JP2002356602A - 着色樹脂エマルジョン、インクジェット印刷用インク、電着液及びカラーフィルター - Google Patents

着色樹脂エマルジョン、インクジェット印刷用インク、電着液及びカラーフィルター

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JP2002356602A
JP2002356602A JP2001229429A JP2001229429A JP2002356602A JP 2002356602 A JP2002356602 A JP 2002356602A JP 2001229429 A JP2001229429 A JP 2001229429A JP 2001229429 A JP2001229429 A JP 2001229429A JP 2002356602 A JP2002356602 A JP 2002356602A
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ink
vinyl
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JP2001229429A
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Masahiro Ishii
正裕 石居
Norishige Shichiri
徳重 七里
Yoshiyuki Oguchi
善之 大口
Katsunori Toyoshima
克典 豊嶋
Tsunehisa Ueda
倫久 上田
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた安定性、耐候性、耐光性を有する着色
樹脂エマルジョン、インクジェット印刷用インク、電着
液及びカラーフィルターを提供する。 【解決手段】 疎水性ビニル系単量体100重量部と、
アニオン性基又はカチオン性基を有するビニル系単量体
1〜30重量部と、ノニオン性親水基を有するビニル系
単量体1〜55重量部とからなる混合単量体を重合して
得られるビニル系樹脂、及び、色剤からなる色剤内包樹
脂微粒子が水系媒体中に分散されてなる着色樹脂エマル
ジョン。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた安定性、耐
候性、耐光性を有する着色樹脂エマルジョン、インクジ
ェット印刷用インク、電着液及びカラーフィルターに関
する。
【0002】
【従来の技術】従来から、種々の筆記具用インク、印刷
用インク、インクジェット記録用インク、塗料、カラー
フィルター等の用途として着色樹脂が分散してなるエマ
ルジョンが用いられている。このような着色樹脂は、樹
脂微粒子の内部に色剤が分散されたものや、樹脂微粒子
の表面に色剤が吸着したものであり、その製造方法とし
ては従来から、例えば、塩化ビニル単独、又は、塩化ビ
ニルと共重合可能な単量体と塩化ビニルとの乳化重合、
又は、懸濁重合を用いて樹脂微粒子を製造し、これに色
剤を用いて染色を行うことにより着色樹脂を製造する方
法等が知られている。
【0003】着色樹脂エマルジョンをインクジェット印
刷用インク用に用いる場合、ノズルよりインクを吐出す
る際に強い機械的衝撃がインクに負荷されるため、エマ
ルジョン中の着色樹脂同士が合着を起こし易いという問
題がある。従って、インクジェット印刷用インクに用い
られる着色樹脂エマルジョンには、強い機械的衝撃にも
耐え得るような優れた機械的安定性が要求される。ま
た、インクの保存時や使用時に着色樹脂エマルジョン中
の着色樹脂が沈降を起こすと、ノズルの目詰まりを生じ
易くなるので、着色樹脂には、粒径が充分に小さく、沈
降を起こさないことが要求される。
【0004】着色樹脂エマルジョンからなるインクジェ
ット印刷用インクとしては、例えば、特開昭54−58
504号公報に「水性媒体中に、疎水性染料溶液とビニ
ル重合体微粒子の混合物を水中油型分散させたことを特
徴とするインクジェット記録用(印刷用)インク組成
物」が開示されている。しかしながら、上記開示のイン
クジェット印刷用インクの場合、油溶性染料溶液をビニ
ル重合体微粒子の水分散液に添加する際に、ビニル重合
体微粒子同士が凝集し易いという問題点や、ビニル重合
体微粒子中に染料が充分に浸透せず、色濃度が低くなる
という問題点がある。
【0005】また、特開昭62−95366号公報には
「水不溶性有機溶媒中に樹脂組成物と有機油溶性染料と
を溶解し、得られた溶液に水性相水−界面活性剤混合物
を加え、得られた混合物の乳化を行い、その後、該混合
物から溶媒を蒸発させ、それによって水性相に懸濁した
樹脂微粒子中に内包された染料を含むインクを得ること
からなるジェット複写法用インク組成物(インクジェッ
ト印刷用インク)の調製方法」が開示されている。しか
しながら、上記開示の調製方法によるインクジェット印
刷用インクの場合、樹脂微粒子の粒径が充分に小さくな
らないという問題点や、濃度、pH、機械的衝撃等の諸
要因の変化に伴い、界面活性剤の脱離が起こって樹脂微
粒子同士が凝集し易くなるという問題点、又は、乳化時
に界面活性剤に起因する泡立ちが激しくなるという問題
点がある。
【0006】更に、特公昭52−29336号公報に
は、「ブトキシメチルアクリルアミド等を含む不飽和単
量体の1種又は2種以上と、塩化ビニル、スチレン等を
含む不飽和単量体の1種又は2種以上との共重合を行う
際に、上記不飽和単量体に染料を溶解又は分散させた
後、上記不飽和単量体の共重合を行い、その内部が染料
で着色された着色樹脂を製造する方法」が開示されてい
る。しかしながら、上記開示の製造方法による着色樹脂
は、粒径や機械的安定性等のインクジェット印刷用イン
クとして必要な諸物性について配慮されているものでは
ない。
【0007】インクジェット印刷用インクには、多くの
場合、インクの過度の乾燥によるノズルの閉塞を防ぐ目
的で親水性有機溶剤や保湿剤が使用されるが、この保湿
剤と着色樹脂エマルジョンを混合して使用する際に、着
色樹脂エマルジョンの分散安定性が損なわれて、激しく
凝集が起こるといった問題がしばしばあった。これは乳
化重合時に添加された界面活性剤によって乳化分散の安
定性が付与されているため、濃縮や希釈時の濃度変化、
pH変化、機械的衝撃、水以外の他の水性媒体との混合
等の環境変化により界面活性剤の脱離がおこりやすいた
めと考えられている。また、乳化重合時に使用された多
量の残存界面活性剤は、インクジェット印刷物の耐水性
や耐湿性を低下させるという問題点もあった。
【0008】更に、着色樹脂エマルジョンをインクジェ
ット印刷用インク用に用いる場合、耐候性及び耐光性が
問題となる。一般的に染料系の色剤は酸素や窒素酸化物
等のガス又は紫外線に長時間曝されると変質して色調が
変化してしまう。
【0009】これに対して、例えば、上記特公昭52−
29336号公報に記載の方法によれば、染料が微粒子
内部に保持されて大気に直接曝されることがないので、
酸素や窒素酸化物等のガス又は紫外線に対する安定性は
比較的よいものの、長期間の暴露には耐えられない。
【0010】また、特願平11−20198号公報にお
いては、油溶性染料と重合性二重結合を有する紫外線吸
収剤とを含む染料組成物を、重合開始剤及び乳化剤の存
在下で乳化重合して得られる着色樹脂エマルジョンが開
示されている。この方法によれば着色樹脂中の染料の紫
外線による劣化が紫外線吸収剤の働きにより抑制される
ので色調の耐久性が改良できる。しかし、この場合の紫
外線吸収剤は乳化重合時に乳化安定性を損なわずに重合
可能な添加量に限度があるので、充分な紫外線耐久性の
改良効果を得るには至っていない。
【0011】一方、特開平10−20114号公報に
は、インクジェット法でカラーフィルターを作成する方
法が開示されている。このような方法で、カラーフィル
ターを作成する場合は、インクジェット印刷用インクが
区画内で十分に濡れ広がること、かつ、インクジェット
印刷用インクが区画を乗り越えないことが必要不可欠で
ある。しかし、塗膜形成速度が非常に速く、インクジェ
ット印刷用インクが撥水処理を施している区画面に付着
すると、塗膜を即時に形成してしまう。したがって、い
くら区画に撥水処理を施しても、目的のインク量を正確
に区画を乗り越えないように制御することは困難であっ
た。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑み、優れた安定性、耐候性、耐光性を有する着色樹脂
エマルジョン、インクジェット印刷用インク、電着液及
びカラーフィルターを提供することを目的とするもので
ある。
【0013】
【課題を解決するための手段】第1の本発明は、疎水性
ビニル系単量体100重量部と、アニオン性基又はカチ
オン性基を有するビニル系単量体1〜30重量部と、ノ
ニオン性親水基を有するビニル系単量体1〜55重量部
とからなる混合単量体を重合して得られるビニル系樹
脂、及び、色剤からなる色剤内包樹脂微粒子が水系媒体
中に分散されてなる着色樹脂エマルジョンである。
【0014】第2の本発明は、色剤を包含する色剤内包
樹脂微粒子が水系媒体中に分散されてなる着色樹脂エマ
ルジョンであって、前記色剤内包樹脂微粒子は、少なく
とも表面に架橋構造が形成されているものである着色樹
脂エマルジョンである。
【0015】第3の本発明は、樹脂成分及び色剤を含有
してなる色剤内包樹脂微粒子が水系媒体中に分散されて
なる着色樹脂エマルジョンであって、前記樹脂成分は、
紫外線吸収能力を有する官能基又は官能基群を有するビ
ニル系単量体と他のビニル系単量体とをラジカル重合し
て得られるものであり、前記色剤内包樹脂微粒子は、乳
化重合以外の方法により得られるものである着色樹脂エ
マルジョンである。
【0016】第4の本発明は、第1、第2又は第3の本
発明の着色樹脂エマルジョンに保湿剤が添加されてなる
インクジェット印刷用インクである。
【0017】第5の本発明は、第4の本発明のインクジ
ェット印刷用インクを透明基板上に印刷した後、熱処理
を施すことにより得られるカラーフィルターである。
【0018】第6の本発明は、疎水性ビニル系単量体1
00重量部と、アニオン性基を有するビニル系単量体1
〜30重量部と、ノニオン性親水基を有するビニル系単
量体0〜30重量部とからなる混合単量体を重合して得
られるビニル系樹脂、及び、色剤からなる色剤内包樹脂
微粒子が水系媒体中に分散されてなる着色樹脂エマルジ
ョンからなる電着液であって、上記混合単量体は、下記
一般式(1)で表される重合性単量体を、その10重量
%以上含有する電着液である。
【0019】
【化4】
【0020】式中、Rは水素原子又はメチル基を表
し、Rは炭素数3〜6のアルキル基を表す。
【0021】第7の本発明は、透明電極を有するカラー
フィルター用基板を第6の本発明の電着液中に浸漬し
て、通電することにより作製するカラーフィルターであ
る。以下に本発明を詳述する。
【0022】第1の本発明の着色樹脂エマルジョンは、
疎水性ビニル系単量体と、アニオン性基又はカチオン性
基を有するビニル系単量体と、ノニオン性親水基を有す
るビニル系単量体とからなる混合単量体を重合して得ら
れるビニル系樹脂、及び、色剤からなる色剤内包樹脂微
粒子が水系媒体中に分散されてなるものである。
【0023】上記色剤内包樹脂微粒子とは、樹脂内部に
色剤が分散されたものや、樹脂微粒子の表面に色剤が吸
着又は化学的結合したもの等が含まれる。
【0024】上記疎水性ビニル系単量体とは、20℃の
水に対する溶解度が10重量%未満であるものを示し、
少なくとも1個の重合性二重結合を有する化合物であれ
ば特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)
アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−
オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル
(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレー
ト、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、フェニル
(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレー
ト、メチル−α−クロル(メタ)アクリレート、グリシ
ジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル
(メタ)アクリレート等のアクリル酸又はメタアクリル
酸のエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル;フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等
のマレイミド類;酢酸ビニル、バーサチック酸ビニル等
の脂肪酸ビニルエステル;エチルビニルエーテル、ブチ
ルビニルエーテル等のビニルエーテル類;塩化ビニル、
塩化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル;エ
チレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、ブタジ
エン;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導
体等の1分子中に1個の重合性不飽和結合を有するビニ
ル系重合性単量体が挙げられる。これらの疎水性ビニル
系単量体は、単独で用いられても良いし、2種以上が併
用されても良い。なお、本明細書において(メタ)アク
リレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味
するものとする。
【0025】上記疎水性ビニル系単量体は、下記一般式
(1)で表される重合性単量体を含有することが好まし
い。
【0026】
【化5】
【0027】式中、Rは水素原子又はメチル基を表
す。従って、上記一般式(1)で表される単量体は、ア
クリルアミド誘導体又はメタクリルアミド誘導体(以
下、疎水性(メタ)アクリルアミド誘導体ともいう)で
ある。また、式中、Rは炭素数3〜6のアルキル基を
表し、例えば、n−プロピル基、i−プロピル基、n−
ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられ
る。炭素数を3〜6とすることにより、疎水性を与え、
色剤内包樹脂微粒子内部に存在しやすくなる。従って、
エマルジョンとして存在する際に微粒子間の不要な架橋
反応を防ぎ、インクとしての保存安定性が良好となる。
これらの疎水性(メタ)アクリルアミド誘導体は、単独
で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良
い。
【0028】上記疎水性(メタ)アクリルアミド誘導体
は、加熱により架橋反応を起こすので、得られる着色樹
脂エマルジョンの塗膜に熱硬化性を付与する機能を有す
る。
【0029】上記混合単量体中における上記疎水性(メ
タ)アクリルアミド誘導体の含有量は10重量%以上で
あることが好ましい。10重量%未満であると、着色樹
脂エマルジョンの塗膜の熱硬化性が不充分となって、耐
溶剤性や耐薬品性、耐水性が不充分となることがある。
【0030】上記疎水性(メタ)アクリルアミド誘導体
が共重合されると、樹脂中で潜在的架橋点として作用す
る。即ち、120℃以上に加熱されると樹脂中の疎水性
(メタ)アクリルアミド誘導体由来のアルコキシメチル
(メタ)アクリルアミド基同士で反応が起こり自己架橋
反応する。上記架橋反応以下の温度でラジカル重合反応
を行えば、重合時のゲル化や必要以上の高分子量化を抑
制し、安定なエマルジョンを得ることができる。更に、
上記疎水性(メタ)アクリルアミド誘導体を用いて得ら
れる着色樹脂エマルジョンからなるインクで印刷した塗
膜の焼き付け工程を行うと、強固な架橋構造を形成し、
塗膜に耐溶剤性を付与することができる。また、他の態
様としてカラーフィルターとして用いた場合には、この
架橋反応により塗膜に耐溶剤性や耐水性を付与すること
ができる。
【0031】上記疎水性(メタ)アクリルアミド誘導体
を含む上記疎水性ビニル系単量体には、得られるビニル
系樹脂に架橋性を付与するために、1分子中に2個以上
の重合性不飽和結合を有するビニル系架橋性単量体が含
有されていても良い。
【0032】上記1分子中に2個以上の重合性不飽和結
合を有するビニル系架橋性単量体としては、例えば、エ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロール
プロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリト
ールテトラ(メタ)アクリレート、アリルメタ(メタ)
アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、グリセロ
ールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、トリ
アリルイソシアヌレート、アジピン酸ジビニル等が挙げ
られる。これらは、単独で用いられても良いし、2種類
以上が併用されても良い。
【0033】上記1分子中に2個以上の重合性不飽和結
合を有するビニル系架橋性単量体の含有量は、特に限定
されるものではないが、上記混合単量体の10重量%以
下であることが好ましい。10重量%を超えると、ラジ
カル重合時にゲル化したり、樹脂粘度が高くなり水中に
分散しにくくなったりすることがある。より好ましくは
5重量%以下である。
【0034】上記疎水性ビニル系単量体は、縮合多環炭
化水素、縮合複素環化合物、又は、ポリフェニレン系炭
化水素から誘導される官能基を少なくとも1つ有する単
量体を含有することが好ましい。
【0035】上記縮合多環炭化水素としては特に限定さ
れず、例えば、ナフタレン、アントラセン、フェナント
レン、ピレン、フルオレン、フルオレノン、インデン、
アントラキノン等が挙げられ、これらから誘導される官
能基を少なくとも1つ有する疎水性ビニル系単量体とし
ては特に限定されず、例えば、ビニルナフタレン、ビニ
ルアントラセン、ビニルピレン、ビニルフルオレン、ビ
ニルフルオレノン、ビニルインデン、ビスフェノールフ
ルオレンモノヒドロキシ(メタ)アクリレート、ビスフ
ェノールフルオレンジヒドロキシ(メタ)アクリレート
等の化合物やその誘導体が挙げられる。
【0036】上記縮合複素環化合物としては特に限定さ
れず、例えば、インドール、イミダゾール、ベンゾイミ
ダゾール、ベンゾトリアゾール、プリン、キノリン、カ
ルバゾール等の窒素原子を含む原子群;ベンゾフラン等
の酸素原子を含む原子群;ベンゾチオフェン等の硫黄原
子を含む原子群;ベンゾオキサゾール、フェノキサジ
ン、ベンゾトリアゾール等の窒素原子と酸素原子とを含
む原子群等が挙げられ、これらから誘導される官能基を
少なくとも1つ有する疎水性ビニル系単量体としては特
に限定されず、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’
−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリ
アゾール等が挙げられる。
【0037】上記ポリフェニレン系炭化水素としては特
に限定されず、例えば、ビフェニル、ターフェニル等が
挙げられ、これらから誘導される官能基を少なくとも1
つ有する疎水性ビニル系単量体としては、例えば、4−
ビニルビフェニル、ビニルビフェニル、ビニル−p−タ
ーフェニル等が挙げられる。
【0038】縮合多環炭化水素、縮合複素環化合物、又
は、ポリフェニレン系炭化水素から誘導される官能基を
少なくとも1つ有する疎水性ビニル系単量体は、得られ
るビニル系樹脂に剛直なセグメントを付与する。このセ
グメントが分子間で相互作用することで、隣接する樹脂
分子の動きを拘束し、樹脂中で擬似的架橋点として作用
する。また、このセグメントと色剤内包樹脂微粒子中の
色剤との間で相互作用が働き、同様に色剤内包樹脂微粒
子中に疑似架橋的な構造をもたらすことができる。よっ
て、このような擬似架橋により、有機溶剤に対する部分
的もしくは完全な溶解が抑制され、保存安定性に優れた
インクを得ることができる。
【0039】また、第1の本発明の着色樹脂エマルジョ
ンが後述する転相乳化法によって得られる場合には、以
下の点で特に有効である。転相乳化法では、先に重合し
た樹脂の有機溶剤溶液等を機械的剪断力によって強制的
に水中に分散させるため、樹脂の粘度を低くするよう低
分子量のものが使用される。しかしながら低分子量の樹
脂を用いると、着色樹脂エマルジョンをインクとして用
いた場合の塗膜に粘着性がでたり、インクジェット印刷
物が高温下に暴露された場合に流動したり、後述する保
湿剤として使用される有機溶剤を含む水系媒体中への経
時的な溶出、又は保湿剤や水系媒体を吸収することによ
る膨潤ゲル化が起こり、保存安定性が低下することがあ
る。このような場合に擬似架橋構造を導入すると、上記
のような問題点を解消することができる。
【0040】縮合多環炭化水素、縮合複素環化合物、又
は、ポリフェニレン系炭化水素から誘導される官能基を
少なくとも1つ有する単量体は、上記混合単量体に対し
て5〜50重量%含有されていることが好ましい。5重
量%未満であると、上記の相互作用が得られず保存安定
性が充分であるインクが得られにくく、50重量%を超
えると、嵩高いこれらの単量体を完全に重合させにくく
なり、また、残存単量体が増えることにより充分な凝集
力が得られなかったり、疎水性が強くなりエマルジョン
として水中に分散させる際に粒径が大きくなり安定性が
損なわれたりすることがある。
【0041】上記疎水性ビニル系単量体は、5員環以上
の員数であってかつ非共役炭素を3個以上含む環状官能
基を有する単量体を含有することが好ましい。上記5員
環以上の員数であってかつ非共役炭素を3個以上含む環
状官能基を有する単量体としては、分子内に他のビニル
系単量体と共重合し得る2重結合を有しかつ5員環以上
の大環状であってかつその環構成元素に非共役炭素を3
個以上有していることが必要である。非共役炭素で構成
される5員環以上環状官能基を有する共重合成分はビニ
ル系樹脂中に嵩高い疎水性領域を形成し、大きな油溶性
染料分子が樹脂微粒子中に保持されやすく、インクとす
る際に加える保湿剤による樹脂微粒子の膨潤を防止す
る。
【0042】また、第1の本発明の着色樹脂エマルジョ
ンが後述する転相乳化法によって得られる場合には、以
下の点で特に有効である。転相乳化法は、先に重合した
樹脂の有機溶剤溶液等を機械的剪断力によって強制的に
水中に分散させるため、樹脂の粘度を低くするため低分
子量のものが使用される。しかしながら低分子量の樹脂
を用いると、着色樹脂エマルジョンをインクとして用い
た場合の塗膜に粘着性がでたり、インクジェット印刷物
が高温下に暴露された場合に流動したり、後述する保湿
剤として使用される親水性有機溶剤を含む水系媒体中へ
の経時的な溶出、又は、保湿剤や水系媒体を吸収するこ
とによる膨潤ゲル化が起こり、保存安定性が低下するこ
とがある。このような場合に嵩高い疎水性領域を樹脂中
に導入すると、上記のような問題点を解消することがで
きる。
【0043】上記5員環以上の員数であってかつ非共役
炭素を3個以上含む環状官能基を有する単量体としては
特に限定されず、例えば、イソポルニル(メタ)アクリ
レート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレー
ト、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ビニル
−2−シクロヘキセン1,2エポキシド、2−アリル−
2−メチル−1,3−シクロペンタンジオン等が挙げら
れる。また、環構成元素に炭素以外の元素を含む複素環
官能基も利用可能である。
【0044】上記5員環以上の員数であってかつ非共役
炭素を3個以上含む環状官能基を有する単量体は、上記
混合単量体に対して0.5〜20重量%含有されている
ことが好ましい。0.5重量%未満であると、上記の効
果が得られにくく、20重量%を超えると、嵩高いこれ
らの単量体を完全に重合させにくくなり、また、残存単
量体が増えることにより充分な凝集力が得られなかった
り、疎水性が強くなりエマルジョンとして水中に分散さ
せる際に粒径が大きくなり安定性が損なわれたりするこ
とがある。
【0045】上記アニオン性基を有するビニル系単量体
としては特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタク
リル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸等のアクリ
ル酸、及び、それらのα−、又はβ−アルキル誘導体;
フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の
不飽和ジカルボン酸;上記不飽和ジカルボン酸のモノ2
−(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル誘導体等
の重合性不飽和結合を有するカルボン酸が挙げられ、そ
の具体例としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエ
チルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル
フタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキ
サヒドロフタル酸等が挙げられる。また、ビニルホスフ
ェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフ
ェート、メタクリロキシエチルホスフェート等の重合性
不飽和結合を有するリン酸;t−ブチルアクリルアミド
スルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド
−2−メチルプロパンスルホン酸等の重合性不飽和結合
を有するスルホン酸等が挙げられる。
【0046】また、上記アニオン性基を有するビニル系
単量体としては、ポリオキシエチレンノニルプロペニル
フェニルエーテルの硫酸エステル等、いわゆるアニオン
性反応性界面活性剤も使用でき、市販品としては、旭電
化工業社製のアデカリアソープSE−10N、SE−2
0N、第一工業製薬社製のアクアロンHSシリーズ、B
Cシリーズ、三洋化成工業社製のエレミノールJS−2
等が挙げられる。また、無水マレイン酸等のように重合
性二重結合を有する酸無水物も潜在的にアニオン性基を
有するとみなすことができ、アニオン性基を有するビニ
ル系単量体として用いることができる。
【0047】上記アニオン性基を有するビニル系単量体
は、下記一般式(2)で表される重合性単量体を含有す
ることが好ましい。
【0048】
【化6】
【0049】式中、Xはアクリロイル基又はメタクリロ
イル基を表し、YはXとCOOHとの間を結ぶ原子鎖長
が原子5個以上の長さを有するものであって、アニオン
性基、カチオン性基を有しないものを表す。YはXとC
OOHを結ぶ間の原子鎖長が原子5個以上の長さを有す
るものであるということは、XとCOOHを結ぶ最も短
い原子鎖の原子数が5個以上であることを意味する。従
って、環状化合物のようにXとCOOHが複数の原子鎖
によってつながっている場合には短い鎖に従って数え
る。またXとCOOHをつなぐ原子鎖が側鎖をもってい
ても、側鎖を構成する原子の数は算入するものではな
い。
【0050】上記一般式(2)で表される重合性単量体
としては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエ
チルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル
フタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキ
サヒドロフタル酸等の多価カルボン酸のモノ−2−(メ
タ)アクリロイルオキシエチルエステル誘導体;ε−カ
プロラクトン等のラクトン化合物が(メタ)アクリル酸
に開環付加した化合物等が挙げられる。これらの重合性
単量体は、共重合して構成されるビニル系樹脂の主鎖骨
格から原子鎖長として原子5個以上一定の距離を隔てた
側鎖の末端にアニオン性基を導入することができる。こ
のためこのビニル系樹脂を色剤内包樹脂微粒子に転化し
た際に、色剤内包樹脂微粒子表面にアニオン性基が効果
的に偏在することができ安定化効果が期待でき、ひいて
は水系媒体に安定に分散した色剤内包樹脂微粒子を得る
ことができる。
【0051】上記混合単量体に対する上記アニオン性基
又はカチオン性基を有するビニル系単量体のmol分率
は3〜25mol%であることが好ましい。3mol%
未満であると、着色樹脂エマルジョンの安定性が充分で
ないために保存安定性に問題があることがあり、25m
ol%を超えると、インクジェット印刷用インクにする
場合にpH調製剤によりpHを調製した際に粘度が上昇
し、良好な印字性能が得られない、又は、エマルジョン
粒子が形成されないことがある。より好ましくは3〜2
0mol%である。
【0052】上記カチオン性基を有するビニル系単量体
としては特に限定されず、例えば、ジメチルアミノエチ
ルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレー
ト等のアクリロイル基を有するアミン及びその4級塩;
ビニルピリジン、1−ビニルイミダゾール等のビニル基
を有する含窒素化合物等が挙げられる。これらのカチオ
ン性基を有するビニル系単量体は、単独で用いられても
良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0053】上記アニオン性基又はカチオン性基が色剤
内包樹脂微粒子に固定されることにより、第1の本発明
の着色樹脂エマルジョンに分散安定性が付与される。こ
のため、多量の界面活性剤を用いた乳化重合によって得
られた着色樹脂エマルジョンと比較して、遊離した界面
活性剤のブリードアウトが抑えられ、塗膜の透明性に悪
影響を及ぼすことがない。
【0054】上記アニオン性基又はカチオン性基を有す
るビニル系単量体は、その塩が形成された状態で重合反
応に供されても良い。ただし、疎水性(メタ)アクリル
アミド誘導体を使用する場合には、酸性下で架橋反応が
促進されるため、アニオン性基を有するビニル系単量体
を、塩が形成された状態に転化した後重合反応に供する
ことも、反応中の好ましくないゲル化等を抑制する目的
には有効である。
【0055】上記ノニオン性親水基を有するビニル系単
量体としては、20℃の水に10重量%以上溶解するも
