JP2010137439A - ボイド発生予測方法およびその装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】射出成形品に発生するボイドを、短時間で予測するボイド発生予測方法を提供する。
【解決手段】金型内の流体が流れる流路の大きさが変化する段差部102を通過する流体110のレイノルズ数と段差部102から流体が飛び出すときの飛び出し角度θ1との関係を求めておき、ボイドの発生予測を行う成形品を作る金型内の段差部を通過する流体のレイノルズ数を、上記で求めた関係に当てはめることで被予測金型の段差部での飛び出し角度θ1を求める。飛び出し角度θ1が段差部壁面103の角度θ2より小さい場合にボイドが発生すると予測する。
【選択図】図1

Description

本発明は、金型を使用して成形される成形品に発生するボイドの発生を予測するボイド発生予測方法およびその装置に関する。
金型内に樹脂などの流体を射出して成形する成形品には、その不良の一つとしてボイドがある。このボイドの発生を成形品を成形する前に予測するためにコンピュータを利用した樹脂の流動解析が用いられている。
流動解析を行う場合,シェル要素による2次元流動解析が一般的に用いられる。たとえば市販されている2次元流動解析ソフト(Moldflow,3D−TIMON,PLANETS等)では、高粘性流体を対象としている。このため粘性が支配的な流れと仮定しており、慣性力、重力の影響を考慮していない。また、成形品における板厚方向の流れは無いと仮定している。これにより解析時間が短いという特徴をもつ。
しかし、これでは板厚方向の流動挙動を予測することができず、板厚変化部に発生するボイドの予測はできない。
これを解決する手法として、ナビエ・ストークス方程式を忠実に解く3次元流動解析がある。しかし、この3次元流動解析を行うとなると、メッシュ数は増加し、かつ、慣性力、重力を考慮することいより未知数も増加してしまい、解析時間が膨大になる。このため、この手法を大物薄肉部品に適用した場合には、十分な要素品質を満たすためのメッシュ生成が膨大なものとなって現状では非常に困難である。
そこで別の手法として、薄肉部をシェル要素で、厚肉部だけを別途ソリッド要素(3次元要素)で解析する手法も存在する(以上非特許文献1)。
「差別化進む射出成形CAE 3次元解析技術と最近の話題」川村紀子、株式会社工業調査会、プラスチックス2005年8月号(第56巻第8号)
しかしながら、上記の薄肉部をシェル要素で、厚肉部だけをソリッド要素で解析する手法は、先に説明したシェル要素による2次元流動解析をベースにつくられたものである。したがって、慣性力の影響を考慮していないため、板厚変化部での樹脂の飛び出しを予測することはできないという問題がある。また、仮に慣性力の影響を考慮した場合、未知数の増加により解析時間が増加してしまう問題が発生する。あらに、厚肉部ではソリッド要素を用いているため、結局、2次元流動解析に比べて多くの解析時間を必要とすることになってしまう。
そこで、本発明の目的は、金型を使用して成形される成形品に発生するボイドを、短い時間で予測することのできる成形品のボイド発生予測方法及びその装置を提供することである。
上記課題を解決するための本発明のボイド発生予測方法は、まず、流路の開放端から流体が飛び出すときの飛び出し角度と当該流体が飛び出すときの流体のレイノルズ数から流体の飛び出し角度とレイノルズ数の関係を求めておく。この飛び出し角度とレイノルズ数の関係を用いて、金型内における段差部を通過する流体のレイノルズ数からこの段差部から流体が飛び出す時の飛び出し角度を求める。そして段差部からの流体の飛び出し角度により金型によって成形される成形品のボイドの発生を予測する。
また上記課題を解決するための本発明のボイド発生予測装置は、流路の開放端から流体が飛び出すときの飛び出し角度と流体が飛び出すときの流体のレイノルズ数から得られた流体の飛び出し角度とレイノルズ数の関係を記憶した記憶手段を有する。そして演算手段が、記憶手段に記憶されている飛び出し角度とレイノルズ数の関係に、金型内の段差部を通過する流体のレイノルズ数を当てはめて、この段差部からの流体の飛び出し角度を求める。そして演算手段は、得られた段差部からの流体の飛び出し角度から金型によって成形される成形品のボイドの発生を予測する。
