JP2008156064A - 両面孔版印刷装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 レジストローラ51が用紙36aのストッパ53aに対する当接を解除したあとに、搬送ベルト108の駆動を開始する。印刷速度が低速であれば、このタイミングをレジストローラ51とプレスローラ21が当接した時点とする。低速・高速どちらの場合もレジストローラ51に対する動作指令信号から所定の時間経過した時点とすることができる。
【選択図】図5
Description
なお、「版胴」のことを単に印刷ドラム、あるいは印刷ドラムの外周部に配設された版胴と呼ばれることもあるが、以下、この明細書では印刷ドラム全体を含めて「版胴」と呼ぶこととする。
上述したようなマニュアル操作を伴う旧来の両面印刷方式を改良すべく、自動的に両面印刷を行える両面印刷装置が盛んに開発されてきており、その両面印刷装置の形態としては、いくつもの方式が提案されている。
この他の残りの5つに大別される両面印刷方式としては、(2)片面印刷後ストック再給紙式2パス両面印刷方式(例えば、特許文献3参照)、(3)2ドラム対向式転写胴介在型1パス同時両面印刷方式(例えば、特許文献4参照)、(4)1ドラム分割印刷同時反転式両面印刷方式(例えば、特許文献5参照)、(5)1ドラム分割印刷転写胴1パス両面印刷方式(例えば、特許文献6参照)がある。
そこで、用紙サイズおよび用紙の種類の制約はあるが、(6)前記(1)〜(5)の諸問題点を総じて解決して、無駄なマスタを用いることなく片面印刷を行うことができると共に両面印刷時には画質良好な印刷物を得ることができ、さらに設置スペースの増大を抑制することが可能な画期的な1工程両面印刷装置、すなわち前記(4)の両面印刷方式を基本方式(但し、単一の押圧手段としてのプレスローラおよび単一のインキ供給手段を採用)として選択して(以下、「1ドラム1押圧手段両面印刷方式または1版胴1押圧手段両面印刷方式」という)、用紙搬送の確実性・信頼性および高速印刷対応性に欠けるという問題点を解消・対策した新しく安価な両面印刷装置が提案され試されている(例えば、特許文献7ないし9参照)。
請求項1記載の発明は、孔版原紙の送り方向に前後2面に分けてマスタとして製版する製版手段を有する両面孔版印刷装置であって、印刷すべき用紙の表裏を入れ替えて前記2面によりそれぞれ印刷するとき、第1面で印刷された用紙を受け入れて当接保持するストッパを有し前記用紙を搬送する搬送手段と、第2面の印刷時に前記用紙の前記ストッパとの当接を解除するストッパ解除機構とを有し、前記用紙と前記ストッパとの当接を解除し、前記用紙の表裏を反転させながら印刷位置に再給紙する両面孔版印刷装置において、前記搬送手段は、前記ストッパが前記用紙との当接を解除した後に作動されることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の両面孔版印刷装置において、前記搬送手段の送り出し搬送速度は、版胴周速度とほぼ同等に設定されていることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、孔版原紙の送り方向に前後2面に分けてマスタとして製版する製版手段を有する両面孔版印刷装置であって、印刷すべき用紙の表裏を入れ替えて前記2面にそれぞれ押圧するプレスローラと、第1面で印刷された用紙を受け入れて第2面の印刷時に該用紙の表裏を反転させながら印刷位置に再給紙する搬送手段を有する両面孔版印刷装置において、前記第2面の印刷時に前記用紙を前記プレスローラに当接させるレジストローラを有し、前記搬送手段の送り出し開始は、前記レジストローラの動作指令信号を基準に行われることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の両面孔版印刷装置において、印刷すべき用紙の表裏を入れ替えて前記2面にそれぞれ押圧するプレスローラと、前記第2面の印刷時に前記用紙を前記プレスローラに当接させるレジストローラを有し、前記搬送手段の送り出し開始は、前記レジストローラの動作指令信号を基準に行われることを特徴とする。
請求項8記載の発明は、孔版原紙の送り方向に前後2面に分けてマスタとして製版する製版手段を有する両面孔版印刷装置であって、印刷すべき用紙の表裏を入れ替えて前記2面にそれぞれ押圧するプレスローラと、第1面で印刷された用紙を受け入れて第2面の印刷時に該用紙の表裏を反転させながら印刷位置に再給紙する搬送手段を有する両面孔版印刷装置において、前記第2面の印刷時に前記用紙を前記プレスローラに当接させるレジストローラと、該レジストローラが前記プレスローラに当接したことを検知する検知手段とを有し、前記搬送手段の駆動立ち上がり時間遅れが無視できる印刷速度の場合は、前記搬送手段の送り出し開始を、前記検知手段が前記レジストローラと前記プレスローラとの当接を検知した後に行うことを特徴とする。
請求項10記載の発明は、請求項1ないし9のいずれか1つに記載の両面孔版印刷装置において、前記搬送手段は搬送ベルトと吸引ファンを有する吸着搬送手段であることを特徴とする。
まず、図1等を参照して、本発明の第1の実施形態を適用した両面印刷装置の一例としての両面孔版印刷装置300の全体構成について説明する。
両面孔版印刷装置300は、同図の左側上方に示すように、ロール状に巻かれたマスタ8(製版前の状態を孔版原紙と呼ぶこともあるが、本発明では製版前後を通じてマスタと呼ぶ)を製版する製版部15と、同図のほぼ中央部に示すように、製版済みマスタを外周面に巻装する版胴1、版胴1上の製版済みマスタにインキを供給する後述するインキ供給手段、および版胴1の外周面に対して接離自在であり該版胴1上の製版済みマスタに用紙36を押し付ける押圧手段としてのプレスローラ21、等を有する印刷部16と、版胴1を挟んで製版部15に対向して配置され版胴1上の使用済みマスタを剥離・排版する排版部17と、この排版部17の下方に配置され給紙台としての給紙トレイ35上の用紙36を印刷部16に向けて給送する給紙部30と、この給紙部30に対向して製版部15の下方に配置され印刷された用紙36を版胴1から剥離して排紙台としての排紙トレイ172に排出する排紙部19と、版胴1、製版部15および排版部17が配設された図12に示すような装置本体としての本体フレーム130と、その上部に配置され原稿受け台134上から移送される原稿133の画像または読取部としてのコンタクトガラス135上に載置された図示しない原稿等の画像を読み取る画像読取部18とを具備している。
