JP2002361994A - 製版印刷装置 - Google Patents

製版印刷装置

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JP2002361994A JP2001171094A JP2001171094A JP2002361994A JP 2002361994 A JP2002361994 A JP 2002361994A JP 2001171094 A JP2001171094 A JP 2001171094A JP 2001171094 A JP2001171094 A JP 2001171094A JP 2002361994 A JP2002361994 A JP 2002361994A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多数枚印刷するような場合においては、通常
の設定状況では、印刷時の物理的なストレスによってマ
スタが伸びて画像再現性を劣化させてしまうという問題
点や、高画質の印刷画像を得るための高画質化または高
速製版化の両者を1台の製版印刷装置で実現することは
難しいという問題点等を解決する。 【解決手段】 制御装置6は、操作パネル50の高耐刷
化設定キー57からのオン信号に基づいて、また画像処
理装置3からの画像信号に応じて、印刷速度センサ16
4からのデータ信号やオン/オフ信号等を参照しなが
ら、上記高耐刷化制御モードで製版動作および印刷動作
を行うように、上記各種表示器、液晶表示部63、サー
マルヘッド1やメインモータ151の各作動を制御する
高耐刷化制御手段7を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、孔版印刷装置等を
含む製版印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より簡便な印刷方式として、製版印
刷装置であるデジタル感熱式の謄写印刷装置とも呼ばれ
るデジタル感熱式の孔版印刷装置が知られている。この
装置では、発熱素子あるいは発熱抵抗体とも呼ばれてい
る微小な発熱体を主走査方向に複数配列されたサーマル
ヘッドを、熱可塑性樹脂フィルムを有する感熱孔版マス
タ(以下、単に「マスタ」という)を介してプラテンロ
ーラに押圧させ、サーマルヘッドの発熱体にパルス的に
通電し発熱させながらプラテンローラで主走査方向と直
交する副走査方向(以下、「マスタ搬送方向」というと
きがある)にマスタを搬送することで、画像情報に基づ
いて加熱溶融・穿孔製版させた後、マスタを自動搬送し
て多孔性円筒状の版胴とも呼ばれている外周部を備えた
印刷ドラムの外周面に自動的に巻き付け、その印刷ドラ
ム上のマスタに対してプレスローラ等の押圧手段で印刷
用紙を連続的に押し付けてその穿孔部分からインキを通
過させ印刷用紙に転移させることで印刷画像を形成させ
るようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、デジタ
ル感熱式の孔版印刷装置を使用しているユーザの使用状
況は多種多様であり、その使用状況に応じて細分化され
た製版条件や印刷条件で製版し印刷できるような利便性
に富んだものは無かったので、ユーザの所望する印刷画
像を簡易に得ることができなかった。
【0004】例えば千枚を超える多数枚印刷するような
場合において、通常の設定状況では、マスタの耐刷性の
問題等を考慮して作業を行わなければならなかった。す
なわち、デジタル感熱式の孔版印刷装置で多数枚の印刷
用紙に印刷を行うと、印刷時の物理的なストレスによっ
てマスタが伸びて画像寸法再現性(以下、単に「画像再
現性」という)を劣化させてしまうという問題点があっ
た。
【0005】この対応策として、マスタの物理的な強度
を確保すべく高耐刷なマスタに交換して、そのときだけ
穿孔製版を行うための印加エネルギー(以下、「穿孔エ
ネルギー」というときがある)を可変するという方法も
あるが、マスタ交換に要する時間的負担およびマスタを
少なくとも2種類持たなければならないという経済的負
担をユーザに課すことになってしまう。また別の方策と
して孔版印刷装置の印刷機械としての機能を、「マスタ
に対する穿孔径縮小化+製版時間増加+印刷速度低速
化」として予め設定しておくことも考えられるが、通常
の一般的な使用時や高速製版が求められている現状で
は、そのような構成の機械をなかなか受け入れてもらこ
とができなかった。
【0006】ここで、「マスタの耐刷性」とは、製版さ
れた1版のマスタを使用して、実質的に印刷画像品質を
損なうことなくどの位の枚数の印刷用紙に印刷を行うこ
とができるかというマスタの有する性質をいう。この発
明での「高耐刷化」とは、マスタの種類および印刷用紙
の種類を変えずにこれを基準として1版のマスタを使用
して、実質的に印刷画像品質を損なうことなく、できる
だけ多くの印刷用紙に印刷を行うことができるようにす
ることを意味し、ひいてはそのための製版条件および印
刷条件を設定することを意味する。また、「マスタの耐
刷枚数」とは、製版された1版のマスタを使用して、実
質的に画像品質を損なうことなく印刷用紙に印刷を行う
ことのできる印刷用紙枚数をいう。そして、「実質的に
画像品質を損なうことなく」とは、ユーザのその時々の
要求によってある程度変動することを意味している。
【0007】マスタの耐刷性やマスタの耐刷枚数は、マ
スタの種類および印刷用紙の種類を考慮した場合、マス
タの種類および印刷用紙の種類を含め、製版条件および
/または印刷条件等により変動的なものであるが、通
常、厚さが1〜2μmの熱可塑性樹脂フィルムと多孔質
支持体(ベース)として和紙や合成繊維を混抄した厚さ
20〜50μmのベースとを接着剤で貼り合わせたトー
タルの厚さ25〜55μm程度のマスタを使用して孔版
上質紙に印刷を行う場合を基準としたときは、大体20
00枚程度であるといえる。通常、高耐刷なマスタ
(版)は、そのマスタを構成する熱可塑性樹脂フィルム
や多孔質支持体(ベース)の強度や耐久性が高いため現
状では高価であり、必要な印刷枚数が少ない場合には1
版当たりの印刷コストが高くつく。
【0008】また、デジタル感熱式の孔版印刷装置で
は、高画質の印刷画像を得るための高画質化は常に求め
られているが、同時に高速製版化(製版時間の短縮化)
も求められている状況にある。このような状況から現状
の印刷機械の構成では、両者をある程度満足する構成と
なっている。しかしながら、印刷機械の使用状況によっ
ては、高速製版化を必要としないこともある。例えば、
ちらし作成などがその例であり、その印刷画像では画像
再現性が重視され、特にベタ画像部等の埋まりや細字の
再現性が要求される。この画像再現性の要求への対応策
としては、マスタの高感度化や、印字周期の増加による
穿孔確率の向上(サーマルヘッドへの通電時間増による
穿孔確率の向上)が挙げられるが、前者では高感度マス
タへの交換の負担やコストの割高による経済的負担の面
から、後者では上述したと同様の高速製版化の要求の面
から機械の構成として実現することは難しい状況にあっ
た。
【0009】また、高速製版化も印刷機械に常に求めら
れている課題であるが、通常設定では、文字印刷とベタ
画像印刷との両方を加味した製版条件が設定されている
ので、ベタ画像等の連続印字の際に、サーマルヘッドへ
の連続通電による蓄熱作用の影響から、穿孔径がその副
走査方向に大きくなって繋がってしまい、結果として印
刷ドラムからの印刷用紙へのインキが過剰供給されるこ
とで生じる裏移りと呼ばれている不具合発生を抑制する
ために、高速化が困難な状況にあった。つまり、製版条
件および印刷条件において、ある意味で対極にある高画
質化と高速化という両者の機能をそれぞれ満足させる機
能・構成を1台の機械に持たせることができなかった。
ここで、「裏移り」とは、排紙台等に先に排出された印
刷物の印刷画像表面のインキが次に排出されてくる印刷
物の裏面に転移することにより、印刷物の裏面をインキ
で汚してしまう不具合現象をいう。
【0010】ましてや、機械操作に不慣れなユーザにお
いては、各々の原稿やパーソナルコンピュータ等からの
画像情報に応じて、最適な製版条件や印刷条件を選択し
て製版し印刷することは非常に困難なことであった。
【0011】そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてな
されたものであって、ユーザ自身がその使用形態に合わ
せた製版条件や印刷条件を選択して製版し印刷を行うこ
とができるようにして、ユーザの所望する印刷画像を簡
易に得られる利便性に富んだ製版印刷装置を提供するこ
とを第1の目的とする。
【0012】本発明の第2の目的は、機械操作に不慣れ
なユーザにおいても、各々の原稿やパーソナルコンピュ
ータ等からの画像情報に応じて、製版条件や印刷条件を
設定することなく、簡単な操作・作業で最適な製版条件
や印刷条件を自動的に選択して製版し印刷を行うことが
可能な製版印刷装置を提供することにある。本発明の第
3の目的は、第1および第2の両方の目的を達成するこ
とが可能な製版印刷装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した問題
点を解決すると共に上述した目的を達成するために、請
求項毎の発明においては以下の手段・発明特定事項(構
成)を採用していることを特徴とするものである。請求
項1記載の発明は、熱可塑性樹脂フィルムを有するマス
タを製版する製版手段を備え、製版されたマスタを印刷
ドラムに巻装し、該印刷ドラム上のマスタにインキを供
給しながら上記印刷ドラムに印刷用紙を押し付けて印刷
を行う製版印刷装置において、マスタを高耐刷化製版条
件で製版し、かつ、印刷速度を比較的低速に自動的に変
えて印刷を行う高耐刷化制御モードを設定する高耐刷化
設定手段、マスタを高画質化製版条件で製版する高画質
化制御モードを設定する高画質化設定手段およびマスタ
を高速化製版条件で製版し、かつ、印刷速度を最高速に
自動的に変えて印刷を行う高速化制御モードを設定する
高速化設定手段のうちの少なくとも一つを有し、上記高
耐刷化設定手段、上記高画質化設定手段および上記高速
化設定手段の何れか一つの設定手段からの信号に基づい
て、その設定手段に対応した制御モードで製版動作およ
び印刷動作を行わせる制御手段を具備することを特徴と
する。
【0014】ここで、請求項1記載の発明における、
「マスタを高耐刷化製版条件で製版し、かつ、印刷速度
を比較的低速に自動的に変えて印刷を行う高耐刷化制御
モードを設定する高耐刷化設定手段、マスタを高画質化
製版条件で製版する高画質化制御モードを設定する高画
質化設定手段およびマスタを高速化製版条件で製版し、
かつ、印刷速度を最高速に自動的に変えて印刷を行う高
速化制御モードを設定する高速化設定手段のうちの少な
くとも一つを有する」態様には、以下の7つの態様が含
まれる。すなわち、第1の態様は上記高耐刷化設定手段
のみを、第2の態様は上記高画質化設定手段のみを、第
3の態様は上記高速化設定手段のみを、有する態様であ
る。また、第4の態様は上記高耐刷化設定手段および上
記高画質化設定手段を、第5の態様は上記高耐刷化設定
手段および上記高速化設定手段を、第6の態様は上記高
画質化設定手段および上記高速化設定手段を、第7の態
様は上記高耐刷化設定手段、上記高画質化設定手段およ
び上記高速化設定手段を、有する態様である。
【0015】請求項2記載の発明は、請求項1記載の製
版印刷装置において、上記製版手段は、主走査方向に配
列された複数の発熱体を有するサーマルヘッドであり、
上記高耐刷化制御モードは、上記発熱体に印加する穿孔
エネルギーを比較的少なく調整し、かつ、上記サーマル
ヘッドの印字周期を比較的長くするものであることを特
徴とする。
【0016】請求項3記載の発明は、請求項1記載の製
版印刷装置において、上記製版手段は、主走査方向に配
列された複数の発熱体を有するサーマルヘッドであり、
上記高画質化制御モードは、上記サーマルヘッドの印字
周期を比較的長くし、かつ、上記印字周期に応じた、上
記発熱体に印加する穿孔エネルギーに調整するものであ
ることを特徴とする。
【0017】請求項4記載の発明は、請求項1または3
記載の製版印刷装置において、上記高画質化制御モード
は、上記印刷ドラムに印刷用紙を押し付けるときの印圧
を比較的高めに自動的に変える制御、および/または上
記副走査方向の解像度を比較的高めに自動的に変える制
御を含むことを特徴とする。
【0018】請求項5記載の発明は、請求項1記載の製
版印刷装置において、上記製版手段は、主走査方向に配
列された複数の発熱体を有するサーマルヘッドであり、
画像データの印字率を認識する印字率認識手段を有し、
上記高速化制御モードは、上記印字率認識手段で認識し
た印字率が低い場合にのみ、上記サーマルヘッドの印字
周期を比較的短くして行うものであることを特徴とす
る。
【0019】請求項6記載の発明は、請求項1または5
記載の製版印刷装置において、上記高速化制御モード
は、上記印刷ドラムに印刷用紙を押し付けるときの印圧
を比較的高めに自動的に変える制御を含むことを特徴と
する。
【0020】請求項7記載の発明は、画像データに応じ
て、熱可塑性樹脂フィルムを有するマスタを製版する製
版手段を備え、製版されたマスタを印刷ドラムに巻装
し、該印刷ドラム上のマスタにインキを供給しながら上
記印刷ドラムに印刷用紙を押し付けて印刷を行う製版印
刷装置において、製版された1版のマスタについて印刷
すべき印刷用紙の枚数を設定する印刷枚数設定手段、画
像データの印字率を認識する印字率認識手段および画像
データの印字率を設定する印字率設定手段のうちの少な
くとも一つを有し、上記少なくとも一つの手段からの信
号に基づいて、予め設定された製版条件および印刷条件
を自動的に選択してそれに応じた製版動作および印刷動
作を行わせる自動化制御手段と、上記自動化制御手段を
起動する自動設定手段とを具備することを特徴とする。
【0021】請求項8記載の発明は、請求項1ないし6
の何れか一つに記載の製版印刷装置において、製版され
た1版のマスタについて印刷すべき印刷用紙の枚数を設
定する印刷枚数設定手段、画像データの印字率を認識す
る印字率認識手段および画像データの印字率を設定する
印字率設定手段のうちの少なくとも一つを有し、上記少
なくとも一つの手段からの信号に基づいて、予め設定さ
れた製版条件および印刷条件を自動的に選択してそれに
応じた製版動作および印刷動作を行わせる自動化制御手
段と、上記自動化制御手段を起動する自動設定手段とを
具備することを特徴とする。
【0022】請求項2、請求項3や請求項5記載の発明
における「サーマルヘッドの印字周期」とは、サーマル
ヘッドの同一発熱体に通電するときの発熱作動時間間隔
