JP2002524993A - オーディオシステムにおける低音強化手段 - Google Patents

オーディオシステムにおける低音強化手段

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Abstract

(57)【要約】 知覚されるオーディオ信号を改善するために、この知覚されるオーディオ信号が実際に存在するよりも低い周波数信号部分を有するような錯覚を生じさせる高調波発生器を使用することは既知である。本発明は、知覚される所謂超低音信号(例えば、20ないし70Hz)が改善されるのみならず、該超低音信号と通常のオーディオ信号との間の周波数帯域内の信号も形成されるようなオーディオシステムを提案する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】
本発明は、請求項1の前置部に記載したようなオーディオシステムに関する。
更に、本発明は強化手段にも関する。
【0002】
【背景技術】
オーディオ信号の高忠実度再生は、理想的には、人の聴取範囲にわたり音声を
高信頼度で再生することが可能な音声トランスジューサを必要とする。これは、
20ないし20,000Hzであると決定されている。しかしながら、現実には
、最も高忠実度なスピーカシステムは40ないし20,000Hzの周波数範囲
内の音声を再生することができるのみである。これらの高忠実度システムは、上
記周波数範囲の高端を再生するための小さなトランスジューサ(ツイータ)と、
該周波数範囲の低端を再生するための比較的大きなトランスジューサ(ウーファ
)とを含んでいる。当然、これらスピーカシステムは寸法が大きく、聴取領域に
おいてかなりの量の空間を占めてしまう。
【0003】 しかしながら、高忠実度音声を楽しみたいが、高忠実度スピーカシステム用の
空間を有していないような多くの顧客が存在する。この問題を認識している製造
者は、これらの顧客に対して、小さなスピーカシステムを備える小型オーディオ
システムを市販してきている。しかしながら、スピーカシステムの寸法が比較的
小さいため、これらの小さなスピーカシステムは、40ないし100Hzの範囲
内のオーディオ周波数を再生することはできない。かくして、これらの小型のオ
ーディオシステムを使用する顧客は、この欠点に気付き、該システムに失望する
可能性がある。
【0004】 このようなオーディオシステムは、ヨーロッパ特許出願第EP-A-0546619号(出
願人整理番号:PHA40624)から既知である。該発明はダイナミックスピ
ーカのものであるため、特に低周波数において大きな音響出力を必要とする。し
かしながら、例えばテレビジョン受信機又は可搬型オーディオセットにおいては
、スピーカの小さな寸法により該音響出力が厳しく制限されることがしばしばあ
る。この矛盾は、高い低音応答性の錯覚を引き起こしながら、スピーカはこれら
低周波数では多くの出力を放射していないような仮想ピッチ又は欠損基本波とし
ばしば呼ばれる心理音響現象を用いて解決することができることが知られている
。この錯覚は、当該オーディオ信号中には存在するが小さなスピーカによっては
再生することができないような低周波数音を、これらの音の高調波により置換す
ることにより生じさせることができる。この場合、これら高調波は上記低周波音
、所謂超低音、を表している。
【0005】 上記既知のオーディオシステムにおいては、オーディオ信号の低周波数帯域が
選択され、該選択された信号の高調波を発生する高調波発生器の形態の強化手段
へ供給される。発生された高調波は、その後、上記オーディオ信号に加算される
。このようにして、当該オーディオ信号の低周波数知覚が改善される。該既知の
オーディオシステムにおいては、全波整流器が高調波発生器として使用され、該
発生器は偶数高調波のみしか発生しない。
【0006】
【発明の開示】
本発明の1つの目的は、知覚される低周波数オーディオ信号を更に改善するこ
とにある。
【0007】 この目的のため、本発明の第1の特徴は、請求項1に記載されたようなオーデ
ィオシステムを提供する。
【0008】 当該オーディオ信号の第2選択部分を増幅手段により増幅することにより、所
謂超低音に対して選択されなかった低音信号の部分を増幅することが可能となる
。これにより、前記高調波発生器によっては改善されない当該オーディオ信号の
部分の知覚が改善される。例えば20ないし70Hzの周波数範囲を持つ上記超
低音信号は前記高調波発生器により改善され、当該オーディオ信号の70ないし
100Hzの範囲内の部分は上記増幅手段において増幅することにより改善され
る。
【0009】 本発明によるオーディオシステムの一実施例は、請求項2の特徴を有する。
【0010】 上記高調波発生器と増幅手段との直列配置は、知覚されるオーディオ信号の更
なる改善を得ることを可能にする。
【0011】 本発明によるオーディオシステムの一実施例は、請求項3の特徴を有する。
【0012】 上記高調波発生器及び/又は増幅手段の増幅係数を当該オーディオ信号の音量
に依存させることにより、当該オーディオ信号の低周波数部分の動的制御が得ら
れる。殆ど低周波数信号を有さないオーディオ信号に対しては、上記高調波発生
