JP7021991B2 - 内燃機関用ピストンおよび内燃機関用ピストンの製造方法 - Google Patents

内燃機関用ピストンおよび内燃機関用ピストンの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、内燃機関用ピストンおよび内燃機関用ピストンの製造方法に関する。
内燃機関の低燃費性能へ寄与する熱効率を高めるために、従来、燃焼室内部の壁面に断熱層を設ける技術が知られており、様々な断熱層の構成が提案されている。断熱層が設けられた内燃機関用の部材として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この特許文献1によれば、エンジン燃焼室に臨む部材の表面に断熱層が設けられており、断熱層は、無機酸化物からなる中空粒子と、フィラー材と、ケイ酸を主体とするガラス質材とを含み、ガラス質材は非粉末状態であり、中空粒子とフィラー材とを覆うと共に結合している構成が開示されている。特許文献1によれば、中空粒子によって断熱層の断熱性能を向上し、かつ、断熱層内への燃料の浸み込みを防止でき、長期にわたって高い断熱性を維持することができるとされている。
ところで、従来の断熱層を構成する金属およびセラミックス(ガラス)などは、体積比熱が大きいことから、エンジンを構成する基材のベース温度(燃焼室内部のガス温度が最も低いときの基材の温度)を上昇させやすく、ガス温度に対する燃焼室壁面の温度の熱応答性(追従性)が低下する。この熱応答性が低いと、ノッキングやNOの増大を引き起こす原因となり、燃料の燃焼効率が低下する。そのため、体積比熱が大きい断熱層は、燃焼室壁面の一部を構成する内燃機関の部材全面へ設けず、範囲を限定して使用する必要がある。しかしながら、内燃機関の高い熱効率を実現するためには、燃焼室壁面において、より大きい面積で使用できる断熱層が必要であり、そのためには断熱層を構成する材料として、低熱伝導性に加えて低体積比熱を有するものが求められている。
低熱伝導および低体積比熱を両立するために、構造中に気孔が均等分散した多孔質構造が好適であると考えられる。例えば、特許文献2には、多数の空孔を含むポーラス構造を有する陽極酸化膜から構成される断熱膜と、断熱膜の空孔の内部に封入される複数の粒子であって、隣接する粒子の間の隙間が予め設定される大きさの空隙となるように封入される複数の封入粒子を備える内燃機関が開示されている。特許文献2には、断熱膜は母材よりも低い熱伝導率および低い単位体積当たりの熱容量を有する断熱材を使用することが記載されており、その素材として中空構造を持つ断熱材が好適であることが記載されている。
特開2015‐68302号公報 特開2012‐47110号公報
上述したように、内燃機関の熱効率を高めるために、断熱層は低熱伝導性および低体積比熱を両立することが望まれるが、さらに、耐久性および基材(断熱層が設けられる内燃機関の部材)との密着性を確保することも重要である。上述した特許文献1および2は、いずれも、耐久性、低熱伝導性および低体積比熱のすべての項目について、十分なレベルを達成するものではなかった。
本発明は、上記事情に鑑み、耐久性および基材との密着性を確保し、かつ、低熱伝導性および低体積比熱を実現することが可能な内燃機関用ピストンおよび内燃機関用ピストンの製造方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するため、基材と、基材の表面に設けられた表面層とを有し、表面層は、母相と、母相に分散され、内部に空孔を有する中空粒子とを含み、母相は、金属相と、空隙とを含み、金属相は、複数種類の相と、複数種類の相が相互に拡散して形成された1つ以上の拡散相を含み、拡散相のうち少なくとも1つは、複数種類の相のうち最も液相温度または固液共存相温度の低い相より、液相温度または固液共存相温度が高温である組成を有することを特徴とする内燃機関用ピストンを提供する。
また、本発明は、上記目的を達成するため、融点の異なる2種以上の金属の粉末と、内部に空孔を有する中空粒子とを混合して原料粉末を得る工程と、原料粉末を基材の表面に設置し、加熱して金属の焼結体の形成および焼結体と基材とを接合する熱処理工程とを有し、熱処理工程における熱処理温度は、金属粉末のうち、最も融点が低い金属の固相温度以上の温度であり、かつ、金属粉末のうち、最も融点が高い金属の液相温度または固液共存相温度未満の温度であることを特徴とする内燃機関用ピストンの製造方法を提供する。
本発明のより具体的な構成は、特許請求の範囲に記載される。
