JP2003003345A - 編織物及びその製造方法 - Google Patents

編織物及びその製造方法

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JP2003003345A
JP2003003345A JP2001190185A JP2001190185A JP2003003345A JP 2003003345 A JP2003003345 A JP 2003003345A JP 2001190185 A JP2001190185 A JP 2001190185A JP 2001190185 A JP2001190185 A JP 2001190185A JP 2003003345 A JP2003003345 A JP 2003003345A
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multifilament yarn
knitted fabric
knitted
yarn
fiber
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Akihiko Yoshizato
明彦 吉里
Jiyunko Deguchi
潤子 出口
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Asahi Kasei Corp
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 編織物を肌に接する衣料に用いた時に、表面
と裏面で体感温度の差を生じさせ、季節により編織物の
表面と裏面との使い分けができ、肌にかゆみ等の障害が
発生し難く、洗濯後、乾きやすい編織物を提供する。 【解決手段】 再生セルロース系マルチフィラメント糸
と合成繊維マルチフィラメント糸との複合マルチフィラ
メント糸から形成された片面のみ起毛された編織物であ
って、編織物の表裏の最大熱移動量)の差(ΔQmax
が5w/m2℃以上、かつ、洗濯前後の残存洗剤量が70
mg/m2以下である編織物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、肌着、作業着、手袋、
ハンカチ、タオル、バスローブ、布団カバー、布団側
地、枕カバー等、肌に直接接触する衣料及び寝装具分野
に有用な編織物及びその製造方法に関する。詳しくは、
編織物の片面のみが起毛されている特殊風合いを有する
編織物であり、編織物の表裏で体に感じ得る暖かさある
いは清涼性が異なり、環境温度や季節の変化に応じて、
肌に直接接する側を、表裏面、適宜使い分けることによ
って、冬から夏まで通年して着用でき、肌に対する刺激
の少ない快適な衣料用素材として用いられる編織物及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】再生セルロース系マルチフィラメント糸
は吸湿性が高く、清涼性に富み、肌に触れるとひんやり
とした清涼感(以下、接触冷感、という)があり、夏の
肌廻り用衣料素材として多用されている。しかし、再生
セルロース系マルチフィラメント糸の編織物は絹様の美
しい光沢のある外観にもかかわらず、接触冷感を有する
為に、肌に接する冬用衣料の素材にはふさわしくないも
のと考えられてきた。したがって、冬用素材としては、
繊維間に空気層を持った短繊維からなる紡績糸を用いた
編織物が多用されている。しかし、短繊維を用いた編織
物は光沢感が乏しい上に、洗濯を繰り返すと短繊維が脱
落したり、ピリングが発生しやすく、外観品位が低下す
るという問題があった。
【0003】編織物の接触冷感に着目して、特開200
1−81652号公報に、運動による多発汗時におけ
る、濡れ感、冷え感を改善した編織物であって、肌面に
吸水能力に劣る繊維、主としてポリエステルフィラメン
ト、外面に主として短繊維の綿糸を用いた編織物が開示
されている。しかしながら、肌面に吸水能力が低い繊維
を用いた場合は、小量から中量の発汗量の場合、却って
不快感を与え、さらに、ポリエステルフィラメントは温
かみが感じられず、冬用素材としてはさらなる改良が望
まれている。
【0004】また、衣料素材によっては、特に、肌の敏
