JP2002365347A - バッテリ容量判定方法及びバッテリ容量判定装置 - Google Patents

バッテリ容量判定方法及びバッテリ容量判定装置

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JP2002365347A JP2001168790A JP2001168790A JP2002365347A JP 2002365347 A JP2002365347 A JP 2002365347A JP 2001168790 A JP2001168790 A JP 2001168790A JP 2001168790 A JP2001168790 A JP 2001168790A JP 2002365347 A JP2002365347 A JP 2002365347A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、バッテリ容量判定方法及びバッテ
リ容量判定装置に関し、バッテリ開放電圧に基づくバッ
テリ容量判定の精度の向上を図ることを目的とする。 【解決手段】 バッテリの充放電が停止された後、その
停止状態が継続する時間を計数する。そして、イグニシ
ョンスイッチのオンによりバッテリの充放電が開始され
る直前のダイアグ時において、上記した継続時間が、開
放電圧Vがバッテリの本来の充電状態に対応する電圧に
なると判断できる時間に達している場合には、その時点
において電圧センサが出力する出力信号に基づいてバッ
テリの開放電圧Vを検出する。そして、その検出された
開放電圧に基づいて、予め定められた所定のマップを参
照することによりバッテリ容量SOCを判定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バッテリ容量判定
方法及びバッテリ容量判定装置に係り、特に、バッテリ
の開放電圧に基づいて該バッテリの容量を判定するバッ
テリ容量判定方法及びバッテリ容量判定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば特開2000−258
513号公報に開示される如く、バッテリの開放電圧か
らそのバッテリの容量(充電状態)を判定する装置が知
られている。一般に、バッテリには、開放電圧と容量と
の間に相関関係が認められる。そこで、上記従来の装置
では、予め定められた相関関係からバッテリの開放電圧
に対応したバッテリ容量が判定される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、バッテリ
は、充放電が繰り返される際、充放電に伴って端子間電
圧が変動する。また、充放電が停止された直後において
も、停止直前のバッテリの状態によってはバッテリの端
子間電圧が変動する。このため、充放電が停止された直
後にバッテリの端子間電圧(すなわち、開放電圧)に基
づいてバッテリの容量が判定されるものとすると、バッ
テリに実際に生じている充電状態に対応した正確な容量
を判定できないおそれがある。
【0004】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、バッテリ容量の判定精度の向上を図ることが可
能なバッテリ容量判定方法及びバッテリ容量判定装置を
提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、請求項1
に記載する如く、バッテリの開放電圧に基づいて該バッ
テリの容量を判定するバッテリ容量判定方法であって、
バッテリの充放電が停止された後、所定時間が経過した
か否かを判別する第1のステップと、前記第1のステッ
プにより前記所定時間が経過したと判別される場合に、
該判別後のバッテリの開放電圧に基づいて該バッテリの
容量を判定する第2のステップと、を備えるバッテリ容
量判定方法により達成される。
【0006】また、上記の目的は、請求項8に記載する
如く、バッテリの開放電圧に基づいて該バッテリの容量
を判定するバッテリ容量判定装置であって、バッテリの
充放電が停止された後、所定時間が経過したか否かを判
別する経過時間判別手段と、前記経過時間判別手段によ
り前記所定時間が経過したと判別される場合に、該判別
後のバッテリの開放電圧に基づいて該バッテリの容量を
判定する容量判定手段と、を備えるバッテリ容量判定装
置により達成される。
【0007】請求項1及び8記載の発明において、バッ
テリの充放電が停止された後、所定時間が経過した後
に、バッテリの開放電圧に基づいて該バッテリの容量が
判定される。バッテリの充放電が停止されると、その
後、バッテリの開放電圧は、本来の充電状態に対応した
電圧へ向けて変化する。従って、充放電が停止された
後、所定時間が経過した後のバッテリの開放電圧に基づ
いて容量を判定することとすれば、正確なバッテリ容量
を判定することが可能となる。このため、本発明によれ
ば、バッテリ容量の判定精度の向上が図られている。
【0008】ところで、バッテリの充放電が停止された
後、バッテリが本来の充電状態に対応した開放電圧に安
定するまでの時間は、バッテリの温度や劣化状態に応じ
て異なる。
【0009】従って、請求項2に記載する如く、請求項
1記載のバッテリ容量判定方法において、前記所定時間
は、バッテリの温度及び劣化度合いのうち少なくとも一
のパラメータに応じて変更されることとすれば、バッテ
リ容量の更なる判定精度の向上を図ることが可能とな
る。
【0010】また、バッテリの充放電が停止された後、
所定時間が経過したか否かを判別するうえで機械式タイ
マーを用いることとすると、その分コスト上昇を招く。
ところで、バッテリの充放電が停止されると、以後、バ
ッテリは非作動状態となるので、その温度は低下する。
【0011】従って、請求項5に記載する如く、請求項
1記載のバッテリ容量判定方法において、前記第1のス
テップは、バッテリの温度が低下したか否かに基づいて
前記所定時間が経過したか否かを判別することとすれ
ば、コストの上昇を招くことなく、バッテリの充放電が
停止された後所定時間が経過したか否かを判別すること
ができ、バッテリ容量を正確に判定することが可能とな
る。
【0012】尚、所定時間が経過したか否かがバッテリ
の温度が低下したか否かにより判定される構成において
は、バッテリが充分に温まっていない状態で充放電が停
止されると、バッテリの温度は上昇し難い。このため、
バッテリが充分に温まっていない状況下では、充放電が
停止された後所定時間が経過していないにもかかわら
ず、バッテリ温度の低下により所定時間が経過したと誤
判定され、その結果、バッテリ容量が誤判定されるおそ
