JP2003003342A - 複合交絡糸 - Google Patents

複合交絡糸

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JP2003003342A
JP2003003342A JP2001183576A JP2001183576A JP2003003342A JP 2003003342 A JP2003003342 A JP 2003003342A JP 2001183576 A JP2001183576 A JP 2001183576A JP 2001183576 A JP2001183576 A JP 2001183576A JP 2003003342 A JP2003003342 A JP 2003003342A
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entangled
heat shrinkage
multifilament
false twist
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JP2001183576A
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Minoru Fujii
実 藤井
Toshiyuki Tokunaga
敏幸 徳永
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Unitika Fibers Ltd
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Unitika Fibers Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製編織工程でトラブルが発生せず、製編織し
て得られる布帛は、仮撚捲縮によるソフトな風合いと嵩
高性を有し、かつ、布帛同士を重ねてもファスナー現象
の生じない複合交絡糸を提供する。 【解決手段】 仮撚捲縮糸と2種のマルチフィラメント
糸(A)(B)とで構成された交絡糸であって、前記2
種のマルチフィラメント糸(A)(B)の熱収縮率は異
なっており、少なくとも一種のマルチフィラメント糸
(B)の熱収縮率は15%以上であり、仮撚捲縮糸はこ
れら2種のマルチフィラメント糸の熱収縮率よりも小さ
く、交絡糸は実質的にル−プやたるみを有せず、しかも
交絡状態を示すピンの移動距離が平均10mm以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、仮撚捲縮糸とマル
チフィラメント糸からなる複合交絡糸に関し、さらに詳
しくは、仮撚捲縮糸の嵩高性とソフトさを有し、ファス
ナー現象が生じない布帛を得ることのできる複合交絡糸
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】マルチフィラメント糸の2種を乱流処理
を施して、糸条の表面にループ、たるみを付与し、嵩高
で腰のある布帛を得るための複合糸は,多数提案されて
いる。しかしながら、この種の糸条は、糸条表面に突出
したループやたるみが存在するため、製編織の過程にお
いて糸と糸、あるいはガイド類との摩擦で異常張力が瞬
間的に生じたり、糸切れが発生したりするなどのため、
布帛の品位を損ねたり稼動率の低下など操業上のトラブ
ルが多かった。
【0003】そのため、特開平7−331545号公報では、
仮撚捲縮を有しない2種のマルチフィラメント糸を用い
てループやたるみの発生しないインターレース法によっ
て熱収縮特性の異なる2種のマルチフィラメント糸を混
繊して複合糸を得ている。この方法で得られる複合糸で
あれば、製編織時のトラブルは少なくなるものの、布帛
の風合いは、一方のマルチフィラメント糸が全体として
アーチ状のたるみを形成することによってふくらみ感を
得るものであるため、シルキーな風合いは得られるもの
の大きな嵩高性は望めず、そのためソフトで嵩高な手触
