JP2003010287A - アルブミン溶液収容プラスチック容器 - Google Patents
アルブミン溶液収容プラスチック容器Info
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Abstract
んどなく、その性能を維持できるプラスチック容器を提
供する。 【解決手段】アルブミン濃度が1〜500mg/mlで
あるアルブミン溶液を収容したプラスチック容器であっ
て、少なくとも1個の液体用出入口を有し、かつ、圧力
1013.25hPa下において、表面積1m2当り、24時間の
水蒸気透過量を温度25℃、湿度60%において測定し
たとき、1.5g/m2/日・1013.25hPa以下(温度2
5℃、湿度60%におけ水分透過性が6.25×10
−3mg/cm2/時以下)である水蒸気透過性および
圧力1013.25hPa下において、表面積1m2当り、24時
間の酸素透過量を温度25℃、湿度60%において測定
したとき、5,000cm3/m2/日・1013.25hPa未
満である酸素透過性を有する。
Description
容されたプラスチック容器に関する。特に、収容したア
ルブミン溶液の水分蒸発が極めて小さく、該溶液の長期
保存が可能であるアルブミンが充填されたプラスチック
容器に関する。
血漿中に最も多く含まれる蛋白質であり、肝臓中で作ら
れ、血流中で正常な浸透圧を維持したり、栄養物質や代
謝物質と結合してこれらを運搬するなどの機能をもって
いる。そのため、アルブミンは出血性ショック患者、熱
傷患者等の外傷に関連する症状、低アルブミン血症や胎
児性赤芽球症に罹っている患者の治療に有効とされてい
る。従来、アルブミンはヒトから採取した血液を分画す
ることによって製造され、また、近年、遺伝子操作によ
るアルブミンの大量生産、精製技術の研究開発が進み、
遺伝子組換えによる治療薬も市販されようとしている。
このようなアルブミンは精製水に溶解させた溶液とし
て、臨床現場においてヒト体内へ注射また点滴により投
与されている。
としては、従来からガラス製容器が使用され、例えば、
脱アルカリ処理した軟質ガラス容器中で保存することが
提案されている(特開平4-210648号公報)。また、タイ
プIIガラスバイアル、例えば、標準表面処理を施された
ケイ酸塩ガラス(アンモニウム塩または酸化イオウ処
理、タイプIIのガラス)にヒトアルブミン溶液を収容す
ることも提案されている(特開平9-221431号公報)。こ
れらのガラス容器はいずれも、ガラス容器からのアルミ
ニウムの遊離を回避することを目的とする。しかしなが
ら、これらのガラス容器は、重い、壊れやすいなどの欠
点を有する。また、これらのアルブミン溶液のガラス容
器への注入方法は、容器内のアルブミン溶液中に大気中
の細菌、その他の夾雑物質が混入する危険があり、汎用
的ではない。
には、ガラス容器に代えて、軽量で割れない容器が求め
られている。この要求に応じるために、医薬品をプラス
チック容器に入れて使用することが近年検討されてい
る。しかしながら、アルブミン溶液をプラスチック容器
に充填した場合、その材質によりプラスチック容器の壁
面にアルブミンが吸着されること、容器中で保存する際
にアルブミン溶液中の水分が蒸発すること、アルブミン
溶液中に混入する大気中の酸素、炭酸ガス等の気体によ
り影響を受け変性すること、また容器外からの光による
影響を受けることなどの問題があることを本発明者らは
見出した。一方、医薬品として、アルブミン製剤には保
存中の水分量の変化が少ないことが要求されている。例
えば、厚生労働省の生物学的製剤基準によると、アルブ
ミン製剤(容量50ml)の場合、許容水分蒸散量は2
年間で4.54g(表示濃度25%に対して、10%以
内の濃度上昇であること)である。
上記課題を解決するために種々鋭意検討した結果、温度
25℃、相対湿度60%における水蒸気透過量(水分透
過率と同じ)が特定の範囲になるようにプラスチック材
料を成型加工して容器にすると、充填されたアルブミン
溶液は長期間、例えば800日以上にも、変性もほとん
どなく、その性能を維持できることを見出し、本発明に
到達した。すなわち、本発明は、(1) アルブミン濃
度が1〜500mg/mlであるアルブミン溶液を収容
したプラスチック容器であって、少なくとも1個の液体
用出入口を有し、かつ、圧力1013.25hPa下において、表
面積1m2、24時間当りの水蒸気透過量が温度25