のであれば特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート、1,4−ヒドロキシブチル
(メタ)アクリレート、(ポリ)カプロラクトン変性
(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコール
(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコール
(メタ)アクリレートの末端メチルエステル、(ポリ)
プロピレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)
プロピレングリコール(メタ)アクリレートの末端メチ
ルエステル、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メ
タ)アクリルアミド、アリルアルコール、グリセリンモ
ノアリルエー等が挙げられる。これらのノニオン性親水
基を有するビニル系単量体は、単独で用いられてもよい
し、2種類以上が併用されてもよい。
【0056】上記ノニオン性親水基を有するビニル系単
量体は、複素環化合物から誘導される官能基を少なくと
も1つ有する単量体を5〜100重量%含有しているこ
とが好ましい。複素環化合物から誘導される官能基を少
なくとも1つ有するノニオン性親水基を有する単量体を
共重合することにより、複素環に存在する不対電子対が
選択的に水分子と分子間で相互作用を起こし、色剤内包
樹脂微粒子の周りに水の層を形成する。すなわち、得ら
れるビニル系樹脂の有機溶剤に対する部分的又は完全な
溶解を抑制し、保存安定性に優れたインクを提供するこ
とができる。5重量%未満であると、上記の効果が得ら
れにくく、保存安定性が充分であるインクが得られにく
い。より好ましくは30〜100重量%である。
【0057】上記複素環化合物としては特に限定され
ず、例えば、ピロリドン、カプロラクタム等の窒素原子
を含む複素環化合物;ピラン、フラン、ジオキサン等の
酸素原子を含む複素環化合物;チオフェン等の硫黄原子
を含む複素環化合物;モルホリン等の窒素原子と酸素原
子とを含む複素環化合物が挙げられ、これから誘導され
る官能基を少なくとも1つ有するノニオン性親水基を有
する単量体としては特に限定されず、例えば、N−ビニ
ル−2−ピロリドン、アクリロイルモルホリン、N−ビ
ニルカプロラクタム等が挙げられる。
【0058】上記ノニオン性の親水基を有するビニル系
単量体は、反応性を有するものであってもよい。このよ
うな単量体としては、例えば、N−メチロール(メタ)
アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリル
アミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド等
の親水性の(メタ)アクリルアミド誘導体が挙げられ
る。これらは単独で用いられてもよいし、2種類以上が
併用されてもよい。ただし、これらの親水性の(メタ)
アクリルアミド誘導体は、上記疎水性の(メタ)アクリ
ルアミド誘導体と区別して使用されなければならない。
これらの親水性(メタ)アクリルアミドは粒子の表面に
存在しやすく、粒子間の架橋によって粒子凝集を招きや
すいのでその使用量に留意する必要がある。
【0059】第1の本発明の着色樹脂エマルジョンを構
成するビニル系樹脂は、上記疎水性ビニル系単量体10
0重量部と、上記アニオン性基又はカチオン性基を有す
るビニル系単量体1〜30重量部と、及び、上記ノニオ
ン性親水基を有するビニル系単量体1〜55重量部とか
らなる混合単量体を重合して得られる。
【0060】上記混合単量体において、疎水性ビニル系
単量体100重量部に対するアニオン性基又はカチオン
性基を有するビニル系単量体の使用量が1重量部未満で
あるか、ノニオン性親水基を有するビニル系単量体の使
用量が1重量部未満であると、得られるビニル系樹脂の
親水性が乏しくなって、水系媒体中に分散した際に、粒
径が充分に小さくならず、ひいては着色樹脂エマルジョ
ンの機械的安定性や保存安定性が不充分となる。また、
疎水性ビニル系単量体100重量部に対するアニオン性
基もしくはカチオン性基を有するビニル系単量体の使用
量が30重量部を超えるか、ノニオン性親水基を有する
ビニル系単量体の使用量が55重量部を超えると、得ら
れるビニル系樹脂の親水性が強くなり過ぎて、水系媒体
に分散した際に粒径が小さくなりすぎたり、水系媒体中
に樹脂微粒子を形成せずに溶解してしまい、得られる着
色樹脂エマルジョンの粘度が高くなりインクジェット印
刷用インクとしての吐出性が悪くなったり、着色樹脂エ
マルジョンの塗膜の耐湿性や耐水性が不充分となる。
【0061】第1の本発明の着色樹脂エマルジョンを製
造する方法としては、上記混合単量体をラジカル重合し
てビニル系樹脂を得た後、色剤と必要により有機溶剤を
混合し、得られた混合物に機械的剪断力を作用させなが
ら強制分散することによって色剤内包樹脂微粒子を得る
転相乳化法が好ましい。この転相乳化法によると、ビニ
ル系樹脂は色剤と非共存下で重合することができるの
で、重合時に色剤による重合阻害の影響がなく、多種類
の色剤を内包させることができる。また、共重合された
アニオン性基又はカチオン性基と、ノニオン性基の親水
性によりビニル系樹脂自体に水系媒体への自己分散性が
付与されてなるので、それだけで色剤内包樹脂微粒子が
水系媒体中に安定に分散する。このため第1の本発明の
着色樹脂エマルジョンは多量の界面活性剤を有する必要
がないので、インクジェット印刷物の耐水性や耐湿性に
優れ、水系媒体への分散や、インク使用物を混合する
際、あるいはインクジェットプリンターでインクを吐出
する際の泡立ちが少なく安定的な印字を行うことができ
る。
【0062】上記混合単量体からビニル系樹脂を得るた
めの重合方法としては、バルク重合、溶液重合等、任意
の重合方法がとられるが、溶媒として有機溶剤を用い、
重合開始剤の存在下で重合を行う溶液重合法が、重合反
応制御が容易なため好ましい。
【0063】上記有機溶剤としては特に限定されず、例
えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン
等の炭化水素系有機溶剤、ジエチルエーテル、ジブチル
エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテ
ル系有機溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系
有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソ
ブチルケトン等のケトン系有機溶剤、メタノール、エタ
ノール、イソプロパノール等のアルコール系有機溶剤、
ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド
等が挙げられる。これらの有機溶剤は、単独で用いられ
ても良いし、2種類以上が併用されても良い。また、後
述する保湿剤として使用される水溶性、又は親水性の液
状化合物の共存下で溶液重合を行ってもよく、後に有機
溶剤を加熱、減圧等の手段によって除去する場合には、
大気圧における沸点が100℃未満の有機溶剤が好まし
い。100℃以上の沸点を有する有機溶剤を除去しよう
とすると、水も同時に留去されるおそれがある。ただ
し、保湿剤として使用する化合物の共存下で溶液重合し
た場合はこの限りではない。
【0064】上記有機溶剤と上記混合単量体との使用割
合は特に限定されないが、有機溶剤100重量部に対し
て、混合単量体10〜50重量部であることが好まし
い。10重量部未満であると、生産性が悪くなることが
あり、50重量部を超えると、得られるビニル系樹脂溶
液の粘度が高くなり過ぎて、水系媒体中への乳化分散が
難しくなることがある。
【0065】上記重合開始剤としては特に限定されず、
例えば、油溶性の有機アゾ化合物、無機過酸化物、有機
過酸化物等が挙げられる。有機過酸化物系重合開始剤と
しては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘ
キサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパー
オキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等のケト
ンパーオキサイド類;1,1−ビス(t−ブチルパーオ
キシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブ
チル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレラート
等のパーオキシケタール類;t−ブチルハイドロパーオ
キサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロ
ピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハ
イドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;
ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパー
オキサイド、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパ
ーオキサイド類;アセチルパーオキサイド、イソブチル
パーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ベンゾ
イルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパー
オキサイド等のジアシルパーオキサイド類;ジイソプロ
ピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパー
オキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオ
キシジカーボネート、ジアリルパーオキシカーボネート
等のパーオキシカーボネート類;t−ブチルパーアセテ
ート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパ
ーオキシベンゾエート、クミルパーオキシオクトエート
等のパーオキシエステル類等が挙げられ、その他にも、
アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、ジ
−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート等
が挙げられる。また、有機アゾ化合物系重合開始剤とし
ては、例えば、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−
2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビ
ス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−ア
ゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−
メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロ
ヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シアノ
−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2’−
アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキ
シメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミ
ド}、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−
2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス
(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,
2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロ
ピオンアミド)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メ
チルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2、4,
4−トリメチルペンタン)、1,1’−アゾビス(1−
アセトキシ−1−フェニルエタン)等が挙げられる。上
記重合開始剤の中でも、10時間半減期温度が10〜1
00℃のものが好ましく、更に好ましくは40〜90℃
である。これらの重合開始剤は、単独で用いられても良
いし、2種類以上が併用されても良い。
【0066】上記重合開始剤の使用量は、特に限定され
るものではないが、上記混合単量体100重量部に対し
て0.1〜10重量部が好ましい。0.1重量部未満で
あると、得られるビニル系樹脂の分子量が高くなりすぎ
ることがあり、10重量部を超えると、得られるビニル
系樹脂の分子量が低くなり過ぎることがある。より好ま
しくは0.2〜5重量部である。
【0067】上記ビニル系樹脂は、平均分子量が300
0〜30万であって、かつ、分子量1000未満の成分
の割合が30重量%以下であることが好ましい。ビニル
系樹脂の平均分子量が3000未満であると、得られる
色剤内包樹脂微粒子を構成する樹脂のガラス転移温度
(Tg)が低すぎて、印刷物上のインクの耐水性や耐溶
剤性が劣ったり、また、一部の色剤内包樹脂微粒子が水
溶化して樹脂微粒子を形成せずインクの粘度が高くな
り、その結果インクジェット印刷性が低下することがあ
る。30万を超えると、水中に分散させる際の粘度が高
すぎて、充分な分散ができず樹脂粒径が大きくなり、イ
ンクとして使用した際の保存安定性が劣ることがある。
より好ましくは8000〜20万である。分子量100
0未満の成分の割合が30重量%を超えると、着色樹脂
エマルジョンにした際の水系媒体への樹脂成分の溶出量
が多くなり、着色樹脂エマルジョンの粘度が高くなった
り、色剤内包樹脂微粒子の凝集、色剤の沈降等の問題が
生じる場合がある。なお、ここでいう分子量とは、ゲル
パーミエーションクロマトグラフ(GPC)で、標準ポ
リスチレン換算によって求めたものの、重量平均分子量
をいう。
【0068】上記ビニル系樹脂のガラス転移温度(T
g)としては、10〜100℃であることが好ましい。
10℃未満であると、樹脂微粒子間の融着が起きやす
く、インクの保存安定性が損なわれたり、インクジェッ
ト印刷時にノズル詰まりの原因となったりすることがあ
り、100℃を超えると、印刷後のインク塗膜の融着が
充分には起こりにくくなり、特に第1の本発明の一つの
使用形態として挙げられるカラーフィルターの印刷に用
いた場合には、塗膜の濁りの原因になり、液晶画面の表
示品位を低下させることがある。なお、ここでいうTg
とは示差走査熱量測定法(DSC)によって測定される
ものである。
【0069】上記溶液重合の方法や条件は、使用する混
合単量体の組成や重合開始剤の種類等に応じて適宜設定
すれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、
セパラブルフラスコのような通常の反応容器中に有機溶
剤及び混合単量体の各所定量を仕込み、窒素気流下で攪
拌しながら温度を反応温度まで昇温し、次いで、重合開
始剤の有機溶剤溶液もしくは分散液の所定量を1〜2時
間かけて滴下しながら重合反応を行い、更に同温度で3
〜4時間重合反応を継続した後、室温まで冷却すること
により、所望のビニル系樹脂溶液を得ることが出来る。
なお、上記反応温度は、特に限定されるものではない
が、10〜100℃であることが好ましく、より好まし
くは40〜80℃である。
【0070】上記色剤としては特に限定されず、例え
ば、有機染料、無機染料等の染料、有機顔料、無機顔料
等の顔料などが挙げられる。上記染料としては、特に限
定されず、例えば、酸性染料、塩基性染料、直接染料、
分散染料等が挙げられ、なかでも有機溶剤やビニル系樹
脂への溶解性や内包性が良好なことから、油溶性染料が
好適に用いられる。また、油溶性染料は耐熱性、耐光性
に優れるため、第1の本発明の着色樹脂エマルジョンに
よる塗膜が高温や紫外線にさらされる場合は好ましく使
用される。これらの色剤は、単独で用いられても良い
し、2種類以上が併用されても良い。
【0071】上記油溶性染料は特に限定されるものでは
ないが、転相乳化法を用いる場合には、油溶性染料とビ
ニル系樹脂を混合させる際に、混合させるビニル系樹脂
の有機溶剤溶液が20℃の条件で、ビニル系樹脂溶液1
00gに対し油溶性染料が1g以上溶解するものが好ま
しい。溶解量が1g未満であると、色剤が樹脂微粒子に
内包されにくいことがある。より好ましくは、ビニル系
樹脂溶液100gに対し油溶性染料が1g以上溶解し、
かつ、20℃の水100gに対し油溶性染料が1g以
下、100℃の水に対しては10g以下溶解するもので
ある。
【0072】このような溶解特性を有する油溶性染料と
しては特に限定されず、例えば、アゾ系染料、アントラ
キノン系染料、フタロシアニン系染料、トリフェニルメ
タン系染料、アゾ金属錯体染料、ローダミン系染料等が
挙げられる。なお、カラーインデックス番号で言うと、
solvent blue25、35、36、38、4
4、45、59、67、70、78、104、122、
124、132;solvent red3、8、1
8、24、27、49、52、68、89、124、8
3、83:1、84:1、89、90:1、91、9
2、111、122、124、125、127、13
0、135、143、145、146、149、15
0、151、179、195、214、218、22
5、233;solvent yellow13、1
4、16、21、25、25:1、33、62、79、
83、83:1、88、89、93、98、114、1
33、157、163;solvent orange
11、40:1、41、60、62、63、99 ;s
olvent green3、5、28;solven
t violet2、13、37、49、66;sol
vent black3、7、22、22:1、27、
28、29、42、43、45;vat blue1、
6;vat yellow6等が挙げられる。これらの
油溶性染料は、単独で用いられても良いし、2種類以上
が併用されても良い。
【0073】上記油溶性染料は、ビニル系樹脂との混合
時に均一に混合できる組み合わせが好ましい。すなわ
ち、使用する有機溶剤やビニル系樹脂と油溶性染料との
親和性によって有機溶剤や油溶性染料を決定し組み合わ
せを選定する。
【0074】上記油溶性染料とビニル系樹脂の混合の際
に両者の溶解に用いられる有機溶剤としては特に限定さ
れず、例えば、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、ケ
トン類、エステル類、アルコール類、アミド類等が挙げ
られる。これらの有機溶剤は、単独で用いられても良い
し、2種類以上が併用されても良い。また、油溶性染料
の溶解に用いられる有機溶剤は、前記混合単量体の溶液
重合に用いられる有機溶剤と同一のものであっても良い
し、異なるものであっても良い。
【0075】また、上記色剤としては、顔料を使用する
こともできる。顔料は耐熱性、耐光性に優れるため、第
1の本発明の着色樹脂エマルジョンによる塗膜が高温や
紫外線にさらされる場合は好ましく使用される。上記顔
料としては特に限定されず、例えば、無機顔料として
は、亜鉛華、酸化チタン、弁柄、酸化クロム、チタンエ
ロー、コバルトブルー、セルリアンブルー等の無機酸化
物;アルミナホワイト、黄色酸化鉄等の無機水酸化物;
黄鉛、亜鉛黄等のモリブデートオレンジ、ジンククロメ
ート等のクロム酸塩;カドミウムエロー、朱等の硫化
物;石膏、硫酸バリウム等の無機硫酸鉛;炭酸カルシウ
ム、鉛白等の無機炭酸塩;群青等の無機珪酸塩;コバル
トバイオレット等の無機燐酸塩;エメラルドグリーン等
の無機砒酸化物;紺青等のフェロシアン化物;アルミニ
ウム紛、ブロンズ紛、亜鉛末等の金属粉;カーボンブラ
ック等が挙げられる。また、上記有機顔料としては、例
えば、酸性染料レーキ;塩基性染料レーキ;モノアゾレ
ーキ化合物、モノアゾ化合物、ジスアゾ化合物、縮合ア
ゾ化合物、金属錯塩アゾ化合物等のアゾ系顔料;銅フタ
ロシアニン化合物、塩素化銅フタロシアニン化合物、臭
素化銅フタロシアニン化合物等のフタロシアニン系顔
料;アンスラキノン系化合物、チオインジゴ系化合物、
ペリノン系化合物、ペリレン系化合物、キナクリドン系
化合物、ジオキサジン系化合物、イソインドリノン系化
合物、キノフタロン系化合物、ジケトピロロピロール系
化合物等の縮合多環顔料; 金属錯塩アゾメチン顔料等
が挙げられる。第1の本発明の着色樹脂エマルジョンに
おいては、バインダー樹脂に対する分散性や、カラーフ
ィルター等の用途に使用する場合は塗膜の電気的な安定
性から有機顔料が好ましく使用される。これらの有機顔
料を、カラーインデックスで示すと、pigment
red2、3、4、5、8、9、12、14、17、2
2、23、31、38、48:2、48:3、48:
4、53:1、57:1、83、88、112、11
4、122、123、144、146、147、14
9、168、170、175、176、177、17
8、179、184、185、187、188、19
4、202、206、207、208、209、21
0、214、224、242、245、247、25
3、254、255、256、257、262、26
3、264、266;pigment orange
5、13、16、22、34、36、38、40、4
3、61、62、68、69、70、71、72、7
4;pigment yellow1、3、12、1
3、14、16、17、24、55、73、74、7
5、81、83、87、95、97、108、109、
110、111、117、120、126、127、1
29、133、138、139、151、153、15
4、155、167、168、169、170、17
2、173、174、175、176、180、18
1、191、192、194、196、198;pig
ment blue10、15、15:1、15:2、
15:3、15:4、15:6、19、56、60、6
1;pigment green7、36;pigme
nt violet19、23、32、38、50等が
挙げられる。これらの有機顔料は、単独で用いられても
良いし、2種類以上が併用されても良い。また、有機顔
料と油溶性染料などの染料を併用してもよい。
【0076】上記有機顔料の粒子は0.03〜1μmの
平均粒子径まで微粒化して使用することが好ましい。
0.03μm未満であると、超微粒化する工程が大がか
りとなり、必要以上のコストがかかり工業的に不利であ
るばかりでなく、耐熱性や耐光性が低下する。1μmを
超えると、得られる色剤内包樹脂微粒子の平均粒径も1
μを越えてしまい、エマルジョンインクとした時に経時
で沈降して保存安定性がよくないばかりでなく、インク
ジェット印刷用インクとして使用する場合にはその吐出
性が悪くなるので好ましくない。また、カラーフィルタ
ーの用途に使用する場合には塗膜中に大粒径の顔料粒子
が存在すると、フィルターを透過する光が乱反射によっ
て低減され、ディスプレイの明るさが低下することがあ
る。より好ましくは0.05〜0.5μm、更に好まし
くは0.05〜0.3μmである。
【0077】顔料の微粒化は粗顔料を、各種の顔料分散
剤が存在する有機溶剤、水等の分散媒中で機械的剪断力
を作用させることによって行う。剪断力を作用させるた
めには、公知のサンドミル、ボールミル、パールミル、
ヘンシェルミキサー、ロールミル、ホモジナイザー、超
音波分散機等の各種分散機が使用できる。
【0078】顔料の分散に際して顔料分散剤を使用する
場合は、公知の高分子分散剤や界面活性剤、顔料誘導体
を使用することができる。顔料分散剤の使用量は顔料1
00重量部に対して50重量部以下であることが好まし
い。50重量部を超えると、顔料内包色剤内包樹脂微粒
子の樹脂中の顔料分散剤成分が多くなりすぎて、色剤内
包樹脂微粒子の水系媒体中での分散安定性を阻害した
り、着色樹脂エマルジョンの増粘やゲル化が起こったり
する。より好ましくは30重量部以下である。また顔料
分散剤の種類によっては、インクジェット印字性を損な
うことがあるので、その選択においては留意が必要であ
る。具体的には一般に極性の高い顔料分散剤はインクジ
ェット印字性を損なう傾向がある。また、上記ビニル系
樹脂を顔料分散剤として使用することも可能であるが、
この場合は上記の使用量を適用するものではない。なぜ
なら、本発明中のビニル系樹脂はいわゆるバインダー樹
脂としてその組成や色剤内包樹脂微粒子中の構成量が調
整され最適化されたものであり、顔料の微粒子化ができ
るだけの使用量では本来の目的を達し得ないからであ
る。
【0079】また、上記有機顔料は、イオン性又はノニ
オン性の界面活性剤や高分子界面活性剤、ロジン、顔料
誘導体等によって表面処理をした加工顔料を用いても構
わない。この場合、本発明のビニル系樹脂を表面処理剤
として使用して加工顔料化してもよい。加工顔料は有機
溶剤溶液中に比較的簡単に分散させることが可能であ
る。
【0080】第1の本発明の着色樹脂エマルジョンを3
80〜780nmでの最小透過率が50%となるように
製膜して得られた塗膜を160℃で1時間加熱した場合
に、加熱の前後での塗膜の色差は5以内であることが好
ましい。塗膜の耐溶剤性を発現させるために、熱処理を
加えるが、その際色差が5を超えると、カラーフィルタ
ー製造時の変色が人の目で確認できる程度顕著になり、
また、このような色剤を用いて得られたカラーフィルタ
ーは耐光性に劣る。ただし、3以内であると実質的に変
色なしと判断できる。この条件を満たす範囲で、有機染
料、無機染料等の染料、顔料等が使用できる。なお、こ
こでいう色差とはJIS−Z8730に定義されるCI
ELAB(L*a*b*)色差である。
【0081】上記塗膜は、上記の波長範囲で実質的に透
明なガラス板のような基材上に、バーコーターやスピン
コーター等により塗工した後、変色が引き起こされない
程度の適当な温度・時間で乾燥することにより得られ
る。この際の厚みは、可視紫外スペクトル測定器により
測定された380〜780nmの可視光領域の透過スペ
クトルでの最小透過率、即ち、当該波長域で最大吸光度
を示す波長での透過率が50%になるような厚みに調整
する。このようにして得られた塗膜を160℃で1時間
加熱し、その前後でそれらの塗膜を色彩色差計や前述の
可視紫外スペクトル測定器で測色することにより、その
色差を求めることができる。
【0082】上記色剤内包樹脂微粒子は、色剤1〜60
重量%、及び、ビニル系樹脂40〜99重量%からなる
ことが好ましい。色剤が1重量%未満でビニル系樹脂が
99重量%を超えると、インクジェット印刷用インクと
して使用した場合の塗膜の色濃度が不足して必要な色濃
度を得るためには塗膜厚みが必要になり、カラーフィル
ターとしての適用が困難になることがある。色剤が60
重量%を超えてビニル系樹脂が40重量%未満である
と、油溶性染料や顔料等の色剤が色剤内包樹脂微粒子中
に内包されなかったり、得られる色剤内包樹脂微粒子の
粒径が極端に大きくなり着色樹脂エマルジョンの安定が
損なわれたりすることがあり、またビニル系樹脂の架橋
反応が充分に進行しなくなり、耐水性や耐溶剤性の優れ
たカラーフィルター塗膜を得ることが難しくなる。色剤
が5〜50重量%で、ビニル系樹脂が50〜95重量%
であることが更に好ましい。
【0083】第1の本発明の着色樹脂エマルジョンは、
上記方法で得られるビニル系樹脂、又は、その有機溶剤
溶液を水系媒体中に転相乳化法によって乳化分散させる
ことにより作製される。転相乳化法によって色剤内包の
着色樹脂エマルジョンを作成する際の方法としては、予
めビニル系樹脂と色剤を混合させたものを水系媒体中に
分散させてもよいし、予め水系媒体中に色剤を混合させ
たものにビニル系樹脂を分散させてもよいし、さらに予
めビニル系樹脂と色剤を混合させたものを、別途予め水
系媒体中に色剤を混合させたものに分散させてもよい。
【0084】上記ビニル系樹脂と色剤を混合させる方法
は特に限定されず、例えば、ビニル系樹脂溶液と色剤と
を個別に準備しておき、この両者を所定の割合で混合す
る方法を採っても良いし、また、混合単量体の溶液重合
時に所定量の色剤を使用し、混合単量体の溶液重合と色
剤の混合とを一括して同時に行う方法を採っても良い。
なお、色剤は、そのままの状態で使用されても良いし、
予め有機溶剤に溶解又は分散させた状態で用されても良
い。
【0085】上記水系媒体中に色剤を混合させる方法と
しては特に限定されず、更に水系媒体中に色剤を予め混
合させておいたものを使用してもよい。この場合本発明
において使用される色剤は非水溶性のものであるため、
水系媒体中に色剤を分散させた状態の混合物とする。こ
の際に、色剤を水性媒体中に分散させるための分散剤を
使用することは好ましくない。なぜならばこのような処
理を施した色剤を含む水系媒体で転相乳化するときに色
剤がビニル系樹脂に内包されずにそのまま水系媒体中に
分散した状態になってしまい、本発明の趣旨に合致する
着色樹脂エマルジョンを得ることが困難になるからであ
る。
【0086】上記乳化分散時の水系媒体の添加量は、特
に限定されるものではないが、ビニル系樹脂またはビニ
ル系樹脂及び色剤の混合物又はその有機溶剤溶液100
重量部に対して、50〜500重量部であることが好ま
しい。50重量部未満であると、十分かつ安定的な乳化
分散を行えなくなることがあり、500重量部を超える
と、得られる着色樹脂エマルジョンの固形分濃度が低く
なり過ぎることがある。
【0087】上記転相乳化法を行う場合には、水系媒体
は水単独であっても良いし、必要に応じて、水溶性有機
溶剤、pH調整剤や界面活性剤、界面活性剤、消泡剤等
の各種使用剤の1種類又は2種類以上が使用された水で
あっても良い。上記水溶性有機溶剤は後述する保湿剤の
一部または全部であってもよい。更に、上記のように水
系媒体中に色剤を予め混合させておいたものを使用して
もよい。
【0088】上記pH調整剤としては特に限定されない
が、例えば、ビニル系樹脂が前記アニオン性基を有する
ビニル系単量体を含有する混合単量体から得られたもの
である場合、アンモニアやアルキルアミン塩等の塩基性
物質の水溶液を用いることが好ましく、また、ビニル系
樹脂が前記カチオン性基を有するビニル系単量体を含有
する混合単量体から得られたものである場合、塩酸等の
酸性物質の水溶液を用いることが好ましい。
