JP2016215848A - ブレードラバー - Google Patents

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Abstract

【課題】非ジエン系のゴム材料よりなるブレードラバーであっても、その表面に形成する硬化層を剥離し難くして、長期に亘り良好な払拭性能を維持する。【解決手段】ブレードラバーを非ジエン系のゴム材料であるEPDMにより形成し、ブレードラバーのリップ部22の側面22aにグラフト重合反応により硬化層HCを形成し、当該硬化層HCは、表面から内部に向かうにつれて徐々に硬度が低くなる硬度変化領域を備えている。よって、硬化層HCをEPDMに対して徐々に浸透させるように設けることができ、EPDMと硬化層HCとの間の明確な境界を無くすことができる。硬化層HCとEPDMとを互いに剥離し難くすることができ、かつブレードラバーの柔軟性を損ねることも無い。したがって、長期に亘って良好な払拭性能を維持することが可能となる。【選択図】図6

Description

本発明は、払拭面を払拭するブレードラバーに関する。
従来、自動車等の車両にはワイパ装置が設けられている。ワイパ装置は、フロントガラスやリヤガラス等の払拭面に付着した付着物を払拭するブレードラバーを備えている。そして、運転者等によりワイパスイッチが操作されるとワイパ装置が駆動され、これにより払拭面上をブレードラバーが揺動する。よって、払拭面に付着した雨水や埃等の付着物が払拭されて、運転者等の視界が確保される。
ブレードラバーの材料には、天然ゴム(NR)やクロロプレンゴム(CR)等のジエン系ゴムが一般的に用いられている。ジエン系ゴムは、ゴム成分の主鎖に二重結合を持つため、当該二重結合の部分を起点に劣化が生じ易くなっている。具体的には、ブレードラバーの実際の使用環境において、オゾンや熱さらには紫外線により劣化し易く、ライフサイクルが短いといった問題がある。そこで、老化防止剤を添加することも行われるが、この場合には、当該老化防止剤がボディの塗膜に移行して、ボディにシミを生じさせることが起こり得る。
また、ブレードラバーには、当該ブレードラバーと払拭面との摩擦係数を下げるために、ブレードラバーに塩素処理を施すことが一般的に行われている。このようにブレードラバーに塩素処理を施すことで、ブレードラバーの表面に硬化層が形成され、ひいてはブレードラバーと払拭面との摩擦係数が低下する。よって、払拭面上においてブレードラバーがスムーズに動作可能となる。
上述のように、ジエン系ゴムの耐老化性,耐オゾン性および耐候性(耐劣化性)が低いことに対して、この課題を解消し得る技術が、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された技術では、ゴム成分の主鎖に二重結合を持たない非ジエン系ゴムであるエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合ゴム(EPDM)等を、ブレードラバーの材料に用いている。これにより、ブレードラバーの実際の使用環境において、オゾンや熱さらには紫外線による劣化を防ぎ、かつ老化防止剤の添加を不要としてボディにシミを生じさせることも無くなる。
特表2008−500415号公報
しかしながら、上述の特許文献1に記載された技術では、非ジエン系ゴムの優れた耐劣化性のために、ジエン系ゴムのブレードラバーで行われている塩素処理を、非ジエン系ゴムのブレードラバーにそのまま適用するのが難しい。そこで、より容易にブレードラバーと払拭面との摩擦係数を下げるために、例えば、黒鉛(Graphite)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の固体潤滑剤として機能する微粒子を配合した皮膜を、ブレードラバーの表面に形成することが考えられる。
ところがこの場合には、非ジエン系ゴムの表面は不活性であるため、当該非ジエン系ゴムの表面と皮膜との間に十分な密着性を得るのが難しく、ブレードラバーの実際の使用環境において皮膜が剥離し易く、低摩擦効果が早期に失われるという問題を生じ得る。さらには、根本的な問題として、皮膜を形成する微粒子によって、払拭面上に拭き筋(拭き残し)が生じ易くなるという問題もある。
本発明の目的は、非ジエン系のゴム材料よりなるブレードラバーであっても、その表面に形成する硬化層を剥離し難くして、長期に亘り良好な払拭性能を維持することができるブレードラバーを提供することにある。
本発明の一態様では、ホルダに保持されるヘッド部と、払拭面を払拭するリップ部と、前記ヘッド部と前記リップ部とを連結するネック部と、を備えたブレードラバーであって、前記ブレードラバーは、非ジエン系のゴム材料により形成され、前記ブレードラバーの少なくとも前記リップ部の表面に、グラフト重合反応により硬化層が形成され、前記硬化層は、表面から内部に向かうにつれて徐々に硬度が低くなる硬度変化領域を有する。
本発明の他の態様では、前記硬化層の表面硬さが2Mpa〜9Mpaである。
本発明の他の態様では、前記払拭面が乾燥した状態での前記硬化層の表面の動摩擦係数が0.95以下である。
本発明の他の態様では、前記硬化層の表面粗さが10μm以下である。
