JP2002504511A5 - - Google Patents

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【特許請求の範囲】
【請求項1】 有効成分としてエポチロンを含む増殖性疾患の処置のための医薬製剤であって、増殖性疾患を有する対象に
(a)1回の投与から次の投与までの間が1から6週間の間隔で、各時点につき0.1から6mg/mの間の投与量で週1回;
(b)1回の投与から次の投与までの間が1から6週間の間隔で、各時点につき0.1から5mg/mの間の投与量で6から8日毎;
(c)1回の投与から次の投与までの間が1から6週間の間隔で、各時点につき0.3から1mg/mの間の投与量で毎週;
(d)1回の投与から次の投与までの間が1から6週間の間隔で、各時点につき0.3から18mg/mの間の投与量で3週間毎;
(e)1回の投与から次の投与までの間が1から6週間の間隔で、各時点につき0.3から12mg/mの間の投与量で18から24日毎;または
(f)1回の投与から次の投与までの間が1から6週間の間隔で、各時点につき0.3から7.5mg/mの間の投与量で18から24日毎;
で、式:
1回量(mg/m)=(0.1から6)×N
(式中、Nは1回の投与から次の投与までの週の数)
に従って計算される投与量で、
投与される医薬製剤。
【請求項2】 (d)、(e)または(f)に従って対象に投与される、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】 (b)での投与量が0.1から3mg/mである、請求項に記載の医薬製剤。
【請求項4】 (d)での投与量が1.0から3.0mg/mである、請求項1または2に記載の医薬製剤。
【請求項5】 投与量が式:
1回量(mg/m)=(0.1から2.5)×N
(式中、Nは1回の投与から次の投与までの週の数)
に従って計算される、請求項から4のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項6】 各時点での投与量がヒトに対するMTDの1から100%であり、かつ、1回の投与から次の投与までの間が1から3週間のいずれかの間隔である、請求項から5のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項7】 該投与量がMTDの25から100%である、請求項に記載の医薬製剤。
【請求項8】 投与が静脈内点滴によって行われる、請求項から7のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項9】 各静脈内点滴が5から30分かけて行われる、請求項に記載の医薬製剤。
【請求項10】 該増殖性疾患がエポチロン以外の1種またはそれ以上の化学療法薬処置に耐療性である、請求項から9のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項11】 任意の他の抗腫瘍治療剤との組み合わせで投与される、請求項から10のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項12】 請求項1か11に記載の医薬製剤を製造するための、エポチロンの使用。
本発明の要旨
本発明が関係する処置は、特に、エポチロン(epothilone)、特にエポチロンBを用いる処置方式による増殖性疾患の処置であり、好ましくは胃腸の腫瘍、より好ましくは(1)結腸および/または直腸の腫瘍(結直腸癌)、それは特に典型的ななくとも1つを意味するタキサンクラスの抗癌剤、特にTAXOL(登録商標)(臨床に使用の製剤型のパクリタクセル)に抗療性であるもの、および/または他の化学療法薬、特に5-フルオロウラシルによる少なくとも1つの標準的処置に抗療性であるもの、(2)生殖尿路の腫瘍、より好ましくは前立腺の腫瘍であり、原発性および転移性腫瘍を含み、特にホルモン療法(“ホルモン抗療性前立腺癌”)および/または他の標準的化学療法薬による処置に抗療性のもの;(3)類表皮癌、より好ましくは類表皮頭頚部腫瘍、最も好ましくは口腔腫瘍;(4)肺の腫瘍、より好ましくは肺非小細胞腫瘍、特にこれら任意の腫瘍であって、1つまたはそれ以上の他の化学療法薬(特に多剤耐性に起因する)、特に多くのタキサンクラスの抗癌剤、特にTAXOL(登録商標)による処置に抗療性のある腫瘍;または(5)乳癌、より好ましくは多剤耐性のものであって、特にタキサンクラスの抗癌剤のメンバー、特にTAXOL(登録商標)による処置に抗療性のあるもの;また特に関係する処置は、多剤耐性肺腫瘍(好ましくは、肺非小細胞腫瘍)、多剤耐性乳癌、または多剤耐性類表皮癌の処置、または本発明の広い意味では、上記処置または(本発明の広い意味では)任意の他の腫瘍処置、特に1つまたはそれ以上の化学療法薬、特に多剤耐性および/またはTAXOL(登録商標)に抗療性のあるもの、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、神経芽細胞腫、頭頚部癌もしくは膀胱癌のようなものの処置の処置スケジュールであり、または広い意味では、腎臓癌、脳腫瘍または胃癌の処置であり、細胞毒性剤(cytotoxic agent)としてエポチロン、特にエポチロンBの投与による処置に関係する。ここで、“処置”なる語は、(i)当該疾患の処置方法(処置する方法)であって、当該細胞毒性剤(好ましくは、エポチロン、特にエポチロンB、各場合において好ましくは、医薬的に許容される担体を伴う)を温血性動物に、特にその治療が必要な場合に、治療の有効量を少なくとも一回の処置において投与することを含む処置;(ii)増殖性疾患の処置のための当該細胞毒性剤の使用;(iii)当該増殖性疾患の処置用医薬調製物の製造のための当該細胞毒性剤の使用(当該細胞毒性剤を医薬的に許容される担体と混合することを含む);(iv)増殖性疾患の処置に適当な当該細胞毒性剤の用量を含む医薬調製物を包含する。本発明は、好ましい実施態様では、(ヒト)患者または患者群の処置を目的とするが、これは、他の処置、特に他の化学療法薬、特に5-フルオロウラシルによる標準的処置またはTAXOL(登録商標)のようなタキサンクラスの抗癌剤のメンバーによる治療が行えない場合である。増殖性疾患、特に当該疾患が標準的治療による処置に抗療性である場合の処置に使用するエポチロン、特にエポチロンBに関係する。
本発明の背景