本発明によれば、流体の飛び出し角度とレイノルズ数の関係さえ求めておけば、あとは金型内における段差部を通過する流体のレイノルズ数からこの段差部からの流体の飛び出し角度を求めて、その角度によってボイドの発生を予測することができる。したがって、金型を使用した成形品におけるボイドの発生を短時間で予測することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本発明の実施形態を説明する前に、本実施形態によって予測を行うボイドについて説明する。
射出成形品に発生するボイドは、その成形品をつくるための金型のキャビティ構造に起因して生じるものがある。このようなボイドは、既に背景技術でも説明した通り、2次元的な広がり方向のボイドのみであれば2次元モデルを用いた解析である程度予測することができる。しかし3次元的な方向のボイドの発生は非常に多くの解析時間を要し難しかった。
図1は、3次元方向のボイド発生を説明する説明図である。
3次元方向のボイドは、多くの場合、樹脂(流体110)が充填される金型100内のキャビティ101に存在する段差部102の壁面103近傍に発生する。図1(a)に示すように、流体110は段差部102の手前の流路が細い領域Aから段差部102の後の太い領域Bに射出される。このとき図1(b)に示すように、流体110の飛び出し角度θ1が段差部102の壁面103の角度θ2より浅い場合に、流体110が壁面103にまで十分に充填されない閉空間Dができる。この閉空間Dができると、できあがった成形品では、この部分がボイドとなる。逆に言うと、閉空間Dができなければボイドは発生しない。つまり、流体110の飛び出し角度θ1と段差部102の壁面103の角度θ2がわかればボイド発生の有無を予測することが可能となるのである。
なお、図において流体110の射出方向は図中のS方向である。またここで用いている角度θ1およびθ2は、何れも射出方向Sを基準(0度)とする角度である。したがって、θ2は流路が拡張する方向の壁面103の流路方向を基準とした角度ということになる。また、板厚変化部は、金型100を使用してできあがる成形品の板厚が変化する部分であり、これは金型100内の流体流路の大きさが変化する段差部102によってできる部分である。
以下、本実施形態について詳細に説明する。
本実施形態は、上記のようなことから、金型形状と、段差部を通過する流体の速度および粘度に着目して、ボイドの発生を予測しようとするものである。
ここで段差部102の壁面103の角度θ2は、説明するまでもなくボイドの発生を予測する金型の形状(たとえば設計形状やモデル形状など)または成形品の設計形状からわかる値である。
一方、流体110の段差部102における飛び出し角度θ1は、金型100内に射出された流体110の段差部102を通過するときの速度及び粘度に影響される。流体110の速度と粘度の関係はレイノルズ数として表すことができる。レイノルズ数Reは下記(1)式により表される。
Re=UL/(μ/ρ) …(1)
(ただし、U:速度[m/s]、L:長さ[m]、μ:粘度[Pa・s]、ρ:密度[kg/m]である)
段差部102を通過する流体110は、細い領域Aから太い領域Bの方向に流体110が流れる。このとき、段差部102における流体110は細い領域Aから太い領域Bに射出されることになる。
本実施形態では、まず実験によって、流体110が細い領域Aから太い領域Bに射出されるときの飛び出し角度θ1と、流体110のレイノルズ数Reとの関係を求める。
この飛び出し角度θ1は金型カットモデルを用いた実験により得られる。
たとえば、図1に示したものと同様の段差部102を持つ金型カットモデル(カット部分はガラスなどで内部が見通せるように封止されている)をつくる。この金型カットモデル内に樹脂(流体110)を様々な速度で射出して、流体110が段差部102を通過するときの飛び出し角度θ1を測定する。角度の測定は、たとえば、カットモデルに流体を流し、そのときの流体の流れと飛び出しをビデオ撮影することで容易に得ることができる。このとき段差部102の角度θ2は、たとえば90度とすればよい。なお、段差部102の角度θ2は他の角度であってもよいが、θ2が浅いと射出された流体110が壁面103に着いてしまって飛び出し角度θ1を計測することができない。したがって、実験の際には段差部102の角度θ2は射出角度θ1を計測することができる角度とする。また、レイノルズ数Reを求めるための速度も撮影した映像から求めることができる。
