JP2002339466A - 鉄筋コンクリート耐震構造及びスリット材 - Google Patents

鉄筋コンクリート耐震構造及びスリット材

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JP2002339466A
JP2002339466A JP2001084540A JP2001084540A JP2002339466A JP 2002339466 A JP2002339466 A JP 2002339466A JP 2001084540 A JP2001084540 A JP 2001084540A JP 2001084540 A JP2001084540 A JP 2001084540A JP 2002339466 A JP2002339466 A JP 2002339466A
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slit
concrete
earthquake
reinforced concrete
wood
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Yoshiya Matsumoto
佳也 松本
Ryohei Shimizu
良平 清水
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Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 使用材料、コストを削減し、施工性に優れ、
かつ大きな慣性力と復元力を有する耐震鉄筋コンクリー
ト構造を提供することを目的とする。 【解決手段】 鉄筋コンクリート(鉄骨鉄筋コンクリー
トを含む)構造において、柱、梁、床、壁などの構造物
内または該構造物周辺に軽量コンクリート部材4と応力
緩和材5とを一体的に構成したスリット材3を介在させ
たことを特徴とする鉄筋コンクリート耐震構造である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐震性を有する鉄
筋コンクリートまたは鉄骨鉄筋コンクリート(本明細書
に於ては単に鉄筋コンクリートと言う)の耐震構造とそ
の鉄筋コンクリート耐震構造に用いられるスリット材に
係り、特に特定の部材を組合せることによって構成した
スリット材とそのスリット材を組込んで構成した耐震性
を有する鉄筋コンクリート耐震構造に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、鉄筋コンクリート構造物は、地震
による建物への慣性力を負担し、建物の倒壊を防ぐ構造
骨組と、慣性力の負担度の小さい非構造壁とが鉄筋コン
クリートで連結されていた。このような構造の場合、大
地震による大きな慣性力を受けると、構造骨組に連続し
ている非構造壁が構造体の粘り強い変形を阻害し、設計
上考えていた力よりも小さな力で建物が倒壊することが
あった。
【0003】これを防止するために、耐力壁などの構造
骨組となる構造体と2次壁などの非構造壁となる構造体
との間に、構造上不連続とするために、耐震スリット材
が用いられている。耐震スリット材は、建物の耐震性を
向上させる一方、通常は、雨水、騒音、火災の侵入を防
ぐ役割も兼ね備える必要がある。
【0004】一方、このように鉄筋コンクリート構造お
よび鉄骨鉄筋コンクリート構造物の中に異部材を介在さ
せる目的として、前記以外には、構造体そのものの耐震
性の変化のため、例えば、構造壁そのものの中に壁を耐
震的に分割するためにスリット材を介在させることもあ
る。使用されていた耐震スリット材としては、例えば図
5(a)、(b)に示すように、発泡ポリスチレン、ケ
イ酸カルシウム板、セラミック耐火板等を芯材51とし
たもの、また、この芯材51に取付け部材52、53を
設けているものなどがある。
【0005】また、その芯材51の取付け方法として
は、型枠54の外側から芯材51に直接に釘55を打ち
付ける方式、実開昭59−175545号公報に記され
ているように、芯材51の一方の側面からこれと直交す
る方向に補強用の2つの補強金物よりなる取付け部材5
3を設け、あらかじめ一方の型枠54に目地棒56と捨
てセパレーター57を取付けてから芯材51を目地棒5
6にあてがった状態で、取付け部材53を捨てセパレー
ター57に固定し、もう一方の型枠54を立て込む方式
などがある。そして、図6(a)に示すように、柱、壁
