【発明の詳細な説明】
エノールエーテルの製造方法
本発明は、亜鉛又はカドミウム及びケイ素及び酸素を含有する不均質触媒の存
在で、気相でケタール又はアセタールをアルキン又はアレンを用いてコンプロポ
ーショネーション(comproportionation)によってエノールエーテルを製造する
方法に関する。
ケタール又はアセタールを、液相で酸性触媒を用いて(EP703211号又
はEP490221号による)又は気相で不均質触媒により(DE195444
50号による)、アルコールの脱離下に次ぎの反応式により相応のエノールエー
テルに変えることは公知である:
このようにして得られるエノールエーテルは製薬生成物及び芳香剤を製造する
ための重要な出発化合物である。
前記の公知方法は若干の場合には良好な収率でエノールエーテルの製造を実現
するが、しかし次ぎの欠点
を有する:
EP703211号による液相での反応は、溶解した異物、つまり反応混合物
からの除去に付加的な分離費用を要する有機酸の使用を必要とし、EP4902
21号による方法はアセタールに適用しうるのみである。EP19544450
号による方法はなるほど溶解した均質触媒を用いる液相での方法と比較すると不
均質触媒による気相での反応という利点を有するが、かなり高い温度を要する。
これらすべての方法についてはケタール又はアセタール1モル当たり1モルの
アルコールが遊離され、同アルコールは付加的な、若干の場合には著しい精製費
用をもって分離され、一般には棄却されなければならないことが共通している。
これは特に、しばしば共沸混合物を形成するメタノールについてあてはまる。こ
れによってケタール又はアセタールに対する重量収率が必然的に減少している。
したがって、不均質触媒により連続的にかつ良好な収率で実施することができ
かつケタールにもアセタールにも適用できる方法であって、この場合にケタール
又はアセタールに由来するアルコールが化学量論的量で会合生成物(associated
product)として生じない方法を提案するという課題が生じた。
前記課題は、本発明により式I:
〔式中、R1は脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族又は複素環式基を表し、こ
れらの基はアセチレン又はアレンと反応しない他の置換基を有していてもよく、
R基は相互に独立的に水素又は脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族又は複素環
式基を表し、これらの基は相互に結合して一つの環を形成していてもよく、mは
0又は1を表す〕で示されるエノールエーテルを製造する方法によって解決され
、この方法では式II:
で示されるアセタール又はケタールを、式III又はIV:
〔式中R及びR1基は前記のものを表す〕で示されるアセチレン又はアレンと、
亜鉛又はカドミウム及びケイ素及び酸素を含有する不均質触媒の存在で気相で反
応させる。
本発明の反応のメカニズムは詳細には知られていないが、該反応は形式的には
、あたかもアルコールR1OH1モルが式IIのジアルコキシ化合物から式Iの
エノールエーテルの形成下にアセチレン又はアレンに移動されるように考えられ
る。
出発物質として使用すべき式IIのケタール又はアセタールは、文献、例えば
米国特許第2,667,517号明細書及びヨーロッパ特許出願公開第0197
283号明細書から公知であり、この場合一般には2つの基R1は同じである。
R基は好ましくは、特にC原子1〜6個を有するアルキル基又は水素であり、
R1基は特にC原子1〜8個を有するアルキル基である。
アセタールとしては特に開鎖化合物が適当である。このようなアセタールの例
は、一般式:
〔式中R基は前記のものを表す〕で示されるアルデヒドのジメチルアセタール、
ジエチルアセタール、ジ−n−プロピルアセタール、ジ−n−ブチルアセタール
、ジイソブチルアセタール、ジ−n−ペンチルアセタール、ジイソペンチルアセ
タール、ジ−n−ヘキシルアセタール及びジイソヘキシルアセタールである。
このようなアセタールの例は以下のとおりである:アセトアルデヒド−ジメチ
ルアセタール、アセトアルデヒド−ジエチルアセタール、アセトアルデヒド−ジ
プロピルアセタール、プロピオンアルデヒド−ジメチルアセタール、プロピオン
アルデヒド−ジエチルアセ
タール、プロピオンアルデヒド−ジプロピルアセタール、プロピオンアルデヒド
−ジブチルアセタール、ブチルアルデヒド−ジメチルアセタール、ブチルアルデ
ヒド−ジエチルアセタール、ブチルアルデヒド−ジプロピルアセタール、ブチル
アルデヒド−ジブチルアセタール、ブチルアルデヒド−ジペンチルアセタール、
バレルアルデヒド−ジメチルアセタール、バレルアルデヒド−ジエチルアセター
ル、バレルアルデヒド−ジプロピルアセタール、バレルアルデヒド−ジブチルア
セタール、バレルアルデヒド−ジペンチルアセタール、イソバレルアルデヒド−
ジメチルアセタール、イソバレルアルデヒド−ジエチルアセタール、イソバレル
アルデヒド−ジプロピルアセタール、イソバレルアルデヒド−ジブチルアセター
ル、イソバレルアルデヒドージペンチルアセタール、ヘキサナール−ジメチルア
セタール、ヘキサナール−ジエチルアセタール、ヘキサナール−ジプロピルアセ
タール、ヘキサナール−ジブチルアセタール、ヘキサナール−ジペンチルアセタ
ール、ヘキサナール−ジヘキシルアセタール、2−エチルヘキサナール−ジメチ
ルアセタール、2−エチルヘキサナール−ジエチルアセタール、2−エチルヘキ
