JPH05329868A - ノルボルネン系樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

ノルボルネン系樹脂成形品の製造方法

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JPH05329868A
JPH05329868A JP16534492A JP16534492A JPH05329868A JP H05329868 A JPH05329868 A JP H05329868A JP 16534492 A JP16534492 A JP 16534492A JP 16534492 A JP16534492 A JP 16534492A JP H05329868 A JPH05329868 A JP H05329868A
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JP
Japan
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reaction
mold
norbornene
molded product
reaction mixture
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JP16534492A
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English (en)
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Munetoshi Nakano
宗俊 中野
Toshiro Suzuki
敏朗 鈴木
Mototoshi Yamato
元亨 大和
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Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 反応成形法により、ボイドや微小泡の発生が
大幅に抑制されたノルボルネン系樹脂成形品の製造方法
を提供すること。 【構成】 ノルボルネン系モノマーとメタセシス触媒を
含む反応原液と、ノルボルネン系モノマーと活性剤を含
む反応原液とを混合して反応混合液を調製し、次いで該
反応混合液を金型内に注入して塊状重合することにより
ノルボルネン系樹脂成形品を製造する方法において、反
応混合液の調製中及び/または調製後に、反応混合液を
冷却してから金型内に注入することを特徴とするノルボ
ルネン系樹脂成形品の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、反応成形により、ノル
ボルネン系モノマーをメタセシス触媒系の存在下に金型
内で塊状重合させるノルボルネン系樹脂成形品の製造方
法に関し、さらに詳しくは、ボイドや微小泡の発生を大
幅に抑制したノルボルネン系樹脂成形品の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】反応成形法は、一般に低粘度の反応液を
金型内に注入して反応させることにより成形品を製造す
る方法であり、例えば、反応射出成形(RIM)、液体
射出成形(LIM)、レジントランスファー成形(RT
M)、反応注型(RC)など各種の方法があり、その適
用樹脂の種類も拡大してきている。
【0003】ノルボルネン系樹脂の分野においても、ノ
ルボルネン系モノマーとメタセシス触媒系(メタセシス
触媒と活性剤からなる系)を含む反応混合液を金型内に
注入し、金型内で塊状重合(硬化)させることにより成
形品を製造する反応成形法についての技術開発が進めら
れている。
【0004】ノルボルネン系モノマーを用いた反応成形
においては、一般に、ノルボルネン系モノマーとメタセ
シス触媒を含む反応原液(A液)と、ノルボルネン系モ
ノマーとメタセシス触媒の活性剤を含む反応原液(B
液)とを混合ヘッド等のミキシング部(混合部)で混合
した後、反応混合液を金型内に注入して反応させる方式
が採用されている。両反応原液を混合すると、メタセシ
ス触媒が活性剤によって活性化されて重合反応を開始す
るため、反応混合液のポットライフにもよるが、通常
は、混合後速やかに金型内に注入する。
【0005】この方法により得られるノルボルネン系樹
