【発明の詳細な説明】
光硬化性樹脂組成物 発明の分野
本発明は、光硬化性樹脂組成物に関し、そしてより詳しくは、光ディスク製造
用接着剤として有用な光硬化性樹脂組成物に関する。
発明の背景
近年、高密度記録媒体の開発は、情報、例えば、文字、音声、画像等の質の進
歩により達成された、高容量記録媒体の需要に応じで続けられている。デジタル
汎用ディスク(DVD)と呼ばれる光ディスクは、光ディスクの一つのタイプである
。たとえ、これらのディスクが寸法において殆ど同じだとしても、DVDはCD(コ
ンパクトディスク)より多量の情報を記録することができる。現在、DVDは、ス
パッタリング技術を使用して金属を析出することにより少なくとも一つのプラス
チックディスク上に記録層を形成することを含むところの、いわゆるボンディン
グ法により主に製造される。該ディスクは次いで接着剤で一緒に積層されて、多
層DVDを形成する。
熱溶融タイプ又は熱硬化タイプ接着剤がこの方法において慣用的に使用されて
いる。しかし、これらの接着剤は、光ディスクを製造するために要求される時間
の長さに問題を示している。これらの接着剤は、十分な接着特性を得るために長
い作業時間を必要とするばか
りでなく、高温多湿条件下において減じられた接着性を経験する。何故ならば、
これらの接着剤は、そのような条件下において容易に軟化されかつ溶融されるか
らである。結果として、慣用の接着剤により接着されたDVDディスクは、光ディ
スクが、製造後に許容しがたい高温多湿条件下に保持されるとき、ズレる傾向を
有する。
これらの問題を克服するために、主成分としでウレタンアクリレートを含む紫
外放射(UV)硬化型接着剤が、近年、提案されている(例えば、特開昭61−142545(
1986)号公報、特開平6‐89462(1994)号公報)。しかし、他の慣用の接着剤に大
いに類似するこれらの近年提案された接着剤は、十分でない光硬化性及び接着性
を提供する。
加えて、これらのUV接着剤の使用は、湿気作用のために記録層に使用される金
属の腐蝕をもたらした。
本発明の目的は、優れた硬化性を持ち、高温多湿条件下において優れた接着性
を示し、かつ金属腐蝕がないところの硬化された生成物を製造する光硬化性樹脂
組成物を提供することである。
発明の要約
慣用の技術におけるこれらの問題を解決するための広範囲な検討の結果として
、本発明は、これらの問題が、(A)ウレタン結合を経て(メタ)アクリレート末
端基に結合されたポリマー骨格を含むオリゴマー(以下、
ウレタン(メタ)アクリレート(A)と言う)、
(B)少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を含むホスフェート(以下、(メタ
)アクリロイルホスフェート(B)と言う)、
(C)多官能性(メタ)アクリレート化合物、及び
(D)光重合開始剤
を含むところの特定の光硬化性樹脂組成物により解決され得ることを見出した。
発明の詳細な説明
本発明の光硬化性樹脂組成物は今、より詳細に説明されるであろう。
ウレタン(メタ)アクリレート
成分(A)のウレタン(メタ)アクリレートは、ポリマ−骨格、ウレタン結合及
び(メタ)アクリレート末端基を含んでいる。ウレタン結合を含むこのオリゴマ
ーは好ましくは、(a)ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオール
から成る群がら選ばれる少なくとも一つのポリマーポリオール化合物、(b)ポリ
イソシアネート化合物、及び(c)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合
物の縮合により得られる。ヒドロキシル基とイソシアネートとの反応により形成
されるウレタン基を経て(メタ)アクリレート末端基に結合されるところのポリ
オール化合物が、骨格を構成する。
次の化合物が、ポリエステルポリオールの例として挙げられ得る。即ち、多価
アルコール、例えば、エチレ
ングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1
,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,
4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−
ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール又はトリメチロールプロ
パンと、二塩基酸、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン
酸、フマル酸、アジピン酸又はセバシン酸との反応により得られるポリエステル
ポリオール;及びε‐カプロラクトン、β‐メチル‐δ‐バレロラクトン等と上
記の多価アルコールとの反応により得られるポリエステルポリオールが挙げられ
る。これらのポリエステルポリオールは、個々に又は二つ若しくはそれ以上を組
合せて使用し得る。
これらのポリエステルポリオールの市販の製品として、Kurapol A−1010、151
0及び2010、L−1010、2010及び3010、F−1010、2010及び3010、PNA−2000及び20
10、P−510、1010、1510、2010、3010及び4010、PMIPA−2000、PKA−A、PKA−A2
、MPD/IPA、MPD/TPA、CPM−1000(株式会社クラレ製);Nipporan 4002、4009、
4010、4032、4040、4042、4060、4070、141、143、150、5018、5019、5035(日本
ポリウレタン工業株式会社製);Adeka New Ace F15−20、F7−37、
F18−62、F15−22、F7−68、F7−67、Y4−60、F13−35、F9−30、Y9−10、Y6−2
2、Y52−13、Y52−51、Y52−21、L4−71、V14−90、YG−108、YG−214、F1212−
29、YG−226、Y96−20、YG−240、YT−101、YT−650、YT−651、YT−603、YT−4
00(旭電化工業株式会社製);PLACCEL 205、205AL、212、212AL、220、220AL、30
3、305、308、312、320(ダイセル化学工業株式会社製);及びTONE 0301、0305及
び0310(Union Carbide Corp.製)が挙げられる。これらのうち、Kurapol A−1
010、1510及び2010、L−1010及び2010、P−1010、1510及び2010、Adeka New Ace
YG−108、YG−226、YG−240及びYG−214が特に好ましい。
有用なポリカーボネートポリオールの例は、次式(1)、(ここで、R1は夫々独立して、通常2〜20個、好ましくは4〜15個の炭素原子を有
するアルキレン基、又は(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリ
コール若しくは(ポリ)テトラメチレングリコールからの(二つのヒドロキシル
基を除いた)残基を示し、ここで、複数のR1は同一であっても異なっていてもよ
く、かつ「m」は、1〜30の整数、好ましくは3〜20の整数を示す)
により表されるポリカーボネートポリオールを含む。
R1の特定の例として、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジ
オール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキ
サンジメタノール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−
ノナンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレング
リコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレング
リコール、トリプロピレングリコール及びテトラプロピレングリコールからの(
二つのヒドロキシル基を除いた後の)残基が挙げられる。 ポリカーボネートジ
オールの市販の製品は、Nipporan 980、981、982、983(日本ポリウレタン工業株
式会社製);PC−8000(PPG Industries,Inc.製)、PNOC1000、PNOC2000、PMC−1
00、2000(株式会社クラレ製);及びPLACCEL CD−205、CD−208、CD−210、CD−2
20、CD−205PL、CD−208PL、CD−210PL、CD−220PL、CD−205HL、CD−208HL、CD
−210HL、CD−220HL、CD−210T、CD−221T(ダイセル化学工業株式会社製)が挙げ
られる。これらのうち、PNOC1000、2000、Nipporan 982、983、PLACCEL CD−205
HL、CD−210HL及びCD−220HLが特に好ましい。
ポリオール中のヒドロキシル基の平均数は、通常1.8〜4、好ましくは2〜3であ
ろう。最も好ましくは、ポリオールのヒドロキシル基の数は約2である。
末端基法により測定されたポリオール化合物の数平均分子量は、通常200〜20,
000の範囲にある(OH数、ポリマーポリオールの官能性を考慮に入れる)。十分な
硬度及び得られた接着剤の取り扱いの容易性を確保するために、300〜10,000、
とりわけ400〜5,000の範囲の分子量が好ましい。
有用なポリイソシアネート化合物の例は、ジイソシアネート化合物、例えば、
2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キ
シリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタ
レンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイ
ソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート
、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルフェニレンジ
イソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイ
ソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネー
ト、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシ
ルイソシアネート)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1
,4−ヘキサメチレンジイソシアネート及びノルボルナンジイソシアネートメチ
ルを含む。リシントリイソシアネートは、(有用な)トリイソシアネート化合物
の例として挙げられる。有用なポリイソシアネート化合物中、
2,4−トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素化キシリ
レンジイソシアネート及びノルボルナンジイソシアネートメチルが、イソシアナ
ト基の反応性、選択性、及び得られたオリゴマーの特性を考慮してとりわけ好ま
しい。これらのポリイソシアネート化合物は、個々に又は二つ若しくはそれ以上
を組合せて使用し得る。
使用されるポリイソシアネート化合物の比率は、ポリイソシアネート化合物に
含まれるイソシアナト基が、上記のポリオール化合物に含まれるヒドロキシル基
の1当量のために、通常1〜4当量、好ましくは1.1〜3当量でなければならな
い。
ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物の例として、2−ヒドロシキ
、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロシキプロピル(メタ)アクリレート
、2−ヒドロシキブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロシキ−3−フェニロキ
シプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレ
ート、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリロイルホスフェート(ここで、アル
キルは例えばメチル、エチル又はプロピルである)、4−ヒドロキシシクロヘキシ
ル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、
ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ
(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アク
リレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリ
トールペンタ(メタ)アクリレート;次式(2)
(ここで、R2は水素原子又はメチル基であり、かつLは、通常1〜15、そして好
ましくは1〜4の整数である)
により示される化合物;及びグリシジル基含有化合物、例えば、アルキルグリシ
ジルエーテル、アリルグリシジルエーテル又はグリシジル(メタ)アクリレート
と(メタ)アクリル酸とから得られる付加反応生成物が挙げられる。これら化合
物のうち、2−ヒドロシキエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロシキプロピル
(メタ)アクリレート及び2−ヒドロシキブチル(メタ)アクリレートがとりわ
け好ましい。
使用されるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物の量は、ビドロキ
シル基含有(メタ)アクリレート化合物中のヒドロキシル基が、上記のポリオー
ル化合物に含まれるヒドロキシル基の1当量のために、通常0.1〜2当量、好
ましくは0.1〜1.5当量である。
次の方法(I)〜(III)は、ウレタン(メタ)アクリレート(A)を製造するための
方法の例として挙げられる。しかし、該方法は、これらに必ずしもこれらに限定
され
るものではない。
(I)ポリイソシアネート化合物とヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化
合物とを反応させ、そして次いで、ポリオール化合物を反応させる方法。
(II)ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物及びヒドロキシル基含有(
メタ)アクリレート化合物を全て一緒に反応させる方法。
(III)ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させ、そして次
いで、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物を反応させる方法。
これらの方法のうち、方法(I)及び(III)が、目的のオリゴマーを合成する高い
可能性と製造の容易性の故により好ましい。
これらの反応における反応温度は、通常10〜90℃、そして好ましくは30〜80℃
である。
反応(I)〜(III)は好ましくは、ウレタン化触媒、例えば、ナフテン酸銅、ナフ
テン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、ジ‐n−ブチルジラウリン酸スズ、トリエチ
ルアミン、1,4−ジアザ‐ビシクロ[2.2.2]オクタン又は1,4−ジアザ‐2‐メチ
ルビシクロ[2.2.2]オクタンの存在下に実行される。典型的には、触媒は、全反
応物の100重量部のために0.01〜1重量部の量で使用される。
ウレタン(メタ)アクリレート(A)の平均官能性は、好ましくは約1.8〜8、よ