サナール−ジプロピルアセタール、2−エチルヘキサナール−ジブチルアセター
ル、2−エチルヘキサナールージペンチルアセタール、2−エチルヘキサナール
−ジヘキシルアセタール及びノナナール−ジメチルア
セタール。
ケタールとしては例えば次ぎのものが適当である:アセトン、ブタノン−2、
ペンタノン−2又は−3、ヘキサノン−2又は−3、シクロペンタノン又はシク
ロヘキサノンのジメチル−、ジエチル−、ジ−n−プロピル−、ジ−n−ブチル
−、ジ−i−ブチルケタール。特に好ましい出発物質は2,2−ジメトキシプロ
パン(アセトンジメチルケタール)である。
出発物質としては任意のアセチレン及びアレンを選択できるけれども、好まし
くは、技術的に容易に得られるC原子2又は3〜8個、好ましくは3〜8個を有
するアセチレン及び/又はアレン、特にメチルアセチレン又はアレン又はそれら
の混合物、例えば蒸気分解炉(Steamcracker)からのC3−流から単離されうる
ものを使用する。一般にはケタール又はアセタールを、好ましくは、均一なエノ
ールエーテルIが生じるようにアセチレン又はアレンと反応させる。これは、例
えば式IIにおいてm=1を有する化合物は同じR基を有するアレンに相当し、
m=0を有する化合物は同じR基を有するアセチレンに相当することを意味する
。
ケタール又はアセタールとアセチレン又はアレンとの反応は、亜鉛又はカドミ
ウム及びケイ素及び酸素を含有する不均質触媒の存在で気相で、固定床により又
は流動床で温度50〜400℃、好ましくは100〜
250℃、特に好ましくは120〜200℃及び圧力0.1〜50バール、特に
0.8〜20バール、特に好ましくは0.9〜10バール(すべての圧力は出発
物質の分圧の合計を基準にする)で行う。
場合により反応混合物は、操作安全性の理由から及び熱放出をより良くするた
めに不活性ガス、すなわち窒素、アルゴン、低分子アルカン又はオレフィンで希
釈することもできる。
ケタール又はアセタールとアルキン又はアレンとのモル比は0.01〜100
であってよい。好ましくは0.1〜2の範囲、特に好ましくは0.7〜1.3の
範囲を選択する。
亜鉛又はカドミウムならびにケイ素及び酸素を含有する触媒としては、ケイ酸
カドミウム、好ましくはケイ酸亜鉛、例えば次ぎのものから成る群から選択され
たケイ酸塩が適当である:
(a)シリカ担体に亜鉛又はカドミウム塩を含浸させることによって製造したエ
ックス線非晶質ケイ酸亜鉛又はケイ酸カドミウム、
(b)実質的に式Zn4Si2O7(OH)2・H2Oの異極鉱の組成及び構造を有
する結晶性ケイ酸亜鉛(亜鉛は化学量論的組成に対して最高25%までの不足又
は過剰で存在していてよい)及び/又は
(c)式V:
ZnaSicOa+2C-0.5e(OH)e・fH2O V、
〔式中eは0〜2a+4cの値を表し、a/c比は1〜3.5であり、f/a比
は0〜200である〕で示される可溶性ケイ素化合物及び亜鉛化合物の水溶液中
での沈殿によって製造される、実質的にエックス線非晶質のケイ酸亜鉛。
(a)エックス線非晶質ケイ酸亜鉛−又はケイ酸カドミウム−触媒は、例えば非
晶質シリカに亜鉛塩又はカドミウム塩を添加し(Beladen)かつ熱処理によって
触媒を成形することによって得られる。
SiO2担体は少なくとも主として非晶質であり、BET表面積10〜150
0m2/g、特に好ましくは100〜500m2/g及び吸水容量0.1〜2ml
/g、特に好ましくは0.7〜1.3ml/gを有しかつ粉末又は完成成形体と
して使用されうる。該担体はまた含浸前に力焼してもよい。しかし好ましくは担
体を力焼しない。
亜鉛−又はカドミウム化合物としては、適当な溶剤中に可溶な化合物を使用す
る。好ましくは、水又は水性アンモニア又はアルコール、好ましくは低級アルコ
ール中に可溶でありかつ400〜500℃以下の分解温度を有する亜鉛(II)
塩を使用する。
含浸のためには特に好ましくはアンモニアアルカリ性酢酸亜鉛(II)溶液を
使用する。若干の場合多数の連続的な含浸工程で亜鉛の添加を行うのが有利であ
ると判明した。
担体を粉末として使用する場合には、触媒を成形(例えば混合、混練及び押出
し又はタブレット成形)することによって所望の形状を生じることができる。
細孔容積を増大させるために、成形の際に細孔形成剤(Porenbildner)も加え
ても良い(例えば超吸収剤、すなわちルテクサル(Lutexal:登録商標)P(BASF
Ludwigshafen社)又はバロセル(Walocel:登録商標)(メチルセルロース/合
成樹脂−配合物、Wolff社、Walsrode))。
また他の担体、例えばAl2O3に、酸化ケイ素−前駆物質化合物(例えばSi
(OR)4)及び亜鉛塩又はカドミウム塩を含浸させることもできる。
亜鉛又はカドミウムの添加は広い範囲で変わってもよい。SiO2−担体に亜
鉛塩又はカドミウム塩を含浸することによって製造された未カ焼予備触媒の代表
的な値は、例えばZn又はCd1〜60質量%、好ましくは7〜30質量%であ
る。特に好ましくは10〜25質量%の含量である(それぞれZnO又はCdO
として計算)。さらに予備触媒には他の元素、好ましくはアルカリ−アルカリ土
類−又は遷移金属を添加してもよい。また触媒的に活性の成分には、ベリリウム
、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、マンガン、鉄、コバ
ルト、ニッケル及び銅から成る群(A)及びチタン、ジルコニウム、ハフニウム
、ゲルマニウム、錫及び鉛から成る群(B)から選択
