JP2002506798A - 歯の再石灰化 - Google Patents

歯の再石灰化

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バロー，スチーブン・ロイ
リー，ジエ
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ジエムキエビツチ，アレキサンダー・ジヨージ
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ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ
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Abstract

(57)【要約】 歯の再石灰化のための口腔用製品および方法を提供する。本発明の製品は、担体中に水溶性リン酸カルシウム塩、またはモノリシックな組み合わせのカルシウムおよびリン酸塩を含む第１組成物であって、第１組成物のｐＨが７未満である第１組成物と、担体中にアルカリ性材料とフッ化物イオン源を含みｐＨが７．５を超える第２組成物とを含む。第１および第２組成物は使用前には互いに分離される。歯に使用する際に混合されると、第１および第２組成物がヒドロキシアパタイトを生成しこれがエナメル質に付着する。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】 （発明の背景） （発明の技術分野） 本発明は、口腔用組成物と、歯のエナメル質の再石灰化へのこの組成物の使用
方法とに関する。
【０００２】 （関連技術） 口腔内では、歯のエナメル質から溶解するヒドロキシアパタイトと、唾液中に
自然に生成する物質から歯の表面または内部に形成されるヒドロキシアパタイト
との間に常に平衡状態が存在する。この平衡は絶え間なく変動している。特に、
この平衡は食事および身体的状態によって決まる。ヒドロキシアパタイトが溶解
するように平衡が移動すると、鉱物質消失と呼ばれる虫歯になりやすい状態にな
る。鉱物質消失したエナメル質にヒドロキシアパタイトが形成される方向に平衡
が移動する場合は、これを再石灰化と呼ぶ。再石灰化によって、自発的作用によ
る既存の歯の齲食と虫歯の減少または消失が起こりうる。
【０００３】 フッ化物を生成する化合物は、低濃度であっても再石灰化過程を促進すると以
前から考えられている。従って、これらの物質は歯の構造に以前から存在する虫
歯の症状を軽減する。フッ化物は、小児期から青少年期の発育期の間に最も効果
的である。発育期を越えた場合に特に、改良された医薬品が必要とされている。
【０００４】 食事または歯磨剤手段にカルシウムおよびリン酸イオンを混入することによる
虫歯の進行の阻止または防止の試みがこれまで行われてきている。この方法の大
きな障害は、カルシウムおよびリン酸イオンが沈降しない形態で使用できるよう
に維持することである。カルシウムとリン酸の塩組成物を、２相または別々の区
画に入れたものがこれまでに提案されている英国特許第１，４０８，９２２号（
Ｒａｆｆら）では、２区画チュ−ブを示唆しており、その第１区画には塩化カル
シウムを含む練り歯磨きが充填され、第２区画はリン酸水素二ナトリウムを含む
。取り出す際に、これらの組成物が混合され、それによってリン酸カルシウムが
歯に沈着する。
【０００５】 同様の方法は、Ｔｕｎｇの米国特許第５，０３７，６３９号および米国特許第
５，２６８，１６７号でも報告されている。これらの特許で開示される回復推進
組成物では、非晶質リン酸カルシウムまたは担体中に懸濁された非晶質リン酸カ
ルシウムを生成する溶液を使用する。好適な担体として、ゲル、チューインガム
、粉末、マウスリンス、炭酸溶液、および練り歯磨きが挙げられると記載されて
いる。これらの組成物は、長い範囲の構造を有するが、オングストロームスケー
ルで測定した場合には均一であると考えられると記載されている。生理学的条件
