JP2002356753A - 耐摩耗部材用多孔質金属焼結体および耐摩環 - Google Patents

耐摩耗部材用多孔質金属焼結体および耐摩環

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JP2002356753A JP2001268571A JP2001268571A JP2002356753A JP 2002356753 A JP2002356753 A JP 2002356753A JP 2001268571 A JP2001268571 A JP 2001268571A JP 2001268571 A JP2001268571 A JP 2001268571A JP 2002356753 A JP2002356753 A JP 2002356753A
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Hiroshi Takiguchi
寛 滝口
Kiyoshi Suwa
清 諏訪
Teruo Takahashi
輝夫 高橋
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Nippon Piston Ring Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ピストンに鋳包んだ際に所望の境界強度を安
定して確保できる、ピストン材(アルミニウム合金)と
の接合性に優れた耐摩環(多孔質金属焼結体)を提供す
る。 【解決手段】 60メッシュの篩を通過し350 メッシュの
篩を通過しない粒度分布を有するオーステナイト系ステ
ンレス鋼粉を用いて、面積率で20〜50%の空孔を有し、
かつ該空孔のうち直径5μm を超える空孔を、全空孔面
積に対し面積率で80%以上有する多孔質オーステナイト
系ステンレス鋼焼結体とする。MnS 、CaF、BN、および
エンスタタイトのうちから選ばれた1種または2種以上
からなる被削性改善用微細粒子を、質量%で0.1 〜5%
含有してもよい。このような焼結体をピストンに鋳包
む。これにより、所望の強度以上の境界強度が安定して
得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軽合金部材に鋳包
まれて使用される耐摩耗部材用多孔質金属焼結体に係
り、とくに、内燃機関に用いられるアルミニウム合金製
ピストン用として好適な多孔質金属焼結体製耐摩環に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年のエンジンの軽量化および放熱性を
高める目的から、アルミニウム合金製のエンジンが一般
化しつつあり、ピストンもアルミニウム合金製となって
いる。一方で、エンジン高出力化の要請に伴い、エンジ
ンはより高温の燃焼環境に曝され、またピストンリング
にも厳しい耐摩耗性が要求されている。
【0003】このようなピストンリングへの耐摩耗性向
上の要求から、高硬度のピストンリングが使用されるよ
うになっている。そのため、ピストンリング溝は、これ
らピストンリングの端面で叩きを受けるため、通常のア
ルミニウム合金ではピストンリング溝のへたりや変形が
生じるおそれがある。特に、ディーゼルエンジンのトッ
プリングでは燃焼圧が直接作用するので、トップリング
溝にはピストンリングによる衝撃が繰り返され、へたり
摩耗が生じやすい。トップリング溝に摩耗が生じると、
ガス漏れやオイル漏れが生じ、エンジン出力の低下をき
たすこととなる。
【0004】この問題を解決するために、ピストンリン
グ溝にピストン材料よりは高強度の材料からなる耐摩環
を固着し、ピストンリングを耐摩環により支持する構成
が提案されている。例えば、ディーゼルエンジン用のピ
ストンでは、そのトップリング溝にニレジスト鋳鉄製の
インサート(耐摩環)を鋳包み、この耐摩環によってシ
リンダ内におけるピストン摺動時のピストンリング溝の
摩耗を防止するようにしたものが主流となっている。
【0005】しかし、ニレジスト鋳鉄で耐摩環を構成す
るのは、鋳造品であるため材料費が高いうえに歩留りお
よび切断加工性が悪く、コスト高になるとともに、鋳包
み性改善のためにアルミナイズ処理が必要不可欠とな
る。また、鉄合金のため質量が高く、熱伝導率も不十分
であるためエンジンの高性能化を阻害するという問題が
あった。
【0006】また、特公昭57-32743号公報には、ピスト
ンリング溝のうち少なくともトップリング溝周壁に、N
i:8〜25%、Cu:3.5 〜10%、残部が実質的にFeから
なる焼結合金製インサート材を鋳包んだアルミニウム合
金製ピストンが提案されている。また、特開平3−1390
66号公報には、耐摩耗性向上のため、アルミニウム合金
製ピストンに鋳包んで使用するに好適な、多孔質金属強
化材が提案されている。この多孔質金属強化材は、Ni、
Co、Cr、Mo、Mn、Wよりなる群から選ばれた1種または
