JP2002338664A - ノルボルネン系樹脂成形体の製造方法 - Google Patents
ノルボルネン系樹脂成形体の製造方法Info
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- JP2002338664A JP2002338664A JP2001148920A JP2001148920A JP2002338664A JP 2002338664 A JP2002338664 A JP 2002338664A JP 2001148920 A JP2001148920 A JP 2001148920A JP 2001148920 A JP2001148920 A JP 2001148920A JP 2002338664 A JP2002338664 A JP 2002338664A
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- norbornene
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- Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)
- Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 硬化不良や金型への充填不良の少ない、品質
の優れたノルボルネン系樹脂成形体を得る方法を提供す
ること。 【解決手段】 メタセシス触媒により、充填剤の存在下
にノルボルネン系モノマーを塊状重合するノルボルネン
系樹脂成形体の製造方法において、メタセシス触媒とノ
ルボルネン系モノマーとを均一に混合して得た反応性混
合物と充填剤とを均一に混合し、得られた混合物を塊状
重合することを特徴とするノルボルネン系樹脂成形体の
製造方法が提供される。
の優れたノルボルネン系樹脂成形体を得る方法を提供す
ること。 【解決手段】 メタセシス触媒により、充填剤の存在下
にノルボルネン系モノマーを塊状重合するノルボルネン
系樹脂成形体の製造方法において、メタセシス触媒とノ
ルボルネン系モノマーとを均一に混合して得た反応性混
合物と充填剤とを均一に混合し、得られた混合物を塊状
重合することを特徴とするノルボルネン系樹脂成形体の
製造方法が提供される。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はノルボルネン系樹脂
成形体の製造方法に関し、さらに詳しくは、メタセシス
触媒により、充填剤の存在下にノルボルネン系モノマー
を塊状重合するノルボルネン系樹脂成形体の製造方法に
関する。
成形体の製造方法に関し、さらに詳しくは、メタセシス
触媒により、充填剤の存在下にノルボルネン系モノマー
を塊状重合するノルボルネン系樹脂成形体の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】ノルボルネン系モノマーとメタセシス触
媒とを含む反応原液を用い、金型内で塊状重合する反応
成形法(RIM=リアクション・インジェクション・モ
ールディング法、RTM=レジン・トランスファー・モ
ールディング法など)は、公知の技術である(特公平3
−37568号公報)。この方法によれば、熱可塑性樹
脂の射出成形法に比べて簡易な金型・成形装置で大型の
成形体を得ることができる。
媒とを含む反応原液を用い、金型内で塊状重合する反応
成形法(RIM=リアクション・インジェクション・モ
ールディング法、RTM=レジン・トランスファー・モ
ールディング法など)は、公知の技術である(特公平3
−37568号公報)。この方法によれば、熱可塑性樹
脂の射出成形法に比べて簡易な金型・成形装置で大型の
成形体を得ることができる。
【0003】一方、ノルボルネン系樹脂成形体の各種の
性能を改良することを目的として、粒状または繊維状の
各種の充填剤を、ノルボルネン系モノマーの塊状重合時
に存在させ、両者の複合材料とする技術が実用化されて
いる。
性能を改良することを目的として、粒状または繊維状の
各種の充填剤を、ノルボルネン系モノマーの塊状重合時
に存在させ、両者の複合材料とする技術が実用化されて
いる。
【0004】従来から、タンタル、モリブデンやタング
ステンなどの(長周期型周期表で)5族または6族の遷
移金属元素の錯体をメタセシス触媒(以下、「5族及び
6族の遷移金属系メタセシス触媒」ともいう)として用
いるノルボルネン系樹脂成形体の製造方法が知られてい
る。これらの錯体をメタセシス触媒として用いた場合
は、メタセシス触媒の塊状重合活性が十分に高くないた
め、通常は、有機アルミニウム化合物または有機スズ化
合物などを活性剤(共触媒)として用いる。ノルボルネ
ン系モノマー、メタセシス触媒と活性剤の三者が混合さ
れる(この時点で初めて塊状重合が開始する状態とな
る、以下この状態を「反応性混合物を構成する」、この
状態の混合物を「反応性混合物」ともいう)と塊状重合
が開始する。通常は、混合効率を考慮して、ノルボルネ
ン系モノマーを2つの液に分けておき、一方のノルボル
ネン系モノマー(A液ともいう)には活性剤を、もう一
方のノルボルネン系モノマー(B液ともいう)にはメタ
セシス触媒を加えておき両者を混合することにより塊状
重合させるという手法をとっている。充填剤を共存させ
て塊状重合する場合には、A液とB液のいずれか、また
はA液とB液の両方に充填剤を予め混合しておき、しか
る後にA液とB液を混合して反応性混合物とすることが
常である。
ステンなどの(長周期型周期表で)5族または6族の遷
移金属元素の錯体をメタセシス触媒(以下、「5族及び
6族の遷移金属系メタセシス触媒」ともいう)として用
いるノルボルネン系樹脂成形体の製造方法が知られてい
る。これらの錯体をメタセシス触媒として用いた場合
は、メタセシス触媒の塊状重合活性が十分に高くないた
め、通常は、有機アルミニウム化合物または有機スズ化
合物などを活性剤(共触媒)として用いる。ノルボルネ
ン系モノマー、メタセシス触媒と活性剤の三者が混合さ
れる(この時点で初めて塊状重合が開始する状態とな
る、以下この状態を「反応性混合物を構成する」、この
状態の混合物を「反応性混合物」ともいう)と塊状重合
が開始する。通常は、混合効率を考慮して、ノルボルネ
ン系モノマーを2つの液に分けておき、一方のノルボル
ネン系モノマー(A液ともいう)には活性剤を、もう一
方のノルボルネン系モノマー(B液ともいう)にはメタ
セシス触媒を加えておき両者を混合することにより塊状
重合させるという手法をとっている。充填剤を共存させ
て塊状重合する場合には、A液とB液のいずれか、また
はA液とB液の両方に充填剤を予め混合しておき、しか
る後にA液とB液を混合して反応性混合物とすることが
常である。
【0005】例えば、特開昭58−129013号公報
では、好ましくはタングステン錯体をメタセシス触媒と
して使用した場合に、A液とB液の2種類のノルボルネ
ン系モノマー(該公報中では「モノマー液」または「反
応体流」)を予め調製しておいてから両者を混合し、反
応性混合物とするという技術が開示されている。該公報
中では、充填剤(添加剤)とともに塊状重合する場合
は、 A液とB液のいずれか、またはA液とB液の両方
に充填剤を予め混合しておくべき旨が開示されている。
では、好ましくはタングステン錯体をメタセシス触媒と
して使用した場合に、A液とB液の2種類のノルボルネ
ン系モノマー(該公報中では「モノマー液」または「反
応体流」)を予め調製しておいてから両者を混合し、反
応性混合物とするという技術が開示されている。該公報
中では、充填剤(添加剤)とともに塊状重合する場合
は、 A液とB液のいずれか、またはA液とB液の両方
に充填剤を予め混合しておくべき旨が開示されている。
【0006】特開平2−29423号公報には、特開昭
58−129013号公報中の技術の改良技術が開示さ
れている。該公報では、充填剤をA液の調製時とB液の
調製時の両方で混合するよりも、充填剤とノルボルネン
系モノマーとからなりメタセシス触媒も活性剤も含まな
い混合物(母液)を調製しておき、これの一部に活性剤
を加えてA液、別の一部にメタセシス触媒を加えてB液
として、その後両者を混合して反応性混合物を構成する
という技術が開示されている。
58−129013号公報中の技術の改良技術が開示さ
れている。該公報では、充填剤をA液の調製時とB液の
調製時の両方で混合するよりも、充填剤とノルボルネン
系モノマーとからなりメタセシス触媒も活性剤も含まな
い混合物(母液)を調製しておき、これの一部に活性剤
を加えてA液、別の一部にメタセシス触媒を加えてB液
として、その後両者を混合して反応性混合物を構成する
という技術が開示されている。
【0007】最近になって、新しいメタセシス触媒とし
て、ルテニウムやオスミウムなどの8族の遷移金属元素
の錯体(以下、「8族の遷移金属系メタセシス触媒」と
もいう)を用いる技術が注目されてきている。これらの
メタセシス触媒は活性が高いため、ノルボルネン系モノ
マーとメタセシス触媒(少量)が混合された時点で反応
性混合物が構成される(この時点で塊状重合が開始する
状態となる)。8族の遷移金属系メタセシス触媒の場合
は、ノルボルネン系モノマーに比べて特に使用量(重量
比、モル比とも)が少量であり、多くの場合、塊状重合
に不活性な溶剤に溶解または分散させた状態(以下「メ
タセシス触媒液」ともいう)で添加される。溶剤は不活
性であるから、塊状重合の不要成分であり、ノルボルネ
ン系モノマーに比べて十分に少量である必要がある。多
量のノルボルネン系モノマーに対して少量のメタセシス
触媒を添加することになるため、均一な混合状態とする
ためには、撹拌効率の高い混合手段を用いる必要があ
り、また、混合後(反応性混合物を構成した後)できる
だけ速やかに反応性混合物を金型内に供給する必要があ
る。このようなメタセシス触媒の存在下にノルボルネン
系モノマーを充填剤とともに塊状重合する場合には、予
めノルボルネン系モノマーに充填剤を混合しておき、そ
こにメタセシス触媒液を混合することが常である。
て、ルテニウムやオスミウムなどの8族の遷移金属元素
の錯体(以下、「8族の遷移金属系メタセシス触媒」と
もいう)を用いる技術が注目されてきている。これらの
メタセシス触媒は活性が高いため、ノルボルネン系モノ
マーとメタセシス触媒(少量)が混合された時点で反応
性混合物が構成される(この時点で塊状重合が開始する
状態となる)。8族の遷移金属系メタセシス触媒の場合
は、ノルボルネン系モノマーに比べて特に使用量(重量
比、モル比とも)が少量であり、多くの場合、塊状重合
に不活性な溶剤に溶解または分散させた状態(以下「メ
タセシス触媒液」ともいう)で添加される。溶剤は不活
性であるから、塊状重合の不要成分であり、ノルボルネ
ン系モノマーに比べて十分に少量である必要がある。多
量のノルボルネン系モノマーに対して少量のメタセシス
触媒を添加することになるため、均一な混合状態とする
ためには、撹拌効率の高い混合手段を用いる必要があ
り、また、混合後(反応性混合物を構成した後)できる
だけ速やかに反応性混合物を金型内に供給する必要があ
る。このようなメタセシス触媒の存在下にノルボルネン
系モノマーを充填剤とともに塊状重合する場合には、予
めノルボルネン系モノマーに充填剤を混合しておき、そ
こにメタセシス触媒液を混合することが常である。
【0008】例えば、特開2000−290404号公
報では、8族の遷移金属系メタセシス触媒であるルテニ
ウムの錯体の存在下に、ノルボルネン系モノマーを、水
分含有量の少ない各種の添加剤とともに塊状重合してノ
ルボルネン系樹脂成形体を得る技術が開示されている。
この公報では、混合順序についての開示も示唆もない。
報では、8族の遷移金属系メタセシス触媒であるルテニ
ウムの錯体の存在下に、ノルボルネン系モノマーを、水
分含有量の少ない各種の添加剤とともに塊状重合してノ
ルボルネン系樹脂成形体を得る技術が開示されている。
この公報では、混合順序についての開示も示唆もない。
【0009】ところが、従来の方法で充填剤の存在下に
ノルボルネン系モノマーを塊状重合して得られるノルボ
ルネン系樹脂成形体では、ノルボルネン系樹脂成形体の
品質、特に硬化不良や金型への充填不良が少ないという
品質についての益々高まる要求性能に答えられないこと
が分かってきた。
ノルボルネン系モノマーを塊状重合して得られるノルボ
ルネン系樹脂成形体では、ノルボルネン系樹脂成形体の
品質、特に硬化不良や金型への充填不良が少ないという
品質についての益々高まる要求性能に答えられないこと
が分かってきた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、ノルボルネン系モノマーを充填剤とともに塊状重合
した際に、硬化不良や金型への充填不良の少ない、品質
の優れたノルボルネン系樹脂成形体を得る方法を提供す
ることにある。
は、ノルボルネン系モノマーを充填剤とともに塊状重合
した際に、硬化不良や金型への充填不良の少ない、品質
の優れたノルボルネン系樹脂成形体を得る方法を提供す
ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来の技
術を丹念に解析しなおしたところ、従来の技術ではいず