【0089】上記pH調整剤として使用される塩基性物
質及び酸性物資としては、例えば、水酸化ナトリウム、
炭酸水素ナトリウム、アンモニア、トリメチルアミン、
トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の塩基性物
質、塩酸、炭酸、リン酸等の無機酸;(メタ)アクリル
酸、ピルビン酸、イタコン酸、蟻酸、酢酸、シュウ酸、
ホスホン酸、グルコン酸銅等の有機酸などの酸性化合物
を用いることができる。こうして塩の形態に転化するこ
とでビニル系樹脂の親水性が強くなり、安定な分散体を
得ることができる。
【0090】ビニル系樹脂及び色剤からなる色剤内包の
色剤内包樹脂微粒子を、水系媒体中に乳化分散させる方
法は、機械的剪断力を作用させながら強制分散すること
によって、着色樹脂エマルジョンを得る転相乳化法が好
ましい。転相乳化法であれば特に限定されるものではな
く、例えば、ホモジナイザーのような高速攪拌可能な攪
拌装置を用いて、ビニル系樹脂または、ビニル系樹脂及
び色剤の混合物、もしくはその有機溶剤溶液を激しく攪
拌しながら、水系媒体、または水系媒体と色剤の混合物
を徐々に添加し、水系媒体中に上記混合物を乳化分散さ
せることにより、所望の着色樹脂エマルジョンを得るこ
とが出来る。また、水系媒体、または水系媒体と色剤の
混合物を激しく撹拌しながら、ビニル系樹脂または、ビ
ニル系樹脂及び色剤の混合物又はその有機溶剤との混合
物を徐々に添加してもよい。尚、乳化分散完了後、必要
に応じて、着色樹脂エマルジョン中の有機溶剤の一部も
しくは全部が蒸留等の手段により除去されても良い。
【0091】上記攪拌装置としては、例えば、デゾルバ
ー、ホモジナイザーのようなローター・ステーター式の
高速回転による撹拌機、容器を自転と同時に公転させて
混合させる遊星式撹拌機、サンドミル、ビーズミル、ボ
ールミル、コロイダルミル、ペイントシェーカー、スタ
ティックミキサー、噴流混合機、バブルホモジナイザ
ー、超音波ホモジナイザー等によって機械的剪断力を作
用させながら分散させるものが挙げられる。
【0092】その他の上記混合物を水系媒体中に乳化分
散させる方法としては、剪断力を作用させずに上記混合
物と水系分散媒を同一容器に混合したうえで、全体に機
械的剪断力を作用させて分散させる方法等のバッチ式手
法や、ローター・ステーター式、ラインミル式、スタテ
ィックミキサー式、振動式等の各種の連続的乳化分散機
に、ビニル系樹脂または、ビニル系樹脂及び色剤の混合
物、もしくはその有機溶剤溶液と、水系媒体、又は、水
系媒体と色剤の混合物を定量的に供給して分散する連続
的手法等のいずれも採ることができる。
【0093】第1の本発明の着色樹脂エマルジョンの色
剤内包樹脂微粒子の平均粒径は、500nm以下である
ことが好ましい。500nmを超えると、色剤内包樹脂
微粒子が経時で沈降する可能性がある。より好ましくは
400nm以下であり、更に好ましくは350nm以下
である。
【0094】第1の本発明の着色樹脂エマルジョンは、
ビニル系樹脂100重量部に対して、消泡剤を0.01
〜10重量部含有することが好ましい。0.01重量部
未満であると、充分な消泡効果を得られないことがあ
り、10重量部を超えると、もはや消泡効果はそれ以上
向上しないにもかかわらず、色剤の溶解性や着色樹脂エ
マルジョン中での消泡剤の安定性が低下することがあ
る。より好ましくは0.1〜5重量部である。
【0095】上記消泡剤としては特に限定されず、例え
ば、ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン変
性シリコーン、有機変性ポリシロキサン、フッ素シリコ
ーン等のシリコーン系消泡剤;ヒマシ油、ゴマ油、アマ
ニ油、動植物油等の油脂系消泡剤;ステアリン酸、オレ
イン酸、パルミチン酸等の脂肪酸系消泡剤;イソアミル
ステアリン酸、ジグリコールラウリン酸、ジステアリル
コハク酸、ジステリン酸、ソルビタンモノラウリン酸、
グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビ
タン、モノラウリン酸ブチルステアレート、ショ糖脂肪
酸エステル、スルホン化リチノール酸のエチル酢酸アル
キルエステル、天然ワックス等の脂肪酸エステル系消泡
剤;ポリオキシアルキレングリコール及びその誘導体、
ポリオキシアルキレンアルコール水和物、ジアミノフェ
ノキシエタノール、3−ヘプタノール、2−エチルヘキ
サノール等のアルコール系消泡剤;3−ヘプチルセロソ
ルブ、ノニルセロソルブ−3−ヘプチルカルビトール等
のエーテル系消泡剤;トリブチルホスフェート、オクチ
ルリン酸ナトリウム、トリス(ブトキシエチル)ホスフ
ェート等のリン酸エステル系消泡剤;ジアミルアミン等
のアミン系消泡剤;ポリアルキレンアマイド、アシレイ
トポリアミン、ジオクタデカノイルピペリジン等のアマ
イド系消泡剤;ステアリン酸アルミニウム、ステアリン
酸カルシウム、オレイン酸カリウム、ウールオレインの
カルシウム塩等の金属石鹸系消泡剤;ラウリルスルホン
酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム等のスル
ホン酸エステル系消泡剤;アセチレングリコール系消泡
剤;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,
7−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デ
シン−4,7−ジオール−ジポリオキシエチレン−エー
テル等が挙げられる。なかでも、消泡効果に優れ、着色
樹脂エマルジョンの安定性に影響を及ぼさないことか
ら、シリコーン系消泡剤、アセチレングリコール系消泡
剤が好適に用いられる。これらの消泡剤は、単独で用い
られても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0096】上記消泡剤を含有させる方法としては特に
限定されず、例えば、着色樹脂エマルジョンを作製する
前にビニル系樹脂及び色剤の有機溶剤溶液中又は水系溶
媒中に予め消泡剤を添加して溶解又は分散させておく前
添法や、着色樹脂エマルジョンを作製した後に消泡剤を
添加して溶解又は分散させる後添法等が挙げられ、いず
れの方法が採られても良いし、併用されても良い。
【0097】消泡剤を上記前添法で含有させることによ
り、ビニル系樹脂及び色剤の有機溶剤溶液を水系溶媒中
に乳化分散させる際の起泡が効果的に抑制され、その結
果、攪拌効率が向上するので、より微細な粒径の着色樹
脂エマルジョンを作製することが出来る。
【0098】第2の本発明は、色剤を包含する色剤内包
樹脂微粒子が水系媒体中に分散されてなる着色樹脂エマ
ルジョンであって、上記色剤内包樹脂微粒子は、少なく
とも表面に架橋構造が形成されているものである着色樹
脂エマルジョンである。
【0099】上記色剤内包樹脂微粒子は、少なくともそ
の表面に架橋構造が形成されているものである。なお、
本明細書において色剤内包樹脂微粒子の表面とは、微粒
子表面から0.01μm程度の微粒子外層を意味するも
のとする。上記色剤内包樹脂微粒子としては、例えば、
付加重合によるビニル系樹脂、重付加反応によるウレタ
ン樹脂、重縮合によるポリエステル樹脂等からなるもの
が挙げられる。
【0100】上記色剤内包樹脂微粒子の少なくとも表面
に架橋構造を形成する方法としては、予め調製された未
架橋の色剤内包樹脂微粒子の表面を架橋する方法が挙げ
られる。上記未架橋の色剤内包樹脂微粒子を予め調製す
る方法としては、上述の転相乳化法が好適である。即
ち、単量体を予め有機溶剤中でラジカル重合等の方法で
樹脂とし、この樹脂溶液に染料を共存させた染料−樹脂
組成物を水中に分散した後、有機溶剤を除去することに
より、上記未架橋の色剤内包樹脂微粒子を得ることがで
きる。
【0101】転相乳化法によると、通常の乳化重合法に
比べて使用する乳化剤の量が少なくて済むか、又は、全
く使用しなくとも未架橋の色剤内包樹脂微粒子を得るこ
とができる。このため、pHの変化や機械的衝撃、水以
外の他の水性媒体の添加、希釈や濃縮等の濃度変化等の
環境の変化によって未架橋の色剤内包樹脂微粒子から乳
化剤が脱離して分散安定性が損なわれ、ひいては凝集等
の発生を招くことがないという利点を有する。
【0102】上記転相乳化法に用いられる単量体として
は、第1の本発明の着色樹脂エマルジョンで用いられ
た、疎水性ビニル系単量体100重量部と、アニオン性
基又はカチオン性基を有するビニル系単量体1〜30重
量部と、ノニオン性親水基を有するビニル系単量体1〜
55重量部とからなる混合単量体が好適である。この混
合単量体をラジカル重合によって共重合することによ
り、未架橋の色剤内包樹脂微粒子を転相乳化法により調
製することができる。なお、上記疎水性ビニル系単量
体、アニオン性基又はカチオン性基を有するビニル系単
量体、ノニオン性親水基を有するビニル系単量体につい
ては、第1の本発明の着色樹脂エマルジョンで用いられ
たものと同様のものを用いることができ、また、第1の
本発明の着色樹脂エマルジョンで用いられたものと同様
の方法により重合を行い、着色樹脂エマルジョンを得る
ことができる。
【0103】上記色剤内包樹脂微粒子は、架橋剤と反応
可能な官能基を有するビニル系単量体を含有する上記混
合単量体をラジカル重合してなる未架橋の色剤内包樹脂
微粒子に、更に、架橋剤を反応させる方法によっても得
ることができる。上記架橋剤と反応可能な官能基を有す
るビニル系単量体としては、例えば、グリシジル(メ
タ)アクリレート等のエポキシ基含有単量体、ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体、
(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有単量体、1
級又は2級アミノ基含有単量体等が挙げられる。
【0104】上記架橋剤としては、上記単量体に含有さ
れる官能基と反応可能な官能基を2個以上有する化合物
が挙げられる。このような化合物としては、例えば、エ
チレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−
プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、
1,12−ジアミノドデカン、N,N−ジベンジルエチ
レンジアミン、4,4−エチレンジ−m−トルイジンジ
アミン、4,4’−メチレンビスシクロヘキシルアミ
ン、N,N’−ジブチル−1,6−ヘキサンジアミン、
3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキ
シルアミン、ピペラジン、ジエチレントリアミン等のア
ミノ基を有する多官能アミン化合物;エチレングリコー
ル、グリセリン等の水酸基を有するポリオール化合物;
コハク酸、アジピン酸、マレイン酸等のカルボン酸を有
する多価カルボン酸化合物;無水マレイン酸、無水フタ
ル酸等の酸無水物;多官能イソシアネート化合物;多官
能エポキシ化合物等が挙げられる。
【0105】上記架橋剤の配合量は、架橋剤中の官能基
の量と得られた未架橋の色剤内包樹脂微粒子の架橋剤と
反応可能な官能基の量との関係で決定される。即ち、前
者が後者の等量以下である量比であることが好ましい。
前者が後者の等量を超える場合には、架橋剤の複数の官
能基が反応できずに架橋点を封止することになるため、
架橋の効果が充分に得られにくい。特に、架橋剤が反応
しやすい微粒子表面の官能基を架橋に充分に参加させる
ためには、このような量比で配合することが好ましい。
【0106】このように、予め調製した未架橋の色剤内
包樹脂微粒子に架橋剤を反応させて、微粒子表面に所望
の架橋構造を導入する場合においては、架橋の程度は下
記式により定義される架橋間分子量によって表され、そ
の架橋間分子量が5000以下であることが好ましく、
より好ましくは4000以下である。
【0107】Σ(Wi×ri)/(Σni×ri+Σm
i×ri)式中、Wiは構成成分単量体iの分子量を表
し、riは構成成分単量体iのモル比(Σri=1)を
表し、niは構成成分単量体iの1分子中に含まれる主
鎖骨格に組み込まれ得る二重結合の数を表し、miは構
成成分単量体iの1分子中に含まれる架橋剤と反応して
架橋点となった官能基の数を表す。ただし、単官能単量
体の場合、ni=0として計算するものとする。なお、
この場合、架橋剤の官能基間の分子量は近似的に0とす
る。なお、上記未架橋の色剤内包樹脂微粒子表面に架橋
剤と反応可能な官能基があっても、系中の架橋点となり
得る官能基の総数が架橋剤中の官能基の総数よりも少な
い場合は、その官能基の不足分は架橋点として見積もら
ないように考慮しなければならない。
【0108】上記色剤内包樹脂微粒子は、自己架橋可能
な官能基を有するビニル系単量体を含有する上記混合単
量体をラジカル重合する方法によっても得ることができ
る。
【0109】上記色剤内包樹脂微粒子は、更に、上記混
合単量体90〜99重量部と、2個以上の重合性二重結
合を有する単量体0.1〜10重量部と、連鎖移動剤
0.01〜2重量部と、ラジカル重合開始剤0.1〜8
重量部と、有機溶剤50〜500重量部とを含有する反
応系においてラジカル重合反応を行い樹脂溶液を調製
し、得られた樹脂溶液に油溶性染料を添加して染料−樹
脂組成物を調製し、得られた染料−樹脂組成物に油溶性
ラジカル重合開始剤を添加した後、水中に分散して得ら
れる樹脂分散液を加熱して再度ラジカル重合反応を行う
ことによっても得ることができる。
【0110】上記混合単量体の配合量は90〜99重量
部であることが好ましい。上記2個以上の重合性二重結
合を有する単量体の配合量は0.1〜10重量部である
ことが好ましい。0.1重量部未満であると、最終的に
得られる色剤内包樹脂微粒子の架橋の度合いが充分でな
いことがあり、10重量部を超えると、ラジカル重合す
る際に架橋反応が進行しすぎて反応系全体がゲル化する
ことがある。上記2個以上の重合性二重結合を有する単
量体としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アク
リレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリ
レート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペ
ンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタ
エリスリトールジ(メタ)アクリレート、グリセロール
ジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)ア
クリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エ
ステル;アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)
アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルケニルエステ
ル;マレイン酸ジビニル、フタル酸ジビニル、アジピン
酸ジビニル等の多価カルボン酸のビニルエステル;ジビ
ニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニ
ル、トリアリルイソシアヌレート、トリス(2−ヒドロ
キシエチル)イソシアヌレートの(メタ)アクリル酸等
が挙げられる。
【0111】上記連鎖移動剤としては特に限定されず、
例えば、メルカプトエタノール、アリルメルカプタン、
ドデシルメルカプタン等のメルカプタン化合物;四塩化
炭素、四臭化炭素等のテトラハロゲン化炭素;下記式
(3)で表されるα−メチルスチレンダイマー等が挙げ
られる。
【0112】
【化7】
【0113】なかでも、アリルメルカプタン、α−メチ
ルスチレンダイマー等の連鎖移動反応の後に重合性二重
結合を再生する連鎖移動剤が好ましい。上記連鎖移動剤
の添加量は0.01〜2重量部であることが好ましい。
0.01重量部未満であると、ラジカル重合の際に分子
量が大きくなりすぎて反応系全体がゲル化することがあ
り、2重量部を超えると、重合反応が充分に進行せず未
反応の単量体が大量に残存することがある。
【0114】上記ラジカル重合開始剤としては特に限定
されないが、上記の半減期10時間で分解温度が10〜
100℃の油溶性有機アゾ化合物や有機過酸化物等が好
ましく使用される。上記ラジカル重合開始剤の添加量は
0.1〜8重量部であることが好ましい。0.1重量部
未満であると、重合反応が充分に進行せず未反応の単量
体が大量に残存したり、得られる樹脂の分子量が大きく
なりすぎ、溶液粘度が高くなりすぎ、エマルジョンに転
化しにくくなることがあり、8重量部を超えると、重合
反応によって生成する樹脂が低分子量化し、樹脂のガラ
ス転移点(Tg)が低くなりすぎることがある。
【0115】上記有機溶剤としては特に限定されるもの
ではないが、大気圧における沸点が100℃未満の有機
溶剤が好ましく使用される。上記有機溶剤の添加量は5
0〜500重量部であることが好ましい。50重量部未
満であると、樹脂染料溶液の粘度が高くなり、乳化分散
が困難になることがあり、500重量部を超えると、後
の工程で必要となる溶剤回収の時間とエネルギーが非常
にかかる。
【0116】上記反応系において重合反応を行い得られ
る樹脂溶液と油溶性染料とからなる染料−樹脂組成物に
は、水中に分散する前に再度油溶性ラジカル重合開始剤
が添加されることが好ましい。上記油溶性ラジカル重合
開始剤としては、水に不溶又は難溶のものであれば特に
限定されないが、上記ラジカル重合開始剤と同様の半減
期10時間で分解温度が10〜100℃の油溶性有機ア
ゾ化合物や有機過酸化物が好ましく使用される。なお、
水溶性のラジカル重合開始剤は、粒子中でのラジカル重
合を開始させることができないので好ましくない。
【0117】上記染料−樹脂組成物には、必要に応じて
非水溶性の単量体を混合してもよい。上記非水溶性の単
量体としては特に限定されず、例えば、上記疎水性であ
り、少なくとも1個の重合性二重結合を有する単量体
や、2個以上の重合性二重結合を有する単量体のうち非
水溶性のものが挙げられる。
【0118】上記染料−樹脂組成物は、上記転相乳化法
の手順に従い、水中に分散される。このとき、染料−樹
脂組成物中のラジカル重合開始剤や必要に応じて添加さ
れた非水溶性の単量体は微粒子中に取り込まれる。得ら
れた未架橋の色剤内包樹脂微粒子を加熱することにより
粒子内部でラジカル重合反応が行われ架橋構造を構成さ
せる反応を行うことができる。
【0119】上記色剤としては、第1の本発明の着色樹
脂エマルジョンで用いられたものと同様のものを用いる
ことができる。
【0120】第2の本発明の着色樹脂エマルジョンの色
剤内包樹脂微粒子の平均粒径は、500nm以下である
ことが好ましい。500nmを超えると、色剤内包樹脂
微粒子が経時で沈降する可能性がある。より好ましくは
400nm以下であり、更に好ましくは350nm以下
である。
【0121】第2の本発明の着色樹脂エマルジョンは、
第1の本発明の着色樹脂エマルジョンと同様、380〜
780nmでの最小透過率が50%となるように製膜し
て得られた塗膜を160℃で1時間加熱した場合に、加
熱の前後での塗膜の色差が5以内であることが好まし
い。また、第2の本発明の着色樹脂エマルジョンは、ビ
ニル系樹脂100重量部に対して、消泡剤を0.01〜
10重量部含有することが好ましい。更に、第2の本発
明の着色樹脂エマルジョンの色剤内包樹脂微粒子は、油
溶性染料1〜60重量%、及び、樹脂成分40〜99重
量%からなることが好ましい。
【0122】第3の本発明は、樹脂成分及び色剤を含有
してなる色剤内包樹脂微粒子が水系媒体中に分散されて
なる着色樹脂エマルジョンであって、上記樹脂成分は、
紫外線吸収能力を有する官能基又は官能基群を有するビ
ニル系単量体と、他のビニル系単量体とをラジカル重合
して得られるものであり、前記色剤内包樹脂微粒子は、
乳化重合以外の方法により得られるものである着色樹脂
エマルジョンである。
【0123】上記紫外線吸収能力を有する官能基又は官
能基群を有するビニル系単量体の紫外線吸収能力を有す
る官能基又は官能基群としては、例えば、ベンゾトリア
ゾール骨格、ベンゾフェノン骨格、トリアジン骨格、シ
ュウ酸アニリド骨格、シアノアクリレート骨格を有する
もの等が挙げられる。このうち、ベンゾトリアゾール骨
格、ベンゾフェノン骨格、トリアジン骨格が好ましい。
上記ベンゾトリアゾール骨格は、下記一般式(4)で表
される骨格である。
【0124】
【化8】
【0125】式中、Xは水素又はハロゲン原子を表し、
、Rは、同じであっても異なっていてもよく、そ
れぞれ、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、又
は、これらの基の一部が置換されたものを表す。上記R
、Rの少なくとも一方は重合性二重結合を有する基
である。
【0126】上記ベンゾフェノン骨格は、下記一般式
(5)で表される骨格である。
【0127】
【化9】
【0128】式中、Rは、アルケニル基、又は、一部が
重合性二重結合を含む官能基で置換されたアルキル基若
しくはアラルキル基を表す。
【0129】上記トリアジン骨格は、下記一般式(6)
で表される骨格である。
【0130】
【化10】
【0131】式中、R、R、R、R、Rは、
同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、アルキ
ル基、アラルキル基、アルケニル基、又は、これらの基
の一部が置換されたものを表す。上記R、R
、R、Rの少なくとも1つは重合性二重結合を
有する基である。
【0132】上記紫外線吸収能力を有する官能基又は官
能基群を有するビニル系単量体の配合量としては、紫外
線吸収能力を有する官能基又は官能基群を有するビニル
系単量体によって構成されるセグメントの含有量が、色
剤内包樹脂微粒子の5〜50重量%であることが好まし
い。5重量%未満であると、耐久性の改良効果が充分に
得られにくく、50重量%を超えると、色剤内包樹脂微
粒子の粒径が極端に大きくなり、エマルジョンとしての
安定性が損なわれることがある。より好ましくは10〜
45重量%である。
【0133】上記他のビニル系単量体としては、例え
ば、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル
酸、クロトン酸等のアクリル酸、及び、それらのα−、
又は、β−アルキル誘導体;フマル酸、マレイン酸、シ
トラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸、及
び、それらのモノ又はジエステル誘導体;コハク酸モノ
アクリロイルオキシエチルエステル、アリルアルコー
ル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、(メタ)
アクリルアミド;フェニルマレイミド、シクロヘキシル
マレイミド等のマレイミド類;酢酸ビニル、吉草酸ビニ
ル、バーサチック酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステル;
エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニ
ルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレ
ン、プロピレン;スチレン又はαメチルスチレン等のス
チレン誘導体;メチル(メタ)アクリレート、エチル
(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレー
ト、イソブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル
(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)ア
クリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、ステ
アリル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メ
タ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート;メ
チル−α−クロル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート、1,4−ヒドロキシブ
チル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリ
レート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレー
ト、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジ
メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルア
ミノエチル(メタ)アクリレート、メタクリロキシエチ
ルホスフェート等のアクリル酸又はメタクリル酸のエス
テル等のビニル系単量体が挙げられる。
【0134】上記ビニル系単量体としては、下記一般式
(1)で表される単量体も好適である。
【0135】
【化11】
【0136】式中、Rは水素原子又はメチル基を表
す。従って、この単量体は、アクリルアミド誘導体又は
メタクリルアミド誘導体である。また、Rは炭素数3
〜6のアルキル基を表し、例えば、n−プロピル基、i
−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチ
ル基等が挙げられる。
【0137】また、上記樹脂成分を得る際に、エチレン
グリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール
ジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリ
レート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ア
リルメタクリレート、ビニルメタクリレート、グリセロ
ールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、トリアリル
イソシアヌレート等の1分子中に2個以上の重合性二重
結合を有するビニル系単量体を併用してもよい。
【0138】上記色剤内包樹脂微粒子は、樹脂成分がラ
ジカル重合により得られるものであり、乳化重合以外の
方法により得られるものである。上記乳化重合以外の方
法としては、例えば、懸濁重合、ソープフリー重合、分
散重合、転相乳化法等が挙げられる。上記色剤内包樹脂
微粒子は、これらの乳化重合以外の方法を用いて得られ
ることにより、多量の乳化剤を用いる必要がないので、
色剤内包樹脂微粒子中の重合性の紫外線吸収剤、即ち、
紫外線吸収能力を有する官能基又は官能基群を有するビ
ニル系単量体の濃度を高く保ったままで、凝集等もなく
安定に水中に分散したエマルジョンを得ることができ
る。また、濃度、pH、機械的衝撃、水以外の他の水系
媒体との混合等の環境の変化による凝集等の発生も抑制
される。
【0139】上記色剤内包樹脂微粒子の製造方法として
は、得られる微粒子の粒径や、樹脂成分と油溶性染料と
の粒子内共存の容易性の点から、上述の転相乳化法が好
適に用いられる。
【0140】転相乳化法によれば、樹脂中にアニオン性
基、カチオン性基、又は、ノニオン性の親水性基を付与
することによって、樹脂自体に水系媒体に対する自己分
散性を持たせることができるので、転相乳化法によって
得られた色剤内包樹脂微粒子は、通常の乳化重合によっ
て得られる色剤内包樹脂微粒子と異なり、多量の乳化剤
を必要としない。
【0141】上記転相乳化法に用いる単量体としては、
疎水性ビニル系単量体100重量部と、アニオン性基又
はカチオン性基を有するビニル系単量体1〜30重量部
と、ノニオン性親水基を有するビニル系単量体1〜55
重量部とからなる混合単量体が好適である。即ち、この
混合単量体と上記紫外線吸収能力を有する官能基又は官
能基群を有するビニル系単量体とを共重合することによ
り、上記色剤内包樹脂微粒子を転相乳化法により調製す
ることができる。上記疎水性ビニル系単量体、アニオン
性基又はカチオン性基を有するビニル系単量体、ノニオ
ン性親水基を有するビニル系単量体としては、第1の本
発明の着色樹脂エマルジョンで用いられたものと同様の
ものを用いることができ、第1の本発明の着色樹脂エマ
ルジョンで用いられたものと同様の方法により重合を行
い、着色樹脂エマルジョンを得ることができる。
【0142】上記色剤としては、第1の本発明の着色樹
脂エマルジョンで用いられる色剤と同様のものを用いる
ことができる。
【0143】上記色剤の含有量としては、上記色剤内包
樹脂微粒子の5〜50重量%であることが好ましい。5
重量%未満であると、色剤内包樹脂微粒子の色濃度が不
足し、インクとして使用したときに所定の濃さが得られ
にくく、50重量%を超えると、得られる色剤内包樹脂
微粒子の粒径が極端に大きくなってエマルジョンとした
場合の安定が損なわれやすい。より好ましくは10〜4
0重量%である。
【0144】上記色剤内包樹脂微粒子は、必要に応じ
て、油溶性染料と樹脂成分とを混合する際に、追加の紫
外線吸収剤や紫外線安定剤、可塑剤、顔料、その他の助
剤等の成分を混合して水中に分散してもよい。ただしそ
の量が多すぎると得られる色剤内包樹脂微粒子の粒径が
大きくなったり、分散安定性が低下したりすることがあ
るので、その添加量は色剤内包樹脂微粒子の10重量%
以下であることが好ましい。
【0145】上記色剤内包樹脂微粒子は、乳化重合以外
の方法によって得られるので、多量の乳化剤を必要とし
ないことを特長とするが、エマルジョンの分散安定性
や、インクジェット印刷インクとした際のインク吐出安
定性を向上させる等の目的で、耐湿性、耐水性の向上や
泡立ちの抑制といった第3の本発明の効果を損なわない
程度において少量の乳化剤を使用してもよい。
【0146】上記色剤内包樹脂微粒子の平均粒径は50
0nm以下であることが好ましい。500nmを超える
と、エマルジョンとした場合に色剤内包樹脂微粒子が時
間の経過に従い沈降しやすくなる。より好ましくは40
0nm以下であり、更に好ましくは350nm以下であ
る。
【0147】第3の本発明の着色樹脂エマルジョンは、
第1の本発明の着色樹脂エマルジョンの場合と同様、3
80〜780nmでの最小透過率が50%となるように
製膜して得られた塗膜を160℃で1時間加熱した場合
に、加熱の前後での塗膜の色差が5以内であることが好
ましい。また、第3の本発明の着色樹脂エマルジョン
は、ビニル系樹脂100重量部に対して、消泡剤を0.
