JP2002368260A - 化合物半導体発光素子、その製造方法、ランプ及び光源 - Google Patents

化合物半導体発光素子、その製造方法、ランプ及び光源

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JP2002368260A JP2001167535A JP2001167535A JP2002368260A JP 2002368260 A JP2002368260 A JP 2002368260A JP 2001167535 A JP2001167535 A JP 2001167535A JP 2001167535 A JP2001167535 A JP 2001167535A JP 2002368260 A JP2002368260 A JP 2002368260A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来のホモ接合型構造に代替して、外部に発光
を取り出すに好都合となるヘテロ接合構造を備えたGa
As1-XX系発光素子を提供する。 【解決手段】砒化リン化ガリウム(GaAs1-XX:0
≦X≦1)発光層に含硼素III−V族化合物半導体層
を接合させたヘテロ接合構造を利用して発光素子を構成
する。特に、砒化リン化ガリウム発光層以上の禁止帯幅
を有する含硼素III−V族化合物半導体層を発光層に
ヘテロ接合させる。含硼素III−V族化合物半導体層
を砒化リン化硼素(BAsP)混晶あるいはリン硼素
(BP)から構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、砒化リン化ガリウ
ム(GaAs1-XX:0≦X≦1)層と、硼素(B)と
少なくともリン(P)または砒素(As)とを含む含硼
素III−V族化合物半導体層とから形成されるヘテロ
接合構造を利用して作製した化合物半導体発光素子に関
する。
【0002】
【従来の技術】元素周期律の第III族及び第V族に属
する元素からなるIII−V族化合物半導体から構成さ
れる発光素子のひとつに、例えば、砒化リン化ガリウム
(GaAs1-XX:0≦X≦1)からなる発光ダイオー
ド(LED)がある(寺本 巌著、「半導体デバイス概
論」((株)培風館1995年5月30日発行初版)、
118〜121頁参照)。具体例として、GaP結晶層
を発光層とした、発光波長を約555nmとする緑色帯
のGaPからなるLEDが公知である(上記の「半導体
デバイス概論」、118〜121頁参照)。従来より実
用化されているGaPからなるLEDでは、発光部はn
形とp形の導電性GaP結晶層を同種(homo)接合
させた構造からなっている(例えば、David Wo
od、”Optoelectronic Semico
nductor Devices”(Prentice
Hall Int.(UK).Ltd.)(199
4)、99〜102頁参照)。
【0003】例えば、従来のGaPからなるLEDにあ
って、発光層として利用されているGaPは間接遷移型
のIII−V族化合物半導体である。間接遷移型の半導
体では、発光をもたらすキャリア(carrier)の
放射再結合効率は低い(K.ジーガー著、「セミコンダ
クターの物理学(下)」((株)吉岡書店、1991年
6月25日発行第1刷)、505〜507頁参照)。こ
のため、従来より発光強度の増大を目的として、等電子
的捕獲中心(isoelectronic trap)
となる不純物を添加したGaP結晶層から発光層を構成
するのが一般的となっている(上記の「半導体デバイス
概論」、118〜121頁参照)。例えば、窒素(N)
をアイソエレクトロニックトラップ作用を及ぼす不純物
として添加したGaP結晶層を発光層とするGaP緑色
LEDが知られている。
【0004】しかし、従来のGaP緑色帯LEDの発光
の波長は約555nmである。これは、GaPの室温で
の禁止帯幅である約2.26eVに対応する波長と略同
等となっている(上記の「半導体デバイス概論」、28
頁参照)。このため、従来のGaPホモ接合構造からな
るLEDでは、発光がGaP結晶層に吸収されてしまう
欠点があった。即ち、発光を外部に取り出すに好都合な
接合構成とはなっていない問題が残存していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来のホモ接合構造か
らではなく、発光層よりも禁止帯幅を大とする半導体層
とのヘテロ接合構造から構成して外部への発光の取り出
し効率を増大させれば従来よりも発光強度に優れるGa
As1-XX(0≦X≦1)からなるLEDが構成できる
と期待される。しかし、GaAs1-XX(0≦X≦1)
系LEDにあって、発光強度の増大に寄与できる好適で
且つ簡便に形成できる実用的なヘテロ接合構造の構成は
提供されていない。
【0006】本発明は、上記の従来技術の問題点を解決
すべくなされたもので、従来のホモ接合型構造に代替し
て、ヘテロ接合構造を備えたGaAs1-XX系発光素子
を提供する。特に、外部に発光を取り出すに好都合とな
る、禁止帯幅をGaAs1-XX(0≦X≦1)よりも大
とする含硼素III−V族化合物半導体とのヘテロ接合
構造を具備したGaAs1-XX系発光素子を提供するも
