JP2003002980A - ポリテトラフルオロエチレン含有粉体の製造方法 - Google Patents
ポリテトラフルオロエチレン含有粉体の製造方法Info
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Abstract
リテトラフルオロエチレン含有粉体を、大量の凝析剤を
使用することなく、回収する方法を提案する 【解決手段】 ポリテトラフルオロエチレンと有機重合
体とを含む水性分散液(A)を60〜90℃で凝析して
スラリーとする凝析工程と、60℃以上のガラス転移温
度(Tg)を有する硬質非弾性重合体(B)を、ポリテ
トラフルオロエチレン含有粉体100質量部に対して
0.1〜10質量部となるように前記スラリーに添加す
る硬質非弾性重合体添加工程とを有する製造方法であ
る。
Description
ロエチレンと有機重合体からなるポリテトラフルオロエ
チレン含有粉体の製造方法に関する。
E)は、耐熱性、耐薬品性、電気的絶縁性に優れ、撥水
撥油性、非粘着性、自己潤滑性などの特異な表面特性を
有するため、コーティング剤として広く用いられてい
る。また、高結晶性で分子間力が低いため、わずかな応
力で繊維化する性質を有しており、これを熱可塑性樹脂
に配合することによって、熱可塑性樹脂の成形加工性、
機械的性質などを改良できる。よって、熱可塑性樹脂用
添加剤としても使用されている。このようなポリテトラ
フルオロエチレンとしては、例えば、特開平11−29
679号公報に、粒子径10μm以下のポリテトラフル
オロエチレン粒子と有機系重合体粒子とからなり、熱可
塑性樹脂中での分散性に優れるポリテトラフルオロエチ
レン含有混合粉体が提案されている。また、特開平20
00−234026号公報には、ポリテトラフルオロエ
チレン含有混合粉体の製法として、ポリテトラフルオロ
エチレン粒子と有機重合体粒子とからなる水性分散液中
の40〜80質量%の重合体をまずはじめに凝析させ
(第1段目)、ついで完全に凝析を完了させる(第2段
目)方法が提案されている。
11−29679号公報に記載の含有混合粉体を、この
粉体が分散した水性分散液から、通常の酸凝固または塩
凝固ですべて一度に凝析させると、得られる粉体の嵩比
が小さくなるという問題があった。また、嵩比を上げよ
うとして固化温度を上げると、凝析スラリー中で粒子同
士が融着し、粉体性状が悪化してしまうという欠点があ
った。また、60℃以下の低温で凝析させると、粉体に
含まれるポリテトラフルオロエチレンが繊維化してしま
い、粉体製品の取り扱い上の重要な指標である耐ブロッ
キング性が低下するという問題もあった。さらに、繊維
化した粉体は熱可塑性樹脂の粉体やペレットとブレンド
しにくいことから、これを熱可塑性樹脂に添加すると得
られた成形品にブツが見られたり、物性にばらつきが見
られたりした。
報に記載の方法では、良好な粒子径の粉体を得るために
第1段目において凝析温度と凝析剤量とをコントロール
する必要があり、また、このコントロール幅が小さかっ
た。また、第2段目の凝析において完全に凝析を終了さ
せるには、1段ですべての凝析を完全に終了させる場合
に比べて多量の凝析剤を必要とするという欠点があっ
た。
粉体特性に優れたポリテトラフルオロエチレン含有粉体
を、大量の凝析剤を使用することなく、回収する方法を
提案することを課題とする。
オロエチレン含有粉体の製造方法は、ポリテトラフルオ
ロエチレンと有機重合体からなるポリテトラフルオロエ
チレン含有粉体の製造方法であり、ポリテトラフルオロ
エチレンと有機重合体とを含む水性分散液(A)を60
〜90℃で凝析してスラリーとする凝析工程と、60℃
以上のガラス転移温度(以下Tgとする)を有する硬質
非弾性重合体(B)を、ポリテトラフルオロエチレン含
有粉体100質量部に対して0.1〜10質量部となる
ように前記スラリーに添加する硬質非弾性重合体添加工
程とを有することを特徴とする。前記水性分散液(A)
は、粒子径0.05〜1.0μmのポリテトラフルオロ
エチレン粒子の水性分散液(A1)と、エチレン性不飽
和結合を有する単量体(a)が乳化重合した有機重合体
粒子の水性分散液(A2)とを混合したものであること
が好ましい。または、前記水性分散液(A)は、粒子径
0.05〜1.0μmのポリテトラフルオロエチレン粒
子の水性分散液(A1)中で、エチレン性不飽和結合を
有する単量体(a)を乳化重合したものであることが好
ましい。または、前記水性分散液(A)は、粒子径0.