であり、ライン周期とも呼ばれている。
【0023】請求項7や請求項8記載の発明における、
「製版された1版のマスタについて印刷すべき印刷用紙
の枚数を設定する印刷枚数設定手段、画像データの印字
率を認識する印字率認識手段および画像データの印字率
を設定する印字率設定手段のうちの少なくとも一つを有
する」態様には、以下の7つの態様が含まれる。すなわ
ち、第1の態様は上記印刷枚数設定手段のみを、第2の
態様は上記印字率認識手段のみを、第3の態様は上記印
字率設定手段のみを、第4の態様は上記印刷枚数設定手
段および上記印字率認識手段を、第5の態様は上記印刷
枚数設定手段および上記印字率設定手段を、第6の態様
は上記印字率認識手段および上記印字率設定手段を、第
7の態様は上記印刷枚数設定手段、上記印字率認識手段
および上記印字率設定手段を、有する態様である。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、図を参照して実施例を含む
本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という)を説
明する。本発明を適用する従来例および各実施形態等に
亘り、同一の機能や形状等を有する部材や構成部品等の
構成要素については、同一符号を付すことにより一度説
明した後ではその説明を省略する。図および説明の簡明
化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、
その図において特別に説明する必要がない構成要素は適
宜断わりなく省略することがある。従来技術に係る公開
特許公報等の図等に示されている符号をそのまま引用す
る場合には、その引用した符号に括弧を付して表すもの
とする。 (実施形態1)図1ないし図5に、実施形態1を示す。
まず、図2を参照して、本発明に係る製版印刷装置を適
用したデジタル感熱式の孔版印刷装置(以下、単に「孔
版印刷装置」という)の概略的な全体構成と共に、その
動作について簡単に説明する。図2において、符号40
は、孔版印刷装置の骨組みをなす装置本体フレームを示
す。装置本体フレーム40の上部にある、符号80で示
す部分は原稿読取装置、その下方の符号90で示す部分
はデジタル感熱製版式の製版装置、その左側に符号10
0で示す部分は多孔性の印刷ドラム101が配置された
印刷ドラム装置、その左の符号70で示す部分は排版装
置、製版装置90の下方の符号110で示す部分は給紙
装置、印刷ドラム101の下方の符号120で示す部分
は印圧装置、装置本体フレーム40の左下方の符号12
1で示す部分は排紙装置をそれぞれ示している。
【0025】この孔版印刷装置の動作について以下に説
明する。先ず、原稿読取装置80の上部に配置された原
稿載置台(図示せず)に、印刷すべき画像をもった原稿
45を載置し、図3に示す操作パネル50の製版スター
トキー51を押す。この製版スタートキー51の押下に
伴い、製版スタート信号が生成されこれがトリガとなっ
て、先ず排版工程が実行される。すなわち、この状態に
おいては、印刷ドラム装置100の印刷ドラム101の
外周面に前回の印刷で使用された使用済みのマスタ46
が装着されたまま残っている。印刷ドラム101は、図
示しない回転伝達機構を介して例えばDCモータからな
る図5に示すメインモータ151に連結されていて、メ
インモータ151によって回転駆動される。
【0026】印刷ドラム101が反時計回り方向に回転
し、印刷ドラム101外周面の使用済みのマスタ46の
後端部が排版装置70における排版剥離ローラ対71
a,71bに近づくと、同ローラ対71a,71bは回
転しつつ一方の排版剥離ローラ71b側は図示しない移
動手段により移動自在に設けられ、これによって使用済
みのマスタ46の後端部をすくい上げ、排版剥離ローラ
対71a,71bの左方に配設された排版コロ対73
a,73bと排版剥離ローラ対71a,71bとの間に
掛け渡された排版搬送ベルト対72a,72bで矢印Y
1方向へ搬送されつつ排版ボックス74内へ排出され、
使用済みのマスタ46が印刷ドラム101の外周面から
引き剥がされ排版工程が終了する。このとき印刷ドラム
101は反時計回り方向への回転を続けている。剥離排
出された使用済みのマスタ46は、その後、圧縮板75
により排版ボックス74の内部で圧縮される。
【0027】排版工程と並行して、原稿読取装置80で
は原稿読み取りが行われる。すなわち、図示しない原稿
載置台に載置された原稿45は、分離ローラ81、前原
稿搬送ローラ対82a,82bおよび後原稿搬送ローラ
対83a,83bのそれぞれの回転により矢印Y2から
Y3方向(以下、「原稿搬送方向Y2」という)に搬送
されつつ露光読み取りに供される。このとき、原稿45
が多数枚あるときは、分離ブレード84の作用でその最
下部の原稿のみが搬送される。上側の後原稿搬送ローラ
83aは、例えばステッピングモータからなる原稿搬送
モータ83Aによって回転駆動される。上側の前原稿搬
送ローラ82aは、上側の搬送ローラ83aと搬送ロー
ラ82aとの間に掛け渡されたタイミングベルト(図示
せず)を介して原稿搬送モータ83Aによって回転駆動
され、各ローラ82b,83bはそれぞれ従動回転す
る。原稿45の画像読み取りは、コンタクトガラス85
上を搬送されつつ、蛍光灯86により照明された原稿4
5の表面からの反射光を、ミラー87で反射させレンズ
88を通して、CCD(電荷結合素子等の光電変換素
子)からなる画像センサ5に入射させることにより行わ
れる。その画像が読み取られた原稿45は原稿トレイ8
0A上に排出される。
【0028】図1および図2に示すように、原稿45の
光学情報は画像センサ5で光電変換され、そのアナログ
の電気信号はアナログ/デジタル(A/D)変換装置4
に入力されデジタルの画像信号に変換される。このデジ
タルの画像信号は画像処理装置3で画像処理を施され、
こうして画像処理を施された画像信号は、図示しない製
版制御部を含む制御装置6に入力される。上記製版制御
部は、主として図示しないサーマルヘッド駆動回路を介
してサーマルヘッド1を制御するものであり、制御装置
6の一部を構成している。なお、制御装置6へ入力され
る画像信号は上記CCDで読み取ったものに限らず、例
えば密着センサ等からのものでも構わない。
【0029】制御装置6の上記製版制御部に入力した画
像信号は、図1に示すような制御構成によって後述する
ような本発明に特有の各種制御が実行される他、既に公
知であり図1に示す一般的諸制御手段等27による諸制
御、すなわちそれぞれ図示しない、熱履歴制御手段によ
る熱履歴制御、環境温度補正制御手段による環境温度補
正制御、コモンドロップ補正制御手段によるコモンドロ
ップ補正制御、サーマルヘッド温度補正制御手段による
サーマルヘッド補正制御やインキ温度補正制御手段によ
るインキ温度補正制御等を適宜施されて、サーマルヘッ
ド駆動用の信号として通電信号、ラッチ信号、クロック
信号、画像データ信号等を生成されて、サーマルヘッド
駆動回路(図示せず)に送信される。
【0030】一方、画像読み取り動作と並行して、デジ
タル信号化された画像情報(画像データ信号等)に基づ
き製版および給版工程が行われる。すなわち、製版スタ
ート信号がトリガとなって、ステッピングモータからな
るマスタ搬送モータ91が回転駆動されることにより、
製版装置90の所定部位において図示しないマスタ支持
部材を介してマスタ46を繰り出し可能にセットされ、
芯管46aの周りにロール状に巻かれて形成されたマス
タロール46Aからマスタ46が引き出される。引き出
されたマスタ46は、サーマルヘッド1にマスタ46を
介して押圧しているマスタ搬送手段としてのプラテンロ
ーラ92および一対のテンションローラ93a,93b
の回転により、副走査方向Y(マスタ搬送方向Yでもあ
る)の下流側に搬送される。このように搬送されるマス
タ46に対して、サーマルヘッド1の主走査方向Sにラ
イン状に並んで配列された複数個の微小な発熱体2が、
制御装置6から送られてくる画像データ信号に応じて各
々選択的に発熱し、発熱した発熱体2に接触しているマ
スタ46の熱可塑性樹脂フィルム部分が加熱溶融穿孔さ
れる。このように、画像情報に応じたマスタ46の位置
選択的な溶融穿孔により、画像情報が穿孔パターンとし
てマスタ46に書き込まれる。なお、マスタ46の初期
位置は、例えば、一対の反転ローラ94a,94bのニ
ップ部で挟持された位置から少し前方にはみ出た位置に
予め設定されている。
【0031】画像情報が書き込まれた製版済みのマスタ
46の先端は、図示しないガイド板上を案内されつつ反
転ローラ対94a,94bにより印刷ドラム101の外
周部側へ向かって送り出され、図示しない給版ガイド板
により進行方向を下方へ変えられ、図示する給版位置状
態にある印刷ドラム101の拡開したマスタクランパ1
02(仮想線で示す)へ向かって垂れ下がる。このとき
印刷ドラム101は、排版工程により使用済みのマスタ
46を既に除去されている。
【0032】そして、製版済みのマスタ46の先端が、
一定のタイミングでマスタクランパ102によりクラン
プされると、印刷ドラム101は図中A方向(時計回り
方向)に回転しつつ外周面に製版済みのマスタ46を徐
々に巻き付けていく。製版済みのマスタ46の後端部は
カッタ95により一定の長さに切断される。
【0033】切断された製版済みのマスタ46の後端
が、印刷ドラム101の回転によって製版装置90内か
ら引き出され、一版の製版済みのマスタ46が印刷ドラ
ム101の外周面に完全に巻装された段階で、製版およ
び給版工程が終了する。その後、プラテンローラ92、
テンションローラ対93a,93bおよび反転ローラ対
94a,94bの回転により、切断された上流側の残り
のマスタ46の先端が反転ローラ対94a,94bのニ
ップ部に向けて搬送される。こうして搬送されたマスタ
46の先端が図示しないマスタ先端検知センサによって
検知され、マスタ46の先端が初期位置を占めたと判断
されると、プラテンローラ92、テンションローラ対9
3a,93bおよび反転ローラ対94a,94bの回転
が停止し、次の製版に備えた製版待機状態になる。な
お、反転ローラ対94a,94b、後述するマスタクラ
ンパ102および装置本体側に設けられマスタクランパ
102を開閉する図示しない開閉装置等は、製版済みの
マスタ46を印刷ドラム101に給版する給版装置と呼
ばれることもある。それ故に、製版装置90は、給版機
能も有している。
【0034】次いで、印刷工程が開始される。先ず、給
紙台41上に積載された印刷用紙47の内の最上の1枚
が、給紙コロ111および分離コロ対112a,112
bによりレジストローラ対113a,113bに向けて
矢印Y4方向(以下、「用紙搬送方向Y4」という)に
送り出され、さらにレジストローラ対113a,113
bにより印刷ドラム101の回転と同期した所定のタイ
ミングで印圧装置120に送られる。送り出された印刷
用紙47が、印刷ドラム101とプレスローラ103と
の間にくると、印刷ドラム101の外周面下方に離間し
ていたプレスローラ103が上方に移動されることによ
り、印刷ドラム101の外周面に巻装された製版済みの
マスタ46に押圧される。こうして、印刷ドラム101
の多孔部および製版済みのマスタ46の穿孔パターン部
(共に図示せず)からインキが滲み出し、この滲み出た
インキが印刷用紙47の表面に転移されて、印刷画像が
形成される。
【0035】このとき、印刷ドラム101の内周側で
は、支軸を兼ねるインキ供給管104からインキローラ
105とドクターローラ106との間に形成されたイン
キ溜まり107にインキが供給され、印刷ドラム101
の回転方向と同一方向に、かつ、印刷ドラム101の回
転速度と同期して回転しながら内周面に転接するインキ
ローラ105により、インキが印刷ドラム101の内周
側に供給される。インキ供給管104、インキローラ1
05およびドクターローラ106は、インキ供給手段を
構成する。
【0036】印圧装置120において印刷画像が形成さ
れた印刷用紙47は、排紙装置121における排紙剥離
爪114により印刷ドラム101から剥がされ、吸着用
ファン118により吸引されつつ、吸着排紙入口ローラ
115および吸着排紙出口ローラ116に掛け渡された
多孔性の搬送ベルト117の反時計回り方向の回転によ
り、矢印Y5のように排紙装置121へ向かって搬送さ
れ、排紙台42上に順次排出積載される。このようにし
ていわゆる版付け印刷が終了する。なお、説明が前後す
るが、版付け印刷(印刷ドラム101外周面上への製版
済みのマスタ46を滲み出たインキの粘着力で密着させ
るための印刷をいう)時の印刷速度は、例えば16〜2
0枚/minというような超低速度に設定される。
【0037】版付け印刷終了後、プレスローラ103は
印刷ドラム101から離間し、印刷ドラム101は図2
においてマスタクランパ102が略真上となる初期位置
に復帰して、印刷待機状態となる。
【0038】次に、図3に示す操作パネル50の印刷速
度設定キー55(速度ダウンキー55aおよび速度アッ
プキー55b)を押下することにより、所望する印刷速
度値を設定し、これに前後して同図に示す操作パネル5
0のテンキー53で印刷枚数をセットし、同様に同図に
示す操作パネル50の印刷スタートキー52を押すと上
記版付け印刷と同様の工程で、給紙、印刷および排紙の
各工程が設定された印刷速度でセットした印刷枚数分繰
り返して行われ、孔版印刷の全工程が終了する。ここで
は、印刷速度設定キー55(速度ダウンキー55aおよ
び速度アップキー55b)を押下しなかったので、印刷
速度が後述する標準印刷速度に自動的に設定される。
【0039】以下、製版装置90、印刷ドラム装置10
0、印圧装置120、操作パネル50および制御装置6
の細部構成について、順次説明する。図2に示す製版装
置90のプラテンローラ92は、例えば本願出願人が提
案した特開平11−77949号公報の図2に示されて
いる機構と同様の回転伝達機構を介して、駆動手段とし
てのマスタ搬送モータ91に連結されていて、マスタ搬
送モータ91により回転される。マスタ搬送モータ91
の回転駆動力は、上記回転伝達機構を介して、テンショ
ンローラ対93a,93bおよび反転ローラ対94a,
94bに伝達されるようになっている。
【0040】サーマルヘッド1は、上記したように画像
センサ5、A/D変換装置4、画像処理装置3を経由し
て、あるいはパーソナルコンピュータ等からの画像信号
を受信するためのパソコン・コントローラを経由して、
それぞれ制御装置6の上記製版制御部で処理されて送出
されるデジタルの画像データ信号を含むサーマルヘッド
駆動用の信号に基づき複数の発熱体2を選択的に加熱す
ることにより、マスタ46を選択的に溶融穿孔し製版す
る製版手段としての機能を有する。サーマルヘッド1