のである。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、次の
(1)乃至(9)に記載の含硼素III−V族化合物半
導体と砒化リン化ガリウム(GaAs1-XX:0≦X≦
1)層とのヘテロ接合構造を具備した化合物半導体発光
素子である。 (1)砒化リン化ガリウム(GaAs1-XX:0≦X≦
1)層と、硼素(B)と少なくともリン(P)または砒
素(As)とを含む含硼素III−V族化合物半導体層
とから形成されるヘテロ接合構造を備えていることを特
徴とする化合物半導体発光素子。 (2)ヘテロ接合構造を形成する砒化リン化ガリウム層
が発光層であることを特徴とする前記(1)に記載の化
合物半導体発光素子。 (3)砒化リン化ガリウム層からなる発光層に、等電子
的捕獲中心(isoelectronic trap)
を形成する不純物が添加されていることを特徴とする前
記(2)に記載の化合物半導体発光素子。 (4)等電子的捕獲中心を形成する不純物が窒素(N)
であることを特徴とする前記(3)に記載の化合物半導
体発光素子。 (5)ヘテロ接合構造を形成する砒化リン化ガリウム層
からなる発光層と含硼素III−V族化合物半導体層と
が、互いに異なる伝導形を有することを特徴とする前記
(2)乃至(4)の何れか1項に記載の化合物半導体発
光素子。 (6)含硼素III−V族化合物半導体層の禁止帯幅
が、砒化リン化ガリウム層の禁止帯幅よりも0.2エレ
クトロンボルト(eV)以上大であることを特徴とする
前記(1)乃至(5)の何れか1項に記載の化合物半導
体発光素子。 (7)含硼素III−V族化合物半導体層を、多結晶ま
たは非晶質を主体とする半導体層から構成したことを特
徴とする前記(1)乃至(6)の何れか1項に記載の化
合物半導体発光素子。 (8)含硼素III−V族化合物半導体層が、砒化リン
化硼素(BAs1-YY:0≦Y≦1)であることを特徴
とする前記(1)乃至(7)の何れか1項に記載の化合
物半導体発光素子。 (9)含硼素III−V族化合物半導体層が、リン化硼
素(BP)であることを特徴とする前記(8)に記載の
化合物半導体発光素子。
【0008】また、本発明は、前記(1)〜(9)に記
載の化合物半導体発光素子を好都合に提供するための次
の(10)(11)に記す化合物半導体発光素子の製造
方法を提供する。 (10)基板上に砒化リン化ガリウム層を積層し、該砒
化リン化ガリウム層上に含硼素III−V族化合物半導
体層を積層してヘテロ接合構造を形成する化合物半導体
発光素子の製造方法において、基板上に砒化リン化ガリ
ウム層を積層した後、該砒化リン化ガリウム層を積層し
た温度以下の温度で含硼素III−V族化合物半導体層
を積層することを特徴とする前記(1)乃至(9)の何
れか1項に記載の化合物半導体発光素子の製造方法。 (11)含硼素III−V族化合物半導体層を250℃
以上700℃以下の温度で形成することを特徴とする前
記(10)に記載の化合物半導体発光素子の製造方法。
【0009】また本発明では、次の(12)に記載のラ
ンプ及び(13)に記載の光源を提供する。 (12)前記(1)乃至(9)の何れか1項に記載の化
合物半導体発光素子を用いたランプ。 (13)前記(12)に記載のランプを用いた光源。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施形態では、結
晶基板上に設けたGaAs1-XX(0≦X≦1)層に、
硼素(B)と少なくともリン(P)または砒素(As)
とを含む含硼素III−V族化合物半導体層を異種接合
させてヘテロ接合構造を構成する。結晶基板の材料とし
ては、BP単結晶(Kristall und Tec
hnik、2(4)(1967)、523〜534頁参
照)、サファイア(α−Al23)、炭化珪素(Si
C)、リン化ガリウム(GaP)、砒化ガリウム(Ga
As)並びにシリコン(珪素単結晶)が例示できる。
【0011】また本発明の第2の実施形態では、含硼素
III−V族化合物半導体をGaAs 1-XX(0≦X≦
1)からなる発光層にヘテロ接合させ、ヘテロ接合構造
の発光部を構成する。
【0012】ヘテロ接合をなす含硼素III−V族化合
物半導体として、組成式AlαβGaγIn1- α - β -
γ1- δAsδ(0≦α<1、0<β≦1、0≦γ<
1、0<α+β+γ≦1、0≦δ≦1)で表記されるI
II−V族化合物半導体が例示できる。例えば、リン化
硼素(BP)及び砒化硼素(BAs)或いはその混晶が
挙げられる。例えば、リン化アルミニウム・硼素混晶
(AlZ1-ZP:0≦Z<1)や砒化アルミニウム・硼
素混晶(AlZ1-ZAs)がある。また、例えば、リン
化硼素・ガリウム混晶(B1-ZGaZP:0≦Z<1)或
いはリン化硼素・インジウム混晶(B1-ZInZP:0≦
Z<1)等が挙げられる。例えば、BP層は、有機金属
化学的気相堆積(MOCVD)法(Inst.Phy
s.Conf.Ser.,No.129(IOP Pu
blishing Ltd.,1993)、157〜1
62頁参照)、分子線エピタキシャル(MBE)法
(J.Solid State Chem.,133
(1997)、269〜272頁参照)、ハライド(h
alide)法(「日本結晶成長学会誌」、Vol.