本発明によれば、耐久性および基材との密着性を確保し、かつ、低熱伝導性および低体積比熱を実現することが可能な内燃機関用ピストンおよび内燃機関用ピストンの製造方法を提供することができる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の内燃機関用ピストンの一例を示す断面模式図 中空粒子の1例を示す模式図 中空粒子の他の例を示す模式図 図1の母相を拡大する図例を示す模式図 母相を構成する金属相の平衡状態図(第1の例) 母相を構成する金属相の平衡状態図(第2の例) 母相を構成する金属相の平衡状態図(第3の例) 母相を構成する金属相の平衡状態図(第4の例) 母相を構成する金属相の平衡状態図(第5の例) Al-Mg-Si3元系合金の液相投影図 本発明の内燃機関用ピストンの一例を示す断面図 本発明の内燃機関用ピストンの製造方法の一例を示すフロー図 母相を構成する金属相の平衡状態図 図12のH粉末とL粉末の焼結過程における温度と時間の関係示すグラフ 実施例で用いたパルス通電装置の一例を模式的に示す図 実施例1で原料混合粉末1を用いて作製した焼結体の断面SEM観察写真 実施例1で原料混合粉末1を用いて作製した焼結体1のEDXマッピング(Mg) 実施例1で原料混合粉末1を用いて作製した焼結体1のEDXマッピング(Al) 実施例1で原料混合粉末2を用いて作製した作製した焼結体の断面SEM観察写真 実施例1で原料混合粉末1を用いて作製した焼結体1の再熱後の断面SEM観察写真 実施例1で原料混合粉末1を用いて作製した焼結体1の再熱後のEDXマッピング(Mg) 実施例1で原料混合粉末1を用いて作製した焼結体1の再熱後のEDXマッピング(Al) 実施例2で作製した内燃機関用ピストンの模式図 実施例2で作製した内燃機関用ピストンピストンの断面SEM観察写真
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
[内燃機関用ピストン]
図1は本発明のAl基合金焼結体の一例を示す断面模式図である。図1に示すように、本発明のAl基合金焼結体は、基材1と、基材1の表面に設けられた表面層2とを有する。表面層2は、母相3と、母相3に分散され、内部に空孔40を有する中空粒子4とを含む。母相3は、金属相30と、空隙31とを含む。本発明のAl基合金焼結体は、母相3が含む空隙31と、中空粒子が含む空孔40の両方を合わせることで、表面層2の全体の気孔率を50vol%まで高めることを実現している。
図2(a)は中空粒子の1例を示す模式図であり、図2(b)は中空粒子の他の例を示す模式図である。図2(a)に示すように、中空粒子は、球形の中空粒子4aの内部に球形の空孔40aを有する物であってもよいが、図2(b)に示すように、球形の中に微細な花弁状構造を有する中空粒子4bの外側に空孔40bを有する物でもよい。中空粒子は、図2(a)および図2(b)に示す形状の他に網状や積相状の材料が考えられるが、それらに限られず、空孔または気体を構造中に含み、低密度化した材料全般を含む。具体的な材料としては、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)または炭酸カルシウム(CaCO)が好ましい。
中空粒子4の材料は、焼結体の断熱性能を確保するために熱伝導率が低い材料とすることが好ましく、特にシリカを用いることが好ましい。シリカはセラミックスの中でも比較的熱伝導性が低く、なおかつ中空状あっても強度が比較的高い材料である。シリカを主成分とする中空粒子としては、セラミックビーズ、シリカエアロゲル、多孔ガラス、ガラスビーズ、火山性白砂、珪藻土およびそれらの加工粉末等があるが、これらに限定されるものではない。
上述したように、燃料の燃焼を促進すべく、ピストンの冠面に広い範囲に渡って断熱層を設けるためには、断熱層が十分な断熱性能を有すると同時に、蓄熱を最小限にして内燃機関内部の温度上昇を起こさないようにすることが重要である。すなわち、低熱伝導および低体積比熱を両立する必要があり、このような層としては、気体を取り込んだポーラス構造とすることが好適であると考えられる。しかしながら、特許文献1および特許文献2のように、セラミックス等のポーラス体を金属製のピストン基材へ接合させた場合、界面での密着性を十分に保つことができず、十分な耐久性を実現することができない。そこで、本発明では、ポーラス体である表面層2の主要部分を構成する母相3を焼結金属とすることで、金属からなる基材1との密着性および耐久性を確保することを実現した。
また、低熱伝導性を向上するためには、母相3の空隙31を増大させることが有効と考えられるが、空隙31を増大させすぎると母相3の強度が低下し、表面層2が内燃機関の中の過酷な環境(温度および圧力)に耐えられない。そこで、本発明では、母相3の空隙31中に中空粒子4を含有させ、母相3中の空隙31と中空粒子4の空孔40とを合わせることで、表面層2全体の気孔率(中空粒子4の空孔40と空隙31)を十分に確保しつつ、母相3中の空隙31の量を抑えて、表面層2の強度を保つ構成としている。
本発明において気孔率は、40vol%より大きく70vol%以下であることが好ましい。40vol%以下である場合は、十分に低い体積比熱を実現することができず、70vol%より大きい場合は、表面層2の強度を保つことが困難となる。なお、表面層2を、空隙31を含む母相3のみで構成し、中空粒子4を含まない場合、表面層2の気孔率(すなわち、空隙31の比率)が40体積%以上となると強度を保つことが困難となる。
また、母相3が空隙31を含まず、中空粒子4のみを含む場合、中空粒子4を含むスペースとなる空隙31が無くなるため、中空粒子4の体積比率が限定され、30vol%以上の気孔率を確保することが困難となる。本発明では、母相3に含まれる空隙31と、中空粒子4が有する空孔40を合わせることで、40vol%より大きい気孔率を確保することが可能となる。
