JP2002357704A - 光散乱層形成用転写フィルムとそれを用いた光散乱層の形成方法および光散乱膜並びに光散乱反射板 - Google Patents

光散乱層形成用転写フィルムとそれを用いた光散乱層の形成方法および光散乱膜並びに光散乱反射板

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 反射型液晶表示装置などに用いられる光散乱
反射板に好適な光拡散性能を有する光散乱層を非常に簡
便で、安価に製造することができる転写フィルムを提供
する。 【解決手段】 支持体上に順次凹凸を付与した離型層、
透明樹脂層を設けてなる光散乱層形成用転写フィルムの
透明樹脂層を被着体表面に転写し、被着体表面に離型層
の表面形状を映し取った光散乱層を形成する。この光散
乱層上に金属薄膜を設けて光散乱反射板を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は反射型液晶表示装置
などに用いられる光散乱シートまたは光散乱層を有する
反射板を製造するための光散乱層形成用転写フィルム、
およびそれを用いて光散乱層を形成する方法、その方法
により製造された光散乱性を有する光散乱膜及び光散乱
反射板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、フラットパネルディスプレイとし
て最も普及しているカラー液晶表示装置(以下LCD:
Liquid Crystal Display)において、液晶パネルの背面
にバックライトと呼ばれる光源の配置された透過型LC
Dが一般的であった。しかし、近年携帯情報端末(以下
PDA:Personal Digital Assistant)用ディスプレイ
として、また携帯電話用ディスプレイとして、反射型L
CDが市場において急速な勢いで普及している。反射型
LCDは、透過型LCDのバックライトの代わりに、や
はり液晶パネルの背面に反射板を設置することで外光
(周囲からの光)を前面に反射して、これを光源として
表示を行うものである。このため、反射型LCDは透過
型LCDに比べてバックライトがないので、薄くて軽量
であり、また低消費電力であり、PDAや携帯電話など
のモバイル用途に適している。
【0003】従来、反射型LCDはその構成上二枚の偏
光板を使用していたが、偏光板の光吸収による光量損失
でパネルの明るさが乏しかったため、現在は偏光板一枚
と位相差板で表示を行う方式が一般的である。この場
合、液晶相を挟んだ前面基板(カラーフィルターが形成
されている基板)上の観測者側には位相差板、偏光板、
及び光散乱板が設けられている構成となっている。この
光散乱板は光散乱機能を有するものであり、鏡面である
反射板への映り込み防止のため、またパネルに入射した
光に適度の散乱を生じさせて視認性(コントラスト)を
確保するために必要な部材である。
【0004】しかしながら、パネル前面に光散乱板が設
置されるということは、入射光もその表面により散乱さ
れてしまうため、必ずしも視認性を向上できるとは限ら
ず、また入射光量が減少してしまうことから、パネルの
明るさを損なう結果となっていた。また、カラーフィル
ターが前面基板に形成されていることから、入射光がカ
ラーフィルターを通過後、液晶層を通過して反射板で反
射されて再度液晶層、そしてカラーフィルターを通過し
てパネル外部に出て観測者に至る時、観測者の目の位置
により色混ざり、いわゆる視差による画像ボケが発生し
てしまう問題があった。これらのことは、前面基板にカ
ラーフィルター、その上に光散乱板を配置した反射型L
CDでは避けられない問題であった。
【0005】そのため、より高品質な反射型LCDを得
るためには、カラーフィルターを後面基板上に設け、反
射板、光散乱板をできるだけカラーフィルターに近い位
置に設置する方法や、カラーフィルター自身に光散乱性
能を付与させて光散乱板を不要にさせる方法、あるいは
光散乱性を有する反射板を用いる方法などが考えられて
いる。
【0006】光散乱層の形成方法は種々検討されてお
り、例えば感光性高分子樹脂層を基板上に付与し、フォ
トリソにより凹凸を形成させる方法、透明樹脂に微粒子
顔料(有機顔料、無機顔料、あるいは金属フレーク等)
を含有させたものを塗布して凹凸を形成する方法、そし
て二種類以上の透明樹脂を相分離状態で混合させて形成
する方法等が知られている。
【0007】しかし、感光性高分子樹脂を用いるフォト
リソ法では、基板上に感光性高分子樹脂組成物を塗布・
乾燥後、あらかじめ所定のパターンを有したマスクを介
して露光、そして現像処理、リンス処理、ベイク処理を
経てガラス基板上にパターンを形成するため、作業は非
常に繁雑で、行程数が多いことから歩留まり低下の原因
となっていた。品質的にも形成するパターンを考慮しな
いと、最終的な光散乱反射板としての性能において、そ
の表面で作製されたパターンによる光干渉(虹模様)が
発生し、画質が著しく低下してしまう場合がある。な
お、フォトリソ法で使用される感光性高分子樹脂組成物
が高価であったり、また露光装置、現像装置などの製造
装置自身も非常に高価なものであるため、フォトリソ法
による光散乱板の製造では製造コストが高くなってしま
う問題があった。
【0008】また、透明樹脂に微粒子顔料を含有させて
基板上に付与する方法では使用する顔料の種類、形状、
粒径を選択することで表面凹凸をコントロールすること
が可能であり、またフォトリソを使用する方法に比べて
ランダムなパターン形成が可能なため、反射光の光干渉
は発生せずに、高品質の光散乱層を形成するには有効な
方法である。しかし、散乱層表面に顔料が存在するた
め、その上に金属薄膜を形成する場合、その表面に存在
する樹脂部分と顔料部分において形成される金属薄膜の
均一性が劣るため、目標の拡散反射率が得られないこと
がある。
【0009】また、暗所における使用を考慮した半透過
タイプ反射型LCDの場合、暗所ではバックライトを使
用して表示を確認することになるため、パネルの光透過
性が重要になる。光散乱層中に顔料が含有されている
と、バックライトの光を遮ることになり、また、顔料自
身による光吸収のため目標の光透過性を得ることが難し
い。光透過性を目標値まで高めるために金属薄膜を薄く
形成すると、逆に金属薄膜が薄いため拡散反射率が低下
してしまうという問題があった。さらに透明樹脂の相分
離状態を使用して光散乱性能を付与する方法では、その
表面に凹凸はほとんどないため、この上に金属薄膜を形
成すると、その表面は鏡面状態になり光散乱反射効果は
ほとんど発生しなくなる。このため、本来目標である光
散乱反射板は得られない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、反射型液晶表示装置などに用いられる光散乱反射板
の製造方法において、上述のような従来の光散乱層形成
方法における種々の問題点を解決し、良好な光散乱性能
を有する光散乱層を、非常に簡便で、安価に製造するこ
とができる転写フィルムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題は、請求項1に
よれば支持体上に順次凹凸を付与した離型層、透明樹脂
層を設けてなることを特徴とする光散乱層形成用転写フ
ィルムによって達成される。この光散乱層形成用転写フ
ィルムにより、被着体上には所定の表面凹凸を有した透
明樹脂層を付与することができ、しかもこの層は表面凹
凸により光散乱性能を有する。また、上記課題は、請求
項2によれば前記離型層の表面形状が十点平均粗さで
0.2〜2.0μmであり、ヘイズ度が30〜60%で
あることを特徴とする請求項1に記載の光散乱層形成用
