JP3210814B2 - 孔版印刷装置 - Google Patents

孔版印刷装置

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JP3210814B2
JP3210814B2 JP25782194A JP25782194A JP3210814B2 JP 3210814 B2 JP3210814 B2 JP 3210814B2 JP 25782194 A JP25782194 A JP 25782194A JP 25782194 A JP25782194 A JP 25782194A JP 3210814 B2 JP3210814 B2 JP 3210814B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、孔版印刷装置に関し、
さらに詳しくは、印刷用紙の両面に印刷を行なえる孔版
印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】印刷装置のひとつに孔版印刷装置があ
る。この孔版印刷装置は、製版によって画像に応じた孔
を形成されている孔版マスタをインキ透過構造を備えた
版胴に捲装し、版胴内に設置されているインキ供給機構
からのインキを浸出させて、版胴に押し付けられる印刷
用紙にインキを転移させることにより画像の印刷を行な
うようになっている。
【0003】上記孔版マスタの製版の方式のひとつにサ
ーマルヘッドの発熱素子を選択的に発熱させて穿孔を形
成する方式がある。この方式は、感熱デジタル孔版印刷
装置に用いられるものであり、この方式では、例えば、
孔版マスタとして、1〜2μm程度の薄い熱可塑性樹脂
フィルムに対して多孔質支持体となる和紙あるいは合成
繊維、若しくはこれら両材料を混紗したものを貼り付け
てラミネート構造としたものを用い、この孔版マスタの
熱可塑性樹脂フィルム面にサーマルヘッドの発熱素子を
当接させるようになっている。発熱素子に当接した孔版
マスタは、移動方向に直角な方向に相当する主走査方向
および移動方向に相当する副走査方向とで原稿読み取り
部での画像読み取り信号に応じて発熱素子を選択的に発
熱させて、画像情報に応じた穿孔が形成される。穿孔形
成が終了した孔版マスタは、版胴表面に捲装されている
樹脂あるいは金属からなるメッシュスクリーンの表面に
一体化されて版胴上に積層される。
【0004】孔版マスタを捲装された版胴に対しては、
給紙装置から印刷用紙が給送され、、この印刷用紙がプ
レスローラによって版胴に向け押圧されることにより、
版胴内からのインキの浸出を介して孔版マスタの内容に
応じた画像が印刷用紙に転写されるようになっている。
【0005】近年、印刷用紙の消費量を少なくして印刷
に要するコストを低減する目的で印刷用紙の両面に印刷
を実施する両面印刷が要望されてきている。このような
両面印刷を行なう場合には、まず、給紙装置から版胴に
向け給送された印刷用紙の一方の面に画像転写を行なっ
た上で印刷用紙を排出し、次いで、排出された印刷用紙
を裏返しにした状態で、再度、給紙装置から版胴に向け
給送して印刷用紙の他方の面に画像転写を行なってい
た。しかし、このような両面印刷方法では、印刷を2回
繰返すことになり、印刷に要する時間が長大化し、さら
には、再給送される印刷用紙の揃え直し等の手間がかか
ることになり、印刷作業が面倒となる問題があった。
【0006】そこで、このような印刷作業性の悪化を防
止するために、2個の版胴を対向させて配置し、その版
胴間に印刷用紙を通過させて印刷用紙の両面に同時印刷
を行なう構造が提案されている(例えば、特開平6ー7
1996号公報)。
【0007】上記公報に記載の構成では、対向する一対
の版胴間を通過することにより両面に同時印刷された印
刷用紙が、吸引しながら移動可能な構成を備えた搬送装
置によって排紙トレイに向け搬送されるようになってい
る。
【0008】一方、印刷に用いられるインキには、イン
ンキの蒸発を抑えた油性インキや油中水型のエマルジョ
ンインキがある。油中水型のエマルジョンインキは、水
と油とを混合して製造されているものであり、オイル中
に水分が分散されているインキである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記した油
中水型のエマルジョンインキを用いて両面印刷する場合
には次のような問題があった。上記のようなインキは、
蒸発しにくいために乾燥するまでの間の時間が長く必要
となる。特に、印刷用紙上に転移したインキの厚さは通
常、数十ミクロンになるので、このインキが乾燥するま
での時間は、インキの浸透性の良い多孔質の印刷用紙で
数秒、インキが浸透しにくいハガキや表面が平滑な印刷
用紙で数分程度の時間が必要になる。このため、印刷を
終えて排紙トレイ上に積載された他の印刷用紙の画像面
にインキが転移する現象が発生しやすくなる。両面を同
時印刷される印刷用紙は、上記したように吸引しながら
移動可能な構成を備えた搬送装置、例えば、吸引装置を
備えた搬送ベルトによって搬送されるが、印刷終了後の
画像が完全に乾燥し終わっていないと、搬送ベルトの表
面にインキが転移し、次に搬送される印刷用紙の画像面
を汚してしまうことにもなる。このような問題を解決す
るために、例えばヒータ等の強制乾燥手段を用いること
も検討されているが、構造の複雑化や急激な乾燥により
インキが印刷用紙中に浸透しない間に水分が欠乏するこ
とによって画像が擦り落ちてしまう現象を招く等の問題
があるために、その手段の採用は望まれていないのが現
状である。
【0010】そこで、孔版マスタの穿孔の大きさを小さ
くしてインキの浸出量を少なくする方法(例えば、特開
平4ー265759号公報)や、版胴に捲装されるメッ
シュスクリーン層を複数段階に設置し、各段階において
メッシュの大きさを異ならせるようにしてインキの浸出
量を抑制する方法(例えば、特公昭63ー59393号
