JP2002356571A - 交通機関用ワイパーブレードゴム成形体 - Google Patents

交通機関用ワイパーブレードゴム成形体

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JP2002356571A
JP2002356571A JP2001162163A JP2001162163A JP2002356571A JP 2002356571 A JP2002356571 A JP 2002356571A JP 2001162163 A JP2001162163 A JP 2001162163A JP 2001162163 A JP2001162163 A JP 2001162163A JP 2002356571 A JP2002356571 A JP 2002356571A
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JP
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wiper blade
wiping
water
silicone rubber
rubber composition
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Application number
JP2001162163A
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English (en)
Inventor
Nobuyuki Hiruma
信幸 昼間
Masahide Takahashi
昌秀 高橋
Yoshinari Shizukuda
能成 雫田
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Shin Etsu Polymer Co Ltd
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Polymer Co Ltd
Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガラス面に施された撥水性被膜を削り取る作
用が弱く、撥水性被膜の撥水効果を長持ちさせることが
できると共に、静粛摺動性を向上させ、さらに撥水処理
ガラス特有の「白もや現象」を改善した交通機関用ワイ
パーブレードゴム成形体を提供する。 【解決手段】 ワイパー作動時にガラス面6と接触する
ベースゴム成形体の接触部位に、摺動性フィラーを付着
させて払拭表層部7を形成し、該払拭表層部7の平均表
面粗さRαを5μm以下としたことを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラス面に付着し
た雨水、泥水、雪、みぞれ、埃等を払拭して取り除き、
良好な運転視界の確保に好適な交通機関用ワイパーブレ
ード、特には、交通機関用ワイパーブレードゴム成形体
に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車、船舶、飛行機、電車等の各種交
通機関(以下、交通機関の代表として自動車を例に説明
する)のフロントウィンドーやリヤウィンドーに設置さ
れているワイパーは、ガラス面に付着した水滴や埃等を
払拭するワイパーブレードと、ワイパーブレードをガラ
ス面に押し付け往復運動させる力を伝えるワイパーアー
ム、さらにこれを駆動させるためのモーターとワイパー
アームとを繋ぐワイパーリンクから構成されている。こ
のワイパーブレードのガラス面と接触する部分には、主
として天然ゴムが使用され、その他、クロロプレンゴ
ム、スチレン−ブタジエンゴム、EPDM(エチレン−
プロピレン−ジエン共重合体)ゴム、或いは、これらの
ゴムを適宜ブレンドしたものが使用されている。
【0003】最近、雨天時にも良好な運転視界を得る方
法として、ガラス面に撥水剤を塗布して、撥水性被膜を
形成し、ガラス面に付着する雨滴の接触角を90°以上
にする方法が広く利用されている。この撥水性被膜は、
自動車の停止時には雨滴をそれ自体の重力でガラス面か
ら滑り落ち易くし、また、自動車の走行時にはガラス面
上に生じる風力で雨滴を飛散し易くするものであり、ワ
イパーをあまり作動させなくてもかなり良好な視界が得
られる。
【0004】しかし、ガラス面にこのような表面処理を
施した場合でも、より安全な運転のためには、ワイパー
を作動させてガラス面に付着した異物を確実に払拭除去
する必要がある。撥水剤で被覆処理したガラス面は、ワ
イパーを作動させると、表面に形成された撥水性被膜が
ワイパーブレードの往復動作による摩擦によって徐々に
削り取られ、比較的短期間に撥水効果が低下するので、
ガラス面に頻繁に撥水処理を施す必要があった。また、
撥水性被膜が剥がれかけた状態でワイパーを作動させる
と、ワイパーにビビリが生じて円滑に作動しなくなると
いう問題があった。
【0005】このような問題を解決する方法として、本
発明者らは、ワイパーブレードのガラスと接触する部分
にシリコーン化合物を使用することにより、従来のもの
に比べて撥水効果が長持ちして撥水剤塗布処理回数を大
幅に低減させることができ、撥水効果の顕著に改善され
たワイパーを提供しうることを知った(特開平11‐3
21573号公報、特開2000‐160018号公報
参照)。
【0006】しかし、最近、自動車の静粛性への要望が