脂成形品は、耐熱性、寸法安定性、耐吸水性などに優れ
ており、しかも軽量であるという特徴を有する。また、
この方法によれば、大型で複雑な成形品の成形が可能で
あるため、その市場が拡大してきている。ところが、ノ
ルボルネン系モノマーを用いた反応成形法により、大型
成形品、複雑な構造の成形品、あるいは大型かつ複雑な
構造の成形品を製造すると、得られたノルボルネン系樹
脂成形品には、その表面に多数のボイドや微小泡が発生
し易く、さらには内部に空孔を生じる場合がある。
【0006】その理由としては、低粘度の反応原液を使
用するため、(1)ミキシング部での混合時に泡を巻き
込み易いこと、(2)金型内での均一な流動が阻害さ
れ、泡を巻き込んだり、閉塞部への充填が不完全になる
こと、等が考えられる。したがって、反応成形法によ
り、ボイドや微小泡のないノルボルネン系樹脂成形品を
得るには、特に、ミキシング部での反応原液の混合状態
と、反応混合液の金型内での流動状態を制御することが
必要である。
【0007】本発明者らの検討結果によると、反応原液
の混合状態は、反応原液にエラストマーを添加し、か
つ、その添加量や種類、分子量等を調節することにより
調整できるが、反応混合液の金型内での流動状態を適正
に制御することは、反応混合液の粘度が反応活性の程度
により影響を受けると同時に、添加したエラストマーの
温度による粘度変化によっても影響を受けるため、極め
て困難である。
【0008】例えば、添加したエラストマーの温度によ
る粘度変化の影響を少なくするために、エラストマーの
添加量を減らすと、反応原液及び反応混合液の粘度が低
下して、泡の巻き込みが多くなる。この欠点を解消する
ために、触媒の種類や量、反応遅延剤の添加量等を調節
して、反応混合液の反応活性(配合活性)を高くして
も、反応原液の混合時における泡の巻き込みを防ぐこと
はできず、しかも反応活性が高くなるにつれて金型内で
の粘度変化が大きくなるので成形作業が難しくなる。
【0009】一方、エラストマーの添加量を増加させる
と、反応原液の混合時における混合不良が生じ易くなる
と共に、金型内での粘度が著しく上昇するため充填不良
となる。そこで、粘度の急上昇を抑制するために反応活
性を低下させると、成形サイクルが長くなって生産性が
悪化するだけではなく、硬化が不充分となるため成形品
表面にベタツキがでる等の問題が生じる。
【0010】また、粘度調整のために、反応原液に添加
するエラストマーの種類や分子量を成形品の大きさや形
状ごとに変えることは、操作が煩雑であるばかりか、品
質保証の上からも好ましくない。このため、反応原液の
混合状態と共に、混合後の流動状態を制御する方法が、
ボイドや微小泡の発生を防止するために求められてい
る。
【0011】従来、内部に空孔または空隙のないノルボ
ルネン系樹脂成形品を製造する方法として、ノルボルネ
ン系モノマーとメタセシス触媒系を含む反応液を金型温
度よりも高温とした状態で金型内に注入し、その後、不
活性ガスを金型内に導入して加圧する方法が提案されて
いる(特開平2−239915号)。この方法によれ
ば、肉厚成形品であっても実質的に空孔のない成形品を
得ることができる。
【0012】しかしながら、前記方法では、金型内に反
応液を注入した後に加圧するため、反応液が硬化する直
前にタイミングよく加圧しないと良好な成形品を得るこ
とができない。即ち、加圧時期が早すぎると、均一な圧
力をかけることができず、しかも急激な圧力により成形
品が変形し易く、逆に、加圧時期が遅すぎると、加圧に
よるボイドや空孔の発生防止効果が得られないという問
題がある。
【0013】また、金型内を不活性ガスで置換し、重合
阻害成分を除いて重合活性の低下を防ぎ、成形品にボイ
ドが発生するのを防止する方法が提案されている(特開
昭63−112125号)。しかしながら、この方法で
は、1サイクル毎に金型内を不活性ガスで置換しなけれ
ばならず、作業が煩雑である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、反応
成形法により、ボイドや微小泡の発生が大幅に抑制され
たノルボルネン系樹脂成形品の製造方法を提供すること
にある。本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意