り感に乏しいものであった。
【0004】さらに、特開昭63−182433号公報には、ル
ープやたるみを有した糸条を製編織した後に熱処理して
糸条表面から個々のフィラメントにループやたるみを増
大させ、嵩高でソフトな風合いの織編物を得る方法が開
示されている。この方法によれば、製編織時の工程通過
性を損ねない程度のループやたるみを有した状態で製編
織し、その後の熱処理により嵩高性に富んだ布帛を得る
ことができるものの、その嵩高性は捲縮を有しないフィ
ラメントのループヤーンによるループやたるみによって
構成されているため、嵩高性を大きくすれば布帛同士の
重なりによってフィラメント間のループによるファスナ
ー現象が生じる欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を解決し、製編織工程でトラブルが発生せず、製編織し
て得られる布帛は、仮撚捲縮によるソフトな風合いと嵩
高性を有し、かつ、布帛同士を重ねてもファスナー現象
の生じない複合交絡糸を提供することを技術的な課題と
するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、捲縮クリンプを
有する仮撚捲縮糸とマルチフィラメント糸を交絡させる
ことによって、ループやたるみのない複合交絡糸とし、
その糸条の熱処理後に交絡部をごく短いピッチで多数発
現させることによって開繊部を嵩高にすることができ、
かつ、捲縮クリンプによってフィラメントのループを柔
らかくすることでファスナー現象を防ぐことができるこ
とを知見して本発明に到達した。すなわち、本発明は、
上記の目的を達成するために、次の構成を有するもので
ある。 (1) 仮撚捲縮糸と2種のマルチフィラメント糸(A)
(B)とで構成された交絡糸であって、前記2種のマル
チフィラメント糸(A)(B)の熱収縮率は異なってお
り、少なくとも一種のマルチフィラメント糸(B)の熱
収縮率は15%以上であり、仮撚捲縮糸はこれら2種の
マルチフィラメント糸の熱収縮率よりも小さく、交絡糸
は実質的にル−プやたるみを有せず、しかも交絡状態を
示すピンの移動距離が平均10mm以下であることを特徴と
する複合交絡糸。 (2) マルチフィラメント糸(A)は熱収縮率が5%以上
異なる異収縮混繊糸であり、マルチフィラメント糸
(A)(B)の内で最大の熱収縮率と仮撚捲縮糸の熱収
縮率との差が10%以上である上記(1) 記載の複合交絡
糸。 (3) 仮撚捲縮糸は熱収縮率が5%以下、単糸繊度が0.
6デシテックス以下の極細糸であり、マルチフィラメン
ト糸(A)はカチオン可染成分を含有した熱収縮率が5
〜10%、単糸繊度が0.5〜2.0デシテックスであ
り、マルチフィラメント糸(B)は単糸繊度が2.0デ
シテックス以上である上記(1) 又は(2) 記載の複合交絡
糸。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の複合交絡糸は、仮撚捲縮糸と少なくとも
熱処理前には捲縮を有しない2種のマルチフィラメント
糸(A)(B)とで構成されている。
【0008】まず、仮撚捲縮糸は、熱可塑性を有するも
のであればよく、供給糸に仮撚捲縮加工を施すに際して
は、仮撚数を22000/(デシテックス)1/2 (T/
M)以下とするのが好ましい。仮撚数が22000/
(デシテックス)1/2 (T/M)を超えると、マルチフ
ィラメント糸と交絡させた場合、捲縮クリンプの強さに
よって開繊部と交絡部が交互に発生した糸条となり、ル
ープやたるみを有せず交絡部を有した糸条を得難くなり
やすい。さらに、交絡性も悪くなり、交絡状態を示すピ
ンの移動距離を平均10mm以下とすることが難しくなりや
すい。
【0009】一方、仮撚数が11000/(デシテック
ス)1/2 (T/M)以下となれば、熱処理しても仮撚捲
縮糸の捲縮クリンプによってフィラメントが柔らかくな
らず、フィラメントがループ状に起立してファスナー現
象が発生しやすくなる。そのため、仮撚数は(1200