感な人にとっては、着用中に肌にかゆみを感ずるものも
あった。さらに、近年、省資源の面から、水切れがよ
く、洗濯すすぎ水も少なくてすみ、乾燥が速い肌着の開
発が望まれている。綿糸を使用した編織物は、洗濯時
に、紡績糸の交洛した空隙層に洗濯液が充填されている
為、洗濯のすすぎ水が編織物中に多く残留し、洗濯後の
脱水による水切れが悪いため乾燥時間が長いという問題
がある。
【0005】一方、編織物の表面を起毛して特殊な風合
いを付与した繊維及びその製造方法が提案されてる。例
えば、特開平8−134752号公報、特開平6−16
6956号公報には、高濃度アルカリ湿潤状態下、液流
染色工程で編織物にソフトな風合いを付与する技術が開
示されている。この方法によると、編織物の両面にフィ
ブリル化による起毛が行われる。この際、編織物はロー
プ状で起毛処理される為、均一な起毛を行うのが困難で
あり、編織物にロープ皺も発生する。さらに、生産性を
向上させる目的で、高濃度アルカリ溶液を用いて繊維を
柔らかくすることが行われるが、その為、液流による強
い張力により編織物が損傷を受けることがあった。
【0006】別の方法として、特開平10−11037
7号公報、特公平6−41665号公報には、合成繊維
マルチフィラメントの編織物表面を粗面体で叩打して擦
過処理し、起毛する技術が開示されている。この方法に
したがって処理を行なうと、擦過しない編織物の裏面に
まで起毛された糸が貫通してしまう為、編織物の表面と
裏面との差がでにくい、回転面に対する叩打の程度を調
整するのが困難である、さらに、合成繊維マルチフィラ
メント糸に比較して再生セルロース系マルチフィラメン
ト糸は強度が低い為、編織物が破損し編織物品位が低下
する、という問題があった。別の方法として、特開平6
−235161号公報には、多段にわたって擦過と水洗
浴を繰り返す方法が開示されているが、この方法では、
起毛された編織物が水浴中に浮遊するため、削り取られ
た繊維屑を編織物が再吸着し、仕上がり編織物品位が低
下するという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、編織物を肌
に接する衣料に用いた時に、編織物の表面と裏面で体感
温度の差を生じさせて、夏と冬のように、環境温度の変
化に応じて肌に接する面に使う側を編織物の表面と裏面
とで使い分けることができるとともに、着用を続けても
肌にかゆみ等の障害が発生し難く、洗濯した後、乾きや
すい編織物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決しようとする手段】本発明は、再生セルロ
ース系マルチフィラメント糸10〜90質量%と合成繊
維マルチフィラメント糸90〜10質量%との複合マル
チフィラメント糸から形成された片面のみ起毛された編
織物であって、編織物の表面と裏面との最大熱移動量の
差(ΔQmax)が5w/m2℃以上、かつ、洗濯前後の残
存洗剤成分量が70mg/m2以下であることを特徴と
する編織物、及び再生セルロース系マルチフィラメント
糸10〜90質量%と合成繊維マルチフィラメント糸9
0〜10質量%との複合マルチフィラメント糸から形成
された編織物の片面を、湿潤状態で、フィルム上に研磨
材を接着させた研磨フィルムを装着した多段式回転金属
ロール上で表面を擦過することからなる編織物の製造方
法である。
【0009】本発明の編織物は、再生セルロース系マル
チフィラメント糸を含有する複合マルチフィラメント糸
で構成されていることが必要である。綿糸等の短繊維を
用いても本発明の目的を達成することはできない。本発
明に用いられる複合マルチフィラメント糸は、再生セル
ロース系マルチフィラメント糸10〜90質量%、好ま
しくは30〜70質量%と、合成繊維マルチフィラメン
ト糸90〜10質量%、好ましくは70〜30質量%と
から形成されている。
【0010】編織物中における再生セルロース系マルチ
フィラメント糸の割合が10質量%未満であると、編織
物の吸湿性が低下し、夏用素材として用いた場合、着用
中にむれが発生する。90質量%を越えると、起毛面で
さえ、肌と接触した時に冷たく感じるため、冬用素材に
は適さなくなる。本発明の編織物には、複合マルチフィ
ラメント糸と共に、再生セルロース系マルチフィラメン
