JP2002327346A - 難燃性に優れたポリエステル混繊糸およびそれを用いた織編物 - Google Patents

難燃性に優れたポリエステル混繊糸およびそれを用いた織編物

Info

Publication number
JP2002327346A
JP2002327346A JP2001136351A JP2001136351A JP2002327346A JP 2002327346 A JP2002327346 A JP 2002327346A JP 2001136351 A JP2001136351 A JP 2001136351A JP 2001136351 A JP2001136351 A JP 2001136351A JP 2002327346 A JP2002327346 A JP 2002327346A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyester
yarn
acid
flame retardancy
shw
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2001136351A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahisa Matsuda
全央 松田
Ryoji Nakamura
良司 中村
Akihiro Nishida
右広 西田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP2001136351A priority Critical patent/JP2002327346A/ja
Publication of JP2002327346A publication Critical patent/JP2002327346A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Artificial Filaments (AREA)
  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
  • Woven Fabrics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 難燃性および難燃耐久性と適度なふくらみに
よるソフト感、ボリューム感を同時に満足する難燃性に
優れたポリエステル混繊糸およびそれを用いた織編物を
得る。 【解決手段】 2種類のポリエステルマルチフィラメン
ト群(A)および(B)からなる混繊糸であって、少な
くとも一方のポリエステルマルチフィラメントがリン原
子を500〜50,000ppm含有し、かつ該混繊糸
が以下の式を満足し、さらには160℃、30分間の無
荷重下の乾熱処理によりループを発現する難燃性に優れ
たポリエステル混繊糸。 SHW≧50(%) Ts≧40(℃) σ160≧0.18(cN/dtex) (式中、SHWは沸水での収縮率を、Tsは熱応力曲線にお
ける応力の立上り開始温度を、σ160は160℃におけ
る熱応力値を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リン原子を含有す
るポリエステルを用いて収縮率の異なるマルチフィラメ
ントを紡糸混繊し、得られた混繊糸を用いて織編物を作
製し染色加工することにより、優れた難燃性および難燃
耐久性はもちろんのこと十分な膨らみをも兼ね備えた難
燃性に優れたポリエステル混繊糸および織編物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維は取り扱いやすく、適
度の着用耐久性があり、さらに価格の面でも他の合成繊
維に比べて有利であり衣料用繊維として極めて広い用途
を有している。また、近年の傾向として消費者のニーズ
の多様化により機能性を有するポリエステル繊維の開発
が盛んになってきており、種々の機能性繊維が開発され
ている。中でも防災に対する意識の向上、あるいは法規
制の強化から、難燃性への関心は年々高まりつつあり、
特に病院、旅館、ホテル、福祉施設等の公共施設で使用
されるカーテン等の繊維製品は防災対策として難燃性を
有する繊維を使用することが必須となってきている。し
かしながら、従来の難燃製品に関しては燃焼時に有害ガ
スが発生したり、後加工工程で繊維表面に難燃剤を固着