では、この非晶質カルシウム化合物は溶解性が高く、アパタイトの生成速度が高
く転化率も大きい。これらの生成速度および転化率により、歯の組織の再石灰化
がより速く行うことができる。しかしこのような治療の効果に関しては疑いがも
たれている。より良いシステムの開発が必要とされている。
【０００６】 従って、本発明の目的の１つはより強く健康な歯を得るための口腔用製品およ
び方法を提供することである。
【０００７】 本発明の別の目的は、歯科医の介入なしに消費者がエナメル質の再石灰化を実
施可能な口腔用製品および方法を提供することである。
【０００８】 本発明のこれらおよびその他の目的は、以下の要約および詳細な説明によって
より容易に明らかとなるであろう。
【０００９】 発明の要約 （ｉ）約０．００１〜約３０重量％の水溶性リン酸カルシウムまたはモノリシ
ックな組み合わせの水溶性カルシウムおよびリン酸塩を含む第１組成物であって
、該組成物のｐＨが７未満である第１組成物と、 （ｉｉ）約０．０１〜約３０重量％のアルカリ性材料および齲歯予防に有効な
量のフッ化物イオン源とを含む第２組成物であって、第２組成物のｐＨが７．５
を越え、リン酸塩とアルカリ性材料の接触を防止するような方法で第１組成物と
は分離して貯蔵される第２組成物と を含む歯の再石灰化のための口腔用製品を提供する。
【００１０】 発明の詳細な説明 従来の方法とは大きく異なり、再石灰化製品は、使用前の貯蔵システムにおい
てカルシウムをリン酸イオンと分離する必要がないことがわかった。今や、水溶
性リン酸カルシウム塩は、低ｐＨに維持された１つの組成物内に貯蔵可能である
ことが発見された。ヒドロキシアパタイトを歯に付着させるためのこの組成物の
活性化は、この第１組成物を、フッ化物を含み高ｐＨ値の第２組成物と混合する
ことによって行われる。
【００１１】 何らかの理論と結びつけようとするものではないが、歯に対して混合すること
によって第１組成物の溶解性リン酸カルシウムが第２組成物のフッ化物と相互作
用すると分析される。次に、第２組成物のアルカリ性環境によって、非晶質塩の
フルオロリン酸カルシウムの沈降が起こる。一カルシウム塩の変換は、高ｐＨ環
境下で、二、八カルシウム塩、さらに最終的にフッ素化ヒドロキシアパタイトへ
とカスケード反応が進行する。フッ化物は、ヒドロキシアパタイトの成分として
共沈殿させるために第２組成物のみに含まれることが好ましい。
【００１２】 本発明の２つの組成物の別々の貯蔵は、２重区画ディスペンサーによって行う
ことができる。米国特許第４，６８７，６６３号（Ｓｃｈａｅｆｆｅｒ）は、過
酸化物ゲルと重炭酸塩ペーストとを別々に貯蔵する２重区画パッケージを開示し
ている。複数の区画を有するポンプパッケージは米国特許第５，０３８，９６３
号（Ｐｅｔｔｅｎｇｉｌｌら）および米国特許第５，０２０，６９４号（Ｐｅｔ
ｔｅｎｇｉｌｌ）に開示されており、これらは米国製品として知られるメンタデ
ント（Ｍｅｎｔａｄｅｎｔ）（登録商標）ベーキング・ソーダ・アンド・パーオ
キサイド（Ｂａｋｉｎｇ Ｓｏｄａ ＆ Ｐｅｒｏｘｉｄｅ（重炭酸ナトリウム
＋過酸化物））において実現されている。
【００１３】 当然ながら、本発明による組成物の送達方法は、単一の多区画ディスペンサー
や完全に分離した区画に制限されるわけではない。ディスペンサーは、互いに完
全に分離した２つの独立したチューブの形態で１つのキットとして包装されるシ
ステムであってもよい。各チューブから細長い歯磨剤が歯ブラシに送達され、口
の中で各組成物が混合される。１つの区画のチューブから送達が行われてもよい
が、この場合は、２つの組成物のそれぞれは互いに並んで接触するが混合するこ
とはない半固体状の細片である。製品が比較的高粘度であれば、２種類の細片間
のｐＨ変化または成分の実質的な移行を防止できる。この方法の実例は、ベーキ
ング・ソーダ・アンド・パーオキサイドブランドでコルゲート（Ｃｏｌｇａｔｅ
）（登録商標）により販売されている米国製品である。送達のさらに別の方法は
、アルカリ性環境を収容するペーストまたはゲルなどの単一の組成物を挙げるこ