一方、粘度および密度は、流体110の物理量である。したがって、流体110となる樹脂の性質と温度により得られる。長さLについては細い領域Aの段差部直前の距離であり、この間で速度や粘度が変化しないものと仮定することのできる長さを用いる。具体的には、後述するコンピュータによる流動解析を行う場合は、使用するメッシュモデルの1メッシュ分の長さに相当する長さを当てればよい。なお、1メッシュに限らず、速度や粘度が変化しない距離であれば数メッシュ分の長さを当ててもよい。また、この段階では、一定数としてもよく、たとえば1mmや10mmなど計算しやすい値に固定して、後述する解析の際に、それらの値を使ってレイノルズ数の予想値を求めてるようにしてもよい。
この実験は、一つの素材を用いて、複数の速度により飛び出し角度を求める。この実験に用いる素材は、実際に射出成形を行う素材を用いることが好ましいが、必ずしも同じ素材でなくてもよい。これは本実施形態の特徴としてレイノルズ数を用いているためである。これは、上記(1)式の通り、レイノルズ数は流体の物理量によって規定される値であるため、素材が異なっても射出されたときの物理量から得られるレイノルズ数が同じであれば同じ結果が得られるからである。
このような実験によって飛び出し角度とレイノルズ数の関係を求めることができる。そして、求めた飛び出し角度とレイノルズ数の関係は、関数として表すことができる。
図2は、上記の実験により得られた飛び出し角度とレイノルズ数の関係を示すグラフである。
このグラフは、横軸がレイノルズ数Re、縦軸が飛び出し角度θ1である。このグラフからレイノルズ数Reと飛び出し角度θ1との関係を示す実験式が得られる。グラフから得られる実験式は、関数式(2)に示すとおり、自然対数式となる。
θ1=−a×Ln(Re)+b …(2)
式中aおよびbは定数項であり、実験によって得られる飛び出し角度とレイノルズ数の関係によって変わる値である。
なお、本実施形態では、金型カットモデルを用いた実験により飛び出し角度とレイノルズ数の関係を求めた。しかし、この実験においては、必ずしも金型カットモデルを使用する必要はない。例えば、開放端を持つ流路を用い、その流路に流体を流して開放端から流体を飛び出させて、そのときのレイノルズ数と飛び出し角を計測することでも、飛び出し角度とレイノルズ数の関係は求められる。これは、飛び出し角度およびレイノルズ数は流路の細い領域Aを流体が通過するときの状態(流体の速度および粘度)に依存し、太い領域Bの形状にはまったく依存しないためである。すなわち、上述した金型カットモデルを用いた実験では、細い領域Aから太い領域Bへ至る段差部102の細い領域Aの開口部分が流路の開放端と同じということである。このような開放端を有する流路を用いる場合も、上述した実験と同様に、流路の開放端から流体を飛び出させて、それをビデオ撮影すれば、飛び出し角度およびレイノルズ数を得ることができる。
次に本実施形態におけるボイド予測方法を実行するするための装置構成について説明する。
図3は、ボイド予測方法を実行するための装置構成を説明するためのブロック図である。
本実施形態では、後述する手順を実施するためのプログラムが実行されるコンピュータ1と、このコンピュータ1に対して、成形品の設計形状データまたは被予測金型の設計データを供給するCAD装置10が接続されている。CAD装置10に代えて成形品の設計形状データまたは金型の設計データが記憶された記憶装置であってもよい。なお、被予測金型とは、ボイド発生を予測する成形品を作成するために使用する金型を言う。したがって、設計段階の金型形状、試験的に作られた実物の金型などが対象となる。