01〜10重量部含有することが好ましい。更に、第3
の本発明の着色樹脂エマルジョンの色剤内包樹脂微粒子
は、油溶性染料1〜60重量%、及び、樹脂成分40〜
99重量%からなることが好ましい。
【0148】第4の本発明のインクジェット印刷用イン
クは、上述した第1、第2又は第3の本発明の着色樹脂
エマルジョンに保湿剤が添加されてなるものである。
【0149】第4の本発明のインクジェット印刷用イン
クにおいて、保湿剤はインクの水系媒体の揮発を低減
し、ひいてはインクジェットノズルにおけるインクの乾
燥を防ぐことができるので、インク乾燥のために生じる
造膜や増粘、エマルジョン粒子の凝集、ノズルの詰まり
を抑制し、インクジェット印刷用インクとして安定した
印字性能を発現させることができる。また、得られるイ
ンク塗膜の平滑な造膜を促進し、ひいては塗膜の光学特
性の良好なインクジェット印刷用インクを得ることがで
きる。
【0150】上記保湿剤としては水溶性又は親水性の液
状有機化合物であれば特に限定されず、例えば、エタノ
ール、n−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタ
ノール、2−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプ
タノール、3−ヘプタノール、1−ヘキサノール、1−
オクタノール、2−オクタノール、1−ノナノール、1
−デカノール、1−ウンデカノール、1−メトキシ−2
−プロパノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロ
フルフリルアルコール、3,5,5−トリメチル−1ヘ
キサノール、2−エチル−1−ヘキサノール、シクロヘ
キサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチ
ルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノー
ル、ベンジルアルコール等のモノアルコール類;(ジ、
トリ、テトラ)エチレングリコール、(ジ、トリ、テト
ラ)エチレングリコールモノメチルエーテル、(ジ、ト
リ、テトラ)エチレングリコールモノエチルエーテル、
(ジ、トリ、テトラ)エチレングリコールモノイソプロ
ピルエーテル、(ジ、トリ、テトラ)エチレングリコー
ルモノプロピルエーテル、(ジ、トリ、テトラ)エチレ
ングリコールモノブチルエーテル、(ジ、トリ、テト
ラ)エチレングリコールモノイソブチエーテル、(ジ、
トリ、テトラ)エチレングリコールモノヘキシルエーテ
ル、(ジ、トリ、テトラ)エチレングリコールモノフェ
ニルエーテル、(ジ、トリ、テトラ)エチレングリコー
ルモノアリルエーテル、(ジ、トリ、テトラ)エチレン
グリコールモノイソアミルエーテル、(ジ、トリ、テト
ラ)エチレングリコールジメチルエーテル、(ジ、ト
リ、テトラ)エチレングリコールジエチルエーテル、
(ジ、トリ、テトラ)エチレングリコールジイソプロピ
ルエーテル、(ジ、トリ、テトラ)エチレングリコール
ジプロピルエーテル、(ジ、トリ、テトラ)エチレング
リコールモノアセテート、(ジ、トリ、テトラ)エチレ
ングリコールジアセタート、(ジ、トリ、テトラ)エチ
レングリコールモノメチルエーテルアセテート、(ジ、
トリ、テトラ)エチレングリコールモノイソプロピルア
セテート、(ジ、トリ、テトラ)エチレングリコールモ
ノブチルエーテルアセテート等の(ジ、トリ、テトラ)
エチレングリコール誘導体;ポリエチレングリコール及
びその誘導体;(ジ、トリ、テトラ)プロピレングリコ
ール、(ジ、トリ、テトラ)プロピレングリコールモノ
メチルエーテル、(ジ、トリ、テトラ)プロピレングリ
コールモノエチルエーテル、(ジ、トリ、テトラ)プロ
ピレングリコールモノイソプロピルエーテル、(ジ、ト
リ、テトラ)プロピレングリコールモノプロピルエーテ
ル、(ジ、トリ、テトラ)プロピレングリコールモノブ
チルエーテル、(ジ、トリ、テトラ)プロピレングリコ
ールジメチルエーテル、(ジ、トリ、テトラ)プロピレ
ングリコールジエチルエーテル、(ジ、トリ、テトラ)
プロピレングリコールモノアセテート、(ジ、トリ、テ
トラ)プロピレングリコールジアセテート、(ジ、ト
リ、テトラ)プロピレングリコールモノメチルエーテル
アセテート等の(ジ、トリ、テトラ)プロピレングリコ
ール誘導体;ポリプロピレングリコール及びその誘導
体;1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオー
ル、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、3−メチルー1、5−ペンタンジオ−ル、3−ヘキ
セン−2、5−ジオール、1,5−ペンタンジオール、
2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペン
タンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘ
キサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオー
ル、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロ
ヘキサンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、ネ
オペンチルグリコール等のジオール類及びそのエーテル
誘導体又はアセテート誘導体;グリセリン、1,2,
4、−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオ
ール、1,2,5、−ペンタントリオール、トリメチロ
ールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリ
トール等の多価アルコール類及びそのエーテル誘導体又
はアセテート誘導体;ジメチルスルホキシド、チオジグ
リコール、N−メチル−2−ピロリドン、r−ブチロラ
クトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジン、スル
フォラン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルホルム
アミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、α−
テルピネオ−ル、エチレンカーボネート、ブロピレンカ
ーボネート、ビス−β−ヒドロキシエチルスルフォン、
ビス−β−ヒドロキシエチルウレア、N,N−ジエチル
エタノールアミン、アビエチノール、ジアセトンアルコ
ール、スルホラン等が挙げられる。これらの化合物のな
かでも沸点が100℃以上で水溶性の有機化合物が好ま
しく、例えば、グリセリン、(ジ、トリ、テトラ)エチ
レングリコール、(ジ、トリ、テトラ)エチレングリコ
ールモノアルキルエーテル、ジメチルスルホキシド等が
好ましく用いられる。これらの保湿剤は、単独で用いら
れても良いし、2種類以上が併用されても良い。なお、
ここでいう(ジ、トリ、テトラ)エチレングリコール
は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール又はテトラエチレングリコールを示
し、(ジ、トリ、テトラ)プロピレングリコールは、プ
ロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプ
ロピレングリコール又はテトラプロピレングリコールを
示す。
【0151】上記保湿剤の添加量は、特に限定されるも
のではないが、インクジェット印刷用インクの5〜50
重量%であることが好ましい。5重量%未満であると、
充分な保湿効果を得られないことがあり、50重量%を
超えると、インクジェット印刷用インクの粘度が高くな
り過ぎたり、乾燥に時間がかかったりする等の問題が生
じることがある。より好ましくは5〜45重量%であ
る。更に好ましくは5〜40重量%である。
【0152】また、第4の本発明のインクジェット印刷
用インクは、消泡剤0.001〜5重量%を含有するこ
とが好ましい。インクジェット印刷用インク中に消泡剤
を含有させることにより、インクジェット印刷の際のノ
ズル孔での泡立ちを効果的に抑制することが出来るの
で、より安定的な印刷を行うことが出来る。0.001
重量%未満であると、上記効果を充分に得られないこと
があり、5重量%を超えると、インクジェット印刷用イ
ンク中で消泡剤が相分離や凝集を起こして、安定性が損
なわれることがある。
【0153】第4の本発明のインクジェット印刷用イン
クを380〜780nmでの最小透過率が50%となるよ
うに製膜して得られた塗膜を、160℃で1時間加熱し
た後の塗膜中の残存消泡剤量が5重量%以下であること
が好ましい。インクを乾燥させ、基板に塗膜を形成させ
ると、インクジェット印刷用インク中の消泡剤の溶解度
が減少するために消泡剤の相分離が生じる。塗膜中の残
存消泡剤量が5重量%を超えると、乾燥させた塗膜の表
面に消泡剤の析出が起こり、塗膜の透明性を減少させる
ことがあり、塗膜の透明性が重要なカラーフィルター等
の用途として使用する際には問題となる。より好ましく
は3重量%以下である。上記のような性能を満たす消泡
剤としては、例えば、アセチレングリコール系の消泡剤
等が挙げられる。
【0154】第4の本発明のインクジェット印刷用イン
クには、炭素数4〜15のアルコール0.01〜10重
量%を含有することが好ましい。炭素数4〜15のアル
コールを含有することにより、インクジェット印刷用イ
ンクを用いたインクジェット印刷の際のノズル孔での泡
立ち抑制効果の持続性が向上するので、更に安定的な印
刷を行うことが出来る。0.01重量%未満であると、
上記効果を充分に得られないことがあり、10重量%を
超えると、炭素数4〜15のアルコールが、揮発した
り、インクジェット印刷用インク中で相分離を起こした
り、インクジェット印刷用インクの粘度が大幅に上昇し
たり等の好ましくない影響が出ることがある。
【0155】上記炭素数4〜15のアルコールとして
は、特に限定されるものではないが、水系溶媒及び消泡
剤の双方に相溶性を有するものが好ましいので、水系溶
媒中でイオン構造をとるような水酸基以外の極度な極性
基を有せず、水酸基数が1個もしくは奇数個であるか、
又は、偶数個であっても最長炭素鎖の非対称の位置に水
酸基が存在するものが好ましい。
【0156】このような炭素数4〜15のアルコールと
しては、特に限定されず、例えば、n−ブタノール、t
−ブタノール、イソアミルアルコール、シクロヘキサノ
ール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、3−メ
チル−3−メトキシブタノール等が挙げられる。これら
の炭素数4〜15のアルコールは、単独で用いられても
良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0157】第4の本発明のインクジェット印刷用イン
クは、シランカップリング剤を0.01〜10重量%含
有することが好ましい。これにより、インクにより形成
される塗膜の支持体への密着性が向上する。
【0158】上記シランカップリング剤としては特に限
定されないが、エポキシ基を含有しているものであるこ
とが好ましい。エポキシ基を含有しているものであれ
ば、上記ビニル系樹脂のアニオン性基、カチオン性基又
はノニオン性基との相互作用が大きくなりより効果的に
支持体との密着性が発現する。
【0159】上記エポキシ基含有のシランカップリング
剤としては、分子内にエポキシ基を含有しているもので
あれば特に限定されず、例えば、γ−グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルト
リエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジ
メトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエ
トキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシ
ル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0160】第4の本発明のインクジェット印刷用イン
クは、1〜100mg/cmの塗布量で塗布して得ら
れた塗膜の室温乾燥後の水浸漬後残量が下記式を満たす
ことが好ましい。下記式を満たすと、凝集による目詰ま
り等のインクジェット印刷に関わる問題がない。 残存量≦(初期塗膜重量×インク固形分×0.5) 上記塗布量は1〜100mg/cmである必要があ
る。1mg/cm未満であると、塗布量が少なすぎて
重量変化の正確さが失われるおそれがあり、100mg
/cmを超えると、室温では所定の乾燥状態が得られ
ず評価結果の正確さが失われる。塗膜は支持体表面全体
を覆う均一連続膜であってもよいし、表面の一部に存在
する液滴状の不連続形態であっても、上記塗布重量であ
ればかまわない。
【0161】後述するように、インクジェット法により
カラーフィルターを作製する際には、インクジェット印
刷用インクにはガラスやプラスチック等の基板に平坦に
濡れ広がり、かつ、所定の区画を乗り越えないことが要
求される。一般的に基板に設置されている区画は撥水処
理が施されている。従って、カラーフィルターを作製す
るのに用いるインクジェット印刷用インクには、ガラス
やプラスチック等の基板上では平坦に濡れ広がり、基板
に設置された撥水処理された区画上でははじかれる性質
を兼ね備えることが要求される。第4の本発明のインク
ジェット印刷用インクは、ガラスやプラスチック等の基
板上でのインクの接触角と、撥水処理された基板上での
インクの接触角の差が15°以上であることが好まし
い。より好ましくは20°以上である。
【0162】インクジェット印刷用インクの印字性能に
は、インク液滴の形成性が影響し、この性能を満足する
ためには表面張力とインク流路との接触角が好ましい範
囲内にあることが必要である。流路との接触角の測定値
は、流路部材の選定により影響を受けるが、水系媒体を
使用するインクの場合、よりインクの接触角に差が出や
すい撥水性基材、例えば、フッ素樹脂板とのインクの接
触角で判断することができる。第4の本発明のインクジ
ェット用インクの表面張力とフッ素樹脂板上でのインク
の接触角とが下記式(7)で表される関係を満たしてい
ることが好ましい。 y≦4x−35 (7) 式中、xは表面張力(mN/m)を表し、yはフッ素樹
脂板上でのインクジェット印刷用インクの接触角を表
す。また、下記式(8)で表される関係を満たしている
ことがより好ましい。 y≦4x−50 (8) 式中、xは表面張力(mN/m)を表し、yはフッ素樹
脂板上でのインクジェット印刷用インクの接触角を表
す。また、下記式(9)で表される関係を満たしている
ことが好ましい。 y≧4x−120 (9) 式中、xは表面張力(mN/m)を表し、yはフッ素樹
脂板上でのインクジェット印刷用インクの接触角を表
す。また、下記式(10)で表される関係を満たしてい
ることがより好ましい。 y≧4x−100 (9) 式中、xは表面張力(mN/m)を表し、yはフッ素樹
脂板上でのインクジェット印刷用インクの接触角を表
す。上記式で表される関係を満たさない場合、インクジ
ェット印刷用インクの印字性能が劣ることがある。な
お、上記フッ素樹脂板とはJIS K6888記載の四
フッ化エチレン板を示す。
【0163】上記表面張力およびフッ素樹脂板上でのイ
ンクジェット印刷用インクの接触角は、界面活性剤、消
泡剤等を配合することにより、低下する。したがって、
界面活性剤、消泡剤の種類や量を最適化することによ
り、調整することができる。また、ビニル系樹脂の単量
体組成によっても調整することができる。アニオン性基
又はカチオン性基を有するビニル系単量体の割合を増加
させると、表面張力が増加する。したがってアニオン性
基又はカチオン性基を有するビニル系単量体の割合を調
整することにより、調整することが可能である。
【0164】第4の本発明のインクジェット印刷用イン
クにおける色剤内包樹脂微粒子の固形分濃度は特に限定
はされないが、3〜20重量%であることが好ましい。
【0165】第4の本発明のインクジェット印刷用イン
クの粘度としては、E型回転式粘度計によって測定され
る25℃における粘度が2〜15mPa・sであること
が好ましい。2mPa・s未満であると、インクノズル
からの流下を止められなくなることがあり、インク漏れ
を原因とする印字不良をもたらしたりすることがあり、
また、カラーフィルター用としてガラス基板上に印字す
る場合には、ガラス基板上で濡れ広がりすぎて膜厚を制
御できなくなることがある。15mPa・sを超える
と、プリンターのインク配管中でのインクの流動性が極
端に悪くなり、ノズルへのインク供給不足を原因とする
印字不良をもたらすことがあり、また、インク中の気泡
の抜けが悪くなり、ノズルに気泡がからんで印字しにく
くなることがある。
【0166】上記インクジェット印刷としては、ピエゾ
素子の振動によってインクをノズルから吐出させるピエ
ゾ式、発熱素子の急激な加熱荷よってインクをノズルか
ら吐出させる方式等があり、第4の本発明のインクジェ
ット印刷用インクはいずれにも適用することができる。
【0167】第4の本発明のインクジェット印刷用イン
クは、上記のインクジェット印刷用プリンターによっ
て、紙やその他の媒体に印刷して記録を行うことができ
る。また、金属、プラスチック、ガラス等の様々な基材
に印刷してマーキングをしたりすることも可能である。
【0168】第5の本発明のカラーフィルターは、第4
の本発明のインクジェット印刷用インクを用いて得られ
る。
【0169】即ち、異なる色彩の色剤を含有する複数種
の着色樹脂エマルジョンを用いた複数種のインクジェッ
ト印刷用インクを、インクジェット印刷法により、透明
基板上の所定の区画にそれぞれ印刷した後、熱処理を施
すことにより、例えば液晶表示装置等に用いられるカラ
ーフィルターを好適に形成することが出来る。また、
赤、緑、青の3原色やシアン、マゼンダ、イエロー等の
補色を有する着色樹脂エマルジョンを用いたインクジェ
ット印刷用インクを、インクジェット印刷法により、透
明基板上に印刷することによっても、カラーフィルター
を好適に形成することが出来る。
【0170】第6の本発明は、疎水性ビニル系単量体1
00重量部と、アニオン性基を有するビニル系単量体1
〜30重量部と、ノニオン性親水基を有するビニル系単
量体0〜30重量部とからなる混合単量体を重合して得
られるビニル系樹脂、及び、色剤からなる色剤内包樹脂
微粒子が水系媒体中に分散されてなる着色樹脂エマルジ
ョンからなる電着液であって、上記混合単量体は、下記
一般式(1)で表される重合性単量体を、その10重量
%以上含有する電着液である。
【0171】
【化12】
【0172】式中、Rは水素原子又はメチル基を表
す。従って、上記一般式(1)で表される単量体は、ア
クリルアミド誘導体又はメタクリルアミド誘導体(以
下、疎水性(メタ)アクリルアミド誘導体ともいう)で
ある。また、式中、Rは炭素数3〜6のアルキル基を
表し、例えば、n−プロピル基、i−プロピル基、n−
ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられ
る。
【0173】上記疎水性ビニル系単量体、アニオン性基
を有するビニル系単量体、ノニオン性親水基を有するビ
ニル系単量体としては、第1の本発明の着色樹脂エマル
ジョンで用いられるものと同様のものを用いることがで
きる。
【0174】第6の本発明の電着液の着色樹脂エマルジ
ョンを構成するビニル系樹脂は、上記疎水性ビニル系単
量体100重量部、上記アニオン性基を有するビニル系
単量体1〜30重量部及び上記ノニオン性親水基を有す
るビニル系単量体0〜30重量部からなる混合単量体を
重合して得られる。
【0175】上記混合単量体において、疎水性ビニル系
単量体100重量部に対するアニオン性基を有するビニ
ル系単量体の使用量が1重量部未満であると、得られる
ビニル系樹脂の親水性が乏しくなって、水系媒体中に分
散した際に、粒径が充分に小さくならず、ひいては着色
樹脂エマルジョンの機械的安定性や保存安定性が不十分
となる。また、電着液として通電してカラーフィルター
を形成する際に樹脂の析出による塗膜の形成が起こりに
くくなる。疎水性ビニル系単量体100重量部に対する
アニオン性基を有するビニル系単量体の使用量が30重
量部を超えるか、ノニオン性親水基を有するビニル系単
量体の使用量が30重量部を超えると、得られるビニル
系樹脂の親水性が強くなり過ぎて、水系媒体に分散した
際に得られる樹脂微粒径が小さくなりすぎたり、水系媒
体中に樹脂微粒子を形成せずに溶解してしまい、得られ
る着色樹脂エマルジョンの粘度が高くなりインクジェッ
ト印刷用インクとしての吐出性が悪くなったり、着色樹
脂エマルジョンの塗膜の耐湿性や耐水性が不十分とな
る。上記ビニル系単量体において、疎水性ビニル系単量
体100重量部に対する上記ノニオン性親水基を有する
ビニル系単量体の使用量は1〜30重量部であることが
好ましい。
【0176】本発明の着色樹脂エマルジョンを製造する
方法としては、上述の転相乳化法が好ましい。転相乳化
法によると、ビニル系樹脂は色剤と非共存下で重合する
ことができるので、重合時に色剤による重合阻害の影響
がなく、多種類の色剤を内包させることができる。ま
た、共重合されたアニオン性基によりビニル系樹脂自体
に水系媒体への自己分散性が付与されてなるので、それ
だけで色剤内包樹脂微粒子が水系媒体中に安定に分散す
る。このため本発明の着色樹脂エマルジョンは多量の界
面活性剤を有する必要がないので、塗膜の耐水性や耐湿
性に優れ、水系媒体への分散する際の泡立ちが少なく作
業性が良好である。
【0177】上記混合単量体からビニル系樹脂を得るた
めの重合方法としては、バルク重合、溶液重合等、任意
の重合方法がとられるが、溶媒として有機溶剤を用い、
重合開始剤の存在下で重合を行う溶液重合法が、重合反
応制御が容易なため好ましい。
【0178】上記有機溶剤としては、第1の本発明の着
色樹脂エマルジョンで用いられたものと同様のものを用
いることができる。上記有機溶剤と上記混合単量体の使
用割合は、特に限定されるものではないが、有機溶剤1
00重量部に対して、混合単量体10〜50重量部であ
ることが好ましい。10重量部未満であると、生産性が
悪くなることがあり、50重量部を超えると、得られる
ビニル系樹脂溶液の粘度が高くなり過ぎて、水系媒体中
への乳化分散が難しくなることがある。
【0179】上記重合開始剤としては、第1の本発明の
着色樹脂エマルジョンで用いられたものと同様のものを
用いることができる。上記重合開始剤の使用量は、特に
限定されるものではないが、上記混合単量体100重量
部に対して、重合開始剤0.1〜10重量部が好まし
い。0.1重量部未満であると、得られるビニル系樹脂
の分子量が高くなりすぎることがあり、10重量部を超
えると、得られるビニル系樹脂の分子量が低くなり過ぎ
ることがある。より好ましくは0.2〜5重量部であ
る。
【0180】本発明で用いられるビニル系樹脂の分子量
としては、3000〜30万であることが好ましい。3
000未満であると、得られる色剤内包樹脂微粒子を構
成する重合体のガラス転移温度(Tg)が低すぎて、塗
膜の耐水性や耐溶剤性が劣ることがあり、30万を超え
ると、水中に分散させる際の粘度が高すぎて、十分な分
散ができず樹脂粒径が大きくなり、ひいては経時の粒子
沈降が激しいために電着液として使用した際の保存安定
性が劣ることがある。更に好ましくは8000〜20万
である。なお、ここでいう分子量とは、ゲルパーミエー
ションクロマトグラフ(GPC)で、標準ポリスチレン
換算によって求めたものの、重量平均分子量をいう。
【0181】上記ビニル系樹脂のガラス転移温度(T
g)としては、10〜100℃であることが好ましい。
10℃未満であると、樹脂微粒子間の融着が起きやす
く、インクの保存安定性が損なわれたり、インクジェッ
ト印刷時にノズル詰まりの原因となったりすることがあ
り、100℃を超えると、印刷後のインク塗膜の融着が
充分には起こりにくくなり、特に第1の本発明の一つの
使用形態として挙げられるカラーフィルターの印刷に用
いた場合には、塗膜の濁りの原因になり、液晶画面の表
示品位を低下させることがある。なお、ここでいうTg
とは示差走査熱量測定法(DSC)によって測定される
ものである。
【0182】上記溶液重合の方法や条件は、使用する混
合単量体の組成や重合開始剤の種類等に応じて適宜設定
すれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、
セパラブルフラスコのような通常の反応容器中に有機溶
剤及び混合単量体の各所定量を仕込み、窒素気流下で攪
拌しながら温度を反応温度まで昇温し、次いで、重合開
始剤の有機溶剤溶液もしくは分散液の所定量を1〜2時
間かけて滴下しながら重合反応を行い、さらに同温度で
3〜4時間重合反応を継続した後、室温まで冷却するこ
とにより、所望のビニル系樹脂溶液を得ることが出来
る。なお、上記反応温度は、特に限定されるものではな
いが、10〜100℃が好ましく、より好ましくは40
〜80℃である。
【0183】上記色剤としては、特に限定されるもので
はないが、例えば、有機染料、無機染料等の染料、有機
顔料、無機顔料等の顔料などが挙げられる。染料として
は、特に限定されるものではないが、例えば、酸性染
料、塩基性染料、直接染料、分散染料等が挙げられ、な
かでも有機溶剤やビニル系樹脂への溶解性や内包性が良
好なことから、油溶性染料が好適に用いられる。また、
油溶性染料は耐熱性、耐光性に優れるため、本発明の着
色微粒子による塗膜が高温や紫外線にさらされる場合は
好ましく使用される。また、電着法において、水溶性染
料を使用すると、上記染料が電気化学的に酸化や還元を
受けて、染料の化学構造が破壊され、色相の変化を来す
という問題や、電着された色剤内包樹脂微粒子膜中のバ
インダー樹脂と染料との割合がイオン性の割合によって
変化するため、その都度調整が必用になるという問題点
があるが、油溶性染料においてはこのような問題点が少
ない。これらの色剤は、単独で用いられても良いし、2
種類以上が併用されても良い。
【0184】上記油溶性染料としては、第1の本発明の
着色樹脂エマルジョンで用いられたものと同様のものを
用いることができる。上記油溶性染料は、ビニル系樹脂
との混合時に均一に混合できる組み合わせが好ましい。
すなわち、使用する有機溶剤やビニル系樹脂と油溶性染
料との親和性によって有機溶剤や油溶性染料を決定し組
み合わせを選定する。かかる油溶性染料とビニル系樹脂
の混合の際に両者の溶解に用いられる有機溶剤として
は、第1の本発明の着色樹脂エマルジョンで用いられた
ものと同様のものを用いることができる。
【0185】また、上記色剤として顔料を使用すること
もできる。顔料は耐熱性、耐光性に優れるため、本発明
の着色微粒子による塗膜が高温や紫外線にさらされる場
合は好ましく使用される。上記顔料としては、第1の本
発明の着色樹脂エマルジョンで用いられたものと同様の
ものを用いることができる。
【0186】上記色剤内包樹脂微粒子は、色剤1〜60
重量%、及び、ビニル系樹脂40〜99重量%からなる
ことか好ましい。色剤1重量%未満でビニル系樹脂が9
9重量%を超えると、インクとして使用した場合の塗膜
の色濃度が不足し、必要な色濃度を得るためには塗膜厚
みが必要になり、第6の本発明の電着液の使用形態の一
つであるカラーフィルターとしての適用が困難になるこ
とがある。色剤が60重量%を超えてビニル系樹脂が4
0重量%未満であると、油溶性染料や顔料などの色剤が
樹脂微粒子中に内包されなかったり、得られる樹脂粒径
が極端に大きくなり第6の本発明の電着液の安定が損な
われたりすることがあり、またビニル系樹脂の架橋反応
が十分に進行しなくなり、本発明の目的の一つである耐
水性や耐溶剤性の優れたカラーフィルター塗膜を得るこ
とが難しくなる。更に好ましくは色剤が5〜50重量
%、ビニル系樹脂が50〜95重量%である。
【0187】上記混合単量体の溶液重合により得られる
ビニル系樹脂溶液と上記色剤との混合方法は、特に限定
されるものではなく、例えば、ビニル系樹脂溶液と色剤
とを個別に準備しておき、この両者を所定の割合で混合
する方法を採っても良いし、また、混合単量体の溶液重
合時に所定量の色剤を使用し、混合単量体の溶液重合と
色剤の混合とを一括して同時に行う方法を採っても良
い。なお、色剤は、そのままの状態で混合もしくは使用
されても良いし、予め有機溶剤に溶解もしくは分散させ
た状態で混合もしくは使用されても良い。
【0188】第6の本発明の電着液は、上記方法で得ら
れるビニル系樹脂及び色剤の混合物、又はその有機溶剤
溶液を水系媒体中に乳化分散させることにより作製され
る。
【0189】上記乳化分散時の水系媒体の添加量は、特
に限定されるものではないが、ビニル系樹脂及び色剤の
混合物又はその有機溶剤溶液100重量部に対して、水
系媒体50〜200重量部であることが好ましい。50
重量部未満であると、十分かつ安定的な乳化分散を行え
なくなることがあり、200重量部を超えると、得られ
る電着液の固形分濃度が低くなり過ぎることがある。
【0190】上記転相乳化法を行う場合には、水系媒体
は水単独であっても良いし、必要に応じて、水溶性有機
溶剤、pH調整剤、界面活性剤、消泡剤等の各種使用剤
の1種類もしくは2種類以上が使用された水であっても
良い。上記水溶性有機溶剤は後述する保湿剤の一部また
は全部であってもよい。なお、上記pH調整剤として
は、第1の本発明の着色樹脂エマルジョンで用いられた
ものと同様のものを用いることができる。
【0191】第6の本発明の電着液に用いられる水系媒
体には電解質が含有されてもよい。水系媒体中に電解質
を含有させることにより、電着液に導電性が発現しやす
く、優れた電着性を有する電着液を得ることができる。
上記電解質としては、水溶性の塩であれば特に限定され
ず、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アン
モニウム、過塩素酸アンモニウム等の無機塩;アルキル
硫酸ナトリウム、アルキル硫酸アンモニウム等のアルキ
ル硫酸塩やアルキルスルホン酸ナトリウムやアルキルス
ルホン酸アンモニウム等のアルキルスルホン酸塩等のア
ニオン性界面活性剤等が挙げられる。これらの電解質は
単独で用いられてもよいし2種以上が併用されてもよ
い。上記電解質の添加量は特に限定されるものではない
が、電解液中の0.5〜5重量%であることが好まし
い。0.5重量%未満であると、電着性が不十分である
ことがあり、5重量%を超えると、塗膜の耐水性や耐湿
性が低下することがある。
【0192】ビニル系樹脂及び色剤の混合物又はその有
機溶剤溶液を、水系媒体中に乳化分散させる方法として
は、第1の本発明の着色樹脂エマルジョンで用いられた
ものと同様の方法を用いることができる。
【0193】上記色剤内包樹脂微粒子の平均粒径は、5
00nm以下であることが好ましい。500nmを超え
ると、着色樹脂エマルジョンとした場合に色剤内包樹脂
微粒子が経時で沈降する可能性がある。より好ましくは
400nm以下であり、更に好ましくは350nm以下
である。
【0194】本発明の電着液には、液の乾燥を防ぎ、電
着槽内部での不必要な塗膜形成を抑制したり、電着塗膜
を可塑化して平滑な塗膜の形成を促す目的で水溶性の有
機溶剤を添加することができる。このような水溶性有機
溶剤を添加することによって得られる塗膜の平滑な造膜
を促進し、ひいては塗膜の光学特性の良好な電着法カラ
ーフィルターを得ることが出来る。
【0195】上記水溶性有機溶剤としては、水溶性もし
くは親水性の液状有機化合物であれば特に限定されず、
例えば、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノ
ール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ヘプタノ
ール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−ヘキ
サノール、1−オクタノール、2−オクタノール、1−
ノナノール、1−デカノール、1−ウンデカノール、1
−メトキシ−2−プロパノール、フルフリルアルコー
ル、テトラヒドロフルフリルアルコール、3,5,5−
トリメチル−1ヘキサノール、2−エチル−1−ヘキサ
ノール、シクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサ
ノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシ
クロヘキサノール、ベンジルアルコール等のモノアルコ
ール類;(ジ、トリ、テトラ)エチレングリコール、
(ジ、トリ、テトラ)エチレングリコールモノメチルエ
ーテル、(ジ、トリ、テトラ)エチレングリコールモノ
エチルエーテル、(ジ、トリ、テトラ)エチレングリコ
ールモノイソプロピルエーテル、(ジ、トリ、テトラ)
エチレングリコールモノプロピルエーテル、(ジ、ト
リ、テトラ)エチレングリコールモノブチルエーテル、
(ジ、トリ、テトラ)エチレングリコールモノイソブチ
エーテル、(ジ、トリ、テトラ)エチレングリコールモ
ノヘキシルエーテル、(ジ、トリ、テトラ)エチレング
リコールモノフェニルエーテル、(ジ、トリ、テトラ)
エチレングリコールモノアリルエーテル、(ジ、トリ、
テトラ)エチレングリコールモノイソアミルエーテル、
(ジ、トリ、テトラ)エチレングリコールジメチルエー
テル、(ジ、トリ、テトラ)エチレングリコールジエチ
ルエーテル、(ジ、トリ、テトラ)エチレングリコール
ジイソプロピルエーテル、(ジ、トリ、テトラ)エチレ
ングリコールジプロピルエーテル、(ジ、トリ、テト
ラ)エチレングリコールモノアセテート、(ジ、トリ、
テトラ)エチレングリコールジアセタート、(ジ、ト
リ、テトラ)エチレングリコールモノメチルエーテルア
セテート、(ジ、トリ、テトラ)エチレングリコールモ
ノイソプロピルアセテート、(ジ、トリ、テトラ)エチ
レングリコールモノブチルエーテルアセテート等の
(ジ、トリ、テトラ)エチレングリコール誘導体;ポリ
エチレングリコール及びその誘導体;(ジ、トリ、テト
ラ)プロピレングリコール、(ジ、トリ、テトラ)プロ
ピレングリコールモノメチルエーテル、(ジ、トリ、テ
トラ)プロピレングリコールモノエチルエーテル、
(ジ、トリ、テトラ)プロピレングリコールモノイソプ
ロピルエーテル、(ジ、トリ、テトラ)プロピレングリ
コールモノプロピルエーテル、(ジ、トリ、テトラ)プ
ロピレングリコールモノブチルエーテル、(ジ、トリ、
テトラ)プロピレングリコールジメチルエーテル、
(ジ、トリ、テトラ)プロピレングリコールジエチルエ
ーテル、(ジ、トリ、テトラ)プロピレングリコールモ
ノアセテート、(ジ、トリ、テトラ)プロピレングリコ
ールジアセテート、(ジ、トリ、テトラ)プロピレング
リコールモノメチルエーテルアセテート等の(ジ、ト
リ、テトラ)プロピレングリコール誘導体;ポリプロピ
レングリコール及びその誘導体;1,3−プロパンジオ
ール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、3−メチルー1、5−ペ
ンタンジオ−ル、3−ヘキセン−2、5−ジオール、
1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオー
ル、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−
ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エ
チル−1,3−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキ
サンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2−
ブテン−1,4−ジオール、ネオペンチルグリコール等
のジオール類及びそのエーテル誘導体又はアセテート誘
導体;グリセリン、1,2,4、−ブタントリオール、
1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,5、−ペン
タントリオール、トリメチロールプロパン、トリメチロ
ールエタン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール
類及びそのエーテル誘導体又はアセテート誘導体;ジメ
チルスルホキシド、チオジグリコール、N−メチル−2
−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、r−ブチ
ロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジン、
スルフォラン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルム
アミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルホ
ルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、
α−テルピネオ−ル、エチレンカーボネート、ブロピレ
ンカーボネート、ビス−β−ヒドロキシエチルスルフォ
ン、ビス−β−ヒドロキシエチルウレア、N,N−ジエ
チルエタノールアミン、アビエチノール、ジアセトンア
ルコール等が挙げられる。これらの化合物のなかでも沸
点が100℃以上で水溶性の有機化合物が好ましく、例
えば、グリセリン、(ジ、トリ、テトラ)エチレングリ
コール、(ジ、トリ、テトラ)エチレングリコールモノ
アルキルエーテル、ジメチルスルホキシド等が好ましく
用いられる。これらの保湿剤は、単独で用いられても良
いし、2種類以上が併用されても良い。なお、ここでい
う、(ジ、トリ、テトラ)エチレングリコールは、エチ
レングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレン
グリコール又はテトラエチレングリコールを示し、
(ジ、トリ、テトラ)プロピレングリコールは、プロピ
レングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピ
レングリコール又はテトラプロピレングリコールを示
す。
【0196】上記水溶性有機溶剤の使用量は、特に限定
されるものではないが、電着液中の5〜40重量%であ
ることが好ましい。5重量%未満であると、十分な保湿
効果を得られないことがあり、40重量%を超えると、
電着液の粘度が高くなり過ぎたり、乾燥に時間がかかっ
たりする等の問題が生じることがある。
【0197】また、電着液中におけるビニル系樹脂及び
色剤からなる微粒子の固形分濃度は、特に限定されるも
のではないが、3〜20重量%であることが好ましい。
【0198】第6の本発明の電着液の粘度としては、E
型回転式粘度計によって測定される25℃における粘度
が50mPa・s以下であることが好ましい。50mP
a・sを超えると、電着槽中の対流が起こりにくくなり
電極近くの樹脂濃度が低くなるなどの濃度ムラができや
すくひいては均一な膜厚のカラーフィルターを形成する
ことが困難になる。
【0199】第7の本発明のカラーフィルターは、透明
電極を有するカラーフィルター基板を第6の本発明の電
着液中に浸漬して、通電することにより作製するもので
ある。即ち、赤、緑、青の3原色や、シアン、マゼン
タ、イエロー等の補色を有する着色樹脂エマルジョンか
らなる着色層を電着法によりITO等の透明電極が形成
された液晶表示パネル用ガラス基板や樹脂基板上に形成
することによって、カラーフィルターを形成することが
できる。
【0200】電着法により第7の本発明のカラーフィル
ターを形成する具体的な方法としては、上記透明電極が
形成された液晶表示パネル用基板と対向電極を着色樹脂
エマルジョンからなる電着液中に浸漬し、通電して電場
を印加した後、カラーフィルターを形成した基板を水洗
し、異なる色の電着液中で同様の操作を繰り返す方法等
が挙げられる。印加する電圧、及び時間は特に限定され
るものではないが、電圧5〜50V、時間3〜60秒間
であることが好ましい。また作製されるカラーフィルタ
ー電着層の膜厚は特に限定されるものではないが、0.