24、No.2(1997)、150頁及びJ.Ap
pl.Phys.,42(1)(1971)、420〜
424頁参照)、及びハイドライド(hydride)
法等の気相成長手段に依り成長できる(J.Crys
tal Growth、24/25(1974)、19
3〜196頁及びJ.Crystal Growt
h、132(1993)、611〜613頁参照)。
【0013】本発明の第3の実施形態では、等電子的捕
獲中心(isoelectronictrap)を含む
GaAs1-XX(0≦X≦1)からなる発光層に、上記
の含硼素III−V族化合物半導体層をヘテロ接合させ
る。GaAs1-XX(0≦X≦1)について等電子的捕
獲中心として作用する代表的な不純物には窒素(N)が
挙げられる(上記の「半導体デバイス概論」、118頁
参照)。その他の等電子的捕獲中心として作用する不純
物にビスマス(Bi)がある。また、等電子的捕獲中心
と同様にして作用する不純物に、亜鉛(Zn)と酸素
(O)が対となったZn−O対と呼ばれる不純物があ
る。等電子的不純物を含むGaAs1-XX(0≦X≦
1)からは強度的に優れる発光層を構成できる利点があ
る。等電子的不純物である窒素を含むGaAs1-X
X(0≦X≦1)発光層は、例えば、液相エピタキシャ
ル(LPE)法、ハロゲン(halogen)またはハ
イドライド(hydride)気相エピタキシャル(V
PE)法或いはMOCVD法等による成長時に、アンモ
ニア(NH3)或いはヒドラジン(H2NNH2)類等を
窒素源として窒素を添加すれば形成できる。窒素は発光
層内での原子濃度を約1×10 18cm-3を越える様に添
加(doping)するのが望ましい。
【0014】本発明の第4の実施形態では、n形GaA
1-XX(0≦X≦1)発光層には、p形の含硼素II
I−V族化合物半導体層を接合させてヘテロ接合を構成
する。また、p形GaAs1-XX(0≦X≦1)発光層
にはn形の含硼素III−V族化合物半導体層を接合さ
せてヘテロ接合を構成する。発光層とは反対の伝導形の
含硼素III−V族化合物半導体層を接合させることに
より、pn接合型のヘテロ接合構造を構成できる。pn
接合型ヘテロ接合構造は、化合物半導体発光素子を構成
するための発光部として優位に利用できる。GaAs
1-XX(0≦X≦1)発光層並びに含硼素III−V族
化合物半導体層共々、p形伝導層は成膜時に亜鉛(Z
n)、マグネシウム(Mg)等の第II族または炭素
(C)等の第IV族不純物を添加して得られる。n形伝
導層は珪素(Si)、錫(Sn)等の第IV族、または
硫黄(S)またはセレン(Se)などの第VI族不純物
を添加して得られる。また、上記の元素のイオンをイオ
ン注入手段により注入すればp形或いはn形伝導層を得
ることができる。
【0015】GaAs1-XX(0≦X≦1)発光層に、
より禁止帯幅を大とする含硼素III−V族化合物半導
体層をヘテロ接合させると、キャリアの「閉じ込め」効
果を発揮するヘテロ接合構造を構成できる。発光層より
も約0.1eV高い禁止帯幅の含硼素III−V族化合
物半導体層を接合させると、キャリアの「閉じ込め」効
果が顕現される。発光層より禁止帯幅を0.2eV以上
大とする含硼素IIIV族化合物半導体を接合させれ
ば、発光層との接合界面に於けるバンド(band)不
連続性は増し、キャリアをより効果的に閉じ込められる
利点がある。従って、本発明の第5の実施形態からは、
GaAs1-XX(0≦X≦1)発光層より禁止帯幅を
0.2eV以上大とする含硼素III−V族化合物半導
体層をキャリアの「閉じ込め」効果を発揮する障壁層と
して、発光層に接合させてヘテロ接合構造を構成でき
る。
【0016】本発明の第6の実施形態では、含硼素II
I−V族化合物半導体層を多結晶または非晶質を主体と
して構成する。GaP単結晶の格子定数は5.450Å
であり、また、GaAsの格子定数は5.654Åであ
る(上記の「半導体デバイス概論」、28頁参照)。一
方、例えば、リン化硼素(BP)の格子定数は4.53
8Åである(上記の「半導体デバイス概論」、28頁参
照)。また、例えば、砒化硼素(BAs)の格子定数は
4.777Åであるため(上記の「半導体デバイス概
論」、28頁参照)、BPとBAsとの混晶であるBA
1-YY(0≦Y≦1)とGaAs1-XX(0≦X≦
1)とは格子不整合の関係にある。例えば、インジウム
組成を約0.32(=32%)とするB0.68In0.32
混晶(格子定数≒5.450Å)の如くGaPと格子整
合をなすBP系混晶もあるが、含硼素III−V族化合
物半導体と発光層をなすGaAs1-XX(0≦X≦1)
とは総じて格子不整合の関係にある。従って、GaAs
1-XX(0≦X≦1)発光層とヘテロ接合させる含硼素
III−V族化合物半導体層を単結晶層から構成する
と、格子のミスマッチ(mismatch)に起因して
多量の結晶欠陥が発生するため粗悪な結晶性の含硼素I
II−V族化合物半導体層が帰結される。このため、本
発明では、発光層には、格子ミスマッチを緩和して結晶
性に優れる作用を発揮できる多結晶層、更に望ましくは
非晶質を主体とする含硼素III−V族化合物半導体層
をヘテロ接合させることとする。多結晶層、更に望まし
くは非晶質を主体として構成された含硼素III−V族
化合物半導体層からは、ミスフィット転位等の結晶欠陥
を介しての素子駆動電流の発光層への短絡的な流通等の
不具合を抑制できる効果が得られる。
【0017】多結晶層、更に望ましくは非晶質を主体と
する含硼素III−V族化合物半導体層は一般には、単
結晶層が得られる温度よりも低温で形成できる。また、
