JP2002371436A - シリカ基複合酸化物繊維及びその製造方法 - Google Patents

シリカ基複合酸化物繊維及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた光触媒機能、電気的機能及び/又は熱
的触媒機能を有する高強度なシリカ基複合酸化物繊維並
びにその製造方法を提供する。 【解決手段】 シリカ成分を主体とする酸化物相(第1
相)とシリカ以外の金属酸化物相(第2相)との複合酸
化物相からなる繊維であって、繊維の表層に向かって第
2相を構成する金属酸化物の少なくとも1つの金属元素
の存在割合が傾斜的に増大していることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた光触媒機
能、電気的機能及び/又は熱的触媒機能を有する高強度
なシリカ基複合酸化物繊維並びにその製造方法に関す
る。詳しくは、力学的特性を負担する中心部(シリカ
相)と各種機能を負担する表層並びにその近傍層の酸化
物相からなり、なお且つ表層に向かった傾斜組成を有す
る繊維並びにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】二酸化チタンに代表される半導体の光触
媒効果については、水の分解反応をはじめとして、19
70年代の後半から多くの研究がなされてきた。これま
で同触媒機能を利用する際、チタニア結晶粒を基板上に
固定化させて用いられてきたが、接着方法に多くの問題
が生じてきたことから、近年では、固定化に伴う問題が
発生しないチタニア繊維への感心が高まってきている。
【0003】例えば、特開平5−184923号公報に
は、チタンアルコキシドとバナジウム化合物をアルコー
ルに溶解させ、加水分解させて調整したゾル状物を繊維
形状に成形した後ゲル化し、200〜700℃の範囲で
熱処理して、アナターゼ型チタニアと酸化バナジウムの
結晶からなる繊維を合成する方法が開示されている。本
公開特許公報の実施例では、チタニアとバナジア以外に
多くのシリカ成分が含有された繊維が主として記載され
ており、この繊維を用いた織物としての触媒活性も、シ
リカからなるEガラスに同繊維を僅か20%だけ混紡さ
れたものについてのみ示されているに過ぎない。
【0004】従来からゾル−ゲル法により合成されるチ
タニア繊維は極めて脆弱であることが知られており、そ
の強度を向上させる研究として、例えば、「窯業協会
誌」第94巻(12)、第1243〜1245ページ
(1986年)には、シリカ成分を共存させることが述
べられている。上記、特開平5−184923号公報の
実施例に記載されている方法は、正にこの手法を採用し
ているのに他ならない。また、特開平11−5036号
公報には、ゾル−ゲル法による光触媒用シリカーチタニ
ア繊維とその製造方法について開示されているが、この
場合の繊維強度も0.1〜1.0GPaと極めて低いもの
であった。
【0005】上記以外にも、チタニアの製造方法として
以下のような報告がなされている。例えば、Journal of
Material Science Letters 5 (1986) 402-404には、チ
タンアルコキシドのアルコール溶液中に塩酸を共存さ
せ、加水分解することにより得られるコロイド状物を紡
糸し、加湿雰囲気下での加熱後、空気中で昇温してゲル
状のチタニア繊維(アナターゼ)を合成する方法が記載
されている。また、The American Ceramic Society Bul
letin, May 1998, 61-65には、チタニアの微粒子に水を
加えて得たスラリーを ビスコースと混合して調製され
た粘性流体を繊維状に成形した後、高温の空気中で加熱
焼成してチタニア繊維を得る方法が報告されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これらの繊維は、いず
れもチタニアの1次粒子の凝集過程を経て繊維化される
ことから、繊維内部に大きな欠陥が残存しており、光触
媒機能は認められたとしても極めて脆弱で、実用化には
多くの問題点解決が必要とされている。また、強度向上
を目的としてシリカ成分を共存させた系では、チタニア
とシリカが混在した状態で存在していることから、チタ
