JP2002544322A - 熱分解ガスからのオイルの凝結及び再生 - Google Patents

熱分解ガスからのオイルの凝結及び再生

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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 本発明は、裁断化された車両タイヤ等、炭化水素を含む材料の熱分解処理からオイルを再生するためのシステム及びプロセスに関する。本システムは、熱分解ガスに含まれるオイルの少なくとも95%を再生するため、一対の直列配置されたパック化タワーを利用する。第1のパック化タワーは、水が凝結しないことを確実にするため熱分解ガス中の水蒸気の凝結点を超えた温度で作動し、高温引火温度が約60℃以上のオイルを有する主要オイル部分と、追加のオイル、燃料ガス及び水蒸気を含む主要蒸気部分とを得る。主要蒸気部分は、第2のパック化タワーに供給される。第2のパック化タワーは、水及び34℃以下の低温引火温度を有するオイルを凝結させて価値ある燃料ガスを含む2次蒸気部分を提供するため水蒸気の凝結点より低い温度で作動する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は炭化水素を含む材料の熱分解から使用可能な生産物を再生する方法に
関し、より詳しくは、スクラップタイヤが熱分解されたとき形成されるガスから
オイルを再生する方法に関する。
【0002】
【従来技術】
利用可能な埋立地の供給が減少するにつれて、消費された車両のタイヤの環境
上センシティブな処置が問題を増加させている。米国だけでも、毎年280,0
00,000を超える車両タイヤがスクラップされ、埋立地に移送される。使用
済み車両タイヤの中には、舗装道路で使用されるため再生されるものがあり他の
ものは、ボイラーの燃料として燃焼されるが、使用済み車両タイヤの80%以上
が最後は埋立地に堆積されることになる。埋立地における車両タイヤの廃棄は、
再利用可能な資源の有意な浪費物として認識されてきた。多年に亘って、使用済
み車両タイヤは、販売及び再利用され得る価値のある副産物を得るため熱分解に
よって再生することができることが知られてきた。熱分解は、概して云えば、物
体、特に炭化水素を含む物体の、熱留出即ち分解である。使用済み車両タイヤの
場合には、このプロセスは、約500℃乃至約800℃の温度で、酸素を欠いた
状態で実行される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
熱分解により使用済みタイヤを分解するプロセスは、有意な量の、オイル、ガ
ス、カーボンブラック及び鋼鉄の再生を可能にする。多くの異なるプロセスが、
熱分解により生成されるこれらの価値ある生産物を再生するため設計されてきて
おり、これらの生産物を再生するため知られた様々な技術は、各々、それら自身
の独自で異なる問題を持っている。例えば、スクラップタイヤが熱分解されたと
きに形成されるオイルの再生は、常にチャレンジな問題であった。オイルは、典
型的には、熱分解反応器内で生成された熱分解ガスの凝結により生成されるが、
これらのガスは、典型的には、熱分解されたときスクラップタイヤから運び去ら
れた、主要にはカーボンダスト及びガラス繊維である微粒子物質を含む。この微
粒子物質は、設備、排気口及びフレームアレスター内に蓄積し、通路を事実上遮
蔽する。過去においては、熱分解ガス内の微粒子物質は、サイクロンで除去され
てきた。しかし、オイルが時期尚早に冷却されてサイクロン内で凝結し始めた場
合、凝結したオイルは、微粒子物質が接着するための表面を提供する。これは、
サイクロン内で遮蔽を生じさせるだけでなく、サイクロンに対して分離性能の低
下をもたらす。サイクロンの固有の設計パラメータに望ましくない変化を引き起
こすからである。更に加えて、パッケージされたベッドコンデンサーがシステム
内で用いられる場合、微粒子物質は、そのパッケージを汚染し、かくして開いた
領域を遮蔽し、ベッドに亘って圧力降下の耐え難い上昇を引き起こす。
【0004】 オイルを再生するときに起こる別の困難さは、熱分解反応器内で生成されたオ
イル蒸気に加えて、水蒸気もオイル蒸気と一緒に運ばれるという事実によって引
き起こされる。水に近い比重を有するオイルを熱分解する場合が、しばしば、こ
のような結果となる。その結果として、水及びそのようなオイルは、一緒に凝結
し、両者は、分離するのが困難となる乳濁液を形成し得る。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、例えば裁断化された車両タイヤなど、炭化水素を含む材料の熱分解
処理からオイルを再生するためのプロセスである。本発明のプロセスは、実質的
な量の熱分解オイルを再生するのみならず、従来技術で生じた上記した問題を解
決するためにも主眼が置かれている。
【0006】 スクラップタイヤの熱分解から再生された、カーボンブラック、オイル及びガ
スの分布は、熱分解が生じる温度によって影響を及ぼされる。より高い熱分解温
度では、ガス生成がオイル生成より優勢であることが周知されている。本分布は
、タイヤが、32.4%のカーボンブラック、12%のスチール、及び、55.