本発明の他の態様では、前記硬化層は、表面から内部への深さ寸法が1μmの範囲に、硬度が一定の硬度一定領域を備え、前記深さ寸法が1μmを超えると前記硬度変化領域となり、最終的にグラフト重合反応をさせていない前記ゴム材料そのものの硬さと等しくなる硬さ分布を有している。
本発明の他の態様では、前記硬化層は、前記ゴム材料の表面に放射線を照射して生成されたラジカル活性点にモノマーを重合させて形成され、前記モノマーが、カルボニル基(C=O)を含有する重合性モノマーである。
本発明の他の態様では、前記ブレードラバーは、軟化された前記非ジエン系のゴム材料を押し出し成形することで形成される。
本発明によれば、ブレードラバーは、非ジエン系のゴム材料により形成され、ブレードラバーの少なくともリップ部の表面に、グラフト重合反応により硬化層が形成され、硬化層は、表面から内部に向かうにつれて徐々に硬度が低くなる硬度変化領域を有する。
これにより、硬化層をゴム材料に対して徐々に浸透させるように設けることができ、ゴム材料と硬化層との間の明確な境界を無くすことができる。よって、硬化層とゴム材料とを互いに剥離し難くすることができ、かつブレードラバーの柔軟性を損ねることも無い。したがって、長期に亘って良好な払拭性能を維持することが可能となる。
本発明に係るブレードラバーを備えたワイパブレードを示す斜視図である。 図1のA−A線に沿う断面図である。 (a),(b)は、それぞれ図1に示す第1,第2保持部の詳細を説明する説明図である。 (a),(b),(c),(d)は、図2のブレードラバーの製造手順を示すフローチャート図である。 (a),(b)は、それぞれ電子線の照射処理の反応形態を説明する説明図である。 (a)は薄肉の硬化層(硬度一定領域)を形成した場合の断面を示す顕微鏡写真であり、(b)は(a)を模式的に示した図である。 (a)は肉厚の硬化層(硬度一定領域)を形成した場合の断面を示す顕微鏡写真であり、(b)は(a)を模式的に示した図である。 電子線の加速電圧[kV]の大きさに応じて、電子線の浸透深さ[μm]が調整されることを説明するグラフである。 表面硬さ[Mpa]と表面粗さ[μm]との関係を示すグラフである。 表面硬さ[Mpa]と動摩擦係数との関係を示すグラフである。 サンプルNo.1〜No.9における電子線の照射状態および硬化層の形成状態を比較した表である。
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明に係るブレードラバーを備えたワイパブレードを示す斜視図を、図2は図1のA−A線に沿う断面図を、図3(a),(b)はそれぞれ図1に示す第1,第2保持部の詳細を説明する説明図を、それぞれ示している。
図1に示すように、自動車等の車両10の前方側には、払拭面としてのフロントガラス11が設けられている。フロントガラス11上には、ワイパブレード12が揺動自在に設けられている。ワイパブレード12は、車両10に揺動自在に設けたワイパアーム13の先端部に装着されている。これにより、運転者等がワイパスイッチ(図示せず)を操作することで、ワイパモータ(図示せず)が駆動されてワイパアーム13が揺動する。これに伴い、ワイパブレード12がフロントガラス11上の所定の払拭範囲を払拭する。
ワイパブレード12は、フロントガラス11の表面に接触するブレードラバー20と、当該ブレードラバー20を保持するラバーホルダ(ホルダ)30と、を備えている。また、ラバーホルダ30の長手方向両側には、ブレードラバー20を覆い隠す一対のカバー部材31が装着されている。これにより、ワイパブレード12の全体の見栄えを良くしている。
図2に示すように、ブレードラバー20は、断面が略矩形とされたヘッド部21と、フロントガラス11を払拭するリップ部22と、ヘッド部21とリップ部22とを連結するネック部23と、を備えた長手方向に略一様の断面の棒状に形成されている。そして、リップ部22の先端部が、フロントガラス11の表面に接触するようになっている。ネック部23は、ヘッド部21やリップ部22に対して払拭方向に沿う幅寸法が小さくなっている。これにより、リップ部22は、ヘッド部21に対して、払拭方向に傾動自在に連結されている。
ヘッド部21とネック部23との間には、ブレードラバー20の払拭方向に沿う両側にそれぞれ開口され、かつブレードラバー20の長手方向に延在された保持溝24が設けられている。また、ヘッド部21には、ブレードラバー20払拭方向に沿う両側にそれぞれ開口され、かつブレードラバー20の長手方向に延在された装着溝21aが設けられている。そして、一対の装着溝21aには、バーティブラ(板ばね)25がそれぞれ装着されている。
バーティブラ25は、鋼板等の板材を打ち抜き加工することで、ブレードラバー20と同程度の長さ寸法の平板状に形成され、フロントガラス11に対して垂直方向に弾性変形自在となっている。つまり、バーティブラ25が装着されたブレードラバー20は、バーティブラ25と一体となって、フロントガラス11の曲率に合わせて弾性変形自在となっている。また、バーティブラ25は、自然状態においては、フロントガラス11の曲率よりも強く湾曲されている。したがって、リップ部22の先端部をフロントガラス11に接触させると、リップ部22の長手方向に沿う略全域がフロントガラス11の表面に密着される。