り好ましくは4より小さく、そして特に好ましくは約2である。
ウレタン(メタ)アクリレート(A)は典型的には、200〜30,000の数平均分子量
を有する。400〜20,000の範囲、好ましくは600〜10,000の範囲の数平均分子量を
持つウレタン(メタ)アクリレート(A)が、取り扱いがより容易であり、かつよ
り高い機械的特性を持つ硬化された組成物をもたらすところの光硬化性樹脂組成
物を提供することが見出された。、 樹脂組成物中に組込まれるべき成分(A)の
量は、樹脂組成物の全量の通常1〜94重量%であり、そして好ましくは5〜80重量
%である。優れた接着性を確保するために、10〜70重量%の量が特に好ましい。
もし、成分(A)の量が余りに少ないなら、十分な接着性が基材に得られることが
できず、一方、もし、余りに多すぎるのなら、組成物の粘度は、樹脂組成物が容
易に加工されることを困難にするように増加する。
(メタ)アクリロイルホスフェート(B)
成分(B)として使用される(メタ)アクリロイルホスフェートは、1モル中に
少なくとも1個の、好ましくは1〜3個の(メタ)アクリロイル基を持つアクリロ
イルホスフェートである。次式(3)により表される化合物が、
(ここで、R2は上で定義したと同一の意味を有し、Yは、一価の有機基である)
(メタ)アクリロイルホスフェート(B)の例として挙げられ得る。
通常、もし、存在するならYは、約1000以下、好ましくは約500以下の分子量
を持つ有機基を表す。基Yは、独立してアルキル、アリールであり得、かつエー
テル、アミン、ヒドロキシル、ウレタン及びエチレン性不飽和基を含み得る。基
Yの適切な例は、(1)少なくとも一つのウレタン結合(−NHCOO−)及び末端(メ
タ)アクリロイル基、(2)式−OCaH2a+1により表される基(ここで、aは、通常0
〜10、好ましくは0〜5の整数である)、又は(3)式−OC6H5により表される基を有
するところの基であり、ここで、複数のYは同一であっても異なっていてもよい
。「n」は、1〜10、好ましくは1〜5の整数である。「q」は、1〜10、好ましくは
1〜5の整数である。そして「r」は、1〜3、好ましくは2〜3の整数である。
Yの好ましい例は、次式(4)
(ここで、n、q及びR2は、上で定義したと同一の意味を有し、そしてAは、ジイ
ソシアネート化合物から2個の−NCO基を除いた残基を示す)
により表される基を含む。
(メタ)アクリロイルホスフェート(B)の例として、モノ[2−(メタ)アクリロ
イルオキシエチル]ホヌフェート、ジ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]ホス
フェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、モノ[2
−(メタ)アクリロイルオキシポリプロピルオキシ]ホスフェート、ジ[2-(メタ)ア
クリロイルオキシポリプロピルオキシ]ホスフェート、トリス(アクリロイルオキ
シエチル)ホスフェート、及び上記の式(3)により表される化合物(ここで、Yは
、式(4)により表され、Aは、トルエンジイソシアネート又はイソホロンジイソ
シアネートの残基であり、かつ「r」は、1又は2である)が挙げられる。式(3)
において、R2は好ましくはメチルであり、これに対して、式(4)において、R2は
好ましくは水素である。
(メタ)アクリロイルホスフェート(B)は、個々に又は二つ若しくはそれ以上
を組合せて使用され得る。
式(4)により表される一価の有機基を含む(メタ)アクリロイルホスフェート(
B)は、例えば、一般式(3)の化合物(ここで、リン原子に結合される少なくとも一
つのOH基を含む、以下、「(メタ)アクリロイル酸性ホスフェート」と言う)、ジ
イソシアネート化合物、及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物を
縮合することにより調製され得る。
ここで、成分(A)の説明において例として挙げられた
と同一の化合物、好ましくは2,4−トリレンジイソシアネート及びイソホロンジ
イソシアネートが、ジイソシアネート化合物として挙げられる。
使用されるジイソシアネート化合物の量は、ジイソシアネート化合物に含まれ
るイソシアナト基の量が、(メタ)アクリロイル酸性ホスフェートにおいてリン
原子に結合されるOH基の1当量のために、通常1〜4当量、好ましくは1.1〜3当量
である。
また、成分(A)の説明において例として挙げられたと同一の化合物、好ましく
は2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピル(メタ
)アクリレートが、ここで使用されるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート
化合物として挙げられる。
使用されるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物の量は、(メタ)
アクリロイル酸性ホスフェートにおけるリン原子に結合されるOH基の1当量のた
めに、通常0.1〜3当量、好ましくは0.5〜2当量である。
式(4)により表される基を含む(メタ)アクリロイルホスフェート(B)を調製す
るための方法への特定の限定はない。続く方法(i)〜(iii)が典型的な例として
挙げられる。
(i)ジイソシアネート化合物とヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物
とを反応させ、そして次いで、(メタ)アクリロイル酸性ホスフェートを反応さ
せる方法。
(ii)全ての三つの成分を一緒に反応させる方法。
(iii)(メタ)アクリロイル酸性ホスフェートとジイソシアネート化合物とを反応
させ、そして次いで、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを反応させる方
法。
これらのうち、方法(i)が好ましい。
方法(i)〜(iii)に従う反応において、アミン型ウレタン化触媒、例えば、トリ
エチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン又は1,4−ジアザ‐2‐
メチルビシクロ[2.2.2]オクタンが、全反応成分の100重量部のために好ましくは
0.01〜1重量部の量で使用され得る。
反応温度は、通常10〜90℃、そして好ましくは30〜80℃である。
更に、成分(B)として使用され得るところの市販の製品の例として、Light Est
er P−M及びP−2M(Kyoeisha Chemical Co.Ltd.製)、Viscoat 3PA(Osaka Organic
Chemical Industry.Ltd.製)、EB−169、EB−170、EB−3603、及びR−DX63182(D
aicel UCB Co.,Ltd.製)、AR−100、MR−100、MR−200及びMR−260(Daihachi Che
mical Co.Ltd.製)、及びJAMP−100、JAMP−514及びJPA−514(Johoku Chemical
Co.Ltd.製)が挙げられる。これらのうち、Light Ester P−2M、AR−100、MR−2
60、JPA−514、及びViscoat 3PAが好ましく、ここで、Viscoat 3PAがとりわけ好
ましい。
好ましくは、(メタ)アクリロイルホスフェート(B)は、150〜2000、より好ま
しくは200〜1500の分子量を有する。
好ましくは、(メタ)アクリロイルホスフェート(B)は、この化合物を接着剤
組成物の他の成分と混合する前に、少量の遊離酸基を有する。化合物(B)の酸価
は、好ましくは50より小さく、より好ましくは25より小さく、そして最も好まし
くは10より小さい。酸価は、100グラムの(メタ)アクリロイルホスフェート(B)
を中和するのに必要なKOHのミリグラム数を表す。
要求されるより大きい酸価を有する(メタ)アクリロイルホスフェート(B)は
