JP2002362904A - 水素精製装置 - Google Patents

水素精製装置

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Seiji Fujiwara
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の水素精製装置は、起動に時間を要した
り、取り扱いが煩雑なため、頻繁に起動停止を繰り返す
用途には充分に適用できなかった。 【解決手段】 水素、一酸化炭素および水蒸気を含む改
質ガスから一酸化炭素を除去する一酸化炭素変成触媒体
を備えた水素精製装置であって、前記一酸化炭素変成触
媒体は、ゼオライトにCu、Fe、Cr、Ce、Re、
Mo、Wから選択される希土類元素または遷移金属元素
のうちの少なくとも一種と、Pt、Pd、Rh、Ruの
うちの少なくとも1つの貴金属がイオン交換または担持
されていることを特徴とする水素精製装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水素を主成分とし
一酸化炭素(以下COと記す)を含有する改質ガスを精
製し、高純度の水素ガスを提供する水素精製装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】燃料電池などの水素源として、炭化水素
もしくはアルコール、エーテルなどの改質によって得ら
れる改質ガスを用いるが、100℃以下の低温で動作す
る固体高分子型燃料電池の場合には、燃料電池の電極に
用いるPt触媒が改質ガスに含まれるCOによって被毒
される恐れがある。Pt触媒の被毒が起こると、水素の
反応が阻害され、燃料電池の発電効率が著しく低下す
る。そのため、水素精製装置を利用して、COを100
ppm以下、好ましくは10ppm以下に除去する必要
がある。
【0003】通常、COを除去するためには、水素精製
装置における、CO変成触媒体を設置したCO変成部で
COと水蒸気とをシフト反応させ、二酸化炭素と水素と
に転換し、数千ppm〜1%程度の濃度までCO濃度を
低減させる。
【0004】その後、微量の空気を利用して酸素を加
え、CO選択酸化触媒体によって、燃料電池に悪影響を
およぼさない数ppmレベルまでCOを除去する。ここ
で、充分にCOを除去するためには、CO濃度の1〜3
倍程度の酸素を加える必要があるが、このとき、水素も
酸素量に対応して消費される。そして、CO濃度が高い
場合には、加えるべき酸素量も増加し、消費される水素
が増大するため、装置全体の効率が大きく低下する。
【0005】したがって、CO変成触媒体を設置したC
O変成部において、COを充分に低減させておくことが
必要となる。
【0006】従来から、CO変成触媒には、低温用CO
変成触媒として、150〜300℃で使用可能な銅−亜
鉛系触媒、銅−クロム系触媒などが用いられ、高温用C
O変成触媒として、300℃以上で機能する鉄−クロム
系触媒などが用いられている。これらのCO変成触媒
は、化学プラントや燃料電池用水素発生器などの用途に
応じて、低温用CO変成触媒のみで使用したり、高温用
CO変成触媒と低温用CO変成触媒とを組み合わせて使
用されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
銅系の低温用CO変成触媒を中心に用いた場合、非常に
高い触媒活性が得られるが、使用前に還元処理を施して
活性化させる必要がある。そして、活性化処理中に発熱
するため、触媒が耐熱温度以上にならないように、例え
ば還元ガスの供給量を調節しながら、長時間かけて処理
する必要があった。また、一度活性化させたCO変成触
媒は、装置の停止時などに酸素が混入した場合には再酸
化されて劣化する可能性があるため、酸化を防止するな
どの対策が必要であった。さらに、低温用CO変成触媒
は、耐熱性が低く、装置の始動時に触媒を急激に加熱す
ることができないため、徐々に温度を上昇させるなどの
対策が必要であった。
【0008】一方、高温用CO変成触媒のみを用いた場
合には、耐熱性が高く温度が多少上昇しすぎても問題は
ないため、始動時の加熱などが容易になる。
【0009】しかしながら、CO変成反応は、高温領域
においてCO濃度を低減させる方向には進行しにくい平
衡反応であり、高温でしか機能しない高温用CO変成触
媒を用いた場合には、CO濃度を1%以下にすることが
