JP2002522487A - 視力及び記憶障害に対するヘテロサイクリックエステル又はアミド - Google Patents

視力及び記憶障害に対するヘテロサイクリックエステル又はアミド

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JP2002522487A JP2000564615A JP2000564615A JP2002522487A JP 2002522487 A JP2002522487 A JP 2002522487A JP 2000564615 A JP2000564615 A JP 2000564615A JP 2000564615 A JP2000564615 A JP 2000564615A JP 2002522487 A JP2002522487 A JP 2002522487A
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サウアー ハンスジョーグ
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、ヘテロサイクリックエステル又はアミドの効果的用量を投与された動物において、視力障害を治療し、視力を改善し、記憶障害を治療し、又は記憶行動を亢進するための方法に関する。本発明は更に、以下を含む医薬組成物に関する:(1) 動物における視力障害を治療し、視力を改善し、記憶障害を治療し、又は記憶行動を亢進するためのヘテロサイクリックエステル又はアミドの効果的用量;そして(2) 医薬品として許容し得る担体

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の属する技術分野) 本発明は、視力喪失を治療し、視力退行を防止し、そして視力再生(視力新生
)を促進するための、低分子量で小分子のヘテロサイクリックエステル又はアミ
ドを用いた医薬組成物及びその方法に関する。
【0002】 (関連技術の技術) 視覚系は、眼、眼球付属器官及び視覚路より構成されている。その視覚系の機
能不全は、永久的又は一時的な視力損傷、例えば一つ又はそれ以上の眼機能の正
常状態からの逸脱に至るかもしれない。視力損傷は種々の方法で発現し、広汎な
視覚機能不全や障害を含有する。これらの機能不全及び障害は、限定されること
なく、部分的又は全体的な視力喪失、遠近の対象物に対する視力補正の必要、視
野の喪失、複視(二重視)をもたないレンズ体の運動障害、損傷又は歪曲された
色認識、明暗への適応制限、調節の消失、変態性歪曲、両眼の視力障害、順応麻
痺、虹彩麻痺、眼瞼内反、眼瞼外反、流漏、兎眼及び瘢痕を含有する。眼科学の
ためのフィジシャンズ・デスク・レファランス(Physician's Desk Reference,
PDR)、第16版、第6巻、:第47頁(1988年)を参照のこと。視覚系は種々の眼科
障害、疾患、損傷及び遺伝性疾患;[非遺伝性疾患]老化又は変性疾患に関連した
障害;外部の力に起因した眼、頭部又は体の他の部分への物理的傷害に関係して
いる障害;環境因子による障害;広汎な疾患に起因した障害;及び上記のいずれ
かの組み合わせなどの合併症により影響される。
【0003】 視覚系は、多数の構成物より成る複雑な系である。視力損傷は、その精密な環
境本態に依存している全ての視覚系、ある一つの構成物又は構成物の何らかの集
合体を含有する。眼はチン小帯に懸垂され、毛様体により焦点を調節されている
水晶体より構成されている。その毛様体は、後眼房を満たし、瞳孔を通って前眼
房に達し、それから主にシュレム管を介して流出する眼房水を、また分泌する。
虹彩はその中心にある瞳孔を開口し、径サイズを調整することにより眼へ入力す
る光量を調節している。視覚映像は、最も視力が鮮明な網膜部位である網膜中心
窩上に焦点化させられる。結膜は眼瞼と眼球を一列に並べた粘膜であり、角膜と
重なっている結膜の縁である結膜縁で終わっている。角膜は、眼の線維外膜の明
瞭で透明な前部部分であり、それは光屈折において重要であり、結膜上皮とは多
くの点で異なっている上皮細胞で覆われている。
【0004】 網膜は最奥部にある眼の光受容体であり、二種類の光受容体:明色光の色視に
責任を負う錐状体と薄暗い光の下での視力に必須の杆状体を含有する。光は角膜
、水晶体及び硝子体液をを通過した後、内側から網膜に入る;即ち光は最も外側
の色素上皮細胞層の真に内側にあり、網膜の外側近くに局在する光受容体層に最
終的に達する前に、神経節細胞、神経線維、内外網状層、内外核層及び内外部の
境界膜を通過する。その色素上皮細胞層は“血液−網膜”関門を形成し、眼の外
部にある液体や物質への解剖学的バリヤーとして作用し、また滋養物、酸素、ビ
タミンAのような機能的に有用な物質の源を提供すると共に、光受容体細胞へ分
解産物の貪食を供与する。色素上皮と光受容体層との間には解剖学的連絡は何も
なく、ある種の病理学的状態ではその二層は分離する。
【0005】 杆状体又は錐状体が光で興奮すると、信号は網膜内部の神経を通って視神経線
維内へ、そして最後には大脳皮質へ伝達される。杆状体及び錐状体の両細胞は、
光暴露に対して分解する分子を含んでおり、その過程において眼から投射してい
る神経線維を興奮させる。その杆状体内分子は、ロドプシンである。錐状体の三
種の光感受性分子は、集合的にイオドプシンと呼ばれ、ロドプシンとはほんのわ
ずか異なった成分を有し、各々赤色、青色又は緑色光で最大に興奮させられる。
【0006】 杆状体と錐状体はどちらも活動電位を発生しない。むしろ、杆状体又は錐状体
細胞の外側の光感受性分節で生じた光誘発性の膜の過分極が、その外側分節から
内側分節を通って電気伝導と言われる電気電圧そのものの直接伝導過程によって
シナプス体へ伝達される。そのシナプス体では、膜電位は未知の伝達物質分子の
遊離を調節する。低照度光では杆状体及び錐状体細胞電位は脱分極し、伝達物質
遊離率は最大となる。光誘発性過分極は、伝達物質分子の遊離を顕著に減少させ
る。
【0007】 杆状体及び錐状体細胞によって遊離された伝達物質は、双極細胞と水平細胞で
信号を誘導する。これら両細胞での信号は、活動電位によってではなく、電気伝
導によりまた伝達される。
【0008】 杆状体の双極細胞は、50個ほどの杆状体細胞とつながり、一方、矮小で散在性
の双極細胞は1個又は数個の杆状体細胞と連絡している。脱分極性の双極細胞は
、それが連絡している杆状体又は錐状体が光暴露されると刺激される。伝達物質
分子の遊離は、脱分極性の双極細胞を抑制する。それ故、暗所では、杆状体及び
錐状体が大量の伝達物質分子を分泌し、その脱分極性の双極細胞は抑制される。
明所においては、杆状体及び錐状体からの伝達物質分子の遊離減少が双極細胞の
抑制を減弱し、結果的に興奮を引き起こす。この方式で、正負の信号は、杆状体
及び錐状体から異なった双極細胞を通ってアマクリン及び神経節細胞へ伝達され
ることが可能となる。
【0009】 それらの名前が暗示している如く、水平細胞は、杆状体、錐状体、他の水平細
胞又は複数の細胞共同体とシナプスを形成している網膜へ水平に投射している。
水平細胞は、光受容体信号の集束化におけるある種の機構に関与していると仮定
されているが、機能は不明である。
【0010】 全種類の双極細胞は、二つの主要なタイプの神経節細胞と連絡している。Aタ
イプの神経節細胞は、優先的に杆状体双極細胞に、他方、Bタイプの神経節細胞
は、優先的に矮小で散在性の双極細胞と連絡している。Aタイプの神経節細胞は
、コントラスト、光強度、運動の認知に鋭敏であり、他方、Bタイプの神経節細
胞は、色視覚と視力により関連していると考えられる。
【0011】 水平細胞と同様に、アクマリン細胞は、数個から多数の双極細胞、神経節細胞
及び他のアクマリン細胞などの他細胞と水平にシナプスしている。アクマリン細
胞の機能も、また不明である。
【0012】 神経節細胞の軸索は、眼の神経線維層内へ信号を運搬する。そこは、軸索が線
維内へ集合し、視神経乳頭でさらに収束し、視神経として眼を出ていく部位であ
る。神経節細胞は、活動電位の形成中にそれらの信号をその視神経を通して脳へ
伝達する。これらの細胞は、たとえ刺激されていない時でさえも、1秒間当り約5
回の基礎平均値で連続的な神経インパルスを伝達する。視覚信号は、神経節細胞
刺激のこの基礎値に重ねられる。それは、その基礎値を上回るインパルス数を持
った興奮性信号、又は基礎値を下回る神経インパルスを有した抑制性信号のいず
れかである。
【0013】 中枢神経系の一部として、眼は幾つかの方法で脳の付属器官である;例えば、
眼の再生は、能力的に限定されている。この限定された再生能力は、視力を改善
する挑戦的課題、視覚系の機能不全の回復及び/又は眼科疾患の治療又は予防を
さらに複雑化している。多くの他の疾患と同様に、多くの眼疾患、例えば網膜傷
害、網膜虚血誘発性眼障害、老化性の黄班変性、フリーラジカル誘発性眼疾患は
、全く治療不可能であると考えられている。他の眼疾患、例えば、永久的な視力
障害を生じる疾患は、成功度合いが異なっている眼の補助装置や手術によっての
み矯正される。
【0014】 免疫抑制剤FK506、ラパマイシン及びサイクロスポリンは、T細胞特異的な免疫
抑制剤として良く知られており、自己免疫、移植又は移植片拒絶、炎症、アレル
ギー反応、他の自己免疫性又は免疫介在性疾患及び感染症に対して有効である。
サイクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ブスピロン、スピペロン及び/又はそ
れらの誘導体の適用は、これらタイプの幾つかの眼疾患を治療する上で効果的で
あることが開示されている。数種の眼科疾患又は視力上の問題は、自己疾患及び
免疫学的に介在される活性と関連していることが知られている;それ故、免疫調
節性化合物が、それらタイプの眼科疾患又は視力上の問題を治療するための薬効
を証明することが期待されている。
【0015】 眼科疾患の治療におけるFK506、ラパマイシン及び関連薬剤の効果は、幾報か
の米国特許[ゴレットら、米国特許第5,532,248号明細書;望月(Mochizuki)ら
、米国特許第5,514,686号明細書;ラリーら、米国特許第5,457,111号明細書;ラ
ッソーら、米国特許第5,441,937号明細書;カルカーニ、米国特許第5,387,589号
明細書;朝倉(Asakura)ら、米国特許第5,368,865号明細書;ゴレットら、米国
特許第5,258,389号明細書;アーミステッドら、米国特許第5,192,773号明細書;
ゴレットら、米国特許第5,189,042号明細書;及びフェール(Fehr)、米国特許
第5,011,844号明細書]に開示されている。これらの特許は、FK506又はラパマイ
シン関連化合物を請求し、FK506及びラパマイシンの既知の免疫抑制効果と関連
して、眼科疾患の治療におけるFK506又はラパマイシン関連化合物の既知の使用
を開示している。これら特許の中で開示された化合物は、比較的大型である。更
に、その引用された特許は、FK506及びラパマイシンの薬効が良く知られている
、自己免疫又は関連疾患あるいは免疫学的に介在される疾病を治療することに限
定された免疫調節性化合物に関する。
【0016】 他の米国特許は、サイクロスポリン、スピペロン、ブスピロン及びそれらの誘
導体、そして他の免疫抑制性化合物の眼科疾病の治療に対する使用を開示してい
る[シャープら、米国特許第5,703,088号明細書;シャープら、米国特許第5,693,
645号明細書;サリバン、米国特許第5,688,765号明細書;サリバン、米国特許第
5,620,921号明細書;シャープら、米国特許第5,574,041号明細書;エバーレ、米
国特許第5,284,826号明細書;シャープら、米国特許第5,244,902号明細書;Chio
uら、米国特許第5,198,454号明細書及び第5,194,434号明細書;及びカスワン、
米国特許第4,839,342号明細書]。これら特許はまた、自己免疫疾患を治療するた
めに有用な化合物に関係し、眼の炎症及び他の免疫学的に介在される眼科疾患を
治療するためのサイクロスポリン、スピペロン、ブスピロン及びそれらの誘導体
、そして他の免疫抑制性化合物の公知の使用に関する。
【0017】 先行する技術の中で開示された免疫抑制性化合物は、その定義に基づき免疫系
を抑制し、そして又毒性のある副作用を発現する。従って、視力を改善し、視力
障害又は視覚系不全を予防し、治療し、及び/又は修復する;そして眼科疾患を
予防し、治療し、及び/又は解決する非免疫抑制剤で小分子化合物、そしてその
ような化合物の使用に対する組成物及び方法が必要とされている。
【0018】 創傷治癒(外傷又は手術による)を可能にする、又は促進することに対する使
用方法を開示している非免疫抑制性化合物に関して、多くの特許がある;眼内圧
の調節(度々緑内障から生じる);網膜神経への損傷又は外傷、網膜神経節細胞
への損傷又は外傷、そして黄班変性を含む神経変性性眼疾患の調節;神経突起成
長の刺激;フリーラジカルによる酸化的損傷の防止又は減弱;そして、低血流に
起因した消費産物の除去障害と同様な酸素及び栄養物の供給障害の治療。これら