非晶質層は多結晶層よりも更に低温で形成できる。例え
ば、単結晶のリン化硼素(BP)を形成するための温度
は、トリエチル硼素((C253B)/ホスフィン
(PH3)系常圧MOCVDでは概して、700℃以上
である(米国特許US−6,069,021号参照)。
また、三塩化硼素(BCl3)/三塩化リン(PCl3
系ハロゲンVPE法では、BP単結晶が得られる温度範
囲は、1030℃以上で1080℃以下の僅か50℃の
範囲となっている(西永 頌、「化合物半導体のヘテロ
エピタキシー」(「応用物理」、第45巻第9号(19
76)、891〜897頁参照)。この単結晶BP層の
形成温度に対し、多結晶BP層は大凡、500℃以上で
700℃以下の広い温度範囲で得られる。また、非晶質
を主体とするBP層は更に、低温の約250℃〜約50
0℃の温度範囲で形成できる。従って、多結晶または非
晶質を主体とする含硼素III−V族化合物半導体層
は、250℃以上700℃以下の温度で積層することに
より得ることができる。障壁層の結晶形態(構造)は一
般的なX線回折法(XRD)や電子線回折法に依る回折
パターンから知れる。単結晶からは斑点(spot)状
の回折点が帰結される(J.Crystal Grow
th、70(1984)、507〜514頁参照)。
【0018】本発明の第7の実施形態では、発光層にB
As1-YY(0≦Y≦1)を接合させてヘテロ接合構造
を構成する。BPのイオン結合度(フィリップスのイオ
ン結合度)は0.006と低い(フィッリプス著、「半
導体結合論」((株)吉岡書店、1985年7月25日
発行第3刷)、51頁参照)。BAsのイオン結合度は
更に小さく0.002であり(上記の「半導体結合
論」、51頁参照)、全んど共有結合性の半導体であ
る。このため、BAs1-YY(0≦Y≦1)では、立方
晶閃亜鉛鉱結晶型の縮帯した価電子帯構造と相まって、
添加した不純物の電気的活性化率は大となる。このた
め、例えば、障壁層として好適なキャリア濃度を有する
導電性の結晶層が得られ易い利点がある。障壁層として
は、キャリア濃度が約1×1018cm-3〜約5×1018
cm-3となる様にドーピング(doping)されてい
るのが好ましい。障壁層の層厚は例えば、約30nmか
ら約500nmとし、低いキャリア濃度の場合程、層厚
は厚くするのが望ましい。
【0019】特に、BAs1-YY3元混晶に比較して、
構成元素数がより少ない2元結晶のBPはより簡便に形
成できる。BPは一種のIII−V族化合物半導体であ
り(Nature、179(No.4569)(195
7)、1075頁参照)、気相成長手段により得たBP
層の禁止帯幅は約6eVであるとされている(Phy
s.Rev.Lett.,Vol.4、No.6(19
60)、282〜284頁参照)。しかし一方で、例え
ば、上記の成長反応系を利用したMOCVD法により、
成長速度を毎分2nm以上30nm以下の範囲内で精密
に制御すれば禁止帯幅を約3eVとするBP層が獲得で
きる。この様な禁止帯幅を室温で有するBP層は、障壁
層として特に好都合に利用できる。発光層をなすGaA
1-XX(0≦X≦1)の採り得る最大の禁止帯幅は、
GaPの室温禁止帯幅に相当する室温で2.26eVで
ある。また、GaPのΓ帯の禁止帯幅は2.77eVで
ある(W.A.ハリソン著、「固体の電子構造と物性−
化学結合の物理−(上巻)」(1987年5月30日、
現代工学社発行、二版)、269参照)。従って、禁止
帯幅を約3eVとするBPから障壁(clad)層を構
成すれば、GaPのΓ帯に於いて禁止帯幅の差異は約
0.23eVとなり、キャリアの「閉じ込め」作用を及
ぼせる効果が挙げられる。従来の約6eVと極めて高い
禁止帯幅のBP層からは、バンド不連続性がより大きな
障壁層を構成できるが、逆に禁止帯幅の差異が大きいた
めに、発光素子の順方向電圧(所謂、Vf)を低減する
に然したる効果を及ぼせない難点がある。従って、本発
明の第8の実施形態では、充分な障壁作用を発揮しつ
つ、且つVfを徒に増大させない適度の禁止帯幅を有す
るのBP層から含硼素III−V族化合物半導体層を構
成するのを好適な実施態様とする。
【0020】また、障壁層に加えて例えば、禁止帯幅を
約3eVとするBP層からは、約413nmより長波長
の発光を効率的に透過する発光透過層を構成できる。例
えば、GaP発光層からの波長を約555nmとする緑
色帯発光を都合良く透過できる発光透過層が得られる。
従って、緑色光を出射するGaP発光層上にBPからな
る障壁層を兼用する発光透過層を設けてヘテロ接合型の
GaPLEDを構成することとすれば、従来のホモ接合
型GaP緑色LEDに於けるGaP層による発光の吸収
を回避できるため、発光の外部への取り出し効率の高い
ヘテロ接合型GaPLEDがもたらされる。また、発光
透過層(窓層)を兼用できる障壁層を利用すれば、単純
化された積層構造をもってヘテロ接合型発光素子を簡便
に構成できる利点がある。
【0021】含硼素III−V族化合物半導体層をGa
As1-XX(0≦X≦1)層の形成温度を越えない温度
で形成すると、高温環境下での保持に因るヘテロ接合界
面の乱雑化等の熱変性を回避できる。このため、本発明
の9の実施形態では、GaAs 1-XX(0≦X≦1)層
上に、当該層の形成温度以下の温度に於いて含硼素II
I−V族化合物半導体層を接合させてヘテロ接合構造を
形成する。例えば、窒素(N)をアイソエレクトロニッ
ク不純物として含むn形GaAs1-XX(0≦X≦1)
発光層を780℃で形成した後、同温度で続けてp形の
含硼素III−V族化合物半導体層を接合させてヘテロ