コンピュータ1は演算手段となるもので、パソコンやワークステーションなどと称されているものである。コンピュータ1内のハードディスクやメモリなどの記憶装置2は記憶手段であり、前述した飛び出し角度とレイノルズ数の関係が記憶されている。記憶させる飛び出し角度とレイノルズ数の関係は、前述の関数式(2)である。また、関数式(2)に代えて飛び出し角度とレイノルズ数の関係をプロットしたグラフやテーブルデータなど、レイノルズ数から飛び出し角度を求めることができる関数であればどのような形態であってもよい。
そしてコンピュータ1は、記憶装置2に記憶されている飛び出し角度とレイノルズ数の関係に、被予測金型の段差部を通過するレイノルズ数(以下レイノルズ数予測値という)を当てはめて、予測対象となる成形品形状に対応した金型100の段差部102おける流体110の飛び出し角度θ1を算出する。
また、コンピュータ1は流体解析ソフトを実行することで、解析手段としても使用することができる。この場合、接続されているCAD装置などから金型データや成形品形状データを取得して、2次元モデルによる流動解析を行ってレイノルズ数予測値を求めることになる。
さらに、コンピュータ1は、後述するように、ボイドの発生を予測するために、あらかじめ決められたしきい値角度と算出した飛び出し角度からボイドの発生を予測する。
なお、コンピュータ1には、図示しないが、予測結果を表示するためのディスプレイやプリンタなどが接続されている。
次に、ボイド予測方法の具体的な手順について説明する。
図4は、射出成形品に対してのボイド予測方法の手順を示すフローチャートである。
まず、コンピュータ1は、CADデータから被予測金型の内部形状となる成形品形状データを取得する(S1)。そして、成形品形状データからシェル要素モデル(2次元モデル)によるメッシュモデルを作成する(S2)。
図5は成形品形状データの3次元モデルを示すモデル図であり、図5(a)は全体図、図5(b)は図5(a)中の丸Cで囲まれた部分の拡大図である。
図5に示すように、成形品形状200は板厚変化部201のある形状である。図1を参照すれば、板厚変化部201は、金型100の段差部102に相当することになり、成形品板厚の薄い部分が流路の細い部分Aとなり、板厚の厚い部分が流路の太い部分Bとなる。
シェル要素モデル203は、図6に示すとおり成形品形状を平面に投影したものとなる。シェル要素モデル203は2次元モデルであるので板厚変化部(段差部)は存在しないモデルである。ただし、段差部の位置はシェル要素モデルの座標からわかる。
ここで成形品形状データからシェル要素モデルを作成したのは、通常、射出成形を行う場合には、成形品は金型の形状がそのまま出たものとなるため、成形品形状データと金型の内部形状は一致するからである。しかも、製品の設計手順としては、成形品の形状を決めてから金型の設計を行うことが多い。このためボイド発生の予測を行う段階では成形品形状データだけしか存在しない場合もあり、そのような場合でも成形品形状データからシェル要素モデルを作成すればボイド発生の予測を行うことができる。
しかし、成形品形状と金型の内部形状が一致しない場合には、被予測金型の形状データを使用したほうがよい。これは、シェル要素モデルを用いた2次元での解析であっても金型内の流路(キャビティ)の大きさが異なると速度や粘度に違いが生じるためである。
続いてコンピュータ1は、ボイドの有無を予測するために必要なしきい値角度を設定する(S3)。ここで設定するしきい値角度は、解析対象の成形品形状データから規定している。なぜなら、できあがった成形品にボイドの発生があるか否かを予測すればよいためである。これは、たとえば被予測金型で作った直後の成型品は、その後、研磨や切断などの後加工が行われて実際に製品となる成形品形状と異なる部分があり、そのような実際の成形品とは異なる部分(除去してしまう部分)にボイドが発生したとしても不良にはならない。したがって、ボイドの予測には被予測金型の形状データを使用するよりも、確実に、かつ、効率的に、成形品にボイドが発生するか否かを予測することができる。もちろん、成形直後の成型品形状がそのまま製品形状になる場合は、そこにボイドが発生すれば不良となるからそのような場合は被予測金型の形状データをもとにしきい値角度を規定してもよい。
しきい値角度は、成形される成形品形状データの肉薄部から肉厚部へ厚さが変わる板厚変化部201における板厚変化方向の壁面202の角度θ2(図5(b)参照)を使用する。このときの角度θ2は、流体が射出される方向を基準とした角度である。