れも、充填剤とノルボルネン系モノマーを(反応性混合
物を構成するよりも)前に混合し、しかる後にノルボル
ネン系モノマーを重合可能とする成分(メタセシス触媒
および必要に応じて活性剤)を混合するのが通常である
ことに気づいた。
術を丹念に解析しなおしたところ、従来の技術ではいず
れも、充填剤とノルボルネン系モノマーを(反応性混合
物を構成するよりも)前に混合し、しかる後にノルボル
ネン系モノマーを重合可能とする成分(メタセシス触媒
および必要に応じて活性剤)を混合するのが通常である
ことに気づいた。
【0012】一般的には、固体と液体は混合しにくく、
液体と液体は混合しやすいと考えられる。固体である充
填剤と液状であるノルボルネン系モノマーとを予め混合
してスラリー状としても反応性混合物は構成されないた
め、これらを先に混合して、ここに液状の触媒(および
必要に応じて活性剤)を含む成分を混合し、しかる後に
直ぐに金型内に導き、塊状重合をしたいと考えがちであ
る。そのため、従来の技術では、上記のような混合順序
となっていたものと考えられる。
液体と液体は混合しやすいと考えられる。固体である充
填剤と液状であるノルボルネン系モノマーとを予め混合
してスラリー状としても反応性混合物は構成されないた
め、これらを先に混合して、ここに液状の触媒(および
必要に応じて活性剤)を含む成分を混合し、しかる後に
直ぐに金型内に導き、塊状重合をしたいと考えがちであ
る。そのため、従来の技術では、上記のような混合順序
となっていたものと考えられる。
【0013】しかし、本発明者らは、この混合順序が、
硬化不良や金型への充填不良に大きな関係があるとの前
提にたち、鋭意研究した結果、混合順序が硬化不良や金
型への充填不良に大きく影響していることを確認した。
しかも反応性混合物を構成する段階で、十分に均一な状
態となるまで各成分を混合し、得られた反応性混合物と
充填剤とを混合してさらに均一な混合状態としてから塊
状重合することによって、硬化不良や金型への充填不良
の無い良好なノルボルネン系樹脂成形体を得ることがで
きることを見いだし、本発明を完成するに到った。
硬化不良や金型への充填不良に大きな関係があるとの前
提にたち、鋭意研究した結果、混合順序が硬化不良や金
型への充填不良に大きく影響していることを確認した。
しかも反応性混合物を構成する段階で、十分に均一な状
態となるまで各成分を混合し、得られた反応性混合物と
充填剤とを混合してさらに均一な混合状態としてから塊
状重合することによって、硬化不良や金型への充填不良
の無い良好なノルボルネン系樹脂成形体を得ることがで
きることを見いだし、本発明を完成するに到った。
【0014】また、本発明者らは、硬化不良や金型への
充填不良の無い良好なノルボルネン系樹脂成形体を生産
性良く得るためには、上記メタセシス触媒として8族の
遷移金属系メタセシス触媒を用いることが好ましいこと
を見いだした。本発明者らは、充填剤とノルボルネン系
モノマーの比率が重量比で30/70〜50/50の場
合にも、上記の知見が好ましく適用可能であることを見
いだした。更に、本発明者らは、メタセシス触媒とノル
ボルネン系モノマーとを混合する前に、ノルボルネン系
モノマーを−20〜20℃にしておくことが好ましいこ
とを見いだした。
充填不良の無い良好なノルボルネン系樹脂成形体を生産
性良く得るためには、上記メタセシス触媒として8族の
遷移金属系メタセシス触媒を用いることが好ましいこと
を見いだした。本発明者らは、充填剤とノルボルネン系
モノマーの比率が重量比で30/70〜50/50の場
合にも、上記の知見が好ましく適用可能であることを見
いだした。更に、本発明者らは、メタセシス触媒とノル
ボルネン系モノマーとを混合する前に、ノルボルネン系
モノマーを−20〜20℃にしておくことが好ましいこ
とを見いだした。
【0015】かくして、本発明によれば、メタセシス触
媒により、充填剤の存在下にノルボルネン系モノマーを
塊状重合するノルボルネン系樹脂成形体の製造方法にお
いて、メタセシス触媒とノルボルネン系モノマーとを均
一に混合して得た反応性混合物と充填剤とを均一に混合
し、得られた混合物を塊状重合することを特徴とするノ
ルボルネン系樹脂成形体の製造方法が提供される。
媒により、充填剤の存在下にノルボルネン系モノマーを
塊状重合するノルボルネン系樹脂成形体の製造方法にお
いて、メタセシス触媒とノルボルネン系モノマーとを均
一に混合して得た反応性混合物と充填剤とを均一に混合
し、得られた混合物を塊状重合することを特徴とするノ
ルボルネン系樹脂成形体の製造方法が提供される。
【0016】本発明によれば、メタセシス触媒が8族の
遷移金属系メタセシス触媒である上記の製造方法も提供
される。また、本発明によれば、充填剤とノルボルネン
系モノマーの比率が重量比で30/70〜50/50で
ある上記の製造方法、及びメタセシス触媒とノルボルネ
ン系モノマーとを混合する前に、ノルボルネン系モノマ
ーを−20〜20℃にしておく上記の製造方法も提供さ
れる。
遷移金属系メタセシス触媒である上記の製造方法も提供
される。また、本発明によれば、充填剤とノルボルネン
系モノマーの比率が重量比で30/70〜50/50で
ある上記の製造方法、及びメタセシス触媒とノルボルネ
ン系モノマーとを混合する前に、ノルボルネン系モノマ
ーを−20〜20℃にしておく上記の製造方法も提供さ
れる。
【0017】
【発明の実施の形態】(ノルボルネン系モノマー)本発
明方法が適用できるノルボルネン系モノマーは、ノルボ
ルネン環構造を有する二環若しくは三環以上の多環炭化
水素化合物(以下ノルボルネン類ともいう)であり、置
換基を有するものであってもよい。
明方法が適用できるノルボルネン系モノマーは、ノルボ
ルネン環構造を有する二環若しくは三環以上の多環炭化
水素化合物(以下ノルボルネン類ともいう)であり、置
換基を有するものであってもよい。
【0018】その具体例としては、ノルボルネン、ノル
ボルナジエン、メチルノルボルネン、ジメチルノルボル
ネン、エチルノルボルネン、塩素化ノルボルネン、エチ
リデンノルボルネン、クロロメチルノルボルネン、トリ
メチルシリルノルボルネン、フェニルノルボルネン、シ
アノノルボルネン、ジシアノノルボルネン、メトキシカ
ルボニルノルボルネン、ピリジルノルボルネン、ノルボ
ルネンのナヂック酸無水物、ノルボルネンのナヂック酸
イミドなどの二環ノルボルネン類;
ボルナジエン、メチルノルボルネン、ジメチルノルボル
ネン、エチルノルボルネン、塩素化ノルボルネン、エチ
リデンノルボルネン、クロロメチルノルボルネン、トリ
メチルシリルノルボルネン、フェニルノルボルネン、シ
アノノルボルネン、ジシアノノルボルネン、メトキシカ
ルボニルノルボルネン、ピリジルノルボルネン、ノルボ
ルネンのナヂック酸無水物、ノルボルネンのナヂック酸
イミドなどの二環ノルボルネン類;
【0019】ジシクロペンタジエン(シクロペンタジエ
ンの二量体)、ジヒドロジシクロペンタジエンやそのア
ルキル、アルケニル、アルキリデンまたはアリール置換
体などの三環ノルボルネン類;ジメタノヘキサヒドロナ
フタレン、ジメタノオクタヒドロナフタレンやそのアル
キル、アルケニル、アルキリデンまたはアリール置換体
などの四環ノルボルネン類;トリシクロペンタジエン
(シクロペンタジエンの三量体)などの五環ノルボルネ
ン類、ヘキサシクロヘプタデセンなどの六環ノルボルネ
ン類;ジノルボルネン、二個のノルボルネン環を炭化水
素鎖またはエステル基などで結合した化合物、これらの
アルキルまたはアリール置換体などのノルボルネン環を
含む化合物などが挙げられる。
ンの二量体)、ジヒドロジシクロペンタジエンやそのア
ルキル、アルケニル、アルキリデンまたはアリール置換
体などの三環ノルボルネン類;ジメタノヘキサヒドロナ
フタレン、ジメタノオクタヒドロナフタレンやそのアル
キル、アルケニル、アルキリデンまたはアリール置換体
などの四環ノルボルネン類;トリシクロペンタジエン
(シクロペンタジエンの三量体)などの五環ノルボルネ
ン類、ヘキサシクロヘプタデセンなどの六環ノルボルネ
ン類;ジノルボルネン、二個のノルボルネン環を炭化水
素鎖またはエステル基などで結合した化合物、これらの
アルキルまたはアリール置換体などのノルボルネン環を
含む化合物などが挙げられる。
【0020】上記ノルボルネン系モノマーにシクロブテ
ン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセン
などの単環シクロオレフィンおよび置換基を有するそれ
らの誘導体を併用して用いて共(塊状)重合することも
できる。
ン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセン
などの単環シクロオレフィンおよび置換基を有するそれ
らの誘導体を併用して用いて共(塊状)重合することも
できる。
【0021】前記ノルボルネン系モノマーは単独で用い
ても、二種以上を混合して用いてもよい。二種以上を用
いる場合には、熱可塑性樹脂となる1つの二重結合を有
するノルボルネン系モノマーと、熱硬化性樹脂となる複
数の二重結合を有するノルボルネン系モノマーを適宜組
合せると、種々の物性を有するノルボルネン系樹脂成形
体を得ることができる。また、ノルボルネン系モノマー
を単独で使用する場合と比較して、二種以上を併用する
と凝固点降下により、凝固点温度が高いモノマーでも液
状として取扱えるという塊状重合時の利点がある。
ても、二種以上を混合して用いてもよい。二種以上を用
いる場合には、熱可塑性樹脂となる1つの二重結合を有
するノルボルネン系モノマーと、熱硬化性樹脂となる複
数の二重結合を有するノルボルネン系モノマーを適宜組
合せると、種々の物性を有するノルボルネン系樹脂成形
体を得ることができる。また、ノルボルネン系モノマー
を単独で使用する場合と比較して、二種以上を併用する
と凝固点降下により、凝固点温度が高いモノマーでも液
状として取扱えるという塊状重合時の利点がある。
【0022】これらのノルボルネン系モノマーの中でも
ジシクロペンタジエンを主たる成分として用いることが
好ましく、80重量%以上がジシクロペンタジエンであ
ることが更に好ましい。ジシクロペンタジエンは塊状重
合時の活性に優れ、得られるノルボルネン系樹脂成形体
の耐熱性が高いからである。ノルボルネン系モノマー
中、ジシクロペンタジエンは純粋(例えば99重量%以
上)であってもよく、得られるノルボルネン系樹脂成形
体の機械的強度が優れることから、シクロペンタジエン
の三量体を例えば2〜20%の範囲で含むものであって
も良い。
ジシクロペンタジエンを主たる成分として用いることが
好ましく、80重量%以上がジシクロペンタジエンであ
ることが更に好ましい。ジシクロペンタジエンは塊状重
合時の活性に優れ、得られるノルボルネン系樹脂成形体
の耐熱性が高いからである。ノルボルネン系モノマー
中、ジシクロペンタジエンは純粋(例えば99重量%以
上)であってもよく、得られるノルボルネン系樹脂成形
体の機械的強度が優れることから、シクロペンタジエン
の三量体を例えば2〜20%の範囲で含むものであって
も良い。
【0023】(充填剤)本発明で用いる充填剤はノルボ
ルネン系モノマーに不溶性の固体状物であり、さらに詳
しくは、粉体状、粒体状又は繊維状の無機充填剤又は有
機充填剤である。これらの充填剤は、得られるノルボル
ネン系樹脂成形体の収縮率や弾性率等の機械的特性の向
上、着色、難燃化、剛性付与、低熱膨張化、増量、軽量
化、導電付与または帯電防止を目的としてノルボルネン
系モノマーとともに塊状重合される。
ルネン系モノマーに不溶性の固体状物であり、さらに詳
しくは、粉体状、粒体状又は繊維状の無機充填剤又は有
機充填剤である。これらの充填剤は、得られるノルボル
ネン系樹脂成形体の収縮率や弾性率等の機械的特性の向
上、着色、難燃化、剛性付与、低熱膨張化、増量、軽量
化、導電付与または帯電防止を目的としてノルボルネン
系モノマーとともに塊状重合される。
【0024】本発明で用いることのできる無機充填剤の
具体例としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコン、
酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ア
ルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウ
ム、炭酸カルシウム、カオリンクレー、ネフエリンシナ
イト、シリカ、シリカゲル、溶融シリカ、合成ケイ酸、
石英粉、珪石粉、ケイソー土、硫酸バリウム、硫酸カル
シウム、軽石粉、ガラスバルンやウイスカー等の金属酸
化物が挙げることができる。特に着色を目的とした無機
充填剤としては、チタンブラック、マイカ、ウルトラマ
リンブルー、ベルリンブルー、酸化コバルト、チタニウ
ムイエロー、ストロンチウムクロメート、黒色酸化鉄、
モリブデン赤、モリブデンホワイト、エメラルドグリー
ン、コバルトブルーやチタンホワイトなどを挙げること
ができる。特に難燃化を目的とした無機充填剤として
は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの金
属水酸化物;黄リンや赤リンなどのリン;酸化アンチモ
ンなどのアンチモン化合物、ホウ酸、ホウ酸アンモンな