05〜1.0μmのポリテトラフルオロエチレン粒子の
水性分散液(A1)と、エチレン性不飽和結合を有する
単量体(a1)が乳化重合した有機重合体粒子の水性分
散液(A2)とを混合した分散液中で、さらにエチレン
性不飽和結合を有する単量体(a2)を乳化重合したも
のであることが好ましい。
本発明は、ポリテトラフルオロエチレンと有機重合体か
らなるポリテトラフルオロエチレン含有粉体の製造方法
であり、ポリテトラフルオロエチレンと有機重合体とを
含む水性分散液(A)を60〜90℃で凝析してスラリ
ーとする凝析工程を有する。ここで使用される水性分散
液(A)は、ポリテトラフルオロエチレンと有機重合体
とを含む水性分散液であれば特に制限はないが、好まし
い例の1つとして、ポリテトラフルオロエチレン粒子の
水性分散液(A1)と、エチレン性不飽和結合を有する
単量体(a)が乳化重合した有機重合体粒子の水性分散
液(A2)とを混合したものを挙げられる。そして、特
に粒子水性分散液(A1)中のポリテトラフルオロエチ
レン粒子の粒子径は0.05〜1.0μmの範囲内であ
ることが好ましい。
レン粒子の水性分散液(A1)は、含フッ素界面活性剤
を用いた乳化重合でテトラフルオロエチレンモノマーを
重合させて得られるものである。乳化重合の際には、ポ
リテトラフルオロエチレンの特性を損なわない範囲で、
共重合成分としてヘキサフルオロプロピレン、クロロト
リフルオロエチレン、フルオロアルキルエチレン、パー
フルオロアルキルビニルエーテル等の含フッ素オレフィ
ンや、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート等の
含フッ素アルキル(メタ)アクリレートを用いることが
できる。これら共重合成分の含量は、テトラフルオロエ
チレンに対して10質量%以下であることが好ましい。
水性分散液(A1)に含まれるポリテトラフルオロエチ
レン粒子の粒子径が0.05〜1.0μmであると、最
終的に得られるポリテトラフルオロエチレン含有粉体中
で、ポリテトラフルオロエチレン粒子が単独で凝集・繊
維化することなく、粉体特性の優れたポリテトラフルオ
ロエチレン含有粉体を製造することができる。このよう
なポリテトラフルオロエチレン粒子の水性分散液(A
1)の市販原料としては、旭硝子フロロポリマーズ
(株)社製アフロンAD−1、AD−936、ダイキン
工業社製のポリフロンD−1、D−2、三井デュポンフ
ロロケミカル社製のテフロン(登録商標)30J等を代
表例として挙げることができる。
性不飽和結合を有する単量体(a)としては、スチレ
ン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−ク
ロルスチレン、o−クロルスチレン、p−メトキシスチ
レン、o−メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレ
ン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;アクリ
ル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、
メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸
ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル
酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、メタク
リル酸ドデシル、アクリル酸トリデシル、メタクリル酸
トリデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オ
クタデシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸
シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量
体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン
化ビニル系単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチ
ルエーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、
酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル系単量体;エチレン、
プロピレン、イソブチレン等のオレフィン系単量体;ブ
タジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン等のジエン
