JP2004137766A - 外断熱工法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コンクリート壁31を構築する際に、補強リブ1で補強された断熱パネル3を屋外側の堰板として型枠を形成し、この型枠内にコンクリートを打設した後に、断熱パネル3を型バラシするこなくその表面に仕上材としてのモルタル又はモルタルを介したタイルを固着する外断熱工法であって、補強リブ1を無機質のセメントを主体とした硬質木毛セメント、無機質のガラス繊維及びセメントを主体としたグラスファイバ強化コンクリートの一方からなる補強リブで形成し、断熱パネル3を無機質の炭酸カルシウム発泡板、気泡コンクリート板の一方で形成する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリート建築物(例えばマンション)の外壁となるコンクリート壁の外断熱工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、外断熱工法でコンクリート建築物の外壁となるコンクリート壁を構築する場合、堰板を用いて型枠を形成し、この型枠内にコンクリートを打設し、コンクリートが固化(乾燥硬化)した後に堰板を撤去して型バラシを行い、コンクリート壁の屋外側壁面に断熱パネルを介して仕上材としてのモルタル又はモルタルを介したタイルを固着するようにしていた。
このような外断熱工法で構築されたコンクリート建築物は、コンクリート壁の屋外側に断熱パネルが配置されているので、結露を防止し、省エネルギー及び耐久性の点で優れているが、施工時に堰板を撤去して断熱パネルを固着する工程が必要となるとともに、所定回数使用後の堰板が産業廃棄物になるという問題点があった。
【0003】
上述の問題点を解決するため、型枠自体を断熱材で構成して型バラシを不要とする外断熱工法も提案されている。
例えば、図13(a)に示すように、2枚の内外装兼用下地ボード101をその発泡樹脂パネル103同志を向かい合わせ、セパレータ108によりコンクリート壁100の厚さ分の間隔をあけて組立てる。ここで内外装兼用下地ボード101は、タイルや壁紙を直張り可能でかつコンクリート型枠として使用可能な強度を有する耐火性耐力面材102の裏面側に発泡樹脂パネル103(断熱パネル9)を貼り付けて一体に形成されたものである。
ついで、図13(b)に示すように、内外装兼用下地ボード101間にコンクリートを打設し、コンクリートが固化した後に、継ぎセパレータ107、107及び桟木122、122を外して壁面に内外装兼用下地ボード101が張り付けられたコンクリート壁100が構築される。
ついで、図13(c)に示すように、締付具113をセパレータ孔105に挿入し、先端ネジ部をベース109に締め付けることにより内外装兼用下地ボード101をコンクリート壁100の壁面に固定する。
ついで、図13(d)に示すように、屋外側の内外装兼用下地ボード101に張付けモルタル123を介してタイル124を張付け、屋内側の内外装兼用下地ボード101に壁紙125を貼る。
このため、堰板の撤去工事を不要とて工程数が減少し、工期が短縮される(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−355303(P2001−355303A)号公報(段落番号「0017」、「0028」、「0030」、「0031」、「0035」及び「0036」、図1及び図3)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図13に示した従来例では、断熱パネルPが発泡樹脂パネル103(例えばフェノール発泡樹脂)で形成されているので、コンクリートとの付着力が弱いとともに、安全使用温度が低く(例えば100°C前後)、締付具113が必要となって工程数が増加したり、火災時の熱で発泡樹脂パネル103が膨張したり溶けたりして、耐火性耐力面材102とともに仕上材(モルタルやモルタルを介したタイル)がコンクリート壁100から剥がれ落ちるおそれがあるという問題点があった。
【0006】