どの硼素化合物などを挙げることができる。これらの無
機質充填剤は、鉱物資源として得られるものであっても
良いし、工業的に合成されたものであっても良く、粉体
状または粒体状であることが一般的である。
具体例としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコン、
酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ア
ルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウ
ム、炭酸カルシウム、カオリンクレー、ネフエリンシナ
イト、シリカ、シリカゲル、溶融シリカ、合成ケイ酸、
石英粉、珪石粉、ケイソー土、硫酸バリウム、硫酸カル
シウム、軽石粉、ガラスバルンやウイスカー等の金属酸
化物が挙げることができる。特に着色を目的とした無機
充填剤としては、チタンブラック、マイカ、ウルトラマ
リンブルー、ベルリンブルー、酸化コバルト、チタニウ
ムイエロー、ストロンチウムクロメート、黒色酸化鉄、
モリブデン赤、モリブデンホワイト、エメラルドグリー
ン、コバルトブルーやチタンホワイトなどを挙げること
ができる。特に難燃化を目的とした無機充填剤として
は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの金
属水酸化物;黄リンや赤リンなどのリン;酸化アンチモ
ンなどのアンチモン化合物、ホウ酸、ホウ酸アンモンな
どの硼素化合物などを挙げることができる。これらの無
機質充填剤は、鉱物資源として得られるものであっても
良いし、工業的に合成されたものであっても良く、粉体
状または粒体状であることが一般的である。
【0025】本発明で用いることのできる有機充填剤の
具体例としては、木材などを粉砕して得られる木粉;ポ
リエステル、ポリスチレン、アクリル樹脂や尿素樹脂等
の樹脂ビーズ;シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ
エステル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフ
ェニレンサルファイド樹脂やフェノール系熱硬化性樹脂
等の樹脂の微粒子;カーボン繊維、アラミド繊維、ポリ
アミド繊維、ポリエステル繊維等の繊維;カーボンブラ
ック等が挙げられる。
具体例としては、木材などを粉砕して得られる木粉;ポ
リエステル、ポリスチレン、アクリル樹脂や尿素樹脂等
の樹脂ビーズ;シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ
エステル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフ
ェニレンサルファイド樹脂やフェノール系熱硬化性樹脂
等の樹脂の微粒子;カーボン繊維、アラミド繊維、ポリ
アミド繊維、ポリエステル繊維等の繊維;カーボンブラ
ック等が挙げられる。
【0026】本発明で用いる充填剤は塊状重合前に予め
表面処理をしておいても良く、その場合には一般的なシ
ランカップリング剤処理が採用可能である。用いるシラ
ンカップリング剤は、通常は一般式Y1SiY2(Y1
は官能基を有しSiに結合する1価の基、Y2は加水分
解性を有しSiに結合する1価の基)で表される。上記
の官能基Y1としては、塩素や臭素などのハロゲン;ビ
ニル基やクロロメチル基などの置換若しくは非置換の炭
化水素基;アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、メタ
クリルオキシ基、シアノ基、カルバメート基、ピリジル
基、スルホニルアジド基、カルバミド基、スチリル基、
アンモニウム基やアルコール基等の窒素原子、酸素原子
若しくは硫黄原子を含む炭化水素基を挙げることができ
る。加水分解性の基Y2としては、例えば塩素や臭素な
どのハロゲン;メトキシ、エトキシやメトキシエトキシ
等のアルコキシ基が挙げられる。これらのシランカップ
リング処理剤は単独で用いてもよく、2種以上を混合し
て用いても良い。シランカップリング処理は、上記のシ
ランカップリング剤を、通常は水または適当な溶剤に溶
解してシランカップリング処理剤液として用い、充填剤
の粉、粒または繊維の表面をシランカップリング剤液で
浸した後、水又は溶剤を乾燥することにより行う。シラ
ンカップリング処理剤液の濃度は通常0.001〜10
重量%、乾燥の条件は通常0〜100℃、10秒〜30
分で行われる。
表面処理をしておいても良く、その場合には一般的なシ
ランカップリング剤処理が採用可能である。用いるシラ
ンカップリング剤は、通常は一般式Y1SiY2(Y1
は官能基を有しSiに結合する1価の基、Y2は加水分
解性を有しSiに結合する1価の基)で表される。上記
の官能基Y1としては、塩素や臭素などのハロゲン;ビ
ニル基やクロロメチル基などの置換若しくは非置換の炭
化水素基;アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、メタ
クリルオキシ基、シアノ基、カルバメート基、ピリジル
基、スルホニルアジド基、カルバミド基、スチリル基、
アンモニウム基やアルコール基等の窒素原子、酸素原子
若しくは硫黄原子を含む炭化水素基を挙げることができ
る。加水分解性の基Y2としては、例えば塩素や臭素な
どのハロゲン;メトキシ、エトキシやメトキシエトキシ
等のアルコキシ基が挙げられる。これらのシランカップ
リング処理剤は単独で用いてもよく、2種以上を混合し
て用いても良い。シランカップリング処理は、上記のシ
ランカップリング剤を、通常は水または適当な溶剤に溶
解してシランカップリング処理剤液として用い、充填剤
の粉、粒または繊維の表面をシランカップリング剤液で
浸した後、水又は溶剤を乾燥することにより行う。シラ
ンカップリング処理剤液の濃度は通常0.001〜10
重量%、乾燥の条件は通常0〜100℃、10秒〜30
分で行われる。
【0027】本発明で用いる充填剤の水分の含有量は特
に限定されないが、0.001〜20重量%であり、好
ましくは0.001〜15重量%、特に好ましくは0.
001〜10重量%である。少なすぎればノルボルネン
系樹脂成形体の製造工程で乾燥工程を要するなど生産効
率が低下するほか、可燃性の充填剤の場合には粉塵爆発
の危険性が増大する。通常の充填剤は一般に0.001
〜数重量%程度の水分を含有しているので、それをその
まま用いても良いし、水分含有量が多すぎる場合には送
風乾燥機等により乾燥することにより、水分の含有量を
調製することも可能である。水分の含有量は、充填剤を
150℃で1時間、熱風乾燥機中で乾燥することによる
加熱減量として測定される。
に限定されないが、0.001〜20重量%であり、好
ましくは0.001〜15重量%、特に好ましくは0.
001〜10重量%である。少なすぎればノルボルネン
系樹脂成形体の製造工程で乾燥工程を要するなど生産効
率が低下するほか、可燃性の充填剤の場合には粉塵爆発
の危険性が増大する。通常の充填剤は一般に0.001
〜数重量%程度の水分を含有しているので、それをその
まま用いても良いし、水分含有量が多すぎる場合には送
風乾燥機等により乾燥することにより、水分の含有量を
調製することも可能である。水分の含有量は、充填剤を
150℃で1時間、熱風乾燥機中で乾燥することによる
加熱減量として測定される。
【0028】充填剤の粒の大きさは特に限定されない。
粒の大きさ(粒を三次元的に見たときの長手方向と短手
方向の長さの平均値)で、通常は0.0001〜10m
m、好ましくは0.001〜5mm、特に好ましくは
0.005〜3mmのものである。充填剤の粒径を揃え
て使用しても良いし、大きな粒径から小さな粒径まで混
合した状態のものを用いても良い。充填剤の粒径を揃え
るためには、必要に応じて篩で分級すれば良い。
粒の大きさ(粒を三次元的に見たときの長手方向と短手
方向の長さの平均値)で、通常は0.0001〜10m
m、好ましくは0.001〜5mm、特に好ましくは
0.005〜3mmのものである。充填剤の粒径を揃え
て使用しても良いし、大きな粒径から小さな粒径まで混
合した状態のものを用いても良い。充填剤の粒径を揃え
るためには、必要に応じて篩で分級すれば良い。
【0029】ノルボルネン系モノマーと充填剤との比率
は特に限定されないが、ノルボルネン系モノマーと充填
剤との重量比で80/20〜20/80であることが好
ましく、70/30〜50/50が特に好ましい。この
ように充填剤の比率が比較的高い場合においても、本発
明の方法によれば、硬化不良や金型への充填不良の少な
いノルボルネン系樹脂成形体を得ることができるため本
発明の方法を好ましく適用できる。
は特に限定されないが、ノルボルネン系モノマーと充填
剤との重量比で80/20〜20/80であることが好
ましく、70/30〜50/50が特に好ましい。この
ように充填剤の比率が比較的高い場合においても、本発
明の方法によれば、硬化不良や金型への充填不良の少な
いノルボルネン系樹脂成形体を得ることができるため本
発明の方法を好ましく適用できる。
【0030】(メタセシス触媒)本発明の塊状重合にお
いて使用する触媒は、ノルボルネン系モノマーを開環重
合することができるメタセシス触媒であれば良く、特に
限定されない。メタセシス触媒は遷移金属原子を中心原
子として、複数のイオン、原子、多原子イオン及び/又
は化合物が結合してなる錯体である。遷移金属原子とし
ては、5族、6族及び8族(長周期型周期表、以下同
じ)の原子が使用される。それぞれの族の原子は特に限
定されないが、5族の原子としては例えばタンタルが挙
げられ、6族の原子としては、例えばモリブデンやタン
グステンが挙げられ、8族の原子としては、例えばルテ
ニウムやオスミウムが挙げられる。
いて使用する触媒は、ノルボルネン系モノマーを開環重
合することができるメタセシス触媒であれば良く、特に
限定されない。メタセシス触媒は遷移金属原子を中心原
子として、複数のイオン、原子、多原子イオン及び/又
は化合物が結合してなる錯体である。遷移金属原子とし
ては、5族、6族及び8族(長周期型周期表、以下同
じ)の原子が使用される。それぞれの族の原子は特に限
定されないが、5族の原子としては例えばタンタルが挙
げられ、6族の原子としては、例えばモリブデンやタン
グステンが挙げられ、8族の原子としては、例えばルテ
ニウムやオスミウムが挙げられる。
【0031】本発明の目的には、8族の遷移金属系メタ
セシス触媒を用いることが好ましく、ルテニウムの錯体
が特に好ましい。塊状重合時の触媒の活性が優れるた
め、ノルボルネン系樹脂成形体の生産性に優れ、得られ
るノルボルネン系樹脂成形体の臭気(未反応のノルボル
ネン系モノマーに由来する)が少なく、硬化不良や金型
への充填不良が少ないからである。
セシス触媒を用いることが好ましく、ルテニウムの錯体
が特に好ましい。塊状重合時の触媒の活性が優れるた
め、ノルボルネン系樹脂成形体の生産性に優れ、得られ
るノルボルネン系樹脂成形体の臭気(未反応のノルボル
ネン系モノマーに由来する)が少なく、硬化不良や金型
への充填不良が少ないからである。
【0032】本発明のメタセシス触媒としては、ルテニ
ウムを中心原子として、複数のイオン、原子、多原子イ
オン及び/又は化合物が結合してなるルテニウム錯体が
好ましく、特に好ましくは、ルテニウムに少なくとも1
つのヘテロ原子含有カルベン化合物が結合してなる錯体
である。
ウムを中心原子として、複数のイオン、原子、多原子イ
オン及び/又は化合物が結合してなるルテニウム錯体が
好ましく、特に好ましくは、ルテニウムに少なくとも1
つのヘテロ原子含有カルベン化合物が結合してなる錯体
である。
【0033】具体的には、例えば、下記の一般式1また
は一般式2で表わされるルテニウム錯体が挙げられる。
は一般式2で表わされるルテニウム錯体が挙げられる。
【0034】
【化1】
【0035】(式1および式2のR1およびR2は、互
いに独立に水素またはハロゲン原子、酸素原子、窒素原
子、硫黄原子、リン原子若しくはけい素原子を含んでも
よいC1〜C20の炭化水素基を示す。X1およびX2
は、互いに独立に任意のアニオン性配位子を示す。L1
はヘテロ原子含有カルベン化合物を示し、L2はヘテロ
原子含有カルベン化合物または任意の中性の電子供与性
化合物を示す。R1、R2、X1、X2、L1及びL2
の2個、3個、4個、5個又は6個は互いに結合して多
座キレート化配位子を形成してもよい。)
いに独立に水素またはハロゲン原子、酸素原子、窒素原
子、硫黄原子、リン原子若しくはけい素原子を含んでも
よいC1〜C20の炭化水素基を示す。X1およびX2
は、互いに独立に任意のアニオン性配位子を示す。L1
はヘテロ原子含有カルベン化合物を示し、L2はヘテロ
原子含有カルベン化合物または任意の中性の電子供与性
化合物を示す。R1、R2、X1、X2、L1及びL2
の2個、3個、4個、5個又は6個は互いに結合して多
座キレート化配位子を形成してもよい。)
【0036】本発明において、ヘテロ原子とは、長周期
型周期表の15族および16族の原子のことで、具体的
には、N、O、P、S、As、Se原子などを挙げるこ
とができる。なかでもN、O、P、S原子が安定なカル
ベン化合物を得るためには好ましく、N原子が特に好ま
しい。