2種以上と鉄とからなる合金の粉末、あるいは、Ni、C
o、Cr、Mo、Mn、Wよりなる群から選ばれた1種または
2種以上と鉄とからなる合金の粉末と、鉄粉との混合
物、を多孔質状に焼結して得られる焼結体である。しか
し、特開平3−139066号公報に記載された多孔質焼結体
では、Ni、Co、Cr、Mo等の合金元素を多量に添加してお
り、経済的に不利となるとともに、ピストン鋳包み後の
溝加工性が悪化するという問題があった。
【0007】また、特開平8−319504号公報には、Cr、
Mo、V、W、Mn、Siのうち少なくとも1種が2〜70%、
炭素が0.07〜8.2 %、不可避の不純物の組成をもつ鉄系
原料粉末を用いて焼結体とし、気体中で冷却し気体焼入
れして構成する金属の硬さをマイクロビッカース硬さで
Hv200 〜800 に設定した多孔質金属焼結体と、気孔に含
浸し固化した軽金属とを備えた金属焼結体複合材料が提
案されている。しかし、特開平3−139066号公報、特開
平8−319504号公報に記載された多孔質金属焼結体で
は、気体焼入れが可能となるようにCr、Mo、V等の合金
元素を多量に添加しており、経済的に不利となる。ま
た、ピストン鋳包み後の溝加工性が悪化するという問題
もあった。
【0008】また、特開平9-143639 号公報には、20〜
55%の有孔Fe基焼結合金のスケルトンで構成され、かつ
300 〜2000cm2 /cm3の全体比表面積、並びに80〜97%の
全体気孔率を有する多孔質Fe基焼結合金からなる鋳包み
材でヘッド部を補強した軽量Al合金製ピストン本体鋳物
が提案されている。しかし、特開平9-143639 号公報に
記載された鋳包み材でピストンを補強すると、全体の鉄
基焼結合金部分が3〜20%と少なく耐摩耗性が不足する
場合があるという問題があった。
【0009】また、特開2001-32747号公報には、ピスト
ン溝を構成する、相対密度50〜80%のオーステナイト系
ステンレス鋼製多孔質体製の支持部材を本体に鋳包んで
なる内燃機関用アルミニウム合金製ピストンが提案され
ている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、特公
昭57-32743号公報、特開平3−139066号公報、特開平8
−319504号公報、特開2001-32747号公報に記載された多
孔質金属焼結体(焼結合金)をアルミニウム合金製ピス
トンに鋳包んで使用することにより、ピストンリング溝
の耐摩耗性は確かに向上する。しかしながら、このよう
な多孔質金属焼結体をピストンに鋳包むと、ピストン材
(アルミニウム合金)との境界強度がばらつき、境界剥
離が生じる場合があり、安定した特性を有する製品とな
りにくく、品質保証上問題があった。また、アルミニウ
ム合金製ピストンに限らず、軽合金製部材の耐摩耗性を
向上させるために、このような多孔質金属焼結体をアル
ミニウム合金等の軽合金製部材に鋳包むことが指向され
ているが、安定した境界強度を維持するために、軽合金
部材との接合性に優れた多孔質金属焼結体が要望されて
いる。
【0011】また、多孔質金属焼結体(焼結合金)は、
切削加工性が低いという問題がある。多孔質金属焼結体
は、空孔を有するため断続切削となり切削抵抗が高く、
切削工具(バイト)寿命が短いため、切削工具交換のた
めに切削加工能率が低下し、製造コストの高騰を招くと
いう問題もある。本発明は、上記した従来技術の問題を
有利に解決し、アルミニウム合金等軽合金部材に鋳包ん
だ際に所望の境界強度を安定して確保できる、軽合金部
材との接合性に優れた耐摩耗部材用多孔質金属焼結体お
よびその製造方法を提供することを目的とする。とく
に、本発明は、アルミニウム合金製ピストンに鋳包んだ
際に所望の境界強度を安定して確保できる、ピストン材
との接合性に優れ、あるいはさらに切削加工性に優れた
多孔質金属焼結体製耐摩環およびその製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
課題を達成するために、軽合金の1種である、アルミニ
ウム合金製ピストンに鋳包んだ際の、ピストン材と耐摩
環との境界強度におよぼす要因について鋭意検討した。
従来の多孔質金属焼結体製耐摩環では、ピストン材との
所望の境界強度を得るために、空孔率を一定範囲内に規
制するのが、一般的であった。製品の空孔率を測定する
には、製品を切断して、断面組織を撮像し、画像解析に
より算出するのが一般的であるが、しかし、このような
方法では、製品を切断する必要があり工程生産に応用す
ることは不可能であり、通常、空孔率の測定は、密度測
定で代用している。
【0013】まず、本発明者らは、耐摩環形状とした空
孔を有する多孔質鉄基焼結体をアルミニウム合金製ピス
トンに鋳包んだのち、接合境界を含む引張試験片を採取
した。これら引張試験を用いて引張試験を行い境界強度
を求めた。なお、各多孔質鉄基焼結体の空孔率は、密度