より強まりつつあり、ワイピング時の静粛性と共に、さ
らなる摺動性の向上が要求されるようになってきた。ま
た、撥水処理ガラス特有の現象である払拭直後に僅かに
ガラス面に残る水が、撥水性被膜の影響を受けて非常に
微細な水玉となり、これがレンズの役割を果たすことで
外光を散乱させ、短時間ではあるが運転者の視界に白い
靄のような状態を生じ、不快な状態を引き起こす(以
下、この現象を「白もや現象」と称する)という課題が
新たに注目され、これに対する改善が要求されるように
なってきた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、ガラス面に施された撥水性被膜を削り取る作用が弱
く、撥水性被膜の撥水効果を長持ちさせることができる
と共に、静粛摺動性を向上させ、さらに撥水処理ガラス
特有の「白もや現象」を改善した交通機関用ワイパーブ
レードゴム成形体を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の交通機関用ワイ
パーブレードゴム成形体は、ワイパー作動時にガラス面
と接触するベースゴム成形体の接触部位に、摺動性フィ
ラーを付着させて払拭表層部を形成し、該払拭表層部の
平均表面粗さRαを5μm以下としたことを特徴として
いる。前記ベースゴム成形体を、少なくとも基体部と先
端に前記接触部位を有するリップ部とからなる構成と
し、該リップ部をシリコーン系ゴム組成物で形成するの
が好ましい。また、摺動性フィラーは、ベースゴム成形
体の表面にシリコーン系ゴム組成物を用いて付着させる
こともでき、粒度分布測定による粒度分布が0.3〜6
0μm、メディアン径が2〜15μmとするのが良く、
その材質としてはグラファイトが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明者らは、上記課題を解決す
るために、特にワイパーブレードゴム成形体に着目して
種々の試作検討を重ねた結果、少なくとも撥水性被膜が
形成されているガラス面と接触する払拭部分を、シリコ
ーン系組成物を成形したワイパーブレードゴム成形体と
し、さらに少なくともこのリップ部の先端部分で、ワイ
パー作動時にウィンドーガラスと接触する部位に、払拭
表層部として摺動性フィラーを単独で或はシリコーン系
ゴム組成物を用いてベースゴム成形体表面に付着させ、
摺動性フィラーの粒度分布を0.3〜60μm、メディ
アン径を2〜15μm、払拭表層部の表面平均粗さRα
を5μm以下とし、さらに、摺動性フィラーをグラファ
イトとすることで摺動性が向上し、撥水被膜を削り取る
作用が小さく、撥水効果を長持ちさせることができ、さ
らに撥水ガラス特有の「白もや現象」を低減できること
を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】ここで言う撥水被膜とは、ウィンドーガラ
ス表面に形成する撥水被膜のことを指している。この撥
水被膜を市販の撥水剤を一例に説明すると、アルコキシ
シラン化合物、より好ましくはトリアルコキシシラン化
合物を用いたものが挙げられる。アルコキシ基は、一般
にメトキシ基或いはエトキシ基が用いられる。また、撥
水に関与する基としては、メチル基やフルオロアルキル
基からなる群より選ばれたものが挙げられる。フルオロ
アルキル基としては、一般式CF3(CF2)nCH2CH2
−で表すことができるが、n=0〜8のものがより好ま
しい。また、アルコキシ基の加水分解を促進し、ガラス
との結合を向上させるために、強酸あるいは強アルカリ
を触媒として用いることもできる。この触媒としては、
塩酸、硝酸、硫酸、芳香族スルホン酸、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウムなどから選択される。溶剤成分とし
ては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イ
ソプロピルアルコールといったアルコール類がよく用い
られている。
【0011】以下、本発明を図面を参照して、詳細に説
明する。図1は、本発明のワイパーブレードゴム成形体
の一例を示す模式的断面図で、図中、1はワイパーブレ
ードゴム成形体で、中間にネック部2を設けた基体部3
とその先端にリップ部4を有し、リップ部4の先端は撥
水性被膜を形成したウィンドーガラスの表面と接触する
払拭部5となっている。6は自動車の撥水性被膜を形成
したウィンドーガラスである。図2は、図1の要部を拡
大して示す模式的断面図で、ベースゴム成形体のリップ
部4先端のエッジ部9に摺動性を向上させる払拭表層部
7が設けられている。このような構成からなるワイパー
ブレードゴム成形体1は、払拭がエッジ部9とエッジ部
9に連続したリップ部4の側面で行われるので、図示の
ように払拭表層部7をリップ部4にエッジ稜線部8から
適当な高さだけ延長して設ける必要がある。
【0012】払拭表層部7の形成は、ベースゴム成形体
をリップ部4の先端である払拭部5側で一体に合わせた
2個の共取りとしたものに、擦りつけ、塗装、ディッピ
ング等の方法を用いて払拭表層部を形成した後に、2個
に切断する手法を用いることが好ましい。つまり、リッ
プ部4の側面部分にのみ払拭表層部7が形成されれば、
払拭性の点から見れば十分である。もっとも、上記共取
り成形品を2個のベースゴム成形体に切断した後に、あ
るいは単品(1個)取り品について、摺動性フィラーをリ
ップ部4に擦りつけ、塗装、ディッピング等の手法で払