0〜22000)/(デシテックス)1/2 (T/M)の
範囲で選定することが好ましい。
【0010】次に、仮撚捲縮糸とともに本発明の複合交
絡糸を構成する2種のマルチフィラメント糸(A)
(B)は、(A)(B)間で熱収縮率が異なっており、
少なくとも一種(B)は15%以上であり、(A)
(B)とも仮撚捲縮糸より熱収縮率が大きいことが必要
である。素材は仮撚捲縮糸と交絡が可能であれば、ポリ
エステル、ポリアミドなどいずれでもよく、特に限定さ
れるものではない。
【0011】上記のように、マルチフィラメント糸
(A)(B)は仮撚捲縮糸より熱収縮率が大きいので、
本発明の複合交絡糸を用いて製編織し、熱処理すれば、
仮撚捲縮糸が布帛の表面に存在することになり、仮撚捲
縮によるソフトな風合いと嵩高性を付与することがで
き、かつ、熱処理によって形成されるループは捲縮クリ
ンプのため柔らかいので布帛のファスナー現象を防止す
ることが可能となる。この場合、高収縮性マルチフィラ
メント糸(B)の熱収縮率が15%未満であれば仮撚捲
縮糸との収縮差が少なくて、熱処理を施しても仮撚捲縮
糸が布帛の表面に配置された嵩高な開繊部が得難くな
る。しかし、マルチフィラメント糸(B)の熱収縮率が
40%を超えると、糸条の収縮により布帛が粗硬になる
ので、20〜35%の範囲で選定するのが好ましい。
【0012】また、マルチフィラメント糸(A)を熱収
縮率が5%以上異なる異収縮混繊糸とすれば、熱処理後
のフィラメントの収縮が複雑になり、そのため、仮撚捲
縮糸のループの内側にループができてより一層ソフトタ
ッチでかつ、ファスナー現象の起き難い布帛とすること
ができるので好ましい。マルチフィラメント糸(A:異
収縮混繊糸)を構成する2群のフィラメントの熱収縮率
差が5%未満であれば、異収縮混繊糸の収縮が接近して
しまい、複合交絡糸の開繊部が4層以上の多層構造にな
り難い。さらに、マルチフィラメント糸(A)(B)の
内で最大の熱収縮率と仮撚捲縮糸の熱収縮率との差が10
%以上であれば、熱処理後に捲縮クリンプを有したフィ
ラメントで一層明瞭に嵩高な開繊部を形成できるので特
に好ましい。
【0013】さらに、複合交絡糸を構成する仮撚捲縮糸
が熱収縮率5%以下で、単糸繊度が0.6デシテックス
以下の極細糸、特に直接紡糸によって得られた極細糸で
あることが好ましい。仮撚捲縮糸の熱収縮率が5%を超
えて大きくなると、熱処理しても仮撚捲縮糸で鞘部を形
成し難くなりやすい。一方、マルチフィラメント糸
(A)がカチオン可染成分を含有し、熱収縮率が5〜1
0%、単糸繊度が0.5〜2.0デシテックスであり、
マルチフィラメント糸(B)の熱収縮率が15%以上、
単糸繊度が2.0デシテックス以上であれば、熱処理後
にマルチフィラメント糸(B)の単糸繊度の最も大きい
フィラメントが芯糸を形成し、その芯糸と捲縮糸との中
間層にカチオン可染成分を含有したフィラメントが位置
するので、染色後に深みのある布帛を得ることができ
る。
【0014】さらに、単糸繊度も0.6デシテックスか
ら2.0デシテックス以上と変化に富んでいるので、主
として芯部を形成する2.0デシテックス以上の単糸繊
度のフィラメントでハリ、コシを付与することができ、
0.5〜2.0デシテックスの単糸繊度から選定された
中間的な単糸繊度を有するマルチフィラメント糸(A)
が、最も嵩高な開繊部を形成する捲縮クリンプの中間層
を形成し、いわゆる、毛倒れし難い嵩高性を保つ役目を
果たすこともできる。
【0015】本発明の複合交絡糸は、さらに、実質的に
ル−プやたるみを有しないものであり、しかも交絡状態
を示すピンの移動距離が平均10mm以下という構成を有す
るものである。交絡状態を示すピンの移動距離が平均10
mm以下ということは、仮撚捲縮糸とマルチフィラメント
糸(A)(B)を平均して1cmを超える長さで分離す
ることができないことを示すものである。そのため、製
編織工程でのガイドなどとの擦過によって、複合交絡糸
を構成する鞘糸を構成する2本の糸条がずれて、糸玉に
