JPH07226992A - 低音域成分補償方法 - Google Patents

低音域成分補償方法

Info

Publication number
JPH07226992A
JPH07226992A JP12374094A JP12374094A JPH07226992A JP H07226992 A JPH07226992 A JP H07226992A JP 12374094 A JP12374094 A JP 12374094A JP 12374094 A JP12374094 A JP 12374094A JP H07226992 A JPH07226992 A JP H07226992A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
component
bass
harmonic
speaker
low
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP12374094A
Other languages
English (en)
Inventor
Chin Hon N
ホン ン・チン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP12374094A priority Critical patent/JPH07226992A/ja
Publication of JPH07226992A publication Critical patent/JPH07226992A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Circuit For Audible Band Transducer (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 スピーカのスペース、コスト等の制約を受け
ず、増幅器の特性を犠牲にすることなく強力な低音域を
感じさせるサウンドを得ることができる低音域成分補償
方法を提供すること。 【構成】 入力信号S0から、スピーカによる再生にお
ける減衰の大きな低音域成分を抽出する低音域抽出器2
と、その抽出した低音域成分を正規化するノーマライザ
3と、その正規化された信号S3に基づき発生させた、
スピーカによる再生における減衰が小さい周波数の第2
高調波S4、第3高調波S5、より高次の高調波S6と
入力信号S0とを合計する総和器7とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低音域応答の貧弱なス
ピーカのために、低音域成分の欠如の補償、すなわち、
低音域成分に基づいて、高調波成分を発生し、基音信号
の欠如を補償する低音域成分補償方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】今日に至るまで、強く、深みのある低音
域のサウンドの人気が高まるにつれて、オーディオ・プ
レーヤ低音域出力のパワーを増強するため、多大の努力
が払われてきた。従来、この問題は、スピーカの設計及
び増幅回路の設計の両方または一方において取り扱われ
る。スピーカの周波数応答は、一般に、共振点未満の周
波数の場合、12dB/オクターブでロール・オフす
る。従って、スピーカの低音域応答は、多数のスピーカ
設計パラメータ及び素材を適切に選択して、共振周波数
をできるだけ低くすることによって、改善することが可
能である。又、線形低音域ブースト回路を用いることに
よって、低音域信号を増幅し、これによって、増幅器か
らスピーカへの低音域パワーをより強く駆動することが
可能である。このとき、共振点未満のロール・オフが急
速に生じるため、かなりの増幅が必要になる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ような方法は、強力な低音を発生するのに有効である
が、適合しない場合がある。例えば、スペースの制約、
美観上の理由、コスト等のため、共振周波数の低いスピ
ーカを設計するのが困難になる。又、線形低音域ブース
ト回路を組み込むと、この問題が軽減されるが、十分で
はなく、増幅器のヘッド・ルームを犠牲にすることにな
る。すなわち、オーバ・ドライブすると、増幅器の出力
信号にクリッピングが生じるという課題がある。
【0004】本発明は、従来の低音域再生のこのような
課題を考慮し、スピーカのスペース、コスト等の制約を
受けず、増幅器の特性を犠牲にすることなく強力な低音
域を感じさせるサウンドを得ることができる低音域成分
補償方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1の本発明は、入