の非免疫抑制性物質は、二つの一般的な分類:蛋白質、糖蛋白質、ペプチド、ホ
ルモン、及び成長因子などの自然界に存在する分子;そして合成分子のどちらか
一方に当てはまる。
【0019】 天然の非免疫抑制性分子の中で、数種のホルモン、成長因子、及び信号伝達分
子は、その特殊な分子が成熟固体で自然に産生されないような特異的細胞を標的
にすると同様に、そのような分子の自然産生量への添加物としての使用のために
特許化されている。これらの特許は、眼病の症状を減弱又は防止するための、あ
るいは視力喪失を阻止又は回復させるための使用方法を、一般的に請求している
【0020】 特異的に、ルイスらは、米国特許第5,736,516号明細書及び第5,641,749号明細
書の中で、緑内障による網膜神経(例えば、光受容体)及び網膜神経節の変性、
あるいは他の変性性又は外傷性網膜疾患又は傷害を阻止又は回復させるためのグ
リア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)の使用を開示している。オブライエンらは
、米国特許第5,714,459号明細書及び第5,700,909号明細書の中で、神経突起成長
を刺激し、髄鞘形成を増加するための糖蛋白質サポニン及びその誘導体の使用を
開示している。網膜神経の変性を阻止し、又は回復させるため、ラヴェイルらは
、米国特許第5,667,968号明細書の中で、脳由来神経栄養因子、毛様体神経栄養
因子、ニューロトロフィン−3又はニューロトロフィン−4、酸性又は塩基性線維
芽細胞成長因子、インターロイキン、腫瘍壊死因子−α、インスリン様成長因子
−2及び他の成長因子を含む多様な神経栄養蛋白質の使用を開示している。ウォ
ンらは米国特許第5,632,984号明細書の中で、出血を減少し、血管新生を制限す
ることにより黄班変性を治療するためのインターフェロン、特にインターフェロ
ンα−2aの使用を開示している。最後に、ウォーレスらは、米国特許第5,441,93
7号明細書の中で、毛様体神経節及び副交感神経細胞の機能を維持するための肺
由来神経栄養因子(NTF)の使用を開示している。
【0021】 特殊な細胞株に由来する因子の重要な特徴は、それらの特殊細胞株又は組織へ
の局在である;これら分子の全身投与は、これら分子をコード化している遺伝子
が不活性化している細胞株において、故意的ではない、潜在的に危険な事実上の
効果を明かすことだろう。同様に、ホルモン及び成長因子は、しばしば多くの細
胞株において大量の遺伝子を活性化させる;これら分子の非局所的投与は、ここ
でもまた、不適切で、潜在的に危険な事実上の反応を引き起こすことだろう。
【0022】 合成分子の分類の中で、特許された化合物の大半は免疫抑制性であり、上述し
た如く、炎症、自己免疫そしてアレルギー反応の治療における使用を開示してい
る。他の少数の化合物は非免疫抑制性であり、そのほとんどはそれらの抗酸化剤
特性に基づいた細胞変性の治療能力を、そしてある場合には、細胞再生の促進能
力を請求している。
【0023】 ソー(Tso)らの米国特許第5,527,533号明細書は、フリーラジカルの存在に起
因する光受容体損傷を防止又は減少させる、カロチノイド系抗酸化剤であるアス
タキサンチンの使用を、特異的に開示している。同様に、バブコックらの米国特
許第5,252,319号明細書は、眼疾患及び外傷を治療するために、酸化的損傷に対
する抵抗性を増大させる抗酸化剤であるアミノステロイドの使用を開示している
。フリーマンの米国特許第5,468,752号明細書は、異常に上昇した眼内圧を減少
させるため、抗ウイルス剤のフォスフォニルメトキシアルキルシトシンの使用を
開示している。
【0024】 ハミルトンとスタイナーは、米国特許第5,614,547号明細書の中で、免疫抑制
効果を有さずにイミュノフィリンFKBP12に結合し、神経成長を刺激する新規ピロ
リジンカルボン酸化合物を開示している。思いがけないことに、これらの非免疫
抑制性化合物は、視力の改善を促進し、眼科疾患を改善することが発見されてい
る。そうであるにも拘わらず、それら新規低分子構造と非免疫抑制特性は、それ
ら化合物を従来の技術の中で見出されたFK506及び関連した免疫抑制性化合物か
ら区別している。
【0025】 更に、これら化合物は、それらの新規低分子構造と一般的な全身効果の欠如に
より、視力障害を治療するために用いられる非免疫抑制性化合物から区別される
ことができる。天然に産生されるホルモン、成長因子、サイトカイン及び信号伝
達分子は、一般的に多機能型であり、多様な細胞株で多くの遺伝子を活性化する
。かくて、当該化合物は、全身投与による思いがけない潜在的で危険な副作用を
無効にすることはない。同様に、当該化合物はまた、ある細胞株に特異的な分子
をその分子を自然産生しない他の細胞株に導入することによる潜在的で思いがけ
ない副作用を、避け得る。
【0026】 (発明の要約) 本発明は、ヘテロサイクリックエステル又はアミドの効果的用量を投与された
動物において、視力障害を治療し、視力を改善し、記憶障害を治療し、又は記憶
行動を亢進するための方法に関する。 本発明は更に、以下を含む医薬組成物に関する: (1)動物における視力障害を治療し、視力を改善し、記憶障害を治療し、又
は記憶行動を亢進するためのヘテロサイクリックエステル又はアミドの効果的用
量;そして (2)医薬品として許容し得る担体
【0027】 (定義) “眼”は、人及び他の動物における視力に責任を有する解剖学的構造物を指し
、以下の解剖学的構造物を限定されることなく包含する:水晶体、硝子体、毛様
体、後眼房、前眼房、瞳孔、角膜、虹彩、シュレム管、チン小帯、縁、結膜、脈
絡膜、網膜、網膜中心管、視神経、中心窩、黄班及び強膜。
【0028】 "GPI 1605"は、以下の式を有する化合物をいう。
【化3】
【0029】 "GPI 1046"は、以下の式を有する3-(3-ピリジル)-1-プロピル (2s)-1-(3,3-ジ
メチル-1,2-ジオキソペンチル)-2-ピロリジンカルボン酸をいう。
【化4】
【0030】 "GPI 1312"は、以下の式を有する化合物をいう。
【化5】
【0031】 "GPI 1572"は、以下の式を有する化合物をいう。
【化6】
【0032】 "GPI 1389は、以下の式を有する化合物をいう。
【化7】
【0033】 "GPI 1511"は、以下の式を有する化合物をいう。
【化8】
【0034】 "GPI 1234"は、以下の式を有する化合物をいう。
【化9】
【0035】 “異性体”とは、同一の分子式を有する異なった化合物をいう。“立体異性体
”とは、原子が空間に配列された方向でのみ異なっている異性体をいう。“鏡像
異性体”とは、二重重ね不能な相互の鏡像である立体異性体の対称をいう。“ジ
アステレオアイソマー”とは、相互の鏡像ではない立体異性体をいう。“ラセミ
混合物”とは、個々の光学異性体を等量づつ含有する混合物を意味する。“非ラ
セミ混合物”は、個々の鏡像異性体又は立体異性体を非等量づつ含有する混合物
である。
【0036】 “記憶行動の亢進”とは、過去の経験、知識、アイデア、感動、思考又は印象
を登録し、保有し、又は喚起するための精神能力を改善し、又は増大することを
いう。
【0037】 “記憶障害”とは、過去の経験、知識、アイデア、感動、思考又は印象の精神
的記銘、保持又は呼び戻しの消失をいう。記憶障害は、短期及び長期情報貯蔵、
空間的関係能力、記憶(リハーサル)戦略、そして言語想起及び形成に影響する
。記憶障害の共通の原因には、老化、重篤な頭部外傷、脳の酸素欠乏又は虚血、
アルコール性栄養疾患及び薬物中毒などがある。記憶障害例は、限定されること
なく、良性の忘却、健忘及び記憶欠損が存在している何らかの疾患、例えば、コ
ルサコフの健忘精神病、痴呆及び学習障害等を含有する。
【0038】 “視力新生因子”又は“視力新生剤”とは、視力喪失を治療し、視力退行を防
止し、又は視力再生を促進するために有用な化合物をいう。 “視力新生”とは、視力喪失を治療し、視力退行を防止し、又は視力再生を促進
するその過程をいう。
【0039】 “眼科学の(ophthalmological)”とは、限定されることなく、眼についての
又は眼に関する何物をも指し、“眼の(ocular)”、“眼の(ophthalmic)”、
“眼科学の(ophthalmologic)”及び他の類縁語と、制限されること無く交換
して使用可能である。
【0040】 “医薬品として許容し得る塩、エステル又は溶媒化合物”とは、望ましい薬理
学的活性を有し、生物学的にも他の方法でも望ましくないことのない本願化合物
の塩、エステル又は溶媒化合物をいう。塩、エステル又は溶媒化合物は、酢酸、
アジピン酸、アルギン酸、アスパルギン酸、安息香酸、ベンゾールスルホン酸、
重硫酸、酪酸、クエン酸、樟脳酸、カンクルスルホン酸、サイクロペンタンプロ
ピオン酸、重グルコン酸、硫酸ドデシル、エタンスルホン酸、フマール酸、グル
コヘプタン酸、グルコン酸、グリセロリン酸、ヘミ硫酸、ヘプタン酸、ヘキサン
酸、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素、2-ハイドロキシエタンスルホン酸、乳酸、マ
レイン酸、メタンスルホン酸、ナフチル酸、2-ナフタレン硫酸、ニコチン酸、オ
キザル酸、硫酸、チオシアン酸、トシル酸及びウンデカン酸などの無機酸で形成
されることが可能である。塩基性塩、エステル又は溶媒化合物の例は、アンモニ
ウム塩;ナトリウムおよびカリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウムおよび
マグネシウム塩などのアルカリ性土類金属塩;ジサイクロヘキシラミン塩;N-メ
チル-D-グルカミンなどの有機塩基塩;およびアルギニン、リジンなどのアミノ
酸塩等を含有する。又、塩基性の窒素含有グループは、メチル、エチル、プロピ
ル及び塩化ブチル、臭化物そしてヨウ化物などの低級アルキルハロゲン化物;ジ
メチル、ジエチル、ジブチル及びジアミル硫酸などのジアルキル硫酸;デシル、
ラウリル、ミリスチル、及びステアリルクロライド、臭化物そしてヨウ化物など
の長鎖ハロゲン化物;ベンジル及びフェネチルブロマイドなどのアラルキルハロ
ゲン化物;及びその他といった試薬で、四分割されることが可能である。水又は
油溶解性又は分散性生産物が、それによって得られる。
【0041】 “視力退行の防止“とは、視力に影響する変性性疾患を有している、又は視力
に影響する新規変性性疾患を発症する危険性があると新たに診断された患者の視
力退行を予防する能力、そして視力に影響する変性性疾患に既に罹患している、
又はその症状を有している患者における視力の更なる低下を防止する能力をいう
【0042】 “視力再生の促進”とは、何らかの眼科疾患、疾病又は傷害の存否に拘わらず
、視力を改善又は亢進する方法で、視覚系の一つ又はそれ以上の構成成分の回復
を維持、改善、刺激又は促進する、あるいはそれらを復活させることをいう。
【0043】 “治療”とは、以下の内容をいう: (1) 病気及び/又はその状態であると未だ診断されていないが、罹患する
可能性が高いとみなされる患者における病気及び/又はその状態の発症を予防す
る; (2) 病気及び/又はその状態の発症を停止させる等により、病気及び/又は
その状態を抑制する;又は (3) 病気及び/又はその状態を退行させる等により、病気及び/又はその状
態を軽減させる。
【0044】 “視力”とは、像を情報処理するための人及び他の動物の能力を指し、“視覚
(sight)”、“見ること(seeing)”又は他の類縁語と、制限されることなく
交換して使用可能である。
【0045】 “視力障害”とは、視力損傷、眼窩疾患、涙分泌器官の障害、眼瞼障害、結膜
障害、角膜障害、白内障、眼球血管膜障害、網膜障害、視神経又は視覚路障害、
フリーラジカル誘発性眼疾患及び疾病、免疫学的に介在される眼疾患及び疾病、
眼外傷、及び眼病、眼疾患又は眼外傷の症状及び合併症を、制限されることなく
含有し、視力に影響するどのような疾患をもいう。
【0046】 “視力損傷“とは、視力(例えば、両眼の、中心性の、末梢性の、暗順応の)
、遠近の事物に対する視力、視野、眼球運動、色認識、明暗への適応、順応、光
屈折及び流涙における限定されることのない障害又は低下を含む視力の何らかの
機能不全をいう。眼科学のためのフィジシャンズ・デスク・レファランス(Phys
ician's Desk Reference, PDR)、第16版、第6巻、:第47頁(1988年)を参照の
こと。
【0047】 〔本発明の方法〕 本発明は、ヘテロサイクリックエステル又はアミドの効果的用量を投与された
動物において、視力障害を治療し、視力を改善し、記憶障害を治療し、又は記憶
行動を促進するための方法に関する。
【0048】 本発明方法は、視力障害、疾病、外傷及び合併症に限定されずに、遺伝性疾患
;老化性又は退行性視力疾患に関連した障害;外部の力に起因した眼、頭部又は
体の他の部分への物理的傷害に関係している視力障害;環境因子による視力障害
;広汎な疾患に起因した視力障害;及び上記のいずれかの組み合わせを含む種々