なったりして布帛表面の品位を悪くすることがない。ま
た、ループやたるみが発生していないので、工程通過性
も良好なものである。
【0016】本発明において、交絡状態を示すピンの移
動距離は、次の方法で測定するものである。まず、1mm
間隔の目盛のついた黒台紙の上に複合交絡糸の片端をテ
ープで止めて、もう一方の糸条の端に1/30cN/dt
exの荷重を吊るす。次いで、5倍程度の拡大鏡下で2
cm置きに糸条のほぼ中央にピンを突き刺し、糸条が動
き出すまで、ピンをテープ端の方向に動かし、次に荷重
側にピンを移動させ、軽くピンの移動が止まる所まで動
かし、その移動距離をミリ単位で読み取る。その20回
の測定値を平均したものをピンの移動距離とする。この
ようにして測定したピンの移動距離の平均が10mm以下で
あれば、2cm以上に渡って分離する個所がない複合交
絡糸である。
【0017】本発明の複合交絡糸を得るための交絡ノズ
ルは、特に限定されるものではないが、ジェット推進流
と旋回流を有するノズルによって交絡させることが好ま
しく、インターレースノズルは、交絡数を多くすること
ができ難くなる。
【0018】上記のジェット推進流と旋回流を有するノ
ズルとは、例えばノズルに、糸速230m/分、オーバ
ーフィード率2%、エアー圧力700kpaで84デシ
テックス36フィラメントの通常の仮撚加工糸を供給し
た時、ノズル入糸孔前で50〜500T/Mの撚数を付
加することが可能なノズルである。さらに、このような
ノズルを用いてループやたるみを発生させないように交
絡条件を設定する必要がある。そのためには、マルチフ
ィラメント糸(A)(B)のノズルへの過供給率を2%
以下とし、仮撚捲縮糸の過供給率を8%以下にすればよ
いが、供給繊度が太くなったり、混繊交絡状態が悪くな
ったりする糸条であれば、2種の糸条間の糸長差を大き
くせず、それぞれの過供給率を例えば5%と7%、ある
いは9%と10%などと糸長差を少なくし全体の過供給
率を大きくすれば、ループやたるみを発生させずに交絡
状態をよくすることができるので好ましい。
【0019】上記のように、ジェット推進流と旋回流を
有するノズルで仮撚捲縮糸とマルチフィラメント糸
(A)(B)とを交絡させて得られる本発明の複合交絡
糸は、交絡状態を示すピンの移動距離が10mm以下なの
で、熱処理後に、目視できる交絡部を100個/m以上
有した、開繊部と交絡部が形成される。この開繊部と交
絡部が形成される理由は明確ではないが、マルチフィラ
メント糸(A)(B)の過供給率が少なく、かつ、仮撚
捲縮糸との供給率の差も少ないためループやタルミはほ
とんど発生せず、部分的な交絡部のみが形成され、そし
て、仮撚捲縮糸はマルチフィラメント糸(A)(B)よ
り低収縮性であるため、熱処理後に、仮撚捲縮糸がルー
プ状の開繊部を形成するものと推定される。
【0020】上記のように、本発明の複合交絡糸の交絡
部の数は、通常のインターレース法で得られる交絡部の
数よりはるかに多い。インターレース法によれば、必然
的に熱処理前に開繊部と交絡部が作られため交絡個数が
ある程度限定されるのに対し、ジェット推進流と旋回流
を有するノズルは、通常はノズル出口で糸条を開繊状態
にした後、糸条の進行方向を変えることによって、フィ
ラメント同士を交絡させてループやたるみを発生させる
ものであるため、本発明の複合交絡糸を得るためには、
過供給率を工夫することで極力開繊状態を発生させず交
絡させ、ループやたるみを発生させずに糸条に交絡状態
を発生させることが必要である。
【0021】次に、本発明を図面を用いて説明する。図
1は、本発明の熱処理前の複合交絡糸の模式図であり、
21,22は強固な交絡部、23,24はフィラメント
の一部が交絡した交絡部である。図2は、熱処理後の複
合交絡糸で、31,32,33,34の個所が主な交絡
部であり、交絡部と交絡部の間で仮撚捲縮糸が開繊した
状態で嵩高化されている。
【0022】また、図3は、本発明の複合交絡糸の製法
例を示す概略工程図である。図1において、供給糸1よ