図1および図9等において、製版済みマスタ8Yには括弧を付して示すことにより、分割製版済みマスタ8Xと区別する。図9において、製版済みマスタ8Yに形成された片面製版画像8YAの領域範囲を二点鎖線で示し、マスタ搬送方向X1の同領域範囲の境界線が表面製版画像8Aおよび裏面製版画像8Bの実線と重なるため、その領域範囲を少し大きめに図示しているが、片面製版画像8YAの領域範囲は、表面製版画像8A、裏面製版画像8Bおよびこれらの中間に位置する未製版の空白領域である中間未製版領域8Cを合わせた全範囲である。
マスタ8は、例えば厚みが1〜5μmの熱可塑性樹脂フィルムと、合成繊維等からなる多孔質支持体とを貼り合わせたラミネート構造をなす。マスタは、これに限らず、例えば和紙繊維、あるいは和紙繊維および合成繊維を混抄したもの等からなる多孔質支持体と熱可塑性樹脂フィルムとを貼り合わせたものや、いわゆる実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタ等も用いられる。
プラテンローラ9は、プラテンローラ軸と一体的に形成されている。プラテンローラ9は、プラテンローラ軸の両端部が前記製版側板対に回転可能に支持されていることにより、時計回りに回転自在となっている。プラテンローラ9は、タイミングベルトやギヤ等の回転伝達部材(図示せず)を介してマスタ搬送モータ10に連結され、これにより時計回りに回転駆動される。マスタ搬送モータ10は、例えばステッピングモータからなる。前記構成のとおり、プラテンローラ9がマスタ搬送モータ10により時計回りに回転駆動されることにより、マスタ8はマスタロール8aから引き出されることとなる。
カッタ12は、固定刃12bおよび可動刃12aを備えたギロチンタイプの公知のものである。カッタ12は、前記ギロチンタイプに限らず、可動刃がマスタ搬送方向X1と直交するマスタ幅方向に回転しながら移動する回転刃移動タイプのものを用いてもよい。
図14に示す製版部15において、サーマルヘッド駆動回路(図示せず)によって駆動されるサーマルヘッド11、マスタ搬送モータ10を含む製版部15の制御対象駆動手段を総括的に製版駆動手段124とする。
インキ溜まり4のインキは、版胴1の外部に設けられた図示しないインキパック等より図示しないインキポンプで吸引され、インキパイプ5の供給孔より供給されて混練される。インキ溜まり4のインキは、ドクターローラ3により計量されながらインキローラ2の外周面上に薄膜状に供給され、さらにインキローラ2の外周面が版胴1の前記支持円筒体内周面に接触することにより版胴1の開孔部1a部分に供給される。
一方、各遮光板121,122近傍の本体フレーム側には、給紙開始用遮光板121とレジスト開始用遮光板122とが取り付けられている版胴1の同円周上に対向してこれらを挟む態様で、給紙レジストセンサ120が取り付けられている。給紙レジストセンサ120は、透過型の光学センサである。
図14において、前記版胴センサ、給紙レジストセンサ120および前記ホームポジションセンサを、版胴1の回転位置を検出する版胴位置検知手段としての版胴位置検知センサ29と総称する。
なお、版胴1の大きさ・サイズは、プレスローラ21のそれと比べて大きく誇張して図示しており、実施例的には例えば特許文献7等で開示したように、プレスローラの周速度を版胴のそれと同速度にすることを簡単にするためには、プレスローラの直径と版胴の直径との比は1:2または1:3が望ましいことは言うまでもない。当然、前記利点を望まなくてもよいのであれば、プレスローラ21としてその周面の円周方向長さが単に版胴1の外周面上における表面領域1Aまたは裏面領域1Bの円周方向長さよりも長いものを用いてもよい。
プレスローラ21は、図2〜図4に示す印圧範囲可変手段28、係止手段64および各印圧アーム22を介して、版胴1上の分割製版済みマスタ8Xまたは製版済みマスタ8Yに未印刷の用紙36や表面印刷済み用紙36aを押し付ける図3および図4に示す印刷位置とこの印刷位置から離れた図1および図2に示す初期位置を含む非印刷位置との間で変位自在に構成されている。前記のとおり、押圧手段支持部材としての一対の印圧アーム22は、押圧手段としてのプレスローラ21を回転自在に支持し、かつ、プレスローラ21を版胴1に対して接離自在とすべく変位可能に構成されている。印圧範囲可変手段28は、押圧手段接離手段としてのプレスローラ接離機構とも呼ばれることがある。
前記駆動力伝達手段は、図2に示すように、プレスローラ駆動モータ55の出力軸55aに固着された歯付きの駆動プーリ56と、印圧アーム22のさらに紙面の奥側に突き出たプレスローラ軸21aに固着された歯付きの従動プーリ57と、駆動プーリ56と従動プーリ57との間に掛け渡された歯付きの無端ベルト58とを具備している。
再給紙手段45は、印刷部16でその表面に印刷画像を形成された表面印刷済み用紙36aを一時的に保持してストッパ部材53を介してプレスローラ21に向けて搬送する、所定の時機に停止・起動可能な再給紙搬送手段としての再給紙搬送装置104と、再給紙搬送装置104により搬送されてきた表面印刷済み用紙36aの先端(用紙搬送方向Xに対しては「後端」であるが、表面印刷済み用紙36aの搬送方向に対しては「先端」または「前端」であため、このように名付ける)をプレスローラ21に受け渡す前で一時的に停止させ位置決めをするための再給紙停止手段としてのストッパ部材53と、このストッパ部材53により一時的に停止された表面印刷済み用紙36aの先端の停止状態を所定のタイミングで解除して該表面印刷済み用紙36aの先端をプレスローラ21に当接(接触)させる当接位置と、この当接位置から離間した非当接位置との間で変位自在な再給紙レジスト手段としての再給紙レジストローラ51と、再給紙レジストローラ51を当接位置と非当接位置との間に変位させる再給紙レジスト接離手段70と、プレスローラ21の右側においてプレスローラ21外周面に近接して設けられ、再給紙レジストローラ51によりプレスローラ21外周面に当接された表面印刷済み用紙36aを印刷部16に形成されるニップ部16aへ案内する再給紙案内手段としてのローラガイド板50とから主に構成されている。