にコンクリート58を打設し、コンクリート58が硬化
した後、型枠54、目地棒56或は固定用の釘55等を
除去し、目地にシール材59を施してエキスパンション
ジョイントを完成させていた。
【0006】しかし、前記耐震スリット材としての芯材
51は、耐火性を満足させるために、図6(b)のよう
に発泡ポリエチレン60の間にロックウール61を挟み
込む構造が一般的に用いられていたため、製造に手間が
かかるだけでなく高価である問題があった。かつ、取付
け方法に関しては、図5(a)のように型枠54の外側
から芯材51に直接釘55を打ち付ける方法があるが、
芯材51の幅が小さく釘55を芯材51の幅方向中央に
命中させるのが困難である問題もあった。
【0007】また、他の取付方法としては前述のような
図5(b)に示す方式があるが、それは、補強金物より
なる取付け部材53を固定するためには捨てセパレータ
ー57を必要とし、使用材料が多くなるだけでなく、捨
てセパレーター57を型枠54の必要位置に取り付ける
作業や、補強金物よりなる取付け部材53を捨てセパレ
ーター57に取付ける作業を必要とし、かなりの時間と
手間を要する等の問題があった。
【0008】さらに、芯材51そのものの剛性が低いた
め、コンクリート58の打設時のコンクリート58の流
動圧力により、釘55で固定している支点間や、捨てセ
パレーター57で固定している支点間で芯材51が変形
したり、釘55の変形や、捨てセパレーター57からの
取付け部材53の外れにより、構造上重要なスリットが
垂直に形成できないという問題がある。
【0009】また、構造安全性の問題以外にも、コンク
リート58の硬化後の外観が悪くなり、補修工事が必要
となってくることや、コーキングが切れた際の雨水など
の侵入を防ぐために、芯材51にブチルゴム等を取付け
てコンクリート58と一体化させ、止水させるというこ
とを必要とし、手間や費用を要するという問題があっ
た。
【0010】本件特許出願人は、前述の従来の問題点を
改善するために、例えば図7(a)、(b)乃至図10
(a)、(b)に例示するような軽量気泡コンクリート
部材で形成したスリット材を鉄筋コンクリートの構造物
内或はその構造物の周辺に介在させることによって鉄筋
コンクリート耐震構造の発明を開発し、既にその発明を
特許出願している(特願平11−266465号)。
【0011】前記特許出願に係る発明は、鉄筋コンクリ
ート構造に於ける柱、梁、床、壁等の構造物内或はその
構造物の周辺に軽量気泡コンクリート部材よりなるスリ
ット材を介在させることによって、鉄筋コンクリート構
造物に耐震性を持たせると共に、鉄筋コンクリート構造
物の施工性を改善して工期を短縮し、かつ経費削減を可
能とした発明である。
【0012】即ち、前記発明を図7(a)、(b)乃至
図10(a)、(b)によりその具体的実施例について
説明すると次の通りである。即ち、図7(a)、(b)
に於て、62は柱63を形成する際に用いられるほぼ方
形の型枠であって、その型枠62と壁64との接合部に
は軽量コンクリート製のスリット材65が型枠62の一
部として配設されている。従って、型枠62内にコンク
リートを打設して柱63を形成した場合には、柱63と
壁64との間に軽量コンクリート製のスリット材65が
介在された構造物を自動的に構成することが出来る。図
中66はシール材である。
【0013】図8(a)に示す実施例は前述の軽量コン
クリート製のスリット材65を変形したものであって、
このスリット材65aは底部が巾広になるようにL状に
形成されている。このようにすることによって、スリッ
ト材65aを釘等を介して型枠(図示せず)に取付固定
する作業を容易にしている。
【0014】図8(b)は、前記スリット材65aの上
部を固定するためにこのスリット材65aの頂部に取付
け部材67を取付けて、例えば前述の図5(a)に示す
ように、この取付け部材67を介して目地棒に固定する
ようにした構造である。
【0015】図8(c)は水平状スリットを使用した実施
例であって、偏平状の軽量気泡コンクリート製スリット
材65bを壁64と床72との接合部に介在せしめ、ふ
れ止め筋73を介して壁64とスリット材65bを床7
2に固定するようにした耐震スリット構造である。図中
66はシール材である。
【0016】図9(a)、(b)は夫々目地棒68を型
枠69に取付固定するに当って、粘着テープ70或は釘
71を用いて固定するようにした構造である。また図1
0(a)、(b)は夫々スリット材65aを型枠69に