困難であった。そのため、後に接続するCO浄化部での
浄化効率が低下してしまうことがあった。
【0010】このように、従来の技術においては、たと
えば、水素精製装置の起動に時間を要したり、取り扱い
が煩雑なため、頻繁に起動停止を繰り返す用途には、充
分には適用できないという課題があった。
【0011】本発明は、上記従来のこのような課題を考
慮し、たとえば、始動時の加熱などが容易であり、高い
CO浄化効率を有する水素精製装置を提供することを目
的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】第一の本発明(請求項1
に対応)は、水素、一酸化炭素および水蒸気を含む改質
ガスから一酸化炭素を除去する一酸化炭素変成触媒体を
備えた水素精製装置であって、前記一酸化炭素変成触媒
体は、ゼオライトにCu、Fe、Cr、Ce、Re、M
o、Wから選択される希土類元素または遷移金属元素の
うちの少なくとも一種と、Pt、Pd、Rh、Ruのう
ちの少なくとも1つの貴金属がイオン交換または担持さ
れていることを特徴とする水素精製装置である。
【0013】第二の本発明(請求項2に対応)は、前記
一酸化炭素変成触媒体は、前記ゼオライトに少なくとも
CeとPtがイオン交換または担持されていることを特
徴とする水素精製装置である。
【0014】第三の本発明(請求項3に対応)は、前記
一酸化炭素変成触媒体は、貴金属がCu、Fe、Cr、
Ce、Re、Mo、Wから選択される希土類元素または
遷移金属元素のうち少なくとも一種を含有する金属酸化
物に担持された触媒成分と前記ゼオライトが混合される
ことによって構成されることを特徴とする水素精製装置
である。
【0015】第四の本発明(請求項4に対応)は、前記
ゼオライトはシリカおよびアルミナを主成分とし、Si
O2/Al2O3比が4以上であることを特徴とする水
素精製装置である。
【0016】第五の本発明(請求項5に対応)は、前記
ゼオライトは、Y型、L型、モルデナイト型、ZSM−
5型、ベータ型構造より選択される一種であることを特
徴とする水素精製装置である。
【0017】第六の本発明(請求項6に対応)は、前記
一酸化炭素変成触媒体の上流側には酸化ガス供給部が設
けられていることを特徴とする水素精製装置である。
【0018】第七の本発明(請求項7に対応)は、前記
ゼオライトには少なくともCuが含有していることを特
徴とする水素精製装置である。
【0019】
【発明の実施の形態】以下では、本発明にかかる実施の
形態について、図面を参照しつつ説明を行う。
【0020】(実施の形態1)はじめに、図1を参照し
ながら、本実施の形態における水素精製装置の構成につ
いて説明する。なお、図1は、本実施の形態における水
素精製装置の構成を示す概略縦断面図である。
【0021】図1において、1はCO変成触媒体(以下
では、単に触媒体ともいう)であり、反応室2の内部に
設置した。3は改質ガス入口であり、ここから改質ガス
を導入する。触媒体1で反応した改質ガスは、改質ガス
出口より排出される。
【0022】なお、触媒体1の上流側には、改質ガスが
均一に流れるように拡散板5を設置してある。また、反
応器を一定温度に保つために、必要箇所は、外周をセラ
ミックウールからなる断熱材6で覆ってある。
【0023】ここで、触媒体1は、SiO2/Al2O
3=5(モル比)のY型ゼオライト(フォージャサイト
型でシリカ−アルミナ比が4以上のもの)にCeとPt
を担持したものをコージェライトハニカムにコーティン
グすることによって作成した。
【0024】つぎに、本実施の形態における水素精製装
置の動作について説明する。水素精製装置に供給する改
質ガスを発生させるために用いる燃料としては、天然ガ
ス、メタノール、ガソリンなどがあり、改質方法も、水
蒸気を加える水蒸気改質、空気を加えておこなう部分改
質などがあるが、ここでは、天然ガスを水蒸気改質して
改質ガスを得る場合について述べる。
【0025】天然ガスを水蒸気改質した場合の改質ガス
の組成は、改質触媒体の温度によって多少変化するが、
水蒸気を除いた平均的な値として、水素が約80%、二
酸化炭素、一酸化炭素がそれぞれ約10%含まれる。
【0026】天然ガスの改質反応は、500〜800℃
程度でおこなうのに対し、COと水蒸気が反応する変成
反応は、150〜350℃程度で進行するため、改質ガ
スは、改質ガス入口3の手前で冷却してから供給する。
