JP2002348437A - ポリオキシメチレン樹脂組成物及び複合成形品 - Google Patents

ポリオキシメチレン樹脂組成物及び複合成形品

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 各種ポリオレフィン材料との接着性や溶着性
に優れたポリオキシメチレン樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 ポリオキシメチレン樹脂50〜99.9
9重量%とポリビニルアセタール樹脂0.01〜50重
量%とからなるポリオキシメチレン樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種ポリオレフィ
ン材料との接着性や溶着性に優れたポリオキシメチレン
樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ポリオ
キシメチレン樹脂は機械的性質、電気的性質、耐薬品性
等の多くの物性に関して、バランス良く優れた特性を有
するエンジニアリングプラスチックであり、例えば、自
動車部品、電気・電子機器部品、機械部品等の構造部品
用材料として広く利用されている。一方で、ポリオキシ
メチレン樹脂以外にもこれらの分野で多く利用されてい
る樹脂材料として、ポリエチレンやポリプロピレンに代
表されるポリオレフィン類があり、近年は、こうしたポ
リオレフィン製部品とポリオキシメチレン樹脂製部品を
接着あるいは溶着して、それぞれの樹脂が持つ特性を生
かした複合部品を得ようとする試みがしばしば見受けら
れる。また、2色成形等の成形手段を用いて、ポリオレ
フィン製部品とポリオキシメチレン樹脂製部品を成形時
に一体化させて複合成形品を得ようとする試みもある。
【0003】しかしながら、ポリオキシメチレン樹脂は
本来ポリエチレンやポリプロピレンとの親和性が低いた
め、これらポリオレフィン製部品とポリオキシメチレン
樹脂製部品を単に接着或いは溶着しただけでは、十分な
強度を有する複合部品を得ることはできない。
【0004】これを改善するために、接着による方法に
おいては各種の接着剤が検討されてきたが、未だ十分な
接着強度を有する複合部品を得ることは困難である。
【0005】また、熱溶着や2色成形により複合化させ
る方法においては、ポリオキシメチレン樹脂とポリオレ
フィンの親和性の改善が鍵を握るものであり、ポリオレ
フィンとして無水マレイン酸等で変性したポリオレフィ
ンを用いることにより、或いはポリオキシメチレン樹脂
としてかかる酸変性ポリオレフィンを配合したポリオキ
シメチレン樹脂組成物を用いることにより両樹脂の親和
性を改善し、ポリオキシメチレン樹脂製部品とポリオレ
フィン製部品の溶着性・接着性を向上させることが検討
されてきたが、その接着性・溶着性は未だ十分なものと
は言えず、より一層の改善が望まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる要
求に応え得るポリオキシメチレン樹脂組成物を得るため
鋭意検討を重ねた結果、ポリオキシメチレン樹脂にポリ
ビニルアセタール樹脂を配合することにより、ポリオレ
フィン材料との接着性や溶着性に優れたポリオキシメチ
レン樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に至っ
た。
【0007】即ち本発明は、ポリオキシメチレン樹脂5
0〜99.99重量%とポリビニルアセタール樹脂0.
01〜50重量%とからなるポリオキシメチレン樹脂組
成物に関するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明のポリオキシメチレ
ン樹脂組成物について詳細に説明する。
【0009】本発明で用いられるポリオキシメチレン樹
脂は、オキシメチレン基(−CH2O−)を主たる構成
単位とする重合体を総称するものであり、実質的にオキ
シメチレン繰り返し単位のみからなるポリオキシメチレ
ンホモポリマー、オキシメチレン基以外にオキシアルキ
レン基等の他の構成単位を有するコポリマー、さらには
オキシメチレン基を主たる繰り返し単位とし分岐構造や
架橋構造を有する重合体や、他の成分とのブロック重合
体、グラフト重合体も含まれる。
【0010】一般に、ポリオキシメチレンホモポリマー
は、無水ホルムアルデヒドの重合、もしくはホルムアル
デヒドの環状三量体であるトリオキサン等の重合により
製造され、通常、末端キャップにより熱分解に対して安
定化されている。また、ポリオキシメチレンコポリマー
は、一般的には、ホルムアルデヒド又は一般式(CH 2
O)n[但し、nは3以上の整数]で表されるホルムア
ルデヒドの環状オリゴマー、例えばトリオキサンと、環
状エーテル及び/又は環状ホルマールとを共重合するこ
とによって製造され、通常、加水分解によって末端の不
安定部分を除去して熱分解に対して安定化される。共重
合のための環状エーテル又は環状ホルマールとしては、
例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テ
トラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、オキセパ
ン、エチレングリコールホルマール、ジエチレングリコ
ールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、
1,6−ヘキサンジオールホルマール等が用いられる。
また、上記共重合における環状エーテル又は環状ホルマ
ールの代わりに、或いはこれらの環状エーテル又は環状
ホルマールと併用して、ジグリシジルエーテル化合物等
の多官能化合物や、アルキルグリシジルエーテルの如き