3〜3μmであることが好ましい。上記カラーフィルタ
ーのパターニング方法は、電極のパターンによって制御
する方法をとってもよいし、パターンのない透明電極基
板にフォトリソグラフ等の方法により絶縁層を形成して
カラーフィルターをパターニングした後、絶縁層を除去
する方法をとってもよい。
【0201】第1の本発明の着色樹脂エマルジョンは、
疎水性ビニル系単量体、アニオン性基もしくはカチオン
性基を有するビニル系単量体及びノニオン性親水基を有
するビニル系単量体の各特定量を含有する混合単量体を
重合して得られるビニル系樹脂を主成分として用いるの
で、親水性と疎水性とのバランスが良く、水系溶媒に乳
化分散する際に、粒径が充分に小さい微粒子となり、保
存時や使用時に沈降を起こさない。また、上記ビニル系
樹脂の微粒子は表面の親水性が高いものとなるので、強
い機械的衝撃にも耐え得る優れた機械的安定性を発現す
る。また、特定量の消泡剤を特に前添法で含有させるこ
とにより、ビニル系樹脂及び色剤の有機溶剤溶液を水系
溶媒中に乳化分散させる際の起泡が効果的に抑制され、
攪拌効率が向上するので、より微細な粒径の着色樹脂エ
マルジョンとなる。
【0202】第2の本発明の着色樹脂エマルジョンは、
色剤内包樹脂微粒子の少なくとも表面に架橋構造が形成
されていることから、耐候性の低下をもたらすと考えら
れる大気中のガス成分を透過させ難い。このため粒子内
部の油溶性染料が劣化することが少なく、耐候性に優
れ、長期間使用した場合でも色変化等が起こらない。
【0203】第3の本発明の着色樹脂エマルジョンは、
色剤内包樹脂微粒子が従来よりも多量の紫外線吸収剤を
包含していることから、紫外線による染料劣化が少な
く、耐光性に優れ、長期間使用した場合でも色変化等が
起こらない。
【0204】第4の本発明のインクジェット印刷用イン
クは、上記着色樹脂エマルジョン又は着色樹脂エマルジ
ョン又は着色樹脂エマルジョンを主成分とし、これに保
湿剤が含有されてなるので、優れた機械的安定性や保存
安定性を有すると共に、その塗膜は良好な耐候性、耐光
性を発現する。また、消泡剤や炭素数4〜15のアルコ
ールを含有させることにより、インクジェット印刷の際
のノズル孔での泡立ちを効果的且つ持続的に抑制するこ
とが出来ので、極めて安定的な印刷を行うことが出来
る。従って、第4本発明のインクジェット印刷用インク
は、第5の本発明であるカラーフィルターの製造用とし
て好適なものである。
【0205】第6の本発明の電着液は、電着液としての
保存安定性に優れており、また、第7の本発明の透明性
に優れ、かつ、水や有機溶剤に対する耐性の優れたカラ
ーフィルターを作製することができる。
【0206】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0207】(実施例1)n−ブトキシメチルアクリル
アミド100部、ヒドロキシエチルメタクリレート1
1.8部及びメタクリル酸5.9部からなる混合単量体
117.7部を酢酸エチル341.0部に溶解し、セパラブ
ルフラスコ内に仕込み、窒素置換した後、油溶性アゾ系
重合開始剤(和光純薬工業社製、V−65)の10重量
%エタノール溶液11.8部を1時間かけて滴下しなが
ら重合反応を行った。その後、同温度で3時間重合反応
を継続した後、色剤として赤色アゾ染料の金属錯体(チ
バスペシャルティケミカルズ社製、オラゾールレッド
G)23.5部を使用し、溶解した。次いで、室温まで
冷却して、着色ビニル系樹脂溶液を得た。
【0208】ホモジナイザーを用いて、上記で得られた
着色ビニル系樹脂溶液を高速攪拌しながら、pH調整剤
として0.5重量%のアンモニア水溶液564.4部(水系
媒体)を滴下して、着色ビニル系樹脂溶液を上記水系媒
体中に乳化分散させた。次いで、この乳化分散液を40
℃に加熱した後、真空蒸留により酢酸エチルを除去し
て、着色樹脂エマルジョンを作製した。得られた着色樹
脂エマルジョンの色剤内包樹脂微粒子の平均粒径は76
nmであった。
【0209】次いで、上記着色樹脂エマルジョン(固形
分20重量%)50部に対して、保湿剤としてグリセリ
ン20部及びイオン交換水30部を使用し、均一に攪拌
混合して、インクジェット印刷用インクを作製した。
【0210】(実施例2)混合単量体の組成を、n−ブ
トキシメチルアクリルアミド52.9部、メチルメタク
リレート47.1部、ヒドロキシエチルメタクリレート
11.8部及びメタクリル酸5.9部、としたこと以外
は実施例5の場合と同様にして、着色樹脂エマルジョン
及びインクジェット印刷用インクを作製した。なお、得
られた着色樹脂エマルジョンの色剤内包樹脂微粒子の平
均粒径は99nmであった。
【0211】(実施例3)n−ブトキシメチルアクリル
アミド52.9部、メチルメタクリレート47.1部、
ジエチルアミノエチルメタクリレート17.7部及びエ
チレングリコールメタクリレート11.8部からなる混
合単量体129.5部を酢酸エチル375.5部に溶解
し、セパラブルフラスコ内に仕込み、窒素置換した後、
油溶性アゾ系重合開始剤(和光純薬工業社製、V−6
5)の10重量%エタノール溶液13.0部を1時間か
けて滴下しながら重合反応を行った。その後、同温度で
3時間重合反応を継続した後、色剤として赤色アゾ染料
の金属錯体(チバスペシャルティケミカルズ社製、オラ
ゾールレッドG)23.5部及び消泡剤としてジメチル
ポリシロキサン(信越化学工業社製、KF96)7.1部
を添加し、溶解した。次いで、室温まで冷却して、着色
ビニル系樹脂溶液を得た。
【0212】ホモジナイザーを用いて、上記で得られた
着色ビニル系樹脂溶液を高速攪拌しながら、pH調整剤
としてピルビン酸14.1部を添加した水696.8部
(水系溶媒)を滴下して、着色ビニル系樹脂溶液を上記
水系溶媒中に乳化分散させた。次いで、この乳化分散液
を40℃に加熱した後、真空蒸留により酢酸エチルを除
去して、着色樹脂エマルジョンを作製した。得られた着
色樹脂エマルジョンの色剤内包樹脂微粒子の平均粒径は
32nmであった。
【0213】次いで、上記着色樹脂エマルジョン(固形
分20重量%)50部に対して、保湿剤としてグリセリ
ン19.5部、炭素数4〜15のアルコールとしてイソ
アミルアルコール0.5部、消泡剤としてポリオキシア
ルキレン変性シリコーン(信越化学工業社製、KF94
5)0.1部及びイオン交換水29.9部を添加し、均
一に攪拌混合して、インクジェット印刷用インクを作製
した。
【0214】(実施例4)n−ブトキシメチルアクリル
アミド52.9部、メチルメタクリレート47.1部、
ジエチルアミノエチルメタクリレート5.9部及びエチ
レングリコールメタクリレート11.8部からなる混合単量
体117.6部を酢酸エチル341.1部に溶解し、セ
パラブルフラスコ内に仕込み、窒素置換した後、油溶性
アゾ系重合開始剤(和光純薬工業社製、V−65)の1
0重量%エタノール溶液11.7部を1時間かけて滴下
しながら重合反応を行った。その後、同温度で3時間重
合反応を継続した後、色剤として赤色アゾ染料(チバス
ペシャルティケミカルズ社製、オラゾールレッドG)2
3.5部及び消泡剤としてポリアルキレン変成シリコー
ン(信越化学工業社製、KF945)7.1部を添加し、
溶解した。次いで、室温まで冷却して、着色ビニル系樹
脂溶液を得た次いでホモジナイザーを用いて、上記で得
られた着色ビニル系樹脂溶液を高速攪拌しながら、pH
調整剤としてピルビン酸7.1部を添加した水645.
1部(水系溶媒)を滴下して、着色ビニル系樹脂溶液を
上記水系溶媒中に乳化分散させた。次いで、この乳化分
散液を40℃に加熱した後、真空蒸留により酢酸エチル
を除去して、着色樹脂エマルジョンを作製した。得られ
た着色樹脂エマルジョンの色剤内包樹脂微粒子の平均粒
径は35nmであった。
【0215】(比較例1)混合単量体の組成をn−ブト
キシメチルアクリルアミド100.0部及びメタクリル
酸5.3部、酢酸エチル305.4部、重合開始剤溶液
10.5部 、赤色アゾ染料(チバスペシャルティケミ
カルズ社製、オラゾールレッドG)21.1部、アンモ
ニア水505.6部としたこと以外は実施例1の場合と
同様にして、着色樹脂エマルジョン及びインクジェット
印刷用インクを作製した。得られた着色樹脂エマルジョ
ンの色剤内包樹脂微粒子の平均粒径は453nmであっ
た。
【0216】(比較例2)n−ブトキシメチルアクリル
アミド52.9部、メチルメタクリレート47.1部、
ジエチルアミノエチルメタクリレート17.7部からな
る混合単量体117.7部を酢酸エチル341.1部に
溶解し、セパラブルフラスコ内に仕込み、窒素置換した
後、油溶性アゾ系重合開始剤(和光純薬工業社製、V−
65)の10重量%エタノール溶液11.7部を1時間
かけて滴下しながら重合反応を行った。その後、同温度
で3時間重合反応を継続した後、色剤として赤色アゾ染
料(チバスペシャルティケミカルズ社製、オラゾールレ
ッドG)23.5部を添加し、溶解した。次いで、室温
まで冷却して、着色ビニル系樹脂溶液を得た次いでホモ
ジナイザーを用いて、上記で得られた着色ビニル系樹脂
溶液を高速攪拌しながら、pH調整剤としてピルビン酸
14.1部を添加した水635.1部(水系溶媒)を滴
下して、着色ビニル系樹脂溶液を上記水系溶媒中に乳化
分散させた。次いで、この乳化分散液を40℃に加熱し
た後、真空蒸留により酢酸エチルを除去して、着色樹脂
エマルジョンを作製した。得られた着色樹脂エマルジョ
ンの色剤内包樹脂微粒子の平均粒径は879nmであっ
た。
【0217】ピエゾ式インクジェットプリンター(セイ
コーエプソン社製、PM−750C)を用いて、実施例
1〜4、比較例1、2で得られたインクジェット印刷用
インクの印刷テストを行い、ノズル目詰まりの有無及び
直進性を目視で観察し、評価した。結果を表1に示し
た。
【0218】
【表1】
【0219】表1から明らかなように、実施例1〜4の
インクジェット印刷用インクは、いずれも色剤内包樹脂
微粒子の平均粒径が充分に小さかった。また、印刷テス
トにおいて、いずれもノズルの目詰まりが無く、直進性
も良好であり、優れた機械的安定性を発現した。これに
対し、ノニオン性親水基を有するビニル系単量体(エチ
レングリコールメタクリレート)を含有させなかった混
合単量体を用いて作製された着色樹脂エマルジョンから
なる比較例1のインクジェット印刷用インク、及び、ノ
ニオン性親水基を有するビニル系単量体(エチレングリ
コールメタクリレート)を含有させなかった混合単量体
を用い、消泡剤(ジメチルポリシロキサン)を含有させ
ることなく作製された着色樹脂エマルジョンからなる比
較例2のインクジェット印刷用インクは、いずれも色剤
内包樹脂微粒子の平均粒径が大きかった。また、印刷テ
ストにおいて、いずれも一部ノズルに目詰まりや曲がり
の発生が認められ、機械的安定性が劣っていた。
【0220】(実施例5)メチルメタクリレート64.
7部、n−ブトキシメチルアクリルアミド17.6部、
2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチル
フェニル)−2H−ベンゾトリアゾール17.7部、メ
タクリル酸5.9部、ヒドロキシエチルメタクリレート
11.8部からなる混合単量体117.7部と、酢酸エ
チル341.3部とをフラスコ内に仕込み、窒素置換を
行った後、70℃に昇温して重合開始剤として2、2’
−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)の10重量
%酢酸エチル溶液11.8部を、1時間かけて滴下しな
がら重合反応を行った。その後3時間、70℃に保った
まま熟成した後、室温に冷却した。その後、油溶性のマ
ゼンタ色ローダミン系染料(保土谷化学工業社製、アイ
ゼンカラースピロンレッドC−BH、以下、スピロンレ
ッドC−BHともいう)41.2部を使用し、均一に溶
解させて着色ビニル系樹脂溶液を得た。
【0221】ホモジナイザーを用いて、上記で得られた
着色ビニル系樹脂溶液を高速攪拌しながら、pH調整剤
として0.3重量%のアンモニア水溶液635.6部を
(水系媒体)を滴下して、着色ビニル系樹脂溶液を上記
水系媒体中に乳化分散させた。次いで、この乳化分散液
を40℃に加熱した後、真空蒸留により酢酸エチルを除
去して、着色樹脂エマルジョンを作製した。得られた着
色樹脂エマルジョンの色剤内包樹脂微粒子の平均粒径は
96nmであった。得られた着色樹脂エマルジョンか
ら、実施例1と同様の方法でインクジェット印刷用イン
クを得た。
【0222】(実施例6)実施例5で使用した混合単量
体の組成を、n−ブトキシアクリルアミド17.6部、
2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチル
フェニル)−2H−ベンゾトリアゾール35.3部、メ
チルメタクリレートを47.1部、メタクリル酸5.9
部、ヒドロキシエチルメタクリレート11.8部の合計
117.7部に変更したこと以外は同様にして着色樹脂
エマルジョン及びインクジェット印刷用インクを作製し
た。なお、色剤内包樹脂微粒子の平均粒径は140nm
であった。
【0223】(実施例7)実施例5で使用した保湿剤の
使用を、ジエチレングリコール20部、エチレングリコ
ール10部及びイオン交換水20部に変更したこと以外
は同様にして着色樹脂エマルジョン及びインクジェット
印刷用インクを作製した。
【0224】(実施例8)実施例5で使用した混合単量
体の組成を、n−ブトキシメチルアクリルアミド47.
1部、メチルメタクリレート35.3部、ビニルナフタ
レン17.6部、無水マレイン酸5.9部、ヒドロキシ
エチルメタクリレート11.8部の合計117.7部に
変更したこと以外は実施例5と同様にして着色樹脂エマ
ルジョンを作製し、また、保湿剤をジプロピレングリコ
ール20部、エチレングリコール10部及びイオン交換
水を20部に変更したこと以外は実施例1と同様にして
インクジェット印刷用インクを作製した。なお、色剤内
包樹脂微粒子の平均粒径は165nmであった。
【0225】(実施例9)実施例5で使用した混合単量
体の組成を、イソプロポキシメチルアクリルアミド3
5.3部、メチルメタクリレート47.1部、4−ビニ
ルビフェニル17.6部、2−アクリルアミド−2−メ
チルスルホン酸5.9部、ヒドロキシエチルメタクリレ
ート11.8部の合計117.7部に変更したこと以外
は実施例5と同様にして着色樹脂エマルジョンを作製
し、また、保湿剤をジプロピレングリコール10部、エ
チレングリコール10部及び、イオン交換水30部に変
更したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット
印刷用インクを作製した。なお、色剤内包樹脂微粒子の
平均粒径は107nmであった。
【0226】(実施例10)実施例5で使用した混合単
量体の組成を、イソプロポキシメチルアクリルアミド3
5.3部、ブチルアクリレート35.3部、ビニルナフ
タレン29.4部、メタクリル酸5.9部、アクリルア
ミド5.9部、4−ヒドロキシブチルメタクリレート
5.9部の合計117.7部に変更したこと以外は実施
例5と同様にして着色樹脂エマルジョンを作製し、ま
た、保湿剤をトリプロピレングリコール10部、ジメチ
ルスルホキシド10部、グリセリン10部及び、イオン
交換水20部に変更したこと以外は実施例1と同様にし
てインクジェット印刷用インクを作製した。なお、色剤
内包樹脂微粒子の平均粒径は142nmであった。
【0227】(実施例11)実施例5で使用した混合単
量体の組成を、n−ブトキシメチルアクリルアミド1
7.6部、メチルメタクリレート82.4部、メタクリ
ル酸5.9部、ヒドロキシエチルメタクリレート11.
8部の合計117.7部に変更したこと以外は実施例5
と同様にして着色樹脂エマルジョン及びインクジェット
印刷用インクを作製した。なお、色剤内包樹脂微粒子の
平均粒径は89nmであった。
【0228】(実施例12)実施例11で使用した保湿
剤の使用を、トリプロピレングリコール10部、ジメチ
ルスルホキシド10部に変更したこと以外は実施例11
と同様にして着色樹脂エマルジョン及びインクジェット
印刷用インクを作製した。
【0229】(実施例13)メチルメタクリレート50
部、ブチルアクリレート50部、メタクリル酸12.5
部、ヒドロキシエチルメタクリレート12.5部からな
る混合単量体125.0部と、酢酸エチル362.5部
とをフラスコ内に仕込み、窒素置換を行った後、70℃
に昇温して重合開始剤として2、2’−アゾビスイソブ
チロニトリル(AIBN)10重量%酢酸エチル溶液1
2.5部を、1時間かけて滴下しながら重合反応を行っ
た。その後3時間、70℃に保ったまま熟成した後、室
温に冷却した。その後、スピロンレッドC−BH43.
8部を使用して着色ビニル系樹脂溶液を作製し、これに
0.6重量%のアンモニア水溶液を675.2部滴下し
て、乳化分散させた。その後、実施例1と同様にして着
色樹脂エマルジョン及びインクジェット印刷用インクを
作製した。なお、色剤内包樹脂微粒子の平均粒径は19
0nmであった。
【0230】(実施例14)実施例13で使用した混合
単量体の組成を、メチルメタクリレート50部、ブチル
アクリレート43.8部、n−ブトキシメチルアクリル
アミド6.2部、メタクリル酸12.5部、ヒドロキシ
エチルメタクリレート12.5部の合計125.0部に
変更したこと以外は実施例13と同様にして着色樹脂エ
マルジョン及びインクジェット印刷用インクを作製し
た。なお、色剤内包樹脂微粒子の平均粒径は135nm
であった。
【0231】(実施例15)実施例6で使用したビニル
系樹脂溶液470.8重量部に対し、油溶性染料を添加
せず、ジケトピロロピロール系赤色顔料IRGAZIN
DPP RED BO(チバスペシャリティーケミカ
ルズ社製)33.9重量部を加えて、サンドミルによっ
て顔料の平均粒子径が130nmになるまで微粒化分散
処理を行い、顔料分散ビニル系樹脂溶液を得た。次に、
得られた顔料分散ビニル系樹脂溶液をホモジナイザーで
高速撹拌しながらpH調整剤として0.3重量%のアン
モニア水溶液588.2を(水系媒体)を滴下して、着
色ビニル系樹脂溶液を上記水系媒体中に乳化分散させ
た。次いで、この乳化分散液を40℃に加熱した後、真
空蒸留により酢酸エチルを除去して、着色樹脂エマルジ
ョンを作製した。得られた着色樹脂エマルジョンを孔径
5μmのフィルターで濾過した後、色剤内包樹脂微粒子
の粒子径を測定したところ、平均粒子径は211nmで
あった。得られた着色樹脂エマルジョンから、実施例1
と同様の方法でインクジェット印刷用インクを得た。
【0232】(実施例16)実施例8で使用したビニル
系樹脂溶液470.8重量部に対し、油溶性染料を添加
せず、フタロシアニングリーン顔料 IRGALITE
GREEN GLNP(チバスペシャリティーケミカ
ルズ社製)33.9重量部を加えて、サンドミルによっ
て顔料の平均粒子径が105nmになるまで微粒化分散
処理を行い、顔料分散ビニル系樹脂溶液を得た。次に、
得られた顔料分散ビニル系樹脂溶液をホモジナイザーで
高速撹拌しながらpH調整剤として0.3重量%のアン
モニア水溶液588.2を(水系媒体)を滴下して、着
色ビニル系樹脂溶液を上記水系媒体中に乳化分散させ
た。次いで、この乳化分散液を40℃に加熱した後、真
空蒸留により酢酸エチルを除去して、着色樹脂エマルジ
ョンを作製した。得られた着色樹脂エマルジョンを孔径
5μmのフィルターで濾過した後、色剤内包樹脂微粒子
の粒子径を測定したところ、平均粒子径は198nmで
あった。得られた着色樹脂エマルジョンから、実施例1
と同様の方法でインクジェット印刷用インクを得た
【0233】(比較例3)メチルメタクリレート33.
3部、n−ブトキシメチルアクリルアミド41.7部、
2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチル
フェニル)−2H−ベンゾトリアゾール25部、メタク
リル酸8.3部、ヒドロキシエチルメタクリレート5
8.3部からなる混合単量体166.6部と、酢酸エチ
ル483.2部とをフラスコ内に仕込み、窒素置換を行
った後、70℃に昇温して重合開始剤としてAIBNの
10重量%酢酸エチル溶液16.7部を、1時間かけて
滴下しながら重合反応を行った。その後3時間、70℃
に保ったまま熟成した後、室温に冷却した。その後、ス
ピロンレッドC−BH58.3部を使用して着色ビニル
系樹脂溶液を作製し、これに0.3重量%アンモニア水
溶液を899.6部滴下した。ホモジナイザーで撹拌中
アンモニア水を滴下するとペースト状(高粘度)にな
り、これ以上のインク使用や評価を行うことができなか
った。これは、ノニオン性の親水性単量体が多く、樹脂
微粒子を形成できなかったためと考えられる。
【0234】(比較例4)n−ブトキシメチルアクリル
アミド47.1部、メチルメタクリレート35.3部、
ビニルナフタレン17.6部、メタクリル酸5.9部か
らなる混合単量体105.9部と、酢酸エチル307.
1部とをフラスコ内に仕込み、窒素置換を行った後、7
0℃に昇温して重合開始剤としてAIBN10重量%酢
酸エチル溶液10.6部を、1時間かけて滴下しながら
重合反応を行った。その後3時間、70℃に保ったまま
熟成した後、室温に冷却した。その後、スピロンレッド
C−BH37.1部を使用して着色ビニル系樹脂溶液を
作製し、これに0.6重量%のアンモニア水溶液を57
2.0部滴下して、乳化分散させた。その後、実施例1
と同様にして着色樹脂エマルジョン及びインクジェット
印刷用インクを作製した。なお、色剤内包樹脂微粒子の
平均粒径は1650nmであった。得られたインクジェ
ット印刷用インクは、室温下で数分間静置している間
に、容器の底に沈降が認められた。これは色剤内包樹脂
微粒子の粒径が大きいため重力による沈降が進んだため
と考えられる。
【0235】(比較例5)比較例3で使用した混合単量
体の組成を、n−ブトキシメチルアクリルアミド41.
7部、メチルメタクリレート33.3部、ビニルナフタ
レン25部、メタクリル酸58.3部、4−ヒドロキシ
ブチルメタクリレート8.3部の合計166.6部に変
更し、乳化分散時に1.5重量%のアンモニア水を89
9.6部滴下したこと以外は、比較例3と同様にして着
色樹脂エマルジョンを作製しようとしたところ、ホモジ
ナイザーで撹拌中にアンモニア水を滴下していくとペー
スト状(高粘度)になり、これ以上のインク使用や評価
を行うことができなかった。これは、アニオン性の親水
性単量体が多く、樹脂微粒子を形成できなかったためと
考えられる。
【0236】(比較例6)メチルメタクリレート37.
5部、n−ブトキシメチルアクリルアミド43.8部、
ビニルナフタレン18.8部、ヒドロキシエチルメタク
リレート25部からなる混合単量体125.1部と、酢
酸エチル362.8部とをフラスコ内に仕込み、窒素置
換を行った後、70℃に昇温して重合開始剤としてAI
BNの10重量%酢酸エチル溶液12.5部を、1時間
かけて滴下しながら重合反応を行った。その後3時間、
70℃に保ったまま熟成した後、室温に冷却した。その
後、スピロンレッドC−BH43.8部を使用して着色
ビニル系樹脂溶液を作製し、これに0.3重量%のアン
モニア水溶液を675.6部滴下して、乳化分散させ
た。その後、実施例1と同様にして着色樹脂エマルジョ
ン、およびインクジェット印刷用インクを作製した。な
お、色剤内包樹脂微粒子の平均粒径は875nmであっ
た。得られたインクジェット印刷用インクは、室温下で
数分間静置している間に、容器の底に沈降が認められ
た。これは色剤内包樹脂微粒子の粒径が大きく、重力に
よる沈降が進んだためと考えられる。
【0237】(比較例7)実施例6で使用したビニル系
樹脂溶液に油溶性染料を加えずにエマルジョン化して固
形部20重量%の非着色樹脂エマルジョンを得た。一方
フタロシアニングリーン顔料、IRGALITE GR
EEN GLNP100部に対して30部のスチレンマ
レイン酸共重合体系顔料分散剤を使用して、イオン交換
水と混合した混合物を、サンドミルによって平均粒子径
が115nmになるまで微粒化処理を行った。得られた
顔料分散液を固形分20重量%となるように調整し、先
に得られた非着色エマルジョンと混合した。混合比は樹
脂固形分と顔料の比率が実施例15のものと同等になる
ようにした。上記の、ビニル系樹脂に内包されていない
顔料と、ビニル系樹脂微粒子の分散液の混合物に、実施
例1と同様にして保湿剤等を配合しインクジェット印刷
用インクとした。
【0238】上記実施例5〜16、比較例3〜7で得ら
れたインクジェット印刷用インクについて下記のような
評価を行った。結果を表2及び3に示す。
【0239】1)インクの印字性能評価 得られたインクジェット印刷用インクを用いて、ピエゾ
式インクジェットプリンター(セイコーエプソン社製、
PM−750C)で、市販の上質A4コピー紙一枚にベ
タ印刷した結果を、下記の4段階の評価にかけた。 ◎;印刷面にすじがなく、インク滴がノズルから直進し
て着弾していることが認められる。 ○;印刷面に若干の筋が見られるが、ノズル詰まりは認
められず最後まですべてのノズルから吐出が認められ
た。 △;印刷面に多くの筋が見られるが、ノズル詰まりは認
められず最後まですべてのノズルから吐出が認められ
た。 ×;印刷面に多くの筋が見られ、更に途中からノズル詰
まりが認められた。
【0240】2)インク塗膜の耐溶剤性評価 得られたインクジェット印刷用インクをスピンコーター
を用いてガラス板上に厚み約2μmに均一に塗布した。
このガラス板を100℃の恒温層中で5分間放置し乾燥
させた後、200℃の恒温層中で1時間放置して熱硬化
させた。得られた塗膜をエタノール中に30分間放置し
て塗膜の耐溶剤性を評価した。 ○;エタノール浸漬後指でこすっても全く塗膜のはがれ
が認められなかった。 △;エタノール浸漬後、塗膜の外観には全く変化が認め
られなかったが、指でこするとわずかに剥離が認められ
た。 ×;エタノール浸漬後、そのままの状態で塗膜が溶解し
て剥離した。
【0241】3)インクの保存安定性評価 得られたインクジェット印刷用インクをガラス容器に入
れて、容器ごと25℃の恒温槽中に一週間放置し、イン
クの変化を目視で観察した結果を下記の3段階に評価し
た。 ○;外観上の変化が全く認められなかったもの △;外観上の変化は全く認められなかったが、放置後の
インクで上記の印字性能評価試験を行ったところ、ノズ
ルの詰まりによる筋が認められ、インクの変質があった
もの。 ×;容器の底に沈降物の層が認められたか、又はインク
全体が流動性を失いゲル化した。
【0242】
【表2】
【0243】
【表3】
【0244】(実施例17)疎水性ビニル系単量体とし
て以下の単量体を使用した。 n−ブトキシメチルアクリルアミド 30g メタクリル酸メチル 35g グリシジルメタクリレート 5g また、非共役炭素を3個以上含む5員環以上の環状官能
基を有する疎水性ビニル系単量体としては以下の単量体
を使用した。 アクリル酸イソボルニル 5g テトラヒドロフルフリルアクリレート 5g 計80gを疎水性ビニル系単量体100重量部とした。
また、ノニオン性親水基を有するビニル系単量体として
は以下の単量体を使用した。 Nビニルピロリドン 15g(18.8重量部) また、アニオン性基を有するビニル系単量体として以下
の単量体を使用した。 無水マレイン酸 5g(6.3重量部) 上記単量体を酢酸エチル300gに溶解し、フラスコ内
に注入し、窒素置換した後、油溶性アゾ系重合開始剤
(和光純薬工業社製、V−65)10gのエタノール1
0%溶液を1時間かけて滴下した。その後、同温度で3
時間攪拌した後、色剤として赤色アゾ染料の金属錯体
(チバスペシャルティケミカルズ社製、オラゾールレッ
ドG)20gを添加し溶解後、室温に冷却し、色剤内包
樹脂微粒子溶液を得た。得られた色剤内包樹脂微粒子溶
液の分散体を40℃に加熱し、真空蒸留することによっ
て酢酸エチルを除去することによって着色樹脂エマルジ
ョンを得た。得られた着色樹脂エマルジョンの色剤内包
樹脂微粒子の平均粒径は115nmであった。次いで、
上記着色樹脂エマルジョン(固形分20重量%)50部
に対して、保湿剤としてグリセリン20部及びイオン交
換水30部を使用し、均一に攪拌混合して、インクジェ
ット印刷用インクを作製した。
【0245】(実施例18)疎水性ビニル系単量体とし
て以下の単量体を使用した。 n−ブトキシメチルアクリルアミド 25g メタクリル酸メチル 30g グリシジルメタクリレート 5g また、非共役炭素を3個以上含む5員環以上の環状官能
基を有する疎水性ビニル系単量体としては以下の単量体
を使用した。 シクロヘキシルアクリレート 5g 4−ビニル−2−シクロヘキセン1,2エポキシド 7g 計70gを疎水性ビニル系単量体100重量部とした。
また、ノニオン性親水基を有するビニル系単量体として
は以下の単量体を使用した。 ヒドロキシエチルメタクリレート 20g(28.6重量部) また、アニオン性基を有するビニル系単量体として以下
の単量体を使用した。 メタクリル酸 10g(14.3重量部) 上記単量体を使用したこと以外は実施例17の場合と同
様にして、着色樹脂エマルジョン及びインクジェット印
刷用インクを作製した。なお、得られた着色樹脂エマル
ジョンの色剤内包樹脂微粒子の平均粒径は102nmで
あった。
【0246】(実施例19)疎水性ビニル系単量体とし
て以下の単量体を使用した。 n−ブトキシメチルアクリルアミド 30g メタクリル酸ブチル 33g また、非共役炭素を3個以上含む5員環以上の環状官能
基を有する疎水性ビニル系単量体としては以下の単量体
を使用した。 2−アリル−2−メチル−1,3−シクロペンタンジオン 7g 計70gを疎水性ビニル系単量体100重量部とした。
また、ノニオン性親水基を有するビニル系単量体として
は以下の単量体を使用した。 ヒドロキシエチルメタクリレート 10g N−ビニルピロリドン 10g(計28.6重量部) また、カチオン性基を有するビニル系単量体として以下
の単量体を使用した。 ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド 10g(14.3重量部) 上記単量体を使用したこと以外は実施例17の場合と同
様にして、色剤内包樹脂微粒子溶液を得た。得られた色
剤内包樹脂微粒子溶液に酢酸2gを添加した水600g
を滴下しながら、ホモジナイザーにて乳化して色剤内包
樹脂微粒子溶液の分散体を得た。得られた色剤内包樹脂
微粒子溶液の分散体を40℃に加熱し、真空蒸留するこ
とによって酢酸エチルを除去することによって着色樹脂
エマルジョンを得た。得られた着色樹脂エマルジョンの
色剤内包樹脂微粒子の平均粒径は131nmであった。
また、実施例17の場合と同様にして、インクジェット
印刷用インクを作製した。
【0247】(比較例8)疎水性ビニル系単量体として
以下の単量体を使用した。 メタクリル酸エチル 60g スチレン 15g また、アニオン性基を有するビニル系単量体として以下
の単量体を使用した。 メタクリル酸 25g(33.3重量部) 上記単量体を使用したこと以外は実施例17の場合と同
様にして、着色樹脂エマルジョン及びインクジェット印
刷用インクを作製した。なお、得られた着色樹脂エマル
ジョンの色剤内包樹脂微粒子の平均粒径は377nmで
あった。
【0248】(比較例9)疎水性ビニル系単量体として
以下の単量体を使用した。 メタクリル酸ブチル 50g また、ノニオン性基を有するビニル系単量体として以下
の単量体を使用した。 ヒドロキシエチルメタクリレート 50g(100重量部) 上記単量体を使用したこと以外は実施例17の場合と同
様にして、着色樹脂エマルジョン及びインクジェット印
刷用インクを作製した。なお、得られた着色樹脂エマル
ジョンの色剤内包樹脂微粒子の平均粒径は481nmで
あった。
【0249】(比較例10)疎水性ビニル系単量体とし
て以下の単量体を使用した。 スチレン 40g また、ノニオン性親水基を有するビニル系単量体として
は以下の単量体を使用した。 ヒドロキシエチルメタクリレート 20g(50重量部) また、アニオン性基を有するビニル系単量体として以下
の単量体を使用した。 無水マレイン酸 20g(50重量部) 上記単量体を使用したこと以外は実施例17の場合と同
様にして、色剤内包樹脂微粒子溶液を得た。得られた色
剤内包樹脂微粒子溶液に28%アンモニア水20gを添
加した水600gを滴下しながら、ホモジナイザーにて
乳化しようとしたが、高粘度のペースト状となったので
水1000gを追加し色剤内包樹脂微粒子溶液の分散体
を得た。得られた色剤内包樹脂微粒子溶液の分散体を4
0℃に加熱し、真空蒸留することによって酢酸エチルを
除去すると更に高粘度のゲル状化物になり着色樹脂エマ
ルジョンは得られなかった。
【0250】上記実施例17〜19、比較例8〜9で得
られたインクジェット印刷用インクについて、上述の
1)インクの印字性能評価、2)インク塗膜の耐溶剤性
評価、3)インクの保存安定性評価を行った。結果を表
4に示した。
【0251】
【表4】
【0252】(実施例20)n−ブトキシメチルアクリ
ルアミド17.6部、メチルメタクリレート82.4
部、ヒドロキシエチルメタクリレート14.3部及びメ
タクリル酸11.2部、n-ビニルピロリドン15.6
部からなる混合単量体141.1部を酢酸エチル41
1.0部に溶解し、セパラブルフラスコ内に仕込み、窒
素置換した後、油溶性アゾ系重合開始剤(和光純薬工業
社製、V−65)の10重量%エタノール溶液14.1
部を1時間かけて滴下しながら重合反応を行った。その
後、同温度で3時間重合反応を継続した後、色剤として
オラゾールレッドG 51.5部を使用し、溶解した。
次いで、室温まで冷却して、着色ビニル系樹脂溶液を得
た。
【0253】ホモジナイザーを用いて、上記で得られた
着色ビニル系樹脂溶液を高速攪拌しながら、pH調整剤
として0.6%アンモニア水780.4部(水系媒体)
を滴下して、着色ビニル系樹脂溶液を上記水系媒体中に
乳化分散させた。次いで、この乳化分散液を40℃に加
熱した後、真空蒸留により酢酸エチルを除去して、着色
樹脂エマルジョンを作製した。得られた着色樹脂エマル
ジョンの色剤内包樹脂微粒子の平均粒径は144nmで
あった。
【0254】次いで、上記着色樹脂エマルジョン(固形
分20重量%)50部に対して、保湿剤としてエチレン
グリコール20部及びイオン交換水29.90部、消泡
剤としてポリオキシアルキレン変性シリコーン(信越化
学工業社製、Kf−945)0.1部を使用し、均一に
攪拌混合して、インクジェット印刷用インクを作製し
た。
【0255】(実施例21)実施例20の着色樹脂エマ
ルジョン(固形分20重量%)50部に対して、保湿剤
としてエチレングリコール20部及びイオン交換水2
9.95部、消泡剤としてシリコンオイル0.05部を
使用し、均一に攪拌混合して、インクジェット印刷用イ
ンクを作製した。
【0256】(実施例22)実施例20の着色樹脂エマ
ルジョン(固形分20重量%)50部に対して、保湿剤
としてエチレングリコール20部及びイオン交換水2
8.80部、消泡剤としてポリオキシアルキレン変性シ
リコーン1.2部を使用し、均一に攪拌混合して、イン
クジェット印刷用インクを作製した。
【0257】(実施例23)n−ブトキシメチルアクリ
ルアミド17.6部、メチルメタクリレート82.4
部、ヒドロキシエチルメタクリレート14.3部及びメ
タクリル酸5.9部、n-ビニルピロリドン20.9部
からなる混合単量体141.1部を酢酸エチル411.