系単量体等を挙げることができる。
体(a)は、単独で、あるいは2種以上混合して用いる
ことができるが、最終的に得られるポリテトラフルオロ
エチレン含有粉体の用途に応じて選択されることが好ま
しい。例えば、得られたポリテトラフルオロエチレン含
有粉体をポリオレフィンに配合する場合、有機重合体は
ポリオレフィンと親和性があり、相溶性が優れるもので
あることが好ましい。このような有機重合体を形成可能
な単量体(a)としては、スチレン系単量体、(メタ)
アクリル酸エステル系単量体、オレフィン系単量体を好
ましく使用できる。特に、炭素数5以上のアルキル基を
有するアルキル(メタ)アクリル酸エステル、スチレ
ン、オレフィン系単量体からなる群より選ばれる1種以
上の単量体を20質量%以上含有するものが好ましい。
ロエチレン含有粉体をポリメチルメタクリレートに配合
する場合、有機重合体はポリメチルメタクリレートと親
和性があり、相溶性が優れるものであることが好まし
い。このような有機重合体を形成可能な単量体(a)と
しては、(メタ)アクリル酸エステル系単量体を20質
量%以上含有するものが好ましい。また、例えば、得ら
れたポリテトラフルオロエチレン含有粉体をポリエステ
ルに配合する場合、有機重合体はポリエステルと親和性
があり、相溶性が優れるものであることが好ましい。こ
のような有機重合体を形成可能な単量体(a)として
は、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系
単量体を挙げることができ、特にエポキシ基を有する
(メタ)アクリル酸エステル系単量体を1質量%以上含
有するものが好ましい。
体(a)を乳化重合して有機重合体粒子の水性分散液
(A2)を得る方法には制限はなく、例えば、イオン性
乳化剤を用いる乳化重合法、イオン性重合開始剤を用い
るソープフリー乳化重合法等を挙げることができる。イ
オン性乳化剤としては、アニオン性乳化剤、カチオン性
乳化剤、両性イオン乳化剤のいずれかを用いることがで
きる。また所望により、これらのイオン性乳化剤ととも
にノニオン性乳化剤を併用してもよい。アニオン性乳化
剤の具体例としては、脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸
エステル塩類、液体脂肪油硫酸エステル塩類、脂肪族ア
ミンおよび脂肪族アマイドの硫酸塩類、脂肪族アルコー
ルリン酸エステル塩類、二塩基性脂肪酸エステルのスル
ホン酸塩類、脂肪族アミドスルホン酸塩類、アルキルア
リルスルホン酸塩類などを挙げることができる。カチオ
ン性乳化剤の具体例としては、脂肪族アミン塩類、第四
アンモニウム塩類、アルキルピリジニウム塩等を挙げる
ことができる。両性乳化剤の具体例としては、アルキル
ベタイン等を挙げることができる。
(例えば過流酸カリウムや過流酸アンモニウム)、アゾ
ビス(イソブチロニトリルスルホン酸塩)、4,4’−
アゾビス(4−シアノ吉草酸)等のアニオン性重合開始
剤、2,2’−アゾビス(アミジノプロパン)二塩酸
塩、2,2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミ
ダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩酸塩、2,2’−
アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパ
ン〕二塩酸塩、2,2’−アゾビスイソブチルアミド二
水和物等のカチオン性重合開始剤を例示することができ
る。
2)中での有機重合体粒子の粒子径dには特に制限はな
いが、最終的に得られるポリテトラフルオロエチレン含
有粉体の安定性、すなわち、ポリテトラフルオロエチレ
ン粒子と有機重合体粒子との凝集状態の安定性が優れる
ことから、ポリテトラフルオロエチレン粒子の粒子径D
との間に次式(I)の関係を有するものが好ましい。 0.1D<d<10D・・・(I) すなわち、ポリテトラフルオロエチレン粒子が0.05
〜1.0μmの範囲である場合、有機系重合体粒子の粒
子径dは0.005μm<d<10μmである。
ては、上述した粒子径0.05〜1.0μmのポリテト
ラフルオロエチレン粒子の水性分散液(A1)と、エチ
レン性不飽和結合を有する単量体(a)を乳化重合した
有機重合体粒子の水性分散液(A2)とを混合して得ら
れたものの他に、ポリテトラフルオロエチレン粒子の水
性分散液(A1)中で、エチレン性不飽和結合を有する
単量体(a)を乳化重合したものを挙げられる。乳化重
合法としては、上述した各種乳化剤や重合開始剤を同様