、イソシアネート化合物、エポキシ化合物等と反応されることができて、減じら
れたリン酸基の量を有し得る。酸基を簡単にエステル化することがまた可能であ
る。酸性ホスフェートと反応するための適切な反応物は、モノイソシアネート、
アクリレート基含有イソシアネート化合物、グリシジルアクリレート、ビスフェ
ニルジグリシジルエーテル、プロペンオキシド、シクロヘキセンオキシド、それ
らの誘導体等を含む。
樹脂組成物中に存在する(メタ)アクリロイルホスフェート(B)の量は、十分
な接着性、とりわけ、金属との接着性を提供するために十分でなければならない
が、硬化された生成物が、高温多湿条件下において高められた水吸収を経験し、
及び/又は減じられた接着性を
示すほど過剰であってはならない。
本発明の樹脂組成物中に組込まれる(メタ)アクリロイルホスフェート(B)の
量は、通常0.1〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%、そしてとりわけ好ましく
は0.5〜10重量%である。
多官能性(メタ)アクリレート(C)
成分(C)は、複数の官能基を持ち、かつウレタン及びホスフェート基を持たな
い多官能性(メタ)アクリレートである。この成分により、例えば、光硬化性樹
脂組成物の粘度、硬化速度、及び得られた硬化された生成物の硬度を調節するこ
とが可能である。
多官能性(メタ)アクリレート(C)の特定の例として、エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−
ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)ア
クリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート
、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ト
リプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒド
ロキシピバル酸ネオペンチルグリコール
ジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエ
リトリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アク
リレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエ
リトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシ
エチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシプロピル(メ
タ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエチレンオキシエチル(メタ)
アクリレート、トリメチロールプロパンポリエチレンオキシプロピル(メタ)ア
クリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アク
リレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレ
ート、エトキシル化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシル化ビ
スフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロポキシル化ビスフェノールAジ(
メタ)アクリレート、プロポキシル化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート
、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエ
ポキシジ(メタ)アクリレート、及びビスフェノールFエポキシジ(メタ)アク
リレートが挙げられる。これらの化合物は、個々に又は二つ又はそれ以上を組合
せて使用され得る。
市販の製品がまた、成分(C)として使用され得る。挙げられることができる例
は、Yupimer UV SA1002及
びSA2007(三菱化学株式会社製)、Viscoat # 195、# 215、# 230、# 260、# 295
、# 300、# 310、# 312、# 360、# 400及び# 700(Osaka Organic Chemical Indu
stry.Ltd.製)、KAYARAD MANDA、DPHA、NPGDA、R−604、DPCA20、−30、−60
、−120、HX−620、D−310及びD−330(日本化薬株式会社製)、Aronix M−210、
M−215、M−220、M−270、M−310、M−315、M−325、M−350、M−360、M−400、
M−450、M−6100、M−6500、M−7100、M−8030及びM−8530(東亜合成株式会社製
)、3EG−A、BP−4EA、BP−4PA、PE−3A、TMP−A、PE−4A(Kyoeisha Chemical C
o.Ltd.製)、VR−77、VR−60及びVR−90(昭和高分子株式会社製)、及びSR−355
(Sartomer Co.,Ltd.製)を含む。これらのうち、KAYARAD MANDA、R−604、Visc
oat # 300、Viscoat # 295、VR−77、VR−90、TMP−A及びPE−3Aが好ましい。
多官能性(メタ)アクリレート(C)の分子量は、通常100〜3,000、そして好ま
しくは200〜2,000である。
成分(C)は、硬化された生成物により接合された積層された基板間の空所及び
/又はズレを回避するために十分にしっかりとした硬化された生成物を提供する
ために十分な量で樹脂組成物中に存在しなければならない。一方、組成物中に存
在する成分(C)の量は、不十分な接着性を有する硬化された生成物を与えるほど
余り多くてはならない。
本発明の組成物中に組込まれる成分(C)の量は、通常5〜85重量%、好ましくは
10〜80重量%、そして特に好ましくは15〜70重量%である。
光重合開始剤(D)
慣用の光硬化性樹脂組成物と共に通常使用される光重合開始剤は、特定の制限
なしに、本発明において成分(D)として使用され得る。そのような通常使用され
る光開始剤は、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ
−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド
、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチ
ルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェ
ノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、Micher'sケトン、ベンゾインプロピル
エーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルメチルケタール、1−(4−イソ
プロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロ
キシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチル
チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、
2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1
、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2−ベンジル−
2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)-ブタノン−1及びビス(2,6
