JP2002339162A - 難燃性高収縮ポリエステル繊維およびそれを用いた繊維製品 - Google Patents

難燃性高収縮ポリエステル繊維およびそれを用いた繊維製品

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JP2002339162A
JP2002339162A JP2001137748A JP2001137748A JP2002339162A JP 2002339162 A JP2002339162 A JP 2002339162A JP 2001137748 A JP2001137748 A JP 2001137748A JP 2001137748 A JP2001137748 A JP 2001137748A JP 2002339162 A JP2002339162 A JP 2002339162A
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Japan
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flame
retardant
acid
polyester
shrinkage
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JP2001137748A
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Masahisa Matsuda
全央 松田
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 難燃性および難燃耐久性と透け防止性を同時
に満足する難燃性高収縮ポリエステル繊維およびそれを
用いた繊維製品を提供する。 【解決手段】 リン原子を500〜50,000ppm
含有するポリエステル繊維であって、沸水収縮率(SH
W)が40%以上、乾熱収縮率(SHD)が50%以上
であることを特徴とする難燃性高収縮ポリエステル繊
維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リン原子を含有す
るポリエステルを用いて収縮率、収縮応力の大きいマル
チフィラメントを紡糸、延伸し、得られた延伸糸を用い
て織編物を作製し染色加工することにより、優れた難燃
性および難燃耐久性はもちろんのこと透け感のない繊維
製品を提供するための難燃性に優れたポリエステル高収
縮ポリエステル繊維ならびにその繊維製品に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維は取り扱いやすく、適
度の着用耐久性があり、さらに価格の面でも他の合成繊
維に比べて有利であり衣料用繊維として極めて広い用途
を有している。また、近年の傾向として消費者のニーズ
の多様化により機能性を有するポリエステル繊維の開発
が盛んになってきており、種々の機能性繊維が開発され
ている。中でも防災に対する意識の向上、あるいは法規
制の強化から、難燃性への関心は年々高まりつつあり、
特に病院、旅館、ホテル、福祉施設等の公共施設で使用
されるカーテン等の繊維製品は防災対策として難燃性を
有する繊維を使用することが必須となってきている。し
かしながら、従来の難燃製品に関しては燃焼時に有害ガ
スが発生したり、後加工工程で繊維表面に難燃剤を固着
させたために製品の風合いが粗硬であったり、また洗濯
による難燃耐久性に欠けるなど多くの問題点があった。
【0003】また、ホテル、旅館、劇場等で使用される
カーテン、緞帳、舞台幕には難燃性はもちろんのこと、
透け感のないことが要求される。これまでにも、透け防
止性を有する難燃商品はあったが、難燃加工しているた
めに難燃耐久性に欠けていたり、風合いが粗硬であった
りと、ソフト感、難燃耐久性、透け防止性を同時に満足
する商品はなかった。
【0004】以上のことから、難燃性および難燃耐久性
があり、さらにはソフトで透け防止性に優れたポリエス
テル繊維製品が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を克服し、従来の方法では達成し得なかった難燃性およ
び難燃耐久性とソフト感さらには透け防止性を有するポ
リエステル繊維製品を難燃性高収縮ポリエステル繊維を
用いて提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達し
た。即ち本発明は、以下の構成よりなる。その第1は、
リン原子を500〜50,000ppm含有するポリエ