駆動軸107aの一端(図2〜図5の紙面の奥側)には、図示しない駆動ギヤが取り付けられており、駆動軸107aは、その駆動ギヤを介して連結されたベルト駆動モータ105によって回転駆動される。搬送ベルト108は、図14に示す制御装置100からの指令信号に基づくベルト駆動モータ105の作動によって、後述するように用紙の種類に応じた特有のタイミングで断続的に時計回りに回転駆動される。ベルト駆動モータ105は、例えばステッピングモータからなり、前記本体フレーム側に固定して設けられている。従動軸106aは、その両端部が再給紙筐体110の両側面を貫通しないようになされている。
吸引ファン109には、移動ガイド81より受け渡される表面印刷済み用紙36aを搬送ベルト108の多数の孔108aから空気を吸引することにより搬送ベルト108の上面側に吸着させるように吸引ファン109を回転駆動するファン駆動手段としてのファン駆動モータが内蔵されている。以下、前記ファン駆動モータのことを単に「吸引ファン109」という。
ストッパ部材53における用紙搬送方向Xの上流端部には、図2〜図4および図6に示すように、表面印刷済み用紙36aの先端がストッパ部材53に近接したことを検知する表面印刷済み用紙検知手段としての再給紙センサ52が配設されている。再給紙センサ52は、反射型の光学センサからなり、表面印刷済み用紙36aの先端(図4に示す表面印刷済み用紙36aの右端)および後端(図4に示す表面印刷済み用紙36aの左端)を検知する機能も有する。
上述した構成のとおり、再給紙レジストローラ51は、ソレノイド73が引張ばね75の付勢力に抗して作動される(オン作動)と、その外周面を所定の圧接力でプレスローラ21の外周面に当接して当接位置を占めることにより、表面印刷済み用紙36aをプレスローラ21の外周面に所定時間当接させ、プレスローラ21の回転力を受けてプレスローラ21と反対の時計回りに従動回転しながら表面印刷済み用紙36aの搬送を助勢し、ソレノイド73の作動が解除される(オフ作動)と、引張ばね75の付勢力によってその外周面がプレスローラ21の外周面から離間して非当接位置を占める。
図14において、再給紙手段45の制御対象駆動手段としては、プレスローラ駆動モータ55、ソレノイド73、ベルト駆動モータ105、吸引ファン109、等が含まれる。再給紙手段45の諸検知手段としては、再給紙センサ52等が含まれる。
印圧アーム22の他端部側には、プレスローラ21を常に版胴1の外周面に圧接する向きに付勢する印圧ばね242(引張ばね)の一端が係止され、印圧ばね242の他端は前記筐体側板側に係止されている。この印圧ばね242により、印圧アーム22の他端側はアーム軸22aを中心として時計回りに揺動・付勢され、プレスローラ21を版胴1の外周面に圧接する向きに付勢している。印圧アーム22の他端部には、係止部材60の係止爪60aと係合可能な切欠22bが一体的に形成されていて、係止部材60と係脱可能となっている。
一方、各カムフォロア241近傍の前記各筐体側板側には、版胴1の回転と同期して回転する一対の多段カム243を固着した印圧カム軸244が回転自在に支持されている。多段カム243は、小径部(凹部部分)と大径部(凸部部分)とが形成された例えば板カムからなる。
各多段カム243は、3枚のカム板243A、243B、243Cを有し、これらが軸方向に所定量移動可能な印圧カム軸244に適当な間隔をもって固着されており、必要に応じて指定された何れか1枚のカムが選択され、カムフォロア243に対向する位置に移動する。各カム板243A,243B,243Cは、図2および図3の紙面手前側からカム板243B、カム板243A、カム板243Cの順に配設されている。各カム板243A、243B、243Cは、カム軸244と同心の円板である小径部(凹部ないしは基部)とそれぞれ同一突出量の大径部(凸部)とを有している。多段カム243は、カム軸244、すなわち特許文献7の図4に示されているカム軸(44)に取り付けられた駆動ギヤ(45)および本体フレームに回転自在に支持された支軸(46)に取り付けられた伝達ギヤ(47)を介して版胴駆動手段(121)、すなわちメインモータ20からの回転力を伝達され、図2において時計回りに回転駆動される。
各カム板243A、243B、243Cの大径部の形状は、プレスローラ21と版胴1との接触範囲が、カム板243Aでは図1に示す表面領域1Aと中間領域1Cと裏面領域1Bとを全て合わせた範囲(図9に示した印圧範囲パターンIII参照)となるように、カム板243Bでは表面領域1Aと同じ範囲(図9に示した印圧範囲パターンI参照)となるように、カム板243Cでは裏面領域1Bと同じ範囲(図9に示した印圧範囲パターンII参照)となるようにそれぞれ形成されている。
係止部材60は、紙面奥側の前記筐体側板に植設された支軸61の周りに揺動自在に支持されていて、その一端部には前記した印圧アーム22の切欠22bと選択的に係合する係合爪60aが形成されている。係止部材60の他端部には、係合爪60aを印圧アーム22の切欠22bに常に係合する向きに付勢する引張ばね63の一端が係止されている。引張ばね63の他端は、紙面奥側の前記筐体側板側に係止されている。また、係止部材60の他端部における引張ばね63の配置部と対向する側には、紙面奥側の前記筐体側板に図示しない不動部材としてのブラケットを介して固着されたソレノイド62のプランジャ62aがピンを介して連結されている。ソレノイド62は、プル型を用いている。
ソレノイド62は、後述する制御装置100によりオン/オフ制御される。制御装置100によるソレノイド62のオン/オフの切り換え制御によって、印圧アーム22を保持する状態とこの保持を解除する状態とに選択的に切り換えられる。ソレノイド62は、後述するように、カムフォロア241が多段カム243の大径部と当接した状態でオン作動される(図2参照)。
片面印刷を含む通常印刷時用の印圧範囲パターンは、パターンIIIのようになっている。すなわち、印圧範囲パターンIIIは、表面製版画像8Aの領域部分から中間未製版領域8Cを経て続けて裏面製版画像8Bの領域部分に亘って印圧を付与することにより、製版済みマスタ8Yの片面製版画像8YAに用紙36を連続して押し付けて印刷されるように、図14に示す制御装置100からの指令により印圧範囲可変手段28が作動することによってカム板243Aが選択され、カム板243Aの小径部がカムフォロア241に対向するように回転駆動される。