なお、本実施の形態では、バーティブラ25を鋼板等の板材により形成したが、これに限らず、例えば、硬質の樹脂等によりバーティブラを形成しても構わない。要するに、フロントガラス11に対して垂直方向に弾性変形自在なばね部材であれば、その材質や形状は問わない。
図2に示すように、ラバーホルダ30は、プラスチック等の樹脂材料により断面が略U字形状に形成されている。また、ラバーホルダ30の長さ寸法は、図1に示すように、ブレードラバー20の略半分程度となっている。ラバーホルダ30は、その長手方向に延びる天壁部30aと、当該天壁部30aの短手方向両側からフロントガラス11に向けて延びる一対の側壁部30bと、を備えている。そして、ブレードラバー20は、その略中間部分がラバーホルダ30の内側に配置され、ラバーホルダ30によって覆われており、ブレードラバー20のリップ部22のみが、ラバーホルダ30の外側に露出された状態となっている。
また、図1に示すように、一方の側壁部30bの長手方向に沿う略中間部分には、取付部30cが設けられている。この取付部30cには、ワイパアーム13の先端部分が回動自在に装着される。さらに、天壁部30aにはフィン30dが一体に設けられ、これにより、ワイパブレード12の空力特性を向上させている。具体的には、フィン30dは、走行風によってワイパブレード12が浮き上がるのを抑制するようになっている。
図1に示すように、ラバーホルダ30の長手方向一側、つまりワイパブレード12の揺動中心に近い側には、第1保持部32が設けられている。より具体的には、第1保持部32は、図3(a)に示すように、一対の保持爪33(図示では手前側の一方のみを示す)を備えている。これらの保持爪33は、ブレードラバー20の長手方向と直交する方向に互いに対向して設けられ、ブレードラバー20の保持溝24に入り込める突起となっている。そして、一対の保持爪33が一対の保持溝24にそれぞれ係合することで、ヘッド部21がラバーホルダ30に保持される。
また、ブレードラバー20の保持溝24には、保持爪33をブレードラバー20の長手方向両側から挟む一対のストッパ部34a,34bがそれぞれ設けられている。これらのストッパ部34a,34bにより保持爪33を挟むことで、ブレードラバー20のラバーホルダ30に対する長手方向への移動が規制される。つまり、保持爪33および一対のストッパ部34a,34bは、ラバーホルダ30に対するブレードラバー20の位置決めを行っている。
図1に示すように、ラバーホルダ30の長手方向他側、つまりワイパブレード12の揺動中心から遠い側には、第2保持部35が設けられている。より具体的には、第2保持部35は、図3(b)に示すように、断面が略矩形に形成された一対の保持爪36(図示では手前側の一方のみを示す)を備えている。これらの保持爪36は、一対の保持溝24にそれぞれ係合し、これによりヘッド部21を保持している。また、保持爪36が係合する部分では、ブレードラバー20にはストッパ部は設けられておらず、保持爪36は保持溝24に沿って移動自在となっている。つまり、ブレードラバー20は、第2保持部35の部分においては、ラバーホルダ30に対してその長手方向に移動自在に保持されている。
このように、このワイパブレード12では、ラバーホルダ30の長手方向の両端に第1保持部32および第2保持部35を設け、これらの第1,第2保持部32,35の2箇所においてブレードラバー20を保持している。したがって、ワイパアーム13からの押圧力が、取付部30cを介してラバーホルダ30に伝わると、その押圧力はラバーホルダ30の第1,第2保持部32,35からブレードラバー20に加えられる。これにより、ブレードラバー20は、フロントガラス11に対して弾性的に接触される。
次に、以上のように形成したブレードラバー20の製造手順について、図面を用いて詳細に説明する。
図4(a),(b),(c),(d)は図2のブレードラバーの製造手順を示すフローチャート図を示している。
図4(a),(b),(c),(d)に示すように、ブレードラバー20は、当該ブレードラバーとなるワークを押し出し成形する工程,ワークに放射線を照射してラジカル活性点を生成する工程,ラジカル活性点を起点としてグラフト重合反応によりモノマーを結合させる工程,ワークのリップ部に相当する部分を長手方向に切断する工程を経て製造される。
[ワークを押し出し成形する工程]
図4(a)に示す作業では、非ジエン系のゴム材料を用いて、ブレードラバー20となるワークWを押し出し成形により形成する。具体的には、本実施の形態においては、非ジエン系のゴム材料として、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合ゴム(EPDM)を採用している。そして、このEPDMよりなるゴム材料を成形金型の穴(図示せず)に所定圧で圧送する。これにより、断面形状が一様の長尺のワークW(図5参照)が連続して形成されていく。
その後、成形金型を通過したワークWを、加熱装置(図示せず)を通過させることで加硫または架橋させる。これにより、後にブレードラバー20となるワークWの成形が完了する。ここで、成形金型により形成されたワークWは、図5に示すような形状となっている。すなわち、基準線BL(図中一点鎖線)を境界に、リップ部22の先端部を突き合わせた形状となっている。よって、1回の押し出し成形で2本のブレードラバー20を得ることができ、製造効率の向上が図られている。