させたために製品の風合いが粗硬であったり、また洗濯
による難燃耐久性に欠けるなど多くの問題点があった。
【0003】また、ホテル、旅館、劇場等で使用される
カーテン、椅子張り地および寝装側地には難燃性はもち
ろんのこと、ソフト感、ボリューム感、高級感が要求さ
れ、そのためには適度なふくらみを付与することにより
柔らかい風合いが要求される。これまでにも、ある程度
のふくらみ、ソフト感を有する商品はあったが、素材自
体が難燃性を有していないために難燃加工が必要であっ
たり、逆に難燃性素材であってもふくらみ、ソフト感、
ボリューム感に欠けていたりと、両方の特性を同時に満
足する商品はなかった。
【0004】以上のことから、難燃性および難燃耐久性
があり、さらにはソフトでふくらみに富んだ高級感のあ
るポリエステル混繊糸およびそれを用いた織編物を安価
に製造する技術が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を克服し、従来の方法では達成し得なかった難燃性およ
び難燃耐久性と適度なふくらみを同時に満足する難燃性
に優れたポリエステル混繊糸およびそれを用いた織編物
を経済的かつ効率良く製造することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達し
た。即ち本発明は、以下の構成よりなる。その第1は、
2種類のポリエステルマルチフィラメント群(A)およ
び(B)からなる下記式を満足する混繊糸であって、少
なくとも一方のポリエステルマルチフィラメントがリン
原子を500〜50,000ppm含有し、160℃、
30分間の無荷重下の乾熱処理により混繊糸表面にルー
プを発現することを特徴とする難燃性に優れたポリエス
テル混繊糸。 SHW≧50(%) Ts≧40(℃) σ160≧0.18(cN/dtex) (式中、SHWは沸水での収縮率を、Tsは熱応力曲線にお
ける応力の立上り開始温度を、σ160は160℃におけ
る熱応力値を表す。)その第2は、総繊度に対するルー
プ高さの割合が平均0.02〜0.20mm/dtex
であることを特徴とする第1記載の難燃性に優れたポリ
エステル混繊糸。その第3は、10〜50個/mの交絡
が施されていることを特徴とする上記第1または第2記
載の難燃性に優れたポリエステル混繊糸。その第4は、
フィラメント群(A)および(B)の沸水収縮率がそれ
ぞれ以下の式を満足することを特徴とする上記第1〜3
のいずれか記載の難燃性に優れたポリエステル混繊糸。 SHW(A)≦12(%) SHW(B)≧50(%) その第5は、該ポリエステル混繊糸を構成する2種類の
ポリエステルマルチフィラメント群の少なくとも一方
が、下記一般式(1)および/または(2)で示される
リン化合物を添加して得られる共重合ポリエステルから
なることを特徴とする上記第1〜4のいずれか記載の難
燃性に優れたポリエステル織編物。
【0007】
【化2】
【0008】(上記式中、R1は1価のエステル形成性
官能基であり、R2、R3は同じか又は異なる基であっ
て、それぞれハロゲン原子、炭素数1〜10個の炭化水
素基、R 1より選ばれ、Aは2価もしくは3価の有機残
基を表す。また、n1は1又は2であり、n2、n3はそ
れぞれ0〜4の整数を表す。さらに、R4、R7はそれぞ
れ炭素数が1〜21のアルキル基、アリール基、モノヒ
ドロキシアルキル基または水素原子、R5は炭素数が1
〜6のアルキル基またはアリール基を表す。) その第6は、上記第1〜5のいずれか記載の難燃性に優
れたポリエステル混繊糸を少なくとも一部に用いたこと
を特徴とする織編物。
【0009】本発明におけるポリエステルとは、テレフ
タル酸またはナフタレンジカルボン酸を主たる酸成分と
し、少なくとも一種のグリコール、好ましくはエチレン
グリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレン
グリコールから選ばれた少なくとも一種のアルキレング
リコールを主たるグリコール成分とするポリエステルを
対象とする。また、テレフタル酸成分、またはナフタレ
ンジカルボン酸成分の一部を他の二官能性カルボン酸成
分で置き換えたポリエステルであってもよく、および/
またはグリコール成分の一部を主成分以外の上記グリコ
ールもしくは他のジオール成分で置き換えたポリエステ
ルであってもよい。ジカルボン酸としては、蓚酸、マロ
ン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン
酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジ
カルボン酸、ドデカンジカルボン酸、テトラデカンジカ
ルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、1,3ーシクロ
ブタンジカルボン酸、1,3ーシクロペンタンジカルボ
ン酸、1,2ーシクロヘキサンジカルボン酸、1,3ーシ
クロヘキサンジカルボン酸、1,4ーシクロヘキサンジカ
ルボン酸、2,5ーノルボルナンジカルボン酸、ダイマ
ー酸などに例示される飽和脂肪族ジカルボン酸またはこ
れらのエステル形成性誘導体、フマル酸、マレイン酸、
イタコン酸などに例示される不飽和脂肪族ジカルボン酸
またはこれらのエステル形成性誘導体、オルソフタル
酸、イソフタル酸、テレフタル酸、5ー(アルカリ金
属)スルホイソフタル酸、ジフェニン酸、1,3ーナフ
タレンジカルボン酸、1,4ーナフタレンジカルボン
酸、1,5ーナフタレンジカルボン酸、2,6ーナフタレ
ンジカルボン酸、2,7ーナフタレンジカルボン酸、
4、4'ービフェニルジカルボン酸、4、4'ービフェニ
ルスルホンジカルボン酸、4、4'ービフェニルエーテ
ルジカルボン酸、1,2ービス(フェノキシ)エタンー
p,p'ージカルボン酸、パモイン酸、アントラセンジカ
ルボン酸などに例示される芳香族ジカルボン酸またはこ
れらのエステル形成性誘導体が挙げられ、これらのジカ
ルボン酸のうちテレフタル酸およびナフタレンジカルボ
ン酸とくに2,6ーナフタレンジカルボン酸が好まし
い。これらジカルボン酸以外の多価カルボン酸として、
エタントリカルボン酸、プロパントリカルボン酸、ブタ
ンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、トリメリット
酸、トリメシン酸、3、4、3'、4'ービフェニルテト
ラカルボン酸、およびこれらのエステル形成性誘導体な
どが挙げられる。グリコールとしてはエチレングリコー
ル、1、2ープロピレングリコール、1、3ープロピレ
ングリコール、ジエチレングリ コール、トリエチレン
グリコール、1、2ーブチレングリコール、1、3ーブ
チレングリコール、2、3ーブチレングリコール、1,
4ーブチレングリコール、1、5ーペンタンジオール、
ネオペンチルグリコール、1,6ーヘキサンジオール、
1,2ーシクロヘキサンジオール、1,3ーシクロヘキサ
ンジオール、1,4ーシクロヘキサンジオール、1,2ー
シクロヘキサンジメタノール、1,3ーシクロヘキサン
ジメタノール、1,4ーシクロヘキサンジメタノール、
1,4ーシクロヘキサンジエタノール、1,10ーデカメ
チレングリコール、1、12ードデカンジオール、ポリ
エチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポ
リテトラメチレングリコールなどに例示される脂肪族グ
リコール、ヒドロキノン、4, 4'ージヒドロキシビス
フェノール、1,4ービス(βーヒドロキシエトキシ)
ベン ゼン、1,4ービス(βーヒドロキシエトキシフェ
ニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エー
テル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス
(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1、2ービス(p
−ヒドロキシフェニル)エタン、ビスフェノールA、ビ
スフェノールC、2,5ーナフタレンジオール、これら
のグリコールにエチレンオキシドが付加したグリコー
ル、などに例示される芳香族グリコールが挙げられ、こ
れらのグリコールのうちエチレングリコールおよび1,
4ーブチレングリコールが好ましい。これらグリコール
以外の多価アルコールとして、トリメチロールメタン、
トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペン
タエリスリトール、グリセロール、ヘキサントリオール
などが挙げられる。ヒドロキシカルボン酸としては、乳
酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、ヒドロキシ酢酸、3
ーヒドロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸、pー(
2ーヒドロキシエトキシ)安息香酸、4ーヒドロキシシ
クロヘキサンカルボン酸、またはこれらのエステル形成
性誘導体などが挙げられる。環状エステルとしては、ε
-カプロラクトン、β-プロピオラクトン、β-メチル-β
-プロピオラクトン、δ-バレロラクトン、グリコリド、
ラクチドなどが挙げられる。 多価カルボン酸もしくは
ヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体として
は、これらのアルキルエステル、酸クロライド、酸無水
物などが挙げられる。本発明においては、上記のジカル
ボン酸成分とジオール成分から構成されるポリエステル
は、その繰り返し単位の80モル%以上がエチレンテレ
フタレート単位またはエチレンナフタレートであること
が特に好ましい。
【0010】また、これらポリエステル繊維中には少量
の他の任意の重合体や酸化防止剤、制電剤、染色改良
剤、染料、顔料、艶消し剤その他の添加剤が含有されて
いても良い。
【0011】さらに、本発明における難燃性に優れた混
繊糸およびそれを用いた織編物には後工程にて消臭、抗
菌、吸湿、芳香、制電等の機能付与のための物理的及び
化学的な処理を施しても何ら構わない。その場合、難燃
性が低下するのを防ぐためにさらに難燃加工を施すこと
は効果的である。
【0012】本発明の難燃性に優れたポリエステル混繊
糸を構成する2種類のポリエステルマルチフィラメント
群の少なくとも一方は、リン原子を含有するリン化合物
が共重合されたポリエステルからなり、リン化合物と
は、ポリエステルの構成成分であるジカルボン酸やジオ
ールと反応してポリエステルに共重合することができる
化合物である。このリン化合物のなかで好ましい化合物
は、ポリエステルの側鎖及び/又は末端にリン原子を導
入することができる化合物であり、該化合物はそれぞれ
単独で使用しても、同時に使用しても何ら構わない。但
し、織編物のソフトな風合い向上のためには、分子鎖の
配向を乱し、繊維の弾性率を低下させるという観点で側
鎖にリン原子を導入した化合物用いることがより好まし
い。
【0013】このリン化合物の例としては、上記一般式
(1)および/または(2)で示される化合物が挙げら
れる。
【0014】更に、一般式(1)の化合物の具体的な化
合物としては下記a〜βの化合物が挙げられる。
【0015】
【化3】
【0016】
【化4】
【0017】
【化5】
【0018】
【化6】
【0019】
【化7】
【0020】
【化8】
【0021】また、一般式(2)の具体的な化合物の例
としては、(2−カルボキシエチル)メチルホスフィン
酸、(2−カルボキシエチル)メチルホスフィン酸とエ
チレングリコールとのエステル、(2−カルボキシエチ
ル)メチルホスフィン酸の環状無水物、(2−カルボキ
シエチル)エチルホスフィン酸、(2−メトキシカルボ
ニルエチル)メチルホスフィン酸、[2−(β−ヒドロ
キシエトキシカルボニル)エチル]メチルホスフィン
酸、(2−メトキシカルボニルエチル)メチルホスフィ
ン酸メチル等を挙げることができ、これらは単独で使用
しても、併用してもよく、またこれらの化合物をさらに
縮合させたものでもよい。
【0022】
【化9】
【0023】本発明における難燃性ポリエステル混繊糸
およびそれを用いた織編物の製造に用いられる共重合ポ
リエステルは、例えば特公昭55−41610号公報に
記載されるような公知の方法で重合することができ、該
共重合ポリエステルを溶融押出機により紡糸口金より吐
出し、引取り速度1000m/分〜4000m/分の範
囲で溶融紡糸し捲き取った後、あるいは捲き取ることな
く連続して延伸を行い、高収縮糸および低収縮糸としこ
れらを紡糸時あるいは延伸時に混繊することにより得る
ことができる。この際、低収縮糸の延伸時のセット温度
は140℃以上好ましくは150℃以上180℃以下に
する必要がある。140℃未満では収縮率が低下せず目
標とする糸が得られない。逆に180℃を超えると、エ
ネルギーコストのアップとなるばかりか紡糸油剤による
ゴデットローラーの汚れ、あるいは発煙の問題が発生す
るため好ましくない。
【0024】本発明における難燃性ポリエステル混繊糸
およびそれを用いた織編物に用いられている共重合ポリ
エステルのリン原子の含有量は500〜50,000p
pmであり、500ppm未満であると難燃性能が劣る