された他の金属も最高80モル%まで、好ましくは最高50モル%まで、特に最
高20モル%まで添加されていてもよく、この際群(A)の元素は部分的に亜鉛
又はカドミウムと代え、群(B)の元素は部分的にケイ素と代える。
次ぎに予備触媒を最高600℃、特に80〜300℃の温度で空気中又は不活
性ガス下でカ焼することができる。特に空気中での120〜250℃のカ焼が好
ましい。
亜鉛又はカドミウム化合物を酸化ケイ素担体上に施すことによって一般に触媒
的にはまだ不活性の予備触媒を製造した後、好ましくは成形を行い、この際触媒
の表面上に特に実際の活性相が形成される。この固体反応は、水、アルコール、
好ましくは低級アルコール又はカルボン酸、好ましくは低級カルボン酸の存在に
よって促進され、したがって有利には温度50〜400℃で水−又はアルコール
含有雰囲気中で予備触媒を加熱することによって行われる。好ましくは該反応は
100〜250℃で水−又はメタノール含有ガス混合物中で行う。特に該反応を
120〜200℃でメタノール含有ガス混合物を用いて直接反応器中で行うのが
好ましく、この反応器では後になってアルキン又はアレンとの反応が起こること
になる。酢酸亜鉛を基剤とする予備触媒から出発する場合には、固体反応が終了
する時間を極めて容易に決定することができる、それ
というのもこの時点では廃ガス中に酢酸メチルは殆ど検出できないからである。
若干の場合には、活性相を形成するためには、予備触媒を反応条件下でメタノー
ルとプロピン及びアレン、場合によりなおまた他の成分(例えばプロペン又はプ
ロパン)とから成る混合物で処理するのが有利であることが判明した。活性層の
形成は、プロピン−及びアレン転化率の増大(温度に応じて約5〜30分後)、
選択率の増大(温度に応じて10〜300分後)及び廃ガス中の酢酸メチルの濃
度の減少によって表示される。定常状態(高いプロピン−又はアレン転化率を有
する)及び高い選択率は温度に応じて約2〜20時間後に達成される。
同様に相応のケイ酸水銀も製造することができるが、しかしこのものは技術的
及び生態学的にあまり適当ではない。
触媒試料(新しい試料ならびに反応器から取出した試料)の特性決定のために
標準方法を用いた。測定したBET表面積(代表的には10〜800m2/gに
ある)及び硬度はそれぞれの例で記載してある。100〜400m2/gのBE
T表面積を有する触媒が有利である。さらに試料を粉末エックス線回折法(XR
D)及び透過型電子顕微鏡(TEM)によっても詳細に調べた。2つの構造分析
法の場合には結晶構造の意味における長距離秩序は確認できず、すべての試料は
非晶質であった。担体上の亜鉛分布は適当な切片によ
り電子顕微鏡及び微小ゾンデ(Mikrosonde)で調べた。全試料は、反応器から取
出した後でも、触媒が十分に均質な元素分布を有しており、結晶性ZnOを全く
含まないか又は僅か含まないことを示す。赤外線検査(KBrペレット)では酢
酸亜鉛を用いて製造した活性触媒は酢酸塩のバンドを示さない(このバンドは予
備触媒においては1570、1410、670及び610cm-1でまだ見える)
。また13C−CP−MAS−NMRでは酢酸塩の信号はもはや存在していない。29
Si−CP−MAS−NMRでは、該触媒は−109ppmで代表的には非晶
質のSiO2の広いバンドしか示さず、−99ppmで肩の部分(Schulter)(
主要ピークの約10%の強さ)を示す。Zn−酢酸塩/SiO2−予備触媒の元
素分析は、C/Znのモル比がカ焼温度に依存することを示す。室温で乾燥され
た触媒は、3.5〜4のC/Z比を有する。200〜250℃(最適温度)での
カ焼後にはC/Zn比は1〜2である。より高い温度ではC/Zn比はなおさら
に減少し、これから形成された触媒の触媒活性も同様に減少する。500℃での
カ焼(24時間)後には、予備触媒におけるC/Zn比は0.02である。これ
から活性触媒は形成されない。予備触媒上での酢酸亜鉛の分解は比較的遅いので
、予備触媒を、触媒活性を完全に失うことなく短時間の間高温にさえも暴露する
ことができる。
(b)触媒としての異極鉱
異極鉱は式Zn4Si2O7(OH)2・H2Oのケイ酸亜鉛である。しかし本発
明の反応にとっては純粋な異極鉱のみならず、少なくとも主として活性成分とし
て式Zn4Si2O7(OH)2-2yOy・xH2O(x及びyは0〜1の値を表す)
の異極鉱の構造を有するケイ酸亜鉛を含む一般には不均質の触媒も適当である。
異極鉱の製造は文献から公知である。この製造は標準条件又は熱水条件下で行
うことができる。
(b1)標準条件下での製造
A.G.メルクローフ(Merkulov)及びB.S.クリストフォローフ(Khrist
oforov)(Tr.Soveshch,Eksp.Tekh.Mineral.Petrogr.,8th(1971),Meeting Date
1968,322〜8;Editor(s):V.V.Lapin;Publisher:“Nauka”,Moscow,USSR)は、種
々の亜鉛塩(炭酸塩、硫酸塩、塩化物、酢酸塩、酸化物)を水溶液中で温度90
〜100℃及び標準圧力でNa−ケイ酸塩及び苛性ソーダ液と反応させることに
よって種々のZn−ケイ酸塩を製造することを記載している。この場合には種々
のケイ酸亜鉛が調節されたpH値に依存して形成される。すなわち最終pH値5
〜6ではZn3Si4O10(OH)2・nH2Oの組成を有する純粋なサウコニット
(Sauconit)が生じる。pH値の範囲6.5〜8.5では純粋なウイルミット(