ニア単独に比べて十分な光触媒活性が得られるものでは
なく、これも実用化を阻む大きな問題点となっている。
光触媒繊維をフィルターとして使用する場合、高速の気
体流に長時間曝されることから、繊維強度が高い方が望
ましいことは当然で、特に航空機エンジンや自動車エン
ジンから排出されるガスへの適用も考えればこれまでの
常識を超えた高強度の光触媒機能或いは熱触媒機能を有
する繊維の開発が強く望まれている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、有機ケイ
素重合体からなる前駆体繊維を熱処理した後、高温の空
気中で焼成することにより緻密で高強度なシリカ繊維が
得られることを見出した。その後、同有機ケイ素重合体
中に、低分子量の有機金属化合物或いは低分子量有機ケ
イ素重合体と低分子量の有機金属化合物との反応物が共
存している場合、紡糸後の熱処理過程において、上記有
機金属化合物成分を含む低分子量物が繊維表面に選択的
に移行(ブリードアウト)し、熱処理後の空気中焼成に
より、同低分子量物に由来する酸化物層(目的とする触
媒機能を有する酸化物層)が繊維表面に効果的に生成し
ていることを見出した。また、この方法により得られた
繊維は、極めて緻密で高強度を有していることをも見出
した。
【0008】有機ケイ素重合体を出発原料としてシリカ
を生成させる過程では、ケイ素−炭素結合がケイ素−酸
素結合に変換される酸化過程が含まれており、この過程
では約1.37倍の体積増が見込まれる。この変化が6
00℃以上の比較的低温で達成されることから、焼成に
より緻密なシリカ基複合繊維が効果的に得られ、上述の
ような高強度化が達成出来たと考えられる。
【0009】すなわち、本発明は、シリカ成分を主体と
する酸化物相(第1相)とシリカ以外の金属酸化物相
(第2相)との複合酸化物相からなる繊維であって、繊
維の表層に向かって第2相を構成する金属酸化物の少な
くとも1つの金属元素の存在割合が傾斜的に増大してい
ることを特徴とするシリカ基複合酸化物繊維に関するも
のである。
【0010】本発明において、シリカ成分を主体とする
酸化物相(第1相)とは、非晶質であっても結晶質であ
っても良く、またシリカと固溶体或いは共融点化合物を
形成し得る金属元素或いは金属酸化物を含有していても
良い。シリカと固溶体を形成し得る金属元素(A)ある
いはその酸化物がシリカと特定組成の化合物を形成し得
る金属元素(B)としては特に限定されるものではない
が、例えば(A)としてチタン、また(B)としてアル
ミニウム、ジルコニウム、イットリウム、リチウム、ナ
トリウム、バリウム、カルシウム、ホウ素、亜鉛、ニッ
ケル、マンガン、マグネシウム、鉄等があげられる。
【0011】この第1相は、本発明で得られる繊維の内
部相を形成しており、力学的特性を負担する重要な役割
を演じている。繊維全体に対する第1相の存在割合は9
8〜40重量%であることが好ましく、目的とする第2
相の機能を十分に発現させ、なお且つ高い力学的特性を
も発現させるためには、第1相の存在割合を50〜95
重量%の範囲内に制御することが好ましい。
【0012】一方、第2相を構成する金属酸化物は、本
発明では目的とする機能を発現させる上で重要な役割を
演じるものであるが、その機能に応じて選択されるもの
である。例えば、光又は熱的触媒機能が要求される場合
には、チタニア或いはその共融点化合物やある特定元素
により置換型の固溶体を形成したもの等が選択され、ま
た圧電特性が期待される場合には、鉛/ジルコニウム/
チタン系酸化物等が選択される。光又は熱的触媒機能が
要求される場合の第2相を構成する金属酸化物の結晶粒
径は、15nm以下、特に10nm以下が好ましい。こ
の繊維の表層部を構成する第2相の存在割合は、酸化物
の種類により異なるが、2〜60重量%が好ましく、そ
の機能を十分に発現させ、また高強度をも同時に発現さ
せるには5〜50重量%の範囲内に制御することが好ま
しい。
【0013】この第2相を構成する金属酸化物の少なく
とも1つの金属元素の存在割合は、繊維の表面に向って
傾斜的に増大しており、その組成の傾斜が明らかに認め
られる領域の厚さは5〜500nmの範囲に制御するこ
とが好ましいが、その傾斜領域は、繊維直径の約1/3