触媒体1通過後のCO濃度は、約1%まで低減され、改
質ガス出口4より排出される。
【0027】次に、本実施の形態の水素精製装置の動作
原理について説明する。CO変成反応は、温度に依存す
る平衡反応であり、低温で反応させるほど、CO濃度を
低減させることができる。一方、低温になると触媒上で
の反応速度が低下する。したがって、CO濃度が極小値
をとる温度が存在する。
【0028】従来の水素精製装置においてCO変成触媒
として用いられる銅−亜鉛触媒、銅−クロム触媒などの
銅系の変成触媒は、150〜250℃の低温でCO変成
反応を行うことができ、条件によっては、CO濃度を数
百〜千ppm前後にまで低減させることができる。
【0029】しかし、銅系の触媒は、反応器に充填した
後、水素や改質ガスなどの還元ガスを流通させて活性化
させる必要があるとともに、耐熱性は300℃前後と低
い。したがって、活性化時の反応熱で耐熱温度を超えな
いように、還元ガスを不活性ガスなどで希釈して供給す
るか、または少流量で徐々に反応させる必要があり、活
性化に長時間を要する。また、装置の起動時にも、過昇
温によって耐熱温度を超えないように、ゆっくりと長時
間かけて加熱する必要があり、頻繁に起動停止を繰り返
すような用途には、問題点が多い。
【0030】一方、本発明の水素精製装置では、触媒体
1として貴金属を活性成分とする触媒体を用いており、
装置の起動時に500℃程度の高温になった場合でも、
触媒が大きく劣化することは無い。また、触媒体1の耐
熱性が高いため、銅系触媒のように、還元反応の反応熱
による発熱を抑制するために、長時間かけて還元処理を
行う必要もない。また、装置を停止させた場合に空気が
混入しても銅系触媒よりも触媒劣化は少ない。
【0031】また、ゼオライトを担体として用いること
によって、活性成分が高分散に担持されるとともに、担
体であるゼオライトと貴金属との相互作用が大きいため
劣化も抑制される。
【0032】ゼオライトはシリカとアルミナを主成分と
するものが一般的であるが、3価の電子状態をとるAl
原子と4価の電子状態をとるSi原子の比率によって、
固体酸性や疎水性など様々な特性が発現する。本実施の
形態で用いているゼオライトは、SiO2/Al2O3
比=5であり、水に対して親和性の低い疎水性ゼオライ
トである。水素精製装置の起動時には、装置が充分な温
度に昇温される前に水蒸気を多く含むガスが供給される
可能性がある。このため、従来は触媒体に凝縮した水が
触媒の活性点を覆い尽くし、反応が開始するまでに長い
時間を要していたり、触媒をヒーターで加熱したりして
いた。一方、本発明では疎水性ゼオライトを用いている
ため、水が触媒活性を低下させることなく、比較的低温
から、速やかに反応がを開始させることができる。
【0033】なお、Pt、Pd、Rh、およびRuなど
を活性成分とする貴金属触媒は、活性が高いために、反
応の選択性が比較的低い。そのため、条件によっては、
CO変成反応の副反応として、COまたは二酸化炭素の
メタン化反応も進行することがあり、メタン化反応の進
行による水素の消費が、装置全体の効率を低下させるこ
とが懸念される。
【0034】通常、CO変成反応を行う150〜450
℃の温度領域では、高温になるほどメタン化反応が顕著
となるが、貴金属の種類によっても、メタン生成率は異
なる。これは、貴金属の種類によってCOの吸着機構が
異なるためであり、メタン化反応が進行しやすいCOの
吸着機構をもつPd、RhおよびRuは、比較的低温で
もメタンを発生させ、CO変成反応を行うことができる
温度領域が狭くなる。これに対して、本実施の形態で用
いるPt触媒は、メタン化反応を起こしにくく、広い温
度範囲でCO変成反応を行うことができる。したがっ
て、メタン化反応の進行によって大量の水素が消費され
ることはなく、本実施の形態の水素精製装置は、効率よ
く稼働することができる。
【0035】また、貴金属の担持量としては、貴金属が
高い分散度となり、必要な活性が発揮できる量であれば
良い。貴金属の含有量が高いほど貴金属の粒子は大きく
なって反応に寄与しない貴金属量が増加し、逆に貴金属
の含有量が少ない場合には充分な活性が得られない。こ
のため、通常の燃焼用や排ガス浄化用の貴金属触媒と同
じく、触媒担体に対して0.1重量%〜5重量%の間が
好ましい。
【0036】また、Ceは貴金属触媒上でのメタン化反
応を抑制する効果がある。通常貴金属触媒にはアルミナ
