JP2003005557A - 画像形成方法 - Google Patents

画像形成方法

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JP2003005557A
JP2003005557A JP2001187387A JP2001187387A JP2003005557A JP 2003005557 A JP2003005557 A JP 2003005557A JP 2001187387 A JP2001187387 A JP 2001187387A JP 2001187387 A JP2001187387 A JP 2001187387A JP 2003005557 A JP2003005557 A JP 2003005557A
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mass
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Katsumi Daimon
克己 大門
Norito Fukushima
紀人 福島
Manabu Serizawa
学 芹澤
Yuka Ishihara
由架 石原
Koichi Hamano
弘一 濱野
Takashi Imai
孝史 今井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低消費電力で、小サイズの用紙を連続して使
用した直後に、大サイズの用紙を使用しても大サイズの
用紙に溶融むらやトナーオフセットが発生することな
く、かつ、短いウォームアップタイムで高品質のコピー
や印刷物を高速で得ることができる画像形成方法を提供
すること。 【解決手段】 潜像担持体上に形成された静電潜像を、
少なくともトナーを含む現像剤により現像してトナー画
像を形成する現像工程と、潜像担持体上に形成されたト
ナー画像を転写材上に転写して転写画像を形成する転写
工程と、転写材上に転写された転写画像を定着する定着
工程と、を有する画像形成方法であって、前記トナー
が、少なくとも、着色剤と、主成分が結晶性樹脂である
結着樹脂と、を含有し、前記定着工程が、加熱ロール
と、該加熱ロールに圧接する加圧ロールと、を備える定
着装置により行われ、かつ、前記加熱ロールの肉厚が2
mm以下であることを特徴とする画像形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、プリンタ
ー、ファクシミリ等の電子写真プロセスを利用した電子
写真装置に利用し得る画像形成方法に関する。 【0002】 【従来の技術】電子写真プロセスとしては、特公昭42
−23910号公報等に記載されているように多数の方
法が知られている。一般的には、光導電性物質を利用し
た感光体(潜像保持体)表面に、種々の手段により電気
的に潜像を形成し、形成された潜像を、トナーを用いて
現像しトナー画像を形成した後、感光体表面のトナー画
像を、中間転写体を介して若しくは介さずに、用紙等の
転写材表面に転写し、この転写画像を加熱、加圧若しく
は加熱加圧あるいは溶剤蒸気等により定着する、という
複数の工程を経て、定着画像が形成される。感光体表面
に残ったトナーは、必要に応じて種々の方法によりクリ
ーニングされ、再び上記の複数の工程に供される。 【0003】転写材表面に転写された転写画像を定着す
る定着技術としては、加熱ロール及び加圧ロールからな
る一対のロール間に、トナー画像が転写された転写材
(以下、適宜、紙又は用紙と称する場合がある。)を挿
入し、定着する熱ロール方式の定着法が一般的である。
かかる定着法は、他の定着法に比べ、高速で堅牢な定着
像が得られ、エネルギー効率が高く、また溶剤等の揮発
による環境への害が少ない。 【0004】熱ロール方式の定着装置は、一般に、円筒
状芯金の内部に加熱用のヒータランプを備え、その外周
面に耐熱性樹脂被膜層あるいは耐熱性ゴム被膜層による
いわゆる離型層を形成した加熱ロール(定着ロールとも
呼ばれる)と、該加熱ロールに対し圧接して配置され、
円筒状芯金の外周面に耐熱弾性体層を形成した加圧ロー
ルと、から構成される。未定着トナー画像の定着プロセ
スは、加熱ロール及び加圧ロールの間に未定着トナー画
像が形成された転写材を挿通させてトナーの熱溶融によ
る定着を行う。 【0005】熱ロール方式の定着装置において、加熱ロ
ールの表面温度を室温から所定の設定温度まで上昇させ
るのに必要な時間(以下ウォームアップタイムという)
は、1分〜10分という長い時間を必要とする。ウォー
ムアップタイムは、加熱ロールの熱容量と投入電力の関
係で決定されるので、加熱ロールの熱容量が小さくて、
投入電力が大きければ、ウォームアップタイムは短縮す
ることができるが、加熱ロールの熱容量はロール剛性よ
り限界があり、また、投入電力は複写機の機械の消費電
力からの制約により限界がある。 【0006】一般的には、定着専用に投入可能な電力は
300W〜1200W程度であり、この範囲の電力でウ
ォームアップタイムを短縮するには、加熱ロールのロー
ル熱容量を小さくすることが有効である。 【0007】しかし、ロール熱容量を小さくするため、
ロール径やロールコア(基体)の肉厚を減少していく
と、同時にロール剛性も小さくなってしまい、定着に必
要な荷重を加えることができない。因みに、ロール熱容
量は、ロール径の2乗に比例するのに対し、ロール剛性
はロール径の4乗に比例する。このため、所定のロール
径以下になると、急激にロール剛性が小さくなり、ロー
ルが撓んでしまい、定着に必要な荷重を加えることがで
きなくなってしまうという問題点がある。 【0008】このような問題の発生を防止しようという
ことで、特公昭59−44631号公報に開示されてい
る定着装置が提案されている。この定着装置は、加熱ロ
ールの肉厚が0.1〜2mmであって、加圧ロールはゴ
ム硬度30°以下のスポンジ状弾性体で形成されてい
る。この定着装置は、加熱ロールの肉厚を薄くして熱容
量を下げることによって、ウォームアップタイムを短く
しようとするものである。この際、加熱ロールの変形を
防ぐため加重を減らし、必要なニップ幅をうるために加
圧ロールを低硬度のスポンジ状弾性体で形成している。
加熱ロールを肉薄にして、低硬度のスポンジ状弾性体で
ニップを形成することにより、ウォームアップタイムが
短く、かつ、良好な定着が可能になる。従って、低消費
電力で高画質の画像形成が可能となった。更に、スポン
ジ硬度を31〜41°にし、耐久性を上げた技術は、特
開平9−212025号公報に示されている。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】しかし、肉薄加熱ロー
ルを用いると、その小さい熱容量のために、定着ロール
内に温度むらが発生しやすく、特に、高速機において薄
肉定着ロールを用いた場合には、小サイズ用紙(例え
ば、B5やA4縦)の連続通紙時における定着ロール端
部温度上昇という問題が発生する。これは、熱ロール方
式の定着装置において、用紙(転写材)が通過する部分
は用紙によりロール表面の熱が奪われるが、用紙の無い
部分(非通紙領域)は熱損失がないため、小サイズの用
紙を連続して通紙した場合には、非通紙領域のロール温
度が許容範囲を越えて上昇するという現象である。この
定着ロール非通紙領域(通紙基準が中央基準であれば定
着ロールの両端部)での温度過昇が発生すると、小サイ
ズ連続通紙直後に大サイズ紙を通紙した場合に両端部で
トナーオフセットが発生したり、溶融むらができたり、
用紙にシワ(定着シワ)が発生したりするという不具合
が起きる。 【0010】上記のようなオフセットや溶融むらを防ぐ
ため、ロール面内での温度の不均一性を改善する必要が
あり、その方法として2つのヒータを加熱ロール内に用
いるものが提案され、採用されている。これは中央部と
両端部を独立に加熱制御するもので、小サイズ紙では中
央部が、大サイズでは中央、両端部が通電加熱されるも
のである。しかしながら、ヒータや温度センサのコスト
や電源制御部のコストが2倍になってしまうため、とい
う問題点があった。また、たとえ2本のヒータを使用し
たとしてもロール面内の温度が均一になることはほとん
どなく、溶融むらや、グロスむらを伴った画像が得られ
てしまう。 【0011】特開平10−293484号公報には、加
圧ロールに放熱ロールをつけて非通紙領域の温度上昇を
抑制することを提案しているが、部材の追加はコスト高
になるため好ましくない。 【0012】そこで、本発明は、低消費電力で、かつ、
前述したような従来の画像形成方法の問題点を解決し、
小サイズの用紙を連続して使用した直後に、大サイズの
用紙を使用しても大サイズの用紙に溶融むらが発生した
り、トナーオフセットが発生することがなく、かつ、短
いウォームアップタイムで良好な状態のコピーや印刷物
を高速で得ることができる画像形成方法を提供すること
を目的とする。 【0013】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の手段としては、本発明者らは、特定の定着装置、及
び、特定のトナーを選択的に組み合わせることにより、
上記目的を達成することを見出し、本発明に至った。上
記目的は、以下の本発明により達成される。すなわち本
発明は、 【0014】<1> 潜像担持体上に形成された静電潜
像を、少なくともトナーを含む現像剤により現像してト
ナー画像を形成する現像工程と、潜像担持体上に形成さ
れたトナー画像を転写材上に転写して転写画像を形成す
る転写工程と、転写材上に転写された転写画像を定着す
る定着工程と、を有する画像形成方法であって、前記ト
ナーが、少なくとも、着色剤と、主成分が結晶性樹脂で
ある結着樹脂と、を含有し、前記定着工程が、加熱ロー
ルと、該加熱ロールに圧接する加圧ロールと、を備える
定着装置により行われ、かつ、前記加熱ロールの肉厚が
2mm以下であることを特徴とする画像形成方法。 【0015】<2> 前記トナーが、角周波数1rad
/s、90℃における貯蔵弾性率G’(90)及び損失
弾性率G’’(90)と、角周波数1rad/s、12
0℃における貯蔵弾性率G’(120)及び損失弾性率
G’’(120)と、のすべてが1×105Pa以下で
あり、貯蔵弾性率G’(90)と、貯蔵弾性率G’(1
20)と、の関係が下記(式1)を満たすことを特徴と
する<1>に記載の画像形成方法。 logG’(90)−logG’(120)<2 ・・・(式1) 【0016】<3> 前記トナーの120℃における溶
融粘度が100Pa・S以上であることを特徴とする<
1>又は<2>に記載の画像形成方法。 【0017】<4> 前記結着樹脂の主成分である結晶
性樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂であることを特徴と
する<1>〜<3>のいずれかに記載の画像形成方法。 【0018】<5> 前記結晶性ポリエステル樹脂の下
記(式2)で定義されるエステル濃度Mが、0.01以
上0.2以下であることを特徴とする<4>に記載の画
像形成方法。 M=K/A ・・・(式2) (上記式中、Mはエステル濃度を、Kはポリマー中のエ
ステル基数を、Aはポリマーの高分子鎖を構成する原子
数を、それぞれ表す。) 【0019】<6> 前記現像剤が少なくともトナー及
びキャリアからなり、該キャリアが窒素含有樹脂により
被覆されてなることを特徴とする<1>〜<5>のいず
れかに記載の画像形成方法。 【0020】<7> 前記加熱ロールの表面硬度Aと、
前記加圧ロールの表面硬度Bと、の関係が、A>Bを満
たすことを特徴とする<1>に記載の画像形成方法。 【0021】 【発明の実施の形態】本発明の画像形成方法は、潜像担
持体上に形成された静電潜像を、少なくともトナーを含
む現像剤により現像してトナー画像を形成する現像工程
と、潜像担持体上に形成されたトナー画像を転写材上に
転写して転写画像を形成する転写工程と、転写材上に転
写された転写画像を定着する定着工程と、を有する画像
形成方法であって、前記トナーが、少なくとも、着色剤
と、主成分が結晶性樹脂である結着樹脂と、を含有し、
前記定着工程が、加熱ロールと、該加熱ロールに圧接す
る加圧ロールと、を備える定着装置により行われ、か
つ、前記加熱ロールの肉厚が2mm以下であることを特
徴とする。以下、本発明の画像形成方法を工程毎に分け
て詳細に説明する。 【0022】<現像工程>本発明において現像工程と
は、潜像担持体上に形成された静電潜像を、少なくとも
トナーを含む現像剤により現像してトナー画像を形成す
る工程であり、電子写真法においては、潜像担持体に対
向して配置された現像剤担持体の表面に現像剤層を形成
せしめ、該現像剤層により潜像担持体上に形成された静
電潜像を現像する。 【0023】前記現像剤は、以下に説明するトナーをそ
のまま使用した一成分現像剤と、トナーとキャリアとか
らなる二成分現像剤とに大別される。前記現像剤が、ト
ナーとキャリアとからなる二成分現像剤である場合、前
記現像剤層は、現像剤担持体表面に磁性キャリアがブラ
シ状に形成され、これにトナーが付着したいわゆる磁気
ブラシにより形成される。以下、本発明の画像形成方法
に用いられるトナー及びキャリアについて説明する。 【0024】[トナー]本発明の画像形成方法に用いら
れるトナーは、少なくとも、着色剤と、主成分が結晶性
樹脂である結着樹脂と、を含有するが、本発明の効果を