れがある。
【0013】従って、請求項6に記載する如く、請求項
5記載のバッテリ容量判定方法において、前記第1のス
テップは、バッテリの充放電が停止された時点からバッ
テリの温度が所定値低下したか否かに基づいて前記所定
時間が経過したか否かを判別することとすれば、充放電
停止後における所定時間の経過の有無を精度良く判別す
ることができ、バッテリ容量の誤判定を防止することが
可能となる。
【0014】更に、バッテリが内燃機関が停止する際に
充放電停止する構成においては、バッテリの充放電が停
止される際、内燃機関が停止状態となっているため、バ
ッテリの充放電が停止された後は内燃機関の水温が低下
する。
【0015】従って、請求項3に記載する如く、請求項
1記載のバッテリ容量判定方法において、バッテリは、
車両動力源としての内燃機関が停止する場合に充放電が
停止されるバッテリであると共に、前記第1のステップ
は、内燃機関の水温が低下したか否かに基づいて前記所
定時間が経過したか否かを判別することとすれば、コス
トの上昇を招くことなく、バッテリの充放電が停止され
た後所定時間が経過したか否かを判別することができ、
バッテリ容量を正確に判定することが可能となる。
【0016】尚、この場合、内燃機関の水温が充分に温
まっていない状態で充放電が停止されると、その後、短
時間でその水温が低下してしまう。このため、内燃機関
の水温が充分に温まっていない状況下では、充放電が停
止された後所定時間が経過していないにもかかわらず、
内燃機関の水温の低下により所定時間が経過したと誤判
定され、その結果、バッテリ容量が誤判定されるおそれ
がある。
【0017】従って、請求項4に記載する如く、請求項
3記載のバッテリ容量判定方法において、前記第1のス
テップは、バッテリの充放電が停止された時点から内燃
機関の水温が所定値低下したか否かに基づいて前記所定
時間が経過したか否かを判別することとすれば、充放電
停止後における所定時間の経過の有無を精度良く判別す
ることができ、バッテリ容量の誤判定を防止することが
可能となる。
【0018】ところで、バッテリの充放電が停止された
後、所定時間が経過しない場合は、バッテリの開放電圧
が本来の充電状態に対応する安定した電圧に達していな
いため、開放電圧に基づくバッテリ容量の判定を行うこ
とができない。
【0019】従って、請求項7に記載する如く、請求項
1乃至6の何れか一項記載のバッテリ容量判定方法にお
いて、バッテリの充放電が停止された後、前記第1のス
テップにより前記所定時間が経過していないと判別され
る場合は、開放電圧に基づく容量に代えて、充放電が停
止される時点での容量をバッテリの容量として用いるこ
ととしてもよい。
【0020】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1実施例であ
るバッテリ容量判定装置を備える車両システムの要部構
成図を示す。本実施例のシステムは、車両の動力装置と
して機能する内燃機関10及びモータ・ジェネレータ
(以下、M/Gと称す)12を備えている。内燃機関1
0は、燃料を空気を伴って燃焼させることにより高圧の
作動流体を生成し、機械的動力を得る装置である。内燃
機関10の内部には、冷却水が充填されたウォータジャ
ケット(図示せず)が設けられている。エンジン10の
出力軸及びM/G12の出力軸は、それぞれ、遊星歯車
機構14を介して、車輪に連結するクランクシャフト1
6に連結されている。本実施例において、車両は、エン
ジン10の出力とM/G12の出力とを適宜組み合わせ
て車輪を回転させるトルクを発生する。
【0021】M/G12には、インバータ20を介して
バッテリ22が接続されている。バッテリ22は、直列
に接続された複数のバッテリセルから構成されており、
例えば12V程度の出力電圧を有する鉛酸バッテリであ
る。インバータ20は、モータ駆動用パワートランジス
タを内蔵しており、そのモータ駆動用パワートランジス
タのスイッチング動作に応じてバッテリ22の直流電力
をM/G12の交流電力に変換する。M/G12は、モ
ータ駆動用パワートランジスタがオン状態にある場合
に、バッテリ22から電力が供給されることによりバッ
テリ22を電源にして駆動し、所定のトルクを発生す
る。すなわち、バッテリ22は、インバータ20のモー
タ駆動用パワートランジスタがオン状態にある場合に、
M/G12に対して電力を供給する。
【0022】また、M/G12は、通常のオルタネータ
と同様に内燃機関10による回転駆動により、また、車
輪による回転駆動により、車両の運動エネルギを電気エ
ネルギに変換する発電機として機能する。インバータ2
0は、また、ジェネレータ用パワートランジスタを内蔵
しており、そのジェネレータ用パワートランジスタのス
イッチング動作に応じてM/G12の交流電力をバッテ
リ22の直流電力に変換する。すなわち、バッテリ22
は、インバータ20のジェネレータ用パワートランジス
タがオン状態にある状況下において、内燃機関10又は
車輪による回転駆動によりM/G12が発電することに
より電力の供給を受け、充電される。
【0023】インバータ20には、マイクロコンピュー
タにより構成された電子制御ユニット(以下、ECUと
称す)24が接続されている。ECU24は、バッテリ
22からM/G12への電力供給が必要であると判断す
る場合、バッテリ22が放電するようにインバータ20
のモータ駆動用パワートランジスタに対して指令信号を
供給する。また、M/G12からバッテリ22への電力
供給が必要であると判断する場合、バッテリ22が充電
されるようにジェネレータ用パワートランジスタに対し
て指令信号を供給する。
【0024】ECU24には、バッテリ22の正負端子
間に配設された電圧センサ26が接続されている。電圧
センサ26は、バッテリ22の端子間電圧(以下、バッ
テリ電圧Vと称す)に応じた信号を出力する。電圧セン
サ26の出力信号はECU24に供給されている。EC
U24は、電圧センサ26の出力信号に基づいてバッテ
リ22のバッテリ電圧Vを検出する。
【0025】ECU24には、また、バッテリ22とイ
ンバータ20との間に配設された電流センサ28が接続
されている。電流センサ28は、バッテリ22とインバ
ータ20との間を流れる電流(以下、バッテリ電流Iと
称す)に応じた信号を出力する。電流センサ28の出力
信号はECU24に供給されている。ECU24は、電
流センサ28の出力信号に基づいてバッテリ22を流れ
るバッテリ電流Iを検出する。
【0026】ECU24には、また、バッテリ22に内
蔵された温度センサ30が接続されている。温度センサ
