JP2002371069A - トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート - Google Patents

トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート

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JP2002371069A
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tris
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Toshiharu Hyoda
俊治 兵田
Michiji Kita
理治 喜多
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エポキシ樹脂硬化剤、ホルムアルデヒド吸着
剤、高分子架橋剤、高分子改質剤接着剤、スライムコン
トロール剤、ヒドラジドポリマー原料等として有用な新
規ヒドラジド化合物を提供する。 【解決手段】 下記式(1)で示されるトリス(2−ヒ
ドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トリス(2−ヒド
ラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート及びその製
造方法に関するもので、より詳細にはエポキシ樹脂硬化
剤、ホルムアルデヒド吸着剤、高分子架橋剤、高分子改
質剤、接着剤、スライムコントロール剤、ヒドラジドポ
リマー原料等として有用な新規なトリス(2−ヒドラジ
ノカルボニルエチル)イソシアヌレート及びその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、各種樹脂添加剤、ホルムアルデヒ
ド吸着剤、架橋剤等としてのヒドラジド化合物には、酢
酸ヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、酪酸ヒドラジ
ド、ドデカン酸ヒドラジド、安息香酸ヒドラジド、サリ
チル酸ヒドラジド等の脂肪族または芳香族モノヒドラジ
ド;カルボジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジ
ピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカ
ンジカルボン酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジ
ド、イソフタル酸ジヒドラジド等の脂肪族または芳香族
ジヒドラジド類が知られており、広く使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、イソシ
アヌル酸骨格と3官能性のヒドラジド基とを有する新規
なヒドラジド化合物の合成に成功した。即ち、本発明の
目的は、エポキシ樹脂硬化剤、ホルムアルデヒド吸着
剤、高分子架橋剤、高分子改質剤、接着剤、スライムコ
ントロール剤、ヒドラジドポリマー原料等として有用で
ある新規なヒドラジド化合物及びその製造方法を提供す
ることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、下記式
(1)
【化4】 で示されるトリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)
イソシアヌレートが提供される。本発明によればまた、
一般式(2)
【化5】 (式中のRは炭素数1〜4の直鎖または分岐アルキル基
である)で示されるトリエステル体と水和ヒドラジンを
加熱下に反応させることを特徴とするトリス(2−ヒド
ラジノカルボニルエチル)イソシアヌレートの製法が提
供される。本発明によれば更に、トリス(2−カルボキ
シエチル)イソシアヌレートと水和ヒドラジンを加熱下
に反応させることを特徴とするトリス(2−ヒドラジノ
カルボニルエチル)イソシアヌレートの製法が提供され
る。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明のトリス(2−ヒドラジノ
カルボニルエチル)イソシアヌレートは、前記式(1)
で示すとおり、イソシアヌル酸骨格と、イソシアヌル酸
骨格の窒素原子に結合した3個の2−ヒドラジノカルボ
ニルエチル基(ヒドラジド)とを有していることが特徴
である。
【0006】イソシアヌレート構造が種々の架橋構造を
強化することは既に知られている。例えば、ポリウレタ
ンの架橋構造がイソシアヌレート構造により強化される
ことが知られている(平成6年9月20日丸善株式会社
発行「高分子大辞典」1006〜1007頁)。また、
トリアリルイソシアネートやトリス(2−ヒドロキシエ
チル)イソシアネートが耐熱性に優れた熱硬化性樹脂の
樹脂成分乃至架橋剤となることも既に知られている。一