公報)が提案されている。しかし、何れの方法において
も、版胴内からインキを浸出させて印刷用紙上にインキ
を転移させて印刷用紙表面に盛付ける状態が採用されて
いる以上、インキの量が多少減少したとしても印刷用紙
表面でのインキの乾燥に要する時間が必要であり、乾燥
が充分でないと、例えば、連続的な印刷が行なわれた時
にはその乾燥が充分でないことによるインキの転移現象
を防止することが困難となる。
【0011】本発明の目的は、上記従来の孔版印刷装置
における問題に鑑み、印刷用紙に転移するインキ、特に
印刷用紙表面に突出して付着しているインキの乾燥時間
を短縮することにより充分な乾燥を可能にして、印刷後
に排出された際にその印刷用紙を搬送する装置の表面へ
のインキの転移を防止しながら両面印刷を同時に行なえ
る孔版印刷装置を提供することにある。
【0012】本発明の別な目的は、印刷用紙の表裏両面
の表面に突出して付着しているインキに対する乾燥時間
を短縮することで充分な乾燥を可能にして、印刷後に排
出された際に印刷用紙の搬送部およびそれ以前に排出さ
れている印刷用紙の表面へのインキの転移を防止しなが
ら両面印刷を同時に行なえる孔版印刷装置を提供するこ
とにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、請求項1記載の発明は、穿孔された孔版マスタを版
胴に捲装し、上記版胴内部に配置されているインキ供給
機構によりインキを浸出させるとともに、給紙装置によ
り1枚ずつ搬送される印刷用紙を上記版胴に向けて押圧
し、上記印刷用紙に上記版胴の孔部から浸出したインキ
を転移させて上記印刷用紙の両面に画像を転写した後、
上記印刷用紙を排紙トレイに向け排出する孔版印刷装置
において、第1、第2の版胴と、上記第1の版胴および
第2の版胴の間において上記印刷用紙の面のうちで排出
された際にそれ以前に積層されている印刷用紙の上面に
重なる面と対向する位置に配置され、上記各版胴と同じ
周速度で回転する転写胴と、を備え、上記第1の版胴お
よび第2の版胴は、上記転写胴に対してそれぞれ接離自
在に設けられ、上記第1の版胴は上記転写胴と上記印刷
用紙の搬送路をはさんで対峙し、かつ、上記第2の版胴
は上記転写胴に対峙し、給送されてくる上記印刷用紙の
一方の面には上記第1の版胴による画像転写が行なわ
れ、上記印刷用紙の他方の面には上記転写胴による画像
転写が行なわれることを特徴としている。
【0014】請求項2記載の発明は、穿孔された孔版マ
スタを版胴に捲装し、上記版胴内部に配置されているイ
ンキ供給機構によりインキを浸出させるとともに、給紙
装置により1枚ずつ搬送される印刷用紙を上記版胴に向
けて押圧し、上記印刷用紙に上記版胴の孔部から浸出し
たインキを転移させて上記印刷用紙の両面に画像を転写
した後、上記印刷用紙を排紙トレイに向け排出する孔版
印刷装置において、第1、第2の版胴と、上記第1、第
2の版胴にそれぞれ対向して配置され、上記各版胴と同
じ周速度で回転する第1、第2の転写胴と、を備え、上
記第1、第2の版胴は上記第1、第2の転写胴に対して
それぞれ接離自在に設けられ、上記第1、第2の転写胴
は、上記印刷用紙の搬送路をはさんで対峙し、搬送され
る上記印刷用紙に対して接離可能に設けられていること
を特徴としている。
【0015】
【作用】請求項1記載の発明では、版胴から転写胴に転
移しているインキが印刷用紙の表面に盛り付けるのでは
なく、内部に押込まれるようになっている。これによ
り、印刷用紙表面から突出した状態で付着しているイン
キはごく僅かな量しかなく、印刷用紙表面でのインキの
乾燥がきわめて短時間で終了する。請求項2記載の発明
では、第1、第2の転写胴にそれぞれ転移されるインキ
は、印刷用紙の両面に押込まれるので、印刷用紙の表裏
各表面から突出して付着しているインキの量を少なくし
て各表面でのインキの乾燥が早められる。
【0016】
【実施例】以下図面に示した実施例により本発明の詳細
を説明する。
【0017】図1は、本発明に係る孔版印刷装置の第1
実施例の全体構成を説明するための模式図である。第1
実施例は、印刷に用いられる版胴として第1、第2の版
胴が用いられ、そして一方の版胴は転写胴に対向し、印
刷用紙への画像印刷は、印刷用紙の一方の面が第1の版
胴によって、また印刷用紙の他方の面が転写胴によって
それぞれ実施されることを特徴としている。
【0018】図1において、孔版印刷装置1は、大別し
て第1の製版部100、第1の印刷部200、給紙部3
00および排紙部400、第2の製版部500、第2の
印刷部600および転写胴700とで構成されている。
先ず各部について説明する。第1の製版部100は、孔
版マスタ101を有し、この孔版マスタ101として
は、例えば、前記したように、1〜2μm程度の薄い熱
可塑性樹脂フィルムに対して多孔質支持体となる和紙あ
るいは合成繊維、若しくはこれら両材料を混紗したもの
を貼り付けたラミネート構造のものが用いられる。
【0019】孔版マスタ101は、芯材101Aによっ
てロ−ル状に巻かれて順次、繰り出すことができるよう
になっている。ロ−ルから繰り出された孔版マスタ10
1は、サ−マルヘッド102に対してプラテンロ−ラ1
03によって押圧され、サ−マルヘッド102の発熱素
子の選択的な発熱により主走査方向および副走査方向の
領域で穿孔される。この場合の主走査方向は、プラテン
ローラ103の軸方向に相当し、副走査方向は主走査方
向と直角な方向に相当している。このため、プラテンロ
ーラ103は、単に孔版マスタ101をサーマルヘッド
102に向け加圧するだけでなく、孔版マスタ101を
副走査方向に繰り出す向きに回転できるようになってい
る。穿孔処理が終了した孔版マスタ101は、カッタ−
104により必要長さに裁断されガイド部材105を介
して第1の版胴201に向けて搬送される。
【0020】第1の印刷部200は、第1の版胴201