り解舒された糸条はガイド2を経て、フィードローラ3
により仮撚工程へ供され、フィードローラ3とデリベリ
ローラ6との間のヒータ4と仮撚スピンドル5とで仮撚
加工が施される。
【0023】一方、マルチフィラメント糸7及び7′は
ガイド8、8′を経て、フィードローラ9、9′により
交絡ノズル10へ供給される。また、必要に応じてマル
チフィラメント糸7′をフィードローラ9によって交絡
ノズル10へ供給することも可能である(図示せず)。
交絡ノズル10のジェット推進流によって、仮撚捲縮糸
とマルチフィラメント糸が交絡され、引き出しローラ1
1により巻き取りローラ12へ送り出され、パッケージ
13に巻き取られる。
【0024】次に、本発明の複合交絡糸の好ましい加工
条件について説明する。まず、仮撚加工に供する糸条
は、仮撚加工によって捲縮を付与することができる熱可
塑性繊維であればどのようなものでもよいが、ファスナ
ー現象をなくすためには、単糸繊度のより細かい繊維が
好ましい。仮撚加工の条件は、例えばポリエステル高配
向未延伸糸を用いて糸速を300m/分で加工する場
合、ヒータ温度は、捲縮を固定できる範囲で低い方がよ
く、160℃から220℃の範囲が好ましく設定され
る。また、仮撚数も22000/(デシテックス)1/2
以下と低く設定し、加工張力が0.1〜0.3cN/d
texの範囲となるように1.100倍から1.500
倍の延伸倍率を採用すればよい。
【0025】一方、マルチフィラメント糸(B)は、上
記仮撚捲縮糸よりも糸条繊度が細く、単糸繊度が太いも
のが好ましく用いられ、かつ熱収縮率が高い方が過供給
率の差が少なくても芯部を形成しやすいので望ましい。
また、マルチフィラメント糸(A)は、前述したとおり
芯糸と鞘糸との中間に位置し、ソフト感や嵩高特性を発
揮させるため、中間的な熱収縮率のマルチフィラメント
糸や異収縮混繊糸などを用いる。この場合、マルチフィ
ラメント糸(A)(B)は、仮撚捲縮糸と同一のデリベ
リローラ6で供給することともできるが、過供給率を異
ならす場合は、2本のマルチフィラメント糸(A)
(B)を、供給ローラ9へ引き揃えて供給するか、ある
いは供給ローラ9,9′で別々に供給すればよい。
【0026】これらの供給糸を、それぞれの供給ローラ
からそれぞれの過供給率でジェット推進流と旋回流とを
有したノズルへ供給し、交絡処理を施されノズルより排
出された複合交絡糸を同一の引き出しローラによって引
き取り、複合交絡糸を得る。このときの過供給率は、芯
側となるマルチフィラメント糸(A)(B)を2%以
下、好ましくは 0.2〜 1.0%の範囲で設定すればよい。
また、鞘糸となる仮撚捲縮糸の過供給率を8%以下とす
ることによって、ループやタルミがなく糸条の交絡をピ
ンの移動距離が10mm以下となる複合交絡糸とすることが
できる。
【0027】さらに、ノズルへ供給する空気圧は300
〜700Kpaの範囲から選定される。空気圧が300
Kpa未満では交絡が少なく、700Kpaを超える
と、単糸繊度の細い糸条に毛羽が多発するので好ましく
ない。また、芯糸の過供給率が2%以下の条件では鞘糸
との兼ね合いで交絡が不良になる場合、必要に応じて芯
糸と鞘糸の糸長差を少なくして、芯糸のマルチフィラメ
ント糸(B)の過供給率を2%以上にすることによっ
て、交絡の程度をよくすることができ、ループやたるみ
がなく、交絡性の良好な複合交絡糸とすることができ
る。この時の糸長差が3%を超えると、芯糸と鞘糸のず
れが発生し、交絡不良となりやすい。
【0028】上記のようにして得られる本発明の複合交
絡糸は、100℃以上の浴中で熱処理すれば100個/
m以上の交絡部が発現する。この交絡部の存在のため、
隣接する交絡部間は仮撚捲縮糸が嵩高化されて開繊部と
なる。この開繊部は、布帛を嵩高にするとともに、その
布帛にソフトな風合いを付与することができる。
【0029】
【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明す