ここで、ワークWに用いられる非ジエン系のゴム材料としては、上述のようなEPDMの他に、例えば、フッ素ゴム(FKM),エチレン−プロピレン共重合ゴム(EPM),シリコーンゴム(Q),エピクロルヒドリンゴム(CO,ECO),ウレタンゴム(U)などが挙げられる。これらは、1種類を単独で用いても良いし、2種類以上をブレンドして用いても良い。
また、これらのゴム材料には、加硫剤(架橋剤),加硫促進助剤,軟化剤,老化防止剤,充填剤,シランカップリング剤,シリカ,カーボンブラック等の通常知られた添加剤を配合しても良い。
ただし、自動車等の車両10(図1参照)に用いられるブレードラバー20のゴム材料としては、耐老化性,耐オゾン性および耐候性(耐劣化性)に優れ、かつ加硫がし易く、容易に弾性限界を大きくできるEPDMを用いるのが望ましい。
[ワークに放射線を照射してラジカル活性点を生成する工程]
図4(b)に示す作業では、押し出し成形により形成されたワークWの表面に、放射線を照射してラジカル活性点を生成する。具体的には、本実施の形態においては、放射線の一種である、人工的に電子を加速してビームとして利用する電子線(Electron Beam)を用いている。この電子線が持つエネルギーを利用して、後述のようなグラフト重合反応をさせている。
ここで、放射線の照射処理としては、上述のような電子線の照射処理の他に、例えば、α線,β線,γ線,X線の照射処理等が挙げられる。要するに、活性化を誘引する放射線の照射処理を行うようにする。ただし、汎用の電気製品の取り扱いと同様に、必要なときに「オン(ON)」にして、かつ不要なときに「オフ(OFF)」に容易にできる電子線照射装置(図示せず)を用いるのが望ましい。これにより、照射処理の効率を大幅に向上させ、製造コストの低減を実現できる。
[ラジカル活性点を起点としてグラフト重合反応によりモノマーを結合させる工程]
図4(b)のような電子線の照射処理を施すことで、ワークWの表面およびある程度の深さ部分に、ラジカル活性点が生成される。すなわち、図4(c)に示す作業では、ラジカル活性点が起点となってグラフト重合反応が進行する。
ここで、グラフト重合反応の形態について、図5(a),(b)を用いて詳細に説明する。
図5(a),(b)はそれぞれ電子線の照射処理の反応形態を説明する説明図を示している。
図5(a),(b)においては、基準線BLを境界に切断する前の段階のワークWにおけるリップ部22の部分のみを示している。図5(a),(b)に示すように、生成するラジカル活性点(図中黒点)を起点としてグラフト重合反応を促進させる電子線の照射処理としては、以下の2つの方法が挙げられる。
[第1の方法]
第1の方法は、図5(a)に示すように、EPDMよりなるワークWの表面に電子線を照射してラジカル活性点を生成した後に、ワークWのリップ部22となる部分の表面に反応物質(モノマー)(図中白点)を付着させる工程を経て、グラフト重合反応により反応物質(モノマー)を結合させる処理である。すなわち、予め電子線の照射処理をしてワークWの表面にラジカル活性点を生成しておく、所謂「前照射処理」となっている。
この「前照射処理」では、電子線の照射処理およびグラフト重合反応を、いずれも窒素雰囲気中で行うのが望ましい。また、「前照射処理」の吸収線量[kGy]は、脱酸素状態で50kGy〜500kGyが望ましい。
[第2の方法]
第2の方法は、図5(b)に示すように、EPDMよりなるワークWの表面に、ラジカル活性点の生成とグラフト重合反応とを同時に行う、所謂「同時照射処理」である。この「同時照射処理」では、例えば、グラフト重合反応に用いる反応物質(モノマー)を、塗布や浸漬等によってワークWの表面に付着させた状態のもとで、上述のようなラジカル活性点を生成するための電子線の照射処理を行っている。また、「同時照射処理」の吸収線量[kGy]は10kGy〜200kGyが望ましい。
なお、本発明においては、「前照射処理」および「同時照射処理」のいずれの処理によっても、同様構造のブレードラバー20を製造することができる。ただし、図5(b)においては、ワークWの表面に反応物質(モノマー)を付着させた後に、ラジカル活性点を生成しているが、これに限らず、ラジカル活性点を生成した後に、反応物質(モノマー)を付着させるようにしても良い。
図4(c)に示す作業において、グラフト重合反応は、通常知られた方法によって行うことができるが、グラフト重合反応に用いる重合性モノマーとしては、種々のモノマーを用いることができる。その中でも、本実施の形態においては、ワークWの表面に所定の表面硬さ[Mpa]の硬化層を形成するために、カルボニル基(C=O)を含有する重合性モノマーを用いている。このように、カルボニル基(C=O)を含有する重合性モノマーを反応物質に用いることで、効率良く所定の表面硬さ[Mpa]の硬化層を形成することが可能となる。
[ワークのリップ部に相当する部分を長手方向に切断する工程]
図4(d)に示す作業では、ナイフ(刃)を備えた切断装置(図示せず)を用いて、ワークWの基準線BLの部分を切断する処理を行う。これにより、ワークWが基準線BLの部分で2つに分離される。さらに、これに引き続き、ワークWを所定の長さで切断する処理も行う。これにより、ブレードラバー20(図2および図3参照)が完成する。ここで、ワークWは、グラフト重合反応により反応物質(モノマー)が付着した状態で切断されるため、リップ部22の先端部には、反応物質(モノマー)が付着していない。