および第1のインキ供給機構202を要部として備えて
いる。第1の版胴201は、回転軸201Aを中心にし
て図示矢印方向に回転可能であり、一部を除いて周面に
多数の穿孔が形成されている。その表面には、例えば合
成繊維からなる薄層のメッシュスクリ−ン(図示され
ず)が取り付けられている。このメッシュスクリーンの
材料としては金属を用いることも可能である。第1の版
胴201の周面で穿孔が形成されていない箇所には、孔
版マスタ101の先端を載置するための磁性体からなる
ステージ203と、このステージ203に対して接離自
在であり、磁石を有する把持部材204が設けられてい
る。この構成により、孔版マスタ101は、その先端を
上記ステージ203上に載置した状態で把持部材204
により挟持されて固定されるようになっている。第1の
インキ供給機構202は、インキローラ205とドクタ
ーローラ206とで主に構成されている。インキローラ
205は、第1の版胴201の回転軸201Aの下方
で、後述する転写胴700と対向する位置に配置され、
図示矢印方向に回転する金属ローラであり、第1の版胴
201の内周面に当接しながら第1の版胴201の周速
度よりも僅かに速い周速度により回転し、ドクターロー
ラ206によって担持両を規定されたインキを第1の版
胴201およびメッシュスクリーンの穿孔内に供給する
ようになっている。ドクターローラ206により担持量
を規定されるインキは、回転軸201Aに形成された吐
出口からインキ溜まり207に滴下させられるようにな
っている。インキローラ205は、後述する転写胴70
0と対向する位置に配置されていることにより、転写胴
700に当接した際の第1の版胴201の変形を防止す
るバックアップローラとして機能するようにもなってい
る。
【0021】第1の版胴201は、図2に示す進退機構
によって印刷用紙Sの搬送路に対して進退可能に動作で
きるようになっている。進退機構は、版胴移動アーム2
06を備えている。版胴移動アーム206は、印刷装置
本体の不動部に支持されている支軸206Aを支点とし
て印刷用紙Sの搬送路に進出する位置とその搬送路から
退避する位置とに揺動することができる部材であり、退
避位置にあるときには揺動側の先端に位置するアームス
トッパ207に係止されるようになっている。アームス
トッパ207は、揺動可能なアームであり、その揺動端
近傍に連結されたアクチュエータ208Aを有するソレ
ノイド208によって版胴移動アーム206の揺動側先
端に対して係脱できるようになっている。ソレノイド2
08は、アクチュエータ208Aとアームストッパ20
7との間に配置されたリターンバネ209によってアー
ムストッパ207を版胴移動アーム206の揺動側先端
に係合させる習性を有し、給紙装置300から繰り出さ
れる印刷用紙Sの搬送方向における第1の版胴201の
上流側に配置されている印刷用紙検出センサPからの信
号によってアームストッパ207を版胴移動アーム20
6の揺動側先端から離し、先端との係合を解除させるこ
とができるようになっている。版胴移動アーム206に
おける揺動端の一部には第1の版胴201の回転軸20
1Aが支持されており、この回転軸201Aと揺動側先
端との間には、アーム206に支持されている軸210
Aにより回転自在に支持されたカムフォロワ210が設
けられている。カムフォロワ210は、印刷装置本体の
不動部において回転自在に設けられている偏心カムで構
成された版胴移動カム211に対面している。版胴移動
カム211は、小径部がカムフォロワ210に対向した
時に第1の版胴201を印刷用紙Sの搬送路に進出さ
せ、大径部がカムフォロワ210に対向した時には第1
の版胴201を印刷用紙Sの搬送路から退避させるとと
もに、版胴移動アーム206の揺動側先端をアームスト
ッパ207に係合させることができる形状に形成されて
いる。なお、図2中、符号212は、版胴移動アーム2
06におけるカムフォロワ210を版胴移動カム211
に当接させる向きに版胴移動アーム206を揺動させる
付勢力を与えるための引張バネを示している。このよう
な構成の進退機構では、次のような動作が行なわれる。
まず、第1の版胴201を印刷用紙Sの搬送路から退避
した位置に設定する場合には、版胴移動カム211の大
径部がカムフォロワ210に対向することにより版胴移
動アーム206がアームストッパ207によって揺動側
先端を係止される。これにより、第1の版胴201は、
版胴移動アーム206に掛けられている引張バネ212
の付勢に抗して印刷用紙Sの搬送路から退避した位置に
保持される。次に、第1の版胴201を印刷用紙Sの搬
送路に進出させる場合には、ソレノイド208がリター
ンバネ209の付勢に抗してアームストッパ207を版
胴移動アーム206の揺動側先端から離し、版胴移動ア
ーム206の係止状態を解除する。版胴移動アーム20
6は、引張バネ212の付勢によりカムフォロワ210
が版胴移動カム211に向け移動する方向に揺動する。
これにより、版胴移動アーム206は、版胴移動カム2
11の小径部にカムフォロワ210が当接することによ
り、第1の版胴201を印刷用紙Sの搬送路に進出させ
る。
【0022】給紙部300は、印刷用紙Sの繰り出しタ
イミングを設定するレジストローラ301を備えてい
る。このレジストローラ301は、図示しない給紙カセ
ットから搬送されてくる印刷用紙Sの先端を係止し、第
1の版胴201上の孔版マスタ101の画像先端部と印
刷用紙Sとの転写位置とを整合させるために設けられて
いる。そして、繰り出された印刷用紙Sは、ガイド部材
302によってインキローラ205に対向する位置に向
け給送されるようになっている。
【0023】排紙部400は、搬送手段400Aと排紙
トレイ400Bとを備えている。搬送手段400Aは、
孔版マスタ101に応じた画像を転写された印刷用紙S
を剥離する剥離爪401Aと吸引搬送装置402Aを備
えている。剥離爪401Aは、第1の版胴201の回転