このしきい値角度は成形品形状データからコンピュータ1により壁面202の角度θ2を抽出させて設定する。
続いて、作成されたシェル要素モデルを用いて流動解析(樹脂流れのシミュレーション)を実行する(S4)。流動解析は市販されている2次元モデルによる流動解析ソフトを使用すればよく限定されない。2次元流動解析ソフトとしてはMoldflow,3D−TIMON,PLANETSなどが挙げられる。
続いてコンピュータ1は、流動解析により得られた段差部を通過する流体の粘度、速度を用いて、レイノルズ数(Re)予測値を求める(S5)。ここで求めるレイノルズ数予測値は、段差部へ進入時する直前の位置における流体のレイノルズ数であるので、その部位の流体粘度、速度を抽出してレイノルズ数予測値を求めることになる。
続いて、コンピュータ1は、求めたレイノルズ数予測値を用いて、段差部における流体材料の飛び出し角度θ1を求める(S6)。ここで前述した実験により得られている飛び出し角度とレイノルズ数の関係を用いて、流動解析の結果から得られる飛び出し角度θ1を求めるのである。
続いてコンピュータ1は、求めた飛び出し角度θ1と、ステップS3で設定したしきい値角度とを比較してボイド発生の有無を判定する(S7)。
ボイドが発生しない条件は、予測飛び出し角度θ1が板厚変化部角度θ2よりも大きければ閉空間は発生しないため、ボイドは発生しない。すなわち、S7の結果がθ1≧θ2のとき(S7:Yes)はボイドの発生はないと判定されるので、その旨を予測結果としてコンピュータ1に接続されているディスプレイなどに出力する(S8)。一方、θ1<θ2となればボイドが発生すると予測することになる(S7:No)ので、ボイド発生の可能性があることをディスプレイなどに出力する(S9)。
ボイド発生の可能性があることが予測された場合は、その後、射出成形条件(たとえば流体の射出速度や温度)を変えたり、金型のキャビティ形状の修正や金型の設計変更などが必要になる。
上述したボイドの予測結果と実際にボイドが発生したか否かを実験により確かめた結果を説明する。
実験には、板厚変化部の角度θ2をさまざまに変えた実物の金型を用意し、これに対してさまざまな速度で樹脂を流し込んで、出来上がった樹脂成形品にボイドがないか否かを目視により確かめた。一方、用意した金型実物と同じ形状モデルを用いて上述したボイド発生の予測を行った。
結果を図7に示す。図7は流体の飛び出し角度とレイノルズ数の関係を示す線に、ボイド発生有無の結果を重ねたグラフである。図において横軸はレイノルズ数Re、縦軸は角度である。ここで「○」印は目視によりボイドの発生がないと判定されたサンプルのReとθ2の関係位置をプロットしたもの、「×」印は同様に目視によりボイドの発生があると判定されたサンプルのReとθ2の関係位置をプロットしたものを示している。
一方、線Fは、実験により求めた流体の飛び出し角度とレイノルズ数の関係を示す線である(上述した関数式(2)から得られるグラフ)。したがって、線Fは本実施形態によって流動解析の結果から得られる飛び出し角度を示すことになる。
図7から分かるとおり、θ2の角度と線Fによる角度θ1の関係が、θ1≧θ2となる領域(線Fの下側)ではボイドの発生は無い結果となっており、θ1<θ2となる領域ではボイドが発生した結果となる。したがって、本予測手法を用いれば、ボイドの発生を的確に予測できることがわかる。
以上説明した実施形態では、コンピュータ1を利用した流動解析によるレイノルズ数と用いたが、これに代えて、流動解析を実施しない簡易的な方法を取ることもできる。
簡易的な方法は、成形条件となる注入流量から平均流速を求め、流体材料の初期粘度、密度、および板厚を用いてレイノルズ数を求めるのである。
たとえば、射出成形によく用いられる樹脂であるポリプロピレン(PP)の場合、その粘度は、たとえば温度T=200℃のとき、せん断速度100s−1で200.5Pa・s、同1000s−1で61.1Pa・sである。
したがって、このような材料特性から得られる粘度と、射出成形の際に予定している注入流量から平均流速を求めれば、これらの値からレイノルズ数を求めることができる。