転写フィルムによって達成される。このような表面特性
をもった離型層を有する転写フィルムにより目標とする
光散乱性能が得られる。また、上記課題は、請求項3に
よれば前記離型層中に顔料を含有したことを特徴とする
請求項1または請求項2に記載の光散乱層形成用転写フ
ィルムによって達成される。このように離型層中に顔料
を含有することにより離型層表面を目標とする表面形状
で形成することが出来る。また、上記課題は、請求項4
によれば前記離型層中に含有される顔料の平均粒子径が
0.1〜4.0μmであることを特徴とする請求項3に
記載の光散乱層形成用転写フィルムによって達成され
る。このような粒子径をもった顔料を離型層中に含有す
ることにより目標とする表面形状の離型層を形成するこ
とが出来る。また、上記課題は、請求項5によれば前記
離型層において樹脂固形分と顔料固形分の比率が95/
5〜50/50であることを特徴とする請求項3または
請求項4に記載の光散乱層形成用転写フィルムによって
達成される。このように顔料を所定の割合で離型層中に
含有することにより目標とする表面形状と適度な剥離性
が得られる。また、上記課題は、請求項6によれば請求
項1に記載の光散乱層形成用転写フィルムの透明樹脂層
を被着体に加熱、加圧条件下で貼り合わせた後、支持体
および離型層を取り去り、被着体表面に離型層の表面形
状を移し取った透明樹脂層を転写し、被着体表面に光散
乱層を形成することを特徴とする光散乱層の形成方法に
よって達成される。このようにして本発明の光散乱層形
成用転写フィルムを用いて所定の表面形状を有する光散
乱層を簡便で安価に高品質で形成することが出来る。ま
た、上記課題は、請求項7によればあらかじめ80〜1
50℃に加熱した被着体に前記透明樹脂層を付与するこ
とを特徴とする請求項6に記載の光散乱層の形成方法に
よって達成される。被着体をあらかじめ加熱すると転写
性が向上し、透明樹脂層と被着体との密着強度が強くな
り、被着体から透明樹脂層が剥がれ難くなる。また、上
記課題は、請求項8によれば請求項6または請求項7に
記載の光散乱層の形成方法によって形成された光散乱層
の全光線透過率が90%以上、表面形状が十点平均粗さ
で1.0μm以下、そしてヘイズ度が20〜60%であ
ることを特徴とする光散乱膜によって達成される。この
ような特性をもった光散乱膜により目標とする光散乱効
果が得られる。また、上記課題は、請求項9によれば請
求項6または請求項7に記載の光散乱層の形成方法によ
って形成された光散乱層上に金属薄膜を形成したことを
特徴とする光散乱反射板によって達成される。本発明に
よる所定の表面形状を有する光散乱層上に金属薄膜を付
与して得られた光散乱反射板は光散乱性能に優れ、従来
方法で得られる反射板と比べても著しく目標とする光散
乱反射性能を有する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明により提供する光散乱層形
成用転写フィルムは、一例としては図1の構成よりな
る。最も大きな特徴は所定の表面形状を既に形成してあ
る離型層の上に透明樹脂を主成分とした層が形成されて
おり、この透明樹脂層と被着体とを加熱、加圧条件下で
貼り合わせた後、透明樹脂層と離型層の間から透明樹脂
層以外の層を剥ぎ取ることにより、被着体上には透明樹
脂層のみが転写付与できることであり、またこの時、透
明樹脂層表面は、所定の凹凸が付与されている離型層
(マット化離型層)の表面形状を移し取っていることが
大きな特徴である。
【0013】つまり、本発明の光散乱層形成用転写フィ
ルムにより、被着体上には所定の表面凹凸を有した透明
樹脂層を付与することができ、しかもこの層は顔料を含
有しないが、表面凹凸により光散乱性能を有することが
特徴である。
【0014】以下、本発明の光散乱層形成用転写フィル
ムの実施形態について説明する。図1において、1は保
護フィルムであり、透明樹脂層を保護するために設けて
ある。透明樹脂層を被着体に転写する際に剥がしてしま
うので、透明樹脂層から剥離することが可能な程度に疑
似接着していることが必要である。使用可能な基材とし
てはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリ塩化ビニル等のフィルムをそのまま使
用するか、場合によってはこれらのフィルム基材に離型
処理を施して使用することができる。保護フィルムの厚
さは特に制限はないが、10μm厚〜50μm厚が好ま
しい。
【0015】2は透明樹脂層で、感光性を有する樹脂、
あるいは非感光性の樹脂のいずれも使用することが可能
で、場合によっては両者を混合して使用、積層して使用
することもできる。また二種類以上の感光性樹脂を積層
して使用したり、また非感光性樹脂を積層して使用する
こともできる。つまり、被着体に転写付与後、所定の表
面形状が透明樹脂層表面に付与されるが、その後工程で
加熱処理(ベイキング処理)が施される。これにより、
光散乱層の耐溶剤性、表面強度が付与できるのである
が、このとき加熱処理により表面の凹凸がメルトして表
面形状が変化することがある。つまり光散乱特性が変化
してしまうのである。そのため、感光性樹脂を使用して
光照射により表面を硬化させて、加熱処理により表面形
状が変化しないようにするか、あるいは非感光性樹脂で
も加熱処理で表面形状が大きく変化しないものを使用す
るか、場合によっては、感光性樹脂と非感光性樹脂を混
合して使用し、光照射により表面を硬化させるか、また
は感光性樹脂と非感光性樹脂を積層させる構成にして、
表面に現れる方に感光性樹脂を使用して光照射により表
面を硬化させ、被着体に接する方を被着体との接着性を
重視した非感光性樹脂を使用することも有効である。
【0016】透明樹脂層2の塗布量は離型層の表面形状
を移し取れる厚みが必要であり、0.5〜20μm厚が
好ましい。透明樹脂層2として用いることができる感光
性樹脂の具体例を以下に示す。水溶性の感光性樹脂とし
ては、 (1)ゼラチン、フィッシュグルー、アラビアゴム、ポ
リビニルアルコール等の水溶性樹脂と重クロム酸アンモ
ニウム、重クロム酸カリウム、クロム酸アンモニウムと
の組成物。 (2)クエン酸第二鉄アンモニウム、蓚酸第二鉄アンモ
ニウムの如き露光によって第一鉄イオンを与える感光性
第二鉄とゼラチンの如き水溶性樹脂からなる組成物。 (3)ゼラチン、フィッシュグルー、アラビアゴム、ポ
リビニルアルコール、ポリアクリルアミド、カルボキシ
メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の水
溶性樹脂と、p−アミノジフェニルアミン、ベンジン、
ジアニシジン、トルイソジンなどのジアミノ化合物のテ
トラゾニウム塩、またはp−ジアゾジフェニルアミンと
パラホルムアルデヒドを縮合したジアゾ樹脂とからなる
組成物。 (4)p−ジアゾジフェニルアミンの如きジアゾ化合物
とパラホルムアルデヒドを縮合したジアゾ樹脂とからな
る組成物。 (5)4,4'−ジアジドスチルベンゼン、2,2'−ジ
スルホン酸ソーダの如きアジド化合物とポリアクリルア
ミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、
ゼラチン等の水溶性樹脂からなる組成物。 (6)4,4'−ジアジドスチルベンゼン、4,4'−ジ
アジドカルコンなどのアジド化合物の環化ゴムとからな
る組成物。 (7)ナフトキノン−(1,2)−ジアジドスルホン酸
エステル等のキノンジアジド化合物とアルカリ可溶性フ
ェノールホルムアルデヒド樹脂との組成物。 (8)ポリビニルアルコールの桂皮酸エステルのような
分子中に桂皮酸基が導入されたポリマーとニトロアセナ