裏面印刷時には、印圧範囲パターンIIのようになっていて、制御装置100からの指令により印圧範囲可変手段28が作動することによってカム板243Cが選択され、始めの表面製版画像8Aの領域部分では印圧が解除されるように、カム板243Cの大径部がカムフォロア241に対向するように、次いで、カム板243Cの小径部がカムフォロア241に対向するように回転駆動される。
印圧範囲可変手段28は、上述したような特許文献7の図2および図4等に示された多段カム(43)、段差カム(49)およびプレスローラー接離機構(55)と同様の構成に限らず、例えば特開2003−237030号公報の図1ないし図4に示されている緊急押圧解除手段(79)を応用したもの等でも構わない。
図14において、排紙部19における剥離ファン171の前記ファン駆動モータ、排紙ベルト駆動モータ153、吸引ファン159の前記ファン駆動モータを含む排紙部19の制御対象駆動手段を総括的に排紙駆動手段127とする。
解除レバー上82、解除レバー下83は、板状部材で形成されている。なお、突起81cは、挟持台81fと一体的に形成したものに限らず、案内溝88の内壁上を摩擦抵抗少なく転動可能なコロで構成してもよい。
なお、移動ガイド81の前記各構成要素における表面印刷済み用紙36aと接触する部位は、帯電防止作用のある金属材料で形成したり、帯電防止作用のある蒸着処理あるいはメッキ処理等を施したりすることがより好ましい。
上述の構成のとおり、駆動モータ94の正逆転駆動により駆動力伝達手段を介して、移動ガイド81が、表面印刷済み用紙36aの先端を挟持する図3、図7および図8に実線で示す、印刷部16の近傍である移動位置P1(第1の位置)と、移動位置P1よりも低い再給紙手段45の上流側近傍(再給紙搬送装置104の搬送ローラ107の後部上方近傍)であって表面印刷済み用紙36aの先端を開放する図1および図2に実線で、図7および図8に二点鎖線で示す初期位置または待機位置(第2の位置)とを選択的に占めるべく往復動する。駆動プーリ90の近傍には、移動ガイド81がホームポジションP2(初期位置P2)である第2の位置を占めたときにこれを検知するホームポジションセンサ85が配設されている。
図14において、排版部17の前記排版モータ、前記移動手段、前記昇降モータを含む排版部17の制御対象駆動手段を総括的に排版駆動手段126とする。
レジストローラ対31と給紙ローラ33および分離部材34との間の給紙路上には、用紙36の厚みを検知する用紙種類検知手段としての紙厚センサ79が配設される。紙厚センサ79は、便宜的に本実施形態で説明したが、後述する変形例等で使用されるものであり、以下、本実施形態では配設されていないものとして説明する。
給紙トレイ35の下部近傍には、給送される用紙36の長さを検知する用紙長さサイズ検知センサ117a,117b,117c(共に反射型の光学センサからなる)および給送される用紙36の図において紙面の手前側および奥側の用紙幅を検知する図示しない用紙幅サイズ検知センサ(例えば一対のサイドフェンスの用紙幅方向への移動と連動して用紙幅を検知する透過型の光学センサからなる)が配設されている。用紙長さサイズ検知センサ117a,117b,117cおよび前記用紙幅サイズ検知センサによって、給送される用紙36のサイズが検知され、以下、これらを用紙サイズ検知センサ117と総称する。
レジストローラ下31bの下方には、レジストローラ対31を回転駆動するレジスト駆動手段としてのレジストモータ41が前記筐体側板に固定して設けられている。レジストモータ41は、例えばステッピングモータからなり、その出力軸には歯付きのレジストモータプーリ42が固設されている。レジストローラプーリ43とレジストモータプーリ42との間には、歯付きのレジストモータベルト44が掛け渡されている。これにより、レジストローラ下31bとレジストモータ41とはレジストモータベルト44を介して回転駆動力伝達関係にある。
図14において、給紙部30の前記給紙トレイ昇降モータ、給紙モータ37、レジストモータ41を含む給紙部30の制御対象駆動手段を総括的に給紙駆動手段125とする。
原稿搬送ローラ対136、原稿搬送ローラ137および原稿搬送ベルト140は、図示しない原稿搬送モータによって駆動される。スキャナ装置132には、スキャナ装置132を駆動するスキャナモータ(図示せず)が配設されている。画像センサ147は受光した反射光に対応して光電変換をし、これにより得られた画像信号を前記A/D変換部に入力する。
図14において、画像読取部18の前記スキャナモータ、前記原稿搬送モータを含む画像読取部18の制御対象駆動手段を総括的に読取駆動手段128とする。
印刷速度設定キー183は、印刷動作に先立って印刷速度を設定する際に押下され、濃いめの画像を得たい場合あるいは雰囲気温度が低い場合等には印刷速度を遅く、薄めの画像を得たい場合あるいは雰囲気温度が高い場合等には印刷速度を速く設定する。
薄紙としては更紙や上質45kg紙等があり、普通紙(標準紙)としては複写用紙、中質紙、上質55kg紙、再生紙、孔版上質紙等がある。厚紙としては画用紙、葉書(ハガキ)、封筒、上質135kg紙、上質180kg紙等がある。
用紙種類設定手段は、上記各キーの組み合わせに限らず、例えば選択設定すべき用紙種類に対応した数のキーを配設したり、あるいは前記した選択設定キー190a〜190dにその機能を分担させて設定可能にしたりしてもよい。
用紙36が軽量で薄手の場合は、搬送ベルト108の搬送停止タイミングも早くなるように設定され、逆に重量が有る厚紙等の用紙36の場合は、搬送ベルト108に対する滑りを見越して搬送速度を早めると共に、搬送停止タイミングも遅れる方向に設定される。
なお、ROM102の他に、プログラム可能なPROMなどの記憶手段を配設することにより、例えば設計変更等に対応可能なように必要に応じて前記関係データを書き込めるようにすることなども勿論可能である。
RAM103は、CPU101の計算結果を一時的に記憶する機能、操作パネル173上の各種キーおよび各種センサから設定および入力されたデータ信号およびオン/オフ信号を随時記憶する機能等を有している。