本発明は上述の問題点に鑑みなされたもので、図13に示した提案例と同様に屋外側の堰板を撤去する工程を不要とし、産業廃棄物となるのを防止することができるだけでなく、締付具113に相当する締付具を不要として工程数を減少でき、しかも、火災などの熱で断熱パネルが膨張したり溶けて、仕上材がコンクリート壁から剥がれ落ちるのを防止することができる外断熱工法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、コンクリート壁を構築する際に、補強リブで補強された断熱パネルを屋外側の堰板として型枠を形成し、この型枠内にコンクリートを打設した後に、前記断熱パネルを型バラシすることなくその表面にモルタル又はモルタルを介したタイルなどの仕上材を固着する外断熱工法であって、前記補強リブを硬質木毛セメント、グラスファイバ強化コンクリートの一方からなる補強リブで形成し、前記断熱パネルを炭酸カルシウム発泡板、気泡コンクリート板の一方で形成したことを特徴とするものである。
【0008】
上述の構成において、型枠内にコンクリートを打設した後に断熱パネルを型バラシすることなくその表面にモルタル又はモルタルを介したタイルなどの仕上材を固着したので、屋外側の堰板を撤去する工程を不要として工程数を減少できるとともに、屋外側の堰板が産業廃棄物となるのを防止することができる。
しかも、補強リブを無機質のセメントを主体とした硬質木毛セメント、無機質のガラス繊維及びセメントを主体とした硬質木毛セメントlの一方で形成し、断熱パネルを無機質の炭酸カルシウム発泡板、気泡コンクリート板の一方で形成したので、コンクリートやモルタルとの付着力を大きくして締付具を不要とすることができるとともに、火災などの熱で断熱パネルが膨張したり溶けるのを防止することができる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、複数階用のコンクリート壁を構築する際に、断熱パネルの上方を補強して型枠強度を大きくするとともに、床スラブの形成を容易とし、さらに型枠形成を容易とするために、下の階用の型枠を形成してコンクリートを打設した後に、上の階用の型枠を形成してコンクリートを打設し、前記下の階用の型枠形成時に断熱パネルの上端面に桟木を仮固定し、その型枠内にコンクリートを打設するときに前記上の階の床スラブを形成し、この床スラブが固化した後に前記桟木を撤去し、この撤去でできた空隙部を前記上の階用の型枠を形成する時の断熱パネルの案内部としたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、コンクリート壁が窓用の開口部を有する際に、開口部用の堰板と断熱パネルの連結強度を大きくするとともに、前記開口部用の堰板にモルタルを直に付着し、されにその付着力を大きくするために、硬質木毛セメント、グラスファイバ強化コンクリートの一方からなる板を前記開口部用の堰板として型枠を形成し、この開口部用の堰板と断熱パネルの連結部を、補強リブを通る固定具で固定したことを特徴とするものである。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1、2又は3記載の発明において、隣接する断熱パネルの継ぎ目の連結強度を大きくするために、隣接する断熱パネルの継ぎ目にジョイント金具を当て、このジョイント金具を、対応する補強リブを通る固定具で両側の隣接する断熱パネルに固定したことを特徴とするものである。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1、2又は3記載の発明において、隣接する断熱パネルの継ぎ目の連結強度を大きくするために、隣接する断熱パネルの継ぎ目に、補強用の樹脂製メッシュを固着したことを特徴とするものである。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項1、2、3、4又は5記載の発明において、縦端太を省略して工程数を減少させ、コストを低減させるために、補強リブが、矩形枠状の枠リブ部と、この枠リブ部の上側と下側に一体に連結された縦リブ部とを具備し、前記枠リブ部及び縦リブ部は断熱パネルの発砲成形時に断熱パネルと一体に形成され、型枠形成時に、縦リブ部に形成された貫通孔にフォームタイを貫通して断熱パネルを固定したことを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による外断熱工法の一実施形態例を図面を用いて説明する。