損なわない限りにおいて、各種の添加物を目的に応じで
添加することができる。以下、本発明の画像形成方法に
用いられるトナーを構成する各種成分について、順次説
明する。 【0025】1.結着樹脂 本発明の画像形成方法に用いられるトナーにおける結着
樹脂は、結晶性樹脂を主成分として含有するものであ
る。ここで、「主成分」とは、前記結着樹脂を構成する
成分のうち、主たる成分のことを指し、具体的には、前
記結着樹脂の50質量%以上を構成する成分を指す。た
だし、本発明において、前記結着樹脂のうち、結晶性樹
脂が70質量%以上であることが好ましく、90質量%
以上であることがより好ましく、全てが結晶性樹脂であ
ることが特に好ましい。 【0026】前記結着樹脂の主成分を構成する樹脂が結
晶性でない場合、即ち非晶性である場合には、良好な低
温定着性を確保しつつ、耐トナーブロッキング性、画像
保存性を保つことができない。なお、本発明において、
「結晶性樹脂」とは、示差走査熱量測定(DSC)にお
いて、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピーク
を有するものを指す。 【0027】本発明に用いられる結着樹脂の主成分であ
る結晶性樹脂の融点は、50〜120℃の範囲であるこ
とが好ましく、60〜110℃の範囲であることがより
好ましい。前記融点が50℃より低い場合、トナーの保
存性や、定着後のトナー画像の保存性が問題となる場合
がある。また、前記融点が120℃より高い場合、従来
のトナーに比べて十分な低温定着性が得られない場合が
ある。 【0028】なお、本発明において、前記結晶性樹脂の
融点の測定には、示差走査熱量計(DSC)を用い、室
温から150℃まで毎分10℃の昇温速度で測定を行っ
た時の、JIS K−7121に示す入力補償示差走査
熱量測定の融解ピーク温度として求めることができる。
また、一般に、結晶性樹脂は複数の融解ピークを示す場
合があるが、本発明においては、最大のピークをもって
融点とみなす。 【0029】本発明に用いられる結着樹脂の主成分を構
成する結晶性樹脂としては、結晶性を有する樹脂であれ
ば特に制限はなく、具体的には、結晶性ビニル系樹脂
や、結晶性ポリエステル樹脂が挙げられる。 【0030】前記結晶性ビニル系樹脂としては、例え
ば、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘ
キシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリ
ル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)ア
クリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メ
タ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ミリス
チル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸
ステアリル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)ア
クリル酸ベヘニル等の長鎖アルキル、アルケニルの(メ
タ)アクリル酸エステルを用いたビニル系樹脂が挙げら
れる。なお、本明細書において、“(メタ)アクリル”
なる記述は、“アクリル”及び”メタクリル”のいずれ
をも含むことを意味するものである。 【0031】なお、結晶性樹脂としては、定着時の用紙
への接着性や帯電性、及び、好ましい範囲での融点調整
の観点から結晶性ポリエステル樹脂を使用することが好
ましい。また、適度な融点をもつ脂肪族系の結晶性ポリ
エステル樹脂がより好ましい。以下、結晶性樹脂として
好適な結晶性ポリエステル樹脂について詳細に説明す
る。 【0032】(結晶性ポリエステル樹脂)前記結晶性ポ
リエステル樹脂は、酸(ジカルボン酸)成分(以下、
「酸由来構成成分」と称する場合がある)と、アルコー
ル(ジオール)成分(以下、「アルコール由来構成成
分」と称する場合がある)とから合成されるものであ
る。以下、酸由来構成成分、及びアルコール由来構成成
分について、更に詳しく説明する。なお、本発明では、
前記結晶性ポリエステル樹脂主鎖に対して、他成分を5
0質量%以下の割合で共重合した共重合体も結晶性ポリ
エステル樹脂とする。 【0033】−酸由来構成成分− 前記酸由来構成成分は、脂肪族ジカルボン酸が望まし
く、特に直鎖型のカルボン酸が望ましい。例えば、蓚
酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピ
メリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,
9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン
酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ド
デカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン
酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−
ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジ
カルボン酸など、或いはその低級アルキルエステルや酸
無水物が挙げられるが、これらに限定されない。 【0034】前記酸由来構成成分としては、前述の脂肪
族ジカルボン酸由来構成成分のほか、二重結合を持つジ
カルボン酸由来構成成分、スルホン酸基を持つジカルボ
ン酸由来構成成分等の構成成分が含まれていることが好
ましい。なお、前記二重結合を持つジカルボン酸由来構
成成分には、二重結合を持つジカルボン酸に由来する構
成成分のほか、二重結合を持つジカルボン酸の低級アル
キルエステル又は酸無水物等に由来する構成成分も含ま
れる。また、前記スルホン酸基を持つジカルボン酸由来
構成成分には、スルホン酸基を持つジカルボン酸に由来
する構成成分のほか、スルホン酸基を持つジカルボン酸
の低級アルキルエステル又は酸無水物等に由来する構成
成分も含まれる。 【0035】前記二重結合を持つジカルボン酸は、その
二重結合を利用して樹脂全体を架橋させ得る点で、定着
時のホットオフセットを防ぐために好適に用いることが
できる。このようなジカルボン酸としては、例えば、フ
マル酸、マレイン酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−
オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定
されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無
水物等も挙げられる。これらの中でも、コストの点で、
フマル酸、マレイン酸等が好ましい。 【0036】前記スルホン酸基を持つジカルボン酸は、
顔料等の色材の分散を良好にできる点で有効である。ま
た、樹脂全体を水に乳化或いは懸濁して、微粒子を作製
する際にスルホン酸基があれば、後述するように、界面
活性剤を使用しないで乳化或いは懸濁が可能である。こ
のようなスルホン酸基を持つジカルボン酸としては、例
えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スル
ホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウ
ム塩等が挙げられるがこれらに限定されない。また、こ
れらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられ
る。これらの中でもコストの点で、5−スルホイソフタ
ル酸ナトリウム塩等が好ましい。 【0037】これらの脂肪族ジカルボン酸由来構成成分
以外の酸由来構成成分(二重結合を持つジカルボン酸由
来構成成分及び/又はスルホン酸基を持つジカルボン酸
由来構成成分)の、酸由来構成成分における含有量とし
ては、1〜20構成モル%が好ましく、2〜10構成モ
ル%がより好ましい。前記含有量が、1構成モル%未満
の場合には、顔料分散が良くなかったり、乳化粒子径が
大きくなり、凝集によるトナー径の調整が困難となるこ
とがある。一方、20構成モル%を超えると、ポリエス
テル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下して、画像の保
存性が悪くなったり、乳化粒子径が小さ過ぎて水に溶解
し、ラテックスが生じないことがある。なお、本発明に
おいて「構成モル%」とは、ポリエステル樹脂における
各構成成分(酸由来構成成分、アルコール由来構成成
分)を1単位(モル)したときの百分率を指す。 【0038】−アルコール由来構成成分− アルコール構成成分としては脂肪族ジオールが望まし
く、例えば、エチレングリコール、1、3−プロパンジ
オール、1、4−ブタンジオール、1、5ペンタンジオ
ール、1、6−ヘキサンジオール、1、7−ヘプタンジ
オール、1、8−オクタンジオール、1、9―ノナンジ
オール、1、10−デカンジオール、1、11−ウンデ
カンジオール、1、12−ドデカンジオール、1、13
−トリデカンジオール、1、14−テトラデカンジオー
ル、1、18−オクタデカンジオール、1、20−エイ
コサンジオール等が挙げられるが、この限りではない。 【0039】前記アルコール由来構成成分は、脂肪族ジ
オール由来構成成分の含有量が80構成モル%以上であ
ることが好ましく、必要に応じてその他の成分を含む。
前記アルコール由来構成成分としては、前記脂肪族ジオ
ール由来構成成分の含有量が90構成モル%以上である
ことがより好ましい。前記含有量が、80構成モル%未
満では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降
下するため、耐トナーブロッキング性、画像保存性及
び、低温定着性が悪化してしまう場合がある。一方、必
要に応じて含まれるその他の成分としては、二重結合を
持つジオール由来構成成分、スルホン酸基を持つジオー
ル由来構成成分等の構成成分が挙げられる。 【0040】前記二重結合を持つジオールとしては、2
−ブテン−1,4−ジオール、3−ブテン−1,6−ジ
オール、4−ブテン−1,8−ジオール等が挙げられ
る。一方、前記スルホン酸基を持つジオールとしては、
1,4−ジヒドロキシ−2−スルホン酸ベンゼンナトリ
ウム塩、1,3−ジヒドロキシメチル−5−スルホン酸
ベンゼンナトリウム塩、2−スルホ−1,4−ブタンジ
オールナトリウム塩等が挙げられる。 【0041】これらの直鎖型脂肪族ジオール由来構成成
分以外のアルコール由来構成成分を加える場合(二重結
合を持つジオール由来構成成分、及び/又は、スルホン
酸基を持つジオール由来構成成分)の、アルコール由来
構成成分における含有量としては、1〜20構成モル%
が好ましく、2〜10構成モル%がより好ましい。前記
含有量が、1構成モル%未満の場合には、顔料分散が不
良となったり、乳化粒子径が大きくなり、凝集によるト
ナー径の調整が困難となることがある。一方、20構成
モル%を超えると、ポリエステル樹脂の結晶性が低下
し、融点が降下して、画像の保存性が悪くなったり、乳
化粒子径が小さ過ぎて水に溶解し、ラテックスが生じな
いことがある。 【0042】前記結晶性ポリエステル樹脂の質量平均分
子量(MW)としては、1500以上であることが好ま
しい。 【0043】また、前記結晶性ポリエステル樹脂は、下
記(式1)で定義されるエステル濃度Mが、0.01以
上0.2以下であることが好ましい。 M=K/A ・・・(式1) (前記式中、Mはエステル濃度を、Kはポリマー中のエ
ステル基数を、Aはポリマーの高分子鎖を構成する原子
数を、それぞれ表す。) 【0044】ここで「エステル濃度M」とは、結晶性ポ
リエステル樹脂のポリマーにおけるエステル基の含有割
合を示す一つの指標である。前記式中のKで表される
「ポリマー中のエステル基数」は、言い換えればポリマ
ー全体に含まれるエステル結合の数を指す。 【0045】前記式中のAで表される「ポリマーの高分
子鎖を構成する原子数」は、ポリマーの高分子鎖を構成
する原子の合計であり、エステル結合に関与する原子数
は全て含むが、その他の構成部位における枝分かれした
部分の原子数は含まない。すなわち、エステル結合に関
与するカルボキシル基やアルコール基に由来する炭素原
子及び酸素原子(1つのエステル結合中酸素原子は2
個)や、高分子鎖を構成する、例えば芳香環における6
つの炭素は、前記原子数の計算に含まれるが、高分子鎖
を構成する、例えば芳香環やアルキル基における水素原
子、その置換体の原子ないし原子群は、前記原子数の計
算に含まれない。 【0046】具体例を挙げて説明すれば、高分子鎖を構
成するアリーレン基における、炭素原子6つと水素原子
4つの計10個の原子のうち、前記「ポリマーの高分子
鎖を構成する原子数A」に含まれるものは、炭素原子の
6つのみであり、また、前記水素が如何なる置換基に置
換されたとしても、当該置換基を構成する原子は、前記
「ポリマーの高分子鎖を構成する原子数A」に含まれな
い。 【0047】結晶性ポリエステル樹脂が、1の繰り返し
単位(例えば、高分子がH−[OCOR1COOR2