固定された目地棒68に、取付け部材67を介して固定
する工程を示す説明図である。前記釘71は図9(b)
に示す如く、型枠69側から打付けることも、或はその
反対側の目地棒68側から打付けることも可能である。
前記図8、図10(a)、(b)に示す取付け部材67
はピース物でも或はスリット材65aの上面全長を被う
ものでも良い。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】前述本件特許出願人が
既に開発して特許出願をしている例えば図7(a)、
(b)乃至図10(a)、(b)に例示するような軽量
気泡コンクリート部材で形成したスリット材を鉄筋コン
クリート構造に於ける柱等の構造物内或は該構造物の周
辺に介在させることによって鉄筋コンクリート構造を耐
震構造とした発明は、地震時の慣性力を負担することが
出来、かつスリット材をL型等にすることによって外部
取付けの施工性を良くし、しかもスリット材が不燃材で
あり、かつ剛性を有するので、コンクリート打設時の施
工性が良い等の多くの作用効果を有しているが、大きな
地震によって変形が大きい場合の慣性力の負担や復元性
の点に於て、若干問題があった。
【0018】本発明に係る鉄筋コンクリート耐震構造及
びスリット材は、前述の問題点に鑑み開発された全く新
しい技術であって、特に、スリット材を軽量気泡コンク
リート部材と応力緩和材とで形成すると共に、このスリ
ット材を柱、梁、床、壁等の構造物内或は該構造物の周
辺に介在させることによって、地震等による大変形時の
慣性力の負担も可能とすると共に、復元性を得ることを
可能とした全く新しい技術を提供するものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明に係る鉄筋コンク
リート耐震構造は、前述の問題点を根本的に改善した発
明であって、その第1発明の要旨は、鉄筋コンクリート
構造に於て、柱、梁、床、壁等の構造物内或は該構造物
の周辺に軽量気泡コンクリート、ケイ酸カルシウム、石
膏、木毛セメント、セラミックス、金属、木等で形成さ
れる部材と応力緩和材とよりなるスリット材を介在させ
て耐震構造を構成したことを特徴とした鉄筋コンクリー
ト耐震構造である。
【0020】前述の第1発明の鉄筋コンクリート耐震構
造は、柱、梁、床、壁等の構造物内或はこの構造物の周
辺に軽量気泡コンクリート、ケイ酸カルシウム、石膏、
木毛セメント、セラミックス、金属、木等で形成される
部材と応力緩和材とよりなるスリット材を介在させて構
成したので、地震時に建築物が大きく変形した場合に
も、大きな慣性力を負担することが出来る。かつ、変形
後の復元も可能とすることが出来る。
【0021】本発明に係る鉄筋コンクリート耐震構造の
第2発明の要旨は、前記鉄筋コンクリート構造に於て、
地震による建物への慣性力を積極的に負担する柱、梁、
床、壁等の構造骨組と、地震による建物への慣性力を積
極的に負担しない非構造壁との間に軽量気泡コンクリー
ト、ケイ酸カルシウム、石膏、木毛セメント、セラミッ
クス、金属、木等で形成される部材と応力緩和材とより
なるスリット材を介在させて耐震構造を構成したことを
特徴とした第1発明の鉄筋コンクリート耐震構造であ
る。
【0022】前述の第2発明の鉄筋コンクリート耐震構
造に於ては、地震による建物への慣性力を積極的に負担
する柱、梁、床、壁等の構造骨組と、地震による建物へ
の慣性力を積極的に負担しない非構造壁との間に軽量気
泡コンクリート、ケイ酸カルシウム、石膏、木毛セメン
ト、セラミックス、金属、木等で形成される部材と応力
緩和材とよりなるスリット材を介在させて構成したの
で、構造骨組と非構造壁との間の関係を特に強く切るこ
とが出来、これによって地震時等の被害を小さくするこ
とが出来る。
【0023】本発明に係る鉄筋コンクリート耐震構造の
第3発明の要旨は、L型、T型、Z型、偏平型等の特定
形状を有する前記スリット材を前記柱、梁、床、壁等の
構造物の型枠に釘、ビス等の固定具を用いて該スリット
部材の水平部分を取付固定した後にコンクリートを打設
して構成したことを特徴とした第1発明或は第2発明の
鉄筋コンクリート耐震構造である。
【0024】前述の第3発明の鉄筋コンクリート耐震構
造に於ては、前述の構成よりなるスリット材をL型、T
型、Z型、偏平型等の特定の形状に形成したので、この
スリット材を柱等の構造物の型枠に釘等の固定具を用い
て取付固定する場合には、該スリット材の水平部分を上