−ジメトキシベンゾ
イル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシドを含む。更に、市販の光
重合開始剤(D)の例として次の製品、即ち、Lucirin TPO及びLucirin LR8728(BAS
F製)、Irgacure 184、970及び369並びにCGI−1700及び1850(Ciba−Geigy製)、Da
rocur 1116、1173及び4265(Merck Co.製)、Ubecryl P36(UCBCo.製)、並びにKaya
cure ITX、QTX、DETX及びBMS(日本化薬株式会社製)が挙げられる。これらの光重
合開始剤のうち、Lucirin TPO、Irgacure 184及び369、CGI−1850、Kayacure IT
X及びDETXが特に好ましい。
これらの光重合開始剤は、個々に又は二つ又はそれ以上を組合せて使用され得
る。
本発明の組成物において使用される成分(D)の量は、通常0.1〜15重量%、好ま
しくは0.5〜10重量%、そして特に好ましくは1〜5重量%である。
他の成分
上記成分(A)〜(D)に加えて、種々の成分、例えば、光重合促進剤、一官能性(
メタ)アクリレート、ビニル化合物及び種々の添加剤が、特定の適用のために必
要なものとして本発明の組成物中に組込まれ得る。
次の化合物、即ち、トリエチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルジエタノ
ールアミン、エタノールアミン、4−ジメチルアミノベンゾエート、4−メチルジ
メチルアミノベンゾエート、4−エチルジメチルアミノベンゾエート、及び4−イ
ソアミルジメチルアミノベ
ンゾエートが、光重合促進剤の例として挙げられる。これらの光重合促進剤の市
販の製品として、Ubecryl P102、103、104及び105(UCBCo.製)、KAYACURE DMBI及
びEPA(日本化薬株式会社製)等が挙げられる。光重合促進剤は、通常0〜10重量%
、そして好ましくは0〜5重量%の量で組成物に加えられる。
一官能性アクリレートの例として、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ
)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、
プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(
メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリ
レート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イ
ソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メ
タ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソ‐オクチル(メタ)ア
クリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリ
レート、デシル(メタ)アクリレート、イソ‐デシル(メタ)アクリレート、ウ
ンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メ
タ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)ア
クリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、
ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)
アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリ
レート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、
メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)ア
クリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチ
レングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メ
タ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ジシクロペ
ンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アク
リレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)ア
クリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)ア
クリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジ
メチルオクチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン、2−
(メタ)アクリロイル−オキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイルオ
キシエチルヘキサヒドロ−フタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピ
ルフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロフタレー
ト、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒド
ロフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルスクシネート、アクリロ
イルモルホリン、次式(5)〜(7)
(ここで、R2は、上で定義したと同一の意味を有し、R3は、2〜6個の炭素原子を
持つアルキレン基であり、R4は、1〜25個の炭素原子を持つアルキル又はアリー
ル基であり、好ましくは、1〜12個の炭素原子を持つアルキル基で任意的に置換
されたフェニル基であり、そしてbは0〜12の整数である)、
(ここで、R2は、上で定義したと同一の意味を有し、R5は、2〜8個の炭素原子を
有するアルキレン基であり、THFは、テトラヒドロフラン基であり、そしでdは
、0〜8の整数である)、及び
(ここで、R2及びR5は、上で定義したと同一の意味を有し、eは、0〜8の整数で
あり、そしてR6は夫々独立して水素原子、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基
、又は−R7−Bにより表される基(ここで、R7は1〜6個の炭素原子を有するアル
キレン基であり、そしてBは、(メタ)アクリロイルオキシ基を示す)で
ある)
により表される化合物が挙げられる。これらのアクリレートは、個々に又は二つ
若しくはそれ以上を組合せて使用され得る。
これらのアクリレートの市販の製品として、Aronix M−101、M−102、M−111
、M−113、M−114、M−117、M−5300、M−5400、M−5500、M−5600、M110、TO−
1317、TO−1301、TO−1249及びTO−1340(東亜合成株式会社製)、KAYARAD TC110S
、R629及びR644(日本化薬株式会社製)、LA、STA、IBXA、DMA、Viscoat # 158、#
190、# 192、# 2000、# 2100、# 2150、# 2180及び#3700(Osaka Organic Chemi
cal Industry.Ltd.製)、NK Ester SA、及びA−SA(Shin−Nakamura Chemical Co.