図3は図1の母相を拡大する図である。図3に示すように、金属相30は、2つ以上の金属相を含む。図2では、金属相30として、第1の相(A相)30aと第2の相(B相)30bを含んでいる。そして、上記金属相が相互に拡散して形成された拡散相30cが含まれている。なお、図3では第1の相(A相)30a、第2の相(B相)30bおよび拡散相30cを図示したが、金属相の数は2つに限られず、また第1の相と第2の相の間に形成される拡散相も1つには限られない。
ここで、第1の相30aおよび第2の相30bの好ましい組成について説明する。耐久性、低熱伝導性および低体積比熱を実現する表面層2(断熱層)の材料としては、多孔質構造の焼結体を利用することが考えられる。多孔質構造とは、母材となる材料の中に多数の気孔を有する構造であるが、母材に対するその割合が少な過ぎると低熱伝導性および低体積比熱を実現する事ができない。一方で、母材に対する気孔の割合が多過ぎると強度が低下する。そのため、気孔の体積比率が重要である。また、焼結体の内部で空孔の分布に偏りが存在すると、強度低下の要因となるだけでなく低熱伝導性も実現できない。そのため、多孔質構造ではその中で気孔が均等分散する事も重要である。
多孔質構造の焼結体製造方法としては、金属(合金)粉末と多孔質材料(中空粒子)を混合した原料粉末を焼結温度で保持し、金属粉厚同士で生じる元素の相互拡散現象によって金属粉末同士を接合し、焼結体を得る方法が一般的である。焼結法は大きく分けて固相拡散焼結と液相存在下での焼結とがある。
固相拡散焼結は粉末の集合体を融点より低い温度で加熱し、粉体同士の接触面での元素拡散現象を利用して結合させる方法である。液相を生じないため焼結体は加熱前の形状が概ね維持される。しかしながら、固相拡散焼結では接合の進行度が接触面での元素の拡散距離に依存するため、焼結に必要な時間が長くなる欠点がある。また、作製した焼結体を、原料粉末の融点または焼結体の内部に存在する金属相の中で最も融点の低い組成より高温に再熱(後熱処理)した場合には、接合の分断や気孔の偏析等の熱的影響が避けられない。
一方、原料粉末の融点または共晶温度近傍まで加熱することで、原料粉末またはその一部を液相化させて焼結する液相存在下での焼結の場合には、界面の反応および液相中の元素の拡散が速やかに進み短時間で焼結が完了する。しかしながら、原料粉末の粘性が低下するため加熱前の形状が維持されにくい。特に、低体積比熱および低熱伝導の特性を付与する目的で多孔質材料を混合するまたは意図的に空隙を形成する場合には、比重の差から多孔質材料や空隙が偏析する可能性がある。
さらに、焼結過程において材料の融点より低い温度に降温する場合には、液相が凝固する際に凝固収縮を生じ、特に急冷する際に焼結体の変形や割れの原因となる。また、作製した焼結体を原料粉末の融点もしくは焼結体内に存在する相の中で最も融点の低い組成より高温に再熱した場合には、接合の分断や気孔の偏析などの熱的影響を避けられない。
上述したように、固相拡散焼結および液相存在下での焼結の両方とも、焼結体形成後の製造工程に焼結温度付近もしくはそれ以上の温度に加熱する工程が含まれる場合、焼結体への熱的影響が避けられない。特に基材の表面に表面層(断熱層)として焼結体を形成する場合には、基材の変形や熱影響を防ぐために、焼結温度を高温にする事(すなわち高温で焼結する原料を使用する事)が難しいため、表面層を形成した後に溶体化処理などの後熱処理をする事ができない。製品の使用環境で高温に晒される場合も同様である。
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、耐久性および基材との密着性を確保し、かつ、低熱伝導性および低体積比熱を実現することが可能であることに加え、焼結体作製後の再加熱にも耐えることが可能であり、基材上に断熱層として焼結体を形成する場合においても基材との密着性の高い表面層を有する内燃機関用ピストンの構成を見出した。
図4は、母相を構成する金属相の平衡状態図(第1の例)である。図4では、A相の中心組成401はAl69.8-Mg13.5-Si16.7(at%)であり、B相の中心組成402はAl65.7-Mg18.5-Si15.8(at%)である。母相の組成の平均値403はAl68.9-Mg14.6-Si16.5(at%)であり、すなわち金属相中のA相とB相の比率は78:22(at%)である。