制御装置100は、用紙種類に応じて、再給紙搬送装置104の搬送ベルト108の搬送速度を変えると共に、表面印刷済み用紙36aの先端のストッパ部材53への当接(接触)後における搬送ベルト108の搬送停止タイミングを変える制御手段としての機能を有する。再給紙搬送装置104の搬送ベルト108の搬送動作には、用紙36aがストッパ部材53に当接するまでの搬送と、用紙がストッパ部材からはずされて再給紙を開始するときの搬送があり、それぞれの搬送速度に対して、用紙種類に応じた速度設定をしてもよい。
換言すれば、制御装置100は、用紙種類設定キー186、エンターキー180および4方向キー184で選択設定された用紙種類に応じて、再給紙搬送装置104の搬送ベルト108の搬送速度が変わるようにベルト駆動モータ105を制御すると共に、表面印刷済み用紙36aの先端のストッパ面53aへの当接後における搬送ベルト108の搬送停止タイミングが変わるようにベルト駆動モータ105を制御する制御手段としての機能を有する。
まず、片面印刷モードを設定して片面印刷を行う動作例1について説明する。動作例1は、従来の孔版印刷装置により片面印刷を行う動作とほぼ同様であり、また特許文献7等で開示した片面印刷を行う動作と実質的に同様であるため、簡単に説明する。片面印刷動作では、印圧範囲パターンIIIが使用され、印圧範囲可変手段28の構成要素のうち通常印刷用のカム板243Aが選択されて使用される。動作例1では各動作を理解しやすくするために、マスタサイズとしてA3のものが、原稿サイズおよび用紙サイズとしてそれぞれA3サイズのものが用いられるものとする。
ユーザは給紙トレイ35上に印刷に使用される用紙サイズとしてA3サイズの用紙36を積載し、圧板142を開放してコンタクトガラス135上に印刷すべきA3サイズの原稿を載置した後、再び圧板142を閉じる。その後、操作パネル173上の各種キーによって製版条件を設定した後、片面印刷キー188を押下して片面印刷モードを設定する。
片面印刷モード設定状態においては、切換ガイド46はホームポジションである図1等に示す第1の変位位置(初期位置)に停止保持されている。製版スタートキー174が押下されてスタート信号が生成され、これが制御装置100に入力されると、排版から排紙に亘る一連の動作が自動的に行われる。これに先後して、前記給紙トレイ昇降モータがオンすることにより給紙トレイ35が上昇して、最上の用紙36が給紙ローラ33に当接することにより、図示しない給紙位置検知センサのオン検知によって最上の用紙36が給紙可能な状態になったことが制御装置100により判断されると、給紙装置30では給紙待機状態となる。
前記排版動作と並行して、画像読取部18での原稿画像の読取動作が行われる。原稿画像の読み取りは、蛍光灯145によって照明された反射光を各反射ミラー143,144によって反射することにより行われ、読み取られた原稿画像に係る反射光はレンズ146で集束された後に画像センサ147に入射されて光電変換される。光電変換された電気信号は本体フレーム130内の図示しない前記A/D変換部に入力された後、図示しない製版制御装置(制御装置100の中に配設されていてもよい)を経由して図示しないサーマルヘッド駆動回路に送信される。
製版済みマスタ8Yの先端部のクランプ後、メインモータ20の回転駆動により版胴1がマスタ搬送速度とほぼ同じ周速度で回転を再開して、製版済みマスタ8Yがプラテンローラ9および搬送ローラ対13により搬送されて版胴1の外周面へ巻装されるべく給版される。マスタ搬送モータ10の所定ステップ数の回転駆動により、マスタ8への製版および設定量の製版済みマスタ8Yの搬送が終了したと判断されると、カッタ12が作動して製版済みマスタ8Yが切断されると共に、マスタ搬送モータ10の回転駆動が停止されることによりプラテンローラ9および搬送ローラ対13の回転が停止する。切断された製版済みマスタ8Yの後端が、版胴1の回転によって製版部15内から引き出され、版胴1の外周面に完全に巻き取られた段階で版胴1への製版済みマスタ8Yの巻装が終了することにより、給版動作が終了する。
次いで、版胴1が図1における矢印方向にさらに回転して、レジスト開始用遮光板122が給紙レジストセンサ120と係合することにより、給紙レジストセンサ120がオンしてレジストスタート信号が生成され、この信号がトリガとなってレジストモータ41が起動する。このレジストモータ41が起動するタイミング、換言すればレジストローラ下31bが回転駆動されるタイミングは、版胴1上に巻装された製版済みマスタ8Yの版胴回転方向における片面製版画像8YAの画像領域先端部がプレスローラ21と対応する位置に到達する所定のタイミングになるように設定されている。
次いで、レジストローラ対31により給送された用紙36先端の進入が正常に行われ、すなわち用紙36の先端が、前記タイマで計時される所定の時間内(あるいはレジストモータ41に供給される所定のパルス数内)に用紙検知センサ32によってオン検知されることによって、この信号が制御装置100に入力される。この用紙検知センサ32からの用紙36先端の検知信号および版胴位置検知センサ29からの版胴1の回転位置情報に基づいて、制御装置100は係止手段64のソレノイド62に通電をさせる指令信号を出力することにより、ソレノイド62がオンすることで印圧範囲可変手段28のカム板243Aを作動させる。
なお、版胴1が図1中矢印方向に回転して、クランパ7が版胴1に圧接しているプレスローラ21の近傍に至ると、版胴1の回転と同期して回転駆動されていたカム板243Aが、その大径部周面をカムフォロア241の外周面に当接する位置に回転させているので、プレスローラ21は版胴1の外周面から外側へ突出しているクランパ7から離間することとなり、プレスローラ21とクランパ7部位との干渉が避けられる。
また、給紙ないしは版付け中において、プラテンローラ9および搬送ローラ対13が回転を再開して、切断されたマスタ8の先端が搬送ローラ対13のニップ部に向けて送り込まれる。マスタ搬送モータ10のパルス数から、切断されたマスタ8の先端が搬送ローラ対13のニップ部に届き挟持されたと判断されると、プラテンローラ9および搬送ローラ対13の回転が停止し、次の製版に備えた製版待機状態になる。
次に、両面印刷モードを設定して両面印刷を行う動作例2について説明する。動作例2は、図9に示した全ての印圧範囲パターンI、II、IIIが使用される。そのため、印圧範囲可変手段28の構成要素をなす多段カム243の3つのカム板243A、243B、243Cの全てが使用される。動作例2では、各動作を理解しやすくするために、マスタサイズとしてA3のものが、原稿サイズおよび用紙サイズとしてそれぞれA4サイズのものが用いられるものとする。以下、動作例1と相違する点を中心に説明する。