下いずれの方向から固定具によって安定した状態で取付
固定した後にコンクリートを打設することが出来、これ
によって施工性を著るしく高めることが出来る。
【0025】本発明に係るスリット材は、前述の従来の
スリット材の問題点を根本的に改善したものであって、
その第1発明は、柱、梁、床、壁等を用いて構成される
鉄筋コンクリート構造物内或は該鉄筋コンクリート構造
物の周辺に介在される耐震用スリット材に於て、軽量気
泡コンクリート、ケイ酸カルシウム、石膏、木毛セメン
ト、セラミックス、金属、木等で形成される部材と応力
緩和材とを一体的に設けて構成したことを特徴としたス
リット材である。
【0026】前述の第1発明に係るスリット材は、鉄筋
コンクリート構造物内或は該鉄筋コンクリート構造物の
周辺に介在される耐震用スリット材であって、軽量気泡
コンクリート、ケイ酸カルシウム、石膏、木毛セメン
ト、セラミックス、金属、木等で形成される部材と応力
緩和材とを一体的に設けて構成されているので、現場等
に於て使用する場合にも施工性が良く、かつこのスリッ
ト材を使用することによって、建物等が地震時に大きく
変形した場合にも慣性力を負担することが出来、かつそ
の変形を復元する作用も有している。また、応力緩和材
を発泡樹脂材等で形成する場合には、耐火性を充分持た
せることが出来る。
【0027】また、前記スリット材は、軽量気泡コンク
リート、ケイ酸カルシウム、石膏、木毛セメント、セラ
ミックス、金属、木等で形成される部材と応力緩和材と
を現場で組合せて簡単に一体的に構成することも出来
る。かつ軽量気泡コンクリート等の材料で形成された部
材と応力緩和材とを一体的に組合せるに当っては、面外
方向に一体的に組合せることも、或は面内方向に一体的
に組合せて構成することも可能である。
【0028】本発明に係る第2発明のスリット材の要旨
は、前記応力緩和材が前記軽量気泡コンクリート、ケイ
酸カルシウム、石膏、木毛セメント、セラミックス、金
属、木等で形成される部材よりも低い強度を持って構成
されていることを特徴とした第1発明のスリット材であ
る。
【0029】前述の第2発明のスリット材は、スリット
材を構成する応力緩和材を軽量気泡コンクリート等の材
料で形成された部材よりも低い強度を持った材料で構成
したので、スリット材の慣性力と復元性をより高めるこ
とが出来る。
【0030】
【発明の実施の形態】図により本発明に係る鉄筋コンク
リート耐震構造及びスリット材について、一実施例によ
り具体的に説明すると、図1(a)、(b)、(c)は
夫々本発明に係る基本的スリット材とそれを用いた鉄筋
コンクリート耐震構造の平面或は断面説明図、図2
(a)、(b)は夫々他例のスリット材を示す断面説明
図である。
【0031】図3(a)、(b)、(c)も夫々他例の
スリット材を示す断面説明図、図4(a)、(b)、
(c)、(d)は更にスリット材を変形させるか、或は
取付部材を用いた状態の断面説明図である。
【0032】図1(a)、(b)に於て、1はコンクリ
ート製柱2を形成する際に使用されるほぼ方形の型枠で
ある。この型枠1の一部にはスリット材3が該型枠1の
一部として配設されている。
【0033】前記スリット材3は、特に図1(b)に明
らかなように、L型軽量コンクリート部材4と、断熱性
を有する発泡樹脂等よりなる弾性を持った応力緩和材5
とにより形成されている。
【0034】このように、軽量コンクリート部材4をL
型にした場合には、型枠に安定した状態で配置させるこ
とが出来ると共に、釘、ビス等の固定具6を用いて、そ
の水平部分を上下いずれの方向から型枠に固定すること
が出来、そのために施工性を著るしく向上せしめること
が出来る効果を有している。図中7は壁であり、8は目
地部の充填シールである。
【0035】次に、図1(c)に於いて、この実施例の
場合には、既に従来例として図8(c)で説明した水平
状スリットを使用した実施例を応用した実施例である。
偏平状コンクリート部材4と応力緩和材5とによってス
リット材3を形成し、壁7と床10との接合部にこのス
リット材3と充填シール8を介在せしめ、該壁7とスリ
ット材3をふれ止め筋11によって規制するようにした
耐震スリット構造である。
【0036】前述の本発明に於ては、スリット材3を軽
量コンクリート部材4と応力緩和材5によって構成した
ので、前述のようにスリット材3を、コンクリートを打
設する際に使用される型枠1の一部として使用すること
が出来、かつそのまま構造物内或はその周辺に介在させ