だけでなく、立体障害となる側鎖が少ないため分子鎖の
配向が進み易くなり繊維の弾性率が向上することにより
ソフト感が出ない。また、50,000ppmを超える
とリン原子を含有するリン化合物の共重合量を多くする
必要があり、その結果、ポリマーの融点が著しく低下
し、紡糸が困難となるばかりか、繊維の強度も低下する
ため好ましくない。好ましくは1,500〜30,00
0ppmであり、より好ましくは3,000〜10,0
00ppmである。
【0025】本発明における難燃性に優れたポリエステ
ル混繊糸の沸水収縮率(SHW)は50%以上であるこ
とが望ましく、50%未満では、製織後のリラックス工
程での収縮量が少なくボリューム感が出ない。そのた
め、ボリューム感を出すために総繊度を高く設定するこ
とが肝要で、コストアップとなるため好ましくない。よ
り好ましくは55%以上である。
【0026】また、本発明における難燃性に優れたポリ
エステル混繊糸の熱応力曲線の応力立上り開始温度(T
s)は40℃以上であることが望ましく、40℃未満で
あると、サイジング時の乾燥工程において収縮が発現し
てしまい、製織後のリラックス或いはセット工程で収縮
差による膨らみを十分付与することが出来なくなるため
好ましくない。より好ましくは45℃以上である。上限
は特に限定しないが、高くなりすぎると高収縮糸の収縮
率が低下することになり好ましくない。好ましくは80
℃以下である。
【0027】さらに、本発明における難燃性に優れたポ
リエステル混繊糸の160℃における熱応力値は0.1
8cN/dtex以上であることが好ましく、0.18
cN/dtex未満であると、製織後のリラックス工程
で布帛の拘束力下での収縮発現力が小さく、収縮による
十分な膨らみが出ない。より好ましくは0.19cN/
dtex以上である。
【0028】さらに、本発明における難燃性に優れたポ
リエステル混繊糸は160℃、30分の無荷重下での乾
熱処理により混繊糸表面にループを発現することが肝要
であり、ループを発現することは収縮率の異なる糸が混
繊糸内で収縮差を発現していることを示すものであり、
総繊度に対する該ループ高さの割合は平均で0.02〜
0.20mm/dtexであることが好ましい。0.0
2mm/dtex未満では収縮差が十分でなく布帛とし
た時の膨らみ感に欠ける。また、0.20mm/dte
xを超えると布帛とした時の品位に欠けると共にスナッ
グが発生しやすく好ましくない。
【0029】また、本発明における難燃性に優れたポリ
エステル混繊糸には交絡が施されていることが好まし
く、交絡が施されていない場合は整経や製織時にフィラ
メント割れを生じ易く工程の通過性に問題が出る恐れが
ある。好ましくは10〜50個/mであり、更に好まし
くは15〜40個/mである。
【0030】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。な
お、本発明の評価に用いた方法は以下の通りである。
【0031】(沸水収縮率:SHW)熱収縮むら測定シ
ステム(FTA−500;東レエンジニアリング(株)
製)を用いて、5.0m/分の速度で回転するフィード
ローラーと回転速度が自動調整可能なドローローラーと
の間で糸条走行張力が0.4gに保たれるようドローロ
ーラーの回転速度(Vd)を自動調整しつつ2つのロー
ラー間に設置された100℃の沸水浴中に糸条を走行さ
せてローラー速度差から以下の式により収縮率を算出す
る方法により測定した。 SHW(%)=(5-Vd)/5×100 Vd:ドローローラーの回転速度(m/分)
【0032】(熱応力、応力立上り開始温度)熱応力測
定機(SII製TMA/SS100)を用いて総繊度が
84〜138デシテックスになるよう引き揃え、チャッ
ク間が2cmの長さになるように両端を挟み熱応力測定
機にセットする。試料に0.037g/dtexの初荷
重をかけ定長に保ちながら室温から300℃まで20℃
/分の速度で昇温する。この際に発生する応力を記録装
置により連続的に記録する。得られた熱応力曲線の応力
立上り温度をTsとし、160℃における応力値をσ160
とした。
【0033】(ループ高さ)試料長30cmのポリエス
テル混繊糸を無荷重の状態で160℃のオーブンに投入
し、30分間熱処理した後、取り出し、0.037g/
dtexの荷重をかけた状態で中央の20cmの長さの
部分を2cm毎に印を付け、それぞれの2cmの長さ部
分の上方向のループの高さ(Hn)と下方向のループの