力信号から、所定のスピーカ再生における音圧が低い低
音域成分を抽出し、その抽出した低音域成分に基づき、
前記スピーカによる音圧が高い周波数の高調波を生成
し、その生成した高調波を前記入力信号と混合し、複合
トーンに関する人間の聴覚の音響心理学的効果を利用す
ることによって前記スピーカの再生による低音域成分を
補償することを特徴とする低音域成分補償方法である。
【0006】請求項4の本発明は、入力信号から、所定
のスピーカ再生における音圧が低い低音域成分を抽出
し、その抽出した低音域成分のレベルを予め決められた
所定のレベルに調整し、その調整した低音域成分に基づ
いて、前記スピーカによる音圧が高い周波数の高調波を
生成し、その生成した高調波のレベルを前記元の低音域
成分に対応する関係になるように再調整し、その再調整
した高調波を前記入力信号と混合し、複合トーンに関す
る人間の聴覚の音響心理学的効果を利用することによっ
て前記スピーカの再生による低音域成分を補償すること
を特徴とする低音域成分補償方法である。
【0007】
【作用】本発明は、例えば、任意のオーディオ・プレー
ヤに適用して、減衰した低音域成分に基づいて、よく聴
きとれる高調波を発生し、その高調波を元の信号に混合
することにより、スピーカの再生におけるこれらの失わ
れた、または、弱い低音域成分のピッチを、聴取者が感
知できるようにすることによって、低音域の欠如を補償
することができる。
【0008】また、本発明は、例えば、任意のオーディ
オ再生装置に適用することが可能であり、アナログ回路
またはデジタル信号プロセッサを利用して、経済的に実
施することが可能である。
【0009】
【実施例】以下に、本発明をその実施例を示す図面に基
づいて説明する。
【0010】図1は、本発明の低音域成分補償方法にお
ける概念を示す図である。ここで、スピーカの周波数応
答が、f0 の下方共振周波数を有しているものと仮定す
る。図1に示すように、スピーカの応答は、f0 未満の
周波数の場合、一般に、12dB/オクターブで急速に
ロール・オフする。1つの音楽に6dBのカット・オフ
周波数未満の低音域成分が含まれている場合、これらの
成分は、大幅に減衰する(音圧が低い)ことになる。例
えば、図1(a)に示すf1 の成分は、このスピーカで
はほとんど再生されない。この問題を解決するため、低
域フィルタを利用して、周波数がf0 を超える全ての成
分を排除し、この成分が抽出される。次に、この抽出さ
れた成分に処理を施して(詳細は後述)、図1(b)に
示されているように、それぞれ、2f1、3f1、及び、
4f1 といった第2、第3、及び、第4高調波を発生さ
せる。発生させたこれらの高調波は、もとの音楽信号に
加えられる。これらの高調波は周波数がf0 を超えてい
るので、あまり減衰させず(音圧が高い)にスピーカで
再生することが可能である。聴取者がこの混合されたト
ーンを検出する場合、明瞭なピッチは、高調波周波数の
平均ではない。代わりに、その周波数が連続した高調波
間の差、すなわち、f1 に等しいトーンのピッチであ
る。すなわち、基音の低域成分は、失われているか、ま
たは、大幅に、減衰して(音圧が低い)いるが、人間の
聴覚系のこうした音響心理学的効果によって、聴取者に
は感知される。従って、本来ならf1 の成分が聞き取れ
ないか、あるいは、ほとんど聞き取れないということを
容認せずに、音響心理学的低音域ブーストシステム(以
下、PBBSと呼ぶ)によって、f1 のピッチを備え
た、強い低域のサウンドが作り出される。
【0011】このとき、もとの基音に関する各高調波の
パワーだけでなく、高調波の数も、設計選択の重要点に
なる。高調波を加えすぎると、いらだたせる歪みを生じ
ることになり、一方、量が少なすぎると、この方法が無
効になる。以上の構成は、試聴によって決定すべきであ
り、おそらく、最良の調和を得るには、スピーカ毎に異
なることになる。経験則に従って、基音のパワー及びそ
の発生する高調波は、降順とする。多くの場合、第4高
調波及びより高次の高調波は、サウンドの質にあまり影
響しないので、無視することができる。これによって、
合成出力信号の振幅は、もとの信号の振幅よりも大きく
なってはならない。さらに、増幅器のヘッド・ルームに
重大な劣化を生じることがあってはならない。
【0012】高調波成分は、基音成分に数学的操作を加
えることによって発生させることができる。基音成分を
二乗することによって、(数1)に示すように、第2高
調波+定数項が得られる。従って、基音を二乗し、次
に、定数項を引くことによって、(数2)に示される純
粋な第2高調波が得られる。
【0013】
【数1】
【0014】