の眼疾患を治療するために、特に有用である。
【0049】 本発明の組成物及び方法は、限定されることなく、視力を改善するため、ある
いは永久的及び一時的視力損傷を含む視力(眼の)損傷又は視覚系の機能不全を
正常化し、治療し、又は予防するために特に有用である。本発明はまた、眼科疾
患及び障害を予防及び治療し、損傷及び傷害された眼を治療し、そして視力低下
、視力喪失又は像を見たり、情報処理するための能力低下、そして同様に誘発さ
れる症状や合併症を結果的に引き起こす疾病、疾患及び外傷を、予防および治療
することにおいて有用である。本発明の組成物および方法により治療又は予防さ
れる眼疾病及び疾患は、それら疾病及び疾患の成因に制限されるものではない。
従って、その組成物及び方法は、疾病又は疾患が他の何らかの影響と同様に遺伝
性又は環境性因子により引き起こされたとしても、適用可能である。本発明の組
成物及び方法は、以下の全てに、制限なく関連した視覚上の問題又は視力喪失又
は視力低下に対して、特に有用である:老化、細胞性又は生理的変性、中枢神経
系又は神経学的疾患、血管奇形、筋肉奇形、そして有害な環境条件又は物質への
暴露。
【0050】 本発明の組成物及び方法は、視力損傷を正常化し、治療又は改善することにお
いて、制限されることなく特に有用である。異なった程度をもった視力損傷は、
(1)遠近位の事物に対する視力;(2)視野;そして(3)複視のない眼球運
動を含む、眼の一つ又はそれ以上の機能が正常状態から逸脱して発生する。眼科
学のためのフィジシャンズ・デスク・レファランス(Physician's Desk Referen
ce, PDR)、第16版、第6巻、:第47頁(1988年)を参照のこと。視力は、それら
全ての三機能を整合すること無しには、不完全である。
【0051】 上述された使用の組成物及び方法は、限定されることなく、色認識、明暗への
適応、順応、変態及び両眼視界を含む他の眼機能を正常化し、治療又は改善する
上において、また有用である。その組成物及び方法の使用は、制限なしに、順応
麻痺、虹彩麻痺、眼瞼内反、眼瞼外反、流漏、兎眼、瘢痕、硝子体混濁、非反応
性瞳孔、角膜又は他の媒体の光散乱障害、そして眼窩の永久的不具を含む眼障害
を治療し、正常化又は予防する上で、特に有用である。
【0052】 本発明の組成物及び方法の使用は、視力を改善し、視力喪失を治療することに
おいて、また高度に有用である。些少な欠損から完全な欠損までの視界欠損は、
上述した組成物及び方法を用いて、治療又は予防されることが可能である。視力
は、本発明の組成物及び方法を用いて、眼疾患、疾病及び外傷を治療することに
より改善可能である。しかしながら、その組成物及び方法を用いた視力の改善は
、限定されることはなく、そのようないずれの疾患、疾病又は外傷が存在しない
状態でも、行われることが可能である。
【0053】 本発明の組成物及び方法は、次の制限されない模範的な疾病及び疾患、そして
そこから起こる症状及び合併症の治療又は予防に、また有用である。
【0054】 視力障害は、以下の内容を制限されずに含有する: 遠近の事物に対する視力、視野及び眼球運動の喪失などの視力損傷; 眼窩蜂巣炎、眼窩骨膜蜂巣炎、海綿静脈洞血栓症及び眼球突出症(突出)など
の眼窩損傷; 涙道狭窄症、先天性涙道狭窄症及び涙嚢炎(急性又は慢性)などの涙器障害; 眼瞼浮腫、眼瞼炎、眼瞼下垂、ベル麻痺、眼瞼痙攣、麦粒腫(ものもらい)、
外麦粒腫、内麦粒腫(マイボーム麦粒腫)、霰粒腫、眼瞼内反(眼瞼内転)、眼
瞼外反(眼瞼外転)、腫瘍(良性及び悪性)、黄色腫、基底細胞癌、扁平上皮癌
、マイボーム腺癌及び黒色腫などの眼瞼障害; 瞼裂班、翼状片及び他の新生物、急性結膜炎、慢性結膜炎、成人淋菌性結膜炎
、新生結膜炎、トラコーマ(顆粒性結膜炎又はエジプト眼炎)、封入体性結膜炎
(封入体膿漏又はプール結膜炎)、新生児封入体結膜炎、成人封入体結膜炎、春
季カタル、乾性角結膜炎(乾性角膜炎又はドライアイ症候群)、上強膜炎、強膜
炎、瘢痕性類天疱瘡(眼瘢痕性類天疱瘡又は良性粘膜類天疱瘡)、そして結膜下
出血などの結膜障害; 点状表層角膜炎、角膜潰瘍、無痛潰瘍、再発性角膜びらん、角膜上皮性基底膜
異栄養症、角膜上皮性異栄養症、単純ヘルペス性角膜炎(単純ヘルペス角結膜炎
)、樹枝状角膜炎、円板状角膜炎、眼帯状ヘルペス、フリクテン性角結膜炎(フ
リクテン又は湿疹性結膜炎)、角膜実質炎(実質性角膜炎)、辺縁潰瘍性角膜炎
(辺縁性角膜溶解又は辺縁性リューマチ性潰瘍)、角膜軟化症(乾燥性角膜炎)
、眼球乾燥症、円錐角膜、水疱性角膜症などの角膜障害; 発育異常又は先天性の白内障、若年性又は成人の白内障、核性白内障、後嚢
下白内障を含有する白内障; ブドウ膜炎(眼球血管膜又は網膜の炎症)、前部ブドウ膜炎、中間部ブドウ膜
炎、後部ブドウ膜炎、虹彩炎、毛様体炎、脈絡膜炎、強直性脊椎炎、ライター症
候群、周辺性ブドウ膜炎、トキソプラズマ症、サイトメガロウィルス(CMV)、
急性網膜壊死、トキソカラ症、Birdshot脈絡膜症、ヒストプラズマ症(推定眼ヒ
ストプラズマ症候群)、ベーチェット症候群などの眼球血管膜障害; フリーラジカル誘発性眼疾患及び疾病;そして グラヴェス眼症、円椎角膜、上皮角膜性ジストロフィー、角膜白班、眼窩天疱
瘡、モーレン潰瘍、強膜炎、及びサルコイドーシスなどの免疫学的に介在される
眼疾患及び疾病[メルク・マニュアル(The Merck Manual)、第16版、第217章
、第2365−2397頁(1992)並びにカッセル、ビリッグ及びランドール、アイ・ブ
ック(The Eye Book)、ジョン・ホプキンス大学出版(1998)を参照のこと]。
【0055】 本発明の組成物及び方法は、以下の制限されない眼外傷、そしてそれらに起因
する症状及び合併症の治療に、また有用である:結膜と角膜の異物外傷、角膜擦
過傷、眼内異物外傷、破裂、眼瞼破裂、挫傷、眼瞼挫傷(黒眼)、眼球への外傷
、虹彩破裂、白内障、転位水晶体、緑内障、硝子体出血、眼窩床骨折、網膜出血
又は剥離、眼球破裂、前房出血(外傷性前房出血)、熱傷、眼瞼熱傷、化学的熱
傷、角膜と結膜の化学的熱傷、そして紫外線熱傷(太陽熱傷)。メルク・マニュ
アル(The Merck Manual)、第16版、第217章、第2364−2365頁(1992)を参照
のこと。
【0056】 本発明の組成物及び方法は、以下の制限されない模範的症状及び眼疾病、眼疾
患又は眼外傷の合併症を治療及び/又は予防することにおいて、また有用である
:結膜下出血、硝子体出血、網膜出血、眼前浮遊物、網膜剥離、光恐怖症、眼窩
痛、暗点(虚性及び実性)、屈折エラー、正視眼、屈折異常、遠視(遠視)、近
視(近視)、乱視、不同視、不等像視、老視、出血、再発出血、交感性眼炎、炎
症、腫脹、眼潮紅、眼刺激、角膜潰瘍及び瘢痕、虹彩毛様体炎、眼球穿孔、眼瞼
奇形、眼球突出、眼球運動の障害、眼瞼腫脹、浮腫、半盲又は全盲を含む視力喪
失、視神経炎、熱、倦怠、血栓静脈炎、海綿静脈洞血栓症、全眼球炎、髄膜及び
脳の感染、乳頭浮腫、重篤な脳症状(頭痛、覚醒状態の低下、及び痙攣)、脳神
経麻痺、流涙症(慢性的又は持続性の流涙)、粘液及び膿のおびただしい逆流、
濾胞性結膜下増殖、角膜内血管侵入、結膜、角膜及び眼瞼の瘢痕形成、パンヌス
、前房蓄膿、兎眼、フリクテン症、虹彩血管新生、両耳側半盲、そして同名半盲
。メルク・マニュアル(The Merck Manual)、第16版、第217章、第2362−2363
頁(1992)を参照のこと。
【0057】 その誘導体は、視力障害を治療し、視力を改善し、記憶障害を治療し、又は記
憶行動を亢進するために有用な、一つ又はそれ以上の因子の効果的用量と併用投
与されることが可能である。
【0058】 好ましい具体的内容の中で、その誘導体と併用される因子は、自己免疫、炎症
及び免疫学的に介在される疾患を治療するための免疫抑制剤;外傷又は手術に起
因する創傷を治療するための創傷治癒剤;異常に上昇した眼内圧を治療するため
の抗緑内障剤;神経変性疾患を治療する、又は神経突起の成長を刺激するための
神経栄養因子及び成長因子;黄班変性を治療するために、出血又は血管新生を制
限又は防止する上で効果的な化合物;そして眼組織への酸化的損傷を治療するた
めの抗酸化剤より構成されるグループから選択される。
【0059】 〔本発明の医薬組成物〕 本発明はまた、以下を含む医薬組成物に関する: (1)動物における視力障害を治療し、視力を改善し、記憶障害を治療し、又は
記憶行動を亢進するための誘導体の効果的用量;そして (2)医薬品として許容しうる担体 その誘導体は、視力障害を治療し、視力を改善し、記憶障害を治療し、又は記
憶行動を亢進するために有用な、一つ又はそれ以上の因子の効果的用量と併用投
与されることが可能である。
【0060】 〔ヘテロサイクリックエステル又はアミド〕 本発明の方法および医薬組成物に用いられるヘテロサイクリックエステル及び
アミドは、FKBP型イミュノフィリン、例えばFKBP12に対する親和性を有する低分
子量の小分子化合物である。ヘテロサイクリックエステル又はアミドは、FKBP型
イミュノフィリンに結合し、その結合蛋白質のプロリル-ペプチジル cis-trans
イソメラーゼ又はロトマーゼ活性を抑制することが見出されている。意外なこと
に、その化合物はまた、発毛を刺激することが発見されている。その化合物は、
どのような有意な免疫抑制活性も有していない。 〔式I〕 本発明のヘテロサイクリックエステル又はアミドは、下記式Iで表される化合物
【化10】 あるいは、医薬品として許容し得る塩、エステル又は溶媒化合物であることがで
きる、 式中: A及びBは、それらが各々結合している窒素および炭素原子と共に、その窒素原
子に加えて1個又はそれ以上の更なるO, S, SO, SO2, N, NH 又はNR1異種原子を
含有する、5-7員環の飽和又は不飽和ヘテロサイクリック環を形成する; Xは、O又はSである; Zは、O, NH 又はNR1である; W及びYは、自由にO, S, CH2 又はH2をとり得る; R1は、C1-C6直鎖又は分枝鎖アルキルあるいはC2-C6直鎖又は分枝鎖アルケニル
であり、それは、(Ar1)n、C1-C6直鎖又は分枝鎖アルキル又は(Ar1)n で置換され
たC2-C6直鎖又は分枝鎖アルケニル、C3-C8サイクロアルキル、C1-C6直鎖又は分
枝鎖アルキルあるいはC3-C8サイクロアルキルで置換されたC2-C6直鎖又は分枝鎖
アルケニル、そしてAr2より構成されるグループから、自由に選択された1個又は
それ以上の置換基で置換される; nは1又は2である; R2は、C1-C9直鎖又は分枝鎖アルキル、C2-C9直鎖又は分枝鎖アルケニル、C3-C 8 サイクロアルキル、C5-C7サイクロアルケニル又はAr1のいずれかであり、そこ
で上記のアルキル、アルケニル、サイクロアルキル又はサイクロアルケニルは置
換されていないか、あるいはC1-C4直鎖又は分枝鎖アルキル、C2-C4直鎖又は分枝
鎖アルケニル及びハイドロキシルより構成されるグループから自由に選択された
1個又はそれ以上の置換基で置換されている;そして Ar1及びAr2は、自由にアリサイクリック又はアロマチック、モノ-、ビ-又はト
リサイクリック、カルボ-又はヘテロサイクリック環をとり得る。そこで、その
環は置換されていないか、あるいはハロ、ハイドロキシル、ニトロ、トリフルオ
ロメチル、C1-C6直鎖又は分枝鎖アルキル、C2-C6直鎖又は分枝鎖アルケニル、C1 -C4アルコキシ、C2-C4アルケニロキシ、フェノキシ、ベンジロキシ及びアミノよ
り構成されるグループから、自由に選択された1個又はそれ以上の置換基で置換
されている; そこで、その個々の環サイズは5-6 員環であり、そしてそのヘテロサイクリッ
ク環は、O, N及びSより構成されるグループから、自由に選択された1-6個の異種
原子を含有する。
【0061】 適切なカルボ-及びヘテロサイクリック環は、制限なしに、ナフチル、インド
リル、フリル、チアゾリル、チエニル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル
、フルオレニル及びフェニールを含有する。 〔式II] 加えて、そのヘテロサイクリックエステル又はアミドは、式IIで表される化合物
【化11】 あるいは、医薬品として許容し得る塩、エステル又は溶媒化合物であることがで
き、式中: A, B及びCは、自由にCH2, O, S, SO, SO2, NH又はNR1をとり得る; R1は、C1-C5直鎖又は分枝鎖アルキルあるいはC2-C5直鎖又は分枝鎖アルケニル
であり、それは、(Ar1)n及びC1-C6直鎖又は分枝鎖アルキルあるいは(Ar1)n で置
換されたC2-C6直鎖又は分枝鎖アルケニルより構成されるグループから、自由に
選択された1個又はそれ以上の置換基で置換される; nは、1又は2である; R2は、C1-C9直鎖又は分枝鎖アルキル、C2-C9直鎖又は分枝鎖アルケニル、C3-C 8 サイクロアルキル、C5-C7サイクロアルケニル又はAr1のいずれかである;そし
て Ar1は、自由にアリサイクリック又はアロマチック、モノ-、ビ-又はトリサ
イクリック、カルボ-又はヘテロサイクリック環であり、そこでその環は置換さ