フテン、1,2−ベンザンスラキノン、ミヒラーズケト
ン等の増感剤からなる組成物。 (9)ポリビニルアルコールにスチルビニリウム基、ス
チルバゾリウム基、スチルキノリウム基等の感光性基を
付加した変性ポリビニルアルコール組成物。 などが使用できる。
【0017】感光性樹脂で溶剤系のものについては、カ
ルボン酸基と不飽和二重結合を有する単量体から得られ
る重合体樹脂、あるいは二種類以上の単量体を共重合さ
せて得られる重合体樹脂に、光重合性モノマー、光重合
性開始剤、溶剤を混合し、必要に応じて界面活性剤を添
加して得た感光性樹脂が挙げられる。
【0018】上記重合体樹脂の具体例としては、カルボ
ン酸基と不飽和二重結合を有する単量体としてアクリル
酸、メタアクリル酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アク
リレートに酸無水物を付加させたもの、そして共重合体
を形成する他の単量体としてメチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アク
リレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェ
ニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)
アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、メトキシエチル(メタ)アクリレート等を挙げるこ
とができ、これらを一種類、または二種類以上を組み合
わせて得た共重合体を挙げることができる。
【0019】光重合性モノマーの具体例としては、二官
能モノマー、三官能モノマー、多官能モノマーがある。
二官能モノマーとしては、トリエチレングリコールジメ
タクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、
トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピ
レングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコー
ルジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレー
トモノステアレート、ネオペンチルグリコールジアクリ
レート等がある。三官能モノマーとしては、トリメチロ
ールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトール
トリアクリレート等がある。多官能モノマーとしては、
ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレー
ト、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペ
ンタエリスリトールテトラアクリレート等がある。
【0020】光重合性モノマーの添加量は特に限定され
ないが、重合体樹脂の固形分と光重合性モノマーの固形
分の比率が90/10〜30/70であることが好まし
い。ここで重合体樹脂量の添加量が多い場合、光重合性
モノマー量が少ないために光重合が不完全になりやす
く、かなり多量の紫外線を照射する必要が出てくるし、
場合によっては光重合しなくなる。また光重合性モノマ
ーの添加量が過剰に多い場合、透明樹脂層の凝集力が低
下するため被着体への転写行程において、転写フィルム
のエッヂ部から透明樹脂のはみ出しが発生したり、支持
体を剥離除去する際に透明樹脂層が凝集破壊を起こすな
どのトラブルが発生することがある。
【0021】また光重合性開始剤としてはトリアジン系
化合物として、2,4,6−トリス(トリクロロメチ
ル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)
−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジ
ン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)
−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−
4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、
2−(4'−メトキシ−1'−ナフチル)4,6−ビス
(トリクロロメチル)−s−トリアジン等、及びこれら
の混合物が使用できる。
【0022】さらに、アセトフェノン系化合物として
は、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェ
ニル)プロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノ
ン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル(4−
ドデシル)プルパン−1−オン、2−ベンジルー2−ジ
メチルアミノー1−(4−モルフォリノフェニル)−ブ
タノンー1等がある。
【0023】ベンゾフェノン系化合物としては、ベンゾ
フェノン、4,4−ジエチルアミノベンゾフェノン、
3,3−ジメチルー4−メトキシベンゾフェノン、o−
ベンゾフェノン安息香酸メチル等がある。チオキサンソ
ン系化合物としては、2,4−ジエチルチオキサンソ
ン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン、2,4−
ジメチルチオキサンソン等がある。イミダゾール系化合
物としては、2−(2,3−ジクロロフェニル)−4,
5−ジフェニルーイミダゾール二量体、2−(2,3−
ジクロロフェニル)−4,5−ビス(3−メトキシフェ
ニル)―イミダゾール二量体があげられる。
【0024】透明樹脂層2に、上記の感光性の樹脂を使
用する場合、被着体に付与後、紫外線照射により光重
合、あるいは光架橋を充分させる。なお場合によっては
被着体に転写後、ベースフィルムを通して露光を実施し
てからベースフィルムを剥がす場合、あるいは転写後、
ベースフィルムを通してプレ露光してからベースフィル
ムを剥がし、その後、充分に光照射させる場合もあり、
透明樹脂層として選択した感光性樹脂の特徴により、最
適な転写付与方法を選ぶことができる。
【0025】また、非感光性の樹脂としては、一般に塗
膜形成樹脂として用いられている樹脂が使用可能であ
り、塗膜形成後無色透明である樹脂が好ましい。例え
ば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル酢酸
ビニル共重合樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポ
リイミド樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。また、
硬化型樹脂の場合、エポキシ系硬化剤、メラミン系硬化
剤、イソシアネート系硬化剤などを使用する熱硬化系が
使用できる。なお、感光性樹脂と非感光性樹脂を1層中
に併用して使用する場合は、相溶性の良いものを選択す
れば、その種類に限定されるものではない。
【0026】3はマット化された離型層であり、表面に
凹凸が付与されている。また、このような表面形状をコ
ントロールするために離型層3中には顔料が含有される
ことが好ましい。離型層3として使用される樹脂は支持
体または支持体上に設けられたクッション層との密着性
が良好であり、かつ透明樹脂層との180ー剥離時の剥
離力が0.8〜10.0g/25mmの範囲(好ましくは1.