−]n−Hで表される場合、1の繰り返し単位は、
[ ]内で表される。)のみからなる単重合体の場合に
は、1の繰り返し単位内には、エステル結合は2個存在
する(すなわち、当該繰り返し単位内におけるエステル
基数K’=2)ので、エステル濃度Mは、下記式(1−
1)により、求めることができる。 M=2/A’ ・・・(式1−1) (前記式中、Mはエステル濃度を、A’は1の繰り返し
単位における高分子鎖を構成する原子数を、それぞれ表
す。) 【0048】また、結晶性ポリエステル樹脂が、複数の
共重合単位からなる共重合体の場合には、共重合単位ご
とに、エステル基数KX及び高分子鎖を構成する原子数
Xを求め、これらに共重合割合を乗じた上で、それぞ
れ合計し、前記(式1)に代入することで、求めること
ができる。例えば、共重合単位がXa、Xb及びXcの
3つであり、これらの共重合割合がa:b:c(ただ
し、a+b+c=1)である化合物[(Xa)a(X
b)b(Xc)c]についてのエステル濃度Mは、下記式
(1−2)により、求めることができる。 M={KXa×a+KXb×b+KXc×c} /{AXa×a+AXb×b+AXc×c}・・・(式1−2) (前記式中、Mはエステル濃度を表し、KXaは共重合単
位Xa、KXbは共重合単位Xb、KXcは共重合単位Xc
におけるそれぞれのエステル基数を表し、AXaは共重合
単位Xa、AXbは共重合単位Xb、AXcは共重合単位X
cにおけるそれぞれの高分子鎖を構成する原子数を表
す。) 【0049】本発明に用いられるトナーとしては、結着
樹脂として用いる結晶性ポリエステル樹脂における、前
記(式1)で定義されるエステル濃度Mを0.01以上
0.2以下とすることが、紙への付着性を高める上で好
ましい。 【0050】(結晶性ポリエステル樹脂の製造方法)前
記ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はな
く、酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポ
リエステル重合法で製造することができ、例えば、直接
重縮合、エステル交換法等が挙げられ、モノマーの種類
によって使い分けて製造する。前記酸成分とアルコール
成分とを反応させる際のモル比(酸成分/アルコール成
分)としては、反応条件等によっても異なるため、一概
には言えないが、通常1/1程度である。 【0051】前記ポリエステル樹脂の製造は、重合温度
180〜230℃の間で行うことができ、必要に応じて
反応系内を減圧にし、縮合時に発生する水やアルコール
を除去しながら反応させる。モノマーが、反応温度下で
溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤
として加え溶解させてもよい。重縮合反応においては、
溶解補助溶剤を留去しながら行う。共重合反応において
相溶性の悪いモノマーが存在する場合は、あらかじめ相
溶性の悪いモノマーと、そのモノマーと重縮合予定の酸
又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に
重縮合させるとよい。 【0052】前記ポリエステル樹脂の製造時に使用可能
な触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金
属化合物;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類
金属化合物;亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、ス
ズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リ
ン酸化合物、リン酸化合物、及びアミン化合物等が挙げ
られ、具体的には、以下の化合物が挙げられる。 【0053】例えば、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウ
ム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、酢酸カルシウム、ス
テアリン酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、
ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸マ
ンガン、ナフテン酸マンガン、チタンテトラエトキシ
ド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロ
ポキシド、チタンテトラブトキシド、三酸化アンチモ
ン、トリフェニルアンチモン、トリブチルアンチモン、
ギ酸スズ、シュウ酸スズ、テトラフェニルスズ、ジブチ
ルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニ
ルスズオキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ナフ
テン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニール、酢酸ジルコニ
ール、ステアリン酸ジルコニール、オクチル酸ジルコニ
ール、酸化ゲルマニウム、トリフェニルホスファイト、
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイ
ト、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、トリ
エチルアミン、トリフェニルアミン等の化合物が挙げら
れる。 【0054】2.着色剤 本発明に用いられる着色剤は、染料及び顔料の何れでも
かまわないが、耐光性や耐水性の観点から顔料が好まし
い。好ましい顔料としては、カーボンブラック、アニリ
ンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロ
ムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレ
ッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロライド、
フタロシアンブルー、マラカイトグリーンオキサート、
ランプブラック、ローズベンガル、キナクリドン、ベン
ジシンイエロー、C.I.ピグメント・レッド48:
1、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピ
グメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド
185、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.
ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエ
ロー180、C.I.ピグメント・イエロー97、C.
I.ピグメント・イエロー74、C.I.ピグメント・
ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3
等の公知の顔料が使用できる。 【0055】また、着色剤として磁性粉を使用すること
もできる。磁性粉としては、コバルト、鉄、ニッケルな
どの強磁性金属;コバルト、鉄、ニッケル、アルミニウ
ム、鉛、マグネシウム、亜鉛、マンガンなどの金属の合
金;酸化物などの公知の磁性体が使用できる。 【0056】これらは単独で使用可能な他、2種類以上
組み合わせて使用してもよい。これら着色剤の含有量と
しては、前記結着樹脂100質量部に対して、0.1〜
40質量部が好ましく、1〜30質量部がさらに好まし
い。なお、前記着色剤の種類を適宜選択することによ
り、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、
ブラックトナー等の各色トナーが得られる。 【0057】3.その他の成分 本発明に用いられるトナーには、前記必須成分のほか、
その他の成分として、目的に応じて公知の添加剤などを
適宜選択して用いることができる。例えば、無機微粒
子、有機微粒子、帯電制御剤、離型剤等の公知の各種添
加剤等が挙げられる。 【0058】前記無機微粒子は、一般にトナーの流動性
を向上させる目的で使用される。前記無機微粒子として
は、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒
子、酸化セリウム微粒子、あるいはこれらの表面を疎水
化処理した物等公知の無機微粒子を単独又は二種以上組
み合わせて使用することができるが、発色性やOHP透
過性等透明性を損なわないという観点から、屈折率が結
着樹脂よりも小さいシリカ微粒子が好ましい。またシリ
カ微粒子は種々の表面処理を施されてもよく、例えば、
シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、シ
リコーンオイル等で表面処理されたものが好ましい。 【0059】これら無機微粒子を内添することによりト
ナーの粘弾性を調整することもでき、その場合、画像光
沢度や用紙への染み込みを調整することができる。無機
微粒子は原料に対して0.5〜15質量%含有されるこ
とが好ましく、1〜10質量%が更に好ましい。 【0060】前記有機微粒子は、一般にクリーニング性
や転写性を向上させる目的で使用される。前記有機微粒
子としては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタク
リレート、ポリフッ化ビニリデン等の微粒子が挙げられ
る。 【0061】前記帯電制御剤は、一般に帯電性を向上さ
せる目的で使用される。前記帯電制御剤としては、クロ
ム系アゾ染料、鉄系アゾ染料などの含金属アゾ化合物、
アルミニウムアゾ染料、サリチル酸金属錯体やサリチル
酸金属塩、ニグロシンや4級アンモニウム塩など使用で
きる。 【0062】前記離型剤は、一般に離型性を向上させる
目的で使用される。前記離型剤としては、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレ
フィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オ
レイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミ
ド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウ
バワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、
木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動
物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレ
シン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワッ
クス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油
系ワックス、その他脂肪族エステル、モンタン酸エステ
ル、カルボン酸エステル系ワックスなどが挙げられる。
本発明において、これらの離型剤は1種単独で用いても
よく、2種以上を併用して用いてもよい。 【0063】これらの離型剤の添加量としては、トナー
全量に対して、0.5〜50質量%であることが好まし
く、より好ましくは1〜30質量%、更に好ましくは5
〜15質量%である。0.5質量%未満であると離型剤
添加の効果がなく、50質量%以上であると、帯電性に
影響が現れやすくなったり、現像機内部においてトナー
が破壊されやすくなり、離型剤のキャリアへのスペント
化が生じ、帯電が低下しやすくなる等の影響が現れるば
かりでなく、例えば、カラートナーを用いた場合、定着
時の画像表面への染み出しが不十分になり易く、画像中
に離型剤が在留しやすくなってしまうため、透明性が悪
化し好ましくない。 【0064】[トナーの好ましい物性]以上、本発明に
用いられるトナーについて詳細に説明したが、当該トナ
ーは、更に、以下に示す特性を有することが好ましい。 【0065】本発明に用いられるトナーは、角周波数1
rad/s、90℃における貯蔵弾性率G’(90)及
び損失弾性率G’’(90)と、角周波数1rad/
s、120℃における貯蔵弾性率G’(120)及び損
失弾性率G’’(120)と、のすべてが1×105
a以下であり、貯蔵弾性率G’(90)と、貯蔵弾性率
G’(120)と、の関係が下記(式1)を満たすこと
が好ましい。 logG’(90)−logG’(120)<2 ・・・(式1) 【0066】貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G’’は、
回転平板型レオメーター(RDA2RHIOSシステム
Ver.4.3.2,レオメトリックス・サイエンテ
イフィック・エフ・イー(株)製)を用いて測定したも
のである。測定は、例えば、試料をサンプルホルダーに
セッティングし、昇温速度1℃/min、周波数1ra
d/s、歪み20%以下、測定保証値の範囲内の検出ト
ルクで行われる。必要に応じて、サンプルホルダーを8
mmと20mmに使い分けて測定を行う。 【0067】貯蔵弾性率G’(90)が1x105Pa