【数2】cos2θ=2cos2 θ−1 ここで、θ=ωt ω=基音信号の角周波数 t=時間 同様に、第3高調波は、(数3)により基音の三乗から
基音の適合する量を引くことによって得ることができ
る。更に、(数4)により第4高調波は、第2高調波又
は基音から直接得ることができる。
【0015】
【数3】cos3θ=4cos3θ−3cosθ
【0016】
【数4】cos4θ=2cos2 2θ−1 =8cos4 θ−8cos2 θ+1 本発明は、上述の数学的操作を利用して、高調波を発生
するものである。図2及び図3は、この方法を実現する
ための第1の実施例におけるPBBSのブロック図であ
る。この装置は、直流リムーバ1、低音域抽出器2、ノ
ーマライザ3、第2高調波発生器4、第3高調波発生器
5、及び、必要があれば、さらに高次の高調波発生器6
等から構成される。以下に、それら各部の機能について
説明する。 a)直流リムーバ1 入力信号S0には、前段部からの直流オフセットによる
直流成分が含まれている場合が多い。それを除去するに
は、直流リムーバ1が必要になる。さもなければ、直流
成分によって、後続段における処理時に、望ましくない
副産物が生じることになる。直流リムーバ1は、10H
zといったオーディオ信号に影響しないように、十分に
低い、3dBカット・オフ周波数を有する高域フィルタ
によってしか実現することができない。 b)低音域抽出器2 低音域抽出器2は、S1から高周波数を除去し、高調波
を発生するための基音となる低音域成分だけを保持する
ために利用される。問題となる低音域成分が、スピーカ
によって大幅に減衰する(音圧が低い)ので、低音域抽
出器2は、その3dBカット・オフ周波数が補償すべき
スピーカのカット・オフ周波数と理想的に等しくなる低
域フィルタによって実現することができる。 c)ノーマライザ3 ノーマライザ3は、低音域成分の抽出後、抽出信号S2
の振幅を1にするために利用される。高調波発生プロセ
スは、非線形、すなわち、発生する高調波の振幅が、抽
出信号の振幅に比例しないので正規化が必要になる。例
えば、入力信号Acosθの振幅がA=0.5の場合、
この信号を二乗することによって、振幅がA2 =0.2
5に比例する第2高調波が生じる。しかしA=0.05
の場合は、A2 =0.0025になり、この結果、基音
に比べてはるかに小さい第2高調波になってしまう。正
規化は、そのもとの振幅とは独立した入力信号を処理す
るという利点を与える。
【0017】ノーマライザ3は、入力信号の振幅を導き
出す振幅抽出器8と、入力信号を導き出した振幅で割る
ことによって、正規化信号が得られるようにする割算機
能37とから構成される。振幅抽出器8を実現する例の
1つでは、2つの特殊な設計を施した全通過フィルタ3
1,32から構成されている90゜の位相差ネットワー
クを利用して、入力信号S2から、2つの直角位相信
号、すなわち、Cos出力S32及びSin出力S31
を発生する。Cos出力S32は、90゜の位相差でS
in出力S31を引き出す。2つの直角位相成分を発生
するもう1つの例では、ヒルベルト変換を利用する。こ
れらの直角位相信号を二乗して、次に、合計することに
よって、振幅S35の二乗、すなわち、(数5)が得ら
れる。
【0018】
【数5】(Acosθ)2+(Asinθ)2=A2 次に、平方根機能36を適用することによって、振幅S
36が導き出される。平方根を計算する例の1つでは、
(数6)による近似が用いられる。計算結果のエラー
は、範囲が0.251の場合、1%未満になる。
【0019】
【数6】 √x=1.454895x−1.34491x2 +1.106812x3−0.536499x4 +0.1121216x5+0.2075806 xが0.25〜1の範囲外の場合、スケーリングを施し
て、この範囲内の値にしなければならない。スケーリン
グを施した値にこの計算を適用し、次に、その結果にス
ケーリング値の平方根を掛けることによって、もとの値
の平方根が得られる。
【0020】振幅を導き出した後、導き出した振幅Aで
入力信号を割ることによって、正規化信号S3を得るこ
とができる。割算機能37は、設計者が適合すると考え
る精度まで、長除法(long division method)によって
近似することができる。デジタル信号プロセッサを利用
して実施する場合には、2つの修正が推奨される。
【0021】まず、割算の分子は、低音域抽出器2の出
力S2からではなく、90゜位相差ネットワークの出力
S32から得るのが望ましい。割算の分母(導き出され
たA)は、位相差ネットワークの遅延及び過渡的な影響
を受けるので、分子も同じ処理を受ければ、より正確な
出力が得られることになる。
【0022】第2に、分母の値を、所定の最小値で制限