0〜5.0g/25mm)となる樹脂、が使用でき、例えばウ
レタン樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂、あるいはこ
れらとの共重合物、混合物等が挙げられる。その他ポリ
ビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、そしてカル
ボキシメチルセルロース等の一般的な水溶性高分子樹脂
も使用できる。
【0027】また離型層3の表面粗さを十点平均粗さで
0.2〜2.0μmになるように、またヘイズ度が30
〜60%となるように形成することが好ましい。離型層
3の表面形状は、そのまま透明樹脂層2を被着体に転写
付与した際の表面形状、つまり光散乱層の表面形状を決
めることになる。この表面形状が光散乱層上に金属薄膜
を形成して光散乱反射板とした時の光散乱性能を左右す
る。十点平均粗さが0.2μm未満であると、全反射光
量に対する正反射光成分が多くなるため充分な光散乱反
射性能が得られなくなる。また十点平均粗さが2.0μ
mを超えると、表面の凹凸が大きいために、金属薄膜の
形成が均一にできなかったり、また金属薄膜上に形成さ
れるカラーフィルター層、オーバーコート層の表面性が
劣るため、透明電極が断線する問題がある。また、十点
平均粗さが0.2〜2.0μmであっても、その表面凹
凸の密度が光散乱性能を左右する。そこで表面凹凸の突
起密度の指標としてヘイズ度の管理が必要である。良好
な光散乱性能を得るためには、ヘイズ度は30〜60%
であることが望ましい。ヘイズ度が30%を下回る状態
では表面の突起密度が疎なため、金属薄膜を形成しても
正反射光成分が多くなり充分な光散乱反射性能は得られ
ない。ヘイズ度が60%を超える状況では、その表面は
当然突起密度が密な状態になるため表面平滑性が劣り、
金属薄膜の形成が不均一になったり、カラーフィルター
層が不均一になり色ムラが発生する原因となる。本発明
では特に離型層の十点平均粗さが0.5〜1.5μm、
ヘイズ度が40〜60%の範囲であることがより好まし
い。なお、十点平均粗さの測定方法に関してはJIS
B 0601、ヘイズ度の測定方法に関してはJIS K
7105に記載されている。
【0028】さて、離型層3を十点平均粗さ0.2〜
2.0μmで作製するには、顔料としては平均粒子径が
0.1〜4.0μmの範囲のものであれば、無機系、有
機系のいずれのものも使用することができる。また、こ
れらの顔料を二種以上混合して使用することもできる。
平均粒子径が0.1μm未満の顔料を使用する場合、離
型層表面を所定の表面形状で形成するためには樹脂成分
を極端に減配する必要があり、この場合表面強度が弱く
なるため顔料の欠落が発生しやすくなる。また、平均粒
子径が4.0μmを超えるものであると、顔料が大きい
ため、十点平均粗さ0.2〜2.0μmで離型層を作製
することが困難となる。樹脂成分の増配によりある程度
のコントロールはできるが、離型層表面の顔料密度が低
下してしまうため、光散乱層の突起密度が疎になること
になり光散乱性能は著しく低下する。本発明では上記平
均粒子径が0.5〜3.5μmの範囲であることが特に
好ましい。
【0029】顔料の具体例としては、酸化珪素、酸化チ
タン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、硫酸バリ
ウム、酸化セリウム、フッ化マグネシウム、フッ化カル
シウムや、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ベンゾグ
アナミン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、シリコン系樹脂
などの顔料が使用できる。このなかでも、特に有機系の
ものは粒度分布の非常に狭いものが得られやすく、均一
な面性を得るために好ましい。
【0030】また、離型層3中の顔料添加量は、離型層
の樹脂固形分と顔料固形分の比率が95/5〜50/5
0であることが望ましいが、前述のごとく使用される樹
脂の種類や顔料の種類、そして粒径などにより最適添加
量を決める必要がある。顔料の添加量が多くなると、離
型性を有する樹脂を使用していても、透明樹脂層と接触
する表面積が増えるために剥離が重くなり、前述の剥離
力範囲0.8〜10.0g/25mmを越える場合がある。な
おこの場合、離型層上に剥離力調整層として離型層で使
用している樹脂、あるいは離型層で使用している樹脂と
良好な剥離性を有する樹脂を表面形状が損なわれない程
度に薄膜で設けることで、剥離力を前述の範囲内にコン
トロールすることも可能である。また、顔料の添加量が
多くなると前述のヘイズ度が60%を超えてしまう場合
が考えられる。なお、本発明では上記比率が90/10
〜60/40であることが特に望ましい。離型層3の厚
さは特に限定されるものではないが、0.5〜5.0g/
m2の乾燥重量が好ましい。
【0031】また、4はクッション層で、透明樹脂層を
被着体に加熱、加圧下で転写する際、被着体の表面に多
少の凹凸があってもエアーの混入がなく確実に転写する
ために設けることが好ましい。また、そのためにはクッ
ション層の厚さはその材料特性にもよるが、5〜50μ
mが好ましい。5μm未満であると、場合によっては転
写不良(エアー混入)の発生することがあるし、また5
0μmを超えると、クッション層が厚いために転写フィ
ルムの熱伝導性が劣り、転写の際に転写ロールからの熱
でクッション層を充分軟化できないため、やはり転写不
良の原因となる場合があるし、転写条件によっては軟化
できても、転写フィルムのエッヂ部からクッション層材
料がはみ出して、転写ロールや被着体表面を汚してしま
うことがある。
【0032】クッション層4の材料としては、熱可塑性
の樹脂が使用でき、例えばエチレンとアクリル酸エステ
ル共重合体のケン化物、スチレンとアクリル酸エステル
共重合体のケン化物、エチレン酢酸ビニル共重合体、低
密度ポリエチレン、エチレンエチルアクリレート共重合
体、スチレンとイソプレン、あるいはブタジエンの共重
合体、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アク
リル系樹脂等があげられる。これらの樹脂を単独で、あ
るいは適当な配合で混合したり、適当な組み合わせで積
層させて使用することができる。また必要であれば、可
塑剤を添加しても良い。
【0033】5の支持体は従来公知のプラスチックフィ
ルムが利用できる。例えばポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、
ポリスチレン、ポリカーボネート、トリアセテート等が
あげられる。特に機械強度に強く、熱安定性に優れたポ
リエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好まし
い。支持体の厚さは特に制限はないが、150μm〜3
5μmが好ましい。これは転写フィルムの製品形態、つ
まりロール状製品に仕上げる時、支持体が150μmを
超える厚さのフィルムの場合では転写フィルムの剛度が
高くなるため、ロール仕上げや既定幅へのスリット作業
でカバーフィルムにウキが発生したり、製品重量が重く
