JP3894289B2 - ポリエステル繊維の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は立毛布帛を製造するに適した、難燃性を有するポリエステル繊維の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ジャケット等のアウター衣料や、アウトドアー用のインナー衣料等にパイル糸と他糸からなるシングルニットのシンカーパイル編物を両面起毛した立毛布帛が使われている。この様な立毛布帛は従来は綿、羊毛やアクリル等の紡績糸が多く用いられていたが、イージーケアー性に優れていることや低コストである等の理由から近年ではポリエステルが多く用いられる様になってきた。従来は、ポリエステル紡績糸が主体的に用いられてきたが、表面品位がより優れることからフィラメントが積極的に用いられるようになってきた。しかしながら、例えば、通常織編物に用いられる破断仲度が30%前後の延伸糸を使用した場合には、高バルキーな特性を得るために針布起毛の回数を多くする必要があり、起毛工程での起毛性に問題があった。また、一般的にPOYと呼ばれている高配向未延伸糸では起毛工程で糸をカットする前に伸びてしまい毛並みが揃わなかったり、収縮率が高いためにパイル高さの制御が困難であったり、さらには起毛性以外にも立毛布は起毛後の立毛性が重要であるが、リラックス熱処理下程や染色工程における熱履歴により工程通過後の繊維の強力や弾性率が低下するとこによって立毛性が著しく低下する所謂「へたり」現象が発生するなどの様々な問題があった。
【0003】
一方、これらポリエステル繊維を使用した両面起毛編物は近年、その手頃な価格と優れた軽量性、保温性により消費者から多大なる支持を得ておりアウトドア用途に限らず普段着としての地位を固めつつある。しかしながら、本来のアウトドアー用途においてはキャンプ等で火を扱う機会が少なからずあるため、これらの火が着衣である起毛織物に接触した場合に、生地全体が燃え始める前に生地表面の立毛部が瞬間的に燃え広がる所謂フラッシュ・ファイア現象が起こり人命に関わる重大な事故に繋がる可能性がある。また、普段着として着用する場合においても喫煙時のマッチやライターの火が燃え移る可能性があり、難燃性能を有する両面起毛編物が望まれている。これまでにも、上記問題を解決するために例えば液晶紡糸により得られた剛直な分子鎖を有するアラミド繊維やポリアリレート繊維等を用いた両面起毛編物は知られているが、繊維自体が高価であるため消費者に広く受け入れられる製品ではない。また、その他の例としてエチレンービニルアルコール系共重合体を含む複合繊維を用いた立毛布串が特開2000-328446公報に開示されている。しかしながら、複合紡糸であるために特別な紡糸装置が必要であったり、後工程でアセタール処理および更なる難燃処理が必要であったりとコストアップに繋がる工程が多く、消費者を十分満足させる立毛布帛は得られていないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は立毛布帛を製造するにおいて、上記問題点を克服し、従来の方法では達成し得なかった優れた起毛性および毛立ち性とソフト感を兼ね備え、さらには難燃性をも有するポリエステル立毛布帛を得るためのポリエステル繊維の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。すなわち本発明は以下の構成よりなる。
1.リン化合物を含有する共重合ポリエステルを溶融紡糸しポリエステル繊維を製造する工程において、ポリエステル繊維がポリエステル高配向未延伸糸であり、以下の(1)〜(6)の条件を同時に満足することを特徴とするポリエステル繊維の製造方法。
O.5≦IVp≦O.7 (1)
255≦Tnz≦290 (2)
2,OOO≦SR≦20,OO0 (3)
35≦Lg≦200 (4)
100≦SDR≦400 (5)
3500≦Vt≦4200 (6)
(ここで、IVp(dl/g)はポリマーの固有粘度を、Tnz(℃)は紡糸口金温度を、Lg(mm)は口金表面から冷却開始までの距離を、SR(s-1)はオリフィスでのせん断速度を、SDRは紡糸ドラフトを、Vt(m/分)は引取り速度をそれぞれ表す。)
2.リン原子の含有量が500〜50,OOOppmとなるようリン化合物が含有されていることを特徴とする上記第1記載のポリエステル繊維の製造方法。
3.上記のリン化合物が下記一般式(I)および/または(II)で表されることを特徴とする上記第1または第2記載のポリエステル繊維の製造方法。
【0006】
【化2】
Figure 0003894289