器及び増幅手段は、高い低周波数信号レベルを持つ低周波数信号に対してよりも
、得られる信号を、より大きく増幅することができる。このようにして、一層高
いレベルの低周波数オーディオ信号により、歪みを防止することができる。
【0013】 本発明によるオーディオシステムの一実施例は、請求項4の特徴を有する。
【0014】 これにより、上記強化手段の出力信号を制御する可能性が、更に改善される。
【0015】 本発明、及び本発明を有利に実施化するために任意選択的に使用することが可
能な追加の特徴は、図に示され且つ以下に説明する例を参照して、明らかにされ
且つ解説されるであろう。
【0016】 尚、これら図を通して、対応する各部は対応する符号により参照されるであろ
う。
【0017】
【発明を実施するための最良の形態】 図1は、従来技術のオーディオシステムAS1の概念的実施例を示し、該システ
ムは処理手段PM1と強化手段EM1とを有している。該オーディオシステムは、更に
、オーディオ入力信号i1を入力する入力端子I1と、例えばスピーカ(図示略)に
供給されるべきオーディオ出力信号o1を出力する出力端子O1とを有している。上
記処理手段及び強化手段は、共に、上記オーディオ入力信号を入力するために上
記入力端子に結合されている。上記処理手段及び強化手段の出力端子は、上記の
処理された信号を加算すると共に、合成された信号を出力端子O1に供給する加算
手段SUM1の各入力端子に結合されている。
【0018】 上記オーディオシステムAS1の動作は次の通りである。即ち、上記の入力され
た入力信号i1は、オーディオシステムにおいて通常なされるように処理手段PM1
において処理されるが、該処理手段は当業者にとっては既知のものであるので、
これ以上の説明は必要ないであろう。強化手段EM1は上記入力信号i1から、別途
処理されるべき周波数範囲を選択し、後に加算手段SUM1において上記の処理され
た信号と加算される。該従来技術の強化手段は、所謂超低音信号を発生する高調
波発生器を有している。
【0019】 以下においては、本発明による強化手段の動作を、更なる図を参照して、より
詳細に説明する。
【0020】 図2は、本発明による強化手段の第1実施例EM2を示す。この実施例において
は、上記強化手段は、第1フィルタ手段FM21を介して該強化手段EM2の入力端子
に結合されると共に、第2フィルタ手段FM22を介して当該強化手段の出力端子に
おける加算手段AM2に結合された高調波発生器Hg2を備えるような超低音発生器UB
g2を有している。加算手段AM2の出力端子は、当該オーディオシステムの加算手
段SUM2(図示略、図1参照)に結合することができる。高調波発生器Hg2並びに
フィルタ手段FM21及びFM22には、増幅手段AMM2が並列に結合されている。該増幅
手段の出力端子は、加算手段AM2の他方の入力端子に結合されている。
【0021】 高調波発生器Hg2は、当該信号の例えば20ないし70Hzの低周波数範囲、
所謂超低音、の高調波を発生して、知覚される低周波数信号を改善する。
【0022】 上記増幅手段は、低音信号のうちの高調波発生器Hg2において扱われない部分
を増幅するように構成されている。例えば、該増幅手段は、70ないし100H
zの周波数帯域における信号を増幅して、当該信号の上記部分の知覚を改善し、
これにより全体の知覚されるオーディオ信号を改善する。
【0023】 図3は、第2実施例の強化手段EM3を示し、該強化手段は増幅手段AMM3と超低
音発生器UBg3とを有する一方、これら増幅手段及び超低音発生器は(機械的)制
御手段CM3により制御される。該制御手段は制御信号cs3を上記増幅手段と超低音
発生器とに供給して、両者の増幅係数(又は複数の増幅係数)を当該オーディオ
入力信号の振幅レベルに依存して制御する。上記超低音発生器と増幅手段との動
作を音量に依存させることにより、高入力レベルにおける歪みが克服されるであ
ろう。
【0024】 図4は、第3実施例の強化手段EM4を示し、該手段は高調波(例えば超低音)
発生器UBg4と増幅手段としてのダイナミック低音強化手段DBEM4との直列配置を
有している。
【0025】 低周波数信号部分の高調波を発生するために、信号は超低音発生器UBg4に供給
される。該UBg4の出力は、他方の入力端子で入力信号i4を入力する加算手段AM4
に供給される。合成された信号は、入力された信号を当該信号の音量に依存して
増幅する所謂ダイナミック低音強化手段DBEM4に供給される。これにより、高レ
ベルの低周波数信号による出力信号の歪みは、更に克服されるであろう。
【0026】 図5は、第4実施例の強化手段EM5を示し、該手段はダイナミック低音強化手
段DBEM5(増幅手段としての)と、超低音発生器UBg5(高調波発生器としての)
とを並列に有している。これらの出力信号を加算するために、各出力端子は加算
手段AM5に結合されている。該加算手段の出力は、SUM5(図1参照)に供給され
る。更に、この出力信号は低音発生器エネルギ制御手段BM5に供給されて、低音
信号のエネルギを検出すると共に、上記ダイナミック低音強化手段DBEM5には第