原稿サイズと用紙サイズとを比較した結果、両サイズが同じ場合には直ちに画像読取動作が行われ、両サイズが異なる場合には、制御装置100はその旨を表示装置190に警告として表示してユーザに注意を促す。用紙サイズがA4縦置きを超える大きさの場合には、制御装置100は両面印刷動作を禁止して片面印刷を促す旨の表示を表示装置190にさせる。
そして、分割製版済みマスタ8Xの先端部がマスタガイド板14に案内されてステージ6に対して拡開しているクランパ7の間に挿入され、マスタ搬送モータ10のステップ数が或る設定値に達し、分割製版済みマスタ8Xの先端部がステージ6とクランパ7との間に届いたと判断されると、前記開閉装置によりクランパ7が閉じられ、分割製版済みマスタ8Xの先端部がステージ6とクランパ7との間に吸着・挟持される。
なお、原稿画像の読取動作および画像データの入力動作は、上述した例に限らず、例えばADF148を使用して原稿133をコンタクトガラス135上に自動的に搬送する例、あるいは図示しない外部装置から画像データを取り込むようにしてもよい。
前記した版胴1への分割製版済みマスタ8Xの巻装が完了すると、版胴1が所定の周速度(通常、版付け用の低速度)で図3に示す矢印方向に回転し始めることにより、版付けのための給紙・印刷工程が開始される。動作例1と同様に、用紙検知センサ32により用紙36の先端がオン検知されるまでは、係止手段64のソレノイド62がオフされたままに制御されているため印圧範囲可変手段28は非作動状態にあり、これによりプレスローラ21は非印刷位置で保持されている。
こうして送り出された用紙36の先端がレジストローラ対31のニップ部で当接した後、用紙36の先端部に所定の湾曲した撓みが形成された状態で保持される。次いで、版胴1が図1における矢印方向にさらに回転して、レジスト開始用遮光板122が給紙レジストセンサ120と係合することにより、動作例1と同様にして、レジストモータ41が起動し、レジストローラ対31のニップ部で当接して待機していた用紙36の先端が所定のタイミングを取られたレジストローラ対31の回転によって、版胴1とプレスローラ21との間に向けて送り出される。この時、動作例1と同様に、レジストローラ対31により給送された用紙36先端の進入が用紙検知センサ32によって正常に検知される。
上述したように版胴1上の分割製版済みマスタ8Xにおける表面製版画像8Aに対応した版付け印刷が終了した後、プレスローラ21は非印刷位置を占めた初期位置状態に復帰・保持されており、次の給紙に備えた給紙待機状態にある。
この際、再給紙搬送装置104の作動によって表面印刷済み用紙36aの後部が吸着保持された後に、クランプ爪81bの自由端と挟持台81fの上面との間から表面印刷済み用紙36aの先端部を開放するようにした方が当該用紙36aの暴れが少なく同用紙36aの位置精度が向上し、その後の印刷位置ずれを最小に保つ上では望ましい。
表面印刷済み用紙36aの後端が切換ガイド46を通り過ぎた頃にソレノイド47がオフされることで、前記引張ばねの付勢力によって切換ガイド46が図1に実線で示すように軸47aを中心として時計回りに揺動されて第1の変位位置(初期位置)に復帰して停止するように制御される。
基本的には用紙36a先端部とストッパ面53aとの当接が解除された時点以後で、用紙36aが移動を開始したときが望ましい。このタイミングは、再給紙レジストローラ51の動作指令信号から装置固有の所定時間経過後であることが実験によって知ることができる。あるいは、再給紙レジストローラ51が用紙36aを介してプレスローラ21に当接したことを検知する検知手段を配置して、該検知手段の出力を用いて搬送ベルト108の駆動を開始してもよい。当接したことの検知手段としては、再給紙レジストローラ51の位置を検知するセンサを設ける。例えば、図5に符号71aで示す光学センサによって、揺動アーム71の一部を検知させ、再給紙レジストローラ51がプレスローラ21に当接する位置まで来るとセンサ出力が出るように調整しておく。
図16および図17は搬送ベルト108の駆動立ち上がり速度を示す線図で、図16は理想の状態を示す模式図、図17は実際に生ずる速度を示す模式図である。両図において太い実線がベルト速度を概念的に示している。
印刷速度が小さい16rpmや60rpmという低速の場合、グラフに表示するほどの遅れもなく目標速度に達する。
印刷速度が大きい90rpmや120rpmという高速の場合、この例では、60rpmまではほぼ瞬時に立ち上がるものの、そこから先は目標速度に達するまでほぼ一定の加速度で速度が上昇する。そのため、印刷速度が高速の場合、再給紙レジストローラ51とプレスローラ21の当接の瞬間に搬送ベルトの駆動をかけたのでは、用紙36aの移動速度に追いつかないことになる。そこで、再給紙レジストローラ51とプレスローラ21の当接の瞬間に搬送ベルトの速度が丁度目標速度になるように、それぞれの印刷速度に固有の所定の時間だけ早めにモータの起動を行うようにする。
本実施形態では、再給紙レジストローラ51をプレスローラ21に当接させるためのソレノイド73に対する動作指令信号から、実際に上記当接が行われるまでの遅れ時間は、多少のばらつきはあるものの、およそ50msであることが分かっている。したがって、印刷速度が高速の場合は、ソレノイド73への動作指令信号を基準として利用するとよい。印刷速度が120rpmの場合なら、ソレノイド73への動作指令信号が出たとき、上記基準から25ms遅らせて、すなわち、25msのタイムラグを持たせて搬送ベルト108を駆動させ、印刷速度が90rpmの場合は、ソレノイド73への動作指令信号が出たあと、約38msのタイムラグを持たせてから搬送ベルト108を駆動させる。それによって、用紙36aが移動開始する瞬間には搬送ベルト108が版胴1の周速度と同じ速度で移動する状態になっている。なお、早めに搬送ベルトを駆動させても、用紙36aはまだストッパ53により止められているので移動を開始することはない。
ソレノイド73の動作遅れ時間50msのばらつき分は、±20%よりは十分小さいので、このような方法を採用しても問題は生じない。