測定により求めた。境界強度と空孔率の関係を図3に示
す。なお、境界強度(σ)は、所望の境界強度(σE
に対する比、境界強度比σ/σE として表示した。境界
強度比1以上で、境界強度σが所望の境界強度σE 以上
の値となることを意味する。
【0014】図3から、同一空孔率でも境界強度比には
大きなばらつきが見られる。これは、空孔率を密度測定
で代用したためと考えられ、密度測定により得られる空
孔率の管理だけでは、耐摩環の境界強度に影響する因子
を代表していないことになる。そこで、本発明者らは、
図3の結果をさらに詳細に検討し、同一の空孔率でも、
空孔の分布、 形態に大きな相違がある場合があり、それ
が、ピストン材と多孔質金属焼結体との境界強度に大き
く影響していることに想到した。空孔率が同一でも、空
孔の大きさ、数が相違する、例えば、図2(a)、
(b)に模式的に示す、断面での空孔分布を有する多孔
質金属焼結体では、(b)の空孔分布を有する焼結体の
方が、ピストン材との境界強度が大きいことを見いだし
た。さらに、アルミニウム合金を鋳込む際、多孔質金属
焼結体(耐摩環)の空孔が微細な場合には、アルミニウ
ム合金が空孔に含浸されにくく、とくに焼結時に発生し
た独立空孔にはアルミニウム合金が含浸せず、境界強度
低下に顕著に影響することを見いだした。
【0015】そこで、本発明者らは、多孔質金属焼結体
(耐摩環)の微細空孔の生成原因についてさらに研究し
た。その結果、境界強度比は、多孔質金属焼結体中に存
在する微細空孔、とくに直径5μm 以下の微細空孔の存
在比率に大きく影響されることを見いだした。多孔質金
属焼結体中に存在する直径5μm 以下の微細空孔率と全
空孔率との比、{(直径5μm 以下の微細空孔率)/
(全空孔率)}×100 (%)、と境界強度比との関係を
図1に示す。図1から、多孔質金属焼結体中に存在する
直径5μm 以下の微細空孔を、全空孔率に対して、20%
未満とすることにより、 境界強度比が1以上となる。な
お、境界強度比は、ニレジスト鋳鉄製耐摩環にアルフィ
ン処理を施した場合の強度(境界強度σE )を基準とし
て示している。ここで、直径5μm 以下の微細空孔率、
全空孔率は、多孔質金属焼結体の断面を研磨して、画像
解析装置で断面における空孔の面積を測定し、それぞれ
の面積率を算出し、その値を空孔率とした。
【0016】また、多孔質金属焼結体中の微細空孔の形
成には、使用する合金粉末の粒径分布が大きく影響し、
とくに直径5μm 以下の微細空孔率を20%未満とするた
めには、使用する合金粉末に、#350 の篩を通過する
(−350 メッシュ)微細粉末の混合を防止する必要があ
ることを知見した。本発明は、上記した知見に基づき、
さらに検討を加えて完成されたものである。
【0017】すなわち、 本発明は、合金粉末を含む混合
粉を圧粉、焼結してなる多孔質金属焼結体であって、前
記多孔質金属焼結体が、20〜50%の空孔率を有し、かつ
該空孔のうち直径5μm を超える空孔を、全空孔率に対
し80%以上有することを特徴とする軽合金部材との接合
性に優れた耐摩耗部材用多孔質金属焼結体である。ま
た、本発明は、多孔質金属焼結体からなる耐摩環であっ
て、前記多孔質金属焼結体を、20〜50%の空孔率を有
し、かつ該空孔のうち直径5μm を超える空孔を、全空
孔率に対し80%以上有する多孔質オーステナイト系ステ
ンレス鋼焼結体とすることを特徴とする耐摩環であり、
また、 本発明では、前記多孔質金属焼結体が、質量%
で、C:0.1 〜1.5 %、Si:1.0 %以下、Mn:2.0 %以
下、P:0.1 %以下、S:0.03%以下、Ni:5.0 〜15.0
%、Cr:15.0〜25.0%、を含み、残部実質的にFeである
組成を有する多孔質オーステナイト系ステンレス鋼焼結
体であることが好ましく、また、 本発明では、前記多孔
質金属焼結体が、粒径:150μm 以下の、MnS 、CaF2、B
N、およびエンスタタイトのうちから選ばれた1種また
は2種以上からなる被削性改善用微細粒子を、0.1 〜5
質量%含有することが好ましい。
【0018】また、本発明は、合金粉末に、黒鉛粉と、
潤滑剤粉末とを混合して混合粉としたのち、該混合粉を
成形して圧粉体となし、ついで該圧粉体を焼結して多孔
質金属焼結体とする多孔質金属焼結体の製造方法におい
て、前記合金粉末を−60メッシュ〜+350 メッシュの粒
度分布を有する合金粉とすることを特徴とする軽合金部
材との接合性に優れた耐摩耗部材用多孔質金属焼結体の
製造方法である。
【0019】また、 本発明は、合金粉末に、黒鉛粉と、
潤滑剤粉末とを混合して混合粉としたのち、該混合粉を
リング状に成形して圧粉体となし、ついで該圧粉体を焼
結して多孔質金属焼結体製耐摩環とする耐摩環の製造方
法において、前記合金粉末を−60メッシュ〜+350 メッ
シュの粒度分布を有するオーステナイト系ステンレス鋼
粉とし、前記混合粉が、前記黒鉛粉を1.5 質量%以下、
前記潤滑剤粉末を0.5〜1.5 質量%含有することを特徴