拭部5部分をも含めて、払拭表層部7を形成するように
しても差し支えない。また、リップ部4の側面部分から
払拭部5側へ若干入り込むようにして、部分的に払拭表
層部7を形成しても差し支えない。
【0013】本発明は上述したように、ワイパーブレー
ドゴム成形体1のうち、少なくともリップ部4をシリコ
ーン系ゴム組成物で形成し、さらに少なくとも撥水性被
膜を形成したウィンドーガラス6と接触する払拭部位
に、粒度分布測定方法(JISR1629に準拠して測
定)による粒度分布が0.3〜60μm、メディアン粒
径が2〜15μmである粉体を単独で或はシリコーン系
ゴム組成物を用いてベースゴム成形体の表面に付着させ
るものである。
【0014】基体部3を構成する材料は、従来、ワイパ
ーブレードゴム成形体に使用されていた何れの材料も使
用できる。さらに、リップ部4と同質のシリコーン系ゴ
ム、あるいは天然ゴム、クロロプレンゴム、EPDMゴ
ム等の汎用ゴムを使用することもできる。リップ部4を
構成する材料には、シリコーン系ゴム組成物を用いる。
基体部3やリップ部4の硬度は、JIS K6253で
規定されたデュロメータ タイプAで測定したときに、
50〜80度の範囲に調整することが望ましい。ゴム硬
度が50度より低いと、ワイパーブレードゴム成形体1
の形状、特にリップ部4の形状にもよるが、払拭動作時
にガラス面に接触するエッジを含めた先端部が倒れすぎ
て払拭性が悪くなるので好ましくない。一方、ゴム硬度
が80度より高いと、ワイパーブレードゴム成形体1の
形状、特にリップ部4の形状にもよるが、払拭動作時に
ガラス面に接触するエッジを含めた先端部が立ちすぎて
払拭性が悪くなるので好ましくない。
【0015】リップ部4を構成する材料には、シリコー
ン系ゴム組成物に所望により補強充填剤や摺動性を付与
するための添加剤等を加えることができる。むろん、シ
リコーン系ゴム組成物単独でもよい。シリコーン系ゴム
組成物として使用されるシリコーン生ゴムとしては、ジ
メチルシリコーン生ゴム、メチルビニルシリコーン生ゴ
ム、メチルフェニルビニルシリコーン生ゴム、フ口口シ
リコーン生ゴム等が例示される。これらは、必要な特性
を満足できる範囲であれば、一種だけでなく、二種以上
を混合して用いてもよい。
【0016】上記シリコーン系ゴム組成物の強度を向上
させる補強充填剤としては、好ましくは補強性微粉末シ
リカが用いられる。その平均粒径は0.005〜0.03
μmのものが好ましく、重量比で10〜40%になるよ
うに配合することが望ましい。配合比が重量比で10%
より少ないとワイパーブレード用ゴム成形体として必要
な強度が得られなくなり、40%を超えるとワイパーブ
レード用ゴム成形体としてのゴム弾性が得られなくなる
ので好ましくない。シリコーン系ゴム組成物を硬化させ
るには、従来、普通に行われている方法で差し支えない
が、好ましくは、縮合反応または付加反応の何れかによ
る方法である。縮合反応により硬化させる場合の加硫剤
としては、一般に有機過酸化物が用いられ、例えば、ジ
クミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、
2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)
ヘキサン等が挙げられる。
【0017】リップ部4の先端で、撥水性被膜を形成し
たウィンドーガラスと接触する払拭部位の表面には、払
拭性と耐久性を向上させるために、払拭表層部7が形成
される。払拭表層部7は、粉体のみ或は粉体とシリコー
ン系ゴム組成物で形成される。払拭表層部7は、少なく
とも払拭部位の表面に形成する必要があり、ワイパーブ
レードゴム成形体1は、払拭時にエッジ部9とエッジ部
9に連続したリップ部4の側面で払拭するので、払拭表
層部7をリップ部4にエッジ稜線部8から適当な高さだ
け延長して設ける必要がある。
【0018】払拭部位の表面に付着させる粉体として
は、摺動性を従来よりも向上させる目的で使用されるも
ので、その材質は、例えば、グラファイト、マイカ、シ
リカ、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、シリコーン系
樹脂等が挙げられるが、特にグラファイトを用いるのが
望ましい。また、性能さえ満足させることができれば、
単独でも、二種以上の粉体を併用しても構わない。粉体
の形状は、バルク状、鱗片状、球状、多孔質球状、中空
多孔質球状等のものが好ましい。
【0019】球状、多孔質球状、中空多孔質球状の形態
をとるシリカ粉のような場合は、沈降式の粒度分布測定
方法による粒度分布が0.3〜30μm、メディアン径
が2〜15μmであることがより好ましい。粒度分布に
0.3μmよりも小さい粒子があると、粒子間の凝集が
顕著になって取り扱いにくくなり、30μmよりも大き
いものがあると、ワイパーブレードの弾性体としてウィ
ンドーガラス面に設置し、実際に使用した場合、ウィン
ドーガラス面への密着状態が悪くなって、ウィンドーガ
ラス面上の水分を拭き取れずに拭き残しが生じるおそれ
がある。また、上記シリカ粉のメディアン径について
は、メディアン径が2μmより小さいと摺動性を向上さ
せる効果が得られにくくなり、15μmを超えると摺動
性向上の効果は得られるものの、ワイパーブレードの弾
性体としてウィンドーガラス面に設置し、実際に使用し
た場合、ウィンドーガラス面への密着状態が悪くなって
ウィンドーガラス面上の水分を拭き取れずに拭き残しが
生じるおそれがある。