は、図示しない接離手段により、マスタ46を介してプ
ラテンローラ92に接離自在となっている。
【0041】この孔版印刷装置では、サーマルヘッド1
としては、一般的に薄膜サーマルヘッドのうちで平面型
サーマルヘッドと呼ばれているものを用いているが、こ
れに限らず、例えば端面型サーマルヘッド、リアルエッ
ジ型サーマルヘッドもしくはコーナーエッジ型サーマル
ヘッドを用いてもよい。また、サーマルヘッド1の発熱
体2としては、通常、その平面視形状が矩形型のものを
用いているが、熱集中型でもよい。以下、サーマルヘッ
ド1としては、実施例的には、平面型サーマルヘッド
で、その発熱体2の矩形型のもので、大きさ・仕様とし
てはA3サイズで解像度400DPI(ドット/イン
チ)で、主走査方向Sに4608個の発熱体2を一列に
配設したものを使用しているものとして説明する。
【0042】また、特開平11−115145号公報の
図5や特開平11−115148号公報の図9等に示さ
れているように、マスタ46の穿孔箇所の微細化及び独
立化を可能とするために、発熱体2の寸法としては、発
熱体2における主走査方向Sの寸法(x)を、主走査方
向Sにおける発熱体2のピッチ(p)(実施例的には6
3.5μm)以下とし、かつ、発熱体2の副走査方向Y
の寸法(y)を発熱体2のピッチ(p)以下とすること
が好ましい。発熱体2における主走査方向Sの寸法
(x)を主走査方向Sにおける発熱体2間のピッチ
(p)の95%以下とし、かつ、副走査方向Yの寸法
(y)をマスタ46の副走査方向送りピッチの95%以
下とすれば、穿孔箇所の微細化及び独立化が一層良好と
なる。
【0043】さらに、発熱体2における主走査方向Sの
寸法(x)を主走査方向Sにおける発熱体2のピッチ
(p)の30〜95%の範囲とし、かつ、副走査方向Y
の寸法(y)をマスタ46の副走査方向送りピッチの3
0〜95%の範囲とすれば、穿孔箇所の微細化及び独立
化が一層良好となり、上述した画像再現性や裏移りの問
題に対して特に効果的である。発熱体2における主走査
方向Sの寸法(x)が主走査方向Sにおける発熱体2の
ピッチ(p)の30%未満であり、または、発熱体2に
おける副走査方向Yの寸法(y)がマスタの副走査方向
送りピッチの30%未満であると、穿孔径が小さすぎた
り、あるいは穿孔不良等が生じ、印刷画像におけるベタ
埋まりの劣悪化を来す。また、発熱体2における主走査
方向Sの寸法(x)が主走査方向Sにおける発熱体2の
ピッチ(p)の95%を超え、または、発熱体2におけ
る副走査方向Yの寸法(y)がマスタの副走査方向送り
ピッチの95%を超えると、穿孔径が大きすぎて穿孔箇
所の独立が得られにくく、画像再現性の劣悪化を来した
り、印刷用紙47へのインキの転移量増大で裏移り現象
を招く。かかる観点から、実施例的には発熱体2の主走
査方向Sの寸法(x)を20μm(31%)、副走査方
向Yの寸法(y)を30μm(47%)としている。
【0044】さらに、特開平11−115145号公報
の図6や特開平11−115148号公報の図10等に
示されているように、サーマルヘッド1の発熱体2の周
辺の断面図において、サーマルヘッド1の発熱体2で発
生する熱が下に逃げないように、グレーズ層(36)で
の蓄熱作用を低減するために、60μm以下、好ましく
は20〜60μmとの認識(実験データによる)に立
ち、グレーズ層(36)の厚みを40μmに設定してい
る。上述の微細で独立した穿孔状態を得るには、グレー
ズ層(36)の薄層化が非常に有効であるからである。
【0045】マスタ46は、連続シート状をなし、例え
ば、厚さが0.5〜5μmのポリエステルテレフタレー
ト(PET)系の熱可塑性樹脂フィルムと多孔質支持体
とを接着剤等で貼り合わせたものが用いられる。マスタ
46は、上記したものの他、例えば厚さが0.5〜3μ
mの、実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマス
タや、マスタ46の多孔質支持体の厚さを薄くしたマス
タであってもよく、例えば本願出願人が提案した特開平
11−77949号公報に記載されているような合成繊
維ベースマスタでもよいし、また合成樹脂フィルムに溶
融した樹脂を塗布して合成樹脂フィルムに樹脂膜を一体
的に形成したようなマスタも使用することができる。
【0046】上述したとおり、製版装置90は、サーマ
ルヘッド1の主走査方向Sに配列された複数の発熱体2
の部分をマスタ46の熱可塑性樹脂フィルムに接触さ
せ、主走査方向Sと直交する副走査方向Yにマスタ46
を所定の副走査送りピッチで移動させ、画像データに応
じての複数の発熱体2の位置選択的な加熱によりマスタ
46の熱可塑性樹脂フィルム(以下、単に「フィルム」
というときがある)を溶融穿孔してドット状の製版画像
をマスタ46に形成する装置である。
【0047】なお、マスタ46を副走査方向Yに搬送す
る送り動作は、上記例のように所定の送りピッチで間欠
的に移動するもの(スキャナ固定方式)に限らず、連続
的に送るようにしてもよい。また、原稿読取装置80に
限らず、原稿45をコンタクトガラス上に載置・固定
し、蛍光灯及びミラー等を具備した走査光学系を駆動モ
ータにより移動させつつ原稿の読み取りを行うスキャナ
移動方式を採用してもよい。この場合、上記走査光学系
の移動速度を、副走査方向Yの解像度に対応した所定の
送りピッチに変えるように上記駆動モータを制御すれば
よい。
【0048】図4および図5を参照して、印刷ドラム装
置100および印圧装置120について補足説明する。
印刷ドラム101は、支軸104方向に延在して設けら
れていて、インキ通過性の多数かつ微細な開孔部が形成
された樹脂あるいは金属製の多孔性支持円筒体の部分
(図示せず)と、その外周面に巻き付けられた複数層の
メッシュスクリーン(図示せず)との2層構造からな
る、版胴とも呼ばれる外周部を有する。
【0049】図5において、符号140は、図2に示す
装置本体フレーム40に対して印刷ドラム101等が着
脱自在に構成されたドラムユニットを示す。ドラムユニ
ット140は、上記インキ供給手段がその内部に配設さ
れた印刷ドラム101と、印刷ドラム101を回転自在
に支持する支軸104と、長板状の把持フレーム101
Hの両端部にそれぞれ垂設され、支軸104を介して印
刷ドラム101を回転自在に支持する後フレーム101
A及び前フレーム101Bと、前フレーム101Bの外
側に固設されインキ供給管104へインキを送出するイ
ンキポンプ装置およびインキ装置配管部(共に図示せ
ず)等とから構成される。
【0050】印圧装置120は、押圧手段としてのプレ
スローラ103を、印刷ドラム101の外周面に押圧す
る印圧位置と、この印圧位置から離間した非印圧位置と
に選択的に変位させるプレスローラ変位手段25と、印
刷ドラム101に対するプレスローラ103の押圧力
(以下、「印圧」というときがある)を変化させるため
の押圧力可変手段20と、印刷ドラム101を回転させ
ると共に、上記印圧位置と上記非印圧位置とにプレスロ
ーラ103を印刷ドラム101の回転に同期させて揺動
・変位させるプレスローラ駆動手段150等とから構成
される。プレスローラ103は、その内周部が芯金で、
外周部がゴム等の弾性体でそれぞれ形成されており、印
刷ドラム101の軸線方向と平行に延在して設けられて
いる。プレスローラ103の上記芯金の両端には、ロー
ラ軸103aが一体的に形成されている周知の構造をな
す。
【0051】プレスローラ変位手段25は、図4におけ
る左右両側のローラ軸103aと略平行に延在して設け
られ、その両端部が左右一対の本体側板43a,43b
に所定角度回動可能に支持された水平軸23と、その自
由端が水平軸23の周りに揺動可能であってローラ軸1
03aの両端部を回転可能に支持し、かつ、その基端が
水平軸23の両端部近傍において所定角度回動可能に支
持されている左右一対のアーム22a,22bと、プレ
スローラ103と水平軸23との略中央部におけるアー
ム対22a,22bに挿通されアーム対22a,22b
を互いに連結する中間連結ステー21と、その基端が水
平軸23の中央部に固設されその自由端が中間連結ステ
ー21の中央部をわずかな隙間をもって挾持し、水平軸
23における所定角度の回動を中間連結ステー21に伝
達する上下作動アーム24と、その基端部が本体側板4
3bにおける水平軸23端に一体的に取り付けられその
自由端部が水平軸23を中心として揺動可能なカムフォ
ロア19aを有するスプリング取付けアーム19と、こ
のスプリング取付けアーム19の自由端部にその一端が
係止され印刷ドラム101の外周面にプレスローラ10
3を押し付ける向きにスプリング取付けアーム19を揺
動付勢するスプリング16(引張りコイルバネ)と、本
体側板43bにカム軸18aをもって回転自在に支持さ
れスプリング取付けアーム19のカムフォロア19aに
選択的に係合する印圧カム18とから主に構成される。
上記したように、中間連結ステー21と上下作動アーム
24との間に上記のわずかな隙間が設けられていること
によって、印圧が掛かったときのプレスローラ103の
左右バランスを調整することが可能な機構となってお
り、プレスローラ変位手段25は、いわゆる「やじろべ
えの原理」を利用しているものである。
【0052】中間連結ステー21は、断面中空状角形に
形成された金属でできている。中間連結ステー21は、
アーム対22a,22bに挿通された後、アーム対22
a,22bの外壁面に近接する部位において図示を省略
した抜け止め用のピンが打ち込まれることで、主走査方
向Sでもある用紙幅方向Sの左右に対する抜け止めがな
される。印圧カム18は、カム軸18aをもって、本体
側板43bに往復揺動自在に支持されている。スプリン
グ取付けアーム19は、三角形の板状をなし、印圧カム
18の輪郭周面にカムフォロア19aを介して選択的に
係合するようになっている。上下作動アーム24と水平
軸23とは、図示を省略した固定ピンが圧入装着される
ことにより一体的に固定されている。図5に示すよう
に、プレスローラ駆動手段150は、印刷ドラム101
を回転駆動すると共に、プレスローラ103を揺動・昇
降するための、本体側板43bに固設された正転および
逆転可能な駆動手段としてのメインモータ151と、こ
のメインモータ151とカム軸18aとの間に介装され
た減速手段152と、図2に示す装置本体フレーム40
内に装着された印刷ドラム101とカム軸18aとの間
に介装された同期手段157とから主に構成される。
【0053】減速手段152は、メインモータ151の
出力軸151a端部に取付けられた歯付きの駆動プーリ
151bと、本体側板43bにプーリ軸153aをもっ
て回転自在に支持された歯付きのプーリ153と、駆動
プーリ151bとプーリ153との間に掛け渡された歯
付きのベルト155と、プーリ153のプーリ軸153
aと同軸に取付けられた小径ギヤ154と、カム軸18
aと同軸に取付けられ小径ギヤ154と噛みう大径ギヤ
156とから構成される。
【0054】同期手段157は、印圧カム18と大径ギ
ヤ156との間のカム軸18a上に取付けられた歯付き
の下プーリ158と、本体側板43bにプーリ軸160
aをもって回動自在に支持された歯付きの上プーリ16
0と、下プーリ158と上プーリ160との間に掛け渡
された歯付きのメインベルト159と、プーリ軸160
aの端部に取付けられた脱着ギヤ161とから主に構成
される。
【0055】下プーリ158と上プーリ160とは、同
径の歯付きの外周部を有していて、それぞれの回転比が
1:1となるようにメインベルト159で連結され回動
されるようになっている。印圧カム18は、装置の組立
て時において、印刷ドラム101の開孔範囲である印刷
部位に対応した印圧範囲とプレスローラ103の上記印
圧位置とを考慮して、印刷ドラム101の回転とのタイ
ミングを取ってカム軸18aに固定されている。一方、
印刷ドラム101の図5における右端部と後フレーム1
01Aとの間の支軸104上には、脱着ギヤ161と選
択的に噛み合う脱着ギヤ161と同歯数を有するドラム
ギヤ162が一体的に固設されている。
【0056】一方、メインモータ151の出力軸151
aには、周知のフォトロータリエンコーダからなるスリ
ット円板163が取付けられている。スリット円板16
3近傍の本体側板43bには、スリット円板163を所
定の間隔をもって挾み付ける透過型のフォトセンサから
なる印刷速度センサ164が配設されている。メインモ
ータ151の回転駆動によるスリット円板163の回転
動作に協働して発生された所定のパルスを印刷速度セン
サ164で検出することにより、印刷ドラム101の回
転速度、すなわち印刷速度が検出されるようになってい
る。これにより、メインモータ151を介して印刷ドラ
ム101の回転速度の制御がなされる。メインベルト1
59の略中央部に近接した本体側板43bには、この本
体側板43bに移動可能かつ回動自在に支持されたテン
ションローラ165が設けられている。このテンション
ローラ165は、メインベルト159の略中央部に圧接
するようになっている。
【0057】ここで、プレスローラ駆動手段150の動
作を簡単に述べておく。まず、メインモータ151が回
転駆動されることにより、駆動プーリ151bと減速手
段152のベルト155を介してプーリ153および小
径ギヤ154と、大径ギヤ156とがそれぞれこの順に
回転・減速される。そして、大径ギヤ156の回転と共
に印圧カム18および同期手段157の下プーリ158
が回転され、さらにメインベルト159を介して脱着ギ
ヤ161が回転され、これによりドラムギヤ162が回
転される。上記したように、下プーリ158と上プーリ
160との、脱着ギヤ161とドラムギヤ162との各
々の回転比が、1:1であることにより、印圧カム18
と印刷ドラム101とは、1:1の回転比で同期して回
転されることになり、結局、プレスローラ駆動手段15
0の駆動によって、印刷ドラム101が回転されると共
に、印圧カム18の大径部とカムフォロア19aとの選
択的な係合を介して、プレスローラ103が上記印圧位
置と上記非印圧位置とに印刷ドラム101の上記回転動
作に同期して揺動・昇降変位される。
【0058】押圧力可変手段20は、本体側板43bに
図示しない不動部材を介して固設されその出力軸にウォ
ーム15が取付けられた正転および逆転可能な印圧制御
モータ14と、スプリング16の他端が係止されてい
て、かつ、本体側板43bに形成された溝(図示せず)
を介して用紙搬送方向Y4の前後方向にのみ進退自在に
支持されその内周部に雌ネジが形成された可動軸17
と、可動軸17の雌ネジと螺合する雄ネジがその外周部
に形成された回転自在な回転軸10と、この回転軸10
に固設されウォーム15と常時噛み合うウォームホイー