とする耐摩環の製造方法であり、また、 本発明は、前記
混合粉がさらに、粒径:150 μm 以下の、MnS 、CaF2
BN、およびエンスタタイトのうちから選ばれた1種また
は2種以上からなる被削性改善用微細粒子粉末を、0.1
〜5質量%含有することが好ましく、 また、 本発明で
は、前記オーステナイト系ステンレス鋼粉が、質量%
で、C:0.3 %以下、Si:1.0 %以下、Mn:2.0 %以
下、P:0.1 %以下、S:0.03%以下、Ni:5.0 〜15.0
%、Cr:15.0〜25.0%、を含み、残部実質的にFeである
組成を有するオーステナイト系ステンレス鋼粉であるこ
とが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】耐摩環等の耐摩耗部材は、多孔質
金属焼結体で構成され焼結体のままで製品とされ、アル
ミニウム合金製ピストン等の軽合金部材に鋳包まれて、
仕上げ加工等を施されて使用に供せられる。例えば、耐
摩環は、内燃機関用ピストンであれば、アルミニウム合
金製ピストンに鋳包まれたのち、ピストンリング溝やオ
イルリング溝等を仕上げ加工されて、ピストンリングや
オイルリングを装着され、使用に供せられる。
【0021】本発明の耐摩耗部材用多孔質金属焼結体で
は、特に材質を限定する必要はなく、通常、耐摩耗部材
に使用されている材質がいずれも好適であり、耐摩耗部
材が使用される個所に応じて適宜選択できる。また、本
発明の耐摩耗部材用多孔質金属焼結体は、面積率で20〜
50%の空孔を有する。空孔率が20%未満では、アルミニ
ウム合金等軽合金製ピストンに鋳包むときアルミニウム
合金等軽合金の溶湯が耐摩環の空孔内に含浸せず、境界
強度が低下する。一方、空孔率が50%を超えると、空孔
が多すぎて強度が低下して、稼動時に変形する。このた
め、耐摩耗部材用多孔質金属焼結体の空孔率は、20〜50
%の範囲に限定した。
【0022】また、本発明の耐摩耗部材用多孔質金属焼
結体は、空孔のうち直径5μm を超える空孔を、全空孔
率に対して80%以上有する。直径5μm を超える空孔率
が全空孔率に対し80%未満では、すなわち、直径5μm
以下の空孔率が全空孔率に対し20%を超えると微細空孔
が増加し、図1に示すように、境界強度比が1未満と境
界強度が低下する。このため、直径5μm を超える空孔
を、全空孔率に対し80%以上に限定した。
【0023】本発明では、耐摩耗部材である本発明の耐
摩環では、耐摩環を構成する多孔質金属焼結体を上記し
た構成の空孔を含むオーステナイト系ステンレス鋼焼結
体(多孔質オーステナイト系ステンレス鋼焼結体)とす
ることが好ましい。本発明では、ピストンと耐摩環との
間の境界面にクラックの発生を防止するため、耐摩環
に、ピストン材であるアルミニウム合金との熱膨張率差
ができるだけ小さい材料を使用し、ピストン材との間に
生じる熱応力をできるだけ少なくする必要がある。この
ため、耐摩環材として、オーステナイト系ステンレス鋼
焼結体を使用することが好ましい。オーステナイト系ス
テンレス鋼の熱膨張率は、16×10ー6〜18×10ー6/℃程度
であり、アルミニウム合金の熱膨張率(20 ×10ー6/℃)
に近い。
【0024】耐摩環材を構成する、多孔質オーステナイ
ト系ステンレス鋼焼結体は、質量%で、C:0.1 〜1.5
%、Si:1.0 %以下、Mn:2.0 %以下、P:0.1 %以
下、S:0.03%以下、Ni:5.0 〜15.0%、Cr:15.0〜2
5.0%を含み、残部実質的にFeである組成を有すること
が好ましい。つぎに、オーステナイト系ステンレス鋼焼
結体の組成限定理由について説明する。
【0025】C:0.1 〜1.5 % Cは、焼結体の強度、硬さを増加させる元素であり、 本
発明では強度確保と耐摩耗性向上のため0.1 %以上の含
有を必要とする。なお、1.5 %を超えて含有すると炭化
物が粗大化し被削性が低下する。このため、Cは0.1 〜
1.5 %に限定することが好ましい。
【0026】Si:1.0 %以下 Siは、焼結体の強度を増加させる元素であり、0.3%以上
含有することが好ましいが、 1.0 %を超えて含有する
と、焼結体が脆化する傾向となる。このため、Siは1.0
%以下とすることが好ましい。 Mn:2.0 %以下 Mnは、焼結体の強度を増加させる元素であり、 本発明で
は0.05%以上含有することが好ましいが、 2.0%を超え
て含有すると、焼結体が脆化する傾向となる。このた
め、Mnは2.0%以下とすることが好ましい。
【0027】P:0.1 %以下、 Pは、0.1 %を超えて含有すると、ステダイト炭化物が
増加し被削性が低下する。このため、Pは0.1 %以下に
限定することが好ましい。なお、 より好ましくは0.05%
以下である。 S:0.03%以下 Sは、硫化物を形成し、材料の延性、 靭性を低下させる
ためできるだけ低減することが好ましい。このようなこ