ステル繊維であって、沸水収縮率(SHW)が40%以
上、乾熱収縮率(SHD)が50%以上であることを特
徴とする難燃性高収縮ポリエステル繊維。その第2は、
熱収縮応力曲線において下記式を満足することを特徴と
する上記第1記載の難燃性高収縮ポリエステル繊維。 Ts≧40(℃) σ160≧0.18(cN/dtex) (式中、Tsは熱応力曲線における応力の立上り開始温
度を、σ160は160℃における熱応力値を表す。) その第3は、10〜50個/mの交絡が施されているこ
とを特徴とする上記第1又は第2記載の難燃性高収縮ポ
リエステル繊維。その第4は、ポリエステルマルチフィ
ラメントが、それぞれ下記一般式(1)及び/又は
(2)で示されるリン化合物を添加して得られる共重合
ポリエステルからなることを特徴とする上記第1〜第3
のいずれか記載の難燃性高収縮ポリエステル繊維。
【0007】
【化2】
【0008】(上記式中、R1は1価のエステル形成性
官能基であり、R2、R3は同じか又は異なる基であっ
て、それぞれハロゲン原子、炭素数1〜10個の炭化水
素基、R 1より選ばれ、Aは2価もしくは3価の有機残
基を表す。また、n1は1又は2であり、n2、n3はそ
れぞれ0〜4の整数を表す。さらに、R4、R6はそれぞ
れ炭素数が1〜21のアルキル基、アリール基、モノヒ
ドロキシアルキル基又は水素原子、R5は炭素数が1〜
6のアルキル基又はアリール基を表す。) その第5は、上記第1〜第4のいずれか記載の難燃性高
収縮ポリエステル繊維を少なくとも1部に用いたことを
特徴とする難燃性ポリエステル織編物。その第6は、上
記第5記載の難燃性ポリエステル織編物を使用してなる
カーテン。その第7は、上記第5記載の難燃性ポリエス
テル織編物を使用してなる緞帳。その第8は、上記第5
記載の難燃性ポリエステル織編物を使用してなる舞台
幕。
【0009】本発明におけるポリエステルとは、テレフ
タル酸又はナフタレンジカルボン酸を主たる酸成分と
し、少なくとも一種のグリコール、好ましくはエチレン
グリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレン
グリコールから選ばれた少なくとも一種のアルキレング
リコールを主たるグリコール成分とするポリエステルを
対象とする。また、テレフタル酸成分、又はナフタレン
ジカルボン酸成分の一部を他の二官能性カルボン酸成分
で置き換えたポリエステルであってもよく、及び/又は
グリコール成分の一部を主成分以外の上記グリコールも
しくは他のジオール成分で置き換えたポリエステルであ
ってもよい。ジカルボン酸としては、蓚酸、マロン酸、
コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベ
リン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン
酸、ドデカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン
酸、ヘキサデカンジカルボン酸、1,3ーシクロブタン
ジカルボン酸、1,3ーシクロペンタンジカルボン酸、
1,2ーシクロヘキサンジカルボン酸、1,3ーシクロヘ
キサンジカルボン酸、1,4ーシクロヘキサンジカルボン
酸、2,5ーノルボルナンジカルボン酸、ダイマー酸な
どに例示される飽和脂肪族ジカルボン酸又はこれらのエ
ステル形成性誘導体、フマル酸、マレイン酸、イタコン
酸などに例示される不飽和脂肪族ジカルボン酸又はこれ
らのエステル形成性誘導体、オルソフタル酸、イソフタ
ル酸、テレフタル酸、5ー(アルカリ金属)スルホイソ
フタル酸、ジフェニン酸、1,3ーナフタレンジカルボ
ン酸、1,4ーナフタレンジカルボン酸、1,5ーナフタ
レンジカルボン酸、2,6ーナフタレンジカルボン酸、
2,7ーナフタレンジカルボン酸、4、4'ービフェニル
ジカルボン酸、4、4'ービフェニルスルホンジカルボ
ン酸、4、4'ービフェニルエーテルジカルボン酸、1,
2ービス(フェノキシ)エタンーp,p'ージカルボン
酸、パモイン酸、アントラセンジカルボン酸などに例示
される芳香族ジカルボン酸又はこれらのエステル形成性
誘導体が挙げられ、これらのジカルボン酸のうちテレフ
タル酸およびナフタレンジカルボン酸とくに2,6ーナ
フタレンジカルボン酸が好ましい。これらジカルボン酸
以外の多価カルボン酸として、エタントリカルボン酸、
プロパントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ピ
ロメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、3、