【0020】鱗片状の形態をとるグラファイトのような
場合は、粒度分布測定方法による粒度分布が0.3〜6
0μm、メディアン径が2〜15μmであることがより
好ましい。粒度分布に0.3μmよりも小さな粒子があ
ると、粒子間の凝集が顕著になって取り扱いにくくな
り、また60μmよりも大きいものがあると、ワイパー
ブレードの弾性体としてウィンドーガラス面に設置し、
実際に使用した場合、ウィンドーガラス面への密着状態
が悪くなってウィンドーガラス面上の水分を拭き取れず
に拭き残しが生じるおそれがある。
【0021】ここで、先程の球状、多孔質球状、中空多
孔質球状の形態をとるシリカ粉のような粒子の場合と、
粒子形状が鱗片形状の形態をとるグラファイトのような
粒子の場合とで許容粒径が異なる理由は、粉体の形状の
違いによるものである。すなわち、球状の粉体の場合
は、払拭表層部7形成の際に30μmより大きい粒径の
もの同士が接触すると、粒子形状が球状ということから
粒子間の接触は点接触となる。このため両粉体間に間隙
が生じることになる。使用する粉体は粒度分布を持って
いるため、その間隙により小さい粒径の粉体が入り、間
隙を埋めていくが、30μmより大きいと十分に埋まら
ない場合も生じるため、拭き残しが生じるおそれがあ
り、これ以上の粒径は好ましくない。
【0022】これに対して、粒子形状が鱗片状の形態を
とるグラファイトのような粉体の場合は、払拭表層部7
を形成させるときに、鱗片状の粒子が払拭表層部7の厚
さ方向に魚の鱗が並ぶように積層する形態をとる。ま
た、鱗片状という形状から、球状粒子のように点接触に
よる間隙が生じない。これらの理由から、許容粒径に違
いが生じることになる。
【0023】上述の粉体を払拭部位に付着させるために
シリコーン系ゴム組成物を使用する場合のシリコーン系
ゴム組成物は、硬化後のゴム硬度が、JIS K652
3で規定されたデュロメー夕 タイプAで測定したとき
に40〜70度であることが好ましい。硬化後のゴム硬
度が40度より低いと、満足のいく摺動性が得られなく
なり、また70度より高いと、撥水性被膜を形成したウ
ィンドーガラスの表面に付着した異物で傷つきやすく、
拭きスジとなり易い。このシリコーン系ゴム組成物とし
て使用されるシリコーン生ゴムとしては、ジメチルシリ
コーン生ゴム、メチルビニルシリコーン生ゴム、メチル
フェニルビニルシリコーン生ゴム、フロロシリコーン生
ゴム等が例示される。これらは必要な特性を満足できる
範囲であれば、一種だけでなく、二種以上を混合して用
いてもよい。
【0024】シリコーン系ゴム組成物の強度を向上させ
る補強充填剤としては、好ましくは補強性微粉末シリカ
が用いられる。その平均粒径は0.005〜0.03μm
のものが好ましく、重量比で10〜30%になるように
配合されることが望ましい。配合比が重量比で10%よ
り少ないと十分な補強効果が得られなくなり、30%を
超えると混練・成形等の加工が困難になる。これを硬化
させるには、上述のシリコーン系ゴム組成物を硬化させ
るのと同様であり、縮合反応または付加反応の何れかに
よることもできる。中でも、付加反応で硬化させた方
が、製造工程上の関係から好ましい。
【0025】粉体を付着させて形成した払拭表層部7の
厚さは1〜30μmの範囲で調整するのが望ましい。払
拭表層部7が1μmよりも薄いと、初期の摺動性は満足
しても実使用を考えたときの耐久性が不足するために好
ましくない。また、払拭表層部7が30μmを超える
と、払拭表層部7の被膜強度の低下や払拭性に関わるエ
ッジ稜線部8をシャープに保てず、払拭性が低下するた
めに好ましくない。この払拭表層部7の表面は、表面平
均粗さRαを5μm以下、好ましくは0.3〜5μmと
することが望ましい。Rαが5μmを超えると、摺動性
は良いが、撥水ガラス特有の「白もや現象」が多く発生
するために好ましくない。
【0026】上述した粉体をリップ部4の先端である払
拭部位に付着させる手法の一つとして、ベースゴム成形
体表面の粘着作用やベースゴム成形体表面と上述の粉体
間に生じる静電引力作用の利用が挙げられる。この手法
を利用する場合は、特に粒子形状が鱗片状の形態をとる
グラファイトやマイカ等の粉体で行うことが好ましい。
粉体を付着させるには、縦型・横型・V型・S型といっ
たタンブラーを用いたり、粉体塗装機を用いることがで
きる。ワイパーブレードの弾性体としては、払拭性能を
確保するために、この粉体をベースゴム成形体表面に付
着させた後に、付着面の表面をならす操作が必要にな
る。これには、粉体を付着させた払拭表層部7を刷毛、
ロール、スクレーパー等でしごく方法などで行えばよ
い。
【0027】また、上述の粉体をリップ部4の先端であ
る払拭部位に付着させるのにシリコーン系ゴム組成物を
使用する場合は、成形されたワイパーブレードゴム成形
体1に粉体を上記の方法で付着させてから、シリコーン
系ゴム組成物で被覆して硬化させてもよいし、シリコー
ン系ゴム組成物に粉体を分散させておき、それを成形さ
れたベースゴム成形体の表面に積層してもよい。このと
き、払拭表層部7の厚さを1〜30μmの範囲で調整
し、表面平均粗さRαが5μm以下、好ましくは0.3
〜5μmとなるように調整する。粉体を付着させてから
シリコーン系ゴム組成物で被覆するには、スプレー塗装
やディッピング等の方法を挙げることができる。この場
合には、シリコーン系ゴム組成物をトルエンのような適
当な溶剤を溶媒に用いて適当な濃度に調製してから行わ
れる。
【0028】一方、粉体を分散させたシリコーン系ゴム