型周期表の15族および16族の原子のことで、具体的
には、N、O、P、S、As、Se原子などを挙げるこ
とができる。なかでもN、O、P、S原子が安定なカル
ベン化合物を得るためには好ましく、N原子が特に好ま
しい。
【0037】また、カルベン化合物とは、メチレン遊離
基を有する化合物の総称であり、(>C:、カルベン炭
素ともいう)で表されるような電荷のない2価の炭素原
子を持つ化合物のことである。一般的にカルベン化合物
は、化学反応中に生じる不安定な中間体として存在する
が、ヘテロ原子を有すると比較的安定なカルベン化合物
として単離することができる。
基を有する化合物の総称であり、(>C:、カルベン炭
素ともいう)で表されるような電荷のない2価の炭素原
子を持つ化合物のことである。一般的にカルベン化合物
は、化学反応中に生じる不安定な中間体として存在する
が、ヘテロ原子を有すると比較的安定なカルベン化合物
として単離することができる。
【0038】本発明のカルベン化合物では、カルベン炭
素には、好ましくはその両側に、ヘテロ原子が隣接して
結合していることが好ましい。そのようなカルベン化合
物の中でも、カルベン炭素原子とその両側のヘテロ原子
とを含むヘテロ環が構成されているものが好ましく、当
該ヘテロ環は二重結合を含まない飽和環構造となってい
ることが特に好ましい。カルベン炭素に隣接するヘテロ
原子には嵩高い置換基を有していることが好ましい。以
上のような好ましい構造を持つカルベン化合物が結合し
たメタセシス触媒を使用した場合に、塊状重合の活性が
特に高く、塊状重合後の後加熱工程が不要となり、ノル
ボルネン系樹脂成形体の生産効率が良くなる。
素には、好ましくはその両側に、ヘテロ原子が隣接して
結合していることが好ましい。そのようなカルベン化合
物の中でも、カルベン炭素原子とその両側のヘテロ原子
とを含むヘテロ環が構成されているものが好ましく、当
該ヘテロ環は二重結合を含まない飽和環構造となってい
ることが特に好ましい。カルベン炭素に隣接するヘテロ
原子には嵩高い置換基を有していることが好ましい。以
上のような好ましい構造を持つカルベン化合物が結合し
たメタセシス触媒を使用した場合に、塊状重合の活性が
特に高く、塊状重合後の後加熱工程が不要となり、ノル
ボルネン系樹脂成形体の生産効率が良くなる。
【0039】本発明に好ましいヘテロ原子含有カルベン
化合物の例としては、下記の一般式3(1,3−二置換
イミダゾリジン−2−イリデン類)または一般式4
(1,3−二置換−4−イミダゾリン−2−イリデン)
で示される化合物を挙げることができる。一般式3及び
4で表される化合物は、カルベン炭素原子の両側にヘテ
ロ原子が結合してヘテロ環を構成しており、一般式3の
化合物はヘテロ環が飽和環構造のものであり、一般式4
の化合物はヘテロ環が二重結合を含む環構造のものであ
る。
化合物の例としては、下記の一般式3(1,3−二置換
イミダゾリジン−2−イリデン類)または一般式4
(1,3−二置換−4−イミダゾリン−2−イリデン)
で示される化合物を挙げることができる。一般式3及び
4で表される化合物は、カルベン炭素原子の両側にヘテ
ロ原子が結合してヘテロ環を構成しており、一般式3の
化合物はヘテロ環が飽和環構造のものであり、一般式4
の化合物はヘテロ環が二重結合を含む環構造のものであ
る。
【0040】
【化2】
【0041】(上記式3および式4のR3、R4は、互
いに独立に水素またはハロゲン原子、酸素原子、窒素原
子、硫黄原子、リン原子若しくはけい素原子を含んでも
よいC1〜C20の炭化水素基を示す。)
いに独立に水素またはハロゲン原子、酸素原子、窒素原
子、硫黄原子、リン原子若しくはけい素原子を含んでも
よいC1〜C20の炭化水素基を示す。)
【0042】一般式3及び4以外の、好ましいヘテロ原
子含有カルベン化合物の例としては、1,3,4,5−
四置換イミダゾリジン−2−イリデン類、1,3,4,
5−四置換−4−イミダゾリン−2−イリデン類、1,
3,4−三置換−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H
−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン類、3−置
換−2,3,4,5−テトラヒドロチアゾール−2−イ
リデン類、1,3−二置換ヘキサヒドロピリミジン−2
−イリデン−N,N,N’,N’−四置換ホルムアミジ
ニリデン類や3−置換−2,3−ジヒドロチアゾール−
2−イリデン類などを挙げることができる。これらの化
合物はいずれも、カルベン炭素原子の両側にヘテロ原子
が結合してヘテロ環を構成している構造となっており、
これらの化合物のうち好ましいものは、カルベン炭素に
隣接するヘテロ原子に嵩高い置換基が結合している構造
のものである。
子含有カルベン化合物の例としては、1,3,4,5−
四置換イミダゾリジン−2−イリデン類、1,3,4,
5−四置換−4−イミダゾリン−2−イリデン類、1,
3,4−三置換−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H
−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン類、3−置
換−2,3,4,5−テトラヒドロチアゾール−2−イ
リデン類、1,3−二置換ヘキサヒドロピリミジン−2
−イリデン−N,N,N’,N’−四置換ホルムアミジ
ニリデン類や3−置換−2,3−ジヒドロチアゾール−
2−イリデン類などを挙げることができる。これらの化
合物はいずれも、カルベン炭素原子の両側にヘテロ原子
が結合してヘテロ環を構成している構造となっており、
これらの化合物のうち好ましいものは、カルベン炭素に
隣接するヘテロ原子に嵩高い置換基が結合している構造
のものである。
【0043】一般式3および4におけるR3及びR4と
して、並びに上記ヘテロ原子含有カルベン化合物のカル
ベン炭素に隣接するヘテロ原子に結合する置換基として
は、嵩高い基が好ましい。嵩高い基とは、2級炭素若し
くは3級炭素によりヘテロ原子に結合する基及び炭素を
含む環構造を有し環構造中の炭素からヘテロ原子に結合
する基である。嵩高い基の具体例としては、イソプロピ
ルやターシャリーブチル等の分岐構造を有するアルキル
基;シクロヘキシルやアダマンチル等の脂環基;フェニ
ル、メチルフェニル、メチルナフチル、2,6−ジイソ
プロピルフェニルやメシチルなどの置換若しくは非置換
の芳香環基などが挙げられる。嵩高い基が複数である場
合には、ヘテロ原子含有カルベン化合物の一分子中でそ
れらはお互いに同一でも異なっていてもよく、また、異
なる分子間でそれらはお互いに同一(単一化合物)であ
っても異なっていても(混合物)よい。
して、並びに上記ヘテロ原子含有カルベン化合物のカル
ベン炭素に隣接するヘテロ原子に結合する置換基として
は、嵩高い基が好ましい。嵩高い基とは、2級炭素若し
くは3級炭素によりヘテロ原子に結合する基及び炭素を
含む環構造を有し環構造中の炭素からヘテロ原子に結合
する基である。嵩高い基の具体例としては、イソプロピ
ルやターシャリーブチル等の分岐構造を有するアルキル
基;シクロヘキシルやアダマンチル等の脂環基;フェニ
ル、メチルフェニル、メチルナフチル、2,6−ジイソ
プロピルフェニルやメシチルなどの置換若しくは非置換
の芳香環基などが挙げられる。嵩高い基が複数である場
合には、ヘテロ原子含有カルベン化合物の一分子中でそ
れらはお互いに同一でも異なっていてもよく、また、異
なる分子間でそれらはお互いに同一(単一化合物)であ
っても異なっていても(混合物)よい。
【0044】前記一般式1および一般式2のアニオン
(陰イオン)性配位子X1及びX2は、中心金属から引
き離されたときに負の電荷を持つ配位子であればいかな
るものでもよい。例えば、F、Br、ClやIなどのハ
ロゲン原子;水素;アルキル基、アルケニル基、置換ア
リル基や置換シクロペンタジエニル基などの、鎖状、分
岐状または環状で置換または非置換の炭化水素基;アリ
ール基などの芳香族炭化水素基;アセチルアセトナト
基、ジケトネート基、アルコキシ基、アリールオキシ
基、アルコキシカルボニル基やカルボキシル基などの酸
素原子を含む炭化水素基;アルキルチオ基、アルケニル
チオ基やアリールチオ基などの硫黄原子を含む炭化水素
基;アルキルスルフォネート基、アリールスルフォネー
ト基、アルキルスルホニル基やアルキルスルフィニル基
などの酸素原子と硫黄原子とを含む炭化水素基などを挙
げることができる。好ましくはハロゲン原子であり、よ
り好ましくは塩素原子である。
(陰イオン)性配位子X1及びX2は、中心金属から引
き離されたときに負の電荷を持つ配位子であればいかな
るものでもよい。例えば、F、Br、ClやIなどのハ
ロゲン原子;水素;アルキル基、アルケニル基、置換ア
リル基や置換シクロペンタジエニル基などの、鎖状、分
岐状または環状で置換または非置換の炭化水素基;アリ
ール基などの芳香族炭化水素基;アセチルアセトナト
基、ジケトネート基、アルコキシ基、アリールオキシ
基、アルコキシカルボニル基やカルボキシル基などの酸
素原子を含む炭化水素基;アルキルチオ基、アルケニル
チオ基やアリールチオ基などの硫黄原子を含む炭化水素
基;アルキルスルフォネート基、アリールスルフォネー
ト基、アルキルスルホニル基やアルキルスルフィニル基
などの酸素原子と硫黄原子とを含む炭化水素基などを挙
げることができる。好ましくはハロゲン原子であり、よ
り好ましくは塩素原子である。
【0045】一般式1および一般式2におけるL2とし
て使用できる中性の電子供与性化合物は、中心金属から
引き離されたときに中性の電荷を持つ配位子、すなわち
ルイス塩基であればいかなるものでもよい。その具体例
としては、酸素;水;芳香族化合物、環状ジオレフィン
類やオレフィン類などの置換または非置換の不飽和炭化
水素化合物;エ−テル類、カルボニル類やエステル類な
どの酸素原子を含む炭化水素化合物;アミド類、アミン
類やピリジン類等の窒素原子を含む炭化水素類;ニトリ
ル類やイソシアニド類などの酸素原子と窒素原子とを含
む炭化水素類;ホスフィン類、ホスフィナイト類やホス
ファイト類などの酸素原子とリン原子とを含む炭化水素
類;スルホキシド類やチオエーテル類などの酸素原子と
硫黄原子とを含む炭化水素類;チオシアネ−ト類などの
窒素原子と硫黄原子とを含む化合物;スチビン類などの
アンチモン原子を含む化合物;などのルイス塩基が挙げ
られる。好ましくはホスフィン類であり、特に好ましく
はトリアルキルホスフィンやトリアリールホスフィンな
どの三置換のホスフィン類である。
て使用できる中性の電子供与性化合物は、中心金属から
引き離されたときに中性の電荷を持つ配位子、すなわち
ルイス塩基であればいかなるものでもよい。その具体例
としては、酸素;水;芳香族化合物、環状ジオレフィン
類やオレフィン類などの置換または非置換の不飽和炭化
水素化合物;エ−テル類、カルボニル類やエステル類な
どの酸素原子を含む炭化水素化合物;アミド類、アミン
類やピリジン類等の窒素原子を含む炭化水素類;ニトリ
ル類やイソシアニド類などの酸素原子と窒素原子とを含
む炭化水素類;ホスフィン類、ホスフィナイト類やホス
ファイト類などの酸素原子とリン原子とを含む炭化水素
類;スルホキシド類やチオエーテル類などの酸素原子と
硫黄原子とを含む炭化水素類;チオシアネ−ト類などの
窒素原子と硫黄原子とを含む化合物;スチビン類などの
アンチモン原子を含む化合物;などのルイス塩基が挙げ
られる。好ましくはホスフィン類であり、特に好ましく
はトリアルキルホスフィンやトリアリールホスフィンな
どの三置換のホスフィン類である。
【0046】一般式1および一般式2のR1とR2は、
互いに独立に水素またはハロゲン原子、酸素原子、窒素
原子、硫黄原子、リン原子若しくはけい素原子を含んで
もよいC1〜C20の炭化水素基である。具体的には、
水素及びC2〜C20のアルケニル基、アルキニル基、
アルキル基、アリール基、カルボキシル基、アルケニル
オキシ基、アルキニルオキシ基、アリールオキシ基、ア
ルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ
基、アルキルスルホニル基若しくはアルキルスルフィニ
ル基などが挙げられる。
互いに独立に水素またはハロゲン原子、酸素原子、窒素
原子、硫黄原子、リン原子若しくはけい素原子を含んで
もよいC1〜C20の炭化水素基である。具体的には、
水素及びC2〜C20のアルケニル基、アルキニル基、
アルキル基、アリール基、カルボキシル基、アルケニル
オキシ基、アルキニルオキシ基、アリールオキシ基、ア
ルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ
基、アルキルスルホニル基若しくはアルキルスルフィニ
ル基などが挙げられる。
【0047】前記一般式1で表わされる好ましい錯体の
具体例としては、(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾ
リジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィ
ン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジ
