【発明の詳細な説明】
ウイルス性細胞接着阻害剤としての複合糖質明細書
本発明はNeu5Acα2−6Galβ1−4GlcNAcの新規多価誘導体
、および該化合物の製造に関する。本発明はさらに、この化合物を非適応化(nic
ht-adaptierter)ヒトインフルエンザウイルスのウイルス性細胞接着阻害剤とし
て使用することに関する。
ウイルス感染の重要な第1段階は宿主細胞表面へのウイルスの接着である。A
型、およびB型インフルエンザウイルスの場合に、このことはウイルス血球凝集
素(HA)と宿主細胞の細胞表面の糖タンパク質、およびグリコリピドの末端シ
アリルオリゴ糖との結合を介して生じる。インフルエンザ感染を阻害するための
可能な戦略は細胞接着阻害剤を使用することであるが、この阻害剤はウイルス血
球凝集素と結合し、その宿主細胞との反応を阻害するものでなければならない。
一連のインフルエンザウイルス接着阻害剤が、すでに文献で公知となっている。
特に多価化合物の開発により、何れも一定のインフルエンザ種の接着を試験管テ
ストにおいて有効に阻害するいくつかの阻害剤が見いだされた(表2参照)。
これらの公知の阻害剤の欠点は、その作用領域の狭いことであり、これらの化
合物はただ一つの種に対してだけ高い活性を示し、従って実際の予防、および治
療用途にあまり適していない。
その他の欠点は、これらの公知の阻害剤の活性が何れも胚子性鶏卵で育成され
た適応化インフルエンザ種に対してだけしか示されなかったということである。
鶏卵上でのヒトインフルエンザウイルスの育成が血球凝集素の受容体結合場所の
領域内でアミノ酸突然変異をもたらすことは公知である(Robertson,1993)。こ
のようにして見いだされた阻害剤は、この突然変異ウイルスの変化した血球凝集
素に高い親和性を有しているが、その野生型血球凝集素に対する活性は多くの場
合に小さい(表1のポリマー性シアロシド(Sialoside)BGN-PAA参照)。
本発明の課題は、ヒトインフルエンザウイルスの新規なウイルス性細胞接着阻
害剤を見いだすことである。この阻害剤はインフルエンザ野生型種に対して広い
作用領域を有し、かつできるだけ高い阻害活性を有するものでなければならない
。
今や、シアロシドの多価結合体(konjugate)であるNeu5Acα2−6Ga
lβ1−4GlcNAc(6’−シアリル−N−アセチルラクトサミン、6SL
N)が新規で活性のあるウイルス性細胞接着阻害剤であることが見いだされた。
本発明の対象は一般式
(式中、R1はアシル基、またはチオアシル基、好ましくはアセチル基、チオア
シル基、プロピオニル基、またはチオプロピオニル基であり、R2はH、ヒドロ
キシル基、Z−アルキル基、置換されたZ−アルキル基、Z−アリール基、置換
されたZ−アリール基(ここでZはO、SまたはNHである)であり、R3はア
シル基、またはチオアシル基であり、R4はHまたはアシル基であり、XはO、
Sまたは直鎖状炭素数1ないし4のアルキル基であり、YはNH、O、S、CH2
または糖基であり、Wは2官能性スペーサであり、Pは次の物質、すなわちポ
リアクリレート、ポリアクリルアミド、N−置換されたポリアクリルアミド、メ
タクリルアミド、N−置換されたメタクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリカー
ボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリ無水物、ポリイミノカーボネート、
ポリオルトエステル、ポリジオキサノン、ポリホスファザン、ポリヒドロキシカ
ルボン酸、ポリアミノ酸、多糖類、タンパク質、デキストラン、キトサン、グル
カン、リポソーム、マイクロパーティクルの一つからなる多価担体である)
で表される化合物である。
Pは例えばC(CH2NH−An−)4(ここでAは中性または陰性直鎖状アミ
ノ酸である)のような低分子多価担体であってもよい。
驚くべきことに、本発明の化合物は公知のすべてのA型、およびB型ヒトイン
フルエンザ種の細胞接着を非常に有効に阻害することを示す。特にこの阻害剤は