なり既定長にロールが仕上げられない等の、作業上のト
ラブルが発生することがある。また、転写フィルムの熱
伝導性が劣るため、被着体への転写の際に転写温度を高
くするか、転写速度を落とさないと良好な転写が得られ
ないことになり、作業性、経済性の点で好ましくない。
【0034】また35μm未満の厚さではフィルムにシ
ワが入りやすく作業性に劣ったり、あるいはバック層、
クッション層付与時のカールの問題が顕著になり好まし
くない。なお、剥離帯電によるゴミの混入防止のため
に、プラスチックフィルムの面積固有抵抗値は10
8〜10Ωが好ましい。このため、帯電防止処理フィ
ルムを使用するか、又は/及び6の帯電防止層を付与し
たフィルムを支持体として使用することが好ましい。
【0035】次に、上述の構成による図1の光散乱層形
成用転写フィルムの製造方法について説明する。まず帯
電防止処理された、又は/及び裏面に帯電防止層を付与
した支持体上にクッション層を塗設する。クッション層
は樹脂塗布液をロールコート、バーコート、コンマコー
ト、ダイコート、グラビアコートなど公知の塗布方式を
用いて塗布、乾燥して塗設したり、樹脂を溶融させて支
持体と共に共押し出しすることによって塗設することが
できる。支持体との接着性が悪い場合は、支持体上に接
着補助処理(アンカー処理)を施すか、易接着処理され
た支持体を使用しても良い。なお、本発明におけるクッ
ション層を設けた支持体には、支持体自身がクッション
性を有するものも包含されるが、この場合、クッション
層を新たに塗設する必要はない。
【0036】次に離型層をクッション層上に塗設する。
離型層は顔料を含有する離型性樹脂の塗布液をロールコ
ート、バーコート、コンマコート、ダイコート、グラビ
アコートなど公知の塗布方式を用いて塗布、乾燥して塗
設する。塗布液の調製について、粉体である顔料は樹脂
中にダイレクトに添加しても均一な分散状態を得ること
が困難であるため、まず顔料を適当な溶媒中で分散機で
分散するか、あるいはガラスビーズを添加して分散機で
分散する。また必要に応じて分散剤を添加したりするこ
とで顔料分散液を調製してから樹脂中に添加することで
塗布液を調製する。次に離型層上に透明樹脂層を塗設す
る。透明樹脂層もクッション層や離型層の塗設方法と同
様にロールコート、バーコート、コンマコート、ダイコ
ート、グラビアコートなど公知の塗布方式を用いて塗
布、乾燥して塗設することができる。
【0037】最後に透明樹脂層を保護するために保護フ
ィルムを貼合する。貼合は適当な条件の温度、圧力下で
貼合することで、容易に実施することができる。
【0038】以上説明した図1の転写フィルムを用いて
被着体上に所定の表面形状を有する透明樹脂層を付与す
る工程での転写条件について図2を参照しながら説明す
る。まず保護フィルム1を剥離し(図2(a)参照)、
現れた透明樹脂層2と被着体7表面とを貼合させる(同
(b)参照)。貼合は公知のラミネーターを使用し、ラ
ミネーターのロール温度80〜150℃、圧力3〜10
Kg/cm2、速度300〜1500mm/minの条件で実施する
のが実用上好ましい。
【0039】貼合時のロール温度に関して、80℃未満
の貼合温度では透明樹脂層2と被着体7との接着性に劣
り貼合不良の発生することがある。また150℃を超え
る貼合温度では転写フィルムの熱変形によるシワの発生
や転写フィルムのエッヂから溶融したクッション層樹脂
がはみ出して被着体上に残渣として残ったり、ラミネー
ターロールを汚してしまうなどの問題が発生するので好
ましくない。貼合時の圧力に関しては、3Kg/cm2未満の
圧力では貼合力が弱くなり、貼合不良となる可能性が高
くなり、また10Kg/cm2を超える圧力では貼合力は強く
なるものの、ラミネーターロールを痛めたり、転写フィ
ルムの物理的変形によるシワの発生や被着体の破損など
の問題が起きやすくなる。なお、貼合速度は貼合温度や
貼合圧力との兼ね合いがあるものの、300mm/min未満
の速度では生産性の面で実用的ではないし、また150
0mm/minを超える速度では転写フィルムの走行不良が発
生しやすくなったり、被着体、及び転写フィルムの熱伝
導性の点で貼合面の温度が充分高くならないため、貼合
不良の発生することがある。また、被着体7をあらかじ
め80〜150℃に加熱すると転写性は向上し、透明樹
脂層2と被着体7との密着強度が強くなるので、被着体
7から透明樹脂層2が剥がれにくくなり好ましい。80
℃未満の加熱では転写速度にもよるが、充分な効果が得
られにくく、また150℃を超える加熱では転写フィル
ムが被着体7に接触した瞬間の熱変形によりシワが発生
したり、透明樹脂層2が発泡してエアーが発生する場合
がある。本発明では特に90〜130℃の範囲に被着体
を加熱するのが好ましい。
【0040】ラミネーターによる貼合が終了した後、離
型層3と透明樹脂層2間から透明樹脂層2以外の物(支
持体5、クッション層4、離型層3等)を剥離し(同
(c)参照)、被着体7上には透明樹脂層2のみを残す
(同(d)参照)。この透明樹脂層表面は離型層3表面
の凹凸を映し取っており、所定の表面形状を有してい
る。
【0041】次に透明樹脂層2が感光性を有する場合、
必要であれば所定のパターンを有するマスクを介して紫
外線照射するか、あるいは不要であればマスクを介さず
に全面に対して紫外線照射する。その後、現像工程、リ
ンス工程を経てパターニングされた、あるいは全面光硬
化した透明樹脂層を得る。反射板製造のために透明樹脂
層の上に金属膜を蒸着法で作製する場合、蒸着中に透明
樹脂層に熱がかかるため、透明樹脂層中の揮発成分によ
り金属膜が均一に付与できなかったり、透明樹脂層表面
の熱変形により金属膜が均一に付与できないことがあ
る。このため、透明樹脂層を前処理として130〜25
0℃の熱で加熱処理しておくと良い。透明樹脂層が非感
光性の場合、前記の露光、現像工程は不要であるが、硬
化を進めるために、場合によっては130℃以下の温度
で熱処理を施してから前記前処理をおこなっても良い。
【0042】以上のようにして、図1の転写フィルムを
用いて被着体7上に所定の表面形状を有する透明樹脂層
2を形成することができる。なお、得られた透明樹脂層
2はマット化離型層3の表面形状を移し取っており、そ
の表面の凹凸形状のために光散乱性を有する。また、こ
のようにして形成された透明樹脂層(光散乱層)の全光
線透過率が90%以上で、十点平均粗さが1.0μm以
下、ヘイズ度が20〜60%であることが好ましい。光
透過性が低いと半透過タイプ反射型LCDに使用するこ
とが困難になる。また、ヘイズ度が20%を下回る状態
では表面の突起密度が疎であるため、金属薄膜を形成し
ても正反射光成分が多くなり充分な光散乱性能は得られ
ない。ヘイズ度が60%を超える状態では、その表面は
突起密度が密な状態になるため表面平滑性が劣り、金属
薄膜の形成が不均一になったり、また金属薄膜上に形成
されるカラーフィルター層に色ムラが発生したり、オー
バーコート層の表面性が劣る問題が発生する。なお、本
発明では、光散乱層の十点平均粗さが0.5〜1.0μ
m、ヘイズ度が30〜60%の範囲であることが特に望
ましい。
【0043】またこのようにして形成した光散乱層に対
して、表面の凹凸を覆うように金属薄膜8を形成すると