Willemit)(α−Zn2
SiO4)が得られる。これに対して10より大きいpH値では弱アルカリ性媒
体中でのみ純粋な異極鉱(Zn4Si2O7(OH)2・H2O)が晶出する。
前記著者の他の著作(A.G.メルクローフ及びB.S.クリストフォローフ
,Izv.Sib.Otd.Akad.Nauk SSSR,Ser.Khim.Nauk(1969),(4),70〜4
)には、亜鉛塩を90〜100℃及び大気圧で水溶液中でケイ酸ナトリウム及び
苛性ソーダ液と反応させる場合pH範囲10〜12でのみ純粋な異極鉱が形成さ
れることが記載されている。
さらにT.ベアード(Baird)、A.G.ケアルンス・スミス(Cairns Smith
)及びD.S.スネル(Snell)(Reactivity of Solids,Proc.Int.Symp.,8th(1977
),Goeteborg,Meeting Date 1976,337〜42;Editor(s):J.Wood,O.Lindqvist und C
.Helgesson;Publisher:Plenum Press,New York,N.Y)は、Zn(OH)2を水溶液
中でpH10でシリカ及びLiOHと反応させることによって異極鉱の大きな結
晶を製造することができた。
最後にH.ナガタ、M.マツナゲ及びK.ホソカワ(材料と環境(1993)42,
225〜233)は、硫酸亜鉛水溶液をpH13で苛性ソーダ液及びケイ酸ナト
リウム水溶液と反応させ、得られた沈殿物を分離し、洗浄しかつ85℃で少なく
とも24時間熟成することによって異極鉱を製造した。
(b2)熱水製造
EP165647号によれば、熱水条件(170℃、5時間)下で酸処理粘度
鉱物及び酸化亜鉛又は水酸化亜鉛から異極鉱を製造することができる。しかし粘
度の酸前処理は極めて費用がかかり、したがってこの方法は不利である。
さらにD.M.ロイ(Roy)及びF.A.マンプトン(Mumpton)(Econ.Geol
.(1956)51,432〜443)によれば、異極鉱はZnO及びSiO2か
ら成る混合物の175〜200℃での熱水反応によっても得られる(組成:3Z
nO+2SiO2)。得られた生成物は主として異極鉱であるが、サウコニット
(Sauconit)(Zn3Si4O10(OH)2・4H2O)によって不純化されている
。
最後にP.テイラー(Taylor)及びD.G.オウエン(Owen)(Polyhedr
on(1984)3(2)151〜155)は、ZnOを水溶液中で150℃でS
iO2と反応させることによる異極鉱の熱水合成を記載している。しかし高い異
極鉱含量を有する生成物の製造のためには、少なくとも4日の長い反応時間が必
要である。
前記の公知方法により得られた異極鉱生成物は本発明の付加反応の触媒として
好適であるが、該触媒の特性をさらに改良しかつ再現可能に良好な特性プロフィ
ルを有する触媒を製造できる製造方法を提案するのが
望ましいことが判明した。
したがって新規方法は標準圧力ならびに熱水条件下で提案し、この方法の場合
アルカリ金属−又はアルカリ土類金属ケイ酸塩、好ましくはケイ酸ナトリウムを
、水溶液中でpH値4〜9.5、好ましくは5.5〜8、特に中性点付近のpH
値、例えばpH値6〜7.5で、標準圧力の場合には温度50〜100℃、特に
70〜100℃でかつ熱水条件の場合には温度100〜250℃、好ましくは1
00〜200℃で、亜鉛塩、特に硝酸亜鉛及び塩基、すなわちアルカリ金属−又
はアルカリ土類金属水酸化物、特に水酸化ナトリウムと反応させる。
この製造方法によれば、2のZn/Si比を有する純粋な異極鉱を合成するこ
とができる。しかしまたZn:Siの原子比1.6〜2.5により、最高25%
までのZnの不足又は過剰を有する異極鉱製品も得られる。触媒としては、0〜
20%の亜鉛過剰を含有する異極鉱が好ましい。特に0〜10%の亜鉛過剰を含
有する異極鉱が好ましい。
異極鉱生成物は、合成の際白色結晶性沈殿物として水性懸濁液の形で得られ、
適当な手段、例えば濾過又は遠心分離によって水溶液から分離することができる
。濾過の場合には得られた濾滓を次ぎにナトリウム−及び硝酸塩不含まで十分に
洗浄し、次いで乾燥する。乾燥は600℃までの温度で行うことができ、好まし
い温度範囲は90〜250℃である。熱重量分析は、Zn4Si2O7(OH)2・
H2Oの組成を有する晶出異極鉱が約100〜200℃の温度範囲で異極鉱構造
を維持しつつ増大する割合の結晶水を失い、この際Zn4Si2O7(OH)2・x
H2O(xは1より小さく、増大する温度とともに減少する)の組成の異極鉱製
品が生じることを示した。約200〜600℃のより高い温度範囲で乾燥する場
合には、異極鉱中に含有されたOH-イオンは、同様に異極鉱構造を維持しつつ
さらにO2イオン及び脱離されたH2Oに転化され(2OH-→H2O+O2-)、Z
n4Si2O7(0H)2-2yOy・xH2O(yは0〜1であり、上昇する温度とと
もに増大する)の組成を有する異極鉱製品が生じる。
600℃までの温度、好ましくは90〜450℃での乾燥後に得られる、Zn4
Si2O7(OH)2−2yOy・xH2O(x及びyは0〜1の値を含む)の組成の
異極鉱製品は、次ぎに通常の成形法、例えばペレット成形、押出し又はステアタ
イトビーズ上での被覆触媒への加工によって触媒成形体に加工する。詳細は実施
例で記載する。
触媒試料(新しい試料及び反応器から取出した試料)の特性決定のために標準
方法を用いた。測定したBET表面積は一般には3〜400m2/gである。好