通常、ブレードラバー20は、図2に示すように、リップ部22の両側面22aと切断面22bとの境界となるエッジ部分EGにより、フロントガラス11を払拭する。そのため、反応物質(モノマー)が結合している両側面22aによりフロントガラス11を払拭して、反応物質(モノマー)が付着していない切断面22bでフロントガラス11を払拭することが無い。よって、リップ部22の先端部に反応物質(モノマー)が付着していなくても問題は生じない。
つまり、本実施の形態では、1回の電子線の照射により、2本のブレードラバー20を得ることができ、ブレードラバー20の生産性を向上させている。もちろん、これに限ること無く、ブレードラバー20の1本1本に、電子線の照射処理を行っても良い。この場合、リップ部22の先端部にも反応物質(モノマー)を付着させることが可能となる。
また、ブレードラバー20のヘッド部21等のフロントガラス11に接触しない部分には、上述のようなラジカル活性点を生成するための電子線の照射処理およびグラフト重合反応を行わなくても良い。したがって、本実施の形態においては、ワークWのリップ部22に相当する部分(リップ部22の両側面22a)のみに電子線の照射処理およびグラフト重合反応を行っている。
ただし、ワークWのリップ部22に相当する部分のみに、電子線を照射処理したりグラフト重合反応をさせたりするために、例えば、マスキング作業等が必要になる場合には、当該作業を不要とすべく、ワークWのヘッド部21を含む全体に、電子線を照射処理したりグラフト重合反応をさせたりしても良い。
次に、リップ部22の両側面22aに形成される硬化層の状態について、図面を用いて詳細に説明する。
図6(a)は薄肉の硬化層(硬度一定領域)を形成した場合の断面を示す顕微鏡写真であり、(b)は(a)を模式的に示した図を、図7(a)は肉厚の硬化層(硬度一定領域)を形成した場合の断面を示す顕微鏡写真であり、(b)は(a)を模式的に示した図を、図8は電子線の加速電圧[kV]の大きさに応じて、電子線の浸透深さ[μm]が調整されることを説明するグラフをそれぞれ示している。
図6および図7に示すように、リップ部22の両側面22a(図示では一方側の側面22aのみを示す)には、それぞれグラフト重合反応により硬化層HCが形成されている。そして、硬化層HCの表面部分、つまりリップ部22における側面22aの近傍の表面部分(図中右側)において、太い一点鎖線グラフに示すように、グラフト重合体の量が多くなっている。つまり、硬化層HCのうちのリップ部22の側面22aの近傍部分が、最も高硬度となっている。
これに対し、グラフト重合体の量は、リップ部22における側面22aの近傍の表面部分をピークに、リップ部22の内部に向かうにつれて、徐々に少なくなる「傾斜分布」を示している。すなわち、硬化層HCは、リップ部22の内部に向かうにつれて徐々にその硬度が低くなる硬度変化領域を備えている。このように、硬化層HCを形成するグラフト重合体の量に、リップ部22の内部に向けて徐々に少なくなる「傾斜分布」を持たせることで、EPDMのゴムバルクが示す硬さの部分と、グラフト重合体が存在する硬化層HCとの部分との間に、硬度が大きく変化するような明確な境界が形成されない。したがって、硬化層HCは、ゴム材料(EPDM)に対して徐々に浸透するように設けられて、従前のように硬化層HCが早期に剥離するような不具合の発生を確実に防止できる。つまり、ブレードラバー20の性能を長期に亘って維持できる。
なお、図7に示す場合の方が、図6に示す場合に比して、表面粗さ[μm]が粗くなっているのが判る。このように図7に示す場合においては、リップ部22を変形し難くすることに加えて、表面粗さ[μm]が粗くなるため、ブレードラバー20のスムーズな動作を実現できる一方で、フロントガラス11上に拭き筋(拭き残し)を発生させる虞がある。このように、硬化層HCの表面硬さ[Mpa]や表面粗さ[μm]等は、トレードオフの関係にあるブレードラバー20の耐劣化性およびブレードラバー20のスムーズな動作を両立させるために、それぞれ最適値を抽出する必要がある。
ここで、図6および図7に示すような硬化層HCの成形状態の相違(厚み寸法の違い等)は、電子線の照射条件(加速電圧や吸収線量)を調整することで得られる。図8に示すグラフは、横軸が電子線の浸透深さ[μm]で、縦軸が吸収線量[kGy]のグラフを示しており、より具体的には、電子線の加速電圧[kV]を小さい値(150kV)から大きい値(300kV)にすることで、ブレードラバー20を形成するゴム材料(EPDM)のより深い部分でも、ラジカル活性点が生成されることを示している。
そして、図8に示すように、電子線の加速電圧[kV]つまりエネルギー量が、小さいほど吸収線量[kGy]の傾斜特性が急峻になり、大きいほど吸収線量[kGy]の傾斜特性が緩やかになっている。すなわち、電子線のエネルギー量が大きいほど、硬化層HCがより剥離し難くなることが判る。なお、図8に示す場合においては、電子線の照射時間や照射回数等の条件は、電子線の加速電圧[kV]の大きさ(4種)に依らず、何れも同じ条件に設定されている。