(上記式中、Rlは1価のエステル形成性官能基であり、R2,R3は同じか又は異なる基であって、それぞれハロゲン原子、炭素数1〜1O個の炭化水素基、Rlより選ばれ、Aは有機残基を表す。また、n1は1又は2であり、n23はそれぞれO〜4の整数を表す。さらに、R4,R6はそれぞれ炭素数が1〜21のアルキル基、アリール基、モノヒドロキジアルキル基または水素原子、R5は炭素数が1〜6のアルキル基またはアリー一ル基を表す。)
【0007】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明におけるポリエステルとは、テレフタル酸またはナフタレンジカルボン酸を主たる酸成分とし、少なくとも一種のグリコール、好ましくはエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールから選ばれた少なくとも一種のアルキレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルを対象とする。また、テレフタル酸成分、またはナフタレンジカルボン酸成分の一部を他の二官能作カルボン酸成分で置き換えたポリエステルであってもよく、および/またはグリコール成分の一部を主成分以外の上記グリコールもしくは他のジオール成分で置き換えたポリエステルであってもよい。
【0008】
ジカルボン酸としては、修酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸・スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、1,3一シクロブタンジカルボン酸、1,3一シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3一シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルナンジカルボン酸、ダイマー酸などに例示される飽和脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などに例示される不飽和脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、5−(アルカリ金属)スルホイソフタル酸、ジフェニン酸、1,3一ナフタレンジカルボン酸、1,4一ナフタレンジカルボン酸、1,5一ナフタレンジカルボン酸、2,6一ナフタレンジカルボン酸、2,7一ナフタレンジカルボン酸、4,4−ビフェニルジカルボン酸、4,4‘一ビフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’一ビフェニルエーテルジカルボン酸、1,2一ビス(フェノキシ)エタンーp,p‘一ジカルボン酸、パモイン酸、アントラセンジカルボン酸などに例示される芳香族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体が挙げられ、これらのジカルボン酸のうちテレフタル酸およびナフタレンジカルボン酸が好ましい。
【0009】
これらジカルボン酸以外の多価カルボン酸として、エタントリカルボン酸、プロパントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ヒロメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、3,4,3‘,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
【0010】
グリコールとしてはエチレングリコール、1,2一プロピレングリコール、1,3一プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2一ブチレングリコール、1,3一ブチレングリコール、2,3一ブチレングリコール、1,4一ブチレングリコール、1,5一ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6一ヘキサンジオール、1,2一シクロヘキサンジオール、1,3一シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2一シクロヘキサンジメタノール、1,3一シクロヘキサンジメタノール、1,4一シクロヘキサンジメタノール、1,4一シクロヘキサンジエタノール、1,10一デカメチレングリコール、1,12一ドデカンジオール、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどに例示される脂肪族グリコール、ヒドロキノン、4,4‘一ジヒドロキシビスフェノール、1,4一ビス(β一ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4一ビス(β一ヒドロキシエトキジフェニル)スルホン、ビス(p一ヒドロキジフェニル)工一テル、ビス(p一ヒドロキジフェニル)スルホン、ビス(p一ヒドロキジフェニル)メタン、1,2一ビス(p一ヒドロキジフェニル)エタン、ビスワエノールA、ビスワエノールC,2,5一ナフタレンジオール、これらのグリコールにエチレンオキシドが付加したグリコール、などに例示される芳香族グリコールが挙げられ、これらのグリコールのうちエチレングリコールおよび1,4一ブチレングリコールが好ましい。