30は、バッテリ22の内部温度(以下、バッテリ温度
Tと称す)に応じた信号を出力する。温度セン30の出
力信号はECU24に供給されている。ECU24は、
温度センサ30の出力信号に基づいてバッテリ22のバ
ッテリ温度Tを検出する。
【0027】ECU24には、また、先端部が内燃機関
10のウォータジャケット内に露出するように該ウォー
タジャケットに配設された水温センサ32が接続されて
いる。水温センサ32は、内燃機関10のウォータジャ
ケット内に流れる冷却水の温度(以下、単に水温THW
と称す)に応じた信号を出力する。水温センサ32の出
力信号はECU24に供給されている。ECU24は、
水温センサ32の出力信号に基づいてウォータジャケッ
ト内の冷却水の水温THWを検出する。
【0028】ECU24には、更に、車室内に設けられ
たイグニションスイッチ34が接続されている。イグニ
ションスイッチ34は、車両乗員の操作によりオン・オ
フされる。イグニションスイッチ34がオン状態となる
と、車両が作動状態となり、内燃機関10が作動可能な
状態になると共に、バッテリ22が充放電可能な状態に
なる。また、イグニションスイッチ34がオフ状態とな
ると、車両が非作動状態となり、内燃機関10が停止す
ると共に、バッテリ22の充放電が停止される。
【0029】次に、本実施例のバッテリ容量判定装置の
動作及び機能について説明する。
【0030】本実施例において、バッテリ22が車両に
搭載されると、バッテリ22は、まず、満充電状態にま
で充電される。バッテリ22の充電状態が満充電状態に
近づくと、バッテリ22へ流れるバッテリ電流Iが小さ
くなるので、ECU24は、かかる事態が生じた場合に
バッテリ22が満充電状態にあると判定し、バッテリ2
2の充電状態(State Of Charge;以下、バッテリ容量
SOCと称す)を100%と設定する。そして、このよ
うにバッテリ22が満充電状態にあると判定された後
は、ECU24は、100%のバッテリ容量SOCを基
準にして、充放電が開始された後のバッテリ電流Iの積
算量からバッテリ容量SOCの加減演算を行い、バッテ
リ容量SOCを判定する。
【0031】ところで、本実施例においてはバッテリ2
2が車両に搭載されるので、バッテリ22の充放電が車
両の走行に従って繰り返され、その容量SOCが大きく
変動するものとなるが、かかる充放電の繰り返しが長期
間継続すると、ECU24が算出したバッテリ電流Iの
積算量と、実際に充放電に関与した電流の積算量とのず
れ量が大きくなる。このため、バッテリ22の充放電の
繰り返しが継続した場合は、バッテリ22の容量SOC
を正確に検知することができない事態が生じてしまう。
従って、バッテリ22の充放電が行われた後には、バッ
テリ22の容量SOCを、正確に判定できる手法で判定
し直すことが適切となる。
【0032】かかる手法としては、バッテリ22の開放
時におけるバッテリ電圧V(以下、この電圧Vを開放電
圧Vと称す)と充電状態とが相関関係にあることに鑑
み、M/G12の無負荷時において、バッテリ22の開
放電圧Vに基づいてバッテリ容量SOCを判定すること
が考えられる。この際、かかる判定をバッテリ22の充
放電が停止された直後に行うものとすると、バッテリ2
2の充放電が繰り返される際にはバッテリ電圧Vはその
充放電に伴って変動すると共に、その充放電が停止され
た直後も停止直前におけるバッテリ22の状態によって
はバッテリ電圧Vは変動するため、その開放電圧Vはバ
ッテリ22に実際に生じている充電状態に対応した電圧
となっていない可能性が高く、そのため、正確なバッテ
リ容量SOCを判定することができないおそれがある。
【0033】図2は、本実施例においてバッテリ容量S
OCを判定する手法を説明するための図を示す。尚、図
2には、バッテリ22の充放電が停止された際(t=
0)にバッテリ22がバッテリ電圧V=12.3(V)
に対応する充電状態となっているものとした場合におけ
る、充電停止後のバッテリ電圧Vの時間変化、及び、放
電停止後のバッテリ電圧Vの時間変化が、それぞれ示さ
れている。
【0034】イグニションスイッチ34のオフによる車
両の運転停止等によってバッテリ22の充放電が停止さ
れた際のバッテリ電圧Vが実際の充電状態に対応するバ
ッテリ電圧Vからかけ離れている場合でも、その後時間
の経過に伴って、バッテリ22の開放電圧Vは、図2に
示す如く、本来の充電状態に対応するバッテリ電圧Vに
向けて変化する。従って、バッテリ22の充放電が停止
された後、バッテリ22の開放電圧Vが本来の充電状態
に対応する電圧となったと判断できる程度の時間が経過
した後に、その開放電圧Vに基づいてバッテリ容量SO
Cの判定を行うこととすれば、正確なバッテリ容量SO
Cを把握することが可能となる。
【0035】そこで、本実施例のシステムにおいて、E
CU24は、イグニションスイッチ34のオフによる車
両の運転停止等によってバッテリ22の充放電が停止さ
れた後、その停止状態が継続する時間を計数する。そし
て、その後例えばイグニションスイッチ34のオンによ
り車両の運転が開始される直前のダイアグ時において、
バッテリ22の停止状態の継続時間が所定時間に達して
いる場合には、その時点での電圧センサ26の出力信号
に基づくバッテリ22の開放電圧Vに基づいてバッテリ
容量SOCの判定を行う。かかる構成によれば、バッテ
リ電流Iの積算により判定されたバッテリ容量SOCが
バッテリ22の本来の充電状態を示さなくなった場合で
も、その容量SOCをリセットし、新たに正確なバッテ
リ容量SOCを把握することができ、その後のバッテリ
22の充放電制御を適切に行うことが可能となる。
【0036】尚、バッテリ容量SOCは、バッテリ22
の端子間にかかるバッテリ電圧Vが同一であっても、バ
ッテリ22の周囲温度や劣化状態が異なる場合には異な
るものとなる。具体的には、バッテリ容量SOCは、バ
ッテリ電圧Vが同一にある状況下においてバッテリ22
の周囲温度が低いほど大きく、バッテリ22の周囲温度
が高いほど小さくなる。また、バッテリ電圧Vが同一に
ある状況下においてバッテリ22の劣化が進んでいるほ
ど小さくなる。
【0037】そこで、本実施例において、ECU24
は、バッテリ温度T及びバッテリ22の劣化状態Jに応
じたバッテリ22の開放電圧Vとバッテリ容量SOCと
の関係を示す複数のマップを記憶しておき、温度センサ
30を用いて検出したバッテリ温度T及び後述の如く把
握したバッテリ22の劣化状態Jに基づいて一のマップ
を選択し、そのマップに従ってその際検出したバッテリ
電圧Vからバッテリ容量SOCを判定する。かかる構成