方向における印刷用紙Sへの画像印刷後に相当する位置
に配置されて印刷用紙Sの剥離部をなす揺動部材であ
り、第1の版胴201の表面から離間した位置と、印刷
用紙Sの先端と第1の版胴201との間に入り込む位置
とに選択的に揺動できるようになっている。なお、図示
しないが、剥離爪401Aによって先端が版胴表面から
離れた印刷用紙Sの印刷面に対してエアブローを行な
い、印刷用紙Sの剥離を助成する構成を設けることも可
能である。
【0024】吸引搬送装置402Aは、版胴201から
剥離された印刷用紙Sを排紙トレイ400Bに向け吸引
保持した状態で搬送するために設けられており、図示し
ない吸引ファンに連結された吸引ボックス404Aと、
搬送ベルト405Aとを備えている。吸引ボックス40
4Aは、剥離爪401Aによって第1の版胴201から
剥離された印刷用紙Sを搬送ベルト405Aに吸引させ
るために設けられている。
【0025】搬送ベルト405Aは、一対のプーリ40
6Aおよび407Aの軸方向に沿って複数掛け渡されて
おり、一方のプーリを駆動側として図示矢印方向に移動
することができるようになっている。次に、第2の製版
部500、第2の印刷部600について説明する。第2
の製版部500および第2の印刷部600は、後述する
転写胴700をはさんで第1の印刷部200における第
1の版胴201と対向する位置に設けられている。第2
の製版部500は、第1の製版部100と同じ構成を備
えており、便宜上、第1の製版部100の説明に用いた
符号のうちの1桁目の数字をそのまま適用して、その詳
細な説明は省く。
【0026】第2の印刷部600は、第1の印刷部20
0と同様に、第2の版胴601とインキ供給機構602
とを主要部として備えている。第2の版胴601は、回
転軸601Aを中心にして図示矢印方向に回転可能であ
り、一部を除いて周面に多数の穿孔が形成されている。
そして、その表面には、例えば合成繊維からなる薄層の
メッシュスクリ−ン(図示されず)が取り付けられてい
る。このメッシュスクリーンの材料としては金属を用い
ることも可能である。第2の版胴601の周面で穿孔が
形成されていない箇所には、孔版マスタ501の先端を
載置するための磁性体からなるステージ603と、この
ステージ603に対して接離自在であり磁石を有する把
持部材604が設けられている。この構成により、孔版
マスタ501は、その先端を上記ステージ603上に載
置した状態で把持部材604により挟持されて固定され
るようになっている。第2のインキ供給機構602は、
インキローラ605とドクターローラ606およびイン
キ供給パイプ607とで主に構成されている。インキロ
ーラ605は、第2の版胴601の回転軸601Aの上
方に位置して図示矢印方向に回転する金属製のローラで
あり、第2の版胴601の内周面に当接しながら第2の
版胴601の周速度よりも僅かに遅い周速度により回転
し、ドクターローラ606によって担持量を規定された
インキを第2の版胴601およびメッシュスクリーンの
穿孔内に供給するようになっている。また、このインキ
ローラ605は、後述する転写胴700と対向する位置
に配置されており、転写胴700に当接した際の第2の
版胴601の変形を防止するバックアップローラとして
機能するようになっている。インキ供給パイプ607
は、本実施例の場合、第2の版胴601の回転軸601
Aと兼用されている中空パイプ内から回転軸601Aの
上方に位置するインキ溜まり部608に向けてインキを
給送するようになっている。インキ溜まり部608は、
インキローラ605とドクターローラ606とで形成さ
れる楔状空間が該当している。このため、インキ供給パ
イプ607は、第2の版胴601の回転軸601Aから
延長され、その末端部が上記インキ溜まり部608に向
けて開口している。インキ溜まり部608に向け供給さ
れるインキとしては、前記した油中水型エマルジョンイ
ンキが用いられる。
【0027】第2の版胴601は、図2に示した構成と
同様な進退機構により転写胴700に対して接離するこ
とができるようになっている。なお、進退機構に関して
は、版胴移動アームに関し、支点位置が版胴移動アーム
をシーソ運動可能な揺動方向を設定できる位置に変更さ
れている点が、図2に示した構成と異なっているが、機
能上、全く同じであるので図2に示した符号をそのまま
用い、その詳細な説明は省く。
【0028】第1の版胴201および第2の版胴601
の間には、転写胴700が配置されている。転写胴70
0は、第1の版胴201に対して印刷用紙Sの搬送路を
はさんで対峙し、第2の版胴601と直接対峙してい
る。つまり、転写胴700は、印刷用紙Sが排出された
時に、その排出された印刷用紙Sの面において、それ以
前に排出されている印刷用紙Sの上面に重なる側に相当
する面と対向する位置に配置されている。転写胴700
は、第1の版胴201における把持部材204が入り込
むことができる凹部を周面の一部に形成されたドラム部
材であり、その凹部以外の周面に合成ゴムからなる弾性
部材が貼着されて、表面にインキが転移できるようにな
っている。また、転写胴700は、第1の版胴201お
よび第2の版胴601と同じ周速度によって図示矢印方
向に回転することができるようになっている。
【0029】転写胴700の近傍には、転写胴700の
周面に接離可能なクリーニングローラ701が配置され
ており、このクリーニングローラ701は、クリーナタ
ンク702内に貯溜されているクリーナ中に一部を浸漬
させて回転可能なクリーナ供給ローラ703に当接して
いる。クリーナは、転写胴700の周面に転移している
油中水型エマルジョンインキを除去するために用いられ
る。
【0030】転写胴700は、第2の版胴601からイ
ンキを転移させられるようになっている。このため、転
写胴700の周面には、第2の版胴601に捲装されて
いる孔版マスタ501に応じた画像が転写されることに