研究した結果、ノルボルネン系モノマーとメタセシス触
媒系を含む反応混合液を調製する工程と、金型入口(ゲ
ート)との間に、反応混合液を冷却する工程を設けるこ
とにより、反応混合液調製工程における混合状態と金型
内での反応液の流動状態を共に好ましい範囲内に制御で
きること、その結果、ボイドや微小泡の発生が大幅に減
少したノルボルネン系樹脂成形品の得られることを見い
だした。この場合、反応原液の混合方式によっては、反
応混合液を調製する工程から冷却を始めてもよいし、あ
るいは、混合後、金型中のゲートに至るまでの間に冷却
してもよい。
【0015】この方法によれば、反応原液の温度や粘度
を成形品の形状や大きさによって変える必要がなく、泡
を巻き込まないで均一な混合状態を達成できる適正な初
期粘度範囲で反応原液を混合することができる。また、
触媒量等を調節して反応活性を高めても、冷却工程を設
けて反応による増粘を適度の範囲内に抑制することがで
きるため、金型内での反応液の粘度を適度のものとする
ことができ、泡の巻き込みによるボイドや微小泡の発生
を抑制しつつ、金型内の隅々にまで反応液を充填するこ
とができる。本発明は、これらの知見に基づいて完成す
るに至ったものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、ノルボルネン系モノマーとメタセシス触媒を含む反
応原液と、ノルボルネン系モノマーと活性剤を含む反応
原液とを混合して反応混合液を調製し、次いで該反応混
合液を金型内に注入して塊状重合することによりノルボ
ルネン系樹脂成形品を製造する方法において、反応混合
液の調製中及び/または調製後に、反応混合液を冷却し
てから金型内に注入することを特徴とするノルボルネン
系樹脂成形品の製造方法が提供される。
【0017】以下、本発明について詳述する。本発明の
ノルボルネン系樹脂成形品は、ノルボルネン系モノマー
とメタセシス触媒系を含む反応液を金型内で塊状に開環
重合することにより製造する。
【0018】(ノルボルネン系モノマー)本発明におい
て用いるノルボルネン系モノマーは、ノルボルネン環を
もつものであればいずれでもよいが、三環体以上の多環
ノルボルネン系モノマーを用いると、熱変形温度、耐衝
撃性、曲げ弾性率などの良好な樹脂が得られる。また、
本発明においては、生成する樹脂を熱硬化型とすること
ができ、そのためには全モノマー中の少なくとも10重
量%、好ましくは30重量%以上の割合で架橋性モノマ
ーを使用してもよい。
【0019】ノルボルネン系モノマーとしては、例え
ば、ノルボルネン、ノルボルナジエン等の二環体;ジシ
クロペンタジエンやジヒドロジシクロペンタジエン等の
三環体;テトラシクロドデセン等の四環体;トリシクロ
ペンタジエン等の五環体;テトラシクロペンタジエン等
の七環体;これらのアルキル置換体(例えば、メチル、
エチル、プロピル、ブチル置換体など)、アルケニル置
換体(例えば、ビニル置換体など)、アルキリデン置換
体(例えば、エチリデン置換体など)、アリール置換体
(例えば、フェニル、トリル、ナフチル置換体など)、
エステル基、エーテル基、シアノ基、ハロゲン原子など
の極性基を有する置換体;などが例示される。これらの
ノルボルネン系モノマーは、それぞれ単独で、あるいは
2種以上を組み合わせて使用することができる。また、
これらのノルボルネン系モノマーの中でも、入手の容易
さ、反応性、耐熱性等の見地から、三環体ないし五環体
が賞用される。
【0020】架橋性モノマーとしては、反応性の二重結
合を2個以上有する多環ノルボルネン系モノマーを使用
することができ、その具体例として、例えば、ジシクロ
ペンタジエン、トリシクロペンタジエン、テトラシクロ
ペンタジエンなどが挙げられる。したがって、ノルボル
ネン系モノマーと架橋性モノマーが同一物である場合に
は、格別他の架橋性モノマーを用いる必要はない。
【0021】なお、上記ノルボルネン系モノマーの1種
または2種以上と共に開環重合し得るシクロブテン、シ
クロペンテン、シクロペンタジエン、シクロオクテン、
シクロドデセンなどの単環シクロオレフィンなどを、本
発明の目的を損なわない範囲で併用することができる。
【0022】(メタセシス触媒系)ノルボルネン系モノ
マーの重合触媒としては、ノルボルネン系モノマーの開
環重合用触媒として公知のメタセシス触媒と活性剤(共
触媒)との組み合わせからなるメタセシス触媒系が使用