やシリカ、酸化チタン等が触媒担体として用いられる
が、変成反応に用いると300℃以上の温度領域で、メ
タン化反応が進行しやすい。Ceを貴金属と共存させた
場合には、450℃程度の高温であっても、メタン化反
応はほとんど進行しない。Ce以外にもCu、Fe、C
r、Re、Mo、Wから選択される遷移金属を添加する
ことによって、同様の効果が得られる。
【0037】Cu、Fe、Cr、Ce、Re、Mo、W
の添加量としては、ゼオライトの細孔内に効率よく担持
できる量が好ましく、0.5〜10wt%がもっとも効
果的である。
【0038】また、本実施例ではY型構造のゼオライト
を用いたが、反応ガス(COと水分子)に対して充分に
大きな細孔を有していれば、特に構造に限定はなく、L
型、モルデナイト型、ZSM−5型、ベータ型構造でも
よい。これらのものは0.5〜1nmの細孔を有してお
り、細孔内の活性点が有効に機能できるため、高い活性
が得られる。
【0039】また本実施の形態では、ゼオライトのシリ
カ−アルミナ比がSiO2/Al2 3=5のものを用い
たが、4以上であれば、高い性能が得られる。また、シ
リカ比率が多いほど疎水性が高くなって好ましいが、S
iO2/Al23=200を越えると、シリカの比率が
多くなっても特性は変わらない。
【0040】また、本実施の形態では、触媒体の形状
は、触媒をコージェライトハニカムにコーティングした
ものを用いたが、ゼオライトの形状をペレット形状と
し、貴金属塩等を含浸させてCO変成触媒体を作製して
も、同様の性能を有するCO変成触媒体が得られる。
【0041】また、本実施の形態では、ゼオライトにC
eとPtを担持したが、酸化セリウム等の金属酸化物に
貴金属を担持したものとゼオライトを混合しても同様の
効果が得られる。
【0042】(実施の形態2)次に発明の第2の実施の
形態について述べる。本実施の形態は、図2に示すよう
に触媒体11の上流側に空気供給部14が設けている以
外は実施の形態1と類似である。したがって、異なる点
を中心に本実施の形態を説明する。
【0043】図2は本実施の形態に係る水素精製装置の
構成を示す概略断面図である。空気供給部14から空気
を供給することによって、触媒体11で改質ガス中の水
素または一酸化炭素が酸化される。通常、起動時には触
媒体11の温度が充分に上昇するまで触媒上に水が凝縮
し、酸化反応は充分に進行しない。このため、空気を加
えても発熱しないため、起動に時間を要する。ここで本
実施の形態では触媒体11には疎水性ゼオライトが含有
しており、装置の起動時のように、多量の水蒸気が含ま
れている条件でも触媒体11上で酸化反応が進行し、触
媒体11の温度は速やかに上昇する。なお、加える空気
量は装置構成等によって異なり、特に限定しないが、触
媒温度が速やかに昇温するとともに、極端に触媒体の温
度が過昇温しない空気量を選択する必要がある。
【0044】また、触媒体11に用いているゼオライト
にCuを担持させておくと、触媒の酸化反応が開始する
温度より低温で、供給した空気がCuを酸化し発熱する
ため、触媒体11の温度はより早く上昇する。一度酸化
された銅は空気の供給を停止すると再び改質ガスによっ
て還元されるため、元の金属状態にもどり、次の起動時
には再び発熱させることができる。
【0045】
【実施例】(実施例1)表1に示すように、シリカ−ア
ルミナ比がSiO2/Al23=5のY型ゼオライト
(表中ではYと記す)に対して、Cu、Fe、Cr、C
e、Re、Mo、Wを1重量%担持し、さらに貴金属
(貴金属種は表中に記載)を1重量%担持した。同じく
シリカ−アルミナ比がSiO2/Al23=5のL型、
モルデナイト型、ZSM5型、ベータ型ゼオライト(表
中では、それぞれL、M、ZSM5、βと記す)に対し
て、Ceを1重量%担持し、同様にPtを1重量%担持
した。これらをコージェライトハニカムにコーティング
して、図1に示す反応室2に設置した。
【0046】改質ガス入口3より、一酸化炭素8%、二
酸化炭素8%、水蒸気20%、残りが水素である改質ガ
スを、毎分10リットルの流量で導入した。改質ガス温
度を制御し、触媒体1で反応させた後に、改質ガス出口
4より排出されるガスの組成をガスクロマトグラフィで
測定した。
【0047】温度を変化させた場合のCO濃度の最低
値、触媒温度が400℃における反応後のガス中のメタ
ン濃度を測定し、さらに、装置を停止させた後、再び起
動させる動作を10回繰り返し、CO濃度の最低値を測