℃、相対湿度60%において測定したとき、1.5g/
m2/日・1013.25hPa以下である低水蒸気透過性を有す
るアルブミン溶液収容プラスチック容器、(2) さら
に、前記容器は、圧力1013.25hPa下において、表面積1
m2、24時間当りの酸素透過量が温度25℃、相対湿
度60%において測定したとき、5,000cm3/m
2/日・1013.25hPa未満である低酸素透過性を有する、
前記1記載のアルブミン溶液収容プラスチック容器、
(3) 前記容器は、単層または多層プラスチック容器
である前記1記載のアルブミン溶液収容プラスチック容
器、(4) 前記容器は、単層プラスチック容器である
前記1記載のアルブミン溶液収容プラスチック容器、
(5) 前記低水蒸気透過性のプラスチックは、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、架橋エチレ
ン-酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリブ
テン、ポリエステル、エチレン共重合体からなる群から
選ばれた1種または2種以上からなる、前記1記載のア
ルブミン溶液収容プラスチック容器、(6)前記低水蒸
気透過性のプラスチックは、ポリエチレンまたはポリプ
ロピレンである前記1記載のアルブミン溶液収容プラス
チック容器、(7)前記1記載のアルブミン溶液収容プ
ラスチック容器が外包装材で包装されたアルブミン溶液
収容プラスチック容器包装品、(8)前記外包装材の酸
素透過量が圧力1013.25hPa下、表面積1m2、24時間
当り、温度25℃、相対湿度60%において測定したと
き、5,000cm3/m2/日・1013.25hPa未満であ
る前記7記載のアルブミン溶液収容プラスチック容器包
装品、(9)前記外包装材は、エチレン−ビニルアルコ
ール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニト
リル、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリエステ
ル、アクリロニトリル共重合体、ポリアクリロニトリ
ル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド共重合
体、ポリ塩化ビニル、ポリエステル共重合体、塩化ビニ
リデン共重合体からなる群から選ばれた1種または2種
以上からなる、前記7記載の包装されたアルブミン溶液
収容プラスチック容器包装品、(10)前記外包装材
は、エチレン−ビニルアルコール共重合体またはポリビ
ニルアルコールである前記7記載の包装されたアルブミ
ン溶液収容プラスチック容器包装品、(11)前記アル
ブミン溶液収容プラスチック容器は、脱酸素剤の存在下
に外包装材で包装された、前記7記載の包装されたアル
ブミン溶液収容プラスチック容器包装品、(12)前記
アルブミン溶液収容プラスチック容器は、真空下に外包
装材で包装された、前記7記載の包装されたアルブミン
溶液収容プラスチック容器包装品、(13)前記アルブ
ミン溶液収容プラスチック容器は、窒素ガス存在下に外
包装材で包装された、前記7記載の包装されたアルブミ
ン溶液収容プラスチック容器包装品、及び(14)前記
アルブミン溶液収容プラスチック容器は、遮光条件下に
外包装材で包装された、前記7記載の包装されたアルブ
ミン溶液収容プラスチック容器包装品に関する。さらに
本発明は、(15) 内側層および外側層、および必要
により中間層を有する多層プラスチック容器であって、
少なくとも1層は圧力1013.25hPa下において、表面積1
m2、24時間当りの水蒸気透過量が温度25℃、相対
湿度60%において測定したとき、1.5g/m2/日
・1013.25hPa以下である低水蒸気透過性を有する、前記
1記載のアルブミン溶液収容プラスチック容器、(1
6) 前記プラスチック容器は、内側層および外側層、
および必要により中間層を有する多層プラスチック容器
であって、少なくとも1層は酸素透過性が低いプラスチ
ック層である、前記15記載のアルブミン溶液収容プラ
スチック容器、(17) 前記プラスチック容器は、内
側層および外側層、および必要により中間層を有する多
層プラスチック容器であって、少なくとも1層は圧力10
13.25hPa下において、表面積1m2当り、24時間の酸
素透過量を温度25℃、湿度60%において測定したと