される。メタセシス触媒の具体例としては、タングステ
ン、モリブデン、タンタルなどのハロゲン化物、オキシ
ハロゲン化物、酸化物、有機アンモニウム塩などが挙げ
られる。活性剤の具体例としては、アルキルアルミニウ
ムハライド、アルコキシアルキルアルミニウムハライ
ド、アリールオキシアルキルアルミニウムハライド、有
機スズ化合物などが挙げられる。
【0023】メタセシス触媒は、ノルボルネン系モノマ
ー1モルに対し、通常、約0.01〜50ミリモル、好
ましくは0.1〜20ミリモルの範囲で用いられる。活
性剤は、触媒成分に対して、好ましくは1〜10(モル
比)の範囲で用いられる。メタセシス触媒及び活性剤
は、いずれもモノマーに溶解して用いる方が好ましい
が、生成物の性質を本質的に損なわない範囲であれば少
量の溶剤に懸濁または溶解させて用いてもよい。
【0024】(塊状重合)ノルボルネン系樹脂成形品
は、互いに反応して速やかにポリマーを生成する2種以
上の低粘度原料を混合し、次いで、金型内に供給して型
内で硬化させる、いわゆる反応射出成形(RIM)等の
反応成形法により製造することができる。
【0025】RIM法によるノルボルネン系ポリマーの
製造方法では、一般に、ノルボルネン系モノマーを二液
に分けてそれぞれ別の容器に入れ、一方には活性剤を、
他方にはメタセシス触媒を添加して、ノルボルネン系モ
ノマーとメタセシス触媒を含む反応原液(A液)と、ノ
ルボルネン系モノマーとメタセシス触媒の活性剤を含む
反応原液(B液)の二種類の安定な反応原液を調製す
る。この二種類の反応原液を混合し、次いで所定形状の
金型または型枠(両者を合せて金型という)中に注入
し、そこで塊状による開環重合させるとノルボルネン系
樹脂成形品が得られる。
【0026】金型温度は、通常、室温以上、好ましくは
30〜200℃、特に好ましくは50〜130℃であ
る。重合反応に用いる成分類は、窒素ガスなどの不活性
ガス雰囲気下で貯蔵し、かつ操作することが好ましい。
金型内の圧力は、0.1〜10kg/cm2程度であ
り、重合時間は、通常、20分より短く、好ましくは5
分以内である。
【0027】ノルボルネン系ポリマーには、酸化防止
剤、充填剤、補強材、発泡剤、顔料、着色剤、エラスト
マーなどの添加剤を配合することができる。これらの添
加剤は、通常、反応液に溶解ないしは分散させて配合す
るが、金型内に配設しておく場合もある。
【0028】反応混合液の粘度を調節し、あるいはノル
ボルネン系樹脂の耐衝撃性を向上させるために、反応原
液にエラストマーを配合することができる。エラストマ
ーとしては、例えば、天然ゴム(NR)、ポリブタジエ
ン(BR)、ポリイソプレン(IR)、スチレン−ブタ
ジエン共重合体(SBR)、スチレン−ブタジエン−ス
チレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプ
レン−スチレン共重合体(SIS)、エチレン−プロピ
レン−ジエン・ターポリマー(EPDM)、エチレン−
酢酸ビニル共重合体(EVA)、及びこれらの水素化物
などが挙げられる。これらのエラストマーは、それぞれ
単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用すること
ができる。
【0029】エラストマーの使用割合は、ノルボルネン
系モノマー100重量部に対して、通常1〜30重量
部、好ましくは2〜20重量部、より好ましくは5〜1
5重量部である。エラストマーの使用量が多すぎると、
反応原液混合時に混合不良を生じたり、成形品の機械的
物性が低下する。金型は、各種合成樹脂、アルミニウ
ム、低融点合金、木、鉄など種々の材料で作成されたも
のが使用でき、単なる型枠であってもよい。
【0030】本発明においては、二種類の反応原液を混
合するために、従来からRIM成形装置として公知の衝
突混合装置を使用することができる。この場合、二種類
の反応原液を収めた容器は、別々の流れの供給源とな
る。二種類の流れをRIM機のミキシング・ヘッドで瞬
間的に混合させ、次いで、金型内に注入し、そこで塊状
重合させて成形品を得る。衝突混合装置以外にも、スタ
ティックミキサーやパワーミキサーなどの低圧注入機を
使用することができる。
【0031】また、本発明では、二種類の反応原液を使
用する方法に限定されない。当業者であれば容易に理解