血球凝集素の受容体結合場所の構成が変化していない真正のインフルエンザウイ
ルスに対して活性がある。血球凝集素の受容体結合場所の変化していない構造を
確証するために、専らMDCK−細胞(Madin-Derbyイヌ腎臓細胞)で育成した臨
床単離体からのインフルエンザウイルスが使用された。MDCK上で育成された
ウイルスのウイルス性RNA−配列の臨床単離体からのウイルスのRNA−配列
とのPCRにより行われた比較が示したように、MDCK上での育成されたウイ
ルスは血球凝集素の受容体結合場所の領域内において突然変異を示さない(Rober
tson,1993)。
表1は、新規化合物6SLN−PAA、および複合糖類BGN−PAA(これ
はすでに以前に鶏卵上で育成されたH3N2A/Sichuan/1/87型種
に対して開発された)によるウイルス精細胞接着阻害の比較を示している。化合
物6SLN−PAAはすべての真正のインフルエンザ種の優れた阻害剤であるが
、BGN−PAAは狭い作用領域を有しており、かつ多くの種に対して極めて少
ない活性しか有していない。
本発明の化合物に利点は特に公知のすべてのA型、およびB型ヒトインフルエ
ンザウイルスのウイルス性細胞接着阻害剤としてのその領域にあり、またそれか
ら開かれるべき、この化合物をインフルエンザ感染に対し予防、かつ治療目的に
使用するという可能性にある。そのほかの利点は、さらにマーカーを担持してい
る本発明の化合物の誘導体が容易に得られることである。ここで適しているマー
カーは例えばビオチン、染料、蛍光染料または放射性マーカーである。この誘導
体はウイルス性細胞接着剤を見いだすための従来入手できなかった新規なスクリ
ーニングシステムの成分として使用することができる。
表1
ポリマーサリソイドBGN−PAA、および6SLN−PAAによるインフルエ
ンザウイルスのウイルス性細胞接着の阻害:実施例8およびGambaryanおよびMat
rosovich,1992に記載されているようなフェチュインへのウイルス結合の阻
害により測定
BGNはNeu5Acα2−OCH2C6H4NHCOCH2NH−
6SLNはNeu5Acα2−6Galβ1−4GlcNAcβ1−NHCO
CH2NH−
以下の実施例によって、本発明をさらに詳しく説明する。
実施例1 Neu5Acα2−6Galβ1−4GlcNAcβ1−NHCOCH2NH2 の製造
(Likhosherstov等による変法、1986;およびManger等1992)
室温で6’−シアリルラクトサミンNH4 +塩13.8mg(20μM、ヒト尿
から単離)を重炭酸アンモニウム飽和溶液1mlに溶解し、170時間かき混ぜ
、培養中にこの溶液に飽和するまでさらに固体重炭酸アンモニウムを添加した。
この反応溶液を水2mlで希釈し、冷凍し、親媒化した。残渣(得られる生成物
の重量が使用した糖の量よりも大きいときは、残渣を更に水2mlに溶解し、冷
凍した)13.7mgが得られ、これを1M NaHCO3 0.6mlに溶解
した。0℃でかき混ぜながら、酢酸エチル0.34ml中に無水クロル酢酸34
mg(200μM)を添加した。1時間後にこの溶液を酢酸で中和し、真空中で
濃縮した。得られた残渣を最小量の水に溶解し、Sephadex G−25カ
ラム(1x50cm)でクロマトグラフィー処理した。糖含有フラクションを濃
縮し、残渣を炭酸アンモニウム飽和溶液1mlに溶解した。48時間後に水2m
lで希釈し、冷凍し、親媒化した。残渣を1%酢酸2mlに溶解し、15時間後
にカラムによりDowex AG50W−X4(H+型)3mlを添加した。カ
ラムを水30mlで洗浄し、次いで1M水酸化アンモニウム溶液で溶離した。水
酸化アンモニウム溶離液を濃縮した後に6’−シアリルラクトース N−グリシ
ル誘導体9.8mg(67%)を得た。
1H−NMR−スペクトル(D2O、δ、ppm):5.16(d、1H、J2
9Hz、H−1 Gal)、4.47(d、1H、J28Hz、H−1 Glc
NAc)、4.00〜3.55(Gal、GlcNAc、Neu5Ac)、3.
