
のマレイン酸(ナトリウム塩型)変性ポリビニルアルコ
ール系樹脂 (B−2):平均ケン化度93モル%、4%水溶液の平
均粘度20mPa・s(20℃)、変性度2モル%のマ
レイン酸(ナトリウム塩型)変性ポリビニルアルコール
系樹脂 (B−3):平均ケン化度99モル%、4%水溶液の平
均粘度2.5mPa・s(20℃)、変性度3モル%の
アリルスルホン酸(ナトリウム塩型)変性ポリビニルア
ルコール系樹脂 (B−4):平均ケン化度65モル%、4%水溶液の平
均粘度2.5mPa・s(20℃)、変性度2モル%の
マレイン酸(ナトリウム塩型)変性ポリビニルアルコー
ル系樹脂
解し、15%水溶液とし、該水溶液をステンレス板に流
延製膜法により温度105℃の条件でポリビニルアルコ
ール系フィルムを得て、厚さ40μmのベースフィルム
とした。
mm×100mmのサイズに切断したものに、建材用イ
ンキ[赤色染料と硫酸バリウムの混合物(70%)とア
ルキッド樹脂とニトロセルロースの混合物(30%)の
混合物]を、バーコーターで均一に塗布した後、その中
心付近に黒色の水性ペンで5mm間隔で印(ライン)を
刻み、その上に剥離剤を塗布し、転写印刷用フィルムを
作製した。
100mm)を30℃の水が入った水槽に浮かべて、膨
潤開始時間(秒)を測定した。尚、フィルムは、着水後
一旦フィルム全体にシワが入り、その後シワは均質にの
ばされるが、そのシワが入るまでの時間を膨潤開始時間
という。この時間が遅延すると転写可能時間が減少する
ことになるため、膨潤開始時間は速いほうがよい。
m×100mm)を30℃の水が入った水槽に浮かべ
て、60秒後に上記転写印刷用フィルム上部より垂直
に、200mm/minの速度で塩化ビニル製の筒
(径:1.3mm)を押し込み、該筒表面にライン柄を
転写させて、その後、30℃の水を吹き付けてベースフ
ィルムを除去し、40℃で20分間乾燥させてライン柄
が転写印刷された筒を得、筒の表面に転写されたライン
の間隔(距離)を測定した。尚、転写されたラインは、
筒の上部ほどライン間隔が長くなるため、ライン間隔の
測定は、最下部のラインとその次のラインとの間隔を測
定することとした。実施例及び比較例の測定結果を表2
に示す。
平均ケン化度70〜98モル%のポリビニルアルコール
系樹脂(A)と平均ケン化度70モル%以上のカルボキ
シル基及び/又はスルホン酸基変性ポリビニルアルコー
ル系樹脂(B)及びホウ素化合物(C)を含有してな
り、該ポリビニルアルコール系樹脂(A)と該変性ポリ
ビニルアルコール系樹脂(B)の含有割合が98:2〜
55:45(重量比)であり、ホウ素化合物(C)の含
有量がポリビニルアルコール系樹脂(A)と変性ポリビ
ニルアルコール系樹脂(B)の合計に対して0.02〜
5重量%であるため、膨潤開始時間が良好で、かかるフ
ィルムを用いた転写印刷用フィルムは、高精細な意匠の
転写印刷を行うことができる。
Claims (4)
- 【請求項1】 平均ケン化度70〜98モル%のポリビ
ニルアルコール系樹脂(A)と平均ケン化度70モル%
以上のカルボキシル基及び/又はスルホン酸基変性ポリ
ビニルアルコール系樹脂(B)及びホウ素化合物(C)
を含有してなり、該ポリビニルアルコール系樹脂(A)
と該変性ポリビニルアルコール系樹脂(B)の含有割合
が98:2〜55:45(重量比)であり、ホウ素化合
物(C)の含有量がポリビニルアルコール系樹脂(A)
と変性ポリビニルアルコール系樹脂(B)の合計に対し
て0.02〜5重量%であることを特徴とする転写印刷
用ベースフィルム。 - 【請求項2】 ポリビニルアルコール系樹脂(A)の4
重量%水溶液の平均粘度が10〜60mPa・s(20
℃)であることを特徴とする請求項1記載の転写印刷用
ベースフィルム。 - 【請求項3】 変性ポリビニルアルコール系樹脂(B)
の4重量%水溶液の平均粘度が2〜50mPa・s(2
0℃)であることを特徴とする請求項1又は2記載の転
写印刷用ベースフィルム。 - 【請求項4】 変性ポリビニルアルコール系樹脂(B)
の変性度が0.1〜5モル%であることを特徴とする請
求項1〜3いずれか記載の転写印刷用ベースフィルム。
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Cited By (10)
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