できるように、例えば、第三番目の容器にノルボルネン
系モノマーと所望の添加剤を入れて、第三の流れとして
使用するなど各種の変形が可能である。
【0032】(反応混合液の冷却)本発明においては、
先ず、ノルボルネン系モノマー、メタセシス触媒、及び
活性剤を含む反応混合液を調製するが、この反応混合液
の調製工程は、通常、ノルボルネン系モノマーとメタセ
シス触媒を含む反応原液(A液)と、ノルボルネン系モ
ノマーと活性剤を含む反応原液(B液)とを混合するこ
とにより行う。
【0033】各反応原液の粘度及び温度は、混合時に、
反応混合液が初期温度において泡を巻き込まないで均一
な混合状態を達成できる初期粘度となるように調節す
る。ここで、初期温度とは、混合前の各反応原液の温度
が同じ場合には、その温度を意味し、異なる場合には、
混合初期の重合反応が未だ進行していない状態における
反応混合液の温度を指すものとする。同様に、初期粘度
は、混合前の各反応原液の粘度が同じ場合には、その粘
度を意味し、異なる場合には、混合初期の重合反応が未
だ進行していない状態における反応混合液の粘度を指す
ものとする。
【0034】反応混合液は、金型内に注入されるが、本
発明においては、各反応原液の混合中から、あるいは混
合後、反応混合液が金型入口(金型のゲート)に到達す
るまでの間に反応混合液を初期温度から冷却して、金型
内で望ましい流動状態となるようにその粘度を調節す
る。反応混合液の冷却方法としては、特に限定されない
が、混合装置あるいは注入機の種類によって、次のよう
な方法を挙げることができる。
【0035】 図1は、スタティックミキサー方式に
より混合する場合における冷却方法を示す断面略図であ
る。スタティックミキサーにおいては、二種類の反応原
液の流れ(2)及び(3)は、逆止弁(1)を介してス
タティックミキサー部(7)に導入され、そこで混合さ
れて、導管部(8)を経て金型のゲート(9)から金型
内に導入される。スタティックミキサー部(7)及び導
管部(8)の周りを二重管(4)とし、温度調節用の熱
媒体を導入口(5)から二重管内に導入し、排出口
(6)から排出させるようにする。熱媒体の温度を調節
することにより、反応混合液の温度を初期温度から所望
の温度となるまで冷却する。
【0036】 図2は、パワーミキサー方式により混
合する場合における冷却方法を示す断面略図である。パ
ワーミキサーにおいては、二種類の反応原液の流れ
(2)及び(3)は、逆止弁(1)を介して攪拌機(1
0)を備えた混合機中に導入され、混合された後、導管
(8)を経て金型のゲート(9)から金型内に導入され
る。混合機にジャケット(11)を設けたり、あるいは
導管(8)に二重管(4)を設け、温度調節用の熱媒体
を各導入口(5)から導入し、排出口(6)から排出す
るようにして、反応混合液の温度を所望の温度となるよ
うに冷却する。
【0037】 図3は、衝突混合方式により混合する
場合における冷却方法を示す断面略図である。衝突混合
では、二種類の反応原液の流れ(2)及び(3)は、ミ
キシング・ヘッド(12)に導入され、瞬間的に混合さ
れた後、ピストン(16)により金型のスプルー部(1
3)及びアフターミキサー部(14)を経て金型のゲー
ト(8)から金型内に導入される。この場合には、スプ
ルー部(13)及びアフターミキサー部(14)の周り
に銅製やステンレス製などの複数の導管(15)を設
け、その中に温度調節用の熱媒体を通すか、あるいはこ
れらの部分を覆うジャケットを設けてその中に熱媒体を
導入する。熱媒体による温度制御は、金型内面の温度制
御から独立して行う。
【0038】反応液の初期粘度は、30℃で通常100
〜500cps、好ましくは150〜400cps程度
とする。また、反応液の初期温度は、通常10〜50
℃、好ましくは20〜40℃程度とする。初期粘度が小
さすぎると、混合時に泡を巻き込み易く、逆に、高すぎ
ると、混合不良を引き起こし、樹脂物性も低下する。
【0039】反応混合液は、冷却することにより、初期
温度より少なくとも1℃、通常5〜30℃程度低下させ
る。冷却による温度低下の程度は、金型入口(ゲート)
での反応液の粘度が、金型入口での温度で測定した場合
に、通常300cps以上、好ましくは300〜20,
000cps、より好ましくは500〜10,000c
ps程度となる範囲である。金型入口での粘度が低すぎ