とから、本発明では、Sは0.03%以下とすることが好ま
しい。
【0028】Ni:5.0 〜15.0% Niは、オーステナイト化元素であり、本発明では5%以
上含有することが好ましい。一方、15.0%を超えて含有
すると、硬さが低下する。このため、Niは5.0〜15.0%
の範囲に限定することが好ましい。 Cr:15.0〜25.0% Crは、固溶強化元素であり、所望の強度を確保するため
に15.0%以上含有することが好ましい。一方、25.0%を
超えて含有すると、Cr炭化物の粒界上への析出が顕著と
なり耐摩耗性が低下する。このため、Crは15.0〜25.0%
の範囲に限定することが好ましい。
【0029】上記した成分以外に、Mo、Ti、Nbのうちの
1種または2種以上を合計で1%以下含有してもなんら
問題はない。上記した成分以外の残部は、実質的Feであ
る。なお、不可避的不純物として、N:0.1 %以下、S
e:0.15%以下が許容できる。なお、本発明の耐摩環を
構成する多孔質金属焼結体は、上記したオーステナイト
系ステンレス鋼組成の基地中に、被削性改善のため、被
削性改善用微細粒子を分散させることが好ましい。分散
させる被削性改善用微細粒子としては、MnS 、CaF2、B
N、およびエンスタタイトのうちから選ばれた1種また
は2種以上とすることが好ましい。MnS 、CaF2、BN、お
よびエンスタタイトはいずれも、被削性を改善する粒子
であり、必要に応じて選択して含有できる。
【0030】このような被削性改善用微細粒子を基地中
に均一分散させることにより、切削中の切粉は, これら
の微細粒子と微細粒子間の距離で決定される大きさに分
断されるため、切削抵抗は低く維持される。また、基地
中に分散させる被削性改善用微細粒子は、粒径:150 μ
m 以下の微細粒子とすることが好ましい。微細粒子の粒
径が150 μm を超えると、境界強度が低下する。なお、
好ましくは5〜100 μmである。
【0031】また、耐摩環の基地中に分散させる被削性
改善用微細粒子の含有量は、0.1 〜5質量%とすること
が好ましい。被削性改善用微細粒子の含有量が、0.1 質
量%未満では被削性改善の効果が認められない。一方、
5質量%を越えて含有すると、基地との密着強度が低下
する。このため、粒径:150 μm 以下の被削性改善用微
細粒子は、0.1 〜5質量%の範囲で含有することが好ま
しい。
【0032】上記した耐摩環のうちのいずれかを、アル
ミニウム合金製ピストンに鋳包み、内燃機関用アルミニ
ウム合金製ピストンとすることが好ましい。ついで、本
発明の耐摩耗部材用多孔質金属焼結体の製造方法につい
て、説明する。原料とする合金粉末と、黒鉛粉末と、潤
滑剤粉末とを混合して混合粉としたのち、これら混合粉
を金型に装入して加圧成形し圧粉体とし、該圧粉体を焼
結して多孔質金属焼結体とする。原料粉として、 使用す
る合金粉末を、60メッシュの篩を通過し(以下、60メッ
シュアンダー、あるいは−60メッシュともいう)、350
メッシュの篩を通過しない(以下、350 メッシュオーバ
ー、あるいは+350 メッシュともいう)粒径分布に調整
した合金粉とすることが好ましい。
【0033】+100 メッシュ(#100 メッシュの篩を通
過しない)の粒子が存在すると、混合粉の圧粉性が低下
し、所望の密度の圧粉体とすることが難しくなり、金型
寿命が低下する場合があるが、−60〜+100 メッシュの
粒子が、全体の粉末の40%未満であれば、成形可能であ
り、所望の空孔率を有する圧粉体とするためには有利と
なる。一方、−350 メッシュ(#350 メッシュの篩を通
過する)の粒子が存在すると、直径5μm 未満の微細空
孔の存在量が増加し、境界強度比が低下する傾向とな
る。
【0034】なお、耐摩耗部材用多孔質金属焼結体で
は、使用する合金粉末は、その種類は特に限定されな
い。耐摩耗部材の用途に応じて、適宜、最適材質の合金
粉を使用することができる。なお、耐酸化性の観点から
は、ステンレス鋼粉とすることが好ましい。ステンレス
鋼としては、フェライト系、オーステナイト系、マルテ
ンサイト系がいずれも好適である。また、圧粉条件、焼
結条件等は、各耐摩耗部材に応じた、通常公知の条件を
適宜採用することが好ましい。
【0035】ついで、本発明の耐摩環の製造方法につい
て、説明する。耐摩環は、上記したような構成の空孔を
含む、多孔質金属焼結体により製造される。多孔質金属
焼結体は、原料とする合金粉末と、黒鉛粉末と、潤滑剤
粉末と造粒剤を混合して混合粉としたのち、これら混合
粉を金型に装入して加圧成形しリング状の圧粉体とし、
該圧粉体を焼結して耐摩環とする。
【0036】本発明では、原料粉として使用する合金粉
末を、オーステナイト系ステンレス鋼粉とする。使用す
るオーステナイト系ステンレス鋼粉は、上記したよう
に、60メッシュの篩を通過し(以下、60メッシュアンダ
ー、あるいは−60メッシュともいう)、350 メッシュの
篩を通過しない(以下、350 メッシュオーバー、あるい