ることが出来る。従って、施工性を向上させ、工期の短
縮を計ることが出来る。
【0037】また、軽量コンクリート部材4は一定の高
い剛性を有しているので、コンクリート打設時の流動圧
力による変形を防止して、常に予め配設したままの形状
を保つことが出来るので構造上の問題を無くすることが
出来る。かつ補強金具や捨てセパレーターを使用するこ
となく施工することが出来、施工性を著るしく向上せし
めることが出来る。
【0038】さらに、スリット材3の一部を構成する応
力緩和材5は発泡樹脂等で構成することが出来るので、
安価でかつ弾力性を有し、かつ簡単に軽量コンクリート
部材4と一体的に組合せてスリット材3を形成すること
が出来る。
【0039】本発明で使用されるスリット材3は応力緩
和材5を有するので、地震時に建物が大きく変形したよ
うな場合にも慣性力を負担することが出来、かつその変
形を復元することが出来る作用も有している。また、応
力緩和材5の材料として発泡樹脂材を用いた場合には、
耐火性も持たせることが出来る。
【0040】前記スリット材3の構成に当っては、予め
工場内等で軽量コンクリート部材4と応力緩和材5とを
接合して一体化させることも、或は現場で両者を組合せ
て一体化させることも可能である。さらに、両者を一体
化させるに際しては、面内方向に接合することも、或は
面外方向に接合することもいずれも可能である。
【0041】前記軽量コンクリート部材4の比重を0.
3〜0.7に変化させることによって、軽量コンクリー
ト部材4の強度を変えることができ、コンクリート打設
時の流動圧力への対応や型枠への固定強度を調整するこ
とができる他、軽量コンクリート部材4の強度をコンク
リートの強度に比して約3分の1〜15分の1程度と十
分に小さくすることができ、地震時の慣性力を負担する
構造骨組が非構造壁に力を伝達することなく耐震スリッ
ト材を形成できる。
【0042】前述のように、本発明に使用されるスリッ
ト材3は、軽量コンクリート部材4と応力緩和材5とで
構成されるので、全体的に軽量であり、従って、このス
リット材3を使用した鉄筋コンクリート製建築物は、軽
量化することが出来、耐震効果をより大きくすることが
出来る。
【0043】前記図1(c)に示すように、偏平状コン
クリート部材4を使用する場合には、この偏平状コンク
リート部材4と応力緩和材5とを夫々別々に壁7と床1
0との接合部に取付けて、これ等の偏平状コンクリート
部材4と応力緩和材5とによってスリット材3を構成す
ることが出来る。従って、壁7等に取付けられるふれ止
め筋11の位置に関係なく、応力緩和材5を簡単に加工
してスリット材3を構成出来、施工性を著しく高めるこ
とが出来る。
【0044】前記図1の実施例に於ては、応力緩和材5
を軽量コンクリート部材4の彎曲内面部分の一部のみに
取付けてスリット材3を形成したが、このスリット材3
は、図2(a)、(b)或は図3(a)、(b)、
(c)に夫々例示する如く、軽量コンクリート部材4の
所望の面に所望の大きさの応力緩和材5を取付けて構成
し、スリット材3が負担する慣性力を増減したり、或は
復元性を増減することが出来る。
【0045】また、前記実施例に於ては、軽量コンクリ
ート部材4を全てL型状に形成したが、この軽量コンク
リート部材4は、図4(a)に示す如くI型にすること
も、或は同図(b)に示す如くT型にすることも、また
は同図(c)に示す如くZ型にすることも可能である。
さらにスリット材3を同図(d)に示す如く、ピース物
或は全長物の取付け部材9を用いて図示しない型枠に取
付けることも可能である。
【0046】図4(b)或は図4(c)に示す如く、ス
リット材3の軽量コンクリート部材4をT型或はZ型に
した場合には、前述のL型の軽量コンクリート部材4を
使用したスリット材3と同様に、釘等の固定具6を用い
て、スリット材3をその水平部分に於いて、上下いずれ
かの方向から安定した状態で型枠に取付けることが出
来、施工性を著るしく向上させることが出来る。図1
(b)、図2(a)、(b)、図3(a)、(b)、
(c)、図4、(b)、(c)、(d)に於いては、固
定具6をいずれの場合にも上方より打付けて軽量コンク
リート部材4を固定したが、この固定具6は下方より打
付けることも可能である。
【0047】前述の具体的実施例に於いては、スリット
材3を構成するに当って、軽量コンクリートを用いた部
材4と応力緩和材5とを組合せて構成した実施例につい
て説明したが、前記部材4は、軽量コンクリートの他