なる。従って、転写胴700に転写された画像は印刷用
紙Sの他方の面に転写されることになるが、この場合の
転写胴700から印刷用紙Sの他方の面に転移するイン
キは、印刷用紙Sの内部に押込まれる。これにより、印
刷用紙Sの他方の面の表面には、盛り付けた状態で転移
する場合と違って、内部への浸透により、表面から突出
した状態で付着しているインキがさほどないことにな
る。また、印刷用紙Sの一方の面には、第1の版胴20
1からの画像が転写される。この場合の第1の版胴20
1から印刷用紙Sの一方の面に転移するインキは、一方
の面の表面に盛りつけられた状態で転移する。
【0031】このように、第1の版胴201と、この印
刷用紙Sの搬送路をはさんで対峙する転写胴700とか
ら画像をそれぞれ転写され、表裏両面に印刷画像が形成
されるにあたり、各面での印刷開始位置を整合させて画
像ずれを起こさないようにすることが印刷品質を損わせ
ないようにするために必要である。そこで、本実施例で
は、印刷用紙Sに対する印刷開始位置の位相を印刷用紙
Sの表裏両面で同じ位置に調整するための天地移動機構
が装備されている。この天地移動機構は、図3に示すよ
うに、第1の版胴201、転写胴700および第2の版
胴601の回転を駆動する歯車群を備えた遊星歯車機構
によって構成されている。なお、上記遊星歯車群は、第
1の版胴201と転写胴700との間および第2の版胴
601と転写胴700との間にそれぞれ設けられている
が、いずれの歯車群も同じ構成であるので、図3におい
ては、第2の版胴601と転写胴700との間の歯車群
についてのみ説明する。第2の版胴601および転写胴
700の回転軸601A、700Aには、第2の版胴ギ
ヤ601Bおよび転写胴ギヤ700Bがそれぞれ一体化
されている。各ギヤのうち、転写胴ギヤ700Bには、
駆動モータM1の出力軸に固定された駆動ギヤ800が
噛み合っており、そして、第2の版胴ギヤ601Bおよ
び転写胴ギヤ700Bには、アイドルギヤ801がそれ
ぞれ噛み合っている。転写胴700は、第2の版胴60
1に設けられているような進退機構がなく、印刷装置本
体の不動部により回転自在に支持されているだけである
ので、駆動ギヤ800が常に噛み合うことができるよう
になっている。アイドルギヤ801は、第2の版胴60
1および転写胴700の各回転軸601A、700Aに
支持されている連結アーム802により第2の版胴ギヤ
601Bおよび転写胴ギヤ700Bの周囲を転動するこ
とができるとともに、連結リンク803によって連動す
ることができるようになっている。連結アーム802の
うち、第2の版胴601側に位置するアーム802に
は、移動ロッド804の一端が連結され、連結アーム8
02を図示された両矢印方向に移動させることができる
ようになっている。このため、連結アーム802が移動
すると、アイドルギヤ801が、第2の版胴ギヤ601
B上で転動することができる。このような歯車群により
構成されている遊星歯車機構においては、隣り合うギヤ
同士の歯数が同じかまたは整数倍の関係に設定されてい
る。前記天地移動機構において印刷位置の位相を調整す
る場合には、移動ロッド804を移動させる。移動ロッ
ド804が移動すると、その移動量に応じて第2の版胴
ギヤ601Bに噛み合っているアイドルギヤ801が転
動し、この転動が連結アーム802を介して転写胴ギヤ
700Bに噛み合っているアイドルギヤ801に伝達さ
れ、このアイドルギヤ801の変位を介して転写胴ギヤ
700Bが回転する。これにより、第2の版胴の印刷開
始位置に対して転写胴700での印刷開始位置を調整す
ることができるので、両者間での印刷開始位置を整合さ
せることが可能になる。なお、第2の版胴601と転写
胴700との間での回転伝達は、アイドルギヤ801同
士およびこのアイドルギヤ801と第2の版胴ギヤ60
1Bとの噛み合いおよびアイドルギヤ801と転写胴ギ
ヤ700Bとの噛み合いを同じ歯が同じ位置で噛み合う
関係に設定することにより、歯数比に応じて、例えば、
1:1であれば常に同じ歯同士が噛み合い、また1:2
あるいは1:3であれば、2回転毎あるいは3回転毎に
同じ歯同士が噛み合うことになり、多少、ギヤの加工精
度等を含む噛み合い精度が悪くても、第2の版胴601
と転写胴700との相対位置関係を変化させないように
することができる。なお、上記天地移動機構は、第1、
第2の版胴201、601と転写胴700との間で個別
に設けて印刷開始位置を異ならせるようにすることも可
能なものである。
【0032】次に作用について説明する。まず、印刷用
紙Sの両面への印刷に先立ち、第1、第2の版胴20
1、601からの排版処理が実施される。この処理工程
では、各版胴201、601上に捲装されていた使用済
みの孔版マスタが図示されない排版装置によって版胴表
面から剥離され、廃棄される。次いで、第1製版部10
0において製版処理が実施される。この処理工程におい
て、サーマルヘッド102の発熱素子に当接した孔版マ
スタ101は、図示されない原稿読み取り部での画像読
み取り信号に応じて選択的に発熱される上記発熱素子に
より、画像情報に応じた穿孔を形成される。なお、この
とき、孔版マスタ101は、第1の版胴201の表面側
からみて鏡像となるように穿孔製版されている。製版処
理が終了した孔版マスタ101は、図示しないステッピ
ングモータを駆動源とする搬送機構によって、第1の版
胴201のステージ203に向け繰り出され、スッテッ
ピングモータのパルス数のカウントを基にした繰り出し
量が制御されることによりステージ203上で把持部材
204により挟持される。この状態において、第1の版
胴201は孔版マスタ101の繰り出し周速度と同じ周
速度で回転し、孔版マスタ101を捲装される。なお、
孔版マスタ101の繰り出し量が所定量に達すると、こ
の状態が、孔版マスタ101の繰り出しに用いられるス
テッピングモータのパルス数によって割出され、カッタ