0部に溶解し、セパラブルフラスコ内に仕込み、窒素置
換した後、油溶性アゾ系重合開始剤(和光純薬工業社
製、V−65)の10重量%エタノール溶液14.1部
を1時間かけて滴下しながら重合反応を行った。その
後、同温度で3時間重合反応を継続した後、色剤として
オラゾールレッドG51.5部を使用し、溶解した。次
いで、室温まで冷却して、着色ビニル系樹脂溶液を得
た。
【0258】ホモジナイザーを用いて、上記で得られた
着色ビニル系樹脂溶液を高速攪拌しながら、pH調整剤
として0.6%アンモニア水780.4部(水系媒体)
を滴下して、着色ビニル系樹脂溶液を上記水系媒体中に
乳化分散させた。次いで、この乳化分散液を40℃に加
熱した後、真空蒸留により酢酸エチルを除去して、着色
樹脂エマルジョンを作製した。得られた着色樹脂エマル
ジョンの色剤内包樹脂微粒子の平均粒径は113nmで
あった。
【0259】得られた着色樹脂エマルジョン(固形分2
0重量%)50部に対して、保湿剤としてグリセリン2
0部及びイオン交換水29.95部、消泡剤としてポリ
オキシアルキレン変性シリコーン0.05部を使用し、
均一に攪拌混合して、インクジェット印刷用インクを作
製した。
【0260】(実施例24)実施例23の着色樹脂エマ
ルジョン(固形分20重量%)50部に対して、保湿剤
としてグリセリン20部及びイオン交換水29.00
部、消泡剤として2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン
−4,7−ジオール(日信化学工業社製、サーフィノー
ル104)1.0部を使用し、均一に攪拌混合して、イ
ンクジェット印刷用インクを作製した。
【0261】(実施例25)n−ブトキシメチルアクリ
ルアミド39.2部、メチルメタクリレート60.8
部、メタクリル酸12.5部、アクリロイルモルホリン
28.6部からなる混合単量体141.1部を酢酸エチ
ル411.0部に溶解し、セパラブルフラスコ内に仕込
み、窒素置換した後、油溶性アゾ系重合開始剤(和光純
薬工業社製、V−65)の10重量%エタノール溶液1
4.1部を1時間かけて滴下しながら重合反応を行っ
た。その後、同温度で3時間重合反応を継続した後、色
剤としてオラゾールレッドG51.5部を使用し、溶解
した。次いで、室温まで冷却して、着色ビニル系樹脂溶
液を得た。
【0262】ホモジナイザーを用いて、上記で得られた
着色ビニル系樹脂溶液を高速攪拌しながら、pH調整剤
として0.6%アンモニア水780.4部(水系媒体)
を滴下して、着色ビニル系樹脂溶液を上記水系媒体中に
乳化分散させた。次いで、この乳化分散液を40℃に加
熱した後、真空蒸留により酢酸エチルを除去して、着色
樹脂エマルジョンを作製した。得られた着色樹脂エマル
ジョンの色剤内包樹脂微粒子の平均粒径は120nmで
あった。
【0263】得られたの着色樹脂エマルジョン(固形分
20重量%)50部に対して、保湿剤としてグリセリン
20部及びイオン交換水29.95部、消泡剤としてポ
リオキシアルキレン変性シリコーン0.05部を使用
し、均一に攪拌混合して、インクジェット印刷用インク
を作製した。
【0264】(実施例26)実施例24の着色樹脂エマ
ルジョン(固形分20重量%)50部に対して、保湿剤
としてグリセリン20部及びイオン交換水30.00部
を使用し、均一に攪拌混合して、インクジェット印刷用
インクを作製した。
【0265】(実施例27)実施例23で使用したビニ
ル系樹脂溶液564.4部に対し、油溶性染料を添加せ
ず、フタロシアニングリーン顔料 IRGALITE
GREEN GLNP(チバスペシャリティーケミカル
ズ社製)28.2部を加えて、サンドミルによって顔料
の平均粒子径が95nmになるまで微粒化分散処理を行
い、顔料分散ビニル系樹脂溶液を得た。次に、得られた
顔料分散ビニル系樹脂溶液をホモジナイザーで高速撹拌
しながらpH調整剤として0.3重量%のアンモニア水
溶液677.2部を(水系媒体)を滴下して、着色ビニ
ル系樹脂溶液を上記水系媒体中に乳化分散させた。次い
で、この乳化分散液を40℃に加熱した後、真空蒸留に
より酢酸エチルを除去して、着色樹脂エマルジョンを作
製した。得られた着色樹脂エマルジョンを孔径5μmの
フィルターで濾過した後、色剤内包樹脂微粒子の粒子径
を測定したところ、平均粒子径は180nmであった。
得られた着色樹脂エマルジョン50部とグリセリン20
重量部、及びイオン交換水29.95部、消泡剤として
ポリオキシアルキレン変性シリコーン0.05部を使用
してインクジェット印刷用インクを得た。
【0266】(実施例28)実施例23で使用したビニ
ル系樹脂溶液564.4部に対し、油溶性染料オラゾー
ルレッドGを14.1重量部、赤色顔料 IRGAZI
N DPP REDBO を14.1部加えて、サンド
ミルによって顔料の平均粒子径が115nmになるまで
微粒化分散処理を行い、顔料分散ビニル系樹脂と油溶性
染料の混合溶液を得た。次に、得られた混合溶液をホモ
ジナイザーで高速撹拌しながらpH調整剤として0.3
重量%のアンモニア水溶液677.2を(水系媒体)を
滴下して、着色ビニル系樹脂溶液を上記水系媒体中に乳
化分散させた。次いで、この乳化分散液を40℃に加熱
した後、真空蒸留により酢酸エチルを除去して、着色樹
脂エマルジョンを作製した。得られた着色樹脂エマルジ
ョンを孔径5μmのフィルターで濾過した後、色剤内包
樹脂微粒子の粒子径を測定したところ、平均粒子径は2
20nmであった。得られた着色樹脂エマルジョン50
部とグリセリン20重量部、及びイオン交換水29.9
5部、消泡剤としてポリオキシアルキレン変性シリコー
ン0.05重量部を使用してインクジェット印刷用イン
クを得た。
【0267】(実施例29)フタロシアニングリーン顔
料 IRGALITE GREEN GLNP(チバス
ペシャリティーケミカルズ社製)28.2部と水10
0.0重量部の混合物を、サンドミルによって顔料の粒
径が100nmになるまで微粒化分散処理を行い、つい
で水100.0部で希釈した。これとは別途に実施例2
3で使用したビニル系樹脂溶液564.4重量部をホモ
ジナイザーで高速撹拌しながらpH調整剤として25重
量%のアンモニア水溶液7.0部を滴下して、ここに先
に得られた顔料が分散された水228.2重量部をゆっ
くり添加し、引き続きイオン交換水470.2部を滴下
して着色ビニル系樹脂に顔料の内包された着色微粒子の
乳化分散体を得た。次いで、この乳化分散液を40℃に
加熱した後、真空蒸留により酢酸エチルを除去して、着
色樹脂エマルジョンを作製した。得られた着色樹脂エマ
ルジョンを孔径5μmのフィルターで濾過した後、色剤
内包樹脂微粒子の粒子径を測定したところ、平均粒子径
は218nmであった。得られた着色樹脂エマルジョン
50重量部とグリセリン20部、及びイオン交換水2
9.95重量部、消泡剤としてポリオキシアルキレン変
性シリコーン0.05部を使用してインクジェット印刷
用インクを得た。
【0268】(実施例30)実施例25で使用したビニ
ル系樹脂溶液564.4重量部に対し、油溶性染料を添
加せず、グリーン顔料IRGALITE GREEN
GLNP(チバスペシャリティーケミカルズ社製)2
8.2部を加えて、サンドミルによって顔料の平均粒子
径が95nmになるまで微粒化分散処理を行い、顔料分
散ビニル系樹脂溶液を得た。次に、得られた顔料分散ビ
ニル系樹脂溶液をホモジナイザーで高速撹拌しながらp
H調整剤として0.3重量%のアンモニア水溶液67
7.2重量部を(水系媒体)を滴下して、着色ビニル系
樹脂溶液を上記水系媒体中に乳化分散させた。次いで、
この乳化分散液を40℃に加熱した後、真空蒸留により
酢酸エチルを除去して、着色樹脂エマルジョンを作製し
た。得られた着色樹脂エマルジョンを孔径5μmのフィ
ルターで濾過した後、色剤内包樹脂微粒子の粒子径を測
定したところ、平均粒子径は175nmであった。得ら
れた着色樹脂エマルジョン50部とグリセリン20重量
部、及びイオン交換水29.95部、消泡剤としてポリ
オキシアルキレン変性シリコーン0.05部を使用して
インクジェット印刷用インクを得た。
【0269】(実施例31)n−ブトキシメチルアクリ
ルアミド17.6部、メチルメタクリレート82.4
部、メタクリル酸5.9部、ヒドロキシエチルメタクリ
レート11.8部からなる混合単量体117.7部を酢
酸エチル352.9部に溶解し、セパラブルフラスコ内
に仕込み、窒素置換した後、油溶性アゾ系重合開始剤
(和光純薬工業社製、V−65)の10重量%エタノー
ル溶液11.8部を1時間かけて滴下しながら重合反応
を行った。その後、同温度で3時間重合反応を継続した
後、色剤としてオラゾールレッドG 51.5部を使用
し、溶解した。次いで、室温まで冷却して、着色ビニル
系樹脂溶液を得た。
【0270】ホモジナイザーを用いて、上記で得られた
着色ビニル系樹脂溶液を高速攪拌しながら、pH調整剤
として0.6%アンモニア水705.9部(水系媒体)
を滴下して、着色ビニル系樹脂溶液を上記水系媒体中に
乳化分散させた。次いで、この乳化分散液を40℃に加
熱した後、真空蒸留により酢酸エチルを除去して、着色
樹脂エマルジョンを作製した。得られた着色樹脂エマル
ジョンの色剤内包樹脂微粒子の平均粒径は81nmであ
った。
【0271】次いで上記の着色樹脂エマルジョン(固形
分20重量%)50部に対して、保湿剤としてグリセリ
ン20部及びイオン交換水29.00部、消泡剤として
ポリオキシアルキレン変性シリコーン1部を使用し、均
一に攪拌混合して、インクジェット印刷用インクを作製
した。
【0272】(実施例32)実施例31で使用した着色
樹脂エマルジョンを使用し、消泡剤をポリオキシアルキ
レン変性シリコーン0.01部、保湿剤をトリプロピレ
ングリコール10部、エチレングリコール10部、イオ
ン交換水29.99部使用し、均一に攪拌混合して、イ
ンクジェット印刷用インクを作製した。
【0273】(実施例33)実施例31で使用した混合
単量体の組成を、n−ブトキシメチルアクリルアミド
6.2部、メチルメタクリレート50部、ブチルアクリ
レート43.8部、メタクリル酸12.5部、ヒドロキ
シエチルメタクリレート5.2部に変更し、オラゾール
レッドGを43.8部に変更して着色樹脂エマルジョン
を作成した。なお、色剤内包樹脂微粒子の平均粒径は1
35nmであった。次いで上記の着色樹脂エマルジョン
(固形分20重量%)50部に対して、保湿剤としてグ
リセリン20部及びイオン交換水30.00部を使用
し、均一に攪拌混合して、インクジェット印刷用インク
を作製した。
【0274】上記実施例20〜33で得られたインクジ
ェット印刷用インクについて、上述の1)インクの印字
性能評価、2)インク塗膜の耐溶剤性評価、3)インク
の保存安定性評価、及び、下記の4)表面張力の測定、
5)接触各の測定及び6)画素の区画の乗り越え評価を
行った。結果を表5に示した。
【0275】4)表面張力の測定 動的濡れ性試験器(レスカ社製、WET−6000)を
用いて、白金板に対するインクジェット印刷用インクの
表面張力を25℃、湿度60%の条件下で測定した。 5)接触角の測定 接触角計(協和界面科学社製、CA−X150型)を用
いて、JIS K6888記載の四フッ化エチレン樹脂
板上、及び、ガラス板上(イソプロピルアルコール中で
1時間超音波洗浄したもの)で25℃、湿度60%の条
件下で測定した。 4)画素の区画の乗り越え評価 ガラス基板上に凸部及びそれにより区切られた凹部を形
成し、その少なくとも凸部に撥インク処理を施し、次い
でエッチング処理により凸部以外の撥インク性を取り除
いたものを作製した。このガラス基板に、インクジェッ
ト法により得られたインクを吹き付け、区画の乗り越え
を評価した。 有り;隣の画素にインクの乗り越えが確認された。 無し;隣の画素にインクの乗り越えが確認されなかっ
た。
【0276】
【表5】
【0277】(実施例34)疎水性ビニル系単量体とし
て以下の単量体を使用した。 n−ブトキシメチルアクリルアミド 30g メタクリル酸メチル 35g グリシジルメタクリレート 5g アクリル酸イソボルニル 5g テトラヒドロフルフリルアクリレート 5g 計80gを疎水性ビニル系単量体100重量部とした。
また、ノニオン性親水基を有するビニル系単量体として
以下の単量体を使用した。 Nビニルピロリドン 15g(18.8重量部) また、アニオン性基を有するビニル系単量体として以下
の単量体を使用した。 無水マレイン酸 5g(6.3重量部) 上記単量体を酢酸エチル300gに溶解し、フラスコ内
に注入し、窒素置換した後、油溶性アゾ系重合開始剤
(和光純薬工業社製、V−65)10gのエタノール1
0%溶液を1時間かけて滴下した。その後、同温度で3
時間攪拌した後、色剤として赤色アゾ染料の金属錯体
(チバスペシャルティケミカルズ社製、オラゾールレッ
ドG)20gを添加し溶解後、室温に冷却し、色剤内包
樹脂微粒子溶液を得た。得られた色剤内包樹脂微粒子溶
液に28%アンモニア水4gを添加した水600gを滴
下しながら、ホモジナイザーにて乳化して色剤内包樹脂
微粒子溶液の分散体を得た。得られた色剤内包樹脂微粒
子溶液の分散体を40℃に加熱し、真空蒸留をすること
によって酢酸エチルを除去することによって着色樹脂エ
マルジョンを得た。得られた着色樹脂エマルジョンの色
剤内包樹脂微粒子の平均粒径は115nmであった。次
いで、上記着色樹脂エマルジョン(固形分20重量%)
50部に対して、保湿剤としてグリセリン20部及びγ
−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.3部、
イオン交換水29.7部を使用し、均一に攪拌混合し
て、インクジェット印刷用インクを作製した。
【0278】(実施例35)疎水性ビニル系単量体とし
て以下の単量体を使用した。 n−ブトキシメチルアクリルアミド 25g メタクリル酸メチル 30g グリシジルメタクリレート 5g シクロヘキシルアクリレート 3g 4−ビニル−2−シクロヘキセン1,2エポキシド 7g 計70gを疎水性ビニル系単量体100重量部とした。
また、ノニオン性親水基を有するビニル系単量体として
は以下の単量体を使用した。 ヒドロキシエチルメタクリレート 20g(28.6重量部) また、アニオン性基を有するビニル系単量体として以下
の単量体を使用した。 メタクリル酸 10g(14.3重量部) 上記単量体を使用したこと以外は実施例34の場合と同
様にして、色剤内包樹脂微粒子溶液を得た。得られた色
剤内包樹脂微粒子溶液を実施例34と同様に処理して、
着色樹脂エマルジョン及びインクジェット印刷用インク
を作製した。なお、得られた着色樹脂エマルジョンの色
剤内包樹脂微粒子の平均粒径は102nmであった。
【0279】(実施例36)疎水性ビニル系単量体とし
て以下の単量体を使用した。 n−ブトキシメチルアクリルアミド 30g メタクリル酸ブチル 33g 2−アリル−2−メチル−1,3−シクロペンタンジオン 7g 計70gを疎水性ビニル系単量体100重量部とした。
また、ノニオン性親水基を有するビニル系単量体として
は以下の単量体を使用した。 ヒドロキシエチルメタクリレート 10g N−ビニルピロリドン 10g(計28.6重量部) また、カチオン性基を有するビニル系単量体として以下
の単量体を使用した。 ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド 10g(14.3重量部) 上記単量体を使用したこと以外は実施例34の場合と同
様にして、色剤内包樹脂微粒子溶液を得た。得られた色
剤内包樹脂微粒子溶液に酢酸2gを添加した水600g
を滴下しながら、ホモジナイザーにて乳化して色剤内包
樹脂微粒子溶液の分散体を得た。得られた色剤内包樹脂
微粒子溶液の分散体を40℃に加熱し、真空蒸留をする
ことによって酢酸エチルを除去することによって着色樹
脂エマルジョンを得た。得られた着色樹脂エマルジョン
の色剤内包樹脂微粒子の平均粒径は131nmであっ
た。また、シランカップリング剤としてβ−(3,4エ
ポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを
0.6部、イオン交換水29.4部を使用した以外は、
実施例34の場合と同様にして、インクジェット印刷用
インクを作製した
【0280】(比較例11)疎水性ビニル系単量体とし
て以下の単量体を使用した。 メタクリル酸メチル 60g スチレン 15g また、アニオン性基を有するビニル系単量体としては以
下の単量体を使用した。 メタクリル酸 25g(計33.3重量部) 上記単量体を使用したこと以外は実施例34の場合と同
様にして、着色樹脂エマルジョンを得た。また、シラン
カップリング剤を使用しなかった以外は、実施例34と
同様にしてインクジェット印刷用インクを作製した。な
お、得られた着色樹脂エマルジョンの色剤内包樹脂微粒
子の平均粒径は377nmであった。
【0281】(比較例12)疎水性ビニル系単量体とし
て以下の単量体を使用した。 メタクリル酸ブチル 50g また、ノニオン性親水基を有するビニル系単量体として
は以下の単量体を使用した。 ヒドロキシエチルメタクリレート 50g(100重量部) 上記単量体を使用したこと以外は実施例34の場合と同
様にして、着色樹脂エマルジョンを得た。また、シラン
カップリング剤を使用しなかった以外は、実施例34と
同様にしてインクジェット印刷用インクを作製した。な
お、得られた着色樹脂エマルジョンの色剤内包樹脂微粒
子の平均粒径は481nmであった。
【0282】(比較例13)疎水性ビニル系単量体とし
て以下の単量体を使用した。 スチレン 40g また、ノニオン性親水基を有するビニル系単量体として
は以下の単量体を使用した。 ヒドロキシエチルメタクリレート 20g(50重量部) また、アニオン性基を有するビニル系単量体としては以
下の単量体を使用した。 無水マレイン酸 20g(50重量部) 上記単量体を使用したこと以外は実施例34の場合と同
様にして、色剤内包樹脂微粒子溶液を得た。得られた色
剤内包樹脂微粒子溶液に28%アンモニア水20gを添
加した水600gを滴下しながら、ホモジナイザーにて
乳化しようとしたが、高粘度のペースト状となったので
水1000gを追加し色剤内包樹脂微粒子溶液の分散体
を得た。得られた色剤内包樹脂微粒子溶液の分散体を4
0℃に加熱し、真空蒸留することによって酢酸エチルを
除去したところ、更に高粘度のゲル状化物になりエマル
ジョンは得られなかった。
【0283】上記実施例34〜36、比較例11、12
で得られたインクジェット印刷用インクについて、上述
の1)インクの印字性能評価、2)インク塗膜の耐溶剤
性評価、3)インクの保存安定性評価、及び、下記の
4)密着性評価を行った。結果を表6に示した。
【0284】4)密着性評価 上記インクジェット用インクをガラス板に2μmの厚さ
で流延し、100℃で1時間乾燥させた後、膜に2mm
角のクロスカットを施した。この試験片を更に250℃
で1時間加熱試験した後、粘着テープにて剥離試験を行
い、クロスカット部の剥離状況を目視で確認した。試験
は各々25回行い、剥離の起こらなかったものを計数し
た。
【0285】
【表6】
【0286】(実施例37)疎水性ビニル系単量体とし
て以下の単量体を使用した。 n−ブトキシメチルアクリルアミド 30g メタクリル酸メチル 35g グリシジルメタクリレート 5g アクリル酸イソボルニル 5g テトラヒドロフルフリルアクリレート 5g 計80gを疎水性ビニル系単量体100重量部とした。
また、ノニオン性親水基を有するビニル系単量体として
は以下の単量体を使用した。 Nビニルピロリドン 15g(18.8重量部) また、アニオン性基を有するビニル系単量体として以下
の単量体を使用した。 無水マレイン酸 5g(6.3重量部) 上記単量体を酢酸エチル300gに溶解し、フラスコ内
に注入し、窒素置換した後、油溶性アゾ系重合開始剤
(和光純薬工業社製、V−65)10gのエタノール1
0%溶液を1時間かけて滴下した。その後、同温度で3
時間攪拌した後、色剤として赤色アゾ染料の金属錯体
(チバスペシャルティケミカルズ社製、オラゾールレッ
ドG)20gを添加し溶解後、室温に冷却し、色剤内包
樹脂微粒子溶液を得た。得られた色剤内包樹脂微粒子全
体のGPCによる重量平均分子量は、23500であっ
た。また、分子量1000未満の成分量は全体の8重量
%であった。得られた色剤内包樹脂微粒子溶液に28%
アンモニア水4gを添加した水600gを滴下しなが
ら、ホモジナイザーにて乳化して色剤内包樹脂微粒子溶
液の分散体を得た。得られた色剤内包樹脂微粒子溶液の
分散体を40℃に加熱し、真空蒸留をすることによって
酢酸エチルを除去することによって着色樹脂エマルジョ
ンを得た。得られた着色樹脂エマルジョンの色剤内包樹
脂微粒子の平均粒径は115nmであった。次いで、上
記着色樹脂エマルジョン(固形分20重量%)50部に
対して、保湿剤としてグリセリン20部及びイオン交換
水30部を使用し、均一に攪拌混合して、インクジェッ
ト印刷用インクを作製した。
【0287】(実施例38)疎水性ビニル系単量体とし
て以下の単量体を使用した。 n−ブトキシメチルアクリルアミド 25g メタクリル酸メチル 30g グリシジルメタクリレート 5g シクロヘキシルアクリレート 3g 4−ビニル−2−シクロヘキセン1,2エポキシド 7g 計70gを疎水性ビニル系単量体100重量部とした。
また、ノニオン性親水基を有するビニル系単量体として
は以下の単量体を使用した。 ヒドロキシエチルメタクリレート 20g(28.6重量部) また、アニオン性基を有するビニル系単量体として以下
の単量体を使用した。 メタクリル酸 10g(14.3重量部) 上記単量体を使用したこと以外は実施例37の場合と同
様にして、色剤内包樹脂微粒子溶液を得た。得られた色
剤内包樹脂微粒子全体のGPCによる重量平均分子量
は、48700であった。また、分子量1000未満の
成分量は全体の5重量%であった。得られた色剤内包樹
脂微粒子溶液を実施例37と同様に処理して、着色樹脂
エマルジョン及びインクジェット印刷用インクを作製し
た。なお、得られた着色樹脂エマルジョンの色剤内包樹
脂微粒子の平均粒径は102nmであった。
【0288】(実施例39)疎水性ビニル系単量体とし
て以下の単量体を使用した。 n−ブトキシメチルアクリルアミド 30g メタクリル酸ブチル 33g 2−アリル−2−メチル−1,3−シクロペンタンジオン 7g 計70gを疎水性ビニル系単量体100重量部とした。
また、ノニオン性親水基を有するビニル系単量体として
は以下の単量体を使用した。 ヒドロキシエチルメタクリレート 10g N−ビニルピロリドン 10g(計28.6重量部 ) また、カチオン性基を有するビニル系単量体として以下
の単量体を使用した。 ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド 10g(14.3重量部) 上記単量体を使用したこと以外は実施例37の場合と同
様にして、色剤内包樹脂微粒子溶液を得た。得られた色
剤内包樹脂微粒子全体のGPCによる重量平均分子量
は、10200であった。また、分子量1000未満の
成分量は全体の11重量%であった。得られた色剤内包
樹脂微粒子溶液に酢酸2gを添加した水600gを滴下
しながら、ホモジナイザーにて乳化して色剤内包樹脂微
粒子溶液の分散体を得た。得られた色剤内包樹脂微粒子
溶液の分散体を40℃に加熱し、真空蒸留をすることに
よって酢酸エチルを除去することによって着色樹脂エマ
ルジョンを得た。得られた着色樹脂エマルジョンの色剤
内包樹脂微粒子の平均粒径は131nmであった。ま
た、実施例37の場合と同様にして、インクジェット印
刷用インクを作製した
【0289】(比較例14)疎水性ビニル系単量体とし
て以下の単量体を使用した。 メタクリル酸メチル 60g スチレン 15g また、アニオン性基を有するビニル系単量体としては以
下の単量体を使用した。 メタクリル酸 25g(計33.3重量部) 上記単量体を使用したこと以外は実施例37の場合と同
様にして、色剤内包樹脂微粒子溶液を得た。得られた色
剤内包樹脂微粒子全体のGPCによる重量平均分子量
は、7800であった。また、分子量1000未満の成
分量は全体の55重量%であった。また、実施例37と
同様にしてインクジェット印刷用インクを作製した。な
お、得られた着色樹脂エマルジョンの色剤内包樹脂微粒
子の平均粒径は377nmであった。
【0290】(比較例15)疎水性ビニル系単量体とし
て以下の単量体を使用した。 メタクリル酸ブチル 50g また、ノニオン性親水基を有するビニル系単量体として
は以下の単量体を使用した。 ヒドロキシエチルメタクリレート 50g(100重量部) 上記単量体を使用したこと以外は実施例37の場合と同
様にして、色剤内包樹脂微粒子溶液を得た。得られた色
剤内包樹脂微粒子全体のGPCによる重量平均分子量
は、214900であった。また、分子量1000未満
の成分量は全体の68重量%であった。また、実施例3
7と同様にしてインクジェット印刷用インクを作製し
た。なお、得られた着色樹脂エマルジョンの色剤内包樹
脂微粒子の平均粒径は481nmであった。
【0291】(比較例16)疎水性ビニル系単量体とし
て以下の単量体を使用した。 スチレン 40g また、ノニオン性親水基を有するビニル系単量体として
は以下の単量体を使用した。 ヒドロキシエチルメタクリレート 20g(50重量部) また、アニオン性基を有するビニル系単量体としては以
下の単量体を使用した。 無水マレイン酸 20g(50重量部) 上記単量体を使用したこと以外は実施例37の場合と同
様にして、色剤内包樹脂微粒子溶液を得た。得られた色
剤内包樹脂微粒子全体のGPCによる重量平均分子量
は、458100であった。また、分子量1000未満
の成分量は全体の45重量%であった。得られた色剤内
包樹脂微粒子溶液に28%アンモニア水20gを添加し
た水600gを滴下しながら、ホモジナイザーにて乳化
しようとしたが、高粘度のペースト状となったので水1
000gを追加し色剤内包樹脂微粒子溶液の分散体を得
た。得られた色剤内包樹脂微粒子溶液の分散体を40℃
に加熱し、真空蒸留することによって酢酸エチルを除去
したところ、更に高粘度のゲル状化物になりエマルジョ
ンは得られなかった。
【0292】上記実施例37〜39、比較例14、15
で得られたインクジェット印刷用インクについて、上述
の1)インクの印字性能評価、2)インク塗膜の耐溶剤
性評価、3)インクの保存安定性評価、及び、下記の
4)インク塗膜の再分散性評価を行った。結果を表7に
示した。
【0293】4)インク塗膜の再分散性評価 得られたインクジェット印刷用インクをスピンコーター
を用いて5×5cmのポリテトラフルオロエチレン板上
に塗布量100〜500mgとなるように塗布した。こ
のポリテトラフルオロエチレン板を23℃、湿度50%
の恒温恒湿環境で15分間放置し乾燥させた後、10L
のイオン交換水槽中に3分間浸漬し取り出し、30℃の
真空乾燥機で乾燥後残存量を測定し下記式適合性を評価
した。 残存量≦(初期塗膜重量×インク固形分×0.5) 〇;式に適合したもの ×;式に適合しなかったもの
【0294】
【表7】
【0295】(実施例40)メチルメタクリレート8
0.0部、ブチルアクリレートを20.0部、2−メタ
クリロイルオキシエチルコハク酸6.7部、4−ヒドロ
キシブチルメタクリレート26.7部からなる混合単量
体133.4部と、酢酸エチル386.9部とをフラス
コ内に仕込み、窒素置換を行った後、70℃に昇温して
重合開始剤としてAIBNの10重量%酢酸エチル溶液
13.4部を、1時間かけて滴下しながら重合反応を行
った。その後3時間、70℃に保ったまま熟成した後、
室温に冷却した。その後、油溶性のマゼンタ色ローダミ
ン系染料、スピロンレッドC−BH、46.7部を使用
し、均一に溶解させて着色ビニル系樹脂溶液を得た。
【0296】ホモジナイザーを用いて、上記で得られた
着色ビニル系樹脂溶液を高速攪拌しながら、pH調整剤
として0.3重量%のアンモニア水溶液720.4部を
(水系媒体)を滴下して、着色ビニル系樹脂溶液を上記
水系媒体中に乳化分散させた。次いで、この乳化分散液
を40℃に加熱した後、真空蒸留により酢酸エチルを除
去して、着色樹脂エマルジョンを作製した。得られた着
色樹脂エマルジョンの色剤内包樹脂微粒子の平均粒径は
120nmであった。次いで、上記着色樹脂エマルジョ
ン(固形分20重量%)50部に対して、保湿剤として
グリセリン20部及びイオン交換水30部を使用し、均
一に攪拌混合して、インクジェット印刷用インクを作製
した。
【0297】(実施例41)n−ブトキシメチルアクリ
ルアミド50.0部、メチルメタクリレート50.0
部、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタ
ル酸12.5部、4−ヒドロキシブチルメタクリレート
12.5部からなる混合単量体125.0部と、酢酸エ
チル362.5部とをフラスコ内に仕込み、窒素置換を
行った後、70℃に昇温して重合開始剤として2、2’
−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)の10重量
%酢酸エチル溶液12.5部を、1時間かけて滴下しな
がら重合反応を行った。その後3時間、70℃に保った
まま熟成した後、室温に冷却した。その後、油溶性のマ
ゼンタ色ローダミン系染料、スピロンレッドC−BH、
43.8部を使用し、均一に溶解させて着色ビニル系樹
脂溶液を得た。
【0298】ホモジナイザーを用いて、上記で得られた
着色ビニル系樹脂溶液を高速攪拌しながら、pH調整剤
として0.3重量%のアンモニア水溶液675.2を
(水系媒体)を滴下して、着色ビニル系樹脂溶液を上記
水系媒体中に乳化分散させた。次いで、この乳化分散液
を40℃に加熱した後、真空蒸留により酢酸エチルを除
去して、着色樹脂エマルジョンを作製した。得られた着
色樹脂エマルジョンの色剤内包樹脂微粒子の平均粒径は
145nmであった。次いで、上記着色樹脂エマルジョ
ン(固形分20重量%)50部に対して、保湿剤として
グリセリン20部及びイオン交換水30部を使用し、均
一に攪拌混合して、インクジェット印刷用インクを作製
した。
【0299】(実施例42)実施例41で使用した混合
単量体の組成を、メチルメタクリレート50.0部、ブ
チルアクリレートを50.0部、2−メタクリロイルオ
キシエチルコハク酸12.5部、ヒドロキシエチルメタ
クリレート12.5部に変更したこと以外は実施例41
と同様にして着色樹脂エマルジョンを得た。更にインク
ジェット印刷用インクを調製するための保湿剤をグリセ
リン20部に替えて、グリセリン10部、エチレングリ
コール10部とした。なお、色剤内包樹脂微粒子の平均
粒径は155nmであった。
【0300】(実施例43)実施例40で使用した混合
単量体の組成を、n−ブトキシメチルアクリルアミド5
3.3部、メチルメタクリレート46.7部、2−メタ
クリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸20.0
部、ヒドロキシエチルメタクリレート13.3部の合計
133.3部に変更したこと以外は実施例40と同様に
して着色樹脂エマルジョンを得た。更にインクジェット
印刷用インクを調製するための保湿剤をグリセリン20
部に替えて、グリセリン10部、トリプロピレングリコ
ール10部とした。なお、色剤内包樹脂微粒子の平均粒
径は132nmであった。
【0301】(比較例17)メチルメタクリレート3
3.3部、n−ブトキシメチルアクリルアミド66.7
部、メタクリル酸8.3部、ヒドロキシエチルメタクリ
レート58.3部からなる混合単量体166.6部と、
酢酸エチル483.2部とをフラスコ内に仕込み、窒素
置換を行った後、70℃に昇温して重合開始剤としてA
IBNの10重量%酢酸エチル溶液16.7部を、1時
間かけて滴下しながら重合反応を行った。その後3時
間、70℃に保ったまま熟成した後、室温に冷却した。
その後、スピロンレッドC−BH58.3部を使用して
着色ビニル系樹脂溶液を作製し、これに0.3重量%ア
ンモニア水溶液を899.6部滴下した。ホモジナイザ
ーで撹拌中アンモニア水を滴下するとペースト状(高粘
度)になり、これ以上のインク使用や評価を行うことが
できなかった。これは、ノニオン性の親水性単量体が多
く、樹脂微粒子を形成できなかったためと考えられる。
【0302】(比較例18)メチルメタクリレート5
7.9部、n−ブトキシメチルアクリルアミド42.1
部、メタクリル酸5.3部からなる混合単量体105.