高さ(Ln)を測定し、合計20の測定値の加重平均
(X)で評価した。以下に計算式を示す。
【0034】
【数1】
【0035】(官能評価)ポリエステル織物の風合い評
価の経験の長い染色加工技術者3名によって製品の触感
をソフト感、ボリューム感に優れるものから順に○、
△、×で判定した。
【0036】(難燃性評価)1999年度版JIS L
−1091 A−1法(45°ミクロバーナ法)に従い
1分加熱後の燃焼面積(cm2)、残炎時間(秒)、残
塵時間(秒)を評価する。更に財団法人 日本防炎協会
防炎製品認定委員会発行の防炎製品の性能試験基準
(平成11年1月1日改正)第1 寝具類−2防炎性能
試験.1.(1).に記載のコイル法に従い評価した。
【0037】(実施例1)テレフタル酸をカルボン酸成
分とし、エチレングリコールをグリコール成分とし、前
記のリン含有化合物(x)をリン原子含有量が6000
ppmとなるよう共重合させたリン含有共重合ポリエス
テルを用いて262℃に加熱された径が0.24mmの
円形オリフィスを24個有する偶数個の紡糸口金よりポ
リマーを吐出し、3000m/分の周速で回転する第1
ゴデットローラーで引取った後、一旦捲き取ることなく
フィラメント群(B)は90℃に加熱された第2ゴデッ
トローラーさらには、90℃に加熱された第3ゴデット
ローラーと通して1.767倍に延伸し、フィラメント
群(A)は90℃に加熱された第2ゴデットローラさら
には、155℃に加熱された第4ゴデットローラーを通
して1.733倍に延伸し、これら2つのフィラメント
群をセラミックガイドにて収束しインターレーサーを通
して空気交絡を施した後、捲取ることにより84デシテ
ックス48フィラメントの異収縮混繊糸を得た。
【0038】該混繊糸に400回/mの甘撚を付与し経
糸とし、緯糸としては該混繊糸に使用したリン原子含有
共重合ポリエステルを溶融紡糸して得られた高配向未延
伸糸(POY)を延伸仮撚してなる167デシテックス
48フィラメントの仮撚加工糸を無撚のまま、エアージ
ェットルームを使用し5枚朱子ベースの二重朱子組織に
製織した。織上密度は経110本/cm、緯26本/cmで
ある。
【0039】得られた製織生機を高圧ロータリーワッシ
ャーを使用し浴温30℃から急激に80℃迄昇温させ、
最高到達温度110℃で処理した。廃液後に脱水処理
し、十分にソーピングを実施した上で表面温度110℃
のシリンダーローラー、雰囲気温度160℃のネットコ
ンベア式乾熱リラクサーにて経方向及び緯方向に過度の
張力が掛らぬ条件で乾燥処理を施した。
【0040】次いで液流染色機を使用して分散染料によ
る高圧染色を施し、廃液後十分に還元洗浄及びソーピン
グを施し、脱水後に再度表面温度110℃のシリンダー
ローラー、雰囲気温度140℃のネットコンベア式乾熱
リラクサーを通し、処理温度160℃の条件で仕上げセ
ットを施した。得られた布帛は適度な膨らみとボリュー
ム感に富んでおり、難燃性能評価の結果も合格であっ
た。
【0041】(実施例2)リン化合物(x)を(2−カル
ボキシエチル)メチルホスフィン酸に変え、該リン化合
物を酸成分に対してリン原子が6000ppm含有され
るよう共重合したリン含有共重合ポリエステルを用いて
異収縮混繊糸を得た以外は実施例1と同法にて仕上げ布
を得た。ソフトで膨らみに富んだボリューム感のある布
帛が得られた。難燃性能評価の結果も合格であった。
【0042】(実施例3)紡糸時の第3ゴデットローラ
ー温度を110℃とした以外は実施例1と同法にて仕上
げ布を得た。難燃性評価は合格であったが、やや膨ら
み、ボリューム感に乏しいものであった。
【0043】(実施例4)紡糸時の第4ゴデットローラ
ー温度を130℃とした以外は実施例1と同法にて仕上
げ布を得た。難燃性評価は合格であったが、やや膨ら
み、ボリューム感に乏しいものであった。
【0044】(実施例5)低収縮糸に用いるポリマーを
共重合していないポリエチレンテレフタレートとし、口
金温度を275℃とし、さらに第4ゴデットローラーの
温度を145℃とした以外は、実施例1と同法にて仕上
げ布を得た。ソフトで膨らみに富んだボリューム感のあ
る布帛が得られた。難燃性能評価の結果も合格であっ
た。
【0045】(比較例1)リン原子の含有量を300p
pmとした以外は実施例1と同法にて仕上げ布を得た。
膨らみおよびソフト感に欠け、かつ難燃性評価の結果も
不合格であった。