以下であれば、100℃付近という低温での定着が可能
である。また、logG’(90)−logG’(12
0)<2であることは、溶融後の温度変化に対する粘度
変化が小さい事を示し、定着装置に温度むらがあったと
しても、定着後の画像に溶融むらやグロスむらの発生し
にくいことを意味する。これにより、トナーの用紙に対
する過度の染み込みやオフセットの発生を防止すること
にもつながる。 【0068】また、本発明に用いられるトナーは、常温
下で十分な硬さを有することが望まれる。具体的には、
その動的粘弾性が、角周波数1rad/sec、30℃
において、貯蔵弾性率GL(30)が1×106Pa以上
であり、損失弾性率GN(30)が1×106Pa以上で
あることが望ましい。なお、貯蔵弾性率GL及び損失弾
性率GNは、JIS K−6900にその詳細が規定さ
れている。 【0069】角周波数1rad/sec、30℃におい
て、貯蔵弾性率GL(30)が1×106Pa未満であっ
たり、損失弾性率GN(30)が1×106Pa未満であ
ると、現像機内でキャリアと混合された時に、キャリア
から受ける圧力や剪断力によりトナーの粒子が変形し、
安定な帯電現像特性を維持することができないことがあ
る。また、潜像担持体(感光体)上のトナーがクリーニ
ングされる際に、クリーニングブレードから受ける剪断
力によって変形し、クリーニング不良を生ずることがあ
る。前記角周波数1rad/sec、30℃において貯
蔵弾性率GL(30)及び損失弾性率GN(30)が前記
範囲にある場合には、高速の電子写真装置に用いた場合
でも定着時の特性が安定し好ましい。 【0070】更に、本発明に用いられるトナーは、温度
変化による前記貯蔵弾性率GL及び前記損失弾性率GN
値の変動が、10℃の温度範囲で3桁以上となる温度の
区間(10℃温度を上昇させた際に、GL及びGNの値が
1000分の1もしくはそれより小さい値まで変化する
ような温度の区間)を有することが好ましい。 前記貯
蔵弾性率GL及び前記損失弾性率GNが、前記温度の区間
を有しないと、定着温度が高くなり、その結果、定着工
程のエネルギー消費を低減するのに不十分となる場合が
ある。 【0071】図1は、本発明に用いられるトナーの好ま
しい特性を示すグラフである。図1において、縦軸は貯
蔵弾性率の常用対数logGL、あるいは、損失弾性率
の常用対数logGNを表し、横軸は温度を表す。この
ような特性を有する本発明に用いられるトナーは、50
〜120℃の温度領域における融点において、急激な弾
性率の低下が見られ、また、所定の範囲で、その弾性率
が安定することから、定着時に高温になっても、必要以
上に粘度が低下せず、用紙等の転写材に対する過度の染
み込みを防止することができる。また、定着装置による
定着温度むらがあったとしても、溶融むらや画像光沢の
不均一性がほとんど発生せず、良好な画像を形成するこ
とができる。 【0072】本発明に用いられるトナーは、温度領域5
0〜120℃の範囲内に融点を有することが好ましい。
前記結晶性樹脂は、融点を境にして急激に粘度低下する
ために、融点以上の温度で保存されると凝集してブロッ
キングを起こしてしまう。そこで、前記結晶性樹脂を結
着樹脂の主成分として含有するトナーの融点は、保存時
や使用時に晒される温度より高い温度、即ち50℃以上
であることが好ましい。一方、融点が120℃よりも高
いと、低温定着を達成することが困難となる場合があ
る。また、本発明に用いられるトナーは、温度領域70
〜100℃に融点を有することがより好ましい。 【0073】前記トナーの融点は、JIS K−712
1に示す入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度と
して求めることができる。なお、前記トナーは、複数の
融解ピークを示す場合がある結晶性樹脂を主成分として
含有したり、ワックスを含有したりする場合もあるため
複数の融解ピークを示す場合があるが、本発明において
は、最大のピークをもって融点とみなす。 【0074】また、本発明に用いられるトナーは、耐オ
フセット性を良好にするため、120℃における溶融粘
度が100Pa・S以上であることが好ましい。 【0075】更に、本発明に用いられるトナーの体積平
均粒子径としては、1〜12μmが好ましく、3〜8μ
mがより好ましい。また、数平均粒子径としては、1〜
10μmが好ましく、2〜8μmがより好ましい。更
に、粒度分布の指標でもある(体積平均粒子径)÷(数
平均粒子径)の値は、1.6以下が好ましく、1.5以
下が更に好ましい。この値が1.6より大きいと粒度分
布の広がりが大きくなるため、帯電の分布も広くなって
しまい、逆極性トナーやローチャージトナーが発生する
場合がある。前記体積平均粒子径及び数平均粒子径は、
例えば、コールターカウンター[TA−II]型(コー
ルター社製)を用いて、50μmのアパーチャー径で測
定することができる。この時、測定はトナーを電解質水
溶液(アイソトン水溶液)に分散させ、超音波により3
0秒以上分散させた後に行う。 【0076】本発明に用いられるトナーは、前述の構成
を有するため、耐トナーブロッキング性、画像の保存性
及び低温定着性に優れる。また、結晶性ポリエステル樹
脂が、不飽和結合による架橋構造を有している場合に
は、定着画像は、溶融むらやグロスむらの発生のほとん
どない良好な画像となる。更に、トナーの形状を球形に
することにより、転写効率の向上を図ることができる。 【0077】[トナーの製造方法]本発明に用いられる
トナーの製造方法としては、特に制限はないが、湿式造
粒法が好ましい。前記湿式造粒法としては、公知の溶融
懸濁法、乳化凝集法、溶解懸濁法等の方法が好適に挙げ
られる。以下、結着樹脂の主成分として結晶性ポリエス
テル樹脂を用いた場合の乳化凝集法を例に説明する。 【0078】前記乳化凝集法は、上述した「結着樹脂」
の項において既に説明した結晶性ポリエステル樹脂を乳
化し乳化粒子(液滴)を形成する乳化工程と、該乳化粒
子(液滴)の凝集体を形成する凝集工程と、該凝集体を
融合させ熱融合させる融合工程と、を有する。 【0079】(乳化工程)前記乳化工程において、結晶
性ポリエステル樹脂の乳化粒子(液滴)は、水系媒体
と、スルホン化等した結晶性ポリエステル樹脂及び必要
に応じて着色剤を含む混合液(ポリマー液)と、を混合
した溶液に、剪断力を与えることにより形成される。 【0080】その際、加熱するか、或いは、有機溶剤に
結晶性ポリエステル樹脂を溶解させることにより、ポリ
マー液の粘性を下げて乳化粒子を形成することができ
る。また、乳化粒子の安定化や水系媒体の増粘のため、
分散剤を使用することもできる。以下、かかる乳化粒子
の分散液のことを、「樹脂粒子分散液」という場合があ
る。 【0081】前記分散剤としては、例えば、ポリビニル
アルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒ
ドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロー
ス、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナト
リウムの等の水溶性高分子、ドデシルベンゼンスルホン
酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン
酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カ
リウム等のアニオン性界面活性剤、ラウリルアミンアセ
テート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメ
チルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性
剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン
性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオ
キシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤
等の界面活性剤、リン酸三カルシウム、水酸化アルミニ
ウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム
等の無機化合物等が挙げられる。 【0082】前記分散剤として無機化合物を用いる場
合、市販のものをそのまま用いてもよいが、微粒子を得
る目的で、分散剤中にて無機化合物の微粒子を生成する
方法を採用してもよい。前記分散剤の使用量としては、
前記結晶性ポリエステル樹脂(結着樹脂)100質量部
に対して、0.01〜20質量部が好ましい。 【0083】なお、前記乳化工程において、前記結晶性
ポリエステル樹脂に、スルホン酸基を有するジカルボン
酸を共重合させておく(即ち、酸由来構成成分中に、ス
ルホン酸基を持つジカルボン酸由来構成成分が好適量含
まれる)と、界面活性剤等の分散安定剤を減らすことが
できる、或いは使用しなくても乳化粒子を形成できる。 【0084】前記有機溶剤としては、例えば、酢酸エチ
ル、トルエンが挙げられ、前記結晶性ポリエステル樹脂
に応じて適宜選択して用いる。 【0085】前記有機溶剤の使用量としては、前記結晶
性ポリエステル樹脂及び必要に応じて用いられる他のモ
ノマー(以下、併せて単に「ポリマー」という場合があ
る。)の総量100質量部に対して、50〜5000質
量部が好ましく、120〜1000質量部がより好まし
い。なお、この乳化粒子を形成する前に、着色剤を混入
させておくこともできる。用いられる着色剤としては、
前記本発明に用いられるトナーの「着色剤」の項で既に
述べた通りである。 【0086】前記乳化粒子を形成する際に用いる乳化機
としては、例えば、ホモジナイザー、ホモミキサー、加
圧ニーダー、エクストルーダー、メディア分散機等が挙
げられる。前記結晶性ポリエステル樹脂の乳化粒子(液
滴)の大きさとしては、その平均粒子径(体積平均粒子
径)で0.01〜1μmが好ましく、0.03〜0.3
μmがより好ましく、0.03〜0.4μmが更に好ま
しい。 【0087】前記着色剤の分散方法としては、任意の方
法、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを
有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般
的な分散方法を使用することができ、なんら制限される
ものではない。必要に応じて、界面活性剤を使用してこ
れら着色剤の水分散液を調製したり、分散剤を使用して
これら着色剤の有機溶剤分散液を調製したりすることも
できる。以下、かかる着色剤の分散液のことを、「着色
粒子分散液」という場合がある。分散に用いる界面活性
剤や分散剤としては、前記結晶性ポリエステル樹脂を分
散させる際に用い得る分散剤と同様のものを用いること
ができる。 【0088】前記着色剤の添加量としては、前記ポリマ
ーの総量に対して1〜20質量%とすることが好まし
く、1〜10質量%とすることがより好ましく、2〜1
0質量%とすることが更に好ましく、2〜7質量%とす
ることが特に好ましい。前記乳化工程で着色剤を混入さ
せておく場合、前記ポリマーと着色剤との混合は、ポリ
マーの有機溶剤溶解液に、着色剤あるいは着色剤の有機
溶剤分散液を混合することで行うことができる。 【0089】(凝集工程)前記凝集工程においては、得
られた乳化粒子を、前記結晶性ポリエステル樹脂の融点
付近の温度で、かつ融点以下の温度にて加熱して凝集し
凝集体を形成する。乳化粒子の凝集体の形成は、攪拌
下、乳化液のpHを酸性にすることによってなされる。
当該pHとしては、2〜6が好ましく、2.5〜5がよ
り好ましく、2.5〜4が更に好ましい。この際、凝集
剤を使用するのも有効である。 【0090】用いられる凝集剤は、前記分散剤に用いる
界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩の他、2
価以上の金属錯体を好適に用いることができる。特に、
金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減で
き、帯電特性が向上するため特に好ましい。 【0091】前記無機金属塩としては、例えば、塩化カ
ルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネ
シウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウ
ムなどの金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水
酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重
合体などが挙げられる。その中でも特に、アルミニウム
塩及びその重合体が好適である。よりシャープな粒度分
布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、
2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数で
あっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より適