き、5,000cm3/m2/日・1013.25hPa未満であ
る酸素透過性を有する層である、前記15記載のアルブ
ミン溶液収容プラスチック容器、(18) 前記酸素透
過性が低いプラスチックは、エチレン−ビニルアルコー
ル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポ
リビニルアルコール、ポリアミド、ポリアミド共重合
体、ポリエステル、ポリエステル共重合体、ポリアクリ
ロニトリル、アクリロニトリル共重合体、ポリスチレ
ン、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニリデン共
重合体からなる群から選ばれた1種または2種以上から
なる、前記16記載のアルブミン溶液収容プラスチック
容器。(19) 前記容器は、下記低水蒸気透過性材料
群および低酸素透過性材料群から選ばれた材料の混合物
から成形された容器である、前記16記載のアルブミン
溶液収容プラスチック容器
とは分子量が約67,000である血清アルブミンを、
例えば注射用水に溶解した濃度アルブミン濃度が1〜5
00mg/mlである溶液である。血清アルブミンとし
ては、ヒト血清から精製された血清アルブミンまたは遺
伝子工学的手法により生産された組換えヒト血清アルブ
ミンなどが包含される。ヒト血清から精製された血清ア
ルブミンとしては、例えばヒトから採取した血液を分画
し、得られた血清アルブミン含有水溶液を種々の精製手
段により精製したヒト血清アルブミンがある。また、遺
伝子工学的手法により生産された組換えヒト血清アルブ
ミンとしては、ヒト血清アルブミンをコードする遺伝子
を単離し、適当なベクターに組み込み、得られた組換え
ベクターを適当な宿主に導入して形質転換体を得て、該
形質転換体を培養し、培養後に培養抽出物を種々の精製
手法により精製した組換えヒト血清アルブミンがある。
精製手段としては、例えばエタノール分画法、PEG分
画法、硫安分画法、陰イオン交換体と60℃、10時間
の加熱処理を組み合わせた方法(特開平2-191226号公
報)、陰イオン交換体処理、陽イオン交換体処理および
60℃、10時間の過熱処理を組み合わせた方法(特開
平3-17123号公報、特開平7-330626号公報)などが知ら
れている。
チルトリプトファン塩、炭素数6〜18の有機カルボン
酸またはその塩等の安定化剤が含有されていることが好
ましい。このような安定化剤、例えばアセチルトリプト
ファンはアルブミン溶液中に含有されるアルブミン1g
当り、約20〜60mgであることが好ましい。炭素数
6〜18の有機カルボン酸としては、カプロン酸、カプ
リル酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、オレ
イン酸等が例示され、その塩としてはナトリウム、カリ
ウム等のアルカリ金属塩、カルシウム等のアルカリ土類
金属塩が挙げられる。
る容器は、少なくとも1個の液体用出入口を有する。そ
の形状は任意であり、例えば、図1に示すものがある。
液体用出入り口は、その材質は硬質プラスチック、例え
ば、ポリプロピレン、ポリエチレンであることが好まし
い。容器形状(少なくとも1個の液体用出入口を有す
る)としては、特に限定されないが、アルブミン水溶液
収容量が通常、10〜2,000mlであり、容器から
の液の排出性が良好である程度の空間部を内部に有して
いることが好ましい。プラスチック容器の厚さは、内容
液中の不溶物等の目視検査が可能であり、アルブミン溶
液の排出性が良好であるために、通常、10〜1,00
0μm、好ましくは50〜500μm、より好ましくは
100〜400μmの範囲である。容器の表面積が10
0cm2より小さい場合には、200〜400μmの厚
みが好ましい。水蒸気透過性及び酸素透過性は、プラス
チック容器の材質の種類によって調整されるが、容器の
厚さによっても調整できる。また、その両方の手段でも
調製が可能である。さらにプラスチック容器の水蒸気透
過量、酸素透過量は、プラスチックの種類と厚さが同一
であっても、容器の表面積の大小によっても変化する。
容器の表面積が小さい程、アルブミンの安定性を維持す
るためには、水蒸気透過性や酸素透過性が低いことが要
求されるため、容器の厚みを増すことが必要である。容
器の厚みが10μmよりも薄いと水分蒸散性が高まると
同時に、酸素透過性も高まり、さらに容器の強度も弱く