定して触媒の活性変化を確認した。これらの結果を、表
1にまとめて示す。
【0048】
【表1】
【0049】表1に示された実験結果より、前述したつ
ぎのような事実が裏付けられる。Cu、Fe、Cr、C
e、Re、Mo、WとPtを担持したY型ゼオライトは
活性が高く、メタン化反応も抑制できる。特にCeがも
っとも効果的である。また、Ptの代わりにRu、P
d、およびRhを用いた場合には、メタン化反応が起こ
りやすくなり、メタン濃度が高くなる。
【0050】また、L型、モルデナイト型、ZSM5
型、β型のゼオライトを用いてもY型ゼオライトと同様
の効果が得られる。
【0051】(実施例2)実施例1で用いた表1中の試
料4に示したPt/Ce/Y型(フォージャサイト型)
ゼオライトにおいて、表2に示すように、ゼオライトの
シリカ−アルミナ比が、1から1000までのものにつ
いて、実施例1と同様にコージェライトハニカムにコー
ティングして、図1に示す反応室2に設置した。
【0052】改質ガス入口3より、一酸化炭素8%、二
酸化炭素8%、水蒸気20%、残りが水素である改質ガ
スを、毎分10リットルの流量で導入を開始し、触媒体
1の温度が上昇してCO濃度が1%を下回るまでの時間
(起動時間)を測定した。これらの結果を表2にまとめ
て示す。
【0053】
【表2】
【0054】(実施例3)実施例2で、図2に示すよう
に触媒体11の上流側に空気供給部14を設け、毎分
0.2リットルの流量で空気を供給しながら、実施例2
と同様に起動時間を測定した。これらの結果を表3にま
とめて示す。
【0055】
【表3】
【0056】(実施例4)実施例1で用いた表1中の試
料1で示したPt/Cu/Y型ゼオライトにおいて、表
4に示すように、ゼオライトのシリカ−アルミナ比が、
1から1000までのものについて、実施例3と同様に
起動時間を測定した。これらの結果を表4にまとめて示
す。
【0057】
【表4】
【0058】(比較例1)本発明のゼオライトに希土類
または遷移金属を担持させたものの代わりに、表5に示
す組成の酸化物、または貴金属1重量%をアルミナに担
持したもの、42〜47を触媒体1として用い、実施例
1と同様に、図1に示す反応室2に設置した。改質ガス
入口3より、一酸化炭素8%、二酸化炭素8%、水蒸気
20%、残りが水素である改質ガスを、毎分10リット
ルの流量で導入した。改質ガス温度を制御し、触媒体1
で反応させた後に、改質ガス出口4より排出されるガス
の組成をガスクロマトグラフィで測定した。温度を変化
させた場合のCO濃度の最低値、触媒温度が400℃に
おける反応後のガス中のメタン濃度を測定し、さらに、
装置を停止させた後、再び起動させる動作を10回繰り
返し、CO濃度の最低値を測定して触媒の活性変化を確
認した。これらの結果を、表5にまとめて示す。
【0059】
【表5】
【0060】(比較例2)実施例1で用いた表1中の試
料4に示したPt/Ce/Y型ゼオライト代わりに、酸
化セリウムにPtを1重量%担持し、実施例1と同様に
コージェライトハニカムにコーティングして、図1に示
す反応室2に設置した。
【0061】改質ガス入口3より、一酸化炭素8%、二
酸化炭素8%、水蒸気20%、残りが水素である改質ガ
スを、毎分10リットルの流量で導入を開始し、触媒体
1の温度が上昇してCO濃度が1%を下回るまでの時間
(起動時間)を測定したところ、55分であった。
【0062】(比較例3)比較例2で、図2に示すよう
に触媒体11の上流側に空気供給部14を設け、毎分
0.2リットルの流量で空気を供給しながら、比較例2
と同様に起動時間を測定したところ、40分であった。
【0063】このように、本比較例における触媒体を用
いた場合、次のような事実が裏付けられる。貴金属を含
まない鉄とクロムの複合酸化物は充分にCOが低減でき
ず、銅−亜鉛触媒は初期活性は高いが、起動停止を繰り
返すと著しく活性低下する。また、アルミナに貴金属を
担持させたものは、活性の低下はみられないが、400
℃におけるメタン濃度は高い。また、起動時間もゼオラ
イトを用いることによって短くなった。
【0064】以上述べたところから明らかなように、こ
のように、本発明の水素精製装置は、CO変成触媒体の
耐久性が改善されており、装置の起動停止を繰り返した
場合でも安定に動作し、起動時間も短縮することができ
る。
【0065】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