によれば、バッテリ温度Tに応じたマップを選択すると
共に、バッテリ22の劣化状態Jに応じたマップを選択
することができるため、バッテリ温度T及びバッテリ劣
化状態Jを考慮してバッテリ電圧Vからバッテリ容量S
OCを判定することができ、従って、バッテリ容量SO
Cの判定を精度よく行うことが可能となる。
【0038】ここで、バッテリ22の劣化状態Jは、バ
ッテリ22の内部抵抗の大きさに基づいて判定できる。
すなわち、バッテリ22の内部抵抗が大きい場合には、
発熱損失が大きく、バッテリ22の劣化が進んでいると
判断できる。一方、バッテリ22の内部抵抗が小さい場
合には、発熱損失が小さく、バッテリ22の劣化が進ん
でいないと判断できる。そこで、本実施例においては、
ECU24は、まず、ある時点におけるバッテリ電圧V
とバッテリ電流Iとの関係と、異なる時点におけるバッ
テリ電圧Vとバッテリ電流Iとの関係とから、バッテリ
電流Iに対するバッテリ電圧Vの傾きを算出し、その傾
きをバッテリ22の内部抵抗として把握する。好ましく
は、アイドルストップ時でかつM/G12の駆動時にお
けるバッテリ電圧Vとバッテリ電流IとをECU24内
のメモリに記憶させ、アイドルストップ後のエンジン1
0の始動時におけるバッテリ電圧Vとバッテリ電流Iと
をそのメモリに記憶させると共に、バッテリ22の充放
電が停止された際に該メモリから各バッテリ電圧V及び
各バッテリ電流Iを読み出し、それらの値の関係に基づ
いて内部抵抗を算出する。そして、その内部抵抗の大き
さに基づいて、具体的には、内部抵抗が大きいほど劣化
の進んだ状態が実現されるようにバッテリ22の劣化状
態Jを例えば3段階 “0”,“1”,“2”で把握す
る。尚、本実施例において、“0”,“1”,“2”の
順でバッテリ22の劣化が進むものとする。
【0039】ところで、バッテリ22の充放電が停止さ
れた後、開放電圧Vが本来の充電状態に対応する電圧と
なるまでの時間は、バッテリ22の劣化状態Jやバッテ
リ温度Tに応じて変動する。具体的には、上記した時間
は、バッテリ温度Tが低いほど長くなり、バッテリ温度
Tが高いほど短くなると共に、劣化状態Jが進行するほ
ど長くなる。従って、バッテリ22の開放電圧Vに基づ
くバッテリ容量SOCの判定を適正に行うためには、バ
ッテリ22のバッテリ温度Tや劣化状態Jに応じて、充
放電停止後におけるバッテリ22の停止状態の継続時間
のしきい値を変更することが望ましい。そこで、本実施
例のシステムにおいて、かかる機能を実現することによ
り開放電圧Vに基づくバッテリ容量SOCの判定の適正
化を図っている。
【0040】図3は、開放電圧Vに基づくバッテリ容量
SOCの判定を適正に行うことができるか否かを判別す
べく、本実施例においてECU24が実行する制御ルー
チンの一例のフローチャートを示す。図3に示すルーチ
ンは、その処理が終了する毎に起動されるルーチンであ
る。図3に示すルーチンが起動されると、まずステップ
100の処理が実行される。
【0041】ステップ100では、イグニションスイッ
チ34の状態に基づいて、バッテリ22の充放電が停止
されたか否かが判別される。その結果、イグニションス
イッチ34がオフ状態になり、バッテリ22の充放電が
停止されたと判別された場合は、次にステップ102の
処理が実行される。一方、イグニションスイッチ34が
オン状態にあり、バッテリ22の充放電が停止されてい
ないと判別された場合は、次にステップ110の処理が
実行される。
【0042】ステップ102では、バッテリ22の充放
電が停止され、上記ステップ100で肯定判定がなされ
た時点においてECU24がバッテリ電流Iの積算量か
ら算出しているバッテリ容量SOCをSOCeとしてE
CU24内のメモリに記憶する処理が実行される。
【0043】ステップ104では、上記ステップ100
においてバッテリ22の充放電が停止されたと判別され
た後、上記ステップ102の処理が終了することによ
り、所定のタイマTIMEをリセット起動する処理が実
行される。タイマTIMEは、バッテリ22の充放電が
停止された後のその停止状態が継続する時間を計数する
ためのタイマである。
【0044】ステップ106では、タイマTIMEが第
1の所定値TIME1以上であるか否かが判別される。
尚、第1の所定値TIME1は、バッテリ温度Tがある
程度高い状況下あるいは劣化状態Jが“0”である状況
下、バッテリ22の充放電が停止された後、開放電圧V
が本来の充電状態に対応する電圧になると判断できる時
間である。本ステップ106の処理は、TIME≧TI
ME1が成立すると判別されるまで繰り返し実行され
る。その結果、TIME≧TIME1が成立すると判別
された場合は、次にステップ108の処理が実行され
る。
【0045】ステップ108では、バッテリ温度Tが
第1の所定値T1に達しているか、又は、劣化状態J
が“0”であるか否かが判別される。尚、第1の所定値
T1は、TIME≧TIME1が成立すれば開放電圧V
が本来の充電状態に対応する電圧になると判断できるバ
ッテリ22の温度である。また、劣化状態J=0は、T
IME≧TIME1が成立すれば開放電圧Vが本来の充
電状態に対応する電圧になると判断できるバッテリ22
の劣化度合いである。上記及びのうち何れかが成立
する場合は、TIME≧TIME1が成立している状況
下で、バッテリ温度Tがある程度高いので、或いは、バ
ッテリ22の劣化がほとんど進んでいないので、既に開
放電圧Vが本来の充電状態に対応する電圧になっている
と判断でき、開放電圧Vに基づいてバッテリ容量SOC
を判定することとしても、誤ったバッテリ容量SOCを
検出することもないと判断できる。従って、T≧T1
が成立すると判別された場合、或いは、J=0が成立
すると判別された場合は、次にステップ110の処理が
実行される。
【0046】ステップ110では、判定可フラグをオン
にセットする処理が実行される。尚、判定可フラグは、
バッテリ22の開放電圧Vに基づくバッテリ容量SOC
の判定が許容されるか否かを表示するためのフラグであ
る。本ステップ110の処理が終了すると、今回のルー
チンは終了される。
【0047】一方、上記ステップ108においての条
件及びの条件が共に成立しないと判別された場合は、
次にステップ112の処理が実行される。
【0048】ステップ112では、タイマTIMEが第
2の所定値TIME2以上であるか否かが判別される。
尚、第2の所定値TIME2は、バッテリ温度Tが中程
度の状況下あるいは劣化状態Jが“1”である状況下
で、バッテリ22の充放電が停止された後、開放電圧V
が本来の充電状態に対応する電圧になると判断できる時