は+350 メッシュともいう)粒度分布に調整したオース
テナイト系ステンレス鋼粉とすることが好ましい。
【0037】+100 メッシュ(#100 メッシュの篩を通
過しない)の粒子が存在すると、混合粉の圧粉性が低下
し、所望の密度の圧粉体とすることが難しくなり、さら
に金型寿命が低下する場合があるが、−60〜+100 メッ
シュの粒子が、全体の粉末の40%未満であれば、成形可
能であり、所望の空孔率を有する圧粉体とするためには
有利となる。一方、−350 メッシュ(#350 メッシュの
篩を通過する)の粒子が存在すると、直径5μm 未満の
微細空孔の存在量が増加し、境界強度比が低下する傾向
となる。
【0038】なお、オーステナイト系ステンレス鋼粉と
しては、SUS 302,SUS 303 ,SUS 304,SUS 304L,SUS 316,
SUS 317, SUS 310S,が好ましい。中でも、 耐摩環の材質
としては、境界面のクラック発生を防止する観点から熱
膨張率が高い、SUS 303, SUS304とすることが好まし
い。SUS 304 であれば、耐酸化性、耐摩耗性向上も期待
できる。
【0039】上記したような粒度分布を有するオーステ
ナイト系ステンレス鋼粉を、さらに黒鉛粉末と、ステア
リン酸亜鉛等の潤滑剤粉末と、ワックス系造粒剤あるい
はさらに被削性改善用微細粉末とともに混合し混合粉と
する。黒鉛粉は、多孔質焼結体の強度を増加させる合金
元素として添加するが、混合粉中の含有量が1.5 質量%
を超えると、炭化物が増加し、オーステナイト系ステン
レス鋼の特性を阻害し、被削性を劣化させ、さらに焼結
時に液相が生じ、独立空孔が多く発生して、境界強度が
低下する。このため、黒鉛粉は1.5 質量%以下に限定す
ることが好ましい。なお、黒鉛粉の粒径は、0.1 〜10μ
m とすることが好ましい。0.1 μm 未満では取り扱いが
困難となり、10μm を超えると、均一分散が困難とな
る。
【0040】本発明の耐摩環では、上記した混合粉の組
成に加えてさらに、被削性改善のために、混合粉に、被
削性改善用微細粒子粉末を含有することができる。被削
性改善用微細粒子粉としては、MnS 、CaF2、BN、および
エンスタタイトのうちから選ばれた1種または2種以上
とすることが好ましい。MnS 、CaF2、BN、およびエンス
タタイトはいずれも、被削性を改善する粒子であり、必
要に応じて選択して含有できる。また、混合粉に添加す
る被削性改善用微細粒子粉は、粒径:150 μm以下の微
細粒子粉とすることが好ましい。微細粒子粉の粒径が15
0 μm を超えると、境界強度が低下する。なお、好まし
くは5〜100 μm である。
【0041】混合粉中に被削性改善用微細粒子粉を含有
する場合には、被削性改善用微細粒子粉の含有量は0.1
〜5質量%とすることが好ましい。0.1 質量%未満で
は、被削性改善効果が少なく、一方、5質量%を超える
と境界強度が低下する。上記した混合粉を、金型に装入
し加圧成形して環状(リング状)の圧粉体とする。混合
粉の成形方法は、特に限定されないが、薄い環状とする
には成形プレス等を用いることが好ましい。
【0042】このようにして得られた環状の多孔質焼結
体を、ピストンを形成する鋳型のリング溝対応部位に装
着し、その鋳型内に溶融アルミニウム合金溶湯を注入
し、高圧ダイキャストしてあるいは溶湯鍛造して焼結体
を鋳包んだピストンを製造する。これにより、焼結体の
空孔に溶湯が侵入しピストン材との接合が完了する。そ
の後、耐摩環は、所定の溝寸法の切削加工が施される。
【0043】
【実施例】(実施例1)オーステナイト系ステンレス鋼
粉(SUS 304 )に、黒鉛粉、潤滑剤粉、あるいはさらに
被削性改善用微細粒子として、MnS 粉を添加し混合し
て、 混練して混合粉としたのち、金型に充填し成形プレ
スにより加圧成形して、所定寸法の耐摩環形状の圧粉体
とした。なお、オーステナイト系ステンレス鋼粉は、表
1に示すように、予め分級し、粒径分布を調整した。
【0044】ついで、これら圧粉体を1100〜1200℃で焼
結し、表2に示す組成の空孔を含む多孔質のオーステナ
イト系ステンレス鋼焼結体とした。なお、全空孔率は、
密度測定により空孔率を求めた。密度測定方法は、アル
キメデス法によった。また、全空孔に対する微細空孔の
比率は、焼結体のプレス方向断面について、金属顕微鏡
により組織を撮像し、画像解析により直径5μm 以下の
微細空孔の全面積と全空孔の面積をもとめ、(直径5μ
m 以下の微細空孔の全面積)/(全空孔の面積)により
求めた. なお、 測定個所は円周上3個所とした。
【0045】これら焼結体を、ピストン用鋳型のリング
溝相当部に装着した。ついで鋳型内に、アルミニウム合
金溶湯(JIS AC8A)を注入したのち、溶湯鍛造を施
し所定の寸法のピストン形状に仕上げた。また、得られ
ピストンから、耐摩環との境界部を含む引張試験片を採
取し、引張試験により境界部の境界強度を求めた。引張