とができる。リン酸一カルシウム組成物を、アルカリ性組成物全体に分散させる
ことができ、さらにリン酸塩をカプセル化してコーティングすることによって接
触しないようにすることができる。水または唾液の存在下でカプセルのコーティ
ング層が破れてリン酸塩が放出されアルカリ性環境と接触することにより口腔内
で活性化が起こる。
【００１４】 本発明の第１組成物の重要成分は、水溶性リン酸カルシウム塩である。「水溶
性」という用語は、２５℃の水１００ｍｌに少なくとも０．１ｇの溶解性を示す
ことを意味する。最も好ましいものはリン酸水素一カルシウムであるが、ポリオ
ールリン酸カルシウム（例えば、グリセロリン酸カルシウム）およびリン酸アン
モニウム一カルシウム塩も使用可能である。水溶性カルシウムおよびリン酸塩の
モノリシック組成物もあらかじめ形成された水溶性リン酸カルシウムに代わるも
のとして使用することができる。「モノリシック」という用語は、溶液状態で複
分解して溶液中でリン酸カルシウム溶液となるかまたは第２組成物と後に混合す
ることによってリン酸カルシウム溶液となることができる、別々の水溶性カルシ
ウム塩およびリン酸塩を意味する。カルシウム塩の具体例としては、ハロゲン化
物、硫酸塩、硝酸塩、クエン酸塩、糖類、およびＣ１〜Ｃ６カルボン酸塩が挙げ
られる。最も好ましいものは、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、および酢酸カ
ルシウムである。モノリシックの対になるリン酸塩は、アルカリ塩、アンモニウ
ム塩、およびそれらの混合物を挙げることができる。例としては、リン酸アンモ
ニウムナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸アンモニウム、およびリン酸カリ
ウムが挙げられる。水溶性リン酸カルシウム塩またはモノリシックカルシウムお
よびリン酸塩は（カルシウムおよびリン酸イオンのみの重量を基準として）、第
１組成物の０．０１〜３０重量％、好ましくは０．１〜２０重量％、最適には１
〜１０重量％の範囲の量で含まれることができる。
【００１５】 リン酸塩の溶解性は、第１組成物が酸性環境を有することによって維持される
。このｐＨは７未満であり、好ましくは１〜６．５、より好ましくは１．８〜６
、最適には２．５〜５．５である。
【００１６】 本発明の第２組成物にはアルカリ性材料が必要であり、これによって第２組成
物のｐＨが７を超え、好ましくは７．２〜１１、より好ましくは８〜１０、最適
には８．５〜９．５となる。このｐＨを実現するために好適なアルカリ性材料は
、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カ
ルシウム、酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、およびそれら
の混合物である。アルカリ性材料の量は、第２組成物の０．１〜６０重量％、好
ましくは０．５〜３０重量％、より好ましくは１〜２０重量％、最適には３〜１
５重量％の範囲とすることができる。
【００１７】 第２組成物のさらに別の重要成分は、抗齲食性フッ化化合物である。このよう
なフッ化物の代表的なものとしては、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ
化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化第一スズ、モノフルオロリン酸第一
スズ、モノフルオロリン酸ナトリウム、およびフッ化銅が挙げられる。最も好ま
しいものはフッ化ナトリウムである。これらのフッ化物イオン源は、どんな場合
でも約２５〜約５，０００ｐｐｍのフッ化物イオンを放出するべきである。抗齲
食性化合物は、第１組成物と第２組成物の混合物に通常約０．０１〜約５重量％
、好ましくは０．１〜２．５重量％、最適には０．２〜１．５重量％の量が含ま
れる。
【００１８】 本発明の組成物は、練り歯磨き、ゲル、粉末、またはマウスウォッシュのいず