【0046】(比較例2)リン原子の含有量を5200
0ppmとした以外は実施例1と同法にて仕上げ布を得
た。ソフトで膨らみに富んだボリューム感のある布帛が
得られ、難燃性能評価も合格であったが、繊維強度が低
く実用性能に欠けていた。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、難燃性と適度なふくら
みによるソフト感、ボリューム感を同時に満足するポリ
エステル織編物を経済的かつ効率良く、さらには環境に
優しい技術を用いて製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る熱応力曲線の一例。
【符号の説明】
σ160:160℃における応力値、Ts:熱応力曲線にお
ける応力の立上り温度
【図2】 本発明に係る160℃、30分の乾熱処理後
の混繊糸の一形態。
【符号の説明】
Hn:上方向のループの高さ、Ln:下方向のループの
高さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D02J 1/08 D02J 1/08 D03D 15/00 D03D 15/00 D 15/04 15/04 A 15/12 15/12 Z Fターム(参考) 4L035 BB31 BB36 BB77 CC11 DD17 EE06 EE14 JJ25 4L036 MA05 MA24 MA33 PA01 PA03 PA17 PA33 PA42 RA03 RA05 UA25 UA30 4L048 AA20 AA46 AA47 AA50 AA53 AB09 AB13 AB23 AC11 AC14 BA00 BA02 CA06 CA13 DA13 DA19 EA01 EB05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2種類のポリエステルマルチフィラメン
    ト群(A)および(B)からなる下記式を満足する混繊
    糸であって、少なくとも一方のポリエステルマルチフィ
    ラメントがリン原子を500〜50,000ppm含有
    し、160℃、30分間の無荷重下の乾熱処理により混
    繊糸表面にループを発現することを特徴とする難燃性に
    優れたポリエステル混繊糸。 SHW≧50(%) Ts≧40(℃) σ160≧0.18(cN/dtex) (式中、SHWは沸水での収縮率を、Tsは熱応力曲線にお
    ける応力の立上り開始温度を、σ160は160℃におけ
    る熱応力値を表す。)
  2. 【請求項2】 総繊度に対するループ高さの割合が平均
    0.02〜0.20mm/dtexであることを特徴と
    する請求項1記載の難燃性に優れたポリエステル混繊
    糸。
  3. 【請求項3】 10〜50個/mの交絡が施されている
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の難燃性に優れた
    ポリエステル混繊糸。
  4. 【請求項4】 フィラメント群(A)および(B)の沸
    水収縮率がそれぞれ以下の式を満足することを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれか記載の難燃性に優れたポリエ
    ステル混繊糸。 SHW(A)≦12(%) SHW(B)≧50(%)
  5. 【請求項5】 ポリエステル混繊糸を構成する2種類の
    ポリエステルマルチフィラメント群の少なくとも一方
    が、下記一般式(1)及び/又は(2)で示されるリン
    化合物を添加して得られる共重合ポリエステルからなる
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の難燃性
    に優れたポリエステル織編物。 【化1】 (上記式中、R1は1価のエステル形成性官能基であ
    り、R2、R3は同じか又は異なる基であって、それぞれ
    ハロゲン原子、炭素数1〜10個の炭化水素基、R 1
    り選ばれ、Aは2価もしくは3価の有機残基を表す。ま
    た、n1は1又は2であり、n2、n3はそれぞれ0〜4
    の整数を表す。さらに、R4、R7はそれぞれ炭素数が1
    〜21のアルキル基、アリール基、モノヒドロキシアル
    キル基または水素原子、R5は炭素数が1〜6のアルキ
    ル基またはアリール基を表す。)