あとは、求めたレイノルズ数を前述した関数式(2)に当てはめれば、簡単に予定している成形条件から、板厚変化部における流体の飛び出し角度θ1を得ることができる。
そして、得られた飛び出し角度θ1と金型内部形状における板厚変化部の角度θ2を比較すれば、ボイドの発生を簡単に予測することができる。
なお、樹脂の粘度は、フィラー等の混入物がある場合には変化するため、必要に応じて、実験などに求めればよい。
以上本実施形態によれば、流体の飛び出し角度とレイノルズ数と関係を求めておいて、この関係を用いて金型内の段差部から飛び出す流体のレイノルズ数から飛び出し角度を求めて、その角度により成形品のボイドの発生を予測することとした。このため、3次元解析など時間のかかる解析を行う必要がないので、非常に短時間で金型による成形品に発生するボイドを予測することができるようになる。
また、本実施形態によれば、流体の飛び出し角度とレイノルズ数の関係をあらかじめ関数式やグラフとして求めておいて、後はコンピュータを利用した2次元モデルによる2次元の流動解析によりレイノルズ数予測値を求めることとした。したがって、2次元の流動解析から得られたレイノルズ数予測値を関数式やグラフに当てはめれば飛び出し角度を求めることができ、3次元解析を行う必要はない。このため、3次元方向に発生するボイドであっても短時間で予測することができる。
また、本実施形態によれば、成形される成形品形状データからコンピュータが板厚変化部の角度を抽出して、これをしきい値角度に設定することとしたので、成形品形状が変わっても、全自動でボイドの発生を予測することができる。また、成形品形状だけ分かっており、金型自体の形状が不明の段階からボイドの発生を予測することができる。
また、金型自体の形状が分かっている場合には、その金型の形状を用いてしきい値を設定すれば、実際の金型形状に基づいたボイド発生を予測することができる。
また、逆に、コンピュータを利用しなくても、材料特性から得られる粘度と、射出成形の際に予定している注入流量からレイノルズ数予測値を求めれば、飛び出し角度を得られる。この場合、2次元解析さえ不要となるため、より短時間でボイドの発生を予測することができる。
また、しきい値角度として、成形品形状データを用いることで、最終的に出来上がる成形品でボイドが発生するか否かを予測することができる。もちろん、しきい値角度としては、被予測金型の形状データを用いてもよく、この場合被予測金型を用いた場合に、成形直後の後加工を行っていない成形品形状にボイドが発生するか否かを予測することができる。
上述した実施形態では、はじめに実験によって流体の飛び出し角度とレイノルズ数と関係を求めたが、これに限らず、最初だけ3次元解析を行って、この流体の飛び出し角度とレイノルズ数と関係を求めるようにしてもよい。このように3次元解析を利用したとしても、最初に1度だけ3次元解析をすればよいので、その後の成形品のボイド発生予測においては3次元解析を利用する必要はないので、ボイドの発生の予測自体は短時間で行うことができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定ささまざまものではなく、特許請求の範囲に規定した技術思想をもとにさまざまな変更や付加的構成が可能であることはいうまでもない。
3次元方向のボイド発生を説明する説明図である。 実験により得られた飛び出し角度とレイノルズ数の関係を示すグラフである。 ボイド予測方法を実行するための装置構成を説明するためのブロック図である。 ボイド予測方法の手順を示すフローチャートである。 成形品形状データの3次元モデルを示すモデル図であって、(a)は全体図、(b)は(a)中の丸Cで囲まれた部分の拡大図である。 成形品形状データから作成したシェル要素モデルを示す図である。 レイノルズ数と流体飛び出し角度の関係を示す線に、ボイド発生有無の結果を重ねたグラフである。
符号の説明
1 コンピュータ、
2 記憶装置、
10 CAD装置、
100 金型、
101 キャビティ、
102 段差部、
103 壁面、
110 流体、
200 成形品形状、
201 板厚変化部、
202 壁面、
203 シェル要素モデル。

Claims (11)