組成物で積層する方法としては、トルエンのような適当
な溶剤を溶媒に用いたシリコーン系ゴム組成物溶液中に
粉体を分散させておき、ディッピング、吹きつけ(スプ
レー)、プレス等の方法で積層することができる。この
ときのシリコーン系ゴム組成物と粉体との配合量比を重
量比で25:75〜55:45とするのが好ましい。こ
のシリコーン系ゴム組成物を硬化させるには、150〜
200℃で5〜30分程度の熱処理を行えばよい。
【0029】本発明のワイパーブレードゴム成形体1を
成形するには、圧縮成形、押出成形、射出成形等の方法
から適宜選択することができる。ワイパーブレードの弾
性体が複数の構成材料からなる場合は、複合圧縮成形、
多層押出成形、複合射出成形等の方法を用いることもで
き、また、別個に成形して接合一体化することもでき
る。成形条件は、圧縮成形、射出成形の場合では、成形
性及び生産性の点から、150〜190℃、好ましくは
160〜180℃の範囲で設定することが好ましい。押
出成形の場合は、加硫槽内での滞留時間との兼ね合いも
あるが、一般的には加硫槽内温度を200〜400℃の
範囲に設定する。
【0030】また、有機過酸化物を用いての縮合反応に
より加硫する場合、強制排気式のオーブンで二次加硫を
行うと、成形品中の未反応物が除去されて、機械的強度
等が向上する。二次加硫は、一般的には180〜210
℃の範囲で1〜4時間程度行うことが好ましい。成形品
の取り方は、単品(一個)取り、複数の共取り等、様々な
形態が可能であるが、払拭性の点から、リップ部4の先
端である払拭部5側を一体に合わせた2個の共取りとし
て成形し、後から鋭利な刃物でその中央部を切断する方
法が、エッジ稜線部8を鋭利にできるので好ましい。
【0031】この共取り成形品を切断する方法として
は、成形品の片側から刃物を当てて切断する方法、成形
品の切断面の上下から刃物を当てて切断する方法、引き
切り、押し切り、回転刃による切断等の方法が挙げられ
る。払拭部位は、シャープで直線的なエッジとなるよう
にすることが特に好ましいため、切断に用いる刃物の形
状は任意ではあるが、成形品の切断面の上下から刃物を
当てて切断する方法が好ましい。
【0032】
【実施例】次に、本発明の実施例、比較例を挙げるが、
本発明はこれらに限られるものではない。 (実施例1)シリコーンゴムコンパウンド「KE‐56
1U」(商品名、信越化学工業社製)と「KE‐571
U」(商品名、信越化学工業社製)を1:1でブレンド
し、このブレンド品100重量部に対し、加硫剤「C‐
8」(商品名、信越化学工業社製。化合物名は2,5−ジ
メチル−2,5−ビス(2一ブチルパーオキシ)ヘキサン)
を2重量部添加して二本ロールで十分混練し、適当な厚
さ、長さに分出しした。このシリコーンゴム組成物を用
いて、払拭部側を合わせた共取りの状態で、加熱圧縮成
形法を利用して(処理条件:170℃、4分)、2本1連
のワイパーブレード連接素体を成形し、このワイパーブ
レード連接素体を強制排気式オーブン中で二次加硫(処
理条件:200℃、2時間)を行った。
【0033】次いで、このワイパーブレード連接素体を
「BF‐10A」(商品名、中越黒鉛工業所製。天然黒
鉛。粒度分布測定方法による粒度分布1〜55μm、メ
ディアン径10μm、形状は鱗片状)と共にタンブラー
に入れて撹拌し、ワイパーブレード連接素体表面に該粉
体を付着させた。この後、刷毛でワイパーブレード連接
素体表面上を掃きならし余分に付着した粉体を除去する
と同時にワイパーブレード連接素体表面の表面粗度を整
えた。この時の表面粗さをミツトヨ製のサーフテスター
301型で測定したところ、Rαが1μmであった。こ
のワイパーブレード連接素体を、切断面の上下から回転
刃を当てる方法を用いて切断し、同一のシリコーン系ゴ
ム組成物で形成された2本のワイパーブレードゴム成形
体1を得た。リップ部4を形成するシリコーン系ゴム組
成物の硬化後の硬度は、64度であった。このワイパー
ブレードゴム成形体1に対して、後述する試験を行い、
その評価結果を表1〜3に示した。
【0034】(実施例2)実施例1と同じ材料を用い、
同一条件でワイパーブレード連接素体を成形し、二次加
硫した。次いで、メチルビニルシリコーン系ゴム組成物
(下記に示す[化1]式を一般式とし、メチルビニルシ
ロキサン単位がランダムに含有されている直鎖状シリコ
ーン系ゴム組成物で、重合度(m+n)が7000〜80
00、n/m=99.85/0.15のシリコーン系ゴム
組成物、信越化学工業社製)を3重量%含有するトルエ
ン溶液100重量部に、天然黒鉛「BF‐10A」(商
品名、中越黒鉛工業所製。天然黒鉛。粒度分布測定方法
による粒度分布1〜55μm、メディアン径10μm、
形状は鱗片状)5重量部と白金触媒「CAT‐PL‐2
‐10」(商品名、信越化学工業社製)0.02重量部を
加え、十分攪拌して調製した。
【0035】
【化1】
【0036】この溶液を該ワイパーブレード連接素体に
スプレー塗装し、180℃、10分で熱処理を行った。
この時の塗膜の平均厚さは5μm、平均表面粗さRα
1.2μmであった。熱処理後のワイパーブレード連接
素体を、切断面の上下から回転刃を当てる方法で切断し
て、同一のシリコーン系ゴム組成物で形成された2本の
ワイパーブレードゴム成形体1を得た。リップ部4を形
成するシリコーン系ゴム組成物の硬化後の硬度は、64
度、粉体を付着させるのに用いたシリコーン系ゴム組成
物は、硬化後の硬度が50度であった。このワイパーブ