ル11と、回転軸10の一端に固設された、ウォームホ
イール11の回転数を検出するためのエンコーダ12
と、本体側板43bの所定位置に図示しない不動部材を
介して支持されエンコーダ12を所定の間隔をもって挾
み付けるスプリング長さ検知センサ13と、可動軸17
の外周部から外方に向かって突出形成された遮光板17
aと、本体側板43bの所定位置に図示しない不動部材
を介して支持されていて、所定の間隔をもって遮光板1
7aを挾み付けてエンコーダ12のホームポジション
(印圧標準状態を示す位置)を検知するための印圧ホー
ムポジションセンサ19Aとから主に構成される。スプ
リング長さ検知センサ13および印圧ホームポジション
センサ19Aは、透過型のフォトセンサである。
【0059】エンコーダ12は、スリット円板を有して
構成されている周知のフォトエンコーダであり、エンコ
ーダ12およびスプリング長さ検知センサ13の協働に
より、ウォームホイール11の回転数、すなわち用紙搬
送方向Y4の前後における可動軸17の進退量、つまり
スプリング16の引張り長さの変位量を検出することが
できる。
【0060】プレスローラ変位手段25および押圧力可
変手段20が上記のとおり構成されていることにより、
スプリング16の両端は、スプリング取付けアーム19
の上記自由端部および可動軸17で変位可能に係止され
ていることになる。それ故に、印圧制御モータ14の正
転あるいは逆転の回転駆動により、印圧制御モータ14
の回動量がウォーム15からウォームホイール11に伝
達され、さらに上記ネジ機構によって可動軸17におけ
る用紙搬送方向Y4の前もしくは後方向への直線運動に
変換されることで、可動軸17が用紙搬送方向Y4の前
もしくは後方向へ移動され、これによりスプリング16
の引張り長さが変化されることとなって、スプリング1
6の張力が可変されるため、印刷ドラム101に対する
プレスローラ103の印圧が変化する。なお、本実施形
態1の場合、上記した印圧制御は、常に、押圧力可変手
段20のエンコーダ12のホームポジションから開始さ
れるようになっている。
【0061】なお、上記したプレスローラ103を用い
た押圧力可変手段20に限らず、例えば特開平10−4
4577号公報の図15に示すような圧胴(125)を
用いた押圧力可変手段(20A)により印圧を可変する
構成であってもよい。なお、印圧を可変する構成例は、
上記押圧力可変手段20や押圧力可変手段(20A)に
限らず、例えば特開平6−155881号公報の図4
や、特開平6−199028号公報の図2等に示されて
いるようなものであってもよい。
【0062】操作パネル50は、孔版印刷装置の上記各
装置に所定の動作をさせるべく操作するためのものであ
り、図2における原稿読取装置80の上部近傍の紙面の
手前側に配置されている。
【0063】操作パネル50には、原稿画像の読み取り
から製版、給版、給紙、版付け印刷に至る各動作の起動
を設定・入力する製版スタートキー51と、製版された
1版のマスタ46について印刷すべき印刷用紙47の枚
数を設定する印刷枚数設定手段としての機能等を有する
テンキー53と、このテンキー53で設定・入力された
印刷枚数の印刷動作の起動を行う印刷スタートキー52
と、テンキー53等で設定・入力された情報を確定する
確定キー54と、印刷速度の設定値としての印刷速度例
えば1〜5速の5段階の印刷速度の中から一つの印刷速
度を選択的に設定するための印刷速度設定手段としての
速度ダウンキー55aおよび速度アップキー55bから
なる印刷速度設定キー55と、速度ダウンキー55aま
たは速度アップキー55bにより設定された設定印刷速
度を表示する設定印刷速度表示手段としての印刷速度表
示器56、テンキー53により設定された印刷枚数を表
示する印刷枚数表示手段としての印刷枚数表示器62等
とが配設されている。また、操作パネル50には、マス
タ46を高耐刷化製版条件で製版し、かつ、印刷速度を
比較的低速に自動的に変えて印刷を行う高耐刷化制御モ
ードを設定する高耐刷化設定手段としての高耐刷化設定
キー57と、マスタ46を高画質化製版条件で製版する
高画質化制御モードを設定する高画質化設定手段として
の高画質化設定キー58と、マスタ46を高速化製版条
件で製版し、かつ、印刷速度を最高速に自動的に変えて
印刷を行う高速化制御モードを設定する高速化設定手段
としての高速化設定キー59と、高耐刷化制御モードが
設定されていることを表示する高耐刷化表示手段として
の高耐刷化表示器57aと、高画質化制御モードが設定
されていることを表示する高画質化表示手段としての高
画質化表示器58aと、高速化制御モードが設定されて
いることを表示する高速化表示手段としての高速化表示
器59aと、マスタ46における副走査方向Yの解像度
を例えば300DPIまたは400DPIの2段階に切
り換えて設定するための副走査方向解像度設定手段とし
ての解像度設定キー64と、解像度設定キー64で設定
された副走査方向Yの解像度を表示するための副走査方
向解像度表示手段としての二つの解像度表示器64a,
64bと、原稿画像の読み取りから印刷に至る各動作・
工程での設定・検知情報等を随時表示するためのLCD
(液晶表示装置)からなる液晶表示部63等とが配設さ
れている。
【0064】印刷速度表示器56は、LED(発光ダイ
オード)ランプ群からなる。印刷速度表示器56におい
て、プリントスピードと表示されている中央部のハッチ
ングを施した「設定印刷速度:3速」は、通常使用され
る印刷速度に対応した標準印刷速度であって、速度ダウ
ンキー55aまたは速度アップキー55bを押下しなか
った場合に自動的に設定されるようになっている。ここ
で、例えば「おそく」と表示されている一番左側の「設
定印刷速度:1速」は印刷速度が最低速の60枚/mi
n:60rpmに、「設定印刷速度:2速」は印刷速度
が75枚/min:75rpmに、「設定印刷速度:3
速」は印刷速度が90枚/min:90rpmに、「設
定印刷速度:4速」は印刷速度が105枚/min:1
05rpmに、「はやく」と表示されている一番右側の
「設定印刷速度:5速」は印刷速度がこの実施形態1で
最高速の120枚/min:120rpmにそれぞれ対
応して設定されている。
【0065】印刷速度表示器56は、速度ダウンキー5
5aまたは速度アップキー55bの1回毎の押下によ
り、上記印刷速度を1から5までの5段階の設定印刷速
度(以下単に「設定印刷速度:1速〜5速」というとき
がある)に、切り換えられる印刷速度を点灯表示する。
これにより、オペレータが選択した設定印刷速度が印刷
速度表示器56にて目視確認できるようになっている。
高耐刷化表示器57a、高画質化表示器58aおよび高
速化表示器59aは、LEDからなり、各モード設定状
態にあるときに点灯・表示する。印刷枚数表示器62
は、7セグメントのLEDからなる。
【0066】解像度設定キー64は、例えば複写機等に
おけるファインモード設定キーと同様な機能を有してお
り、印刷用紙67上の印刷画像の副走査方向Yの解像度
を設定するために、ユーザが所望する解像度に手動で任
意に入力し設定できるものである。解像度設定キー64
は、1回押す毎に副走査方向Yの解像度を300DPI
または400DPIの2段階に切り換えて設定できるよ
うになっている。各解像度表示器64a,64bは、L
EDからなる。副走査方向Yの解像度は、解像度設定キ
ー64で手動設定しない場合には、例えば300DPI
から400DPIまで連続的に自動的に変化させる図示
しない機構を有する。この機構としては、例えば実開昭
59−161765号公報に記載された装置、すなわち
同明細書の第4頁第9行ないし第5頁第10行に記載さ
れたと同様な機構のものを用いている。
【0067】解像度設定キー64を押下しなかった場合
には、高画質化制御モード設定時(後述する動作例2参
照)を除き、副走査方向Yの解像度が300DPIに自
動的に設定され、これにより解像度表示器64aが点灯
するようになっている。
【0068】なお、高耐刷化設定手段、高画質化設定手
段、高速化設定手段は、高耐刷化設定キー57、高画質
化設定キー58、高速化設定キー59に限らず、単一の
キーを設けてこれを押す毎に順次各制御モードを選択・
設定すべく切り換えるようにしてもよい。また、各制御
モードの選択・設定状態は、LEDからなる高耐刷化表
示器57a、高画質化表示器58a、高速化表示器59
aで点灯表示することに限らず、点滅表示したり、LE
Dに代えてブザー等の報知手段でユーザに吹鳴・報知し
たりしてもよいし、あるいはこれらを適宜組み合わせて
もよい。
【0069】次に、図1を参照して、孔版印刷装置の主
要な制御構成について説明する。図1に示すように、実
施形態1に特有の動作、すなわち上記高耐刷化制御モー
ドや上記高画質化制御モードや上記高速化制御モードに
よる動作等は、制御装置6によって制御される。制御装
置6は、それぞれ図示しない、CPU(中央演算処理装
置)、I/O(入出力)ポート、ROM(読み出し専用
記憶装置)、RAM(読み書き可能な記憶装置)および
タイマ等を備え、それらが信号バスによって接続された
構成を有するマイクロコンピュータを複数具備してい
る。
【0070】制御装置6は、本発明の特有の動作を含
め、図2に示した孔版印刷装置の全ての動作を制御する
制御構成を具備する。図1では、図の簡明化を図るた
め、本実施形態1の制御装置6のみを図示し、他の実施
形態や変形例の制御装置の図示を省略している。なお、
後述する各実施形態等における制御装置においても、制
御装置6と同様の複数のマイクロコンピュータを具備し
ていて、主としてその制御機能が異なることを付記して
おく。
【0071】制御装置6は、上記入力ポートおよび図示
しないセンサ回路等を介して画像処理装置3、スプリン
グ長さ検知センサ13、印圧ホームポジションセンサ1
9A、印刷速度センサ164や操作パネル50の上記各
種キー等に電気的に接続されていて、これらからのデー
タ信号やオン/オフ信号を受信する。また、制御装置6
は、上記出力ポートおよびLED駆動回路(図示せず)
やLCD駆動回路(図示せず)を介して操作パネル50
の上記各種表示器や液晶表示部63に、上記出力ポート
およびサーマルヘッド駆動回路(図示せず)を介してサ
ーマルヘッド1に、上記出力ポートおよびモータ駆動回
路(図示せず)を介して印圧制御モータ14に、上記出
力ポートおよびモータ駆動回路(図示せず)を介して原
稿搬送モータ83Aに、上記出力ポートおよびモータ駆
動回路(図示せず)を介してマスタ搬送モータ91に、
上記出力ポートおよびモータ駆動回路(図示せず)を介
してメインモータ151に、それぞれ電気的に接続され
ている。制御装置6は、上記各LED駆動回路、上記L
CD駆動回路、上記サーマルヘッド駆動回路や上記各モ
ータ駆動回路に各種指令信号を送信することにより、上
記各種表示器、液晶表示部63、サーマルヘッド1、印
圧制御モータ14、原稿搬送モータ83A、マスタ搬送
モータ91やメインモータ151の各作動を制御する。
【0072】制御装置6の上記CPU(以下、単に「制
御装置6」という)は、高耐刷化設定キー57、高画質
化設定キー58または高速化設定キー59からのオン信
号に基づいて、また画像処理装置3からの画像信号に応
じて、スプリング長さ検知センサ13、印圧ホームポジ
ションセンサ19A、印刷速度センサ164等からのデ
ータ信号やオン/オフ信号等を参照しながら、高耐刷化
設定キー57、高画質化設定キー58または高速化設定
キー59により設定・入力された上記高耐刷化制御モー
ド、上記高画質化制御モードまたは上記高速化制御モー
ドで製版動作および印刷動作を行うように、上記各種表
示器、液晶表示部63、サーマルヘッド1、印圧制御モ
ータ14、原稿搬送モータ83A、マスタ搬送モータ9
1やメインモータ151等の各作動を制御する制御手段
としての基本的な機能を有する(請求項1参照)。
【0073】ここで、制御装置6の上記構成・機能を理
解しやすくするために以下のような4つの各種制御手段
(高耐刷化制御手段7、高画質化制御手段8、高速化制
御手段9、一般的諸制御手段27)を有するものとして
分けて説明する。高耐刷化制御手段7、高画質化制御手
段8、高速化制御手段9および一般的諸制御手段27
は、上記したと同様の比較的小規模のマイクロコンピュ
ータを具備している。
【0074】第1に、制御装置6は、高耐刷化設定キー
57からの高耐刷化制御モードに係るオン信号に基づい
て、また画像処理装置3からの画像信号に応じて、印刷
速度センサ164からのデータ信号やオン/オフ信号等
を参照しながら、上記高耐刷化制御モードで製版動作お
よび印刷動作を行うように、上記各種表示器、液晶表示
部63、サーマルヘッド1やメインモータ151の各作
動を制御する高耐刷化制御手段7を有する。上記機能に
加えて、高耐刷化制御手段7は、サーマルヘッド1の個
々の発熱体2に印加する穿孔エネルギーを比較的少なく
調整し、かつ、サーマルヘッド1の印字周期を比較的長
くする機能を有する(請求項2参照)。
【0075】第2に、制御装置6は、高画質化設定キー
58からの高画質化制御モードに係るオン信号に基づい
て、また画像処理装置3からの画像信号に応じて、高画
質化設定キー58により設定・入力された上記高画質化
制御モードで製版動作を行うように、上記各種表示器、
液晶表示部63、サーマルヘッド1を制御する高画質化
制御手段8を有する。上記機能に加えて、高画質化制御
手段8は、高画質化設定キー58からのオン信号に基づ
き、サーマルヘッド1の印字周期を比較的長くし、か
つ、その印字周期に応じた、サーマルヘッド1の個々の
発熱体2に印加する穿孔エネルギーに調整する機能を有
する(請求項3参照)。
【0076】さらに上記機能に加えて、高画質化制御手
段8は、高画質化設定キー58からのオン信号に基づ
き、スプリング長さ検知センサ13や印圧ホームポジシ
ョン19A等からのデータ信号やオン/オフ信号等を参
照しながら、印刷ドラム101に印刷用紙47を押し付
けるときの印圧を比較的高めに自動的に変えるように印
圧制御モータ14を制御する機能、および/または副走
査方向Yの解像度を比較的高めに自動的に変えるよう
に、原稿搬送モータ83Aやマスタ搬送モータ91を制
御する機能を有する(請求項4参照)。高画質化制御手
段8の上記ROMには、通常条件時と同等の穿孔状態と
なるように予め実験等で求めた、サーマルヘッド1の印
字周期に応じたサーマルヘッド1の個々の発熱体2へ印
加する最適な穿孔エネルギー(通電パルス幅)の関係デ
ータが記憶されている。高画質化制御手段8は、決定さ
れた通電パルス幅に基づいてサーマルヘッド1の個々の
発熱体2へ上記印字周期に応じた穿孔エネルギーを供給
する。
【0077】第3に、制御装置6は、高速化設定キー5
9からの高速化制御モードに係るオン信号に基づいて、