以上の説明では、搬送ベルト108の立ち上がり遅れ時間が無視できる範囲として60rpm以下の例を挙げて説明したが、実際に用いられるステッピングモータの種類、ベルト駆動機構の構成等によって、その範囲は変化する。したがって、再給紙レジストローラ51がプレスローラ21に当接したことを検知したときに駆動開始することができるのは、搬送ベルト108の駆動立ち上がり遅れ時間が無視できる印刷速度の場合である。
また、ソレノイド73への動作指令信号が出たあとの、搬送ベルト108を駆動させるまでのタイムラグも構成により異なるので、実際の構成によって実測した値を用いることになる。
一方、プレスローラ21が版胴1の外周面に当接した時点より版胴1がほぼ4分の3周し、カム板243Cの大径部周面とカムフォロア241とが接する時点では、動作例1と同様の詳細動作を介して、プレスローラ21が版胴1の外周面から離れた非印刷位置に復帰して保持されると共に、版胴1は再びホームポジションまで回転して停止し、版付け動作を終えて両面孔版印刷装置300は次の正規の両面印刷のための印刷待機状態となる。
第1に、両面孔版印刷装置300を構成していて直接的に給紙、再給紙、表面印刷、裏面印刷および排紙等の各動作に係る前記各部・装置の駆動が、印刷速度設定キー183で設定された印刷速度または自動的に設定された標準印刷速度に対応して駆動される点が挙げられる。
第4に、通常の正規の両面印刷動作は、版付け時の両面印刷動作と比較して、前記したように版付け印刷に用いられた用紙36の枚数が正規の通常の印刷枚数としてカウントされない点が挙げられる。
また、本実施形態によれば、上述した利点・効果を奏することは元より、上記特許文献7ないし9における両面印刷装置(1)と同様に、無駄なマスタを用いることなく片面印刷を行うことができると共に両面印刷時には印刷画像濃度ムラや印刷画像濃度差の無い画質良好な印刷物を安価かつ容易に得ることができ、さらに設置スペースの増大を抑制することができる新しい1版胴1押圧手段両面印刷方式の1工程両面印刷装置を提供するものである。
図15に、図1〜図14に示した第1の実施形態の変形例1を示す。
変形例1は、操作パネル173に配設された用紙種類設定手段を構成する用紙種類設定キー186を除去した操作パネル173Aを有する点、用紙種類設定手段(用紙種類設定キー186、エンターキー180および4方向キー184)に代えて、図15に示すように用紙種類検知手段としての紙厚センサ79を図1に示す所定の部位に配設した点が主に相違する。
すなわち、変形例1の制御装置100は、表面印刷済み用紙36aの先端がストッパ面53aへの当接までの搬送ベルト108の搬送速度が、紙厚センサ79等で検知された用紙36の厚み等に関する用紙種類に応じて、変わるようにベルト駆動モータ105を制御すると共に、表面印刷済み用紙36aの先端のストッパ面53aへの当接後における搬送ベルト108の搬送停止タイミングが変わるようにベルト駆動モータ105を制御する制御手段としての機能を有する。さらに、制御装置100は、再給紙に際しても、搬送ベルト108の搬送速度を、検出された用紙種類に対応した搬送速度となるようにベルト駆動モータ105を制御する制御手段としての機能を有する。
変形例1の動作は、変形例1の上記構成および上述した第1の実施形態の動作等から当業者であれば容易に実施可能に構成できるためその説明を省略する。
変形例1によれば、用紙36の種類を一々手動で設定する手間を省くことができるという利点・効果を奏する他、第1の実施形態と同様の基本的な利点・効果を奏する。
図15に、図1〜図14に示した第1の実施形態の変形例2を示す。
変形例2は、操作パネル173に配設された用紙種類設定手段(用紙種類設定キー186、エンターキー180および4方向キー184)の他に、これに加えて図15に示す用紙種類検知手段としての紙厚センサ79を有する点が主に相違する。
すなわち、変形例1の制御装置100は、紙厚センサ79で検知された用紙36の厚みに関する用紙種類に応じて、再給紙搬送装置104の搬送ベルト108の搬送速度が変わるようにベルト駆動モータ105を制御すると共に、表面印刷済み用紙36aの先端のストッパ面53aへの当接後における搬送ベルト108の搬送停止タイミングが変わるようにベルト駆動モータ105を制御する制御手段としての機能を有する。
変形例2の動作は、変形例2の上記構成および上述した第1の実施形態の動作等から当業者であれば容易に実施可能に構成できるためその説明を省略する。変形例2によっても、第1の実施形態と同様の基本的な利点・効果を奏する。
第2の実施形態は、図1〜図14に示した第1の実施形態と比較して、第1の実施形態ほどの顕著な上記利点・効果を望まなくてもよいのであれば、第1の実施形態の制御装置100の機能から、用紙種類に応じて、表面印刷済み用紙36aの先端のストッパ部材53への当接後における搬送ベルト108の搬送停止タイミングを変える機能を削除して、用紙種類に応じて、用紙36aの先端がストッパ部材53へ当接するまでの搬送ベルト108の搬送速度を変える機能と、再給紙における搬送ベルト108の搬送速度を変える機能だけを有する制御手段としての図示しない制御装置の構成であってもよい。
第2の実施形態の動作は、上述した第1の実施形態の動作等から当業者であれば容易に実施可能に構成できるためその説明を省略する。また、変形例1または2を第2の実施形態に適用して実施することも、当業者であれば容易に実施できるためその説明を省略する。
第3の実施形態は、図1〜図14に示した第1の実施形態と比較して、第1の実施形態ほどの顕著な上記利点・効果を望まなくてもよいのであれば、第1の実施形態の制御装置100の機能から、用紙種類に応じて、用紙36aの先端がストッパ部材53へ当接するまでの搬送ベルト108の搬送速度を変える機能を削除して、用紙種類に応じて、表面印刷済み用紙36aの先端のストッパ部材53への当接後における搬送ベルト108の搬送停止タイミングを変える機能と、再給紙における搬送ベルト108の搬送速度を変える機能だけを有する制御手段としての図示しない制御装置の構成であってもよい。
第3の実施形態の動作は、上述した第1の実施形態の動作等から当業者であれば容易に実施可能に構成できるためその説明を省略する。また、変形例1または2を第3の実施形態に適用して実施することも、当業者であれば容易に実施できるためその説明を省略する。