接合構造を形成する。即ち、GaAs1-XX(0≦X≦
1)発光層の形成温度以下の温度で、含硼素III−V
族化合物半導体層を形成する手段をもって、被熱に因る
発光層とのヘテロ接合界面の乱雑化を回避するものであ
る。
【0022】また、上記の如く多結晶または非晶質を主
体とする含硼素III−V族化合物半導体層は、単結晶
層を得るための温度より低温である。従って、含硼素I
II−V族化合物半導体層を多結晶または非晶質を主体
として構成すれば、乱雑化による接合界面の平坦の劣化
を防止することに、より効果が挙げられる。これより、
例えば、順方向電圧(Vf)等の特性が均一とするLE
Dを構成できる利点がある。従って本発明では、含硼素
III−V族化合物半導体層を多結晶層または非晶質を
主体とする層が得られる低温で形成することとするのが
好ましい。
【0023】また、含硼素III−V族化合物半導体層
を250℃以上700℃以下、より好ましくは300℃
以上550℃以下の低い温度で形成することとすれば、
p形及びn形不純物の相互拡散を抑制できる利点があ
る。このため、優れた整流性を維持したpn接合構造が
構築でき、従って、逆方向耐圧が高く且つ順方向電圧の
低いpn接合型ヘテロ接合LEDを構成するに効果が奏
される。本発明の第10の実施形態の一例として、75
0℃で形成したn形GaP発光層に、350℃で形成し
たp形の非晶質BP層をヘテロ接合させる例が挙げられ
る。形成温度を低温とする程、非晶質を主体とする含硼
素III−V族化合物半導体層を得るのに好都合とな
る。
【0024】本発明に依る化合物半導体発光素子を用い
れば、GaAs1-XX(0≦X≦1)発光層にヘテロ接
合させた含硼素III−V族化合物半導体層による窓
(window)層の効果により高輝度のランプを構成
できる。例えば、図1に例示する如く、基板11上にG
aP発光層とリン化硼素(BP)層とのヘテロ接合構造
12を備えたLED10を、台座15上の銀(Ag)或
いはアルミニウム(Al)等の金属を鍍金した碗体16
の中央部に導電性の接合材で固定する。これより、基板
11の底面に設けた一方の極性の裏面電極14を台座1
5に付属する一方の端子17に電気的に接続させる。ま
た、ヘテロ接合構造12上に設置した表面電極13を金
線等で他方の端子18に結線する。そして一般的な半導
体封止用のエポキシ樹脂19でLEDを囲繞する様に封
止すれば、図1に示すような本発明に係わるランプを構
成できる。
【0025】一般的な半導体封止用のエポキシ樹脂19
の屈折率は約1.5前後である。また、含硼素III−
V族化合物半導体にあってMOCVD手段で形成された
多結晶リン化硼素(BP)の波長555nmの緑色光に
ついての屈折率は約2.6である。また、GaP単結晶
の屈折率は約3.5である。従って例えば、GaP発光
層とBP層とのヘテロ接合構造12を備えたLED10
をエポキシ樹脂で封止する構成とすれば、発光の取り出
し方向、即ち、発光層から窓層を経由して封止樹脂方向
に屈折率が順次、減少する外部への発光の取り出し経路
を構成できる。従って、発光を外部へ広角に発散して取
り出せるため、高輝度のランプを提供できる。また、本
発明によれば約200μm〜約300μm角の小型のL
EDも形成できるため、設置容積を小とする表示器等と
して好適な小型のランプを構成できる。
【0026】上記の本発明のLEDを用いたランプは、
様々な光源として利用することができる。例えば、複数
のランプを電気的に並列に接続させて、定電圧駆動型の
光源を構成できる。また、電気的に直列にランプを接続
して定電流型の光源を構成できる。これらのLEDのラ
ンプを利用する光源は、従来の白熱型の光源とは異な
り、点灯によりさほど放熱を伴わないため、冷光源とし
て特に有用に利用できる。例えば、冷凍食品の展示用光
源として利用できる。また、含硼素III−V族化合物
半導体層をヘテロ接合層として具備するLEDは、従来
のGaAs1-XX(0≦X≦1)系ホモ接合型LEDに
比較すれば高輝度であるため、本発明のLEDを用いた
ランプは、例えば、屋外表示器、交通信号を提示するた
めの信号器、方向指示器或いは照明機器等の光源を構成
するのに好適に使用できる。
【0027】
【作用】GaAs1-XX(0≦X≦1)からなる発光層
にヘテロ接合させた含硼素III−V族化合物半導体
層、特に発光層以上の禁止帯幅を有する含硼素III−
V族化合物半導体層は、発光層との禁止帯幅との差異、
即ちバンドオフセット(障壁差)があるため、発光領域
にキャリアを閉じ込める作用を発揮する。
【0028】また、GaAs1-XX(0≦X≦1)発光
層にヘテロ接合させた、発光層以上の禁止帯幅を有する
含硼素III−V族化合物半導体層は、発光領域からの
発光を外部へ効率的に透過する作用を有する。
【0029】
【実施例】(実施例1)本実施例1では、含硼素III
−V族化合物半導体層としてリン化硼素(BP)層を備
えたリン化ガリウム(GaP)を発光層とするヘテロ接
合型のLEDを作製した例を用いて本発明を具体的に説
明する。本実施例1で作製したLED20の断面構造を
図2に模式的に示す。
【0030】LED20用途の積層構造体21は、亜鉛
(Zn)ドープでp形の(100)面を有するGaP単
結晶を基板201として構成した。基板201の表面を
硝酸(HNO3)と塩酸(HCl)との混合液を用いて
室温でエッチングした後、表面上に一般的な液相エピタ
キシャル(liquid−phase epitaxi
al)手段に依り、亜鉛(Zn)ドープのp形GaP層
202を積層した。亜鉛ドープのp形GaP層202の