また画像処理装置3からの画像信号に応じて、印刷速度
センサ164からのデータ信号等を参照しながら、高速
化設定キー59により設定・入力された上記高速化制御
モードで製版動作および印刷動作を行うように、上記各
種表示器、液晶表示部63、サーマルヘッド1、メイン
モータ151の各作動を制御する高速化制御手段9を有
する。
【0078】上記機能に加えて、高速化制御手段9は、
画像処理装置3からの画像信号の印字率を認識する印字
率認識手段としての機能を有する。高速化制御手段9
は、高速化設定キー59からのオン信号に基づき、上記
印字率認識手段で認識した印字率が低い場合にのみ、サ
ーマルヘッド1への印字周期を比較的短くして制御を行
う機能を有する(請求項5参照)。高速化制御手段9の
有する上記印字率認識手段は、例えば特開平11−11
5148号公報の図1、図3ないし図7ならびに同明細
書の段落番号(0029)〜(0038)に記載されて
いると同様の機能・構成を有していてもよい。すなわ
ち、上記印字率認識手段(上記同公報の明細書では制御
手段24に相当する)は、高速化制御手段9へ入力され
た画像信号に基づいて、48×48ドットのマトリクス
を組み、マトリクスの全部が穿孔対象となっている場合
にはベタ状態と認識する。そして、そのベタ状態が主走
査方向Sおよび副走査方向Yにどの程度有るのか、また
ベタ状態がどの程度隣接しているのか等のベタ画像状態
データを作成する。高速化制御手段9の一部としての図
示しないROMには、予め実験等で得られたベタ画像状
態と製版速度との最適な関係データが記憶されており、
高速化制御手段9はこの最適な関係データを上記ROM
から抽出し、上記画像信号に基づいて作成したベタ画像
状態データを適用して最適な製版速度を決定する。
【0079】さらに上記機能に加えて、高速化制御手段
9は、高速化設定キー59からのオン信号に基づき、ス
プリング長さ検知センサ13や印圧ホームポジション1
9A等からのデータ信号やオン/オフ信号等を参照しな
がら、印刷ドラム101に印刷用紙47を押し付けると
きの印圧を比較的高めに自動的に変えるように印圧制御
モータ14を制御する機能を有する(請求項6参照)。
【0080】第4に、制御装置6は、製版スタートキー
51からのオン信号に基づいて、また画像処理装置3か
らの画像信号等に応じて、既に公知であり一般的な諸制
御、すなわち熱履歴制御手段(図示せず)による熱履歴
制御、環境温度補正制御手段(図示せず)による環境温
度補正制御、コモンドロップ補正制御手段(図示せず)
によるコモンドロップ補正制御、サーマルヘッド温度補
正制御手段(図示せず)およびインキ温度補正制御手段
(図示せず)によるインキ温度補正制御等を行うため
の、図1に総括的に示す一般的諸制御手段27を有す
る。
【0081】一般的諸制御手段27の上記熱履歴制御手
段としては、例えば特開平8−132584号公報の図
8等に開示されている制御構成と同様のものが用いられ
ている。また、各熱履歴制御値は、予め決められた値に
それぞれ変更して熱履歴制御が実施される。一般的諸制
御手段27の上記環境温度補正制御手段としては、例え
ば特開平11−320807号公報の図5等に開示され
ているように、図示しないサーミスタ等の環境温度検知
手段(図示せず)により検出された環境(雰囲気)の温
度に応じて印加エネルギー(Es)の調整を行なう機能
を有するものであり、上記ROMには、上記同公報の図
5(e)に概略的に示すような環境の温度と通電パルス
幅(tp)との関係データが記憶されている。
【0082】一般的諸制御手段27の上記コモンドロッ
プ補正制御手段としては、例えば特開平4−16315
9号公報や上記特開平11−320807号公報の図5
(a)等に開示されているように、上記同公報の図5
(a)にその他の条件(15)としての一例として、例
えば発熱体2の同時発熱数の違いによるコモンドロップ
補正の機能を有しているもの等が挙げられる。さらに
は、発熱体2への印加電力(P)を可変する補正方式も
提案されているが、実使用上は、制御のし易さなどから
発熱体列への通電時間を制御する方式である通電パルス
幅可変制御方式が採られている。一般的諸制御手段27
の上記サーマルヘッド温度補正制御手段や上記インキ温
度補正制御手段としては、例えば特開平6−32085
1号公報等で開示されているように、サーミスタ(1
0)によりサーマルヘッド1の温度を、サーミスタ(1
1)によりインキの温度をそれぞれ検出し、サーミスタ
(10)により検出されたサーマルヘッド1の温度およ
びサーミスタ(11)により検出されたインキの温度と
に応じて印加エネルギー(Es)の調整を行なう機能を
有するものである。そして、上記ROMには、上記同公
報の図5(b)および(c)に概略的に示すように、サ
ーマルヘッド1の温度と通電パルス幅(tp)との関係
データおよびインキの温度と通電パルス幅(tp)との
関係データがデータテーブルとして記憶されている。な
お、後述する各動作例等では、一般的諸制御手段27の
上記各制御手段による制御が各製版動作時において実施
されるが、以下説明の簡明化を図るためその一々の説明
を省略する。
【0083】制御装置6の上記ROMには、上記高耐刷
化制御モード、上記高画質化制御モードまたは上記高速
化制御モードで製版動作や印刷動作を行うように、上記
各種表示器、液晶表示部63、サーマルヘッド1、印圧
制御モータ14、原稿搬送モータ83A、マスタ搬送モ
ータ91やメインモータ151の各作動を制御するため
の制御装置6に必要な関係データや動作プログラム等が
予め記憶されている。制御装置6の上記RAMは、上記
CPUでの判断結果や計算結果等を一時記憶したり、各
センサ等からの出力信号を随時記憶したりしてこれら信
号の入出力を行う。
【0084】次に、実施形態1に特有の動作、すなわち
上記高耐刷化制御モード、上記高画質化制御モード、上
記高速化制御モードによる各動作について、図2を参照
して上述した動作を補足説明すると共に、その動作と相
違する点を中心に説明する。そして、ユーザが高耐刷化
設定キー57、高画質化設定キー58および高速化設定
キー59の何れか一つを押さない場合には、通常の製版
条件で、印刷条件に関してはユーザ自身がそれを設定し
て製版動作を開始するものである。(動作例1)動作例
1は、上記高耐刷化制御モードに係る動作例である。動
作例1では、従来の技術におけるマスタ46の耐刷性の
問題点を解決するために、高耐刷化を希望する場合にの
み上記高耐刷化制御モードを選択して製版および印刷動
作を行うことにより、後述する効果を得ようとするもの
である。制御装置6の高耐刷化制御手段7(以下、単に
「高耐刷化制御手段7」という)が高耐刷化設定キー5
7からの高耐刷化制御モードに係るオン信号に基づい
て、マスタ46を高耐刷化製版条件で自動的に製版さ
せ、かつ、印刷速度を比較的低速に自動的に変えて印刷
を行わせるものである。
【0085】先ず、ユーザは操作パネル50の高耐刷化
設定キー57を押すと、高耐刷化制御モードに係るオン
信号が生成されて高耐刷化表示器57aが点灯する。こ
の後、ユーザは製版スタートキー51を押すと、製版ス
タート信号が生成される。この製版スタート信号がトリ
ガとなって、上述したと同様の排版工程が実行されると
共にこれと並行して、原稿読取装置80では原稿読み取
りが行われる。ここでは、ユーザが解像度設定キー64
を押下しなかったので、高耐刷化制御手段7によって、
副走査方向Yの解像度が300DPIに自動的に設定さ
れ、これにより解像度表示器64aが点灯する。
【0086】高耐刷化制御モードに係るオン信号および
製版スタート信号が制御装置6に入力されると、高耐刷
化制御手段7は、上記ROMに予め記憶されている高耐
刷化制御モード用の副走査方向Yの解像度300DPI
に対応した所定の副走査送りピッチを選択してその所定
の副走査送りピッチ設定信号をマスタ搬送モータ91の
上記モータ駆動回路に送出すると共に、高耐刷化制御モ
ード用の副走査方向Yの解像度300DPIに対応した
所定の送りピッチで原稿搬送モータ83Aを駆動制御す
る信号を上記モータ駆動回路に送出する。これと同時
に、高耐刷化制御手段7は、高耐刷化制御モード用の最
適な大きさの穿孔を形成するための通電パルス幅設定の
信号を上記サーマルヘッド駆動回路へ送出する。
【0087】そして、高耐刷化制御手段7により設定さ
れた所定の副走査送りピッチ設定の信号に基づき、上記
モータ駆動回路を介してマスタ搬送モータ91が回転駆
動され、さらにマスタ搬送モータ91によりプラテンロ
ーラ92が回転され、マスタ46が所定の副走査送りピ
ッチおよび製版速度で搬送される。一方、高耐刷化制御
手段7により設定された所定の副走査送りピッチ設定の
信号に基づき、上記モータ駆動回路を介して原稿搬送モ
ータ83Aが回転駆動され、さらに原稿搬送モータ83
Aにより前・後原稿搬送ローラ対82a,82b・83
a,83bが回転され、原稿45が所定の副走査送りピ
ッチおよび原稿読取速度で搬送される。
【0088】こうして、上記サーマルヘッド駆動回路で
は、上記通電パルス幅設定の信号に基づき、図示しない
電源からの電力供給を受けて通電パルス幅(サーマルヘ
ッド駆動信号)が生成されてサーマルヘッド1の個々の
発熱体2に出力され、黒画素に対応した発熱体2がジュ
ール熱を発生し、マスタ46の熱可塑性樹脂フィルム部
分が溶融穿孔される。上記穿孔・製版時において、高耐
刷化制御手段7は、高耐刷化制御モード用の印字周期
(この場合は比較的長くなるように自動的に設定する)
となるように基本クロックを上記ROMから選択すると
共に、マスタ46への穿孔面積の大きさを抑制するよう
な予め設定された通電パルス幅を上記ROMから選択し
て、サーマルヘッド1の個々の発熱体2へ印加するよう
に上記サーマルヘッド駆動回路を制御する。
【0089】これにより、サーマルヘッド1の個々の発
熱体2へ供給する印加エネルギー(穿孔エネルギー)の
大きさが抑制され、同じ種類のマスタ46を使用した場
合においても、隣接する穿孔径の間に生じるマスタ46
の上記フィルムの未溶融領域が増加するので、マスタ4
6の耐刷性を向上することができる。しかし、単にサー
マルヘッド1の個々の発熱体2へ供給する印加エネルギ
ーの大きさを抑制しただけでは、マスタ46の上記フィ
ルムへの熱伝導時間の短縮による上記フィルムの未貫通
領域、すなわちマスタ46の上記フィルムの穿孔不良に
よるインキの不通過によって印刷画像画像が形成される
べき箇所にマスタ46の未貫通箇所が発生してしまう印
刷画像の白抜けの増加が懸念される。そのため、印字周
期も同時に比較的長くするように変えることでサーマル
ヘッド1の個々の発熱体2への通電時間を長くし、サー
マルヘッド1の個々の発熱体2の熱がマスタ46の上記
フィルムに確実に伝わるようにして、マスタ46の上記
フィルムの未貫通領域(未貫通箇所)が増加することを
抑制する。
【0090】これにより、マスタ46の所望する強度を
確保できるような穿孔状態にすることができるため、マ
スタ46の強度劣化を抑制して、多数枚の印刷用紙47
への印刷時においても耐刷性劣化を抑制することができ
る。以下、図2を参照して説明したと同様の版付け印刷
が行われる。
【0091】版付け印刷終了後、ユーザは印刷物の画質
等の確認を行った後、操作パネル50のテンキー53で
印刷枚数をセットし、印刷スタートキー52を押すと上
記版付け印刷と同様の工程で、給紙、印刷および排紙の
各工程が上記高耐刷化制御モード用として自動的に設定
された比較的低速の印刷速度でセットした印刷枚数分繰
り返して行われ、孔版印刷の全工程が終了する。
【0092】このように印刷動作時には、マスタ46へ
の穿孔面積の縮小化に伴うインキ通過性抑制によるイン
キ通過性の劣化を補正するために、印刷速度は比較的低
速に自動的に設定される。これは、マスタ46への穿孔
面積の縮小化に伴うインキ通過性抑制によるインキ通過
性の劣化を、印刷速度を比較的低速に自動的に設定する
ことで、印刷用紙47へのインキの浸透具合を通常時と
同等レベルになるように補正するためである。例えば、
高耐刷化制御手段7により、メインモータ151による
設定印刷速度:2速や1速となるようにそのモータ駆動
回路が制御される。
【0093】なお、この印刷速度の低速設定に関しては
固定ではなく、あくまでもデフォルトとして低速レベル
に設定されるものであり、ユーザ自身の選択によって可
変するように構成してもよい。これは、例えば印刷画像
の多少のかすれ等が発生してもできるだけ多数枚の印刷
物を一度に得たいような場合に有益であり、印刷速度設
定キー55の速度アップキー55bを例えば設定印刷速
度:4速となるように押下した後、確定キー54等を組
み合わせて押下するという順で設定できるようにしても
よい。
【0094】また、副走査方向Yの解像度については、
上記したように300DPIに自動的に設定される例に
限らず、例えばユーザが高解像度の400DPIを望む
ような場合には以下のようにしてもよい。すなわち、ユ
ーザが副走査方向Yの解像度を設定可能なように、例え
ば副走査方向Yの解像度設定に関する確認メッセージを
液晶表示部63に表示させて、ユーザが解像度設定キー
64を押下することで400DPIを決定するようにし
てもよい。
【0095】また、上記穿孔・製版時においては、以下
の制御を付加することがより好ましい。すなわち、高耐
刷化制御手段7は、サーマルヘッド1の個々の発熱体2
を加熱するための通電パルス幅とサーマルヘッド1の印
字周期と副走査送りピッチとが、[通電パルス幅(μ
s)÷印字周期(μs/line)]×副走査送りピッ
チ(μm/line)≦25(μm)…(1)式の関係
を満たすための最適な各設定値を、上記ROMの関係デ
ータから選択する。
【0096】上記(1)式の由来については、本願出願
人が提案した特開平11−320807号公報を参照さ
れたい。特開平11−320807号公報明細書の段落
番号(0011)に記載されているように、サーマルヘ
ッド1の個々の発熱体2を発熱させるための電気エネル
ギー(上記穿孔エネルギーと同じである)は、発熱体2
の発熱体抵抗値R、発熱体2へ印加される印加電力P、
およびその印加電力Pを通電している時間である通電パ
ルス幅tp(もしくは通電時間)により決定される。印
加電力Pは以下の式で求まる。lineは1ラインを、
符号Rは発熱体2の発熱体電気抵抗を、それぞれ示す。 印加電力P(W)=(印加電圧E(V))/発熱体電
気抵抗R(Ω) また、発熱体2へ印加される印加エネルギーEsは以下
の式で求まる。印加エネルギーEs(J)=印加電力P
(W)×通電パルス幅tp(S)つまり、サーマルヘッ
ド1の個々の発熱体2へ印加される印加エネルギーEs
は、発熱体2へ印加される印加電力P、通電パルス幅t