この状態図を見ると、450℃~590℃の温度範囲のうち何れかの温度を加熱保持温度として選定した場合、加熱温度の等温線406上でA相の中心組成401とB相の中心組成の間には固相と固液共存相の境界である溶解曲線404が存在する。すなわち、低温から保持温度に昇温していく過程ではA相が固相のままB相に液相が生じる組成である。拡散相30cはA相とB相の中間の組成をもち、B相より融点の高い組成である。A相とB相は互いに接しているため非平衡状態にあり、加熱保持した場合には拡散相30cを通じてA相とB相の組成がそれぞれ母相の平均組成403と等しくなるまで相互拡散が進む。このとき、例えば母相を構成する金属相の組成の中で最も融点の低い相であるB相の融点490℃以上で、A相の融点である560℃未満のいずれかの温度に加熱した場合には、A相は固相のまま残存して焼結体の形状を維持する。B相は一旦固液共存状態となるものの、前述したように温度保持中にB相の組成402は母相の平均組成403に近づくため徐々に高融点化し、ついには固相となる。本発明には状態図上のA相の中心組成401とB相の中心組成を通過する等温線406のB相側の延長線上に固相と固液共存相の境界である溶解曲線404が存在する。すなわち、A相とB相の相互拡散が進み、加熱保持温度で互いが固相化した状態の金属相を有する場合も含まれる。
この様に作製した焼結体を、原料粉末の融点もしくは焼結体内に存在する相の中で最も融点の低い相(図4では、B相)の組成の融点より高温に加熱した場合にも、焼結体は接合の分断や気孔の偏析を生じない。そのため、金属相を、金属相の平衡状態図において、金属相のうち最も融点の高い第1の相(A相)の液相温度より低い温度で、第1の相(A相)とそれ以外の相(B相)の組成を通過する等温線上または第1の相(A相)とそれ以外の相(B相)の組成を通過する等温線上の第1の相(A相)以外の相側の延長線上に、固相と、液相または固液共存相との境界を持つ組成を有するようにする。このような組成を有するA相およびB相の金属の粉末を原料として用い、490℃以上560℃未満の間のいずれかの温度の熱処理温度で焼結することで、後熱処理において、焼結体を560℃未満の温度まで再熱可能である。すなわち、560℃未満での後熱処理ならば、焼結体に熱的な損傷を与えることが無い。また、凝固曲線405から読み取れる母相の平均組成403の凝固点660℃より低い温度であれば、加熱保持した場合にも金属相中に固相が維持されるため、焼結体が完全に溶融する事はない。
A相およびB相を構成する金属は、共相組成を持つ2元系以上の合金である事が望ましい。具体的には、A相またはB相の少なくとも一方がAlを含む合金であることが好ましい。内燃機関用ピストンの基材がAl合金製であることから、表面層にAlを含めることで、基材と表面層との密着性を高めることができるためである。
A相およびB相を構成する金属は、Alに加えてMg、Si、Ti、Ni、Zn、Cu、Bi、In、SnおよびPbのうちの少なくとも1つを含む2元系以上であることが望ましい。これらの元素を選定した理由は,400~700℃の温度範囲で共晶を生成する組成を持つためである。
次に、A相およびB相の他の具体例を示す。図5は母相を構成する金属相の平衡状態図(第2の例)である。図5はAl-Mgの2元素系合金の状態図であり、A相の組成501はAl98.0-Mg2.0(at%)、B相の組成502はAl81.5-Mg18.5(at%)である。母相の平均組成503はAl89.8-Mg10.2(at%)であり、すなわち金属相中のA相とB相の比率は50:50(at%)である。この金属相の焼結体を得るには、450℃(B相の融点)以上520℃(A相の融点)未満の温度で焼結すれば良く、焼結後の焼結体は520℃未満まで再熱可能である。
図6は母相を構成する金属相の平衡状態図(第3の例)である。図6はAl-Mg-Siの3元素系合金であり、A相の組成601はAl36.7-Mg38.0-Si25.3(at%)、B相の組成602はAl44.6-Mg46.2-Si9.2(at%)である。母相の平均組成603はAl39.9-Mg41.3-Si18.9(at%)であり、すなわち金属相中のA相とB相の比率は60:40(at%)である。この構造の焼結体を得るには450℃(B相の融点)以上557℃(A相の融点)未満の何れかの温度で焼結すれば良く、焼結後の焼結体は557℃未満まで再熱可能である。
図7は母相を構成する金属相の平衡状態図(第4の例)である。図7はAl-Mg-Siの3元素系合金であり、A相の組成はAl89.6-Mg6.6-Si3.8(at%)でB相の組成はAl89.1-Mg10.2.0-Si0.7(at%)である。母相の平均組成703はAl89.4-Mg7.7-Si2.9(at%)であり、すなわち構造中のA相とB相の比率は70:30(at%)である。この構造の焼結体を得るには、508℃(B相の融点)以上557℃(A相の融点)未満の何れかの温度で焼結すれば良く、焼結後の焼結体は557℃未満まで再熱可能である。
図8は母相を構成する金属相の平衡状態図(第5の例)である。図8はAl-Ni-Siの3元素系合金であり、A相の組成はAl55.0-Ni20.0-Si25.0(at%)、B相の組成はAl65.0-Ni20.0-Si15.0(at%)である。母相の平均組成803はAl60.0-Ni20.0-Si20.0(at%)であり、すなわち構造中のA相とB相の比率は50:50(at%)である。この構造の焼結体を得るには560℃(B相の融点)以上650℃(A相の融点)未満の何れかの温度で焼結すれば良く、焼結後の焼結体は650℃未満の温度まで再熱可能である。