ト糸及び/又は合成繊維マルチフィラメント糸を併用し
てもよいが、少なくとも複合マルチフィラメント糸が5
0質量%以上含まれていることが必要であり、好ましく
は70質量%以上含まれる。
【0011】本発明の編織物の表面と裏面との最大熱移
動量の差(ΔQmax)は5w/m2℃以上、好ましくは8
w/m2℃以上、より好ましくは10w/m2℃以上であ
る。編織物の表面及び裏面の最大熱移動量(Qmax
は、後に述べる、カトーテック(株)社製のサーモラボ
II(商標)を用いて計測する。この装置を用いて測定
した編織物面のQmaxと被試験者との感覚の相関関係を
調べるために、20℃、65%RHの室内にて、成人男
女各10名が編織物の冷感と温感の手触り感を自己申告
した結果をまとめたところ、概ねQmaxが110w/m2
℃より大きいと冷たく感じ、概ね105w/m2℃より小
さいと冷たさの感覚が軽減され暖かく感じることがわか
った。
【0012】したがって、編織物の表面と裏面とで接触
冷感や温かさの違いが感じられる為には、ΔQmaxが5
w/m2℃以上あることが必要である。但し、ここでのΔ
maxは、ΔQmax= QmaxN(擦過されてない編織物面
のQmax)− QmaxF(擦過された編織物面のQmax)で
表される数値であり、単位はw/m2℃で表される。ΔQ
maxが大きい程、編織物の表裏差で肌に感じる温度差が
大きくなる。特に、片方が110w/m2℃より大きく、
他方が105w/m2℃より小さくなるにしたがい、冷た
さと温かさの違いを顕著に感じることができる。したが
って、このような特性を有する編織物を、季節や外気
温、環境の変化によって編織物の表面と裏面を任意に肌
面に接するようにして使用することができる。
【0013】この発明の編織物の片面は起毛されている
ことが必要である。起毛された面は、通常、Qmaxが小
さい。このことを利用して、表裏の編織物面の外観が微
妙に異なったファッション性にも富む衣料を製造するこ
とができる。すなわち、起毛されていない面はフィラメ
ント独特の美しい光沢感がある。起毛されている面も、
表層のみが起毛されている為に、通常の紡績糸を用いた
場合の外観とは全く異なり、フィラメント調の独特の外
観がある。さらに、フィラメントの表層のみ起毛されて
いる為、フィラメントの特徴を保持し、ピリングや短繊
維の脱落も無く、洗濯の乾燥も速い。この発明の編織物
の洗濯前後の残存洗剤成分量は70mg/m2以下であ
ることが必要である。
【0014】ある種の衣料を肌に接した状態で着用しつ
づけると、人によってはかゆみを感ずることがある。こ
の原因としては、さまざまな要素が考えられる。本発明
者らは、この問題を解決するために、洗濯後の残存洗剤
量とかゆみ発生との関係に着目して検討を行った。その
一つとして、新品の綿肌着について、洗剤濃度を変化さ
せて洗濯を行い、後に詳細に述べる方法によって残存洗
剤量が異なる各種の肌着を準備した。肌が敏感であると
自己申告したモニター20歳から60歳の男性25名、
女性22名の計47名に約1ヶ月間この肌着を交互に着
用させ、かゆみを感じたかどうかの自己申告結果を集計
した。その結果、かゆみを感じたモニター数は、肌着に
洗剤成分が100mg/m2以上残存したものでは8
名、100〜71mg/m2のものでは5名であった。
一方、70mg/m2以下の場合にはかゆみを申告した
モニターはいなかった。
【0015】この結果から、洗剤の残存量は70mg/
2以下であることが必要であり、好ましくは50mg
/m2以下、より好ましくは30mg/m2以下である。
残存洗剤成分は、洗剤に由来する界面活性剤(マーカー
として硫黄成分)量を蛍光X線分析法や液体クロマトグ
ラフィーを用いて測定する。本発明に用いられる再生セ
ルロース系マルチフィラメント糸の単糸繊度は0.5〜
5dtexが好ましく、より好ましくは0.8〜3dt
exの範囲である。単糸繊度が0.5dtex未満であ
ると、起毛を行うために編織物表面を擦過処理する時に
単糸が切断されやすく、5dtexを超えると風合いが
硬くなる傾向がある。
【0016】再生セルロース系マルチフィラメント糸の
総繊度は20〜220dtexであることが好ましく、
より好ましくは30〜150dtexである。総繊度が
20dtex未満であると起毛を行うために編織物表面