なり好ましくない。また、容器の厚みが1,000μm
を越えると使用時のアルブミン水溶液の排出性が低下す
るとともに、容器の透明度が低下するため、内容液中の
不溶性異物やアルブミン変性物の確認が困難である。
造でもよい。上記プラスチック容器は好ましくは単層で
ある。アルブミン溶液が蛋白製剤であることから、熱、
化学品等の影響を受けやすいので、充填の際に高温にな
ることを避け、また溶液に直接触れる素材はポリプロピ
レン、ポリエチレン等が好ましい。さらに必要な水蒸気
透過性や酸素透過性を確保するために、中間層、外層を
もつ複層構造でもよい。このようなプラスチック容器の
製法としては、ブロー成型法とインフレーション法(射
出成型法)があるが、本発明のプラスチック容器を製造
するには、いずれの製造方法を採用してもよい。本発明
において、アルブミン溶液を収容する容器は、圧力101
3.25hPa下において、表面積1m2、24時間当りの水
蒸気透過量が、温度25℃および相対湿度60%におい
て測定したとき、1.5g/m2/日・1013.25hPa以下
(即ち6.25×10−3mg/cm2/時・1013.25h
Pa以下)であることを特徴とする。水蒸気透過量がこの
値を越える容器においては、長期間、例えば800日以
上の保存において、アルブミン溶液中のアルブミン濃度
が、表示量に対して110%以上の過剰濃度となり、好
ましくない。水蒸気透過量の測定は、重量法に従う。
チック容器は、単層でも複層構造でもよいが、少なくと
も1層の水蒸気透過量が圧力1013.25hPa下において、表
面積1m2当り、24時間の水蒸気透過量を温度25℃
および相対湿度60%において測定したとき、1.5g
/m2/日・1013.25hPa以下(即ち6.25×10− 3
mg/cm2/時・1013.25hPa以下)である。
レフィン系樹脂、塩素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ
エステル系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、または
これらの共重合体から選択される。特に、エチレン・ビ
ニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩
化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリア
ミド共重合体、ポリエステル、ポリエステル共重合体、
ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル共重合体、ポ
リスチレン、塩化ビニリデン共重合体、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、架橋エチレン-酢酸
ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリブテン、エ
チレン共重合体が例示される。ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、架橋エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化
ビニリデン、ポリブテン、ポリエステル、エチレン共重
合体が好ましい。これらの樹脂は単独で、或いは混合し
て使用する。
は、カプラミド−ヘキサメチレンアジポアミド共重合
体、カプラミド−ヘキサメチレンセバカミド共重合体、
ヘキサメチレンアジポアミド−ヘキサメチレンセバカミ
ド共重合体等が挙げられる。ポリエステル共重合体とし
ては、芳香族エステル−脂肪族エステル共重合体等が挙
げられる。アクリロニトリル共重合体としては、アクリ
ロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−イ
ソブチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共
重合体、アクリロニトリル−酢酸ビニル共重合体、アク
リロニトリル−塩化ビニル共重合体等が挙げられる。塩
化ビニリデン共重合体としては、塩化ビニリデン−塩化
ビニル共重合体、塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合
体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体等が挙