間であり、上記した第1の所定値TIME1よりも長い
時間に設定されている。本ステップ112の処理は、T
IME≧TIME2が成立すると判別されるまで繰り返
し実行される。その結果、TIME≧TIME2が成立
すると判別された場合は、次にステップ114の処理が
実行される。
【0049】ステップ114では、バッテリ温度Tが
第2の所定値T2に達しているか、又は、劣化状態J
が“1”であるか否かが判別される。尚、第2の所定値
T2は、TIME≧TIME2が成立すれば開放電圧V
が本来の充電状態に対応する電圧になると判断できるバ
ッテリ22の温度である。また、劣化状態J=1は、T
IME≧TIME2が成立すれば開放電圧Vが本来の充
電状態に対応する電圧になると判断できるバッテリ22
の劣化度合いである。上記及びのうち何れかが成立
する場合は、TIME≧TIME2が成立している状況
下で、バッテリ温度Tが中程度であるので、或いは、バ
ッテリ22の劣化がある程度進んでいるので、開放電圧
Vが本来の充電状態に対応する電圧になったと判断で
き、開放電圧Vに基づいてバッテリ容量SOCを判定す
ることとしても、誤ったバッテリ容量SOCを検出する
こともないと判断できる。従って、T≧T2が成立す
ると判別された場合、或いは、J=1が成立すると判
別された場合は、次に上記したステップ110の処理が
実行され、判定可フラグをオンにセットする処理が実行
される。
【0050】一方、上記ステップ114においての条
件及びの条件が共に成立しないと判別された場合は、
次にステップ116の処理が実行される。
【0051】ステップ116では、タイマTIMEが第
3の所定値TIME3以上であるか否かが判別される。
尚、第3の所定値TIME3は、バッテリ温度Tがかな
り低い状況下あるいは劣化状態Jが“2”である状況下
で、バッテリ22の充放電が停止された後、開放電圧V
が本来の充電状態に対応する電圧になると判断できる時
間であり、上記した第2の所定値TIME2よりも長い
時間に設定されている。本ステップ116の処理は、T
IME≧TIME3が成立すると判別されるまで繰り返
し実行される。その結果、TIME≧TIME3が成立
すると判別された場合は、次にステップ118の処理が
実行される。
【0052】ステップ118では、バッテリ温度Tが
第3の所定値T3に達しているか、又は、劣化状態J
が“2”であるか否かが判別される。尚、第3の所定値
T3は、TIME≧TIME3が成立すれば開放電圧V
が本来の充電状態に対応する電圧になると判断できるバ
ッテリ22の温度である。また、劣化状態J=2は、T
IME≧TIME3が成立すれば開放電圧Vが本来の充
電状態に対応する電圧になると判断できるバッテリ22
の劣化度合いである。上記及びのうち何れかが成立
する場合は、TIME≧TIME3が成立している状況
下で、バッテリ温度Tがかなり低いので、或いは、バッ
テリ22の劣化がかなり進んでいるので、開放電圧Vが
本来の充電状態に対応する電圧になったと判断でき、開
放電圧Vに基づいてバッテリ容量SOCを判定すること
としても、誤ったバッテリ容量SOCを検出することも
ないと判断できる。従って、T≧T3が成立すると判
別された場合、或いは、J=2が成立すると判別され
た場合は、次に上記したステップ110の処理が実行さ
れ、判定可フラグをオンにセットする処理が実行され
る。
【0053】一方、上記ステップ118においての条
件及びの条件が共に成立しないと判別された場合は、
次にステップ120の処理が実行され、判定可フラグを
オフにリセットする処理が実行される。本ステップ12
0の処理が終了すると、今回のルーチンは終了される。
【0054】上記図3に示すルーチンによれば、バッテ
リ22の充放電が停止された後、その停止状態の継続時
間が、バッテリ温度T及び劣化状態Jに応じて設定され
る所定時間TIME(T,J)に達した場合に、判定可
フラグをオン状態とすることができる。
【0055】図4は、イグニションスイッチ34がオン
状態とされる時点でバッテリ22のバッテリ容量SOC
を判定すべく、本実施例においてECU24が実行する
制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。図4に示
すルーチンは、所定時間毎に起動されるルーチンであ
る。図4に示すルーチンが起動されると、まずステップ
130の処理が実行される。
【0056】ステップ130では、イグニションスイッ
チ34がオフ状態からオン状態に変化し、ダイアグ処理
の実行が許可されたか否かが判別される。その結果、否
定判定がなされた場合は、以後何らの処理も進められる
ことなく、今回のルーチンは終了される。一方、肯定判
定がなされた場合は、次にステップ132の処理が実行
される。
【0057】ステップ132では、上記図3に示すルー
チンの処理の結果、判定可フラグがオン状態とされてい
るか否かが判別される。その結果、判定可フラグがオン
状態にあると判別された場合は、次にステップ134の
処理が実行される。一方、判定可フラグがオフ状態にあ
ると判別された場合は、次にステップ138の処理が実
行される。
【0058】ステップ134では、上記ステップ122
で肯定判定がなされた時点での電圧センサ26の出力信
号に基づいて、バッテリ22のバッテリ電圧V(開放電
圧V)が検出される。そして、ステップ136では、上
記ステップ134で検出された開放電圧Vに基づいて、
予め定められたバッテリ温度T及び劣化状態Jに応じて
設定された所定のマップを参照することにより、バッテ
リ容量SOCを判定する処理が実行される。本ステップ
136の処理が実行されると、以後、バッテリ22の容
量SOCとして、本ステップ136で判定されたバッテ
リ容量SOCが用いられることとなる。本ステップ13
6の処理が終了すると、今回のルーチンは終了される。
【0059】ステップ138では、上記図3に示すルー
チンの処理で記憶された、バッテリ22の充放電が停止
された時点においてECU24が算出していたバッテリ
容量SOCeを読み込む処理が実行される。本ステップ
138の処理が実行されると、以後、バッテリ22のバ
ッテリ容量SOCとして、本ステップ138で読み込ま
れたバッテリ容量SOCが用いられることとなる。本ス
テップ138の処理が終了すると、今回のルーチンは終
了される。
【0060】上記図4に示すルーチンによれば、イグニ
ションスイッチ34のオフによりバッテリ22の充放電
が停止された後、イグニションスイッチ34がオン状態
とされることによりバッテリ22の充放電が開始される
時点で、そのバッテリ22の充放電の停止状態がバッテ