に及んでも良い。尚、本発明において、第1相及び第2
相の「存在割合」とは、第1相を構成する金属酸化物と
第2相を構成する金属酸化物全体、即ち繊維全体に対す
る第1相の金属酸化物及び第2相の金属酸化物の重量%
を意味している。
【0014】次に、本発明で得られる傾斜構造を有する
シリカ基複合酸化物繊維の製造方法について説明する。
本発明においては、主として一般式
【化2】 (但し、式中のRは水素原子、低級アルキル基又はフェ
ニル基を示す。)で表される主鎖骨格を有する数平均分
子量が200〜10,000のポリカルボシランを、有
機金属化合物で修飾した構造を有する変性ポリカルボシ
ラン、或いは変性ポリカルボシランと有機金属化合物と
の混合物を溶融紡糸し、不融化処理後、空気中又は酸素
中で焼成することにより、シリカ基複合酸化物繊維を製
造することができる。
【0015】本発明の方法の第1工程は、シリカ基複合
繊維を製造するための出発原料として使用する数平均分
子量が1,000〜50,000の変性ポリカルボシラ
ンを製造する工程である。上記変性ポリカルボシランの
基本的な製造方法は、特開昭56−74126号に極め
て類似しているが、本発明では、その中に記載されてい
る官能基の結合状態を注意深く制御する必要がある。こ
れについて以下に概説する。
【0016】出発原料である変性ポリカルボシランは、
主として一般式 (但し、式中のRは水素原子、低級アルキル基又はフェ
ニル基を示す。)で表される主査骨格を有する数平均分
子量が200〜10,000のポリカルボシランと、一
般式、M(OR')n或いはMR''m(Mは金属元素、R'は
炭素原子数1〜20個を有するアルキル基またはフェニ
ル基、R"はアセチルアセトナート、mとnは1より大
きい整数)を基本構造とする有機金属化合物とから誘導
されるものである。
【0017】ここで、本発明の傾斜組成を有する繊維を
製造するには、上記有機金属化合物がポリカルボシラン
と1官能性重合体を形成し、かつ有機金属化合物の一部
のみがポリカルボシランと結合を形成する緩慢な反応条
件を選択する必要がある。その為には280℃以下、好
ましくは250℃以下の温度で不活性ガス中で反応させ
る必要がある。この反応条件では、上記有機金属化合物
はポリカルボシランと反応したとしても、1官能性重合
体として結合(即ちペンダント状に結合)しており、大
幅な分子量の増大は起こらない。この有機金属化合物が
一部に結合した変性ポリカルボシランは、ポリカルボシ
ランと有機金属化合物の相溶性を向上させる上で重要な
役割を演じる。
【0018】尚、2官能以上の多くの官能基が結合した
場合は、ポリカルボシランの橋掛け構造が形成されると
共に顕著な分子量の増大が認められる。この場合は、反
応中に急激な発熱と溶融粘度の上昇が起こる。一方、上
記1官能性重合体であり、かつ未反応の有機金属化合物
が残存している場合は、逆に溶融粘度の低下が観察され
る。
【0019】本発明では、未反応の有機金属化合物を意
図的に残存させる条件を選択することが望ましい。本発
明では、主として上記変性ポリカルボシランと未反応状
態の有機金属化合物或いは2〜3量体程度の有機金属化
合物が共存したものを出発原料として用いるが、変性ポ
リカルボシランのみでも、極めて低分子量の変性ポリカ
ルボシラン成分が含まれる場合は、同様に本発明の出発
原料として使用できる。
【0020】本発明の方法の第2工程においては、前記
第1工程で得られた変性ポリカルボシラン、或いは変性
ポリカルボシランと低分子量の有機金属化合物の混合物
を溶融させて紡糸原液を造り、場合によってはこれをろ
過してミクロゲル、不純物等の紡糸に際して有害となる
物質を除去し、これを通常用いられる合成繊維紡糸用装
置により紡糸する。紡糸する際の紡糸原液の温度は原料
の変性ポリカルボシランの軟化温度によって異なるが、
50〜200℃の温度範囲が有利である。上記紡糸装置
において、必要に応じてノズル下部に加湿加熱筒を設け
ても良い。尚、繊維径は、ノズルからの吐出量と紡糸機
下部に設置された高速巻き取り装置の巻き取り速度を変
えることにより調整される。
【0021】本発明の方法第2工程は、前記溶融紡糸の
他に、前記第1工程で得られた変性ポリカルボシラン、
或いは変性ポリカルボシランと低分子量の有機金属化合