に、ケイ酸カルシウム、石膏、木毛セメント、セラミッ
クス、アルミニウム等の金属、木材等の多種多様な材料
が使用できる。前述の材料の中でも、特に、ケイ酸カル
シウムは、大地震時に建築物がスリット材3の応力緩和
材5の厚み以上に変形した場合にも、軽量コンクリート
材と同様により大きな慣性力を負担することが出来る効
果を有している。
【0048】
【発明の効果】本発明の鉄筋コンクリート耐震構造は、
柱、梁、床、壁等の構造物内或はこの構造物の周辺に軽
量気泡コンクリート、ケイ酸カルシウム、石膏、木毛セ
メント、セラミックス、金属、木等で形成される部材と
応力緩和材とよりなるスリット材を介在させて構成した
ので、地震時に建築物が大きく変形した場合にも、大き
な慣性力を負担することが出来る。かつ、変形後の復元
も可能とすることが出来る等の大きな効果を有してい
る。
【0049】従来技術のように応力緩和材を使用しない
で、軽量気泡コンクリート部材のみで形成したスリット
材を柱、梁、床、壁等の構造物内或はこの構造物の周り
に介在させて構成した場合には、地震等による建物の変
形が大きい時には、軽量気泡コンクリート部材製のスリ
ット材が圧縮されて、その周りに空隙が形成される恐れ
もあった。これに対して本発明では、前述のような材料
で形成された部材と応力緩和材とでスリット材が構成さ
れているので、建物の変形が大きい場合にも、応力緩和
材が伸縮するので、前述のようなスリット材の周りに空
隙が形成される恐れがない効果を有している。
【0050】また、地震による建物への慣性力を積極的
に負担する柱、梁、床、壁等の構造骨組と、地震による
建物への慣性力を積極的に負担しない非構造壁との間に
軽量気泡コンクリート等の材料で形成された部材と応力
緩和材とよりなるスリット材を介在させて構成した場合
には、構造骨組と非構造壁との間の関係を特に強く切る
ことが出来、これによって地震時等の被害を小さくする
ことが出来る効果を有している。
【0051】さらに、前述の構成よりなるスリット材を
L型、T型、Z型、偏平型等の特定の形状に形成し、こ
のスリット材を柱等の構造物の型枠に釘等の固定具を用
いて取付固定する場合には、該スリット材の水平部分を
上下いずれかの方向から安定した状態で取付固定した後
にコンクリートを打設することが出来、これによって施
工性を著るしく高めることが出来る効果を有している。
【0052】本発明に係るスリット材は、鉄筋コンクリ
ート構造物内或は該鉄筋コンクリート構造物の周辺に介
在される耐震用スリット材であって、軽量気泡コンクリ
ート、ケイ酸カルシウム、石膏、木毛セメント、セラミ
ックス、金属、木等で形成される部材と応力緩和材とを
一体的に設けて構成されているので、現場等に於て使用
する場合にも施工性が良く、かつこのスリット材を使用
することによって、建物等が地震時に大きく変形した場
合にも慣性力を負担することが出来、かつその変形を復
元する作用も有している。また、応力緩和材を発泡樹脂
材等で形成する場合には、耐火性を充分持たせることが
出来る効果を有している。
【0053】さらに、前述のスリット材を構成する応力
緩和材を軽量気泡コンクリート、ケイ酸カルシウム、石
膏、木毛セメント、セラミックス、金属、木等で形成さ
れる部材よりも低い強度を持った材料で構成した場合に
は、スリット材の慣性力と復元性をより高めることが出
来る効果を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)、(b)、(c)は夫々本発明に係
る基本的スリット材とそれを用いた鉄筋コンクリート耐
震構造の平面或は断面説明図である。
【図2】図2(a)、(b)は夫々他例のスリット材を
示す断面説明図である。
【図3】図3(a)、(b)、も夫々他例のスリット材
を示す断面説明図である。
【図4】図4(a)、(b)、(c)、(d)は更にス
リット材を変形させるか、或は取付部材を用いた状態の
断面説明図である。
【図5】図5(a)、(b)は発泡ポリスチレン等の芯
材を型枠に取付ける状態の断面説明図である。
【図6】図6(a)、(b)は図5の芯材がコンクリー
ト内に埋設された状態を示す断面図及び芯材の実施例を
示す断面図である。
【図7】図7(a)、(b)は軽量気泡コンクリート製
のスリット材を型枠の一部に配置してコンクリートを打
設した状態の平面図及び断面図である。
【図8】図8(a)、(b)、(c)はスリット材の形
状を示す断面説明図である。
【図9】図9(a)、(b)は夫々目地棒を型枠に固定