癌は、まだ医学的要請が充足されていない重要疾患の代表である。当該疾患の初期処置は、しばしば、外科処置、放射線処置またはそれらの組合せであり、再発性(転移性)疾患は通常生じるものである。殆どの癌の化学治療は、通常、効果がなく、疾患の進行を遅延させるのみである。通常、腫瘍およびその転移は、多剤耐性の発生として知られる現象の中で化学治療に抗療性となる。多くの場合、腫瘍は、幾つかのクラスの化学療法薬に本質的に耐性である[DeVita V. T., Principles of Cancer Management: Chemotherapy. In: Cancer. Principles and Practice of Oncology. DeVita V. T. et al(eds.), 5th edition, Lippincott-Raven, Philadelphia, New York (1977), pp. 333-347;or Cleton, F. J., Chemotherapy: general aspects. In:Oxford Textbook of Oncology; Peckham, M., et al, Oxford University Press, Oxford, New York, Tokyo (1995), Vol. 1, pp. 445-453参照]。例えば、これは、肺癌、特に肺非小細胞腫瘍癌腫の場合であり、または類表皮頭頚部腫瘍のような類表皮腫瘍、特に口腔腫瘍であり、または乳癌の場合である。腫瘍がなぜ治療できないのか(処置に抗療性であるか)という他の仕組みは、例えばチュービュリン変異の存在によるか、またはグルタチオン仲介機構による。
腸管、特に結腸直腸の癌は、癌処置の医学的要請が充足されていない特定の例である。当該疾患の初期処置は、しばしば、外科処置、放射線処置またはそれらの組合せであるが、再発性(転移性)疾患は通常生じるものである。再発性結直腸癌の第一線の化学療法薬には5-フルオロウラシルが含まれる。しかし、腫瘍が処置に通常抗療性であるので、この処置により、最良疾患進行の遅延が得られるのみである。疾患の抗療性段階の化学療法薬には、他の典型的な細胞毒性剤が含まれるが、全て不十分であると思われる[Cohen et al., Cancer of the colon. In: Cancer. Principles and Practice of Oncology; DeVita et al. (eds.) 5th edition, Lippincott Raven. Philadelphia, New York 1997, pp. 1144-1197; or Rowinsky, Ann. Rev. Med. 48, 353-74 (1997)参照]。また、生殖尿路の癌、特に前立腺癌の場合(医学的要請が充足されていないさらなる例)、初期処置は、上記結直腸癌で記載した通りであり、同様の問題が見られる。再発性前立腺癌の第一の化学療法薬には、抗アンドロゲン剤が含まれ、再発はしばしばアンドロゲンに依存する。しかし、腫瘍が6月から2年間内に抗アンドロゲン剤に対し殆ど常に抗療性となるので(ホルモン抗療性前立腺腫瘍)、この処置により、疾患の進行が遅延するのみである。疾患の抗アンドロゲン剤抗療性段階の化学療法薬には、ミトキサントロン(mitoxantrone)または他の典型的な抗癌細胞毒性剤が含まれるが、すべて不十分であると思われる[Oesterling et al., Cancer of the prostate. In: Cancer. Principles and Practice of Oncology. DeVita, V. T., et al., (eds.), 5th edition, Lippincott-Raven, Philadelphia, New York 1997, pp 1322-86; Sternberg, Cancers of the genitourinary tract. In: Cavalli et al., (eds.), Textbook of Medical Oncology; or Roth, B. J., Semin. Oncol. 23 (6 Suppl 14), 49-55 (1996)参照]。
これらの化合物には、以下の利点がある:
(i)TAXOL(登録商標)よりも水に対する溶解度がよく、そのため製剤化により適し、そして、
(ii)細胞培養実験では、それらを多剤耐性とするP-グリコプロテイン流出ポンプの活性に起因し他の化学療法薬、例えばTAXOLの処置に耐性を示す細胞の増殖に対し活性があると報告されており[Bollag, D. M., et al.,“Epothilones, a new class of microtubule-stabilizing agent with a Taxol-like mechanism of action”, Cancer Research 55, 2325-33 (1995); and Bollag D. M., Exp. Opin. Invest. Drugs 6, 867-73 (1997)参照]、そして、
(iii)微小管において同一または立体的に近接の結合部位を明らかに占めるにもかかわらず、エポチロンは、部分的に変化したβ-チューブリンを有するTAXOL(登録商標)耐性卵巣癌細胞系に対し作用することが示されている[Kowalski, R. J., et al., J. Biol. Chem. 272 (4), 2534-2541 (1997)参照]。
他方、それらは非常に毒性があり、そのため、インビボの癌処置における使用は、事実上不可能であると考えられていた[例えば、PNAS 95, 9642-7 (1998)参照]。そのため、本発明は、一方で、エポチロン、特にエポチロンBで腫瘍を処置し得ること、そして他方で、他の種の処置には非応答の患者群を処置し得る実際の投与レジメンが見出され得ることを予期せぬ方法で示す(タキサン、例えばTAXOL(登録商標)で起こるような多剤耐性に起因する抗療性であれおよび/または任意の他の機構によるものであれ)。
本発明は、エポチロン、好ましくはエポチロンAまたは特にエポチロンBによる処置であって、腫瘍、例えば、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、神経芽細胞腫、頭頚部癌、膀胱癌、腎臓、脳、胃または好ましくは結直腸、前立腺、乳、肺(特に肺非小細胞)または類表皮、例えば、類表皮頭頚部腫瘍、特に口腔腫瘍の処置に有用なインビボ方式を初めて提示することを目的とする。
本発明の好ましい態様の詳細な説明
本発明は、本発明の一部として下記の事項を好ましくは取り扱う:
本明細書全体において“増殖性疾患の処置”または腫瘍または癌などの処置を記載するときは、
a)増殖性疾患の処置(処置する)方法であって、当該方法には、エポチロン、特にエポチロンAおよび/またはB、特にB(好ましくは医薬的に許容される担体物質中において)を、当該疾患を処置し得る用量(=治療的に有効量)、好ましくは上記および下記により特定したような用量(量)で、当該処置を必要とする温血性動物、特にヒトに投与するステップが含まれ、
b)増殖性疾患の処置のためのエポチロン、好ましくはエポチロンAおよび/またはB、特にエポチロンB、または当該疾患の処置に使用する(特にヒト)エポチロン、特にエポチロンBの使用、
c)増殖性疾患の処置用医薬調製物を製造するためのエポチロン、特にエポチロンAおよび/またはB、特にエポチロンBの使用、および/または
d)増殖性疾患の処置に適当であるエポチロン、特にエポチロンAおよび/またはB、最も特にエポチロンBの一定用量を含む医薬調製、またはa)、b)、c)およびd)の任意の組合せ、これは本願書を出願する国で特許化し得る内容に従う
e)増殖性疾患の処置用医薬調製物の製造のためにエポチロンを使用する方法であって、当該エポチロンを医薬的許容される担体と混合することを含む方法
を意味する。腫瘍疾患または特定腫瘍(例えば、直腸腫瘍(colon tumor)、直腸癌腫(colon carcinoma)または直腸癌(colon cancer)、または前立腺腫瘍(prostate tumor)、前立腺癌腫(prostate carcinoma)または前立腺癌(prostate cancer))が“増殖性疾患”の代わりに記載される場合、a)からe)のカテゴリーもまた含まれ、特許可能な内容に従って、各腫瘍疾患は“増殖性疾患”の代わりに上記a)からe)を満たし得ることを示し、好ましくはa)からe)の任意の処置はヒトの処置に関係する。
好ましくは、エポチロンBの場合、ヒトで使用する用量は、式(I)で計算される:
単一用量(mg/m)=(0.1ないしy)×N (I)
ここで、N(上記または下記の場合は整数(whole number)(1、2または3のような)または端数(fractional number)(1.5または2.3のような)である)は、処置と処置の間の週の数(好ましくは約1ないし約6(約1ないし約6週のインターバルに相当する)、特に約1ないし約3(約1ないし3週間の好ましいインターバルに相当する))であり、yは6または好ましくは5、より好ましくは4である。
第三の本発明の態様では、本発明は、増殖性疾患、特に1つまたはそれ以上の他の化学療法薬による処置に抗療性であるものの処置用のインビボ方式に関係し、この場合、エポチロン、好ましくはエポチロンAおよび/またはB、特にエポチロンBを、週毎に温血性動物、特にヒトに、最大耐量(MTD)の80%以下、より好ましくは50%以下の用量を投与する。
第四の態様では、本発明は、1つまたはそれ以上の化学療法薬、特に5-フルオロウラシルまたはタキサンクラスの微小管安定化剤、特にTAXOL(登録商標)による処置に抗療性である増殖性疾患、例えば、多剤耐性腫瘍のインビボの処置で関係し、ここでは、エポチロン、特にエポチロンBを温血性動物、特にヒトに投与する。
第五の態様では、本発明は、増殖性疾患、特に1つまたはそれ以上の他の化学療法薬による処置に抗療性であるもののインビボの処置に関係し、それは、(a)エポチロン、好ましくはエポチロンAおよび/またはエポチロンB、特にエポチロンBを(b)他の抗腫瘍化学療法薬と組合せる組合せ投与によるものであり、好ましくは、当該組合せ処置は、成分(a)および(b)を、温血性動物、特にヒト(特にその処置を必要とする)にエポチロン、より好ましくはエポチロンAおよび/またはエポチロンB、特にエポチロンBの投与により好ましくは処置し得る増殖性疾患に対し共同治療効果のある量で組合せて、投与するように時間を合せ、当該投与は、好ましくは、他の化学療法薬処置、例えば5-フルオロウラシルによる処置または特にタキサンクラスのTAXOL(登録商標)のような抗癌剤のメンバーによる処置に抗療性のある腫瘍を患うヒトに実施する。
本発明は、2つ前の段落で定義した成分(a)および(b)が、1つまたはそれ以上の医薬的に許容される担体物質の存在下または非存在下、増殖性疾患を処置するために当該温血性動物において成分(a)および成分(b)の両方の活性化合物について共通して抗増殖性活性(特に増殖中の細胞)を促進するのに十分な短時間内に温血性動物、特にヒトへの同時または時差投与用の合剤として含まれる製品にも関係する。
“抗療性(refractory)”なる語が意味するのは、エポチロン以外の(少なくとも1つの)化学療法薬による処置における各増殖性疾患(特に腫瘍および/またはその任意の転移)において、その薬剤による当該処置の後、抗増殖応答が全く見られないか、または弱まるのみであることをいい(腫瘍増殖の阻害をしなくなるかまたは弱めるのみ)、すなわち、温血性動物、特にヒトにおいて他の(好ましくは標準的な)化学療法薬(好ましくは上記定義の通り、とくに5-フルオロウラシル(特に大腸のような結直腸癌の場合)、抗アンドロゲン剤または好ましくはミトキサントロン(特に前立腺癌の場合)、またはレトロゾール(letrozole)(特に乳癌の場合)のような抗エストロゲン剤、またはタキサンクラスの化学療法薬のメンバー、例えばTAXOTERE(商標登録)またはTAXOL(登録商標)によっても腫瘍が全く処理されないか、結果が不十分である腫瘍であり、例えば、例えば腫瘍増殖が停止せず、わずかに遅いのみであり、また退化は見られない。抗療性腫瘍などの処置を記載する場合、本発明には、(a)1つまたはそれ以上の化学療法薬が患者の処置期間中に容易に作用しなくなる腫瘍ばかりでなく、(a)化学療法薬存在下の他の手段、例えば生検および培養により抗療性となる腫瘍もまた含まれると理解される。“TAXOL(登録商標)に抗療性である”なる語を上記および下記で使用する場合、この語は、最終製品に加えて、パクリタクセル、TAXOL(登録商標)の活性物質を意味することをも目的とする。生殖尿路の腫瘍、特に前立腺癌の場合、“ホルモン療法に抗療性である”または“ホルモン抗療性”は、抗アンドロゲン剤による処置に抗療性であることを意味する。