6%のオイル、及び、非凝結ガスの分解を呈する。オイル及び非凝結ガスのうち
、約50%が液体オイルとなり、残りの50%が非凝結ガスとなる。液体オイル
のうち約80%が、第1の即ち主要凝結器に収集され、約20%が第2の即ち2
次凝結器内に収集される。
【0007】 熱分解プロセスからの高温ガスは、例えば使用済みタイヤを処理する回転式か
まからの高温ガスは、第1のオイル凝結器に送られる。第1のオイル凝結器は、
各々反対方向にガス/液体が流れるところのパック化タワーを含む。様々な形式
のパック化材料が使用され得るが、好ましいパッキングは、大きい表面積及び高
い空洞部分比を有するポール・リング形式である。冷却されたオイルは、パック
化ベッドの頂上部に噴霧され、入ってきたガスの流れ内の蒸気を冷却、凝結及び
合体させるため使用される。冷却オイルの温度及び流れ率、並びに、パック化タ
ワーのサイズを制御することによって、タワーから出るガスの温度を制御するこ
とができる。好ましくは、タワーから出るガスの温度は、ガスの流れ内の水蒸気
の凝結点を超えるべきである。100℃〜105℃の温度が、第1のオイル凝結
器内で水が凝結されないことを確実にするため使用される。第1の凝結器内で水
の凝結を防止することによって、分離するのが困難である、望ましくないオイル
/水の乳濁液が生成されない。
【0008】 第1のオイル凝結器内のパッキングの汚染を防止するため、冷却オイルの噴霧
が、パッキングの下側に差し向けられる。この態様では、入ってきたガス流れの
微粒子物質は、上方に向けられて噴霧されたオイルで被覆されたパッキングの下
側表面に接着する。更に加えて、パッキングの下側への噴霧は、微粒子物質を、
パッキング上に残したままにしておく。該微粒子物質は、パッキングの頂上部か
らの噴霧が該パッキングを通過し、第1の凝結器の油だめ内にオイルが収集され
るときに、洗い出されるからである。第1の凝結器の油だめ内に収集されたオイ
ルは、ワイヤメッシュの二重フィルターを通して油だめから引き出される。この
フィルターは、オイルを含むより大きい微粒子物質を収集し、それを当該プロセ
スから除去する。これは、微粒子物質が、オイル噴霧ノズルを詰まらせるのを防
止する。ポンプは、フィルターを通過した後の当該オイルを、水冷式液体間熱交
換器を通して移動させる。冷却オイルは、第1の凝結器に戻され、そこで、前述
したように、パック化ベッドの頂上側及び下側に噴霧するため使用される。タワ
ーで凝結されたものに等しい、オイルの一部分は、除去され、当該プロセスから
のオイル生成品となる。凝結器で使用される噴霧ノズルは、該ノズルの詰まりを
防止するのを援助するため、比較的大きいノズル開口、即ち、0.48cm(3
/16インチ)以上の入口を含む単一の流体霧化ノズルである。
【0009】 第1のオイル凝結器から、ガスは第2のオイル凝結器に移行する。この第2の
凝結器は、ガスが、入ってきたガスの流れ内に含まれる水の凝結点より低く冷却
されることを除いて、第1の凝結器と類似の態様で作動する。その結果、水及び
オイルの両方は、この凝結器の油だめに収集される。しかし、第2の凝結器に収
集されたオイルは、典型的には、0.90乃至0.95の比重を有する。オイル
は、それと一緒に収集された水よりも濃度が低いので、オイル相及び水相の分離
を容易に達成することができる。第2の凝結器は、パッキングの頂上部へのオイ
ル噴霧を要求するだけであり、パッキングの下側に向けられたオイル噴霧は要求
しない。大部分の微粒子物質は、第1段階で除去されたからである。再び、タワ
ー内で凝結されたものに等しい、オイルの一部分は、当該プロセスからオイル生
成品として除去される。
【0010】 以上の結果として、本発明のプロセスは、熱分解反応器からの初期の高温ガス