光散乱反射板を作製することができる(同(e)参
照)。金属薄膜はアルミニウム、クロム、ニッケル、パ
ラジウム、銀などが単体で、あるいは複合物のかたちで
形成することができ、金属薄膜形成方法としては蒸着
法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティン
グ法などの公知の方法が採用できる。また、金属薄膜の
厚みは200〜1000Å、好ましくは300〜500
Åの範囲で、目標透過率と目標光散乱性を得ることがで
きる厚みに設定することができる。
【0044】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、請求項1の
発明によれば、所定の表面形状を有する光散乱層を非常
に簡便で、安価に、かつ高品質で製造することができる
という効果を奏する。また、請求項2の発明によれば、
離型層の表面形状が十点平均粗さで0.2〜2.0μm
であり、ヘイズ度が30〜60%である表面特性をもっ
た離型層を有する転写フィルムにより目標とする光散乱
性能を得ることができる。また、請求項3の発明によれ
ば、離型層中に顔料を含有することにより離型層表面を
目標とする表面形状で形成することが出来る。また、請
求項4の発明によれば、平均粒子径が0.1〜4.0μ
mである顔料を離型層中に含有することにより目標とす
る表面形状の離型層を形成することが出来る。また、請
求項5の発明によれば、顔料を所定の割合で離型層中に
含有することにより目標とする表面形状と適度な剥離性
が得られる。また、請求項6の発明によれば、本発明の
光散乱層形成用転写フィルムを用いて所定の表面形状を
有する光散乱層を簡便で安価に高品質で形成することが
出来る。また、請求項7の発明によれば、被着体をあら
かじめ加熱すると転写性が向上し、透明樹脂層と被着体
との密着強度が強くなるので、被着体と透明樹脂層との
剥離を防止できる。また、請求項8によれば、形成され
た光散乱層の全光線透過率が90%以上であり、表面形
状が十点平均粗さで1.0μm以下、そしてヘイズ度が
20〜60%であるような特性をもった光散乱膜により
目標とする光散乱効果が得られる。また、請求項9の発
明によれば、本発明による光散乱層の形成方法によって
形成された光散乱層上に金属薄膜を形成したことで得ら
れた光散乱反射板は光散乱性能に優れ、従来方法で得ら
れる反射板と比べても著しく目標とする光散乱反射性能
を有する。
【0045】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明の特徴とすると
ころをより具体的に説明する。 実施例1 (転写フィルムの製造)支持体として、75μmPET
フィルム(裏面に帯電防止層を付与:面積固有抵抗値1
8Ω)を用い、クッション層は、低密度ポリエチレン
(ミラソンM11P:三井・デュポンポリケミカル株式
会社製)20μmをTダイによる溶融膜で支持体上に付
与した。なおこの時、クーリングロールはミラーロール
を使用して表面平滑性を高めた。
【0046】離型層は透明樹脂層と離型性を有する樹脂
として、テスファイン322(メラミン系樹脂:日立化
成ポリマー株式会社製)を選択し、これへの添加顔料と
してエポスターS12(平均粒径1.2μm、メラミン
・ホルムアルデヒド縮合物:株式会社日本触媒製)を用
い、これをトルエン/酢酸エチルの混合溶媒中でビーズ
分散して得た顔料分散液の状態で樹脂に添加して充分混
合することで塗液を得た。なお、顔料の平均粒径はレー
ザー回折式粒度分布測定装置で測定し、体積50%の粒
径値で示した。この塗液をバーコートにてクッション層
上に塗布、乾燥して離型層を形成した。この時、樹脂固
形分と顔料固形分の比率が85/15になるように調製
し、これをクッション層上に乾燥塗布厚3μmになるよ
うに塗設した。得られたマット化離型層の表面形状とし
て、十点平均粗さは1.02μm(三次元表面粗さ測定
器 SE−30K 小坂研究所製使用。以下同じ)であ
り、ヘイズ度は51.6%(直読ヘイズメーター 東洋
精機製作所製使用。以下同じ)であった。
【0047】透明樹脂層は主成分のベンジルメタアクリ
レート/メチルメタアクリレート/メタアクリレート共
重合体(分子量15000、酸価98.0mgKOH/
g)とモノマー成分として多官能アクリレート(M−4
00:東亞合成株式会社製)を固形分比で50/50に
なるようにし、これに開始剤である2−ベンジル−2−
ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−
ブタノン−1(IRGACURE369:チバガイギー株式会社
製)を対固形10%で添加した。これを溶剤であるポリ
エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート中で
溶解し、20%塗布液とし、バーコート法にて離型層上
に乾燥後の塗布厚が2μmになるように塗設した。
【0048】保護フィルムは両面未処理のポリプロピレ
ンフィルム20μmを透明樹脂層と60℃で貼合し擬似
接着させた。 (被着体への転写付与)カバーフィルムを剥がした後、
現れた透明樹脂層と被着体であるガラス基板を合わせて
ラミネーター(大成ラミネーター製)で貼合し、その後
ベースフィルムと離型層を同時に剥離除去することで、
ガラス基板上に既定の表面凹凸を有した透明樹脂層を付
与した。なおラミネーターでの転写条件を下に示す。こ
の時、ガラス基板は転写直前に100℃になるように予
め加熱した。 転写条件 転写温度:120℃、転写圧力:6Kgf/cm2、転
写速度:1m/分 ガラス基板に転写後、ベースフィルム背面よりプレ露光
として全体にUV照射20mj/cm2(365nmでの
積算光量)を実施し、透明樹脂層を半硬化状態にした
後、離型層よりベースフィルムを剥離し、さらに透明樹
脂層全体にUV照射500mj/cm2により完全に光硬
化させ、その後240℃、40分の加熱処理をして目的
の光散乱層を得た。この光散乱層は、十点平均粗さが
0.83μm、ヘイズ度40.5%、全光線透過率9
1.4%であった。
【0049】(金属薄膜の形成)このようにしてガラス
基板上に形成した光散乱層上に、アルミニウムの薄膜を
形成して、光散乱反射板を作製した。アルミニウム薄膜
は真空蒸着法により厚さ300Åで形成した。蒸着機は
高真空蒸着装置(JEE−4X 日本電子製)を使用
し、ターゲット金属はアルミニウム99.99%を使用
した。こうして作製した光散乱反射板の拡散反射率を分
光光度計(U−3310形分光光度計:日立製作所製)
で測定したところ73%(550nm)であり、きわめ
て優れた光散乱反射特性を示した。また、このとき透過
率は6.1%であった。
【0050】実施例2 (転写フィルムの製造)支持体として75μmPETフ
ィルム(裏面に帯電防止層を付与:面積固有抵抗値10
Ω)を用い、クッション層はアクリル系共重合樹脂
(Mn127000,Tg35℃:三菱レイヨン株式会
社製)を乾燥後の塗布厚が15μmになるように塗設し
た。離型層は透明樹脂層と離型性を有する材料のなかか
ら、ポリビニルアルコール(B−17:電気化学工業株
式会社製)を用い、溶媒として水/メタノールで溶解さ
せたものに、顔料としてX52−854(平均粒径0.