図1及び図2は第1実施形態例を示すもので、これらの図において、1は補強リブ、3は断熱パネル、5は合板製の屋内側の堰板、7はセパレータ、9はジョイナー、11はコーン、13,15はフォームタイ、17は座金、19は縦端太としての縦パイプ、21は横端太としての横パイプ、23はナットである。
【0015】
補強リブ1は硬質木毛セメントで形成され、図2に示すように、縦がA(例えばA=2900mm)、横がB(例えばB=600mm)の矩形枠状の枠リブ部2と、この枠リブ部2の上側と下側の略中央部に一体に連結された縦リブ部4とを具備し、枠リブ部2はそのリブ幅がC(例えばC=30mm)、リブ厚がD(例えばD=20mm)に形成され、縦リブ部4はリブ幅がE(例えばE=60mm)、リブ厚がDに形成されている。
【0016】
断熱パネル3は炭酸カルシウム発泡板で形成され、例えばロックセルボード(フジ化成工業株式会社の商品名)で形成されている。
断熱パネル3は、図2に示すように、発泡成形によって縦がA横がB、板厚がF(例えばF=50mm)の矩形板状に形成されている。
補強リブ1は、断熱パネル3の発泡成形時に一体成形されるか、又は断熱パネル3の成形後に埋め込みなどによって一体に組込まれている。
縦リブ部4と、断熱パネル3の対応する部分には、両端部からの距離をG(例えばG=200mm)とし、ピッチをP(例えばP=500mm)とした複数の貫通孔25が形成され、この貫通孔25はフォームタイ13を貫通可能な大きさに形成され、その断熱パネル3側の開口部には、ジョイナー9のフランジ側係合部を係合可能な係合段部26が形成されている。
屋内側の堰板5には、調整用のボルト27を貫通可能な貫通孔29が形成されている。
【0017】
つぎに、図1の(a)〜(c)を用いてコンクリート壁31を構築する外断熱工法について説明する。
(1)図1(a)に示すように、補強リブ1で補強された断熱パネル3を屋外側の堰板として屋内側の堰板5と向かい合わせ、セパレータ7により構築するコンクリート壁31の厚さ分の間隔を開けて型枠を組み立てる。
なお、型枠組立時に鉄筋も組立てられが、図示の便宜上省略する。以下の例でも同様である。
【0018】
このとき、セパレータ7の屋外側のネジ部をジョイナー9の屋内側のネジ孔に螺合し、このジョイナー9の屋外側の係合部を断熱パネル3の係合段部26に係合し、フォームタイ13を貫通孔25に貫通させ、その先端側のネジ部をジョイナー9の屋外側のネジ孔に螺合する。
そして、フォームタイ13の上側と下側に支保工としての横パイプ21、21を設け、この横パイプ21、21に係合する座金17を介してフォームタイ13の基端側にナット23を螺合するこれによりジョイナー9と横パイプ21、21の間に、補強リブ1で補強されて断熱パネル3が固定される。この固定時には、補強リブ1が支保工の一部(後述する縦パイプ19に相当)として機能しているので、後述する縦パイプ19、19が不要となる。
【0019】
また、セパレータ7の屋内側のネジ部をコーン11の屋外側のネジ孔に螺合し、このコーン11の屋内側のネジ孔に堰板5の貫通孔29を貫通するボルト27の一側を螺合し、このボルト27の他側をフォームタイ15の先端側のネジ孔に螺合する。
そして、フォームタイ15の左右と上下に支保工としての縦パイプ19、19と横パイプ21、21を設け、横パイプ21、21に係合する座金17を介してフォームタイ 15の基端側に ナット23を螺合する。これによりコーン11と縦パイプ19、19の間に堰板5が固定される。
【0020】
(2)ついで、断熱パネル3と堰板5の間にコンクリートを打設し、コンクリートが固化した後に堰板5と支保工としての縦パイプ19、19及び横パイプ21〜21を撤去し、図1(b)に示すように、屋外側の壁面に補強リブ1で補強された断熱パネル3の固着したコンクリート壁31が構築される。
【0021】