多剤耐性腫瘍は、タキサンクラスのもの、特にTAXOL(登録商標)またはアントラサイクリンクラス、特にADRIAMYCIN(登録商標)を含む1つまたはそれ以上の化学療法薬に対し耐性が見られるものである。この耐性の理由は、各腫瘍の細胞表面に位置するエネルギー(特にATP)-依存ポンプ、特にP-グリコプロテインファミリー、特にP-グリコプロテイン(P-gp)自身を介する輸出である。本発明では、他にまたは他の機構に加えて、エポチロン以外の化学療法薬による処置に抗療性である腫瘍が原因となり得る。例えば、薬剤標的(本発明の場合特に微小管)の変化、化合物を不活性化し得る細胞内代謝の変化または薬剤作用の機構の迂回または無効を促進る細胞の生理学的変化により、その耐性が得られ得る。
MTDは、腫瘍型、年齢範囲、性別、腫瘍段階などにより決定し得る患者の母集団に応じて変化し得る。動物において、最も好ましいMTD決定方法は、下記実施例で示すものに類似し得、ヒトの場合、MTDが、非常に低い量のある単一の投与、例えばLD10(すなわち、10%の動物が死亡する用量)の1/10で開始することにより通常測定され得、最も感度の高い動物種において、毒性試験が行われ、例えばエポチロン(特にエポチロンB)の場合、0.1ないし25mg/mの範囲、特にエポチロンBの場合、0.1ないし2.5mg/mの範囲、最も特に0.1ないし0.33mg/mの範囲である。次の用量レベルへの用量漸増は、US National Cancer Institute Revised Common Toxicity Criteriaによりグレード2毒性が見られないならば、100%であり、この場合、用量漸増は67%となる。その後の用量レベルへの用量漸増は25%ないし67%の範囲となる。例えば、3人の患者は、通常、ある用量レベルで処置され、ある一連の処置において急性毒性を観察し、その後、さらに患者を参加させる。3人の患者のうち誰もDLT(用量制限毒性(dose limiting toxicity))を経験しなければ、次の一群である3人の患者を次のより高い用量で処置する。3人の患者のうち2人またはそれ以上が、DLTを経験した場合、6人の患者が既にその用量で処置されていなければ、さらに3人の患者を次に低い用量で処置する。3人の患者のうち1人がDLTを経験する用量で処置した場合、さらに3人の患者を同じレベルで処置する。これら患者のDLTの発生が6人中で1人である場合、さらなる一群を次に高い用量で処理する。通常、6人の患者のうち2人またはそれ以上DLTを経験する用量レベルで処置した場合、MTDを超えていると考えられ、さらなる3人の患者を上記のように次の低い用量で処置する。DLTの発生が33%未満となるように試験した最も高い用量として、MTDを定義する。通常、同一患者におけるその後の用量漸増、すなわち、同一患者の用量漸増は、行えない。他に、用量ステップは、修飾Fibonacci数列により決定され、出発用量を超える次のレベルへの用量の増加は、すべてその後のレベルについて100%、67%、50%および40%、その後に33%となる。最終的にMTDは、Simon, R., et al., J. Nat. Cancer Inst. 89 (15), 1997, p. 1138-1147に記載の方法により見うけられ得る。
の処置からの十分な回復とは、温血性動物において、処置個体の体重が第一投与前の出発レベル、好ましくは少なくとも当該体重の95%に回復することを意味する。ヒトでは、各事前の用量投与からの回復は、任意のグレード3または4毒性からの回復として好ましくは定義され、例えば、血液全体で少なくとも100,000/mmの血小板数および少なくとも1,500細胞/mmの好中球の達成を含む。
好ましくは、エポチロンによるヒトの週毎処置の場合、用量は、MTDの約5ないし約60%、好ましくは約10ないし60%、例えば約5ないし約35%、特に、MTDの約30ないし35%の範囲である。好ましくは、エポチロンBの場合、用量は、3週間毎のMTDの約5ないし約60%、より好ましくは約10ないし約60%、特に約10ないし約45%、最も特に約30ないし約45%の範囲である。
より好ましくは、処置は、第三ないし第八、特に第三ないし第五の週毎の投与の後、続いて、2ないし5、例えば2週間の停止、その後、さらに処置を再開し、週毎に一度もしくは再度の投与かまたは週毎に二度の投与の何れかにより、行う。特に、週毎のエポチロンB処置の場合、処置は、第三ないし第八の投与、続いて、二ないし四、例えば二週間の停止、その後、週毎の投与による処置を再開した後に、停止する。
成分(a)の投与は、エポチロンAおよび/またはB、特にBであり、上記特定の処置方式の1つを使用し、好ましくは上記のように実施される。
より好ましい実施態様では、成分(b)の前に成分(a)を、3週間毎のスケジュールで、好ましくは、成分(b)による処置の開始前に成分(a)の1投与を含む処置において、投与し、そのため、成分(a)による処置が、後に投与する成分(b)による処置に終了する。
第二のより好ましい態様では、成分(a)を週毎のスケジュールで投与される。他方、成分(b)は、成分(a)の3回目の終了後毎にすぐに各投与を行う3週間毎のスケジュールで投与される。
第三のより好ましい実施態様では、成分(b)の前に成分(a)を、週毎のスケジュールで、好ましくは、成分(b)による処置の開始前に成分(a)の1投与を含む処置において、投与し、そのため、より好ましくは、成分(a)による処置が、後に投与する成分(b)による処置に終了する。
“他の化学療法薬”なる語は、下記クラスから誘導される化学療法薬のような腫瘍疾患の処置に使用するか、または使用し得る特に任意の化学療法薬を意味する:
(A)アルキル化剤、好ましくは架橋性化学療法薬、好ましくはビスアルキル化剤、
(B)抗腫瘍抗生物質、好ましくはドキソルビシン(ADRIAMYCIN(登録商標)、RUBEX(登録商標))、
(C)代謝拮抗物質(antimetabolite)
(D)植物アルカロイド、
(E)ホルモン剤およびアンタゴニスト、
(F)生体応答調節剤、好ましくはリポカインまたはインターフェロン、
(G)タンパク質チロシンキナーゼおよび/またはセリン/スレオニンキナーゼの阻害剤、
(H)アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド誘導体、または
(I)多種の薬剤もしくは他の作用機構もしくは未知の作用機構を有する薬剤。