れていないか、あるいはハロ、ハイドロキシル、ニトロ、トリフルオロメチル、
C1-C6直鎖又は分枝鎖アルキル、C2-C6直鎖又は分枝鎖アルケニル、C1-C4アルコ
キシ、C2-C4アルケニロキシ、フェノキシ、ベンジロキシ及びアミノより構成さ
れるグループから、自由に選択された1個又はそれ以上の置換基で置換されてい
る; そこで、その個々の環サイズは5-6 員環であり、そしてそのヘテロサイクリッ
ク環は、O, N及びSより構成されるグループから、自由に選択された1-6個の異種
原子を含有する。
【0062】 式IIの化合物の好ましい形態において、ヘテロサイクリックエステル又はアミ
ドは、以下の式の化合物GPI 1572である。
【化12】 式IIの化合物の特に好ましい形態において: Aは、CH2である; Bは、CH2又はSである; Cは、CH2又はNHである; R1は、3-フェニールプロピル及び3-(3-ピリジル)プロピルより構成されるグル
ープから選択される;そして R2は、1,1-ジメチルプロピル、サイクロヘキシル及びtert-ブチルより構成さ
れるグループから選択される。
【0063】 この形態の特別な例が、表Iに表わされている。
【表1】
【0064】 〔式III〕 ヘテロサイクリックエステル又はアミドは、また式IIIの化合物であることがで
きる
【化13】 あるいは、医薬品として受諾し得る塩、エステル又はその溶媒化合物であること
ができ、式中: A, B, C及びDは、自由にCH2, O, S, SO, SO2, NH又はNR1をとり得る; R1は、C1-C5直鎖又は分枝鎖アルキルあるいはC2-C5直鎖又は分枝鎖アルケニル
であり、それは、(Ar1)n及びC1-C6直鎖又は分枝鎖アルキルあるいは(Ar1)n で置
換されたC2-C6直鎖又は分枝鎖アルケニルより構成されるグループから、自由に
選択された1個又はそれ以上の置換基で置換される; nは、1又は2である; R2は、C1-C9直鎖又は分枝鎖アルキル、C2-C9直鎖又は分枝鎖アルケニル、C3-C 8 サイクロアルキル、C5-C7サイクロアルケニル又はAr1のいずれかである;そし
て Ar1は、自由にアリサイクリック又はアロマチック、モノ-、ビ-又はトリサ
イクリック、カルボ-又はヘテロサイクリック環であり、そこでその環は置換さ
れていないか、あるいはハロ、ハイドロキシル、ニトロ、トリフルオロメチル、
C1-C6直鎖又は分枝鎖アルキル、C2-C6直鎖又は分枝鎖アルケニル、C1-C4アルコ
キシ、C2-C4アルケニロキシ、フェノキシ、ベンジロキシ、及びアミノより構成
されるグループから、自由に選択された1個又はそれ以上の置換基で置換されて
いる; そこで、その個々の環サイズは5-6 員環であり、そしてそのヘテロサイクリッ
ク環は、O, N及びSより構成されるグループから、自由に選択された1-6個の異種
原子を含有する。
【0065】 式IIIの化合物の特に好ましい形態において: Aは、CH2である; Bは、CH2である; Cは、S, O又はNHである; Dは、CH2ある; R1は、3-フェニールプロピル及び(3,4,5-トリメトキシ)フェニールプロピルよ
り構成されるグループから選択される;そして R2は、1,1-ジメチルプロピル、サイクロヘキシル及びtert-ブチル、フェニー
ル及び3,4,5-トリメトキシフェニールより構成されるグループから選択される。
【0066】 この形態の特別な例が表IIに表わされている。
【表2】
【0067】 〔式IV〕 ヘテロサイクリックエステルもしくはアミドは、また式IVの化合物であること
ができる;
【化14】 あるいは、医薬品として受諾し得る塩、エステル又はその溶媒化合物であるこ
とができ、式中: Vは、C, N又はSである; A及びBは、V及びそれらが各々結合する炭素原子と共に、Vに加えてO, S, SO,
SO2, N, NH及びNRより構成されるグループから自由に選択された1個又はそれ
以上の異種原子を含有する、5-7員環の飽和又は不飽和ヘテロサイクリック環を
形成する; Rは、C1-C9直鎖又は分枝鎖アルキル、C2-C9直鎖又は分枝鎖アルケニル、C3-C9 サイクロアルキル、C5-C7サイクロアルケニル又はAr3のいずれかであり、そこで Rは置換されていないか、あるいはハロ、ハロアルキル、カルボニル、カルボ
キシ、ハイドロキシ、ニトロ、トリフルオロメチル、C1-C6直鎖又は分枝鎖アル
キル、C2-C6直鎖又は分枝鎖アルケニル、C1-C4アルコキシ、C2-C4アルケニロキ
シ、フェノキシ、ベンジロキシ、チオアルキル、アルキルチオ、スルフハイドロ
キシ、アミノ、アルキルアミノ、アミノアルキル、アミノカルボキシル及びAr4
より構成されるグループから、自由に選択された1個又はそれ以上の置換基で置
換されている; Ar1及びAr4は、自由にアリサイクリック又はアロマチック、モノ-、ビ-又はト
リサイクリック、カルボ-又はヘテロサイクリック環をとり得る;そこで、その
個々の環サイズは5-8 員環であり、そしてそのヘテロサイクリック環は、O, N及
びSより構成されるグループから、自由に選択された1-6個の異種原子を含有する
;そして R1, R2, W, X, Y及びZは、上記式Iの中で定義された通りである。
【0068】 式I-IVの全ての化合物は、不斉中心を持ち、かくて立体異性体の混合物又は個
々のR-及びS-立体異性体として、製造されることができる。その個々の立体異性
体は、光学活性を有する出発材料を用いて、あるいはその合成のある適当な段階
での中間生成物のラセミ又は非ラセミ混合物を分解して、更には式I-IVの化合物
を分解することにより、得られることができる。式I-IVの化合物は、立体異性体
混合物(ラセミ及び非ラセミ)と同様に、個々の立体異性体を取り巻いていると
理解されている。好ましくは、S-立体異性体が、本発明の医薬品組成物及び方法
に使用される。
【0069】 〔FKBP12への親和性〕 本発明の方法及び医薬組成物に使用される化合物は、FK506結合蛋白質、特にF
KBP12に対する親和性を有する。FKBPのプロリル ペプチジルcis-transイソメラ
ーゼ活性の抑制が、この親和性の指標として測定されることができる。
【0070】 〔Ki試験の方法〕 本発明の方法及び医薬組成物に使用される化合物によるペプチジル-プロリル
イソメラーゼ(ロタマーゼ)活性の抑制は、文献〔ハーディングら、ネイチャー
(Nature)、第341巻、第758-760頁(1989年);ホルトら、ジャーナル・オブ・
アメリカン・ケミカル・ソサイティ(J. Am. Chem. Soc.)第115巻、第9923-993
8頁〕に記載されている公知の方法で評価されることが可能である。これらの値
は、見掛けのKi値として得られ、表IIIに代表的化合物の値が表わされている。
【0071】 モデル基質であるN-サクシニル−アラニン−アラニン−プロリン−フェニール
アラニン−p-ニトロアニリド内のアラニン−プロリン結合のcis-trans異性化反
応は、trans型の基質からパラ-ニトロアニリドを遊離するキモトリプシン共役活
性試験において、分光光度学的に測定される。種々の濃度の阻害剤添加によるこ
の反応の抑制が測定され、データは、見掛けのKi値をもたらす阻害濃度の機能で
ある一次反応速度定数の変化として解析される。
【0072】 氷冷された測定バッファー(25 mM ヘペス、pH 7.8、100 mM塩化ナトリウム)
950 mL、FKBP(100 mM塩化ナトリウム及び1 mMジチオスレイトールを含むpH 7.5
の10 mMトリス−クロライド中に2.5 mM)10 mL、キモトリプシン(1 mM塩酸に50
mg/ml)25 mL及びジメチルスルホキサイドに溶解した各種濃度の被検化合物10
mLを、プラスチックキュベットに加える。反応は、5 mLの基質(2.35 mM塩化リ
チウムを含むトリフルオロエタノール中に、サクシニル−アラニン−フェニール
アラニン−プロリン−フェニールアラニン−パラ-ニトロアニリド 5 mg/mL)の
添加により開始される。
【0073】 時間に対する390 nmでの吸光度を分光光度計を用いて90秒間測定し、反応速度
定数が時間−吸光度データ ファイルから決定される。
【表3】
【0074】 〔投与経路〕 視力喪失を効果的に治療し、視力再生を効果的に促進するために、本発明の方
法および医薬組成物に使用される化合物は、容易に標的範囲に影響しなければな
らない。 医薬品技術の中で公知の他の投与経路が、この発明によりまた考慮される。
【0075】 〔用量〕 その活性成分の約0.1 mgから約10,000 mgオーダーの用量が、約0.1 mgから約1
,000 mgの適正用量と合わせて、上記条件下の治療に有用である。何らかの特別
な患者のための特定な用量は、採用されるその特定化合物の活性;患者の年齢、
体重、全般的な健康状態、性別及び食事;投与時間;排泄速度;併用薬剤;治療
されている特殊な疾患の重症度;及び投与形態を含む種々の要素に依存して変化
することができる。インビトロでの用量―効果結果は、患者への投与のための適
正用量に関する有用な手引きを、特徴的に提供する。動物モデルにおける研究も
、また助けとなる。適正用量を決定するための考え方は、その技術の中で公知で
ある。
【0076】 その化合物は、視力喪失を治療し、視力退行を予防又は視力再生を促進するた
めの他剤と併用投与されることが可能である。そのような他剤に対する特定の用
量は、上述された要素と薬剤併用の効果に依存することができる。
【0077】
【実施例】
以下の例が、本発明の実施例であるが、その上これらに限定されるものではな
い。別の方法で指摘されていなければ、全てのパーセンテージは、最終組成物の
重量を100%として表示している。
【0078】 [実施例1]3-フェニール-1-プロピル(2S)-1-(3,3-ジメチル-1,2-ジオキソペンチル )-2-(4-
チアゾリジン)カルボキシレイトの合成 (1) 1-(1,2-ジオキソ-2-メトキシエチル)2-(4-チアゾリジン)-カルボキシレイト L-チオプロリン(1.51 g; 11.34 mmol)を含む非含水塩化メチレン溶液40 mL
が0℃に冷却され、トリエチルアミン3.3 mL(2.41 g; 23.81 mmol)で処理され
た。この混合物を30分間攪拌した後、塩化メチルオキザリル溶液(1.81 g; 14.7
4 mmol)が滴下された。結果として生じた混合物は、0℃で1.5時間攪拌され、固
形物を除去するためにCeliteを介して濾過され、乾燥され、そして濃縮された。
その粗材料は、橙黄色の固形物であるオキザメイト2 gを得るため、10%メタノー
ル−塩化メチレンでシリカゲルカラムから溶出し、精製された。
【0079】3-フェニール-1-プロピル(2S)-1-(1,2-ジオキソ-2-メトキシエチル)2-(4-チアゾ
リジン) カルボキシレイト 1-(1,2-ジオキソ-2-メトキシエチル)2-(4-チアゾリジン) カルボキシレイト(
500 mg; 2.25 mmol)、3-フェニール-1-プロパノール(465 mg; 3.42 mmol)、
ジサイクロヘキシルカルボジイミド(750 mg; 3.65 mmol)、4-ジメチルアミノ
ピリジン(95 mg; 0.75 mmol)及び樟脳硫酸(175 mg; 0.75 mmol)が、塩化メ
チレン30 mL中で一晩攪拌された。その混合物は、固形物を除去するためにCelit
eを介して濾過され、690 mgの材料を得るために、25%の酢酸エチル−ヘキサンを
移動相としてクロマトグラフされた。1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ1.92-2.01 (m, 2H); 2.61-2.69 (m, 2H); 3.34 (m, 1H); 4.11-4.25 (m, 2H);
4.73 (m, 1H); 5.34 (m, 1H); 7.12 (m, 3H); 7.23 (m, 2H)。
【0080】3-フェニール-1-プロピル(2S)-1-(3,3-ジメチル-1,2-ジオキソペンチル)-2-(4-
チアゾリジン) カルボキシレイト (1) テトラハイドロフラン(10 mL)に溶解した3-フェニール-1-プロピル(2S)-1-(1,
2-ジオキソ-2-メトキシエチル)2-(4-チアゾリジン) カルボキシレイト(670 mg;
1.98 mmol)の溶液が、-78℃に冷却され、エーテルに溶解した1.0 Mの1,1-ジメチ
ルプロピル塩化マグネシウム2.3 mLで処理された。その混合物は、3時間攪拌後
、飽和塩化アンモニウム中に注がれ、酢酸エチルで抽出され、その有機相を水で
洗浄し、乾燥後濃縮された。その粗材料は、黄色油としての実施例1の化合物380
mgを得るため、25%酢酸エチル−ヘキサンでシリカゲルカラムから溶出し、精製
された。1H NMR (CDCl3, 300 MHz): d 0.86 (t, 3H); 1.21(s, 3H); 1.26 (s, 3
H); 1.62-1.91 (m, 3H); 2.01 (m, 2H); 2.71 (m, 2H); 3.26-3.33 (m, 2H); 4.