試験片の採取方向は、試験片の軸に対し垂直に境界面を
含む方向とした。なお、境界強度σは、所望の境界強度
σ E に対する比、境界強度比σ/ σE で評価した。
【0046】また、耐摩環を鋳包んだピストンについ
て、熱衝撃試験を実施した。この試験は、ピストンの下
部を水槽中に浸漬し、上部(耐摩環側)をバーナーで一
定時間加熱したのち、バーナ加熱を一定時間停止する、
加熱と冷却を2000サイクル繰り返す試験である。加熱冷
却サイクルは、100 ℃−350 ℃−100 ℃のサイクルを60
s間で行うものとする。試験後、境界部から試験片を採
取し、クラックの発生の有無を調査した。試験片の採取
個所は、20個所/個とした。この条件で2000サイクル繰
り返してクラックの発生がなければ、エンジンテストで
も問題がないことが確認されている。
【0047】これらの結果を表2に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】本発明例は、いずれも1.0 以上の高い境界
強度比を有し、しかも熱衝撃による境界部での亀裂発生
もなく、高い境界強度を有する耐摩環となっている。一
方、本発明の範囲を外れる比較例は、境界強度比が低く
しかも境界部で亀裂が多数発生している。比較例は、本
発明例と同一空孔率にもかかわらず、接合性に劣る耐摩
環となっていた。 (実施例2)オーステナイト系ステンレス鋼粉に、黒鉛
粉、潤滑剤粉、あるいはさらに被削性改善用微細粒子を
添加し混合して、 混練して混合粉としたのち、金型に充
填し成形プレスにより加圧成形して、所定寸法の耐摩環
形状の圧粉体とした。なお、オーステナイト系ステンレ
ス鋼粉は、予め分級し、−60メッシュ〜+350 メッシュ
の粒径分布に調整した。なお、−60〜+100 メッシュの
粒子は全体の26%であった。
【0051】ついで、これら圧粉体を1100〜1200℃で焼
結し、表3に示す組成の空孔を含む多孔質のオーステナ
イト系ステンレス鋼焼結体とした。なお、全空孔率は、
実施例1と同様に、密度測定により空孔率を求めた。こ
れら焼結体について、すべりたたき摩耗試験、刃具摩耗
試験、耐熱衝撃性を実施した。
【0052】刃具摩耗試験は、焼結体を、バイト材質を
BNX4とし、切削速度を250m/min、切削長さを2044m
とする切削条件で切削し、切削後の刃具(バイト)の摩
耗量を測定し、被削性を評価した。耐熱衝撃性は、焼結
体を500 ℃に加熱したのち、水中に浸漬し、焼結体に発
生したクラック数を目視で測定した。
【0053】すべりたたき試験は、焼結体から試験片を
採取し、図4に示す試験機(高温弁座摩耗試験機)11の
ピストン側材(模擬耐摩環)13として試験を行い、ピス
トン側摩耗(模擬耐摩環の摩耗量)を測定した。すべり
たたき試験とは、模擬耐摩環13を試験機11に対して軸方
向移動不能に固定し、ピストンリング相当のリング材12
を模擬耐摩環13に同心に装着し、リング材12の内周面側
に備わっているシリンダライナ相当の鋳鉄製円棒15を軸
方向に往復させることにより、リング材12に、回転しつ
つピストン側材13を叩く動作モードを付与する試験であ
る。試験機11は被験材加熱用のヒータ14を有しており、
実際に燃料を燃焼させずともエンジン内の燃焼時の高温
状態を再現することができ、耐摩環の状態変化を模すこ
とができる。
【0054】その試験条件は以下の通りとした。 ピストン側材温度 : 340 ℃ 繰り返し数 : 1500回/分 ローテーション(リング材回転数): 3.0 rpm 面圧 : 20 kg/cm2 試験時間 : 10h 一方、リング材12としては、17Crステンレス鋼をガス窒
化したものを使用した。
【0055】なお、従来例として、ニレジスト鋳鉄材を
用いた。得られた結果を、表3に示す。
【0056】
【表3】
【0057】本発明例は、熱衝撃によるクラックの発生
もなく、また、従来例に比べ刃具摩耗も少なく被削性に
優れた耐摩環となっている。さらに、すべりたたき試験
による摩耗も少なく耐摩耗性に優れた耐摩環であること
が示されている。一方、本発明の範囲を外れる比較例
は、境界強度比が低く、しかも刃具摩耗も多く、耐熱衝
撃性が低い耐摩環となっている。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、耐摩環等の、優れた鋳
包み後の接合性を有する耐摩耗部材用多孔質金属焼結体
を安定して製造でき、産業上格段の効果を奏する。ま
た、本発明の耐摩環は、優れた鋳包み時の接合性を有す
るとともに、被削性にも優れ、切削加工能率の向上が可
能となるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋳包み後の耐摩環とピストン材との境界強度比
に及ぼす微細空孔比率の影響を示すグラフである。
【図2】焼結体中の空孔の分布状況の一例を模式的に示
す説明図である。
【図3】従来の鋳包み後の耐摩環とピストン材との境界