ー104によって孔版マスタ101の繰り出し方向後端
が裁断される。
【0033】第1の版胴201への孔版マスタ101の
捲装が終了すると、第2の製版部500において孔版マ
スタ501の製版が実施されるとともに、第2の版胴6
01に対する孔版マスタ501の捲装が実施される。第
2の製版部500での製版処理に際しては、第1の製版
部100での製版処理に用いられた原稿が交換され、こ
の原稿に基づき、サーマルヘッド502の発熱素子に当
接した孔版マスタ501は、図示されない原稿読み取り
部での画像読み取り信号に応じて選択的に発熱される上
記発熱素子により、画像情報に応じた穿孔を形成され
る。なお、このとき、孔版マスタ501は、第2の版胴
601の表面側からみて実像となるように穿孔製版され
る。製版された孔版マスタ501は、第1の版胴201
への捲装時と同様に、繰り出しに用いられるステッピン
グモータのパルス数に従って、第2の版胴601のステ
ージ603への繰り出しおよび裁断が実施されて第2の
版胴601上に捲装される。
【0034】第1、第2の版胴201、601への孔版
マスタ101、501の捲装が終了すると、第2の版胴
601と転写胴700との間での転写処理が実施され
る。この処理工程では、第1の版胴201は転写胴70
0に対して当接しないままである一方、第2の版胴60
1が進退機構により転写胴700の表面に当接する。す
なわち、進退機構に装備されているソレノイド208に
よってストッパアーム207が版胴移動アーム206の
揺動側先端から離されると、版胴移動アーム206が引
張バネ212の付勢により揺動し、カムフォロワ210
を版胴移動カム211の小径部に当接する。これによ
り、版胴移動アーム206は、第2の版胴601を転写
胴700に当接する向きに揺動することができる。次
に、転写胴700の表面に当接した第2の版胴601と
転写胴700とが反時計回り方向と時計回り方向とにそ
れぞれ回転することにより、転写胴700への第2の版
胴601からの印刷画像転写が終了すると、給紙部30
0から印刷用紙Sが繰り出される。給紙部300から印
刷用紙Sが繰り出されると、印刷用紙検出センサPによ
ってその状態が検出され、第1の版胴201側の進退機
構により第1の版胴201が印刷用紙Sの搬送路に進出
し、転写胴700に当接する。
【0035】第1の版胴201が転写胴700に当接す
る状態では、転写胴700に対し、第2の版胴601上
に位置する孔版マスタ501の穿孔を介したインキの転
移が終了しているので、印刷用紙Sが第1の版胴201
および転写胴700とで挟持搬送されると、印刷用紙S
の表裏両面に対して同時に画像転写が実施される。な
お、初回の両面印刷時には、印刷後の画像位置を観察
し、画像位置がずれている場合には、前述した天地移動
機構により表裏各面での印刷開始位置が調整される。
【0036】印刷処理された印刷用紙Sは、排紙部40
0に有する剥離爪401Aにより第1の版胴201の表
面から剥離され、搬送手段400Aの吸引搬送装置40
2Aによって排紙トレイ400Bに向け吸引搬送されて
排出される。天地位置の調整が行なわれた後、所定の印
刷枚数の印刷を実行する際には、転写胴700の表面に
当接した第2の版胴601と転写胴700とが反時計回
り方向と時計回り方向とにそれぞれ連続的に回転して転
写胴700への第2の版胴601からの印刷画像転写が
行なわれるとともに、第1の版胴201と転写胴700
との間に給紙部300から印刷用紙Sが所定枚数繰り出
されて各印刷用紙Sの表裏両面に対し同時に画像転写が
実施される。
【0037】転写胴700は、同じ孔版マスタにより印
刷をする場合には、第2の版胴601からの転移したイ
ンキによる画像印刷が終了する度あるいは所定の印刷回
数毎にクリーニングローラ701によって表面をクリー
ニングされる。また、このクリーニングに関しては、新
たな孔版マスタによる印刷処理が実行される場合には、
その前の段階、つまり、前段での孔版マスタによる最終
印刷が終了した時点で実施されること勿論である。
【0038】この実施例においては、印刷用紙Sの表裏
両面に画像を印刷する場合、印刷用紙Sの面のうち、排
出された際にそれ以前に排出されている印刷用紙Sの上
面と重なる側に相当する面に転写されるインキが転写胴
700によって印刷用紙Sの内部に押込まれるので、そ
の面の表面では、そのインキが盛り付けらる場合と違っ
て突出した状態で付着している量がきわめて少ない。こ
のため、表面のインキを乾燥させるために要する時間が
きわめて短時間で済むことになる。これにより、印刷後
排出された印刷用紙Sは、その表面が充分に乾燥した状
態となっているので、排紙部400に持ち来された場合
においても、排紙部400に有する吸引搬送装置402
Aの搬送ベルト405Aの表面にインキが転移するよう
なことがなく、搬送ベルト405Aに次の印刷用紙Sが
搬送される際にベルト表面に転移しているインキを次に
搬送されてくる印刷用紙Sの表面に再転移させて汚して
しまうようなことがない。しかも、排紙トレイ400B
に排出された際、それ以前に排出されている印刷用紙S
の上面に載置された場合でも、この上面に接触する印刷
用紙Sの他方の面からインキが転移するようなことがな
いので、他方の面に印刷された画像が擦り落とされた
り、以前に排出されている印刷用紙Sの上面の表面をイ
ンキの転移により汚したりすることが防止される。転写
胴700は、第1の版胴201に対する背圧部材として
の機能を兼用することができるので、印刷時での構成を
簡略化することができる。
【0039】次に、図4において本発明に係る孔版印刷
装置の第2実施例について説明する。なお、図4におい
て、図1及至図3に示したものと同じ構成部品について
は同符合とし、その詳細な説明は省く。本実施例は、第
1実施例に示した転写胴を第1の版胴側にも設けて印刷
用紙の両面でのインキの乾燥を早めるようにしたことを