46(s、2H、CoCH2 NH2)、2.69(dd、1H、J3ax12Hz
、J4 4.5Hz、H−3eq Neu5Ac)、2.04(s、6H、2C
H3CO)、1.72(dd、1H、J4 12.5Hz、H−3ax Neu5
Ac)。
反応経過は薄層クロマトグラフィーによって追跡した(ケイ酸ゲル60、メル
ク製):
溶離液1:2−プロパノール/アセトン/水 4:3:2
6’SLN Rf=0.61
6’SLN−NH2 0.49ニンヒドリン+
6’SLN−NHCOCH2Cl 0.66
6’SLN−NHCOCH2NH2 0.09ニンヒドリン+
溶離液2:メタノール/アセトン/水 1:1:1
6’SLN−NHCOCH2NH2 0.73ニンヒドリン+ 実施例2 Neu5Acα2−6Galβ1−4GlcNAcβ1−NHCOCH2NH CO(CH2)4COO−p−C6H4NO2の製造
室温で、実施例1からのNeu5Acα2−6Galβ1−4GlcNAcβ
1−NHCOCH2NH27.3mg(10μM)のDMSO0.2ml中の溶液
にDMF0.6ml中のビス(4−ニトリフェニル)−アジペート39mg(10
0μM)を添加した。3時間後に反応混合物をSephadex LH−20カ
ラム(1.8x30cm、溶離液アセトニトリル/水1:1)により、クロマト
グラフィー処理した。糖含有フラクションを濃縮し、水に溶解し、冷凍し、親媒
化した。グリコシド7.4mg(76%)を得た。実施例3 テトラキス(N−第3ブチルオキシカルボニルグリシルアミドメチル)メタン の製造
テトラキス(アミノメチル)メタン(Fleisher等、1971)テトラヒドロクロラ
イド1g(3.6mモル)、BocGlyONph8.52g(28.8mモル
)およびNEt3(2.5ml、18m+モル)のDMF2ml中の混合物を室
温で120時間かき混ぜた。反応混合物を濃縮し、酢酸エチル100ml中に懸
濁させ、2%H2SO4、水、飽和NaHCO3溶液および水で洗浄し、Na2SO4
で乾燥した。この溶液を濃縮し、残渣をトリフルオルエタノールに溶解し、C
HCl3/EtOAc/MeOH(9:3:1)の混合物、およびEt2Oを添
加した。結晶生成物2.1g(78%)を得た。
DC:Rf=0.5、CHCl3/EtOAc/MeOH/AcOH 9:3:
2:0.2中(ニンヒドリン+、HClガスによる板の5分間処理)1H−NMR−スペクトル、D6−DMSO中(δ、ppm):7.97(br
t、1H、CCH2NH)、7.37(t、1H、NHGly)、3.49(d、2
H、JNH 6Hz、 CH2 Gly)、2.76(brd、2H、CCH2)1.3
7(s、9H、OCMe3)、質量スペクトル783(MNa)。実施例4 テトラキス(N−第3ブチルオキシカルボニルトリグリシルアミノメチル)メ タンの製造
実施例3からのテトラキス(N−第3ブチルオキシカルボニルグリシルアミド
メチル)−メタン0.76g(1mモル)のCF3COOH 8ml中の溶液を
室温で2時間かき混ぜた。この反応混合物をトルエン16mlで処理し、濃縮し
た。残渣を水3mlに溶解し、濃HCl 0.35ml(12モル)を添加し、
この溶液を濃縮し、残渣を真空中で乾燥した。生成したテトラアミンをDMF1
8mlに懸濁させ、BocGlyGlyONsu1.45g(4.4mモル)、
およびEt3N 0.6mlを添加した。この反応溶液を室温で24時間かき混
ぜ、真空中(0.5〜1Torr)で濃縮し、得られた残渣をケイ酸ゲルカラム
でクロマトグラフィー処理し(ケイ酸ケル60、メルク製)、30:1:1〜1
5:1:1のMe2CO/MeOH/H2Oで溶離して、純粋な生成物0.94g
(77%)を得た。DC:Rf=0.79、Me2CO/MeOH/H2O 15
:1:1中(ニンヒドリン+、HClガスによる板の5分間処理)
1H NMR−スペクトル、D6−DMSO中(δ、ppm):8.53(t、
1H、NHGly3)、7.98(t、1H、CCH2NH)、7.81(t、1H
、NHGly2)、6.98(t、1H、NHGly1)、3.85(d、2H、JNH
55Hz、CH2 Gly2)、3.73(d、2H、JNH5.5Hz、CH2 Gly3)、