に使用できる。また、この場合にも、エチレン性不飽和
結合を有する単量体(a)は、最終的に得られるポリテ
トラフルオロエチレン含有粉体の用途に応じて適宜選択
されることが好ましい。
散液(A)のさらに他の例として、ポリテトラフルオロ
エチレン粒子の水性分散液(A1)とエチレン性不飽和
結合を有する単量体(a1)を乳化重合して得られた有
機重合体粒子の水性分散液(A2)とを混合し、この分
散液中に、さらにエチレン性不飽和結合を有する単量体
(a2)を添加して、これを乳化重合したものを挙げら
れる。乳化重合法としては、上述した各種乳化剤や重合
開始剤を同様に使用できる。また、この場合にも、エチ
レン性不飽和結合を有する単量体(a1)および(a
2)は、最終的に得られるポリテトラフルオロエチレン
含有粉体の用途に応じて適宜選択されることが好まし
い。すなわち、例えば、得られたポリテトラフルオロエ
チレン含有粉体をポリオレフィンに配合する場合には、
エチレン性不飽和結合を有する単量体(a1)および
(a2)中、特に、炭素数5以上のアルキル基を有する
アルキル(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、オレ
フィン系単量体からなる群より選ばれる1種以上の単量
体が20質量%以上含まれることが好ましい。
とを含む水性分散液(A)における、ポリテトラフルオ
ロエチレンと有機重合体との割合には特に制限はない
が、ポリテトラフルオロエチレンが5〜90質量%で有
機重合体が95〜10質量%であることが好ましい。こ
のような割合であると、最終的に得られるポリテトラフ
ルオロエチレン含有粉体は、これを熱可塑性樹脂に配合
した場合の分散性に優れるとともに、熱可塑性樹脂の成
形加工性、機械的性質などを十分に改良することができ
る。
テトラフルオロエチレンと有機重合体とを含む水性分散
液(A)を、60〜90℃で、さらに好ましくは65〜
80℃で凝析剤に接触させ、攪拌しながら凝析して、ス
ラリーとする。凝析工程を60℃未満の凝析温度で行う
と、凝析工程中にポリテトラフルオロエチレン粒子が繊
維化し、攪拌するモーターの負荷が大きくなるだけでな
く、得られるポリテトラフルオロエチレン含有粉体の粉
体特性が悪くなる。一方、90℃を超えると、粒子径が
1mmを超える粗粉が多く発生し、粉体回収に影響を及
ぼす。凝析工程で使用する凝析剤としては、例えば塩
酸、硫酸、リン酸等の無機酸類、ギ酸、酢酸等の有機酸
類、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリ
ウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、塩化マグネシ
ウム等の無機塩類、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム等
の有機塩類を挙げることができ、これらを単独または混
合して用いることができる。
60℃以上のTgを有する硬質非弾性重合体(B)を添
加する硬質非弾性重合体添加工程を行う。この工程によ
り、凝析工程で凝析された粉体の周囲を硬質非弾性重合
体(B)が覆い、粉体流動性、耐ブロッキング性などの
粉体特性に優れたポリテトラフルオロエチレン含有粉体
を製造することができる。ここで、硬質非弾性重合体
(B)の添加量(固形分として)は、スラリー中のポリ
テトラフルオロエチレン含有粉体100質量部に対して
0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部であ
る。硬質非弾性重合体(B)の添加量が0.1質量部未
満であると、得られるポリテトラフルオロエチレン含有
粉体の粉体特性を十分に改良できず、一方、10質量部
を超えると、硬質非弾性重合体(B)からなる微粉が多
く発生してしまい好ましくない。また、硬質非弾性重合
体添加工程の温度は60〜90℃が好ましい。60℃未
満では硬質非弾性重合体(B)由来の粒子径が100nm
以下の微粉が発生する場合があり、90℃を超えると得
られるポリテトラフルオロエチレン含有粉体の粉体特性
を十分に改良できない場合がある。
質非弾性重合体(B)は、分子内に二重結合を持たない
重合体であって、そのTgが60℃以上のものであり、
好ましくはTgが70℃以上のものである。Tgが60
℃未満の硬質非弾性重合体(B)では、凝析工程で凝析
された粉体の周囲を硬質非弾性重合体(B)が覆う前に
硬質非弾性重合体(B)が単独で凝析してしまうのでポ
リテトラフルオロエチレン含有粉体の粉体特性を改良で
きない。硬質非弾性重合体(B)の組成については特に
制限はないが、これを構成する好ましい単量体として