方、ヒドラジド類は、既に指摘したとおり、エポキシ樹
脂硬化剤、ホルムアルデヒド吸着剤、架橋剤、樹脂成分
として広く使用されているものである。本発明による化
合物は、イソシアヌレート骨格と3官能性のヒドラジド
とが組み合わされた新規化合物であり、上記用途への有
用性が期待されるものである。
【0007】本発明の化合物は、一般式(2)で示され
るトリエステル体と水和ヒドラジンを加熱下に反応させ
ることにより合成することができる。
【0008】一般式(2)で示されるトリエステル体
は、例えばトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌ
レートとアルコールを硫酸の存在下に還流下で反応させ
る方法により合成することができる。エステル化反応
は、下記式(4)のとおり進行するものと思われる。
【化6】 (式中のRは炭素数1〜4の直鎖または分岐アルキル基
である)
【0009】アルコールとしては、炭素数1〜4の脂肪
族アルコールで、好ましくは一級アルコールであり、特
に分離、精製等を考えるとメタノールが好ましい。アル
コールの使用量は、特に制限されないが、通常トリス
(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート1モルに対
して3〜90倍モル、好ましくは12〜60倍モルであ
る。
【0010】硫酸の使用量は、通常トリス(2−カルボ
キシエチル)イソシアヌレート1モルに対して0.01
〜0.5倍モル、好ましくは0.05〜0.20倍モル
である。反応時間は、通常、4〜50時間、好ましくは
8〜24時間である。目的のエステルを含む反応液は、
そのまま水和ヒドラジンとの反応に用いてもよく、ある
いは抽出、濃縮、晶析等の分離操作により反応液から単
離精製し次の反応に用いてもよい。
【0011】上記エステルと水和ヒドラジンの反応は、
溶媒を用いなくとも実施できるが、好ましくは水または
メタノール等の低級アルコール類を単独あるいは混合し
て使用することができる。水和ヒドラジンの使用量は、
特に制限されないが、通常エステル1モルに対して3〜
30倍モル、好ましくは3.5〜12倍モルである。反
応温度は、通常30〜100℃、好ましくは60〜80
℃である。反応時間は、通常0.5〜10時間、好まし
くは1〜6時間である。反応終了後、得られる本発明化
合物は、濾過等の通常の分離操作により容易に反応混合
物より単離することができ、必要に応じて再結晶により
精製することも可能である。ヒドラジド化反応は、下記
式(5)のとおり進行するものと思われる。
【化7】 (式中のRは炭素数1〜4の直鎖または分岐アルキル基
である)
【0012】本発明の化合物はまた、トリス(2−カル
ボキシエチル)イソシアヌレートと水和ヒドラジンを加
熱下に反応させることにより合成することができる。
【0013】トリス(2−カルボキシエチル)イソシア
ヌレートと水和ヒドラジンの反応は、溶媒を用いなくと
も実施できるが、好ましくは水またはメタノール等の低
級アルコール類を単独あるいは混合して使用することが
できる。水和ヒドラジンの使用量は、特に制限されない
が、通常、トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌ
レート1モルに対して3〜30倍モル、好ましくは3.
5〜15倍モルである。反応時に生成してくる水を系外
に留去しながら反応を行ってもよく、反応温度は、通常
30〜120℃、好ましくは70〜110℃である。反
応時間は、通常1〜50時間、好ましくは1〜30時間
である。反応終了後、得られる本発明化合物は、濃縮、
濾過等の通常の分離操作により容易に反応混合物より単
離することができ、必要に応じて再結晶により精製する
ことも可能である。
【0014】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの例によって何ら制限されるも
のではない。なお、トリス(2−ヒドラジノカルボニル
エチル)イソシアヌレートの構造確認は、元素分析、核
磁気共鳴スペクトル(NMR)分析により行った。
【0015】実施例1 トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートから
のトリス(2−メトキシカルボニルエチル)イソシアヌ
レートの合成:攪拌機、温度計及び冷却器を備えた10
00mlのガラス製反応器に、トリス(2−カルボキシ
エチル)イソシアヌレート172.7g(0.50モ
ル)、メタノール480.6g(15.0モル)および
98%硫酸5.0g(0.05モル)を仕込み、攪拌還
流下に10時間反応を行った。反応終了後、メタノール
を減圧濃縮し、トルエン450ml及び7%炭酸水素ナ
トリウム水溶液120gを添加し抽出を行い、次に水2
00gで洗浄を行った。その後抽出液を濃縮し結晶を析
出させ、トリス(2−メトキシカルボニルエチル)イソ
シアヌレート178.6g(収率92.2%)を得た。