Ltd.製)、Light Acrylate L−A、S−A、BO−A、EC−A、DPM−A(Kyoeisha Chemic
al Co.Ltd.製)及びFA−511A、FA−512A、FA−513A(日立化成工業株式会社製)、
及びACMO(Kojin Co.Ltd.製)が挙げられる。これらのうち、IBXA、Viscoat # 192
、M110、TO−1317、FA−511A、FA−512A、FA−513A及びACMOが特に好ましい。
N−ビニルカプロラクタノ、及びN−ビニルピロリドンが、好ましいビニル化合
物の例として挙げられる。
種々の添加剤として、シランカップリング剤、酸化防止剤、UV吸収剤、光安定
剤、老化防止剤、重合禁止剤、防腐剤、可塑剤等が挙げられる。
シランカップリング剤の例として、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピ
ルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロビルメチル
メトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロビルトリメトキシシラ
ン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノ
ブロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3
−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘ
キシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチノレジメトキシシラ
ン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピル
トリメトキシシラン及び3−メルカプチプロピルトリメトキシシラン、並びに市
販の製品、例えば、Saila Ace S310、S311、S320、S321、S330、S510、S520、S5
30、S610、S620、S710及びS810(チッソ株式会社製)、SH6020、SZ6023、SZ6030、
SH6040、SH6062、SH6076及びSZ6083(東レダウコーニングシリコーン株式会社製
)、並びにKBM403、KBM503、KBM603、KBM602、KBM803及びKBM903(信越シリコーン
株式会社製)が挙げられる。
酸化防止剤として、フェノール系酸化防止剤、有機硫黄系酸化防止剤、及び市
販の製品、例えば、Irganox 1010、1035、1076及び1222(Ciba−Gelgy製)等が例
として挙げられる。
UV吸収剤として、ベンゾトリアゾール型UV吸収剤等が挙げられ得る。UV吸収剤
の市販の製品として、Tinuvin P、234、320、326、327、328及び213(Ciba−Geig
y製)、Sumisorb 110、130、140、220、250、300、320、340、350及び400(住友化
学工業株式会社製)等が例として挙げられる。
光安定剤として、ヒンダードアミン型光安定剤が挙げられる。光安定剤の市販
の製品として、Tinuvin 292、144、622LD(Ciba−Geigy製)、Sanol LS−700、765
、292、2626、1114及び744(三共株式会社製)等が例として挙げられる。
老化防止剤の例として、フェノール系老化防止剤、アリルアミン系老化防止剤
及びケトンアミン系老化防止剤が挙げられる。老化防止剤の市販の製品は、Anti
gen W、S、P、3C、6C、RD−G、FR及びAW(住友化学工業株式会社製)を含む。
これらの添加剤は、これらの添加剤の添加が本発明の目的に負に作用しないと
言う条件の量で存在し得る。所与の適用の明細に基いて当業者は、使用される所
与の添加剤量を容易に決定する。
本発明の組成物は、慣用の方法により上記成分を混合することにより調製され
得る。得られた組成物は、25℃において20〜20,000mPa.sの粘度を有し得る。加
工性及びディスク基板への施与の容易性を確保するために、25℃において、50〜
10,000mPa.s、好ましくは100
〜2,000mPa.sの範囲の粘度がより好ましい。
種々の成分は、得られた硬化された生成物のガラス転移温度が10〜150℃、そ
して好ましくは30〜120℃の範囲であるような比率で混合されることが好ましい
。もし、ガラス転移温度が余りに低いなら、硬化された生成物は、基板が接着さ
れたときズレ得るほどに柔らかくなり、一方、もし、量が過剰であるなら、十分
な接着が得られることができず、そして基板がたわむ。
ここで、ガラス転移温度は、ロスタンジェント(tan δ)が、動的粘弾性測定
装置における10Hzの振動数において最大であるところの温度であると定義される
。
本発明の組成物は、紫外光、可視光線、電子線等を使用する照射により、慣用
の光硬化性樹脂が硬化されると同一の方法で硬化され得る。例えば、該組成物は
基板に施与されて、約50μmの厚みを持つフィルムを作ることができ、そして適
切な線量における365nmの主波長を持つ金属ハライドランプからの紫外光で照射
することにより実質的に硬化され得る。通常、1000mJ/cm2より少ない線量が十
分であり、そして該線量は、10mJ/cm2と同じくらい低くてもよい。実際には、5
0〜500mJ/cm2の間の線量がしばしば使用されて、本発明の組成物を硬化する。
硬化された生成物は、優れた透明性を有することが所望される。例えば、約10
0μmの厚みを持つ硬化された生成物は、500〜600nmの波長において90%以上の
透過度を持たなければならない。もし、透過度が90%より小さいなら、ディスク
の外観が損なわれるばかりではなく、レーザー光線により記録層を再生するにお
いて問題があり得る。それ故、本発明の組成物が製造されるとき、種々の成分は
、この範囲の透過度を与えるための比率において混合されなければならない。
加えて、種々の成分の比率は、25℃における硬化された生成物の屈折率を1.50
〜1.60にするように決定されなければならない。もし、屈折率がこの範囲外なら
、レーザ光線による記録層の再生にエラーが生じ得る。
本発明の組成物の硬化された生成物は、ブラスチック、例えば、ポリカーボネ
ート(PC)又はポリメチルメタクリレート(PMMA)、金属、例えば、アルミニウム又