ましくは20〜300m2/gのBET表面積を有す
る触媒を使用する。さらに新規製造方法を用いて得られた試料は粉末エックス線
回折法(XRD)及び透過型電子顕微鏡(TEM)によって詳しく調べた。測定
した粉末エックス線回折図はJCPDS−ICDD−索引(1995)の索引カ
ード5−0555の回折図に一致する。
(c)エックス線非晶質ケイ酸亜鉛触媒
ところで、実質的に同じ製造条件下であるが、結晶性異極鉱を製造するための
予備段階よりも短い反応時間で、改良された触媒特性を有するエックス線非晶質
生成物が得られることが判明した。
この目的のためには、本発明により例えばアルカリ金属−又はアルカリ土類金
属ケイ酸塩の水性懸濁液を、
a)20℃、好ましくは50℃から生じる水性懸濁液の沸点までの温度で
b)pH値4〜9.5、好ましくは中性点近くのpH値で、
c)かつ式VIの条件が満足されるようなアルカリ金属ケイ酸塩と亜鉛塩との量
比で
亜鉛塩の水溶液と反応させかつ
d)ケイ酸亜鉛の結晶化がまだ著しい程度には起こらないような滞留時間を維持
する。
このようにして得られる実質的にエックス線非晶質ケイ酸亜鉛はZn2+−、S
i4+−及びO2-イオン
を有する;さらに該化合物はOHイオン及び水和水を含有していてもよい。Zn
/Si−比は0.3〜5、好ましくは1〜2.7、特に好ましくは2〜2.3、
極めて特に好ましくは2である。したがって最後の場合にはエックス線非晶質ケ
イ酸亜鉛は結晶性異極鉱(Zn4Si2O7(OH)2・H2O)のZn/Si−比
を有する。図2には、Cu−Kα1−放射線(λ=1.5406Å)を用いて得
られた、本発明のエックス線非晶質ケイ酸亜鉛の粉末エックス線回折図を図示し
てある。ここで回折されたエックス線の強度Aは2倍の回折角(2θ)の関数と
してプロットしてある。本発明により使用すべきエックス線非晶質ケイ酸亜鉛の
粉末エックス線回折図は、10〜90°の2θ範囲において2θ=31°±5°
及び2θ=61°±7°で極めて広い強度の極大を有する。図2には本発明によ
り使用すべきエックス線非晶質ケイ酸亜鉛の前記の広い回折反射の上方に他の比
較的鋭い線が認められるが、これらは少量の結晶性ZnOの形成に関連しうる(
JCPDS−ICDD−索引(1995)の索引カード5−0664)。さらに
また少量のZn5(NO3)2(OH)8・2H2も生じる可能性がある(JCPD
S−ICDD−索引(1995)の索引カード24−1460)。
また本発明により使用すべき非晶質ケイ酸亜鉛−沈殿触媒には、ベリリウム、
マグネシウム、カルシウム
、ストロンチウム、バリウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、カドミ
ウム及び水銀から成る群(A)及びチタン、ジルコニウム、ハフニウム、ゲルマ
ニウム、錫及び鉛から成る群(B)(この際群(A)の元素は異極鉱構造の中で
部分的に亜鉛と、群(B)の元素は部分的にケイ素と置換する)から選択された
他の金属が、最高80モル%まで、好ましくは最高50モル%まで、特に最高2
0モル%まで添加されていてもよい。
新規のエックス線非晶質ケイ酸亜鉛は製造の際粉末として得られる。該粉末は
そのままで触媒反応のために(例えば流動床反応器で)使用できるか又は成形(
例えば、場合によっては助剤を添加しての押出し、ペレット成形等)の後固定床
反応にとって適当な形で使用してもよい。
触媒は使用前に80〜750℃の温度でカ焼してもよい。好ましくは触媒を1
20〜500℃でカ焼する。特に空気中での200〜400℃でのカ焼が好まし
い。細孔容積を増大させるためには成形時、例えばペレット成形又は押出しの際
細孔形成剤も加えることができる(例えば超吸収剤、すなわちルテクサル(Lute
xal:登録商標)P(BASF AG社)又はバロセル(Walocel:登録商標)(メチル
セルロース/合成樹脂−配合物、Wolff、Walsrode AG社))。
(A)一般的反応条件
図1による触媒反応を、容積1740ml及び触媒容積約90mlを有し、不
均質気相反応用に改良された勾配のないCSTR(連続的撹拌槽反応器)(A)
で行った。同反応器は内径約108mm及び高さ約200mmを有しており、内
壁に取付けられた電気加熱コイルによって加熱された。反応器の中央には金属製
の小さいシリンダー(φ約64mm,高さ約150mm)を取付け、その半分の
高さ(上縁の下方約85mm)にはワイヤグリットを設けた。このワイヤグリッ
ト上に触媒を弛く堆積した。反応器の蓋の上には、1500〜2000rpmで
駆動される平形(約100mm、高さ約20mm)タービンを取付けた。反応器
の軸には種々の高さに合わせて6個の温度制御用のサーモカップル(Termoeleme
nte)を取付けた。出発物質は圧力下でHPLCポンプで計量供給し、反応器の
直前で混合しかつ反応器の室に導入した。アルキン及びアレン(図1中の1)は
純粋な形で供給するか又は混合物として他の不活性成分で希釈した。プロピン及
びアレンの場合には他の炭化水素との混合物を使用した(組成:主要成分として
プロピン30〜43容量%、アレン16〜20容量%、プロペン20〜45容量
%、イソブタン5〜10容量%及びプロパン2〜6容量%;他のすべての成分は
1%未満)。この混合物は蒸気分解炉の側流からの蒸留によって得られる。ケタ
ール(図1中の2)には、GC分析用の内部標準とし
てシクロヘキサン約10質量%を供給した。
反応は、等温的に温度120〜300℃でかつプロピン及び/又はアレン0.
