JP2003005438A - 画像形成方法 - Google Patents

画像形成方法

Info

Publication number
JP2003005438A
JP2003005438A JP2001187388A JP2001187388A JP2003005438A JP 2003005438 A JP2003005438 A JP 2003005438A JP 2001187388 A JP2001187388 A JP 2001187388A JP 2001187388 A JP2001187388 A JP 2001187388A JP 2003005438 A JP2003005438 A JP 2003005438A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
image
toner
resin
mass
fixing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001187388A
Other languages
English (en)
Inventor
Koichi Hamano
弘一 濱野
Katsumi Daimon
克己 大門
Norito Fukushima
紀人 福島
Manabu Serizawa
学 芹澤
Yuka Ishihara
由架 石原
Takashi Imai
孝史 今井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
Priority to JP2001187388A priority Critical patent/JP2003005438A/ja
Publication of JP2003005438A publication Critical patent/JP2003005438A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 オフセットや紙づまり等のディフェクトが無
く、細線再現性や画像グロス均一性に優れ、高速化やウ
ォームアップタイムの短縮が可能であり、粉体保存性や
耐ブロッキング性、及び定着後の画像保存性に優れた画
像形成方法を提供する。 【解決手段】 潜像担持体上に形成された静電潜像を、
少なくともトナーを含む現像剤により現像してトナー画
像を形成する現像工程と、前記トナー画像を転写材上に
転写して転写画像を形成する転写工程と、前記転写画像
を定着する定着工程とを有する画像形成方法であって、
前記トナーが、少なくとも、着色剤、及び主成分が結晶
性樹脂である結着樹脂を含有し、前記定着工程が、非接
触加熱型定着装置を用いて前記転写画像を定着する工程
であることを特徴とする画像形成方法であり、前記結着
樹脂の主成分である結晶性樹脂が、50〜120℃に融
点を有することが好ましく、また結晶性ポリエステル樹
脂であることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、プリンタ
ー、ファクシミリ等の電子写真プロセスを利用した電子
写真装置に利用し得る画像形成方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、静電荷像現像用トナーの定着方式
としては、常温で圧力ロールのみを用いる圧力定着方
式、加熱ロール等を用いる接触加熱型定着方式等の接触
定着方式や、オーブン加熱によるオーブン定着方式、キ
セノンランプ等によるフラッシュ定着方式、マイクロ波
等による電磁波定着方式、溶剤蒸気を用いる溶剤定着方
式等の非接触定着方式が挙げられる。接触定着方式の中
で圧力定着方式は、圧力定着トナーの定着強度が低いた
め、ほとんど採用されていないのが実情である。これに
対し、加熱ロールやベルト等を用いる接触加熱型定着方
式は、通常加熱源を設けた加熱ロールまたはベルトと、
加圧ロールまたはベルトとから構成され、加熱ロールま
たはベルトの表面に、被定着シートのトナー画像面を圧
接触させながら通過させることにより定着を行うもので
あり、加熱ロールまたはベルトの表面と、被定着シート
のトナー画像面とが、直接接触するため熱効率が高く、
迅速に定着を行うことができるという特徴を有してお
り、広く採用されている。 【0003】画像を定着するためには、トナーを転写材
上で十分に溶融させることが必要となる。加熱ロールや
ベルト等を用いる接触加熱型定着方式では、加熱ロール
表面とトナー画像とが、加熱溶融状態で圧接触するため
トナー画像の一部が、加熱ロール表面に付着して転移
し、次の被定着シート上に汚れを生じさせる所謂オフセ
ット現象と、被定着シートが加熱ロールから剥離せずに
巻き付いてしまう現象とが課題となってくる。また、加
熱ロール表面とトナー画像とが、加熱溶融状態で圧接触
し、定着時にトナー画像が横方向に広がるため、細線を
含む画像を定着した場合に当該細線が太くなってしま
い、解像度が低下するという問題も生じる。 【0004】さらに、フルカラー複写機においては、少
なくともシアン、マゼンタ、およびイエローの各トナー
のうち、単色および2色あるいは3色を重ね合わせるこ
とにより、フルカラー画像を形成しており、色により画
像厚みに大きな差が生じてしまう。3色を重ね合わせた
ような画像厚みの大きな部位は、加熱ロールによる定着
時に転写画像に加わる圧力が大きくなり、また紙のよう
な転写材上のラフネスの影響を受けにくくなるため、単
色画像等の画像厚みが比較的小さい部位に比べて画像光
沢が高くなり、同一画像内で画像光沢の高い部位と低い
部位とが混在することとなり、見た目の質感が大きく低
下する場合がある。 【0005】これに対しオーブン定着方式のような非接
触型定着方式では、未定着の転写画像のトナー層を押し
つぶすことなく定着できるため、前記接触加熱型定着方
式の欠点を解消することができる。 【0006】一方、非接触型定着方式のうち最も一般的
な、非接触加熱型定着方式では、接触加熱型定着方式に
比べ熱効率が悪く、転写画像を定着するに十分なだけト
ナーを溶融するために、加熱温度を高く、或いは加熱時
間を長くする必要が生じ、エネルギーコストの上昇を招
き、また高速化への弊害にもなっている。特に近年では
省エネルギーの徹底のため、使用時以外は定着機への通
電を停止することが望まれており、定着機温度は、通電
とともに瞬時に定着可能温度に達することが望まれるた
め、より一層低温での定着が必要となっている。さら
に、フルカラー画像形成における2次色あるいは3次色
の場合は、十分な発色性を確保すべく、この傾向がより
一層顕著となる。また、前述した画像厚みによる画像光
沢均一性は向上するものの、定着機内部での温度分布が
生じやすいため、画像の部位によってトナーの溶融状態
が変わり、結果として画像部位によって画像光沢性の差
が生じてしまう。そのため、トナーとしてはより低温で
定着でき、しかも高温領域でトナーの粘度が急速に低下
する、いわゆるシャープメルトである事が望まれてい
る。また、定着温度を低下することにより、同じ消費電
力であってもプリントスピードの高速化が可能となる。 【0007】しかしながら、従来アモルファス樹脂を結
着樹脂として使用する方法では、トナーの定着温度を低
温化させることにより、同時にトナー粒子のガラス転移
点も低下させてしまい、トナーの保存性とトナー画像の
保存性との両立が困難となる。低温定着化と、トナー保
存及びトナー画像保存性との両立のためには、トナーの
ガラス転移点をより高温に保ったまま、シャープメルト
性をもつことが必要である。 【0008】トナーに使用される樹脂は、通常ある程度
ガラス転移点、分子量等に幅を持つため、前記シャープ
メルト性を得るためには、極端に樹脂の組成、分子量を
そろえる必要があるものの、前記樹脂を得るためには、
特殊な製法を用いたり、樹脂をクロマトグラフィー等で
処理をすることにより、樹脂の分子量を整える必要が生
じてしまい、樹脂作製のためのコストが高くなってしま
う、また、その際に不要な樹脂が生じてしまい、近年の
環境保護の観点からも好ましくない。 【0009】このような低温定着性を実現するために、
結着樹脂として結晶性樹脂を使用する方法(特公昭63
−25335号公報等)が検討されている。結晶性樹脂
を使用することにより、結晶の融点以下ではトナーの硬
さが保持され、融点を超えたところで結晶の融解ととも
に粘度が急激に低下し、低温定着がはかられる。しかし
前記開示技術、例えば特公昭63−25335号公報記
載の結晶性樹脂では、紙への定着性能が十分ではないと
いう問題点がある。 【0010】紙への定着性改善が期待される結晶性樹脂
として、結晶性ポリエステル樹脂が挙げられる。結晶性
ポリエステルをトナーに用いる例としては、特公昭62
−39428号公報等にある。これは、ガラス転移温度
40℃以上の非結晶性ポリエステルと、融点130℃〜
200℃の結晶性ポリエステルとを混合して用いる方法
である。しかしこの方法は優れた粉砕性、耐ブロッキン
グ性を有するが、結晶性ポリエステルの融点が高く従来
以上の低温定着性は達成できない。 【0011】結晶性樹脂の融点として110℃以下の樹
脂を用い、非結晶性樹脂を混合させトナーとして使用す
る例(特公平4−30014号公報等)がある。結晶性
樹脂に対して非結晶性樹脂を混合する場合には、トナー
の融点降下を起こし、トナーブロッキング、画像の保存
性の悪化等実用上問題がある。また、非結晶性樹脂成分
が多い場合には、非結晶性樹脂成分の特性が大きく反映
されるため、定着温度を従来より低下させる事は難し
い。よって、トナー用樹脂として結晶性樹脂を単独で用
いるか、非結晶性樹脂を混合してもごくわずかの量でな
いと実用はむずかしい。 【0012】以上より結晶性ポリエステル樹脂をできる
だけ単独で用いることが望ましい。結晶性ポリエステル
樹脂を用いる例として、特開平4−120554号公
報、特開平4−239021号公報、特開平5−165
252号公報がある。しかし、これらはテレフタル酸の
カルボン酸成分に対して、炭素数の少ないアルキレング
リコールや脂環族アルコールを用いている樹脂である。
これら文献の中に結晶性ポリエステル樹脂という記述は
あるものの、実際には部分結晶性ポリエステルであり、
トナー(樹脂)の温度に対する粘度変化が急峻でなく、
ブロッキング性・定着後の画像保存性に問題はないもの
の、従来以上の低温定着を実現するものではない。 【0013】 【発明が解決しようとする課題】本発明は前記問題点に
鑑み、その問題点を解決することを目的としてなされた
ものである。すなわち本発明は、非接触型定着方式であ
るオーブン定着方式により、加熱ロールやベルト等を用
いる接触加熱型定着方式でのオフセットや紙づまり等の
ディフェクトをなくし、細線再現性や画像グロス均一性
に優れた画像形成方法を提供することを目的とする。ま
た、結着樹脂として結晶性樹脂を使用することで、従来
に比べ低温での定着を可能とし、オーブン定着工程での
エネルギーを大幅に低減することにより、高速化やウォ
ームアップタイムを短縮することを目的とする。さら
に、粉体保存性や耐ブロッキング性、及び定着後の画像
保存性に優れた画像形成方法を提供することを目的とす
る。 【0014】 【課題を解決するための手段】前記目的は、以下の本発
明により達成される。すなわち、本発明は、 <1> 潜像担持体上に形成された静電潜像を、少なく
ともトナーを含む現像剤により現像してトナー画像を形
成する現像工程と、潜像担持体上に形成されたトナー画
像を転写材上に転写して転写画像を形成する転写工程
と、転写材上に転写された転写画像を定着する定着工程
と、を有する画像形成方法であって、前記トナーが、少
なくとも、着色剤、および主成分が結晶性樹脂である結
着樹脂を含有し、前記定着工程が、非接触加熱型定着装
置を用いて転写材上に転写された転写画像を定着する工
程である、ことを特徴とする画像形成方法である。 【0015】<2> 前記結着樹脂の主成分である結晶
性樹脂の融点が、50〜120℃であることを特徴とす
る<1>に記載の画像形成方法である。 <3> 前記トナーが、120℃における溶融粘度が1
00Pa・S以上であることを特徴とする<1>または
<2>に記載の画像形成方法である。 <4> 前記結着樹脂の主成分である結晶性樹脂が、結
晶性ポリエステル樹脂であることを特徴とする<1>〜
<3>の何れかに記載の画像形成方法である。 【0016】<5> 前記結晶性ポリエステル樹脂の下
記(式1)で定義されるエステル濃度Mが、0.01以
上0.2以下であることを特徴とする<4>に記載の画
像形成方法である。 M=K/A ・・・(式1) (前記式中、Mはエステル濃度を、Kはポリマー中のエ
ステル基数を、Aはポリマーの高分子鎖を構成する原子
数を、それぞれ表す。) <6> 前記結晶性ポリエステル樹脂が、脂肪族結晶性
ポリエステル樹脂であることを特徴とする<4>または
<5>に記載の画像形成方法である。 【0017】<7> 前記結晶性ポリエステル樹脂が、
スルホン酸基を含むジカルボン酸、或いはジオールを共
重合成分として含有することを特徴とする<4>〜<6
>の何れかに記載の画像形成方法である。 <8> 前記現像剤が、少なくともトナー及びキャリア
からなり、該キャリアが、窒素含有樹脂により被覆され
たキャリアであることを特徴とする<1>〜<7>の何
れかに記載の画像形成方法である。 【0018】<9> 前記非接触加熱型定着装置が、ト
ナー画像が転写された転写材を支持し、装置内で搬送を
行うための搬送手段と、前記搬送手段によって搬送され
る転写材の片面もしくは両面に対向して熱源が配置さ
れ、該熱源からの熱の輻射および/または対流によりト
ナー画像を加熱して定着を行う加熱手段と、を有する定
着装置であることを特徴とする請求項<1>〜<8>の
何れかに記載の画像形成方法である。 【0019】 【発明の実施の形態】本発明の画像形成方法は、潜像担
持体上に形成された静電潜像を、少なくともトナーを含
む現像剤により現像してトナー画像を形成する現像工程
と、潜像担持体上に形成されたトナー画像を転写材上に
転写して転写画像を形成する転写工程と、転写材上に転
写された転写画像を定着する定着工程とを有し、前記ト
ナーが、少なくとも、着色剤、および主成分が結晶性樹
脂である結着樹脂を含有し、前記定着工程が、非接触加
熱型定着装置を用いて転写材上に転写された転写画像を
定着する工程であることを特徴とする。以下、本発明の
画像形成方法を工程毎に分けて詳細に説明する。 【0020】<現像工程>本発明において現像工程と
は、潜像担持体上に形成された静電潜像を、少なくとも
トナーを含む現像剤により現像してトナー画像を形成す
る工程であり、電子写真においては、潜像担持体に対向
して配置された現像剤担持体の表面に現像剤層を形成せ
しめ、該現像剤層により潜像担持体上に形成された静電
潜像を現像する。前記現像剤が、トナーとキャリアとか