は金、及び無機化合物、例えば、ガラス等から作られた基板に対して高い接着性
を示す。接着は、広い温度範囲(例えばO〜60℃)において優れており、かつ高
温多湿条件下において安定しており、これは、該組成物の優れた耐久性を示して
いる。本発明の組成物が慣用の接着剤と同じくらい高い水吸収を体験するときで
さえ、隣接する金属基板により示される腐蝕は僅かか又は全くない。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、典型的には約70より大きい、好ましくは75〜
100の残存区画の接着性試験値を与える。とりわけ、本発明の光硬化性樹脂組成
物は、PC基板において試験されるとき、少なくとも
約90、好ましくは95〜100の残存区画を与え、アルミニウムをスパッタリングし
たPC基板において試験されるとき、約70より大きい、好ましくは80〜100の残存
区画を与え、金をスパッタリングしたPC基板において試験されるとき、約70より
大きい、好ましくは75〜100の残存区画を与え、及び/又は石英基板において試
験されるとき、約90より大きい、好ましくは95〜100の残存区画を与えるであろ
う。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、高温多湿条件及びアルミニウムをスパッタリ
ングしたPC基板において測定されるとき、典型的には50より大きい、好ましくは
75より大きい残存区画の接着性試験値を与える。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、アルミニウムをスパッタリングしたPC基板が
、実施例において示されたアルミニウム腐食試験に従って、高温多湿条件にさら
されるとき、約50%より小さい、好ましくは20%より小さい光透過度を与えなけ
ればならない。
それ故に、本発明の組成物は、プラスチック、金属、無機化合物等に対する高
い接着性を要求する光ディスクのための接着剤としてとりわけ有用である。
実施例
本発明の次の実施例が説明の目的のために提出されるが、本発明を限定するも
のと解釈してはならない。
ウレタンアクリレート(A)の合成
合成実施例1
23.0グラムのイソポロンジイソシアネート、69.0グラムのPNOC1000(クラレ株
式会社により製造されたポリカーボネートジオールの商標)、及び0.02グラムの
重合禁止剤としての2,6−ジ−t−ブチルメチルフェノールが、攪拌機を備えた反
応器に供給された。水浴上で20℃以下に冷却された後、0.08グラムのジ−n−ブ
チルスズジラウレートが添加されて反応が開始された。該混合物は、20〜35℃の
温度に制御しながら、2時間反応された。次いで、8.0グラムの2−ヒドロキシエ
チルアクリレートの添加後、該混合物は、5時間40〜60℃において攪拌され、そ
の後、反応が停止されて、約3,000の数平均分子量を持つウレタンアクリレート(
A−1)を得た。
合成実施例2
合成実施例1と同じ実験が、PNOC1000に代えて69.0グラムのKurapol P1010(ク
ラレ株式会社により製造されたポリエステルジオールの商標)を使用することを
除いて実行され、3,000の数平均分子量を持つウレタンアクリレート(A−2)を得
た。
メタクリロイルホスフェート(B)の合成
合成実施例3
攪拌機を備えた反応器に、50.1グラムのイソホロンジイソシアネート、0.02グ
ラムの重合禁止剤としての2,6−ジ−t−ブチルメチルフェノール及び0.08グラム
のジ−n−ブチルスズジラウレートが添加された。次いで、26.2グラムの2−ヒド
ロキシエチルアクリレートが滴下添加され、そして該混合物は、水浴上で30℃以
下に温度を制御しつつ、反応された。次に、23.7グラムのモノ(2−メタクリロイ
ルオキシエチル)酸性ホスフェート及び0.1グラムのトリエチルアミンが加えられ
、そして該混合物は、40〜60℃において攪拌しながら5時間反応された。反応が
終了されて、次式
を持つ化合物を得た。
この化合物は、メタクリロイルホスフェート(B−1)と称され、そして実施例2
において組成物を調製するための物質として供された。
実施例1 (1) 光硬化性樹脂組成物の調製
攪拌機を備えた容器が、30.0グラムのウレタンアクリレート(A−1)、29.9グラ
ムのイソボルニルアクリレート、15.0グラムのフェノキシエチルアクリレート、
20.0グラムのビスフェノールAジエポキシアクリレート、2.0グラムのアクリロ
イルホスフェートとしてのトリス(アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、3.
0
グラムの光重合開始剤としての1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、
及び1.0グラムのシランカップリング剤としての3−メルカプトプロピルトリメチ
ルシランにより充填された。該混合物は50〜60℃で混合されて、本発明の組成物
を得た。該組成物の粘度は、25℃において600mPa.sであった。
(2) 硬化された生成物の調製及び評価
次の試験が、上記(1)において調製された組成物を使用して実行された。
2.1 着性試験
上記(1)において調製された組成物が、ポリカーボネート(PC)板、アルミニウ
ムをスパッタリングしたPC板、金をスパッタリングしたPC板、及び石英基板上に
コートされ、50μmの厚みを持つフィルムを製造した。該組成物は、窒素雰囲気
中において50mJ/cm2の線量において紫外光(光源:金属ハライドランプ)により
照射されて、硬化された試験片を得た。JIS D 0202に従う碁盤目試験(cross−cu
t test)が、硬化された試験片を使用して実行され、ここで、剥ぎ取られずに板
状に残った碁盤目の硬化されたフィルムの区画数が数えられた。その結果は表2
に示されている。板状に最初に存在する区画の合計数は100であった。
2.2 高温多湿条件下における接着特性
アルミニウムをスパッタリングしたPC板を使用する上記の2.1におけると同一
の方法で調製された硬化さ
れた試験片は、96時間、70℃及び95%RHにおいて恒温恒湿器中に置かれたままに
された。試験片上の水分は拭取られ、そして碁盤目試験が、上記2.1と同一の方
法で実行された。その結果は表2に示されている。
2.3 アルミニウム腐食試験