するのが望ましい。問題となる低音域信号の強度が、ご
く低いかまたはゼロの場合、分子及び分母の値は、非常
に小さくなる。2つの極めて小さい値どうしを割ると、
予測できない結果が生じるので、望ましくない可聴効果
が生じる可能性がある。この問題は、分母が所定の最小
値未満になる場合には、必ず分母をこの値に設定するこ
とによって解消することができる。実験結果では、最小
値として0.002が妥当であることを示している。 d)第2高調波発生器4 第2高調波発生器4は、正規化入力信号S3を二乗し、
次に、(数2)に従って、直流項を引くことによって、
第2高調波を発生する。代替案として、直流項は、図3
に示すように直流リムーバ42を利用して除去すること
ができる。その出力信号S42に、ノーマライザの振幅
抽出器8から導き出された信号S36と所定のユーザ定
義定数k2 を掛けることによって、発生した第2高調波
S4のレベルが、入力信号S0に対して所望の比率にな
る。 e)第3高調波発生器5及び、より高次の高調波発生器
6 第3高調波発生器5は、(数3)に基づいて正規化入力
の三乗信号S52から、正規化入力の特定の量S53を
引くことによって、第3高調波を発生し、次に、そのレ
ベルが、所望の比率になるように調整される。同様に、
第4高調波は、(数4)に基づいて発生することが可能
である。それ以上の高調波も、同様の数式を利用して発
生することができる。
【0023】PBBSの最終出力S7は、これらの発生
した高調波、すなわち、信号S4、S5、及び、S6
(オプション)をもとの入力信号S0に加えることによ
って得られる。2つ以上の低音域成分が抽出される場
合、二乗、三乗、及び、より高次の数学的操作プロセス
によって、高調波+これら低音域成分を混合した出力が
得られる。この複合信号の明確なピッチは、それほどう
まく形成されない。それにもかかわらず、この方法は、
ほとんど聞き取れない低音域を容認する代わりに、スピ
ーカによって再生可能な出力が得られるので、やはり有
効である。
【0024】低音域の貧弱なスピーカの場合、低音域応
答の良好なスピーカによって再生されるものと同様のサ
ウンドを再生することはできないが、PBBSを利用し
て、低音域のサウンドの感じを増強することが可能にな
る。PBBSによって再生される低音域サウンドは、補
償される低音域成分のピッチを有している。
【0025】上述の方法を利用することによって、デジ
タル信号プロセッサを用いて、PBBSを簡単に実現す
ることができる。この方法によって、高調波の選択及び
各高調波の信号強度の調整が簡単に行えるようになる。
発生する高調波は、入力信号の絶対レベルに関係なく、
常に公差内の入力信号レベルに比例する。
【0026】以上のように、PBBSは、入力信号から
スピーカのカット・オフ周波数より低い周波数の低音域
成分を抽出し、これら抽出された低音域成分の高調波を
発生して、あまり減衰を生じることなく、スピーカによ
って、スピーカのカット・オフ周波数より高い周波数の
高調波を再生可能にする。
【0027】低音域成分を抽出し、その高調波を発生す
るため、本実施例による方法は、入力信号の直流成分を
除去する直流リムーバ1と、その周波数がスピーカのカ
ット・オフ周波数より高い成分を排除する低音域抽出器
2と、抽出された低音域信号を正規化して、もとの振幅
に関係なくなるようにするノーマライザ3と、正規化信
号から高調波を発生する第2高調波発生器4、第3高調
波発生器5、及び、さらに高い高調波発生器6等から構
成される。
【0028】低音域の強いサウンドを得るための従来の
方法は、スピーカの低音域応答と、線形低音域ブースト
回路の両方または一方によって改善するものである。し
かし、これらの方法が適合しない状況において、PBB
Sによって、低周波数応答が貧弱なスピーカに対する代
替解決策が提供される。PBBSの場合、低音域成分の
高調波を発生して、もとの信号に加えられる。その周波
数がスピーカのカット・オフ周波数を超えるこれらの高
調波は、大幅な減衰を生じることなく、スピーカによっ
て再生される。さらに、PBBSは、人間の聴覚の音響
心理学的効果を利用して、失われた基音のピッチを聴取
者が感知できるようにする。PBBSの概念は、単純で
あり、例えば、デジタル信号プロセッサを利用して実現
することができる。各高調波のレベルは、簡単に調整可
能であり、各高調波の比率は、入力信号のレベルに関係
なく、公差内において一定している。
【0029】図4及び図5は、本発明にかかる第2の実
施例の低音域成分補償方法を実現するためのPBBSを
示すブロック図である。すなわち、PBBSは、入力信
号から直流成分を除去する直流リムーバ1、入力信号か