リ温度T及び劣化状態Jに応じた時間だけ継続すること
により判定可フラグがオン状態となっている場合は、そ
の際に電圧センサ26が出力する出力信号に基づいてバ
ッテリ電圧Vを検出し、そのバッテリ電圧Vに基づいて
バッテリ容量SOCを判定することができる。一方、イ
グニションスイッチ34がオン状態とされた時点で判定
可フラグがオン状態となっていない場合は、前回バッテ
リ22の充放電が停止された時点において記憶されたバ
ッテリ容量SOCeをバッテリ容量SOCとして判定す
ることができる。
【0061】このように、本実施例においては、バッテ
リ22の充放電が停止された直後における開放電圧Vを
用いることなく、その後に開放電圧Vがバッテリ22の
本来の充電状態に対応する電圧になると判断できる時間
が経過した後の開放電圧Vを用いて、バッテリ容量SO
Cの判定が行われる。バッテリ22の充放電が停止され
ると、その後、開放電圧Vは、時間の経過に伴ってバッ
テリ22の本来の充電状態に対応する電圧へ向けて変化
することとなる。従って、本実施例のシステムによれ
ば、開放電圧Vに基づいてバッテリ22の正確なバッテ
リ容量SOCを判定することができ、バッテリ容量SO
Cの判定精度の向上を図ることが可能となっている。
【0062】上述の如く、バッテリ22の充放電が停止
された後、開放電圧Vがバッテリ22の本来の充電状態
に対応する電圧になるまでの時間は、バッテリ温度T及
び劣化状態Jに応じて変動し、バッテリ温度Tが低いほ
ど長くなり、バッテリ温度Tが高いほど短くなると共
に、劣化状態Jが進行するほど長くなる。これに対し
て、本実施例のシステムにおいては、バッテリ22の充
放電が停止された後、バッテリ温度T及び劣化状態Jに
応じて、開放電圧Vに基づいてバッテリ容量SOCの判
定を行うことができる時期が変更される。具体的には、
かかる時期は、バッテリ温度Tが低いほど遅くなり、バ
ッテリ温度Tが高いほど早くなると共に、劣化状態Jが
進行しているほど遅くなる。従って、本実施例のシステ
ムによれば、開放電圧Vに基づくバッテリ容量SOCの
判定を適正に行うことができ、バッテリ容量SOCの更
なる精度向上を図ることが可能となっている。
【0063】更に、本実施例のシステムにおいては、バ
ッテリ22の充放電が停止された後、開放電圧Vがバッ
テリ22の本来の充電状態に対応する電圧になると判断
できる時間が経過していない場合、開放電圧Vに基づく
バッテリ容量SOCの適正な判定は行われないが、この
場合は、充放電が停止された時点において把握されてい
たある程度信頼性のあるバッテリ容量SOCがバッテリ
22の容量として用いられる。このため、本実施例のシ
ステムによれば、開放電圧Vに基づくバッテリ容量SO
Cの適正な判定を行えない状況下において、バッテリ容
量SOCの判定不能の事態が生ずるのを回避することが
できる。
【0064】尚、上記の第1実施例においては、タイマ
TIME1、TIME2、又はTIME3が特許請求の
範囲に記載された「所定時間」に相当していると共に、
ECU24が、上記図4に示すルーチン中のステップ1
32の処理を実行する、すなわち、上記図3に示すルー
チンの処理の結果として判定可フラグがオン状態とされ
ているか否かを判別することにより特許請求の範囲に記
載された「第1のステップ」及び「経過時間判別手段」
が、ステップ134及び136の処理を実行することに
より特許請求の範囲に記載された「第2のステップ」及
び「容量判定手段」が、それぞれ実現されている。
【0065】次に、上記図1、図3、及び図4と共に、
図5及び図6を参照して、本発明の第2実施例について
説明する。本実施例のシステムは、上記図1に示すシス
テムにおいて、ECU24に図5及び図6に示すルーチ
ンを実行させることにより実現される。
【0066】上述した第1実施例では、バッテリ22の
充放電が停止された後、その停止状態の継続時間が所定
時間に達したか否かを判別するのに、ECU24の内蔵
する内部タイマが用いられる。本実施例のシステムは、
かかる判別を行ううえで、ECU24の内蔵するタイマ
に代えて、車両が搭載する内燃機関10のウォータジャ
ケット内を流れる冷却水の水温THWを用いる点に特徴
を有している。
【0067】すなわち、イグニションスイッチ34がオ
フ状態にされると、バッテリ22が充放電停止すると共
に、内燃機関10が停止する。内燃機関10が運転状態
から停止状態に変化すると、以後、ウォータジャケット
内を流れる冷却水の水温THWは時間の経過に伴って低
下する。このため、バッテリ22の充放電が停止された
後の時間が所定時間に達したか否かを判別するのに、冷
却水の水温THWを用いることとすれば、タイマを用い
る必要はない。
【0068】図5は、本実施例においてECU24が実
行する制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。図
5に示すルーチンは、その処理が終了する毎に起動され
るルーチンである。尚、図5において、上記図3に示す
ステップと同一の処理を実行するステップについては、
同一の符号を付してその説明を省略する。すなわち、図
5に示すルーチンにおいては、ステップ102でバッテ
リ22の充放電が停止された時点においてECU24の
算出するバッテリ容量SOCをSOCeとしてメモリに
記憶した後、ステップ150の処理が実行される。
【0069】ステップ150では、バッテリ22の充放
電が停止され、上記ステップ100で肯定判定がなされ
た時点において水温センサ32の出力する出力信号に基
づいて検出した水温THWをTHWeとしてECU24
内のメモリに記憶する処理が実行される。本ステップ1
50の処理が終了すると、今回のルーチンは終了され
る。上記図5に示すルーチンによれば、バッテリ22の
充放電が停止された時点における内燃機関10のウォー
タジャケット内を流通する冷却水の水温THWを記憶す
ることができる。
【0070】図6は、イグニションスイッチ34がオン
状態とされる時点でバッテリ22のバッテリ容量SOC
を判定すべく、本実施例においてECU24が実行する
制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。図6に示
すルーチンは、所定時間毎に起動されるルーチンであ
る。尚、図6において、上記図4に示すステップと同一
の処理を実行するステップについては、同一の符号を付
してその説明を省略する。すなわち、図6に示すルーチ
ンにおいては、ステップ130で肯定判定がなされた
後、ステップ152の処理が実行される。
【0071】ステップ152では、本ステップ152の
処理時点で水温センサ32の出力する出力信号に基づい