好ましくは、“エポチロンAおよび/またはエポチロンB、特にエポチロンBの投与により処置し得る増殖性疾患に対し共同治療効果のある量”なる文は、組合せの成分(a)および(b)の任意の量を意味し、当該組合せにおいて任意の既述の増殖性疾患、特に腫瘍(転移を含む)細胞(特に減少腫瘍増殖)に応答し得る細胞増殖を減少させるか、または退化の原因となるか、より好ましくは当該細胞が部分的または完全に消失する(特に腫瘍退化、好ましくは腫瘍の消失を意味する完全応答)。この言い方には、組合せなくとも既に抗増殖性効果を有するのと同様の方法で投与する任意の成分(a)および(b)の組合せばかりでなく、単独では全く効果がないか最小の効果しかないが、組み合わせると明らかに抗増殖性効果を示し、すなわち、増殖を減少させ、または好ましくは増殖細胞の退化または増殖性疾患を治療する任意の当該成分の用量も含まれる。加えて、“組合せ”なる語は、固定化された本成分の組合せのみならず、成分(a)および成分(b)の両方の活性化合物について共通して抗増殖性活性を促進するのに、例えば患者において、十分な短時間内に、同時または時差使用用の成分(a)および(b)の任意の組合せをもまた記載するのに使用される。
“成分(a)および(b)を含む合剤”なる語は、パーツのキットとして、または医薬製品の型の成分(a)および(b)の単一の組合された組合せとして、任意の組み合わせを意味し、すなわち、好ましくは、医薬的に許容される担体物質が存在する場合である。好ましい担体物質については、以下の“医薬調製物”参照。
“成分(a)および成分(b)を含む製品”なる語には、好ましくは以下のものを含む製品を意味する:
(a)エポチロンAおよび(好ましくは)エポチロンBから選択される少なくとも1つの化合物、および
(b)少なくとも1つの他の化学療法薬、
1つまたはそれ以上の医薬的に許容される担体物質の存在下または非存在下であり、合剤として、活性化合物に応答する増殖性疾患の処置のため、成分(a)および成分(b)の両方の活性化合物について共通して増殖細胞に対する抗増殖性活性を促進するのに、特に患者において、十分な短時間内に、同時または時差使用を目的とするものであり、特に、組合せの有効成分(a)および(b)を、独立して投与し得るか、様々な時点において異なる量の任意の成分(a)および(b)を用い別々に固定された組み合わせを使用することにより投与し得るという意味において“パーツのキット”である。次いで、パーツのキットの“パーツ”は、同時または時差的に、すなわち、異なる時点そしてパーツのキットの任意のパーツについて同じまたは異なる時間インターバル、好ましくは、当該時間インターバルをパーツの組合せ使用における増殖性疾患への効果が任意の1つの成分(a)および(b)単独使用により得られるか、または化合物が独立して作用する方法(例えば、他方の各成分の効果を避けるため十分な期間をおく)による両方の使用により得られる効果よりも大きくなるように、すなわち、増殖の阻害、または好ましくは増殖性疾患の退化もしくは治療が、同じ用量の1つの成分(a)および(b)のみを単独で同じ用量で投与するとき、または共通の効果を有する成分(a)および(b)が排出されるのに十分な時間経過後よりも、より強力となるように選択された条件で投与できる。それは、“共通して増殖細胞に対する抗増殖性活性を促進するのに、特に患者において”なる語により意味され、好ましくは成分(a)および(b)の効果の相互の促進を意味し、特に相乗作用および/または増殖細胞の退行を起す、完全破壊および特に成分(a)と(b)との強力な相乗効果を含む相互強化を意味する。
“相乗効果”なる語は、相加よりも強力な効果があることを示し、すなわち、処置しない対照と比較したとき、すなわち、単独かまたは組合せの何れかにおいて各(a)および(b)自体を組合せなしの単一処置の用量と同じ用量で投与するとき、任意成分(a)単独または任意成分(b)単独の増殖係数の単なる乗算から得られる増殖の減少係数によって到達されるよりも、任意の成分(a)と任意の成分(b)との組合せの効果はより強力である。解説するための理論上の例として、成分(a)単独では、任意の処置をしない対照との比較において2倍に腫瘍細胞増殖を減少させ、成分(b)単独では、1.5倍に増殖は減少する場合、相加の効果は、成分(a)および成分(b)の併用によって増殖は3倍に減少するものである(1.5×2の乗算)。相乗効果は、例えば、3倍以上の増殖の減少が見られた場合に生ずる。相乗作用の存在は、この分数生成法(fractional product method)[Webb, in: "Enzymes and Metabolic Inhibitors", Vol. 1, 66-73 and 488-512, Academic Press, New York]、他に、イソボログラム(isobologram)法[参考文献Berenbaum Pharmacol. Rev. 41, 99-141 (1984)]および/または組合せ指数(Cl)計算法[Chou et al., Trends Pharmacol. Sci. 4, 450-454 (1983); またはChou et al., New Aveneus in Developmental Cancer Chemotherapy; Bristol-Myers Symposium Series, K. R. Harrap and I. A. Connors (eds.), 37-64, New York, Academic Press (1987)]に見られる。
成分の塩は、特に酸付加塩、塩基を有する塩であり、または複数の塩形成基が存在するとき、所望により塩または内錯塩を混合する。塩は、特に医薬的に許容される塩であり、例えば、実質的に非毒性のものである。
“週毎”は、“約一週間に一度”を意味し(一を超える処置が処置と処置との間で約1週間のインターバルで行われることを意味する)、ここでの約とは、好ましくは±1日を意味する(すなわち、“6から8日ごとに”と言い換え得る);最も好ましくは“週毎”は“7日毎に一度”を意味する。
“3-週間毎”または“三-週間毎”は、“三週間ごとに一度”を意味し(一を超える処置が、処置と処置との間で約三週間のインターバルで行われることを意味する)、ここでの約とは、±3日を意味する(すなわち、18から24日ごとにと言い換え得る);最も好ましくは“週毎”は“21日毎に一度”(=三週間毎)を意味する。
(1)本発明は、増殖性疾患、特に癌、特に他の化学療法薬および/またはタキサンクラスの抗癌剤のメンバー、特にTAXOL(登録商標)による処置に抗療性である癌、より特に上記または下記の好ましい疾患のうちの1つの処置であって、エポチロン、特にエポチロンAまたは最も特にエポチロンBを一週〜三週間毎のインターバルで1回よりも多く、、ヒトに、式Iにより計算した用量で投与することを特徴とする処置に特に関係し
単一用量(mg/m)=(0.1ないしy)×N (I)
[式中、N(数または端数)は、処置と処置との間の週の数(約一から約三週間)であり、すなわち、Nは約1から約3であり、より好ましくは、処置用量は、式IIで計算される:
単一用量(mg/m)=(0.1ないし2.5)×N (II);

さらにより好ましくは式III
単一用量(mg/m)=(0.1ないし1.7)×N (III);

または、またより好ましくは式IV
単一用量(mg/m)=(0.1ないし1)×N (IV)
{式中、各式IIからIVにおいて、Nは約1から約3である(処置と処置との間が約1から約3週間のインターバルに相当する)}]、
当該エポチロン、特にエポチロンBは、
(a)約0.1と約6との間、好ましくは約0.1と約5mg/m、より好ましくは約0.1と約3mg/m、さらにより好ましくは約0.1と約1.7mg/m、最も好ましくは約0.3と約1mg/mとの間の用量でヒトに週毎に、または
(b)約0.3と約18mg/mとの間、好ましくは約0.3と約15mg/m、より好ましくは約0.3と約12mg/m、さらにより好ましくは約0.3と約7.5mg/m、またより好ましくは約0.3と約5mg/m、最も好ましくは約1.0と約3.0mg/mとの間の用量でヒトに3週間毎に、
好ましくは投与され、
当該投与は、2から120分間、より好ましくは約5から約30分間、最も好ましくは約10から約30分間、例えば30分間、静脈点滴により行う。
(2)本発明は、好ましくは、他の化学療法薬、特に5-フルオロウラシルおよび好ましくはタキサンクラスの微小管安定化剤、最も特にTAXOL(登録商標)から選択されるものによる処置に抗療性である腫瘍疾患の処置にも関係し、当該腫瘍は、胃腸、例えば大腸、腎臓、尿生殖器、例えば前立腺、膵臓、および脳腫瘍(および/または任意のそれらの転移)、最も好ましくは胃腸の腫瘍、特に結直腸癌、より特に胃腸の癌、特に結直腸癌、すなわち、タキサンクラスの抗癌剤のメンバー、特にTAXOL(登録商標)による処置に抗療性であるもの、または、非常に特に、標準的な化学療法薬、特に5-フルオロウラシルによる処置のような標準的化学治療に抗療性である腫瘍、または生殖尿路、特に前立腺癌、最も特にホルモン抗療性前立腺癌から選択され、この場合、エポチロンAおよび/またはB、特にエポチロンBを温血性動物、特にヒトに投与する。
(3)本発明はまた、好ましくは、エポチロンAおよび/またはB、とりわけエポチロンBを温血動物、とりわけヒトに投与する場合の、腫瘍疾患、とりわけ肺腫瘍、とりわけ非小細胞肺癌、とりわけタキサンクラスの抗癌剤のメンバー、とりわけTAXOL(商標)での処置に抗療性であるような肺癌;胸部腫瘍、とりわけ多剤抵抗性である胸部腫瘍;または類表皮腫瘍、とりわけこれが多剤抵抗性である、および/またはタキサンクラスの抗癌剤のメンバー、特にTAXOL(商標)での処置に抵抗性であるならば、好ましくは、類表皮の頭部および頸部、とりわけ口腫瘍の処置にも関する。
(4)本発明はまた、好ましくは、とりわけ腫瘍が他の化学療法剤、とりわけタキサンクラスの化学療法剤、最も特にはTAXOL(商標)での処置に抗療性である場合の;エポチロンAおよび/またはB、とりわけエポチロンBをMTDの約20〜約100%である用量でヒトに1回投与する;そして必要ならば、各々が1回目の用量に関して上述した用量範囲内での1回以上(好ましくは、2〜7回)のさらなる用量を、さらなる処置サイクルにおいて、好ましくは、各々の前回の投与から、処置した個体の十分な回復を可能とする期間が経過した後、とりわけ前の処置から2週間以上後、より特には前の処置から2〜10週間、最も特には3〜6週間後、とりわけその処置から3週間後の各々の用量で投与する場合の、腫瘍疾患、とりわけ(i)胃腸管の腫瘍、最も特には結腸および/または直腸の腫瘍(結腸直腸腫瘍);および/または(ii)尿生殖器路の腫瘍、とりわけ前立腺腫瘍(好ましくは、ホルモン抗療性前立腺腫瘍)の処置に関するインビボでのレジメンにも関する。
より好ましくは、疾患の進行、許容され得ない毒性、完全なる応答が確定した後1もしくは好ましくは2サイクル、または何らかの理由による患者の同意撤回に直面するまで、該処置を約1〜約3週間毎に繰り返す。
(5)本発明はまた、好ましくは、とりわけ腫瘍が他の化学療法剤、とりわけタキサンクラスの化学療法剤、最も特にはTAXOL(商標)での処置に抗療性である場合(好ましくは、ホルモン抗療性前立腺腫瘍)の;エポチロンAおよび/またはB、とりわけエポチロンBを最大許容可能用量(MTD)の80%以下、より好ましくは50%以下である用量で温血動物に週1回投与する場合の、腫瘍疾患、とりわけ(i)胃腸管の腫瘍、最も特には結腸および/または直腸の腫瘍(結腸直腸腫瘍);および/または(ii)尿生殖器路の腫瘍、とりわけ前立腺腫瘍の処置に関するインビボでのレジメンにも関する。
(6)本発明はまた、好ましくは、
(A)アルキル化剤、好ましくは架橋化学療法剤、好ましくはビス−アルキル化剤;
(B)抗腫瘍抗生物質、好ましくはドキソルビシン(ADRIAMYCIN(商標)、RUBEX(商標));
(C)代謝拮抗物質;
(D)植物アルカロイド;
(E)ホルモン剤およびアンタゴニスト;
(F)生体応答調整物質、好ましくはリンホカインまたはインターフェロン;
(G)タンパク質チロシンキナーゼおよび/またはセリン/スレオニンキナーゼの阻害剤;
(H)アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド誘導体;または
(I)多種の薬剤または他の作用機構または未知の作用機構をもつ物質;
よりなる群から選択される(b)他の化学療法剤と組み合わせての、(a)エポチロンAおよび/またはエポチロンB、とりわけエポチロンBの組み合わせ投与による腫瘍疾患のインビボでの処置にも関し、その組み合わせ処置は、成分(a)および(b)が、例えば、患者において、成分(a)および成分(b)の両方の活性成分が増殖抑制活性を相互に高めるのに十分な短い期間内での、同時または時差的使用のために組み合わされるよう、時間を調節する。
(7)本発明はまた、とりわけ腫瘍が他の化学療法剤、とりわけタキサンクラスの化学療法剤、最も特にはTAXOL(商標)での処置に抗療性である場合の、腫瘍疾患、とりわけ(i)胃腸管の腫瘍、最も特には結腸および/または直腸の腫瘍(結腸直腸腫瘍);および/または(ii)尿生殖器路の腫瘍、とりわけ前立腺腫瘍に対する活性を成分(a)および成分(b)の両方の活性成分が相互に高めるのに十分な短い期間内での、ヒトへの同時または時差的投与のための組み合わせ製剤として、1つ以上の薬学的に許容され得る担体物質の存在下または不存在下、上の(6)の下に定義した成分(a)および成分(b)を含んでなる、該腫瘍疾患を処置するための製品にも関する。