特定構造の単官能化合物を用いることにより、分岐構造
或いは架橋構造を有するポリオキシメチレン共重合体が
得られる。
【0011】本発明の樹脂組成物における基体樹脂とし
て、上記の如きポリオキシメチレン樹脂はいずれも使用
できるが、中でもオキシメチレン基以外の共重合成分と
してオキシアルキレン基を導入したポリオキシメチレン
共重合体を用いるのが好ましい。また、かかるポリオキ
シメチレン共重合体としては、オキシメチレン基を主た
る繰り返し単位とし0.05〜10モル%のコモノマー
単位を有するものが好ましく、特に好ましくは0.1〜
5.0モル%のコモノマー単位を有するものである。こ
のようなポリオキシメチレン共重合体は、樹脂自体の熱
安定性、不安定末端部の減少等の見地から、また、本発
明の樹脂組成物からなる成形部品をポリオレフィンから
なる成形部品と熱溶着等により溶着或いは接着させる際
の耐熱性の観点から、特に好ましいものである。
【0012】さらに、本発明で用いるポリオキシメチレ
ン樹脂は、0.1×10-6mol/g〜100×10-6
mol/gの水酸基を有するものが好ましく、これによ
り、後述するポリビニルアセタール樹脂を配合した場合
の相溶性が良くなる。
【0013】次に、本発明で用いられるポリビニルアセ
タール樹脂とは、基本的にはポリビニルアルコールを塩
酸や硫酸のような酸触媒の存在下でアルデヒドと反応さ
せて、ポリビニルアルコールの水酸基の一部又は全部を
アセタール化したものであり、ホルムアルデヒドによる
反応物はポリビニルホルマール樹脂、ブチルアルデヒド
との反応物はポリビニルブチラール樹脂と称されてい
る。さらに、反応させるアルデヒドの種類によって、ポ
リビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピルアセタ
ール等が知られている。これらのポリビニルアセタール
樹脂の製造法としては、例えばポリ酢酸ビニルを酸によ
って加水分解する際にその初期段階でアルデヒドを加
え、加水分解とアセタール化を同時に進行させるという
一段法、又はポリ酢酸ビニルの加水分解により生成する
ポリビニルアルコールを一度分離したのちこれをアセタ
ール化するという二段法等が挙げられる。このようにし
て得られるポリビニルアセタール樹脂は、ビニルアセタ
ール基を主体としビニルアルコール基や場合により酢酸
ビニル基を有するものであり、下記一般式(1)で示さ
れるものである。
【0014】
【化1】
【0015】ここでR1は、−(CH2n−CH3[但
し、n=0〜3]で表され、一般的には−CH3であ
る。また、R2は水素又は炭素数4以下の任意のアルキ
ル基であって、代表的な例としては、−CH3又は−C3
7が挙げられる。また、X,Y,Zは任意であるが、
本発明において使用するポリビニルアセタール樹脂とし
ては、構成単位として60重量%以上のビニルアセター
ル基を有するものが好ましく、ビニルアルコール基は
0.1〜40重量%であるのが好ましい。
【0016】また、ポリビニルアセタール樹脂は、本発
明の樹脂組成物の基体樹脂であるポリオキシメチレン樹
脂との相溶性や、本発明の目的であるポリオレフィンと
の溶着性改善等の観点から、平均重合度100〜3,0
00のものが好ましい。また、ポリビニルアセタール樹
脂の中でも、特にポリビニルホルマール樹脂及びポリビ
ニルブチラール樹脂が好ましい。
【0017】本発明のポリオキシメチレン樹脂組成物に
おいて、かかるポリビニルアセタール樹脂の配合量は、
ポリオキシメチレン樹脂50〜99.99重量%に対し
て0.01〜50重量%であり、特に好ましくは0.5
〜5重量%である。配合量が0.01重量%未満では、
ポリオレフィン材料との溶着・接着効果が十分発揮され
ず、また、50重量%を超えて配合されると、ポリオキ
シメチレン樹脂組成物の機械的物性の極端な悪化を招
く。
【0018】本発明のポリオキシメチレン樹脂組成物に
よるポリオレフィン材料との溶着性・接着性改善の作用
機構は、先ず第一に、配合したポリビニルホルマール樹
脂自身が優れた接着性を有することと、更にビニルアセ
タールがポリオキシメチレンと親和性が高いことによ
り、本発明のポリオキシメチレン樹脂組成物中に均一に
分散すること等の効果が複合したことによるものと推測
される。さらに、本発明のポリオキシメチレン樹脂組成
物においては、配合したポリビニルアセタール中のアル
コール残基の一部とポリオキシメチレン樹脂の水酸基末
端とが溶融混練時に化学的或いは物理的に結合し、かか
る作用によっても、ポリオキシメチレン樹脂とポリビニ
ルアセタールの相溶性の改善や、該ポリオキシメチレン
樹脂組成物とポリオレフィンとの溶着性・接着性の改善
に寄与しているものと推測される。
【0019】本発明のポリオキシメチレン樹脂組成物
は、上記の如き構成により優れた効果を発現するもので
あるが、更に他の熱可塑性樹脂と溶融混練して成る組成
物としても用いることができる。ここで他の熱可塑性樹
脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド
系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポ
リウレタン系樹脂、フッ素樹脂等が挙げられ、目的に応
じて選択使用することができる。更に、本発明のポリオ
キシメチレン樹脂組成物には、所望の特性を付与するた
め、従来公知の添加物、例えば、酸化防止剤、ホルムア
ルデヒド捕捉剤等の安定剤、潤滑剤、滑剤、核剤、染顔
料等の着色剤、離型剤、帯電防止剤、可塑剤、難燃剤等
の添加剤を配合し得る。また、ガラス繊維、炭素繊維、
その他の無機又は有機の繊維状強化材やガラスビーズ、
ガラスフレーク、マイカ等の粉粒状、板状の充填材も適
宜配合することができる。
【0020】