シクロヘキシル−4−イミダゾリン−2−イリデン)
(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニ
ウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン
−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベ
ンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチ
ルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリフェニルホス
フィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3
−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(ト
リシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウム
ジクロリド、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン
−2−イリデン)(トリフェニルホスフィン)ベンジリ
デンルテニウムジクロリド、[1,3−ジ(メチルフェ
ニル)イミダゾリジン−2−イリデン](トリシクロヘ
キシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリ
ド、[1,3−ジ(メチルナフチル)イミダゾリジン−
2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ベン
ジリデンルテニウムジクロリド、(1,3,4,5−テ
トラフェニルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシ
クロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジク
ロリド、(1,3−ジシクロヘキシルヘキサヒドロピリ
ミジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィ
ン)ベンジリデンルテニウムジクロリドなどのヘテロ原
子含有カルベン化合物と中性の電子供与性化合物が配位
したルテニウム錯体;ビス(1,3−ジイソプロピルイ
ミダゾリジン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウム
ジクロリド、ビス(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾ
リジン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロ
リド、ビス(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリ
ン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリ
ド、ビス(1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリ
ン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリド
などの2つのヘテロ原子含有カルベン化合物が配位した
ルテニウム錯体などが挙げられる。
具体例としては、(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾ
リジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィ
ン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジ
シクロヘキシル−4−イミダゾリン−2−イリデン)
(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニ
ウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン
−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベ
ンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチ
ルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリフェニルホス
フィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3
−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(ト
リシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウム
ジクロリド、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン
−2−イリデン)(トリフェニルホスフィン)ベンジリ
デンルテニウムジクロリド、[1,3−ジ(メチルフェ
ニル)イミダゾリジン−2−イリデン](トリシクロヘ
キシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリ
ド、[1,3−ジ(メチルナフチル)イミダゾリジン−
2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ベン
ジリデンルテニウムジクロリド、(1,3,4,5−テ
トラフェニルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシ
クロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジク
ロリド、(1,3−ジシクロヘキシルヘキサヒドロピリ
ミジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィ
ン)ベンジリデンルテニウムジクロリドなどのヘテロ原
子含有カルベン化合物と中性の電子供与性化合物が配位
したルテニウム錯体;ビス(1,3−ジイソプロピルイ
ミダゾリジン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウム
ジクロリド、ビス(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾ
リジン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロ
リド、ビス(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリ
ン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリ
ド、ビス(1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリ
ン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリド
などの2つのヘテロ原子含有カルベン化合物が配位した
ルテニウム錯体などが挙げられる。
【0048】さらに、前記式1または式2で表わされる
錯体を、ジ−μ−クロロビス[(p−シメン)クロロル
テニウム]、ジ−μ−クロロビス[(p−シメン)クロ
ロオスミウム]、ジクロロ(ペンタメチルシクロペンタ
ジエニル)ロジウムダイマーなどの複核金属錯体と反応
させて得られる、複核ルテニウム−錯体を用いてもよ
い。
錯体を、ジ−μ−クロロビス[(p−シメン)クロロル
テニウム]、ジ−μ−クロロビス[(p−シメン)クロ
ロオスミウム]、ジクロロ(ペンタメチルシクロペンタ
ジエニル)ロジウムダイマーなどの複核金属錯体と反応
させて得られる、複核ルテニウム−錯体を用いてもよ
い。
【0049】メタセシス触媒としてルテニウム錯体を用
いる場合の使用量は、ルテニウム錯体中の金属ルテニウ
ム/ノルボルネン系モノマーのモル比として、通常1:
2,000〜1:2,000,000、好ましくは1:
5,000〜1,000,000、より好ましくは1:
10,000〜1:500,000である。これが小さ
すぎれば塊状重合時の活性が十分でなく、大きすぎれば
塊状重合の活性が高すぎて硬化不良や金型への充填不良
を生じやすくなる。
いる場合の使用量は、ルテニウム錯体中の金属ルテニウ
ム/ノルボルネン系モノマーのモル比として、通常1:
2,000〜1:2,000,000、好ましくは1:
5,000〜1,000,000、より好ましくは1:
10,000〜1:500,000である。これが小さ
すぎれば塊状重合時の活性が十分でなく、大きすぎれば
塊状重合の活性が高すぎて硬化不良や金型への充填不良
を生じやすくなる。
【0050】ルテニウム錯体であるメタセシス触媒は必
要に応じて、少量の不活性溶剤に溶解して使用すること
ができる。かかる不活性溶剤としては、例えば、ペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタンなどの鎖状脂肪族炭化水素溶
剤;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘ
キサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘ
キサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサ
ン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、トリシ
クロデカン、ヘキサヒドロインデンシクロヘキサン、シ
クロオクタンなどの脂環式炭化水素溶剤;ベンゼン、ト
ルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶剤;ニトロメ
タン、ニトロベンゼン、アセトニトリルなどの含窒素炭
化水素溶剤;ジエチルエ−テル、テトラヒドロフランな
どのエ−テル系溶剤などを使用することができる。ま
た、ルテニウム錯体のメタセシス触媒としての活性を落
とさないようなものであれば、液状の老化防止剤、可塑
剤やエラストマーを溶剤として用いても良い。これらの
溶剤の中では、工業的に汎用されている芳香族炭化水素
溶剤、脂肪族炭化水素溶剤や脂環式炭化水素溶剤が好ま
しい。
要に応じて、少量の不活性溶剤に溶解して使用すること
ができる。かかる不活性溶剤としては、例えば、ペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタンなどの鎖状脂肪族炭化水素溶
剤;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘ
キサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘ
キサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサ
ン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、トリシ
クロデカン、ヘキサヒドロインデンシクロヘキサン、シ
クロオクタンなどの脂環式炭化水素溶剤;ベンゼン、ト
ルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶剤;ニトロメ
タン、ニトロベンゼン、アセトニトリルなどの含窒素炭
化水素溶剤;ジエチルエ−テル、テトラヒドロフランな
どのエ−テル系溶剤などを使用することができる。ま
た、ルテニウム錯体のメタセシス触媒としての活性を落
とさないようなものであれば、液状の老化防止剤、可塑
剤やエラストマーを溶剤として用いても良い。これらの
溶剤の中では、工業的に汎用されている芳香族炭化水素
溶剤、脂肪族炭化水素溶剤や脂環式炭化水素溶剤が好ま
しい。
【0051】5族及び6族の遷移金属系メタセシス触媒
を使用する場合には、5族または6族の遷移金属をその
ハロゲン化物、オキシハロゲン化物、酸化物や有機アン
モニウム塩などの錯体として使用する。使用量は、ノル
ボルネン系モノマーの1モルに対し、通常、約0.01
〜50ミリモル、好ましくは0.1〜20ミリモルの範
囲である。
を使用する場合には、5族または6族の遷移金属をその
ハロゲン化物、オキシハロゲン化物、酸化物や有機アン
モニウム塩などの錯体として使用する。使用量は、ノル
ボルネン系モノマーの1モルに対し、通常、約0.01
〜50ミリモル、好ましくは0.1〜20ミリモルの範
囲である。
【0052】5族及び6族の遷移金属系メタセシス触媒
を使用する場合には、重合活性を制御する目的で、活性
剤(共触媒)と併用することが好ましい。活性剤は、有
機アルミニウム化合物又は有機スズ化合物であり、具体
的には、アルミニウムおよびスズの、(部分)アルキル
化物、(部分)ハロゲン化物、(部分)アルコキシ化物
及び(部分)アリールオキシ化物などが挙げられる(こ
こで「部分」は同時に複数の化合物となっていてもよい
こと意味する)。活性剤は、メタセシス触媒成分に対し