積層温度は780℃とした。また、キャリア濃度は約4
×1018cm-3とし、層厚は約2.5μmとした。
【0031】p形GaP層202上には、同じく780
℃で珪素(Si)ドープのn形GaP層からなる発光層
203を積層した。発光層203のキャリア濃度は約5
×10 17cm-3とし、層厚は約0.7μmとした。発光
層203の成長時には、アンモニア(NH3)ガスを利
用して窒素(N)をアイソエレクトロニック不純物とし
て発光層203に添加した。窒素の添加量はGaP発光
層203中の窒素原子濃度が約6×1018cm-3となる
様に設定した。
【0032】n形GaP発光層203上には、トリエチ
ル硼素((C253B)/ホスフィン(PH3)/水素
(H2)系常圧MOCVD法により、350℃で非晶質
を主体とするリン化硼素(BP)からなるヘテロ接合層
204を積層した。GaP発光層203とのヘテロ接合
層204は、珪素(Si)をドーピングした、キャリア
濃度を約1×1018cm-3とするn形BP層から構成し
た。層厚は約0.4μmとした。ヘテロ接合層204を
なすBPの禁止帯幅を、偏光分光解析法で測定した屈折
率(index of refraction)と消衰
係数(extinction coefficien
t)とを利用して求めたところ、室温で約3.1eVと
なった。
【0033】積層構造体21の最表層をなすリン化硼素
(BP)ヘテロ接合層204の表面の中央部には、直径
を約120μmとする円形のn形オーミック電極205
を配置した。n形電極205は金・ゲルマニウム合金
(Au95質量%・Ge5質量%)を一般的な真空蒸着
手段により被着させて形成した。また、GaP単結晶基
板201の裏面の略全面には、金・亜鉛合金(Au97
質量%・亜鉛3質量%)からなる真空蒸着膜を被着して
p形オーミック電極206を形成して、LED20を構
成した。
【0034】n形及びp形両オーミック電極205、2
06間に順方向に電流を通流して緑色光を発光させた。
順方向電流を20ミリアンペア(mA)とした際の発光
の中心波長は約555nm〜556nmであった。発光
波長に対応する遷移エネルギー(約2.3eV)よりも
大きな室温禁止帯幅(=3.1eV)を有するリン化硼
素(BP)層204を発光層203に窓層としてヘテロ
接合させる構成としたため、チップ(chip)状態で
の発光出力は約14ミリカンデラ(mcd)に到達し
た。即ち、従来のGaPホモ接合型緑色LEDの発光出
力が約7〜10mcdであるのに比較すれば、約1.4
〜2.0倍の高い発光出力のGaPヘテロ接合型LED
が提供されることとなった。順方向電流を20mAとし
た際の順方向電圧(所謂、Vf)は約2.3Vであっ
た。また、逆方向電流を10マイクロアンペア(μA)
と規定した場合の逆方向電圧は5Vを越え、整流特性に
優れるLEDが提供された。
【0035】(実施例2)本実施例2では、実施例1と
は異なる積層構成からなる、リン化硼素(BP)/リン
化ガリウム(GaP)ヘテロ接合型LEDを例にして、
本発明を具体的に説明する。本実施例2に係わるLED
30の断面構造を図3に模式的に示す。
【0036】LED30用途の積層構造体31は、珪素
(Si)ドープでn形の(100)面を有するGaP単
結晶を基板301として用いた。基板301の表面を王
水(HNO3:HCl=1:3の混合液)を用いて室温
でエッチングした後、基板表面上に一般的な液相エピタ
キシャル手段に依り、珪素(Si)ドープのGaP層を
発光層302として積層した。珪素ドープのn形GaP
発光層302の積層温度は750℃とした。また、キャ
リア濃度は約4×1017cm-3とし、層厚は約1.5μ
mとした。発光層302の成長時には、アンモニア(N
3)ガスを利用して窒素(N)をアイソエレクトロニ
ック不純物として発光層302に添加した。窒素の添加
量はGaP発光層302中の窒素原子濃度が約5×10
18cm-3となる様に設定した。
【0037】n形GaP発光層302上には、(C
253B/PH3/H2系常圧MOCVD法により、4
00℃で非晶質を主体とするマグネシウム(Mg)ドー
プでp形のリン化硼素(BP)からなるヘテロ接合層3
03を積層した。ヘテロ接合層303の成長時に於ける
V/III比率(=PH3/(C253Bの比率)は実
施例1の場合の50から30に低下させた。また、層の
成長速度は実施例1と同じく10nm/分とした。マグ
ネシウム(Mg)はビス−シクロペンタジエニルマグネ
シウム(bis−(C552Mg)を用いてドーピン
グし、ヘテロ接合層303のキャリア濃度は約7×10
18cm-3とした。ヘテロ接合層303の層厚は約0.5
μmとした。屈折率と消衰係数の波長依存性から求めた
ヘテロ接合層303を構成するBP層の室温の禁止帯幅
は約3.1eVとなった。また、波長を555nmの緑
色光に対する屈折率は約2.6であった。
【0038】p形ヘテロ接合層303の表面の中央部に
直径を約110μmとする円形のp形オーミック電極3
04、n形GaP単結晶基板301の裏面にn形オーミ
ック電極305をそれぞれ設置してLED30を構成し
た。p形オーミック電極304は金・亜鉛合金(Au9
7質量%・亜鉛3質量%)真空蒸着膜から構成した。ま
た、n形オーミック電極305は金・ゲルマニウム合金
(Au95質量%・Ge5質量%)真空蒸着膜から形成
した。n形オーミック電極305はGaP単結晶基板3
01の裏面の略全面に形成した。
【0039】p形及びn形両オーミック電極304、3
05間に順方向に電流を通流して緑色光を発光させた。