アルミニウムをスパッタリングしたPC板を使用する上記の2.1と同一の方法で
調製された硬化された試験片が、96時間、70℃及び95%RHにおいて恒温恒湿器中
に置かれたままにされた。次いで、500nmにおける試験片の透過度が、日立製作
所製分光光度計を使用して測定された。アルミニウム腐食性は、腐蝕によるアル
ミニウムの溶解により伴われる透過度の増加として評価された。その結果は表2
に示されている。試験前の試験片の透過度は、アルミニウム層の存在のために0
%である。
2.4 水吸収
硬化されたフィルムの水吸収は、上記2.1と同一の方法で調製された硬化され
た試験片(基板:石英ガラス)を使用してJIS K7209に従って測定された。その結
果は表2に示されている。
2.5 ガラス転移温度
硬化されたフィルムのガラス転移温度は、上記2.1と同一の方法で調製された
硬化された試験片(基板:石英ガラス)を使用して強制共鳴振動型動的粘弾性測定
装置(compulsory resonance vibration type dynamic
viscoelasticity measuring instrument)(Orientech Co.,Ltd.製)を使用し
て測定された。ロスタンジェント(tan δ)が10Hzの振動数において最大であ
るところの温度が測定された。その結果は表2に示されている。
2.6 透明性
組成物の一滴が、夫々1mmの厚みを持つスライドガラスの二つのシート間に置
かれて、フィルムが作られた。硬化されるフィルムの厚みは、スペーサーを使用
して1mmに調節された。該組成物は、50mJ/cm2の線量で紫外光により照射されて
、硬化された試験片を得た。硬化試験片の500nm又は600nmの波長による光の透過
度は、上記の実験において使用したと同一の分光光度計を使用して測定された。
その結果は表2に示されている。
実施例2
本発明の組成物が、2.0グラムのメタクリロイルホスフェート(B−1)が、2.0グ
ラムのトリス(アクリロイルオキシエチル)ホスフェートに代えて使用された以外
は実施例1と同一の方法において調製された。得られた組成物の粘度は、600mPa
.sであった。該組成物は、実施例1と同一の方法で評価された。その結果は表2
に示されている。
実施例3
攪拌機を備えた容器が、30.0グラムのウレタンアク
リレート(A−2)、29.0グラムのジシクロペンチルアクリレート、15.0グラムのフ
ェノキシエチルアクリレート、20.0グラムの多官能性アクリレートとしてのヒド
ロキシピバル酸グリコールジアクリレート、2.0グラムのアクリロイルホスフェ
ートとしてのトリス(アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、3.0グラムの光
重合開始剤としての2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシ
ド、及び1.0グラムのシランカップリング剤としての3−メタクリロイルオキシプ
ロピルトリメトキシシランにより充填された。該混合物は50〜60℃で混合されて
、本発明の組成物を得た。該組成物の粘度は700mPa.sであつた。該組成物は、実
施例1と同一の方法で評価された。その結果は表2に示されている。
実施例4
本発明の組成物は、3.0グラムのジ(2−アクリロイルオキシエチル)ホスフェー
トが、2.0グラムのトリス(アクリロイルオキシエチル)ホスフェートに代えて使
用されたこと、及び3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランの添
加が省略されたことを除いて、実施例3と同一の方法で調製された。得られた組
成物の粘度は700mPa.sであった。該組成物は、実施例1と同一の方法で評価され
た。その結果は表2に示されている。
実施例5
ウレタンアクリレート(A−1)の量が15.0グラムに変えられ、かつ15.0グラムの
ウレタンアクリレート(A−2)が加えられたことを除いて、実施例1と同一の方法
で調製された。得られた組成物の粘度は700mPa.sであった。該組成物は、実施例
1と同一の方法で評価された。その結果は表2に示されている。
比較例1
攪拌機を備えた容器が、34.0グラムのイソボルニルアクリレート、20.0グラム
のフェノキシエチルアクリレート、40.0グラムのビスフェノールAジエポキシア
クリレート、2.0グラムのアクリロイル基含有ホスフェートとしてのトリサクリ
ロイルオキシエチルポスフェート、3.0グラムの光重合開始剤としての1−ヒドロ
キシシクロヘキシルフェニルケトン、及び1.0グラムのシランカップリング剤と
しての3−メルカプトプロピルトリメチルシランにより充填された。該混合物は5
0〜60℃で混合されて、本発明の組成物を得た。該組成物の粘度は800mPa.sであ
った。該組成物は実施例1と同一の方法で評価された。その結果は表2に示され
ている。
比較例2
本発明の組成物が、トリサクリロイルオキシエチルホスフェートの添加が省略
され、かつビスフェノールAジエポキシアクリレートの量が、20.0グラムから22
.0グラムに変えられたことを除いて実施例1と同一の方
法で調製された。得られた組成物の粘度は650mPa.sであった。該組成物は実施例
1と同一の方法で評価された。その結果は表2に示されている。 本発明の効果
本発明の光硬化性樹脂組成物は、紫外光、可視光及び電子線のような照射にさ
らされるとき、任意の慣用の樹脂組成物より速い硬化速度を示す。プラスチック
基板、例えばポリカーボネート、金属、例えばアルミニウム又は金、無機化合物
、例えばガラスに対する高い接着性を示す。更に、硬化された生成物の接着性は
、広範な温度において優れており、かつ高温多湿条件下においてさえ安定である
。硬化された生成物が、慣用の生成物と同一レベルの水吸収を示すけれども、ス
パッタリングされた金属の得られた腐蝕量は、僅かか又は全くない。それ故、該
樹脂組成物は、光ディスクの接着剤として、例えば、とりわけ、デジタル汎用デ
ィスクのような接着型光ディスクを製造するための接着剤として有用である。こ
こで、プラスチック、金属、無機化合物等に対する高い接着性が要求される。
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(72)発明者 高橋 俊彦
茨城県土浦市川口2―13―28―306
(72)発明者 宇加地 孝志
茨城県牛久市神谷5―22―9