げられる。エチレン共重合体としては、エチレン−酢酸
ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合
体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−塩化ビ
ニル共重合体等が挙げられる(以下においても同様)。
透過性を有するとともに、特定数値以下の酸素透過性を
有することが好ましい。さらに、アルブミンが吸着しに
くいことも好ましい。酸素透過量は、圧力1013.25hPa下
において、表面積1m2、24時間当り、温度25℃、
相対湿度60%において測定したとき、5,000cm
3/m2/日・1013.25hPa未満であることが好ましい。
上記水蒸気透過量とともに上記酸素透過量を有する材料
としては、上記した樹脂のうち、エチレン・ビニルアル
コール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリアミド共
重合体、ポリエステル、ポリエステル共重合体、ポリア
クリロニトリル、アクリロニトリル共重合体、ポリスチ
レン、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニリデン
共重合体などが例示される。
層であってもよいが、アルブミン溶液と接する層が、ア
ルブミンを吸着しにくい物質であることが好ましい。前
記アルブミン吸着性の小さいプラスチックは、上記水蒸
気透過量ならびに酸素透過量を示すプラスチックのう
ち、ポリオレフィン系樹脂、塩素系樹脂、ポリアミド系
樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂および
これらの共重合体から選択されたプラスチックである。
特に、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化
ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、
ポリアミド、ポリアミド共重合体、ポリエステル、ポリ
エステル共重合体、ポリアクリロニトリル、アクリロニ
トリル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、架橋
エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリブテン、ブテン・エ
チレン共重合体が例示される。アルブミン吸着性は、浸
漬法にて判定することができる。
は、水蒸気透過量が小さいプラスチックであるポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、架橋エチレン
-酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリブテ
ン、ポリエステル、エチレン共重合体からなる群および
酸素透過量が小さいプラスチックであるエチレン・ビニ
ルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化
ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリアミ
ド共重合体、ポリエステル、ポリエステル共重合体、ポ
リアクリロニトリル、アクリロニトリル共重合体、ポリ
スチレン、塩化ビニリデン共重合体からなる群の両群か
ら選ばれた樹脂の1種以上、好ましくは2種または3種
以上の混合物から調製されることが好ましい。このう
ち、ポリエチレンまたはポリプロピレンが特に好まし
い。
び必要により中間層)を有する多層プラスチック容器
は、少なくとも1層が圧力1013.25hPa下において、表面
積1m 2当り、24時間の水蒸気透過量を温度25℃お
よび相対湿度60%において測定したとき、1.5g/
m2/日・1013.25hPa以下の水蒸気透過性を有するプラ
スチック容器である。内側層、中間層および外側層の厚
みは、種々選択できるが、少なくとも1層が本発明の水
蒸気透過量、酸素透過量を満足すべきである。さらに、
容器を密封成形するに当り、ヒートシールを行うには、
最内側層が上記水蒸気透過性ならびに酸素透過性を有す
るとともに、比較的低温度にて熱融着できる材料から形
成されることが望ましい。また、アルブミン溶液を収容
後に、蒸気、熱水滅菌を行うこともあり得るが、その場
合アルブミンを変性させない温度(70℃以下)である