A2.増殖性疾患がタキサンクラスの微小管安定化剤、とりわけTAXOL(商標)に抗療性の腫瘍疾患である、A1に記載の使用。
B5.前回の投与から、処置した個体の十分な回復を可能とする期間が経過した後、さらなる用量を投与することができるよう、用量を選択する、B1〜B4のいずれかに記載の使用。
G1.成分(a)としてエポチロンAおよび/またはB、好ましくはエポチロンB、および成分(b)として任意の他の抗腫瘍化学治療剤を、1つ以上の薬学的に許容され得る担体物質の存在下または不存在下に含んでなり、温血動物における抗腫瘍活性を成分(a)および成分(b)の両方の活性化合物が相互に高めるのに十分な短い期間内で、該温血動物、とりわけヒトへの同時または時差的投与のための組み合わせ製剤としての、増殖性疾患を処置するための製品。
(i)タキサンクラスの代表的な抗癌剤、特にTAXOL(商標);またはより特には標準的な化学療法での、とりわけ5−フルオロウラシル、および/またはTAXOL(商標)での処置に抗療性である胃腸管、とりわけ結腸直腸腫瘍。
(ii)原発性およびとりわけ転移性腫瘍を含む、尿生殖器路の腫瘍、とりわけ前立腺腫瘍;さらに特にはホルモン処置に抗療性であるとき
(iii)類表皮腫瘍、より特には類表皮の頭部および頸部、最も特には類表皮の口内の腫瘍、とりわけ他の化学療法剤での処置、とりわけ多剤抵抗性により、とりわけタキサンクラスの抗癌剤のメンバー、とりわけTAXOL(商標)での処置に抗療性であるこれらのうちの1つ。
(iv)他の化学療法剤での処置、とりわけ(主として)多剤抵抗性により、とりわけタキサンクラスの抗癌剤のメンバー、とりわけTAXOL(商標)での処置に抗療性である肺腫瘍、とりわけ非小細胞肺癌。
(v)胸部腫瘍、とりわけ多剤抵抗性である胸部腫瘍、より特にはタキサンクラスの抗癌剤のメンバー、とりわけTAXOL(商標)での処置に抗療性である胸部腫瘍。
より好ましくは、本発明は、エポチロンBの2〜120分間にわたる、好ましくは約5〜約30分間、より好ましくは約10〜約30分間、最も好ましくは約30分間の静脈内注入での処置による、(i)〜(v)の下に、上述した腫瘍タイプのいずれか、とりわけそれらのいずれか1つの処置に関する。
本発明の医薬組成物は、本質的に知られている方法で、例えば、従来の溶解、凍結乾燥、混合、粒状化または糖衣化方法によって製造する。
活性成分の溶液、およびまた濁液、およびとりわけ等張水溶液または濁液を使用するのが好ましく、例えば、活性成分を単独で、または薬学的に許容され得る担体、例えば、マンニトールと一緒に含んでなる凍結乾燥組成物の場合、そのような溶液または濁液に関して、使用前に製造することが可能である。その医薬組成物は、滅菌するのがよく、および/または賦形剤、例えば、保存剤、安定剤、湿潤剤および/または乳化剤、可溶化剤、浸透圧を調節するための塩/緩衝液を含んでなり得、そして本質的に知られている方法で、例えば、従来の溶解または凍結乾燥方法によって製造する。該溶液または濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルピロリドまたはゼラチンといったような、粘度を増加させる物質を含んでなり得る。
油中の濁液は、注射の目的には通例、油成分として、植物、合成または半合成油を含んでなる。酸成分として、8〜22個、とりわけ12〜22個の炭素原子を有する長鎖脂肪酸を含む、そのようなとりわけ液体の脂肪酸エステルとしては、例えば、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、または所望ならば、抗酸化剤、例えば、ビタミンE、β−カロチンまたは3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエンを加えた、対応する不飽和酸、例えば、オレイン酸、エライジン酸、エルカ酸、ブラシジン酸またはリノール酸を挙げることができる。それらの脂肪酸エステルのアルコール成分は、最大6個の炭素原子を有し、モノまたはポリヒドロキシ、例えば、モノ、ジまたはトリヒドロキシアルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールもしくはペンタノールまたはそれらの異性体であるが、とりわけグリコールおよびグリセロールである。従って、以下の脂肪酸エステルの例:オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、「Labrafil M 2375」(トリオレイン酸ポリオキシエチレングリセロール、Gattefosse、Paris)、「Miglyol 812」(C〜C12の長鎖をもつ飽和脂肪酸のトリグリセリド、Huels AG、Germany)を挙げることができるが、しかし、綿実油、扁桃油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油、大豆油およびより特には落花生油といったような、とりわけ植物油も挙げることができる。
適当な薬学的に許容され得る担体は、とりわけ、糖、例えば、ラクトース、サッカロース、マンニトールまたはソルビトール、セルロース製剤および/またはリン酸カルシウム、例えば、リン酸トリカルシウムまたはリン酸水素カルシウムといったような充填剤、および例えば、トウモロコシ、小麦、米またはジャガイモデンプンを使用するデンプン糊、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドンといったような結合剤、および/または所望ならば、上述したデンプン、そしてまたカルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸またはその塩、たとえばアルギン酸ナトリウムといったような崩壊剤である。賦形剤は、とりわけ、流動調節剤および滑沢剤、例えば、ケイ酸、タルク、ステアリン酸またはステアリン酸マグネシウムもしくはカルシウムといったようなその塩、および/またはポリエチレングリコールである。糖衣錠コアは、適当で場合により腸溶性のコーティングを与え、中でも、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタンを含んでなり得る濃縮糖溶液、または適当な有機溶媒中のコーティング溶液、または腸溶性コーティングの調製のための、フタル酸エチルセルロースもしくはフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースといったような、適当なセルロース調製物の溶液を使用する。