8μm、シリコンパウダー:信越化学工業株 式会社
製)をあらかじめ水/メタノールの混合溶媒中でビーズ
分散して得た顔料分散液の状態で添加して充分混合する
ことで塗液とした。この塗液をバーコートにてクッショ
ン層上に塗布、乾燥して離型層を形成した。この時、離
型層塗液は樹脂固形分と顔料固形分の比率が60/40
になるように調整し、これをクッション層上に乾燥塗布
厚3μmになるように塗設した。得られたマット化離型
層の表面形状は十点平均粗さは0.68μmであり、ヘ
イズ度は50.8%であった。
【0051】透明樹脂層は主成分のベンジルメタアクリ
レート/メチルメタアクリレート/メタアクリレート共
重合体(分子量16000,酸価95.8mgKOH・
g)にモノマー成分として4官能アクリレート(EB1
40:ダイセル・ユーシービー株式会社製)を固形分比
で40/60になるようにし、これに開始剤である2,
4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィンオ
キサイド(Lucirin TPO:BASF製)を対固形10%
添加した。これを溶剤であるポリエチレングリコールモ
ノエチルエーテルアセテート中で溶解し、20%塗布液
としてバーコート法にて離型層上に乾燥後の塗布厚が2
μmになるように塗設した。保護フィルムは両面未処理
のポリプロピレンフィルム20μmを透明樹脂層と30
℃で貼合し疑似接着させた。
【0052】(被着体への付与)実施例1と同じプロセ
ス、各条件でガラス基板へ転写し、やはり実施例1と同
じ条件でベイク処理を実施することにより光散乱層を得
た。この光散乱層は十点平均粗さが0.54μm、ヘイ
ズ度46.1%、全光線透過率は92.9%であった。
【0053】(金属薄膜の形成)このようにしてガラス
基板上に形成した光散乱層上に、実施例1と同じ方法で
アルミニウム薄膜を付与した。得られた光散乱反射板の
拡散反射率は73.6%、透過率は6.2%であった。
このように表面平滑性に優れ、また光反射特性に優れる
光散乱反射板が得られた。
【0054】実施例3 (転写フィルムの製造)支持体として75μmPETフ
ィルム(裏面に帯電防止層を付与:面積固有抵抗値10
Ω)を用い、クッション層は実施例2と同じ樹脂を同
じ方法で支持体上に塗設した。離型層に使用した樹脂も
実施例2と同じであるが、顔料はトスパール130(平
均粒径 3μm、シリコンパウダー:東芝シリコーン株
式会社製)をあらかじめ水/メタノールの混合溶媒中で
ビーズ分散して得た顔料分散液の状態で添加して充分混
合することで塗液とした。この塗液をバーコートにてク
ッション層上に塗布、乾燥して離型層を形成した。この
時、離型層塗液は樹脂固形分と顔料固形分の比率が90
/10になるように調整し、これをクッション層上に乾
燥塗布厚5μmになるように塗設した。
【0055】得られたマット化離型層の表面形状は十点
平均粗さは1.13μmであり、ヘイズ度は57.5%
であった。透明樹脂層は主成分の樹脂は実施例2と同じ
ものを用い、モノマー成分として多官能アクリレート
(M−400:東亜合成株式会社製)と3官能アクリレ
ート(M−310: 東亜合成株式会社製)を固形分比
で40/10/50になるようにし、これに開始剤であ
る2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフ
ィンオキサイド(Lucirin TPO :BASF製)を対固
形10%添加した。これを溶剤であるポリエチレングリ
コールモノエチルエーテルアセテート中で溶解し、20
%塗布液としてバーコート法にて離型層上に乾燥後の塗
布厚が3μmになるように塗設した。保護フィルムは両
面未処理のポリプロピレンフィルム20μmを透明樹脂
層と30℃で貼合し疑似接着させた。
【0056】(被着体への付与)基板の予熱温度を12
0℃にした以外は実施例1と同じプロセス、各条件でガ
ラス基板へ転写し、やはり実施例1と同じ条件でベイク
処理を実施することにより光散乱層を得た。この光散乱
層は十点平均粗さが0.94μm、ヘイズ度52.3
%、全光線透過率は91.2%であった。 (金属薄膜の形成)このようにしてガラス基板上に形成
した光散乱層上に、実施例1と同じ条件でアルミニウム
薄膜を付与した。得られた光散乱反射板の拡散反射率は
78.3%、透過率は4.3%であった。
【0057】実施例4 (転写フィルムの製造)支持体として75μmPETフ
ィルム(裏面に帯電防止層を付与:面積固有抵抗値10
Ω)を用い、クッション層は実施例2及び実施例3と
同じ樹脂を同じ方法で支持体上に塗設した。離型層に使
用した樹脂も実施例2及び実施例3と同じであるが、顔
料は実施例1と同じエポスターS12(平均粒径1.2
μm、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物:株式会社日
本触媒製)をあらかじめ水/メタノールの混合溶媒中で
ビーズ分散して得た顔料分散液の状態で添加して充分混
合することで塗液とした。この塗液をバーコートにてク
ッション層上に塗布、乾燥して離型層を形成した。この
時、離型層塗液は樹脂固形分と顔料固形分の比率が90
/10になるように調整し、これをクッション層上に乾
燥塗布厚3μmになるように塗設した。得られたマット
化離型層の表面形状は十点平均粗さは0.89μmであ
り、ヘイズ度は43.2%であった。
【0058】透明樹脂層は実施例2と同じ樹脂、モノマ
ー、開始剤を用い、配合量も同じものを使用した。この
塗液をバーコートにて離型層上に乾燥後の塗布厚が2μ
mになるように塗設した。保護フィルムは両面未処理の
ポリプロピレンフィルム20μmを透明樹脂層と30℃
で貼合し疑似接着させた。
【0059】(被着体への付与)実施例1と同じプロセ
ス、各条件でガラス基板へ転写し、やはり実施例1と同
じ方法でベイク処理を実施することにより光散乱層を得
た。この光散乱層は十点平均粗さが0.78μm、ヘイ
ズ度38.6%、全光線透過率は93.1%であった。 (金属薄膜の形成)このようにしてガラス基板上に形成
した光散乱層上に、実施例1と同じ条件でアルミニウム
薄膜を付与した。得られた光散乱反射板の拡散反射率は
50.1%、透過率は5.1%であった。実施例4で得
られた光散乱反射板は拡散反射率は低いものの正反射率
が高く、いわゆる指向性の強い光散乱反射板であった。
【0060】
【比較例】比較例1 (転写フィルムの製造)支持体は実施例1と同じものを
使用した。離型層は顔料を添加しないテスファイン32
2単独をクッション層上に乾燥塗布厚3μmになるよう
に塗設した。透明樹脂層は、使用する材料、配合割合は
実施例1と同様であるが、これに樹脂固形分と顔料固形
分の比率が85/15になるように顔料として実施例1
と同じエポスターS12をトルエン/酢酸エチルの混合
溶媒中でビーズ分散して得た顔料分散液の状態で添加し
て充分混合することで塗液とした。これを離型層上に乾
燥塗布厚が3μmになるように塗布した。保護フィルム
として実施例1と同じポリプロピレンフィルムを60℃
で貼合し、疑似接着させた。
【0061】(被着体への転写付与)実施例1と同方
法、同条件で被着体であるガラス基板に転写した。転写
後背面からのプレ露光を実施せずに離型層よりベースフ
ィルムを剥離し、その後透明樹脂層全体にUV照射50
0mj/cm2を実施した。その後240℃、40分の
加熱処理を実施し、目的の光散乱層を得た。この光散乱
層は、十点平均粗さが0.98μm、ヘイズ度46.2
%、全光線透過率87.8%であった。 (金属薄膜の形成)このようにしてガラス基板上に形成
した光散乱層上に、実施例1と同様にアルミニウムの薄
膜を形成して、光散乱反射板を作製した。作製した光散
乱反射板の拡散反射率は65%(550nm)、透過率
は5.8%であった。比較例1の場合、光散乱層中には
顔料が存在するため、実施例1と比較して光散乱層はヘ
イズ度の割に全光線透過率が低くなる。そのため、アル
ミニウム薄膜形成後の透過率を所定値まで上げるには、
アルミニウム蒸着量を少なくする必要があり、従って拡