は、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブ
チルメタクリレート等のメタクリル酸エステル;メチル
アクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレー
ト、2−エチルヘキシルアクリレート等のアクリル酸エ
ステル;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニ
ル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニル
シアン化合物が挙げられる。特に好ましくはメチルメタ
クリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレー
ト、スチレンである。
体を乳化重合することにより製造できる。乳化剤として
は、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベン
ゼンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ジアル
キルスルホコハク酸塩等のアニオン界面活性剤、またポ
リオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレ
ン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセ
リン脂肪酸エステル等のノニオン性界面活性剤、さらに
アルキルアミン塩等のカチオン性界面活性剤など公知の
ものを使用できる。また、硬質非弾性重合体(B)は、
60℃以上のTgを有するものであれば、1段重合体で
も多段重合体でもよい。
しては、凝析工程で得られたスラリーに対して、硬質非
弾性重合体(B)のスラリーを添加して混合する方法
や、凝析工程で得られたスラリーに対して、別途調製し
た硬質非弾性重合体(B)のラテックスを添加し、この
スラリー中で硬質非弾性重合体(B)のラテックスを凝
析する方法などが挙げられる。特に後者の方法で硬質非
弾性重合体添加工程を行うと、凝析工程で得られた粉体
の周囲を硬質非弾性重合体(B)が効率よく均質に覆う
ことができ、その結果、非常に粉体特性の優れたポリフ
ルオロエチレン含有粉体を得ることができ、好ましい。
このような硬質非弾性重合体添加工程においては、凝析
工程で水性分散液(A)が凝析されて、ラテックスの状
態でなくスラリーの状態となっているものに対して、硬
質非弾性重合体(B)を添加することが非常に重要であ
る。すなわち、凝析されておらず、ラテックスの状態に
ある水性分散液(A)に、硬質非弾性重合体(B)のラ
テックスやスラリーを添加しても、粉体特性の優れたポ
リテトラフルオロエチレン含有粉体を得ることはできな
い。
ーをさらに熱処理する固化工程を行うことが好ましい。
硬質非弾性重合体添加工程で得られた粉体は微細粒子が
凝集した構造からなるが、このような固化工程を行うこ
とによって、粉体における微細粒子同士の融着が促進さ
れて、粒子密度が向上し、粒子保形力も強くなる。ま
た、固化工程の前に、スラリーに硬質非弾性重合体
(B)が添加されているので、固化工程において粒子同
士が融着することもなく、硬質非弾性重合体(B)を添加
しない場合より高温にて固化工程を行なうことができ
る。固化工程は、80℃〜120℃の温度範囲で20分
以上熱処理することが好ましい。固化工程は一定の温度
条件下で1段で行ってもよいが、段階的に温度を上げる
多段条件下で行うと、より粉体特性の優れたポリテトラ
フルオロエチレン含有粉体を製造できる。固化工程後、
粉体を水洗、脱水、乾燥することにより、粉体特性に優
れたポリテトラフルオロエチレン含有粉体を得ることが
できる。
フルオロエチレンと有機重合体とを含む水性分散液
(A)を60〜90℃で凝析してスラリーとする凝析工
程と、60℃以上のTgを有する硬質非弾性重合体
(B)を、ポリテトラフルオロエチレン含有粉体100
質量部に対して0.1〜10質量部となるように前記ス
ラリーに添加して混合する硬質非弾性重合体添加工程と
を有するので、ポリテトラフルオロエチレン粒子の繊維
化や粗粉の発生を抑制しつつスラリー化を行うことがで
き、その後、粉体の周囲を均一、かつ、密に硬質非弾性
重合体(B)で覆って、耐ブロッキング性などの粉体特
性が優れ、ハンドリング性の良いポリテトラフルオロエ
チレン含有粉体を製造することができる。こうして得ら
れたポリテトラフルオロエチレン含有粉体は、コーティ
ング剤や、各種熱可塑性樹脂の改質剤、特に難燃性樹脂
用のアンチドリッピング剤として有用である。
が、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではな
い。なお、各実施例、比較例中「部」とあるのは「質量
部」を示す。 (参考例1) ポリテトラフルオロエチレン粒子分散液
(A−1)の製法 ポリテトラフルオロエチレン粒子分散液として旭硝子フ
ロロポリマーズ(株)社製アフロンAD936を用い
た。AD936の固形分濃度は63.0%であり、ポリ
テトラフルオロエチレンに対して5%のポリオキシエチ
レンアルキルフェニルエーテルを含むものである。AD
936の粒子径分布は単一のピークを示し、重量平均粒
子径は290nmであった。166.7部のAD936
に蒸留水233.3部を添加し、5分間攪拌して固形分
濃度26.2%のポリテトラフルオロエチレン粒子分散
液(A−1)を得た。(A−1)は25.0%のポリテ
トラフルオロエチレン粒子と、1.2%のポリオキシエ
チレンアルキルフェニルエーテルを含むものである。
−2)の製造 ドデシルメタクリレート50部とメチルメタクリレート
45部、メチルアクリレート5部の混合溶液にクメンヒ
ドロキシパーオキサイド0.3部を溶解させた。これに
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.0部と脱イ
オン水300部の混合液を添加し、ホモミキサーにて1
0,000rpmで5分間攪拌した後、ホモジナイザー
に20MPaの圧力で2回通し、安定な予備分散液を得
た。これを攪拌装置、冷却器、熱電対、窒素導入口、試
薬滴下装置を備えた反応器に仕込み、窒素気流下、水浴
中70℃に加熱した。硫酸第一鉄0.0004部、エチ
レンジアミン四酢酸二ナトリウム0.0012部、ナト
リウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.2部を蒸
留水5部に溶かして、内容物に加えて重合を開始し、2
時間保持し、有機重合体ラテックス(A−2)を得た。
(A−2)の固形分濃度は25.2%で粒子径分布は単
一のピークを示し、重量平均粒子径は180nmであっ
た。
−3)の製造 攪拌装置、冷却器、熱電対、窒素導入口を備えた反応器
に、脱イオン水300部、ドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウム2.0部、メチルメタクリレート50部、ブ
チルアクリレート50部、クメンヒドロキシパーオキサ
イド0.3部からなる混合物を仕込み、容器内を窒素に
て置換した後、攪拌下で反応容器を65℃に昇温した。
そこに硫酸第一鉄0.0004部、エチレンジアミン四
酢酸二ナトリウム0.0012部、ナトリウムホルムア
ルデヒドスルホキシレート0.2部を蒸留水5部に溶か
した溶液を内容物に加えて重合を開始し、2時間保持し
て有機重合体ラテックス(A−3)を得た。(A−3)
の固形分濃度は25.1%で粒子径分布は単一のピーク
を示し、重量平均粒子径は80nmであった。
−4)の製造 攪拌装置、冷却器、熱電対、窒素導入口を備えた反応器
に、脱イオン水300部、ドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウム2.0部、メチルメタクリレート50部、ス
チレン50部、クメンヒドロキシパーオキサイド0.3
部からなる混合物を仕込み、容器内を窒素にて置換した
後、攪拌下で反応容器を65℃に昇温した。そこに硫酸
第一鉄0.0004部、エチレンジアミン四酢酸二ナト
リウム0.0012部、ナトリウムホルムアルデヒドス
ルホキシレート0.2部を蒸留水5部に溶かした溶液を
内容物に加えて重合を開始し、2時間保持して有機重合
体ラテックス(A−4)を得た。(A−4)の固形分濃
度は25.3%で粒子径分布は単一のピークを示し、重
量平均粒子径は78nmであった。
ン含有ラテックス(F−1)の製造 攪拌装置、冷却器、熱電対、窒素導入口を備えた反応器
にポリテトラフルオロエチレン粒子分散液(A−1)1
33.3部、有機重合体ラテックス(A−2)200
部、脱イオン水40部からなる混合物を仕込み、容器内
を窒素にて置換した後、攪拌下で反応容器を70℃に昇
温した。そこに硫酸第一鉄0.0003部、エチレンジ
アミン四酢酸二ナトリウム0.0009部、ナトリウム
ホルムアルデヒドスルホキシレート0.15部を蒸留水
5部に溶かした溶液を加え、メチルメタクリレート20
部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.2部からな
る混合物を30分間に渡って添加し、添加終了後、1時
間継続攪拌して重合を終了し、ポリテトラフルオロエチ
レン含有ラテックス(F−1)を得た。
ン含有ラテックス(F−2)の製造 攪拌装置、冷却器、熱電対、窒素導入口を備えた反応器