レードゴム成形体1に対して、後述する試験を行い、そ
の評価結果を表1〜3に示した。
【0037】(実施例3)実施例2と同じ配合、成形法
にてワイパーブレード連接素体を成形し、二次加硫し
た。このワイパーブレード連接素体に実施例2で調製し
た天然黒鉛を含有する溶液をスプレー塗装し、180
℃、10分で熱処理を行った。このワイパーブレード連
接素体の塗膜の平均厚さは20μm、平均表面粗さRα
が1.8μmであった。次に、このワイパーブレード連
接素体を、切断面の上下から回転刃を当てる方法で切断
して、同一のシリコーン系ゴム組成物で形成された2本
のワイパーブレードゴム成形体1を得た。リップ部4を
形成するシリコーン系ゴム組成物の硬化後の硬度は、6
4度、粉体を付着させるのに用いたシリコーン系ゴム組
成物は、硬化後の硬度が50度であった。このワイパー
ブレードゴム成形体1に対して、後述する試験を行い、
その評価結果を表1〜3に示した。
【0038】(実施例4)実施例2と同じ配合、成形法
にてワイパーブレード連接素体を成形し、二次加硫し
た。このワイパーブレード連接素体に実施例2で調製し
た天然黒鉛を含有する溶液をスプレー塗装し、180
℃、10分で熱処理を行った。このワイパーブレード連
接素体の塗膜の平均厚さは30μm、平均表面粗さRα
が2.2μmであった。次に、このワイパーブレード連
接素体を、切断面の上下から回転刃を当てる方法で切断
して、同一のシリコーン系ゴム組成物で形成された2本
のワイパーブレードゴム成形体1を得た。リップ部4を
形成するシリコーン系ゴム組成物の硬化後の硬度は、6
4度、粉体を付着させるのに用いたシリコーン系ゴム組
成物は、硬化後の硬度が50度であった。このワイパー
ブレードゴム成形体1に対して、後述する試験を行い、
その評価結果を表1〜3に示した。
【0039】(実施例5)シリコーンゴムコンパウンド
「KE‐561U」(商品名、信越化学工業社製)100
重量部に、平均粒径が3μmの珪藻土5重量部を添加
し、ニーダーで十分混練した。このコンパウンドに加硫
剤「C‐8」(商品名、信越化学工業社製。化合物名は
2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−ブチルパーオキシ)
ヘキサン)を2重量部と、顔料「KE‐Color‐C
B」(商品名、信越化学工業社製。)を0.5重量部を添
加して二本ロールで十分混練し、適当な厚さ、長さに分
出しした。このシリコーンゴム組成物を用いて、払拭部
側を合わせた共取りの状態で、加熱圧縮成形法を利用し
て(処理条件:170℃、4分)、2本1連のワイパーブ
レード連接素体を成形し、このワイパーブレード連接素
体を強制排気式オーブン中で二次加硫(処理条件:200
℃、2時間)を行った。
【0040】次いで、このワイパーブレード連接素体を
「BF‐5A」(商品名、中越黒鉛工業所製。天然黒
鉛。粒度分布測定方法による粒度分布1〜25μm、メ
ディアン径5μm、形状は鱗片状)と共にタンブラーに
入れて撹拌し、ワイパーブレード連接素体表面に該粉体
を付着させた。この後、刷毛でワイパーブレード連接素
体表面上を掃きならし余分に付着した粉体を除去すると
同時にワイパーブレード連接素体表面の表面粗度を整え
た。この時の表面粗さをミツトヨ製のサーフテスター3
01型で測定したところ、平均表面粗さRαは0.8μ
mであった。
【0041】このワイパーブレード連接素体を、切断面
の上下から回転刃を当てる方法を用いて切断し、同一の
シリコーン系ゴム組成物で形成された2本のワイパーブ
レードゴム成形体1を得た。リップ部4を形成するシリ
コーン系ゴム組成物の硬化後の硬度は、63度であっ
た。このワイパーブレードゴム成形体1に対して、後述
する試験を行い、その評価結果を表1〜3に示した。
【0042】(実施例6)実施例5と同じ配合、成形法
にてワイパーブレード連接素体を成形し、二次加硫し
た。次いで、実施例2の溶液調製において「BF‐10
A」を「BF‐5A」に代えた以外は同様にして溶液調
製を行った。この溶液を該ワイパーブレード連接素体に
スプレー塗装し、180℃、10分で熱処理を行った。
この時の塗膜の平均厚さは5μm、平均表面粗さRα
0.8μmであった。熱処理後のワイパーブレード連接
素体を、切断面の上下から回転刃を当てる方法で切断し
て、同一のシリコーン系ゴム組成物で形成された2本の
ワイパーブレードゴム成形体1を得た。リップ部4を形
成するシリコーン系ゴム組成物の硬化後の硬度は、63
度、粉体を付着させるのに用いたシリコーン系ゴム組成
物は、硬化後の硬度が50度であった。このワイパーブ
レードゴム成形体1に対して、後述する試験を行い、そ
の評価結果を表1〜3に示した。
【0043】(実施例7)実施例6と同じ配合、成形法
にてワイパーブレード連接素体を成形し、二次加硫し
た。このワイパーブレード連接素体に実施例6で調製し
た天然黒鉛を含有する溶液をスプレー塗装し、180
℃、10分で熱処理を行った。この時の塗膜の平均厚さ
は20μm、平均表面粗さRαが1.3μmであった。
熱処理後のワイパーブレード連接素体を、切断面の上下
から回転刃を当てる方法で切断して、同一のシリコーン
系ゴム組成物で形成された2本のワイパーブレードゴム
成形体1を得た。リップ部4を形成するシリコーン系ゴ
ム組成物の硬化後の硬度は、63度、粉体を付着させる
のに用いたシリコーン系ゴム組成物は、硬化後の硬度が
50度であった。このワイパーブレードゴム成形体1に