19 (m, 2H); 4.58; (m, 1H); 7.19(m, 3H); 7.30(m, 2H)。C20H27NO4S用に計算
された分析:C, 63.63; H, 7.23; N, 3.71。発見:C, 64.29; H, 7.39; N, 3.46
【0081】 〔実施例2〕3-(3-ピリジル)-1-プロピル(2S)-1-(3,3-ジメチル-1,2-ジオキソペンチル)-2-(4
-チアゾリジン)カルボキシレイトの合成 (2) 実施例2の化合物は、3-(3-ピリジル)-1-プロピル(2S)-1-(3,3-ジメチル-1,2-ジ
オキソペンチル)-2-(4-チアゾリジン)カルボキシレイトをもたらすため、最終段
階に3-(3-ピリジル)-1-プロパノールを用いて、実施例1の方法に従って調製され
た。1H NMR (CDCl3, 300 MHz):δ0.89 (t, 3H, J=7.3); 1.25(s, 3H); 1.28 (s,
3H); 1.77 (q, 2H, J=7.3); 2.03 (tt, 2H, J=6.4, 7.5); 2.72 (t, 2H, J=7.
5); 3.20 (dd, 1H, J=4.0, 11.8); 3.23 (dd, 1H, J=7.0, 11.8); 4.23; (t, 2H
, J=6.4); 4.55(d, 2H, J=8.9); 5.08(dd, 1H, J=4.0, 7.0); 7.24 (m, 1H); 8.
48 (m, 2H)。C19H26N2O4S-0.5 H2O用に計算された分析:C, 58.89; H, 7.02; N,
7.23。発見:C, 58.83; H, 7.05; N, 7.19。
【0082】 〔実施例3〕3-フェニール-1-プロピル(2S)-1-(3,3-ジメチル-1,2-ジオキソペンチル)-2-ピロ
リジンカルボキシレイト (1) メチル(2S)-1-(1,2-ジオキソ-2-メトキシエチル)-2-ピロリジンカルボキシレイ
L-プロリンメチルエステル塩酸(3.08 g; 18.60 mmol)を含む非含水塩化メチ
レン溶液が0℃に冷却され、トリエチルアミン(3.92 g; 38.74 mmol; 2.1eq)で
処理された。その形成されたスラリーを窒素下で15分間攪拌した後、塩化メチル
オキザリル(3.20 g; 26.12 mmolを含む塩化メチレン溶液(45 ml)が滴下され
た。結果として生じた混合物は、0℃で1.5時間攪拌された。固形物を除去するた
めに濾過された後、有機層は水で洗浄され、硫酸マグネシウム上で乾燥され、そ
して濃縮された。その粗残滓は、赤色油としての生産物3.52 g(88%)を得るた
め、50%酢酸エチル−ヘキサンでシリカゲルカラムから溶出し、精製された。cis
-transアミド回転体の混合物;与えられたtrans回転体に対するデータ。 1H NMR (CDCl3): d 1.93 (dm, 2H); 2.17(m, 2H); 3.62 (m, 2H); 3.71 (s, 3H
); 3.79; 3.84 (s, 3H合計); 4.86 (dd, 1H, J=8.4, 3.3)。
【0083】メチル(2S)-1-(1,2-ジオキソ-2-ジメチルペンチル)-2-ピロリジンカルボキシレ
イト メチル(2S)-1-(1,2-ジオキソ-2-ジメチルペンチル)-2-ピロリジンカルボキシ
レイト(2.35 g; 10.90 mmol)を含むテトラハイドロフラン(THF)溶液30 mlが
、-78℃に冷却され、1,1-ジメチルプロピル塩化マグネシウムの1.0 M THF溶液14
.2 mlで処理された。その結果として生じた均一な混合物を-78℃で3時間攪拌し
た後、その混合物は飽和塩化アンモニウム(100 ml)中へ注ぎ込まれ、酢酸エチ
ルで抽出された。その有機層は水で洗浄され、乾燥され、そして濃縮され、その
溶媒除去後に得られた粗材料は、無色油としてのオキサミン酸2.10 g(75%)を
得るため、25%酢酸エチル−ヘキサンでシリカゲルカラムから溶出し、精製され
た。1H NMR (CDCl3): d 0.88 (t, 3H); 1.22, 1.26 (s, 3H各々); 1.75 (dm, 2H
); 1.87-2.10 (m, 3H); 2.23 (m, 1H); 3.54 (m, 2H); 3.76 (s, 3H); 4.52 (dm
, 1H, J=8.4, 3.4)。
【0084】(2S)-1-(1,2-ジオキソ-3,3-ジメチルペンチル)-2-ピロリジンカルボン酸 メチル(2S)-1-(1,2-ジオキソ-3,3-ジメチルペンチル)-2-ピロリジンカルボキ
シレイト(2.10 g; 8.23 mmol)、1N水酸化リチウム(15 ml)及びメタノール(
50 ml)の混合物が、0℃で30分間攪拌され、続いて室温で一晩攪拌された。その
混合物は1N塩酸でpH 1に調製され、水で希釈され、塩化メチレン100 mlで抽出さ
れた。その有機層は塩水で洗浄され、それ以上の精製を必要としない雪白の固体
1.73 g(87%)をもたらすように濃縮された。1H NMR (CDCl3): d 0.87 (t, 3H);
1.22, 1.25 (s, 3H各々); 1.77 (dm, 2H); 2.02 (m, 2H); 2.17 (m, 1H); 2.25
(m, 1H); 3.53 (dd, 2H, J=10.4, 7.3); 4.55 (dd, 1H, J=8.6, 4.1)。
【0085】3-フェニール-1-プロピル(2S)-1-(3,3-ジメチル-1,2-ジオキソペンチル)-2-ピロ
リジンカルボキシレイト (1) 塩化メチレン(20 ml)中に、(2S)-1-(1,2-ジオキソ-3,3-ジメチルペンチル)-
2-ピロリジンカルボン酸(600 mg; 2.49 mmol)、3翼tェニール-1-プロパノール
(508 mg; 3.73 mmol)、ジサイクロヘキシルカルボジイミド(822 mg; 3.98 mm
ol)、カンクルスルホン酸(190 mg; 0.8 mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン
(100 mg; 0.8 mmol)を含む混合物が、窒素下で一晩攪拌された。その反応混合
物は、固形物を除去するためにCeliteを介して濾過され、減圧下で濃縮され、そ
してその粗材料は、無色油としての実施例1の化合物720 mg(80%)を得るため、
フラッシュカラム(25%酢酸エチル−ヘキサン)で精製された。1H NMR (CDCl3):
d 0.84 (t, 3H); 1.19 (s, 3H), 1.23 (s, 3H); 1.70 (dm, 2H); 1.98 (m, 5H)
; 2.22 (m, 1H); 2.64 (m, 2H); 3.47 (m, 2H), 4.14 (m, 2H); 4.51 (d, 1H); 7.16 (m, 3H); 7.26 (m, 2H)。
【0086】 図1. GPI 1046は、網膜虚血後の変性に対して網膜神経節細胞を保護する。 成熟ラットの外側膝状核に蛍光金を両側注入することにより、網膜神経節細胞が
逆行的に標識された。その正常ラットの標識された網膜神経節細胞は、暗色背景
に対して白色に認められる(図1A)。網膜完全虚血は、眼内圧が動脈血圧を超え
るまで、各々の眼の網膜硝子体腔内へ正常生理食塩水を灌流することによって作
製された。虚血作製28日後には、網膜神経節細胞の広汎な変性が、蛍光金で標識
された細胞密度の広範囲に及ぶ減少によって証拠づけられた(図1B)。その虚血
作製に先立つ1時間前(10 mg/kg、皮下投与)及び続く4日間では10 mg/kg/日のG
PI 1046投与は、易傷害性の細胞を大部分にわたって顕著に保護した(図1C)。
【0087】 図2. GPI 1046は、網膜虚血後の視神経軸索とミエリンの変性を防止する。 同一の網膜虚血固体の視神経観察は、GPI 1046が、虚血変性から視神経要素を劇
的に保護していることを示している。エポン封埋された視神経の交差切片のトル
イジンブルー染色は、正常なラット視神経におけるミエリン鞘(白丸)及び視神
経軸索(黒点)の細部を示した。1時間の網膜虚血28日後に検討されたビヒクル
処置された固体からの視神経は、視神経軸索の密度減少と多数の変性しているミ
エリン模様(明るい白塗りの丸)の出現によって特徴づけられる。GPI 1046投与
は、変性から視神経軸索の大半を保護し、そして又、変性しているミエリン模様
の密度を劇的に減少させた。
【0088】 図3. GPI 1046は、視神経切断後の網膜神経節細胞死を中程度保護する。 眼球から5 mmの位置での視神経の完全切断は、傷害90日後には、正常神経節細胞
の87%以上が欠損する、網膜神経節細胞の広範囲にわたる変性を来たした(表IV
)。蛍光金で予め標識された未傷害の神経節細胞(大きな白模様)は、ビヒクル
処置固体において、変性細胞の断片を消化し、蛍光金標識を捕獲する小ミクログ
リアの間にはほとんど存在していない(図3A)。GPI 1046の14日間投与は、切断
90日後まで生存した網膜神経節細胞数の有意ではないが軽度の増加を結果的に引
き起こしたが(表IV)、切断後の最初の28日間にわたるその投与は、易傷害性の
神経節細胞数を12.6%と中程度かつ有意に保護した(表IV、図3B)。
【0089】 図4. GPI 1046の投与期間は、切断後の視神経軸索変性過程に有意に影響する
。 同一固体からの視神経近位断端における視神経軸索密度の検討は、GPI 1046処置
による、より劇的な保護を示した。切断90日後には、神経節細胞軸索は視神経内
にはほとんど残存しておらず、正常細胞数のわずか5.6%を認めるのみである(図
4B)。その軸索の消失は、網膜神経節細胞の死と網膜そのもの内部で僅かに生存
している神経節細胞の約70%の軸索が死にかかっていることの両方を、反映して
いる(表IV)。視神経切断後のGPI 1046の初期14日間投与は、視神経軸索の軽度
ではあるが有意な5.3%の保護を示したが(図4D、表IV)、28日間にわたる同一用
量のGPI 1046投与は、未傷害の網膜神経節細胞のほとんど大部分(81.4%)に対
して、その視神経軸索を保護した(図4C、表IV)。
【0090】 図5. GPI 1046投与は、神経節細胞体より視神経軸索に多大な効果を発揮する
。 この要約図は、図3の神経節細胞の保護作用と視神経軸索保護の高倍率顕微鏡写
真からのデータを示している(図5AとB、上部パネル)。GPI 1046の28日間投与
は、大型の、そして特に中型及び小型の管腔径をもつ視神経軸索の密度を、有意
に増加した(図5CとD、下部パネル)。
【0091】 図6. 視神経切断後のGPI 1046の28日間投与は、近位断端におけるミエリン変
性を防止する。 ミエリン塩基性蛋白質の免疫組織化学は、正常な視神経において、髄鞘をもった
軸索束(より暗く標識された“島”)を標識する(図6A,上部左)。切断90日後
に、ビヒクル処置された固体において、束組織の消失と多数の大型で緻密な変性
の進むミエリン束の出現によって特徴付けられる、ミエリンの広汎な変性が明白
化する(図6B,上部右)。視神経切断後のGPI 1046の初期14日間投与は、ミエ
リンの変性パターンを変えず(図6C、下部左パネル)、そしてミエリン密度の
有意ではない1.6%の定量的回復を引き起こした(表IV)。視神経切断後の最初の
28日間にわたるGPI 1046の投与期間の延長は、視神経の近位断端のミエリン塩基
性蛋白質に対する束染色パターンを劇的に保護し、ミエリン密度の70%回復によ
り示されるとおり(表IV)、変性の進むミエリン模様の密度を減少させた(図6D
、下部右パネル)。