排気流れ内に乗って運ばれたオイルのうち95%以上の再生を可能にする。この
オイルは、高温沸点熱分解オイル(60℃以上の引火温度)、並びに、低温沸点
オイル(34℃以下の引火温度)の両方を含む。更に加えて、最小量の凝結可能
蒸気を有する燃料ガスとして容易に使用であるガスが、第2の凝結器から生成さ
れる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図面は、本発明を実施する上で現在のところもっとも好ましいモードと考えら
れるものを示している。
【0012】 図1は、本発明で使用される熱分解ガスの源を提供する熱分解システム10を
示している。熱分解システム10は、裁断化されて供給された車両タイヤを受け
取るように作動し、熱分解によって、該裁断化車両タイヤを、例えばオイル、ガ
ス、スチールワイヤ、及び、カーボンブラックを含む炭などの望ましい材料に転
化させる。
【0013】 熱分解システム10は、概して、供給区分12、熱分解区分即ち反応器14、
及び、分離区分16を備える。車両タイヤの部品は、最初に、供給区分12に供
給され、該供給区分は、該車両タイヤ部品を、熱分解区分14に順次供給する。
車両タイヤ部品が熱分解区分14を通って移動するとき、該車両タイヤ部品内に
含まれる炭化水素は、排気ガスとして運び去られる。詳しくは、これらのガスは
、熱分解区分14内に配置された入口ポート20を有するガス吐出パイプ18を
介して、熱分解区分14から除去される。熱分解処理後の車両タイヤの残りの部
分が、例えば、炭及びスチールワイヤなどの望ましい材料である。熱分解区分1
4から出ると、炭及びスチールワイヤは、分離区分16に供給され、該区分で、
それらは、別個の最終生成品へと分離される。分離後には、これらの望ましい最
終生成品は、熱分解システム10より下流工程において既知のプラクティスに従
って処理され、事実上販売若しくは再利用することができる。
【0014】 ここで、図1を参照すると、車両タイヤ部品は、最初、矢印24により示され
たホッパー22内に供給される。車両タイヤ部品は、従来の裁断化技術(図示せ
ず)によって、ホッパー22より上流工程で形成することができる。或いは、遠
隔にあるタイヤ裁断化設備から移送することもできる。典型的には、使用済み車
両タイヤは、各々が最大約10cm(約4インチ)のサイズを有する個々の断片
部分に裁断される。車両タイヤの断片部分は、従来のコンベア技術によって、ホ
ッパー22の吸引端部に供給される。一対のダンプバルブ26が、ホッパー22
内に配置され、空気インターロックとして機能する。熱分解区分14内で生じる
熱分解反応は、空気が無い状態で発生しなければならないからである。ダンプバ
ルブ26を順次通過した後、スクラップタイヤの断片部分は、供給チャンバー2
8内に落ちる。その後、タイヤ断片部分は、回転可能なシリンダー30を介して
供給される。このシリンダーは、チャンバー28から熱分解区分14へ一定供給
量を輸送するためアルキメデスの螺旋として機能するスクリュー状内部フライト
32を含む。
【0015】 熱分解区分14は絶縁炉36を通って延在する回転式かま34を主に備える。
回転式かま34は、その長さ方向軸線の回りを回転可能であり、従来と同様に、
供給端部が吐出端部の上方にあって、その結果、その供給端部とその吐出端部と
の間で車両タイヤ断片部分の重力に起因した流れを生じさせるように傾けられて
いる。炉36は、回転式かま34を取り囲み、従来と同様に、回転式かま34を
加熱させるように作動する、複数の分離したバーナーアセンブリ(図示せず)を
備える。かま34は、約500℃及び約800℃の間の温度に加熱される。かま
34の高温作動温度は、車両タイヤの断片部分を急激に加熱させ、ひび割れを促
進し、車両タイヤの裁断部分内に含まれる軽量の炭化水素のうち何分の一かを蒸