(3)ついで、補強リブ1及び断熱パネル3の貫通孔25と、コーン11のネジ孔に発泡断熱材33、33を充填し、補強リブ1及び断熱パネル3の屋外側に張付けモルタル35を介して仕上材としてのタイル37〜37を固着し、コンクリート壁31の屋内側の壁面に内装材としての壁紙39を固着する。
【0022】
上述のように、補強リブ1で補強された断熱パネル3を屋外側の堰板としているので、従来必要としていた屋外用の堰板を撤去する工程が必要となる。
しかも、断熱パネル3が無機質の炭酸カルシウム発泡板で形成され、補強リブ1が無機質のセメントを主体とした硬質木毛セメントで形成されているので、断熱パネル3とコンクリート壁31の付着力と、補強リブ1及び断熱パネル3と張付けモルタル35の付着力とを大きくできるとともに、使用安全温度を高くして火災などの熱で断熱パネル3が膨張したり溶けたりするのを防止できる。
【0023】
前記第1実施形態例では、縦リブ部4を1本とし、屋外側の堰板の支保工の一部である縦パイプ19、19を不要とするために、縦リブ部4にフォームタイ13を貫通させる貫通孔25を形成した場合について説明したが、本発明はこれに限るものでなく、縦リブ部4を複数とした場合についても利用することができ、又はフォームタイ13を貫通させる貫通孔25を断熱パネル3に形成した場合についても利用することができる。
例えば、図4に示すように、補強リブ1を、枠リブ部2と、この枠リブ部2の左側と右側の間に等間隔Hで配設された2本の縦リブ部4、4とで形成し、断熱パネル3のうちの縦リブ部4、4の間に位置する部分に、縦方向にピッチをPとした貫通孔25を形成した場合についても利用することができる。
【0024】
図3は上述の変形例における外断熱工法の一例を示すもので、同図(a)〜(c)を用いて説明する。
(1)まず、図3(a)に示すように、補強リブ1で補強された断熱パネル3を屋外側の堰板として、構築するコンクリート壁31用の型枠を組み立てる。
このとき、フォームタイ13の左右と上下に支保工としての縦パイプ19、19と横パイプ21、21を設けている点と、貫通孔25が断熱パネル3のみに形成されている点とが図1(a)の場合と相違している。
【0025】
(2)ついで、断熱パネル3と堰板5の間にコンクリートを打設し、コンクリートが固化した後に堰板5とフォームタイ13、15、縦パイプ19〜19、横パイプ21〜21を撤去し、図3(b)に示すように、屋外側の壁面に補強リブ1で補強された断熱パネル3の固着したコンクリート壁31が構築される。
【0026】
(3)ついで、断熱パネル3の貫通孔25と、コーン11のネジ孔に発泡断熱材33、33を充填し、補強リブ1及び断熱パネル3の屋外側に張付けモルタル35を介してタイル37〜37を固着し、コンクリート壁31の屋内側の壁面に壁紙39を固着する。
【0027】
上述のように構成されているので、図1、図2に示した実施形態例と同様に、従来必要としていた屋外用の堰板を撤去する工程が不要になるとともに、断熱パネル3とコンクリート壁31の付着力と、補強リブ1及び断熱パネル3と張付けモルタル35の付着力とを大きくできるとともに、安全使用温度を高くして火災などの熱で断熱パネル3が膨張したり溶けたりするのを防止できる。
【0028】
図5は本発明の第2実施形態例を示すもので、この図において図1〜図4と同一部分は同一符号とする。
図5は、複数階用のコンクリート壁(31)を構築する際に、下の階のコンクリート壁(31)が固化した後に上の階のコンクリート壁(31)を構築する例を示すもので、断熱パネル3を屋外側の堰板として型枠を形成し、この型枠内にコンクリートを打設する点は、図3、図4に示した例と同様であるが、以下の点に特徴を有する。
【0029】
(1)説明の便宜上、図5では、1階(下の階の一例)のコンクリート壁及びコンクリート梁(図示省略)と、2階の床スラブ43とが固化した後にので支保工を撤去し、2階(上の階の一例)のコンクリート壁31、コンクリート梁41と3階の床スラブ43を構築する場合について説明する。
【0030】