らなる二成分現像方式の場合、前記現像剤層は、現像剤
担持体表面に磁性キャリアがブラシ状に形成され、これ
にトナーが付着したいわゆる磁気ブラシにより形成され
る。以下、本発明におけるトナー及びキャリアついて説
明する。 【0021】A.トナー 本発明におけるトナーは、少なくとも、着色剤、および
主成分が結晶性樹脂である結着樹脂を含有することを特
徴とする。ここで、「主成分」とは、前記結着樹脂を構
成する成分のうち、主たる成分のことを指し、具体的に
は、前記結着樹脂の50質量%以上を構成する成分を指
す。ただし、本発明において、前記結着樹脂のうち、結
晶性樹脂が70質量%以上であることが好ましく、90
質量%以上であることがより好ましく、全てが結晶性樹
脂であることが特に好ましい。 【0022】前記結着樹脂の主成分を構成する樹脂が結
晶性でない場合、即ち非晶性である場合には、良好な低
温定着性を確保しつつ、耐トナーブロッキング性、画像
保存性を保つことができない。尚、本発明において、
「結晶性樹脂」とは、示差走査熱量測定(DSC)にお
いて、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピーク
を有するものを指す。 【0023】本発明における結着樹脂の主成分を構成す
る結晶性樹脂としては、結晶性を持つ樹脂であれば特に
制限はなく、具体的には、結晶性ポリエステル樹脂、結
晶性ビニル系樹脂が挙げられるが、定着時の紙への接着
性や帯電性、及び好ましい範囲での融点調整の観点から
結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。また、適度な融点
をもつ脂肪族系の結晶性ポリエステル樹脂がより好まし
い。 【0024】前記結晶性ビニル系樹脂としては、(メ
タ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、
(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オク
チル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸
デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アク
リル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、
(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステア
リル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)アクリル
酸ベヘニル等の長鎖アルキル、アルケニルの(メタ)ア
クリル酸エステルを用いたビニル系樹脂が挙げられる。
尚、本明細書において、”(メタ)アクリル”なる記述
は、”アクリル”および”メタクリル”のいずれをも含
むことを意味するものである。 【0025】一方、前記結晶性ポリエステル樹脂は、酸
(ジカルボン酸)成分(以下、「酸由来構成成分」と称
する場合がある)と、アルコール(ジオール)成分(以
下、「アルコール由来構成成分」と称する場合がある)
とから合成されるものである。以下、酸由来構成成分、
及びアルコール由来構成成分について、さらに詳しく説
明する。尚、本発明では、前記結晶性ポリエステル主鎖
に対して、他成分を50質量%以下の割合で共重合した
共重合体も結晶性ポリエステルとする。 【0026】−酸由来構成成分− 前記酸由来構成成分は、脂肪族ジカルボン酸が望まし
く、特に直鎖型のカルボン酸が望ましい。例えば、蓚
酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピ
メリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,
9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン
酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ド
デカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン
酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−
ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジ
カルボン酸など、或いはその低級アルキルエステルや酸
無水物が挙げられるが、これらに限定されない。 【0027】前記酸由来構成成分としては、前述の脂肪
族ジカルボン酸由来構成成分のほか、二重結合を持つジ
カルボン酸由来構成成分、スルホン酸基を持つジカルボ
ン酸由来構成成分等の構成成分が含まれていることが好
ましい。尚、前記二重結合を持つジカルボン酸由来構成
成分には、二重結合を持つジカルボン酸に由来する構成
成分のほか、二重結合を持つジカルボン酸の低級アルキ
ルエステルまたは酸無水物等に由来する構成成分も含ま
れる。また、前記スルホン酸基を持つジカルボン酸由来
構成成分には、スルホン酸基を持つジカルボン酸に由来
する構成成分のほか、スルホン酸基を持つジカルボン酸
の低級アルキルエステルまたは酸無水物等に由来する構
成成分も含まれる。 【0028】前記二重結合を持つジカルボン酸は、その
二重結合を利用して樹脂全体を架橋させ得る点で、定着
時のホットオフセットを防ぐために好適に用いることが
できる。このようなジカルボン酸としては、例えば、フ
マル酸、マレイン酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−
オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定
されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無
水物等も挙げられる。これらの中でも、コストの点で、
フマル酸、マレイン酸等が好ましい。 【0029】前記スルホン酸基を持つジカルボン酸は、
顔料等の色材の分散を良好にできる点で有効である。ま
た、樹脂全体を水に乳化或いは懸濁して、微粒子を作製
する際にスルホン酸基があれば、後述するように、界面
活性剤を使用しないで乳化或いは懸濁が可能である。こ
のようなスルホン酸基を持つジカルボン酸としては、例
えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スル
ホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウ
ム塩等が挙げられるがこれらに限定されない。また、こ
れらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられ
る。これらの中でもコストの点で、5−スルホイソフタ
ル酸ナトリウム塩等が好ましい。 【0030】これらの脂肪族ジカルボン酸由来構成成分
以外の酸由来構成成分(二重結合を持つジカルボン酸由
来構成成分及び/またはスルホン酸基を持つジカルボン
酸由来構成成分)の、酸由来構成成分における含有量と
しては、1〜20構成モル%が好ましく、2〜10構成
モル%がより好ましい。前記含有量が、1構成モル%未
満の場合には、顔料分散が良くなかったり、乳化粒子径
が大きくなり、凝集によるトナー径の調整が困難となる
場合がある。一方、20構成モル%を超えると、ポリエ
ステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下して、画像の
保存性が悪くなったり、乳化粒子径が小さ過ぎて水に溶
解し、ラテックスが生じない場合がある。尚、本発明に
おいて「構成モル%」とは、ポリエステル樹脂における
各構成成分(酸由来構成成分、アルコール由来構成成
分)を1単位(モル)したときの百分率を指す。 【0031】−アルコール由来構成成分− アルコール構成成分としては脂肪族ジオールが望まし
く、例えば、エチレングリコール、1、3−プロパンジ
オール、1、4−ブタンジオール、1、5ペンタンジオ
ール、1、6−ヘキサンジオール、1、7−ヘプタンジ
オール、1、8−オクタンジオール、1、9―ノナンジ
オール、1、10−デカンジオール、1、11−ウンデ
カンジオール、1、12−ドデカンジオール、1、13
−トリデカンジオール、1、14−テトラデカンジオー
ル、1、18−オクタデカンジオール、1、20−エイ
コサンジオール等が挙げられるが、この限りではない。 【0032】前記アルコール由来構成成分は、脂肪族ジ
オール由来構成成分の含有量が80構成モル%以上であ
ることが好ましく、必要に応じてその他の成分を含む。
前記アルコール由来構成成分としては、前記脂肪族ジオ
ール由来構成成分の含有量が90構成モル%以上である
ことがより好ましい。前記含有量が、80構成モル%未
満では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降
下するため、耐トナーブロッキング性、画像保存性及
び、低温定着性が悪化してしまう場合がある。一方、必
要に応じて含まれるその他の成分としては、二重結合を
持つジオール由来構成成分、スルホン酸基を持つジオー
ル由来構成成分等の構成成分が挙げられる。 【0033】前記二重結合を持つジオールとしては、2
−ブテン−1,4−ジオール、3−ブテン−1,6−ジ
オール、4−ブテン−1,8−ジオール等が挙げられ
る。一方、前記スルホン酸基を持つジオールとしては、
1,4−ジヒドロキシ−2−スルホン酸ベンゼンナトリ
ウム塩、1,3−ジヒドロキシメチル−5−スルホン酸
ベンゼンナトリウム塩、2−スルホ−1,4−ブタンジ
オールナトリウム塩等が挙げられる。 【0034】これらの直鎖型脂肪族ジオール由来構成成
分以外のアルコール由来構成成分を加える場合(二重結
合を持つジオール由来構成成分、及び/または、スルホ
ン酸基を持つジオール由来構成成分)の、アルコール由
来構成成分における含有量としては、1〜20構成モル
%が好ましく、2〜10構成モル%がより好ましい。前
記含有量が、1構成モル%未満の場合には、顔料分散が
不良となったり、乳化粒子径が大きくなり、凝集による
トナー径の調整が困難となる場合がある。一方、20構
成モル%を超えると、ポリエステル樹脂の結晶性が低下
し、融点が降下して、画像の保存性が悪くなったり、乳
化粒子径が小さ過ぎて水に溶解し、ラテックスが生じな
い場合がある。 【0035】また、前記結晶性ポリエステル樹脂の分子
量としては、質量平均分子量(Mw)で、1500以上
であることが好ましい。 【0036】さらに、前記結晶性ポリエステル樹脂は、
下記(式1)で定義されるエステル濃度Mが、0.01
以上0.12以下である結晶性ポリエステル樹脂である
ことが好ましい。 M=K/A ・・・(式1) (前記式中、Mはエステル濃度を、Kはポリマー中のエ
ステル基数を、Aはポリマーの高分子鎖を構成する原子
数を、それぞれ表す。) 【0037】ここで「エステル濃度M」とは、結晶性ポ
リエステル樹脂のポリマーにおけるエステル基の含有割
合を示す一つの指標である。前記式中のKで表される
「ポリマー中のエステル基数」は、言い換えればポリマ
ー全体に含まれるエステル結合の数を指す。 【0038】前記式中のAで表される「ポリマーの高分
子鎖を構成する原子数」は、ポリマーの高分子鎖を構成
する原子の合計であり、エステル結合に関与する原子数
は全て含むが、その他の構成部位における枝分かれした
部分の原子数は含まない。すなわち、エステル結合に関
与するカルボキシル基やアルコール基に由来する炭素原
子および酸素原子(1つのエステル結合中酸素原子は2
個)や、高分子鎖を構成する、例えば芳香環における6
つの炭素は、前記原子数の計算に含まれるが、高分子鎖
を構成する、例えば芳香環やアルキル基における水素原
子、その置換体の原子ないし原子群は、前記原子数の計
算に含まれない。 【0039】具体例を挙げて説明すれば、高分子鎖を構
成するアリーレン基における、炭素原子6つと水素原子
4つの計10個の原子のうち、前記「ポリマーの高分子
鎖を構成する原子数A」に含まれるものは、炭素原子の
6つのみであり、また、前記水素が如何なる置換基に置
換されたとしても、当該置換基を構成する原子は、前記
「ポリマーの高分子鎖を構成する原子数A」に含まれな
い。 【0040】結晶性ポリエステル樹脂が、1の繰り返し
単位(例えば、高分子がH−[OCOR1COOR2
−]n−Hで表される場合、1の繰り返し単位は、
[ ]内で表される。)のみからなる単重合体の場合に
は、1の繰り返し単位内には、エステル結合は2個存在
する(すなわち、当該繰り返し単位内におけるエステル
基数K’=2)ので、エステル濃度Mは、下記式(1−
1)により、求めることができる。 M=2/A’ ・・・(式1−1) (前記式中、Mはエステル濃度を、A’は1の繰り返し
単位における高分子鎖を構成する原子数を、それぞれ表
す。) 【0041】また、結晶性ポリエステル樹脂が、複数の
共重合単位からなる共重合体の場合には、共重合単位ご
とに、エステル基数KXおよび高分子鎖を構成する原子
数AXを求め、これらに共重合割合を乗じた上で、それ
ぞれ合計し、前記(式1)に代入することで、求めるこ
とができる。例えば、共重合単位がXa、XbおよびX
cの3つであり、これらの共重合割合がa:b:c(た
だし、a+b+c=1)である化合物[(Xa)a(X
b)b(Xc)c]についてのエステル濃度Mは、下記式
(1−2)により、求めることができる。 M={KXa×a+KXb×b+KXc×c} /{AXa×a+AXb×b+AXc×c}・・・(式1−2) (前記式中、Mはエステル濃度を表し、KXaは共重合単
位Xa、KXbは共重合単位Xb、KXcは共重合単位Xc
におけるそれぞれのエステル基数を表し、AXaは共重合
単位Xa、AXbは共重合単位Xb、AXcは共重合単位X
cにおけるそれぞれの高分子鎖を構成する原子数を表
す。) 【0042】本発明におけるトナーとしては、結着樹脂
として用いる結晶性ポリエステル樹脂における、前記
(式1)で定義されるエステル濃度Mを0.01以上
0.2以下とすることが、紙への定着性を高める上で好
ましい。特に、本発明における非接触式定着器は、定着
時にトナー画像に圧力を加えないため、一般にトナー画
像の紙に対する付着性、すなわち定着画像の安定性が問
題となるが、エステル濃度が上記範囲内である本発明に
おけるトナーを用いることが、かかる問題を解決する上
で好ましい。 【0043】前記ポリエステル樹脂の製造方法として
は、特に制限はなく、酸成分とアルコール成分とを反応
させる一般的なポリエステル重合法で製造することがで