を擦過処理する時に糸が切断されやすくなり、220d
texを超えると接触冷感の改善効果が少ない。本発明
に用いられる再生セルロース系マルチフィラメント糸と
しては、例えば、キュプラレーヨン、ビスコースレーヨ
ン(ポリノジックを含む)のマルチフィラメント糸等が
挙げられる。本発明に用いられる合成繊維マルチフィラ
メント糸の単糸繊度は、0.5〜5dtexが好まし
く、より好ましくは0.8〜3dtexである。単糸繊
度が0.5dtex未満であると前記と同様に擦過時に
単糸が切断されやすく、5dtexを超えると風合いが
硬くなる傾向がある。
【0017】合成繊維マルチフィラメント糸の総繊度は
20〜220dtexが好ましく、より好ましくは30
〜150dtexである。総繊度が20dtex未満で
あると前記と同様に擦過時に単糸が切断されやすく、2
20dtexを超えると清涼感が低下し、ムレ感を感じ
易くなる。本発明に用いられる合成繊維マルチフィラメ
ント糸としては、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポ
リエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアクリル系
繊維、レギュラータイプのポリエチレンテレフタレート
繊維、常圧可染タイプのポリエチレンテレフタレート繊
維、超高速紡糸タイプのポリエチレンテレフタレート繊
維、ポリオレフィン繊維、ポリトリメチレンテレフタレ
ート繊維、ポリテトラメチレンテレフタレート繊維また
はそれらの共重合物からな繊維又はこれらの2種以上の
繊維からなるマルチフィラメント糸が好ましい。より好
ましくは、ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメ
ント糸、ポリトリメチレンテレフタレートマルチフィラ
メント糸、ポリテトラメチレンテレフタレートマルチフ
ィラメント糸が挙げられる。
【0018】これらの合成繊維マルチフィラメント糸
は、単独や混繊や引き揃えられた糸として、再生セルロ
ース系マルチフィラメント糸と共に、複合マルチフィラ
メント糸に加工され編織物に使用することができる。再
生セルロース系マルチフィラメント糸及び合成繊維マル
チフィラメント糸の単糸の断面形状は丸、扁平、三角、
L、T、W、Y、π、八葉、八輝、十字、ドッグボーン
等の多角形型、多葉型、中空型、不定形等の各種の形状
が挙げられるが特に限定されることはない。本発明に用
いられる再生セルロース系マルチフィラメント糸や合成
繊維マルチフィラメント糸は、目的に応じてさらに二酸
化チタン等の艶消し剤、リン酸等の安定剤、ヒドロキシ
ベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤、タルク等の結
晶化核剤、アエロジル等の易滑剤、ヒンダードフェノー
ル誘導体等の抗酸化剤、難燃剤、制電剤、顔料、蛍光増
白剤、赤外線吸収剤、消泡剤等が含有されていてもよ
い。
【0019】再生セルロース系マルチフィラメント糸と
合成繊維マルチフィラメント糸からなる複合マルチフィ
ラメント糸としては、例えば、再生セルロース系マルチ
フィラメント糸と合成繊維マルチフィラメント糸を、引
き揃え、合燃、混繊、混繊後仮撚り、仮撚り後に混繊さ
れたもの等が挙げられる。複合マルチフィラメント糸の
総繊度は40〜440dtexが好ましく、より好まし
くは60〜300dtexである。複合マルチフィラメ
ント糸及びそれを用いた編織物は、任意の手段で製造で
き、その一例として、特願平11―121438号に記
載された方法を挙げることができる。
【0020】本発明の編物組織としては、例えば、スム
ース、フライス、天竺、鹿ノ子、片袋、ポンチローマ、
ミラノリブ、パール編等の丸編み、横編みの各種組織、
ハーフトリッコト、ツーウェイ、ダブルデンビー、アト
ラス等のトリコット組織、サテンネット、トリコネット
等のラッセル組織、緯糸挿入組織等が挙げられるが、こ
れらに限定されない。使用する編機及び染色加工方法は
編地に使われる素材に適した公知の方法を用いることが
できる。本発明に用いられる織物組織としては、例え
ば、平組織、綾組織、朱子組織等が挙げられるが、これ
らに限定されない。
【0021】織物の経糸及び緯糸の密度としては経糸繊