ただし、単に、硬化層HCの剥離を防止するために、電子線の加速電圧[kV]を大きくすると、硬化層HCが厚くなって、上述のようにリップ部22自身の柔軟性が失われてしまう。したがって、硬化層HCの表面硬さ[Mpa]や表面粗さ[μm]等の最適な条件の抽出に加えて、電子線の最適な照射条件も抽出する必要がある。
硬化層HCの表面硬さ[Mpa]や表面粗さ[μm]等の最適な条件を検討するに当たり、本発明の発明者は、まず、図9および図10に示すブレードラバー20に必要となる望ましい条件を抽出した。図9は表面硬さ[Mpa]と表面粗さ[μm]との関係を示すグラフを、図10は表面硬さ[Mpa]と動摩擦係数との関係を示すグラフをそれぞれ示している。なお、図10に示す動摩擦係数は、フロントガラス11が乾燥した状態での動摩擦係数であり、つまり、リップ部22がフロントガラス11に乾き接触しているときの動摩擦係数を示している。
具体的には、図9の網掛け部分に示すように、当該網掛け部分の範囲に入る条件を満たすものが、拭き筋(拭き残し)を発生せずに、払拭性に優れることを見出した。つまり、表面硬さ[Mpa]が9Mpa以下で、かつ表面粗さ[μm]が10μm以下の条件を満たすブレードラバーが、払拭性に優れたブレードラバーとなる。
ここで、表面硬さ[μm]の測定には種々の方法があるが、本実施の形態においては、極小領域で用いられるナノインデンテーション(Nanoindentation)法を採用している。具体的には、先端にダイヤモンドを使用した突起状のダイヤモンド圧子(バーコビッチ型)を押し込んで表面硬さ[μm]を測定する方法である。このナノインデンテーション法は、本発明のように、ゴム材料(EPDM)等の表面改質の状態を測定するのに適している。
また、図10の網掛け部分に示すように、当該網掛け部分の範囲に入る条件を満たすものが、動摩擦を小さくして、所謂「ビビリ音」等の発生を防止し得ることを見出した。つまり、表面硬さ[Mpa]が2Mpa以上で、かつ動摩擦係数(乾き接触)が0.95以下の条件を満たすブレードラバーが、スムーズな払拭をし得るブレードラバーとなる。
そして、図9および図10に示すように抽出されたブレードラバー20に必要となる望ましい条件を纏めると、次のようになる。すなわち、ブレードラバー20の硬化層HCの表面硬さ[Mpa]は、2Mpa〜9Mpaが望ましい。また、ブレードラバー20の硬化層HCの表面の動摩擦係数(乾き接触)は、0.95以下が望ましい。さらに、ブレードラバー20の硬化層HCの表面粗さ[μm]は、10μm以下が望ましい。
さらにまた、図2に示すように、ブレードラバー20のリップ部22の柔軟性を良好なものとして、リップ部22のエッジ部分EGをフロントガラス11に確実に接触させるようにするには、上述のように硬化層HCの厚み寸法の設定も重要なファクタである。そこで、本発明の発明者は、硬化層HCの厚み寸法についても最適値を抽出した。
具体的には、リップ部22の柔軟性を良好なものとするには、硬化層HCは、その表面から内部への深さ寸法が1μmの範囲に、硬度が一定の硬度一定領域(図6,図7参照)を備え、深さ寸法が1μmを超えると上述のような硬度変化領域(図6,図7参照)となり、最終的にグラフト重合反応をさせていないゴム材料(EPDM)そのもの(ゴムバルク)の硬さと等しくなる硬さ分布を有するようにするのが望ましい。
本発明の発明者は、電子線の照射処理の条件を調整して、図11に示すような複数のサンプルNo.1〜No.9を準備し、これらのサンプルについて種々のデータを計測して評価した。図11はサンプルNo.1〜No.9における電子線の照射状態および硬化層HCの形成状態を比較した表を示している。
図11に示すように、サンプルNo.1は、電子線の照射処理等を何も施していないゴム材料(EPDM)そのものの計測データである。また、サンプルNo.2〜No.5は、電子線照射装置(図示せず)の出力を、窒素雰囲気中で、加速電圧[kV]が200kVの電子線を、電流8.0mAの強度で50kGy/passとなる条件(照射条件[A])で照射した計測データである。さらに、サンプルNo.6〜No.9は、電子線照射装置の出力を、窒素雰囲気中で、加速電圧[kV]が200kVの電子線を、電流15.2mAの強度で100kGy/passとなる条件(照射条件[B])で照射した計測データである。なお、電子線の1回の照射時間は、何れのサンプルにおいても、0.12〜0.24[sec]の範囲のうちの0.20[sec]に設定している。
[サンプルNo.1(未処理品)]
硬化層HCを備えていないゴム材料(EPDM)そのものにおいては、表面粗さ[μm]の値は満足するものの、表面硬さ[Mpa]の値が柔らかい(不足する)ため、静止摩擦係数および動摩擦係数の双方が、比較的大きい値を示している。つまり、硬化層HCを備えない未処理品のブレードラバーにおいては、スムーズな動作(払拭)を行わせるのが困難であることが判る。
[サンプルNo.2]
上述の照射条件[A]で、かつ電子線の照射回数を1回とすると、吸収線量[kGy]は50kGyとなる。
そして、サンプルNo.2の硬化層HCの計測データは、
表面硬さ[Mpa]が1.220Mpa
表面粗さ[μm]が3.178μm
静止摩擦係数が3.266