4、3'、4'ービフェニルテトラカルボン酸、およびこ
れらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。グリコ
ールとしてはエチレングリコール、1、2ープロピレン
グリコール、1、3ープロピレングリコール、ジエチレ
ングリ コール、トリエチレングリコール、1、2ーブ
チレングリコール、1、3ーブチレングリコール、2、
3ーブチレングリコール、1,4ーブチレングリコー
ル、1、5ーペンタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、1,6ーヘキサンジオール、1,2ーシクロヘキサン
ジオール、1,3ーシクロヘキサンジオール、1,4ーシ
クロヘキサンジオール、1,2ーシクロヘキサンジメタ
ノール、1,3ーシクロヘキサンジメタノール、1,4ー
シクロヘキサンジメタノール、1,4ーシクロヘキサン
ジエタノール、1,10ーデカメチレングリコール、
1、12ードデカンジオール、ポリエチレングリコー
ル、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレン
グリコールなどに例示される脂肪族グリコール、ヒドロ
キノン、4, 4'ージヒドロキシビスフェノール、1,4
ービス(βーヒドロキシエトキシ)ベン ゼン、1,4ー
ビス(βーヒドロキシエトキシフェニル)スルホン、ビ
ス(p−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(p−ヒ
ドロキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフ
ェニル)メタン、1、2ービス(p−ヒドロキシフェニ
ル)エタン、ビスフェノールA、ビスフェノールC、2,
5ーナフタレンジオール、これらのグリコールにエチレ
ンオキシドが付加したグリコール、などに例示される芳
香族グリコールが挙げられ、これらのグリコールのうち
エチレングリコールおよび1,4ーブチレングリコール
が好ましい。これらグリコール以外の多価アルコールと
して、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、
トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリ
セロール、ヘキサントリオールなどが挙げられる。ヒド
ロキシカルボン酸としては、乳酸、クエン酸、リンゴ
酸、酒石酸、ヒドロキシ酢酸、3ーヒドロキシ酪酸、p
−ヒドロキシ安息香酸、pー( 2ーヒドロキシエトキ
シ)安息香酸、4ーヒドロキシシクロヘキサンカルボン
酸、又はこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられ
る。環状エステルとしては、ε-カプロラクトン、β-プ
ロピオラクトン、β-メチル-β-プロピオラクトン、δ-
バレロラクトン、グリコリド、ラクチドなどが挙げられ
る。 多価カルボン酸もしくはヒドロキシカルボン酸の
エステル形成性誘導体としては、これらのアルキルエス
テル、酸クロライド、酸無水物などが挙げられる。本発
明においては、上記のジカルボン酸成分とジオール成分
から構成されるポリエステルは、その繰り返し単位の8
0モル%以上がエチレンテレフタレート単位又はエチレ
ンナフタレートであることが特に好ましい。
【0010】また、これらポリエステル繊維中には少量
の他の任意の重合体や酸化防止剤、制電剤、染色改良
剤、染料、顔料、艶消し剤その他の添加剤が含有されて
いても良い。
【0011】さらに、本発明における難燃性高収縮繊維
およびそれを用いた繊維製品には後工程にて消臭、抗
菌、吸湿、芳香、制電等の機能付与のための物理的及び
化学的な処理を施しても何ら構わない。その場合、難燃
性が低下するのを防ぐためにさらに難燃加工を施すこと
は効果的である。但し、ソフトな風合いを低下させない
程度に施すことが望ましい。
【0012】本発明の難燃性高収縮ポリエステル繊維お
よびそれを用いた繊維製品に用いるポリエステルポリマ
ーは、リン原子を含有するリン化合物が共重合されたポ
リエステルであり、リン化合物とは、ポリエステルの構
成成分であるジカルボン酸やジオールと反応してポリエ
ステルに共重合することができる化合物である。このリ
ン化合物のなかで好ましい化合物は、ポリエステルの側
鎖及び/又は末端にリン原子を導入することができる化
合物であり、該化合物はそれぞれ単独で使用しても、同
時に使用しても何ら構わない。但し、織編物のソフトな
風合い向上のためには、分子鎖の配向を乱し、繊維の弾