き、例えば、直接重縮合、エステル交換法等が挙げら
れ、モノマーの種類によって使い分けて製造する。前記
酸成分とアルコール成分とを反応させる際のモル比(酸
成分/アルコール成分)としては、反応条件等によって
も異なるため、一概には言えないが、通常1/1程度で
ある。 【0044】前記ポリエステル樹脂の製造は、重合温度
180〜230℃の間で行うことができ、必要に応じて
反応系内を減圧にし、縮合時に発生する水やアルコール
を除去しながら反応させる。モノマーが、反応温度下で
溶解または相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助
剤として加え溶解させてもよい。重縮合反応において
は、溶解補助溶剤を留去しながら行う。共重合反応にお
いて相溶性の悪いモノマーが存在する場合は、あらかじ
め相溶性の悪いモノマーと、そのモノマーと重縮合予定
の酸またはアルコールとを縮合させておいてから主成分
と共に重縮合させるとよい。 【0045】前記ポリエステル樹脂の製造時に使用可能
な触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金
属化合物;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類
金属化合物;亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、ス
ズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リ
ン酸化合物、リン酸化合物、及びアミン化合物等が挙げ
られ、具体的には、以下の化合物が挙げられる。 【0046】例えば、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウ
ム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、酢酸カルシウム、ス
テアリン酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、
ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸マ
ンガン、ナフテン酸マンガン、チタンテトラエトキシ
ド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロ
ポキシド、チタンテトラブトキシド、三酸化アンチモ
ン、トリフェニルアンチモン、トリブチルアンチモン、
ギ酸スズ、シュウ酸スズ、テトラフェニルスズ、ジブチ
ルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニ
ルスズオキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ナフ
テン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニール、酢酸ジルコニ
ール、ステアリン酸ジルコニール、オクチル酸ジルコニ
ール、酸化ゲルマニウム、トリフェニルホスファイト、
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイ
ト、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、トリ
エチルアミン、トリフェニルアミン等の化合物が挙げら
れる。 【0047】本発明における結着樹脂の主成分である結
晶性樹脂の融点としては、好ましくは50〜120℃で
あり、より好ましくは60〜110℃である。前記融点
が50℃より低いとトナーの保存性や、定着後のトナー
画像の保存性が問題となる場合がある一方、120℃よ
り高いと従来のトナーに比べて十分な低温定着が得られ
ない場合がある。尚、本発明において、前記結晶性樹脂
の融点の測定には、示差走査熱量計(DSC)を用い、
室温から150℃まで毎分10℃の昇温速度で測定を行
った時の、JIS K−7121に示す入力補償示差走
査熱量測定の融解ピーク温度として求めることができ
る。また、結晶性の樹脂には、複数の融解ピークを示す
場合があるが、本発明においては、最大のピークをもっ
て融点とみなす。 【0048】本発明において用いられる着色剤は、染料
及び顔料の何れでもかまわないが、耐光性や耐水性の観
点から顔料が好ましい。好ましい顔料としては、カーボ
ンブラック、アニリンブラック、アニリンブルー、カル
コイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブル
ー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレ
ンブルークロライド、フタロシアンブルー、マラカイト
グリーンオキサート、ランプブラック、ローズベンガ
ル、キナクリドン、ベンジシンイエロー、C.I.ピグ
メント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド
57:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.
I.ピグメント・レッド185、C.I.ピグメント・
イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、
C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメ
ント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー7
4、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピ
グメント・ブルー15:3等の公知の顔料が使用でき
る。 【0049】また、着色剤として磁性粉を使用すること
もできる。磁性粉としては、コバルト、鉄、ニッケルな
どの強磁性金属;コバルト、鉄、ニッケル、アルミニウ
ム、鉛、マグネシウム、亜鉛、マンガンなどの金属の合
金;酸化物などの公知の磁性体が使用できる。これらは
単独で使用可能な他、2種類以上組み合わせて使用して
もよい。これら着色剤の含有量としては、前記結着樹脂
100質量部に対して、0.1〜40質量部が好まし
く、1〜30質量部がさらに好ましい。尚、前記着色剤
の種類を適宜選択することにより、イエロートナー、マ
ゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等の各色
トナーが得られる。 【0050】本発明におけるトナーには、前記必須成分
のほか、その他の成分として、目的に応じて公知の添加
剤などを適宜選択して用いることができる。例えば、無
機微粒子、有機微粒子、帯電制御剤、離型剤等の公知の
各種添加剤等が挙げられる。 【0051】前記無機微粒子としては、シリカ微粒子、
酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒
子、あるいはこれらの表面を疎水化処理した物等公知の
無機微粒子を単独または二種以上組み合わせて使用する
ことができるが、発色性やOHP透過性等透明性を損な
わないという観点から、屈折率が結着樹脂よりも小さい
シリカ微粒子が好ましい。またシリカ微粒子は種々の表
面処理を施されてもよく、例えばシラン系カップリング
剤、チタン系カップリング剤、シリコーンオイル等で表
面処理されたものが好ましい。これら無機微粒子を内添
することによりトナーの粘弾性を調整することもでき、
その場合、画像光沢度や紙への染み込みを調整すること
ができる。無機微粒子は原料に対して0.5〜15質量
%含有されることが好ましく、1〜10質量%がさらに
好ましい。 【0052】前記有機微粒子は、一般にクリーニング性
や転写性を向上させる目的で使用される。前記有機微粒
子としては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタク
リレート、ポリフッ化ビニリデン等の微粒子が挙げられ
る。 【0053】前記帯電制御剤は、一般に帯電性を向上さ
せる目的で使用される。前記帯電制御剤としては、クロ
ム系アゾ染料、鉄系アゾ染料、アルミニウムアゾ染料、
サリチル酸金属錯体など使用できる。 【0054】前記離型剤は、一般に離型性を向上させる
目的で使用される。前記離型剤としては、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレ
フィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オ
レイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミ
ド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウ
バワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、
木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動
物系ワックス;モンタンワックス、 オゾケライト、セ
レシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワ
ックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石
油系ワックスなどが挙げられる。本発明において、これ
らの離型剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用
して用いてもよい。 【0055】これらの離型剤の添加量としては、トナー
全量に対して、0.5〜50質量%であることが好まし
く、より好ましくは1〜30質量%、更に好ましくは3
〜15質量%である。0.5質量%未満であると離型剤
添加の効果がなく、50質量%以上であると、帯電性に
影響が現れやすくなったり、現像機内部においてトナー
が破壊されやすくなり、離型剤のキャリアへのスペント
化が生じ、帯電が低下しやすくなる等の影響が現れるば
かりでなく、例えばカラートナーを用いた場合、定着時
の画像表面への染み出しが不十分になり易く、画像中に
離型剤が在留しやすくなってしまうため、透明性が悪化
し好ましくない。 【0056】本発明におけるトナーの体積平均粒子径と
しては、1〜12μmが好ましく、3〜8μmがより好
ましい。また、数平均粒子径としては、1〜10μmが
好ましく、2〜8μmがより好ましい。さらに、粒度分
布の指標でもある(体積平均粒子径)÷(数平均粒子
径)の値は、1.6以下が好ましく、1.5以下がさら
に好ましい。この値が1.6より大きいと粒度分布の広
がりが大きくなるため、帯電の分布も広くなってしま
い、逆極性トナーやローチャージトナーが発生する場合
がある。前記体積平均粒子径及び数平均粒子径は、例え
ば、コールターカウンター[TA−II]型(コールタ
ー社製)を用いて、50μmのアパーチャー径で測定す
ることができる。この時、測定はトナーを電解質水溶液
(アイソトン水溶液)に分散させ、超音波により30秒
以上分散させた後に行う。 【0057】−本発明におけるトナーの好ましい物性− 本発明におけるトナーは、常温下で十分な硬さを有する
ことが望まれる。具体的には、その動的粘弾性が、角周
波数1rad/sec、30℃において、貯蔵弾性率G
L(30)が1×106Pa以上であり、損失弾性率GN
(30)が1×106Pa以上であることが望ましい。
なお、貯蔵弾性率GLおよび損失弾性率G Nは、JIS
K−6900にその詳細が規定されている。 【0058】角周波数1rad/sec、30℃におい
て、貯蔵弾性率GL(30)が1×106Pa未満であっ
たり、損失弾性率GN(30)が1×106Pa未満であ
ると、現像機内でキャリアと混合された時に、キャリア
から受ける圧力や剪断力によりトナーの粒子が変形し、
安定な帯電現像特性を維持することができない場合があ
る。また、潜像担持体(感光体)上のトナーがクリーニ
ングされる際に、クリーニングブレードから受ける剪断
力によって変形し、クリーニング不良を生ずることがあ
る。前記角周波数1rad/sec、30℃において貯
蔵弾性率GL(30)および損失弾性率GN(30)が前
記範囲にある場合には、高速の電子写真装置に用いた場
合でも定着時の特性が安定し好ましい。 【0059】さらに、本発明におけるトナーは、温度変
化による前記貯蔵弾性率GLおよび前記損失弾性率GN
値の変動が、10℃の温度範囲で3桁以上となる温度の
区間(10℃温度を上昇させた際に、GLおよびGNの値
が1000分の1もしくはそれより小さい値まで変化す
るような温度の区間)を有することが好ましい。前記貯
蔵弾性率GLおよび前記損失弾性率GNが、前記温度の区
間を有しないと、定着温度が高くなり、その結果、定着
工程のエネルギー消費を低減するのに不十分となる場合
がある。 【0060】図1は、本発明におけるトナーの好ましい
特性を示すグラフである。図1において、縦軸は貯蔵弾
性率の常用対数logGL、あるいは、損失弾性率の常
用対数logGNを表し、横軸は温度を表す。このよう
な特性を有する本発明におけるトナーは、50〜120
℃の温度領域における融点において、急激な弾性率の低
下が見られ、また、所定の範囲で、その弾性率が安定す
ることから、定着時の画像部位による温度分布から生じ
る画像光沢の不均一性や、高温度になっても、紙等の被
転写体に対する過度の染み込みを防止することができ
る。 【0061】また、本発明におけるトナーは、耐オフセ
ット性を良好にするため、120℃における溶融粘度
が、100Pa・S以上であることが好ましい。 【0062】前記本発明におけるトナーは、前述の構成
を有するため、耐トナーブロッキング性、画像の保存
性、及び低温定着性に優れる。本発明におけるトナーの
製造方法としては、特に制限はないが、湿式造粒法が好
ましい。湿式造粒法としては、公知の溶融懸濁法、乳化
凝集法、溶解懸濁法等の方法が好適に挙げられる。以
下、結晶性ポリエステル樹脂を用いた乳化凝集法を例に
説明する。 【0063】前記乳化凝集法は、前記本発明における
「トナー」の項において既に説明した結晶ポリエステル
性樹脂を、乳化し乳化粒子(液滴)を形成する乳化工程
と、該乳化粒子(液滴)の凝集体を形成する凝集工程
と、該凝集体を融合させ熱合一させる融合工程とを有す
る。 【0064】前記乳化工程において、前記ポリエステル
樹脂の乳化粒子(液滴)は、水系媒体と、スルホン化等
したポリエステル樹脂及び必要に応じて着色剤を含む混
合液(ポリマー液)と、を混合した溶液に、剪断力を与
えることにより形成される。その際、加熱するか、或い
は有機溶剤にポリエステル樹脂を溶解させることによ