発させる。蒸発された炭化水素の一部分は、回転式かま34の開いた内部への吐
出排気ガスとして解放され、ガス吐出パイプ18を通って外部に解放される。
【0016】 回転式かま34の吐出端部は、図1に示されるように、炉36から延在して分
離区分16内に入る。かま34の吐出端部は、熱分解区分14から出たスチール
ワイヤから炭材料を分離するように機能する、円筒形ふるい38を備える。円筒
形ふるい38は、炭が通過することが可能であるが、実質的な量のスチールワイ
ヤがそこを通過することを防止するのに十分小さいサイズに形成されたスロット
(図示せず)を備える。円筒形ふるい38によって、生成物の流れから分離され
た炭は、円筒形ふるい38内のスロットを通過し、炭樋40を通って、次いで収
集容器42に至る。容器42内の分離された炭は、様々な既知の機能のため利用
することができる市販グレードのカーボンブラックを生成するため従来技術によ
って下流工程で処理することができる。
【0017】 円筒形ふるい38からの生成品の流れ内に残っているスチールワイヤは、ワイ
ヤ樋44を通過し、ワイヤ収集容器46へと至る。容器46内に収集されたスチ
ールワイヤは、望ましい生成品を製造するため従来技術によって下流工程で処理
される。
【0018】 ここで、図2を参照すると、ガス吐出パイプ18は、回転式かま34の内部か
ら延在し、典型的には、負圧源(図示せず)に接続される。負圧源は、かま34
の内部から排出された排気ガスを引き出すように作動する。これらの排出された
ガスは、価値のある炭化水素燃料ガス、凝結可能なオイル、少量の蒸気(水蒸気
)、及び、ガスに乗って運ばれた固体微粒子物質を含む。
【0019】 吐出パイプ18により除去されたガスは、図2に示された再生システムを介し
て処理する、下流工程を経る。図示されたように、ガス吐出パイプ18は、高温
ガスを、第1の即ち主要オイル凝結器48内に供給する。オイル凝結器48は、
上側端部50、下側端部即ち油だめ52、及び、従来のパッキング54を詰めた
中央部分を有する、円柱タワーの形態にある。パッキング54は、分離した粒子
群の形態にあり、特に、高表面積及び高空洞率を有する、ポールリング(Pall r
ings)の形態にある。パッキング54は、従来のように、スクリーン56を介し
て凝結器48内に支持される。吐出パイプ18は、高温熱分解ガスを、スクリー
ン56の下方にあり且つ油だめ52の上方にある凝結器48の下側区分内に供給
する。これらの高温ガスは、約400℃乃至800℃の温度で凝結器48に入り
、パッキング54を通って上昇し、冷却され、約100℃乃至105℃の温度で
ライン58を介して凝結器48の上側端部50から出る。
【0020】 比較的低温のオイルが、パッキング54を通過する高温ガスを冷却するため使
用される。これは、ライン60及びノズル62を介して、パッキング54の頂部
上に冷却オイルを噴霧することにより達成される。かくして、パッキング54を
通って上方に通過する流入ガス流れ内の蒸気を冷却し、凝結し、及び、合体させ
るため、反対方向のガス/液対の流れが使用される。タワー48は、流入した熱
分解ガスを、凝結オイル及び微粒子物質を含む主要オイル部分、並びに、オイル
、炭化水素燃料ガス及び水蒸気を含む主要蒸気部分へと分離する。冷却されたオ
イルの温度及び流れ率、並びに、パック化(packed)タワー48のサイズを制御
することによって、凝結器48から出るガスの温度を制御することができる。好
ましくは、この温度を、ガス流れ内の水蒸気の凝結温度より高くなるよう制御す
ることが望ましい。かくして、約100℃乃至105℃の温度が、水が凝結器4
8内で凝結されないことを確実にするため選択される。第1の凝結器48におけ