3.59(d、2H、JNH6Hz、CH2 Gly1)、2.69(br.d、2H、
JNH6.5Hz、CCH2)、1.38(s、9H、OCMe3);質量スペ
クトル:1239(MNa)。実施例5 6SLN 20モル%のポリ−N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド (6SLN−PAA)
実施例1からの6SLN−Gly 1mg(1.37μM)のDMSO 1m
l中の溶液にポリ(4−ニトロフェニルアクリレート)1.32mg(6.84
μモル)およびDMF0.132ml中のEt3N 7mlを添加した。この反
応混合物を40℃で養生し(結合反応経過をDCにより追跡した。糖抽出物の斑
点消失)、24時間後にエタノールアミン23μlを添加した。室温でさらに1
5時間後に反応混合物をSephadex LH−20カラム(1.5x25c
m、溶離液アセトニトリル/水1:1)により、クロマトグラフィー処理した。
糖含有フラクションを濃縮し、水に溶解し、冷凍し、親媒化した。結合体1.6
mg(90%)を得た。実施例6 6SLN 20モル%のポリアクリル酸(Na+塩)
6SLN−Gly 1mg(1.37μモル)のDMSO 0.1ml中の溶
液にDMSO 1.32mg中のポリ(4−ニトロフェニルアクリレート)1.
32mg(6.84μモル)およびEt3N(7μlを添加した。この反応混合
物を40℃で養生し(結合反応経過をDCにより追跡した。糖抽出物の斑点消失)
、24時間後に0.1M NaOH230μlを添加した。室温でさらに15時
間後に1M HCl15μlを添加し、この反応混合物をSephadex L
H−20カラム(1.5x25cm、溶離液アセトニトリル/水1:1)でクロ
マトグラフィー処理した。糖含有フラクションを濃縮し、水に溶解し、冷凍し、
親媒化した。結合体1.5mg(93%)を得た。実施例7 {Neu5Acα2−6Galβ1−4GlcNAcβ1−NHCOCH2N HCO(CH2)4CO(NHCH2CO)3NHCH2−}4Cの製造
実施例4からのテトラキス(N−第3ブチルオキシカルボニルトリグリシルア
ミドメチル)メタン1.2mg(1μモル)のCF3COOH 0.1ml中の
溶液を室温でかき混ぜた。15時間後にトルエン1mlを添加し、この溶液を濃
縮した。残渣を水0.5mlに溶解し、濃HCl 5μlを添加し、この溶液を
濃縮し、残渣を真空中で乾燥した。得られたテトラアミンをDMF0.2mlに
懸濁させ、Neu5Acα2−6Galβ1−4GlcNAcβ1−NHCOC
H2NHCO(CH2)4COO−p−C6H4NO2 4.9mg(5μモル)の
DMF0.3mlおよびNEt3 5μl中の溶液を添加した。この反応溶液を
20℃で15時間かき混ぜた。濃アンモニウム溶液10μlを添加し、1時間後
に反応溶液をSephadex G−50(1.2x50cm)に通した(溶離
液:0.05Mアンモニア溶液)。糖含有フラクションを濃縮し、水に溶解し、
冷凍し、親媒化した。結合体2.9mg(68%)を得た。実施例8 インフルエンザウイルスの培養およびフェチュインへのウイルス性結合の阻害 の測定
非適応化ヒトインフルエンザウイルスA/イングランド157/83M、A/
NIB/12/89M、A/NIB/23/89M、A/NIB50/89M(
H1N1)、A/NIB/47/89M、A/NIB/3/90M、A/NIB
/44/90M(H3N2)、B/イングランド/222/82M、B/NIB
/48/90MおよびB/NIB/15/89Mを国立生物標準化管理所Nation
al Institute for Biological Standardisation and Control(NIBSC,Potters B
ar/英国)から入手した。これらは臨床検体から単離され、もっぱらMDCK細
胞内で育成された。
鶏卵中で育成したインフルエンザウイルスはD.I.Ivanovsky Institutes fur
Virology,Moskouのウイルス種保存局から入手された。このウイルスは9〜1
0日胚発育鶏卵中に培養された。ウイルス性結合を調べるために、ウイルス含有