ことが要求される。
スチック容器は、酸素透過量の小さい外包装材(圧力10
13.25hPa下で表面積1m2当り、24時間の酸素透過量
を温度25℃および相対湿度60%において測定したと
き、5,000cm3/m2/日・1013.25hPa未満の酸
素透過量を有する)を施してもよい。外包装材の形状は
特に制限されないが、通常、取扱うことを考慮すれば、
薄膜であることが望ましい。その厚みは通常、5〜1,
000μm、好ましくは、10〜500μmである。こ
の際、酸素の影響をさらに抑制するために、該アルブミ
ン水溶液収容容器と該外包装材との空間部を不活性気
体、例えば窒素置換するか、または脱酸素剤、酸素吸着
剤を封入してもよい。また、酸素の影響をさらに抑制す
るためには、該アルブミン水溶液収容プラスチック容器
内のアルブミン溶液の上部空間部を真空にするか、また
は不活性気体、例えば窒素で置換してもよい。該酸素透
過量の小さい外包装材材料としては、容器本体の材質と
同じであってもよいし、または異なっていてもよい。
しては、容器のブロー成型と同時に無菌充填する方法
や、予め成型した容器に後で充填する方法等があるが、
いずれの充填方法でも可能である。本発明のアルブミン
水溶液を充填した容器は、必要により加熱滅菌して、ア
ルブミン製剤中に混入する恐れのあるウイルス等を不活
化することが必要である。滅菌条件としては、40〜6
0℃で0.5〜20時間の加熱を行うことが望ましい。
アルブミン溶液を収容した容器の保存条件は、凍結や変
性をさけるため、温度5℃〜50℃、相対湿度10%以
上であることが望ましい。
る。実施例中、水蒸気透過量、酸素透過量、アルブミン
吸着量ならびにアルブミンの定量は下記方法に従った。 水蒸気透過量:保存期間中のアルブミン溶液充填容器の
重量変化から算出(重量法)した。 酸素透過量:差圧法により測定した。 アルブミン吸着量:浸漬法により測定した。 アルブミン定量:BCG法により測定した。
石油製)を用いて、汎用押出機を使って押出成形法によ
り、厚さ250μmおよび表面積180cm2を有する
図1に示す形状(少なくとも1個の液体用出入口を有す
る)のプラスチック容器を製造した。液体用出入口は、
ポリプロピレン製であり、熱融着させて取付けた。該容
器に25%アルブミン水溶液50mlを充填して上記液
体用出入り口をプラスチック栓にて密閉した。この密封
した容器を温度25℃、相対湿度60%の条件下で6ケ
月間保存し、容器本体の経時重量変化から水蒸気透過量
を測定した。この結果、容器からの水蒸気透過量は、
0.25g/m2/日・1013.25hPaであった。この速度
では、2年間の保存で約3.3gの水分が蒸散すること
になる。一方、50mlのアルブミン製剤の場合、厚生
労働省の生物製剤基準によれば、許容水蒸気透過量は2
年間で4.54g(表示濃度25%に対して、10%以
内の濃度上昇であること)であることが要求されるが、
このプラスチック容器の水蒸気透過量は、この条件を満
たしていた。
ー、三菱化学製)を用いて、厚み150μm、表面積1
80cm2を有する実施例1と同形状の容器を作成し
た。この容器に25w/v%ヒト血清アルブミン水溶液5
0mLを正確に充填密閉した。温度25℃、相対湿度6
0%の条件下で6ケ月間保存し、経時重量変化から水蒸
気透過量を測定した。その結果、容器からの水蒸気透過
量は0.22g/m2/日・1013.25hPaであり、実施例
1で示した許容値(2年間で4.54g)以下であっ
た。
cm3、出光石油製)100μm、中間層としてエチレン-
ビニルアルコール共重合体(エバールEF-F、クラレ製)
50μm、外層として内層と同様のポリエチレン100
μmの3層からなる多層フィルムを押出成型法により製
造し、表面積180cm2を有する実施例1と同形状の
容器を作成した。この容器に25w/v%ヒト血清アルブ
ミン水溶液50mLを正確に充填密閉した。温度25
℃、相対湿度60%の条件下で6ケ月間保存し、経時重
量変化から水蒸気透過量を測定した。その結果、容器か
らの水蒸気透過量は0.23g/m2/日・1013.25hPa
あり、実施例1で示した許容値(2年間で4.54g)
以下であった。また、酸素透過量は、0.5cm3/m2・2
4hr・1013.25hPaであった。
容器(25w/v%アルブミン水溶液50mlを収容)
を、以下に示す低酸素透過量(25℃、60%相対湿度
(RH)における酸素透過量、0.5cm3/m2・24hr・