動摩擦係数が2.344
となった。つまり、サンプルNo.2においては、表面粗さ[μm]のみが満足する値を示し、ブレードラバー20としての評価は「△(不合格)」となった。
[サンプルNo.3]
上述の照射条件[A]で、かつ電子線の照射回数を2回とすると、吸収線量[kGy]は100kGyとなる。
そして、サンプルNo.3の硬化層HCの計測データは、
表面硬さ[Mpa]が1.193Mpa
表面粗さ[μm]が3.449μm
静止摩擦係数が3.330
動摩擦係数が2.372
となった。つまり、サンプルNo.3においても、表面粗さ[μm]のみが満足する値を示し、ブレードラバー20としての評価は「△(不合格)」となった。
[サンプルNo.4]
上述の照射条件[A]で、かつ電子線の照射回数を3回とすると、吸収線量[kGy]は150kGyとなる。
そして、サンプルNo.4の硬化層HCの計測データは、
表面硬さ[Mpa]が2.570Mpa
表面粗さ[μm]が5.427μm
静止摩擦係数が1.423
動摩擦係数が1.243
となった。つまり、サンプルNo.4においては、表面硬さ[Mpa]および表面粗さ[μm]が満足する値を示したが、静止摩擦係数および動摩擦係数の双方が、若干大きい値を示した。よって、ブレードラバー20としての評価は「○(合格)」となった。
[サンプルNo.5]
上述の照射条件[A]で、かつ電子線の照射回数を4回とすると、吸収線量[kGy]は200kGyとなる。
そして、サンプルNo.5の硬化層HCの特性は、
表面硬さ[Mpa]が4.360Mpa
表面粗さ[μm]が8.045μm
静止摩擦係数が0.416
動摩擦係数が0.367
となった。つまり、サンプルNo.5においては、ブレードラバー20に必要となる望ましい条件を、全て満足することが判った。したがって、サンプルNo.5のブレードラバー20としての評価は「◎(優良)」となった。
[サンプルNo.6]
上述の照射条件[B]で、かつ電子線の照射回数を1回とすると、吸収線量[kGy]は100kGyとなる。
そして、サンプルNo.6の硬化層HCの特性は、
表面硬さ[Mpa]が1.247Mpa
表面粗さ[μm]が3.276μm
静止摩擦係数が3.537
動摩擦係数が2.975
となった。つまり、サンプルNo.6においては、表面粗さ[μm]のみが満足する値を示し、ブレードラバー20としての評価は「△(不合格)」となった。
[サンプルNo.7]
上述の照射条件[B]で、かつ電子線の照射回数を2回とすると、吸収線量[kGy]は200kGyとなる。
そして、サンプルNo.7の硬化層HCの特性は、
表面硬さ[Mpa]が1.270Mpa
表面粗さ[μm]が3.170μm
静止摩擦係数が3.584
動摩擦係数が3.085
となった。つまり、サンプルNo.7においても、表面粗さ[μm]のみが満足する値を示し、ブレードラバー20としての評価は「△(不合格)」となった。
[サンプルNo.8]
上述の照射条件[B]で、かつ電子線の照射回数を3回とすると、吸収線量[kGy]は300kGyとなる。
そして、サンプルNo.8の硬化層HCの計測データは、
表面硬さ[Mpa]が6.565Mpa
表面粗さ[μm]が11.464μm
静止摩擦係数が0.373
動摩擦係数が0.345
となった。つまり、サンプルNo.8においては、表面硬さ[Mpa],静止摩擦係数および動摩擦係数が満足する値を示したが、表面粗さ[μm]が、若干大きい値を示した。よって、ブレードラバー20としての評価は「○(合格)」となった。
[サンプルNo.9]
上述の照射条件[B]で、かつ電子線の照射回数を4回とすると、吸収線量[kGy]は400kGyとなる。
そして、サンプルNo.9の硬化層HCの計測データは、
表面硬さ[Mpa]が8.628Mpa
表面粗さ[μm]が11.574μm
静止摩擦係数が0.402
動摩擦係数が0.348
となった。つまり、サンプルNo.9においても、表面硬さ[Mpa],静止摩擦係数および動摩擦係数が満足する値を示したが、表面粗さ[μm]が、若干大きい値を示した。よって、ブレードラバー20としての評価は「○(合格)」となった。
このように、サンプルNo.4,サンプルNo.5,サンプルNo.8,サンプルNo.9の4種類が、ブレードラバー20の実際の使用環境において、十分に耐え得るように表面改質されたことが判った。その中でも、ブレードラバー20に必要となる望ましい条件を全て満足し得る「サンプルNo.5」の条件に則り、ブレードラバー20の表面改質をするのがより望ましい。ここで、図11の表中の網掛けは、ブレードラバー20に必要となる望ましい条件を満足する値を示している。
なお、表面改質を行ったサンプルNo.2〜No.9の何れにおいても、硬化層HCは、その表面から内部への深さ寸法が1μmの範囲に、硬度が一定の硬度一定領域(図6,図7参照)を備え、深さ寸法が1μmを超えると硬度変化領域(図6,図7参照)となり、最終的にグラフト重合反応をさせていないEPDMそのものの硬さと等しくなる硬さ分布を有するように形成された。
以上詳述したように、本実施の形態に係るブレードラバー20によれば、ブレードラバー20を非ジエン系のゴム材料であるEPDMにより形成し、ブレードラバー20のリップ部22の側面22aにグラフト重合反応により硬化層HCを形成し、当該硬化層HCは、表面から内部に向かうにつれて徐々に硬度が低くなる硬度変化領域を備えている。