3部と、酢酸エチル307.1部とをフラスコ内に仕込
み、窒素置換を行った後、70℃に昇温して重合開始剤
としてAIBN10重量%酢酸エチル溶液10.6部
を、1時間かけて滴下しながら重合反応を行った。その
後3時間、70℃に保ったまま熟成した後、室温に冷却
した。その後、スピロンレッドC−BH37.1部を使
用して着色ビニル系樹脂溶液を作製し、これに0.6重
量%のアンモニア水溶液を572.0部滴下して、乳化
分散させた。その後、実施例1と同様にして着色樹脂エ
マルジョン及びインクジェット印刷用インクを作製し
た。なお、色剤内包樹脂微粒子の平均粒径は1340n
mであった。得られたインクジェット印刷用インクは、
室温下で数分間静置している間に、容器の底に沈降が認
められた。これは色剤内包樹脂微粒子の粒径が大きいた
め重力による沈降が進んだためと考えられる。
【0303】(比較例19)比較例17で使用した混合
単量体の組成を、メチルメタクリレート33.3部、n
−ブトキシメチルアクリルアミド66.7部、メタクリ
ル酸58.3部、4−ヒドロキシブチルメタクリレート
8.3部に変更したこと以外は比較例17と同様にし
た。この結果ホモジナイザーで撹拌中アンモニア水を滴
下するとペースト状(高粘度)になり、これ以上のイン
ク使用や評価を行うことができなかった。これは、ノニ
オン性の親水性単量体が多く、樹脂微粒子を形成できな
かったためと考えられる。
【0304】(比較例20)実施例41で使用した混合
単量体の組成を、メチルメタクリレート50.0部、n
−ブトキシメチルアクリルアミド50.0部、4−ヒド
ロキシブチルメタクリレート25.0部に変更したこと
以外は実施例41と同様にして着色樹脂エマルジョン及
びインクジェット印刷用インクを作製した。なお、色剤
内包樹脂微粒子の平均粒径は1250nmであった。得
られたインクジェット印刷用インクは、室温下で数分間
静置している間に、容器の底に沈降が認められた。これ
は樹脂微粒径が大きいため重力による沈降が進んだため
と考えられる。
【0305】(比較例21)メチルメタクリレート3
6.4部、n−ブトキシメチルアクリルアミド63.6
部、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸72.7
部、4−ヒドロキシブチルメタクリレート9.1部から
なる混合単量体181.8部と、酢酸エチル527.3
部とをフラスコ内に仕込み、窒素置換を行った後、70
℃に昇温して重合開始剤としてAIBN10重量%酢酸
エチル溶液18.2部を、1時間かけて滴下しながら重
合反応を行った。その後3時間、70℃に保ったまま熟
成した後、室温に冷却した。その後、スピロンレッドC
−BH63.6部を使用して着色ビニル系樹脂溶液を作
製し、これに0.8重量%のアンモニア水溶液を98
1.7部滴下して、乳化分散させた。この結果ホモジナ
イザーで撹拌中アンモニア水を滴下すると高粘度のペー
スト状になり、これ以上のインク使用や評価を行うこと
ができなかった。これは、ノニオン性の親水性単量体が
多く、樹脂微粒子を形成できなかったためと考えられ
る。
【0306】上記実施例40〜43、比較例17〜21
で得られたインクジェット印刷用インクについて、上述
の1)インクの印字性能評価、2)インク塗膜の耐溶剤
性評価、3)インクの保存安定性評価を行った。結果を
表8に示した。
【0307】
【表8】
【0308】(実施例44)n−ブトキシメチルアクリ
ルアミド100部、ヒドロキシエチルメタクリレート1
1.8部及びメタクリル酸5.9部からなる混合単量体
117.7部を酢酸エチル341.3部に溶解し、セパ
ラブルフラスコ内に仕込み、窒素置換した後、油溶性ア
ゾ系重合開始剤(和光純薬工業社製、V−65)の10
重量%エタノール溶液11.8部を1時間かけて滴下し
ながら重合反応を行った。その後、同温度で3時間重合
反応を継続した後、色剤として赤色アゾ染料の金属錯体
(チバスペシャルティケミカルズ社製、オラゾールレッ
ドG)23.5部を使用し、溶解した。次いで、室温ま
で冷却して、着色ビニル系樹脂溶液を得た。
【0309】ホモジナイザーを用いて、上記で得られた
着色ビニル系樹脂溶液を高速攪拌しながら、pH調整剤
としてアンモニア1部を使用したイオン交換水127
0.8部(水系媒体)を滴下して、着色ビニル系樹脂溶
液を上記水系媒体中に乳化分散させた。次いで、この乳
化分散液を40℃に加熱した後、真空蒸留により酢酸エ
チルを除去して、着色樹脂エマルジョンを作製した。得
られた着色樹脂エマルジョンを孔径5μmのフィルター
で濾過した。
【0310】(実施例45)実施例44で使用したビニ
ル系樹脂溶液470.8重量部に対し、油溶性染料を添
加せず、ジケトピロロピロール系赤色顔料(チバスペシ
ャリティーケミカルズ社製、IRGAZIN DPP
RED BO)23.5重量部を加えて、サンドミルに
よって顔料の粒径が130nmになるまで微粒化分散処
理を行い、顔料分散ビニル系樹脂溶液を得た。次に、得
られた顔料分散ビニル系樹脂溶液をホモジナイザーで高
速撹拌しながら、アンモニア1部を使用したイオン交換
水1270.8部を滴下して、着色ビニル系樹脂溶液を
上記水系媒体中に乳化分散させた。次いで、この乳化分
散液を40℃に加熱した後、真空蒸留により酢酸エチル
を除去して、有機顔料内包の着色樹脂エマルジョンを作
製した。得られた着色樹脂エマルジョンを孔径5μmの
フィルターで濾過した。
【0311】(実施例46)実施例44の樹脂組成を、
n−ブトキシメチルアクリルアミド52.9部、メチル
メタクリレート47.1部、ヒドロキシエチルメタクリ
レート11.8部及びメタクリル酸5.9部、としたこ
と以外は実施例44の場合と同様にして、油溶性染料内
包の着色樹脂エマルジョンを作製した。
【0312】(比較例22)実施例44で使用したビニ
ル系樹脂溶液470.8重量部に対し、油溶性染料を添
加せず、水溶性染料(日本化薬社製、Lanacrto
n Red S−G)23.5重量部を添加して、着色
樹脂エマルジョンを得た。
【0313】(比較例23)実施例44で使用した樹脂
組成を、n−ブトキシメチルアクリルアミド100.0
部、ヒドロキシエチルメタクリレート50.0重量部、
メタクリル酸50.0重量部、とし、油溶性染料を添加
せず、水溶性染料(日本化薬社製、Lanacrton
Red S−G)40.0部を、またアンモニア4部
を使用したイオン交換水2160部を使用したこと以外
は実施例44の場合と同様にして、着色樹脂エマルジョ
ンを得た。得られた色剤内包樹脂微粒子は水溶性である
ため、粘凋な液体になった。
【0314】(比較例24)実施例44で使用した油溶
性染料を加えずにエマルジョン化した非着色樹脂エマル
ジョンと、顔料に対して100部に対して30部のスチ
レンマレイン酸共重合体系顔料分散剤によって水中に分
散処理したジケトピロロピロール系赤色顔料IRGAZ
IN DPP RED BO を混合して着色樹脂エマ
ルジョンを作成した。混合比は樹脂固形分と顔料の比率
が実施例44のものと同等になるようにした。
【0315】(比較例25)実施例44の樹脂組成を、
n−ブトキシメチルアクリルアミド6.2部、メチルメ
タクリレート50.0部、ブチルアクリレート43.8
部、ヒドロキシエチルメタクリレート12.5部及びメ
タクリル酸12.5部、酢酸エチル362.5部、開始
剤溶液12.5部、オラゾールレッドG25.0部、ア
ンモニア2部使用したイオン交換水1350部としたこ
と以外は実施例44の場合と同様にして、油溶性染料内
包の着色樹脂エマルジョンを作製した。
【0316】(カラーフィルターの作成)上記実施例4
4〜46、比較例22〜25の着色樹脂エマルジョン
に、ITOをコートしたガラス及び白金電極を浸漬し、
10V10秒間電圧を印加し電極上に赤色のカラーフィ
ルターを得た。このカラーフィルターについて、透明
性(ヘーズ値)水再溶解性耐溶剤性保存安定性を
以下の方法で評価した。結果は表9に示した。
【0317】透明性(ヘーズ値) ヘーズメーターを用いてカラーフィルターのヘーズ値を
測定した。
【0318】水再溶解性 60℃10分の条件で乾燥させて、かつ熱硬化を施して
いないカラーフィルター塗膜を常温の水に2時間浸漬し
た後、目視でカラーフィルターを観察し下記判定基準に
従って、水再溶解性を評価した。 判定基準 ○ カラーフィルター塗膜は水に再溶解していなかった。 × カラーフィルター塗膜は水に再溶解していた。
【0319】耐溶剤性 得られたカラーフィルター塗膜をを100℃の恒温槽中
で5分間放置し乾燥させた後、200℃の恒温層中で1
時間放置して熱硬化させた。得られた塗膜をエタノール
中に30分間放置して、下記判定基準に従って、耐溶剤
性を評価した。 判定基準 ○;エタノール浸漬後指でこすっても全く塗膜のはがれ
や色落ちが認められなかった。 △;エタノール浸漬後、塗膜の外観には全く変化が認め
られなかったが、指でこすると色がわずかにとれた。 ×;エタノール浸漬後、そのままの状態で色がとれた
か、もしくは塗膜が溶解して剥離した。
【0320】保存安定性 得られた着色樹脂エマルジョンをガラス容器に入れて、
容器ごと25℃の恒温槽中に一週間放置し、インクの変
化を目視で観察した結果を下記の3段階に評価した。 ○;外観上の変化が全く認められなかったもの ×;容器の底に沈降物の層が認められた。
【0321】
【表9】
【0322】比較例22、23は、色材が樹脂微粒子中
に内包されることなく、水に溶解しているため、色材の
みが水中に溶出してカラーフィルター塗膜としての耐水
性が不充分であることがわかる。比較例24では、色材
は水に溶解しないものの、樹脂微粒子中に内包されたも
のではない。このため硬化反応後の樹脂塗膜中で樹脂の
架橋構造中に緻密に取り込まれていないし、かつ顔料粒
子が水中に安定に分散していないのでので粒径が凝集に
よって大きくなり、この結果上記の耐溶剤性試験におい
て色材がこすれて物理的に脱離してしまったものと考え
られる。また粒径が大きくなったことによって着色樹脂
エマルジョンとして保存時に重力による沈降が進行し、
充分な保存安定性も得られないことがわかる。更に顔料
粒子が大きいためにカラーフィルター塗膜中で可視光の
乱反射が起こりやすくカラーフィルターとしての透明性
も劣る。比較例25は樹脂中の架橋成分の量が充分でな
いため、カラーフィルター塗膜としての必要な耐溶剤性
が発現しなかったものと考えられる。
【0323】(実施例47)n−ブトキシメチルアクリ
ルアミド100部、ヒドロキシエチルメタクリレート1
1.8部及びメタクリル酸5.9部からなる混合単量体
117.7部を酢酸エチル352.9部に溶解し、セパ
ラブルフラスコ内に仕込み、窒素置換した後、油溶性ア
ゾ系重合開始剤(和光純薬工業社製、V−65)の10
重量%エタノール溶液11.8部を1時間かけて滴下し
ながら重合反応を行った。その後、同温度で3時間重合
反応を継続した後、色剤として青色染料(オリエント社
製、C.I.Solvent Blue38、商品名
「Valifast Blue 1605」)23.5
部を使用し、溶解した。次いで、室温まで冷却して、着
色ビニル系樹脂溶液を得た。次いで、ホモジナイザーを
用いて、上記で得られた着色ビニル系樹脂溶液を高速攪
拌しながら、pH調整剤として0.65%のアンモニア
水溶液705.9部(水系媒体)を滴下して、着色ビニ
ル系樹脂溶液を上記水系媒体中に乳化分散させた。次い
で、この乳化分散液を40℃に加熱した後、真空蒸留に
より酢酸エチルを除去して、着色樹脂エマルジョンを作
製した。得られた着色樹脂エマルジョンの色剤内包樹脂
微粒子の平均粒径は76nmであった。次いで、上記着
色樹脂エマルジョン(固形分20重量%)50部に対し
て、保湿剤としてグリセリン20部及びイオン交換水3
0部を使用し、均一に攪拌混合して、インクジェット印
刷用インクを作製した。このインクジェット印刷用イン
クについて上述の保存安定性評価を行ったところ、評価
は〇であった。また、上述の印字性能評価、インク塗膜
の耐溶剤性評価を行ったところ、評価はそれぞれ◎、〇
であった。
【0324】(実施例48〜77)色剤を表9のものに
した以外は、実施例47と同様にして、着色樹脂エマル
ジョン及びインクジェット印刷用インクを作製した。こ
れらのインクジェット印刷用インクについて、上述の印
字性能評価、インク塗膜の耐溶剤性評価、保存安定性評
価を行ったところ、評価はそれぞれ◎、〇、〇であっ
た。
【0325】上記実施例47〜77で得られた着色樹脂
エマルジョン及びインクジェット印刷用インクについ
て、下記の色差(ΔE)及び耐候性(耐光性)を評価した。
結果を表10に示した。
【0326】色差(ΔE) 得られた着色樹脂エマルジョンをガラス板上に、スピン
コーターを用いて、回転数を調整し380〜780nm
での最小透過率が50%〜55%になるような厚みで塗
工し、塗工後100℃5分間乾燥して塗膜とした。透過
率は、乾燥して得られた塗膜を可視紫外スペクトル測定
器により測定したが、この際、バックグラウンドとし
て、ガラス板の吸収を差し引いた。このようにして得ら
れた塗膜を160℃で1時間加熱し、その前後でこれら
の塗膜を紫外可視スペクトル測定器で測色し、その色差
を求めた。
【0327】耐候性(耐光性) 得られたインクジェット印刷用インクをガラス板上に、
スピンコーターを用いて、回転数を調整し380〜78
0nmでの最小透過率が50%〜55%になるような厚
みで塗設し、160℃で1時間加熱した。その後、JI
S B7753の方法に準拠して、サンシャインカーボ
ンアークフェードメータにて、ガラス面から、100時
間光照射した。照射前後でこれらの塗膜を紫外可視スペ
クトル測定器で測色し、その色差を求めた。ここで色差
10未満のものを○、10を越えるものを×として評価
した。
【0328】
【表10】
【0329】(実施例78) <ビニル系樹脂の合成>フラスコ内に下記組成の均一な
単量体組成物を仕込み、窒素置換を行った後、70℃に
昇温して2,2−アゾビスイソブチロニトリル(AIB
N)の10重量%酢酸エチル溶液10重量部を、1時間
かけて滴下しながら重合反応を行った。その後3時間、
70℃に保ったまま熟成した後、室温に冷却した。
【0330】n−ブトキシメチルアクリルアミド(分子
量157) 40重量部(0.255モル部:比率0.328) メタクリル酸メチル(分子量100) 35重量部(0.350モル部:比率0.450) メタクリル酸(分子量86) 5重量部(0.058モル部:比率0.075) ヒドロキシエチルメタクリレート(分子量130) 5重量部(0.038モル部:比率0.049) メタクリル酸グリシジル(分子量142) 10重量部(0.070モル部:比率0.091) 酢酸エチル 250重量部
【0331】<ビニル系樹脂と油溶性染料との混合物の
調製>得られたビニル系樹脂の酢酸エチル溶液355重
量部に、油溶性染料として赤色アゾ染料の金属錯体(チ
バスペシャルティケミカルズ社製、オラゾールレッド
G)35重量部を添加して均一に溶解させて混合溶液を
得た。
【0332】<着色樹脂エマルジョンの調製>得られた
ビニル系樹脂と油溶性染料との酢酸エチル混合溶液39
0重量部を、ホモジナイザーで撹拌しながら、その撹拌
下に0.3重量%のアンモニア水溶液500重量部を滴
下して乳化分散させた。この分散体を40℃に加熱した
後真空蒸留により酢酸エチルを除去して、未架橋着色樹
脂エマルジョンを得た。次に、得られた未架橋着色樹脂
エマルジョンを室温下で攪拌しながら1,2−プロパン
ジアミンの5重量%水溶液26.0重量部をゆっくりと
徐々に添加して表面の架橋処理を行った。この操作によ
り粒子表面のグリシジル基はすべて架橋点となって架橋
構造が形成されたと考えられる。得られた着色樹脂エマ
ルジョンの色剤内包樹脂微粒子の平均粒径は112nm
であった。また、組成から算出される粒子表面の架橋間
分子量は1363であった。
【0333】(実施例79) <ビニル系樹脂の合成>フラスコ内に下記組成の均一な
単量体組成物を仕込み、窒素置換を行った後、70℃に
昇温して2,2−アゾビスイソブチロニトリル(AIB
N)の10重量%酢酸エチル溶液10重量部を、1時間
かけて滴下しながら重合反応を行った。その後3時間、
70℃に保ったまま熟成した後、室温に冷却した。
【0334】n−ブトキシメチルアクリルアミド(分子
量157) 40重量部(0.255モル部:比率0.304) メタクリル酸メチル(分子量100) 45重量部(0.450モル部:比率0.536) メタクリル酸(分子量86) 5重量部(0.058モル部:比率0.069) ヒドロキシエチルメタクリレート(分子量130) 5重量部(0.038モル部:比率0.046) 2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(分子
量155) 5重量部(0.032モル部:比率0.038) 酢酸エチル 250重量部
【0335】<ビニル系樹脂と油溶性染料との混合物の
調製>得られたビニル系樹脂の酢酸エチル溶液360重
量部に、油溶性染料として赤色アゾ染料の金属錯体(チ
バガイギー社製、オラゾールレッドG)35重量部を添
加して均一に溶解させて混合溶液を得た。
【0336】<着色樹脂エマルジョンの調製>得られた
ビニル系樹脂と油溶性染料との酢酸エチル混合溶液39
5重量部を、ホモジナイザーで撹拌しながら、その撹拌
下に0.3重量%のアンモニア水溶液500重量部を滴
下して乳化分散させた。この分散体を40℃に加熱した
後真空蒸留により酢酸エチルを除去して、未架橋着色樹
脂エマルジョンを得た。次に、得られた未架橋着色樹脂
エマルジョンを50℃で6時間攪拌しながら表面の架橋
処理を行った。この操作により粒子表面のイソシアネー
ト基はすべて架橋点となって架橋構造が形成されたと考
えられる。得られた色剤内包樹脂微粒子の平均粒径は1
45nmであり、組成から算出される粒子表面の架橋間
分子量は3131であった。
【0337】(実施例80)実施例79と同様にして、
未架橋着色樹脂エマルジョンを得て、真空蒸留により酢
酸エチルを除いた後、得られた未架橋着色樹脂エマルジ
ョンを室温下で攪拌しながら1,2−プロパンジアミン
の5重量%水溶液11.9重量部をゆっくりと徐々に添
加して表面の架橋処理を行った。この操作により粒子表
面のイソシアネート基はすべて架橋点となって架橋構造
が形成されたと考えられる。得られた色剤内包樹脂微粒
子の平均粒径は120nmであり、組成から算出される
粒子表面の架橋間分子量は3131であった。
【0338】(比較例33)実施例78と同様にして、
未架橋着色樹脂エマルジョンを得て、真空蒸留により酢
酸エチルを除いた後、1,2−プロパンジアミンの水溶
液を加えずに、そのままインクジェット印刷用インクの
調製を行った。用いられた未架橋着色樹脂エマルジョン
は粒子表面に架橋構造が全く形成されていないものであ
った。未架橋の色剤内包樹脂微粒子の平均粒径は97n
mであった。
【0339】(実施例81) <ビニル系樹脂の合成>フラスコ内に下記組成の均一な
単量体組成物を仕込み、窒素置換を行った後、70℃に
昇温して2,2−アゾビスイソブチロニトリル(AIB
N)の10重量%酢酸エチル溶液10重量部を、1時間
かけて滴下しながら重合反応を行った。その後3時間、
70℃に保ったまま熟成した後、室温に冷却した。
【0340】n−ブトキシメチルアクリルアミド(分子
量157) 40重量部(0.255モル部:比率0.304) メタクリル酸メチル(分子量100) 47重量部(0.470モル部:比率0.560) メタクリル酸(分子量86) 5重量部(0.058モル部:比率0.069) ヒドロキシエチルメタクリレート(分子量130) 5重量部(0.038モル部:比率0.045) 1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(分子量22
6) 2重量部(0.009モル部:比率0.011) α−メチルスチレンダイマー(分子量252) 1重量部(0.004モル部:比率0.005) 酢酸エチル 250重量部
【0341】<ビニル系樹脂と油溶性染料との混合物の
調製>得られたビニル系樹脂の酢酸エチル溶液360重
量部に、油溶性染料として赤色アゾ染料の金属錯体(チ
バガイギー社製、オラゾールレッドG)35重量部、
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート5重量部、メ
タクリル酸メチル5重量部、AIBN0.5重量部を添
加して均一に溶解させて混合溶液を得た。
【0342】<着色樹脂エマルジョンの調製>得られた
ビニル系樹脂と油溶性染料との酢酸エチル混合溶液39
5重量部を、ホモジナイザーで撹拌しながら、その撹拌
下に0.3重量%のアンモニア水溶液500重量部を滴
下して乳化分散させた。この分散体を窒素パージして6
0℃に加熱して3時間攪拌した後、真空蒸留により酢酸
エチルを除去して、着色樹脂エマルジョンを得た。得ら
れた色剤内包樹脂微粒子の平均粒径は180nmであっ
た。
【0343】(実施例82)実施例81の単量体組成物
の組成を下記の通りに変更したこと以外は同様にして樹
脂溶液を得た。
【0344】n−ブトキシメチルアクリルアミド(分子
量157) 40重量部(0.225モル部:比率0.277) メタクリル酸メチル(分子量100) 47重量部(0.470モル部:比率0.580) メタクリル酸(分子量86) 5重量部(0.058モル部:比率0.072) ヒドロキシエチルメタクリレート(分子量130) 5重量部(0.038モル部:比率0.047) トリエチレングリコールジアクリレート(分子量25
8) 3重量部(0.012モル部:比率0.015) アリルメルカプタン(分子量74) 0.2重量部(0.003モル部:比率0.004) 酢酸エチル 250重量部 ビニル系樹脂と染料との混合物の調製、着色樹脂エマル
ジョンの調製についても実施例81と同様にして行っ
た。
【0345】(比較例27)実施例81の単量体組成物
の組成を下記の通りに変更したこと以外は同様にして樹
脂溶液の合成を試みたが、反応途中でゲル化したため、
その後の評価を行うことができなかった。
【0346】n−ブトキシメチルアクリルアミド(分子
量157) 40重量部(0.225モル部:比率0.276) メタクリル酸メチル(分子量100) 48重量部(0.480モル部:比率0.589) メタクリル酸(分子量86) 5重量部(0.058モル部:比率0.071) ヒドロキシエチルメタクリレート(分子量130) 5重量部(0.038モル部:比率0.047) 1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(分子量22
6) 2重量部(0.009モル部:比率0.011) 酢酸エチル 250重量部
【0347】(比較例28)実施例81の単量体組成物
の組成を下記の通り変更したこと以外は同様にして樹脂
溶液を得た。
【0348】n−ブトキシメチルアクリルアミド(分子
量157) 40重量部(0.255モル部:比率0.304) メタクリル酸メチル(分子量100) 48重量部(0.480モル部:比率0.571) メタクリル酸(分子量86) 5重量部(0.058モル部:比率0.069) ヒドロキシエチルメタクリレート(分子量130) 5重量部(0.038モル部:比率0.045) α−メチルスチレンダイマー(分子量252) 1重量部(0.004モル部:比率0.005) 酢酸エチル 250重量部
【0349】ビニル系樹脂と油溶性染料との混合物の調
製、着色樹脂エマルジョンの調製についても実施例75
と同様にして行った。得られた未架橋着色樹脂エマルジ
ョンは粒子表面に架橋構造が全く形成されていないもの
であった。未架橋の色剤内包樹脂微粒子の平均粒径は1
35nmであった。
【0350】実施例78〜82、比較例26〜28で得
られた着色樹脂エマルジョン又は未架橋着色樹脂エマル
ジョンを用い、下記の組成にてインクジェット印刷用イ
ンクとした。
【0351】(インクジェット印刷用インクの組成) 着色樹脂エマルジョン 25重量部 グリセリン 25重量部 イオン交換水 着色樹脂エマルジョンの固形分が10重
量%となるように必要な分量を追加
【0352】(色差(ΔE)の測定)得られたインクジ
ェット印刷用インクを用い、ピエゾ式インクジェットプ
リンター(セイコーエプソン社製、PM−750C)に
て市販の上質コピー紙にベタ印刷して試験片とした。上
記試験片を窒素パージしたデシケータ中に入れ、オゾン
発生装置から定量的に2g/時間の割合でオゾンをデシ
ケータ中に供給し、48時間放置して色変化を評価し
た。色変化の評価方法としては、オゾン暴露前後の色変
化を見るために色差ΔEを測定した。色差の測定には、
色度計(東京電色社製、Spectro Photo
Meter TC−1800MKII)を用いた。
【0353】(保存安定性の評価)得られたインクジェ
ット印刷用インクを25℃の環境下に30日間静置して
外観変化を観察した。以上の結果を表11に示した。
【0354】
【表11】
【0355】(実施例83) (ビニル系樹脂の合成)メチルメタクリレート55重量
部、n−ブトキシメチルアクリルアミド15重量部、2
−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフ
ェニル)−2H−ベンゾトリアゾール15重量部、メタ
クリル酸5重量部、ヒドロキシエチルメタクリレート1
0重量部、酢酸エチル250重量部からなる単量体組成
物をフラスコ内に仕込み、窒素置換を行った後、70℃
に昇温して2,2’−アゾビスイソブチロニトリルの1
0重量%酢酸エチル溶液10重量部を、1時間かけて滴
下しながら重合反応を行った。その後3時間、70℃に
保ったまま熟成した後、室温に冷却した。
【0356】(ビニル系樹脂と染料との混合物の調製)
上述のようにして得られたビニル系樹脂の酢酸エチル溶
液360重量部に油溶性染料としてマゼンタ色ローダミ
ン系染料(保土谷化学工業社製、スピロンレッドC−B
H)35重量部を添加して均一に溶解させて混合溶液を
得た。
【0357】(着色樹脂エマルジョンの調製)上記混合
溶液395重量部をホモジナイザーで攪拌しながら、攪
拌下に0.3重量%のアンモニア水溶液500重量部を
滴下して乳化分散させた。この分散体を40℃に加熱し
た後、真空蒸留により酢酸エチルを除去して、着色樹脂
エマルジョンを得た。得られた着色樹脂エマルジョンの
色剤内包樹脂微粒子の平均粒径は96nmであった。
【0358】(インクジェット印刷用インクの調製)得
られた着色樹脂エマルジョン(固形分20重量%)50
重量部に対して、保湿剤としてグリセリン20重量部及
びイオン交換水30重量部を添加して均一に攪拌混合し
て、インクジェット印刷用インクを作製した。
【0359】(インクの耐久性評価)得られたインクジ
ェット印刷用インクを用いて、ピエゾ式インクジェット
プリンター(セイコーエプソン社製、PM−750C)
で、市販の上質コピー紙にベタ印刷し、試験片とした。
この試験片に紫外線照射装置(スガ試験機社製、SUG
A UV LIGHT TESTER HLG−3S)
にて雰囲気温度を40℃に保ち、紫外線を24時間照射
し、その前後の色変化を見るために色差ΔEを測定し
た。色差の測定には色度計(東京電色社製、Spect
ro PhotoMeter TC−1800MKII)