ると、ボイドや微小泡が発生し易くなり、逆に、高すぎ
ると、成形品表面がベタついたり、未充填部分が生じ易
くなる。
【0040】また、冷却による反応液の温度低下の程度
は、下記(I)式で示されるレイノルズ数(Re数)
が、金型入口において、通常140〜1,000、好ま
しくは170〜900、より好ましくは250〜850
となる範囲である。 Re=4ρ(T)Q/πη(T)d (I) ρ(T)=1.0g/cm3として計算する。 Q=流速(g/sec) η(T)=粘度(cps) d=流体の相当直径(cm) 金型入口におけるRe数が1,000を越えると、ボイ
ドや微小泡の発生が大となり、140未満になると反応
混合液の充填不良を生じる。
【0041】さらに、反応混合液を冷却することによ
り、反応液の初期粘度(Va)と金型入口での粘度(V
b)との比Vb/Vaを1.1〜5程度、好ましくは
1.2〜3程度にすることが望ましい。冷却工程を設け
ることなく、金型入口でのVb/Vaが1.1以上にな
るようにすると、反応液の反応活性が高い場合には、金
型内で急激に粘度が増加して充填不良となり、反応活性
が低い場合には、硬化が不充分で成形品表面にベタツキ
が生じ易く、泡も多い。これに対して、本発明の方法に
よれば、反応原液の混合後、反応液は、冷却されるた
め、反応が殆ど生じていない状態で金型入口まで移送さ
れ、金型内に入ってから実質的に反応が開始する。した
がって、反応液の粘度上昇は主としてエラストマーを原
因として生じるため、冷却工程によって金型内での流動
に適正な粘度範囲にまで増粘することができ、しかも反
応活性を高くしても金型内での粘度が急上昇することが
ないので、充填不良を生じることがないと共に、硬化不
良に起因する成形品表面のベタツキも生じない。
【0042】
【実施例】以下、本発明について、実施例及び比較例を
挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例
のみに限定されるものではない。なお、部及び%は、特
に断りのない限り重量基準である。
【0043】[実施例1〜9、比較例1〜7]ノルボル
ネン系モノマーとしてジシクロペンタジエン(DCP)
とトリシクロペンタジエン(TCP)との9/1(重量
比)の混合モノマーを用い、該混合モノマー100部
に、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体
(SIS;日本ゼオン社製、商品名クインタック324
1)6.5部、及びポリブタジエン(日本ゼオン社製、
BR−1220)1部を溶解して混合液を調製した。
【0044】この混合液を2つの容器に分割して入れ、
一方の容器には、前記混合モノマーに対してジエチルア
ルミニウムクロリドを40ミリモル濃度、n−プロピル
アルコールを42ミリモル濃度、四塩化珪素を20ミリ
モル濃度となるようにそれぞれ添加した(B液)。他方
の容器には、前記混合モノマーに対して、トリ(トリデ
シル)アンモニウムモリブデートを10ミリモル濃度と
なるように添加し、さらに前記混合モノマー100部当
たりフェノール系酸化防止剤(エチルコーポレーション
社製、商品名エタノックス702)を3部添加した(A
液)。これら両反応原液の粘度は、30℃で240cp
sであった。
【0045】配合活性の測定 30℃に保持したガラス製反応容器に、上記A液及びB
液を1:1(重量比)の割合で入れ、良く混合して約2
0mlの反応混合液を調製した。反応液が液体状からプ
リン状になるまでの時間を測定したところポットライフ
は90秒であった。
【0046】B液のn−プロピルアルコールの濃度を変
えることにより、ポットライフが150秒と40秒の各
反応液を調製した。これら配合活性の異なる3種の反応
原液を用いて成形品の製造実験を行った。
【0047】成形品の製造実験 図4に示す形状、大きさで、裏面にボス及びリブを持つ
平均肉厚7mm、重量6kgの成形品が得られる内部空
間を有する金型を使用した。両反応原液の温度を30℃
に調整し、図1ないし図3に示す各混合機を使用して、
混合比1:1(重量比)となるように混合して、冷却し
ながら金型内に注入した。金型温度は、35℃とした。
反応液注入5分後に金型から成形品を取り出して、室温
まで冷却した。配合活性、冷媒温度、金型入口での反応
液温度は、表1に示すように変化させた。反応液の粘度