  6. 【請求項6】 請求項1〜5記載の難燃性に優れたポリ
    エステル混繊糸を少なくとも一部に用いたことを特徴と
    する織編物。
JP2001136351A 2001-05-07 2001-05-07 難燃性に優れたポリエステル混繊糸およびそれを用いた織編物 Withdrawn JP2002327346A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001136351A JP2002327346A (ja) 2001-05-07 2001-05-07 難燃性に優れたポリエステル混繊糸およびそれを用いた織編物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001136351A JP2002327346A (ja) 2001-05-07 2001-05-07 難燃性に優れたポリエステル混繊糸およびそれを用いた織編物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002327346A true JP2002327346A (ja) 2002-11-15

Family

ID=18983645

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001136351A Withdrawn JP2002327346A (ja) 2001-05-07 2001-05-07 難燃性に優れたポリエステル混繊糸およびそれを用いた織編物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002327346A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5155162B2 (ja) 編地およびスポーツ衣料
EP1772543B1 (en) Combined filament polyester yarn and woven or knit fabric comprising the same
KR100537872B1 (ko) 난연 폴리에스테르 섬유, 난연 폴리에스테르 섬유 직편물,난연 폴리에스테르 섬유 부직포 및 스웨이드 느낌의 기모직편물
US6561230B1 (en) Weft knitted fabric
CN113056580A (zh) 布帛和纤维制品
JP2002327346A (ja) 難燃性に優れたポリエステル混繊糸およびそれを用いた織編物
JP2023506733A (ja) 自己嵩高性pttを含有する二成分繊維から作製するカーペット
JP4370491B2 (ja) 易染性ポリエステル繊維
JP2002339162A (ja) 難燃性高収縮ポリエステル繊維およびそれを用いた繊維製品
JP2002327335A (ja) 難燃性ポリエステル混繊糸及び織編物
JP3894289B2 (ja) ポリエステル繊維の製造方法
JP2003119646A (ja) 難燃性ポリエステル布帛及び繊維製品
JP3716972B2 (ja) 難燃性に優れたポリエステル織物及びそれを用いた繊維製品
JP2003055865A (ja) 両面起毛編物
JP2006124880A (ja) ポリエステル混繊糸およびポリエステル布帛
JP2003129346A (ja) ポリエステル混繊糸およびそれを用いた織編物
JP2000096350A (ja) 耐摩擦溶融性能を有する芯鞘型複合繊維及び同繊維を使用した織編物
JPH03241024A (ja) カチオン可染極細仮撚加工糸の製造方法
JP2001073251A (ja) 難燃性に優れたポリエステル織編物
JP2003055839A (ja) 難燃性ポリエステル繊維およびそれを用いた立毛布帛
JP2023002088A (ja) 経編地および衣料
JP2002339158A (ja) 製織性に優れたポリエステル混繊糸およびそれを用いた織物
JPS63159537A (ja) 杢調スパンライク様仮撚2層構造糸
JP2005299015A (ja) 交編緯編地
JP2003138449A (ja) 高密度織物及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080507

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20100907