ら高周波成分を除去し、高調波を発生させるための基音
成分を抽出する低音域抽出器2、その基音成分を一定値
に調整する可変利得調整器(以下、AGCと略記する)
103、基音成分の第2高調波を生成する第2高調波発
生器104、基音成分の第3高調波を生成する第3高調
波発生器105、必要で有れば、更に高次の高調波を生
成するより高次の高調波発生器106(オプション)、
それら各高調波を加算する総和器107、その加算され
た高調波のレベルを再調整する逆可変利得調整器(以
下、VIGと略記する)108、その再調整された高調
波を入力信号のレベルに適合するようにレベル調整する
増幅器109、及びレベル調整された高調波と入力信号
とを加算する総和器100から構成されている。
【0030】前述の(数2)及び(数3)は、基音信号
の振幅が1である、特定の場合に適用可能である。(数
7)及び(数8)は、振幅Aの信号に関する一般的な数
学式を表している。
【0031】
【数7】A2cos2θ=2(Acosθ)2−A2
【0032】
【数8】 A3cos3θ=4(Acosθ)3−3A3cosθ ここで、A=基音信号の振幅 (数7)及び(数8)から明らかなように、二乗及び三
乗法を利用して発生する高調波の振幅は、もとの基音の
振幅とは比例しない。代わりに、第2及び第3高調波の
振幅は、それぞれ、基音の振幅を二乗及び三乗した値に
比例する。この状態は、基音成分の絶対レベルが、音楽
的素材全体にわたって変動する場合、高調波成分の音量
が基音成分の音量と比例しないので、望ましくない。前
述した第1の実施例の方法では、図2及び図3に示すよ
うに、ノーマライザ3を採用して、基音の振幅を1に変
換し、その後で、(数2)及び(数3)によって高調波
を発生する。発生する高調波のレベルは、次に、基音信
号に対する所望の比率になるように、スケーリングが施
される。この正規化プロセス全体にわたって、全域通過
フィルタ、乗算、除算、及び、平方根機能が利用され
る。これは、アナログ回路を利用する場合、複雑で、コ
ストが高くつくことになる。
【0033】本実施例では、ノーマライザ3の代わりに
AGC103及びVIG108を利用する。AGC10
3は、高調波を(数7)及び(数8)に従って発生させ
る前に、基音の振幅を所定の定数値になるように調整す
る。振幅Aが一定のため、高調波の振幅が分かっている
ので、容易に制御することが可能である。
【0034】次に、上記第2の実施例の高調波発生方法
の動作について、図面を参照しながら説明する。
【0035】まず、後続段の処理時における望ましくな
い副作用を防止するため、直流リムーバ1を利用して、
入力信号S0の直流成分が取り除かれる。直流リムーバ
1は、カット・オフ周波数が可聴範囲より低い、より単
純な高域通過フィルタを利用して構成することが可能で
ある。
【0036】次に、低音域抽出器2は、直流成分が除去
された信号S1から高周波成分を除去し、高調波を発生
させる元になる低周波数の低音成分だけを保持する。低
音域抽出器2は、適合する次数及びカット・オフ周波数
の低域通過フィルタを利用して、実現することが可能で
ある。
【0037】続いて低音域抽出器2の出力S2は、AG
C103に送られる。AGC103は、可変利得増幅器
131及びフィードバック制御回路132から構成され
る。フィードバック制御回路132は、可変利得増幅器
131の出力S103を検出して、出力S131(AG
C電圧と呼ばれる)を発生し、可変利得増幅器131の
利得を制御するので、信号S103は、広いダイナミッ
ク・レンジにわたって、かなり一定した振幅(図4及び
図5にBで表示)を備えることになる。このような一定
した出力の場合、後続段で発生する高調波は、既知の制
御可能な大きさになる。
【0038】次に、第2高調波発生器104は、(数
7)に従って第2高調波を発生する。入力S103は、
乗算器141によって2乗され、次に、その利得が1/
Bの増幅器142によって増幅される。1/Bが既知の
値である点に留意されたい。それは、AGC103の電
気特性から明らかになる。便宜上、直流リムーバ143
(単純な高域通過フィルタ)を用いて信号S142の直
流項を除去することによって、第2高調波信号S104
が得られる。
【0039】又、第3高調波発生器105は、(数8)
に従って第3高調波を発生する。乗算器151が信号S
103と1/Bの増幅器142の出力S142を掛ける
ことによって、信号S151が得られる。信号S151
が、増幅器152によるレベル調整を受けて、信号S1
52が生じ、信号S103が、増幅器153によるレベ
ル調整を受けて、信号S153が生じる。次に、信号S
152から信号S153を引くことによって、第3高調