度55〜110dtexの場合、経糸密度は40〜70
本/cm、緯糸繊度55〜132dtexの場合、緯糸
密度は20〜50本/cmの範囲で、各種用途に応じて
設定すればよい。使用する織機のタイプについても、特
に限定されるものでなく、織物の品質、安定性及び製造
コストの点からウォータージェットルーム織機、エアー
ジェットルーム織機等を用いることができる。
【0022】本発明の編織物は、再生セルロース系マル
チフィラメント糸10〜90質量%と合成繊維マルチフ
ィラメント糸90〜10質量%との複合マルチフィラメ
ント糸から形成された編織物の片面を、湿潤状態でフィ
ルム上に研磨材を接着させた研磨フィルムを装着した多
段式回転金属ロール上で擦過することにより製造され
る。本発明の製造方法に用いられる研磨フィルムは、表
面に研磨剤を接着させて編織物に擦過効果を与えるもの
であり、例えば、酸化アルミナ、炭化珪素、人工又は天
然ダイヤモンドパウダー等の粒状研磨剤をポリエステ
ル、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等からなるフィルム
表面上に接着させたものである。粒度は#50〜200
0が好ましく、#100〜1500がより好ましい。
【0023】擦過は、研磨フィルムを金属ロールに装着
し、金属ロール上に拡布された編織物の表面を通過させ
ながら行う。拡布緊張下で金属ロールに接触させること
が肝要である。擦過工程において、シワが編織物に存在
すると編織物に擦過斑を発生し、外観品位の低下を起こ
す。擦過時の編織物の張力は編織物の状態によって決ま
るが、概ね,湿潤状態で、経緯約5%程度の緊張化で擦
過することが擦過時の抵抗による編織物シワを解消し、
起毛斑の発生を防ぐ上で好ましい。
【0024】擦過加工に供する編織物は、生機でも、精
錬後、染色後あるいは仕上加工後のいずれもよいが、精
錬した編織物を擦過処理後に染色する方法が、編織物の
白化を防止する上で有利である。染色は、通常の公知の
染料を用いて通常の染色加工方法を用いることができ
る。擦過加工に供する編織物は乾燥状態でも湿潤状態で
もよく、好ましくは、拡布状態で水又は温熱水に浸漬す
るプレウェット処理を行ない、適度に編織物を柔らかく
した後に回転する金属ロール上で編織物を擦過する。場
合によってはプレウェット処理において、浸漬する水に
各種の特殊な薬剤を溶解した液を用いてもよい。編織物
に付与する水分は30〜200質量%であり、好ましく
は50〜120質量%である。編織物に水を付与する方
法として、拡布状態でのスプレー方式、ディップニップ
方式等を用いることができる。編織物の擦過処理速度は
通常5〜50m/分、金属ロールの回転数は通常100
〜1000rpmで行う。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明を実施例により具体的に説
明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではな
い。本発明に用いる編織物の評価方法は以下の通りであ
る。 (1)最大熱移動量(Qmax)の測定 株式会社カトーテック社製サーモラボII(商標)を用
いて測定する。20℃の恒温室に1昼夜放置した7cm
×7cmの試料を、発泡スチロール製の断熱材の上に置
く。30℃に加温した、9cm2の平面を有する90g
の蓄熱銅板をその編地の上に、蓄熱板が試料に対して全
面が同時に重なるように注意して、すばやく重ねる。そ
の時のサーモラボIIのデジタルパネルメーターに表示
された値から、Qmax( w/m2℃)を求める。デジタル
パネルメータに表示された値の単位はW/cm2であ
り、これをW/m2に変換する。
【0026】この測定は、10℃の温度差がある物体間
の最大熱移動量を測定しているので、温度差10℃を考
慮して単位温度あたりにしている。例えば、測定値表示
がA( W/(m2・℃))であった場合、A×1000
0(m2換算)÷10(℃)=A×1000(W/(m2
・℃))として表し、単位m2・単位℃あたりの最大熱
移動量を知ることができる。
【0027】(2)洗濯前後の編織物中の残存洗剤量の
測定 一槽式全自動洗濯機(松下電器(株)社製愛妻号(登録
商標))の標準コースにより、浴比1:30で、弱アル