p(もしくは通電時間)により決定され、これらは印加
エネルギーEs決定の制御因子となる。
【0097】特開平11−320807号公報明細書の
段落番号(0034)に記載されているように、マスタ
穿孔径の主走査穿孔径(Ls)に対する副走査穿孔径
(Lf)(主/副走査穿孔径)の比率は、発熱体サイズ
により決定され、そのマスタ穿孔径の大きさは、サーマ
ルヘッド1の発熱体2へ印加される印加エネルギーEs
の大小により決定されるが、通電パルス幅tpが異なっ
ても、その時の発熱体2への印加電力Pを調整すれば同
一穿孔径が得られること、およびその場合通電パルス幅
tpを長くするほうが、サーマルヘッド1の発熱体2の
ピーク温度を低下することができ、これによりサーマル
ヘッド1の発熱体2の熱的ストレスを低減できるので発
熱体2の寿命を向上できる。このような点から、通電パ
ルス幅tpを比較的長く設定すると共に、印加電力P
(W)を比較的小さく設定、すなわち省エネルギー化を
も図れる点からも好ましい。
【0098】上述したとおり、高耐刷化制御モードだけ
を行う孔版印刷装置であってもよい。この場合の主な制
御構成要素としては、高耐刷化制御手段7、高耐刷化設
定キー57、画像センサ5、A/D変換装置4、画像処
理装置3、印刷速度センサ164、サーマルヘッド1や
メインモータ151を具備していればよく、これ以外の
構成要素は制御構成要素に含めなくても構わない。ま
た、原稿読取装置80の画像センサ5、A/D変換装置
4および画像処理装置3は孔版印刷装置の必須の制御構
成要素ではなく、例えば上記したようなパソコン・コン
トローラだけを備えた孔版印刷装置にあっては、高耐刷
化制御手段7、高耐刷化設定キー57、上記パソコン・
コントローラ、印刷速度センサ164、サーマルヘッド
1やメインモータ151を具備していればよい。つま
り、高耐刷化制御モードだけを行う最小限の孔版印刷装
置の制御構成要素としては、高耐刷化制御手段7、高耐
刷化設定キー57、サーマルヘッド1を作動させるため
の画像信号供給手段(例えば原稿読取装置80の画像セ
ンサ5、A/D変換装置4および画像処理装置3から構
成される画像信号供給手段および/または上記パソコン
・コントローラ等)、印刷速度センサ164、サーマル
ヘッド1やメインモータ151を具備していればよく、
これ以外の構成要素は制御構成要素に含めなくても構わ
ない(請求項1参照)。 (動作例2)動作例2は、上記高画質化制御モードに係
る動作例である。動作例2では、従来の技術における高
画質化を図る上での問題点を解決するために、例えば高
感度なマスタの交換による時間的・経済的負担を課すこ
となく、また高速製版化で使用したい状況にも応じるた
めに、高画質化を希望する場合にのみ上記高画質化制御
モードを選択して製版動作を行うことにより、後述する
効果を得ようとするものである。動作例2では、制御装
置6の高画質化制御手段8(以下、単に「高画質化制御
手段8」という)が高画質化設定キー58からの高画質
化制御モードに係るオン信号に基づいて、マスタ46を
高画質化製版条件で自動的に製版させるものである。
【0099】先ず、ユーザは操作パネル50の高画質化
設定キー58を押すと、高画質化制御モードに係るオン
信号が生成されて高画質化表示器58aが点灯する。こ
の後、ユーザは製版スタートキー51を押すと、製版ス
タート信号が生成されこれがトリガとなって、上述した
と同様の排版工程が実行されると共にこれと並行して、
原稿読取装置80では原稿読み取りが行われる。すなわ
ち、高画質化制御モードに係るオン信号および製版スタ
ート信号が高画質化制御手段8に入力されると、動作例
1とは基本的に異なる動作が自動的に実行される。すな
わち、動作例2でもユーザが解像度設定キー64を押下
しなかったので副走査方向Yの解像度が低い方の300
DPIに設定されるべきであるが、ここでは高画質化制
御手段8によって、副走査方向Yの解像度が高い方の4
00DPIに自動的に設定され、これにより解像度表示
器64bが点灯する。
【0100】高画質化制御手段8は、上記ROMに予め
記憶されている高画質化制御モード用の副走査方向Yの
解像度400DPIに対応した所定の副走査送りピッチ
を選択してその所定の副走査送りピッチ設定信号をマス
タ搬送モータ91の上記モータ駆動回路に送出すると共
に、高耐刷化制御モード用の副走査方向Yの解像度40
0DPIに対応した所定の送りピッチで原稿搬送モータ
83Aを駆動制御する信号を上記モータ駆動回路に送出
する。これと同時に、高画質化制御手段8は、高画質化
制御モード用の後述する最適な大きさの穿孔を形成する
ための通電パルス幅設定の信号を上記サーマルヘッド駆
動回路へ送出する。
【0101】そして、高画質化制御手段8により設定さ
れた所定の副走査送りピッチ設定の信号に基づき、上記
モータ駆動回路を介してマスタ搬送モータ91が回転駆
動され、さらにマスタ搬送モータ91によりプラテンロ
ーラ92が回転され、マスタ46が所定の副走査送りピ
ッチおよび製版速度で搬送される。一方、高画質化制御
手段8により設定された所定の副走査送りピッチ設定の
信号に基づき、上記モータ駆動回路を介して原稿搬送モ
ータ83Aが回転駆動され、さらに原稿搬送モータ83
Aにより前・後原稿搬送ローラ対82a,82b・83
a,83bが回転され、原稿45が所定の副走査送りピ
ッチおよび原稿読取速度で搬送される。
【0102】こうして、上記サーマルヘッド駆動回路で
は、上記通電パルス幅設定の信号に基づき、図示しない
電源からの電力供給を受けて通電パルス幅(サーマルヘ
ッド駆動信号)が生成されてサーマルヘッド1の個々の
発熱体2に出力され、黒画素に対応した発熱体2がジュ
ール熱を発生し、マスタ46の熱可塑性樹脂フィルム部
分が溶融穿孔される。
【0103】この穿孔・製版時において、高画質化制御
手段8は、高画質化制御モード用の印字周期(この場合
は比較的長くなるように自動的に設定する)となるよう
に基本クロックを上記ROMから選択すると共に、自動
的に設定された印字周期に応じた、サーマルヘッド1の
個々の発熱体2に印加する穿孔エネルギーに調整するよ
うに、すなわちマスタ46への穿孔面積の大きさを通常
使用条件と同等となるような予め設定された通電パルス
幅を上記ROMから選択して、サーマルヘッド1の個々
の発熱体2へ印加するように上記サーマルヘッド駆動回
路を制御する。
【0104】換言すれば、印字周期を比較的長くなるよ
うに設定することにより穿孔確率が向上し、ベタ画像部
においてもサーマルヘッド1の個々の発熱体2への連続
通電による蓄熱の影響で副走査方向Yに穿孔径が繋がっ
てしまうことが抑制され、かつ、その印字周期に見合っ
た穿孔状態を得られるように、予め実験によって求めら
れた各環境温度に応じた通電パルス幅をサーマルヘッド
1の個々の発熱体2へ印加することで、印刷画像として
優れた画像を選択的に得ることができるようにする。
【0105】また印刷動作時では、ベタ画像部における
ベタ埋まりをさらに向上させるために、印刷ドラム10
1に印刷用紙47をプレスローラ103(または上記圧
胴)で押し付けるときの印圧を通常印刷時(ベタ画像が
少なく印字率が相対的に低い場合)と比較して高めに自
動的に変えるように、高画質化制御手段8によって上記
モータ駆動回路を介して印圧制御モータ14が制御され
る。以下、図2を参照して説明したと同様の版付け印刷
終了後、印圧が高めに設定される以外は通常の印刷動作
と同様に行われる。
【0106】上述したとおり、高画質化制御モードだけ
を行う孔版印刷装置であってもよい。この場合の主な制
御構成要素としては、高画質化制御手段8、高画質化設
定キー58、画像センサ5、A/D変換装置4、画像処
理装置3、原稿搬送モータ83A、マスタ搬送モータ9
1やサーマルヘッド1を具備していればよく、これ以外
の構成要素は制御構成要素に含めなくても構わない。ま
た、原稿読取装置80の画像センサ5、A/D変換装置
4および画像処理装置3は孔版印刷装置の必須の制御構
成要素ではなく、例えばパーソナルコンピュータと送受
信を行うパソコン・コントローラだけを備えた孔版印刷
装置にあっては、高画質化制御手段8、高画質化設定キ
ー58、上記パソコン・コントローラ、原稿搬送モータ
83A、マスタ搬送モータ91やサーマルヘッド1を具
備していればよい。さらには、スプリング長さ検知セン
サ13、印圧ホームポジション19A、原稿搬送モータ
83Aやマスタ搬送モータ91は、必須の制御構成要素
としなくてもよい。つまり、高画質化制御モードだけを
行う最小限の孔版印刷装置の制御構成要素としては、高
画質化制御手段8、高画質化設定キー58、サーマルヘ
ッド1を作動させるための画像信号供給手段(例えば原
稿読取装置80の画像センサ5、A/D変換装置4およ
び画像処理装置3から構成される画像信号供給手段およ
び/または上記パソコン・コントローラ等)、やサーマ
ルヘッド1を具備していればよく、これ以外の構成要素
は制御構成要素に含めなくても構わない(請求項1参
照)。 (動作例3)動作例3は、上記高速化制御モードに係る
動作例である。動作例3では、特に裏移りの影響および
その不具合発生がほとんどない文字製版を行うような場
合にのみ、上記高速化制御モードを選択することにより
後述する効果を得ようとするものである。動作例3で
は、制御装置6の高速化制御手段9(以下、単に「高速
化制御手段9」という)が高速化設定キー59からの高
速化制御モードに係るオン信号に基づいて、マスタ46
を高速化製版条件で自動的に製版させ、かつ、印刷速度
を最高速に自動的に変えて印刷を行わせるものである。
【0107】先ず、ユーザは操作パネル50の高速化設
定キー59を押すと、高速化制御モードに係るオン信号
が生成されて高速化表示器59aが点灯する。この後、
ユーザは製版スタートキー51を押すと、製版スタート
信号が生成されこれがトリガとなって、上述したと同様
の排版工程が実行されると共にこれと並行して、原稿読
取装置80では原稿読み取りが行われる。すなわち、高
速化制御モードに係るオン信号および製版スタート信号
が高速化制御手段9に入力されると、動作例1や2とは
基本的に異なる動作が自動的に実行される。すなわち、
高速化制御手段9は、高速化制御モード用の印字周期
(この場合は通常時よりも可能な限り高速化(短縮)し
た印字周期に自動的に設定する)となるように基本クロ
ックを上記ROMから選択する。そして、その選択され
た印字周期に対応した所定の副走査送りピッチ設定の信
号に基づき、上記モータ駆動回路を介してマスタ搬送モ
ータ91が回転駆動され、さらにマスタ搬送モータ91
によりプラテンローラ92が回転され、マスタ46が所
定の副走査送りピッチおよび高速の製版速度で搬送され
る。一方、上記で選択された印字周期に対応した所定の
副走査送りピッチ設定の信号に基づき、上記モータ駆動
回路を介して原稿搬送モータ83Aが回転駆動され、さ
らに原稿搬送モータ83Aにより前・後原稿搬送ローラ
対82a,82b・83a,83bが回転され、原稿4
5が所定の副走査送りピッチおよび高速の原稿読取速度
で搬送される。このとき、高速化制御手段9の有する上
記印字率認識手段は、画像処理装置3から送られてくる
原稿45の画像データに係る画像信号について、その印
字率が基準となる印字率よりも低いと認識するので、こ
れに基づいて高速化制御手段9は例えば文字製版に適す
ると判断し、以下の高速化製版条件で穿孔・製版を行
う。
【0108】同時に、高速化制御手段9は、マスタ46
への穿孔面積の大きさを環境温度等を考慮した通常使用
条件と同等となるように予め設定され増加した通電パル
ス幅を上記ROMから選択して、サーマルヘッド1の個
々の発熱体2へ印加するように上記サーマルヘッド駆動
回路を制御する。これにより、ユーザに求められている
高速製版化が実現できる。
【0109】こうして、上記サーマルヘッド駆動回路で
は、上記増加した通電パルス幅設定の信号に基づき、図
示しない電源からの電力供給を受けて通電パルス幅(サ
ーマルヘッド駆動信号)が生成されてサーマルヘッド1
の個々の発熱体2に出力され、黒画素に対応した発熱体
2がジュール熱を発生し、マスタ46の熱可塑性樹脂フ
ィルム部分が溶融穿孔される。
【0110】以下、図2を参照して説明したと同様の版
付け印刷が行われる。版付け印刷終了後、ユーザは印刷
物の画質等の確認を行った後、操作パネル50のテンキ
ー53で印刷枚数をセットし、印刷スタートキー52を
押すと上記版付け印刷と同様の工程で、給紙、印刷およ
び排紙の各工程が上記高速化制御モード用として自動的
に設定された最高速の印刷速度でセットした印刷枚数分
繰り返して行われ、孔版印刷の全工程が終了する。
【0111】このように印刷動作時においては、高速印
刷化を図るために、印刷速度は最高速に自動的に設定さ
れる。例えば、高速化制御手段9により、この孔版印刷
装置におけるメインモータ151による最高設定印刷速
度:5速となるようにそのモータ駆動回路が制御され
る。なお、この印刷速度の最高速設定に関しては、上記
高耐刷化制御モードの場合と同様に固定ではなく、あく
までもデフォルトとして最高速レベルに設定されるもの
であり、ユーザ自身の選択によって比較的高めに可変す
るように構成してもよい。
【0112】また印刷動作時では、ベタ画像部における
ベタ埋まりをさらに向上させるために、印刷ドラム10
1に印刷用紙47をプレスローラ103で押し付けると
きの印圧を通常印刷時(ベタ画像がなく印字率が相対的
に低い場合)と比較して高めに自動的に変えるように、
高速化制御手段9によって上記モータ駆動回路を介して
印圧制御モータ14が制御される。
【0113】以上述べた動作は、ユーザが原稿45等の
画像データの印字率を適切に判断したこと、すなわち文
字製版に適することを前提にした動作例であったが、ユ
ーザの判断ミス等が当然あり得る。そこで、ユーザの判
断ミス等を補助すべく以下のような制御を行う。例えば
文字製版というだけでベタ画像に近い原稿画像を高速化
制御モードとして選択した場合や、単に速く印刷を終了
したいということだけで特に考え無しで高速化制御モー
ドを選択したような場合には、印字率が高くて裏移り等
の問題が生じるため、高速化制御手段9の有する上記印
字率認識手段がその画像データの印字率を基準となる印
字率よりも高いと認識し、この認識に基づき、高速化制
御手段9が高速化制御モードとして適さないと判断し
て、その旨の警告メッセージ等を液晶表示部63等に表
示をさせて、高速化制御モードを解除して通常印刷を行
うようにユーザに促すものである。
【0114】上述したとおり、高速化制御モードだけを
行う孔版印刷装置であってもよい。この場合の主な制御
構成要素としては、高速化制御手段9、高速化設定キー
59、画像センサ5、A/D変換装置4、画像処理装置
3、印刷速度センサ164、原稿搬送モータ83A、マ