性率を低下させるという観点で側鎖にリン原子を導入し
た化合物用いることがより好ましい。
【0013】このリン化合物の例としては、上記一般式
(1)及び/又は(2)で示される化合物が挙げられ
る。
【0014】更に、一般式(1)の化合物の具体的な化
合物としては下記a〜βの化合物が挙げられる。
【0015】
【化3】
【0016】
【化4】
【0017】
【化5】
【0018】
【化6】
【0019】
【化7】
【0020】
【化8】
【0021】また、一般式(2)の具体的な化合物の例
としては、(2−カルボキシエチル)メチルホスフィン
酸、(2−カルボキシエチル)メチルホスフィン酸とエ
チレングリコールとのエステル、(2−カルボキシエチ
ル)メチルホスフィン酸の環状無水物、(2−カルボキ
シエチル)エチルホスフィン酸、(2−メトキシカルボ
ニルエチル)メチルホスフィン酸、[2−(β−ヒドロ
キシエトキシカルボニル)エチル]メチルホスフィン
酸、(2−メトキシカルボニルエチル)メチルホスフィ
ン酸メチル等を挙げることができ、これらは単独で使用
しても、併用してもよく、またこれらの化合物をさらに
縮合させたものでもよい。
【0022】
【化9】
【0023】本発明における難燃性高収縮ポリエステル
繊維およびそれを用いた繊維製品の製造に用いられる共
重合ポリエステルは、例えば特公昭55−41610号
公報に記載されるような公知の方法で重合することがで
き、該共重合ポリエステルを溶融押出機により紡糸口金
より260〜270℃で吐出し、引取り速度1000m
/分〜4000m/分の範囲で引取り捲き取った後、あ
るいは捲き取ることなく連続して延伸を行い、延伸工程
において熱セットを施すことなく、あるいは100℃以
下の低温熱セットを施すことによって得ることができ
る。
【0024】本発明における難燃性高収縮ポリエステル
繊維およびそれを用いた繊維製品に用いられる共重合ポ
リエステルのリン原子の含有量は500〜50,000
ppmであり、500ppm未満であると難燃性能が劣
るだけでなく、立体障害となる側鎖が少ないため分子鎖
の配向が進み易くなり繊維の弾性率が向上することによ
りソフト感が出ない。また、50,000ppmを超え
るとリン原子を含有するリン化合物の共重合量を多くす
る必要があり、その結果、ポリマーの融点が著しく低下
し、紡糸が困難となるばかりか、繊維の強度も低下する
ため好ましくない。好ましくは1,500〜30,00
0ppmであり、より好ましくは3,000〜10,0
00ppmである。
【0025】本発明における難燃性高収縮ポリエステル
繊維の沸水収縮率(SHW)は40%以上であることが
望ましく、40%未満では、製編織後のリラックス工程
での収縮量が少なく透け防止性に欠ける。そのため、透
け感を防止するために製編織時に目付けを上げる必要が
あり、コストアップとなるため好ましくない。より好ま
しくは50%以上である。さらに、乾熱収縮率(SH
D)については50%以上であることが必要であり、5
0%未満では、製編織後のリラックス工程での収縮量が
少なく透け防止性に欠ける。そのため、透け感を防止す
るために製編織時に目付けを上げる必要があり、コスト
アップとなるため好ましくない。より好ましくは60%
以上である。
【0026】また、本発明における難燃性高収縮ポリエ
ステル繊維の熱応力曲線の応力立上り開始温度(Ts)
は40℃以上であることが望ましく、40℃未満である
と、サイジング時の乾燥工程において収縮が発現してし
まい、製織後のリラックス或いはセット工程での幅入れ
量が少なく透け感が出るため好ましくない。より好まし
くは45℃以上である。上限は特に限定しないが、高く
なりすぎると高収縮糸の収縮率が低下することになり好
ましくない。好ましくは80℃以下である。
【0027】さらに、本発明における難燃性高収縮ポリ
エステル繊維の160℃における熱応力値は0.18c
N/dtex以上であることが好ましく、0.18cN
/dtex未満であると、製織後のリラックス工程で布
帛の拘束力下での収縮発現力が小さく、収縮による透け
防止効果に欠ける。より好ましくは0.19cN/dt
ex以上である。
【0028】また、本発明における難燃性高収縮ポリエ
ステル繊維には交絡が施されていることが好ましい。と
くに、高収縮ポリエステル繊維の場合、収縮特性を保持
させるために糊付け工程は省略されるかあるいは簡易糊
付けにする場合があり、交絡が施されていない場合は整
経や製編織時にフィラメント割れや単糸切れを起こし易
く工程の通過性に問題が出る恐れがある。好ましくは1
0〜50個/mであり、更に好ましくは15〜40個/