る。
【0030】実施例1〜3、比較例1〜5 仮撚捲縮糸用の供給糸条としてポリエチレンテレフタレ
ートを高速紡糸して得た122T144のポリエステル
高配向未延伸糸(糸条1)と90T150のポリエステ
ル高配向未延伸糸(糸条2)、また、マルチフィラメン
ト糸として極限粘度差を有したポリエチレンテレフタレ
ートの2成分をサイドバイサイド型で複合紡糸して、熱
処理などにより潜在捲縮性を発揮する56T12の潜在
捲縮性ポリエステルマルチフィラメント糸(糸条3)
と、単糸繊度が1.5デシテックスで18フィラメント
の熱収縮率を4%、残りの18フィラメントの熱収縮率
を15%として延伸しながら合糸した56T36のポリ
エステルマルチフィラメント糸(糸条4)、酸成分とし
て5-ナトリウムスルホイソフタル酸成分を1.5モル%
共重合した共重合ポリエチレンテレフタレートからな
り、単糸繊度が1.2デシテックスで84T72のカチ
オン可染性ポリエステルマルチフィラメント糸(糸条
5)、及びポリエチレンテレフタレートにポリエチレン
テレフタレートを主体とし、全酸成分対してビスフェノ
ールAのエチレンオキサイド付加体を4.5モル%、イ
ソフタル酸を4モル%共重合した共重合ポリエステルを
紡糸後に延伸したポリエステルマルチフィラメント糸3
3T12(糸条6)とを準備した。
【0031】次いで、図1に示した製造工程に従い、そ
れぞれの糸条を種々組み合わせて複合交絡糸を製造し
た。各供給糸条の物性を表1に、加工条件を表3に、仮
撚捲縮糸の物性を表2に示す。また、得られた複合交絡
糸の交絡状態を表4に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】実施例1で得られた複合交絡糸は、見掛け
上、均一なマルチフィラメント状の形態を呈しており、
この糸条の交絡状態を確認した結果、ピンの移動距離は
4.4mm、熱処理後の交絡部は195個/mであっ
た。
【0037】これに対し、比較例1は、仮撚係数が29
300と高い仮撚数を採用したため複合交絡糸の状態で
交絡部と開繊部が確認できるものであり、ピンの移動距
離も本発明外の12mmであった。そのため熱処理後の交絡
部の数も、インターレース法で得られる交絡個数の多い
状態と同程度の85個/mであった。また、比較例2は
仮撚捲縮糸を用いずに熱延伸したフィラメント糸を供給
糸とし、交絡時の過供給率として20%と5%を採用し
たため、交絡個数は多いものの、熱処理前から単フィラ
メントがループを形成しているものであった。
【0038】次に、実施例2及び3は、糸条1及び2の
熱収縮率が各々2.5%、3.1%で糸条6の熱収縮率
が24.0%であるため、最大で約21%も熱収縮率が
異なり、さらに糸条4のマルチフィラメント糸は熱収縮
率が4.0%と15.0%の二つの群に分かれ、熱収縮
率が11.0%異なる糸条を用いて複合交絡したもので
あるため、熱処理後はフィラメントが複雑に開繊部を構
成し、嵩高な糸条形態であった。これに対し、比較例3
は糸条1との熱収縮率の差が最大でも11.9%しかな
いため、実施例2のものと比較し、嵩高性に乏しかっ
た。
【0039】比較例4の複合糸は嵩高ではあるが、開繊
部において色の差が有り、濃淡の色の差によるイラツキ
が見られた。また、芯糸と鞘糸の二つにはっきりと分か
れる構成であるため、フィラメントが寝てしまう毛倒れ
が発生する欠点があった。さらに、比較例5は、糸条の
開繊部はフィラメントが複雑にループを形成してふくら
みに富み、毛倒れし難いものではあるが、嵩高性に劣る
ものであった。
【0040】上記で得られた8種の複合交絡糸にS方向
に300T/Mの撚糸を施した糸条を用いて5枚サテン
の織物を、それぞれ表5の経密度、緯密度で製織した。
実施例1〜3及び比較例1,3,4,5の糸条は撚糸時
や製織時において、トラブルなく織物を得ることができ
た。しかし、比較例2の糸条は、撚糸時にフィラメント
のループによる引っ掛かりが生じ、停台や糸切れが発生
した。
【0041】