て検出した水温THWが、上記図5に示すルーチンの処
理の結果としてメモリに記憶された水温THWeに比し
て所定値α以上低下しているか、すなわち、バッテリ2
2の充放電が停止された時点における水温THWeと現
時点における水温THWとの差が所定値α以上となって
いるか否かが判別される。尚、所定値αは、バッテリ2
2の充放電が停止された後、バッテリ22が本来の充電
状態に対応する開放電圧Vに安定するまでの時間が経過
したと判断できる、充放電停止時とイグニションスイッ
チ34のオン時とにおけるウォータジャケット内を流通
する冷却水の水温差である。
【0072】その結果、THWe−THW≧αが成立す
る場合は、冷却水に大きな水温差が生じており、充放電
停止後多くの時間が経過していると判断できる。この場
合は、バッテリ22の開放電圧Vが本来の充電状態に対
応した電圧に達していると判断できるので、その開放電
圧Vに基づくバッテリ容量SOCの判定を適正に行うこ
とが可能である。従って、THWe−THW≧αが成立
すると判別された場合は、次に上記ステップ134以降
の処理が実行される。
【0073】一方、THWe−THW≧αが成立しない
場合は、ウォータジャケット内の冷却水に大きな水温差
が生じておらず、充放電停止後あまり時間が経過してい
ないと判断できる。この場合は、バッテリ22の開放電
圧Vが本来の充電状態に対応する電圧に達していないと
判断でき、開放電圧Vに基づいてバッテリ容量SOCを
判定することは適切ではない。従って、THWe−TH
W≧αが成立しないと判別された場合は、次に上記ステ
ップ138の処理が実行され、以後、充放電停止が開始
された時点でECU24が算出し記憶したバッテリ容量
SOCがバッテリ22の容量として用いられる。
【0074】上記図6に示すルーチンによれば、イグニ
ションスイッチ34のオフによりバッテリ22の充放電
が停止された後、イグニションスイッチ34がオン状態
とされることによりバッテリ22の充放電が開始される
時点で、充放電停止時との内燃機関10の冷却水の水温
差が大きくなっている場合は、その際に電圧センサ26
が出力する出力信号に基づいてバッテリ電圧Vを検出
し、そのバッテリ電圧Vに基づいてバッテリ容量SOC
を判定することができる。一方、内燃機関10の冷却水
の水温差があまり大きくなっていない場合は、前回バッ
テリ22の充放電が停止された時点において記憶された
バッテリ容量SOCeをバッテリ容量SOCとして判定
することができる。
【0075】上述の如く、本実施例においてはイグニシ
ョンスイッチ34がオフ状態にされると、バッテリ22
の充放電が停止されると共に、内燃機関10が停止され
るため、その後、内燃機関10の冷却水の水温THWは
時間の経過に伴って低下する。このため、バッテリ22
の充放電が停止された時点から再び充放電が開始される
時点までの間に、冷却水の水温THWが十分に低下して
いれば、充放電停止後に多くの時間が経過していると判
断できる。
【0076】従って、本実施例のシステムによれば、タ
イマを用いることなくバッテリ22の充放電が停止され
た後所定時間が経過しているか否か、すなわち、バッテ
リ22の開放電圧が本来の充電状態に対応する電圧に達
しているか否かを判別することができ、その結果、開放
電圧Vに基づいてバッテリ容量SOCの正確な判定を行
うことが可能となっている。かかる構成においては、機
械式タイマを用いる構成に比してコスト上昇の抑制が図
られている。従って、本実施例のシステムによれば、コ
スト上昇を招くことなく、開放電圧Vに基づいたバッテ
リ容量SOCの判定を正確に行うことが可能となってい
る。
【0077】また、本実施例においては、バッテリ22
の充放電が停止された後所定時間が経過しているか否か
の判別を、充放電停止時とイグニションスイッチ34の
オン時とにおける冷却水の水温差に基づいて行うことと
している。かかる構成においては、元々冷却水の水温T
HWが低い状態で、すなわち、イグニションスイッチ3
4がオンされた後内燃機関10が十分に温まっていない
状態でイグニションスイッチ34がオフ状態にされ、そ
の後イグニションスイッチ34がオン状態にされた際に
冷却水の水温THWが低くても、その水温差が大きくな
ければ、開放電圧Vに基づくバッテリ容量SOCの判定
は行われない。従って、本実施例のシステムにおいて
は、バッテリ22の充放電が停止された後所定時間が経
過していないにもかかわらず、イグニションスイッチ3
4がオン状態にされた際に冷却水の水温THWが低いこ
とに起因してバッテリ22の開放電圧Vが本来の充電状
態に対応する電圧に達していると誤判定されることはな
いため、冷却水の水温差に基づいて充放電停止後の所定
時間の経過の有無を精度よく判定することが可能となっ
ている。これにより、開放電圧Vに基づくバッテリ容量
SOCの誤判定が防止されている。
【0078】尚、上記の第2実施例においては、所定値
αが特許請求の範囲に記載された「所定値」に相当して
いると共に、ECU24が、上記図6に示すルーチン中
のステップ152の処理を実行することにより特許請求
の範囲に記載された「第1のステップ」及び「経過時間
判別手段」が実現されている。
【0079】ところで、上記の第2実施例においては、
バッテリ22の充放電が停止された後、その停止状態の
継続時間が所定時間に達したか否かを判別するのに、内
燃機関10のウォータジャケット内を流れる冷却水の水
温THWを用いることとしているが、本発明はこれに限
定されるものではなく、冷却水の水温THWに代えて、
或いは、冷却水の水温THWと共に、内燃機関10の吸
入空気の温度やバッテリ22のバッテリ温度T等を用い
ることとしてもよいし、又は、それらのパラメータに応
じて上記した所定値αを変更することとしてもよい。
【0080】バッテリ22は熱容量が大きいため、バッ
テリ温度Tは外気の影響を受け難く、上昇・下降し難
い。このため、バッテリ22のバッテリ温度Tが用いら
れる構成においては、外気変動に起因して、バッテリ2
2の充放電が停止された後、その停止状態の継続時間が
所定時間に達したか否かを誤判別するおそれはなく、開
放電圧Vに基づくバッテリ容量SOCの判定を更に正確
に行うことが可能となる。
【0081】また、上記の第1及び第2実施例において
は、バッテリ温度Tをバッテリ22に内蔵された温度セ
ンサ30を用いて検出することとしているが、本発明は
これに限定されるものではなく、バッテリ22の周囲に
配設された温度センサを用いることとしてもよい。
【0082】また、上記の第1及び第2実施例において
は、バッテリ22の劣化状態をバッテリ22の内部抵抗