A相およびB相は、Al-Mg-Siの3元系の化合物であることが望ましい。Mgを選定した理由は,Al-Mgの合金は広い範囲で融点450℃の共晶組成を持つためである。図9はAl-Mg-Si3元系合金の液相投影図である。Al-Mg-Si合金を選定した理由は、図9に示すAl-Mg-Si3元系合金の液相投影図901からわかるように、3元系合金の最も低い融点が435.6℃であり、最も高い融点が594℃であるため,本発明の目的とする組成の焼結体を形成しやすいためである。
さらに、A相の組成範囲902はAl-Mg0~18-Si0~20(at%)の2元以上の系および微量添加元素からなる事が望ましい。A相のMg量を18at%以下とした理由は、Mg18%を境にMg濃度が低下すると融点が増加するためである。また、Siを20at%以下とした理由はSiの量を増加させると金属間化合物であるMgSiが過剰に生成され、母相の強度を低下させるためである。B相の組成範囲903は、Al-Mg5~78-Si0~20(at%)の2元以上の系および添加元素からなることが望ましい。B相のMg量を5~78%とした理由は、その範囲で融点が462℃以下となる共晶組成が存在しており、A相に対する低融点の組成を形成する範囲が広いためである。また、Siを20%以下とした理由は、Siの量を増加させると金属間化合物であるMgSiが過剰に生成され、母材の強度を低下させるためである。A相とB相に指定する組成が重なっている組成範囲904があるが、いずれの組成を選んでも、平衡状態図において、A相の液相温度より低い温度範囲で、A相とB相の組成を通過する等温線上のA相とB相の間またはB相側の延長線上に、液相または固液共存相と固相との境界を持つ組成を選定する。A相とB相の組成は、焼結体の断面をEDX(Energy dispersive X-ray spectrometry)分析またはオージェ分光分析により組成の定量分析をすることで同定が可能である。
また、金属相のA相の比率は30vol%~70vol%の間とする事が望ましい。A相の比率が30vol%未満である場合には、焼結中に液相が過多となり多孔構造を維持することが難しい。また、A相の比率が70vol%より大きい場合には、A相とB相との接触が少なくなるために焼結体の強度が低下する。また、A相とB相の比率は、母相全体の平均値の組成の融点が、A相の融点より低温にならない比率とする事が望ましい。
表面層2の空孔40と空隙31の合計含有比率は、30vol%以上70vol%以下であることが好ましい。30vol%よりも小さい場合は、低体積比熱と低熱伝導率の特性を得ることが難しくなり、70vol%よりも大きい場合は、金属粒子同士の結合を阻害して焼結体の強度を損ねる結果となる。
表面層2の体積比熱は、1000kJ/m・K以下であることが好ましい。内燃機関用ピストンの表面層2として焼結体を用いた場合、内燃機関内部でのベース温度の上昇がほとんど発生しない水準となる。すなわち、表面層2のガス温度に対する熱応答性が十分高いものとなり、燃焼室内部のガス温度の変化に合わせて瞬時に低温から高温へ、または高温から低温へ変化できる。
図10は本発明の内燃機関用ピストンの一例を示す断面図である。図1の表面層2は、図10に示す内燃機関用ピストンの、燃焼室に接する面である冠面1302に形成される。
[内燃機関用ピストンの製造方法]
次に、本発明の内燃機関用ピストンの製造方法について説明する。図11は本発明の内燃機関用ピストンの製造方法の一例を示すフロー図である。本発明の内燃機関用ピストンの製造方法は、融点の異なる2種以上の合金の粉末と、内部に空孔を有する中空粒子とを混合して原料粉末を得る工程と、原料粉末を基材の表面に設置し、加熱して合金の焼結体の形成および焼結体と前記基材とを接合する熱処理工程(S12、S13)とを有する。その前後に、ピストン基材の鋳造工程(S10)、ピストン基材の一次機械加工(S11)、熱処理(後熱処理)工程(S14)、二次機械加工工程(S15)を有する。
ピストン基材の鋳造工程(S10)では、例えば、Al合金粗材を従来の方法で鋳造する。続く一次機械加工工程(S11)では、得られた粗材に対して機械加工を施す。図13に示すピストンにおいて、ランド部外径1301の切削および基材にピン穴1303を設ける加工を施す。一次機械加工工程を施した基材の表面1302に、表面層の原料粉末(混合粉末)を設置する(S12)。原料粉末は、融点の異なる2種以上の金属の粉末を混合した粉末と、中空粒子を混合した粉末とする。この際に、混合粉末を粉末状のままピストン基材の表面に設置しても良いが、原料粉末を所定の形状を有する成形体、例えば粉末に予め圧力を加えて予備成形を行うことでビスケット状に押し固めた圧粉体とし、この圧粉体を基材の表面に設置してもよい。
次に、原料粉末の上部から荷重をかけて加熱することで、原料粉末を焼結して表面層を形成すると同時に、表面層とピストン基材とを接合させる(S13)。
原料粉末の焼結方法としては、母相30に空隙31が形成されるように金属粒子を焼結可能な方法であれば特に限定は無いが、パルス通電焼結、ホットプレス焼結、熱間等方加圧焼結および冷間等方加圧焼結等が好適である。これらのなかでも特に荷重および温度を制御可能な加圧焼結とすることが好ましく、パルス通電焼結法が好適であると考えられる。パルス通電焼結(Pulse Electric Current Sintering)は、放電プラズマ焼結(Spark Plasma Sintering)とも呼ばれる焼結手法である。原料粉末に加圧しながらパルス通電を印加すると、粉末表面では抵抗発熱とスパーク放電による発熱が発生し、粉末表面での反応を活性化し、原料粉末の接触部の反応を促進する。