れの形態であってもよい。組成物はペーストまたはゲルのいずれかが最も好まし
い。リン酸塩がゲルに含まれ、アルカリ性材料がペーストに含まれる場合が特に
好適である。これらの組成物は水を含んでもよいし無水でもよい。
【００１９】 リン酸塩ならびにアルカリ性材料は、医薬上許容できる担体により送達するこ
とができる。「医薬上許容できる担体」という用語は、水、湿潤剤、研磨剤、増
粘剤、界面活性剤、およびそれらの組み合わせ、などの機能性成分が含まれる。
これらの材料の全量は、いずれの場合も約１〜約９９％、好ましくは２０〜８０
％、最適には３０〜６０重量％の範囲にすることができる。
【００２０】 第１組成物の酸性度は、過酸化水素などの過酸化物、リン酸、塩酸、硝酸、ま
たはホウ酸などの無機酸、およびクエン酸、リンゴ酸、乳酸、アルギン酸、コハ
ク酸、酒石酸、およびアスコルビン酸などの有機Ｃ２〜Ｃ２０カルボン酸を加え
て配合することで実現可能である。重酒石酸カリウム、クエン酸ナトリウム、ナ
トリウム、ならびにリン酸一ナトリウム塩およびピロリン酸二ナトリウム塩など
の酸性リン酸塩およびピロリン酸塩などの可溶性塩も使用することができる。こ
れらの酸性度を上昇させる物質の量は、第１組成物の約０．１〜約２０重量％、
好ましくは約０．５〜約１０重量％、最適には１．０〜８重量％の範囲の量であ
る。過酸化水素およびリン酸が好ましい物質として挙げられる。
【００２１】 担体の中で水が含まれる場合は、約１〜９５重量％、好ましくは２０〜６０重
量％、最適には３０〜５０重量％の範囲の量が各組成物に含まれてもよい。当然
ながら、配合物は無水であってもよい。
【００２２】 湿潤剤も担体の１つとして通常は含まれる。湿潤剤に分類されるものの例とし
ては、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、グリセリン、およびポリエ
チレングリコール（例えばカーボワックス（Ｃａｒｂｏｗａｘ））が挙げられる
。湿潤剤の量は、各組成物の１〜６０重量％、好ましくは約５〜約５０重量％、
最適には１０〜４０重量％の範囲とすることができる。
【００２３】 研磨剤は、練り歯磨きまたは一部のゲルに通常含まれる。研磨剤としては、メ
タリン酸ナトリウム、リン酸二カルシウム（水溶性リン酸塩としては見なさない
）、ピロリン酸カルシウム、シリカ、アルミナ、チョーク、不溶性重炭酸塩、お
よびそれらの混合物を挙げることができる。研磨剤の量は、各組成物の約１〜約
８０重量％、好ましくは５〜５０重量％の範囲とすることができる。
【００２４】 増粘剤は、本発明の組成物に混入することができるさらに別の種類の担体であ
る。増粘剤の例としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシ
エチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、トラガカントゴム、
アラビアゴム、カラヤゴム、アルギン酸ナトリウム、カラゲナン、グアー、キサ
ンタンガム、トチャカ、でんぷん、加工デンプン、カーボマー（Ｃａｒｂｏｍｅ
ｒ）（架橋アクリレート）、およびそれらの混合物が挙げられる。無機物質が好
適となる場合もあり、特にシリカエーロゲルおよびケイ酸アルミニウムマグネシ
ウム（例えばビーガム（Ｖｅｅｇｕｍ））が挙げられる。増粘剤の量は、組成物
の約０．０１〜約３０重量％、好ましくは０．１〜２０重量％、好適には０．５
〜１５重量％の範囲で使用できる。
【００２５】 界面活性剤も、担体の範囲内であると考えられる。界面活性剤は、陰イオン界
面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、または両性界面活性剤の
いずれであってもよい。最も好ましいものは、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウム、およびラウリルサルコシンナトリウムである
。界面活性剤は、組成物中に約０．５〜約１０重量％、好ましくは０．８〜５重