(2)1階用の断熱パネル3の屋外側上部に、受け金具45と釘(又はネジ)47〜47を用いて2階用の受材49を仮固定し、この受材49の上に桟木53を介して屋外側の縦パイプ19、19を立設する。また、受材49と床スラブ43の間で断熱パネル3の上端部に形成された空隙部51に、2階用の断熱パネル3の下端部を案内して挿入し、断熱パネル3の上端部に桟木55を釘(図示省略)で固定し、床スラブ43の所定位置に桟木53を介して屋内側の縦パイプ19、19を立設し、図1〜図4と同様にして、図5に示すような型枠を組み立てる。
【0031】
(3)ついで、型枠内にコンクリートを打設し、2階用のコンクリート壁31、コンクリート梁41と3階用の床スラブ43が構築される。
このとき、断熱パネル3の上端部が桟木55で補強されているので強度を大きくするとともに、床スラブ43形成時に桟木55を水平基準とすることができる。
【0032】
(4)2階用のコンクリート壁31及びコンクリート梁41と3階用の床スラブ43が固化した後に、支保工としての縦パイプ19〜19,横パイプ21〜21や、受け金具45、受材49、桟木53、53、55を撤去し、3階用のコンクリート壁及びコンクリート梁と4階用の床スラブを構築する。このとき、2階用の断熱パネル3の屋外側上部に仮固定した3階用の受材49と3階用の床スラブ43の間に形成された空隙部51を、3階用の断熱パネル3の下端部の案内部として利用することができる。この空隙部51は、2階用の断熱パネル3の上端部に固定された桟木55を、コンクリート固化後に撤去することによって、受材49と床スラブ43の間に形成される。
【0033】
図6〜図9は、本発明の第3実施形態例を示すもので、これらの図において図1〜図4と同一部分は同一符号とする。
図6〜図9は構築するコンクリート壁(31)が開口部(例えば窓用の開口部)を有する例を示すもので、硬質木毛セメントで形成された板を開口部用の堰板57として型枠を形成し、この型枠内にコンクリートを打設する点は図1、図2に示した例と同様であるが、以下の点に特徴を有する。
【0034】
(1)図示の便宜上、図6、図7では、縦パイプ19〜19、横パイプ21〜21などの支保工やセパレータ7、ジョイナー9、コーン11、 フォームタイ13、15、座金17、ナット23などの型枠形成部品の図示を省略して開口部を有するコンクリート壁31を構築する場合について説明する。
【0035】
(2)図6に示すように、屋外側の堰板として複数の断熱パネル3〜3が並列に配設され、この断熱パネル3〜3に形成された開口部59の内周端面付近に沿って開口部用の堰板57が固定される。
堰板57は矩形枠状に形成され、左側、右側及び上側の板部はその板面が開口面に対してほぼ垂直に配設され、下側の板部はその板面が屋外側に向うに従って下方へ下がる傾斜面に形成されている。
堰板57の左側、右側及び上側の板部の板面の屋外側部分には、硬質木毛セメントで逆U字状に形成された補強枠61が固着されている。
【0036】
堰板57の屋外側の端面は、少なくとも補強リブ1〜1を通る釘(又はネジ)63〜63によって断熱パネル3〜3に固定されている。詳しくは、堰板57の上側板部の屋外側端面は、図7(a)の上側に示すように、対応する枠リブ部2〜2の下側板部を通る釘(又はネジ)63〜63によって対応する断熱パネル3〜3に固定され、堰板57の左側と右側板部の屋外側端面は、図7(b)に示すように、対応する枠リブ部2〜2の左側板部と右側板部を通る釘(又はネジ)63〜63によって対応する断熱パネル3〜3に固定され、堰板57の下側板部の屋外側端面は、図7(a)の下側に示すように、対応する縦リブ部4〜4を通る釘(又はネジ)63〜63によって対応する断熱パネル3〜3に固定される。
【0037】
(3)ついで、型枠内にコンクリートを打設し、コンクリートが固化した後に、図示を省略した支保工や型枠形成部品と堰板5を撤去し、図7の(a)(b)で堰板5を取り外したようなコンクリート壁31が構築される。すなわち、屋外側の壁面には補強リブ1で補強された断熱パネル3が固着し、開口部59の内周端面付近には補強枠61で補強された堰板57が固着したコンクリート壁31が構築さる。この堰板57は、窓を取り付けるための開口枠となり、型バラシ不要となる。
【0038】