5〜10mモル/min及びケタール0.5〜20mモル/minの供給速度で
行った。反応圧力は1.1〜3.5バール(絶対)であった。
出発物質、不活性ガス及び内部標準から成る全ガス量は一般に4〜60l(s
.t.p.)/hであった。
GHSV=ガス容積[l(s.t.p.)/h]/触媒容積[l]
として定義されるGHSV(ガス空間速度)は80〜1200h-1であった。
LHSV=液体容積[l(s.t.p.)/h]/触媒容積[l](ここでは
プロピンの供給容積及びメタノールの容積)として定義されるLHSV(液空間
速度)は、0.2〜3h-1であった。
触媒容積[l]とガス量[l(s.t.p.)/s]との商として定義される
滞留時間は3〜40秒であった。
反応ガスは反応器を出た後加熱された移送管(3)を介してオンライン(on−
line)ガスクロマトグラフ(B)に供給し、そこで2時間ごとに分析した。その
後ガス流を部分凝縮(C)し、室温で凝縮できない部分(6)を規則的な間隔(
約12時間)をおいてオフ
ライン(off−line)GCによって分析した。凝縮物(5)は同様に集めて、オ
フラインGCによって分析した。
他に断りがなければ、転化率及び選択率はプロピン及びアレンの総量を基準と
した。
例1
a)触媒の製造(非晶質ケイ酸亜鉛;含浸による)
Zn/SiO2担体触媒を、BET表面積358m2/g、吸水容量0.9ml
/g及び硬度43N/成形体を有するエックス線非晶質SiO2成形体(φ3〜
6mmを有するビーズ)にアンモニアアルカリ性酢酸亜鉛溶液を含浸させて製造
した。このためにSiO2担体(シリゲル(Siligel),Solvay社)225gに、
9%NH4OH溶液220g中に溶かしたZn(OAc)2・2H2O(Merck)1
51.70gを室温で含浸させ、次ぎにこの予備触媒を120℃で16時間乾燥
し、次いで250℃で4時間空気下でカ焼した。同予備触媒はBET表面積19
5m2/g及び硬度76N/成形体を有していた。酢酸塩/Zn−比は0.9モ
ル/モルであった。
b)反応
図1に記載した装置に予備触媒約90mlを入れた。次ぎにプロピン/アレン
混合物(55モル%、残りプロペン)及び2,2−ジメトキシプロパンをHPL
Cポンプによって供給した。反応は初めの調整(17
0℃)で、活性触媒が完全に形成されかつ転化率及び選択率が一定になる(約1
2時間)まで続けて行った。次ぎに温度及び供給量を第1表により変えた。結果
は第1表にまとめてある。圧力はすべての実験で1.35バール(絶対)であっ
た。略語:2MP:2−メトキシプロペン;22DMP:2,2−ジメトキシプ
ロパン;1MP:1−メトキシプロペン(シス及びトランス);11DMP:1
,1−ジメトキシプロパン。記載した選択率はプロピン及びアレンに関係してい
る。 試験系列の終了後に反応器から取出した触媒に関しては、BET表面積220
m2/g及び硬度74N/成形体が測定された。
例2
a)触媒の製造(非晶質ケイ酸亜鉛、Na添加)
エックス線非晶質SiO2成形体(シリパール(Siliperl)AF125、Engel
hard杜、BET表面積413m2/g、吸水容量0.99ml/g及び硬度29
N/成形体を有する、φ3〜6mmのビーズ)にアンモニアアルカリ性酢酸亜鉛
溶液を含浸させて、Zn/SiO2担体触媒を得た。この目的のために、蒸留水
160g及び25%NH4OH溶液120gから成る混合物中に溶かした、Zn
(OAc)2.2H2O(Merck)131.46g及びNa(OAc)・3H2O2
.08gから成る含浸溶液を、それぞれ195mlの2部分に分け、SiO2担
体200gに室温で第一の部分を含浸させ、次ぎに予備触媒を120℃で16時
間乾燥し、第2の部分を室温で含浸させ、次いで120℃で16時間乾燥し、次
ぎに250℃で4時間空気下でカ焼した。
予備触媒はBET表面積215m2/g及び硬度42N/成形体を有し、Zn
O19.5%、Na2O0.5%、SiO280%の組成を有していた。
b)反応
図1に記載した装置に予備触媒約90mlを入れた
。次ぎにプロピン/アレン混合物(59モル%、残りプロペン)及び2,2−ジ
メトキシプロパンをHPLCポンプによって供給した。反応は初めの調整(17
5℃)で、活性触媒が完全に形成されかつ転化率及び選択率が一定になる(約1
2時間)まで続けて行った。次ぎに温度及び供給量を第2表により変えた。結果
は第2表にまとめてある。
圧力はすべての実験で1.3バール(絶対)であった。略語:2MP:2−メ
トキシプロペン;22DMP:2,2−ジメトキシプロパン;1MP:1−メト
キシプロペン(シス及びトランス);11DMP:1,1−ジメトキシプロパン
。記載した選択率はプロピン及びアレンに関係している。 試験系列の終了後に反応器から取出した触媒に関しては、BET表面積213
m2/g及び硬度45N/成形体が測定された。
例3
a)触媒の製造(異極鉱Zn/Si=2)
81の撹拌容器で、脱イオン水4.51及びSiO2の含分62.1質量%及
びNa2Oの含分19.0質量%を有する粉末状ソーダ水ガラス(Riedel-deHaen
社、D−30918Seelze)145.1gから、SiO21.5モル及びNa0.