量％の量で含めることができる。
【００２６】 ゲル組成物は、湿潤剤または界面活性剤のいずれかに分類することができる物
質で構成される。例えば、典型的なゲル構成物質は、ポリオキシエチレン−ポリ
オキシプロピレンコポリマーであり、例えばＢＡＳＦコーポレーション（ＢＡＳ
Ｆ Ｃｏｒｐｏｒａｔｉｏｎ）より商品名プルロニック（Ｐｌｕｒｏｎｉｃ）（
登録商標）Ｆ８８、Ｆ９９、Ｆ１０８、およびＦ１２７として販売されている。
これらの材料は、ポロキサマー（Ｐｏｌｏｘａｍｅｒ）としても知られており、
組成物の約５〜約３０重量％、好ましくは約１８〜約２５重量％の間の量で使用
される。
【００２７】 香料も本発明の組成物に含めることができる。これらの香料は、スペアミント
油およびペパーミント油を主成分とするものであってもよい。他の香料の例とし
ては、メントール、クローブ、ウィンターグリーン、ユーカリ、およびアニスが
挙げられる。香料は、組成物の約０．１〜約５重量％の濃度の範囲で使用するこ
とができる。
【００２８】 サッカリン、シクラミン酸ナトリウム、アスパルテーム、アセスルファム（ａ
ｃｅ−ｓｕｌｆａｍｅ）、キシリトール、およびそれらの組み合わせなどの甘味
剤を組成物の０．１〜１０重量％の量で加えることもできる。
【００２９】 過酸化水素が混入されたゲル組成物は、過酸化水素の安定性を向上させるため
に、第二鉄／第一鉄イオンおよび他の遷移金属イオンをキレート化させるピロリ
ン酸塩または他のリン酸塩などの金属イオン封鎖剤を加えることができる。金属
イオン封鎖剤はペースト組成物にも含めることができ、組成物の約０．０１〜約
２０重量％の量が含まれる。最も好ましいキレート剤は、ピロリン酸四ナトリウ
ム、トリポリリン酸ナトリウム、およびヘキサメタリン酸ナトリウムであり、こ
れらすべてはカルシウムイオンとは親和性が低く、ｐＨを低下させるために効果
的であることが知られている。クエン酸ナトリウムやクエン酸亜鉛などの他の有
機キレート剤も有用である。
【００３０】 防腐剤、シリコーン類、ガントレス（Ｇａｎｔｒｅｚ）Ｓ９７（登録商標）な
どの他の合成または天然ポリマー、歯石防止剤、および抗歯肉炎剤などの他の添
加剤も加えることができる。歯石防止剤の中には、クエン酸亜鉛、ピロリン酸四
ナトリウム、ピロリン酸二ナトリウム、ピロリン酸二カリウム、ピロリン酸四カ
リウム、およびそれらの混合物が含まれる。抗歯肉炎剤としては、チモール、ト
リクロサン（Ｔｒｉｃｌｏｓａｎ）、グルコンサンスズ、およびそれらの混合物
を挙げることができる。上記成分のそれぞれの量は、それらの作用に依存する。
一般的にはこれらの物質は、組成物の約０．０１〜約２０重量％の量が含まれる
。
【００３１】 操作および比較例を除き、さらに他に明記しない限りは、本明細書に記載され
る材料の量を示すすべての数値は、「約」という用語で修飾されるものとして理
解するべきである。
【００３２】 以下の実施例によって、本発明の実施態様をより詳細に説明する。本明細書お
よび添付される特許請求の範囲において使用されるすべての部、パーセンテージ
、および比率は、他に明記しない限り第１組成物または第２組成物のいずれかの
重量を基準としたものである。
【００３３】 実施例１ 本発明の典型例は、ゲル形態の第１組成物とペースト形態の第２組成物である
。これらの配合物のそれぞれは、米国特許第５，０３８，９６３号（Ｐｅｔｔｅ
ｎｇｉｌｌら）に開示されるものと同様の２重区画ディスペンサーの別々の区画
に充填される。
【００３４】
【表１】
【００３５】
【表２】
【００３６】 実施例２ 本発明の別の典型例は、２成分の練り歯磨きである。各成分は、実施例１と同
様の２重区画ディスペンサーに充填される。
【００３７】
【表３】
【００３８】 ペースト２ＡのｐＨは約２．０である。ペースト２ＢのｐＨは約９．０である
。これらペーストのそれぞれの細片が歯ブラシに押出される。次にこれらの細片
を歯ブラシで歯に押し付けることによって各ペーストが互いに混合される。混合