1制御信号cs51を供給し、上記超低音発生器UBg5には第2制御信号cs52を供給す
る。該低音エネルギ手段BM5は、ダイナミック低音強化手段DBEM5の出力信号及び
超低音発生器UBg5の出力信号も入力信号として入力する。これにより、該強化手
段の性能が更に改善される。
【0027】 図6は、超低音発生器の一実施例UBg6(高調波発生器としての)を示し、ここ
で、発生される超低音信号は入力される入力信号に依存し、該発生された超低音
信号は加算手段AM6において上記入力信号に加算される。これにより、該高調波
発生器は(入力)信号に依存させられる。
【0028】 図7は、強化手段の第5実施例EM7を示し、該手段は所謂外低音(infra bass
)発生器IBg7と所謂超低音(ultra bass)発生器との直列配置を有している。こ
こで、上記超低音発生器UBg7の出力信号は加算手段において入力信号と加算され
る。外低音発生器は入力信号において得られるよりも低い信号周波数を作成する
一方、超低音発生器は低周波数入力信号の高調波を作成して、入力信号が有する
よりも低い周波数の錯覚を生じさせる。
【0029】 尚、上記においては、本発明が幾つかの実施例に基づいてのみ説明されたこと
に注意すべきである。上記の別々の実施例は、異なる利点を得るために合成する
ことができる。例えば、前記超低音発生器の実施例UBg6(図6)を、前記強化手
段の実施例(例えば図5)と合成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、従来技術のオーディオシステムの概略実施例を示す。
【図2】 図2は、本発明による強化手段の第1概略実施例を示す。
【図3】 図3は、本発明による強化手段の第2概略実施例を示す。
【図4】 図4は、本発明による強化手段の第3概略実施例を示す。
【図5】 図5は、本発明による強化手段の第4概略実施例を示す。
【図6】 図6は、本発明による超低音発生器の概略実施例を示す。
【図7】 図7は、本発明による強化手段の第5概略実施例を示す。
【符号の説明】
AM2〜AM7…加算手段 AMM2、AMM3…増幅手段 AS…オーディオシステム DBEM4、DBEM5…ダイナミック低音強化手段 EM1〜EM7…強化手段 Hg2…高調波発生器 I1…入力端子 i1〜i6…入力信号 O1…出力端子 o1…出力信号 SUM1〜SUM6…加算手段 UBg2〜UBg7…超低音発生器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 Groenewoudseweg 1, 5621 BA Eindhoven, Th e Netherlands (72)発明者 ポリセット キャサリーン オランダ国 5656 アーアー アインドー フェン プロフ ホルストラーン 6 (72)発明者 アールツ ロナルドゥス エム オランダ国 5656 アーアー アインドー フェン プロフ ホルストラーン 6 Fターム(参考) 5D020 AC07 5J030 AA07 AB01 AC02 AC09 AC26

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オーディオ信号を入力する入力端子と、出力信号を出力する
    出力端子と、前記入力されたオーディオ信号を処理する処理手段と、強化手段と
    を有し、該強化手段が、前記オーディオ信号の一部を選択する選択手段と、前記
    オーディオ信号の該選択された一部の高調波を発生する高調波発生器とを有する
    ようなオーディオシステムにおいて、 前記強化手段が、増幅手段と第2選択手段とを有し、前記オーディオ信号の第
    2の選択された部分を増幅することを特徴とするオーディオシステム。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のオーディオシステムにおいて、前記強化手
    段が、前記高調波発生器と前記増幅手段との直列配置を有していることを特徴と
    するオーディオシステム。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のオーディオシステムにおいて、前記高調波
    発生器及び/又は前記増幅手段が制御手段に結合され、該制御手段が前記オーデ
    ィオ信号の音量に依存して制御信号を供給するように構成されていることを特徴
    とするオーディオシステム。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のオーディオシステムにおいて、前記増幅手
    段と前記高調波発生器とが並列に結合され、これらの各出力端子が加算手段の入
    力端子に結合されると共に、前記高調波発生器及び前記増幅手段の出力信号を検
    出し且つ制御する制御手段に結合されていることを特徴とするオーディオシステ
    ム。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載のオーディオシステムに使用する強化手段。
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