  1. 流路の開放端から流体が飛び出すときの飛び出し角度と当該流体が飛び出すときの流体のレイノルズ数から流体の飛び出し角度とレイノルズ数の関係を求めておき、
    前記飛び出し角度とレイノルズ数の関係を用いて、金型内における段差部を通過する流体のレイノルズ数から当該段差部からの流体の飛び出し角度を求めて、当該段差部からの流体の飛び出し角度により当該金型によって成形される成形品のボイドの発生を予測することを特徴とするボイド発生予測方法。
  2. 前記飛び出し角度とレイノルズ数の関係は、あらかじめ求められた当該関係を表す関数によって与えられており、
    前記段差部からの流体の飛び出し角度は、前記段差部を通過する流体のレイノルズ数を求めて、当該求めたレイノルズ数を前記関数に当てはめて求めることを特徴とする請求項1記載のボイド発生予測方法。
  3. 前記段差部を通過する流体のレイノルズ数は、前記金型の2次元モデルを用いて流動解析を行い、当該解析により得られた粘度結果および速度結果から求めることを特徴とする請求項2記載のボイド発生予測方法。
  4. 前記段差部を通過する流体のレイノルズ数は、前記金型内へ流し込む流体材料の粘度および前記段差部を前記流体が通過する単位時間あたりの通過量から算出した流速を用いて求めることを特徴とする請求項2記載のボイド発生予測方法。
  5. 前記ボイドは、前記段差部からの流体の飛び出し角度と前記成形品の肉薄部から肉厚部へ厚さが変わる板厚変化方向の壁面の前記流体が射出される方向を基準とした角度とを比較して、前記段差部からの流体の飛び出し角度が前記壁面の角度より小さい場合に、前記ボイドが発生すると予測することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のボイド発生予測方法。
  6. 前記ボイドは、前記段差部からの流体の飛び出し角度と前記金型の前記段差部における流路が拡張する方向の壁面の流路方向を基準とする角度とを比較して、前記段差部からの流体の飛び出し角度が前記壁面の角度より小さい場合に、前記ボイドが発生すると予測することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のボイド発生予測方法。
  7. 流路の開放端から流体が飛び出すときの飛び出し角度と当該流体が飛び出すときの流体のレイノルズ数から得られた流体の飛び出し角度とレイノルズ数の関係を記憶した記憶手段と、
    前記飛び出し角度とレイノルズ数の関係に、金型内の段差部を通過する流体のレイノルズ数を当てはめて前記段差部からの流体の飛び出し角度を求めて、得られた前記段差部からの流体の飛び出し角度から当該金型によって成形される成形品のボイドの発生を予測する演算手段と、
    を有することを特徴とするボイド発生予測装置。
  8. 前記演算手段は、前記金型の2次元モデルを用いて流動解析を行う解析手段を有し、当該流動解析により得られた粘度および速度から前記段差部を通過する流体のレイノルズ数を算出することを特徴とする請求項7記載のボイド発生予測装置。
  9. 前記演算手段は、前記金型内へ流し込む流体材料の粘度および前記段差部を前記流体が通過する単位時間あたりの通過量から算出した流速を用いて前記段差部を通過する流体のレイノルズ数を算出することを特徴とする請求項7記載のボイド発生予測装置。
  10. 前記演算手段は、前記段差部からの流体の飛び出し角度と前記成形品の肉薄部から肉厚部へ厚さが変わる板厚変化方向の壁面の前記流体が射出される方向を基準とした角度とを比較して、前記段差部からの流体の飛び出し角度が前記壁面の角度より小さい場合に、前記ボイドが発生すると予測することを特徴とする請求項7〜9のいずれか一つに記載のボイド発生予測装置。
  11. 前記演算手段は、前記段差部からの流体の飛び出し角度と前記金型の前記段差部における流路が拡張する方向の壁面の流路方向を基準とする角度とを比較して、前記段差部からの流体の飛び出し角度が前記壁面の角度より小さい場合に、前記ボイドが発生すると予測することを特徴とする請求項7〜9のいずれか一つに記載のボイド発生予測装置。
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