カリ性洗剤(花王(株)社製アタック(登録商標))
0.67g/lを用いて各種試料を洗濯後、日陰で吊り
干して乾燥する。この洗濯を10回繰り返した後、蛍光
X線測定機 理学電機(株)社製RIX3001型(商
標)で硫黄(S)成分を定量する。
【0028】定量に際して、洗剤(花王(株)社製アタ
ック(登録商標))の基準水溶液を作成し、その溶液中
に理学電機株式会社製の濾紙(No.3379C1)に
洗剤が0.01mg存在する量の水溶液を含浸させ、そ
の硫黄ピーク強度(kcps)と、洗濯前後のサンプル
編織物(3cmφ)のピーク強度を比較換算して編織物
中に含まれる洗剤量を算出する。さらに、この算出した
洗剤量を、平均的な肌着の編織物の面積を1m2として
換算して、肌着に残留する洗濯前後の編織物編織物中の
洗剤増加量を下記式により測定する。
【0029】洗剤残存量(mg/m2)=0.01×
(3cmφの面積編織物の洗濯前後で増加したS成分の
ピーク強度(kcps)/洗剤含浸濾紙のS成分のピー
ク強度(kcps))×(10000/3.14) 編織物に使用された染料、仕上げ剤等に硫黄(S)成分
を含有する場合は、洗濯前後の編織物を水によるソック
スレー抽出を行ない、抽出液を、液体クロマトグラフィ
ーによる方法によって、編織物編織物中の残存洗剤量を
前記の方法を用いて求める。
【0030】(3)着用によるかゆみ発生の有無 47名のモニターに肌着を交互に1か月間着用させ、着
用中にかゆみを感じたと申告した人数で表す。
【0031】(4)手触りによる冷・暖感の評価 10名のパネラーの目隠しによる官能検査により判定す
る。机上に置いたタテ、ヨコ各20cmのサンプルを、
パネラーのききての手のひらで3回撫で、擦過面の冷
感、暖感を、未加工面を基準にして、下記基準により判
定する。 1級:未加工面との違いが判別できない 2級:やや違いが分かる 3級:大いに違いが分かる 10名の平均値を評価値とする。
【0032】(5)光沢 (株)村上色彩技術研究所製自動可変光度計GP−20
0型(商標)を用いて、編織物用サンプルホルダーに通
常の条件で白色に染色した試料を固定し、試料に対して
入射角45°のハロゲンランプ光をあて、0°〜90°
の範囲の反射率を測定し、45℃の反射率を光沢の指標
とする。反射率数値が大きいほど光沢が大きい。
【0033】(6)ピリングテスト 織物及び編物のピリング試験方法(JIS規格L107
6−1992―A法(ICI形試験機を用いる方法))
によりピリング試験を行う。パネラー3名によりJIS
規格の中の等級判定はピルの発生状況を視覚判定する。 1級:ピリングの発生がかなり多い 2級:ピリングの発生が多い 3級:ピリングがやや発生している 4級:ピリングが少し発生している 5級:ピリングはほとんど発生していない 3名の平均値を測定値とする。
【0034】
【参考例1】再生セルロース系マルチフィラメント糸と
合成繊維マルチフィラメント糸との複合マルチフィラメ
ント糸(A)の製造再生セルロース系マルチフィラメン
ト糸として、56dtex/30フィラメントのキュプ
ラレーヨン糸(旭化成(株)社製、ベンベルグ(登録商
標))と、合成繊維マルチフィラメント糸として、56
dtex/30フィラメントのW型断面ポリエステル糸
(旭化成(株)社製、テクノファイン(登録商標))と
をベルトニップ方式の摩擦仮撚り加工機(村田機械株式
会社製、No.33Hマッハクリンパー(商標))に供
給し、両フィラメント糸をフィード差なしで、オーバー
フィード率1.5%、エアー圧1.5Kgf/cm2
条件でエアー交絡させた後、加工速度300m/分、ツ
イスターベルト交差角95度、ツイスター接圧230
g、仮撚り設定数2837t/m、仮撚りヒーター温度
170℃の条件で、セットヒーターを使用せず、延伸比
0.984、ツイスター速度/糸速1.323、巻き取
りのフィード率2.77%の条件で総繊度112dte
xの複合マルチフィラメント糸を製造した。
【0035】
【参考例2】再生セルロース系マルチフィラメント糸と
合成繊維マルチフィラメント糸との複合マルチフィラメ
ント(B)の製造 84dtex/60フィラメントのポリトリメチレンテ
レフテレート糸(旭化成(株)社製)と33dtex/
24フィラメントのキュプラレーヨン糸(旭化成株式会