(4)ついで、図8、図9に示すように、パーライトモルタル65の充填によって、開口枠としての堰板57の下側板部、左側板部及び右側板部の内周端面に水切り67を固着するとともに、堰板57の内周端面に窓枠(例えばアルミサッシュ枠)69を固着し、さらに堰板57の屋内側内周端面に四方額縁71を固着する。
また、補強リブ1及び断熱パネル3の屋外側露出面と、補強枠61の屋外側露出面には、図8、図9に示すように、張付けモルタル35を介してタイル37〜37を固着し、コンクリート壁31の屋内側の壁面には、壁紙39を固着する。図8、図9において73、73は現場発泡で充填された硬質発砲ウレタン、75〜75はシーリング材である。
【0039】
図10及び図11は本発明の第4実施形態例を示すもので、これらの図において図1〜図17と同一部分は同一符号とする。
図10及び図11は外断熱工法の型枠形成時において隣接する断熱パネル3、3の継ぎ目の連結強度を大きくするための例を示すもので、図10は、隣接する断熱パネル3、3を板面が同一平面となるように連結した場合を示し、図11は、隣接する断熱パネル3、3を板面が直角となって角部が入隅部となるように連結した場合を示すものである。
図10では、同図(b)に示すようなジョイント金具81を、同図(a)に示すように隣接する断熱パネル3、3の継ぎ目に当て、このジョイント金具81を断熱パネル3、3及び補強リブ1、1を通る釘(又はネジ)83、83によって両側の断熱パネル3、3に固定することによって継ぎ目の連結強度を大きくすることができる。
図11では、ジョイント金具81を隣接する断熱パネル3、3の入隅部の継ぎ目に当て、このジョイント金具81を補強リブ1を通る釘(又はネジ)85と、断熱パネル3及び補強リブ1を通る釘(又はネジ)87によって両側の断熱パネル3、3に固定することによって継ぎ目の連結強度を大きくすることができる。図11において、89はコンクリート躯体(例えばコンクリート壁の入隅部分)を表す。
【0040】
図12は本発明の第5実施形態例を示すもので、この図において図1〜図7と同一
部分は同一符号とする。
図12は、外断熱工法の型枠形成時において、隣接する断熱パネル3、3を板面が直角となって角部が出隅部となるように連結した場合に、隣接する断熱パネル3、3の継ぎ目の連結強度を大きくするための例を示すもので、隣接する断熱パネル3、3の出隅部の継ぎ目を補強リブ1と補強リブ1及び断熱パネル3を通る釘(又はネジ)89で固定するとともに、この出隅部の継ぎ目に釘やネジ(図示省略)によって樹脂製メッシュ91を固着することによって継ぎ目の連結強度を大きくすることができる。この場合、この樹脂製メッシュ91の表面に仕上材としてのモルタル又は張付けモルタル35を介したタイル37〜37をより強固に固着することができる。
図12において、93はコンクリート躯体(例えばコンクリート壁の出隅部分)を表す。
【0041】
前記実施形態例では、補強リブ1が硬質木毛セメントで形成された場合について説明したが、本発明はこれに限るものでなく、補強リブ1がグラスファイバ強化コンクリートで形成された場合についても利用することができる。
【0042】
前記実施形態例では、断熱パネル3が炭酸カルシウム発泡板で形成された場合について説明したが、本発明はこれに限るものでなく、断熱パネル3が気泡コンクリート板で形成された場合についても利用することができる。
【0043】
前記実施形態例では、屋内側の堰板を汎用の合板で形成して、型バラシが必要な場合について説明したが、本発明はこれに限るものでなく、屋内側の堰板を、硬質木毛セメント板又はグラスファイバ強化コンクリート板で形成し、屋内側の堰板についても型バラシを不要とした場合についても利用することができる。
【0044】
【発明の効果】
請求項1記載の発明は、補強リブ(1)で補強された断熱パネル(3)を屋外側の堰板として型枠を形成し、コンクリート打設後に断熱パネル(3)を型バラシすることなくその表面にモルタルやモルタルを介したタイルなどの仕上材を固着する構成としたので、屋外側の堰板を撤去する工程が不要となり、屋外側の堰板が産業廃棄物になるのを防止できる。