波信号S154が生じ、これが、さらに、増幅器155
によるレベル調整を受けることによって(利得がk3
等しくなるように)、第2高調波信号S104に対して
所望の比率に調整された第3高調波信号S105が生成
する。
【0040】さらに高次の高調波発生器106は、適合
する数学的規則に従って、さらに高次の高調波成分S1
06を発生する。この発生器は、実施の複雑性を増し、
音響効果に大した差を付加することができないので、オ
プションである。
【0041】次に、総和器107は、全高調波成分S1
04、S105、及びS106を合計して、複合信号S
107を発生する。
【0042】AGC効果のためかなり一定した複合信号
S107の振幅が、VIG108によって調整を受け
る。出力S108は、大きさが入力信号S0に比例して
揺動する。VIG108は、AGC電圧S131によっ
て制御され、その利得は、AGC103の利得の逆にな
る。
【0043】信号S108は、増幅器109によってさ
らにレベル調整を受け出力信号S109となり、第2、
第3、及び、それ以上の高調波が入力信号S0に対して
所望の比率になる。その後、総和器100によって、出
力信号S109と入力信号S0が加算され、最終出力S
100が生じる。
【0044】AGC103とVIG108を突き合わせ
て、その利得間の関係が完全に逆になっていることを確
認する。図6には、それを実現する例が示されている。
AGC103は、可変利得増幅器131とフィードバッ
ク制御回路132から構成される。可変利得増幅器13
1は、電圧制御式抵抗器VCR1の抵抗によって決まる
利得を備えたA級増幅器である。VCR1は、JFET
トランジスタによって実現する。フィードバック制御回
路132は、包絡線検出器(D3、D4、R4、C4、
及び、インバータA3から構成される)を利用して、正
のサイクルと負のサイクルの両方における信号S103
の振幅を検出し、増幅器A4を利用して、AGC電圧S
131を発生し、VCR1の抵抗を制御する。VIG1
08は、その利得がVCR2によって決まる可変利得増
幅器から構成される。VCR2は、同じAGC電圧S1
31によって制御される。
【0045】AGC103及びVIG108の利得は、
それぞれ、下記の(数9)、(数10)によって得られ
る:
【0046】
【数9】 AGC利得=S103/S2=−R2/(R1‖Rds1) 及び
【0047】
【数10】VIG利得=S108/S107=−(R1
‖Rds2)/R2ds1=Rds2の場合、すなわち、2つのJFETトラン
ジスタの電気特性が同一の場合、前者は、後者の逆にな
る。従って、この設計では、十分に整合のとれたJFE
T対を用いることが不可欠になる。
【0048】以上のように、第1の実施例の方法で利用
されているノーマライザ3の代わりに、AGC103及
び、利得がAGC103の利得と逆になるVIG108
を利用することにより、第1の実施例の方法と同様の音
響効果を、より簡単で低コストに実現でき、コストが主
たる関心事となる消費者用電子機器に用いるのに極めて
有利なPBBSを実現できる。
【0049】なお、上記実施例では、AGC103及び
VIG108を図6に示すような回路により構成した
が、同様の機能を有する回路構成で有れば、これに限定
されるものではない。
【0050】
【発明の効果】以上述べたところから明らかなように本
発明は、スピーカのスペース、コスト等の制約を受け
ず、増幅器の特性を犠牲にすることなく強力な低音域を
感じさせるサウンドを得ることができるという長所を有
する。
【0051】また、本発明は、抽出した低音域成分のレ
ベルを予め決められた所定のレベルに調整し、その調整
した低音域成分に基づいて、スピーカによる再生におけ
る減衰が小さい(音圧が高い)周波数の高調波を生成
し、その生成した高調波のレベルを元の低音域成分に対
応する関係になるように再調整し、その再調整した高調
波を入力信号と混合することにより、簡単な構成で低コ
ストな低音域成分補償方法を実現できるという利点があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】同図(a)は、本発明の低音域成分補償方法に
おける低周波数応答の貧弱なスピーカの特性と入力信号
の低音域成分の関係を示す図、同図(b)は、その低音
域成分を用いて発生した高調波との関係を示す図であ
る。
【図2】本発明にかかる第1の実施例の低音域成分補償
方法を実現するための装置構成の一部を示すブロック図
である。
【図3】同第1の実施例の低音域成分補償方法を実現す
るための装置構成の残りの一部を示すブロック図であ
る。
【図4】本発明にかかる第2の実施例の低音域成分補償