を使用した。
【0360】(保湿剤配合時の泡立ち性)インクを調製
する際に、保湿剤を配合したときの泡立ちを目視で観察
した。これらの評価結果を表12に示した。
【0361】(実施例84)実施例83で用いた2−
(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェ
ニル)−2H−ベンゾトリアゾールの使用量を15重量
部から30重量部に、メチルメタクリレートの使用量を
55重量部から40重量部に変更したこと以外は実施例
76と同様にして着色樹脂エマルジョンを調製し評価を
行った。結果を表12に示した。なお、得られた色剤内
包樹脂微粒子の平均粒径は140nmであった。
【0362】(実施例85)実施例83で用いた2−
(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェ
ニル)−2H−ベンゾトリアゾール15重量部を2−ヒ
ドロキシ−4−メタクリロキシエチルオキシベンゾフェ
ノン15重量部に変更したこと以外は実施例76と同様
にして着色樹脂エマルジョンを調製し評価を行った。結
果を表12に示した。なお、得られた色剤内包樹脂微粒
子の平均粒径は108nmであった。
【0363】(実施例86)実施例83で用いられた2
−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフ
ェニル)−2H−ベンゾトリアゾール15重量部を2−
(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−
イル)−5−〔(2−メタクリロキシエチル)オキシ〕
−フェノール25重量部に、メチルメタクリレートの使
用量を55重量部から45重量部に変更したこと以外は
実施例76と同様にして着色樹脂エマルジョンを調製
し、評価を行った。結果を表12に示した。なお、得ら
れた色剤内包樹脂微粒子の平均粒径は90nmであっ
た。
【0364】(比較例29)実施例83で用いられた2
−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフ
ェニル)−2H−ベンゾトリアゾールを使用せず、メチ
ルメタクリレートの使用量を55重量部から70重量部
に変更したこと以外は実施例76と同様にして着色樹脂
エマルジョンを調製し、評価を行った。結果を表12に
示した。なお、得られた色剤内包樹脂微粒子の平均粒径
は89nmであった。
【0365】(比較例30)以下の乳化重合の手法によ
り乳化剤を含有した色剤内包樹脂微粒子を調製した。ド
デシル硫酸ナトリウム2重量部、イオン交換水198重
量部、及び、n−ブトキシメチルアクリルアミド5重量
部をフラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら、液
温を50℃に上げた。次に、油溶性アゾ系重合開始剤
(和光純薬社製、V−70)0.5重量部を含むエタノ
ール溶液5重量部をフラスコ内に注入し、すぐに、下記
組成の構成によって得られた染料溶液の水分散液を2時
間かけて滴下した。その後、同温度で3時間攪拌した
後、室温に冷却し、着色樹脂エマルジョンを得た。な
お、得られた色剤内包樹脂微粒子の平均粒径は95nm
であった。得られた着色樹脂エマルジョンを実施例83
と同様にしてインク組成に配合し評価した。結果を表1
2に示した。
【0366】 n−ブトキシメチルアクリルアミド 20重量部 メチルメタクリレート 70重量部 2’−ヒドロキシ2−(ジ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベ ンゾトリアゾール 5重量部 V−65(和光純薬社製、油溶性アゾ系重合開始剤) 2重量部
【0367】(比較例31)比較例30で用いられた2
−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフ
ェニル)−2H−ベンゾトリアゾールの使用量を5重量
部から15重量部に、メチルメタクリレートの使用量を
70重量部から60重量部に変更したこと以外は比較例
37と同様にして乳化重合によりエマルジョンを調製し
ようとしたが、重合途中に凝集物が発生して目的のエマ
ルジョンは調製できなかった。
【0368】
【表12】
【0369】(実施例87)n−ブトキシメチルアクリ
ルアミド17.6g、メタクリル酸メチル82.4g、
メタクリル酸5.3g、エチレングリコールメタクリレ
ート25gを酢酸エチル390gに溶解し、フラスコ内
に注入し、窒素置換した後、油溶性アゾ系重合開始剤
(和光純薬社製、V−65)13gのエタノール10%
溶液を1時間かけて滴下した。その後、同温度で3時間
攪拌した後、色剤として赤色アゾ染料の金属錯体(チバ
ガイギー社製、オラゾールレッドG)48gを添加し溶
解後、室温に冷却し、色剤内包樹脂微粒子溶液を得た。
得られた色剤内包樹脂微粒子用溶液に0.65重量%の
アンモニア水溶液721.3gを滴下しながら、ホモジ
ナイザーにて乳化して色剤内包樹脂微粒子溶液の分散体
を得た。得られた色剤内包樹脂微粒子溶液の分散体を4
0℃に加熱し、真空蒸留することによって酢酸エチルを
除去することによって着色樹脂エマルジョンを得た。得
られた着色樹脂エマルジョンの色剤内包樹脂微粒子の平
均粒径は120nmであった。
【0370】得られた着色樹脂エマルジョンを用いて、
下記の配合にてインクジェット印刷用インクを調製し
た。 着色樹脂エマルジョン (固形分20%) 50重量部 グリセリン 19.5重量部 イソアミルアルコール 0.5重量部 Kf−945 1.0重量部 イオン交換水 29重量部
【0371】(実施例88)実施例87の着色樹脂エマ
ルジョン(固形分20重量%)50部を用いて、下記の
配合にて均一に攪拌を行い、インクジェット印刷用イン
クを調整した。 着色樹脂エマルジョン (固形分20%) 50重量部 エチレングリコール 19.5重量部 イソアミルアルコール 0.5重量部 Kf−945 0.1重量部 イオン交換水 29.9重量部
【0372】(実施例89)実施例87の着色樹脂エマ
ルジョン(固形分20重量%)50部を用いて、下記の
配合にて均一に攪拌を行い、インクジェット印刷用イン
クを調整した。 着色樹脂エマルジョン (固形分20%) 50重量部 エチレングリコール 19.5重量部 イソアミルアルコール 0.5重量部 サーフィノール104 1重量部 イオン交換水 29重量部
【0373】上記実施例87〜89で得られたインクジ
ェット印刷用インクについて、下記の1)目詰まり、直
進性評価、2)消泡性評価、3)残存消泡剤量の評価、
4)透明性評価を行った。結果を表13に示した。 (目詰まり、直進性評価)ピエゾ式インクジェットプリ
ンター(セイコーエプソン社製、PM−750C)にて
印刷テストを行った。 (消泡性評価)1分間インクを振とうして、消泡性の評
価をした。評価基準は以下のとおりとした。 :5分で泡が消える。 △ :10分で泡が消える。 × :10分で泡が消えない。 (残存消泡剤量の評価)インクジェット印刷用インク1
mgを160℃で1時間乾燥を行い、塗膜1mgを回収
し、ガスクロマトグラフィー(GAS CHROMAT
OGRAPHHEWLETT PACKARD 589
0 SERIESII)により残存消泡剤量(mg)を測
定し、残存消泡剤重量を下記式により算出した。 残存消泡剤量(重量%)=y×100 式中yは塗膜中の消泡剤量(mg)を表す。 (透明性評価)ガラス基板にスピンコータ(MIKAS
A CO.,LTD製、MIKASASPINCOAT
ER 1H−360S)によりインクジェット印刷用イ
ンクの塗膜を作成し、160℃で1時間乾燥した後ヘイ
ズメータ(TOKYO DENSHOKU CO.,L
TD製、HAZE METER MODEL TC−H
3DPK)により、塗膜のヘイズを測定し、以下の基準
で評価した。 5.0以下 ○ 5.0以上 ×
【0374】
【表13】
【0375】
【発明の効果】本発明によれば、優れた安定性、耐候
性、耐光性を有する着色樹脂エマルジョン、インクジェ
ット印刷用インク、電着液及びカラーフィルターを提供
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 2/44 C08F 2/44 A 4J038 B 4J039 8/00 8/00 4J100 C08K 3/00 C08K 3/00 5/00 5/00 C09D 5/02 C09D 5/02 5/44 5/44 Z 11/00 11/00 17/00 17/00 157/06 157/06 G02B 5/20 101 G02B 5/20 101 5/22 5/22 (31)優先権主張番号 特願2000−340679(P2000−340679) (32)優先日 平成12年11月8日(2000.11.8) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願2001−789(P2001−789) (32)優先日 平成13年1月5日(2001.1.5) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願2001−28322(P2001−28322) (32)優先日 平成13年2月5日(2001.2.5) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願2001−99913(P2001−99913) (32)優先日 平成13年3月30日(2001.3.30) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 大口 善之 大阪府三島郡島本町百山2−1 積水化学 工業株式会社内 (72)発明者 豊嶋 克典 大阪府三島郡島本町百山2−1 積水化学 工業株式会社内 (72)発明者 上田 倫久 大阪府三島郡島本町百山2−1 積水化学 工業株式会社内 Fターム(参考) 2H048 BA02 BA62 BA64 BB02 BB14 BB32 CA04 CA14 CA19 CA27 2H086 BA53 BA55 BA56 BA59 BA60 BA62 4J002 AA061 AA071 BB041 BB141 BB171 BC011 BC041 BC091 BC121 BD051 BD101 BD111 BE011 BE041 BF011 BF021 BF041 BG011 BG041 BG051 BG061 BG071 BG081 BG101 BG111 BG131 BH021 BJ001 BK001 BL011 BQ001 FD096 GH00 GH01 GP00 HA07 4J011 HA03 KA27 KB14 KB19 KB29 NB04 PA03 PA07 PA08 PA09 PA10 PA13 PA23 PA27 PA38 PA39 PA43 PA45 PB25 PC02 PC06 4J037 AA30 CC16 EE12 EE28 FF22 FF23 4J038 CA021 CB001 CC001 CD001 CE051 CF011 CG141 CG161 GA01 GA06 GA07 GA09 GA12 KA08 MA08 MA10 NA03 NA25 PA04 4J039 AD01 AD03 AD04 AD05 AD06 AD08 AD10 BE01 BE02 CA06 EA34 EA35 EA44 GA24 4J100 AA02P AA03P AA04P AA05P AB00P AB02P AB03P AB07P AB07R AB16S AC03P AC04P AC12P AD03Q AE02P AE04P AE19Q AG04P AG63S AJ01R AJ02R AJ03R AJ08R AJ09R AL03P AL04P AL05P AL08P AL08R AL09Q AL10P AL11P AL62S AL63S AL66S AL75S AL91R AM02P AM15Q AM21P AM21Q AM21R AM47P AM48P AP07R AQ06Q AQ08Q AQ12R AQ19R AQ21S AS02P AS15P BA02Q BA03P BA03Q BA03S BA04P BA05Q BA06Q BA08Q BA08S BA10Q BA15Q BA15R BA16R BA21Q BA31R BA32R BA56R BA65R BB01P BC04P BC04R BC27P BC43P BC43R BC53P BC54P BC73P

Claims (43)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 疎水性ビニル系単量体100重量部と、
    アニオン性基又はカチオン性基を有するビニル系単量体
    1〜30重量部と、ノニオン性親水基を有するビニル系
    単量体1〜55重量部とからなる混合単量体を重合して
    得られるビニル系樹脂、及び、色剤からなる色剤内包樹
    脂微粒子が水系媒体中に分散されてなることを特徴とす
    る着色樹脂エマルジョン。
  2. 【請求項2】 色剤を包含する色剤内包樹脂微粒子が水
    系媒体中に分散されてなる着色樹脂エマルジョンであっ
    て、前記色剤内包樹脂微粒子は、少なくとも表面に架橋
    構造が形成されているものであることを特徴とする着色
    樹脂エマルジョン。
  3. 【請求項3】 色剤内包樹脂微粒子は、疎水性ビニル系
    単量体100重量部と、アニオン性基又はカチオン性基
    を有するビニル系単量体1〜30重量部と、ノニオン性
    親水基を有するビニル系単量体1〜55重量部とからな
    る混合単量体を重合して得られるビニル系樹脂、及び、
    色剤からなる未架橋の色剤内包樹脂微粒子を架橋してな
    ることを特徴とする請求項2記載の着色樹脂エマルジョ
    ン。
  4. 【請求項4】 架橋構造は、その架橋間分子量が500
    0以下であることを特徴とする請求項2又は3記載の着
    色樹脂エマルジョン。
  5. 【請求項5】 色剤内包樹脂微粒子は、架橋剤と反応可
    能な官能基を有するビニル系単量体を含有する混合単量
    体をラジカル重合して得られるビニル系樹脂、及び、色
    剤からなる未架橋の色剤内包樹脂微粒子に、更に、架橋
    剤を反応してなることを特徴とする請求項2、3又は4
    記載の着色樹脂エマルジョン。
  6. 【請求項6】 色剤内包樹脂微粒子は、自己架橋可能な
    官能基を有するビニル系単量体を含有する混合単量体を
    ラジカル重合して得られるビニル系樹脂、及び、色剤か
    らなることを特徴とする請求項2、3又は4記載の着色
    樹脂エマルジョン。
  7. 【請求項7】 混合単量体90〜99重量部と、2個以
    上の重合性二重結合を有する単量体0.1〜10重量部
    と、連鎖移動剤0.01〜2重量部と、ラジカル重合開
    始剤と、有機溶剤とを含有する反応系においてラジカル
    重合反応を行うことにより樹脂溶液を調製し、前記樹脂
    溶液に油溶性染料を添加して染料−樹脂組成物を調製
    し、前記染料−樹脂組成物に油溶性ラジカル重合開始剤
    を添加した後、水中に分散して得られる樹脂分散液を加
    熱して再度ラジカル重合反応を行うことにより得られる
    ことを特徴とする請求項2、3又は4記載の着色樹脂エ
    マルジョン。
  8. 【請求項8】 樹脂成分及び色剤を含有してなる色剤内
    包樹脂微粒子が水系媒体中に分散されてなる着色樹脂エ
    マルジョンであって、前記樹脂成分は、紫外線吸収能力
    を有する官能基又は官能基群を有するビニル系単量体と
    他のビニル系単量体とをラジカル重合して得られるもの
    であり、前記色剤内包樹脂微粒子は、乳化重合以外の方
    法により得られるものであることを特徴とする着色樹脂
    エマルジョン。
  9. 【請求項9】 他のビニル系単量体は、疎水性ビニル系
    単量体100重量部と、アニオン性基又はカチオン性基
    を有するビニル系単量体1〜30重量部と、ノニオン性
    親水基を有するビニル系単量体1〜55重量部とからな
    る混合単量体であることを特徴とする請求項8記載の着
    色樹脂エマルジョン。
  10. 【請求項10】 色剤の含有量は、色剤内包樹脂微粒子
    の5〜50重量%であって、紫外線吸収能力を有する官
    能基又は官能基群を有するビニル系単量体によって構成
    されるセグメントの含有量は、色剤内包樹脂微粒子の5
    〜50重量%であることを特徴とする請求項8又は9記
    載の着色樹脂エマルジョン。
  11. 【請求項11】 紫外線吸収能力を有する官能基又は官
    能基群は、ベンゾトリアゾール骨格を有するものである
    ことを特徴とする請求項8、9又は10記載の着色樹脂
    エマルジョン。
  12. 【請求項12】 紫外線吸収能力を有する官能基又は官
    能基群は、ベンゾフェノン骨格を有するものであること
    を特徴とする請求項8、9又は10記載の着色樹脂エマ
    ルジョン。
  13. 【請求項13】 紫外線吸収能力を有する官能基又は官
    能基群は、トリアジン骨格を有するものであることを特
    徴とする請求項8、9又は10記載の着色樹脂エマルジ
    ョン。
  14. 【請求項14】 混合単量体は、下記一般式(1)で表
    される重合性単量体を、その10重量%以上含有するこ
    とを特徴とする請求項1、3、4、5、6、7、9、1
    0、11、12又は13記載の着色樹脂エマルジョン。 【化1】 式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素
    数3〜6のアルキル基を表す。
  15. 【請求項15】 混合単量体は、縮合多環炭化水素、縮
    合複素環化合物、又は、ポリフェニレン系炭化水素から
    誘導される官能基を少なくとも1つ有する単量体を、そ
    の5〜50重量%含有することを特徴とする請求項1、
    3、4、5、6、7又は14記載の着色樹脂エマルジョ
    ン。
  16. 【請求項16】 混合単量体は、5員環以上の員数であ
    ってかつ非共役炭素を3個以上含む環状官能基を有する
    単量体を、その0.5〜20重量%含有することを特徴
    とする請求項1、3、4、5、6、7、14又は15記
    載の着色樹脂エマルジョン。
  17. 【請求項17】 アニオン性基を有するビニル系単量体
    は、下記一般式(2)で表される重合性単量体を含有す
    ることを特徴とする請求項1、3、4、5、6、7、
    9、10、11、12、13、14、15又は16記載
    の着色樹脂エマルジョン。 【化2】 式中、Xはアクリロイル基又はメタクリロイル基を表
    し、YはXとCOOHとの間を結ぶ原子鎖長が原子5個
    以上の長さを有するものであって、アニオン性基、カチ
    オン性基を有しないものを表す。
  18. 【請求項18】 混合単量体に対するアニオン性基又は
    カチオン性基を有するビニル系単量体のmol分率が3
    〜25mol%であることを特徴とする請求項1、3、
    4、5、6、7、9、10、11、12、13、14、
    15、16又は17記載の着色樹脂エマルジョン。
  19. 【請求項19】 ノニオン性親水基を有するビニル系単
    量体は、複素環化合物から誘導される官能基を少なくと
    も1つ有する単量体を5〜100重量%含有しているこ
    とを特徴とする請求項1、3、4、5、6、7、9、1
    0、11、12、13、14、15、16、17又は1
    8記載の着色樹脂エマルジョン。
  20. 【請求項20】 ビニル系樹脂は、平均分子量が300
    0〜30万であって、かつ、分子量1000未満の成分
    の割合が30重量%以下であることを特徴とする請求項
    1、9、10、11、12、13、14、15、16、
    17、18又は19記載の着色樹脂エマルジョン。
  21. 【請求項21】 色剤は、油溶性染料であることを特徴
    とする請求項1、3、4、5、6、7、9、10、1
    1、12、13、14、15、16、17、18、19
    又は20記載の着色樹脂エマルジョン。
  22. 【請求項22】 色剤は、顔料であることを特徴とする
    請求項1、3、4、5、6、7、9、10、11、1
    2、13、14、15、16、17、18、19又は2
    0記載の着色樹脂エマルジョン。
  23. 【請求項23】 色剤は、油溶性染料及び顔料であるこ
    とを特徴とする請求項1、3、4、5、6、7、9、1
    0、11、12、13、14、15、16、17、1
    8、19又は20記載の着色樹脂エマルジョン。
  24. 【請求項24】 着色樹脂エマルジョンを380〜78
    0nmでの最小透過率が50%となるように製膜して得
    られた塗膜を160℃、1時間加熱した場合に、加熱の
    前後での塗膜の色差が5以内であることを特徴とする請
    求項1、3、4、5、6、7、9、10、11、12、
    13、14、15、16、17、18、19、20、2
    1、22又は23記載の着色樹脂エマルジョン。
  25. 【請求項25】 色剤内包樹脂微粒子は、色剤1〜60
    重量%、及び、ビニル系樹脂40〜99重量%からなる
    ことを特徴とする請求項1、3、4、5、6、7、1
    4、15、16、17、18、19、20、21、2
    2、23又は24記載の着色樹脂エマルジョン。
  26. 【請求項26】 ビニル系樹脂100重量部に対して、
    消泡剤を0.01〜10重量部含有することを特徴とす
    る請求項1、3、4、5、6、7、9、10、11、1
    2、13、14、15、16、17、18、19、2
    0、21、22、23、24又は25記載の着色樹脂エ
    マルジョン。
  27. 【請求項27】 請求項1、2、3、4、5、6、7、
    8、9、10、11、12、13、14、15、16、
    17、18、19、20、21、22、23、24、2
    5又は26記載の着色樹脂エマルジョンに保湿剤が添加
    されてなることを特徴とするインクジェット印刷用イン
    ク。
  28. 【請求項28】 消泡剤をインクジェット印刷用インク
    全体に対して0.001〜5重量%含有することを特徴
    とする請求項27記載のインクジェット印刷用インク。
  29. 【請求項29】 インクジェット印刷用インクを380
    〜780nmでの最小透過率が50%となるように製膜し
    て得られた塗膜を160℃、1時間加熱した後の塗膜中
    の残存消泡剤量が5重量%以下であることを特徴とする
    請求項27又は28記載のインクジェット印刷用イン
    ク。
  30. 【請求項30】 炭素数4〜15のアルコールをインク
    ジェット印刷用インク全体に対して0.01〜10重量
    %含有することを特徴とする請求項27、28又は29
    記載のインクジェット印刷用インク。
  31. 【請求項31】 シランカップリング剤をインクジェッ
    ト印刷用インク全体に対して0.01〜10重量%含有
    することを特徴とする請求項27、28、29又は30
    記載のインクジェット印刷用インク。
  32. 【請求項32】 シランカップリング剤は、エポキシ基
    を含有しているものであることを特徴とする請求項31
    記載のインクジェット印刷用インク。
  33. 【請求項33】 1〜100mg/cmの塗布量で塗
    布して得られた塗膜の室温乾燥後の水浸漬後残量が下記
    式を満たすことを特徴とする請求項27、28、29、
    30、31又は32記載のインクジェット印刷用イン
    ク。 残存量≦(初期塗膜重量×インク固形分×0.5)
  34. 【請求項34】 フッ素系樹脂板上でのインクジェット
    印刷用インクの接触角とガラス板上でのインクジェット
    印刷用インクの接触角との差が15°以上であることを
    特徴とする請求項27、28、29、30、31、32
    又は33記載のインクジェット印刷用インク。
  35. 【請求項35】 インクジェット印刷用インクの表面張
    力と接触角とが下記式で表される関係を満たすことを特
    徴とする請求項27、28、29、30、31、32、
    33又は34記載のインクジェット印刷用インク。 y≦4x−35 式中、xは表面張力(mN/m)を表し、yはフッ素樹
    脂板上でのインクジェット印刷用インクの接触角を表
    す。
  36. 【請求項36】 インクジェット印刷用インクの表面張
    力と接触角とが下記式で表される関係を満たすことを特
    徴とする請求項27、28、29、30、31、32、
    33、34又は35記載のインクジェット印刷用イン
    ク。 y≧4x−120 式中、xは表面張力(mN/m)を表し、yはフッ素樹
    脂板上でのインクジェット印刷用インクの接触角を表
    す。
  37. 【請求項37】 請求項27、28、29、30、3
    1、32、33、34、35又は36記載のインクジェ
    ット印刷用インクを透明基板上に印刷した後、熱処理を
    施すことにより得られることを特徴とするカラーフィル
    ター。
  38. 【請求項38】 疎水性ビニル系単量体100重量部
    と、アニオン性基を有するビニル系単量体1〜30重量
    部と、ノニオン性親水基を有するビニル系単量体0〜3
    0重量部とからなる混合単量体を重合して得られるビニ
    ル系樹脂、及び、色剤からなる色剤内包樹脂微粒子が水
    系媒体中に分散されてなる着色樹脂エマルジョンからな
    る電着液であって、前記混合単量体は、下記一般式
    (1)で表される重合性単量体を、その10重量%以上
    含有することを特徴とする電着液。 【化3】 式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素
    数3〜6のアルキル基を表す。
  39. 【請求項39】 色剤は、油溶性染料であることを特徴
    とする請求項38記載の電着液。
  40. 【請求項40】 色剤は、有機顔料であることを特徴と
    する請求項38記載の電着液。
  41. 【請求項41】 色剤は、油溶性染料及び有機顔料であ
    ることを特徴とする請求項38記載の電着液。
  42. 【請求項42】 色剤内包樹脂微粒子は、色剤1〜60
    重量%、ビニル系樹脂40〜99重量%からなることを
    特徴とする請求項38、39、40又は41記載の電着
    液。
  43. 【請求項43】 透明電極を有するカラーフィルター用
    基板を請求項38、39、40、41又は42記載の電
    着液中に浸漬して、通電することにより作製することを
    特徴とするカラーフィルター。
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