【0092】 図7. FKBP-12の免疫組織化学は、視神経線維束間そして又ある視神経軸索間
に局在するミエリンの産生細胞である、オリゴデンドログリア(線維化過程をも
つ大型の暗色細胞)を標識する。
【0093】 図8. 視神経切断後のGPI 1046の28日間投与は、遠位断端におけるミエリン変
性を防止する。 視神経の完全切断は、遠位断節(神経節細胞体から分離された軸索断片)の変性
、及びそれらのミエリン鞘の変性につながる。切断90日後(図8B)のミエリン塩
基性蛋白質の免疫組織化学は、束組織(正常な視神経に存在している、図8A)の
ほとんど全ての欠損と多数の緻密な変性の進むミエリン模様の存在を示している
。定量は、その切断された遠位断端の交差切断部が31%縮小し、そのミエリンの
ほぼ1/2が喪失していることを表している(表IV)。切断後のGPI 1046の初期14
日間投与は、その遠位断端の縮小を防止しなかったが、変性の進むミエリン模様
が高密度に残存したにも拘わらず、僅かにミエリン密度を増加した(図8C、表IV
)。最初の28日間にわたるGPI 1046の投与は、ミエリン束の標識パターンを劇的
に保護し、変性の進むミエリン模様密度を低下させ、切断神経遠位断端の交差断
面の縮小を阻止し、そしてミエリン量を正常値の約99%に維持した(図8D、表IV
)。
【0094】 図9. ストレプトゾトシン糖尿病の誘発8週間後に開始されるGPI 1046の28日
間投与は、内外網膜における血管新生を抑制し、内部核層(INL)及び神経節細
胞層(GCL)を変性から保護する。 染色された未変性の網膜切片のクレシルバイオレット陰性像は、その三細胞層で
の細胞質を表している(図9A)。ビヒクルのみを投与されたストレプトゾトシン
処置動物の網膜は(図9B)、ONL及びINLからの細胞脱落を呈し、外網状層(ONL
とINL間の暗色部分)の厚みとINL、OPL、ONL及び光受容体層(PR、ONLの上のぼ
やけた部分)における網膜血管の径及び密度の劇的な増加を、減少させた。GPI
1046投与は、PR、ONL、OPL及びINLでの血管新生を減弱させた(例えば、血管増
殖を阻止した)。GPI 1046は、ONLでの神経脱落を防止するようには思われなか
ったが、ストレプトゾトシン/ビヒクル処置対照群と比較して、INL及びGCLの両
組織における神経脱落を減少させているとみなされた。
【0095】 [実施例4] 網膜神経節細胞及び視神経軸索のin vivo試験 網膜神経節細胞及び視神経軸索における変性抑制又は保護の程度が、外科的視
神経切断を利用し、視神経への機械的損傷を模倣した視力欠損モデルで、測定さ
れた。網膜神経節細胞の神経保護と視神経軸索密度に対する幾つかのニューロイ
ミュノフィリンFKBPリガンドの効果が、ニューロイミュノフィリンFKBPリガンド
の14日間及び28日間投与の影響を比較することにより、実験的に測定された。網
膜神経節細胞及び視神経軸索へのニューロイミュノフィリンFKBPリガンドの投与
効果が、関連させられた。
【0096】 外科的方法 成熟した雄性Sprague Dawley系ラット(3ケ月齢、225-250 g)が、ケタミン(87 mg/kg)とキシラジン(13 mg/kg)で麻酔された。網膜神経節細胞は、逆行性に
輸送される蛍光マーカーである蛍光−金(FG、生理食塩水に溶解した2.5%溶液の
0.5 μl)を、脳定位固定装置を用いてLGNdの座標(βの後方4.5 mm、3.5 mm外
則、硬膜下4.6 mm)に両側注入することにより標識された。その4 日後に、FG標
識されたラットは、眼窩の4-5 mm下で眼窩内の視神経を顕微手術により両側切断
するために、2回目の手術が行われた。
【0097】 実験動物は、1群当り6匹のラット(12眼)より成る6つの実験群に分割された
。第1群は、ニューロイミュノフィリンFKBPリガンド[PEGビヒクル(20%プロピ
レングリコール、20%エタノール及び60%生理食塩水)に溶解し、10 μg/kg/日を
皮下投与]を14日間の間投与された。第2群は、ニューロイミュノフィリンFKBP
リガンドの同一用量を28日間投与された。各投与群は、そのビヒクルのみを14日
間又は28日間投与された対応する偽手術及び切断対照群を、各々有していた。
【0098】 全動物は、視神経切断の90日後に屠殺され、フォルマリンで心膜性に灌流され
た。全ての眼と視神経断端が取り出された。視神経血管が損傷している、又は網
膜がFG標識されていない固体は、試験から除外された。
【0099】 視神経節細胞の計測 網膜が眼から取り出され、全封入用に調製された。各群に対して、緻密で強いFG
標識を持った5個の眼が、20倍の対物レンズを用いた定量分析用に選択された。
デジタル像が、中心網膜(視神経頭部の外側3-4 mm)内の5視野から得られた。F
G標識された大型(>18 μm)、中型(12-16 μm)及び小型(<10 μm)の視神経
節細胞とマイクログリアが、1群5匹、1匹当り400 μm x 400 μm の5視野内で計
数された。
【0100】 視神経の試験 近遠位の視神経断端が同定され、測定され、そして30%ショ糖生理食塩水に移
された。5つの神経のその近位断端が型どりされ、チャックに貼り付けられ、そ
して10 μmの交差切片がクリオスタット上で切り出された;10切片中の1切片が
、セット毎に保存された。眼窩の後方1-2 mmの部位を含む切片は、RT97ニューロ
フィラメント免疫組織化学用に反応させられた。視神経軸索密度の分析は、63倍
の油浸レンズ、デイジ81カメラ及び簡易イメージ分析プログラムを用いて行われ
た。RT97陽性の視神経軸索が、神経当り200μm x 200 μm の3視野内で計数され
た。その神経部位は、各個体に対して10倍でもまた測定された。
【0101】 表IV及びVでグラフとして描写されている如く、ニューロイミュノフィリンFKB
Pリガンドの14日間投与は、視神経切断28日後に、網膜神経節細胞の中程度の神
経保護を示した。しかしながら、切断90日後には、その神経節細胞数の5%のみが
生存していたに過ぎなかった。
【0102】 視神経切断90日後に、その視神経の近位断端で保続されている軸索数は、ビヒ
クル単独又はニューロイミュノフィリンFKBPリガンドを14日間投与された動物群
における生存神経節細胞数のほぼ半分であった。これらの結果は、その切断され
た神経節細胞軸索の半数以上が、視神経頭部の下にひっこんでおり、視神経切断
の初期14日間にわたるニューロイミュノフィリンFKBPリガンドの投与は、この収
縮を停止させるには十分でないことを指摘している。
【0103】 表IV及びVでグラフ化されている如く、28日間のより長期にわたるニューロイ
ミュノフィリンFKBPリガンドの投与は、網膜神経節細胞保護を中程度増大させた
。易傷害性の網膜神経節細胞数のほぼ12%が、保護された。傷害を受けていない
視神経軸索密度の同様な数(約50%)が、また観察された。これらの結果は、切
断28日後までのニューロイミュノフィリンFKBPリガンドの投与期間の延長が、本
質的に生存している全ての網膜神経節細胞に対して、損傷した軸索の退行を完全
に阻止していることを証明している。
【0104】 追加結果が、以後の表VI及びVIIに示されている。
【表4】
【0105】
【表5】
【表6】
【表7】
【0106】 [実施例5] 患者は、黄班変性に罹患している。上で同定された誘導体が、単独あるいは一
つ又はそれ以上の他の視力新生因子との併用で、あるいはそれと同一な成分を含
有する医薬組成物が、その患者に投与されることができる。視力喪失の減弱、視
力退行の防止、及び/又は視力再生の促進が、治療後にもたらされることが期待
される。
【0107】 [実施例6] 患者は、緑内障に罹患しており、結果的に視神経乳頭のくぼみと神経線維への損
傷を起こしている。上で同定された誘導体が、単独あるいは一つ又はそれ以上の
他の視力新生因子との併用で、あるいはそれと同一な成分を含有する医薬組成物
が、その患者に投与されることができる。視力喪失の減弱、視力退行の防止、及
び/又は視力再生の促進が、治療後にもたらされることが期待される。
【0108】 [実施例7] 患者は、手術を必要とする白内障に罹患している。手術後、上で同定された誘導
体が、単独あるいは一つ又はそれ以上の他の視力新生因子との併用で、あるいは
それと同一な成分を含有する医薬組成物が、その患者に投与されることができる
。視力喪失の減弱、視力退行の防止、及び/又は視力再生の促進が、治療後にも
たらされることが期待される。
【0109】 [実施例8] 患者は、糖尿病性網膜症、虚血性視神経障害あるいは網膜動脈又は静脈の遮断に
関係して、網膜血液の供給障害又は遮断に罹患している。上で同定された誘導体
が、単独あるいは一つ又はそれ以上の他の視力新生因子との併用で、あるいはそ
れと同一な成分を含有する医薬組成物が、その患者に投与されることができる。
視力喪失の減弱、視力退行の防止、及び/又は視力再生の促進が、治療後にもた
らされることが期待される。
【0110】 [実施例9] 患者は、網膜剥離に罹患している。上で同定された誘導体が、単独あるいは一つ
又はそれ以上の他の視力新生因子との併用で、あるいはそれと同一な成分を含有
する医薬組成物が、その患者に投与されることができる。視力喪失の減弱、視力
退行の防止、及び/又は視力再生の促進が、治療後にもたらされることが期待さ
れる。
【0111】 [実施例10] 患者は、ブドウ膜炎又は結膜炎に関連した炎症によって誘発される組織損傷に罹
患している。上で同定された誘導体が、単独あるいは一つ又はそれ以上の他の視
力新生因子との併用で、あるいはそれと同一な成分を含有する医薬組成物が、そ
の患者に投与されることができる。視力喪失の減弱、視力退行の防止、及び/又
は視力再生の促進が、治療後にもたらされることが期待される。
【0112】 [実施例11] 患者は、紫外線への慢性又は急性暴露によって誘発される光受容体損傷に罹患し
ている。上で同定された誘導体が、単独あるいは一つ又はそれ以上の他の視力新
生因子との併用で、あるいはそれと同一な成分を含有する医薬組成物が、その患
者に投与されることができる。視力喪失の減弱、視力退行の防止、及び/又は視
力再生の促進が、治療後にもたらされることが期待される。
【0113】 [実施例12] 患者は、視神経炎に罹患している。上で同定された誘導体が、単独あるいは一つ
又はそれ以上の他の視力新生因子との併用で、あるいはそれと同一な成分を含有
する医薬組成物が、その患者に投与されることができる。視力喪失の減弱、視力
退行の防止、及び/又は視力再生の促進が、治療後にもたらされることが期待さ
れる。
【0114】 [実施例13] 患者は、“ドライアイ”症候群に関連した組織損傷に罹患している。上で同定さ
れた誘導体が、単独あるいは一つ又はそれ以上の他の視力新生因子との併用で、
あるいはそれと同一な成分を含有する医薬組成物が、その患者に投与されること
ができる。視力喪失の減弱、視力退行の防止、及び/又は視力再生の促進が、治
療後にもたらされることが期待される。
【0115】 [実施例14] 視神経切断後の変性から網膜神経節細胞軸索を保護する上で、異なった一連のイ
ミュノフィリンリガンドからの代表的化合物の薬効が、以後の表VIIIに示されて
いる。
【表8】
【表9】
【表10】
【0116】 [実施例15] FKBPニューロイミュノフィリンリガンドGPI-1046は、視神経切断後の網膜神経
節細胞の生存を亢進し、軸索の瀕死状態を阻止する 哺乳動物の視神経の切断は、結果として短期間の頓挫性再生を引き起こすが、
軸索切断された神経の大半は死亡してしまい、多数の生存神経節細胞からの軸索