て、好ましくは1〜10(モル比)の範囲で用いる。
を使用する場合には、重合活性を制御する目的で、活性
剤(共触媒)と併用することが好ましい。活性剤は、有
機アルミニウム化合物又は有機スズ化合物であり、具体
的には、アルミニウムおよびスズの、(部分)アルキル
化物、(部分)ハロゲン化物、(部分)アルコキシ化物
及び(部分)アリールオキシ化物などが挙げられる(こ
こで「部分」は同時に複数の化合物となっていてもよい
こと意味する)。活性剤は、メタセシス触媒成分に対し
て、好ましくは1〜10(モル比)の範囲で用いる。
【0053】5族及び6族の遷移金属系メタセシス触媒
を使用する場合には、メタセシス触媒および活性剤は、
いずれもモノマーに溶解して用いる方が好ましいが、生
成物の性質を本質的に損なわない範囲であれば少量の溶
剤に懸濁または溶解させて用いてもよい。
を使用する場合には、メタセシス触媒および活性剤は、
いずれもモノマーに溶解して用いる方が好ましいが、生
成物の性質を本質的に損なわない範囲であれば少量の溶
剤に懸濁または溶解させて用いてもよい。
【0054】(その他の成分)本発明では、メタセシス
触媒の存在下に、ノルボルネン系モノマーを充填剤とと
もに塊状重合するが、これらの成分の他に本発明の目的
を損なわない範囲でその他の成分を加えて塊状重合して
も良い。
触媒の存在下に、ノルボルネン系モノマーを充填剤とと
もに塊状重合するが、これらの成分の他に本発明の目的
を損なわない範囲でその他の成分を加えて塊状重合して
も良い。
【0055】本発明の製造方法では、充填剤とノルボル
ネン系モノマーとが均一な混合状態となる前に塊状重合
反応が開始してしまうと、得られるノルボルネン系樹脂
成形体が不均質となったり硬化不良を起こすこととなる
ため、塊状重合の開始を遅らせる成分(遅延剤)を用い
ることも好ましい。このような遅延剤の具体的な例とし
ては、トリシクロペンチルホスフィン、トリシクロヘキ
シルヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ト
リフェニルホスファイト、n−ブチルホスフィンなどの
リン原子を含むルイス塩基化合物が挙げられ、これらの
中では、n−ブチルホスフィンなどのR5CH2PR6
R7(R5、R6、R7はアルキル基、アリール基な
ど)で表される化合物が特に好ましい。異なる遅延剤の
例としては、n−ブチルアミン、ピリジン、4−ビニル
ピリジン、アセトニトリル、エチレンジアミン、N−ベ
ンジリデンメチルアミン、ピラジン、ピペリジン、イミ
ダゾールなどの窒素原子を含むルイス塩基化合物が挙げ
られ、これらの中では、n−ブチルアミンなどの一級ア
ミンが好ましい。さらに異なる遅延剤の例としては、ビ
ニルノルボルネン、プロペニルノルボルネン、イソプロ
ペニルノルボルネンなどのオレフィン化合物が挙げられ
る。以上の各種の遅延剤の添加量は、メタセシス触媒
(遷移金属原子)1モルに対して、好ましくは0.1〜
1000モルの割合である。
ネン系モノマーとが均一な混合状態となる前に塊状重合
反応が開始してしまうと、得られるノルボルネン系樹脂
成形体が不均質となったり硬化不良を起こすこととなる
ため、塊状重合の開始を遅らせる成分(遅延剤)を用い
ることも好ましい。このような遅延剤の具体的な例とし
ては、トリシクロペンチルホスフィン、トリシクロヘキ
シルヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ト
リフェニルホスファイト、n−ブチルホスフィンなどの
リン原子を含むルイス塩基化合物が挙げられ、これらの
中では、n−ブチルホスフィンなどのR5CH2PR6
R7(R5、R6、R7はアルキル基、アリール基な
ど)で表される化合物が特に好ましい。異なる遅延剤の
例としては、n−ブチルアミン、ピリジン、4−ビニル
ピリジン、アセトニトリル、エチレンジアミン、N−ベ
ンジリデンメチルアミン、ピラジン、ピペリジン、イミ
ダゾールなどの窒素原子を含むルイス塩基化合物が挙げ
られ、これらの中では、n−ブチルアミンなどの一級ア
ミンが好ましい。さらに異なる遅延剤の例としては、ビ
ニルノルボルネン、プロペニルノルボルネン、イソプロ
ペニルノルボルネンなどのオレフィン化合物が挙げられ
る。以上の各種の遅延剤の添加量は、メタセシス触媒
(遷移金属原子)1モルに対して、好ましくは0.1〜
1000モルの割合である。
【0056】得られるノルボルネン系樹脂成形体の耐衝
撃性改良のほか、ノルボルネン系モノマーの粘度を調製
することを目的として、塊状重合時に各種のエラストマ
ーを添加することもできる。エラストマーとしては、例
えば、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ス
チレン−ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン−ブ
タジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチ
レン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、エチ
レン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)およびこれら
の水素化物などがあげられる。これらの中でもスチレン
骨格またはブタジエン骨格を持ったものが特に好まし
い。エラストマーは、通常、ノルボルネン系モノマーを
含む反応溶液に予め溶解させて使用する。エラストマー
を溶解させることにより、モノマーを含む反応溶液が低
粘度である場合には、その粘度を適度なものに調節する
ことができる。エラストマーの使用量は、得られるポリ
ノルボルネン系樹脂100重量部に対し、通常、0.5
〜20重量部、好ましくは1〜15重量部、より好まし
くは2〜10重量部である。エラストマーの使用量が過
度に少ないと得られるノルボルネン系樹脂成形体の耐衝
撃性付与効果が小さく、逆に過度に多くなると反応溶液
の粘度が高くなり過ぎて、塊状重合時の操作性が悪くな
ったり、得られるノルボルネン系樹脂成形体の熱変形温
度や曲げ弾性率が低くなる傾向がある。
撃性改良のほか、ノルボルネン系モノマーの粘度を調製
することを目的として、塊状重合時に各種のエラストマ
ーを添加することもできる。エラストマーとしては、例
えば、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ス
チレン−ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン−ブ
タジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチ
レン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、エチ
レン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)およびこれら
の水素化物などがあげられる。これらの中でもスチレン
骨格またはブタジエン骨格を持ったものが特に好まし
い。エラストマーは、通常、ノルボルネン系モノマーを
含む反応溶液に予め溶解させて使用する。エラストマー
を溶解させることにより、モノマーを含む反応溶液が低
粘度である場合には、その粘度を適度なものに調節する
ことができる。エラストマーの使用量は、得られるポリ
ノルボルネン系樹脂100重量部に対し、通常、0.5
〜20重量部、好ましくは1〜15重量部、より好まし
くは2〜10重量部である。エラストマーの使用量が過
度に少ないと得られるノルボルネン系樹脂成形体の耐衝
撃性付与効果が小さく、逆に過度に多くなると反応溶液
の粘度が高くなり過ぎて、塊状重合時の操作性が悪くな
ったり、得られるノルボルネン系樹脂成形体の熱変形温
度や曲げ弾性率が低くなる傾向がある。
【0057】更に、ノルボルネン系モノマーの保存安定
性を改良することを目的としてノルボルネン系モノマー
に可溶性の酸化防止剤を添加しておくことが好ましい。
また、得られるノルボルネン系樹脂成形体の保存安定性
や耐候性を改良することを目的として、ノルボルネン系
モノマーに可溶性の酸化防止剤、紫外線吸収剤や耐候安
定剤添加剤を、ノルボルネン系モノマーに予め添加、ま
たは反応性混合物の塊状重合時までに添加することも好
ましい。酸化防止剤や耐候安定剤としてはヒンダードフ
ェノール系酸化防止剤やリン系酸化防止剤等がある。酸
化防止剤の中では、ヒンダードフェノール系酸化防止剤
が効果が優れるので好ましい。このようなヒンダードフ
ェノール系酸化防止剤の例としては、2,6−ジ−t−
ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチ
ル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート、テトラキス−〔メチレン−3−(3’,5’−
ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート〕メタン、2,2’−メチレンビス(4−メチル
−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビ
ス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,
4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノ−
ル)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
ベンゼン、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−
ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン
−2,4,6−(1H、3H、5H)トリオン等が挙げ
られる。紫外線吸収剤としては各種の油溶性染料が挙げ
られる。酸化防止剤、耐候安定剤及び紫外線吸収剤の添
加量は、通常は、50〜10,000ppm以下である
が、10,000ppmを越えて添加しても良い。
性を改良することを目的としてノルボルネン系モノマー
に可溶性の酸化防止剤を添加しておくことが好ましい。
また、得られるノルボルネン系樹脂成形体の保存安定性
や耐候性を改良することを目的として、ノルボルネン系
モノマーに可溶性の酸化防止剤、紫外線吸収剤や耐候安
定剤添加剤を、ノルボルネン系モノマーに予め添加、ま
たは反応性混合物の塊状重合時までに添加することも好
ましい。酸化防止剤や耐候安定剤としてはヒンダードフ
ェノール系酸化防止剤やリン系酸化防止剤等がある。酸
化防止剤の中では、ヒンダードフェノール系酸化防止剤
が効果が優れるので好ましい。このようなヒンダードフ
ェノール系酸化防止剤の例としては、2,6−ジ−t−
ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチ
ル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート、テトラキス−〔メチレン−3−(3’,5’−
ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート〕メタン、2,2’−メチレンビス(4−メチル
−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビ
ス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,
4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノ−
ル)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
ベンゼン、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−
ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン
−2,4,6−(1H、3H、5H)トリオン等が挙げ
られる。紫外線吸収剤としては各種の油溶性染料が挙げ
られる。酸化防止剤、耐候安定剤及び紫外線吸収剤の添
加量は、通常は、50〜10,000ppm以下である
が、10,000ppmを越えて添加しても良い。
【0058】(塊状重合)本発明の方法では、必須成分
であるメタセシス触媒とノルボルネン系モノマーと充填
剤とを混合する順序が重要であり、メタセシス触媒、必
要に応じて共触媒と、ノルボルネン系モノマーとを均一
に混合して反応性混合物(塊状重合反応が開始できる状
態の混合物)とした後で、塊状重合が始まって粘度が急
激に上昇する前に、この反応性混合物と充填剤とを均一
に混合する。反応性混合物の調製には、公知の攪拌機、
ホモジナイザー、スタティックミキサーや衝突混合機が
使用可能である。それぞれの混合状態が均一になったか
どうかは例えば目視などで確認する。このような順序と
することにより、得られるノルボルネン系樹脂成形体が
均質なものとなり、硬化不良や金型への充填不良が発生
しにくくなり好ましい。充填剤は反応性混合物が構成さ