る水の凝結を防止することによって、油だめ52内に収集された材料の中に、望
ましくないオイル/水の混合物を得ることがなくなる。凝結器48が、パイプ1
8内のガス流れの水蒸気の凝結温度より高い温度で作動するので、油だめ52内
に収集されたオイルは、比較的高い引火温度を有し、高沸点の熱分解ガスと考え
られる。即ち、約60℃以上の引火温度を有し、典型的には、約60℃乃至約9
0℃であり、好ましくは、約60℃である。
【0021】 パッキング54の汚染を防止するため、冷却オイルの噴霧は、ライン64及び
ノズル66を介してパッキング54の下側へと上方に向けられる。高温ガス内の
微粒子物質は、それが接触する第1の表面に接着するので、下側へのオイル噴霧
は、この物質をスクリーン56及び/又はパッキング54の下側層に接着させる
。次に、頂上側へのオイル噴霧は、この微粒子物質を、パッキング54及び/又
はスクリーン56上に残ったままにし、即ち、永久的に接着させる。その代わり
に、パッキング54の頂上部へと噴霧されたオイルは、パッキング54を通って
流れ、油だめ52内に収集されるので、微粒子物質は、洗い落とされる。かくし
て、油だめ52内のオイルは、微粒子物質、並びに、60℃より高い引火温度を
有する高沸点熱分解ガスを備える。
【0022】 凝結器48の油だめ52内に収集されたオイルは、ポンプ68によりライン5
7を介して油だめ52からフィルター70を通って引き出される。このフィルタ
ーは、オイル内に含まれるより大きな微粒子物質を収集し、それを除去してオイ
ル噴霧ノズル62及び66が詰まることを防止する。好ましくは、フィルター7
0は、ワイヤメッシュ二重フィルターである。ポンプ68は、フィルター70を
通過した後のオイルを、水冷式液体間熱交換器72を通過させる。冷却されたオ
イルは再利用される。即ち、該オイルは、ライン60及び64を介して凝結器4
8に戻され、そこで、再び、パッキング54の頂上側及び下側に噴霧される。凝
結器48内で凝結されたものに等しい、オイルの一部分は、ライン74を介して
取り除かれ、当該プロセスからの利用可能な最終生成品となる。凝結器48の上
側端部50から出たオイルライン58は、上述したように、約60℃以上の引火
温度を有するオイルを含む。
【0023】 ライン58を介して凝結器48から出たガスは、第2の、即ち2次凝結器76
に供給される。凝結器76は、凝結器48と同様であり、上側端部78、及び、
下側端部即ち油だめ80を有して円柱状に形成される。凝結器76は、その中央
区分においてリングパッキング82が詰められ、該リングパッキング82は、ス
クリーン84を介して支持される。
【0024】 凝結器76は、パッキング82の下方に約105℃でその下側区分に入るガス
が、水の凝結点より低く冷却されることを除いて、凝結器48と類似の態様で作
動する。かくして、水及びオイルの両方が、2次オイル部分として凝結器76の
油だめ80内に収集される。しかしながら、油だめ80内に収集されたオイルは
、低沸点形式、即ち、約34℃以下の引火温度を有する。この引火温度は、典型
的には、約34℃乃至約24℃であり、好ましくは、約30℃である。かくして
、オイルは、典型的には0.90乃至0,95の比重を有する。このオイルは、
水よりかなり濃度が低いので、オイル相及び水相、並びに、油だめ80内に収集
された材料との分離を容易に達成することができる。
【0025】 図2に示されたように、油だめ80内に収集されたオイル及び水の混合物は、
ライン88内のポンプ86を介して油だめ80から引き出され、水冷式液体間熱
交換器90を通過される。冷却オイルは戻され、即ち、ライン92を介して凝結
器76へと再利用され、そこでノズル94を介してパッキング82の頂上部へと
噴霧される。このオイルは、入ってきたオイルを、約105℃から約45℃へと