【0011】
これらグリコール以外の多価アルコールとして、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセロール、ヘキサントリオールなどが挙げられる。
【0012】
ヒドロキジカルボン酸としては、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、ヒドロキシ酢酸、3一ヒドロキシ酪酸、p一ヒドロキシ安息香酸、p一(2一ヒドロキシエトキシ)安息香酸、4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、またはこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
【0013】
環状エステルとしては、ε一カプロラクトン、β一プロピオラクトン、β一メチルーβ一プロピ才ラクトン・δ一バレロラクトン、グリコリド、ラクチドなどが挙げられる。
【0014】
多価カルボン酸もしくはヒドロキジカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、これらのアルキルエステル、酸クロライト、酸無水物などが挙げられる。
【0015】
木発明におけるポリエステルは、上記のジカルボン酸成分とジ才一ル成分から構成されるポリエステルの繰り返し単位の80モル%以上がエチレンテレフタレート単位またはエチレンナフタレートであることが特に好ましい。
【0016】
また、カチオン染料可染性を付与する目的で、5一アルカリ金属スルホイソフタル酸に代表されるイオン性基を有する化合物およびそのエステル形成性誘導体を共重合することも可能である。
【0017】
これらポリエステルには少最の他の任意の重合体や酸化防止剤、制電剤、染色改良剤、染料、顔料、抗菌剤、蛍光増白剤、ダル剤、微細孔形成剤その他の添加剤が含有されていても良く、チップ状態やスクリューでの溶融状態にて繊維化の際に含有させても構わない。
【0018】
以下、本発明のポリエステル繊維の製造方法について詳細に説明する。リン化合物が共重合されたポリエチレンテレフタレートチップを乾燥後、溶融押出機に供給し、計量しながら紡糸口金に穿孔されたオリフィスからポリマーを吐出する。この際、チップの固有粘度(IVp)はO.5dl/g〜0.7dl/gであることが必要であり、O.5dl/g未満では糸のタフネスが低くなり好ましくない。逆にO.7d1/gを超えるチップを得る為には固相重合が必要となり、コストが高くなるため好ましくない。より好ましくは0.55dl/g〜0.65d1/gである。
【0019】
また、紡糸口金温度(Tnz)は255℃〜290℃にすることが必要であり、255℃未満ではシャークスキンやメルトフラクチャーといった紡糸不安定現象が発現するため好しくない。逆に290℃を超えるとポリマーの固有粘度が低下し、得られる糸のタフネスが低くなり好ましくない。より好ましくは257℃〜285℃であり、さらに好ましくは258℃〜275℃である。
【0020】
さらに、オリフィスでのせん断速度(SR)は2,OOOs-1〜20,000s-1であることが必要であり、2,000s-1未満ではオリフィス内でのポリマー流動が安定せず好ましくない。逆に20,O00s-1を超えるとせん断発熱やバラス効果の増大によりポリマーに含まれる重合触媒がオリフィス周辺に堆積し易く紡糸操業性が低下するため好ましくない。
【0021】
その後、吐出された糸条を直行方向から吹付ける冷却風により冷却し、紡糸油剤を付与して収束した後、引取り速度(Vt)が3500m/分〜5000m/分の範囲で引取ることにより得られる。この際、紡糸口金面から冷却風の吹出し開始点までの距離(Lg)は35mm〜200mmであることが必要である。35mm未満では糸条の冷却が促進され紡糸張力が増大するため単糸切れが生じやすく操業性が低下し好ましくない。逆に200mmを超えると糸条の変形速度最大点が冷却されずに外乱を受け易く糸の品質が低下し好ましくない。より好ましくは50mm〜180mmである。