過程でヒドロキシアパタイトが生成し、歯の表面に付着する。
【００３９】 実施例３ 本発明のシステムのさらに別の典型例は、以下に示す２成分練り歯磨きである
。各成分は、実施例１と同様の２重区画ディスペンサーに充填される。
【００４０】
【表４】
【００４１】 ペースト３Ａと３ＢのｐＨはそれぞれ約２と約９である。これらのペーストの
各細片を歯ブラシに取り出す。次に歯ブラシを歯に押し付けることでこれらの細
片が互いに混合される。混合過程でヒドロキシアパタイトが生成して歯の表面に
付着する。
【００４２】 実施例４ この実施例は、水溶性リン酸一カルシウム成分を送達するためのモノリシック
なカルシウムおよびリン酸塩の組み合わせの使用方法を説明するものである。本
発明の第１および第２組成物で表されるゲルおよびペーストの別々の配合物を、
以下の組成で調製した。
【００４３】
【表５】
【００４４】
【表６】
【００４５】 実施例５ 本発明のさらに別のシステムの典型例は、以下に示す２成分練り歯磨きである
。各成分は、実施例１と同様の２重区画ディスペンサーに充填される。
【００４６】
【表７】
【００４７】
【表８】
【００４８】 ５Ａと５ＢのそれぞれのｐＨは約２．７と約９．５である。
【００４９】 実施例６ この実施例では、ゲル組成物におけるリン酸一カルシウムとアルコールに溶解
したトリクロサンを併用する場合の使用を示す。
【００５０】
【表９】
【００５１】
【表１０】
【００５２】 ６Ａと６ＢのそれぞれのｐＨは約２．７と約９．２である。
【００５３】 実施例７ ゲル組成物にリン酸一カルシウムを使用する別の実施例を示す。この実施例で
はトリクロサンはｐＨ値の高いペーストに混入され、最終的にゲルと混合される
。
【００５４】
【表１１】
【００５５】
【表１２】
【００５６】 ６Ａと６ＢのそれぞれのｐＨは約２．７と約９．２である。
【００５７】 実施例８ 本発明によるリン酸カルシウム再石灰化方法を、生体内および生体外の試験の
両方で評価した。結果を以下に示す。
【００５８】 Ａ）動物の齲食 実験計画の要約：ＳＤ（Ｓｐｒａｇｕｅ Ｄａｗｌｅｙ）ラットを、齲食を引
き起こすバクテリアに感染させ、次に実験製品のスラリーで３週間治療を行った
。ラットには齲食の発生しやすい糖の多い食餌を与えた。治療時期の最後に、初
期抗齲食効果の変数であるエナメル質全体に齲食が発生した歯を記録した。
【００５９】 エナメル質全体の齲食の発生（ＮａＦとしてのＦが１１００ｐｐｍ）
【００６０】
【表１３】
【００６１】 この表から、フッ素を含有しないプラセボよりも、フッ化ナトリウム配合物が
有意に防齲食が高かったことが分かる。本発明によるシステムであり実施例１で
示されるフッ化ナトリウムにカルシウムおよびリン酸塩を併用したものがより優
れていることが分かった。
【００６２】 Ｂ）生体外再石灰化試験 実験計画の要約：人工的齲食様損傷を有するヒトエナメル質試料を調製した。
これらの試料の初期表面硬度を治療期間の開始前に測定した。周期的な治療計画
は、再石灰化の治療期間および鉱物質消失期間の２１日間にわたるコースからな
るものであった。治療計画の終了時に、試料表面の硬度を測定した。ビッカーズ
（Ｖｉｃｋｅｒｓ）硬度数（デルタ（Ｄｅｌｔａ）ＶＨＮ）の変化は、試験製品
によって得られる再石灰化の程度を示した。
【００６３】 生体外再石灰化（ＮａＦとしてのＦが１１００ｐｐｍ）
【００６４】
【表１４】
【００６５】 生体外試験では、予想されたようにフッ化ナトリウムは、フッ化物を含まない
プラセボよりも良好な結果が得られた。本発明によるものであり実施例１のシス
テムで示されるカルシウムおよびリン酸塩の混入によって、フッ化ナトリウムの
みを含む同様のシステムと比較して有意に歯の硬度は向上した。クエン酸亜鉛を
さらに加えることでさらなる硬度の向上が見られた。
【００６６】 生体外再石灰化（モノフルオロリン酸ナトリウムとしてのＦが１５００ｐｐｍ
）
【００６７】
【表１５】
【００６８】 予想されたようにモノフルオロリン酸ナトリウムは、フッ化物を含まないプラ