から把握しているが、使用頻度や使用年月等の他のパラ
メータを用いて劣化状態を把握することとしてもよい。
【0083】更に、上記の第1及び第2実施例において
は、バッテリ22として鉛酸バッテリを用いたシステム
に適用しているが、鉛酸バッテリに代えてニッケル水素
バッテリ等の他の蓄電池を用いたシステムに適用するこ
とも可能である。
【発明の効果】上述の如く、請求項1及び8記載の発明
によれば、バッテリ開放電圧に基づくバッテリ容量判定
の精度の向上を図ることができる。
【0084】請求項2記載の発明によれば、バッテリの
温度又は劣化度合いを考慮することで、バッテリ開放電
圧に基づくバッテリ容量判定の更なる精度向上を図るこ
とができる。
【0085】請求項3及び5記載の発明によれば、コス
ト上昇を招くことなく、充放電停止後における所定時間
の経過の有無を判別でき、バッテリ容量の判定を正確に
行うことができる。
【0086】請求項4及び6記載の発明によれば、充放
電停止後における所定時間の経過の有無を精度よく判別
できるので、バッテリ容量の誤判定を防止することがで
きる。
【0087】また、請求項7記載の発明によれば、バッ
テリ開放電圧に基づくバッテリ容量の適正な判定を行う
ことができない状況下でも、ある程度信頼性のある容量
をバッテリの容量としてその後の処理に用いることで、
バッテリ容量の判定不能の事態を回避することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例であるバッテリ容量判定装
置を備える車両システムの要部構成図である。
【図2】本実施例においてバッテリ容量を判定する手法
を説明するための図である。
【図3】本実施例において、開放電圧Vに基づくバッテ
リ容量SOCの判定を適正に行うことができるか否かを
判定すべく実行される制御ルーチンの一例のフローチャ
ートである。
【図4】本実施例において、バッテリ容量を判定すべく
実行される制御ルーチンの一例のフローチャートであ
る。
【図5】本発明の第2実施例において、バッテリ容量を
判定すべく実行される制御ルーチンの一例のフローチャ
ートである。
【図6】本実施例において、バッテリ容量を判定すべく
実行される制御ルーチンの一例のフローチャートであ
る。
【符号の説明】
10 内燃機関 22 バッテリ 24 電子制御ユニット(ECU) 26 電圧センサ 28 電流センサ 30 温度センサ 32 水温センサ SOC バッテリ容量
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G016 CB06 CB11 CB13 CB22 CB32 CC01 CC03 CC10 CC12 CC13 CC14 CC27 CD02 CD04 CF06 5G003 AA07 BA01 CA01 CA11 CA20 CB01 EA05 GB06 GC05 5H030 AS08 FF22 FF41 FF44 FF52

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バッテリの開放電圧に基づいて該バッテ
    リの容量を判定するバッテリ容量判定方法であって、 バッテリの充放電が停止された後、所定時間が経過した
    か否かを判別する第1のステップと、 前記第1のステップにより前記所定時間が経過したと判
    別される場合に、該判別後のバッテリの開放電圧に基づ
    いて該バッテリの容量を判定する第2のステップと、 を備えることを特徴とするバッテリ容量判定方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のバッテリ容量判定方法に
    おいて、 前記所定時間は、バッテリの温度及び劣化度合いのうち
    少なくとも一のパラメータに応じて変更されることを特
    徴とするバッテリ容量判定方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のバッテリ容量判定方法に
    おいて、 バッテリは、車両動力源としての内燃機関が停止する場
    合に充放電が停止されるバッテリであると共に、 前記第1のステップは、内燃機関の水温が低下したか否
    かに基づいて前記所定時間が経過したか否かを判別する
    ことを特徴とするバッテリ容量判定方法。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のバッテリ容量判定方法に
    おいて、 前記第1のステップは、バッテリの充放電が停止された
    時点から内燃機関の水温が所定値低下したか否かに基づ
    いて前記所定時間が経過したか否かを判別することを特
    徴とするバッテリ容量判定方法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のバッテリ容量判定方法に
    おいて、 前記第1のステップは、バッテリの温度が低下したか否
    かに基づいて前記所定時間が経過したか否かを判別する
    ことを特徴とするバッテリ容量判定方法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のバッテリ容量判定方法に
    おいて、 前記第1のステップは、バッテリの充放電が停止された
    時点からバッテリの温度が所定値低下したか否かに基づ
    いて前記所定時間が経過したか否かを判別することを特
    徴とするバッテリ容量判定方法。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6の何れか一項記載のバッ
    テリ容量判定方法において、 バッテリの充放電が停止された後、前記第1のステップ
    により前記所定時間が経過していないと判別される場合
    は、開放電圧に基づく容量に代えて、充放電が停止され
    る時点での容量をバッテリの容量として用いることを特
    徴とするバッテリ容量判定方法。
  8. 【請求項8】 バッテリの開放電圧に基づいて該バッテ
    リの容量を判定するバッテリ容量判定装置であって、 バッテリの充放電が停止された後、所定時間が経過した
    か否かを判別する経過時間判別手段と、 前記経過時間判別手段により前記所定時間が経過したと
    判別される場合に、該判別後のバッテリの開放電圧に基
    づいて該バッテリの容量を判定する容量判定手段と、 を備えることを特徴とするバッテリ容量判定装置。
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