【0022】
また引取り速度が3500m/分未満では得られる糸の破断伸度が高く、パイル生地を作製した後、起毛する際に均一な起毛が出来ず好ましくない。逆に5000m/分を超えると紡糸時の張力が高くなりすぎ単糸切れを起こし易く紡糸操業性が低下し好ましくない。より好ましくは、3700m/分〜4800m/分である。
【0023】
さらに、紡糸ドラフト(SDR)は100s-1〜400s-1であることが必要であるが、100s-1未満では紡糸時の糸条の張力が低く、外乱を受け易くなり品質が低下してしまい、逆に400s-1を超えると紡糸張力が高くなり単糸切れを起こし易くなるため好ましくない。より好ましくは、120s-1〜350s-1である。
【0024】
尚、本発明のポリエステル繊維の断面形状は、多葉、多角、中空、C、H、T、V、W、井型等の各種の異形断面が採用できる。それらの断面形状に応じて、ドライ感、キシミ感等の特殊な触感を付与することも可能であり、吸汗速乾性能や軽量感等の機能性を付与することも可能である。
【0025】
また、本発明のポリエステル繊維はリン原子の含有量(P)が500ppm〜50,OOOppmとなるようリン化合物を共重合することが好ましいが、Pが500ppm未満では難燃性能に劣り、逆に50,OOOppmを超えると、ポリマーの融点が著しく低下し紡糸が困難となるため好ましくない。より好ましくは1,000ppm〜30,O00ppmであり、さらに好ましくは2,000ppm〜20,OOOppmである。ここで言うリン化合物とは、ポリエステルの構成成分であるジカルボン酸やジオールと反応してポリエステルに共重合することができる化合物である。このリン化合物のなかで好ましい化合物は、ポリエステル主鎖に対して側鎖および/または末端にリン原子を導入することができる化合物であり、該化合物はそれぞれ単独で使用しても、同時に使用しても何ら構わない。
【0026】
このリン化合物の例としては、上記一般式(I)および/または(II)で示される化合物が挙げられる。
【0027】
吏に一般式(I)の化合物の具体的な化合物としては下記a〜βの化合物が挙げられる。
【0028】
【化3】
Figure 0003894289
【0029】
【化4】
Figure 0003894289
【0030】
【化5】
Figure 0003894289
【0031】
【化6】
Figure 0003894289
【0032】
【化7】
Figure 0003894289
【0033】
また、一般式(2)の具体的な化合物の例としては、(2一カルボキソエチル)メチルホスフィン酸、(2一カルボキジエチル)メチルホスフィン酸とエチレングリコー一ルとのエステル、(2一カルボキジエチル)メチルホスフィン酸の環状無水物、(2一カルボキジエチル)エチルホスフィン酸、(2一メトキシカルボニルエチル)メチルホスフィン酸、[2一(β一ヒドロキシエトキジカルボニル)エチル1メチルホスフィン酸(2一メトキシカルボニルエチル)メチルホスフィン酸メチル等さらには下記[化9]で示される化合物を挙げることができ、これらは単独で使用しても、併用してもよく、またこれらの化合物をさらに縮合させたものでもよい。
【0034】
【化8】
Figure 0003894289
【0035】
【実施例】
以下、実施例により木発明を説明する。尚、発明の評価に用いた方法は以下の通りである。
【0036】
(製糸操業性)
生産量1トンあたりの糸切れ件数にて以下の○、△、×の3段階で判定した。
○は0.5件/トン以下、△はO.5〜2.5件/トン、×は2.5件/トン以上
【0037】
(品質)
断面の拡大写真による単糸繊度斑および糸の長さ方向の繊度斑(U%)の両方の観点から○、×の判定を行った。
【0038】
(難燃性評価)
1999年度版JIS L−1091 A−1法(45°ミクロバーナ法)に従い1分加熱後の燃焼面積(cm2)、残炎時間(秒)、残塵時間(秒)を評価する。
更に財団法人 日本防炎協会 防炎製品認定委員会発行の防炎製品の性能試験基準(平成11年1月1日改正)第1 寝具類−2防炎性能試験.1.(1).▲4▼に記載のコイル法に従い評価した。
【0039】
(実施例1)
テレフタル酸をカルボン酸成分とし、エチレングリコールをグリコール成分とし、前記のリン含有化合物(x)をリン原子含有量が6,OOOppmとなるよう共重合させたリン含有共重合ポリエステルチップを乾燥後、溶融押出機を用いて溶融し、円形の吐出孔を36個有する紡糸口金から吐出した。この時の紡糸口金温度(Tnz)は265℃であり、せん断速度は15350s-1であった。吐出した糸条は紡糸口金から100mm下方から7500mmに渡り走行方向に対して直行方向から吹付ける冷却風により冷却し、紡糸油剤を付与後、ゴデットローラーにて4200m/分で引取った後、該糸条を2本合糸して152デシテックス72フィラメントのポリエステル高配向未延伸糸を得た。紡糸操業性は、1トンあたりの糸切れがO.5件と良好であった。難燃性は実施例1のみ45°ミクロバーナー法、45°コイル法に合格した。以下の比較例はいずれも不合格であった。