mである。
【0029】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。な
お、本発明の評価に用いた方法は以下の通りである。
【0030】(沸水収縮率:SHW)熱収縮むら測定シ
ステム(FTA−500;東レエンジニアリング(株)
製)を用いて、5.0m/分の速度で回転するフィード
ローラーと回転速度が自動調整可能なドローローラーと
の間で糸条走行張力が0.4gに保たれるようドローロ
ーラーの回転速度(Vd)を自動調整しつつ2つのロー
ラー間に設置された100℃の沸水浴中に糸条を走行さ
せてローラー速度差から以下の式により収縮率を算出す
る方法により測定した。 SHW(%)=(5-Vd)/5×100 Vd:ドローローラーの回転速度(m/分)
【0031】(乾熱収縮率:SHD)0.029cN/
dtexに相当する荷重を加え、原糸50.0cmの長
さに予め印を付けておき、引き続き160℃のオーブン
で30分間処理し、処理後に同荷重を加えて印の間の長
さ(L)を測定し、次式により求めた。 SHD(%)=(50−L)/L×100
【0032】(熱応力、応力立上り開始温度)熱応力測
定機(SII製TMA/SS100)を用いて総繊度が
84〜138デシテックスになるよう引き揃え、チャッ
ク間が2cmの長さになるように両端を挟み熱応力測定
機にセットする。試料に0.037g/dtexの初荷
重をかけ定長に保ちながら室温から300℃まで20℃
/分の速度で昇温する。この際に発生する応力を記録装
置により連続的に記録する。得られた熱応力曲線の応力
立上り温度をTsとし、160℃における応力値をσ160
とした。
【0033】(交絡数)50cm長の糸を水浴に浸漬
し、交絡の施されている部分の個数を目視で読み取る方
法により交絡数を測定し、これを5回繰り返しその平均
値を1m当たりに換算し評価した。
【0034】(透け感評価)ポリエステル織編物の染色
加工評価の経験の長い技術者3名により布帛の透け性を
評価した。透け防止性に優れるものから順に○、△、×
で判定した。
【0035】(難燃性評価)1999年度版JIS L
−1091 A−1法(45°ミクロバーナ法)に従い
1分加熱後の燃焼面積(cm2)、残炎時間(秒)、残
塵時間(秒)を評価した。更にJIS L−1901
D法(45°コイル法)に従い評価した。
【0036】(実施例1)テレフタル酸をカルボン酸成
分とし、エチレングリコールをグリコール成分とし、前
記のリン含有化合物(x)をリン原子含有量が6000
ppmとなるよう共重合させたリン含有共重合ポリエス
テルを用いて262℃に加熱された径が0.3mmの円
形オリフィスを36個有する偶数個の紡糸口金よりポリ
マーを吐出し、3000m/分の周速で回転する第1ゴ
デットローラーで引取った後、一旦捲き取ることなく8
5℃に加熱された第2ゴデットローラーさらには、90
℃に加熱された第3ゴデットローラーを通して1.76
倍に延伸し、インターレーサーを通して空気交絡を施し
た後、捲取ることにより110デシテックス36フィラ
メントの難燃性高収縮ポリエステル繊維を得た。
【0037】得られたポリエステル繊維を筒編地とし、
70℃で10分間の精練の後、乾燥後、サーモセッター
にて160℃、60秒のプレセットを行い、分散染料に
よる高圧染色を行った後、160℃、60秒のファイナ
ルセットを行った。得られた布帛は透け感がなく難燃性
能評価の結果も合格であった。
【0038】(実施例2)リン化合物(x)を(2−カル
ボキシエチル)メチルホスフィン酸に変え、該リン化合
物を酸成分に対してリン原子が6000ppm含有され
るよう共重合したリン含有共重合ポリエステルを用いて
難燃性高収縮ポリエステル繊維を得た以外は実施例1と
同法にて仕上げ布を得た。得られた布帛は透け感がなく
難燃性能評価の結果も合格であった。
【0039】(実施例3)紡糸時の第3ゴデットローラ
ー温度を110℃とした以外は実施例1と同法にて仕上
げ布を得た。得られた布帛はやや透け感があるものの実
用上問題ないレベルであり、難燃性能評価の結果は合格
であった。
【0040】(比較例1)リン原子の含有量を300p
pmとした以外は実施例1と同法にて仕上げ布を得た。
得られた布帛は透け感がなく、透け防止性に優れていた
が、難燃性能評価の結果が不合格であった。
【0041】(比較例2)リン原子の含有量を5200
0ppmとした以外は実施例1と同法にて仕上げ布を得
た。得られた布帛は透け感がなく透け防止性に優れてお
り、難燃性能評価の結果も合格であったが、繊維の強力
が低く実用上問題があった。