社製、ベンベルグ(登録商標))とをベルトニップ方式
の摩擦仮撚り加工機(村田機械株式会社製、No.33
Hマッハクリンパー(商標))に供給し、両フィラメン
ト糸をフィード差なしでエアー交絡させた後、上記の条
件に準じた方法で仮撚り加工を行ない、総繊度117d
texの複合マルチフィラメント縮加工糸を製造した。
【0036】
【実施例1】参考例1により製造した複合マルチフィラ
メント糸を用いて、丸編機により釜径50.8cm、針
本数1413本、目付け145g/m2のスムース編地
を作成した。得られた編地を拡布して、65℃の温水中
に浸漬し、絞液後、この編地を拡布し、800メッシュ
の炭化珪素を接着させた研磨フイルムを装着した多段回
転金属ロール上に接着させた。各多段金属ロールを65
0rpmで編地の進行方向に対して順方向と逆方向に交
互に回転させ、20m/分の速度で編地に擦過加工を施
した。擦過を行なった研磨フィルムは水スプレーによっ
てフィルムの洗浄を行う為、擦過屑のない状態で擦過工
程に供されている。
【0037】擦過処理が終了した片面起毛編地を、常法
により、分散染料及び反応染料を用いて通常の液流染色
機にて編織物をグレーに染色した。脱水後、乾燥処理を
かねて160℃で1分間セットした。得られた製品は擦
過された片面のみピーチスキンタッチであり、未擦過面
は光沢感のあるフィラメントタッチの編地であった。得
られた編物の表面と裏面との冷たさと温かさの差を判別
することができ、未擦過面は接触冷感を有しており、擦
過された面は暖かく感じられた。さらに光沢感も失われ
ておらず、外観品位も両面とも均一で極めて良好であっ
た。この編物は洗濯の乾燥も早く、洗剤残存量も少なか
った。この編物の評価結果を表1に示す。
【0038】
【実施例2】参考例2により製造した複合マルチフィラ
メント糸を丸編機を用いて、20インチ、22.5ゲー
ジ、目付け105g/m2のスムース編地を作成した。
この編地を実施例1と同様の方法にて擦過処理したとこ
ろ、外観品位は極めて良好な片面起毛編地が得られた。
この編地は、表面と裏面との冷たさと温かさの差を判別
することができた。未擦過面は接触冷感を有しており、
擦過された起毛面は暖かく感じられた。この編地の評価
結果を表1に示す。
【0039】
【実施例3】参考例1の方法と同じ条件で製造した銅ア
ンモニア法レーヨン糸(旭化成(株)社製、ベンベルグ
(登録商標))56dtex/30fと丸断面のポリエ
ステル糸(旭化成(株)社製)56dtex/30fと
の総繊度112dtexの複合マルチフィラメント糸を
経糸及び緯糸に用いた経密度50本/cm×緯密度35
本/cmの平織物を試料として、実施例1に記載したの
と同じ条件で擦過処理を行なった。次いで、連続精錬機
を用い、精錬、水洗、中和、乾燥を行なった。続いて通
常の条件で染色後、仕上げ加工を行なったところ、外観
品位が良好な片面起毛織物が得られた。織物の表面と裏
面との冷たさと温かさは差を判別することが可能であ
り、擦過されていない面は接触冷感を有しており、擦過
されて起毛された面は暖かく感じられた。この織物の各
種評価を行った結果を表1に示す。
【0040】
【比較例1〜3】実施例1〜3で製造した各編織物を、
各々60℃の温水に浸漬後、液流染色機を用いて40g
/リットルの水酸化ナトリウム水溶液中で60分間起毛
加工を行なった。その後、中和−水洗し、染色を行な
い、脱水後、乾燥処理を行なった。この方法で得られた
編織物は両面とも起毛されたピーチスキンタッチであっ
たが、起毛状態がやや不均一であり斑が見られ、外観品
位は、実施例1〜3に比較するとかなり低かった。さら
にこれら編織物の表面と裏面とを手で触った時の接触冷
感差は感じられなかった。得られた各種編織物の評価結
果を表1に示す。
【0041】
【比較例4】特開2001−81652号公報の実施例
1にしたがって、肌面側がポリエステル仮撚り加工糸、
外側が綿30‘s、引き揃えのリバーシブル鹿の子ニッ
トを試作して評価した結果を表1に示す。この編物は、
ΔQmaxが4であり、表面と裏面の接触冷感に差が若干
あったが、充分でなく、洗剤残量も多く、綿側はピリン
グや光沢感に劣るものであった。洗濯後の乾燥速度は実