【表5】
【0042】次いで、得られた織物をスミカロンNav
y Blue S−2GL 5.0%owfで通常のポリ
エステル染色処方に従って染色し、製品に仕上げた。
【0043】実施例1の織物は、経、緯に伸縮性を有
し、嵩高とソフト感を兼ね備えた製品であるのに対し、
比較例1の織物は捲縮が強いため、ふかつき感があっ
た。また、布帛表面の所々に糸玉が発生し、織物品位が
劣るものであった。比較例2は、フィラメントのループ
による嵩高であるためソフト感に乏しく、かつ布帛同士
を重ねると、ファスナー現象が生じた。
【0044】次に、実施例2の織物は、嵩高部が多層構
造のフィラメントで構成されているため、ソフトタッチ
でボリューム感のある嵩高さであり、かつ、芯部の単糸
繊度の太いフィラメントによりハリ・コシを有してい
た。これに対し、比較例3の織物は、多層構造のフィラ
メントのふくらみ感のみで、ハリ・コシ及び嵩高感に乏
しかった。
【0045】さらに、実施例3の織物は、織物表面の手
触りがスエード調のソフトな感触でありながら、指で押
しても反発感があり充分な嵩高を有し、開繊部は極細単
糸フィラメントと細いカチオン単糸フィラメントとが均
一な杢調を呈するものであった。これに対し、比較例4
は、82.5デシテックス 150フィラメントの極細単糸フィ
ラメントと33デシテックス12フィラメントの2種のみ
で開繊部を構成しているため、単糸フィラメントがミッ
クスされた複合効果が得られず、反発力のない嵩高であ
り、また、色調も開繊部が淡色で芯部が濃色であるた
め、濃淡のイラツキが生じていた。さらに、比較例5
は、開繊部の反発感はあるものの、ハリ・コシ及び嵩高
感に乏しかった。
【0046】
【発明の効果】本発明の複合交絡糸は、上述した構成を
有するので、製編織工程でトラブルが発生せず、得られ
る布帛は、仮撚捲縮によるソフトな風合いと嵩高性を有
し、さらに、布帛同士を重ねてもファスナー現象の生じ
ないものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合交絡糸の熱水処理前の形態を示す
模式図である。
【図2】本発明の複合交絡糸の熱水処理後の形態を示す
模式図である。
【図3】本発明の複合交絡糸を得るための製法例を示す
概略工程図である。
【符号の説明】
21,22 強固な交絡部 23,24 フィラメントの一部が交絡した交絡部 31,32 沸水処理後の主な交絡部 33,34 沸水処理後の主な交絡部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 仮撚捲縮糸と2種のマルチフィラメント
    糸(A)(B)とで構成された交絡糸であって、前記2
    種のマルチフィラメント糸(A)(B)の熱収縮率は異
    なっており、少なくとも一種のマルチフィラメント糸
    (B)の熱収縮率は15%以上であり、仮撚捲縮糸はこ
    れら2種のマルチフィラメント糸の熱収縮率よりも小さ
    く、交絡糸は実質的にル−プやたるみを有せず、しかも
    交絡状態を示すピンの移動距離が平均10mm以下であるこ
    とを特徴とする複合交絡糸。
  2. 【請求項2】 マルチフィラメント糸(A)は熱収縮率
    が5%以上異なる異収縮混繊糸であり、マルチフィラメ
    ント糸(A)(B)の内で最大の熱収縮率と仮撚捲縮糸
    の熱収縮率との差が10%以上である請求項1記載の複合
    交絡糸。
  3. 【請求項3】 仮撚捲縮糸は熱収縮率が5%以下、単糸
    繊度が0.6デシテックス以下の極細糸であり、マルチ
    フィラメント糸(A)はカチオン可染成分を含有した熱
    収縮率が5〜10%、単糸繊度が0.5〜2.0デシテ
    ックスであり、マルチフィラメント糸(B)は単糸繊度
    が2.0デシテックス以上である請求項1又は2記載の
    複合交絡糸。
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