しかも、補強リブ(1)を無機質のセメントを主体とした硬質木毛セメント、無機質のガラス繊維及びセメントを主体としたグラスファイバ強化コンクリートの一方からなる補強リブで形成し、断熱パネル(3)を無機質の炭酸カルシウム発泡板、気泡コンクリート板の一方で形成した。このため、コンクリートやモルタルとの付着力を大きくすることができ、図13に示した従来例のような締付具を不要とし、工程数を減少してコストを低減することができるとともに、安全使用温度を高くして火災などの熱で断熱パネル(3)が膨張したり溶けてモルタルやタイルがコンクリート壁(13)から剥がれ落ちるのを防止できる。
【0045】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、構築するコンクリート壁(31)を複数階用のコンクリート壁(31)とし、下の階用の型枠形成時に断熱パネル(3)の上端面に桟木(55)を仮固定し、コンクリート打設時に上の階の床スラブ(43)を形成し、この床スラブ(43)固化後に桟木(55)を撤去し、撤去でできた空隙部(51)を上の階用の型枠形成時の断熱パネル(3)の案内部としたので、断熱パネル(3)の上方を桟木(55)で補強して型枠強度を大きくするとともに、床スラブ(43)形成時に桟木(55)を水平基準として床スラブ(43)の形成を容易にすることができ、しかも、桟木(55)撤去後の空隙部(51)を案内部として上の階用の型枠形成を容易にすることができる。
【0046】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、構築するコンクリート壁(31)が開口部を有し、硬質木毛セメント、グラスファイバ強化コンクリートの一方からなる板を開口部用の堰板(57)として型枠を形成し、開口部用の堰板(57)と断熱パネル(3)の連結部を、補強リブ(1)を通る固定具(63)で固定したので、補強リブ(1)を利用して開口部用の堰板(57)と断熱パネル(3)の連結強度を大きくすることができるとともに、この開口部用の堰板(57)にモルタルを直に付着することができ、しかも、その付着力を大きくすることができる。
【0047】
請求項4記載の発明は、請求項1、2又は3記載の発明において、隣接する断熱パネル(3)、(3)の継ぎ目にジョイント金具(81)を当て、このジョイント金具(81)を、対応する補強リブ(1)、(1)を通る固定具(83又は85)、(83又は87)で両側の断熱パネル(3)、(3)に固定したので、隣接する断熱パネル(3)、(3)の継ぎ目の連結強度を大きくすることができる。
【0048】
請求項5記載の発明は、請求項1、2又は3記載の発明において、隣接する断熱パネル(3)、(3)の継ぎ目に補強用の樹脂製メッシュ(91)を固着したので、隣接する断熱パネル(3)、(3)の継ぎ目の連結強度を大きくすることができる。
【0049】
請求項6記載の発明は、請求項1、2、3、4又は5記載の発明において、補強リブ(1)が枠リブ部(2)と縦リブ部(4)を具備し、枠リブ部(2)及び縦リブ部(4)が断熱パネル(3)の発泡成時に断熱パネル(3)と一体に形成され、型枠形成時に縦リブ部(4)の貫通孔(25)にフォームタイ(13)を貫通して断熱パネル(3)を固定したので、屋外側堰板を支持する縦端太(19)を省略して工程数を減少させ、コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による外断熱工法の第1実施形態例を示す断面図である。
【図2】図1中の補強リブ1で補強された断熱パネル3を示すもので、(a)は一部を省略した外観の斜視図、(b)は(a)を貫通孔25を通る横断面図で切断した要部拡大斜視図である。
【図3】図1に示す例の変形例を示す断面図である。
【図4】図3中の補強リブ1で補強された断熱パネル3を示すもので、(a)は一部を省略した外観の斜視図、(b)は(a)を貫通孔25を通る横断面図で切断した要部拡大斜視図である。
【図5】本発明による外断熱工法の第2実施形態例を示す図である。
【図6】本発明による外断熱工法の第3実施形態例を示す図である。
【図7】図6の拡大断面図を示すもので、(a)は、A−A線拡大断面図、(b)は、B−B線拡大断面図である。