スタ搬送モータ91、サーマルヘッド1およびメインモ
ータ151を具備していればよく、これ以外の構成要素
は制御構成要素に含めなくても構わない。また、原稿読
取装置80の画像センサ5、A/D変換装置4および画
像処理装置3は孔版印刷装置の必須の制御構成要素では
なく、例えばパーソナルコンピュータと送受信を行うパ
ソコン・コントローラだけを備えた孔版印刷装置にあっ
ては、高速化制御手段9、高速化設定キー59、上記パ
ソコン・コントローラ、印刷速度センサ164、原稿搬
送モータ83A、マスタ搬送モータ91、サーマルヘッ
ド1およびメインモータ151を具備していればよい。
さらには、スプリング長さ検知センサ13、印圧ホーム
ポジション19A、原稿搬送モータ83Aやマスタ搬送
モータ91は、必須の制御構成要素としなくてもよい。
つまり、高速化制御モードだけを行う最小限の孔版印刷
装置の制御構成要素としては、高速化制御手段9、高速
化設定キー59、サーマルヘッド1を作動させるための
画像信号供給手段(例えば原稿読取装置80の画像セン
サ5、A/D変換装置4および画像処理装置3から構成
される画像信号供給手段および/または上記パソコン・
コントローラ等)、印刷速度センサ164、サーマルヘ
ッド1およびメインモータ151を具備していればよ
く、これ以外の構成要素は制御構成要素に含めなくても
構わない(請求項1参照)。
【0115】説明が前後するが、ここで、動作例1ない
し3に共通する選択された製版条件に関して説明してお
く。上述したように、高耐刷化設定キー57で選択・設
定された高耐刷化制御モードに係るオン信号、高画質化
設定キー58で選択・設定された高画質化制御モードに
係るオン信号、高速化設定キー59で選択・設定された
高速化制御モードに係るオン信号にそれぞれ応じて、予
め定められた印字周期となるような基本クロックが選択
される。したがって、原稿読取装置80の上記スキャナ
での対応は、印字周期に合わせて可変させているが、こ
れに限らず、画像処理装置3からの画像信号(画像デー
タ)を一旦制御装置6内の図示しない画像メモリに取り
込んで対応させることもできる。
【0116】しかしながら、高速化制御モード時には、
画像メモリに取り込むことでそのための時間を消費して
しまうので、このようなプレスキャン方式は避けた方が
よい。そこで、動作例3のような方式にするか、あるい
は次のようにすることもできる。すなわち、例えば特開
平11−115148号公報明細書の段落番号(003
1)〜(0032)に記載されているように、原稿画像
を読み取りながらベタ画像状態を認識をして製版速度を
決定するようにしてもよい。また、サーマルヘッド1の
主走査方向Sに並んでいる多数の発熱体2を2つのブロ
ックに分けてブロック毎に駆動し、上記マトリクスによ
るベタ画像の認識やこれに基づく製版速度の決定もブロ
ック毎に行ってもよい。さらに、サーマルヘッド1をブ
ロック毎に駆動している場合でも、ベタ画像の認識や製
版速度の決定はトータル的に行ってもよい。ただ、連続
製版を行う際には、高速化制御モード時であっても印刷
動作中に原稿2枚目、3枚目…というように各原稿の画
像信号(画像データ)を上記画像メモリに取り込んでお
いて対応することも勿論可能である。 (実施形態2)図6および図7に、実施形態2を示す。
この実施形態2では、製版動作に入る前に、機械操作に
不慣れなユーザ等が後述する自動設定キー60を押すこ
とによって、ユーザの本来行うべき製版・印刷条件の設
定作業を省略して、機械が最適な製版条件および印刷条
件を自動的に選択して各動作を行うことができるもので
ある。実施形態2は、実施形態1と比較して、操作パネ
ル50に代えて、操作パネル50Aを有すること、およ
び制御装置6に代えて、制御装置6Aを有することが主
に相違する。
【0117】図7に示す操作パネル50Aは、図3に示
した操作パネル50と比較して、高耐刷化設定キー5
7、高画質化設定キー58および高速化設定キー59を
除去してこれらに代えて、自動設定キー60を有するこ
と、高耐刷化表示器57a、高画質化表示器58aおよ
び高速化表示器59aを除去してこれらに代えて、自動
表示手段としての自動表示器60aを有すること、画像
データ(画像情報)の印字率を設定するための印字率設
定手段としての文字原稿設定キー66およびベタ原稿設
定キー67を新たに付加したこと、文字原稿設定状態で
あることを表示する文字原稿表示器66aおよびベタ原
稿設定状態であることを表示するベタ原稿表示器67a
を新たに付加したこと、解像度設定キー64および各解
像度表示器64a,64bを除去したことが主に相違す
る。
【0118】自動設定キー60は、図6に示す自動化制
御手段30を起動する自動設定手段としての機能を有す
る。自動表示器60aは、LEDからなり、自動設定キ
ー60が押されることにより設定される後述する自動化
制御モード設定状態にあるときに点灯・表示する。文字
原稿表示器66aおよびベタ原稿表示器67aは、LE
Dからなる。
【0119】図6に示す制御装置6Aは、図1に示した
制御装置6と比較して、3つの各種制御手段(高耐刷化
制御手段7、高画質化制御手段8、高速化制御手段9)
を除去してこれに代えて、自動化制御手段30を有する
ことが主に相違する。自動化制御手段30は、マイクロ
コンピュータを具備している。
【0120】制御装置6Aは、上記入力ポートおよび図
示しないセンサ回路等を介して画像処理装置3、スプリ
ング長さ検知センサ13、印圧ホームポジションセンサ
19A、印刷速度センサ164や操作パネル50Aの上
記各種キー等に電気的に接続されていて、これらからの
データ信号やオン/オフ信号を受信する。また、制御装
置6Aは、上記出力ポートおよびLED駆動回路(図示
せず)やLCD駆動回路(図示せず)を介して操作パネ
ル50Aの上記各種表示器や液晶表示部63に、上記出
力ポートおよびサーマルヘッド駆動回路(図示せず)を
介してサーマルヘッド1に、上記出力ポートおよびモー
タ駆動回路(図示せず)を介して印圧制御モータ14
に、上記出力ポートおよびモータ駆動回路(図示せず)
を介して原稿搬送モータ83Aに、上記出力ポートおよ
びモータ駆動回路(図示せず)を介してマスタ搬送モー
タ91に、上記出力ポートおよびモータ駆動回路(図示
せず)を介してメインモータ151に、それぞれ電気的
に接続されている。制御装置6Aは、上記各LED駆動
回路、上記LCD駆動回路、上記サーマルヘッド駆動回
路や上記各モータ駆動回路に各種指令信号を送信するこ
とにより、上記各種表示器、液晶表示部63、サーマル
ヘッド1、印圧制御モータ14、原稿搬送モータ83
A、マスタ搬送モータ91やメインモータ151の各作
動を制御する。
【0121】制御装置6Aの上記CPU(以下、単に
「制御装置6A」という)は、自動設定キー60からの
自動制御モードに係る信号に基づいて、また画像処理装
置3からの画像信号に応じて、スプリング長さ検知セン
サ13、印圧ホームポジションセンサ19A、印刷速度
センサ164等からのデータ信号やオン/オフ信号等を
参照しながら、予め設定された製版条件および印刷条件
を自動的に選択してそれに応じた製版動作および印刷動
作を行う(以下、「自動化制御モード」という)よう
に、上記各種表示器、液晶表示部63、サーマルヘッド
1、印圧制御モータ14、原稿搬送モータ83A、マス
タ搬送モータ91やメインモータ151等の各作動を制
御する自動化制御手段30としての機能(請求項7参
照)と、実施形態1と同様の一般的諸制御手段等27の
機能とを有する。
【0122】自動化制御手段30は、自動設定キー60
からの上記自動制御モードに係る信号に基づいて、また
画像処理装置3からの画像信号に応じて、テンキー53
(印刷枚数設定手段)、さらに画像データの印字率を認
識する図示しない印字率認識手段、文字原稿設定キー6
6およびベタ原稿設定キー67の何れか一つからの信号
に基づいて、上記自動化制御モードで製版動作および印
刷動作を行わせる機能を有する。マスタ46の耐刷枚数
に関するデータは、自動化制御手段30の上記ROMに
予め記憶されている。
【0123】自動化制御手段30の有する上記印字率認
識手段は、例えば特開平11−115145号公報の図
1、図3および図4ならびに同明細書の段落番号(00
29)〜(0034)に記載されていると同様の機能・
構成を有する。すなわち、上記印字率認識手段(上記同
公報の明細書では製版画像認識手段に相当する)は、高
画質化制御手段8へ入力された画像信号に基づいて、サ
ーマルヘッド1に具備されているライン上の複数の発熱
体2への書き込み印字数(ドット数)に対応した黒画素
の画像データ信号をカウントする。その印字数カウント
データは、一度上記RAMに入力される。上記ROMに
は、予め実験等で求めた印字数と発熱体2へ印加する最
適な通電パルス幅との関係データ(例えば上記同公報の
明細書の表1参照)が記憶されており、自動化制御手段
30は上記印字率認識手段によって認識された印字数を
上記ROMから選択した上記データに適用してサーマル
ヘッド1の個々の発熱体2へ印加する通電パルス幅を決
定する。また、自動化制御手段30は、上記同公報の明
細書の製版画像状態別穿孔エネルギー調整手段としての
機能も有しており、決定された通電パルス幅に基づいて
サーマルヘッド1の個々の発熱体2へ穿孔エネルギーを
供給する。
【0124】なお、印字率設定手段は、上記文字原稿設
定キー66およびベタ原稿設定キー67に限らず、より
木目細かい制御を望むのであれば、例えば文字原稿ない
し全ベタ原稿について5段階に分割して設定可能なキー
等であっても構わない。
【0125】次に、実施形態2に特有の動作、すなわち
上記自動制御モードによる各動作について、上述した動
作と相違する点を中心に説明する。そして、ユーザが自
動設定キー60を押さない場合には、通常の製版条件
で、印刷条件に関してはユーザ自身がそれを設定して製
版動作を開始するものである。 (動作例4)この動作例4は、自動設定キー60が押さ
れ、例えばマスタ46の耐刷枚数に略等しい、印刷枚数
が2000枚等の多数枚の印刷物を得る例である。先
ず、ユーザは操作パネル50Aの自動設定キー60を押
すと、上記自動化制御モードに係るオン信号が生成され
て自動表示器60aが点灯する。この後、ユーザはテン
キー53で印刷すべき印刷枚数:2000枚を設定・入
力すると、印刷枚数表示器62にその印刷枚数が表示さ
れる。このとき、自動化制御手段30に入力された印刷
枚数:2000枚というデータに関して、自動化制御手
段30はマスタ46の耐刷枚数に等しいと判断する。次
いで、ユーザは製版スタートキー51を押すと、実施形
態1の動作例1と同様の排版動作が行われると共に、自
動化制御手段30によって実施形態1の動作例1と同様
の上記高耐刷化制御モードに係る動作が自動的に行われ
る。
【0126】このように動作例4では、マスタ46の耐
刷性考慮の点から、製版・印刷条件を上記高耐刷化制御
モード設定時と同様にして行う。なお、この際のマスタ
46の耐刷枚数に関する印刷枚数のしきい値は、例えば
操作パネル50Aの各種キー等の組み合わせ等によって
任意に変更できる構成としてもよい。 (動作例5)この動作例5は、例えば原稿読取装置80
の上記スキャナで原稿45の画像を一旦スキャン(プレ
スキャン)して、その原稿情報を図示しない画像メモリ
へ取り込んだ画像データからベタ画像等の印字率が高い
原稿45であると、自動化制御手段30によって判断さ
れた例である。
【0127】先ず、ユーザは操作パネル50Aの自動設
定キー60を押すと、上記自動化制御モードに係るオン
信号が生成されて自動表示器60aが点灯する。この
後、ユーザは製版スタートキー51を押すと、実施形態
1の動作例1と同様の排版動作と並行して、原稿読取装
置80の上記スキャナで原稿45の画像が一旦スキャン
(プレスキャン)される。このとき、自動化制御手段3
0によって、図示しない画像メモリへ取り込まれた原稿
情報の画像データからベタ画像等の印字率が高い原稿4
5であると判断されると、自動化制御手段30によって
実施形態1の動作例2と同様の上記高画質化制御モード
に係る動作が自動的に行われる。このように動作例5で
は、サーマルヘッド1の個々の発熱体2への連続通電に
よる蓄熱影響抑制の点から、製版・印刷条件を上記高画
質化制御モード設定時と同様にして行う。 (動作例6)この動作例6は、例えば原稿読取装置80
の上記スキャナで原稿45の画像を一旦スキャン(プレ
スキャン)して、その原稿情報を図示しない画像メモリ
へ取り込んだ画像データから文字等の印字率が低い原稿
45であると、自動化制御手段30によって判断された
例である。
【0128】動作例5と同様に、ユーザによる操作パネ
ル50Aのキー操作が行われ、実施形態1の動作例1と
同様の排版動作と並行して、原稿読取装置80の上記ス
キャナで原稿45の画像が一旦スキャン(プレスキャ
ン)される。このとき、自動化制御手段30によって、
図示しない画像メモリへ取り込まれた原稿情報の画像デ
ータから文字等の印字率が低い原稿45であると判断さ
れると、自動化制御手段30によって実施形態1の動作
例3と同様の上記高速化制御モードに係る動作が自動的
に行われる。このように動作例6では、サーマルヘッド
1の個々の発熱体2への連続通電による蓄熱影響が少な
いとの判断に立ち、製版・印刷条件を上記高速化制御モ
ード設定時と同様にして行う。
【0129】動作例5および6においての原稿45の種
類(原稿45の印字率)の判断は、上述のように上記画
像メモリへ取り込んでの自動認識でもよいが、ユーザ自
身の原稿45の種類(原稿45の印字率)の判別、すな
わち操作パネル50Aの文字原稿設定キー66やベタ原
稿設定キー67による設定・入力によってもよい。すな
わち、ユーザ自身が原稿45を確認して、例えば文字の
みの原稿画像であると判断したときには文字原稿設定キ
ー66を、例えばベタ画像が多い原稿画像であると判断
したときにはベタ原稿設定キー67を押すことにより、
原稿45の印字率を可変設定しても構わない。また、自
動化制御手段30の有する上記印字率認識手段による自
動認識の際の印字率のしきい値は、ユーザ自身の設定、
例えば操作パネル50Aの各種キー等の組み合わせ等に
よって任意に変更したり、あるいは上記ROMをプログ
ラム可能なPROMにしたり、あるいは上記ROMチッ
プ等の交換等によって予め登録しておくことも可能であ
る。このような構成を採ることによって、例えば印字率
の大きく異なる原稿45が複数存在する場合に、それぞ
れの原稿45に対して最適な製版・印刷条件を選択した
りせずとも、自動的にその原稿に見合った製版・印刷条
件で製版・印刷動作を行える利点がある。 (実施形態3)図8および図9に、実施形態3を示す。