パルス通電焼結法では、粉末表面での反応が活発化するため、比較的荷重負荷が小さい環境での焼結が可能であり、中空粒子の形状を破壊せずに含有させることが可能である。本発明においては、混合粉末にパルス通電を印加することにより、金属粒子同士が互いに繋がった母相を形成し、かつ金属粒子同士の結合部分以外で構成された空隙と、多孔質材料をその形状を壊すことなく包含することができる。パルス通電焼結法を用いれば、荷重または押込み量を制御して加圧することにより、母相の空隙の割合を制御することが可能である。
図12は母相を構成する金属相の平衡状態図であり、図13は図12のH粉末とL粉末の焼結過程における温度と時間の関係示すグラフである。図12の相図は、図4の相図と同じである。図13では、2種類の粉末同士の接合過程を模式的に示す図を併記している。図12におけるH粉末1001とL粉末1002の2種以上の金属粉末を混合する。このとき、L粉末の融点1010はH粉末の融点1005より低温である必要がある。H粉末とL粉末の混合比は任意に決定できるが、H相の比率が30vol%以上70vol%以下となるように調整する事が望ましい。混合粉末の平均組成1003は、H粉末の組成とL粉末の中間にある。焼結温度は、H粉末の融点とL粉末の融点の間の温度1006とし、焼結温度1006においてH粉末とL粉末の組成を通過する等温線上のH粉末とL粉末の組成の間に溶解曲線1004の境界を持つ組成であるとする。
H粉末およびL粉末を混合し、加圧した状態で加熱して焼結させる。図13に示すように、室温において混合したH粉末1101とL粉末1102は、図中の(1)に示す状態であり、互いに固相であり粉末同士は接触している。昇温を開始して温度が上昇し、温度がL粉末の融点1010を超えると、L粉末は溶融し、L粉末が液相化した相1113となってH粉末と接触する(図13(2))。さらに昇温し、焼結温度1006まで達したところで温度を保持する。H粉末と液相が接触している部分に拡散相1114が形成される(図13(3))。
さらに温度を保持していると、拡散相1114を通して液相部分と固相部分の元素の相互拡散が生じ、何れの組成も平均組成1003に近づいていく。このとき、図12に示す溶解曲線1004に沿って液相部分の融点が徐々に高温化するため、液相部分が凝固した固相部分1115が広がっていく(図13(4))。さらに温度を保持すると、液相部分が全て固相化する(図13(5))。このときの固相部分1115の組成は、図4に示すB相の組成402である。その後降温して焼結体を得る。なお、焼結中に図13(4)の状態になった段階で降温して焼結体を得てもよい。また、焼結過程でL粉末が完全に溶融せず固液共存相の状態であってもよい。
多孔質構造の焼結体を作成する場合には、H粉末とL粉末に加えて中空粒子を混合する。焼結中にH粉末は固相のまま残存し、最終的に図4のA相の組成401となる。焼結中にも粉体状の固相が存在しているため、焼結体は元の形状を維持し、且つ内部に含む多孔質材料や空隙の偏析も起こらない。また、焼結中に液相が存在するため焼結時間も短時間でよい。さらに、焼結中に液相が凝固して固相となるため、降温中の凝固収縮も起こらない。前述したように、焼結体は焼結温度で固相または液相が局所的に存在する組成であるため、焼結体を焼結温度より高温に再熱しても熱的損傷が起こらない。
表面層形成後の後処理として、熱処理(後熱処理)工程を実施する(S14)。この熱処理工程は、基材表面で原料粉末を焼結して表面層を形成する過程で発生する歪を除去し、強度を均一化することを目的とするものであり、例えば溶体化時効処理または人工時効処理を行う。熱処理工程(S14)後、二次機械加工工程(S15)として仕上げの切削加工を施し、製品であるピストンが完成する。
さらに、図示していないが、S13後に、封止層形成工程を有していてもよい。封止層の形成方法としては、例えば封止材としてポリシラザンを用いる場合、焼結体の表面にポリシラザンの前駆体を含む塗布液を塗布し、400~500℃で1~2時間加熱して乾燥することで形成することができる。塗布液としては他にもポリカーボネイト、ポリアミドイミドおよびパーミエイト等が考えられるがそれらに限定されない。
本明細書の相図の出典を以下に示す。
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(2)G.Effenberg, S.Ilyenko(Eds), K.C.Hari Kumar, Nirupan Chakraborti,Hans-Leo Lukas,Oksana Bodak,Lazar Rokhlin (2005).Al-Mg-Si (Aluminium - Magnesium - Silicon), Light Metal Systems. Part 3 Volume 11A3.