順方向電流を20ミリアンペア(mA)とした際の発光
の中心波長は約555nmとなった。発光波長に対応す
る遷移エネルギー(約2.3eV)よりも大きな室温禁
止帯幅(=3.1eV)を有するリン化硼素(BP)層
303を発光層302に障壁層を兼用する窓層としてヘ
テロ接合させる構成としたため、チップ(chip)状
態での発光出力は平均して約15mcdに到達した。即
ち、従来のGaPホモ接合型緑色LEDの発光出力が約
7mcd〜約10mcdであるのに比較すれば、平均し
て約1.5倍から約2.0倍の高い発光出力のGaPヘ
テロ接合型LEDが提供された。順方向電流を20mA
とした際の順方向電圧(所謂、Vf)は約2.4Vであ
った。また、逆方向電流を10マイクロアンペア(μ
A)と規定した場合の逆方向電圧は5Vを越えるものと
なり、逆耐圧特性に優れるヘテロ接合型GaPLEDが
もたらされた。
【0040】(実施例3)本実施例3では、砒化リン化
硼素(BAs1-YY)からなる含硼素III−V族化合
物半導体層と砒化リン化ガリウム(GaAs1-XX:0
≦X≦1)混晶からなる発光層とのヘテロ接合構造を備
えたLEDを例にして、本発明を具体的に説明する。本
実施例4に係わるLED40の断面構造を図4に模式的
に示す。
【0041】LED40用途の積層構造体41は、珪素
(Si)ドープでn形の(100)面を有するGaAs
単結晶を基板401として構成した。基板401の表面
上には、一般的なガリウム(Ga)/アルシン(AsH
3)/PH3/H2系ハイドライド(hydride)気
相成長手段に依り、珪素(Si)ドープのGaAs1-X
X(0≦X≦1)組成勾配層402を積層した。珪素
ドープのn形GaAs1-XX組成勾配層402の積層温
度は720℃とした。また、キャリア濃度は約5×10
17cm-3とし、層厚は約3μmとした。GaAs1-XX
(0≦X≦1)組成勾配層402のリン組成(=X)は
GaAs基板401との接合界面で0(零)とし、表面
で約0.87となる様に直線的に増加させた。
【0042】n形GaAs1-XX組成勾配発光層402
上には、上記のハイドライド気相成長手段によりリン
(P)組成比を約0.87と一定としたn形のGaAs
0.130. 87発光層403を積層した。発光層403の層
厚は約1μmとした。発光層403には、アンモニア
(NH3)ガスを利用して窒素(N)を等電子的トラッ
プ不純物として約6×1018cm-3の濃度で含有させ
た。
【0043】発光層403上には、(C253B/P
3/AsH3/H2系常圧MOCVD法により、400
℃で非晶質を主体とするマグネシウム(Mg)ドープの
p形砒化リン化硼素(BAs0.100.90)からなるヘテ
ロ接合層404を積層した。ヘテロ接合層404の形成
時に於けるV/III比率(=(PH3+AsH3)/
(C 253B比率)は実施例2と同じく30とし、ま
た、成長速度は約20nm/分とした。マグネシウム
(Mg)のドーピング源には、ビス−シクロペンタジエ
ニルマグネシウム(bis−(C552Mg)を用い
た。ヘテロ接合層404のキャリア濃度は約2×1018
cm-3とした。層厚は約0.5μmとした。屈折率と消
衰係数の波長依存性を求めたヘテロ接合層404を構成
するp形砒化リン化硼素(BAs0.100.90)層の室温
の禁止帯幅は約2.9eVであった。
【0044】p形ヘテロ接合層404の表面の中央部に
直径を約130μmとする円形のp形オーミック電極4
05、n形GaAs単結晶基板401の裏面にn形オー
ミック電極406をそれぞれ設置してLED40を構成
した。p形オーミック電極405は金・亜鉛合金(Au
97質量%・亜鉛3質量%)真空蒸着膜から構成した。
また、n形オーミック電極406は金・ゲルマニウム合
金(Au95質量%・Ge5質量%)真空蒸着膜から形
成した。n形オーミック電極406はGaAs単結晶基
板401の裏面の略全面に被着させた。
【0045】p形及びn形両オーミック電極405、4
06間に20mAの順方向電流を通流したところ波長を
約582nmとする黄色帯の発光を得た。チップ(ch
ip)状態での発光出力は平均して約7mcdに到達し
た。即ち、従来のGaAs1-XXからなるpn接合型の
ホモ接合黄色LEDの発光出力の約2倍の高い発光出力
をもたらせるGaAs1-XXヘテロ接合型LEDが提供
された。これは、発光波長(=582nm)に対応する
遷移エネルギー(≒2.1eV)よりも充分に大きな室
温禁止帯幅(≒2.9eV)を有する砒化リン化硼素
(BAs1-YY)層404から発光層403にヘテロ接
合する障壁層兼窓層を構成することに依って、発光の外
部への取り出し効率が増大したためである。また、20
mAの順方向電流でのVfは約2.3Vであった。ま
た、逆方向電流を10マイクロアンペア(μA)と規定
した場合の逆方向電圧は5Vを越え、逆耐圧特性に優れ
るpn接合が帰結されていることが示された。これは、
ヘテロ接合層404を発光層403よりも低温で形成す
ることとしたため、ヘテロ接合層404と発光層403
との接合界面は乱雑化されず、良好な平坦性のpn接合
構造が形成させたことに依る。
【0046】
【発明の効果】本発明に依れば、GaAs1-XX(0≦
X≦1)発光層に含硼素III−V族化合物半導体層を
接合させたヘテロ接合構造を利用して発光素子を構成す
ることとしたので、発光強度に優れる化合物半導体発光
素子を提供できる。
【0047】特に、GaAs1-XX(0≦X≦1)発光
層以上の禁止帯幅を有する含硼素III−V族化合物半
導体層をヘテロ接合させる構成とすると、発光の外部へ