【発明の効果】本発明のポリオキシメチレン樹脂組成物
は、ポリオキシメチレン樹脂にポリビニルアセタール樹
脂を配合してなるものであり、ポリオレフィン製部品と
溶着性・接着性に対して顕著な改善効果がある。従っ
て、本発明のポリオキシメチレン樹脂組成物は、その成
形品をポリオレフィン系樹脂と熱溶着させて複合成形品
とする場合、ポリオキシメチレン樹脂組成物とポリオレ
フィン系樹脂とを用い、2色成形等の成形手段により複
合化してなる複合成形品等に好適に利用される。
【0021】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0022】実施例1〜5 ポリオキシメチレン樹脂(ポリプラスチックス(株)製
ジュラコンM90)、ポリビニルホルマール樹脂(チッ
ソ(株)製ビニレックK)、ポリビニルブチラール樹脂
(電気化学工業(株)製デンカブチラール2000−
L)を表1に示す割合で混合した後、二軸押出機により
溶融混練し、ペレット状のポリオキシメチレン樹脂組成
物を調製した。評価は下記の方法で行い、その結果を表
1に示す。
【0023】[評価方法]接着強度:調製したポリオキ
シメチレン樹脂組成物を用いて表2に示す条件で平板
(15mm×100mm×2mm)を成形した。一方、
ポリオレフィン樹脂材料として無水マレイン酸変性ポリ
オレフィン(三井石油化学工業(株)製、商品名:タフ
マーMP0610)を用い、表2に示す条件で平板(1
5mm×100mm×2mm)を成形した。次いで、上
記で得た平板同士を200℃、加圧力1kgで加熱溶着
し貼り合わせることにより、接着強度測定用の試験片を
得た。
【0024】接着強度の測定は、図1に示すように、貼
り合わせた試験片の端から平板同士を引き剥がし、引き
剥がしに要する強度を測定することによって行った。
【0025】引張強度:調製したポリオキシメチレン樹
脂組成物を用いて表2に示す条件で引張試験片を成形
し、ASTM D638に準拠して引張強度を測定し
た。
【0026】比較例1〜3 表1の如く、ポリビニルアセタール樹脂を含まない場合
(比較例1)、0.005重量%含む場合(比較例
2)、過剰に含む場合(比較例3)についても実施例と
同様にして評価した。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例で用いた接着強度測定用の試験片と接
着強度測定状況を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA14B AA30 AA40 AA40B AF58 AH07 AH12 BB06 4J002 BE062 CB001 GN00 GQ00

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオキシメチレン樹脂50〜99.9
    9重量%とポリビニルアセタール樹脂0.01〜50重
    量%とからなるポリオキシメチレン樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ポリビニルアセタール樹脂が、ポリビニ
    ルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂又はこれ
    らの混合物である請求項1記載のポリオキシメチレン樹
    脂組成物。
  3. 【請求項3】 ポリビニルアセタール樹脂の重合度が1
    00〜3,000である請求項1又は2記載のポリオキ
    シメチレン樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 ポリビニルアセタール樹脂が、構成単位
    として60重量%以上のビニルアセタール単位を有する
    ものである請求項1〜3の何れか1項記載のポリオキシ
    メチレン樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 ポリビニルアセタール樹脂が、構成単位
    として0.1〜40重量%のビニルアルコール単位を有
    するものである請求項1〜4の何れか1項記載のポリオ
    キシメチレン樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 ポリオキシメチレン樹脂が、0.1×1
    -6mol/g〜100×10-6mol/gの水酸基を
    有するものである請求項1〜5の何れか1項記載のポリ
    オキシメチレン樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 ポリオキシメチレン樹脂が、ポリオキシ
    メチレンコポリマーである請求項1〜6の何れか1項記
    載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 ポリオキシメチレンコポリマーが、オキ
    シメチレン基を主たる繰り返し単位とし、0.05〜1
    0モル%のコモノマー単位を有するものである請求項7
    記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8の何れか1項記載のポリオ
    キシメチレン樹脂組成物からなる成形品とポリオレフィ
    ン系樹脂からなる成形品を、熱溶着させてなる複合成形
    品。
  10. 【請求項10】 請求項1〜8の何れか1項記載のポリ
    オキシメチレン樹脂組成物とポリオレフィン系樹脂とを
    用い、成形手段により複合化してなる複合成形品。
  11. 【請求項11】 成形手段が2色成形である請求項10
    記載の複合成形品。
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