【0016】トリス(2−メトキシカルボニルエチル)
イソシアヌレートからのトリス(2−ヒドラジノカルボ
ニルエチル)イソシアヌレートの合成:撹拌機、温度
計、滴下ロートおよび冷却器を備えた500mlフラス
コにトリス(2−メトキシカルボニルエチル)イソシア
ヌレート77.5g(0.20モル)、メタノール20
0mlを仕込み、撹拌下水和ヒドラジン120.1g
(2.40モル)を滴下ロートより滴下し、滴下終了後
に還流下3時間反応を行った。反応終了後、15℃まで
冷却し結晶物を分離した。次いでメタノールで洗浄後、
乾燥しトリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソ
シアヌレート66.1g(収率85.4%)を得た。高
速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した結果
含量99.6%(面積百分率)、融点196.9〜19
7.5℃であった。この化合物のNMRスペクトルを図
1に示す。 元素分析 : C1221として C:測定値37.05% 理論値37.21% N:測定値32.59% 理論値32.54%
【0017】実施例2 トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌ
レートの合成:攪拌機、温度計、滴下ロートおよび冷却
器を備えた5000mlフラスコにトリス(2−カルボ
キシエチル)イソシアヌレート346.7g(1.00
モル)、メタノール1600.4g(49.95モ
ル)、98%硫酸10.0g(0.10モル)を仕込
み、撹拌還流下に12時間反応を行った。反応終了後、
反応混合物へメタノール1600g及び水400gを添
加し、次に水和ヒドラジン450.6g(9.00モ
ル)を滴下ロートより滴下し、滴下終了後に還流下6時
間反応を行った。反応終了後、20℃まで冷却し結晶物
を分離した。次いでメタノールで洗浄後、乾燥しトリス
(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート
350.1g(収率90.4%)を得た。HPLCで分
析した結果含量99.0%(面積百分率)、融点19
7.1〜197.8℃であった。
【0018】実施例3 トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートから
のトリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシア
ヌレートの合成:撹拌機、温度計及び冷却器を備えた3
00mlフラスコにトリス(2−カルボキシエチル)イ
ソシアヌレート34.5g(0.10モル)及び水和ヒ
ドラジン25.1g(0.50モル)を仕込み、撹拌下
110〜115℃で6時間反応を行った。反応終了後、
反応液をHPLCで分析した結果、トリス(2−ヒドラ
ジノカルボニルエチル)イソシアヌレートの反応収率
は、85.5%であった。
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、イソシアヌル酸骨格と
3官能性のヒドラジド基とを有する新規なヒドラジド化
合物の合成に成功した。このもトリス(2−ヒドラジノ
カルボニルエチル)イソシアヌレートは、エポキシ樹脂
硬化剤、ホルムアルデヒド吸着剤、高分子架橋剤、高分
子改質剤、接着剤、スライムコントロール剤、ヒドラジ
ドポリマー原料等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の、トリス(2−ヒドラジノカルボニル
エチル)イソシアヌレートのNMRスペクトルである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1) 【化1】 で示されるトリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)
    イソシアヌレート。
  2. 【請求項2】 下記一般式(2) 【化2】 (式中のRは炭素数1〜4の直鎖または分岐アルキル基
    である)で示されるトリエステル体と水和ヒドラジンを
    加熱下に反応させることを特徴とするトリス(2−ヒド
    ラジノカルボニルエチル)イソシアヌレートの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 下記式(3) 【化3】 で示されるトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌ
    レートと水和ヒドラジンを加熱下に反応させることを特
    徴とするトリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イ
    ソシアヌレートの製造方法。
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