は、たとえば、始動時の加熱などが容易であり、高いC
O除去効率を有する水素精製装置を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る水素精製装置を含
む水素発生装置の構成を示す概略縦断面図
【図2】本発明の実施の形態2に係る水素精製装置を含
む水素発生装置の構成を示す概略縦断面図
【符号の説明】
1,11 触媒体 2,12 反応室 3,13 改質ガス入口 4,14 改質ガス出口 5,16 拡散板 6,17 断熱材 15 空気供給部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01J 29/44 B01J 29/44 M 29/62 29/62 M 29/74 29/74 M 29/90 29/90 M 35/02 35/02 G 37/08 37/08 38/18 38/18 H01M 8/06 H01M 8/06 G // C01B 3/16 C01B 3/16 (72)発明者 脇田 英延 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 藤原 誠二 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4G040 EB32 4G069 AA03 AA08 BA01 BA07A BA07B BC31A BC31B BC43A BC43B BC58A BC58B BC59A BC59B BC60A BC60B BC64A BC64B BC66A BC66B BC70A BC70B BC71A BC71B BC72A BC72B BC75A BC75B CC26 DA06 EA19 EE03 FA01 FA02 FA03 FB14 FB23 FB29 ZA04A ZA04B ZA06A ZA06B ZA08A ZA08B ZA11A ZA11B ZA19A ZA19B ZC04 ZD01 5H027 AA02 BA01 BA17

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水素、一酸化炭素および水蒸気を含む改
    質ガスから一酸化炭素を除去する一酸化炭素変成触媒体
    を備えた水素精製装置であって、前記一酸化炭素変成触
    媒体は、ゼオライトにCu、Fe、Cr、Ce、Re、
    Mo、Wから選択される希土類元素または遷移金属元素
    のうちの少なくとも一種と、Pt、Pd、Rh、Ruの
    うちの少なくとも1つの貴金属がイオン交換または担持
    されていることを特徴とする水素精製装置。
  2. 【請求項2】 前記一酸化炭素変成触媒体において、前
    記ゼオライトに少なくともCeとPtがイオン交換また
    は担持されていることを特徴とする請求項1記載の水素
    精製装置。
  3. 【請求項3】 前記一酸化炭素変成触媒体は、貴金属が
    Cu、Fe、Cr、Ce、Re、Mo、Wから選択され
    る希土類元素または遷移金属元素のうち少なくとも一種
    を含有する金属酸化物に担持された触媒成分と前記ゼオ
    ライトが混合されることによって構成されることを特徴
    とする請求項1または2記載の水素精製装置。
  4. 【請求項4】 前記ゼオライトはシリカおよびアルミナ
    を主成分とし、SiO 2/Al23比が4以上であるこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水素精
    製装置。
  5. 【請求項5】 前記ゼオライトは、Y型、L型、モルデ
    ナイト型、ZSM−5型、ベータ型構造より選択される
    一種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに
    記載の水素精製装置。
  6. 【請求項6】 前記一酸化炭素変成触媒体の上流側には
    酸化ガス供給部が設けられていることを特徴とする請求
    項1〜5のいずれかに記載の水素精製装置。
  7. 【請求項7】 前記ゼオライトには少なくともCuが含
    有していることを特徴とする請求項6記載の水素精製装
    置。
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