冷却するため使用され、その結果、凝結器76の上側端部78から出たガスがラ
イン96において5%より少ない凝結可能ガス蒸気を含むようになる。換言すれ
ば、ガス吐出パイプ18に含まれるオイルのうち90%以上が、図2に示される
システムを介して除去され、再生される。タワー76のうち上側端部78から出
たガスは、2次蒸気部分と本文中で称され、大部分の炭化水素燃料ガスと、該ガ
ス中に乗って運ばれた幾分かの凝結されたオイルミストとを含む。ライン96に
配置されたデミスター100は、当該ガス中に乗って運ばれた凝結オイルミスト
のほとんどを除去して、ドレインライン102を通過させる。デミスター100
から出たライン104内のガスは、貯蔵のため輸送されるか、或いは、燃料とし
て燃焼されてもよい。
【0026】 最後に、タワー76で凝結されたものに等しい、油だめ80及びパッキング8
2の間で循環されるオイルの一部分は、ライン98を介して除去され、当該プロ
セスからのオイル最終生成品として再利用される。上述したように、ライン98
内の材料は、水及びオイルの両方を含み、水とオイルとを分離するため下流工程
で従来技術により処理される。しかし、このオイルは、低沸点オイル即ち、約3
4℃以下の引火温度を有するオイルと考えられるものである。
【0027】 かくして、使用済み車両タイヤの熱分解から使用可能な生成品の再生を可能に
するシステムが、図示され、説明された。特に、従前のシステムの欠点を回避す
るシステムが説明された。凝結器48及び76の温度及びサイズ、並びに、冷却
オイルの流れ率を制御することによって、凝結器から出るガスの温度を制御する
ことができ、このプロセスから得られるオイル及びガスの最終生成品の組成も同
様に制御することができる。
【0028】
【実施例】
(実施例1) 図2に従って構成された、毎日100トンのサイズの熱分解プラントで使用す
ることのできるサンプルデータを次の表に示す。
【0029】
【表1】
【0030】 (実施例2) 次の表は、タイヤの2つの異なるソースに対して、図2に示されたように構成
されたシステムから、テストケースのプラント研究で収集されたオイルの組成を
示した表である。ここで、ソース1は、使用済み自動車タイヤからのものであり
、ソース2は、拒絶された即ちオフスペックのOEM自動車タイヤからのものであ
る。
【0031】
【表2】
【0032】 (実施例3) 次の表は、図2に示されたように構成されたタイヤ熱分解のテストケースプラ
ントにおけるライン104から得られた生成品に対する、典型的な凝結不能ガス
の分析結果を示す表である。
【0033】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、裁断化された車両タイヤから、例えばオイル、ガス、炭、及び、スチ
ールワイヤなどの望ましい材料を生成するための典型的な熱分解システムの概略
図である。
【図2】 図2は、図1のシステムで生成された熱分解排気ガスからオイルを凝結し、収
集するため使用される本発明のオイル再生システムの概略図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 アンターウェガー,ロバート・ジェイ アメリカ合衆国ウィスコンシン州53058, ナショタ,ロード・エム ノース58ウエス ト33280 Fターム(参考) 4H029 CA01 CA14

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭化水素を含む材料の熱分解処理からオイルを再生するため
    のシステムであって、 水蒸気、炭化水素燃料ガス、凝結可能なオイル及び微粒子物質を含む熱分解ガ
    スの源と、 前記熱分解ガスの源を、オイル及び微粒子物質を含む主要オイル部分と、オイ