特徴としている。図4に示す孔版印刷装置は、図1に示
した転写胴700(仮に、これを第2の転写胴と称す
る)に加え、第1の版胴201側に配置された第1の転
写胴900を備えている。第1の転写胴900および第
2の転写胴700は、印刷用紙Sの搬送路をはさんで対
向配置されて第1、の版胴201および第2の版胴60
1と同じ周速度で回転するようになっており、互に接離
可能に設けられている。このため、第1、第2の転写胴
900、700には、図示しないが、図2において説明
した進退機構がそれぞれ設けられており、印刷用紙検出
センサPからの信号に応じて当接する状態と離間する状
態とを選択されるようになっている。第1、第2の転写
胴900、700には、図示しないが、図3において説
明した天地移動機構と同じ機能を奏する天地移動機構が
装備されており、これによって転写胴同士での印刷開始
位置を整合させることができるようになっている。
【0040】第1、第2の版胴201および601は、
第1、第2の転写胴900、700に対して、図示しな
いが、図1および図2に示した進退機構によりそれぞれ
接離可能に設けられている。なお、転写胴に付設されて
いるクリーニング機構に関しては、第2の転写胴700
のみならず、第1の転写胴900に対しても、図示はし
ていないが付設されている。
【0041】次に作用について説明する。本実施例では
第1の製版装置100および第2の製版装置500が同
じ時期において製版処理を実行される。製版処理工程で
は、発熱素子に当接した孔版マスタ101、501は、
図示されない原稿読み取り部での画像読み取り信号に応
じて選択的に発熱される上記発熱素子により、画像情報
に応じた穿孔がそれぞれ形成される。なお、このとき、
孔版マスタ101、501は、第1の版胴201および
第2の版胴601の表面側からみてそれぞれ実像となる
ように穿孔製版されている。製版処理が終了した孔版マ
スタ101、501は、図示しないステッピングモータ
を駆動源とする搬送機構によって、第1の版胴201、
第2の版胴601のステージ203、603に向け繰り
出され、スッテッピングモータのパルス数のカウントを
基にした繰り出し量が制御されることによりステージ2
03、603上で把持部材204、604により挟持さ
れる。この状態において、第1の版胴201、第2の版
胴601は、孔版マスタ101、501の繰り出し速度
と同じ周速度で回転し、孔版マスタ101、501を捲
装される。なお、孔版マスタ101、501の繰り出し
量が所定量に達すると、この状態が、孔版マスタ10
1、501の繰り出しに用いられるステッピングモータ
のパルス数によって割出され、カッター104、504
によって孔版マスタ101、501の繰り出し方向後端
がそれぞれ裁断される。
【0042】第1の版胴201、第2の版胴601への
孔版マスタ101、501の捲装が終了すると、これら
各版胴201、601が転写胴900、700に対して
それぞれ当接させられて第1、第2の転写胴900、7
00とともに回転され、インキ供給機構202、602
からのインキの供給が行なわれ、孔版マスタ101、5
01を介して第1、第2の転写胴900、700の表面
にインキが滲出して転移する。第1、第2の転写胴90
0、700へのインキの転移が行なわれると給紙部30
0から印刷用紙Sが繰り出され、その過程において印刷
用紙検出センサPにより印刷用紙Sが検出されると、所
定タイミングを以て第1、第2の転写胴900、700
同士が印刷用紙Sの搬送路に図1、図2に示したと同様
な図示しない進退機構により進出し、印刷用紙Sを挟持
搬送する。これにより、印刷用紙Sの表裏両面への画像
の印刷が実行されることになる。
【0043】本実施例においては、第1、第2の各転写
胴900、700から印刷用紙Sの両面に転移するイン
キは、印刷用紙Sの内部に押込まれるので、その面の表
面では、インキが盛り付けらる場合と違って突出した状
態で付着している量がきわめて少ない。このため、表面
のインキを乾燥させるために要する時間がきわめて短時
間で済むことになる。これにより、印刷後排出された印
刷用紙Sは、その表面が充分に乾燥した状態となってい
るので、排出された際にそれ以前に排出されている印刷
用紙Sの上面に載置された場合でも、この上面に接触す
る印刷用紙Sの他方の面からのインキの転移が抑制さ
れ、他方の面に印刷された画像が擦り落とされたり、以
前に排出されている印刷用紙Sの上面の表面を汚したり
することが防止される。さらに、既に排紙部400にお
ける排紙トレイ400B上に排出されている印刷用紙S
の上面から次に排出される印刷用紙Sの他方の面へのイ
ンキの転移も抑制され、次に排出される印刷用紙Sの他
方の面が汚されるようなことが防止される。しかも、排
紙部400での吸引搬送装置402Aの搬送ベルト40
5Aにより吸引搬送される印刷用紙Sは、搬送ベルト4
05Aと対向するその面が充分に乾燥した状態となって
いるので、搬送ベルト405Aの表面へのインキの転移
が防止され、これにより、次に搬送ベルト405Aによ
って搬送される印刷用紙Sの表面へのインキの再転移を
なくして次に搬送される印刷用紙Sの画像面を汚すよう
なことが防止される。
【0044】なお、上記実施例において、印刷用紙Sの
片方の面への印刷のみを行なう場合には、第1または第
2の版胴201、601のうちの一方に製版されない孔
版マスタを捲装して印刷を行なうようにすればよい。図
1に示した第1実施例においては、第1の版胴201に
製版されていない孔版マスタを捲装した場合、図4に示
した第2実施例においては、第1または第2の版胴20
1、601のうちの一方に製版されていない孔版マスタ
を捲装した場合のいずれにおいても、製版された孔版マ
スタを用いて画像を転写された印刷用紙Sの画像面のイ
ンキは、各実施例の場合と同様に、乾燥した状態が得ら
れるので、インキが乾燥した状態で印刷用紙Sの排出が