【図8】図6の開口部59内に窓枠69を固着するとともに、補強リブ1及び断熱パネル3の屋外側に仕上材を固着した状態を示すもので、図7(a)に対応させた拡大断面図である。
【図9】図6の開口部59内に窓枠69を固着するとともに、補強リブ1及び断熱パネル3の屋外側に仕上材を固着した状態を示すもので、図7(b)に対応させた拡大断面図である。
【図10】本発明による外断熱工法の第4実施形態例を示すもので、(a)は要部拡大断面図、(b)は(a)中のジョイント金具81を示す斜視図である。
【図11】図10に示す例の変形例を示す要部拡大断面図である。
【図12】本発明による外断熱工法の第5実施形態例を示す要部拡大断面図である。
【図13】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
1…補強リブ、 2…補強リブ1の枠リブ部、 3…断熱パネル、 4…補強リブ1の縦リブ部、 5…屋内側の堰板、 7…セパレータ、 9…ジョイナー、 11…コーン、 13、15…フォームタイ、 17…座金、 19…縦パイプ、21…横パイプ、 25…貫通孔、 31…コンクリート壁、 35張付けモルタル、 37…タイル、 43…床スラブ、 45…受け金具、 47、63、83、85、87、89…釘(又はネジ)、 49…受材、 51…空隙部、 55…桟木、 57…開口部用の堰板、 59…開口部、 61…補強枠、 69…窓枠、 81…ジョイント金具、 61…樹脂製メッシュ
Claims (6)
- コンクリート壁(31)を構築する際に、補強リブ(1)で補強された断熱パネル(3)を屋外側の堰板として型枠を形成し、この型枠内にコンクリートを打設した後に、断熱パネル(3)を型バラシすることなくその表面にモルタル又はモルタルを介したタイルなどの仕上材を固着する外断熱工法であって、補強リブ(1)を硬質木毛セメント、グラスファイバ強化コンクリートの一方からなる補強リブで形成し、断熱パネル(3)を炭酸カルシウム発泡板、気泡コンクリート板の一方で形成したことを特徴とする外断熱工法。
- 構築するコンクリート壁(31)を複数階用のコンクリート壁とし、下の階用の型枠を形成してコンクリートを打設した後に、上の階用の型枠を形成してコンクリートを打設し、前記下の階用の型枠形成時に断熱パネル(3)の上端面に桟木(55)を仮固定し、その型枠内にコンクリートを打設するときに上の階の床スラブ(43)を形成し、この床スラブ(43)が固化した後に桟木(55)を撤去し、この撤去でできた空隙部(51)を前記上の階用の型枠を形成する時の断熱パネル(3)の案内部としたことを特徴とする請求項1記載の外断熱工法。
- 構築するコンクリート壁(31)は開口部を有し、硬質木毛セメント、グラスファイバ強化コンクリートの一方からなる板を開口部用の堰板(57)として型枠を形成し、この開口部用の堰板(57)と断熱パネル(3)の連結部を、補強リブ(1)を通る固定具(63)で固定したことを特徴とする請求項1又は2記載の外断熱工法。
- 隣接する断熱パネル(3)、(3)の継ぎ目にジョイント金具(81)を当て、このジョイント金具(81)を、対応する補強リブ(1)、(1)を通る固定具(83又は85)、(83又は87)で両側の隣接する断熱パネル(3)、(3)に固定したことを特徴とする請求項1、2又は3記載の外断熱工法。
- 隣接する断熱パネル(3)、(3)の継ぎ目に、補強用の樹脂製メッシュ(91)を固着したことを特徴とする請求項1、2、又は3記載の外断熱工法。
- 補強リブ(1)は、矩形枠状の枠リブ部(2)と、この枠リブ部(2)の上側と下側に一体に連結された縦リブ部(4)とを具備し、枠リブ部(2)及び縦リブ部(4)は断熱パネル(3)の発砲成形時に断熱パネル(3)と一体に形成され、型枠形成時に、縦リブ部(4)に形成された貫通孔(25)にフォームタイ(13)を貫通して断熱パネル(3)を固定したことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の外断熱工法。
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