り、ポリマー液の粘性を下げて乳化粒子を形成すること
ができる。また、乳化粒子の安定化や水系媒体の増粘の
ため、分散剤を使用することもできる。 【0065】前記分散剤としては、例えば、ポリビニル
アルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセル
ロース、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子;
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル
硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナ
トリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン性界面活
性剤;ラウリルアミンアセテート、ラウリルトリメチル
アンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤;ラ
ウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン性界面
活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオ
キシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエ
チレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤等の界
面活性剤;リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、
硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の無
機化合物等が挙げられる。 【0066】前記分散剤として無機化合物を用いる場
合、市販のものをそのまま用いてもよいが、微粒子を得
る目的で、分散剤中にて無機化合物の微粒子を生成する
方法を採用してもよい。前記分散剤の使用量としては、
前記ポリエステル樹脂(結着樹脂)100質量部に対し
て、0.01〜20質量部が好ましい。 【0067】尚、前記乳化工程において、前記ポリエス
テル樹脂に、スルホン酸基を有するジカルボン酸を共重
合させておく(即ち、酸由来構成成分中に、スルホン酸
基を持つジカルボン酸由来構成成分が好適量含まれる)
と、界面活性剤等の分散安定剤を減らすことができる、
或いは使用しなくても乳化粒子を形成できる。 【0068】前記有機溶剤としては、例えば、酢酸エチ
ル、トルエンが挙げられ、前記ポリエステル樹脂に応じ
て適宜選択して用いる。 【0069】前記有機溶剤の使用量としては、前記ポリ
エステル樹脂および必要に応じて用いられる他のモノマ
ー(以下、併せて単に「ポリマー」という場合があ
る。)の総量100質量部に対して、50〜5000質
量部が好ましく、120〜1000質量部がより好まし
い。尚、この乳化粒子を形成する前に、着色剤を混入さ
せておくこともできる。用いられる着色剤としては、前
記本発明におけるトナーの「着色剤」の項で既に述べた
通りである。 【0070】前記乳化粒子を形成する際に用いる乳化機
としては、例えば、ホモジナイザー、ホモミキサー、加
圧ニーダー、エクストルーダー、メディア分散機等が挙
げられる。前記ポリエステル樹脂の乳化粒子(液滴)の
大きさとしては、その平均粒子径(体積平均粒径)で
0.01〜1μmが好ましく、0.03〜0.4μmが
より好ましい。 【0071】前記着色剤の分散方法としては、任意の方
法、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを
有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般
的な分散方法を使用することができる。さらに、必要に
応じて界面活性剤を使用してこれら着色剤の水分散液を
調製したり、分散剤を使用してこれら着色剤の有機溶剤
分散液を調製したりすることもできる。分散に用いる界
面活性剤や分散剤としては、前記ポリエステル樹脂を分
散させる際に用い得る分散剤と同様のものを用いること
ができる。 【0072】前記乳化工程で着色剤を混入させておく場
合、前記ポリマーと着色剤との混合は、ポリマーの有機
溶剤溶解液に、着色剤あるいは着色剤の有機溶剤分散液
を混合することで行う。また、この乳化粒子を形成する
前に、樹脂に着色剤を混入させておくこともできる。樹
脂に着色剤を混入させる方法としては、ディスパーザー
等を用いた溶融分散が挙げられる。 【0073】前記凝集工程においては、得られた乳化粒
子を、前記ポリエステル樹脂の融点付近の温度で、かつ
融点以下の温度にて加熱して凝集し凝集体を形成する。
乳化粒子の凝集体の形成は、攪拌下、乳化液のpHを酸
性にすることによってなされる。前記pHとしては、2
〜6が好ましく、2.5〜5がより好ましい。この際、
凝集剤を使用するのも有効である。用いられる凝集剤
は、前記分散剤に用いる界面活性剤と逆極性の界面活性
剤、無機金属塩の他、2価以上の金属錯体を好適に用い
ることができる。特に、金属錯体を用いた場合には、界
面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため
特に好ましい。 【0074】前記無機金属塩としては、例えば、塩化カ
ルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネ
シウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウ
ムなどの金属塩、および、ポリ塩化アルミニウム、ポリ
水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩
重合体などが挙げられる。その中でも特に、アルミニウ
ム塩およびその重合体が好適である。よりシャープな粒
度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2
価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価
数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、よ
り適している。 【0075】前記融合工程においては、凝集工程と同様
の攪拌下で、凝集体の懸濁液のpHを3〜7の範囲にす
ることにより、凝集の進行を止め、前記ポリエステル樹
脂の融点以上の温度で加熱を行うことにより凝集体を融
合させる。加熱温度としては、前記ポリエステル樹脂の
融点以上であれば問題無い。また加熱の時間としては、
融合が十分に為される程度行えばよく、0.5〜10時
間程度行えばよい。 【0076】融合して得た融合粒子は、ろ過などの固液
分離工程、必要に応じて洗浄工程、乾燥工程を経て、ト
ナーの粒子とすることができる。この場合、トナーとし
て十分な帯電特性、信頼性を確保するために、洗浄工程
において、十分に洗浄することが好ましい。乾燥工程で
は、通常の振動型流動乾燥法、スプレードライ法、凍結
乾燥法、フラッシュジェット法など、任意の方法を採用
することができる。トナーの粒子は、乾燥後の含水分率
を1.0%以下、好ましくは0.5%以下に調整するこ
とが望ましい。 【0077】前記融合工程においては、前記ポリエステ
ル樹脂が、融点以上に加熱されている時、あるいは融合
が終了した後に架橋反応を行わせてもよい。架橋反応を
行わせる場合には、例えば、結着樹脂として二重結合成
分を共重合させた不飽和スルホン化結晶性ポリエステル
樹脂を用い、この樹脂に、例えばt−ブチルパーオキシ
−2−エチルヘキサノエート等の重合開始剤を用いてラ
ジカル反応を起こすことにより架橋構造を導入する。こ
の際、以下に示す重合開始剤を用いる。 【0078】重合開始剤としては、例えば、t−ブチル
パーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クミルパーピ
バレート、t−ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイ
ルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタ
ノイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイ
ド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオ
キサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、
2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジ
メチルバレロニトリル)、1,1−ビス(t−ブチルパ
ーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサ
ン、1,4−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニル)
シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキ
シ)オクタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパ
ーオキシ)バリレート、2,2−ビス(t−ブチルパー
オキシ)ブタン、 【0079】1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソ
プロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル
−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,
5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘ
キサン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、
2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシク
ロヘキシル)プロパン、ジ−t−ブチルパーオキシα−
メチルサクシネート、ジ−t−ブチルパーオキシジメチ
ルグルタレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒド
ロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼラー
ト、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオ
キシ)ヘキサン、ジエチレングリコール−ビス(t−ブ
チルパーオキシカーボネート)、ジ−t−ブチルパーオ
キシトリメチルアジペート、トリス(t−ブチルパーオ
キシ)トリアジン、ビニルトリス(t−ブチルパーオキ
シ)シラン、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオ
ンアミジンジハイドロクロライド)、2,2’−アゾビ
ス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピ
オンアミジン]、4,4’−アゾビス(4−シアノワレ
リックアシド)等が挙げられる。 【0080】これら重合開始剤は、乳化工程前にあらか
じめポリマーに混合しておいてもよいし、凝集工程で凝
集塊に取り込ませてもよい。さらには、融合工程、或い
は融合工程の後に導入してもよい。融合工程或いは融合
工程の後に導入する場合は、有機溶剤に重合開始剤を溶
解した液を、粒子分散液(樹脂粒子分散液等)に加え
る。これらの重合開始剤には、重合度を制御する目的
で、公知の架橋剤、連鎖移動剤、重合禁止剤等を添加し
てもよい。 【0081】以上説明した本発明におけるトナーの製造
方法によれば、トナーの粒子形状を制御することができ
る。トナーの粒子形状としては球形が好ましい。球形に
することで非静電的付着力の減少により転写効率の向上
を図ることが可能となり、また粉体流動性も向上する。 【0082】本発明におけるトナーは、トナー粒子表面
に流動化剤や助剤等の外添剤を添加処理してもよい。外
添剤としては、表面を疎水化処理したシリカ微粒子、酸
化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒
子、カーボンブラック等の無機微粒子やポリカーボネー
ト、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂等のポ
リマー微粒子等、公知の微粒子が使用できる。外添剤の
添加量としては、トナー100質量部に対して、0.0
1〜10質量部であることが好ましく、0.1〜6質量
部であることがより好ましい。また、これらのうち少な
くとも2種以上の外添剤を使用することが好ましく、該
外添剤の少なくとも1種の平均一次粒子径は、30nm
〜200nmであることが好ましく、30nm〜150
nmをであることがより好ましい。 【0083】平均一次粒子径が30nmより小さいと、
感光体との非静電的付着力が増大するため、転写不良や
ホローキャラクターと呼ばれる画像抜けが引き起こさ
れ、重ね合わせ画像等の転写ムラを生じさせる原因とな
る場合があり、初期的なトナーの流動性は良好である
が、トナーと感光体との非静電的付着力を十分に低減で
きず転写効率が低下し画像のぬけや、画像の均一性を悪
化させてしまう場合がある。また、経時による現像機内
でのストレスによって微粒子がトナー表面に埋め込ま
れ、帯電性が変化しコピー濃度の低下や背景部へのカブ
リ等の問題を引き起こす場合がある。また、平均一次粒
子径が200nmより大きいと、トナー表面から脱離し
やすく、また流動性の悪化にもつながる場合がある。 【0084】B.キャリア本発明における現像剤として
は、トナーのみからなる一成分現像剤や、トナーとキャ
リアからなる二成分現像剤が挙げられるが、帯電の維持
性や安定性に優れる二成分現像剤が好ましい。キャリア
としては、樹脂で被膜されたキャリアであることが好ま
しく、窒素含有樹脂で被膜されたキャリアであることが
さらに好ましい。 【0085】前記窒素含有樹脂としては、ジメチルアミ
ノエチルメタクリレート、ジメチルアクリルアミド、ア
クリロニトリル等を含むアクリル系樹脂;ウレア、ウレ
タン、メラミン、グアナミン、アニリン等を含むアミノ
樹脂;またアミド樹脂、ウレタン樹脂が挙げられる。ま
た、これらの共重合樹脂でもかまわない。キャリアの被
膜樹脂としては前記窒素含有樹脂の中から2種以上を組