している。 【0092】(融合工程)前記融合工程においては、凝
集工程と同様の攪拌下で、凝集体の懸濁液のpHを3〜
7の範囲にすることにより、凝集の進行を止め、前記結
晶性ポリエステル樹脂の融点以上の温度で加熱を行うこ
とにより凝集体を融合させ融合させる。前記加熱の温度
としては、前記結晶性ポリエステル樹脂の融点以上であ
れば問題無い。前記加熱の時間としては、融合が十分に
為される程度行えばよく、0.5〜10時間程度行えば
よい。 【0093】融合して得た融合粒子は、ろ過などの固液
分離工程や、必要に応じて洗浄工程、乾燥工程を経てト
ナーの粒子とすることができる。この場合、トナーとし
て十分な帯電特性、信頼性を確保するために、洗浄工程
において、十分に洗浄することが好ましい。乾燥工程で
は、通常の振動型流動乾燥法、スプレードライ法、凍結
乾燥法、フラッシュジェット法など、任意の方法を採用
することができる。トナーの粒子は、乾燥後の含水分率
を1.0%以下、好ましくは0.5%以下に調整するこ
とが望ましい。 【0094】前記融合工程においては、前記結晶性ポリ
エステル樹脂が融点以上に加熱されている時に、あるい
は融合が終了した後に、架橋反応を行わせてもよい。ま
た、凝集と同時に架橋反応を行うこともできる。架橋反
応を行わせる場合には、例えば、結着樹脂として2重結
合成分を共重合させた、不飽和スルホン化結晶性ポリエ
ステル樹脂を用い、この樹脂にラジカル反応を起こさ
せ、架橋構造を導入する。この際、以下に示す重合開始
剤を用いる。 【0095】重合開始剤としては、例えば、t−ブチル
パーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クミルパーピ
バレート、t−ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイ
ルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタ
ノイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイ
ド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオ
キサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、
2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジ
メチルバレロニトリル)、1,1−ビス(t−ブチルパ
ーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサ
ン、1,4−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニル)
シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキ
シ)オクタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパ
ーオキシ)バリレート、2,2−ビス(t−ブチルパー
オキシ)ブタン、 【0096】1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソ
プロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル
−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,
5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘ
キサン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、
2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシク
ロヘキシル)プロパン、ジ−t−ブチルパーオキシα−
メチルサクシネート、ジ−t−ブチルパーオキシジメチ
ルグルタレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒド
ロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼラー
ト、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオ
キシ)ヘキサン、ジエチレングリコール−ビス(t−ブ
チルパーオキシカーボネート)、ジ−t−ブチルパーオ
キシトリメチルアジペート、トリス(t−ブチルパーオ
キシ)トリアジン、ビニルトリス(t−ブチルパーオキ
シ)シラン、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオ
ンアミジンジハイドロクロライド)、2,2’−アゾビ
ス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピ
オンアミジン]、4,4’−アゾビス(4−シアノワレ
リックアシド)等が挙げられる。 【0097】これら重合開始剤は、単独で使用すること
も、又は2種以上を併用することもできる。重合開始剤
の量や種類は、ポリマー中の不飽和部位量、共存する着
色剤の種類や量によって選択される。重合開始剤は、乳
化工程前にあらかじめポリマーに混合しておいてもよい
し、凝集工程で凝集塊に取り込ませてもよい。更には、
融合工程、或いは融合工程の後に導入してもよい。凝集
工程、融合工程、あるいは融合工程の後に導入する場合
は、重合開始剤を溶解、又は乳化した液を、粒子分散液
(樹脂粒子分散液等)に加える。これらの重合開始剤に
は、重合度を制御する目的で、公知の架橋剤、連鎖移動
剤、重合禁止剤等を添加してもよい。 【0098】以上、説明した本発明に用いられるトナー
の製造方法によれば、トナーの粒子形状を制御すること
ができる。トナーの粒子形状としては球形が好ましい。
球形にすることで非静電的付着力の減少により転写効率
の向上を図ることが可能となり、また粉体流動性も向上
する。 【0099】本発明におけるトナーは、トナー粒子表面
に流動化剤や助剤等の外添剤を添加処理してもよい。外
添剤としては、表面を疎水化処理したシリカ微粒子、酸
化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒
子、カーボンブラック等の無機微粒子やポリカーボネー
ト、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂等のポ
リマー微粒子等、公知の微粒子が使用できる。また、こ
れらのうち少なくとも2種以上の外添剤を使用すること
が好ましく、該外添剤の少なくとも1種の平均一次粒子
径は、30nm〜200nmであることが好ましく、3
0nm〜150nmをであることがより好ましい。ま
た、その添加量としては、トナー100質量部に対し
て、0.01〜20質量部が好ましい。 【0100】平均一次粒子径が30nmより小さいと、
感光体との非静電的付着力が増大するため、転写不良や
ホローキャラクターと呼ばれる画像抜けが引き起こさ
れ、重ね合わせ画像等の転写ムラを生じさせる原因とな
る場合があり、初期的なトナーの流動性は良好である
が、トナーと感光体との非静電的付着力を十分に低減で
きず転写効率が低下し画像のぬけや、画像の均一性を悪
化させてしまう場合がある。また、経時による現像機内
でのストレスによって微粒子がトナー表面に埋め込ま
れ、帯電性が変化しコピー濃度の低下や背景部へのカブ
リ等の問題を引き起こす場合がある。また、平均一次粒
子径が200nmより大きいと、トナー表面から脱離し
やすく、また流動性の悪化にもつながる場合がある。 【0101】上述した工程を経ることにより、本発明に
用いられるトナーが製造されるが、該トナーは更に表面
を表面層によって覆われている構成であってもよい。該
表面層は、トナー全体の力学特性、溶融粘弾性特性に大
きな影響を与えないことが望ましい。例えば、非溶融、
或いは高融点の表面層がトナーを厚く覆っていると、結
晶性ポリエステル樹脂を用いたことによる低温定着性を
十分に発揮し得なくなる。従って、表面層の膜厚は薄い
ことが望ましく、具体的には、0.001〜0.5μm
の範囲内であることが好ましい。 【0102】上記範囲の薄い表面層を形成するために
は、結着樹脂、着色剤の他、必要に応じて添加される無
機微粒子、その他の材料を含む粒子の表面を化学的に処
理する方法が好適に使用される。表面層を構成する成分
としては、シランカップリング剤、イソシアネート類、
あるいは、ビニル系モノマー等が挙げられ、また、当該
成分には、極性基が導入されていることが好ましく、化
学的に結合することにより、トナーと用紙等の転写材と
の接着力が増加する。 【0103】前記極性基としては、分極性の官能基であ
れば如何なるものでもよく、例えば、カルボキシル基、
カルボニル基、エポキシ基、エーテル基、ヒドロキシル
基、アミノ基、イミノ基、シアノ基、アミド基、イミド
基、エステル基、スルホン基等が挙げられる。 【0104】化学的に処理する方法としては、例えば、
過酸化物等の強酸化物質、オゾン酸化、プラズマ酸化等
により酸化する方法、極性基を含む重合性モノマーをグ
ラフト重合により結合させる方法等が挙げられる。化学
的処理により、結晶性樹脂の分子鎖に共有結合で極性基
が強固に結合することになる。 【0105】また、本発明に用いられるトナーの粒子表
面に、更に、帯電性の物質を化学的若しくは物理的に付
着させてもよい。また、金属、金属酸化物、金属塩、セ
ラミック、樹脂、カーボンブラック等の微粒子を、帯電
性、導電性、粉体流動性、潤滑性等を改善する目的で外
添してもよい。 【0106】[キャリア]上述したトナーは、以下に説
明するキャリアと共に二成分現像剤を構成する。本発明
に用いられる現像剤としては、帯電の維持性や安定性に
優れる二成分現像剤が好ましい。キャリアとしては、樹
脂で被膜されたキャリアであることが好ましく、窒素含
有樹脂で被膜されたキャリアであることがさらに好まし
い。 【0107】前記窒素含有樹脂としては、ジメチルアミ
ノエチルメタクリレート、ジメチルアクリルアミド、ア
クリロニトリル等を含むアクリル系樹脂;ウレア、ウレ
タン、メラミン、グアナミン、アニリン等を含むアミノ
樹脂;またアミド樹脂、ウレタン樹脂が挙げられる。ま
た、これらの共重合樹脂でもかまわない。 【0108】キャリアの被膜樹脂としては、前記窒素含
有樹脂の中から2種以上を組み合わせて使用してもよ
い。また、前記窒素含有樹脂と窒素を含有しない樹脂と
を組み合わせて使用してもよい。さらに、前記窒素含有
樹脂を微粒子状にし、窒素を含有しない樹脂中に分散し
て使用してもよい。特にウレア樹脂、ウレタン樹脂、メ
ラミン樹脂、アミド樹脂は負帯電性が高く、また、樹脂
硬度が高いため被膜樹脂の剥がれなどによる帯電量の低
下を抑制することができる点で好ましい。 【0109】一般に、キャリアは適度な電気抵抗値を有
することが好ましく、具体的には109〜1014Ωcm
程度の電気抵抗値が好ましい。例えば鉄粉キャリアのよ
うに電気抵抗値が106Ωcmと低い場合には、スリー
ブからの電荷注入によりキャリアが感光体(潜像担持
体)の画像部へ付着したり、潜像電荷がキャリアを介し
て逃げ、潜像の乱れや画像の欠損等を生じたりする等の
問題が生じる場合がある。一方、絶縁性の樹脂を厚く被
覆してしまうと、電気抵抗値が高くなりすぎ、キャリア
電荷がリークしにくくなり、その結果エッジの効いた画
像にはなるが、反面大面積の画像面では中央部の画像濃
度が、非常に薄くなるというエッジ効果という問題が生
じる場合がある。そのためキャリアの抵抗調整のため
に、導電性微粉末を樹脂被覆層中に分散させることが好
ましい。 【0110】前記導電性微粉末の具体例としては、金、
銀、銅のような金属;カーボンブラック;さらに酸化チ
タン、酸化亜鉛のような半導電性酸化物;酸化チタン、
酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン
酸カリウム粉末等の表面を酸化スズ、カーボンブラッ
ク、金属で覆ったもの等が挙げられる。この中でも製造
安定性、コスト、導電性の良さからカーボンブラックが
好ましい。 【0111】前記樹脂被覆層を、キャリア芯材の表面に
形成する方法としては、例えば、キャリア芯材の粉末を
被膜層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被膜層形成用溶
液をキャリア芯材の表面に噴霧するスプレー法、キャリ
ア芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で、被膜層形
成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中で、
キャリア芯材と、被膜層形成用溶液とを混合し溶剤を除
去するニーダーコーター法、ニーダーコーター中で、被
膜樹脂の融点以上において微粒子化した被膜樹脂と、キ
ャリア芯材とを混合し冷却して被膜させるパウダーコー
ト法が挙げられるが、ニーダーコーター法及びパウダー
コート法が特に好ましく用いられる。前記方法により形
成される樹脂被膜層の平均膜厚は、通常0.1〜10μ