これにより、硬化層HCをEPDMに対して徐々に浸透させるように設けることができ、EPDMと硬化層HCとの間の明確な境界を無くすことができる。よって、硬化層HCとEPDMとを互いに剥離し難くすることができ、かつブレードラバー20の柔軟性を損ねることも無い。したがって、長期に亘って良好な払拭性能を維持することが可能となる。
また、本実施の形態に係るブレードラバー20によれば、硬化層HCは、表面から内部への深さ寸法が1μmの範囲に、硬度が一定の硬度一定領域を備え、深さ寸法が1μmを超えると硬度変化領域となり、最終的にグラフト重合反応をさせていないEPDMそのものの硬さと等しくなる硬さ分布を有するように形成される。よって、リップ部22の十分な柔軟性を確保することができる。
さらに、本実施の形態に係るブレードラバー20によれば、硬化層HCは、EPDMの表面に電子線を照射して生成されたラジカル活性点に反応物質(モノマー)を重合させて形成され、反応物質(モノマー)を、カルボニル基(C=O)を含有する重合性モノマーとした。したがって、効率良く所定の表面硬さ[Mpa]の硬化層HCを形成することができる。
また、本実施の形態に係るブレードラバー20によれば、ブレードラバー20を、EPDMを押し出し成形することで形成するので、押し出し成形から連続して表面改質処理(電子線の照射処理およびグラフト重合反応)を行うことができる。したがって、ブレードラバー20の生産性を大幅に向上させることが可能となる。
本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上述の実施の形態では、ブレードラバー20を、車両10のフロントガラス11に付着した雨水等を払拭するものとして説明したが、本発明はこれに限らず、車両10のリヤガラスに付着した雨水等を払拭するブレードラバーにも適用することができる。
また、上述の実施の形態では、ブレードラバー20を、車両10に設けたフロントガラス11を払拭するものとして説明したが、本発明はこれに限らず、鉄道車両,航空機,船舶,建設機械等に搭載されるワイパ装置のブレードラバーにも適用することができる。
10 車両
11 フロントガラス(払拭面)
12 ワイパブレード
13 ワイパアーム
20 ブレードラバー
21 ヘッド部
21a 装着溝
22 リップ部
22a 側面
22b 切断面
23 ネック部
24 保持溝
25 バーティブラ
30 ラバーホルダ(ホルダ)
30a 天壁部
30b 側壁部
30c 取付部
30d フィン
31 カバー部材
32 第1保持部
33 保持爪
34a,34b ストッパ部
35 第2保持部
36 保持爪
BL 基準線
EG エッジ部分
HC 硬化層
W ワーク

Claims (7)

  1. ホルダに保持されるヘッド部と、
    払拭面を払拭するリップ部と、
    前記ヘッド部と前記リップ部とを連結するネック部と、
    を備えたブレードラバーであって、
    前記ブレードラバーは、非ジエン系のゴム材料により形成され、
    前記ブレードラバーの少なくとも前記リップ部の表面に、グラフト重合反応により硬化層が形成され、
    前記硬化層は、表面から内部に向かうにつれて徐々に硬度が低くなる硬度変化領域を有する、
    ブレードラバー。
  2. 請求項1記載のブレードラバーにおいて、
    前記硬化層の表面硬さが2Mpa〜9Mpaである、
    ブレードラバー。
  3. 請求項1または2記載のブレードラバーにおいて、
    前記払拭面が乾燥した状態での前記硬化層の表面の動摩擦係数が0.95以下である、
    ブレードラバー。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のブレードラバーにおいて、
    前記硬化層の表面粗さが10μm以下である、
    ブレードラバー。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のブレードラバーにおいて、
    前記硬化層は、
    表面から内部への深さ寸法が1μmの範囲に、硬度が一定の硬度一定領域を備え、
    前記深さ寸法が1μmを超えると前記硬度変化領域となり、
    最終的にグラフト重合反応をさせていない前記ゴム材料そのものの硬さと等しくなる硬さ分布を有している、
    ブレードラバー。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のブレードラバーにおいて、
    前記硬化層は、前記ゴム材料の表面に放射線を照射して生成されたラジカル活性点にモノマーを重合させて形成され、
    前記モノマーが、カルボニル基(C=O)を含有する重合性モノマーである、
    ブレードラバー。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のブレードラバーにおいて、
    前記ブレードラバーは、軟化された前記非ジエン系のゴム材料を押し出し成形することで形成される、
    ブレードラバー。
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