1013,25hPa)の4層からなる外包装材(藤森工業製)
を用いて、(1)窒素ガス置換包装、(2)脱酸素剤封
入、(3)窒素ガス置換及び脱酸素剤封入、(4)外包
装のみ、または(5)外包装無しの形態として、温度4
0℃、相対湿度75%の条件下で3カ月間保存した。ま
た、実施例3で製造したアルブミン水溶液収容プラスチ
ック容器(25w/v%アルブミン水溶液50mlを収
容)も外包装無しの形態で同じ保存条件下で3カ月間保
存した。なお、対照として、市販ガラス製バイアル製剤
(25%ブミネート、バクスター社製)を同条件で保存し
た。 外包装材:第1層(最内層) ポリエチレン 40μm 第2層 シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレート 12μm 第3層 ポリエチレンテレフタレート 12μm 第4層(最外層)ポリエチレン 60μm なお、容器評価は、容器から取り出したアルブミン溶液
中のアルブミンの定量、溶液の吸収スペクトル(350〜7
00nm)の変化、肉眼による色調、異物観察によって実施
した。結果を表2に示す。
04nm付近の吸収極大波長のシフトまたは消失の程度
が対照の市販品と同じであることを示し、変化が認めら
れた場合に変化ありとした。上記色調中、変化なしと
は、色調が対照品と同じであることを示す。
〜(4)に収容されたアルブミンの含量に変化は認めら
れず、異物の発生も観察されなかった。外包装無しの保
存では、吸収スペクトルの変化及び着色が認められた
(試料(5))。一方、着色については、低酸素透過性
外包装材を施すことで、市販バイアル製剤とほぼ同等の
安定性が得られた(試料(4))が、脱酸素剤封入及び
又は窒素置換を施すことで、さらに安定な製剤が得られ
た(試料(1)〜(3))。実施例3で製造した容器で
は、外包装を施さなくても、全ての項目において、対照
であるバイアル製剤と同等の安定性を示した。
クスター社製)を注射用水で無菌的に5倍希釈し、滅菌
済み5mLバイアルに3mLずつ分注した。アルコール
で滅菌した縦0.8×横2.5cmのポリプロピレン
(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、
エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)の各シー
トを2枚ずつ、アルブミンを分注したバイアルに浸し、
密封した。1、3及び9日後に各シートを取り出し、溶
液中のアルブミン濃度を測定した。アルブミンの定量法
は定法(BCG法)を用いた。結果を表3に示す。これら
の水蒸気透過量ならびに酸素透過量はそれぞれ下記の通
りである。 水蒸気透過量(g/m2/日・1013.25hPa) 酸素透過量(cm3/m2/日・1013.25hPa) PP 0.22(150μm) 550(150μm) PE 0.25(250μm) 800(250μm) PVC 0.8 (250μm) 65(250μm) EVOH 1.1 (250μm) 0.04(250μm)
されている上記素材も、アルブミン残存量はほぼ100
%であり、吸着は認められず、アルブミン水溶液収容プ
ラスチック容器として使用可能である。
Hでの酸素透過量7,560cm3(25μm)/m2・24hr・1
013.25hPa、出光石油製)を用いて、厚みが50μmおよ
び表面積1,600cm2を有する図2に示す形状のプ
ラスチック容器を製造した。この容器に5w/v%ヒト血
清アルブミン水溶液1,000mLを正確に充填密閉し
た。この容器を温度25℃、相対湿度60%の条件下で
6ケ月間保存し、経時重量変化から水蒸気透過量を測定
した。この結果、得られた水蒸気透過量は1.67g/
m2・日・1013.25hPaであった。この製剤を2年間保存し
た場合の水分蒸散は、およそ195g程度になると推定
され、アルブミン濃度が約6.2w/v%になるため、
10%以上の濃縮によって浸透圧の変化、不溶性異物の
発生等が予測される。また、この製剤は実施例1の製剤
と比較すると、保存期間中の着色が著しく、持ち運びの
際の泡立ちも激しいため、異物の発生が認められた。
ためには、アルブミン製剤(容量50ml)の場合、許
容水分蒸散量は2年間で4.54g(表示濃度25%に
対して、10%以内の濃度上昇であること)以内である
ことが要求される。即ち、アルブミン25w/v%溶液5