培養地浮遊物、または腸尿管液からの存在し得る細胞破片を遠心分離により除去
し
た。この溶液はさらに精製することなく、直ちに使用するか、または4℃で4週
間貯蔵した。牛フェチュイン(Fluka,CH)によるマイクロ滴定板の被覆は次のよ
うにして行った。ポリスチレン性96番EIAマイクロ滴定板(Flow,米国)の各
穴でPBS中フェチュイン溶液0.1ml(10mg/ml)を用い、37℃で
2時間培養した。この板をPBS中0.01%Tween20(Serva,D)溶液
、そして次に蒸留水で洗浄し、直ちに使用するか、または気中乾燥し、使用する
まで−20℃で貯蔵した。
フェチュインを被覆した板にウイルスを特異的に吸い上げるために、1:50
〜1:200の血球凝集素滴定値になるまでPBSによりウイルス培地を希釈し
た。次にこの板の各穴でこの溶液0.1mlにより4℃で2時間培養した。
オランダカラシ−ペルオキシダーゼ−フェチュイン結合体(周期的活性化標準
法により製造したもの)の前記の吸い上げたウイルスとの結合の阻害は次のよう
にして測定した:板をPBS中の0.01%Tween20溶液で洗浄し、次に
ペルオキシダーゼ−フェチュイン結合体の0.02μモル溶液0.1ml、およ
び同時に種々の濃度の試験阻害剤を添加した。4℃で1時間培養した後、板を冷
PBS/Tween溶液で洗浄した。
ペルオキシダーゼ活性は基質溶液(o−フェニレンジアミン0.4mg/ml
+50mモル酢酸ナトリウム緩衡剤中+0.02%、H2O2 PH5.5)各0
.1mlを添加することにより測定した。基質溶液を添加した後に、板を室温で
暗所で30分間培養し、次いで5%H2SO4 0.05mlを添加し、タイター
テックマルチスキャンリーダー(Flow,フィンランド)により492nmの吸収
を測定した。
非特異的結合を測定するために、各板のいくつかの穴にはウイルスを添加しな
いで培養した。それそれ極めて少量の非特異的結合が見られた。(A492値:0
.05〜0.2)。
最大結合Amaxを測定するために各板について、阻害剤を添加せずにペルオ
キシダーゼ−フェチュイン結合体の結合を測定した。その他の対照例として各ウ
イルス種にペルオキシダーゼ−フェチュイン結合体(これは予めビブリオーコレ
ラーゼからのノイラミニダーゼと反応させた)と反応させた。何れの場合にも
結合体はウイルスへの親和性を喪失し、従って結合体とウイルスとの間の相互作
用がシアリルオリゴ糖により制限されることが立証された。
結合親和力は次式によって計算した: ここでKaffはウイルス−阻害剤錯体の解離定数であり、Amaxは阻害剤存在下
の吸収測定値であり、CiおよびAiは阻害剤の使用濃度、および対応吸収測定値
であり、Aoは阻害剤飽和時の吸収測定値である。
実施例5からの新規結合体6SLN−PAAのウイルス性接着阻害の結果を表
1、または表2に要約する。
表2
シアロシド阻害剤によるインフルエンザウイルスのウイルス性細胞接着の阻害
それぞれ最大公称阻害活性を述べている文献を総括する。活性は阻害剤のNeu
5Ac基の濃度μモル(50%阻害をもたらす値)で示してある。
使用試験システム:血球凝集素の阻害(HAI)、赤血球へのウイルス吸着の
阻害(AI)、細胞培地中のウイルス増殖の減少(MI)、フェチュインへのウ
イルス結合の減少(FBI)。比較のために最下段に実施例5の化合物6SLN
−PAAのデータを記載した。
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フロントページの続き
(72)発明者 ツジコフ,アレクサンドル
ロシア連邦,105037,モスクワ,イズマイ
ロフスキー シュトラーセ 47―4
(72)発明者 キナレフ,アレクサンドル
ロシア連邦,117871,モスクワ,ミクルコ
―マクラヤ シュトラーセ 16/10
(72)発明者 ギャンバルヤン,アレクサンドラ
ロシア連邦,117133,モスクワ,ヴルギー
シュトラーセ 40―71
(72)発明者 ロベルトソン,ジェームス
イギリス,ヘルトフォードシャー イーエ
ヌ6 3キュージー,ポッタース バー,
サウス ミムス,ブランシェ レーン
【要約の続き】
のヒトA型(H1およびH3)およびB型ウイルスと結
合する。