    ル、炭化水素燃料ガス及び水蒸気を含む主要蒸気部分とに分離するための主要オ
    イル凝結器であって、該主要オイル凝結器は、前記熱分解ガスの源の水蒸気の凝
    結点より高い温度で作動し、該主要オイル凝結器は、前記熱分解ガスを受け取る
    ための入口、該主要オイル部分を収集するための第1の出口、及び、該主要蒸気
    部分を収集するための第2の出口を備える、前記主要オイル凝結器と、 前記主要蒸気部分を、オイル及び水を含む2次オイル部分と、炭化水素燃料ガ
    スを含む2次蒸気部分とに分離するための2次オイル凝結器であって、該2次オ
    イル凝結器は、前記主要蒸気部分内の水蒸気の凝結点より低い温度で作動し、該
    2次オイル凝結器は、該主要蒸気部分を受け取るための入口、該2次オイル部分
    を収集するための第1の出口、及び、該2次蒸気部分を収集するための第2の出
    口を備える、2次オイル凝結器と、 を含む、システム。
  2. 【請求項2】 前記主要オイル部分は、約60℃以上の引火温度を有する、
    請求項1に記載のシステム。
  3. 【請求項3】 前記2次オイル部分は、約34℃以下の引火温度を有する、
    請求項1に記載のシステム。
  4. 【請求項4】 前記2次オイル部分は、約0,90乃至約0.95の比重を
    有する、請求項1に記載のシステム。
  5. 【請求項5】 3次オイル部分及び3次蒸気部分を提供するため、前記2次
    蒸気部分に乗って運ばれた、凝結したオイルミストを除去するための3次オイル
    分離器を更に備える、請求項1に記載のシステム。
  6. 【請求項6】 前記3次オイル分離器は、デミスターである、請求項5に記
    載のシステム。
  7. 【請求項7】 前記主要オイル凝結器は、上側端部、下側端部及びパッキン
    グを詰めた中央部分を有する、パック化タワーである、請求項1に記載のシステ
    ム。
  8. 【請求項8】 前記パッキングの汚染を防止するため前記主要オイル部分の
    一部分を前記パック化タワーへと再利用するための手段を更に備える、請求項7
    に記載のシステム。
  9. 【請求項9】 前記パッキングの上方に配置され且つ該パッキングに向かっ
    て下方にオイルを噴霧するように方向付けられた少なくとも1つの上側噴霧ノズ
    ルと、前記パッキングの下方に配置され且つ該パッキングに向かって上方にオイ
    ルを噴霧するように方向付けられた少なくとも1つの下側噴霧ノズルと、前記主
    要オイル凝結器の前記第1の出口から前記上側及び下側噴霧ノズルへ前記主要オ
    イル部分の一部分を送り出すためのポンプと、を更に備える、請求項7に記載の
    システム。
  10. 【請求項10】 前記主要オイル部分から微粒子物質を除去するため、前記
    ポンプと前記主要オイル凝結器の第1の出口との間に配置されたフィルターを更
    に備える、請求項9に記載のシステム。
  11. 【請求項11】 前記主要オイル部分を、前記パッキングに噴霧する前に冷
    却するため、前記ポンプと前記ノズルとの間に配置された熱交換器を更に備える
    、請求項9に記載のシステム。
  12. 【請求項12】 前記2次オイル凝結器は、上側端部、下側端部、及び、パ
    ッキングを詰めた中央部分を有するパック化タワーである、請求項1に記載のシ
    ステム。
  13. 【請求項13】 前記主要蒸気部分内のオイル及び水を凝結するため、前記
    2次オイル部分の一部分を前記パック化タワーへと再利用するための手段を更に
    備える、請求項12に記載のシステム。
  14. 【請求項14】 前記パッキングの上方に配置され、且つ、前記パッキング