み合わせて使用してもよい。また、前記窒素含有樹脂と
窒素を含有しない樹脂とを組み合わせて使用してもよ
い。さらに、前記窒素含有樹脂を微粒子状にし、窒素を
含有しない樹脂中に分散して使用してもよい。特にウレ
ア樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アミド樹脂は負
帯電性が高く、また、樹脂硬度が高いため被膜樹脂の剥
がれなどによる帯電量の低下を抑制することが出来る点
で好ましい。 【0086】一般にキャリアは適度な電気抵抗値を有す
ることが好ましく、具体的には10 9〜1014Ωcm程
度の電気抵抗値が好ましい。例えば鉄粉キャリアのよう
に電気抵抗値が106Ωcmと低い場合には、スリーブ
からの電荷注入によりキャリアが感光体(潜像担持体)
の画像部へ付着したり、潜像電荷がキャリアを介して逃
げ、潜像の乱れや画像の欠損等を生じたりする等の問題
が生じる場合がある。一方、絶縁性の樹脂を厚く被覆し
てしまうと、電気抵抗値が高くなりすぎ、キャリア電荷
がリークしにくくなり、その結果エッジの効いた画像に
はなるが、反面大面積の画像面では中央部の画像濃度
が、非常に薄くなるというエッジ効果という問題が生じ
る場合がある。そのためキャリアの抵抗調整のために、
導電性微粉末を樹脂被覆層中に分散させることが好まし
い。 【0087】前記導電性微粉末の具体例としては、金、
銀、銅のような金属;カーボンブラック;さらに酸化チ
タン、酸化亜鉛のような半導電性酸化物;酸化チタン、
酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン
酸カリウム粉末等の表面を酸化スズ、カーボンブラッ
ク、金属で覆ったもの等が挙げられる。この中でも製造
安定性、コスト、導電性の良さからカーボンブラックが
好ましい。 【0088】前記樹脂被覆層を、キャリア芯材の表面に
形成する方法としては、例えば、キャリア芯材の粉末を
被膜層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被膜層形成用溶
液をキャリア芯材の表面に噴霧するスプレー法、キャリ
ア芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で、被膜層形
成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中で、
キャリア芯材と、被膜層形成用溶液とを混合し溶剤を除
去するニーダーコーター法、ニーダーコーター中で、被
膜樹脂の融点以上において微粒子化した被膜樹脂と、キ
ャリア芯材とを混合し冷却して被膜させるパウダーコー
ト法が挙げられるが、ニーダーコーター法及びパウダー
コート法が特に好ましく用いられる。前記方法により形
成される樹脂被膜層の平均膜厚は、通常0.1〜10μ
m、好ましくは0.2〜5μmの範囲である。 【0089】本発明における静電潜像現像用キャリアに
おいて用いられる芯材(キャリア芯材)としては、特に
制限はなく、鉄、鋼、ニッケル、コバルト等の磁性金
属、または、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化
物、ガラスビーズ等が挙げられるが、磁気ブラシ法を用
いる観点からは、磁性キャリアであるのが望ましい。キ
ャリア芯材の平均粒径としては、一般的には10〜10
0μmが好ましく、20〜80μmがより好ましい。 【0090】前記二成分現像剤における本発明における
トナーと、前記キャリアとの混合比(質量比)として
は、トナー:キャリア=1:100〜30:100程度
の範囲であることが好ましく、3:100〜20:10
0程度の範囲がより好ましい。 【0091】<転写工程>本発明において転写工程と
は、潜像担持体上に形成されたトナー画像を紙等の転写
材上に転写して転写画像を形成する工程であり、一般に
静電引力を利用して行われる。現像工程で得られたトナ
ー画像をそのまま転写材に転写することの他、中間転写
体を用い、該中間転写体に一旦転写した後に転写材に転
写する手段も採ることが可能である。 【0092】フルカラーの画像を得ようとする場合に
は、現像工程で少なくともシアン、マゼンタおよびイエ
ローの3色、さらに必要に応じてブラックの4色のトナ
ーを用いて現像されたトナー画像を、積層して転写する
ことにより行われる。この時中間転写材を用いて、中間
転写体上にこれらを一旦積層転写した後、一括して転写
体に転写することは、位置ずれのない、発色性の良好な
画像を得る上で好ましい。 【0093】単色の画像を得ようとする場合、転写工程
で転写材上に転写される転写画像の画像面積率100%
領域におけるトナー質量(TMA)は、0.80mg/
cm 2以下が好ましく、0.60mg/cm2以下がさら
に好ましい。 【0094】<定着工程>本発明において定着工程と
は、転写材上に形成された転写画像を定着する工程であ
る。そして本発明では、この転写画像を、非接触加熱型
定着装置を用いて定着する。非接触加熱型定着装置を用
いることにより、転写画像を押しつぶすことなく定着で
き、接触方式による定着装置の欠点である細線再現性の
低下、定着ロールへの紙の巻きつきやオフセットの発
生、および、画像厚みの差から生じる画像光沢差といっ
た各種問題を生じることなく、画像を定着することがで
きる。 【0095】本発明に適用可能な非接触加熱型定着装置
は、オーブン加熱による非接触加熱型方式(以下オーブ
ン定着方式)が一般的である。オーブン定着方式は、未
定着トナー画像が形成された転写材に、熱風や、熱源か
らの熱の輻射および/または対流により熱を加え、定着
する方式である。以下オーブン定着方式の具体的な構成
について、具体例を挙げて説明する。勿論、本発明に適
用可能な非接触加熱型定着装置は、以下の具体例に限定
されるものではない。 【0096】図2は、本発明に適用可能な非接触加熱型
定着装置30を用いた画像形成装置の一例を示す模式側
断面図である。長尺状の転写材40は、転写材ロール3
6aおよび巻き取りロール36bにより張架され、巻き
取りロール36bが矢印方向に回転することにより、非
接触加熱型定着装置30に挿通される。転写材40は、
非接触加熱型定着装置30に挿通されるに先立って、転
写・現像装置38a,38bに挿通され、表面に未定着
の転写画像が形成される。本発明では、この現像・転写
装置38a,38bが、前記現像工程および転写工程の
構成を為すものとなる。なお、このとき現像・転写装置
38aと、現像・転写装置38bとにより、転写材40
の両面に転写画像を形成することとすれば、一度に両面
コピーが可能となり、高速コピーや装置の小型化の観点
から好ましいものとなる。 【0097】非接触加熱型定着装置30内は、転写材4
0の搬送路の上下に、熱源である上ヒータ34aと下ヒ
ータ34bとを配置して、転写材40を両面から加熱す
ることができるように構成される。そして、上下ヒータ
34a,34bからの熱の輻射および/または対流によ
り転写材40表面の転写画像が加熱され定着が行われ
る。なお、現像・転写装置38aのみにより転写材40
の片面に転写画像を形成する場合には、下ヒータ34b
は必須ではなく、上ヒータ34aからの熱の輻射および
/または対流のみにより転写材40表面の転写画像が加
熱され定着が行われる構成であってもよい。 【0098】偏平なカップ状の上ハウジング32aが、
上ヒータ34aの、転写材40に面した方向を除く周囲
を取り囲むように配置される。一方、偏平なカップ状の
下ハウジング32bが、下ヒータ34bの、転写材40
に面した方向を除く周囲を取り囲み、上ハウジング32
aに対向して配置される。この上下ハウジング32a,
32bは、必須の構成ではないが、このような構成を採
ることにより、上下ヒータ34a,34bからの熱を有
効に転写材40表面の転写画像に作用させることができ
る。そして、片面または両面に形成された転写画像が定
着された後、巻き取りロール36bに巻き取られ、画像
形成が終了する。 【0099】以上の画像形成装置においては、長尺状の
転写材40表面に画像を形成する態様について説明した
が、転写材搬送装置を用いて、紙等の転写材を現像・転
写装置および非接触加熱型定着装置に挿通させる形態で
あってもよい。転写材搬送装置としては、ネットベルト
を用いる方式や、従来より用いられているグリッパーに
よる搬送方式、その他任意の搬送方式が挙げられる。ネ
ットベルトを用いる方式の場合、図2における転写材4
0の代わりにネットベルトがロール36a,bに張架さ
れる(図2は、長尺状の転写材40を用いる場合の図で
あるため、ネットベルトの戻りは図示されない)。そし
てネットベルト上に転写材が載置され、必要に応じて吸
引手段等によりネットベルト上に転写材が固定され、現
像・転写装置および非接触加熱型定着装置に挿通され
る。ネットベルトは、例えばガラス繊維等、耐熱性を有
する材料で形成され、無端状のベルトとして構成されて
いればよい。 【0100】<加圧工程>以上、本発明に必須の工程で
ある現像工程、転写工程および定着工程について説明し
たが、定着工程により転写画像が定着された後の転写材
について、さらに対向する一対のロール(本発明におい
て、これを「加圧ロール」という)に挿通して加圧する
ことにより、画像の厚みを低減し、より視覚的な違和感
のない高画質な画像を得ることもできる。また画像形成
時に加圧ロールの使用を選択できるようにしてもよい。
定着後に加圧することで画像光沢性(グロス)が増加す
るため、高グロスな画像を得たい場合には加圧ロールの
使用を選択することで、この目的を達成することができ
る。この場合画像は、既に定着されているため、加圧ロ
ールにより加圧しても大きな形状変形は起こらず、細線
再現性の低下や、転写材表面の凹部にトナーの粒子が入
り込むことに起因する発色性低下、混色性低下あるいは
オフセット現象等の不具合が起こることがない。 【0101】加圧ロールにより転写材を加圧するに際し
ては、加圧ロール表面をある程度加熱しておいてもよ
い。しかし、非接触型定着装置にて定着を行う本発明で
は、接触型定着装置にて定着を行う場合のような画像厚
みの差による画像光沢の差は生じないため、画像厚みが
ある程度大きくても画像の質感に大きな影響は及ぼさな
い。また、加圧ロールにより一旦定着したトナーを再溶
融させてしまうほど加熱を行うと、当該加圧ロールに対
するオフセットが生ずる可能性もある。従って、加圧ロ
ール表面を加熱するに際しては、トナーを完全に再溶融
させてしまわない程度の加熱をすることが望まれる。な
お、転写材が定着工程の後、直ちに当該加圧工程に供さ
れ、転写材表面のトナーの温度が加圧工程に供されるに
適した温度となるようにしておけば、加圧ロールを加熱
しておく必要はない。加圧ロールの構成としては、従来
より接触加熱定着装置として用いられているものがその
まま転用でき、例えば、鋼板、アルミニウム、ステンレ
ス等の金属からなる円筒体や、これらの材料からなる円
筒体の表面に耐熱性の樹脂(フッ素樹脂等)を被覆した
もの等が挙げられる。勿論加熱装置に関する部材は除す
ことも可能であり、加熱する場合でも加熱装置に関する
部材は、接触加熱定着装置に用いられるほどの強さの加
熱は不要である。 【0102】 【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 <実施例1> (電子写真用現像剤(1)の作製) −結晶性ポリエステル樹脂(1)の合成− 加熱乾燥した3口フラスコに、1,10−デカンジオー
ル17.4質量部と、5−スルホイソフタル酸ナトリウ
ムジメチル2.2質量部と、ジメチルスルホキシド10
質量部と、触媒としてジブチル錫オキサイド0.03質
量部とを入れた後、減圧操作により容器内の空気を窒素
ガスで置換し、不活性雰囲気にして、機械攪拌にて18
0℃で3時間攪拌を行った。さらに、減圧下にてジメチ
ルスルホキシドを留去した後、窒素気流下にてドデカン
ジオイック酸ジメチル26.5質量部を加え、180℃
で1時間攪拌を行った。その後、減圧下にて220℃ま
で徐々に昇温を行い30分時間攪拌し、粘稠な状態とな
ったところで空冷し、反応を停止させ、結晶性ポリエス
テル樹脂(1)36質量部を合成した。 【0103】ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
(GPC)による分子量測定(ポリスチレン換算)で、
得られた結晶性ポリエステル樹脂(1)の質量平均分子
量(Mw)は8600であり、数平均分子量(Mn)は4
700であった。また、結晶性ポリエステル樹脂(1)
の融点(Tm)を、前述の測定方法により、示差走査熱
量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピーク
を有し、ピークトップの温度は79℃であった。樹脂の
NMRスペクトルから測定計算した、結晶性ポリエステ
ル樹脂(1)の共重合成分(5−スルホイソフタル酸成
分)と、ドデカンジオイック酸成分との含有比(5−ス
ルホイソフタル酸成分:5−スルホイソフタル酸成分)
は、7.5:92.5であった。 【0104】−樹脂分散液(1)の調製− 結晶性ポリエステル樹脂(1)150質量部を蒸留水8
50質量部中に入れ、85℃に加熱しながらホモジナイ
ザー(IKAジャパン社製:ウルトラタラクスT50)
にて混合攪拌して、樹脂分散液(1)を得た。 【0105】−着色剤分散液(1)の調製− シアン顔料250質量部(大日精化(株)製:PV F
AST BLUE)と、アニオン性界面活性剤20質量
部(第一工業製薬(株)製:ネオゲンRK)と、イオン
交換水730質量部とを混合し溶解させた後、ホモジナ
イザー(IKAジャパン社製:ウルトラタラクスT5
0)を用いて分散し、着色剤(シアン顔料)を分散させ
てなる着色剤分散液(1)を調製した。 【0106】−電子写真用トナー(1)の作製― 樹脂分散液(1)2850質量部と、着色剤分散液
(1)90質量部と、硫酸アルミニウム5質量部(和光
純薬(株)製)と、イオン交換水100質量部とを丸型
ステンレス製フラスコ中に収容させ、pHを2.0に調
整した後、ホモジナイザー(IKAジャパン社製:ウル
トラタラックスT50)を用いて分散させた後、加熱用
オイルバス中で72℃まで攪拌しながら加熱した。72
℃で3時間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、平
均粒径が約5.0μmである凝集粒子が形成されている
ことが確認された。さらに、72℃で1時間加熱攪拌を
保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が約
5.5μmである凝集粒子が形成されていることが確認
された。 【0107】この凝集粒子分散液のpHは2.4であっ
た。そこで炭酸ナトリウム(和光純薬(株)製)を0.