0ml製剤では、2年間の水蒸気透過量が4.54g以
下であることが要求されるが、本発明のアルブミンを収
容したプラスチック容器は、前記要求を満足することが
できる。すなわち、本発明のアルブミン溶液収容プラス
チック容器では、アルブミン溶液の水分蒸発が極めて小
さく、該溶液の長期保存が可能である。
ク容器の平面図である。
面図である。
Claims (14)
- 【請求項1】 アルブミン濃度が1〜500mg/ml
であるアルブミン溶液を収容したプラスチック容器であ
って、少なくとも1個の液体用出入口を有し、かつ、圧
力1013.25hPa下において、表面積1m2、24時間当り
の水蒸気透過量が温度25℃、相対湿度60%において
測定したとき、1.5g/m2/日・1013.25hPa以下で
ある低水蒸気透過性を有するアルブミン溶液収容プラス
チック容器。 - 【請求項2】 さらに、前記容器は、圧力1013.25hPa下
において、表面積1m2、24時間当りの酸素透過量が
温度25℃、相対湿度60%において測定したとき、
5,000cm3/m2/日・1013.25hPa未満である低
酸素透過性を有する、請求項1記載のアルブミン溶液収
容プラスチック容器。 - 【請求項3】 前記容器は、単層または多層プラスチッ
ク容器である請求項1記載のアルブミン溶液収容プラス
チック容器。 - 【請求項4】 前記容器は、単層プラスチック容器であ
る請求項1記載のアルブミン溶液収容プラスチック容
器。 - 【請求項5】 前記低水蒸気透過性のプラスチックは、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、架橋
エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、
ポリブテン、ポリエステル、エチレン共重合体からなる
群から選ばれた1種または2種以上からなる、請求項1
記載のアルブミン溶液収容プラスチック容器。 - 【請求項6】 前記低水蒸気透過性のプラスチックは、
ポリエチレンまたはポリプロピレンである請求項1記載
のアルブミン溶液収容プラスチック容器。 - 【請求項7】 請求項1記載のアルブミン溶液収容プラ
スチック容器が外包装材で包装されたアルブミン溶液収
容プラスチック容器包装品。 - 【請求項8】 前記外包装材の酸素透過量が圧力1013.2
5hPa下、表面積1m 2、24時間当り、温度25℃、相
対湿度60%において測定したとき、5,000cm3
/m2/日・1013.25hPa未満である請求項7記載のアル
ブミン溶液収容プラスチック容器包装品。 - 【請求項9】 前記外包装材は、エチレン−ビニルアル
コール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニ
トリル、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリエス
テル、アクリロニトリル共重合体、ポリアクリロニトリ
ル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド共重合
体、ポリ塩化ビニル、ポリエステル共重合体、塩化ビニ
リデン共重合体からなる群から選ばれた1種または2種
以上からなる、請求項7記載の包装されたアルブミン溶
液収容プラスチック容器包装品。 - 【請求項10】 前記外包装材は、エチレン−ビニルア
ルコール共重合体またはポリビニルアルコールである請
求項7記載の包装されたアルブミン溶液収容プラスチッ
ク容器包装品。 - 【請求項11】 前記アルブミン溶液収容プラスチック
容器は、脱酸素剤の存在下に外包装材で包装された、請
求項7記載の包装されたアルブミン溶液収容プラスチッ
ク容器包装品。 - 【請求項12】 前記アルブミン溶液収容プラスチック
容器は、真空下に外包装材で包装された、請求項7記載
の包装されたアルブミン溶液収容プラスチック容器包装
品。 - 【請求項13】 前記アルブミン溶液収容プラスチック
容器は、窒素ガス存在下に外包装材で包装された、請求
項7記載の包装されたアルブミン溶液収容プラスチック
容器包装品。 - 【請求項14】 前記アルブミン溶液収容プラスチック
容器は、遮光条件下に外包装材で包装された、請求項7
記載の包装されたアルブミン溶液収容プラスチック容器
包装品。
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