方法を実現するための装置構成の一部を示すブロック図
である。
【図5】同第2の実施例の低音域成分補償方法を実現す
るための装置構成の残りの一部を示すブロック図であ
る。
【図6】同第2の実施例のPBBSにおけるAGC及び
VIGの回路図である。
【符号の説明】
1 直流リムーバ 2 低音域抽出器 3 ノーマライザ 4、104 第2高調波発生器 5、105 第3高調波発生器 8 振幅抽出器 36 平方根機能 37 割算機能 103 AGC 108 VIG 131 可変利得増幅器 132 フィードバック制御回路

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力信号から、所定のスピーカ再生にお
    ける音圧が低い低音域成分を抽出し、その抽出した低音
    域成分に基づき、前記スピーカによる音圧が高い周波数
    の高調波を生成し、その生成した高調波を前記入力信号
    と混合し、複合トーンに関する人間の聴覚の音響心理学
    的効果を利用することによって前記スピーカの再生によ
    る低音域成分を補償することを特徴とする低音域成分補
    償方法。
  2. 【請求項2】 高調波の生成は、前記抽出した低音域成
    分を正規化し、その正規化した低音域成分を用いて、正
    規化された高調波を生成し、その正規化した高調波を、
    前記低音域成分に対して所望の比率となるように調整す
    ることを特徴とする請求項1記載の低音域成分補償方
    法。
  3. 【請求項3】 低音域成分の正規化は、その低音域成分
    の振幅を導き出し、前記低音域成分を、その導き出され
    た振幅で割ることによって計算することを特徴とする請
    求項2記載の低音域成分補償方法。
  4. 【請求項4】 入力信号から、所定のスピーカ再生にお
    ける音圧が低い低音域成分を抽出し、その抽出した低音
    域成分のレベルを予め決められた所定のレベルに調整
    し、その調整した低音域成分に基づいて、前記スピーカ
    による音圧が高い周波数の高調波を生成し、その生成し
    た高調波のレベルを前記元の低音域成分に対応する関係
    になるように再調整し、その再調整した高調波を前記入
    力信号と混合し、複合トーンに関する人間の聴覚の音響
    心理学的効果を利用することによって前記スピーカの再
    生による低音域成分を補償することを特徴とする低音域
    成分補償方法。
  5. 【請求項5】 高調波のレベルの再調整における利得
    は、前記低音域成分のレベルの調整における利得とは、
    逆であることを特徴とする請求項4記載の低音域成分補
    償方法。
JP12374094A 1993-12-15 1994-06-06 低音域成分補償方法 Pending JPH07226992A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12374094A JPH07226992A (ja) 1993-12-15 1994-06-06 低音域成分補償方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31513893 1993-12-15
JP5-315138 1993-12-15
JP12374094A JPH07226992A (ja) 1993-12-15 1994-06-06 低音域成分補償方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07226992A true JPH07226992A (ja) 1995-08-22

Family

ID=26460584

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP12374094A Pending JPH07226992A (ja) 1993-12-15 1994-06-06 低音域成分補償方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07226992A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002524996A (ja) * 1998-09-04 2002-08-06 エスアールエス・ラブス・インコーポレーテッド 低周波オーディオエンハンスメントシステム
JP2010041323A (ja) * 2008-08-04 2010-02-18 Mitsubishi Electric Corp 高調波生成装置