m、好ましくは0.2〜5μmの範囲である。 【0112】本発明に用いられる静電潜像現像用キャリ
アにおいて用いられる芯材(キャリア芯材)としては、
特に制限はなく、鉄、鋼、ニッケル、コバルト等の磁性
金属、又は、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化
物、ガラスビーズ等が挙げられるが、磁気ブラシ法を用
いる観点からは、磁性キャリアであるのが望ましい。キ
ャリア芯材の平均粒径としては、一般的には10〜10
0μmが好ましく、20〜80μmがより好ましい。 【0113】前記二成分現像剤における上記トナーと上
記キャリアとの混合比(質量比)としては、トナー:キ
ャリア=1:100〜30:100程度の範囲であり、
3:100〜20:100程度の範囲がより好ましい。 【0114】<転写工程>本発明において転写工程と
は、潜像担持体上に形成されたトナー画像を用紙等の転
写材上に転写して転写画像を形成する工程であり、一般
に静電引力を利用して行われる。現像工程で得られたト
ナー画像をそのまま転写材に転写することの他、中間転
写体を用い、該中間転写体に一旦転写した後に転写材に
転写する手段も採ることが可能である。 【0115】フルカラーの画像を得ようとする場合に
は、現像工程で少なくともシアン、マゼンタ及びイエロ
ーの3色、更に必要に応じてブラックの4色のトナーを
用いて現像されたトナー画像を、積層して転写すること
により行われる。この時中間転写材を用いて、中間転写
体上にこれらを一旦積層転写した後、一括して転写体に
転写することは、位置ずれのない、発色性の良好な画像
を得る上で好ましい。 【0116】単色の画像を得ようとする場合、転写工程
で転写材上に転写される転写画像の画像面積率100%
領域におけるトナー質量(TMA)は、0.80mg/
cm 2以下が好ましく、0.60mg/cm2以下が更に
好ましい。 【0117】<定着工程>本発明において定着工程と
は、転写材上に形成された転写画像を定着する工程であ
る。本発明において、転写画像を定着する定着装置とし
ては、加熱加圧定着装置が使用される。該定着装置は、
加熱ロールと加圧ロールから構成され、形成されたニッ
プに、トナー画像が形成された被記録媒体を通過させる
ことにより、該トナー画像を定着させる。 【0118】[定着装置]以下、図2を参照して本発明
の画像形成方法に用いられる定着装置について説明す
る。ここで、図2は、例示的一態様としての定着装置の
構成を説明するための概略断面図である。図2に示され
るように、定着装置は、加熱部として、加熱ロール(定
着ロール)1と、ヒータランプ2と、温度センサ3と、
荷重受け部材4と、補強部材5と、固定パッド6と、フ
ィンガー7とを備え、加圧部として、基体8a及びスポ
ンジ層8bから構成される加圧ロール8を備える。ま
た、Nはニップ(領域)を、Pは転写体としての用紙
を、Tは未定着のトナー画像を、P Tはトナー画像が定
着された用紙を示す。 【0119】加熱ロール1は、少なくとも、基体と、該
基体の外周部に形成される外周層と、から構成される円
筒体であって、その肉厚は2mm以下である。また、加
熱ロール1は、その肉厚が少なくともロールとしての円
筒形状が保たれる厚さ以上が必要であり、また、接触タ
イプの温度センサや、オフセットトナーの剥離爪、離型
剤としてのオイルの供給装置、クリーニング装置など、
その表面に所定圧で接触する周辺の補助部品を設けて
も、へこんだり変形したりしない肉厚が必要である。こ
こで、加熱ロール1の肉厚とは、基体の肉厚と、外周層
の肉厚とを合計したものをいう。 【0120】上記肉厚の条件を考慮すると、定着ロール
1の基体としては、熱容量が小さく、かつ、形状保持機
能を有する金属系の材料が好ましく、例えば、鉄、SU
S(ステンレス)、アルミ、銅、ニッケルなどを用いる
ことができる。基体として金属が使用される場合には、
基体の肉厚を0.1mm以上とすることが好ましい。ま
た、基体として耐熱製樹脂ロールやセラミックスロール
を用いる場合、その肉厚は0.2mm以上とすることが
好ましい。もちろん、使用する材質により強度や熱伝導
率が異なるため、上記肉厚の条件を満たしていれば、最
適な寸法は適宜決定すればよい。 【0121】また、基体の外周部に形成される外周層と
しては、例えば、弾性体層及び/又は離型層から構成さ
れている。基体の外周部に弾性体層及び離型層が形成さ
れる場合、加熱ロール1は、基体の表面に弾性体層が形
成され、該弾性体層の表面に離型層が形成された構造を
有する。 【0122】前記弾性体層としては、耐熱性の高い弾性
体であればどのような材料を使用することもできる。特
に、ゴム硬度25〜40°(JIS−A)程度のゴム、
エラストマー等の弾性体を用いることが好ましく、具体
的にはシリコーンゴム、フッ素ゴム等を挙げることがで
きる。このなかでも特に耐熱性と加工性の面からPFA
(パーフルオロアルキルビニールエーテル共重合樹脂)
が最適である。弾性体層の厚みとしては、用いる材料の
ゴム硬度にもよるが0.3〜1.0mm程度が好まし
い。 【0123】前記離型層としては、耐熱性の樹脂であれ
ばどのような樹脂を用いてもよく、例えば、フッ素樹
脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。離型層の離型性や
摩耗性を考慮すれば、特にフッ素樹脂を用いることが好
ましい。フッ素樹脂としては、PFA、PTFE(ポリ
テトラフフルオロエチレン)、FEP(四フッ化エチレ
ン六フッ化プロピレン共重合樹脂) 等が使用できる
が、耐熱性と加工性の観点よりPFAが最適である。離
型層の厚みとしては、好ましくは5〜30μm、より好
ましくは10〜20μmである。離型層の厚みが5μm
未満であると、加熱ロール1の歪みに基づくシワが発生
する可能性があり、また、30μmを超えると離型層が
硬くなり、光沢ムラ等の画質欠陥が現れる可能性があ
り、共に好ましくない。 【0124】なお、弾性体層が離型性を有する弾性体で
形成されているならば、更に離型層を設ける必要はな
い。また、上記弾性体層及び離型層は、それぞれ、単一
の層で形成されていてもよいし、複数の層で形成されて
いてもよい。 【0125】本発明に用いられる定着装置の加熱ロール
1としては、例えば、半径17.5mm、肉厚0.15
mm、長さ335mmのニッケル製の基体に、離型層と
してフッ素樹脂(テフロン:デュポン社の商品名)が3
0μmの厚さに被覆された構造を有する。このような薄
肉円筒体で構成した定着ロール1は、50kgの荷重で
も、その変形はほとんどなく、安定な画像が得られる。 【0126】上記加熱ロール1は、外部の駆動機構に機
械的に結合して直接駆動することができる。また、この
ように薄肉円筒体による加熱ロール1は、ウォームアッ
プ時にロール全体が内部のヒータランプ2により略均一
加熱されるため、ウォームアップ完了後に回転しても加
熱ロール1温度が急激に低下するという問題はなく、高
速定着に適したものとなっている。 【0127】図2に示すように、定着ロール1の中心部
には、加熱源のヒータランプ2が2本配設される。ヒー
タランプ2としては、例えば、100V、600Wのハ
ロゲンランプを用いる。温度センサ3が、定着ロール1
の表面温度を検出し、温度コントロール(図示せず)に
より常に定着ロール1の表面温度が一定になるように制
御する。 【0128】また、加熱ロール1の円筒体内部には、固
定タイプの荷重受け部材4を設けてもよい。荷重受け部
材4は、補強部材5と、固定パッド6とに接続し、後述
する加圧ロール8により印加される荷重を受け止め、ニ
ップ部Nに所定のニップ圧が生じるように構成されてい
る。加熱ロール1の外周部には、該加熱ロールに接触又
は近接するようにフィンガー7が設けられている。フィ
ンガー7は、加熱ロール1に貼りついた用紙の剥離に使
用される。 【0129】加熱ロール1は、その位置が回転の駆動力
により、また、後述する加圧ロール8からの圧接力など
を受けても変わらないように、加熱ロール1のロール両
端で軸受けするが、実質的圧接力は荷重受け部材4が受
けるため、加熱ロール1のロール両端の軸受部での荷重
はわずかである。 【0130】加圧ロール8は、加熱ロール1と対向した
位置に形成されるニップ部Nを用紙が通過する際に、用
紙の裏面、すなわちトナー画像が付着されていない面を
押圧して、用紙のトナー画像付着面を加熱ロール表面に
密着させる。 【0131】加圧ロール8は、その表面硬度が大きい場
合、加熱ロール1と加圧ロール8との両ロールで定着に
十分なニップ部を形成するための荷重を大きくしなくて
はならず、薄肉の加熱ロール1を変形させたり、紙しわ
の発生を引き起こしたりする問題を有する。そのため、
本発明に用いられる定着装置における加熱ロール1の表
面硬度Aと、加圧ロール8の表面硬度Bと、の関係は、
A>Bを満たすことが好ましい。加熱ロール1の表面硬
度Aと、加圧ロール8の表面硬度Bと、の関係は、実際
に、加熱ロール1と加圧ロール8を互いに押し付け、変
形状態を観察することによって表される。 【0132】図2に示すように、加圧ロール8は、金属
等の材料によって中空円筒状に形成された基体8aと、
該基体8aの外周面に形成されたスポンジ層8bと、か
ら構成される。また、加圧ロール8は、前記スポンジ層
8bの外周面にPFAチューブが被嵌されていてもよ
い。基体8aとしては、例えば、アルミニウム、ニッケ
ル、鉄、SUSなどの金属材料や、耐熱性ポリアミド、
ポリイミドなどを使用することができる。 【0133】スポンジ層8bは、加圧ロール8の表面硬
度を低下させるために、発泡シリコーンゴムなどの柔ら
かい材料が適している。スポンジ層8bのゴム硬度とし
ては(日本ゴム協会規格)10°以上50°以下が望ま
しく、好ましくは20°〜40°である。当然、加熱ロ
ール1の肉厚が小さくなれば、スポンジ層8bのゴム硬
度も小さくすることができ、また、加熱ロール1に印加
する荷重も減らすことができる。例えば、肉厚が0.5
〜2.0mmの加熱ロール1への荷重は50kg以下が
適当であり、定着ニップ幅を15mm程度とすると、ゴ
ム硬度は20°〜40°が適当である。 【0134】本発明に用いられる定着装置の加圧ロール
8としては、例えば、外径30mm,肉厚0.5mm,
長さ310mmのステンレス製の基体8aに、スポンジ
層8bとして肉厚5.0mmの発泡シリコーンゴムが被
覆された構造を有する。 【0135】このように構成された定着装置による定着
プロセスは、転写された未定着トナー画像Tが転写され
た用紙Pを、加熱ロール1と加圧ロール8との間のニッ
プ部Nに挿通し、加熱ロール1のヒータランプ2からの
熱と、加熱ロール1と加圧ロール8との間の加圧力(ニ
ップ圧)によって、未定着トナー画像Tのトナーの熱溶
融による定着を行い、トナー画像が定着された用紙PT
を排出する。 【0136】以上、説明した定着装置は、加熱ロール1
は肉厚が2mm以下の薄肉構造であるため、加熱ロール
1の熱容量を低下させることができ、その結果、ウォー
ムアップタイムを5〜20秒と短縮することができる。
なお、当該定着装置において、加圧ロール8の表面硬度
は加熱ロール1の表面硬度よりも小さく設定されている
ため、薄肉構造の加熱ロール1であっても良好な定着を
行うことができる。 【0137】 【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 【0138】−結晶性ポリエステル樹脂(1)の合成− 加熱乾燥した3口フラスコに、エチレングリコール49
7質量部と、5−スルホイソフタル酸ナトリウムジメチ
ル23.7質量部と、フマル酸ジメチル22.8質量
部、セバシン酸ジメチル857質量部と、触媒としてジ
ブチル錫オキサイド0.4質量部と、を入れた後、減圧
操作により容器内の空気を窒素ガスにより不活性雰囲気
下とし、機械攪拌にて180℃で5時間攪拌を行った。
その後、減圧下にて220℃まで徐々に昇温を行い、2
時間攪拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応
を停止させ、結晶性ポリエステル樹脂(1)985質量
部を合成した。 【0139】ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
による分子量測定(ポリスチレン換算)で、得られた結
晶性ポリエステル樹脂(1)の質量平均分子量(MW
は8,500であり、数平均分子量(Mn)は3,70
0であった。 【0140】また、結晶性ポリエステル樹脂(1)の融
点(Tm)を、前述の測定方法により、示差走査熱量計
(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを有
し、ピークトップの温度は72℃であった。 【0141】更に、結晶性ポリエステル樹脂(1)のN
MRスペクトルから測定計算した、共重合成分である5
−スルホイソフタル酸成分と、フマル酸成分と、セバシ
ン酸成分と、の含有比は順に2:5:93であった。 【0142】−結晶性ポリエステル樹脂(2)の合成− 加熱乾燥した3口フラスコに、セバシン酸ジメチル21
4質量部と、1,10−デカンジオール174質量部
と、5−スルホイソフタル酸ナトリウムジメチル6質量
部と、フマル酸ジメチル7.2質量部と、ジメチルスル
ホキシド40質量部と、触媒としてジブチル錫オキサイ
ド0.1質量部と、を入れた後、減圧操作により容器内