施例1〜3に比較して若干遅かった。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】この発明の編織物は、表面と裏面とで、
肌に接した時の体感温度差があり、起毛面は、起毛され
ていない面に比べて暖かく感じる。したがって、表面と
裏面の瞬間的熱移動量を適正に設定すると、例えば、表
面を110w/m2℃より大きく、裏面を105w/m2
より小さくすると、表面は冷たく感じ、裏面は暖かく感
じる。したがって、清涼性と温かさを一枚の編織物の表
面と裏面に備えさせることができるため、使用環境温度
や季節の変化に応じて、編織物の肌に直接接する側を、
適宜使い分けることが可能となる。そのため、冬から夏
まで通年して快適な衣料用素材となる。この編織物の表
面及び裏面は共にフィラメント糸独特の美しい光沢に富
む外観を呈しする。また、この編織物を用いた肌に直接
接する衣料等を、繰り返し洗濯を行って着用しても、か
ゆみの生ずるのが低減される。さらに、この編織物を用
いた衣料等は洗濯後の乾燥時間が短い。この発明の編織
物は、肌周りの衣料や寝装具に好適である。
フロントページの続き Fターム(参考) 3B154 AA07 AA09 AA12 AA18 AB20 AB21 BA25 BB58 BC22 BC37 BF07 BF30 DA02 DA21 4L002 AA05 AA07 AB02 BB04 DA02 DA04 EA00 EA01 FA00 FA01 4L036 MA04 MA05 MA33 MA39 PA06 PA33 PA42 RA15 UA01 UA25 4L048 AA13 AA15 AA22 AB07 BA02 BA23 CA00 CA10 DA01 DA13 DA14 EB03

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 再生セルロース系マルチフィラメント糸
    10〜90質量%と合成繊維マルチフィラメント糸90
    〜10質量%との複合マルチフィラメント糸から形成さ
    れた片面のみ起毛された編織物であって、編織物の表面
    と裏面との最大熱移動量の差(ΔQmax)が5w/m2
    以上、かつ、洗濯前後の残存洗剤量が70mg/m2
    下であることを特徴とする編織物。
  2. 【請求項2】 複合マルチフィラメント糸を構成する再
    生セルロース系マルチフィラメント糸の単糸繊度が0.
    5〜5dtex、総繊度が20〜220dtexであ
    り、合成繊維マルチフィラメント糸の単糸繊度が0.5
    〜5dtex、総繊度が20〜220dtexである請
    求項1記載の編織物。
  3. 【請求項3】 再生セルロース系マルチフィラメント糸
    がキュプラレーヨン及びビスコースレーヨンから選ばれ
    た少なくとも一種の繊維のマルチフィラメント糸である
    請求項1又は2記載の編織物。
  4. 【請求項4】 合成繊維マルチフィラメント糸がポリエ
    チレンテリフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタ
    レート繊維、ポリテトラメチレンテレフタレート繊維、
    ポリエチレン繊維及びポリプロピレン繊維から選ばれた
    少なくとも一種の繊維のマルチフィラメント糸である請
    求項1又は2記載の編織物。
  5. 【請求項5】 再生セルロース系マルチフィラメント糸
    10〜90質量%と合成繊維マルチフィラメント糸90
    〜10質量%との複合マルチフィラメント糸から形成さ
    れた編織物の片面を、湿潤状態で、フィルム上に研磨材
    を接着させた研磨フィルムを装着した多段式回転金属ロ
    ール上で擦過することからなる編織物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006161182A (ja) * 2004-12-02 2006-06-22 Mitsubishi Rayon Co Ltd 織編物
CN114059208A (zh) * 2020-07-30 2022-02-18 湖南科力嘉纺织股份有限公司 一种易清洗的纺织用纱线

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