は、連続式B型粘度計で、ノズルタッチから取り出した
液で測定した(60rpm)。
【0048】成形品の出来映えの評価は、ボイド(成形
表面の1mm以上の穴の数)については、成形品のA面
で評価し、微小泡(1mm以下の目視で確認できる穴の
数)については、成形品裏面のB面で評価し、その他、
成形品裏面や型の汚れ、ベタツキ、ウエルド、リブ、ボ
ス部の反対面のひけについて評価した。その結果を表1
に示す。
【0049】
【表1】 (*1)配合活性:ポットライフ
【0050】 実施例1〜比較例3は、混合機がスタ
ティックミキサーでの実験である。実施例1〜3は、冷
媒温度を変化させた実験で、金型注入時の温度が原料温
度(初期温度)より低いと、ボイド及び微小泡が非常に
少ないことが分かる。これに対して、比較例1〜2は、
金型注入時の温度が原料温度以上の場合で、ボイドや微
小泡が多くなる。比較例3は、配合活性を落した場合で
あり、ウエルドは小さくなるが、ボイド及び微小泡が多
く、また、ベタツキが大である。
【0051】 実施例4〜比較例5は、混合機がパワ
ーミキサーでの実験である。実施例4〜6は、冷媒温度
を変化させた実験で、金型注入時の温度が原料温度より
低いと、ボイド及び微小泡が非常に少ないことが分か
る。比較例4〜5は、金型注入時の温度が原料温度より
高い場合で、ボイド及び微小泡が多くなる。
【0052】 実施例7〜比較例7は、混合機が衝突
混合タイプでの実験であり、混合時の温度上昇や泡の生
成は、一番多くなる。また、冷却効率も一番悪い。実施
例7〜9は、冷媒温度を変化させた実験で、金型注入時
の温度が原料温度より低いと、ボイド及び微小泡が非常
に少ないことが分かる。比較例6は、金型注入時の温度
が原料温度より高い場合で、ボイド及び微小泡が多くな
る。比較例7は、配合活性を高くした場合で、ボイドや
泡は比較的少ないが、ウエルドが大となり、しかも未充
填部が多くなる。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、ノルボルネン系モノマ
ーとメタセシス触媒系を含む反応混合液を用いた反応成
形法によるノルボルネン系樹脂成形品の製造方法におい
て、反応混合液の粘度と温度を制御することにより、混
合状態及び金型内での流動状態を制御し、ボイドや微小
泡の発生を大幅に抑制した成形品の製造方法が提供され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用するスタティックミキサーの断面
略図である。
【図2】本発明で使用するパワーミキサーの断面略図で
ある。
【図3】本発明で使用する衝突混合式の混合機の断面略
図である。
【図4】実施例で成形した成形品の形状を示す俯瞰図で
ある。
【符号の説明】
1 逆止弁 2 A液 3 B液 4 二重管 5 熱媒体(入口) 6 熱媒体(出口) 7 スタティックミキサー部 8 導管部 9 金型入口(ゲート) 10 撹拌機 11 ジャケット 12 ミキシング・ヘッド 13 スプルー 14 アフターミキサー 15 熱媒体用導管 16 ピストン 17 ゲートからの反応液の注入方向 18 排出方法 19 ボス 20 リブ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノルボルネン系モノマーとメタセシス触
    媒を含む反応原液と、ノルボルネン系モノマーと活性剤
    を含む反応原液とを混合して反応混合液を調製し、次い
    で該反応混合液を金型内に注入して塊状重合することに
    よりノルボルネン系樹脂成形品を製造する方法におい
    て、反応混合液の調製中及び/または調製後に、反応混
    合液を冷却してから金型内に注入することを特徴とする
    ノルボルネン系樹脂成形品の製造方法。
  2. 【請求項2】 反応混合液の調製中及び/または調製後
    に、反応混合液を冷却して、金型入口における反応混合
    液の温度を初期温度よりも1〜30℃の範囲内で低下さ
    せる請求項1記載の製造方法。
JP16534492A 1992-06-01 1992-06-01 ノルボルネン系樹脂成形品の製造方法 Pending JPH05329868A (ja)

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