の空気を窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌
にて180℃で5時間攪拌を行った。減圧下、ジメチル
スルホキシドを留去し、その後、減圧下にて220℃ま
で徐々に昇温を行い、2時間攪拌し、粘稠な状態となっ
たところで空冷し、反応を停止させ、結晶性ポリエステ
ル樹脂(2)276質量部を合成した。 【0143】ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
による分子量測定(ポリスチレン換算)で、得られた結
晶性ポリエステル樹脂(2)の質量平均分子量(MW
は8,800であり、数平均分子量(Mn)は4,60
0であった。 【0144】また、結晶性ポリエステル樹脂(2)の融
点(Tm)を、前述の測定方法により、示差走査熱量計
(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを有
し、ピークトップの温度は76℃であった。 【0145】更に、結晶性ポリエステル樹脂(2)のN
MRスペクトルから測定計算した、共重合成分である5
−スルホイソフタル酸成分と、フマル酸成分と、セバシ
ン酸成分と、の含有比は順に2:5:93であった。 【0146】−非結晶性ポリエステル樹脂(A)の合成
− 加熱乾燥した二口フラスコに、テレフタル酸ジメチルを
194質量部、1,3−ブタンジオール90質量部、触
媒としてジブチル錫オキサイド0.3質量部と、を入れ
た後、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスにより不
活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で5時間攪拌
を行った。その後、減圧下にて230℃まで徐々に昇温
を行い2時間攪拌し、粘稠な状態となったところで空冷
し、反応を停止させ、非結晶性ポリエステル樹脂(A)
240質量部を合成した。 【0147】ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
による分子量測定(ポリスチレン換算)で、得られた非
結晶性ポリエステル樹脂(A)の質量平均分子量
(MW)は9,500であり、数平均分子量(Mn)は
4,200であった。 【0148】また、非晶性ポリエステル樹脂(1)のD
SCスペクトルを、前述の融点の測定と同様にして、示
差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確
なピークを示さず、階段状の吸熱量変化が観察された。
階段状の吸熱量変化の中間点をとったガラス転移点は4
9℃であった。 【0149】−非結晶性ポリエステル樹脂(B)の合成
− 加熱乾燥した二口フラスコに、ポリオキシエチレン
(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン35モル部と、ポリオキシプロピレン(2,
2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン65モル部と、テレフタル酸80モル部と、n−ドデ
セニルコハク酸10モル部と、トリメリット酸10モル
部と、0.05モル部のジブチル錫オキサイドと、を入
れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち昇
温した後、150〜230℃で約12時間共縮重合反応
させ、その後、210〜250℃で徐々に減圧して、非
結晶性ポリエステル樹脂(B)を合成した。 【0150】ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
による分子量測定(ポリスチレン換算)で、得られた非
結晶性ポリエステル樹脂(B)の質量平均分子量
(MW)は15,400であり、数平均分子量(Mn)は
6,800であった。 【0151】また、ポリエステル樹脂(4)のDSCス
ペクトルを、前述の融点の測定と同様にして、示差走査
熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピー
クを示さず、階段状の吸熱量変化が観察された。階段状
の吸熱量変化の中間点をとったガラス転移点は65℃で
あった。 【0152】−トナー(1)の製造(乳化凝集法)− <樹脂粒子分散液(1)の調製>得られた結晶性ポリエ
ステル樹脂(1)80質量部と、ドデシルベンゼンスル
ホン酸ナトリウム0.4質量部と、を蒸留水720質量
部中に入れ、80℃に加熱しながらホモジナイザー(I
KAジャパン社製:ウルトラタラックスT50)にて混
合攪拌して、樹脂粒子分散液(1)を調製した。 【0153】<着色剤分散液(1)の調製>フタロシア
ニン顔料(大日精化(株)製:PV FAST BLU
E)250質量部と、アニオン界面活性剤20質量部
(第一工業製薬(株)社製:ネオゲンRK)と、イオン
交換水730質量部と、を混合し、溶解させた後、ホモ
ジナイザー(IKAジャパン社製:ウルトラタラックス
T50)を用いて分散し、着色剤(フタロシアニン顔
料)を分散させてなる着色剤分散液(1)を調製した。 【0154】<離型剤分散液(1)の調製>キャンデリ
アワックス100質量部と、アニオン界面活性剤25質
量部(第一工業製薬(株)社製:ネオゲンRK)と、イ
オン交換水200質量部とを混合し、80℃にて、ホモ
ジナイザー(IKAジャパン社製:ウルトラタラックス
T50)を用いて分散し、離型剤分散液(1)を調製し
た。 【0155】<凝集・融合工程>樹脂粒子分散液(1)
800質量部と、着色剤分散液(1)5質量部と、離型
剤粒子分散液(1)17質量部と、硫酸アルミニウム
1.4質量部(和光純薬社製)と、t―ヘキシルパーピ
バレート50%エマルジョン0.08質量部(日本油脂
製)と、を丸型ステンレス製フラスコ中に収容させ、p
H3.0に調整した後、ホモジナイザー(IKAジャパ
ン社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散さ
せ、加熱用オイルバス中で65℃まで攪拌しながら加熱
した。65℃で3時間保持した後、光学顕微鏡にて観察
すると、平均粒子径が約7.0μmである凝集粒子が形
成されていることが確認された。温度を69℃まで上昇
させ、pHを4.0に上げ、30分攪拌を続けた。その
後、温度を80℃まで上げ、1時間攪拌した後、光学顕
微鏡にて観察すると、数平均粒子径が約7.2μmであ
るトナー粒子が形成されていることが確認された。その
後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄し
た後、真空乾燥機を用いて乾燥させることによりトナー
(1)を得た。 【0156】得られたトナー(1)について、コールタ
ーカウンター[TA−II]型(アパーチャー径:50
μm、コールター社製)を用いて平均粒子径を測定した
ところ、数平均粒子径は7.3μm、質量平均粒子径は
8.8μmであった。 【0157】−トナー(2)の製造(乳化凝集法)− <樹脂粒子分散液(2)の調製>得られた結晶性ポリエ
ステル樹脂(1)80質量部と、ドデシルベンゼンスル
ホン酸ナトリウム0.4質量部と、を蒸留水720質量
部中に入れ、90℃に加熱しながらホモジナイザー(I
KAジャパン社製:ウルトラタラックスT50)にて混
合攪拌して、樹脂粒子分散液(2)を調製した。 【0158】<凝集・融合工程>樹脂粒子分散液(1)
800質量部と、上述した着色剤分散液(1)5質量部
と、上述した離型剤粒子分散液(1)17質量部と、硫
酸アルミニウム1.4質量部(和光純薬社製)と、t―
ヘキシルパーピバレート50%エマルジョン0.04質
量部(日本油脂製)と、を丸型ステンレス製フラスコ中
に収容させ、pH3.0に調整した後、ホモジナイザー
(IKAジャパン社製:ウルトラタラックスT50)を
用いて分散させ、加熱用オイルバス中で65℃まで攪拌
しながら加熱した。70℃で3時間保持した後、光学顕
微鏡にて観察すると、平均粒径が約6.8μmである凝
集粒子が形成されていることが確認された。温度を76
℃まで上昇させ、pHを4.0に上げ、30分攪拌を続
けた。その後、温度を83℃まで上げ、1時間攪拌した
後、光学顕微鏡にて観察すると、数平均粒子径が約7.
3μmであるトナー粒子が形成されていることが確認さ
れた。その後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十
分に洗浄した後、真空乾燥機を用いて乾燥させることに
よりトナー(2)を得た。 【0159】得られたトナー(2)について、コールタ
ーカウンター[TA−II]型(アパーチャー径:50
μm、コールター社製)を用いて平均粒子径を測定した
ところ、数平均粒子径は7.3μm、質量平均粒子径は
8.8μmであった。 【0160】−トナー(3)の製造(乳化凝集法)− <樹脂粒子分散液(3)の調製>得られた結晶性ポリエ
ステル樹脂(2)80質量部と、ドデシルベンゼンスル
ホン酸ナトリウム0.4質量部と、を蒸留水720質量
部中に入れ、90℃に加熱しながらホモジナイザー(I
KAジャパン社製:ウルトラタラックスT50)にて混
合攪拌して、樹脂粒子分散液(3)を得た。 【0161】<凝集・融合工程>樹脂粒子分散液(3)
800質量部と、上述した着色剤分散液(1)5質量部
と、上述した離型剤粒子分散液(1)17質量部と、硫
酸アルミニウム1.4質量部(和光純薬社製)と、t―
ヘキシルパーピバレート50%エマルジョン0.08質
量部(日本油脂製)と、を丸型ステンレス製フラスコ中
に収容させ、pH3.0に調整した後、ホモジナイザー
(IKAジャパン社製:ウルトラタラックスT50)を
用いて分散させ、加熱用オイルバス中で65℃まで攪拌
しながら加熱した。70℃で3時間保持した後、光学顕
微鏡にて観察すると、平均粒子径が約6.8μmである
凝集粒子が形成されていることが確認された。温度を7
6℃まで上昇させ、PHを4.0に上げ、30分攪拌を
続けた。その後、温度を83℃まで上げ、1時間攪拌し
た後、光学顕微鏡にて観察すると、数平均粒子径が約
7.0μmであるトナー粒子が形成されていることが確
認された。その後、反応生成物をろ過し、イオン交換水
で十分に洗浄した後、真空乾燥機を用いて乾燥させるこ
とによりトナー(3)を得た。 【0162】得られたトナー(3)について、コールタ
ーカウンター[TA−II]型(アパーチャー径:50
μm、コールター社製)を用いて平均粒子径を測定した
ところ、数平均粒子径は7.0μm、質量平均粒子径は
8.5μmであった。 【0163】−トナー(4)の製造(溶解懸濁法)− 得られた非結晶性ポリエステル樹脂(A)86質量部
と、銅フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー
15:3)16質量部と、をバンバリー型混練機を用い
て溶融混練し、高濃度の着色樹脂組成物を得た。該着色
樹脂組成物25質量部と、非結晶性ポリエステル樹脂
(A)75質量部と、を酢酸エチル100質量部に分散
・溶解させ分散溶液を調製した。 【0164】得られた分散溶液を、カルボキシメチルセ
ルロース1質量部と、炭酸カルシウム20質量部と、水
100質量部と、の混合液中に加え、ミキサーを用いて
高速撹拌して分散させ、乳化液を得た。この乳化液をビ
ーカーに移し、約5倍量の水を加え、撹拌しながら45
℃の温浴中で10時間保持し、前記酢酸エチルを蒸発さ
せた。炭酸カルシウムを塩酸で溶かし、水洗を繰り返し
た後、水とトナーとの混合物を得た。最後に、水を凍結
乾燥機で蒸発させ、トナー(4)を製造した。 【0165】得られたトナー(4)について、コールタ
ーカウンター[TA−II]型(アパーチャー径:50
μm;コールター社製)を用いて平均粒子径を測定した
ところ、体積平均粒子径は7.9μmであり、数平均粒
子径は7.3μmであった。 【0166】−トナー(5)の製造(溶解懸濁法)− 得られた非結晶性ポリエステル樹脂(B)86質量部
と、銅フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー
15:3)16質量部と、をバンバリー型混練機を用い
て溶融混練し、高濃度の着色樹脂組成物を得た。該着色
樹脂組成物25質量部と、非結晶性ポリエステル樹脂
(B)75質量部と、を酢酸エチル100質量部に分散
・溶解させ分散溶液を調製した。 【0167】得られた分散溶液を、カルボキシメチルセ
ルロース1質量部と、炭酸カルシウム20質量部と、水
100質量部と、の混合液中に加え、ミキサーを用いて
高速撹拌して分散させ、乳化液を得た。この乳化液をビ
ーカーに移し、約5倍量の水を加え、撹拌しながら45
℃の温浴中で10時間保持し、前記酢酸エチルを蒸発さ
せた。炭酸カルシウムを塩酸で溶かし、水洗を繰り返し
た後、水とトナーとの混合物を得た。最後に、水を凍結
乾燥機で蒸発させ、トナー(5)を製造した。 【0168】得られたトナー(5)について、コールタ
ーカウンター[TA−II]型(アパーチャー径:50
μm;コールター社製)を用いて平均粒子径を測定した
ところ、体積平均粒子径は7.9μmであり、数平均粒
子径は7.3μmであった。 【0169】得られたトナー(1)〜(5)について、
動的粘弾性を測定した。貯蔵弾性率G’、損失弾性率
G’’は、回転平板型レオメーター(RDA 2RHI