以上述べたとおり、本発明を特定の実施形態および変形例等について説明したが、本発明が開示する技術的範囲は、上述した実施形態および変形例等に例示されているものに限定されるものではなく、それらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や変形例あるいは実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
8 マスタ
8A 第1の製版画像としての表面製版画像
8B 第2の製版画像としての裏面製版画像
8C 中間未製版領域
8X 分割製版済みマスタ
8Y 製版済みマスタ
8YA 片面製版画像
11 製版手段としてのサーマルヘッド
15 製版部
16 印刷部
16a ニップ部
17 排版部
18 画像読取部
19 排紙部
21 プレスローラ(押圧手段)
28 印圧範囲可変手段
30 給紙部
36 用紙(シート状記録媒体の一例)
36a 表面印刷済み用紙
36b 両面印刷済み用紙
36c 片面印刷済み用紙
45 再給紙手段
46 切換ガイド(切換手段)
48 再給紙部
50 ローラガイド板(再給紙案内手段・再給紙案内部材)
51 再給紙レジストローラ(再給紙レジスト手段・再給紙レジスト部材)
52 再給紙センサ(表面印刷済み用紙検知手段)
53 ストッパ部材(再給紙停止手段・再給紙停止部材)
53a ストッパ面
79 紙厚センサ(用紙種類検知手段)
81 移動ガイド(用紙挟持手段)
81b クランプ爪(挟持部材)
87 移動手段
100 制御手段としての制御装置
101 CPU
102 ROM
104 再給紙搬送装置(再給紙搬送手段)
173,173A 操作パネル
180 エンターキー(用紙種類設定手段)
184 4方向キー(用紙種類設定手段)
186 用紙種類設定キー(用紙種類設定手段)
300 両面印刷装置の一例としての両面孔版印刷装置
X 用紙搬送方向
X1 マスタ搬送方向
Y 用紙幅方向
Claims (10)
- 孔版原紙の送り方向に前後2面に分けてマスタとして製版する製版手段を有する両面孔版印刷装置であって、印刷すべき用紙の表裏を入れ替えて前記2面によりそれぞれ印刷するとき、第1面で印刷された用紙を受け入れて当接保持するストッパを有し前記用紙を搬送する搬送手段と、第2面の印刷時に前記用紙の前記ストッパとの当接を解除するストッパ解除機構とを有し、前記用紙と前記ストッパとの当接を解除し、前記用紙の表裏を反転させながら印刷位置に再給紙する両面孔版印刷装置において、前記搬送手段は、前記ストッパが前記用紙との当接を解除した後に作動されることを特徴とする両面孔版印刷装置。
- 請求項1に記載の両面孔版印刷装置において、前記搬送手段の送り出し搬送速度は、版胴周速度とほぼ同等に設定されていることを特徴とする両面孔版印刷装置。
- 請求項2に記載の両面孔版印刷装置において、前記搬送手段の送り出し搬送速度が前記版胴周速度とほぼ同等の速度に至るまでは、前記版胴周速度に対応させた所定の加速度によって加速することを特徴とする両面孔版印刷装置。
- 孔版原紙の送り方向に前後2面に分けてマスタとして製版する製版手段を有する両面孔版印刷装置であって、印刷すべき用紙の表裏を入れ替えて前記2面にそれぞれ押圧するプレスローラと、第1面で印刷された用紙を受け入れて第2面の印刷時に該用紙の表裏を反転させながら印刷位置に再給紙する搬送手段を有する両面孔版印刷装置において、前記第2面の印刷時に前記用紙を前記プレスローラに当接させるレジストローラを有し、前記搬送手段の送り出し開始は、前記レジストローラの動作指令信号を基準に行われることを特徴とする両面孔版印刷装置。
- 請求項4に記載の両面孔版印刷装置において、前記レジストローラの動作指令信号を基準にした前記搬送手段の送り出し開始タイミングは、版胴の周速度に対応させた所定のタイムラグに設定されていることを特徴とする両面孔版印刷装置。
- 請求項1ないし3のいずれか1つに記載の両面孔版印刷装置において、印刷すべき用紙の表裏を入れ替えて前記2面にそれぞれ押圧するプレスローラと、前記第2面の印刷時に前記用紙を前記プレスローラに当接させるレジストローラを有し、前記搬送手段の送り出し開始は、前記レジストローラの動作指令信号を基準に行われることを特徴とする両面孔版印刷装置。
- 請求項6に記載の両面孔版印刷装置において、前記レジストローラの動作指令信号を基準にした前記搬送手段の送り出し開始タイミングは、前記版胴の周速度に対応させた所定のタイムラグに設定されていることを特徴とする両面孔版印刷装置。
- 孔版原紙の送り方向に前後2面に分けてマスタとして製版する製版手段を有する両面孔版印刷装置であって、印刷すべき用紙の表裏を入れ替えて前記2面にそれぞれ押圧するプレスローラと、第1面で印刷された用紙を受け入れて第2面の印刷時に該用紙の表裏を反転させながら印刷位置に再給紙する搬送手段を有する両面孔版印刷装置において、前記第2面の印刷時に前記用紙を前記プレスローラに当接させるレジストローラと、該レジストローラが前記プレスローラに当接したことを検知する検知手段とを有し、前記搬送手段の駆動立ち上がり時間遅れが無視できる印刷速度の場合は、前記搬送手段の送り出し開始を、前記検知手段が前記レジストローラと前記プレスローラとの当接を検知した後に行うことを特徴とする両面孔版印刷装置。
- 請求項1ないし3のいずれか1つに記載の両面孔版印刷装置において、印刷すべき用紙の表裏を入れ替えて前記2面にそれぞれ押圧するプレスローラと、前記第2面の印刷時に前記用紙を前記プレスローラに当接させるレジストローラと、該レジストローラが前記プレスローラに当接したことを検知するセンサとを有し、前記吸着搬送手段の送り出し開始は、前記センサが前記レジストローラと前記プレスローラに当接したことを検知する検知手段とを有し、前記搬送手段の駆動立ち上がり遅れ時間が無視できる印刷速度の場合は、前記搬送手段の送り出し開始を、前記検知手段が前記レジストローラと前記プレスローラとの当接を検知した後に行うことを特徴とする両面孔版印刷装置。
- 請求項1ないし9のいずれか1つに記載の両面孔版印刷装置において、前記搬送手段は搬送ベルトと吸引ファンを有する吸着搬送手段であることを特徴とする両面孔版印刷装置。
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