【0042】(比較例3)紡糸時の第3ゴデットローラ
ー温度を130℃とした以外は実施例1と同法にて仕上
げ布を得た。得られた布帛は難燃性能評価は合格であっ
たが、透け感がかなりあり実用上問題があった。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、難燃性および難燃耐久
性と透け防止性を同時に満足する難燃性ポリエステル繊
維製品を難燃性高収縮ポリエステル繊維を用いて提供す
ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る熱応力曲線の一例。
【符号の説明】
σ160:160℃における応力値、Ts:熱応力曲線にお
ける応力の立上り温度。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D04B 1/16 D04B 1/16 4L048 Fターム(参考) 2E182 AA01 AA04 AB09 CC03 CC04 CC10 4J029 AA01 AB07 AC02 AE02 BH03 CH03 DC05 FA19 FB18 HA01 HB01 HB02 HB06 4L002 AA07 AB02 AB04 AC00 BA00 DA01 DA04 EA00 EA04 FA00 4L035 BB36 BB84 BB89 BB91 EE02 EE14 4L036 MA05 MA33 PA12 PA42 4L048 AA21 AA46 AA50 AA53 AB08 AC11 AC14 CA03 CA06 DA19

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン原子を500〜50,000ppm
    含有するポリエステル繊維であって、沸水収縮率(SH
    W)が40%以上、乾熱収縮率(SHD)が50%以上
    であることを特徴とする難燃性高収縮ポリエステル繊
    維。
  2. 【請求項2】 熱収縮応力曲線において下記式を満足す
    ることを特徴とする請求項1記載の難燃性高収縮ポリエ
    ステル繊維。 Ts≧40(℃) σ160≧0.18(cN/dtex) (式中、Tsは熱応力曲線における応力の立上り開始温
    度を、σ160は160℃における熱応力値を表す。)
  3. 【請求項3】 10〜50個/mの交絡が施されている
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の難燃性高収縮ポ
    リエステル繊維。
  4. 【請求項4】 ポリエステルマルチフィラメントが、そ
    れぞれ下記一般式(1)及び/又は(2)で示されるリ
    ン化合物を添加して得られる共重合ポリエステルからな
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の難燃
    性高収縮ポリエステル繊維。 【化1】 (上記式中、R1は1価のエステル形成性官能基であ
    り、R2、R3は同じか又は異なる基であって、それぞれ
    ハロゲン原子、炭素数1〜10個の炭化水素基、R 1
    り選ばれ、Aは2価もしくは3価の有機残基を表す。ま
    た、n1は1又は2であり、n2、n3はそれぞれ0〜4
    の整数を表す。さらに、R4、R6はそれぞれ炭素数が1
    〜21のアルキル基、アリール基、モノヒドロキシアル
    キル基又は水素原子、R5は炭素数が1〜6のアルキル
    基又はアリール基を表す。)
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか記載の難燃性高
    収縮ポリエステル繊維を少なくとも1部に用いたことを
    特徴とする難燃性ポリエステル織編物。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の難燃性ポリエステル織編
    物を使用してなることを特徴とするカーテン。
  7. 【請求項7】 請求項5記載の難燃性ポリエステル織編
    物を使用してなることを特徴とする緞帳。
  8. 【請求項8】 請求項5記載の難燃性ポリエステル織編
    物を使用してなることを特徴とする舞台幕。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105237674A (zh) * 2015-11-23 2016-01-13 兰州理工大学 一种含磷阻燃丙烯酸树脂的制备方法

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