は、その視神経頭部の下で死に瀕している。本試験例は、視神経切断後のGPI-10
46の神経保護効果を検討するために、考案された。
【0117】 成熟した雄性Sprague Dawley系ラットの網膜神経節細胞が、LGNdへの蛍光金の
注入により逆行性に標識され、4日後に、その視神経が眼球下5 mmの位置で切断
された。動物の群は、GPI-1046 10 mg/kg/日の皮下投与又はビヒクルのいずれか
を、28日間投与された。全ての実験動物及び対照動物は、切断の90日後に屠殺さ
れた。
【0118】 90日までに、FG標識された神経節細胞の約10%のみが生存していたが、これら
神経の半数以下が、RT97ニューロフィラメント免疫組織化学で検出された如く、
その視神経頭部を越えて広がった軸索を保持していた。GPI-1046投与は、神経節
細胞の25%を無傷に維持する中程度の神経保護作用を示し、その切断神経の近位
断端において、事実上全ての保護された神経軸策を保持した。これらの結果は、
FKBPニューロイミュノフィリンリガンドGPI-1046の投与が、中枢神経系経路への
外傷後の病理学的過程に、基本的変化を引き起こしていることを示唆している。
【0119】 これらの結果は、小分子のFKBPニューロイミュノフィリンリガンドGPI-1046が
、培養系での神経突起の成長を亢進し、末梢神経再生を促進し、そして部分的な
求心路遮断後の中枢神経系内での発芽成長を刺激することを、また証明している
【0120】 [実施例16] ニューロイミュノフィリンリガンドは、ストレプトゾトシン誘発性糖尿病に関
連した末梢感覚神経障害からの回復を促進する 末梢神経障害は、糖尿病患者の30-40%に見られる、Type 2糖尿病の共通な消耗
性合併症である。神経成長因子(NGF)などの神経栄養因子は、末梢神経系(PNS
)の発達過程にある神経及び成熟している神経の生存を促進することが知られて
おり、糖尿病性末梢神経障害の治療薬としても、又評価されている。小分子であ
るGPI-1046などのニューロイミュノフィリンFKBP 12の選択的リガンドの幾つか
は、中枢及び末梢神経系の修復と再生を促進することがまた示されている[プロ
シーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス(Proc
. Nat'l. Acad. Sci.)、第94巻、第2019-2024頁(1997年)]。
【0121】 この試験例では、GPI-1046の潜在的な治療効果が、ストレプトゾトシン誘発性
糖尿病ラットの感覚機能に対する改善能力に関して評価された。方法は、ストレ
プトゾトシン(65 mg/kg静脈内投与)を単回投与された雄性Wistar系ラットを使
用した。血中グルコース濃度が、実験の最初の3週間と最後の1週間に、週1回測
定された。動物は、伝統的なホットプレート及びテイルフリック装置を使用して
、感覚神経障害の症候を毎週評価された。6週間後に、GPI-1046又はビヒクルの
いずれかの投与が開始された。
【0122】 その結果は、ホットプレート及びテイルフリック装置を用いた行動学的試験が
、GPI-1046 10 mg/kgを6週間にわたって皮下投与された障害動物において、潜
時の改善を示したことを証明した。その結果はまた、GPI-1046が糖尿病性感覚神
経障害の行動学的後遺症を正常化し、糖尿病性末梢神経障害に罹患している患者
を救済し得る可能性を示した。
【0123】 モーリス水迷路/老化及び記憶試験方法 老齢げっ歯類は、変法T迷路における二方向空間弁別、円形プラットフォーム
課題での空間弁別、受動回避、放射状迷路課題、そして水プールにおける空間ナ
ビゲーションなどを含む多様な行動学的課題に対する行動に、顕著な固体差を示
す。
【0124】 これら全ての課題において、一部の老齢ラット又はマウスは、若齢対照動物の
ほとんど大部分と同様に行動するが、他は、若齢動物と比較して記憶機能の重篤
な障害を示す。例えば、フィッシャーらは、空間ナビゲーションで有意な障害を
示すラットの比率は、加齢と共に上昇することを明らかにした。[フィッシャー
ら、(1991年b)]:モーリス水迷路の空間獲得で障害を示すラットの割合は、
若齢対照群と比較して、12ケ月齢で8%、18ケ月齢で45%、24ケ月齢で53%、そして30ケ 月齢で90%になる。
【0125】 げっ歯類の空間学習及び記憶機能が、老化の過程で特異的に減退することは、
ヒトの老人性痴呆に相関的な興味をそそる動物モデルとして、多数の研究者に受
け入れられている。海馬のアセチルコリン作動性神経機能は、げっ歯類における
空間学習機能の一要素として広汎に検討され、そして海馬アセチルコリン作動性
神経機能の低下は、学習及び記憶障害の発症と平行して注目されている。加えて
、ドパミン、ノルアドレナリン、セロトニン及びグルタミン作動性神経系など他
の神経伝達物質系が、空間学習に関与し、老化で活性減少することが示されてい
る。
【0126】 海馬の長期増強(LTP)誘導の加齢に関連した消失、シータリズムの減少、海
馬place-unitsの経験依存的可塑性の消失、そして海馬プロテインキナーゼCの低
下についての報告は、げっ歯類における加齢に関連した行動障害の原因として、
単一の基礎的病変は何ら同定されることができないとの概念と共に、また保持さ
れている。しかしながら、老齢げっ歯類の記憶機能を改善するために為されてき
た種々の治療に向けての実験的アプローチは、アセチルコリン作動性仮説にやや
傾倒している。
【0127】 モーリス水迷路は、実験動物の空間記憶の形成及び保持を評価するために、広
く使用されている。その試験は、水槽内の水中に沈められた逃避用のプラットフ
ォームを特定するために、空間視覚情報を利用する動物の能力に依拠している。
水槽自身は、可能な限り特別な視覚的特徴をもたないことが重要であるため、そ
れは常に円形であり、周辺は滑らかで均一の目立たない色になっており、水は、
無毒性の水色色素又は粉ミルクにより不透明にされている。これは、動物がより
遠方の視覚的手掛かり、又は実験者が特別に与える迷路内の手掛かりを使用する
ことによってのみ航行することを、確実にするためである。
【0128】 水槽は、動物を活発に強制水泳させるに必要なレベルまで水で満たされる。正
常なマウス及びラットは、その試験の水泳部分に対して忌避的に反応し、彼らが
加温された休息用ケージに移されるまで、逃避用プラットフォームに登り、そこ
に留まることだろう。
【0129】 もしプラットフォームが可視のものであるならば(例えば、水面上)、水槽内
の動物は、そのプラットフォーム上に登りきり、そこに立ち帰ることを素早く学
習することだろう。可視のプラットフォームを用いた試験は又、老齢げっ歯類を
含む実験では重要と考えられ、実験動物が盲目的でなく、その課題を遂行するた
めに十分なモティベーションとスタミナを発揮することを、また保証するだろう
。もしそのプラットフォームが不可視であるならば(例えば、水面直下に沈めら
れている)、正常動物は、試験水槽内での方位認識のため試験室内の遠方の視覚
手掛かりを使用することを学習し、水槽内にいる時、プラットフォームが見つか
るまでは、その地帯のプラットフォーム及び円の適切な位置上に素早く立ち帰る
ことだろう。動物の通過跡、速度及び水泳時間は、後のコンピューター解析用に
、天井のカメラで探知される。それ故、数回の連続的試行を経過した後の空間学
習は、水槽への配置から不可視のプラットフォーム上へ逃避するまでに泳いだ距
離、又は要した時間の短縮として、定義されることができる。
【0130】 その試験は、空間記憶の幾つかの面を評価するために適応可能である:a)手
掛かり課題での獲得、一つの視覚手掛かりを逃避用プラットフォームに直接結び
つけるそこでの動物の能力は、大脳皮質機能に依存している(例えば、1個のボ
ールが逃避用プラットフォーム上に吊るされており、動物は、そのプラットフォ
ームを発見するため、この手掛かりをたどることを学習する);b)空間課題で
の獲得、遠方の視覚手掛かりの組み合わせに基づいて、水に沈められた逃避用プ
ラットフォームの位置を学習するためのそこでの動物の能力は、海馬機能に依存
している(例えば、動物は、紙タオル分配器を視覚的にドアー及び天井ランプと
整列させることにより、水槽内でのその位置を三角測量することを学習する);
c)上首尾に獲得された空間課題の保持、それは、優先的に皮質機能に依存して
いる(例えば、動物は、そのプラットフォームの空間的配置を数週間にわたって
憶えていなければならない);d)動物は、プラットフォームの新しい空間的配
置を再獲得しなければならない、海馬依存性の逆転課題(例えば、そのプラット
フォームが水泳試行の間に新たな位置に移動されており、動物はそれ以前の探索
戦略を廃棄し、新規の探索戦略を獲得しなければならない)。
【0131】 モーリス水迷路法のこれら異なった変法は、同一の実験動物に順次適用可能で
あり、彼らの空間記憶行動と正常な老化に伴ったその減退を完全に特徴づけるこ
とができる。更に、そのような一連の連続的記憶試験は、空間記憶の獲得及び保
持に含まれる特異的脳体系の機能的統合化に関して、光明を投じている(例えば
、海馬のアセチルコリン作動性神経を障害されたラットは、数週前に獲得したプ
ラットフォーム位置を記憶していることはできるが、そのプラットフォームが移
動された後も、元のプラットフォーム位置に固執してしまう)。
【0132】 [実施例17] 老齢げっ歯類の空間学習及び記憶に対するGPI-1046慢性投与の効果 この試験例は、老齢げっ歯類の空間学習及び記憶に対する、全身投与可能なFK
BPリガンドGPI-1046の慢性投与効果を示している。
【0133】 その方法は、一日4試行で3-4日間の可視プラットフォーム訓練相の間に、公知
の伝統的なモーリス水迷路に慣らされた、3ケ月齢(若齢)及び18-19ケ月齢(老齢 )の雄性C57BL/6N-Nia系マウスを含有した。その後の空間獲得試験は、以下の如
く行なわれた:全てのマウスは、5日間にわたり、一日4試行(ブロック)を為さ
れた。最大水泳時間は、90秒であった。老齢マウスは、獲得相のブロック4又は5
の期間中に、彼らの行動が“若齢”マウスの平均値を1標準偏差以上上回ってい
たならば、それら動物は“老齢障害”群に配属され、“若齢”マウスの平均値を
0.5標準偏差以下上回っていたならば、“老齢非障害”群に配属された。老齢群
は、それから統計的に差のない“GPI-1046”と“ビヒクル”群とに分割された。
【0134】 GPI-1046 10 mg/kgの連続投与は、獲得訓練終了の3日後に開始され、保持試験
をとおして継続された。保持試験は、獲得相と同一の方法を用いて、投与3週間
後に始まった。水泳距離(cm)は、分析要因として群とブロック(1-5)、反復
測定要因として治療ブロックを含む7 x 5 ANOVAで解析された。
【0135】 その結果は、計画された対比が、獲得相の最後の“若齢”群と“老齢障害−ビ
ヒクル及びGPI-1046”投与群との間に、各々F1.58=26.75, P=0.0001及びF1.58=1
7.70, P=0.0001の有意差があることを表すことを示した。一方、その“老齢障害
”の二群間には、何ら有意な差は認められなかった(F1.58=0.67, P=0.42)。し
かしながら、保持試験の間、“老齢障害−ビヒクル”投与動物群は、“老齢障害
−GPI-1046”投与群及び“若齢”群より有意に劣って行動した(各々F1.69=8.11
, P=0.006及びF1.69=25.45, P=0.0001)。保持相では、“若齢”群と“老齢障害
−GPI-1046”投与群との間には、もはや統計的に有意な差はなかった(F1.69=3.