対して、後述する試験を行い、その評価結果を表1〜3
に示した。
【0044】(実施例8)実施例6と同じ配合、成形法
にてワイパーブレード連接素体を成形し、二次加硫し
た。このワイパーブレード連接素体に実施例6で調製し
た天然黒鉛を含有する溶液をスプレー塗装し、180
℃、10分で熱処理を行った。この時の塗膜の平均厚さ
は30μm、平均表面粗さRαが1.8μmであった。
熱処理後のワイパーブレード連接素体を、切断面の上下
から回転刃を当てる方法で切断して、同一のシリコーン
系ゴム組成物で形成された2本のワイパーブレードゴム
成形体1を得た。リップ部4を形成するシリコーン系ゴ
ム組成物の硬化後の硬度は、63度、粉体を付着させる
のに用いたシリコーン系ゴム組成物は、硬化後の硬度が
50度であった。このワイパーブレードゴム成形体1に
対して、後述する試験を行い、その評価結果を表1〜3
に示した。
【0045】(実施例9)実施例5と同じ配合、成形法
にてワイパーブレード連接素体を成形し、二次加硫し
た。次いで、実施例2記載のメチルビニルシリコーン系
ゴム組成物(信越化学工業社製)を3重量%含有するトル
エン溶液100重量部に、天然黒鉛「BF‐5A」(商
品名、前出)2.5重量部と白金触媒「CAT‐PL‐2
‐10」(商品名、信越化学工業社製)0.02重量部を
加え、十分撹拌して調製した。この溶液を該ワイパーブ
レード連接素体にスプレー塗装し、180℃、10分で
熱処理を行った。この時の塗膜の平均厚さは20μm、
平均表面粗さRαが1.0μmであった。熱処理後のワ
イパーブレード連接素体を、切断面の上下から回転刃を
当てる方法で切断して、同一のシリコーン系ゴム組成物
で形成された2本のワイパーブレードゴム成形体1を得
た。リップ部4を形成するシリコーン系ゴム組成物の硬
化後の硬度は、63度、粉体を付着させるのに用いたシ
リコーン系ゴム組成物は、硬化後の硬度が50度であっ
た。このワイパーブレードゴム成形体1に対して、後述
する試験を行い、その評価結果を表1〜3に示した。
【0046】(実施例10)実施例5と同じ配合、成形
法にて2本一連のワイパーブレード連接素体を成形し、
このワイパーブレード連接素体を強制排気式オーブン中
で二次加硫(処理条件:200℃、2時間)を行った。
次いで、このワイパーブレード連接素体を「ゴッドボー
ルE‐16C」(商品名、鈴木油脂工業社製。多孔質球
状シリカ。粒度分布測定法による粒度分布0.5〜18
μm、メディアン径4〜6μm)と共にタンブラーに入
れて攪拌し、ワイパーブレード連接素体の表面に該粉体
を付着させた。この後、刷毛でワイパーブレード連接素
体の表面を掃きならし、余分に付着した粉体を除去する
と同時にワイパーブレード連接素体の表面粗度を整え
た。このときの表面粗さをミツトヨ製のサーフテスター
301型で測定したところ、平均表面粗さRαは1.2
μmであった。このワイパーブレード連接素体を、切断
面の上下から回転刃を当てる方法を用いて切断し、同一
のシリコーン系ゴム組成物で形成された2本のワイパー
ブレードゴム成形体1を得た。リップ部4を形成するシ
リコーン系ゴム組成物の硬化後の硬度は、63度であっ
た。このワイパーブレードゴム成形体1に対して、後述
する試験を行い、その評価結果を表1〜3に示した。
【0047】(実施例11)実施例5と同じ配合、成形
法にて2本一連のワイパーブレード連接素体を成形し、
このワイパーブレード連接素体を強制排気式オーブン中
で二次加硫(処理条件:200℃、2時間)を行った。
次いで、実施例2記載のメチルビニルシリコーン系ゴム
組成物(信越化学工業社製)を3重量%含有するトルエ
ン溶液100重量部に、「ゴッドボールE‐16C」
(商品名、前出)と顔料「K‐color‐BK‐0
2」(商品名、信越化学工業社製)各2重量部、及び白
金触媒「CAT‐PL‐2‐10」(商品名、信越化学
工業社製)0.02重量部とを加え、十分攪拌して溶液を
調製した。この溶液をワイパーブレード連接素体にスプ
レー塗装し、180℃、10分で熱処理を行った。この
ときの塗膜の平均厚さは20μm、平均表面粗さRα
2.5μmであった。このワイパーブレード連接素体
を、切断面の上下から回転刃を当てる方法を用いて切断
し、同一のシリコーン系ゴム組成物で形成された2本の
ワイパーブレードゴム成形体1を得た。リップ部4を形
成するシリコーン系ゴム組成物の硬化後の硬度は、63
度であった。このワイパーブレードゴム成形体1に対し
て、後述する試験を行い、その評価結果を表1〜3に示
した。
【0048】(比較例1)天然ゴム製の市販ワイパーブ
レード(日本ワイパーブレード社製) を用いて実施例1
と同様の試験を行った。評価結果を表1〜3に示した。
【0049】(比較例2)市販の天然ゴム製の撥水ガラ
ス用ワイパーブレード(PIAA社製)を用いて実施例1
と同様の試験を行った。評価結果を表1〜3に示した。
【0050】(比較例3)実施例1のシリコーン系ゴム
組成物を用いて、成形、二次成形、切断の各工程を実施
例1と同様に行い、2本のワイパーブレードの弾性体を
得た。ただし、払拭表層部の形成は何も行わなかった。
リップ部4を形成するシリコーン系ゴム組成物の硬化後
の硬度は、64度であった。このワイパーブレードゴム
成形体1を用いて、実施例1と同様の試験を行い、その
評価結果を表1〜3に示した。
【0051】(比較例4)実施例1において粉体として
「ゴッドボールE‐2C」(商品名、鈴木油脂工業社
製。多孔質シリカ。粒度分布測定法による粒度分布0.