セボよりも歯の硬度の向上に効果があることが分かった。本発明によるカルシウ
ムおよびリン酸塩の添加によって、モノフルオロリン酸ナトリウムの活性が有意
に向上した。
【００６９】 これまでの記述および実施例は、選択した本発明の実施態様を説明している。
これらを考慮に入れれば、当業者であれば変形および修正を提案できるであろう
が、それらのすべては本発明の意図および範囲内である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＧＷ，ＭＬ， ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＧＭ，Ｋ Ｅ，ＬＳ，ＭＷ，ＳＤ，ＳＬ，ＳＺ，ＵＧ，ＺＷ)，Ｅ Ａ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ，ＲＵ，ＴＪ ，ＴＭ)，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＵ，ＣＺ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＤ，ＧＥ，Ｇ Ｈ，ＧＭ，ＨＲ，ＨＵ，ＩＤ，ＩＬ，ＩＮ，ＩＳ，ＪＰ ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ， ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ，Ｍ Ｗ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＳＬ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ， ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＺ，ＶＮ，ＹＵ，ＺＷ (72)発明者 リー，ジエ アメリカ合衆国、コネチカツト・06611、 トランブル、メリツト・ブールバード・ 40、ユニリーバー・ホーム・アンド・パー ソナル・ケア・ユー・エス・エイ気付 (72)発明者 ウイリアムズ，デイビツド・ロバート アメリカ合衆国、コネチカツト・06611、 トランブル、メリツト・ブールバード・ 40、チーズブロ・ポンズ・ユー・エス・エ イ・カンパニー気付 (72)発明者 ジエムキエビツチ，アレキサンダー・ジヨ ージ アメリカ合衆国、コネチカツト・06611、 トランブル、メリツト・ブールバード・ 40、ユニリーバー・ホーム・アンド・パー ソナル・ケア・ユー・エス・エイ気付 Ｆターム(参考） 4C083 AB012 AB031 AB052 AB172 AB222 AB242 AB281 AB291 AB292 AB311 AB312 AB321 AB412 AB471 AB472 AC102 AC122 AC132 AC302 AC471 AC472 AC782 AC862 AD042 AD272 AD352 AD532 CC41 DD22 EE32

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 （ｉ）約０．０１〜約３０重量％の水溶性リン酸カルシウム
    、またはモノリシックな組み合わせの水溶性カルシウムおよびリン酸塩を含む第
    １組成物であって、前記組成物のｐＨが７未満である第１組成物と、 （ｉｉ）約０．０１〜約３０重量％のアルカリ性材料と齲歯予防に有効な量の
    フッ化物イオン源を含む第２組成物であって、前記第２組成物のｐＨが７．５を
    超え、前記リン酸塩と前記アルカリ性材料の間の接触が避けられるような方法で
    前記第１組成物と別々に貯蔵される第２組成物と、 を含む歯の再石灰化のための口腔用製品。
  2. 【請求項２】 前記水溶性リン酸塩がリン酸水素一カルシウムである請求項
    １に記載の製品。
  3. 【請求項３】 前記アルカリ性材料が、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム
    、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カ
    ルシウム、酸化カルシウム、およびそれらの混合物からなる群より選択される請
    求項１に記載の製品。
  4. 【請求項４】 前記第１組成物の前記ｐＨが２．５〜５．５の範囲である請
    求項１に記載の製品。
  5. 【請求項５】 前記第２組成物の前記ｐＨが７．２〜１１の範囲である請求
    項１に記載の製品。
  6. 【請求項６】 前記第１組成物の前記ｐＨが、過酸化水素、無機酸類、Ｃ２ 〜Ｃ２０カルボン酸類、およびそれらの混合物からなる群より選択される化合物
    の混入によって得られる請求項１に記載の製品。
  7. 【請求項７】 前記モノリシックな組み合わせの水溶性カルシウム塩が塩化
    カルシウム、硫酸カルシウム、および酢酸カルシウムからなる群より選択され、
    個々のリン酸塩がリン酸ナトリウム、リン酸アンモニウム、およびリン酸アンモ
    ニウムナトリウムからなる群より選択される請求項１に記載の製品。
  8. 【請求項８】 約０．０１〜約２０重量％のトリクロサンをさらに含む請求
    項１に記載の製品。
  9. 【請求項９】 約０．０１〜約２０重量％の亜鉛塩をさらに含む請求項１に
    記載の製品。
  10. 【請求項１０】 （Ａ）（ｉ）約０．０１〜約３０重量％の水溶性リン酸カ
    ルシウム、またはモノリシックな組み合わせの水溶性カルシウムおよびリン酸塩
    を含む第１組成物であって、前記組成物のｐＨが７未満である第１組成物と、 （ｉｉ）約０．０１〜約３０重量％のアルカリ性材料と齲歯予防に有効な量
    のフッ化物イオン源を含む第２組成物であって、前記第２組成物のｐＨが７．５
    を超え、前記リン酸塩と前記アルカリ性材料の間の接触が避けられるような方法
    で前記第１組成物と別々に貯蔵される第２組成物と、を含む製品を得て、 （Ｂ）第１および第２組成物の一部を歯ブラシ上に押出し、 （Ｃ）第１および第２組成物の組み合わせで歯をブラッシングする、 ことを含む歯のエナメル質の再石灰化方法。
  11. 【請求項１１】 前記水溶性リン酸塩がリン酸水素一カルシウムである請求
    項１０に記載の方法。
  12. 【請求項１２】 前記アルカリ性材料が、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウ
    ム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸
    カルシウム、酸化カルシウム、およびそれらの混合物からなる群より選択される
    請求項１０に記載の方法。
  13. 【請求項１３】 前記第１組成物の前記ｐＨが２．５〜５．５の範囲である
    請求項１０に記載の方法。
  14. 【請求項１４】 前記第２組成物の前記ｐＨが７．２〜１１の範囲である請
    求項１０に記載の方法。
  15. 【請求項１５】 前記第１組成物の前記ｐＨが、過酸化水素、無機酸、Ｃ２ 〜Ｃ２０カルボン、およびそれらの混合物からなる群より選択される化合物の混
    入によって得られる請求項１０に記載の方法。
  16. 【請求項１６】 前記モノリシックな組み合わせの水溶性カルシウム塩が塩
    化カルシウム、クエン酸カルシウム、硫酸カルシウム、および酢酸カルシウムか
    らなる群より選択され、個々のリン酸塩がリン酸ナトリウム、リン酸アンモニウ
    ム、およびリン酸アンモニウムナトリウムからなる群より選択される請求項１０
    に記載の方法。
  17. 【請求項１７】 約０．０１〜約２０重量％のトリクロサンをさらに含む請
    求項１０に記載の方法。
  18. 【請求項１８】 約０．０１〜約２０重量％の亜鉛塩をさらに含む請求項１
    ０に記載の方法。
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