物の混合物を、例えばベンゼン、トルエン、キシレンあ
るいはその他該変性ポリカルボシランと低分子量有機金
属化合物を溶融することのできる溶媒に溶解させ、紡糸
原液を造り、場合によってはこれをろ過してマクロゲ
ル、不純物等紡糸に際して有害な物質を除去した後、前
記紡糸原液を通常用いられる合成繊維紡糸装置により乾
式紡糸法により紡糸し、巻き取り速度を制御して目的と
する繊維を得ることができる。
【0022】これらの紡糸工程において、必用ならば、
紡糸装置に紡糸筒を取り付け、その筒内の雰囲気を前記
溶媒のうち少なくとも1つの気体との混合雰囲気とする
か、或いは空気、不活性ガス、熱空気、熱不活性ガス、
スチーム、アンモニアガス、炭化水素ガス、有機ケイ素
化合物ガスの雰囲気とすることにより、紡糸筒中の繊維
の固化を制御することができる。
【0023】次に本発明の方法の第3工程においては、
前記紡糸繊維を酸化雰囲気中で、張力または無張力の作
用の下で予備加熱を行い、前記紡糸繊維の不融化を行
う。この工程は、後工程の焼成の際に繊維が溶融せず、
且つ隣接繊維と接着しないことを目的として行うもので
ある。処理温度並びに処理時間は、組成により異なり、
特に規定しないが、一般に50〜400℃の範囲内で、
数時間〜30時間の処理上条件が選択される。また、上
記酸化雰囲気中には、水分、窒素酸化物、オゾン等、紡
糸繊維の酸化力を高めるものが含まれていても良く、酸
素分圧を意図的に変えても良い。
【0024】ところで、原料中に含まれる低分子量物の
割合によっては、紡糸繊維の軟化温度が50℃を下回る
場合もあり、その場合は、あらかじめ上記処理温度より
も低い温度で、繊維表面の酸化を促進する処理を施す場
合もある。尚、同第3工程並びに第2工程の際に、原料
中に含まれている低分子量化合物の繊維表面へのブリー
ドアウトが進行し、目的とする傾斜組成の下地が形成さ
れるものと考えている。
【0025】次に本発明の方法の第4工程においては、
前記不融化した繊維を、張力または無張力下で、500
〜1800℃の温度範囲で酸化雰囲気中において焼成
し、目的とする、シリカ成分を主体とする酸化物相(第
1相)とシリカ以外の金属酸化物相(第2相)との複合
酸化物相からなり、表層に向かって第2相を構成する金
属酸化物の少なくとも1つの金属元素の存在割合が傾斜
的に増大するシリカ基複合酸化物繊維を得る。この工程
において、不融化繊維中に含まれる有機物成分は基本的
には酸化されるが、選択する条件によっては、炭素や炭
化物として繊維中に残存する場合もある。このような状
態でも、目的とする機能に支障を来さない場合はそのま
ま使用されるが、支障を来す場合は、更なる酸化処理が
施される。その際、目的とする傾斜組成並びに結晶構造
に問題が生じない温度、処理時間が選択されなければな
らない。
【0026】本発明により、目的とする傾斜組成からな
る酸化物繊維の生成過程を、図1に模式的に示す。
【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。 参考例1 5リットルの三口フラスコに無水トルエン2.5リット
ルと金属ナトリウム400gとを入れ窒素ガス気流下で
トルエンの沸点まで加熱し、ジメチルジクロロシラン1
リットルを1時間かけて滴下した。滴下終了後、10時
間加熱還流し沈殿物を生成させた。この沈殿をろ過し、
まずメタノールで洗浄した後、水で洗浄して、白色粉末
のポリジメチルシラン420gを得た。ポリジメチルシ
ラン250gを水冷還流器を備えた三口フラスコ中に仕
込み、窒素気流下、420℃で30時間加熱反応させて
数平均分子量が1200のポリカルボシランを得た。
【0028】実施例1 参考例1の方法により合成されたポリカルボシラン45
gにキシレン400gとテトラブトキシチタン(TBT)
50gを加え、100℃で1時間予備加熱させた後、1
90℃までゆっくり昇温してキシレンを留去させてその
まま5時間反応させ、変性ポリカルボシランを合成し
た。この変性ポリカルボシランの分子量分布をゲルパー
ミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定し
た結果、仕込んだTBTの約8割以上が未反応のモノマー