JP2010124016A (ja) * 2008-11-17 2010-06-03 Clarion Co Ltd 低域補完装置
JP2011087192A (ja) * 2009-10-16 2011-04-28 Yamaha Corp 信号処理装置
JP2012524440A (ja) * 2009-04-17 2012-10-11 ソンティア ロジック リミテッド オーディオ信号の処理

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002524996A (ja) * 1998-09-04 2002-08-06 エスアールエス・ラブス・インコーポレーテッド 低周波オーディオエンハンスメントシステム
JP2010041323A (ja) * 2008-08-04 2010-02-18 Mitsubishi Electric Corp 高調波生成装置
JP2010124016A (ja) * 2008-11-17 2010-06-03 Clarion Co Ltd 低域補完装置
JP2012524440A (ja) * 2009-04-17 2012-10-11 ソンティア ロジック リミテッド オーディオ信号の処理
JP2011087192A (ja) * 2009-10-16 2011-04-28 Yamaha Corp 信号処理装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7181034B2 (en) Inter-channel communication in a multi-channel digital hearing instrument
US4495643A (en) Audio peak limiter using Hilbert transforms
US8565448B2 (en) Dynamic bass equalization with modified Sallen-Key high pass filter
KR100671360B1 (ko) 오디오 보정 시스템 및 오디오 사운드 보강 방법
US9060223B2 (en) Method and circuitry for processing audio signals
US20030216907A1 (en) Enhancing the aural perception of speech
US8213636B2 (en) Method and a system for reconstituting low frequencies in audio signal
US6965676B1 (en) Volume-responsive loudness compensation circuits, systems, and methods
TW200404474A (en) Bass compressor
US20050147254A1 (en) Sub-harmonic generator and stereo expansion processor
US7233833B2 (en) Method of modifying low frequency components of a digital audio signal
US4525857A (en) Crossover network
US6792115B1 (en) Apparatus for generating harmonics in an audio signal
WO2008062748A1 (fr) Dispositif de traitement de signal et procédé de traitement de signal
JPH07226992A (ja) 低音域成分補償方法
US4270103A (en) Amplifier having a variable propagation constant
JPH0477094A (ja) 車載用音響再生装置
JP2000023282A (ja) 音響再生装置
JPH05145991A (ja) 低音域特性補正回路
JP2875409B2 (ja) 音声信号再生装置
JPH0611632Y2 (ja) 自動ラウドネス制御回路
JPH04109799A (ja) 音響信号再生装置
NO345732B1 (en) Method and device for processing an audio signal
JPH05266582A (ja) 音響装置
Orban Increasing Coverage of International Shortwave Broadcast Through Improved Audio Processing Techniques