【0040】
(比較例1,2)
IVpをO.50d1/gと0.80d1/gに変更したレジンを用い、0.80d1/gのレジンを用いる場合のみTnzを285℃とした以外は実施例1に従ってポリエステル高配向未延伸糸を得た。IVpが低い場合は糸切れが多発し紡糸操業性は不調であった。また、高いIVpのレジンを得る為に固相重合を実施したが、こちらは操業性は良好であった。しかしながら、一工程増えるためコストアップとなる。
【0041】
(比較例3,4)
紡糸口金温度(Tnz)を変更した以外は実施例1と同法にてポリエステル高配向未延伸糸を得た。Tnzが低い場合も、高い場合もいずれも単糸切れが多発し操業は困難であった。
【0042】
(比較例5,6)
紡糸口金からポリマーを吐出後、冷却開始までの距離(Lg)を変更した以外は実施例1と同法にてポリエステル高配向未延伸糸を得た。Lgが短い場合は単糸切れが多発し操業は不調であった。また、長い場合は単糸間や単糸内の繊度斑が大きく、品質に劣っていた。
【0043】
(比較例7,8)
オリフィスでのせん断速度(SR)を変更した以外は実施例1と同法にてポリエステル高配向末延伸糸を得た。SRが低い場合も、高い場合もいずれも単糸切れが発生し操業が困難であった。
【0044】
(比較例9,10)
オリフィス孔径を変更することにより紡糸ドラフト(SDR)を変更した以外は実施例1と同法にてポリエステル高配向未延伸糸を得た。但し、孔径変更によりせん断速度(SR)も変化してい乱SDRが低い場合は糸の品質に問題があり、SDRが高い場合は糸切れが多発し、紡糸操業性に問題があった。
【0045】
(比較例11,12)引取り速度を変更し、それに応じて最終捲取り糸の繊度が一定になるよう吐出量を調整した以外は実施例1と同法にてポリエステル高配向未延伸糸を得た。引取り速度が3000m/分の場合は、紡糸操業性は良好であったが、得られた糸の破断伸度が高すぎ立毛布には適していなかった。また、6000m/分の場合は、糸切れが多発し、紡糸操業性に劣っていた。
【0046】
【表1】
Figure 0003894289
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、立毛布帛を製造する際に優れた起毛性を有し、かつ毛立ち性、さらには難燃性にも優れた立毛布帛を製造するに好適なポリエステル繊維を操業性良く製造することが可能となる。

Claims (3)

  1. リン化合物を含有する共重合ポリエステルを溶融紡糸しポリエステル繊維を製造する工程において、ポリエステル繊維がポリエステル高配向未延伸糸であり、以下の(1)〜(6)の条件を同時に満足することを特徴とするポリエステル繊維の製造方法。
    O.5≦IVp≦O.7 (1)
    255≦Tnz≦290 (2)
    2,000≦SR≦20,OO0 (3)
    35≦Lg≦200 (4)
    100≦SDR≦400 (5)
    3500≦Vt≦;4200 (6)
    (ここで、IVp(d1/g)はポリマーの固有粘度を、Tnz(℃)は紡糸口金温度を、Lg(mm)は口金表面から冷却開始までの距離を、SR(s-1)はオリフィスでのせん断速度を、SDRは紡糸ドラフトを、Vt(m/分)は引取り速度をそれぞれ表す。)
  2. リン原子の含有量が500〜50,OOOppmとなるようリン化合物が含有されていることを特徴とする請求項1記載のポリエステル繊維の製造方法。
  3. 上記のリン化合物が下記一般式(I)および/または(II)で表されることを特徴とする請求項1または2記載のポリエステル繊維の製造方法。
    Figure 0003894289
    (上記式中、R1は1価のエステル形成性官能基であり、R2,R3は同じか又は異なる基であって、それぞれハロゲン原子、炭素数1〜10個の炭化水素基、R1より選ばれ、Aは有機残基を表す。また、n1は1又は2であり、n2,n3はそれぞれO〜4の整数を表す。さらにR4,R6はそれぞれ炭素数が1〜21のアルキル基、アリール基、モノヒドロキジアルキル基または水素原子、R5は炭素数が1〜6のアルキル基またはアリール基を表す。)
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