カプセル剤は、ゼラチンから作られた乾燥充填カプセル剤、並びにゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールといったような可塑剤から作られた軟封入カプセル剤である。乾燥充填カプセル剤は、例えば、ラクトースのような充填剤、デンプンのような結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムといったようなグライダント(glidant)と共に、および所望ならば、安定剤と共に、活性成分を顆粒の形態で含んでなり得る。軟カプセル剤において、活性成分を、脂肪油、パラフィン油または液体ポリエチレングリコールといったような、適当な油性賦形剤に溶解する、または縣濁させるのが好ましく、そしてまた安定剤および/または抗菌物質を加えてもよい。例えば、同定の目的には、または様々な用量の活性成分を示すために、色素または顔料を錠剤もしくは糖衣錠コーティングまたはカプセル剤包装に加えてもよい。
他の化学療法剤との組み合わせの場合、上に定義した2つ以上の成分(a)および(b)または2つ以上の独立製剤(例えば、パーツのキットにおける)の固定組み合わせを上記したように製造し、または他の化学療法剤を市販されていて、当業者に知られている標準的な製剤として使用する。
上述した以下のセルラインは、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ,Mascheroder Weg 1b,D−38124 Braunschweig,Germany)での1998年2月20日ブダペスト条約の下、各々、以下の取得番号:PC−3M:DSM ACC2338;A−549:DSM ACC2337;KB−8511:DSM ACC2342にて寄託されている。
加えて、上述した以下のセルラインは、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ,Mascheroder Weg 1b,D−38124 Braunschweig,Germany)での1998年12月1日ブダペスト条約の下、各々、以下の取得番号:ZR−75−1:DSM ACC2376;HCT−15:ACC2377にて寄託されている。
約25mgの腫瘍断片を各雌ヌードマウスの左横腹に移植する(グループあたりn=8)。処置を腫瘍移植13日後に開始する。エポチロンBを1回4mg/kg、i.v.で13日目に、または4、2または1mg/kg i.v.で1週間に1回投与する。TAXOL(登録商標)をi.v.で20mg/kg/日で、2日毎に5回処置(13、15、17、19および21日目)投与する。抗腫瘍活性をT/C%(処置動物の腫瘍容量の平均増加をコントロール動物の腫瘍容量の平均増加で割り100倍する)として示す。腫瘍抑制(%)は処置の開始時の平均腫瘍容量と比較した最終平均腫瘍容量を示す。腫瘍容量の変化(Δ)は最後の処置の日の腫瘍容量から処置の最初の日の腫瘍容量を引いたものである。Δ腫瘍容量における統計学的分析は、Dunnett's検定を使用し、処置グループをコントロールと比較する。体重変化における統計学的分析は、t検定を使用し、処置前の体重と処置の最後を比較する;処置開始時のマウス体重〜20−25g。有意差なしは、略語“ns”で示す。示すデータは、実験の最後まで生存した動物の平均±SEMで示す。
この実験から、TAXOL(登録商標)は有効ではないが、エポチロンB処置は有効な抗腫瘍活性を示すことが導かれる;4mg/kg投与量で抑制さえ認められる
表6はリンパ節への影響が観察されない細胞注入後14日目(処置の開始)から、前立腺および腸間膜リンパ節が劇的に重量を増加させる細胞注入後42日目の進行を示す。エポチロンBの全ての投与レジメは、前立腺重の減少および腸間膜リンパ節への腫瘍の転移の予防に非常に有効である(全てp<0.05対コントロール:対数変換データにおけるDunnett's検定)。進行中の処置の全て、抗腫瘍活性は同等である(p>0.05;Dunn's)。媒体試験コントロールの全ての動物と比較して、各エポチロンB処置グループにおいて、1匹の動物のみが検出可能な転移があり(p<0.05;Fisher's Exact test)、エポチロンBでの処置が検出可能な転移の形成を有意に減少させることを示す。
処置期間は24週投与までである。許容できない毒性または疾病進行を経験した患者は早くに打ち切る。完全なまたは部分的反応を達成した患者、または2回投与の最後に安定した疾病状態の患者は、研究者の判断により、スポンサーによる許可の後に延長プロトコールに従って更に処置を続ける。適格な患者は疾病進行または許容できない毒性まで、更なるサイクルを受ける。
除外基準
以下のものが当てはまる場合、試験からの除外が必要である:
1.妊娠または授乳中の女性患者。閉経後の女性は妊娠の可能性がないことの考慮のために少なくとも12ヶ月無月経でなければならない。
2.重篤なおよび/または抑制できない医学的疾病の患者(即ち、抑制できない糖尿病、鬱血性心疾患、試験の6ヶ月以内の心筋梗塞、慢性腎臓病、または活動抑制不可能な感染)、
3.識別できる脳転移を有する患者。
4.急性または既知の慢性肝臓疾患の患者(即ち、慢性活動性肝炎、硬変)、
5.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染の既知の診断。
6.試験参加前30日以内に治験薬を投与された患者。
7.試験参加前4週間以内に化学療法を受けた患者(ニトロソウレアまたはマイトマイシンCに関しては6週間)。
8.試験参加前4週間以内に事前の放射線治療を受けた患者。
9.先に骨髄の25%に放射線治療を受けた患者。
10.試験参加前2週間以内に大手術を受けた患者。
出発レベルは0.1mg/mである。この投与量はイヌであるエポチロンBに関して最も感受性の種における最低毒性用量(TDL)の3分の1として計算する。上記のように、投与量漸増は修飾Fibonacciスキームに従う。試験は、エポチロンBによりもたらされることが既知の血液学的または他の毒性を経験した個体に関する処置延期、投与減少または処置の中断を決める。処置は、患者が疾病進行または許容不可能な毒性を経験しない限り、最大24週間の毎週投与まで続ける。24回投与の最後に、完全なまたは部分的な反応を達成した患者および安定な疾病の患者は、研究者の判断により、スポンサーによる許可の後に延長プロトコールに従って更に処置を続ける。
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