にポリテトラフルオロエチレン粒子分散液(A−1)1
33.3部、有機重合体ラテックス(A−3)200
部、脱イオン水40部からなる混合物を仕込み、容器内
を窒素にて置換した後、攪拌下で反応容器を70℃に昇
温した。そこに硫酸第一鉄0.0003部、エチレンジ
アミン四酢酸二ナトリウム0.0009部、ナトリウム
ホルムアルデヒドスルホキシレート0.15部を蒸留水
5部に溶かした溶液を加え、メチルメタクリレート20
部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.2部からな
る混合物を30分間に渡って添加し、添加終了後、1時
間継続攪拌して重合を終了し、ポリテトラフルオロエチ
レン含有ラテックス(F−2)を得た。
ン含有ラテックス(F−3)の製造 攪拌装置を備えた反応器にポリテトラフルオロエチレン
粒子分散液(A−1)200部、有機重合体ラテックス
(A−3)200部を仕込み、5分間攪拌し、ポリテト
ラフルオロエチレン含有ラテックス(F−3)を得た。
ン含有ラテックス(F−4)の製造 攪拌装置を備えた反応器にポリテトラフルオロエチレン
粒子分散液(A−1)200部、有機重合体ラテックス
(A−4)200部を仕込み、5分間攪拌し、ポリテト
ラフルオロエチレン含有ラテックス(F−4)を得た。
ン含有ラテックス(F−5)の製造 攪拌装置を備えた反応器にポリテトラフルオロエチレン
粒子分散液(A−1)200部、脱イオン水150部、
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3.0部からな
る混合物を仕込み、容器内を窒素にて置換した後、攪拌
下で反応容器を70℃に昇温した。そこに硫酸第一鉄
0.0005部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム
0.0015部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキ
シレート0.2部を蒸留水5部に溶かした溶液を加え、
メチルメタクリレート25部、ブチルアクリレート25
部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.2部からな
る混合物を1時間に渡って添加し、添加終了後、1時間
継続攪拌して重合を終了し、ポリテトラフルオロエチレ
ン含有ラテックス(F−5)を得た。
レン含有ラテックス(F−6)の製造 攪拌装置を備えた反応器にポリテトラフルオロエチレン
粒子分散液(A−1)200部、脱イオン水150部、
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3.0部からな
る混合物を仕込み、容器内を窒素にて置換した後、攪拌
下で反応容器を70℃に昇温した。そこに硫酸第一鉄
0.0005部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム
0.0015部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキ
シレート0.2部を蒸留水5部に溶かした溶液を加え、
メチルメタクリレート25部、スチレン25部、t−ブ
チルハイドロパーオキサイド0.2部からなる混合物を
1時間に渡って添加し、添加終了後、1時間継続攪拌し
て重合を終了し、ポリテトラフルオロエチレン含有ラテ
ックス(F−6)を得た。
クス(B−1)の製造 攪拌装置、冷却器、熱電対、窒素導入口を備えた反応器
に、脱イオン水300部、ジオクチルスルホコハク酸ソ
ーダ1部、過硫酸アンモニウム0.2部、メチルメタク
リレート70部、メチルアクリレート30部、n−オク
チルメルカプタン0.2部からなる混合物を仕込み、容
器内を窒素にて置換した後、攪拌下で反応容器を65℃
に昇温し、2時間加熱攪拌して重合し、硬質非弾性重合
体(B−1)ラテックスを得た。硬質非弾性重合体(B
−1)のTgは69.5℃であった。
クス(B−2)の製造 攪拌装置、冷却器、熱電対、窒素導入口を備えた反応
に、脱イオン水300部、ジオクチルスルホコハク酸ソ
ーダ1部、過硫酸アンモニウム0.2部、メチルメタク
リレート80部、ブチルアクリレート20部、n−オク
チルメルカプタン0.2部からなる混合物を仕込み、容
器内を窒素にて置換した後、攪拌下で反応容器を65℃
に昇温し、2時間加熱攪拌して重合し、硬質非弾性重合
体(B−2)ラテックスを得た。硬質非弾性重合体(B
−2)のTgは56.2℃であった。
で得られたポリテトラフルオロエチレン含有ラテックス
(F−1)〜(F−6)を、それぞれ図1の装置で凝析