れた後に添加するが、本発明の目的を損なわない範囲
で、充填剤の一部を反応性混合物を構成する前のノルボ
ルネン系モノマーまたは混合物に添加しておいてもよ
い。当該充填剤の一部は、充填剤の全重量のうちの多く
とも30重量%以下、好ましくは15重量%以下であ
る。当該充填剤の一部の割合が多すぎれば、本発明の目
的を達成できなくなる。また、ハンドレイアップ法など
のように上面が開口した構造の金型を使用する場合に
は、反応性混合物と充填剤とを均一に混合する工程を金
型中で行うことも好ましい。
であるメタセシス触媒とノルボルネン系モノマーと充填
剤とを混合する順序が重要であり、メタセシス触媒、必
要に応じて共触媒と、ノルボルネン系モノマーとを均一
に混合して反応性混合物(塊状重合反応が開始できる状
態の混合物)とした後で、塊状重合が始まって粘度が急
激に上昇する前に、この反応性混合物と充填剤とを均一
に混合する。反応性混合物の調製には、公知の攪拌機、
ホモジナイザー、スタティックミキサーや衝突混合機が
使用可能である。それぞれの混合状態が均一になったか
どうかは例えば目視などで確認する。このような順序と
することにより、得られるノルボルネン系樹脂成形体が
均質なものとなり、硬化不良や金型への充填不良が発生
しにくくなり好ましい。充填剤は反応性混合物が構成さ
れた後に添加するが、本発明の目的を損なわない範囲
で、充填剤の一部を反応性混合物を構成する前のノルボ
ルネン系モノマーまたは混合物に添加しておいてもよ
い。当該充填剤の一部は、充填剤の全重量のうちの多く
とも30重量%以下、好ましくは15重量%以下であ
る。当該充填剤の一部の割合が多すぎれば、本発明の目
的を達成できなくなる。また、ハンドレイアップ法など
のように上面が開口した構造の金型を使用する場合に
は、反応性混合物と充填剤とを均一に混合する工程を金
型中で行うことも好ましい。
【0059】その他の成分を、どこの工程で混合するか
は特に限定されないが、例えば、ノルボルネン系モノマ
ーに溶解できる成分は反応性混合物を調製する前まで
に、ノルボルネン系モノマーに不溶性の成分は充填剤と
混合しておくことも好ましい。
は特に限定されないが、例えば、ノルボルネン系モノマ
ーに溶解できる成分は反応性混合物を調製する前まで
に、ノルボルネン系モノマーに不溶性の成分は充填剤と
混合しておくことも好ましい。
【0060】充填剤と、反応性混合物とを混合する際に
は、充填剤が固体状であるために混合しにくい。これら
を混合するには、公知の回転式攪拌機やスタティックミ
キサーなどの不溶性固形物を混合するのに適した混合機
で十分に混合する必要がある。混合に要する時間は塊状
重合反応が開始して反応性混合物の粘度が上昇し始める
までに行う必要がある。押出機のスクリューにより混合
と成形を同時に行うという方法も考えられる。
は、充填剤が固体状であるために混合しにくい。これら
を混合するには、公知の回転式攪拌機やスタティックミ
キサーなどの不溶性固形物を混合するのに適した混合機
で十分に混合する必要がある。混合に要する時間は塊状
重合反応が開始して反応性混合物の粘度が上昇し始める
までに行う必要がある。押出機のスクリューにより混合
と成形を同時に行うという方法も考えられる。
【0061】塊状重合反応が開始する前の、ノルボルネ
ン系モノマーまたは反応性混合物、および充填剤の温度
は特に限定されず、室温(20℃程度)でも良いし、塊
状重合の活性を上げるため20〜80℃の間で昇温させ
ても良い。しかし、本発明のノルボルネン系樹脂の製造
方法では、充填剤とノルボルネン系モノマーとが均一な
混合状態となる前に塊状重合反応が開始してしまうと、
得られるノルボルネン系樹脂成形体が不均質となった
り、硬化不良を起こしたり、金型への充填不良を起こす
こととなるため、成形方法によっては、塊状重合の開始
を遅らせるために、ノルボルネン系モノマーまたは反応
性混合物を室温以下に冷却することも好ましい。冷却す
る場合の温度は、−20〜20℃の範囲である。
ン系モノマーまたは反応性混合物、および充填剤の温度
は特に限定されず、室温(20℃程度)でも良いし、塊
状重合の活性を上げるため20〜80℃の間で昇温させ
ても良い。しかし、本発明のノルボルネン系樹脂の製造
方法では、充填剤とノルボルネン系モノマーとが均一な
混合状態となる前に塊状重合反応が開始してしまうと、
得られるノルボルネン系樹脂成形体が不均質となった
り、硬化不良を起こしたり、金型への充填不良を起こす
こととなるため、成形方法によっては、塊状重合の開始
を遅らせるために、ノルボルネン系モノマーまたは反応
性混合物を室温以下に冷却することも好ましい。冷却す
る場合の温度は、−20〜20℃の範囲である。
【0062】本発明のノルボルネン系樹脂成形体の製造
方法は、ノルボルネン系モノマーの塊状重合であるが、
メタセシス触媒を用いることにより、液状のノルボルネ
ン系モノマーと充填剤との混合物から一挙にノルボルネ
ン系樹脂成形体を得ることができる。この塊状重合反応
は急激なものであり、メタセシス触媒として好ましいル
テニウム錯体錯体を使用した場合は、重合反応速度の温
度依存性が大きいため、一旦発熱が開始して温度が上昇
すると、重合反応速度が極めて速くなり、その結果発熱
時の温度の立ち上がり(温度上昇カーブ)が急となる。
最高昇温速度は、通常10℃/秒以上である。
方法は、ノルボルネン系モノマーの塊状重合であるが、
メタセシス触媒を用いることにより、液状のノルボルネ
ン系モノマーと充填剤との混合物から一挙にノルボルネ
ン系樹脂成形体を得ることができる。この塊状重合反応
は急激なものであり、メタセシス触媒として好ましいル
テニウム錯体錯体を使用した場合は、重合反応速度の温
度依存性が大きいため、一旦発熱が開始して温度が上昇
すると、重合反応速度が極めて速くなり、その結果発熱
時の温度の立ち上がり(温度上昇カーブ)が急となる。
最高昇温速度は、通常10℃/秒以上である。
【0063】本発明のノルボルネン系樹脂成形体の製造
方法に用いる成形装置や成形方法は特に限定されない
が、レジントランスファーモールディング(RTM)法
や反応射出成形(RIM)法により、ノルボルネン系モ
ノマーを金型内において塊状重合する方法が有用であ
る。金型は所定形状の成形物を得るために使用する。か
かる塊状重合においては、従来からRTM機やRIM機
として公知の成形機を使用することができる。これらの
成形方法で使用する金型は、割型構造すなわちコア型と
キャビティー型を有する金型であっても良いし、上面が
開口した構造の金型であっても良い。
方法に用いる成形装置や成形方法は特に限定されない
が、レジントランスファーモールディング(RTM)法
や反応射出成形(RIM)法により、ノルボルネン系モ
ノマーを金型内において塊状重合する方法が有用であ
る。金型は所定形状の成形物を得るために使用する。か
かる塊状重合においては、従来からRTM機やRIM機
として公知の成形機を使用することができる。これらの
成形方法で使用する金型は、割型構造すなわちコア型と
キャビティー型を有する金型であっても良いし、上面が
開口した構造の金型であっても良い。
【0064】成形方法として、ハンドレイアップ(手積
み成形)法も好ましく用いることができる。この成形方
法では金型は上面が開口した構造のものが一般的であ
る。
み成形)法も好ましく用いることができる。この成形方
法では金型は上面が開口した構造のものが一般的であ
る。
【0065】成形方法として、反応押出成形法(スクリ
ューにより金型中に反応性混合物を連続的に加圧供給
し、金型中で反応性混合物を連続的に塊状重合させる成
形方法)も好ましく用いることができる。反応押出成形
法によれば、押出成形機中でスクリューにより各成分を
混合しながら、適当なダイから押し出すことにより、丸
太状、角材状または筒状などのノルボルネン系樹脂成形
体を連続的に得ることができ、本発明の合成木材を得る
方法として特に好ましい。反応引き抜き成形法(特開2
000−290382号公報)も、同様な形状の成形体
が得られるため、好ましく用いることができる。
ューにより金型中に反応性混合物を連続的に加圧供給
し、金型中で反応性混合物を連続的に塊状重合させる成
形方法)も好ましく用いることができる。反応押出成形
法によれば、押出成形機中でスクリューにより各成分を
混合しながら、適当なダイから押し出すことにより、丸
太状、角材状または筒状などのノルボルネン系樹脂成形
体を連続的に得ることができ、本発明の合成木材を得る
方法として特に好ましい。反応引き抜き成形法(特開2
000−290382号公報)も、同様な形状の成形体
が得られるため、好ましく用いることができる。
【0066】ノルボルネン系モノマーとメタセシス触媒
とを混合してから、通常は数分で塊状重合が開始、温度
が上昇し、重合反応が進行する。
とを混合してから、通常は数分で塊状重合が開始、温度
が上昇し、重合反応が進行する。
【0067】(ノルボルネン系樹脂成形体)ノルボルネ
ン系樹脂成形体は、割型構造の金型の場合は塊状重合終
了後に必要に応じて一定時間冷却後に金型を開いて取り
出すことにより得られる。上面開口型の金型の場合は、
塊状重合終了後に必要に応じて一定時間冷却後に金型か
ら取り出すことにより得られる。反応押出成形法の場合
は、ダイから連続的にノルボルネン系樹脂成形体が得ら
れる。
ン系樹脂成形体は、割型構造の金型の場合は塊状重合終
了後に必要に応じて一定時間冷却後に金型を開いて取り
出すことにより得られる。上面開口型の金型の場合は、
塊状重合終了後に必要に応じて一定時間冷却後に金型か
ら取り出すことにより得られる。反応押出成形法の場合
は、ダイから連続的にノルボルネン系樹脂成形体が得ら
れる。
【0068】本発明の方法によって得られるノルボルネ
ン系樹脂成形体は、そのままでも、各種材料に応用でき
る。更に、ノルボルネン系樹脂成形体の表面に、着色塗
装や透明塗装を施して用いても良い。着色塗装や透明塗
装に用いる塗料は、ノルボルネン系樹脂成形体の耐候安
定性を改良することを目的として各種の紫外線吸収剤、
耐候安定剤や老化防止剤を含んだものであってもよい。
ン系樹脂成形体は、そのままでも、各種材料に応用でき
る。更に、ノルボルネン系樹脂成形体の表面に、着色塗
装や透明塗装を施して用いても良い。着色塗装や透明塗
装に用いる塗料は、ノルボルネン系樹脂成形体の耐候安
定性を改良することを目的として各種の紫外線吸収剤、
耐候安定剤や老化防止剤を含んだものであってもよい。
【0069】
【実施例】以下に実施例および比較例を挙げて、本発明
についてさらに具体的に説明するが、本発明は、これら
の実施例に限定されるものではない。特にことわりのな
いかぎり部、%は重量基準である。
についてさらに具体的に説明するが、本発明は、これら
の実施例に限定されるものではない。特にことわりのな
いかぎり部、%は重量基準である。
【0070】(実施例1)複数の撹拌翼を備えた回転式
攪拌機を備えた500mlの反応器に、ノルボルネン系
モノマーとしてジシクロペンタジエン(約10%のシク
ロペンタジエン三量体を含む)75gを入れ、液温が1
0℃になるまで氷浴で冷却した。メタセシス触媒として
ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2
−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニ
ウムジクロリド(Org.Lett.1999年、1
巻、953頁の記載に基づいて合成したもの)46.5
mgをトルエン2.7mlに溶解したもの(ルテニウム
錯体/ノルボルネン系モノマー=1/10000(mo
l/mol))を上記の反応器に加え反応性混合物とし
(時刻0秒)、攪拌機により目視で均一となるまで撹拌
した。ここに、充填剤として木粉(杉材をターボミルに
より粉砕、水分の含有量7.3%、粒の大きさ0.1m
m、嵩比重0.18g/cc)50gを上記の反応器に
加え(ノルボルネン系モノマー/充填剤との重量比60
/40)、攪拌機により目視で均一になるまで撹拌し、
その後攪拌機を外した。充填剤を混合完了した時の時刻
は90秒であった。金型として、底面が100mm×1
00mmの正方形のSUS製容器を用意し、反応器の内
容物を素早くSUS製容器に流し込み、その上から10
0mm×100mmの板状蓋を載せ(蓋は密閉構造では
なく、適当なベント隙間を設けてある)、10Kgの重
りで押さえた。時刻約200秒で温度が上昇し始め、重
合反応が開始し、その後終了した。重合反応終了後に金
型を室温で放置し、十分に金型が冷えてから取り出し
た。
攪拌機を備えた500mlの反応器に、ノルボルネン系
モノマーとしてジシクロペンタジエン(約10%のシク
ロペンタジエン三量体を含む)75gを入れ、液温が1
0℃になるまで氷浴で冷却した。メタセシス触媒として
ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2
−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニ
ウムジクロリド(Org.Lett.1999年、1
巻、953頁の記載に基づいて合成したもの)46.5
mgをトルエン2.7mlに溶解したもの(ルテニウム
錯体/ノルボルネン系モノマー=1/10000(mo
l/mol))を上記の反応器に加え反応性混合物とし