可能になり、これにより、次に排出される印刷用紙Sの
画像面へのインキの転移が防止されてその画像面を汚す
ようなことが防止される。
【0045】
【発明の効果】以上、説明したように、請求項1記載の
発明によれば、第2の版胴から転写胴に転移しているイ
ンキが印刷用紙の表面に盛り付けられるのではなく、内
部に押込まれるようになっている。これにより、印刷用
紙表面で突出した状態で付着しているインキはごく僅か
な量しかなく、印刷用紙表面でのインキの乾燥をきわめ
て短時間で終了させることができる。従って、排出され
た印刷用紙はその表面のインキが充分に乾燥した状態で
排出されることにより、排紙過程での搬送部材の表面へ
のインキの転移を防止して次に搬送される印刷用紙が搬
送部材の表面に接触した際に印刷用紙の接触面がインキ
により汚されるようなことが防止される。また、排出さ
れた際には、それ以前に排出されている印刷用紙の表面
に接触した際の画像の擦り落ち、さらにはそれ以前に排
出されている印刷用紙の表面への汚れの発生を防止しな
がら両面印刷を行なうことが可能になる。請求項2記載
の発明によれば、第1、第2の転写胴にそれぞれ転移す
るインキは、印刷用紙の両面に押込まれるので、印刷用
紙の表裏各表面で突出した状態で付着しているインキの
量が少なくされるので各表面でのインキの乾燥が早めら
れる。これにより、両面でのインキは充分乾燥した状態
になるので、排出された際に、それ以前に排出されてい
る印刷用紙の上面に載置された場合でも、この上面に接
触する印刷用紙の他方の面からのインキの転移が抑制さ
れ、さらには、次に排出されてくる印刷用紙の他方の面
に接触する印刷用紙の一方の面からのインキの転移も抑
制されるので、以前に排出された印刷用紙の上面をイン
キにより汚すことを防止できるとともに、次に排出され
てくる印刷用紙の画像面に対してもインキにより汚すよ
うなことを防止することを可能にして両面印刷を行なわ
せることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による孔版印刷装置の第1実施例を説明
するための模式図である。
【図2】図1に示した実施例に用いられる版胴の進退機
構の一例の概略構成を説明するための模式図である。
【図3】図1に示した実施例に用いられる天地移動機構
の一例の概略構成を説明するための模式図である。
【図4】本発明に係る孔版印刷装置の第2実施例を説明
するための模式図である。
【符号の説明】
1 孔版印刷装置 100 第1の製版部 101、501 孔版マスタ 200 第1の印刷部 201 第1の版胴 202 第1のインキ供給機構 300 給紙部 400 排紙部 500 第2の製版部 600 第2の印刷部 601 第2の版胴 700 転写胴 900 第1の転写胴
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−135111(JP,A) 特開 平6−71996(JP,A) 特開 平5−318898(JP,A) 特開 平4−59384(JP,A) 実開 昭63−43732(JP,U) 米国特許4509454(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41L 13/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】穿孔された孔版マスタを版胴に捲装し、上
    記版胴内部に配置されているインキ供給機構によりイン
    キを浸出させるとともに、給紙装置により1枚ずつ搬送
    される印刷用紙を上記版胴に向けて押圧し、上記印刷用
    紙に上記版胴の孔部から浸出したインキを転移させて上
    記印刷用紙の両面に画像を転写した後、上記印刷用紙を
    排紙トレイに向け排出する孔版印刷装置において、 第1、第2の版胴と、 上記第1の版胴および第2の版胴の間において上記印刷
    用紙の面のうちで排出された際にそれ以前に積層されて
    いる印刷用紙の上面に重なる面と対向する位置に配置さ
    れ、上記各版胴と同じ周速度で回転する転写胴と、を備
    え、 上記第1の版胴および第2の版胴は、上記転写胴に対し
    てそれぞれ接離自在に設けられ、上記第1の版胴は上記
    転写胴と上記印刷用紙の搬送路をはさんで対峙し、か
    つ、上記第2の版胴は上記転写胴に対峙し、給送されて
    くる上記印刷用紙の一方の面には上記第1の版胴による
    画像転写が行なわれ、上記印刷用紙の他方の面には上記
    転写胴による画像転写が行なわれることを特徴とする孔
    版印刷装置。
  2. 【請求項2】穿孔された孔版マスタを版胴に捲装し、上
    記版胴内部に配置されているインキ供給機構によりイン
    キを浸出させるとともに、給紙装置により1枚ずつ搬送
    される印刷用紙を上記版胴に向けて押圧し、上記印刷用
    紙に上記版胴の孔部から浸出したインキを転移させて上
    記印刷用紙の両面に画像を転写した後、上記印刷用紙を
    排紙トレイに向け排出する孔版印刷装置において、 第1、第2の版胴と、 上記第1、第2の版胴にそれぞれ対向して配置され、上
    記各版胴と同じ周速度で回転する第1、第2の転写胴
    と、を備え、 上記第1、第2の版胴は上記第1、第2の転写胴に対し
    てそれぞれ接離自在に設けられ、上記第1、第2の転写
    胴は、上記印刷用紙の搬送路をはさんで対峙し、搬送さ
    れる上記印刷用紙に対して接離可能に設けられているこ
    とを特徴とする孔版印刷装置。
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JPH08118774A (ja) 1996-05-14

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