    へと下方にオイルを噴霧するように方向付けられた少なくとも1つの上側噴霧ノ
    ズルと、前記2次オイル凝結器の前記第1の出口から前記上側噴霧ノズルへ前記
    2次オイル部分の一部分を送り出すためのポンプと、を更に備える、請求項12
    に記載のシステム。
  15. 【請求項15】 前記2次オイル部分を、前記パッキングに噴霧する前に冷
    却するため、前記ポンプと前記上側ノズルとの間に配置された熱交換器を更に備
    える、請求項14に記載のシステム。
  16. 【請求項16】 炭化水素を含む材料の熱分解処理からオイルを再生するた
    めの方法であって、 水蒸気、炭化水素燃料ガス、凝結可能なオイル及び微粒子物質を含む熱分解ガ
    スの源を用意し、 前記熱分解ガスを、約60℃以上の引火温度を有するオイル及び微粒子物質を
    含む主要オイル部分と、約60℃以下の引火温度を有するオイル、水蒸気及び炭
    化水素燃料ガスを含む主要蒸気部分とに分離し、 前記主要蒸気部分を、水及び約34℃以下の引火温度を有するオイルを含む2
    次オイル部分と、炭化水素燃料ガスを含む2次蒸気部分とに分離する、各工程を
    含む、前記方法。
  17. 【請求項17】 3次オイル部分及び3次蒸気部分を提供するため、前記2
    次蒸気部分に乗って運ばれた、凝結したオイルミストを除去する工程を更に含む
    、請求項16に記載の方法。
  18. 【請求項18】 熱分解ガスを、主要オイル部分及び蒸気部分に分離する工
    程は、熱分解ガスを、パッキングを詰めた中央部分を有し且つ前記熱分解ガス内
    の水蒸気の凝結点を超える温度で作動するパック化タワーに供給する工程を含む
    、請求項16に記載の方法。
  19. 【請求項19】 前記パッキングの汚染を防止するため、前記主要オイル部
    分の一部分を前記パック化タワーへと再利用する工程を更に含む、請求項18に
    記載の方法。
  20. 【請求項20】 前記再利用工程は、前記パッキングに向かって下方に前記
    主要オイル部分を噴霧する工程を備える、請求項19に記載の方法。
  21. 【請求項21】 前記再利用工程は、前記パッキングに向かって上方に前記
    主要オイル部分を噴霧する工程を備える、請求項19に記載の方法。
  22. 【請求項22】 前記パック化タワーに前記主要オイル部分を再利用する前
    に、該主要オイル部分から前記微粒子物質を除去する工程を更に含む、請求項1
    9に記載の方法。
  23. 【請求項23】 前記パック化タワーに前記主要オイル部分を再利用する前
    に、該主要オイル部分を冷却する工程を更に含む、請求項19に記載の方法。
  24. 【請求項24】 前記主要蒸気部分を、2次オイル部分及び2次蒸気部分に
    分離する工程は、熱分解ガスを、パッキングを詰めた中央部分を有し且つ前記主
    要蒸気部分内の水蒸気の凝結点より低い温度で作動するパック化タワーに供給す
    る工程を含む、請求項16に記載の方法。
  25. 【請求項25】 前記主要蒸気部分内の水及びオイルを凝結するため、前記
    2次オイル部分の一部分を前記パック化タワーへと再利用する工程を更に備える
    、請求項24に記載の方法。
  26. 【請求項26】 前記再使用工程は、前記2次オイル部分を、前記パッキン
    グに向かって下方に噴霧する工程を備える、請求項25に記載の方法。
  27. 【請求項27】 前記2次オイル部分を、前記パック化タワーへと再利用す
    る前に、該2次オイル部分を冷却する工程を更に含む、請求項25に記載の方法
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