5質量%に希釈した水溶液を穏やかに添加し、pHを
5.0に調整した後、攪拌を継続しながら83℃まで加
熱し、1時間保持した。その後、反応生成物をろ過し、
イオン交換水で十分に洗浄した後、真空乾燥機を用いて
乾燥させることにより、電子写真用着色粒子(1)を得
た。 【0108】得られた電子写真用着色粒子(1)につい
て、コールターカウンター[TA−II]型(アパーチ
ャー径:50μm、コールター社製)を用いて測定した
ところ、体積平均粒子径は5.5μm、個数平均粒子径
は4.7μmであった。 【0109】前記電子写真着色粒子(1)に、表面疎水
化処理した、平均1次粒子径40nmのシリカ微粒子
(日本アエロジル社製疎水性シリカ:RX50)0.8
質量%(前記電子写真着色粒子(1)に対する外添量)
と、メタチタン酸100質量部を、イソブチルトリメト
キシシラン40質量部及びトリフルオロプロピルトリメ
トキシシラン10質量部で処理した反応生成物である、
1次粒子平均径20nmのメタチタン酸化合物微粒子
1.0質量%(同)と、を外添し、ヘンシェルミキサー
にて5分間混合し、上記外添処方された電子写真用トナ
ー(1)を作製した。 【0110】−キャリア(1)の製造− トルエン1.25質量部に、カーボンブラック(商品
名:VXC−72、キャボット社製)0.12質量部を
混合し、サンドミルで20分攪拌分散したカーボン分散
液に、3官能性イソシアネート80質量%酢酸エチル溶
液(タケネートD110N:武田薬品工業社製)1.2
5質量部を混合攪拌したコート剤樹脂溶液と、Mn−M
g−Srフェライト粒子(平均粒径;35μm)100
質量部とをニーダーに投入し、常温で5分間混合攪拌し
た後、常圧にて150℃まで昇温し溶剤を留去した。さ
らに、30分混合攪拌後、ヒーターの電源を切り50℃
まで降温した。得られたコートキャリアを75μmメッ
シュで篩分し、キャリア(1)を作製した。 【0111】−電子写真用現像剤(1)の作製− 電子写真用トナー(1)5質量部と、キャリア(1)9
5質量部とをVブレンダーに入れ20分間攪拌した後、
105μmメッシュで篩分し、電子写真用現像剤(1)
を作製した。 【0112】(電子写真用トナー(1)の物性評価) −粘弾性の測定− 得られた電子写真用トナー(1)の粘弾性を、回転平板
型レオメーター(RDA 2RHIOSシステム Ve
r.4.3.2,レオメトリックス・サイエンテイフィ
ック・エフ・イー(株)製)を用いて測定した。測定
は、試料をサンプルホルダーにセッティングし、昇温速
度1℃/min、周波数1rad/s、歪み20%以
下、測定保証値の範囲内の検出トルクで測定を行った。
必要に応じて、サンプルホルダーを8mmと20mmに
使い分け、温度変化に対する貯蔵弾性率GN(Pa)、
損失弾性率GL(Pa)の変化を得た。ガラス転移ある
いはポリマー融解により、粘弾性が3桁以上急激に変化
する温度(T1)、及び、粘度が2000Pa・Sにな
るときの温度(T2)を表1に示す。 【0113】−粉体凝集性(耐トナーブロッキング性)
の測定・評価− パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)を用い、上
段より目開き53μm、45μm、及び、38μmのふ
るいを直列的に配置し、53μmのふるい上に正確に秤
量した2gの電子写真用トナー(1)を投入し、振幅1
mmで90秒間振動を与え、振動後の各ふるい上のトナ
ー質量を測定し、それぞれに0.5、0.3、及び、
0.1の重みをかけて加算し、百分率で算出した。試料
(電子写真用トナー(1))は45℃/50%RHの環
境下で約24時間放置したものを用い、測定は25℃/
50%RHの環境下で行った。結果を表1に示す。尚、
本発明において、前記粉体凝集性は前記振動後のトナー
質量が40以下であれば、通常実用上問題無く使用でき
るが、好ましくは30以下である。 【0114】−溶融粘度の測定− 120℃における損失弾性率G’を測定周波数1rad
/sで割った値を、溶融粘度として示した。 【0115】(電子写真用現像剤(1)の特性評価)得
られた電子写真用現像剤(1)を用い、A color
フルカラー複写機(富士ゼロックス(株)製)により、
以下の条件で記録紙表面に画像形成を行い、未定着画像
を採取した。 [画像形成条件] ・トナー画像:ソリッド像(40mm×50mm)及び
細線(線幅50μm) ・トナー量:0.45mg/cm2 ・記録紙:富士ゼロックス社製カラーコピー用ペーパー
(J紙) 【0116】−定着性の評価− この未定着画像を図2に示す非接触型加熱定着装置30
により未定着画像を定着した。なお定着条件は以下の通
りである。 [定着条件] ・上ヒーター34a:160℃及び250℃ ・下ヒーター34b:160℃及び250℃ ・定着部搬送速度:200mm/sec ・定着時間:5.0sec 【0117】設定した定着機温度において定着画像を作
製した後、得られた各定着画像のソリッド画像面を谷折
りにし、折れ目部の画像のはがれ度合いを観察し、下記
評価基準により評価した。結果を表1に示す。 [評価基準] ・○:画像のはがれがなく良好に定着されている ・△:多少の画像のはがれが観察されたが実用上の問題
なし ・×:大きな画像のはがれが観察され、実用上不可であ
る 【0118】−画像光沢性(グロス)の測定− 前記ヒーター温度が160℃及び250℃の状態で、定
着したソリッド画像の画像光沢性(グロス)を、グロス
メーター(村上色彩技術研究所製:GM−26D)にて
75°で測定した。結果を表1に示す。 【0119】−細線再現性の評価− 定着された細線の画像を、VH−6200マイクロハイ
スコープ(キーエンス社製)を用いて倍率175倍で観
察し、下記評価基準により目視にて評価した。結果を表
1に示す。 [評価基準] ・○:画像のつぶれがなく細線が再現されている ・△:多少の画像のつぶれが観察されたが実用上の問題
なし ・×:大きな画像のつぶれが観察される 【0120】−紙への付着性の評価− 定着画像を消しゴム(田口ゴム工業株式会社製、ST−
100)にて10往復こすり、定着画像が紙からはがれ
るか否かを評価した。 【0121】<実施例2> (電子写真用現像剤(2)の作製) −結晶性ポリエステル樹脂(2)の合成− 加熱乾燥した3口フラスコに、エチレングリコール12
4質量部と、5−スルホイソフタル酸ナトリウムジメチ
ル22.2質量部と、セバシン酸ジメチル213質量部
と、触媒としてジブチル錫オキサイド0.3質量部とを
入れた後、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスによ
り不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で5時間
攪拌を行った。その後、減圧下にて220℃まで徐々に
昇温を行い2時間攪拌し、粘稠な状態となったところで
空冷し、反応を停止させ、結晶性ポリエステル樹脂
(2)220質量部を合成した。 【0122】GPCによる分子量測定(ポリスチレン換
算)で、得られた結晶性ポリエステル樹脂(2)の質量
平均分子量(Mw)は9700であり、数平均分子量
(Mn)は5400であった。また、結晶性ポリエステ
ル樹脂(5)の融点(Tm)を、前述の測定方法によ
り、DSCを用いて測定したところ、明確なピークを有
し、ピークトップの温度は69℃であった。樹脂のNM
Rスペクトルから測定計算した、結晶性ポリエステル樹
脂(2)の共重合成分(5−スルホイソフタル酸成分)
と、セバシン酸成分の含有比(5−スルホイソフタル酸
成分:セバシン酸成分)は、7.5:92.5であっ
た。 【0123】−樹脂分散液(2)の調製− 結晶性ポリエステル樹脂(2)150質量部を蒸留水8
50質量部中に入れ、80℃に加熱しながらホモジナイ
ザー(IKAジャパン社製:ウルトラタラクス)にて混
合攪拌して、樹脂分散液(2)を得た。 【0124】−電子写真用トナー(2)の作製― 樹脂分散液(2)2850質量部と、着色剤分散液
(1)90質量部と、硫酸アルミニウム5質量部(和光
純薬社製)と、イオン交換水100質量部とを丸型ステ
ンレス製フラスコ中に収容させ、pHを2.0に調整し
た後、ホモジナイザー(IKAジャパン社製:ウルトラ
タラックスT50)を用いて分散させた後、加熱用オイ
ルバス中で63℃まで攪拌しながら加熱した。63℃で
3時間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒
径が約4.8μmである凝集粒子が形成されていること
が確認された。さらに、63℃で1時間加熱攪拌を保持
した後、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が約5.