OSシステム Ver.4.3.2,レオメトリックス
・サイエンテイフィック・エフ・イー(株)製)を用い
て測定したものである。測定は、試料をサンプルホルダ
ーにセッティングし、昇温速度1℃/min(室温〜1
60℃まで)、周波数1rad/s、歪み20%以下、
測定保証値の範囲内の検出トルクで行った。必要に応じ
て、サンプルホルダーを8mmと20mmに使い分け
た。また、得られたトナー(1)〜(5)について、1
20℃における損失弾性率G’’を測定周波数1rad
/sで割った値を溶融粘度として求めた。結果を表1に
示す。 【0170】 【表1】 【0171】−キャリアの製造−トルエン1.25質量
部に、カーボンブラック(商品名:VXC−72、キャ
ボット社製)0.12質量部を混合し、サンドミルで2
0分攪拌分散したカーボン分散液に、3官能性イソシア
ネート80質量%酢酸エチル溶液(タケネートD110
N:武田薬品工業社製)1.25質量部を混合攪拌した
コート剤樹脂溶液と、Mn−Mg−Srフェライト粒子
(平均粒径;35μm)100質量部とをニーダーに投
入し、常温で5分間混合攪拌した後、常圧にて150℃
まで昇温し溶剤を留去した。さらに、30分混合攪拌
後、ヒーターの電源を切り50℃まで降温した。得られ
たコートキャリアを75μmメッシュで篩分し、キャリ
アを製造した。 【0172】−電子写真用現像剤の製造− トナー(1)5質量部と、製造されたキャリア95質量
部と、をVブレンダーに入れ20分間攪拌した後、10
5μmメッシュで篩分し、電子写真用現像剤(1)を製
造した。また、トナー(1)をそれぞれトナー(2)〜
(5)に代えた他は、同様にして、電子写真用現像剤
(2)〜(5)を製造した。 【0173】製造された電子写真用現像剤(1)〜
(5)、及び、予め定着装置が外された富士ゼロックス
社製Aカラープリンターを用いて、富士ゼロックス社製
J紙に未定着トナー画像を形成し、下記に示す定着装置
を使用して定着させた。形成された画像は、トナー量
0.9mg/cm2のべた画像であった。 【0174】−定着装置− 図2に示す定着装置を使用し、未定着画像の定着を行っ
た。前記定着装置を構成する加熱ローラ1は、半径1
7.5mm、肉厚0.15mmのニッケル製の基体に、
離型層としてフッ素樹脂(テフロン(登録商標))表面
層が30μm被覆されたものを用いた(薄肉加熱ロー
ル)。また、加熱ローラ1の中空部内には600Wのハ
ロゲンランプ2つがヒートランプ2として内蔵されてい
た。更に、加圧ローラ8は、外径30mm、肉厚0.5
mmのステンレス製の基体8aに、肉厚5mmの発泡シ
リコーンゴムのスポンジ層8bを被覆し、その外周面に
は30μmのPFA被覆したものを用いた(スポンジ加
圧ロール)。 【0175】[実施例1]供給電力700Wで、上記定
着装置の加熱ロールの表面温度を、室温から100℃に
なるように加熱したところ、約7秒後に110℃に達し
た。その後、ニップ幅を7.5mmに調整し、プロセス
スピード160mm/秒で、加熱ロールの表面温度11
0℃をキープしながらB5サイズのJ紙を縦方向に連続
20枚通過させた。その後、A4サイズのJ紙上に、電
子写真用現像剤(1)及び上記Aカラープリンターで形
成した未定着トナー画像を、A4横方向に通紙させ、画
像を定着させた。 【0176】得られた定着画像の定着状態は良好で、画
像を折り曲げても剥がれ落ちるようなことはなかった。
また、得られた定着画像について、B5用紙が通過した
定着装置部分の定着画像と、紙非通過部分で定着した画
像部分と、のグロスをグロスメータにて比較した。グロ
スは共に40であり、特に差は見られなかった。更に、
得られた定着画像を消しゴム(田中ゴム工業株式会社
製、ST−100)にて10往復擦り、定着画像が紙か
ら剥がれるか否かを調べ、定着画像の紙への付着性を評
価した。その結果、定着画像は紙から剥がれることな
く、紙への付着性は良好であった。 【0177】[実施例2]実施例1において、電子写真
用現像剤(1)のかわりに電子写真用現像剤(2)を用
いた以外は同様に行い、得られた定着画像について、B
5用紙が通過した定着装置部分の定着画像と、紙非通過
部分で定着した画像部分と、のグロスをグロスメータに
て比較した。得られた定着画像の定着状態は良好で、画
像を折り曲げても剥がれ落ちるようなことはなかった。
また、グロスは共に60であり、特に差は見られなかっ
た。更に、実施例1と同様に、定着画像の紙への付着性
を評価したところ、良好であった。 【0178】[実施例3]実施例1において、電子写真
用現像剤(1)のかわりに電子写真用現像剤(3)を用
いた以外は同様に行い、得られた定着画像について、B
5用紙が通過した定着装置部分の定着画像と、紙非通過
部分で定着した画像部分と、のグロスをグロスメータに
て比較した。得られた定着画像の定着状態は良好で、画
像を折り曲げても剥がれ落ちるようなことはなかった。
また、グロスは共に30であり、特に差は見られなかっ
た。更に、実施例1と同様に、定着画像の紙への付着性
を評価したところ、良好であった。 【0179】[比較例1]実施例1において、電子写真
用現像剤(1)のかわりに電子写真用現像剤(4)を用
いた以外は同様に行なったが、トナーは溶融しきれず定
着できなかった。そこで、加熱ロールの表面温度を14
0℃に設定し、ニップ幅を7.5mmに調整し、プロセ
ススピード160mm/秒で、加熱ロールの表面温度1
40℃をキープしながらB5サイズのJ紙を縦方向に連
続20枚通過させた。その後、A4サイズのJ紙上に、
電子写真用現像剤(4)及び上記Aカラープリンターで
形成した未定着トナー画像を、A4横方向に通紙させ、
画像を定着させた。 【0180】得られた定着画像について、B5用紙が通
過した定着装置部分の定着画像と、紙非通過部分で定着
した画像部分と、のグロスをグロスメータにて比較し
た。用紙が通過した部分の定着画像のグロスは40であ
り、非通過部分のグロスは60であり、定着画像内には
グロス差が見られた。また、実施例1と同様に、定着画
像の紙への付着性を評価したところ、良好であった。 【0181】[比較例2]実施例1において、電子写真
用現像剤(1)のかわりに電子写真用現像剤(5)を用
いた以外は同様に行なったが、トナーは溶融しきれず定
着できなかった。そこで、加熱ロールの表面温度を15
0℃に設定し、ニップ幅を7.5mmに調整し、プロセ
ススピード160mm/秒で、加熱ロールの表面温度1
50℃をキープしながらB5サイズのJ紙を縦方向に連
続20枚通過させた。その後、A4サイズのJ紙上に、
電子写真用現像剤(5)及び上記Aカラープリンターで
形成した未定着トナー画像を、A4横方向に通紙させ、
画像を定着させた。 【0182】得られた定着画像について、B5用紙が通
過した定着装置部分の定着画像と、紙非通過部分で定着
した画像部分と、のグロスをグロスメータにて比較し
た。用紙が通過した部分の定着画像のグロスは40であ
り、非通過部分のグロスは60であり、定着画像内には
グロス差が見られた。また、実施例1と同様に、定着画
像の紙への付着性を評価したところ、良好であった。 【0183】[比較例3]富士ゼロックス社Aカラープ
リンターの定着装置部分を取り出し、Aカラー用加熱ロ
ールの代わりに、半径30mm、肉厚2mmアルミ製の
円筒状基体に、2.3mmシリコーンゴム層を巻き、表
面に30μmのPFA層を設け、内部にハロゲンランプ
を装備した肉厚加熱ロールを装備した定着装置を準備し
た。供給電力700Wで、前記肉厚加熱ロールの表面温
度を室温から110℃に加温したが、110℃になるま
でに約8分を必要とした。その後、ニップ幅を7.5m
mに調整し、プロセススピード160mm/秒で、肉厚
加熱ロールの表面温度110℃をキープしながらB5サ
イズのJ紙を縦方向に連続20枚通過させた。その後、
A4サイズのJ紙上に、電子写真用現像剤(1)及び上
記Aカラープリンターで形成した未定着トナー画像を、
A4横方向に通紙させ、画像を定着させた。 【0184】得られた定着画像について、B5用紙が通
過した定着装置部分の定着画像と、紙非通過部分で定着
した画像部分と、のグロスをグロスメータにて比較し
た。用紙が通過した部分の定着画像のグロスと非通過部
分のグロスは共に40でありグロス差は見られなかっ
た。また、実施例1と同様に、定着画像の紙への付着性
を評価したところ、良好であった。 【0185】[比較例4]比較例3において、電子写真
用現像剤(1)のかわりに電子写真用現像剤(5)を用
いた以外は同様に行なったが、トナーは溶融きしれず定
着できなかった。そこで、定着装置の表面温度を150
℃にし、ニップ幅を7.5mmに調整し、プロセススピ
ード160mm/秒で、表面温度150℃をキープしな
がらB5サイズのJ紙を縦方向に連続20枚通過させ
た。その後、A4サイズのJ紙上に、電子写真用現像剤
(5)及び上記Aカラープリンターで形成した未定着ト
ナー画像を、A4横方向に通紙させ、画像を定着させ
た。 【0186】得られた定着画像について、B5用紙が通
過した定着装置部分の定着画像と、紙非通過部分で定着
した画像部分と、のグロスをグロスメータにて比較し
た。用紙が通過した部分の定着画像のグロスと非通過部
分のグロスは共に20でありグロス差は見られなかっ
た。また、得られた定着画像について、B5用紙が通過
した定着装置部分の定着画像と、紙非通過部分で定着し
た画像部分と、を見比べると、非通紙部分にホットオフ
セットが発生していた。更に、実施例1と同様に、定着
画像の紙への付着性を評価したところ、良好であった。 【0187】 【表2】【0188】表2によれば、実施例1〜3、比較例1及
び2によれば、肉薄加熱ロールを備える定着装置を用い
ているため、ウオームアップタイムを短くすることがで
きる。また、結晶質ポリエステル樹脂を含有するトナー
(1)〜(3)を使用した実施例1〜3によれば、低温
定着性が良好であり、温度変化に対するトナー粘度の変
化が小さいために連続通紙後の面内グロス差が見られな
い。しかし、非結晶質ポリエステル樹脂を含有するトナ
ー(4)及び(5)を使用した比較例1及び2によれ
ば、低温定着性が認められず、連続通紙後の面内温度む
らによると思われる面内グロス差が見られた。なお、紙
への付着性評価においては、実施例及び比較例の共にエ
ステル濃度が0.01〜0.2の範囲内であるため、消
しゴムで擦っても画像が紙から剥がれず、良好な紙への
付着性を示した。 【0189】また、比較例3及び4によれば、肉厚の加
熱ロールを備える定着装置を用いているため、ウオーム
アップタイムが長くなった。非結晶質ポリエステル樹脂
を含有するトナー(5)を用いた比較例4によれば、低
温定着性が認められず、非通紙部の過熱によりホットオ
フセットが発生した。 【0190】 【発明の効果】本発明によれば、低消費電力で、かつ、
小サイズの用紙を連続して使用した直後に、大サイズの
用紙を使用しても大サイズの用紙に溶融むらが発生した
り、トナーオフセットが発生することがなく、かつ、短
いウォームアップタイムで良好な状態のコピーや印刷物
を高速で得ることができる画像形成方法を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明に用いられるトナーの好ましい特性を
示すグラフであり、縦軸は貯蔵弾性率の常用対数log
L、あるいは、損失弾性率の常用対数logGNを表
し、横軸は温度を表す。 【図2】 例示的一態様としての定着装置の構成を説明
するための概略断面図である。 【符号の説明】 1 加熱ロール(定着ロール) 2 ヒータランプ 3 温度センサ 4 荷重受け部材 5 補強部材 6 固定パッド 7 フィンガー 8 加圧ロール 8a 基体 8b スポンジ層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 芹澤 学 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 石原 由架 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 濱野 弘一 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 今井 孝史 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内 Fターム(参考) 2H005 AA01 FB02 2H033 AA09 AA30 BB05 BB12 BB28

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 潜像担持体上に形成された静電潜像を、
    少なくともトナーを含む現像剤により現像してトナー画
    像を形成する現像工程と、 潜像担持体上に形成されたトナー画像を転写材上に転写
    して転写画像を形成する転写工程と、 転写材上に転写された転写画像を定着する定着工程と、
    を有する画像形成方法であって、 前記トナーが、少なくとも、着色剤と、主成分が結晶性
    樹脂である結着樹脂と、を含有し、 前記定着工程が、加熱ロールと、該加熱ロールに圧接す
    る加圧ロールと、を備える定着装置により行われ、か
    つ、前記加熱ロールの肉厚が2mm以下であることを特
    徴とする画像形成方法。
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