散反射率も下がってしまうのである。
【0062】比較例2 (転写フィルムの製造)実施例1の離型層処方におい
て、樹脂固形分と顔料固形分の比率が98/2になるよ
うに調製した以外は全て同じ材料を使用して、同じ方法
で転写フィルムを製造した。得られたマット化離型層の
表面形状として、十点平均粗さは0.48μm、ヘイズ
度は19.8%であった。 (被着体への転写付与)実施例1と同じ条件、方法で被
着体であるガラス基板に転写した。得られた光散乱層
は、十点平均粗さは0.33μm、ヘイズ度は18.2
%、全光線透過率92.9%であった。 (金属薄膜の形成)実施例1と同じ条件、方法でアルミ
ニウムの薄膜を形成した。作製した光散乱反射板の拡散
反射率は20.6%(550nm)、透過率は5.3%
であり、実施例1に比べてマット化離型層中の顔料添加
量が少なく、目標のヘイズ度まで至らなかったことによ
り、アルミニウム薄膜形成後の性能として正反射光が強
くなったため、拡散反射率がかなり低い値になってしま
った。
【0063】比較例3 (転写フィルムの製造)実施例1の離型層処方におい
て、樹脂固形分と顔料固形分の比率が45/55になる
ように調製した以外は全て同じ材料を使用して、同じ方
法で転写フィルムを製造した。得られたマット化離型層
の表面形状として、十点平均粗さは1.51μmであ
り、ヘイズ度は83.8%であった。 (被着体への転写付与)実施例1と同じ条件、方法で被
着体であるガラス基板に転写した。この時、離型層中の
顔料割合が多く、離型層とクッション層の界面に存在す
る顔料が多くなるため、密着力が低下する傾向があっ
た。また離型層表面の突起密度が密であるため透明樹脂
層と離型層との接触面積が大きくなることで剥離力が重
くなっている。さらに透明樹脂層表面が離型層凹凸の影
響により塗布厚が不均一であるため、ガラス基板との密
着性が不均一になっていることから、転写性が非常に不
安定であり、転写不良が発生しやすく一部転写できない
部分が発生した。またベイク処理後に光散乱層の一部は
ガラス基板から剥離してしまった。得られた光散乱層
は、十点平均粗さが1.27μm、ヘイズ度は79.3
%、全光線透過率は92.5%であった。
【0064】(金属薄膜の形成)実施例1と同じ条件、
方法でアルミニウムの薄膜を形成した。作製した光散乱
反射板の拡散反射率は87.5%(550nm)、透過
率は4.7%であった。マット化離型層のヘイズ度が高
くなったため、ガラス基板に転写後の光散乱層のヘイズ
度も高くなり、アルミニウム蒸着後の拡散反射率が高く
なったものである。ただし、表面性が悪化して十点平均
粗さが1.0μmを超えているため、金属薄膜上に形成
される機能層(例えばカラーフィルター層、オーバーコ
ート層、透明電極)を付与する過程でトラブルが発生す
る。
【0065】比較例4 (転写フィルムの製造)支持体は実施例1と同じものを
使用した。離型層は実施例1で使用した透明樹脂テスフ
ァイン322に添加顔料KMP−600(平均粒径5.
0μm、シリコンパウダー:信越化学工業株式会社)を
トルエン/酢酸エチルの混合溶媒中でビーズ分散して得
た顔料分散液の状態で添加して、充分混合することで塗
液を得た。これを実施例1と同様にクッション層上に塗
布、乾燥して離型層を形成した。なお、この時の樹脂固
形分と顔料固形分の比率が同様になるように85/15
で調整した。また、塗布厚はウエット状態では実施例1
と同様に塗布したが、顔料粒子径が大きいため乾燥後の
塗布厚は8μmであった。得られたマット化離型層の表
面形状は十点平均粗さが3.60μmであり、ヘイズ度
は89.8%であった。透明樹脂層は実施例1と同処方
を同方法にて塗設した。乾燥後の塗布厚が3μmになる
ように塗設したが、表面粗さが大きいため塗布厚は不均
一であった。保護フィルムとして実施例1と同じポリプ
ロピレンフィルムを80℃で貼合したが、離型層の表面
凹凸の影響で透明樹脂層は均一性に劣り、表面粗さが大
きいため接着性は弱かった。
【0066】(被着体への転写付与)実施例1と同方
法、同条件で被着体であるガラス基板に転写した。転写
後背面から20mj/cm2 のプレ露光を実施して離型
層よりベースフィルムを剥離し、その後透明樹脂層全体
にUV照射500mj/cm2 を実施した。その後24
0℃、40分の加熱処理を実施し、目的の光散乱層を得
た。この光散乱層は、十点平均粗さが2.78μm、ヘ
イズ度82.3%、全光線透過率91.8%であった。 (金属薄膜の形成)このようにしてガラス基板上に形成
した光散乱層上に、実施例1と同様にアルミニウムの薄
膜を形成して、光散乱反射板を作製した。作製した光散
乱反射板の拡散反射率は85.5%(550nm)、透
過率は4.3%であった。光散乱層表面の粗さが大きい
ため金属薄膜形成後の光散乱性は良好であったものの、
金属薄膜形成後でも表面粗さが大きいため、その上に形
成される機能層(例えばカラーフィルター層、オーバー
コート層、透明電極)を付与する過程でトラブルが発生
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光散乱層形成用転写フィルムの一実施
例を示す概略縦断面図である。
【図2】本発明の光散乱層の形成方法を工程順に示す概
略縦断面図である。
【符号の説明】
1 保護フィルム 2 透明樹脂層 3 マット化離型層 4 クッション層 5 支持体 6 帯電防止層 7 被着体 8 金属薄膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 矢部 紀雄 埼玉県東松山市東平1551 日本製紙株式会 社東松山事業所内 Fターム(参考) 2H042 BA02 BA12 BA14 BA20 DA02 DA11 DA12 2H091 FA16Y FA32Y FB02 FB11 FC19 LA30 MA10

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体上に順次凹凸を付与した離型層、透
    明樹脂層を設けてなることを特徴とする光散乱層形成用
    転写フィルム。
  2. 【請求項2】前記離型層の表面形状が十点平均粗さで
    0.2〜2.0μmであり、ヘイズ度が30〜60%で
    あることを特徴とする請求項1に記載の光散乱層形成用
    転写フィルム。
  3. 【請求項3】前記離型層中に顔料を含有したことを特徴
    とする請求項1または請求項2に記載の光散乱層形成用
    転写フィルム。
  4. 【請求項4】前記離型層中に含有される顔料の平均粒子
    径が0.1〜4.0μmであることを特徴とする請求項
    3に記載の光散乱層形成用転写フィルム。
  5. 【請求項5】前記離型層において、樹脂固形分と顔料固
    形分の比率が95/5〜50/50であることを特徴と
    する請求項3または請求項4に記載の光散乱層形成用転
    写フィルム。
  6. 【請求項6】請求項1に記載の光散乱層形成用転写フィ
    ルムの透明樹脂層を被着体に加熱、加圧条件下で貼り合
    わせた後、支持体および離型層を取り去り、被着体表面
    に離型層の表面形状を移し取った透明樹脂層を転写し、
    被着体表面に光散乱層を形成することを特徴とする光散
    乱層の形成方法。
  7. 【請求項7】あらかじめ80〜150℃に加熱した被着
    体に前記透明樹脂層を付与することを特徴とする請求項
    6に記載の光散乱層の形成方法。
  8. 【請求項8】請求項6または請求項7に記載の光散乱層
    の形成方法によって形成された光散乱層の全光線透過率
    が90%以上、表面形状が十点平均粗さで1.0μm以
    下、そしてヘイズ度が20〜60%であることを特徴と
    する光散乱膜。
  9. 【請求項9】請求項6または請求項7に記載の光散乱層
    の形成方法によって形成された光散乱層上に金属薄膜を
    形成したことを特徴とする光散乱反射板。
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