状態で残存していることが確認できた。
【0029】この変性ポリカルボシランをキシレンに溶
解させたのちガラス製の紡糸装置に仕込み、内部を十分
に窒素置換してから昇温してキシレンを留去させて、1
55℃で溶融紡糸を行った。紡糸繊維を、空気中、段階
的に135℃まで加熱して不融化させた後、1300℃
の空気中で1時間焼成を行いチタニア/シリカ繊維を得
た。
【0030】得られた繊維(平均直径:10μm)は、
X線回折の結果、非晶質シリカとアナターゼのチタニア
からなっていた。この繊維の表面から内部に向っての組
成の変化をオージェ電子分光スペクトルにより調べた結
果を図2に示す。これより、同繊維は、表面から約60
nmの範囲において表面に向ってチタンが傾斜的に増大し
ていることがわかる。また、PHILIPS製の全自動蛍光X
線分析装置(PW2400)を用いて測定した繊維全体におけ
る酸化チタンの存在割合は15重量%であった。繊維表
面の酸化チタンの結晶粒径をTEMにより測定したとこ
ろ、平均8nmであった。
【0031】次に、この繊維の光触媒活性について、以
下のように大腸菌の死滅活性を調べることにより確認し
た。1ミリリットル当たりに10万匹の大腸菌を含む水
溶液20ミリリットル中に上記繊維を0.2g入れたも
のに、ブラックライトを用いて0.2mW/cm2の紫外光を
照射し、液中に生存している大腸菌の数を経時的に測定
した結果を図3に示す。尚、この実験では、比較の為、
繊維を入れない状態で上記紫外光のみを照射したものに
ついても調べた。この結果から、同繊維を入れたものの
殺菌効果が極めて優れていることがわかる。
【0032】実施例2 参考例1の方法により合成されたポリカルボシラン16
gにトルエン100gとテトラブトキシチタン64gを
加え、100℃で1時間予備加熱させた後、150℃ま
でゆっくり昇温してトルエンを留去させてそのまま5時
間反応させ、更に250℃まで昇温して5時間反応して
変性ポリカルボシランを合成した。この変性ポリカルボ
シランに意図的に低分子量の有機金属化合物を共存させ
る目的で5gのテトラブトキシチタンを加えて、変性ポ
リカルボシランと低分子量有機金属化合物の混合物を得
た。
【0033】この変性ポリカルボシランと低分子量有機
金属化合物の混合物をトルエンに溶解させたのちガラス
製の紡糸装置に仕込み、内部を十分に窒素置換してから
昇温してトルエンを留去させて、180℃で溶融紡糸を
行った。紡糸繊維を、空気中、段階的に150℃まで加
熱し不融化させた後、1200℃の空気中で1時間焼成
を行いチタニア/シリカ繊維を得た。
【0034】得られた繊維(平均直径:13μm)は、
X線回折の結果、非晶質シリカとアナターゼのチタニア
からなっており、繊維全体のTi/Si(モル比)は
0.17であった。また、EPMAによる構成原子の分
布状態を調べたところ、最外周部から1μmの領域でT
i/Si(モル比)=0.87、最外周から3〜4μm
の領域でTi/Si(モル比)=0.15、中心部でT
i/Si(モル比)=0.04と、表面に向ってチタン
が増大する傾斜組成になっていることを確認した。同繊
維の引張り強度は1.5GPaで、従来しられているゾ
ルゲル法により得られたアナターゼ型チタニア/シリカ
繊維に比べて極めて高強度を示すものであった。また、
PHILIPS製の全自動蛍光X線分析装置(PW2400)を用い
て測定した繊維全体における酸化チタンの存在割合は4
6重量%であった。繊維表面の酸化チタンの結晶粒径を
TEMにより測定したところ、平均8nmであった。同
繊維表面に付着した食用油は、300〜400nmの紫
外光を照射することにより効果的に分解し、同繊維の光
触媒機能が確認できた。
【0035】比較例1 実施例2と同様にして合成した変性ポリカルボシランを
トルエンに溶解し、エタノール中に沈殿させて低分子量
物を除去した。そして、実施例2の記載にあるような低
分子量の有機金属化合物の添加を行わず、そのまま22
0℃で溶融紡糸を行った。この紡糸繊維を実施例2と同
様にして不融化した後、1200℃の空気中で焼成して
チタニア/シリカ繊維を得た。
【0036】得られた繊維(平均直径:13μm)は、
X線回折の結果、非晶質シリカとアナターゼのチタニア
からなっており、繊維全体のTi/Si(モル比)は