5〜30μm、メディアン径1.0μm、形状は球状)を
使用したこと以外は、実施例1と同様にして2本のワイ
パーブレード弾性体を得た。リップ部4を形成するシリ
コーン系ゴム組成物の硬化後の硬度は、64度であっ
た。このワイパーブレードゴム成形体1に対して、実施
例1と同様の試験を行い、その評価結果を表1〜3に示
した。
【0052】(比較例5)実施例3において、粉体とし
て「ゴッドボールE‐2C」(商品名、前出)を使用した
こと以外は、実施例3と同様にして2本のワイパーブレ
ードゴム成形体を得た。このワイパーブレードゴム成形
体の塗膜の平均厚さは20μm、平均表面粗さRα
1.0μmであった。このワイパーブレードゴム成形体1
に対して、後述する試験を行い、その評価結果を表1〜
3に示した。
【0053】(評価試験1:摺動性試験)JIS D5
710に規定される払拭性能および払拭耐久性能を評価
する際に用いられる試験装置に準拠した試験装置を使用
して、この試験装置のガラス面を撥水処理剤「ぬりぬり
ガラコ」(商品名、ソフト99コーポレーション製。シ
ラン化合物)で処理し、1日放置した。その後、ワイパ
ーブレードを取り付け、無水の状態、および500ミリ
リットル/分の水をガラス面にほぼ均一に噴霧し、散水
した状態で作動させたときのそれぞれの動作電流値を、
比較例1の市販の天然ゴム製ワイパーブレードの値を1
00としたときの指数で示し、摺動性を評価した。この
試験の結果を表1に示す。この試験の場合、数値が小さ
い方が動作電流値が低く、摺動性が良いことを表す。
【0054】(評価試験2:払拭性試験)評価試験1の
試験装置を使用し、この試験装置のガラス面を撥水処理
剤「ぬりぬりガラコ」(前出)で処理し、1日放置した。
その後、ワイパーブレードを取り付け、家庭用シャワー
ホースを使用してガラス面に水を適量かけた状態で、ワ
イパーブレードを作動させ、拭き残しや撥水ガラス特有
の「白もや」の状態を確認した。この試験の結果を表2
に示す。 [払拭性の評価基準] ○: 払拭性良好/「白もや現象」の発生少ない。 △: 払拭性普通。 ×: 払拭性悪い/「白もや現象」の発生多い。
【0055】(評価試験3:撥水被膜の耐久性試験)評
価試験1の試験装置を使用し、この試験装置のガラス面
を撥水処理剤「ぬりぬりガラコ」(前出)で処理し、1日
放置した。その後、ワイパーブレードを取り付け、50
0ミリリットル/分の水をガラス面にほぼ均一に噴霧し
た状態で、ワイピング速度40回/分で作動させた。所
定の作動回数ごとにその時の撥水被膜の状態及び撥水状
態を下記の評価基準で観察した。この試験の結果を表3
に示す。 [撥水被膜の耐久性の評価基準] ○:被膜の剥がれなし/良好な撥水性能を保つ。 △:被膜の剥がれがワイパー作動面積中の20%以下/
撥水性能やや落ちる。 ×:被膜の剥がれがワイパー作動面積中の20%より大
/撥水性能悪い。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】表1乃至表3の試験結果から明らかなよう
に、本発明の実施例では、払拭性能および耐久試験の何
れの結果も好ましいものであるが、比較例では、払拭性
能および耐久試験の何れか、または両方の結果が本発明
のものよりも劣っている。
【0060】
【発明の効果】本発明の交通機関用ワイパーブレードゴ
ム成形体は、先端部分のガラスと接触する払拭部位に、
払拭表層部として微細粉体を付着させた粉体層が形成さ
れているので、ガラス面に長期間繰り返し払拭運動を行
っても、ガラス表面に塗布形成させた撥水被膜を削り取
る作用が極めて弱く、撥水被膜の撥水効果を長期に渡っ
て安定に保持することができ、しかも摺動の際の静粛性
が顕著に改善され、優れた実用性を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のワイパーブレードゴム成形体の一例
を示す模式的断面図である。
【図2】 図1の要部を拡大して示す模式的断面図であ
る。
【符号の説明】
1.ワイパーブレードゴム成形体 2.ネック部 3.基体部 4.リップ部 5.払拭部 6.ウィンドーガラス(ガラス面) 7.払拭表層部 8.エッジ稜線部 9.エッジ部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 雫田 能成 埼玉県さいたま市吉野町1丁目406番1 信越ポリマー株式会社東京工場内 Fターム(参考) 3D025 AA01 AC01 AD01 AE12 4F006 AA04 AB39 AB72 BA02 BA09 BA11 CA04 DA02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワイパー作動時にガラス面と接触するベ
    ースゴム成形体の接触部位に、摺動性フィラーを付着さ
    せて払拭表層部を形成し、該払拭表層部の平均表面粗さ
    αを5μm以下としたことを特徴とする交通機関用ワ
    イパーブレードゴム成形体。
  2. 【請求項2】 前記ベースゴム成形体を、少なくとも基
    体部と先端に前記接触部位を有するリップ部とからなる
    構成とし、該リップ部がシリコーン系ゴム組成物で形成
    されている請求項1に記載の交通機関用ワイパーブレー
    ドゴム成形体。
  3. 【請求項3】 前記摺動性フィラーを、ベースゴム成形
    体の表面にシリコーン系ゴム組成物を用いて付着させた
    請求項1または2に記載の交通機関用ワイパーブレード
    ゴム成形体。
  4. 【請求項4】 前記摺動性フィラーが、粒度分布測定に
    よる粒度分布が0.3〜60μm、メディアン径が2〜
    15μmである請求項1乃至3のいずれかに記載の交通
    機関用ワイパーブレードゴム成形体。
  5. 【請求項5】 前記摺動性フィラーが、グラファイトで
    ある請求項1乃至4のいずれかに記載の交通機関用ワイ
    パーブレードゴム成形体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016215848A (ja) * 2015-05-21 2016-12-22 株式会社ミツバ ブレードラバー

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