3μmである凝集粒子が形成されていることが確認され
た。 【0125】この凝集粒子分散液のpHは2.4であっ
た。そこで炭酸ナトリウム(和光純薬(株)製)を0.
5質量%に希釈した水溶液を穏やかに添加し、pHを
5.0に調整した後、攪拌を継続しながら75℃まで加
熱し、1時間保持した。その後、反応生成物をろ過し、
イオン交換水で十分に洗浄した後、真空乾燥機を用いて
乾燥させることにより電子写真用着色粒子(2)を得
た。 【0126】得られた電子写真用着色粒子(2)につい
て、コールターカウンター[TA−II]型(アパーチ
ャー径:50μm、コールター社製)を用いて測定した
ところ、体積平均粒子径5.5μm、個数平均粒子径は
4.7μmであった。 【0127】前記電子写真用着色粒子(2)に電子写真
用トナー(1)と同様の外添処方を施し、電子写真用ト
ナー(2)を得た。 【0128】−電子写真用現像剤(2)の作製− 電子写真用トナー(2)5質量部と、キャリア(1)9
5質量部とをVブレンダーに入れ20分間攪拌した後、
105μmメッシュで篩分し、電子写真用現像剤(2)
を作製した。 【0129】(電子写真用トナー(2)の物性評価及び
電子写真用現像剤(2)の特性評価)実施例1の「電子
写真用トナー(1)の物性評価」及び「電子写真用現像
剤(1)の特性評価」と同様にして、電子写真用トナー
(2)及び電子写真用現像剤(2)の評価を行った。結
果を表1に示す。 【0130】<実施例3> (電子写真用現像剤(3)の作製) −結晶性ポリエステル樹脂(3)の合成− 加熱乾燥した3口フラスコに、1,20−エイコサンジ
オール18.9質量部と、5−スルホイソフタル酸ナト
リウムジメチル1.3質量部と、ジメチルスルホキシド
10質量部と、触媒としてジブチル錫オキサイド0.0
3質量部とを入れた後、減圧操作により容器内の空気を
窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて18
0℃で3時間攪拌を行った。減圧下、ジメチルスルホキ
シドを留去し、窒素気流下、ドデカンジオイック酸ジメ
チル15.9質量部を加え、180℃で1時間攪拌を行
った。その後、減圧下にて220℃まで徐々に昇温を行
い30分時間攪拌し、粘稠な状態となったところで空冷
し、反応を停止させ、結晶性ポリエステル樹脂(3)3
3質量部を合成した。 【0131】GPCによる分子量測定(ポリスチレン換
算)で、得られた結晶性ポリエステル樹脂(3)の質量
平均分子量(Mw)は7200であり、数平均分子量
(Mn)は4100であった。また、OLE_LINK1結晶性ポ
リエステル樹脂(3)のOLE_LINK1融点(Tm)を、前
述の測定方法により、DSCを用いて測定したところ、
明確なピークを有し、ピークトップの温度は93℃であ
った。樹脂のNMRスペクトルから測定計算した、結晶
性ポリエステル樹脂(3)の共重合成分(5−スルホイ
ソフタル酸成分)と、ドデカンジオイック酸成分との含
有比(5−スルホイソフタル酸成分:ドデカンジオイッ
ク酸成分)は、7.7:92.3であった。 【0132】−樹脂分散液(3)の調製− 結晶性ポリエステル樹脂(3)150質量部を蒸留水8
50質量部中に入れ、99℃に加熱しながらホモジナイ
ザー(IKAジャパン社製:ウルトラタラクスT50)
にて混合攪拌して、樹脂分散液(3)を得た。 【0133】−電子写真用トナー(3)の作製− 樹脂分散液(3)2850質量部と、着色剤分散液
(1)90質量部と、硫酸アルミニウム5質量部(和光
純薬社製)と、イオン交換水100質量部とを丸型ステ
ンレス製フラスコ中に収容させ、pHを2.0に調整し
た後、ホモジナイザー(IKAジャパン社製:ウルトラ
タラックスT50)を用いて分散させた後、加熱用オイ
ルバス中で88℃まで攪拌しながら加熱した。88℃で
3時間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒
径が約4.2μmである凝集粒子が形成されていること
が確認された。更に88℃で1時間加熱攪拌を保持した
後、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が約5.2μ
mである凝集粒子が形成されていることが確認された。 【0134】この凝集粒子分散液のpHは2.4であっ
た。そこで炭酸ナトリウム(和光純薬(株)製)を0.
5質量%に希釈した水溶液を穏やかに添加し、pHを
5.0に調整した後、攪拌を継続しながら97℃まで加
熱し、1時間保持した。その後、反応生成物をろ過し、
イオン交換水で十分に洗浄した後、真空乾燥機を用いて
乾燥させることにより電子写真用着色粒子(3)を得
た。 【0135】得られた電子写真用着色粒子(3)につい
て、コールターカウンター[TA−II]型(アパーチ
ャー径:50μm、コールター社製)を用いて測定した
ところ、体積平均粒子径5.5μm、個数平均粒子径は
4.7μmであった。 【0136】電子写真用着色粒子(3)に電子写真用ト
ナー(1)と同様の外添処方を施し、電子写真用トナー
(3)を得た。 【0137】−電子写真用現像剤(3)の作製− 電子写真用トナー(3)5質量部と、キャリア(1)9
5質量部とをVブレンダーに入れ20分間攪拌した後、
105μmメッシュで篩分し、電子写真用現像剤(3)
を作製した。 【0138】(電子写真用トナー(3)の物性評価及び
電子写真用現像剤(3)の特性評価)実施例1の「電子
写真用トナー(1)の物性評価」及び「電子写真用現像
剤(1)の特性評価」と同様にして、電子写真用トナー
(3)及び電子写真用現像剤(3)の評価を行った。結
果を表1に示す。 【0139】<実施例4> (電子写真用現像剤(4)の作製) −着色剤分散液(2)の作製− 着色剤分散液(1)におけるシアン顔料をマゼンタ顔料
(大日精化製:PR122)に代えた以外は、着色剤分
散液(1)と同様にして、着色剤分散液(2)を作製し
た。 【0140】−電子写真用トナー(4)の作製― 着色剤分散液(1)90質量部を着色剤分散液(2)1
50質量部に代えた以外は、電子写真用着色粒子(1)
と同様にして電子写真用着色粒子(4)を作製した。得
られた電子写真用着色粒子(4)について、コールター
カウンター[TA−II]型(アパーチャー径:50μ
m、コールター社製)を用いて測定したところ、体積平
均粒子径5.8μm、個数平均粒子径は4.8μmであ
った。 【0141】電子写真用着色粒子(4)に電子写真用ト
ナー(1)と同様の外添処方を施し、電子写真用トナー
(4)を得た。 【0142】−電子写真用現像剤(4)の作製− 電子写真用トナー(4)5質量部と、キャリア(1)9
5質量部とをVブレンダーに入れ20分間攪拌した後、
105μmメッシュで篩分し、電子写真用現像剤(4)
を作製した。 【0143】(電子写真用トナー(4)の物性評価及び
電子写真用現像剤(4)の特性評価)実施例1の「電子
写真用トナー(1)の物性評価」及び「電子写真用現像
剤(1)の特性評価」と同様にして、電子写真用トナー
(4)及び電子写真用現像剤(4)の評価を行った。結
果を表1に示す。 【0144】<実施例5> (電子写真用現像剤(5)の作製) −着色剤分散液(3)の作製− 着色剤分散液(1)におけるシアン顔料をイエロー顔料
(クラリアント社製:PY180)に代えた以外は、着
色剤分散液(1)と同様にして、着色剤分散液(3)を
作製した。 【0145】−電子写真用トナー(5)の作製― 着色剤分散液(1)90質量部を着色剤分散液(3)1
50質量部に代えた以外は、電子写真用着色粒子(1)
と同様にして電子写真用着色粒子(5)を作製した。得
られた電子写真用着色粒子(5)について、コールター
カウンター[TA−II]型(アパーチャー径:50μ
m、コールター社製)を用いて測定したところ、体積平
均粒子径5.7μm、個数平均粒子径は4.8μmであ
った。 【0146】電子写真用着色粒子(5)に電子写真用ト
ナー(1)と同様の外添処方を施し、電子写真用トナー
(5)を得た。 【0147】−電子写真用現像剤(5)の作製− 電子写真用トナー(5)5質量部と、キャリア(1)9
5質量部とをVブレンダーに入れ20分間攪拌した後、
105μmメッシュで篩分し、電子写真用現像剤(5)
を作製した。 【0148】(電子写真用トナー(5)の物性評価及び
電子写真用現像剤(5)の特性評価)実施例1の「電子
写真用トナー(1)の物性評価」及び「電子写真用現像
剤(1)の特性評価」と同様にして、電子写真用トナー
(5)及び電子写真用現像剤(5)の評価を行った。結
果を表1に示す。 【0149】<比較例1> −非結晶性ポリエステル樹脂(1)の合成− 加熱乾燥した三口フラスコに、ポリオキシエチレン
(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン35モル部、ポリオキシプロピレン(2,2)
−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン6
5モル部、テレフタル酸80モル部、n−ドデセニルコ
ハク酸10モル部、トリメリット酸10モル部、及び
0.05モル部のジブチル錫オキサイドを入れ、容器内
に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち昇温した後、
150〜230℃で約12時間共縮重合反応させ、その
後、210〜250℃で徐々に減圧して、非結晶性ポリ
エステル樹脂(1)を合成した。 【0150】GPCによる分子量測定(ポリスチレン換
算)で、得られた非結晶性ポリエステル樹脂(1)の質
量平均分子量(MW)は10200であり、数平均分子
量(Mn)は5400であった。また、非結晶性ポリエ
ステル樹脂(1)のDSCスペクトルを、前述の融点の
測定と同様にして測定したところ、明確なピークを示さ
ず、階段状の吸熱量変化が観察された。階段状の吸熱量
変化の開始点をとったガラス転移点(Tg)は62℃で
あった。 【0151】−電子写真用トナー(7)の製造(溶解懸
濁)− 得られた非結晶性ポリエステル樹脂(1)82質量部
と、シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)
18質量部とをバンバリー型混練機を用いて溶融混練
し、高濃度の着色樹脂組成物を得た。さらに、該着色樹
脂組成物25質量部と、非結晶性ポリエステル樹脂
(1)75質量部とを酢酸エチル100質量部に分散・
溶解させ分散溶液を調製した。 【0152】得られた分散溶液を、カルボキシメチルセ
ルロース1質量部と、炭酸カルシウム20質量部と、水
100質量部との混合液中に加え、ミキサーを用いて高
速撹拌して分散させ乳化液を得た。この乳化液をビーカ
ーに移し、約5倍量の水を加え、撹拌しながら43℃の
温浴中で10時間保持し、前記酢酸エチルを蒸発させ
た。炭酸カルシウムを塩酸で溶かし、水洗を繰り返した
後、水とトナーとの混合物を得た。最後に、水を凍結乾
燥機で蒸発させ、電子写真用着色粒子(7)を製造し
た。 【0153】得られた電子写真用着色粒子(7)につい
て、コールターカウンター[TA−II]型(アパーチ
ャー径:50μm;コールター社製)を用いて測定した
ところ、体積平均粒子径5.5μm、個数平均粒子径は
4.0μmであった。電子写真用着色粒子(7)に電子
写真用トナー(1)と同様の外添処方を施し、電子写真
用トナー(7)を得た。 【0154】−キャリア(2)の製造− スチレン/メチルメタアクリレート共重合体1.5質量
部と、トルエン10質量部にカーボンブラック(商品
名;VXC−72、キャボット社製)0.12質量部を
混合し、サンドミルで20分攪拌分散したコート剤樹脂
溶液と、Mn−Mg−Srフェライト粒子(平均粒径;
35μm)100質量部とをニーダーに投入し、常圧で
70℃まで昇温し30分攪拌した後、減圧して溶剤を留
去した。得られたコートキャリアを75μmメッシュで
篩分し、キャリア(2)を作製した。 【0155】−電子写真用現像剤(7)の作製− 電子写真用トナー(5)7質量部と、キャリア(2)9
3質量部とをVブレンダーに入れ20分間攪拌した後、
105μmメッシュで篩分し、電子写真用現像剤(7)
を作製した。 【0156】(電子写真用トナー(7)の物性評価及び
電子写真用現像剤(7)の特性評価)実施例1の「電子
写真用トナー(1)の物性評価」及び「電子写真用現像
剤(1)の特性評価」と同様にして、電子写真用トナー
(7)及び電子写真用現像剤(7)の評価を行った。結
果を表1に示す。 【0157】<比較例2>実施例1で採取した未定着画
像をそのままA colorフルカラー複写機(富士ゼ
ロックス(株)製)の定着機(加熱ロール/加圧ロール
からなる接触加熱型定着装置)にて定着した。なお定着
条件は以下の通りである。 [定着条件] ・加熱ロール/加圧ロール径:50mmφ ・設定温度:180℃ ・定着速度:200mm/sec 実施例1の「電子写真用現像剤(1)の特性評価」と同
様にして、前記定着機にて定着した画像の評価を行っ
た。結果を表1に示す。 【0158】 【表1】 【0159】<実施例6>電子写真用現像剤(1)
(2)(4)及び(5)を用い、A colorフルカ
ラー複写機(富士ゼロックス(株)製)により以下の条
件で記録紙表面に画像形成を行い、1次色、2次色、3