89モルを含有する懸濁液Aを製造した。さらにZn(NO3)2・6H2O(9
8%)910.7gを室温で脱イオン水2.25l中に溶かし、Zn3モル及び
NO36モルを含有する溶液Bが得られた。最後に脱イオン水0.225l中の
NaOH204.4gの水溶液を製造すると、Na含分5.11モルの溶液Cが
得られた。次ぎに溶液B及びCを室温で懸濁液A中に入れると、次ぎの元素部分
を含む乳状懸濁液Dが得られる:Zn含分=3モル、Si含分=1.5モル、N
a含分=6モル、NO3含分=6モル。得られた懸濁液DのpH値は7.1であ
った。懸濁液Dを90℃に加熱し、この温度で回転数200rpmで24時間撹
拌した。次ぎにこの懸濁液を室温に冷却し、最終pH値7を測定した。晶出した
白色沈殿物を濾取し、脱イオン水で洗浄してNa不含とし、生じる濾滓を乾燥器
で90℃で乾燥した。
乾燥した白色粉末をエックス線回折によって調べると、粉末エックス線回折図
が得られるが、これはJCPDS−ICDD−索引(1995)の索引カード5
−0555の回折図に十分一致し、したがってZn4Si2O7(OH)2・H2O
の製造を示した。得られた粉末の、BETにより測定した比表面積は30m2/
gであった。
触媒を製造するためには、まだ湿潤している粉末を直接圧延して押出物(φ=
3mm、押出圧力=50バール)を作り、次ぎにこのものを120℃で16時間
乾燥した。完成触媒はBET表面積26m2/g及び硬度6N/成形体を有して
いた。
b)反応
上記の装置に触媒約90mlを入れた。次ぎにプロピン/アレン混合物(63
容量%、1.68mモル/min)及び2,2−ジメトキシプロパン(2.17
mモル/min;不活性物質を含む総供給量:6.46mモル/min;2,2
−ジメトキシプロパン/(プロピン+アレン)の比=1.29)を次ぎにHPL
Cポンプによって供給した。反応温度は170℃、圧力は1.35バール(絶対
)であり、出発物質の分圧は0.8バールであった。当初(つまり触媒が二次成
形時間をもたなかった)から次ぎの選択率が観察された。:2−メトキシプロペ
ン:97.4%;アセトン:2.3%;シス及びトランス−1−メトキシプロペ
ン:0.3%。
反応器から取出した後の触媒に関しては、次ぎの値が測定された:BET25
m2/g、硬度6N/成形体。
例4
a)触媒の製造(異極鉱Zn/Si=2.2)
61の撹拌容器で、脱イオン水3.01及びSiO2の含分62.1質量%及
びNa2Oの含分19.0質量%を有する粉末状ソーダ水ガラス(Riedel-de Hae
n社、D-30918 Seelze)96.8gから、SiO21.0モル及びNa0.59モ
ルを含有する懸濁液Aを、脱イオン水1.51中のZn(NO3)2・6H2O(
98%)667.8gから室温でZn2.2モル及びNO34.4モルを含有す
る溶液Bを、及び脱イオン水0.41中のNaOH152.3gからNa含分3
.81モルを含有する水溶液Cを製造した。溶液B及びCを室温で懸濁液A中に
入れると、次ぎの元素部分を含む乳状懸濁液Dが得られた:Zn含分=2.2モ
ル、Si含分=1モル、Na含分=4.4モル、NO3含分=4.4モル。得ら
れた懸濁液DのpH値は7.2であった。懸濁液Dを90℃に加熱し、この温度
で回転数200rpmで24時間撹拌した。この懸濁液を室温に冷却した後、7
.0の最終pH値が測定された。生じる白色沈殿物を濾取し、脱イオン水で洗浄
してNa不含となし、得られた濾滓を乾燥器で9
0℃で乾燥した。
乾燥した白色粉末をエックス線回折によって調べると、粉末エックス線回折図
が得られるが、これはJCPDS−ICDD−索引(1995)の索引カード5
−0664の回折図に十分一致し、したがってZn4Si2O7(OH)2・H2O
の製造を示した。得られた粉末の、BETにより測定した比表面積は60m2/
gであった。
該粉末650gをステアリン酸マグネシウム(Merck)20.2gと混合し、
プレスして20mmのペレットを形成した。これらのペレットを加工してチップ
(<0.5mm)を作った。同ペレットを次ぎに350℃で10時間カ焼した。
完成触媒はBET面積44m2/g及び硬度44N/成形体を有していた。
b)反応
上記の装置に触媒約90mlを入れた。次ぎにプロピン/アレン混合物(約6
3容量%、1.64mモル/min)及び2,2−ジメトキシプロパン(2.1
4mモル/min;不活性物質を含む総供給量:8.34mモル/min;2,
2−ジメトキシプロパン/(プロピン+アレン)の比=1.30)をHPLCポ
ンプによって供給した。反応温度は170℃、圧力は1.35バール(絶対)で
あり、出発物質の分圧は0.8バールであった。当初(つまり触媒が二次成形時
間をもたない)から次ぎの選択率が観察された。:2