以下、実施例および参考例に基づいて、本発明についてさらに詳述する。
実施例1として,Al12Mg17粉末とAl90-Si10(at%)合金粉末を40:60vol%で混合して混合金属粉末を作製し、中空粒子として球状のSiO中空粒子を、混合粉末との体積比が50:50vol%となるよう混合した原料混合粉末を準備した。また、参考例として、Al12Mg17粉末と球状のSiO中空粒子を体積比が50:50vol%となるよう混合した原料混合粉末2を準備した。このいずれの粒子も、平均粒子径が30μmのものを用意した。この原料混合粉末をパルス通電焼結法によって焼結温度460℃で焼結し、焼結体を作製した。参考例1は、原料粉末のH粉末とL粉末の割合が好ましい範囲(H粉末が30~70vl%)に無いものである。
図14は実施例1で用いたパルス通電装置の一例を模式的に示す図である。真空チャンバ84内で、円環状のカーボンダイ82の中に上述した原料混合粉末81を入れ、カーボンパンチ83を図8の矢印方向に駆動して荷重を負荷し、パルス電源87および電極(上部電極85および下部電極86)を介して混合粉末にパルス通電を印加し、加熱して焼結した。パルス通電焼結中は、温度、荷重およびカーボンパンチ83の押込み量をモニタリングした。
図15(a)~(c)は、実施例1で原料混合粉末1を用いて作製した焼結体の断面SEM(Scanning Electron Microscope)観察写真およびEDXマッピングである。図15(a)は焼結体の断面SEM観察写真、図15(b)はMgのEDXマッピング、図15(c)はAlのEDXマッピングである。焼結体中には、Al合金であるA相1501と、A相よりMg濃度の高いB相1502が存在し、その境界には拡散層1503が形成されている。また、焼結体中に中空粒子1504としてSiO中空粒子と、空隙1505が存在している。焼結体1の体積および重量から推定した気孔率は54%であり、示差走査熱量法(DSC(Differential scanning calorimetry)法)を用いて重量比熱を測定し、別途測定した密度から算出した体積比熱は1000kJ/m・Kであった。
図16は、実施例1で原料混合粉末2を用いて作製した作製した焼結体の断面SEM観察写真である。焼結体1604の上部1605および下部1606の拡大図も併せて示す。焼結体下部1606に中空粒子および空隙が偏析している。これは、焼結中に母相の金属がすべて液相化したためであると考えられる。
図17(a)~(c)は、実施例1で原料混合粉末1を用いて作製した焼結体1の再熱後の断面SEM観察写真およびEDXマッピングである。を、図17(a)は焼結体1を熱処理温度460℃より高い510℃に再熱した後、室温まで降温した後の焼結体の断面SEM観察写真、図17(b)はMgのEDXマッピング、図17(c)はAlのEDXマッピングである。図17(a)~17(c)に示すように、焼結体にはき裂や多孔質材料の偏析も見られず、焼結体を焼結温度より高温にしても熱的損傷のない焼結体構造を得ることに成功した。
図11に示す方法で、実施例1と同じ構成を有する表面層を有するピストンを作製した。ピストンは、図11の製造工程に沿って、ピストン鋳造工程(S10)で作製したアルミニウム合金製のピストン粗材(JIS(Japanese Industrial Standards) AC8A)に一次機械加工(S11)を施し、一次機械加工時に、ピストン冠面に直径70mmの凹部(図10の冠面1302)を形成した。原料混合粉末設置工程(S12)では、ピストン冠面1302に原料混合粉末を充填し、焼結及び接合工程(S13)では拘束ジグにより原料混合粉末とピストン基材とを十分に接触させ、熱処理炉で拡散接合を実施した。その後、溶体化処理と人口時効処理(S14)を施し、二次機械加工(S15)により仕上げ形状に加工して所定の形状を有するピストンを完成した。図18(a)は実施例2で作製した内燃機関用ピストンの模式図であり、図18(b)は実施例2で作製した内燃機関用ピストンの断面SEM観察写真である。断熱層1801と基材1802の境界部の断面をSEMで観察しとところ、焼結体の割れや基材との剥離のない断熱層を確認することができた。
以上、説明した通り、本発明によれば、耐久性および基材との密着性を確保し、かつ、低熱伝導性および低体積比熱を実現することが可能な内燃機関用ピストンおよび内燃機関用ピストンの製造方法を提供することができることが示された。