次色の未定着画像を採取した。記録紙は実施例1と同様
に富士ゼロックス社製カラーコピー用ペーパー(J紙)
を使用した。 【0160】[画像形成条件] ・1次色 :電子写真用現像剤(1)によるソリッド像
(40mm×50mm)トナー量:0.45mg/cm
2 ・2次色 :電子写真用現像剤(1)と電子写真用現像
剤(2)による積層されたソリッド像(40mm×50
mm) トナー量:各0.45mg/cm2、計0.90mg/
cm2 ・3次色 :電子写真用現像剤(1)と電子写真用現像
剤(4)と電子写真用現像剤(5)による積層されたソ
リッド像(40mm×50mm) トナー量:各0.45mg/cm2、計1.35mg/
cm2 【0161】−画像光沢均一性の評価− この未定着画像を実施例1と同様に、図2に示す非接触
型加熱定着装置30により定着した。なお上下のヒータ
ー温度は160℃で定着した。定着した各サンプルの画
像光沢性(グロス)をグロスメーター(村上色彩技術研
究所製:GM−26D)にて75°で測定した。結果を
表2に示す。 【0162】<実施例7>記録紙を富士ゼロックス社製
カラーコピー用コート紙(Jコート紙)を使用した以外
は実施例6と同様にして評価を実施した。結果を表2に
示す。 【0163】 【表2】 【0164】表1の結果から、粘弾性の測定では、実施
例1〜5及び比較例1においては、T1とT2との差が
5℃以下とほとんどなく、結晶性ポリエステル樹脂の結
晶性に由来して、温度に対してシャープな粘弾性変化を
示した。一方比較例2においては、T1とT2との差が
60℃程度であり、ガラス転移点付近から温度上昇に伴
い、ゆっくりと粘弾性が低下する挙動を示した。粉体凝
集性(耐トナーブロッキング性)の測定・評価では、実
施例1〜5及び比較例1〜2のいずれも良好な粉体凝集
性を示した。 【0165】定着性の評価では、実施例1〜5及び比較
例1においては、いずれもヒーター温度160℃で折れ
目の画像が、ほとんどはがれない良好な定着性を示して
いるのに比べ、比較例2はヒーター温度:160℃では
トナーが十分に溶融していないため十分に定着されてい
ない。また実施例1〜5及び比較例1においては、ヒー
ター温度:160℃及び250℃で定着した画像光沢性
(グロス)に大きな差が見られなかった。これはアモル
ファス樹脂と異なり、図2のように結晶性樹脂の溶融後
の粘弾性がほとんど変化しない特性によるもので、これ
により定着機内部位の温度分布や定着機温度の変化によ
らず、安定した画像光沢性が得られることがわかる。 【0166】細線再現性においては、実施例1〜5及び
比較例1〜2のいずれも良好な細線再現性を示した。し
かしながら比較例3における従来のロール方式の接触加
熱型定着では若干の細線のつぶれが観察された。定着画
像の保存性評価では、実施例1〜5では、画像同士の融
着や、相手側非画像部への転写が殆ど起らなかった。し
かしながら、比較例1では、融点が55℃と低いために
画像同士の融着や相手側非画像部への転写が著しかっ
た。また比較例2は、ガラス転移点が62℃のため、画
像同士の融着や、相手側非画像部への転写が若干見られ
た。尚、紙への付着性評価においては、実施例1〜5は
エステル濃度が0.01〜0.2の範囲内であるため、
何れも消しゴムで擦っても画像が紙から剥がれず、良好
な紙への付着性を示した。実施例6では画像の重ね合わ
せによって生じる画像厚みの差で、画像光沢性(グロ
ス)の差が見られなかった。実施例7ではノンコート紙
/コート紙で画像光沢性(グロス)の差が見られなかっ
た。 【0167】以上より実施例1〜5は、結晶性樹脂を使
用することで従来よりも低い定着温度でも十分に定着
し、かつ、定着温度による画像光沢性の変化もほとんど
ない。また定着後の画像保存性もまったく問題無く、粉
体凝集性もまったく問題ない。さらに、非接触加熱型定
着により細線がつぶれることなく良好に再現されてい
る。また実施例6及び実施例7では、非接触加熱型定着
及び結晶性樹脂を使用することにより、フルカラーでの
画像厚みの差や紙のラフネス(凹凸)によらず、均一な
画像光沢性(グロス)が得られている。これに対し比較
例1では、定着性は問題無いが、樹脂融点が低すぎるた
め定着後の画像保存性に問題がある。比較例2は従来の
トナーであり定着性が十分でなく、定着後の画像保存性
も実施例1〜5に対し劣っている。 【0168】 【発明の効果】本発明によれば、非接触型定着方式であ
るオーブン定着方式により、加熱ロールやベルト等を用
いる接触加熱型定着方式でのオフセットや紙づまり等の
ディフェクトをなくし、細線再現性や画像グロス均一性
に優れた画像形成方法を提供することが出来る。また、
結着樹脂として結晶性樹脂を使用することで、従来に比
べ低温での定着を可能とし、オーブン定着工程でのエネ
ルギーを大幅に低減することにより、高速化やウォーム
アップタイムを短縮することが出来る。さらに、粉体保
存性や耐ブロッキング性、及び画像光沢の安定性や定着
後の画像保存性に優れた画像形成方法を提供することが
出来る。
【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の電子写真用トナーの好ましい特性を
示すグラフであり、縦軸は貯蔵弾性率の常用対数log
L、あるいは、損失弾性率の常用対数logGNを表
し、横軸は温度を表す。 【図2】 本発明に適用可能な非接触型定着装置を用い
た画像形成装置の一例を示す模式側断面図である。 【符号の説明】 30:非接触型加熱定着装置 32a:上ハウジング 32b:下ハウジング 34a:上ヒータ 34b:下ヒータ 36a:転写材ロール 36b:巻き取りロール 38a,38b:現像・転写装置 40:転写材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福島 紀人 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 芹澤 学 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 石原 由架 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 今井 孝史 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内 Fターム(参考) 2H005 AA01 CA02 CA08 FB00 2H033 AA02 AA30 AA32 BA58 BC00

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 潜像担持体上に形成された静電潜像を、
    少なくともトナーを含む現像剤により現像してトナー画
    像を形成する現像工程と、潜像担持体上に形成されたト
    ナー画像を転写材上に転写して転写画像を形成する転写
    工程と、転写材上に転写された転写画像を定着する定着
    工程と、を有する画像形成方法であって、 前記トナーが、少なくとも、着色剤、および主成分が結
    晶性樹脂である結着樹脂を含有し、 前記定着工程が、非接触加熱型定着装置を用いて転写材
    上に転写された転写画像を定着する工程である、ことを
    特徴とする画像形成方法。
JP2001187388A 2001-06-20 2001-06-20 画像形成方法 Pending JP2003005438A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001187388A JP2003005438A (ja) 2001-06-20 2001-06-20 画像形成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001187388A JP2003005438A (ja) 2001-06-20 2001-06-20 画像形成方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003005438A true JP2003005438A (ja) 2003-01-08

Family

ID=19026681

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001187388A Pending JP2003005438A (ja) 2001-06-20 2001-06-20 画像形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003005438A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007114618A (ja) * 2005-10-21 2007-05-10 Fuji Xerox Co Ltd 静電潜像現像用トナー及び静電潜像現像用現像剤

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007114618A (ja) * 2005-10-21 2007-05-10 Fuji Xerox Co Ltd 静電潜像現像用トナー及び静電潜像現像用現像剤

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100782494B1 (ko) 전자 사진용 토너 및 전자 사진용 현상제, 및 화상 형성방법
JP4375181B2 (ja) 静電潜像現像用トナーの製造方法
JP3910338B2 (ja) 電子写真用トナーおよびその製造方法、並びに、電子写真用現像剤、画像形成方法
JP4192717B2 (ja) 静電荷像現像用トナー、並びに、これを用いた静電荷像現像剤及び画像形成方法
EP1705523B1 (en) Toner for developing electrostatic latent images and manufacturing method thereof developer for developing electrostatic latent images image forming method and method for manufacturing dispersion of resin particles
KR100452777B1 (ko) 전자 사진용 토너 및 그 제조 방법, 및, 전자 사진용현상제, 화상 형성 방법
JP4453263B2 (ja) 静電荷現像用トナー及びその製造方法、並びに、画像形成方法、画像形成装置及びトナーカートリッジ
JP3820973B2 (ja) 電子写真用トナー及びその製造方法及び静電荷像現像剤及び画像形成方法
JP4867610B2 (ja) 静電潜像現像用透明トナー、その製造方法、静電潜像現像用現像剤、画像形成方法および画像形成装置。
US7378210B2 (en) Electrophotographic toner and manufacturing method thereof, polyester resin for electrophotographic toner and manufacturing method thereof, electrophotographic developer and image forming method
JP2003029463A (ja) 画像形成方法
JP2010164828A (ja) 静電荷像現像用トナーセット、画像形成方法、及び、画像形成装置
KR20020046171A (ko) 전자 사진용 현상제 및 화상 형성 방법
JP2006276074A (ja) 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤及び画像形成方法
JP2007121462A (ja) 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用トナーの製造方法、静電荷像現像剤及び画像形成方法
JP2009042386A (ja) 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤及び画像形成装置
JP2003005552A (ja) 画像形成方法
JP5799970B2 (ja) 液体現像剤、画像形成装置、画像形成方法、液体現像剤カートリッジ、およびプロセスカートリッジ
JP2006084953A (ja) 静電荷現像用トナー
JP2017138613A (ja) 液体現像剤、画像形成装置、画像形成方法、液体現像剤カートリッジ、およびプロセスカートリッジ
JP2005266317A (ja) 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用トナーの製造方法、静電荷像現像剤及び画像形成方法
JP2013134489A (ja) 静電潜像現像用トナーの製造方法
JP2007093637A (ja) 静電荷像現像用トナー、及びその製造方法、並びに、該静電荷像現像用トナーを用いた静電荷像現像剤、画像形成方法
JP2006084952A (ja) 電子写真用トナー及びその製造方法、電子写真用現像剤並びに画像形成方法
JP2003005557A (ja) 画像形成方法