この実施形態3では、図1ないし図5に示した実施形態
1の構成および図6および図7に示した実施形態2の構
成の全てを有し、上述した動作例1ないし6等の全ての
動作を行うことができるものである(請求項8参照)。
実施形態3は、実施形態1と比較して、操作パネル50
に代えて、操作パネル50Bを有すること、および制御
装置6に代えて、制御装置6Bを有することが主に相違
する。
【0130】図9に示す操作パネル50Bは、図3に示
した操作パネル50と比較して、実施形態2の操作パネ
ル50Aにおける自動設定キー60、自動表示器60
a、文字原稿設定キー66、ベタ原稿設定キー67、文
字原稿表示器66aおよびベタ原稿表示器67aを新た
に付加したことのみが相違する。図8に示す制御装置6
Bは、図1に示した制御装置6と比較して、自動化制御
手段30を新たに付加したことのみが相違する。
【0131】実施形態3の動作例は、上述した動作例1
ないし6等の記載から極めて容易に理解して実施できる
ためその説明を省略する。したがって、実施形態3によ
れば、高耐刷化設定キー57、高画質化設定キー58、
高速化設定キー59および自動設定キー60を有するこ
とにより、多種多様のユーザの要望に対応することがで
きるようになる。
【0132】本発明の実施形態における制御構成例は、
図1や図6や図8に示したものに限らず、各制御装置
6,6A、6Bの制御構成を次のように分割してもよ
い。すなわち、高耐刷化設定キー57、高画質化設定キ
ー58、高速化設定キー59または自動設定キー60か
らの信号に基づいて、かつ、画像処理装置3からの画像
信号に応じて、主として上記サーマルヘッド駆動回路を
介してサーマルヘッド1を制御するための上記製版制御
部と、上記サーマルヘッド駆動回路およびサーマルヘッ
ド1を除く本発明の特有の動作を行わせるための大規模
な制御構成を具備するメイン制御装置とに分けて、これ
らを互いに送受信する関係で構成してもよい。この場
合、本発明の実施形態に特有の上記各種キー等を具備す
る操作パネル50,50A,50Bは、上記メイン制御
装置側に電気的に接続することが望ましい。
【0133】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
上述したような従来装置の有する諸問題点を解決して新
規な製版印刷装置を提供することができる。請求項毎の
効果を挙げれば次のとおりである。請求項1記載の発明
によれば、制御手段は、高耐刷化設定手段、高画質化設
定手段および高速化設定手段の何れか一つの設定手段か
らの信号に基づいて、その設定手段に対応した制御モー
ドで製版動作および印刷動作を行わせるので、ユーザに
おいては上記各設定手段の一つを選択して簡単な操作を
行うだけで、自身の使用形態に合わせた製版条件や印刷
条件を選択して例えば以下のような製版動作や印刷動作
を1台の製版印刷装置で行うことができて、ユーザの所
望する印刷画像を簡易に得られると共に、利便性に富ん
だ製版印刷装置を提供することができる。例えば、高耐
刷化設定手段を選択した際には、マスタを高耐刷化製版
条件で製版し、かつ、印刷速度を比較的低速に自動的に
変えて印刷を行う(高耐刷化制御モード)ことにより、
マスタの強度を保てるような穿孔・製版状態にし、多数
枚の印刷時においてもマスタの耐刷性を劣化させること
を抑制し、かつ、印刷速度を最適値に自動的に設定する
ことで、ユーザに良好な印刷画像を提供することができ
るようになる。例えば、高画質化設定手段を選択した際
には、マスタを高画質化製版条件で製版する(高画質化
制御モード)ことにより、製版手段(例えばサーマルヘ
ッド)によってマスタの熱可塑性樹脂フィルム部分に確
実に熱を伝えて溶融穿孔させることができるので、いわ
ゆる白抜け等の穿孔不良を抑制し、ベタ埋まりのよい、
ユーザの求める高画質化された印刷物を得ることができ
る。例えば、高速化設定手段を選択した際には、マスタ
を高速化製版条件で製版し、かつ、印刷速度を最高速に
自動的に変えて印刷を行う(高速化制御モード)ことに
より、製版手段(例えばサーマルヘッド)の印字周期を
可能な限り短縮して、製版装置特有の製版時間を短縮化
することができ、ユーザの時間的負担を抑制し軽減する
ことができる。
【0134】請求項2記載の発明によれば、高耐刷化制
御モードは、サーマルヘッドの個々の発熱体に印加する
穿孔エネルギーを比較的少なく調整し、かつ、印字周期
を比較的長くするので、請求項1記載の発明の効果に加
えて、サーマルヘッドの個々の発熱体へ供給する印加エ
ネルギーの大きさが抑制され、同じ種類のマスタを使用
した場合においても、隣接する穿孔径の間に生じるマス
タの熱可塑性樹脂フィルム部分の未溶融領域が増加する
ので、マスタの耐刷性を向上することができる。また、
印字周期も同時に比較的長く設定することでサーマルヘ
ッドの個々の発熱体への通電時間を長くし、サーマルヘ
ッドの個々の発熱体の熱がマスタの熱可塑性樹脂フィル
ム部分に確実に伝わるようにして、マスタの熱可塑性樹
脂フィルム部分の未貫通領域(未貫通箇所)が増加する
ことを抑制できる。
【0135】請求項3記載の発明によれば、高画質化制
御モードは、サーマルヘッドの印字周期を比較的長く
し、かつ、その印字周期に応じた、サーマルヘッドの個
々の発熱体に印加する穿孔エネルギーに調整するので、
請求項1記載の発明の効果に加えて、穿孔確率が向上
し、ベタ画像部においてもサーマルヘッドの個々の発熱
体への連続通電による蓄熱の影響で副走査方向に穿孔径
が繋がってしまうことが抑制され、かつ、その印字周期
に見合った穿孔状態が得ることができ、印刷画像として
優れた画像を選択的に得ることができる。
【0136】請求項4記載の発明によれば、高画質化制
御モードは、印刷ドラムに印刷用紙を押し付けるときの
印圧を比較的高めに自動的に変える制御、および/また
は副走査方向の解像度を比較的高めに自動的に変える制
御を含むので、請求項1または3記載の発明の効果に加
えて、ベタ画像部におけるベタ埋まりをさらに向上する
ことができる。
【0137】請求項5記載の発明によれば、高速化制御
モードは、印字率認識手段で認識した印字率が低い場合
にのみ、サーマルヘッドの印字周期を比較的短くして行
うので、請求項1記載の発明の効果に加えて、マスタへ
の穿孔面積の大きさを環境温度等を考慮した通常使用条
件と同等となるように予め設定され増加した穿孔エネル
ギー(増加した通電パルス幅)をサーマルヘッドの個々
の発熱体へ印加するので、ユーザに求められている高速
製版化を実現できる。
【0138】請求項6記載の発明によれば、高速化制御
モードは、印刷ドラムに印刷用紙を押し付けるときの印
圧を比較的高めに自動的に変える制御を含むので、請求
項1または5記載の発明の効果に加えて、ベタ画像部に
おけるベタ埋まりをさらに向上することができる。
【0139】請求項7記載の発明によれば、自動化制御
手段は、自動設定手段からの信号に基づいて、また製版
された1版のマスタについて印刷すべき印刷用紙の枚数
を設定する印刷枚数設定手段、画像データの印字率を認
識する印字率認識手段および画像データの印字率を設定
する印字率設定手段のうちの少なくとも一つの手段から
の信号に基づいて、予め設定された製版条件および印刷
条件を自動的に選択してそれに応じた製版動作および印
刷動作を行わせるので、機械操作に不慣れなユーザにお
いても、自動設定手段を操作するだけであるいは選択的
に印刷枚数設定手段や印字率設定手段を操作するだけ
で、例えば各々の原稿やパーソナルコンピュータ等から
の画像情報に応じて、製版条件や印刷条件を設定するこ
となく最適な製版条件や印刷条件を自動的に選択して製
版し印刷を行うことができる。
【0140】請求項8記載の発明によれば、請求項1な
いし6の何れか一つに記載の発明の効果に加えて、請求
項7記載の発明の効果を奏するので、多種多様のユーザ
の要望に対応することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1の制御構成を示すブロック
図である。
【図2】本発明を適用する孔版印刷装置の概略的な正面
図である。
【図3】実施形態1の操作パネルの平面図である。
【図4】実施形態1等に用いられる押圧力可変手段周り
の斜視図である。
【図5】実施形態1等に用いられるプレスローラ駆動手
段および押圧力可変手段周りの斜視図である。
【図6】本発明の実施形態2の制御構成を示すブロック
図である。
【図7】実施形態2の操作パネルの平面図である。
【図8】本発明の実施形態3の制御構成を示すブロック
図である。
【図9】実施形態3の操作パネルの平面図である。
【符号の説明】
1 製版手段としてのサーマルヘッド 2 発熱体 3 画像処理装置 6,6A,6B 制御手段としての制御装置 7 制御手段を構成する高耐刷化制御手段 8 制御手段を構成する高画質化制御手段 9 制御手段を構成する、印字率認識手段を備えた高速
化制御手段 14 印圧制御モータ 20 押圧力可変手段 30 自動化制御手段 45 原稿 46 マスタ 47 印刷用紙 50,50A,50B 操作パネル 51 製版スタートキー 53 印刷枚数設定手段としてのテンキー 57 高耐刷化設定手段としての高耐刷化設定キー 58 高画質化設定手段としての高画質化設定キー 59 高速化設定手段としての高速化設定キー 60 自動設定手段としての自動設定キー 64 副走査方向解像度設定手段としての解像度設定キ
ー 66 印字率設定手段としての文字原稿設定キー 67 印字率設定手段としてのベタ原稿設定キー 90 製版装置 101 印刷ドラム 103 押圧手段としてのプレスローラ 151 メインモータ 164 印刷速度センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 肇 宮城県柴田郡柴田町大字中名生字神明堂3 番地の1・東北リコー株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂フィルムを有するマスタを製
    版する製版手段を備え、製版されたマスタを印刷ドラム
    に巻装し、該印刷ドラム上のマスタにインキを供給しな
    がら上記印刷ドラムに印刷用紙を押し付けて印刷を行う
    製版印刷装置において、 マスタを高耐刷化製版条件で製版し、かつ、印刷速度を
    比較的低速に自動的に変えて印刷を行う高耐刷化制御モ
    ードを設定する高耐刷化設定手段、マスタを高画質化製
    版条件で製版する高画質化制御モードを設定する高画質
    化設定手段およびマスタを高速化製版条件で製版し、か
    つ、印刷速度を最高速に自動的に変えて印刷を行う高速
    化制御モードを設定する高速化設定手段のうちの少なく
    とも一つを有し、 上記高耐刷化設定手段、上記高画質化設定手段および上
    記高速化設定手段の何れか一つの設定手段からの信号に
    基づいて、その設定手段に対応した制御モードで製版動
    作および印刷動作を行わせる制御手段を具備することを
    特徴とする製版印刷装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の製版印刷装置において、 上記製版手段は、主走査方向に配列された複数の発熱体
    を有するサーマルヘッドであり、上記高耐刷化制御モー
    ドは、上記発熱体に印加する穿孔エネルギーを比較的少
    なく調整し、かつ、上記サーマルヘッドの印字周期を比
    較的長くするものであることを特徴とする製版印刷装
    置。
  3. 【請求項3】請求項1記載の製版印刷装置において、 上記製版手段は、主走査方向に配列された複数の発熱体
    を有するサーマルヘッドであり、上記高画質化制御モー
    ドは、上記サーマルヘッドの印字周期を比較的長くし、
    かつ、上記印字周期に応じた、上記発熱体に印加する穿
    孔エネルギーに調整するものであることを特徴とする製
    版印刷装置。
  4. 【請求項4】請求項1または3記載の製版印刷装置にお
    いて、 上記高画質化制御モードは、上記印刷ドラムに印刷用紙
    を押し付けるときの印圧を比較的高めに自動的に変える
    制御、および/または上記副走査方向の解像度を比較的
    高めに自動的に変える制御を含むことを特徴とする製版
    印刷装置。
  5. 【請求項5】請求項1記載の製版印刷装置において、 上記製版手段は、主走査方向に配列された複数の発熱体
    を有するサーマルヘッドであり、画像データの印字率を
    認識する印字率認識手段を有し、上記高速化制御モード
    は、上記印字率認識手段で認識した印字率が低い場合に
    のみ、上記サーマルヘッドの印字周期を比較的短くして
    行うものであることを特徴とする製版印刷装置。
  6. 【請求項6】請求項1または5記載の製版印刷装置にお
    いて、 上記高速化制御モードは、上記印刷ドラムに印刷用紙を
    押し付けるときの印圧を比較的高めに自動的に変える制
    御を含むことを特徴とする製版印刷装置。
  7. 【請求項7】画像データに応じて、熱可塑性樹脂フィル
    ムを有するマスタを製版する製版手段を備え、製版され
    たマスタを印刷ドラムに巻装し、該印刷ドラム上のマス
    タにインキを供給しながら上記印刷ドラムに印刷用紙を
    押し付けて印刷を行う製版印刷装置において、 製版された1版のマスタについて印刷すべき印刷用紙の
    枚数を設定する印刷枚数設定手段、画像データの印字率
    を認識する印字率認識手段および画像データの印字率を
    設定する印字率設定手段のうちの少なくとも一つを有
    し、 上記少なくとも一つの手段からの信号に基づいて、予め
    設定された製版条件および印刷条件を自動的に選択して
    それに応じた製版動作および印刷動作を行わせる自動化
    制御手段と、 上記自動化制御手段を起動する自動設定手段と、 を具備することを特徴とする製版印刷装置。
  8. 【請求項8】請求項1ないし6の何れか一つに記載の製
    版印刷装置において、 製版された1版のマスタについて印刷すべき印刷用紙の
    枚数を設定する印刷枚数設定手段、画像データの印字率
    を認識する印字率認識手段および画像データの印字率を
    設定する印字率設定手段のうちの少なくとも一つを有
    し、 上記少なくとも一つの手段からの信号に基づいて、予め
    設定された製版条件および印刷条件を自動的に選択して
    それに応じた製版動作および印刷動作を行わせる自動化
    制御手段と、 上記自動化制御手段を起動する自動設定手段と、 を具備することを特徴とする製版印刷装置。
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