させた。図1の装置は、攪拌翼を備えたオーバーフロー
型の攪拌槽を4槽直列に連結したものである。第一槽1
には第一定量ポンプ5および第二定量ポンプ6が備えら
れ、ここでは凝析工程を行った。第二槽2には第三定量
ポンプ7が備えられ、ここでは硬質非弾性重合体添加工
程を行った。そして、第三槽3および第四槽4では固化
工程を行った。この装置を使用して連続運転を行い、定
常状態になった後、第四槽4からスラリーをサンプリン
グし、水洗、脱水、乾燥し、ポリテトラフルオロエチレ
ン含有粉体を得た。各槽の温度を表1に示す。また、第
一槽1〜第四槽4における滞留時間をそれぞれ20分と
した。なお、第一定量ポンプ5からは凝析剤である硫酸
アルミニウム0.75%水溶液を第一槽に供給し、第二
定量ポンプ6からはポリテトラフルオロエチレン含有ラ
テックス(F−1)〜(F−6)をそれぞれ第一槽1に
供給した。硫酸アルミニウム水溶液とポリテトラフルオ
ロエチレン含有ラテックス(F−1)〜(F−6)の流
量は同じになるように調節した。第三定量ポンプ7から
は、参考例で得られた硬質非弾性重合体ラテックス(B
−1)または(B−2)を第二槽2に添加した。この
際、第一槽1に添加したポリテトラフルオロエチレン含
有ラテックス(F−1)〜(F−6)の固形分100部
に対して、硬質非弾性重合体ラテックス(B−1)また
は(B−2)の固形分が3部になるように添加した。
粉体の諸性質を以下に示す方法により測定した。結果を
表1に示す。 (1) 平均粒子径:粉体の平均粒子径を篩分法により
求めた。 (2) 粉体流動性:JIS K−6721で用いられ
る嵩比重測定器に樹脂粉体50gを入れ、ダンパーを外
した状態を目視で観察した。なお、表中の略号は以下の
内容を示す。 ◎:極めて良好 ○: 良好 ×: 不良 ××:極めて不良
℃である硬質非弾性重合体(B−1)を添加した実施例
1〜10では、粉体特性の優れた粉体が得られた。ま
た、固化工程を90℃で行っても、粒子同士の融着は起
こらなかった。一方、硬質非弾性重合体(B−1)を添
加しなかった比較例1〜4、比較例6、7や、Tgが5
6.2℃である硬質非弾性重合体(B−2)を添加した
比較例5、8で得られた粉体は流動性が悪く、いずれも
平均粒子径を測定できなかった。
よれば、ポリテトラフルオロエチレン粒子の繊維化や粗
粉の発生を抑制しつつスラリー化を行うことができ、そ
の後、粉体の周囲を均一、かつ、密に硬質非弾性重合体
(B)で覆って、耐ブロッキング性などの粉体特性が優
れ、ハンドリングしやすいポリテトラフルオロエチレン
含有粉体を製造することができる。こうして得られたポ
リテトラフルオロエチレン含有粉体は、コーティング剤
や、各種熱可塑性樹脂の改質剤として有用である。
ある。
槽、5・・・第一定量ポンプ、6・・・第二定量ポンプ、7・・
・第三定量ポンプ
Claims (4)
- 【請求項1】 ポリテトラフルオロエチレンと有機重合
体からなるポリテトラフルオロエチレン含有粉体の製造
方法であり、 ポリテトラフルオロエチレンと有機重合体とを含む水性
分散液(A)を60〜90℃で凝析してスラリーとする
凝析工程と、 60℃以上のガラス転移温度(Tg)を有する硬質非弾
性重合体(B)を、ポリテトラフルオロエチレン含有粉
体100質量部に対して0.1〜10質量部となるよう
に前記スラリーに添加する硬質非弾性重合体添加工程と
を有することを特徴とするポリテトラフルオロエチレン
含有粉体の製造方法。 - 【請求項2】 前記水性分散液(A)は、粒子径0.0
5〜1.0μmのポリテトラフルオロエチレン粒子の水
性分散液(A1)と、エチレン性不飽和結合を有する単
量体(a)が乳化重合した有機重合体粒子の水性分散液
(A2)とを混合したものであることを特徴とする請求
項1に記載のポリテトラフルオロエチレン含有粉体の製
造方法。 - 【請求項3】 前記水性分散液(A)は、粒子径0.0
5〜1.0μmのポリテトラフルオロエチレン粒子の水
性分散液(A1)中で、エチレン性不飽和結合を有する
単量体(a)を乳化重合したものであることを特徴とす
る請求項1に記載のポリテトラフルオロエチレン含有粉
体の製造方法。 - 【請求項4】 前記水性分散液(A)は、粒子径0.0
5〜1.0μmのポリテトラフルオロエチレン粒子の水
性分散液(A1)と、エチレン性不飽和結合を有する単
量体(a1)が乳化重合した有機重合体粒子の水性分散
液(A2)とを混合した分散液中で、 さらにエチレン性不飽和結合を有する単量体(a2)を
乳化重合したものであることを特徴とする請求項1に記
載のポリテトラフルオロエチレン含有粉体の製造方法。
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