する場合の断面説明図である。
【図10】図10(a)、(b)は取付け部材を用いて
スリット材を目地棒に取付ける状態の断面説明図であ
る。
【符号の説明】
1 …型枠 2 …コンクリート製柱 3 …スリット材 4 …軽量コンクリート部材 5 …応力緩和材 6 …固定具 7 …壁 8 …充填シール 9 …取付け部材 10 …床 11 …ふれ止め筋 51 …芯材 52 …取付け部材 53 …取付け部材 54 …型枠 55 …釘 56 …目地棒 57 …捨てセパレーター 58 …コンクリート 59 …シール材 60 …発泡ポリエチレン 61 …ロックウール 62 …型枠 63 …柱 64 …壁 65 …軽量コンクリート製のスリット材 65a…スリット材 65b…スリット材 66 …シール材 67 …取付け部材 68 …目地棒 69 …型枠 70 …粘着テープ 71 …釘 72 …床 73 …ふれ止め筋
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) E04B 2/56 643 E04B 2/56 643A 2/84 2/84 H Fターム(参考) 2E001 DE01 DH33 FA02 FA03 FA11 FA71 GA12 GA63 GA64 HA03 HA07 HA21 HB04 HC01 HD01 HF11 KA03 LA10 2E002 FA04 FB02 FB11 HA02 HB10 HB16 KA01 KA07 KA09 MA12

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄筋コンクリート構造に於て、柱、梁、
    床、壁等の構造物内或は該構造物の周辺に軽量気泡コン
    クリート、ケイ酸カルシウム、石膏、木毛セメント、セ
    ラミックス、金属、木等で形成される部材と応力緩和材
    とよりなるスリット材を介在させて耐震構造を構成した
    ことを特徴とした鉄筋コンクリート耐震構造。
  2. 【請求項2】 前記鉄筋コンクリート構造に於て、地震
    による建物への慣性力を積極的に負担する柱、梁、床、
    壁等の構造骨組と、地震による建物への慣性力を積極的
    に負担しない非構造壁との間に軽量気泡コンクリート、
    ケイ酸カルシウム、石膏、木毛セメント、セラミック
    ス、金属、木等で形成される部材と応力緩和材とよりな
    るスリット材を介在させて耐震構造を構成したことを特
    徴とした請求項1の鉄筋コンクリート耐震構造。
  3. 【請求項3】 L型、T型、Z型、偏平型等の特定形状
    を有する前記スリット材を前記柱、梁、床、壁等の構造
    物の型枠に釘、ビス等の固定具を用いて該スリット材の
    水平部分を取付固定した後にコンクリートを打設して構
    成したことを特徴とした請求項1或は請求項2の鉄筋コ
    ンクリート耐震構造。
  4. 【請求項4】 柱、梁、床、壁等を用いて構成される鉄
    筋コンクリート構造物内或は該鉄筋コンクリート構造物
    の周辺に介在される耐震用スリット材に於て、軽量気泡
    コンクリート、ケイ酸カルシウム、石膏、木毛セメン
    ト、セラミックス、金属、木等で形成される部材と応力
    緩和材とを一体的に設けて構成したことを特徴としたス
    リット材。
  5. 【請求項5】 前記応力緩和材が前記軽量気泡コンクリ
    ート、ケイ酸カルシウム、石膏、木毛セメント、セラミ
    ックス、金属、木等で形成される部材よりも低い強度を
    持って構成されていることを特徴とした請求項4のスリ
    ット材。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005299081A (ja) * 2004-04-06 2005-10-27 Hiroyasu Ooka 後施工耐震スリット材
JP2006028980A (ja) * 2004-07-21 2006-02-02 Hiroyasu Ooka 後施工耐震スリット材
JP2007186925A (ja) * 2006-01-13 2007-07-26 Okabe Co Ltd 垂直スリット材用固定具
CN110029759A (zh) * 2019-05-27 2019-07-19 大庆市碧千里科技开发有限公司 环保节能安全的简易被动房

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