の取り出し効率を向上させることができ、従って発光強
度に優れる化合物発光素子を提供できる。
【0048】また、発光層にヘテロ接合させる含硼素I
II−V族化合物半導体層を砒化リン化硼素(BAs
P)混晶から構成することとすると、発光層に対してキ
ャリアの「閉じ込め」或いは発光を外部へ透過できる機
能層を簡便に構成でき、従って高発光強度をもたらすヘ
テロ接合構造を備えた化合物半導体発光素子を提供する
ことができる。
【0049】また、発光層にヘテロ接合させる含硼素I
II−V族化合物半導体層を発光層を形成する温度以下
の温度で形成することとすると、被熱に因る発光層との
pn接合界面の乱雑化を回避でき、整流特性に優れる高
発光強度の化合物半導体発光素子を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるランプの構成を示す断面模式図
である。
【図2】実施例1に記載のGaPヘテロ接合型LEDの
断面模式図である。
【図3】実施例2に記載のGaPヘテロ接合型LEDの
断面模式図である。
【図4】実施例3に記載のGaAsPヘテロ接合型LE
Dの断面模式図である。
【符号の説明】
10、20、30、40 発光素子(LED) 21、31、41 発光素子用途積層構造体 11 基板 12 ヘテロ接合構造 13 表面電極 14 裏面電極 15 台座 16 碗体 17、18 端子 19 エポキシ樹脂 201 p形GaP単結晶基板 202 p形GaP層 203 n形GaP発光層 204 n形BPヘテロ接合層 205 n形オーミック電極 206 p形オーミック電極 301 n形GaP単結晶基板 302 n形GaP発光層 303 p形BPヘテロ接合層 304 p形オーミック電極 305 n形オーミック電極 401 n形GaAs単結晶基板 402 n形GaAs1-XX組成勾配層 403 n形GaAs0.130.87発光層 404 p形BAs0.100.90ヘテロ接合層 405 p形オーミック電極 406 n形オーミック電極

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】砒化リン化ガリウム(GaAs1-XX:0
    ≦X≦1)層と、硼素(B)と少なくともリン(P)ま
    たは砒素(As)とを含む含硼素III−V族化合物半
    導体層とから形成されるヘテロ接合構造を備えているこ
    とを特徴とする化合物半導体発光素子。
  2. 【請求項2】ヘテロ接合構造を形成する砒化リン化ガリ
    ウム層が発光層であることを特徴とする請求項1に記載
    の化合物半導体発光素子。
  3. 【請求項3】砒化リン化ガリウム層からなる発光層に、
    等電子的捕獲中心(isoelectronic tr
    ap)を形成する不純物が添加されていることを特徴と
    する請求項2に記載の化合物半導体発光素子。
  4. 【請求項4】等電子的捕獲中心を形成する不純物が窒素
    (N)であることを特徴とする請求項3に記載の化合物
    半導体発光素子。
  5. 【請求項5】ヘテロ接合構造を形成する砒化リン化ガリ
    ウム層からなる発光層と含硼素III−V族化合物半導
    体層とが、互いに異なる伝導形を有することを特徴とす
    る請求項2乃至4の何れか1項に記載の化合物半導体発
    光素子。
  6. 【請求項6】含硼素III−V族化合物半導体層の禁止
    帯幅が、砒化リン化ガリウム層の禁止帯幅よりも0.2
    エレクトロンボルト(eV)以上大であることを特徴と
    する請求項1乃至5の何れか1項に記載の化合物半導体
    発光素子。
  7. 【請求項7】含硼素III−V族化合物半導体層を、多
    結晶または非晶質を主体とする半導体層から構成したこ
    とを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の化
    合物半導体発光素子。
  8. 【請求項8】含硼素III−V族化合物半導体層が、砒
    化リン化硼素(BAs1- YY:0≦Y≦1)であること
    を特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の化合
    物半導体発光素子。
  9. 【請求項9】含硼素III−V族化合物半導体層が、リ
    ン化硼素(BP)であることを特徴とする請求項8に記
    載の化合物半導体発光素子。
  10. 【請求項10】基板上に砒化リン化ガリウム層を積層
    し、該砒化リン化ガリウム層上に含硼素III−V族化
    合物半導体層を積層してヘテロ接合構造を形成する化合
    物半導体発光素子の製造方法において、基板上に砒化リ
    ン化ガリウム層を積層した後、該砒化リン化ガリウム層
    を積層した温度以下の温度で含硼素III−V族化合物
    半導体層を積層することを特徴とする請求項1乃至9の
    何れか1項に記載の化合物半導体発光素子の製造方法。
  11. 【請求項11】含硼素III−V族化合物半導体層を2
    50℃以上700℃以下の温度で形成することを特徴と
    する請求項10に記載の化合物半導体発光素子の製造方
    法。
  12. 【請求項12】請求項1乃至9の何れか1項に記載の化
    合物半導体発光素子を用いたランプ。
  13. 【請求項13】請求項12に記載のランプを用いた光
    源。
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