09, P=0.08)。要約として、GPI-1046の全身投与は、老化に関連した空間記憶障
害を有するマウスの空間記憶行動を、有意に亢進した。
【0136】 かくて、目下の本発明は、多くの方法の中で変えられることができる。そのよ
うな変動は、その発明の精神及び範囲を逸脱するものではなく、それら全ての変
更は、本願の特許請求範囲内に含有されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 A、B、及びCは、GPI 1046が、網膜虚血後の変性に対して網膜神
経節細胞を保護することを示している。
【図2】 GPI 1046が、網膜虚血後の視神経軸索及びミエリンの変性を防止
することを示している。
【図3】 GPI 1046が、視神経切断後の網膜神経節細胞死を中程度保護する
ことを示している。
【図4】 GPI 1046が、その処置期間中に切断後の視神経軸索変性過程に有
意に影響することを示している。
【図5】 GPI 1046処置が、神経節細胞体より視神経軸索に対してより強力
な効果を発揮することを示している。
【図6】 視神経切断後の28日間にわたるGPI 1046処置が、近位断端のミエ
リン変性を防止することを示している。
【図7】 FKBP-12免疫組織化学が、ミエリンを産生し、視神経線維束と幾
本かの視神経軸索との間に局在しているオリゴデンドログリア(線維化過程をも
った大型暗色細胞)を標識していることを示している。
【図8】 視神経切断後の28日間にわたるGPI 1046処置が、遠位断端でのミ
エリン変性を防止することを示している。
【図9】 ストレプトゾトシンによる糖尿病誘導の8週間後に開始されたGPI 1046の28日間にわたる処置が、内外網膜での血管新生の程度を減少させ、内部
核層(INL)及び神経節細胞層(GCL)内の神経を変性から保護することを示して
いる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 27/12 A61P 27/12 C07D 211/60 C07D 211/60 401/06 401/06 401/12 401/12 417/12 417/12 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CR, CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI,G B,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL ,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ, LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,M G,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT ,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL, TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ,VN,Y U,ZA,ZW (72)発明者 ハンスジョーグ サウアー アメリカ合衆国 メリーランド州 20901 シルバー スプリング, ローレイン アベニュー 10617 (72)発明者 グレゴリー エス ハミルトン アメリカ合衆国 メリーランド州 21228 ケイトンスビィレ,フレドリック ロー ド 6501 (72)発明者 ジョーセフ ピー スタイナー アメリカ合衆国 メリーランド州 21048 フィンクスバーグ,ローイスビィレ ロ ード 4150 Fターム(参考) 4C054 AA02 BB01 CC09 DD31 FF01 4C063 AA01 BB03 BB04 BB08 CC12 CC62 DD03 DD12 EE01 4C069 AA18 4C086 AA01 AA03 BC05 BC21 BC82 GA08 MA04 ZA33

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヘテロサイクリックエステル又はアミドの効果的用量を投与さ
    れた動物において、視力障害を治療し、視力を改善し、記憶障害を治療し、又は
    記憶行動を亢進するための方法。
  2. 【請求項2】 請求項1の方法に記載のヘテロサイクリックエステル又はアミ
    ドは、免疫抑制性又は非免疫抑制性である。
  3. 【請求項3】 請求項1の方法に記載のヘテロサイクリックエステル又はアミ
    ドは、FKBP型イミュノフィリンに親和性を有する。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載のFKBP型イミュノフィリンは、FKBP-12である。
  5. 【請求項5】 請求項1の方法に記載の視力障害は、視力損傷;眼窩疾患;涙
    器障害;眼瞼障害;結膜障害;角膜障害;白内障;眼球血管膜障害;網膜障害;
    視神経又は視覚路障害;フリーラジカル誘発性眼疾患及び疾病;免疫学的に介在
    される眼疾患及び疾病;眼外傷;そして眼病、眼疾患又は眼外傷の症状及び合併
    症より構成されるグループから、選択される。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の方法は、どのような眼科疾患、疾病又は外傷
    も存在しない動物において、自然発生する視力を改善するためのものである。
  7. 【請求項7】 請求項1の方法に記載のヘテロサイクリックエステル又はアミ
    ドは、式Iで表される化合物あるいは医薬品として許容し得る前記化合物の塩、
    エステル又は溶媒化合物。 式I 【化1】 式中: A及びBは、それらが各々結合している窒素および炭素原子と共に、その窒素原
    子に加えて1個又はそれ以上の更なるO, S, SO, SO2, N, NH 又はNR1異種原子を
    含有する、5-7員環の飽和又は不飽和ヘテロサイクリック環を形成する; Xは、O又はSである; Zは、O, NH, NR1又は化学結合である; W及びYは、自由にO, S, CH2 又はH2をとり得る; R1は、C1-C6直鎖又は分枝鎖アルキルあるいはC2-C6直鎖又は分枝鎖アルケニル
    であり、それは、(Ar1)n、C1-C6直鎖又は分枝鎖アルキルあるいは(Ar1)n で置換
    されたC2-C6直鎖又は分枝鎖アルケニル、C3-C8サイクロアルキル、C1-C6直鎖又
    は分枝鎖アルキルあるいはC3-C8サイクロアルキルで置換されたC2-C6直鎖又は分
    枝鎖アルケニル、及びAr2より構成されるグループから、自由に選択された1個又
    はそれ以上の置換基で置換される; nは、1又は2である; R2は、C1-C9直鎖又は分枝鎖アルキル、C2-C9直鎖又は分枝鎖アルケニル、C3-C 8 サイクロアルキル、C5-C7サイクロアルケニル又はAr1のいずれかであり、そこ
    で上記のアルキル、アルケニル、サイクロアルキル又はサイクロアルケニルは、
    置換されていないか、あるいはC1-C4直鎖又は分枝鎖アルキル、C2-C4直鎖又は分
    枝鎖アルケニル及びハイドロキシルより構成されるグループから、自由に選択さ
    れた1個又はそれ以上の置換基で置換されている;そして Ar1及びAr2は、自由にアリサイクリック又はアロマチック、モノ-、ビ-又はト
    リサイクリック、カルボ-又はヘテロサイクリック環をとり得る。そこで、その
    環は、置換されていないか、あるいはハロ、ハイドロキシル、ニトロ、トリフル
    オロメチル、C1-C6直鎖又は分枝鎖アルキル、C2-C6直鎖又は分枝鎖アルケニル、
    C1-C4アルコキシ、C2-C4アルケニロキシ、フェノキシ、ベンジロキシ及びアミノ
    より構成されるグループから、自由に選択された1個又はそれ以上の置換基で置
    換されている; そこで、その個々の環サイズは5-6 員環であり、そしてそのヘテロサイクリッ
    ク環は、O, N及びSより構成されるグループから、自由に選択された1-6個の異種
    原子を含有する。
  8. 【請求項8】 請求項7の方法に記載のモノ-又はビサイクリック、カルボ-又
    はヘテロサイクリック環は、ナフチル、インドリル、フリル、チアゾリル、チエ
    ニル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、フルオレニル及びフェニールよ
    り構成されるグループから、選択される。
  9. 【請求項9】 請求項7の方法に記載されている、5-7員環の飽和又は不飽和ヘ
    テロサイクリック環中の1個又はそれ以上の更なる異種原子は、NH 又はNR1であ
    る。
  10. 【請求項10】 請求項1の方法に記載の視力障害は、視力損傷;眼窩疾患;
    涙器障害;眼瞼障害;結膜障害;角膜障害;白内障;眼球血管膜障害;網膜障害
    ;視神経又は視覚路障害;フリーラジカル誘発性眼疾患及び疾病;免疫学的に介
    在される眼疾患及び疾病;眼外傷;そして眼病、眼疾患又は眼外傷の症状及び合
    併症より構成されるグループから、選択される。
  11. 【請求項11】 請求項10の方法に記載の視力再生は、どのような眼科疾患、
    疾病又は外傷も存在しない動物において、自然発生する視力を改善するために行
    われる。
  12. 【請求項12】 以下の内容より構成される医薬組成物: (1)動物における視力障害を治療し、視力を改善し、記憶障害を治療し、又は
    記憶行動を亢進するためのヘテロサイクリックエステル又はアミドの効果的用量
    ;そして (2)医薬品として許容し得る担体。
  13. 【請求項13】 請求項12の医薬組成物に記載のヘテロサイクリックエステル
    又はアミドは、免疫抑制性又は非免疫抑制性である。
  14. 【請求項14】 請求項12の医薬組成物に記載のヘテロサイクリックエステル
    又はアミドは、FKBP型イミュノフィリンに親和性を有する。
  15. 【請求項15】 請求項14に記載のFKBP型イミュノフィリンは、FKBP-12であ
    る。
  16. 【請求項16】 請求項12の医薬組成物に記載の視力障害は、視力損傷;眼窩
    疾患;涙器障害;眼瞼障害;結膜障害;角膜障害;白内障;眼球血管膜障害;網
    膜障害;視神経又は視覚路障害;フリーラジカル誘発性眼疾患及び疾病;免疫学
    的に介在される眼疾患及び疾病;眼外傷;そして眼病、眼疾患又は眼外傷の症状
    及び合併症より構成されるグループから、選択される。
  17. 【請求項17】 請求項12に記載の医薬組成物は、どのような眼科疾患、疾病
    又は外傷も存在しない動物において、自然発生する視力を改善するためのもので
    ある。
  18. 【請求項18】 請求項12の医薬組成物に記載のヘテロサイクリックエステル
    又はアミドは、式Iの化合物あるいは医薬品として許容し得る前記化合物の塩、
    エステル又は溶媒化合物。 式I 【化2】 式中: A及びBは、それらが各々結合している窒素および炭素原子と共に、その窒素原
    子に加えて1個又はそれ以上の更なるO, S, SO, SO2, N, NH 又はNR1異種原子を
    含有する、5-7員環の飽和又は不飽和ヘテロサイクリック環を形成する; Xは、O又はSである; Zは、O, NH又はNR1である; W及びYは、自由にO, S, CH2 又はH2をとり得る; R1は、C1-C6直鎖又は分枝鎖アルキルあるいはC2-C6直鎖又は分枝鎖アルケニル
    であり、それは、(Ar1)n、C1-C6直鎖又は分枝鎖アルキルあるいは(Ar1)n で置換
    されたC2-C6直鎖又は分枝鎖アルケニル、C3-C8サイクロアルキル、C1-C6直鎖又
    は分枝鎖アルキルあるいはC3-C8サイクロアルキルで置換されたC2-C6直鎖又は分
    枝鎖アルケニル、及びAr2より構成されるグループから、自由に選択された1個又
    はそれ以上の置換基で置換される; nは、1又は2である; R2は、C1-C9直鎖又は分枝鎖アルキル、C2-C9直鎖又は分枝鎖アルケニル、C3-C 8 サイクロアルキル、C5-C7サイクロアルケニル又はAr1のいずれかであり、そこ
    で上記のアルキル、アルケニル、サイクロアルキル又はサイクロアルケニルは置
    換されていないか、あるいはC1-C4直鎖又は分枝鎖アルキル、C2-C4直鎖又は分枝
    鎖アルケニル及びハイドロキシルより構成されるグループから、自由に選択され
    た1個又はそれ以上の置換基で置換されている;そして Ar1及びAr2は、自由にアリサイクリック又はアロマチック、モノ-、ビ-又はト
    リサイクリック、カルボ-又はヘテロサイクリック環をとり得る。そこで、その
    環は、置換されていないか、あるいはハロ、ハイドロキシル、ニトロ、トリフル
    オロメチル、C1-C6直鎖又は分枝鎖アルキル、C2-C6直鎖又は分枝鎖アルケニル、
    C1-C4アルコキシ、C2-C4アルケニロキシ、フェノキシ、ベンジロキシ及びアミノ
    より構成されるグループから、自由に選択された1個又はそれ以上の置換基で置
    換されている; そこで、その個々の環サイズは5-6 員環であり、そしてそのヘテロサイクリッ
    ク環は、O, N及びSより構成されるグループから、自由に選択された1-6個の異種
    原子を含有する。
  19. 【請求項19】 請求項18の医薬組成物に記載のモノ-又はビサイクリック、
    カルボ-又はヘテロサイクリック環は、ナフチル、インドリル、フリル、チアゾ
    リル、チエニル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、フルオレニル及びフ
    ェニールより構成されるグループから、選択される。
  20. 【請求項20】 請求項18の医薬組成物に記載されている5-7員環の飽和又は
    不飽和ヘテロサイクリック環中の1個又はそれ以上の更なる異種原子は、NH 又は
    NR1である。
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