強度比と空孔率との関係を示すグラフである。
【図4】耐摩環の特性試験を行う試験機を示す一部切欠
斜視図である。
【符号の説明】
1 シリンダヘッド 2 クランクケース 3 ピストン 4 ライナ 5 ウォータジャケット 6 シリンダライナ 7 ピストンリング 8 リング溝 10 耐摩環 11 試験機(高温弁座摩耗試験機) 12 リング材 13 ピストン側材(模擬耐摩環) 14 ヒータ 15 鋳鉄製円棒
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02F 3/00 F02F 3/00 N 302 302Z F16J 1/01 F16J 1/01 9/26 9/26 A (72)発明者 高橋 輝夫 栃木県下都賀郡野木町野木1111番地 日本 ピストンリング株式会社栃木工場内 Fターム(参考) 3J044 AA01 AA02 BA03 BA04 BA08 BB24 BC01 BC06 BC07 CA01 CA21 CB00 DA09 EA01 4K018 AA33 AB03 AB05 AB10 AC01 BA11 BA17 BA20 BB04 KA09 KA22

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合金粉末を含む混合粉を圧粉、焼結して
    なる多孔質金属焼結体であって、前記多孔質金属焼結体
    が、20〜50%の空孔率を有し、かつ該空孔のうち直径5
    μm を超える空孔を、全空孔率に対し80%以上有するこ
    とを特徴とする軽合金部材との接合性に優れた耐摩耗部
    材用多孔質金属焼結体。
  2. 【請求項2】 多孔質金属焼結体からなる耐摩環であっ
    て、前記多孔質金属焼結体を、20〜50%の空孔率を有
    し、かつ該空孔のうち直径5μm を超える空孔を、全空
    孔率に対し80%以上有する多孔質オーステナイト系ステ
    ンレス鋼焼結体とすることを特徴とする耐摩環。
  3. 【請求項3】 前記多孔質金属焼結体が、粒径:150 μ
    m 以下の、MnS 、CaF2、BN、およびエンスタタイトのう
    ちから選ばれた1種または2種以上からなる被削性改善
    用微細粒子を、0.1 〜5質量%含有することを特徴とす
    る請求項2に記載の耐摩環。
  4. 【請求項4】 前記多孔質金属焼結体が、質量%で、 C:0.1 〜1.5 %、 Si:1.0 %以下、 Mn:2.0 %以下、 P:0.1 %以下、 S:0.03%以下、 Ni:5.0 〜15.0%、 Cr:15.0〜25.0%、 を含み、残部実質的にFeである組成を有する多孔質オー
    ステナイト系ステンレス鋼焼結体であることを特徴とす
    る請求項2に記載の耐摩環。
  5. 【請求項5】 合金粉末に、黒鉛粉と、潤滑剤粉末とを
    混合して混合粉としたのち、該混合粉を成形して圧粉体
    となし、ついで該圧粉体を焼結して多孔質金属焼結体と
    する多孔質金属焼結体の製造方法において、前記合金粉
    末を−60メッシュ〜+350 メッシュの粒度分布を有する
    合金粉とすることを特徴とする軽合金部材との接合性に
    優れた耐摩耗部材用多孔質金属焼結体の製造方法。
  6. 【請求項6】 合金粉末に、黒鉛粉と、潤滑剤粉末とを
    混合して混合粉としたのち、該混合粉をリング状に成形
    して圧粉体となし、ついで該圧粉体を焼結して多孔質金
    属焼結体製耐摩環とする耐摩環の製造方法において、前
    記合金粉末を−60メッシュ〜+350 メッシュの粒度分布
    を有するオーステナイト系ステンレス鋼粉とし、前記混
    合粉が、前記黒鉛粉を1.5 質量%以下、前記潤滑剤粉末
    を0.5〜1.5 質量%含有することを特徴とする耐摩環の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 前記混合粉がさらに、粒径:150 μm 以
    下の、MnS 、CaF2、BN、およびエンスタタイトのうちか
    ら選ばれた1種または2種以上からなる被削性改善用微
    細粒子粉末を、0.1 〜5質量%含有することを特徴とす
    る請求項6に記載の耐摩環の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記オーステナイト系ステンレス鋼粉
    が、質量%で、 C:0.3 %以下、 Si:1.0 %以下、 Mn:2.0 %以下、 P:0.1 %以下、 S:0.03%以下、 Ni:5.0 〜15.0%、 Cr:15.0〜25.0%、 を含み、残部実質的にFeである組成を有するオーステナ
    イト系ステンレス鋼粉であることを特徴とする請求項6
    または7に記載の耐摩環の製造方法。
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