(時刻0秒)、攪拌機により目視で均一となるまで撹拌
した。ここに、充填剤として木粉(杉材をターボミルに
より粉砕、水分の含有量7.3%、粒の大きさ0.1m
m、嵩比重0.18g/cc)50gを上記の反応器に
加え(ノルボルネン系モノマー/充填剤との重量比60
/40)、攪拌機により目視で均一になるまで撹拌し、
その後攪拌機を外した。充填剤を混合完了した時の時刻
は90秒であった。金型として、底面が100mm×1
00mmの正方形のSUS製容器を用意し、反応器の内
容物を素早くSUS製容器に流し込み、その上から10
0mm×100mmの板状蓋を載せ(蓋は密閉構造では
なく、適当なベント隙間を設けてある)、10Kgの重
りで押さえた。時刻約200秒で温度が上昇し始め、重
合反応が開始し、その後終了した。重合反応終了後に金
型を室温で放置し、十分に金型が冷えてから取り出し
た。
【0071】得られたノルボルネン系樹脂成形体(試験
片1)は、100mm×100mm×厚さ15mmの大
きさであり、手で触ると木材と同じような質感と外観
(木質感)をもったものであった。試験片1の臭いを嗅
いだところ、ほとんど臭気はなく、塊状重合は均一に進
んでおり、硬化不良を起こした部位が無いことが分かっ
た。外観を確認したところ、成形品の充填不良は無く、
表面に発泡の跡は認められず、表面に大きな凸凹は無か
った。試験片1を木工用の鋸でほぼ同じ大きさに2つに
切断したところ、鋸の歯と試験片1が融着することなく
木材と同様に加工することができた。切断面を確認した
が、ボイド状の空隙は無かった。
片1)は、100mm×100mm×厚さ15mmの大
きさであり、手で触ると木材と同じような質感と外観
(木質感)をもったものであった。試験片1の臭いを嗅
いだところ、ほとんど臭気はなく、塊状重合は均一に進
んでおり、硬化不良を起こした部位が無いことが分かっ
た。外観を確認したところ、成形品の充填不良は無く、
表面に発泡の跡は認められず、表面に大きな凸凹は無か
った。試験片1を木工用の鋸でほぼ同じ大きさに2つに
切断したところ、鋸の歯と試験片1が融着することなく
木材と同様に加工することができた。切断面を確認した
が、ボイド状の空隙は無かった。
【0072】(実施例2)充填剤としてタルク(MS)
を50g(ノルボルネン系モノマー/充填剤との重量比
60/40)を用いた他は、実施例1同様にして、試験
片2を得た。
を50g(ノルボルネン系モノマー/充填剤との重量比
60/40)を用いた他は、実施例1同様にして、試験
片2を得た。
【0073】試験片2は、100mm×100mm×厚
さ10mmの大きさであった。試験片2の臭いを嗅いだ
ところ、ほとんど臭気はなく、塊状重合は均一に進んで
おり、硬化不良を起こした部位が無いことが分かった。
外観を確認したところ、成形品の金型への充填不良は無
く、表面に発泡の跡は認められず、表面に大きな凸凹は
無かった。試験片1をダイヤモンドカッターでキズをつ
けて割り、でほぼ同じ大きさに2つに切断した。切断面
を確認したが、ボイド状の空隙は無かった。
さ10mmの大きさであった。試験片2の臭いを嗅いだ
ところ、ほとんど臭気はなく、塊状重合は均一に進んで
おり、硬化不良を起こした部位が無いことが分かった。
外観を確認したところ、成形品の金型への充填不良は無
く、表面に発泡の跡は認められず、表面に大きな凸凹は
無かった。試験片1をダイヤモンドカッターでキズをつ
けて割り、でほぼ同じ大きさに2つに切断した。切断面
を確認したが、ボイド状の空隙は無かった。
【0074】(比較例1)充填剤としてタルク(MS)
を50g(ノルボルネン系モノマー/充填剤との重量比
60/40)を用い、混合順序を変えた他は、実施例1
同様にして以下の実験を行った。まず、反応器に、ノル
ボルネン系モノマーを入れ、液温が10℃になるまで氷
浴で冷却した。充填剤を反応器に加え、攪拌機により目
視で均一になるまで撹拌した。ここに、メタセシス触媒
をトルエンに溶解したものを上記の反応器に加え反応性
混合物とした(時刻0秒)。実施例1と同様の条件で、
90秒間攪拌機により撹拌したが、均一に混合できなか
った。その後攪拌機を外し、反応性混合物をSUS製容
器に流し込み、実施例1同様にその上から板状蓋を載せ
重りで押さえた。時刻約300秒で温度が上昇し始め、
重合反応が開始し、その後終了した。重合反応終了後に
金型を室温で放置し、十分に金型が冷えてから取り出
し、試験片3を得た。
を50g(ノルボルネン系モノマー/充填剤との重量比
60/40)を用い、混合順序を変えた他は、実施例1
同様にして以下の実験を行った。まず、反応器に、ノル
ボルネン系モノマーを入れ、液温が10℃になるまで氷
浴で冷却した。充填剤を反応器に加え、攪拌機により目
視で均一になるまで撹拌した。ここに、メタセシス触媒
をトルエンに溶解したものを上記の反応器に加え反応性
混合物とした(時刻0秒)。実施例1と同様の条件で、
90秒間攪拌機により撹拌したが、均一に混合できなか
った。その後攪拌機を外し、反応性混合物をSUS製容
器に流し込み、実施例1同様にその上から板状蓋を載せ
重りで押さえた。時刻約300秒で温度が上昇し始め、
重合反応が開始し、その後終了した。重合反応終了後に
金型を室温で放置し、十分に金型が冷えてから取り出
し、試験片3を得た。
【0075】試験片3は、100mm×100mm×厚
さ10mmの大きさであった。試験片3の臭いを嗅いだ
ところ、モノマー由来の臭気がひどく、塊状重合は均一
に進んでおらず、試験片の一部は硬化していたが、別の
一部は表面がべたつき硬化不良を起こしていた。外観を
確認したところ、成形品の表面が数カ所くぼんでいた。
さ10mmの大きさであった。試験片3の臭いを嗅いだ
ところ、モノマー由来の臭気がひどく、塊状重合は均一
に進んでおらず、試験片の一部は硬化していたが、別の
一部は表面がべたつき硬化不良を起こしていた。外観を
確認したところ、成形品の表面が数カ所くぼんでいた。
【0076】以上のように実施例で得られたノルボルネ
ン系樹脂成形品は、表面の凹凸や、表面および内部の硬
化不良や、金型への充填不良の無い良好なものであっ
た。
ン系樹脂成形品は、表面の凹凸や、表面および内部の硬
化不良や、金型への充填不良の無い良好なものであっ
た。
【0077】
【発明の効果】本発明の方法により得られるノルボルネ
ン系樹脂成形体は、硬化不良や金型への充填不良が少な
いという特性に優れる。ノルボルネン系樹脂成形体は充
填剤を高濃度で含有することができ、充填剤により、収
縮率や弾性率等の機械的特性の向上、着色、難燃化、剛
性付与、低熱膨張化、増量、軽量化、導電付与または帯
電防止などの品質の改良がなされたものであり、例え
ば、建築材料、建設材料や公園資材等の木材を代替する
用途の材料;浄化槽、浴槽、ユニットバス、洗面台、壁
パネルやキッチン天板などの住宅資材;レジャーボート
などのレジャー用品;輸送機器、輸送容器若しくは保存
容器の材料として使用可能である。
ン系樹脂成形体は、硬化不良や金型への充填不良が少な
いという特性に優れる。ノルボルネン系樹脂成形体は充
填剤を高濃度で含有することができ、充填剤により、収
縮率や弾性率等の機械的特性の向上、着色、難燃化、剛
性付与、低熱膨張化、増量、軽量化、導電付与または帯
電防止などの品質の改良がなされたものであり、例え
ば、建築材料、建設材料や公園資材等の木材を代替する
用途の材料;浄化槽、浴槽、ユニットバス、洗面台、壁
パネルやキッチン天板などの住宅資材;レジャーボート
などのレジャー用品;輸送機器、輸送容器若しくは保存
容器の材料として使用可能である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 65:00 C08L 65:00 Fターム(参考) 4F071 AA69 AB17 AB21 AB24 AB26 AB28 4F204 AA03L AA49L AB04 AB11 AB16 AH29 AH43 AH47 AH48 AH49 AM32 EA03 EA04 EB01 EE02 EF01 4J032 CA34 CA35 CA36 CD02 CE05 CG07
Claims (4)
- 【請求項1】 メタセシス触媒により、充填剤の存在下
にノルボルネン系モノマーを塊状重合するノルボルネン
系樹脂成形体の製造方法において、メタセシス触媒とノ
ルボルネン系モノマーとを均一に混合して得た反応性混
合物と充填剤とを均一に混合し、得られた混合物を塊状
重合することを特徴とするノルボルネン系樹脂成形体の
製造方法。 - 【請求項2】 メタセシス触媒が8族の遷移金属系メタ
セシス触媒である請求項1に記載の製造方法。 - 【請求項3】 充填剤とノルボルネン系モノマーの比率
が重量比で30/70〜50/50である請求項1又は
請求項2に記載の製造方法。 - 【請求項4】 メタセシス触媒とノルボルネン系モノマ
ーとを混合する前に、ノルボルネン系モノマーを−20
〜20℃にしておく請求項1乃至請求項3のいずれかに
記載に製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001148920A JP2002338664A (ja) | 2001-05-18 | 2001-05-18 | ノルボルネン系樹脂成形体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001148920A JP2002338664A (ja) | 2001-05-18 | 2001-05-18 | ノルボルネン系樹脂成形体の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002338664A true JP2002338664A (ja) | 2002-11-27 |
Family
ID=18994158
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001148920A Pending JP2002338664A (ja) | 2001-05-18 | 2001-05-18 | ノルボルネン系樹脂成形体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002338664A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005000579A1 (ja) * | 2003-06-27 | 2005-01-06 | Zeon Corporation | 積層体およびその製造方法 |
WO2007058249A1 (ja) * | 2005-11-18 | 2007-05-24 | Rimtec Corporation | ノルボルネン系樹脂成形体およびその製造方法 |
JP2015507545A (ja) * | 2011-11-18 | 2015-03-12 | メットン アメリカ,インク. | 非膨潤性雲母を含む液体成形樹脂 |
-
2001
- 2001-05-18 JP JP2001148920A patent/JP2002338664A/ja active Pending
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005000579A1 (ja) * | 2003-06-27 | 2005-01-06 | Zeon Corporation | 積層体およびその製造方法 |
JPWO2005000579A1 (ja) * | 2003-06-27 | 2006-08-03 | 日本ゼオン株式会社 | 積層体およびその製造方法 |
JP4904814B2 (ja) * | 2003-06-27 | 2012-03-28 | 日本ゼオン株式会社 | 積層体およびその製造方法 |
WO2007058249A1 (ja) * | 2005-11-18 | 2007-05-24 | Rimtec Corporation | ノルボルネン系樹脂成形体およびその製造方法 |
EP1950236A1 (en) * | 2005-11-18 | 2008-07-30 | Rimtec Corporation | Norbornene resin moldings and process for production thereof |
EP1950236A4 (en) * | 2005-11-18 | 2010-10-27 | Rimtec Corp | NORBORNENE RESIN MOLDINGS AND METHOD FOR MANUFACTURING THE SAME |
JP5357428B2 (ja) * | 2005-11-18 | 2013-12-04 | Rimtec株式会社 | ノルボルネン系樹脂成形体およびその製造方法 |
JP2015507545A (ja) * | 2011-11-18 | 2015-03-12 | メットン アメリカ,インク. | 非膨潤性雲母を含む液体成形樹脂 |
KR101926901B1 (ko) | 2011-11-18 | 2018-12-07 | 메톤 아메리카, 인크. | 비팽윤성 운모를 갖는 액체 성형 수지 |
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