0.04であった。また、EPMAによる構成原子の分
布状態を調べたところ、最外周部から100nmの領域
でTi/Si(モル比)=0.05、最外周から3〜4
μmの領域でTi/Si(モル比)=0.04、中心部
でTi/Si(モル比)=0.05と、傾斜組成にはな
っておらず均一な組成分布を示していた。同繊維の引張
り強度は1.6GPaと、従来しられているゾルゲル法
により得られたアナターゼ型チタニア/シリカ繊維に比
べて極めて高強度を示したものの、表面近傍のチタニア
成分が少ないことから、実施例2に示したような光触媒
機能は示さなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明における目的とする傾斜組成か
らなる酸化物繊維の生成過程を模式的に示す図である。
【図2】図2は、本発明の実施例2で得られた繊維の表
面から内部に向っての組成の変化をオージェ電子分光ス
ペクトルにより調べた結果を示す図である。
【図3】図3は、本発明の実施例2で得られた繊維につ
いての大腸菌死滅実験の結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 梶井 紳二 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇部 興産株式会社宇部研究所内 Fターム(参考) 4G069 AA03 AA08 BA02B BA04B BA22C BA48A BB06A BC02A BC04A BC09A BC10A BC13A BC16A BC35A BC40A BC50A BC51A BC62A BC66A BC68A BD03A BD05A BE11C BE32C BE37C CD10 DA05 EA03X EA03Y EB18X EC22Y EC26 EC29 FA01 FA02 FB07 FB30 FB32 FB66 FC02 FC08 4L037 CS17 CS23 CS38 FA05 PA49 PS01 PS11

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリカ成分を主体とする酸化物相(第1
    相)とシリカ以外の金属酸化物相(第2相)との複合酸
    化物相からなる繊維であって、繊維の表層に向かって第
    2相を構成する金属酸化物の少なくとも1つの金属元素
    の存在割合が傾斜的に増大していることを特徴とするシ
    リカ基複合酸化物繊維。
  2. 【請求項2】繊維全体に対する第1相の存在割合が98
    〜40重量%、第2相の存在割合が2〜60重量%であ
    る請求項1に記載のシリカ基複合酸化物繊維。
  3. 【請求項3】第2相を構成する金属酸化物の少なくとも
    1つの金属元素の存在割合の傾斜が、繊維表面から5〜
    500nmの深さで存在する請求項1〜2に記載のシリ
    カ基複合酸化物繊維。
  4. 【請求項4】第2相の金属酸化物がチタニアであり、そ
    の結晶粒径が15nm以下であり、光及び/又は熱的触
    媒機能を有することを特徴とする請求項1〜3に記載の
    シリカ基複合酸化物繊維。
  5. 【請求項5】主として一般式 【化1】 (但し、式中のRは水素原子、低級アルキル基又はフェ
    ニル基を示す。)で表される主鎖骨格を有する数平均分
    子量が200〜10,000のポリカルボシランを、有
    機金属化合物で修飾した構造を有する変性ポリカルボシ
    ラン、或いは変性ポリカルボシランと有機金属化合物と
    の混合物を溶融紡糸し、不融化処理後、空気中又は酸素
    中で焼成することを特徴とする請求項1に記載のシリカ
    基複合酸化物繊維の製造方法。
  6. 【請求項6】有機金属化合物が、一般式、M(OR')n或
    いはMR''m(Mは金属元素、R'は炭素原子数1〜20
    個を有するアルキル基またはフェニル基、R"はアセチ
    ルアセトナート、mとnは1より大きい整数)を基本構
    造とする化合物である請求項4に記載のシリカ基複合酸
    化物繊維の製造方法。
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