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1,1802…基材、2,1801…表面層、3…母相、30…金属相、30a…第1の相(A相)、30b…第2の相(B相)、30c…拡散相、31…空隙、4,4a,4b…中空粒子、40a,40b…空孔、81…原料混合粉末、82…円環状のカーボンダイ、83…カーボンパンチ、84…真空チャンバ、85…上部電極、86…下部電極、87…パルス電源、401,501,601,701,801…A相の中心組成、402,502,602,702,802…B相の中心組成、403,503,603,703,803…金属相の平均組成、404…溶解曲線、405…凝固曲線、406…等温線、901…Al-Mg-Si3元系合金の液相投影図、902…A相の組成範囲、903…B相の組成範囲、1301…ランド部外径、1302…ピストン冠面、1303…ピン穴、1001…H粉末の組成、1002…L粉末の組成、1003…H粉末とL粉末の平均組成、1004…溶解曲線、1005…H粉末の融点、1006…焼結温度、1010…L粉末の融点、1101…H粉末、1102…L粉末、1113…L粉末が液相化した相、1114…拡散相、1115…液相部分が凝固した固相部分、1104…L粉末の融点、1105…H粉末の融点、1106…焼結温度、1501…A相、1502…B相、1503拡散層、1504…中空粒子、1505…空隙、1604…焼結体、1605…焼結体の上部、1606…焼結体の下部、1701…A相、1702…B相、1703…拡散相、1704…中空粒子、1705…空隙、1707…SEM観察写真、1708…EDXマッピング(Mg)、1709…EDXマッピング(Al)。

Claims (14)

  1. 基材と、前記基材の表面に設けられた表面層とを有し、
    前記表面層は、母相と、前記母相に分散され、内部に空孔を有する中空粒子とを含み、
    前記母相は、金属相と、空隙とを含み、
    前記金属相は、複数種類の相と、前記複数種類の相が相互に拡散して形成された1つ以上の拡散相を含み、前記拡散相のうち少なくとも1つは、前記複数種類の相のうち最も液相温度または固液共存相温度の低い相より、液相温度または固液共存相温度が高温である組成を有することを特徴とする内燃機関用ピストン。
  2. 前記金属相のうち最も融点が高い第1の相の比率が30vol%以上70vol%以下であることを特徴とする請求項に記載の内燃機関用ピストン。
  3. 前記金属相は、Alを主成分とし、Mg、Si、Ti、Ni、Zn、Cu、Bi、In、SnおよびPbのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関用ピストン。
  4. 前記金属相は、Alを主成分とし、Mgを0at%以上18at%以下、Siを0at%以上20at%以下含む2元系以上の合金と、Mgを5at%以上78at%以下、Siを0at%以上20at%以下含む2元系以上の合金を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関用ピストン。
  5. 前記空孔と前記空隙の合計含有比率が40vol%より大きく、70vol%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関用ピストン。
  6. 前記中空粒子は、SiO、Al、ZrOまたはCaCOであることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関用ピストン。
  7. 前記表面層の体積比熱は、1000kJ/m・K以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関用ピストン。
  8. 前記表面層が前記内燃機関用ピストンの冠面の断熱層であることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関用ピストン。
  9. 融点の異なる2種以上の金属の粉末と、内部に空孔を有する中空粒子とを混合して原料粉末を得る工程と、
    前記原料粉末を基材の表面に設置し、加熱して前記金属の焼結体の形成および前記焼結体と前記基材とを接合する熱処理工程とを有し、
    前記熱処理工程における熱処理温度は、前記金属の粉末のうち、最も融点が低い金属の固相温度以上の温度であり、かつ、前記金属の粉末のうち、最も融点が高い金属の液相温度または固液共存相温度未満の温度であることを特徴とする内燃機関用ピストンの製造方法。
  10. 前記原料粉末は、前記熱処理温度で固相である金属と、前記熱処理温度で液相または液相と固相の混合相である金属からなることを特徴とする請求項に記載の内燃機関用ピストンの製造方法。
  11. 前記熱処理工程において、前記熱処理温度で固相である金属と、前記熱処理温度で液相または液相と固相の混合相である金属の間で生じる拡散相の液相温度または固液共存相温度は、前記熱処理温度より高温であることを特徴とする請求項に記載の内燃機関用ピストンの製造方法。
  12. 前記熱処理温度が450~650℃であることを特徴とする請求項または10に記載の内燃機関用ピストンの製造方法。
  13. 前記熱処理工程をパルス通電焼結法によって実施することを特徴とする請求項または10に記載の内燃機関用ピストンの製造方法。
  14. 前記焼結体が前記内燃機関用ピストンの冠面の断熱層であることを特徴とする請求項または10に記載の内燃機関用ピストンの製造方法。
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