−メトキシプロペン:97.0%;アセトン:2.3%;シス及びトランス−1
−メトキシプロペン:0.5%。
反応器から取出した後の触媒に関しては、次ぎの値が測定された:BET44
m2/g、硬度12N/成形体。
例5
(エックス線非晶質沈殿触媒;Zn/Si比2.1)12lの撹拌容器で、Si
O2の含分62.1質量%及びNa2Oの含分19.0質量%を有する粉末状ソー
ダ水ガラス(Riedel-de-Haen社、D-30918 Seelze)120.93gを、連続的撹
拌(100rpm)下で80℃の熱脱イオン水7.51中に入れると、Si02
1.25モル及びNa0.74モルを含有する懸濁液Aが得られた。次ぎに脱イ
オン水0.51中のNaOH180.4g(Na4.51モルに相当する)の水
溶液Bを製造した。さらにZn(NO3)2・6H2O(Znの含量=98%)7
96.8gを脱イオン水2.51中に溶かすと、Zn2.625モル及びNO3
5.25モルを含有する溶液Cが得られた。次ぎに溶液Bを80℃の熱懸濁液A
中に入れると、約5分後に透明溶液Dが得られた。得られた溶液Dに次ぎに溶液
Cを加えた。この際Zn含分2.625モル、Si含分1.25モル、Na含分
5.25モル及びNO3含分5.25モルを含有する白色懸濁液Eが得ら
れた。懸濁液Eを80℃で撹拌(100rpm)下で2時間加熱し、次ぎに室温
に冷却した。冷却後には最終pH値6.5が測定された。生じる白色沈殿物を濾
取し、脱イオン水で洗浄してNa不含にした。得られた濾滓を80℃で乾燥器で
乾燥した。
乾燥した白色粉末をエックス線回折によって調べると、粉末エックス線回折図
が得られたが、これは図2の回折図に合致し、したがって少量の結晶性ZnO(
JCPDS−ICDD−索引(1995)の索引カード5.0555)の他に主
要量のエックス線非晶質ケイ酸亜鉛の製造を示した。得られた粉末の、BETに
より測定した比表面積は102.1m2/gであった。
上記のように製造した、異極鉱の組成を有する非晶質ケイ酸亜鉛650gをス
テアリン酸亜鉛20.2gと混合し、予備圧縮して20mmのペレットとなし、
次いで微粉砕して0.5mm未満の直径を有するチップを作り、次ぎに4.75
×5.2mmの寸法を有するペレットに成形した。この触媒はBET表面積75
m2/g及び硬度43N/ペレットを有していた。次ぎに該触媒の部分100g
を350℃で10時間空気中でカ焼した。
上記の装置に触媒約90mlを入れた。次ぎにプロピン/アレン混合物(49
.8容量%、1.84mモル/min)及び2,2−ジメトキシプロパン(2.
15mモル/min;不活性物質を含む総供給量:6.79mモル/min;2
,2−ジメトキシプロパン/(プロピン+アレン)の比=1.17)を次ぎにH
PLCポンプによって供給した。反応温度は170℃、圧力は1.35バール(
絶対)であり、出発物質の分圧は0.8バールであった。次ぎの選択率が観察さ
れた。:2−メトキシプロペン97.1%;2−ジメトキシプロパン2.5%;
シス及びトランス−1−メトキシプロペン:0.4%。転化率はプロピン/プロ
パジエンを基準にして21%であった。
この触媒は実際には二次成形時間を有しない。記載した転化率及び選択率は当
初から殆ど一定であった。BET表面積はカ焼後には82m2/gであり、反応
器から取出した後では64m2/gであった。硬度は力焼後には28N/ペレッ
トであり、反応器から取出した後では36N/ペレットであった。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY,
DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I
T,LU,MC,NL,PT,SE),EA(AM,AZ
,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL
,AU,BG,BR,BY,CA,CN,CZ,GE,
HU,ID,IL,JP,KR,KZ,LT,LV,M
X,NO,NZ,PL,RO,RU,SG,SI,SK
,TR,UA,US
(72)発明者 クラウス ブロイアー
ドイツ連邦共和国 D―67122 アルトリ
ップ ツィーゲライシュトラーセ 10
(72)発明者 ディルク デムート
ドイツ連邦共和国 D―68161 マンハイ
ム フリードリッヒリング 14
(72)発明者 ハルトムート ヒープスト
ドイツ連邦共和国 D―69198 シュリー
スハイム ブラーニッヒシュトラーセ 23
(72)発明者 ハインツ エッツロート
ドイツ連邦共和国 D―67434 ノイシュ
タット ベルクシュタインシュトラーセ
33
(72)発明者 ウド ロイデ
ドイツ連邦共和国 D―67166 オッター
シュタット ヴィルデンテンシュトラーセ
1